JP6471669B2 - R−t−b系磁石の製造方法 - Google Patents
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R−T−B(Rは希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含み、Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含み、Bの一部をCで置換することができる)系磁石の製造方法であって、
平均結晶粒径が1μm以下で磁気的異方性を有する、R1−T1−X(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含み、27mass%以上35mass%以下であり、T1はFeまたはFeとMであり、MはGa、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Agから選択される一種以上であり、XはBでありBの一部をCで置換することができ、[T1]/[X]のmol比が13.6以上である)系合金バルク体を準備する工程と、
R2−Ga−Cu(R2は希土類元素のうち少なくとも一種でありPrおよび/またはNdを必ず含み、65mol%以上95mol%以下であり、[Cu]/([Ga]+[Cu])がmol比で0.1以上0.9以下である)系合金を準備する工程と、
前記R1−T1−X系合金バルク体の表面の少なくとも一部に、前記R2−Ga−Cu系合金の少なくとも一部を接触させ、真空又は不活性ガス雰囲気中、450℃以上600℃以下の温度で熱処理をする工程と、
を含むことを特徴とする。
R1−T1−X系合金バルク体における[T1]/[X]のmol比は14以上であることを特徴とする。
R1−T1−X系合金バルク体は重希土類元素を含有していないことを特徴とする。
前記R1−T1−X系合金バルク体が、R2T14B相を主体とする平均粒子径1μm以上10μm以下の粉末を磁界中成形した後、HDDR処理し、その後、加熱圧縮されたものであることを特徴とする。
前記R1−T1−X系合金バルク体が、R2T14B相を主体とする平均粒子径20μm以上の合金をHDDR処理した後、得られた粉末を磁界中成形し、その後、加熱圧縮されたものであることを特徴とする。
前記R1−T1−X系合金バルク体が、超急冷法によって作製された合金を熱間加工されたものであることを特徴とする。
R2−Ga−Cu系合金は重希土類元素を含有していないことを特徴とする。
R2−Ga−Cu系合金中のR2の50mol%以上がPrであることを特徴とする。
R2−Ga−Cu系合金中のR2がPrのみからなる(不可避不純物を除く)ことを特徴とする。
前記熱処理をする工程において、R1−T1−X系合金バルク体中のR12T114X相とR2−Ga−Cu系合金中から生成した液相とが反応することにより、R−T−B系磁石内部の少なくとも一部にR6T13Z相(ZはGaおよび/またはCuを必ず含む)を生成させることを特徴とする。
前記熱処理をする工程は、前記R2−Ga−Cu系合金の粉末を前記R1−T1−X系合金バルク体の表面の少なくとも一部に塗布及び/又は散布することにより、前記R2−Ga−Cu系合金を前記R1−T1−X系合金バルク体の表面の少なくとも一部に接触させることを特徴とする。
前記R1−T1−X系合金バルク体の前記表面に散布及び/又は塗布される前記R2−Ga−Cu系合金の粉末の量は、前記R1−T1−X系合金バルク体100質量部に対して、0.2質量部以上0.5質量部以下であることを特徴とする。
R1−T1−X系合金バルク体(以下、単に「バルク体」という場合がある)を準備する工程において、バルク体の組成は、R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含み、27mass%以上35mass%以下であり、T1はFeまたはFeとMであり、MはGa、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Agから選択される一種以上であり、XはBでありBの一部をCで置換することができ、[T1]/[X]のmol比が13.6以上、好ましくは14以上である。
