JP7367712B2 - 成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー定量方法、成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法、成型炭の製造方法、および成型炭 - Google Patents

成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー定量方法、成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法、成型炭の製造方法、および成型炭 Download PDF

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Description

本発明は、バインダーとしてデンプンを使用する成型炭原料粉中および/または成型炭中のデンプンを定量し、バインダーの分散性を評価する方法、および、この方法を用いた成型炭の製造方法ならびに成型炭に関する。
高炉用コークスは、室炉式コークス炉による製造法が主流である。室炉式コークス炉では、高品質なコークスを得るため、原料となる石炭には強い粘結性が求められる。強い粘結性を有する石炭(強粘結炭)は需要の高まりと資源制約の観点から、コストの上昇傾向が続いている。そのため、より安価な非微粘結炭や一般炭による代替技術が盛んに開発されている。
代替する石炭に粘結性を付与する技術として、バインダーと呼ばれる粘結剤(糊剤)を混合させ成型炭とする方式がある。成形炭の代表的なバインダーとして、従来比較的安価なタールピッチやアスファルトピッチが用いられてきた。しかし、製造場所によっては成型炭製造工程においてピッチから発生する揮発成分による臭気が問題となる場合があり、臭気の発生しない代替バインダー(臭気レスバインダー)の要求が高まっている。
臭気レスバインダーとして、近年デンプンが注目されている。デンプンはグルコースが多数連結した高分子化合物であり、特定条件下で高い粘性を示すことから、デンプンをバインダーとして用いた成型炭の開発が進められている。しかし、デンプンは材料コストが高いため、使用量は必要最低限に留める必要がある。
一方で、バインダーが効率良く粘結作用を発揮するためには、石炭とバインダーを均一に混合し、得られた混合物を成型した際に、バインダーが均一に分散した成型炭とすることが重要である。バインダーが不均一な分散状態の成型炭を用いてコークスを製造すると、コークス内部で強度ムラが生じ、割れ・粉化の原因となる。石炭とバインダーの混合を十分に行えば良いものの、必要以上の混合処理はランニングコストの観点から好ましくない。
以上から、最小限のバインダーで強度ムラのない成型炭を効率的に製造するためには、バインダー(デンプン)の分散性を評価し、均一に分散していることを確認することが重要である。
石炭中のデンプンの分散性を評価する方法として、非特許文献1にヨウ素液による呈色を利用した評価法(顕微鏡観察も含む)が知られている。
川村信一郎「デンプンの検出と定量-その問題点」澱粉工業学会誌 第16巻 第2号 24-31頁 1968年
しかし、デンプンをバインダーとして用いた成型炭の場合、石炭自身が黒色であり、デンプンを混合しても、デンプンないしヨウ素デンプン反応の呈色の観察が難しく、色調による評価は困難である。一方、X線等を用いた元素スペクトル分析による組成分布評価法も考えられるが、石炭もデンプンも炭素を中心とした軽元素で構成されているため、区別がつかず困難である。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、成型炭原料粉および/または成型炭において、バインダーとして混合したデンプンを定量分析する方法、成型炭原料粉中および/または成型炭中のバインダー(デンプン)の分散性を評価する方法、さらにこの方法を用いた成型炭の製造方法及び成型炭を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、成型炭原料粉および/または成型炭からバインダー成分のみを抽出し、この抽出液にヨウ素液を添加して呈色させ、呈色の強さを測定することでバインダーを定量できることに思い至り、本発明を完成させた。本発明の特徴は以下のとおりである。
[1]バインダー成分としてデンプンを混合した成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー定量方法であって、
成型炭原料粉および/または成型炭から分析試料を採取する採取工程と、
