以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「アノード」とは、燃料ガスが供給される側の電極である燃料極を指し、「カソード」とは、酸化ガスが供給される側の電極である空気極を指す。また、以下の説明では、燃料ガスの一例として、燃料として用いられるガスであって、水素や炭化水素などを含むガスが採用されている。また、以下の説明では、酸化ガスの一例として、空気が採用されている。
また、以下の説明において、「一致」とは、許容される範囲内の誤差を含めた意味合いでの一致を指す。また、以下の説明において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
一例として図1に示すように、燃料電池システム10は、燃料電池システム本体部12と、本発明に係る燃料電池システム用保守装置の一例である制御装置14と、を備えている。
燃料電池システム本体部12は、気化器16、改質器18、燃焼器20、前段燃料電池スタック22、後段燃料電池スタック24、タンク26、ポンプ28、ブロア30,32、燃料再生器34、及び空冷装置36を備えている。なお、以下では、説明の便宜上、前段燃料電池スタック22及び後段燃料電池スタック24を区別して説明する必要がない場合、符号を付さずに「燃料電池スタック」と称する。
また、燃料電池システム本体部12は、第1熱交換部38、第2熱交換部40、第3熱交換部42、及び第4熱交換部44を備えている。また、燃料電池システム本体部12は、圧力センサ56,58,60,62、流量センサ63,64,66、電圧センサ68,70、温度センサ72,74,76,78,80,82,84,86、及びガス漏れセンサ87を備えている。更に、燃料電池システム本体部12は、電磁弁88,90,91を備えている。
前段燃料電池スタック22は、カソード22A及びアノード22Bを備えている。後段燃料電池スタック24は、カソード24A及びアノード24Bを備えている。
燃料再生器34は、流入部50と透過部52とを備えており、流入部50及び透過部52は、分離膜92により区画されている。
気化器16には、原料ガスが流れる管である原料ガス管P1の一端が接続されており、ブロア30には、原料ガス管P1の他端が接続されている。ブロア30は、原料ガス管P1を介して原料ガスを気化器16に送出することで、気化器16に原料ガスを供給する。
また、気化器16には、水が流れる管である水供給管P2の一端が接続されており、タンク26には、水供給管P2の他端が接続されている。タンク26には、水が貯留されている。
ポンプ28は、水供給管P2を介して、タンク26から水を汲み上げる。そして、ポンプ28は、汲み上げた水を、水供給管P2を介して気化器16に送出することで、気化器16に水を供給する。
気化器16は、水供給管P2から供給された水を気化させる。気化には、燃焼器20等の熱が用いられる。なお、本実施形態では、原料ガスの一例としてメタンが採用されているが、改質が可能なガスであれば特に限定されず、炭化水素燃料を用いることができる。炭化水素燃料としては、天然ガス、LPガス(液化石油ガス)、石炭改質ガス、低級炭化水素ガスなどが例示される。低級炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、又はブタン等の炭素数4以下の低級炭化水素が挙げられ、本実施形態で用いるメタンが好ましい。なお、炭化水素燃料としては、上述した低級炭化水素ガスを混合したものであってもよく、上述した低級炭化水素ガスは、天然ガス、都市ガス、又はLPガス、バイオガス等のガスであってもよい。
気化器16は、配管P3を介して原料ガス及び水蒸気を改質器18に送出することで、改質器18に原料ガス及び水蒸気を供給する。
改質器18は、燃焼器20、前段燃料電池スタック22、及び後段燃料電池スタック24に隣接しており、燃焼器20、前段燃料電池スタック22、及び後段燃料電池スタック24との間で熱交換を行うことで加熱しても良い。