この方法は、平均粒径D50が10μmの粉末を磁界中配向して作製した成形体にHDDR処理を行うことで、部分的に焼結されて多孔質となり、さらに加熱圧縮により緻密化することで得られる、平均結晶粒径1μm以下で磁気的異方性を有するバルク体を作製する方法である。以下に作製工程の一例を示す。
まず、R2T14B相を主体とする原料合金を作製する。原料合金の作製方法としては、例えば、ブックモールド法、遠心鋳造法、ストリップキャスト法、アトマイズ法、拡散還元法など、R−T−B系磁石の作製に用いられる公知の方法を適用することができるが、α‐Fe相の生成を抑制するという観点からは、ストリップキャスト法を採用することが好ましい。得られた原料合金は、さらに、原料合金における組織均質化などを目的として、粉砕前の原料合金に対して熱処理を施してもよい。このような熱処理は、真空または不活性雰囲気において、典型的には1000℃以上の温度で実行され得る。
次に、上記の原料粉末を用いて圧粉体(成形体)を成形する。圧粉体を成形する工程は、10MPa〜200MPaの圧力を印加し、0.5T〜20Tの磁界中(静磁界、パルス磁界など)で行うことが望ましい。成形は、公知の粉末プレス装置によって行うことができる。粉末プレス装置から取り出したときの圧粉体密度(成形体密度)は、3.5g/cm3〜5.2g/cm3程度である。
次に、上記成形工程によって得られた圧粉体(成形体)に対し、HDDR処理を施す。
上記の方法によって得られた多孔質材料にホットプレス法などの加熱圧縮処理を適用することによって、緻密化を行い、密度7.3g/m3以上、典型的には7.5g/m3以上のバルク体を作製する。多孔質材料に対する加熱圧縮は、公知の加熱圧縮技術を用いて行うことができる。例えば、ホットプレス、SPS、(spark plasma sintering)、HIP(hot isostatic press)、熱間圧延などの加熱圧縮処理を行うことが可能である。なかでも、所望の形状を得やすいホットプレスやSPSが好適に用いられ得る。本実施形態では以下の手順でホットプレスを行う。
この方法は、HDDR(水素化−不均化−脱水素−再結合)によって作製された異方性を有する原料粉末を磁界中で配向した後、ホットプレス法などの加圧圧縮処理を用いて緻密化し、バルク体を得る手法である。以下に作製工程の一例を示す。
出発合金は、ブックモールド法、遠心鋳造法、ストリップキャスト法、アトマイズ法、拡散還元法などの公知の合金作製方法によって得られる。これらの方法によって作製された出発合金に対しては、マクロ偏析の解消、結晶粒の粗大化、α−Fe相の減少などを目的として、均質化熱処理を行なっても良い。均質化熱処理としては、例えば窒素以外の不活性ガス雰囲気中で1000〜1200℃、1〜48時間の処理を行う。なお、このような均質化処理により、R2T114X相の平均結晶粒径は約100μm以上に粗大化する。平均結晶粒径の粗大化は、HDDR処理磁粉が大きな磁気的異方性を有するためには好ましい。
次に、出発合金を公知の方法で粉砕することにより、粗粉砕粉を作製する。粉砕は、例えばジョークラッシャーなどの機械的粉砕法や、水素吸蔵崩壊法を用いて行うことができる。
次に、上記粉砕工程によって得られた粗粉砕粉に対し、HDDR処理を施す。なお、粗粉砕はHDDR処理と同じ容器内で、HD処理の前に水素を吸蔵させるなどの方法で行うこともできる。
脱水素化・再結合処理(HDDR処理)が終了した後、室温まで冷却された合金粉末は、弱い凝集体を形成している場合がある。このような場合、公知の方法で解砕を行えばよい。また、最終的な目的に応じて、さらに粉砕による粒度調整を行なってもよい。粉砕方法は、公知の粉砕技術を使用することができるが、粉砕時の合金粉末の酸化を抑制するために、Arなどの不活性ガス雰囲気で粉砕を行うことが好ましい。