採取した分析試料に溶媒を加え60℃以上95℃未満に保持しながら撹拌し、撹拌後の混合液をろ過してろ液にデンプンを抽出する抽出工程と、
前記ろ液にヨウ素液を加えて吸光度を測定し、得られた吸光度の結果に基づいて成型炭原料粉および/または成型炭中のデンプンを定量する定量工程と
を含む、成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー定量方法。
[2]前記溶媒は水である、[1]に記載の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー定量方法。
[3]バインダー成分としてデンプンを混合した成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法であって、
成型炭原料粉および/または成型炭から分析試料を採取する採取工程と、
採取した分析試料に溶媒を加え60℃以上95℃未満に保持しながら撹拌し、撹拌後の混合液をろ過してろ液にデンプンを抽出する抽出工程と、
前記ろ液にヨウ素液を加えて吸光度を測定し、得られた吸光度の結果に基づいて成型炭原料粉または成型炭中のデンプンを定量する定量工程と、
前記定量工程で得られたデンプン量(定量値)と、予め設定したデンプン量(設計値)との関係に基づいて、バインダーの分散性を評価する評価工程と
を含む、成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法。
[4]前記溶媒は水である、[3]に記載の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法。
[5]前記採取工程において、前記成型炭原料粉および/または成型炭の任意の複数箇所から採取した各分析試料について、前記定量工程により得られた各デンプンの定量値と前記デンプンの設計値との関係が以下の式(1)を満たすとき、前記評価工程においてバインダーの分散性が良好であると判定する、[3]または[4]に記載の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法。
-10≦{(デンプンの設計値-各デンプンの定量値)/デンプンの設計値}×100≦10 (1)
[6]前記各デンプンの定量値の平均値と前記デンプンの設計値との関係が、以下の式(2)をさらに満たすとき、前記評価工程においてバインダーの分散性が良好であると判定する、[5]に記載の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法。
-5≦{(デンプンの設計値-各デンプンの定量値の平均値)/デンプンの設計値}×100≦5 (2)
[7]石炭にバインダーとしてデンプンを加えて混合し、得られた混合物を成型する成型炭の製造方法において、
[3]~[6]のいずれかに記載の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法を用いて前記混合物中のバインダーの分散性を評価し、分散性が良好であると判定されるまで混合と評価を繰返し、分散性が良好であると判定された後に成型する、成型炭の製造方法。
[8]バインダーとしてデンプンを使用する成型炭において、任意の位置における成型炭中のデンプン濃度と予め設定したデンプンの設計値との関係が以下の式(3)を満たす、成型炭。
-10≦{(デンプンの設計値-成型炭中のデンプン濃度)/デンプンの設計値}×100≦10 (3)
本発明によれば、バインダーとしてデンプンを用いた成型炭原料粉および/または成型炭中のバインダーを定量することができるとともに、成型炭原料粉および/または成型炭中のバインダーの分散性を評価することができる。この評価方法を成型炭の製造工程に適用することにより、バインダーとしてのデンプンが均一に分散した成型炭を得ることができる。
図1は、撹拌温度70℃で混合させたデンプン水溶液について、ヨウ素液添加前と添加後の吸収スペクトルを示す図である。 図2は、実施例における、発明例の検量線を示す図である。 図3は、実施例における、比較例の検量線を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、本発明の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー定量方法について詳細に述べる。本発明のバインダー定量方法は、採取工程と、抽出工程と、定量工程とを含む。
採取工程
