JP6471516B2 - 電子写真感光体製造用塗布液、電子写真感光体、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体製造用塗布液、電子写真感光体、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、少なくとも電子写真感光体製造用塗布液に関し、詳しくは耐摩耗性等の機械特性、フィルミング等の画像特性が良く、常温常湿、高温高湿下での繰り返しを含めた電気特性も良好である電子写真感光体を製造するための電子写真感光体用塗布液に関するものである。
近年の電子写真感光体は電気特性面及び機械特性面の双方について従前より耐久性が求められている。このうち機械的特性面では長期使用に対応するため、感光体最外層表面における耐摩耗性の向上が一つの課題となっている。前記耐摩耗性を改善する技術として、感光層の外面に表面保護層を形成する技術(特許文献1,2)、最外層へ無機粒子を添加する技術(特許文献3,4)、及び新規構造を有する感光層用バインダー樹脂を使用する技術(特許文献5,6)等が開示されている。このうち、無機粒子添加は最も手軽に適用できる技術ではあるが、ある程度の添加量がないとその効果が発揮されず、逆に多量に添加すると、有機化合物主体の感光層用塗布液中での無機粒子の分散状態の維持が課題となる。無機粒子の分散状態が均一でない場合、感光層用塗布膜の表面に無機粒子の凝集が発生し、濃淡ムラ、色ポチなどの画像欠陥の原因となる。このような粒子分散安定性の課題を解決する手段としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の分散剤などの添加物を含有させる方法が知られている(特許文献7)。
一方、積層型電子写真感光体の電荷輸送層あるいは単層型電子写真感光体の感光層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂が主たる成分であることが一般的である。いかなる電荷輸送物質を使用するかは、目的とするコピー機やプリンターで、どのような帯電、露光、除電等の一連のプロセス設計がなされるかといった基本的な情報をもとに、電荷輸送物質の電荷輸送能、残留電位など分子に由来する特性や電気特性的な知見を勘案して選択される。近年はトリフェニルアミン構造を有する電荷輸送物質が多用されてきているが、中でもモノトリフェニルアミン誘導体は、合成ルートがシンプルであり、原料入手が比較的しやすく、分子修飾が容易であるため、これまで多くの化合物が提案され、使用されてきた(特許文献8,9)。
特開2011−118323号公報 特開2010−224529号公報 特開平10−339962号公報 特開2008−176051号公報 特開2007−314808号公報 特開2013−101379号公報 特開2007−72487公報 特開昭63−178243号公報 特開2009−175329公報
先にも述べたように、有機溶剤中にバインダー樹脂と無機粒子とが共存している電子写真感光体製造用塗布液の場合、無機粒子が凝集しやすいため、分散安定化が一つの課題である。発明者らの検討によれば、特に粒子状珪素化合物については、塗布液中で凝集を減
少させることが困難であった。歩留まりの向上、品質の向上を目指す生産現場にとって、分散安定性の良くない塗布液を使用する場合、塗布液を均質化して使う必要があり、塗布液の均質化、及び均質化の確認作業は、感光体製造の生産性に影響を及ぼす。特許文献7に記載の分散剤を使用して無機粒子を分散する手法は、簡便で生産性への影響が少ないが、感光体の電気的特性を悪化させる問題があった。
即ち、本発明の目的は、粒子状珪素化合物を多量に含んでいても、再分散などの付加作業を伴うことなく、分散安定性に優れた、電子写真感光体製造用塗布液を提供することにある。また、均一な膜を有し、濃淡ムラ、色ポチなどの画像欠陥のない電子写真感光体を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定構造を有する電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び粒子状珪素化合物を含有することにより、得られる電子写真感光体製造用塗布液が、粒子状珪素化合物を多量に含んでいても、再分散などの付加作業を伴うことなく、分散安定性に優れることを見いだし、本発明を完成させた。即ち、本発明の要旨は、下記<1>〜<8>に存する。
<1>下記一般式(1)で表される電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び粒子状珪素化合物を含有することを特徴とする、電子写真感光体製造用塗布液。
Figure 0006471516
(一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基又は水素原子、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基を有していてもよいフェニル基又は水素原子、m〜oはそれぞれ独立に0又は1を表す。)
<2>前記粒子状珪素化合物が、有機珪素化合物による表面処理を施されていることを特徴とする、<1>に記載の電子写真感光体製造用塗布液。
<3>前記粒子状珪素化合物の含有量が、固形分中5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の電子写真感光体製造用塗布液。
<4>前記粒子状珪素化合物の一次粒径が0.01μm以上1.0μm以下であることを特徴とする、<1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真感光体製造用塗布液。