改質器18は、原料ガスを改質し、水素を含む600℃程度の温度の燃料ガスを生成する。改質器18は、アノード22Bと接続されている。改質器18で生成された燃料ガスは、燃料ガス管P4を介してアノード22Bに供給される。
前段燃料電池スタック22は固体酸化物形の燃料電池スタックであり、積層された複数の燃料電池セルを有している。前段燃料電池スタック22の作動温度は、500℃程度以上とされている。個々の燃料電池セルは、電解質層と、電解質層の表裏面にそれぞれ積層されたカソード22A及びアノード22Bと、を有する。図1に示す例では、複数の燃料電池セルの個々のカソードをまとめて「カソード22A」として図示されており、複数の燃料電池セルの個々のアノードをまとめて「アノード22B」として図示されている。
カソード22Aには、酸化ガスが流れる管である酸化ガス管P5の一端が接続されている。カソード22Aには、酸化ガス管P5を介して酸化ガスが供給される。カソード22Aでは、下記(1)式に示すように、酸化ガス中の酸素と電子とが反応して酸素イオンが生成される。生成された酸素イオンは電解質層を通ってアノード22Bに到達する。
(空気極反応)1/2O2+2e−→O2− …(1)
一方、アノード22Bでは、下記(2)式及び(3)式に示すように、電解質層を通ってきた酸素イオンが燃料ガス中の水素及び一酸化炭素と反応し、水(水蒸気)、二酸化炭素、及び電子が生成される。アノード22Bで生成された電子がアノード22Bから外部回路を通ってカソード22Aに移動することで、各燃料電池セルにおいて発電される。また、各燃料電池セルは、発電時に発熱する。
(燃料極反応)H2+O2−→H2O+2e− …(2)
CO+O2−→CO2+2e− …(3)
アノード22Bには、アノードオフガスが流れる管であるアノードオフガス管P6の一端が接続されており、アノードオフガス管P6には、アノード22Bからアノードオフガスが排出される。アノードオフガスには、未反応の水素、未反応の一酸化炭素、二酸化炭素、及び水蒸気等が含まれている。
なお、燃料電池は、固体酸化物形の燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)に限定されるものではなく、アノードオフガスに二酸化炭素及び水素の少なくとも一方が含まれる他の燃料電池、例えば溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
カソード22Aには、カソードオフガスが流れる管であるカソードオフガス管P13の一端が接続されており、カソードオフガス管P13には、カソード22Aからカソードオフガスが排出される。
アノードオフガス管P6の他端は、第4熱交換部44及び第1熱交換部38を経て流入部50に接続されている。
アノード22Bから排出されたアノードオフがスは、流入部50に流入し、燃料再生器34は、流入部50に流入されたアノードオフガスから二酸化炭素及び水蒸気を分離する。
透過部52は、酸化ガス管P5の分岐部B2よりも上流側にて酸化ガス管P5の途中に介在している。ブロア32には、酸化ガス管P5の他端が接続されている。ブロア32は、常温の酸化ガスを酸化ガス管P2に送出することで、酸化ガスを透過部52へスイープガスとして供給する。
分離膜92は、二酸化炭素、または水蒸気の少なくとも一方を透過する機能を有する。
透過部52では、酸化ガス管P5から供給された酸化ガスが、スイープガスとして透過部52へ流入する。これにより、透過部52における二酸化炭素の分圧が下がり、流入部50から分離膜92を透過して二酸化炭素などが透過部52へ移動し易くなる。酸化ガスは、二酸化炭素、水蒸気、及び、その他分離膜92を透過したアノードオフガス中の気体と共に、透過部排出ガスとして透過部52から送出される。透過部52から送出された透過部排出ガスは、酸化ガス管P5を介して酸素を含む酸化ガスとしてカソード22Aに供給される。