得られた合金粉末(HDDR粉末)を用いて圧粉体(コンパクト)を作製する。バルク体を製造するためには、磁界中でHDDR粉末をプレス成形した圧粉体を用いる。例えば、0.5T〜20T(0.4MA/m〜1.6MA/m)の磁界中(静磁界、パルス磁界など)で10MPa〜1000MPaの圧力を印加してプレス成形する。成形は、公知の粉末プレス装置によって行うことができる。粉末プレス装置から取り出したときの圧粉体密度(成形体密度)は、例えば4.5g/cm3〜6.5g/cm3(真密度を7.6g/cm3とするとその59%〜86%)程度である。このとき、圧粉体の外形寸法を、次の加熱圧縮工程で用いる装置の金型の開口部の寸法よりも数%以上小さくしておくと、加熱圧縮時に熱間塑性変形が起こることにより異方性のより高いバルク磁石を得ることができる。
得られた成形体にホットプレス法などの加熱圧縮処理を適用することによって、緻密化を行い、密度7.3g/m3以上、典型的には7.5g/m3以上のバルク体を作製する。圧粉体に対する加熱圧縮は、先述した多孔質バルク体へのホットプレスと同様の方法を採用することができる。これにより、本実施形態のR1−T1−X系バルク体を得ることができる。
この方法は液体超急冷法などで作製された、主相の磁化容易方向がランダムなナノ結晶で構成される等方性合金に熱間加工を施すことにより、磁気的異方性を有するバルク体を作製する方法である。熱間加工の方法としては、超急冷合金をそのまま熱間圧延するなどの方法も活用できるが、超急冷合金を粉砕し、ホットプレスなどの加熱圧縮処理で一旦緻密化した後、さらに、高温で応力を付与して変形させる手法を採用すると、磁気的異方性を有するバルク体が容易に作製できるため、好適である。以下具体的な作製手順の一例を示す。
まず、液体超急冷法で磁気的に等方性である合金を作製する。液体超急冷法としては、単ロール超急冷法、双ロール超急冷法、ガスアトマイズ法など、公知の方法を用いることができるが、これらの中で高速回転する銅製などの急冷ロール上に溶解した合金を供給して急冷する、単ロール急冷法が特に好適に用いられる。急冷ロールの典型的なロール周速度は、10m/秒以上50m/秒以下である。得られた合金中の典型的な平均結晶粒径は0.1μm以下で、主相の結晶方位はランダムである。なお、市販の超急冷合金を購入して用いてもよいことは言うまでもない。
得られた薄帯をパワーミルやピンミルなどの公知の方法で粉砕し、フレーク状の合金粉末を得た後、ホットプレス法などの加熱圧縮処理を適用することによって、緻密化を行い、密度7.3g/cm3以上、典型的には7.5g/cm3以上のバルク体を作製する。加熱圧縮は、公知の加熱圧縮技術を用いて行うことができる。例えば、ホットプレス、SPS、(spark plasma sintering)、HIP(hot isostatic press)、熱間圧延などの加熱圧縮処理を行うことが可能である。なかでも、所望の形状を得やすいホットプレスやSPSが好適に用いられる。なお、加熱圧縮処理の前に、10MPa〜2000MPaの圧力を印加してプレス成形する冷間成形により、合金粉末の圧粉体を作製し、それを加熱圧縮することもできる。
緻密化された熱間成形体を熱間加工して塑性変形させる。熱間加工方法は、目的に応じて公知の方法を採用することができるが、熱間押出し加工(後方押出し加工及び前方押出し加工を含む)や熱間据え込み加工が好適に用いられ、生産性の観点から、熱間押出し加工が特に好適である。
R2−Ga−Cu系合金を準備する工程において、R2−Ga−Cu系合金の組成は、R2は希土類元素のうち少なくとも一種でありPrおよび/またはNdを必ず含み、65mol%以上95mol%以下であり、[Cu]/([Ga]+[Cu])がmol比で0.1以上0.9以下である。R2−Ga−Cu系合金にはGaとCuの両方を必ず含む。GaとCuの両方が含まれないと、最終的に得られるR−T−B系磁石において、磁石内部の二粒子粒界を厚くすることができなくなり、重希土類元素を用いることなく高い保磁力を有するR−T−B系磁石を得ることが困難となる。