採取工程では、成型炭原料粉および/または成型炭から分析試料を採取する。成型炭の原料は、粉砕した原料炭(成型炭原料粉)にバインダーを所定量混合し、石炭-デンプン混合槽(以下、単に混合槽と称する)で撹拌混合した混合物である。混合槽の任意の箇所から、評価用のサンプル(分析試料)を採取する。分析対象が成型炭の場合は、成型機で成型された複数の成型炭から任意の成型炭を採取し、粉砕機で粉砕した後、分析試料とする。採取する量は、1回の分析に必要な0.5g以上とすることが好ましく、位置精度と溶出時間の短縮化の観点から3.0g以下とすることが好ましい。また、採取するサンプルの数(採取箇所)は、1箇所でもよいが、2箇所以上から採取することが好ましい。
抽出工程
次に、採取したサンプルに溶媒を加えて60℃以上95℃未満に保持しながら撹拌し、撹拌後の混合液をろ過してろ液にデンプンを抽出する。溶媒の量は、採取したサンプル量に対して50~80倍の溶媒量とすることが好ましい。50倍未満では、デンプンが溶出されない可能性がある。一方で、80倍超えでは、溶出したデンプンが希薄すぎて、ヨウ素液による呈色の変化を追えない場合がある。溶媒の種類としては、石炭を溶かすことなくデンプンのみが溶出するものであれば特に限定はなく、安価で入手しやすいという点から、水が好ましい。さらに、蒸留水、イオン交換水、超純水など不純物の少ない水がより好ましい。次に、採取したサンプルに溶媒を加えて混合液とし、スターラー等で撹拌する。ヨウ素デンプン反応の発色は、ヨウ素成分がデンプン分子中のらせん構造に入り込み包接化合物となることで発現するため、抽出工程ではデンプンのらせん構造を保持した状態で水へ溶解させることが必要である。これを実現するためには混合液を撹拌する際の温度が重要であり、具体的には、撹拌中の混合液の温度は60℃以上95℃未満とする。混合液の温度が60℃未満の場合、デンプンの溶解度が小さいことから溶け残りが発生する。したがって、混合液の温度は60℃以上とする。一方、混合液の温度が95℃以上の場合、デンプンの分子構造の変質等が起こり、溶出が困難となるだけでなく、正しく定量できなくなる。したがって、混合液の温度は95℃未満、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは85℃以下とする。撹拌温度を85℃以下とすることにより、デンプン自身の変質による発色の低下がより起こりにくくなり、定量精度がより向上する。撹拌(溶出)時間は1~5分とすることが好ましい。また、撹拌後の混合液は、室温まで空冷する。水冷等による急激な冷却はデンプンの変質を招く恐れがあるため、定量誤差の原因となり好ましくない。次いで、デンプンが溶出した混合液をろ過して石炭を除去し、デンプンを抽出する。ろ過は自然ろ過でもよいが、作業時間を短縮する目的で、吸引ろ過、加圧ろ過のほか、遠心分離を用いることが好ましい。ここで、ろ過フィルターは、メンブレンフィルター、ガラス繊維フィルターなどを用いることができる。フィルターの孔径は、粉状の石炭が除去できればよいので、0.1μm程度が好ましい。
定量工程
次に、抽出工程で得られたろ液にヨウ素液を加えて吸光度を測定し、得られた吸光度の結果に基づいて成型炭原料粉または成型炭中のデンプンを定量する。本発明では、デンプンを抽出したろ液中のデンプンを定量する方法として、ヨウ素デンプン反応を用いる。この反応は、ヨウ素ないしヨウ化物イオンがデンプンと接触すると、デンプン分子内のらせん構造にヨウ素ないしヨウ化物イオンが固定化され、青紫~赤紫色を呈色する反応である。すなわち、ろ液にヨウ素液を添加し撹拌すると、ろ液はデンプン濃度に応じて青紫~赤紫色に着色する。本発明では、このヨウ素液を加えたろ液の吸光度を測定する。なお、吸光度は、吸光光度計または分光光度計を用いて測定すればよい。
ヨウ素デンプン反応による呈色の色味は、デンプンの種類(分子構造)によって異なるため、初めて分析する成型炭原料粉または成型炭について、分析試料の測定前に、まず成型炭原料粉中または成型炭中のデンプン単身の吸光スペクトルを測定し、デンプン由来の吸収ピークとなる波長を求めておく。本発明では、ここで求めた波長における吸収ピークの高さを吸光度とする。
次に、予め吸光度を測定したデンプンをバインダーとして含有し、デンプン量(バインダー量)の異なる成型炭原料粉(または成型炭)を検量線用のサンプルとして各吸光度を測定し、デンプン量と吸光度との関係をプロットした検量線を作成する。検量線は、原点以外に2点以上のプロットから作成することが好ましい。
次に、分析試料について、抽出工程で得られたろ液にヨウ素液を加えて吸光度を測定する。そして、予め求めておいたデンプン量と吸光度との関係(検量線)に、測定した吸光度をあてはめることにより、成型炭原料炭中または成型炭中のデンプンを定量することができる。