アノードオフガスは、分離膜92で二酸化炭素や水蒸気が分離されることにより二酸化炭素や水蒸気の濃度が低減されて、再生燃料ガスとなって、流入部50から送出される。再生燃料ガスが流れる管である再生燃料ガス管P7−1の一端は、流入部50の排出口に接続されており、再生燃料ガス管P7−1の他端は、空冷装置36に接続されている。従って、流入部50から送出された再生燃料ガスは、再生燃料ガス管P7−1を介して空冷装置36に供給される。
空冷装置36は、流入部50から供給された再生燃料ガスを冷却する。再生燃料ガスが流れる管である再生燃料ガス管P7−2の一端は、空冷装置36の排出口に接続されており、再生燃料ガス管P7−2の他端は、水が溜められた状態のタンク26に挿入されている。
空冷装置36は、冷却した再生燃料ガスを再生燃料ガス管P7−2に送出することで、タンク26に供給する。タンク26には、空冷装置36での冷却動作によって凝縮されて得られた水が排出され、タンク26に溜められる。
後段燃料電池スタック24についての基本構成は、前段燃料電池スタック22と同様であり、後段燃料電池スタック24は、カソード22Aに対応するカソード24Aと、アノード22Bに対応するアノード24Bと、を有する。
再生燃料ガスが流れる管である再生燃料ガス管P8の一端は、タンク26内の水に触れない状態でタンク26内に挿し込まれており、再生燃料ガス管P8の他端は、アノード24Bに接続されている。カソード24Aには、カソードオフガス管P13の他端が接続されており、カソード22Aからカソードオフガス管P13を介して排出されたカソードオフガスがカソード22Aに供給される。従って、後段燃料電池スタック24においても、前段燃料電池スタック22と同様の反応により、各燃料電池セルで発電され、各燃料電池セルは、発電時に発熱する。
このように、燃料電池システム10では、先ず、前段燃料電池スタック22での発電に供する燃料として燃料ガスが前段燃料電池スタック22によって使用され、これにより、前段燃料電池スタック22で発電される。次に、前段燃料電池スタック22によって燃料ガスが使用された後に前段燃料電池スタック22から排出されたアノードオフガスが燃料再生器34によって再生燃料ガスとして再生される。そして、再生燃料ガスが燃料として後段燃料電池スタック24で使用され、これにより、後段燃料電池スタック24で発電される。
配管P9の一端は、カソード24Aに接続されており、配管P9の他端は、燃焼器20に接続されている。従って、カソード24Aから排出された使用済みのガスは、配管P9に送出されることで燃焼器20に供給される。
配管P10の一端は、アノード24Bに接続されており、配管P10の他端は、燃焼器20に接続されている。従って、アノード24Bから排出された使用済みのガスは、配管P10に送出されることで燃焼器20に供給される。
燃焼器20は、カソード24A及びアノード24Bから供給された使用済みのガスを焼却に供する。
配管P11の一端は、燃焼器20に接続されている。配管P11の途中箇所は気化器16に配置されており、気化器16では、配管P11の熱により水が気化される。配管P11の他端は、気化器16から気化器16の外部へ突出している。燃焼器20から排出されたガスである燃焼排ガスは、配管P11に送出されることで、気化器16を介して外部に排出される。
第1熱交換部38は、アノードオフガス管P6の途中の箇所である途中箇所P6A、及び酸化ガス管P5の途中の箇所である途中箇所P5Aに設けられている。途中箇所P6Aとは、アノードオフガス管P6について合流部I1の下流側、かつ、流入部50の上流側の箇所を指す。途中箇所P5Aとは、酸化ガス管P5について分岐部B2の下流側、かつ、透過部52の上流側の箇所を指す。
第1熱交換部38では、アノードオフガス管P6に流れるアノードオフガスと酸化ガス管P5を流れる酸化ガスとの間で熱交換が行われる。アノードオフガスは、アノード22Bから送出された後、後述する第4熱交換部44での熱交換により、アノード22Bからの送出時よりも温度が低くなっている。