<5>前記一般式(1)中、R〜Rが水素原子、R〜Rがフェニル基であることを特徴とする、<1>〜<4>のいずれかに記載の電子写真感光体製造用塗布液。
<6>沸点が90℃以下のエーテル及び120℃以上のエーテルを含有することを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の電子写真感光体製造用塗布液。
<7>導電性基体上に、感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、前記一般式(1)で表される電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び粒子状珪素化合物を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
<8>前記一般式(1)で表される電荷輸送物質が、下記一般式(2)で表される電荷輸送物質であることを特徴とする、電子写真感光体。
Figure 0006471516
(一般式(2)中、pは0又は1を表す。)
本発明によれば、塗布液中の粒子状珪素化合物の分散安定性が良好で、塗布液安定性が良好な電子写真感光体製造用塗布液が提供できる。また、該塗布液を使用して感光体を作成することにより、常温常湿、高温高湿の繰り返しを含めた電気特性に優れ、かつフィルミング抑制及び画像欠陥抑制可能な電子写真感光体が得られる。
本発明の画像形成装置の要部構成の一例を模式的に示す図である。 D型(Y型)チタニルフタロシアニンのX線回折図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
≪電子写真感光体≫
以下に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、前記式(1)で表される電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び粒子状珪素化合物を含有する感光層を有していれば、その構成は特に限定されない。電子写真感光体の感光層が後に説明する積層型の場合には、電荷輸送層に、前記式(1)で表される電荷輸送物質、バインダー樹脂、粒子状珪素化合物、及びその他に必要に応じて酸化防止剤、レベリング剤、その他添加物を含むものである。また、電子写真感光体の感光層が、後に説明する単層型の場合には、前述の積層型感光体の電荷輸送層に用いられる成分に加えて電荷発生材料、電子輸送材料を用いるのが一般的である。
≪電子写真感光体製造用塗布液≫
電子写真感光体製造用塗布液は、前述の各層を形成するための塗布液であり、特に制限されないが、電荷輸送能及び機械特性の観点から、感光層形成用塗布液であることが好ましく、前記積層型における電荷輸送層又は保護層形成用塗布液であることがより好ましい。本発明の塗布液は、前記式(1)で表される電荷輸送物質、バインダー樹脂、粒子状珪
素化合物と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有し、それらを有機溶媒に溶解又は分散することで塗布液を作製できる。
<導電性支持体>
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。さらには、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、粗面化処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
本発明では、下引き層は必須ではないが、下引き層を設ける場合は、どのような下引き層も設けることが出来る。下引き層としては、バインダー単独でも、用いられるが、金属酸化物粒子のような無機フィラー含有することが電気特性等の面で好ましい。
金属酸化物粒子としては、塗布液の分散安定性が高いものが好ましく、具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化インジウムのようなものがあげられ、これらの中でも、n型半導体特性を示す金属酸化物粒子が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズがより好ましく、酸化チタンが特に好ましい。酸化チタンは結晶質、非晶質いずれも使用できるが、結晶質の場合、その結晶型はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれでも良いが、吸水性、表面処理の効率等の理由からアナターゼ型又はルチル型が一般的に用いられる。特に好ましくは、ルチル型のものを用いることである。
金属酸化物粒子の粒径は、塗布液への分散安定性の理由から、通常その平均粒径が100nm以下のものが好ましく、特に10〜60nmが好ましい。塗布液に用いる粒子の粒径は、均一であってもまた、異なる粒径の複合系でも良い。異なる粒径の複合系の場合、粒径の最大ピークが150nm付近にあり最小粒径が約30nmから約500nmの粒径分布を有するようなものが好ましく、例えば平均粒径が0.1μmのものと0.03μmのものを混合して用いても良い。
下引き層が含有するバインダー樹脂としては、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアクリル酸等の樹脂材料を用いることができる。なかでも、支持体の接着性に優れ、電荷発生層塗布液に用いられる溶媒に対する溶解性の小さなポリアミド樹脂が好ましい。その中でも取扱いの面でも優れるアルコール系溶剤にも使用可能なポリアミドがより好ましい。そのようなポリアミドの例としては、ナガセケムテックス社製のトレジンF−30K、MF−30、EF−30T、(株)鉛市社製のファインレックスFR−101、FR−104、FR−105、FR−301などのメトキシメチル化ナイロン樹脂、(株)T&K TOKA社製のPA−100、PA−100A、PA−102A、PA−105A、PA−200,PA−201などの重合脂肪酸系ポリアミド、(株)T&K TOKA社製のTPAE−12