前記によって準備したバルク体の表面の少なくとも一部に、前記によって準備したR2−Ga−Cu系合金の少なくとも一部を接触させ、真空又は不活性ガス雰囲気中、450℃以上600℃以下の温度で熱処理する。これにより、R2−Ga−Cu系合金から液相が生成し、その液相がバルク体中の粒界を経由してバルク体表面から内部に拡散導入されて、主相であるR12T114X相の結晶粒間にGaやCuを含む厚い二粒子粒界をバルク体の内部まで容易に形成することができ、主相結晶粒間の磁気的結合が大幅に弱められる。そのため、重希土類元素を用いずとも非常に高い保磁力を有するR−T−B系磁石が得られる。
なお、一般的に、磁石寸法調整のための表面研削を行うと、バルク体表面から200μm程度の領域が除去されるため、厚い二粒子粒界がバルク体の表面から250μm程度の領域を含んでいれば、本発明の効果を得ることができる。ただし、このような場合(厚い二粒子粒界が250μm程度の場合)には、熱処理後のバルク体中央付近のHcJが十分向上しないために、減磁曲線の角形性が悪化する可能性がある。このため、バルク体中央付近のHcJが、R2−Ga−Cu系合金と接触せずに450℃以上600℃以下の温度で熱処理(一般的なR−T−B系磁石の保磁力を向上させるための熱処理)を行ったときに、HcJ≧1200kA/mが得られることが好ましく、HcJ≧1360kA/mが得られることがさらに好ましい。このようなバルク体を使うことで、R2−Ga−Cu合金の導入量が小さくても磁石全体として高いHcJと優れた減磁曲線の角形性を得ることが可能となり、結果、高いHcJが容易に実現できる。
バルク体中央付近のHcJが、R2−Ga−Cu系合金と接触せずに450℃以上600℃以下の温度で熱処理を行ったときに、HcJ≧1200kA/mが得られるバルク体は、T1にGaを含むときに容易に得ることができる。バルク体全体に対するGaの含有量は0.05質量%以上1質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.8質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上0.6質量%以下がさらに好ましい。
バルク体へのR2−Ga−Cu系合金から生成した液相の導入量は、保持温度や保持時間により制御することができる。バルク体の表面にR2−Ga−Cu系合金を散布及び/又は塗布する場合には、散布量または塗布量を制御することが好ましい。R2−Ga−Cu系合金の散布または塗布量は、バルク体100質量部に対して0.2質量部以上5.0質量部以下とすることが好ましく、0.2質量部以上3.0質量部以下とすることがより好ましい。このような条件とすることで、高いBrと高いHcJの両立が容易に実現できる。なお、バルク体の表面の一部にのみR2−Ga−Cu系合金を散布又は塗布する場合には、配向方向に垂直な面に散布又は塗布することが好ましい。
[R1−T1−X系合金バルク体の準備]
Ndメタル、フェロボロン合金、フェロカーボン合金、電解鉄を用いて(メタルはいずれも純度99%以上)、バルク体の組成(AlとSiとMnを除く)が表1に示す符号1−Aから1−Gの組成となるように配合し、それらの原料を溶解してストリップキャスト法により鋳造し、厚み0.2〜0.4mmのフレーク状の原料合金を得た。得られたフレーク状の原料合金を水素粉砕した後、550℃まで真空中で加熱後冷却する脱水素処理を施し粗粉砕粉を得た。次に、得られた粗粉砕粉に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を粗粉砕粉100mass%に対して0.04mass%添加、混合した後、気流式粉砕機(ジェットミル装置)を用いて、窒素気流中で乾式粉砕し、粒径D50が4μmの微粉砕粉(合金粉末)を得た。なお、本実験では、粉砕時の窒素ガス中の酸素濃度を約8000ppmとすることにより、最終的に得られるバルク体の酸素量が0.4mass%前後となるように調整した。なお、粒径D50は、気流分散法によるレーザー回折法で得られた体積中心値(体積基準メジアン径)である。