ろ液に加えるヨウ素液は、ヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解させた溶液であり、さらに水ないしエタノールで希釈したものを用いることができる。ヨウ素液の濃度については、特段制限されず、ヨウ素デンプン反応による呈色が確認できる程度にヨウ素液の濃度を適宜調節すればよいが、一連の分析において、ろ液の量と添加するヨウ素液の濃度は、検量線用および実際に測定する分析試料のいずれも同一とすることが好ましい。なお、ろ液に添加するヨウ素液の量は、1vol%程度とすることが好ましい。
以上の工程により、本発明ではバインダー成分としてデンプンを混合した成型炭原料粉および/または成型炭のバインダーを定量することができる。例えば、デンプン濃度が未知のサンプルの場合、予めデンプン量と吸光度との関係を示す検量線を求めておき、上記と工程から得られた吸光度からデンプン濃度を算出することが出来る。
次に、本発明の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法について説明する。本発明のバインダー分散性評価方法は、採取工程と、抽出工程と、定量工程と、評価工程とを含む。なお、採取工程、抽出工程および定量工程は、前述で説明したバインダー定量方法の採取工程、抽出工程および定量工程と同じである。したがって、以下に、バインダー分散性評価方法の評価工程について説明する。
評価工程
本発明の評価工程は、定量工程で得られたデンプン量(定量値)と、予め設定したデンプン量(設計値)との関係に基づいて、バインダーの分散性を評価する。
定量工程で得られたデンプン量(定量値)と、予め設定したデンプン量(設計値)との関係については、例えば、定量工程で得られたデンプン量(定量値)と予め設定したデンプン量(設計値)との差などを求め、差などが所定のばらつきの範囲以下であるとき、デンプンバインダーの分散性が良好であると判定すればよい。本発明においては、成型炭原料粉および/または成型炭の任意の複数箇所から採取した各分析試料について、定量工程により得られた各デンプンの定量値とデンプンの設計値との関係が以下の式(1)を満たすとき、バインダーの分散性が良好であると判定することが好ましい。
-10≦{(デンプンの設計値-各デンプンの定量値)/デンプンの設計値}×100≦10 (1)
さらに、各デンプンの定量値の平均値とデンプンの設計値との関係が以下の式(2)を満たすとき、バインダーの分散性が良好であると判定することが好ましい。
-5≦{(デンプンの設計値-各デンプンの定量値の平均値)/デンプンの設計値}×100≦5 (2)
なお、分散性評価の精度の観点からは、分析試料の採取について、2箇所以上から採取することが好ましく、4箇所以上であることがさらに好ましい。
次に、本発明の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法を用いた、成型炭を製造する方法について説明する。本発明では、石炭にバインダーとしてデンプンを加えて混合し、得られた混合物を成型する成型炭の製造方法において、本発明の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法を用いて混合物中のバインダーの分散性を評価し、分散性が良好であると判定されるまで混合と評価を繰返し、分散性が良好であると判定された後に成型することを特徴とする。
従来、石炭とバインダー(デンプン)を混合した混合物を、成型機(例えば、ロールコンパクター)により加圧し成型して成型炭を製造している。例えば、成形前の混合物が収容されている混合槽から評価用のサンプルを採取し、本発明のバインダー分散性評価方法を適用して分散性を評価する。分散性が良好と判定されたら混合作業を終了し、成型機にて所定の温度と圧力をかけて成型する。なお、混合槽から採取したサンプルの分散性が良好ではないと判定された場合は、良好と判定されるまで混合作業と評価を繰り返し、分散性が良好と判断された後に成形機にて成型する。なお、分散性の評価は迅速性の観点から、できるだけ混合槽の近くで実施することが好ましい。したがって、本発明の製造方法で製造した成型炭は、バインダーとしてのデンプンの分散性が良好である。
また、バインダーとしてデンプンを使用する成型炭において、任意の位置における成型炭中のデンプン濃度と予め設定したデンプンの設計値との関係が以下の式(3)を満たす成型炭であれば、バインダーとしての分散性が良好であるといえる。
-10≦{(デンプンの設計値-成型炭中のデンプン濃度)/デンプンの設計値}×100≦10 (3)