、TPAE−32などの重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体などが挙げられる。
金属酸化物粒子とバインダー樹脂の比率は、任意に選ぶことができるが、液の安定性、塗布性、及び電気特性面からバインダー樹脂1質量部に対して0.5質量部から8質量部
の範囲が好ましく、さらには2質量部から5質量部の範囲がより好ましい。
下引き層の膜厚は、薄すぎると局所的な帯電不良に対する効果が充分でなく、また逆に厚すぎると残留電位の上昇、あるいは導電性基体と感光層との間の接着強度の低下の原因となる。本発明は下引き層の膜厚は0.1〜20μmで、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは、3〜6μmで使用されることが好ましい。下引き層の体積抵抗値は、通常1×1011Ω・cm以上、好ましくは1×1012Ω・cm以上であって、通常1×1014Ω・cm以下、好ましくは1×1013Ω・cm以下である。
金属酸化物粒子とバインダー樹脂を含有する下引き塗布液を得るには、遊星ミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライター、超音波などの粉砕又は分散処理装置で処理された金属酸化物粒子のスラリーに、バインダー樹脂又は、バインダー樹脂を適当な溶媒に溶かした溶解液を混合し、溶解及び攪拌処理を行えばよい。逆に、バインダー樹脂溶解液に金属酸化物粒子を添加し、上記のような分散装置で、粉砕又は分散処理を行う事によってもよい。
<電荷発生層>
電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質として無金属フタロシアニン化合物、金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られ、またモノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光、例えば450nm、400nm近辺の波長を有するレーザーに対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン
、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好ましい。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及びCuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.1゜、27.2、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等がより好ましく、感度及び電気特性の安定性の観点から、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さず、かつ示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外は、50℃から400℃まで温度変化のピークを有しないD型(Y型)チタニルフタロシアニンが、さらに好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、各種ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層は、具体的に例えば、上述のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、
電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲であり、その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがある一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招くおそれがある。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法、ビーズミル分散等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送層>
本発明の電荷輸送層は、電荷輸送物質等とバインダー樹脂と粒子状珪素化合物とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、電荷発生層上に塗布、乾燥して得ることができる。生産性、耐摩耗性の観点から、電荷輸送層は単一の電荷輸送層からなり、最外層であることが好ましい。電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、電気特性、画像安定性の観点、さらには高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上である。通常50μm以下、好ましくは35μm以下、より好ましくは25μm以下である。