Prメタル、Gaメタル、Cuメタルを用いて(メタルはいずれも純度99%以上)、合金の組成が表2に示す符号1−aの組成になるように配合し、それらの原料を溶解して、単ロール超急冷法(メルトスピニング法)により、リボンまたはフレーク状の合金を得た。得られた合金を乳鉢を用いてアルゴン雰囲気中で粉砕した後、目開き425μmの篩を通過させ、R2−Ga−Cu系合金を準備した。得られたR2−Ga−Cu系合金の組成を表2に示す。
表1の符号1−Aから1−GのR1−T1−X系合金バルク体を切断、切削加工し、2.4mm×2.4mm×2.4mmの立方体とした。次に、図2に示すように、ニオブ箔により作製した処理容器3中に、主にR1−T1−X系合金バルク体1の配向方向(図中の矢印方向)と垂直な面がR2−Ga−Cu系合金2と接触するように、表2に示す符号1−aのR2−Ga−Cu系合金を、符号1−Aから1−GのR1−T1−X系合金バルク体のそれぞれの上下に配置した。
得られたサンプルを、超伝導コイルを備えた振動試料型磁力計(VSM:東英工業製VSM−5SC−10HF)にセットし、4MA/mまで磁界を付与した後、−4MA/mまで磁界を掃引しながら、R−T−B系磁石の配向方向の磁気ヒステリシス曲線を測定した。得られたヒステリシス曲線から求めた保磁力(HcJ)の値を表3に示す。表3の通り、R1−T1−X系合金バルク体における[T1]/[X]のmol比を13.6以上としたときに高いHcJが得られていることがわかり、特に14以上では2100kA/mを超える極めて高いHcJが得られていることがわかる。
バルク体の組成(AlとSiとMnを除く)が表4に示す符号2−Aの組成となるように配合する以外は実験例1と同様の方法でバルク体を複数個作製した。
バルク体の組成(AlとSiとMnを除く)が表7に示す符号3−Aの組成となるように配合する以外は実験例1と同様の方法でバルク体を作製した。
[R1−T1−X系合金バルク体の準備]
Ndメタル、フェロボロン合金、フェロカーボン合金、電解鉄を用いて(メタルはいずれも純度99%以上)、バルク体の組成(AlとSiとMnを除く)が表10に示す符号4−Aの組成となるように配合し、それらの原料を溶解した後、ブックモールド法により鋳造し、厚み10〜20mmのブロック状の原料合金を得た。得られた原料合金を減圧アルゴン雰囲気中で1120℃×20時間の熱処理を行った後、冷却した。その後、絶対圧250kPaの加圧水素雰囲気で2時間保持することにより、合金に水素を吸蔵させた後、真空引きを行って水素を極力除去した。その後、500μmのメッシュにて解砕することで、粉末を得た。
[R1−T1−X系合金バルク体の準備]
Ndメタル、フェロボロン合金、フェロカーボン合金、電解鉄を用いて(メタルはいずれも純度99%以上)、バルク体の組成(AlとSiとMnを除く)が表13に示す符号5−Aの組成となるように配合し、それらの原料を溶解した後、ブックモールド法により鋳造し、厚み10〜20mmのブロック状の原料合金を得た。得られたブロック状の原料合金を単ロール超急冷法を用いて超急冷合金を作製した。具体的には周速度20m/秒で回転する純銅製のロール上に、石英管中で高周波溶解した原料合金を噴射することで厚さ20〜50μmのリボン状の合金を得た。得られた合金を乳鉢中で粉砕し、150μm以下の粉末を回収した。
バルク体の組成(AlとSiとMnを除く)が表16に示す符号6−Aの組成となるように配合する以外は実験例1と同様の方法でR1−T1−X系合金バルク体を作製した。
26 チャンバ
27 金型
28a 上パンチ
28b 下パンチ
30a 上ラム
30b 下ラム
1 R1−T1−X系合金バルク体
2 R2−Ga−Cu系合金
3 処理容器
Claims (12)
- R−T−B(Rは希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含み、Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含み、Bの一部をCで置換することができる)系磁石の製造方法であって、