なお、式(3)中の成型炭中のデンプン濃度と予め設定したデンプンの設計値との関係については、本発明のバインダー分散性評価方法を用いて求めればよい。
以下、本発明の適用方法について実施例に基づいて説明する。
<ヨウ素デンプン反応による呈色の確認>
デンプンとして、タピオカβスターチ(山陽通商社製)単身を10mg取り、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃および95℃の蒸留水を30ml加えた混合液について、それぞれの温度に保持したまま5分間撹拌し、室温となるまで空冷した。次いで、孔径0.45μmのメンブレンフィルターとシリンジを用いて濾過した。各々のろ液各1mLについて、紫外可視分光光度計(日本分光社製:型式V-650)の石英セルに入れ、さらにヨウ素液(3%ヨウ素ヨウ化カリウム溶液を蒸留水で100倍に薄めたもの)を0.1mL加えて呈色させた。30秒静置後、可視光領域の吸光スペクトルを測定した。図1に、撹拌温度70℃で混合させたデンプン水溶液(前述のろ液)について、ヨウ素液添加前と添加後の吸収スペクトルを示す。ヨウ素液を添加(ヨウ素液有り)することにより、波長630nm付近をピークトップとする吸収スペクトルが観測された。よって、波長630nmを上記デンプンの吸収極大波長とした。他の撹拌温度にて得られた混合液についても同様の方法で、波長630nmにおける吸光度(ピーク高さ)を測定した。その結果、撹拌温度が60℃以上95℃未満℃の範囲では混合液の吸光度が観察され、この温度範囲であればデンプンの抽出が可能であることがわかった。一方、撹拌温度が40℃および50℃では、吸光度に変化は見られず、デンプンに由来する吸収ピークは検出されなかった。撹拌温度が95℃では、複数回の繰返し測定で吸光度変化が大きく、抽出には適さないと判断した。
<検量線の作成>
篩掛けにより2mm以下とした石炭(原料粉)と上記と同じデンプンとを配合し、混合槽にて3分間混合した。デンプンの配合量は、デンプンの質量分率が、0.1mass%、0.2mass%、0.4mass%、1.0mass%、2.0mass%、4.0mass%となるようにそれぞれ配合し、6水準の混合物を用意した。各混合物をサンプルとして0.5gずつ秤量し、70℃の蒸留水を30ml加え、70℃に保持したままそれぞれ5分間撹拌し混合液を得た。次いで、孔径0.45μmのメンブレンフィルターとシリンジを用いて固形分の石炭を分離し、ろ液が室温となるまで空冷した。得られたろ液に対して、上述と同じヨウ素液を添加し、波長630nmにおける吸光度を測定し、デンプンの配合量(デンプン量)と吸光度の関係を示す検量線を作成した(発明例)。図2は、撹拌温度70℃を条件として作成した検量線である。撹拌温度が70℃では、吸光度とデンプン量に相関が認められた。
比較例として、発明例と同様に、篩掛けにより2mm以下とした石炭(原料粉)に配合し、混合槽にて3分間混合した。デンプンの配合量は、デンプンの質量分率が、0.5mass%、1.0mass%、2.0mass%、4.0mass%となるようにそれぞれ配合し、4水準用意した。各混合物をサンプルとして0.5gずつ秤量し、95℃の蒸留水を30ml加え、95℃に保持したままそれぞれ5分間撹拌し混合液を得た。発明例と同様に、デンプン水溶液にヨウ素液を加え、分光光度計で波長630nmにおける吸光度を測定し、デンプンの配合量(デンプン量)と吸光度の関係を求めた。図3は、撹拌温度95℃を条件として作成した検量線である。撹拌温度が95℃では、吸光度とデンプン量に相関は認められなかった。これは、デンプンが高温の水にさらされ変質したためであると考えられる。
成型炭原料粉中のデンプン分散性を評価するため、設計値2.0mass%でデンプンを成型炭原料粉に配合し、混合槽にて360rpmの回転速度で5秒混合した。混合後の成型炭原料粉を、任意の4箇所からそれぞれ0.5gずつ採取した(サンプル1~4)。これらの成型炭原料粉のサンプル1~4について、実施例1と同様の条件で波長630nmにおける吸光度を測定し、実施例1で得られた発明例の検量線(図2の検量線)からデンプン量(定量値)を求めた。また、得られた定量値と設計値に基づいて、式(1)および式(2)の不等式についても算出した。なお、表1中の式(1)の不等式の計算結果および式(2)の不等式の計算結果(式(1)の値および式(2)の値)については、絶対値で表記した。
結果を表1に示す。
Figure 0007367712000001
表1の結果から、式(2)の値が28.5%であったため、分散性は不良と判定した。
次に、この原料粉を、さらに175秒混合した(合計の混合時間:180秒)。混合時間が5秒の場合と同じ箇所から分析試料(サンプル1~4)を採取し、同様の方法でデンプン量を求めた。