電荷輸送層に、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるため、又は感光層の機械的強度をさらに向上させるために、周知の可塑剤、滑剤、分散補助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、増感剤、レベリング剤、安定剤、流動性付与剤、架橋剤等の添加物を含有させてもよい。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられ、レベリング剤としては、シリコーンオイルやフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
[粒子状珪素化合物]
粒子状珪素化合物としては、窒化珪素、炭化珪素、二酸化珪素などが挙げられ、感光体電気特性の観点から、二酸化珪素(シリカ粒子)が好ましい。シリカ粒子は、気相法又は液相法によって製造される。シリカ粒子表面が、反応性珪素化合物により表面修飾されたものが好ましい。
前記粒子状珪素化合物の平均一次粒子径は、塗布液安定性の観点から、通常1.0μm以下であり、0.9μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましい。一方、耐摩耗性の観点から、通常0.01μm以上である。また、耐フィルミング性の観点から、0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましく、0.4μm以上が特に好ましい。平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で把握することができる。
前記粒子状珪素化合物の含有量は、通常固形分中5質量%以上である。耐フィルミングの観点から、6質量%以上が好ましい。一方、通常30質量%以下である。分散性及び電気特性の観点から、15質量%以下が好ましい。
前記粒子状珪素化合物は、反応性有機珪素化合物で表面処理されていることが好ましい。表面処理は、乾式法及び湿式法で製造することができる。乾式法では、表面処理剤を、
金属酸化物粒子と混合することによって金属酸化物粒子に被覆させ、必要に応じて加熱処理を行うことで製造できる。湿式法では、金属酸化物粒子と、適当な溶媒に本発明の表面処理剤を混合したものを、均一に付着されるまでよく攪拌するか、メディアによって混合し、その後乾燥し、必要に応じて加熱処理を行うことで製造することができる。
反応性有機珪素化合物としては、シランカップリング剤、シラン処理剤、シロキサン化合物等が挙げられるが、粒子状有機珪素化合物に対する反応性、また、未反応部位が残りやすい反応性凝集粒子の生成を抑制する観点から、シラン処理剤が好ましい。シラン処理剤の中でも、炭素数が1〜3のアルキル基を有するシラン処理剤が好ましい。そのようなシラン処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
表面処理後の粒子状珪素化合物は、殆どが反応性珪素化合物により処理されるものの、水酸基が残存する場合がある。その存在の有無は、赤外分光法によるシリカ粒子表面のシラノール水酸基に帰属する吸収ピークで判断できる。処理による水酸基の残存は、その残存比率が高いほど湿度変化による感光体電気特性の変動が大きくなるため、シラノール水酸基の吸収ピークが処理前の10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
粒子状珪素化合物の真球度は、耐クラックの観点から、通常0.95以上、好ましくは0.96以上、より好ましくは0.98以上である。真球度が大きいほど、シリカの表面積が小さく、クラックの原因となる界面が少なくなるため、クラックが発生しにくくなる。
粒子状珪素化合物の密度は、耐クラックの観点から、通常1.5g/cm以上、好ましくは1.8g/cm以上、より好ましくは2.0g/cm以上である。また、耐クラックの観点から、通常3.0g/cm以下、好ましくは2.8g/cm以下、より好ましくは2.5g/cm以下である。
[電荷輸送物質]
本発明で使用される電荷輸送物質は、一般式(1)に示される置換基を有するモノトリフェニルアミン化合物である。
Figure 0006471516
(一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基又は水素原子、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基を有していてもよいフェニル基又は水素原子、m〜oはそれぞ
れ独立に0又は1を表す。)
具体的には、R〜Rにおいて、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基、ターシャリーブチル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。分散性の観点から、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。電気特性の観点から、m〜oは0が好ましい。
〜Rにおいて、アルキル基を有していてもよいフェニル基のアルキル基はR〜Rで挙げたものを適用できる。
一般式(1)中、R〜Rにおけるアルキル基、及びR〜Rにおけるアルキル基を有していてもよいフェニル基のアルキル基の置換位置については、電気的特性の面から、トリフェニルアミンのフェニル環が結合する窒素原子に対し、パラ位又はオルト位に位置することが好ましい。
一般式(1)で示される電荷輸送物質の中でも、分散性及び電気特性の観点から一般式(2)で表される電荷輸送物質が好ましい。
Figure 0006471516
(一般式(2)中、pは0又は1を表す。)