平均結晶粒径が1μm以下で磁気的異方性を有する、R1−T1−X(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含み、27mass%以上35mass%以下であり、T1はFeまたはFeとMであり、MはGa、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Agから選択される一種以上であり、XはBでありBの一部をCで置換することができ、[T1]/[X]のmol比が13.6以上である)系合金バルク体を準備する工程と、
R2−Ga−Cu(R2は希土類元素のうち少なくとも一種でありPrおよび/またはNdを必ず含み、65mol%以上95mol%以下であり、[Cu]/([Ga]+[Cu])がmol比で0.1以上0.9以下である)系合金を準備する工程と、
前記R1−T1−X系合金バルク体の表面の少なくとも一部に、前記R2−Ga−Cu系合金の少なくとも一部を接触させ、真空又は不活性ガス雰囲気中、450℃以上600℃以下の温度で熱処理をする工程と、
を含むR−T−B系磁石の製造方法。 - R1−T1−X系合金バルク体における[T1]/[X]のmol比は14以上である、請求項1に記載のR−T−B系磁石の製造方法。
- R1−T1−X系合金バルク体は重希土類元素を含有していない、請求項1または2のいずれかに記載のR−T−B系磁石の製造方法。
- 前記R1−T1−X系合金バルク体が、R2T14B相を主体とする平均粒子径1μm以上10μm以下の粉末を磁界中成形した後、HDDR処理し、その後、加熱圧縮されたものであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のR−T−B系磁石の製造方法。
- 前記R1−T1−X系合金バルク体が、R2T14B相を主体とする平均粒子径20μm以上の合金をHDDR処理した後、得られた粉末を磁界中成形し、その後、加熱圧縮されたものであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のR−T−B系磁石の製造方法。
- 前記R1−T1−X系合金バルク体が、超急冷法によって作製された合金を熱間加工されたものであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のR−T−B系磁石の製造方法。
- R2−Ga−Cu系合金は重希土類元素を含有していない請求項1から6のいずれかに記載のR−T−B系磁石の製造方法。
- R2−Ga−Cu系合金中のR2の50mol%以上がPrである請求項7に記載のR−T−B系磁石の製造方法。
- R2−Ga−Cu系合金中のR2がPrのみからなる(不可避不純物を除く)請求項7に記載のR−T−B系磁石の製造方法。
- 前記熱処理をする工程において、R1−T1−X系合金バルク体中のR12T114X相とR2−Ga−Cu系合金中から生成した液相とが反応することにより、R−T−B系磁石内部の少なくとも一部にR6T13Z相(ZはGaおよび/またはCuを必ず含む)を生成させる請求項1から9のいずれかに記載のR−T−B系磁石の製造方法。
- 前記熱処理をする工程は、前記R2−Ga−Cu系合金の粉末を前記R1−T1−X系合金バルク体の表面の少なくとも一部に塗布及び/又は散布することにより、前記R2−Ga−Cu系合金を前記R1−T1−X系合金バルク体の表面の少なくとも一部に接触させることを含む、請求項1から9のいずれかに記載のR−T−B系磁石の製造方法。
- 前記R1−T1−X系合金バルク体の前記表面上に散布及び/又は塗布される前記R2−Ga−Cu系合金の粉末の量は、前記R1−T1−X系合金バルク体100質量部に対して、0.2質量部以上0.5質量部以下である請求項11に記載のR−T−B系磁石の製造方法。
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