結果を表2に示す。
Figure 0007367712000002
表2に示すように、各採取サンプルはいずれも式(1)の値が10%以下であり、かつ、式(2)の値は5%以下であったので、分散性良好と判定した。
次に、この成型炭原料粉を用いて成型機にて線圧0.5t/cmの条件で成型炭を製造した。得られた成型炭について、任意の3個を評価サンプルとして採取し、粉砕後に上記と同様の方法で定量した。その結果、式(1)および式(2)のいずれも満足し、分散性は良好であった。

Claims (8)

  1. バインダー成分としてデンプンを混合したコークス製造用の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー定量方法であって、
    成型炭原料粉および/または成型炭から分析試料を採取する採取工程と、
    採取した分析試料に溶媒を加え60℃以上95℃未満に保持しながら撹拌し、撹拌後の混合液をろ過してろ液にデンプンを抽出する抽出工程と、
    前記ろ液にヨウ素液を加えて吸光度を測定し、得られた吸光度の結果に基づいて成型炭原料粉および/または成型炭中のデンプンを定量する定量工程と
    を含む、成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー定量方法。
  2. 前記溶媒は水である、請求項1に記載の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー定量方法。
  3. バインダー成分としてデンプンを混合した成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法であって、
    成型炭原料粉および/または成型炭から分析試料を採取する採取工程と、
    採取した分析試料に溶媒を加え60℃以上95℃未満に保持しながら撹拌し、撹拌後の混合液をろ過してろ液にデンプンを抽出する抽出工程と、
    前記ろ液にヨウ素液を加えて吸光度を測定し、得られた吸光度の結果に基づいて成型炭原料粉および/または成型炭中のデンプンを定量する定量工程と、
    前記定量工程で得られたデンプン量(定量値)と、予め設定したデンプン量(設計値)との関係に基づいて、バインダーの分散性を評価する評価工程と
    を含む、成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法。
  4. 前記溶媒は水である、請求項3に記載の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法。
  5. 前記採取工程において、前記成型炭原料粉および/または成型炭の任意の複数箇所から採取した各分析試料について、前記定量工程により得られた各デンプンの定量値と前記デンプンの設計値との関係が以下の式(1)を満たすとき、前記評価工程においてバインダーの分散性が良好であると判定する、請求項3または4に記載の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法。
    -10≦{(デンプンの設計値-各デンプンの定量値)/デンプンの設計値}×100≦10 (1)
  6. 前記各デンプンの定量値の平均値と前記デンプンの設計値との関係が、以下の式(2)をさらに満たすとき、前記評価工程においてバインダーの分散性が良好であると判定する、請求項5に記載の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法。
    -5≦{(デンプンの設計値-各デンプンの定量値の平均値)/デンプンの設計値}×100≦5 (2)
  7. 石炭にバインダーとしてデンプンを加えて混合し、得られた混合物を成型する成型炭の製造方法において、
    請求項3~6のいずれかに記載の成型炭原料粉および/または成型炭のバインダー分散性評価方法を用いて前記混合物中のバインダーの分散性を評価し、分散性が良好であると判定されるまで混合と評価を繰返し、分散性が良好であると判定された後に成型する、成型炭の製造方法。
  8. バインダーとしてデンプンを使用する成型炭において、任意の位置における成型炭中のデンプン濃度と予め設定したデンプンの設計値との関係が以下の式(3)を満たす、成型炭。
    -10≦{(デンプンの設計値-成型炭中のデンプン濃度)/デンプンの設計値}×100≦10 (3)
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