本発明においては、電荷輸送物質として、一般式(1)で示される電荷輸送物質を単独で使用しても良いし、それを他の電荷輸送物質と併用して使用することも可能である。以下に好適な電荷輸送物質の構造を例示する。以下に示す構造は本発明をより具体的にするために例示するものであり、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
Figure 0006471516
一般式(1)に示される置換基を有するモノトリフェニルアミン化合物100質量部に対し、粒子状珪素化合物は、通常1質量部以上、耐摩耗性の観点から、好ましくは5質量部以上である。また、通常100質量部以下、帯電性、表面電位、分散性の観点から、好ましくは50質量部以下である。
[バインダー樹脂]
上述の電荷輸送物質が、バインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等が挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。前記バインダー樹脂のうち、感光体の電気的特性の観点からポリカーボネート
樹脂、又はポリアリレート樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は単独でも、複数を混合して用いてもよい。
バインダー樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常20,000以上、好ましくは30,000以上、さらに好ましくは40,000以上であり、通常200,000以下、好ましくは100,000以下、さらに好ましくは、80,000以下である。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
Figure 0006471516
バインダー樹脂と前記電荷輸送物質との割合は、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から、バインダー樹脂100質量部に対して、通常30質量部以上の比率で使用し、40質量部以上が好ましい。一方、感光層の熱安定性、耐摩耗性の観点から、通常150質量部以下の比率で使用し、電荷輸送物質とバインダー樹脂との相溶性の観点から120質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。
[有機溶媒]
電荷輸送層形成用塗布液に用いる有機溶媒は、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が使用できる。この中でも、ブラッシングを抑制する観点から、沸点が90℃以下のエーテルを主成分として、更に沸点が120℃以上のエーテルを5質量%〜50質量%を含有することが好ましい。沸点が90℃以下のエーテルとしては、耐ブラッシングの面及び安全性の面から、沸点が50℃以上のエーテルが好ましく、60℃以上がより好ましい。そのようなエーテルとしては、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキソラン、メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられるが、バインダー樹脂の溶解性の面等で、環状エーテルが好ましく、テトラヒドロフランが特に好ましい。沸点が90℃以下のエーテルは全有機溶媒中に50質量%以上であるが、塗布膜の乾燥速度の面から60質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましい。一方、耐ブッラシングの面から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。沸点が120℃以上のエーテルとしては、乾燥速度及び残留溶媒の面から、沸点が200℃以下のエーテルが好ましく、170℃以下がより好ましい。そのようなエーテルとしては、ジエトキシエタン、アニソール、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン等が挙げられるが、芳香族エーテルが好ましく、アニソールが特に好ましい。沸点が120℃以上のエーテルは、全有機溶媒中、耐ブラッシングの面から、10質量%以上が好ましく、15%以上がより好ましい。一方、塗布膜の乾燥速度の面から30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。沸点が90℃以下のエーテルと沸点が120℃以上のエーテルの他に、バインダー樹脂の析出がない範囲で、任意の有機溶媒を混合することが出来る。そのような有機溶媒としては、沸点が90℃以上で120℃以下のエーテル、メチルエチルケトン等のケトン、炭素数が4以上のアルコール等が挙げられる。有機溶媒は、塗布液全体に対して、60〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましく、75〜85質量%が特に好ましい。
<各層の形成方法>
感光体を構成する各層は、各層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を
任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
≪画像形成装置≫
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、さらに、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下、感光体カートリッジということがある)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。さらに、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDな
どが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができるが、本発明では、ブレードクリーナーの場合に効果が発揮しやすい。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除
電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。また、画像形成装置はさらに変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、さらには複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、「質量部」を表す。
<電荷輸送層形成用塗布液の製造>
[塗布液T1]
ジメチルジクロロシランで表面処理された平均一次粒子経12nmの酸化珪素(日本アエロジル株式会社製、製品名 R9200)をテトラヒドロフラン溶媒で3時間超音波分散を行い、酸化珪素スラリーを得た。一方、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(Mv4万)、下記構造の電荷輸送物質(1)−5及び、酸化防止剤(BASF社製、製品名Irg1076)と、シリコーンオイル(信越シリコーン社製 製品名KF−96)とをテトラヒドロフラン溶媒で加熱溶解したものを準備しておき、室温で、上記で作成した酸化珪素スラリーが静置状態で液面分離していない状態で混合し、最終的にバインダー樹脂/電荷輸送物質/酸化珪素/酸化防止剤/シリコーンオイルの質量比が100/50/10/4/0.05、固形分濃度18%の電荷輸送層形成用塗布液を作成した。なお、塗布液は目視での均質状態を確認し、密閉状態で常温静置保管した。
Figure 0006471516
[塗布液T2〜6]
塗布液T1製造で使用した電荷輸送物質(1)−5の代わりに、電荷輸送物質(2)−R〜(6)−Rを使用し、塗布液T1と同様に、電荷輸送層形成用塗布液(塗布液T2〜6)を得た。
Figure 0006471516
Figure 0006471516
<塗布液の安定性テスト>
各塗布液の製造後10日間静置保管後の各塗布液の目視確認及び、その透過率を測定した。透過率測定に際しては、各塗布液は常温静置状態で密閉保管されたものについて、塗布液保管容器内液高の3/4の位置及び、塗布液保管容器液底面位置からサンプリングし、それぞれの透過率を測定した。なお、透過率測定は、島津ダブルビーム式可視紫外分光光度計(UV−1650PC)にて、溶液セル光路長10mm、参照側セルには市販特級THFを使用し、試料側セルに測定する塗布液サンプルを入れて測定を行った結果を表−1に示す。
Figure 0006471516
本発明の塗布液は目視では一様である一方で、本発明範囲外の塗布液は目視でシリカ粒子の沈降によると見られる不均一さが見られた。塗布液上面と底面の透過率差が小さいほど均一に分散されていることを示すと考えることができ、上記の測定結果は目視での結果を裏付けるものである。本発明に包含される電子写真感光体用塗布液は、液の分散安定性が良く、無機粒子の沈降が起こりにくいことが分かる。そのため、本発明の塗布液は、均質化のための労力と時間、均質化の確認のための労力と時間を減じることが出来る点で、生産性の面からのメリットを有する。該塗布液を用いて感光層を形成することで、常温常湿、高温高湿の繰り返しを含めた電気特性に優れ、かつフィルミング抑制及び画像欠陥抑制可能な電子写真感光体が得られる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び有機珪素化合物によ
    る表面処理が施されている粒子状珪素化合物を含有することを特徴とする、電子写真感光
    体製造用塗布液。
    Figure 0006471516
    (一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基又は水素原子、R〜R
    それぞれ独立にアルキル基を有していてもよいフェニル基又は水素原子、m〜oはそれぞ
    れ独立に0又は1を表す。)
  2. 前記粒子状珪素化合物の含有量が、固形分中5質量%以上15質量%以下であることを
    特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体製造用塗布液。
  3. 前記粒子状珪素化合物の一次粒径が0.01μm以上1.0μm以下であることを特徴
    とする、請求項1又は2に記載の電子写真感光体製造用塗布液。
  4. 前記一般式(1)中、R〜Rが水素原子、R〜Rがフェニル基であることを特
    徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体製造用塗布液。
  5. 沸点が90℃以下のエーテル及び120℃以上のエーテルを含有することを特徴とする
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体製造用塗布液。
  6. 前記一般式(1)で表される電荷輸送物質が、下記一般式(2)で表される電荷輸送物
    質であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体製造用
    塗布液。
    Figure 0006471516
    (一般式(2)中、pは0又は1を表す。)
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