第2熱交換部40は、酸化ガス管P5の途中の箇所である途中箇所P5B、及び配管P11の途中の箇所である途中箇所P11Aに設けられている。途中箇所P5Bとは、酸化ガス管P5について分岐部B2よりも上流側で、かつ、途中箇所P5Aよりも下流側の箇所を指す。途中箇所P11Aとは、配管P11について燃焼器20から気化器16までの間の箇所を指す。第2熱交換部40では、酸化ガス管P5を流れる酸化ガスと配管P11を流れる燃焼排ガスとの間で熱交換が行われる。
第3熱交換部42は、酸化ガス管P5の途中の箇所である途中箇所P5C、及び配管P11の途中の箇所である途中箇所P11Bに設けられている。途中箇所P5Cとは、酸化ガス管P5について透過部52よりも上流側で、かつ、ブロア32よりも下流側の箇所を指す。途中箇所P11Bとは、配管P11について気化器16よりも上流側で、かつ、途中箇所11Aよりも下流側の箇所を指す。第3熱交換部42では、酸化ガス管P5を流れる酸化ガスと配管P11を流れる燃焼排ガスとの間で熱交換が行われる。
第4熱交換部44は、アノードオフガス管P6の途中の箇所である途中箇所P6B、及び再生燃料ガス管P8の途中の箇所である途中箇所P8Aに設けられている。途中箇所P6Bとは、アノードオフガス管P6について途中箇所P6Aよりも上流側で、かつ、アノード22Bよりも下流側の箇所を指す。途中箇所P8Aとは、再生燃料ガス管P8についてアノード24Bよりも上流側で、かつ、タンク26よりも下流側の箇所を指す。第4熱交換部44では、アノードオフガス管P6を流れるアノードオフガスと再生燃料ガス管P8を流れる再生燃料ガスとの間で熱交換が行われる。
アノードオフガスが流れるバイパス用の管であるバイパス管P12の一端は、アノードオフガス管P6の途中の箇所である途中箇所P6Cに接続されており、バイパス管P12の他端は、再生燃料ガス管P8の途中の箇所である途中箇所P8Bに接続されている。ここで、途中箇所P6Cとは、流入部50よりも上流側で、かつ、アノードオフガス管P6について途中箇所P6Aよりも下流側の箇所を指す。途中箇所P8Bとは、再生燃料ガス管P8について途中箇所P8Aよりも上流側で、かつ、タンク26よりも下流側の箇所を指す。
電磁弁88は、バイパス管P12に設けられている。電磁弁90は、アノードオフガス管P6に対して、流入部50よりも上流側で、かつ、途中箇所P6Cよりも下流側に設けられている。電磁弁91は、再生燃料ガス管P8に対して、途中箇所P8Bよりも上流側に設けられている。電磁弁88は、制御装置14の制御下で、バイパス管P12を開閉する。電磁弁90は、制御装置14の制御下で、アノードオフガス管P6を開閉する。電磁弁91は、制御装置14の制御下で、再生燃料ガス管P8を開閉する。
圧力センサ56は、原料ガス管P1に設けられており、原料ガス管P1での原料ガスの圧力を検出する。圧力センサ58は、酸化ガス管P5に対して、途中箇所P5Cよりも上流側で、かつ、ブロア32よりも下流側に設けられており、酸化ガス管P5での酸化ガスの圧力を検出する。圧力センサ60は、酸化ガス管P5に対して、透過部52よりも上流側で、かつ、途中箇所P5Cよりも下流側に設けられており、酸化ガス管P5での酸化ガスの圧力を検出する。圧力センサ62は、アノード22Bとアノード24Bの間に設けられており、一例として、再生燃料ガス管P8に対して、途中箇所P8Bよりも上流側で、かつ、タンク26よりも下流側に設けられており、再生燃料ガス管P8での再生燃料ガスの圧力を検出する。
流量センサ63は、水供給管P2に対して、気化器16よりも上流側で、かつ、ポンプ28よりも下流側に設けられており、気化器16に流入する水の流量を検出する。流量センサ64は、原料ガス管P1に対して、気化器16よりも上流側で、かつ、圧力センサ56よりも下流側に設けられており、原料ガス管P1での原料ガスの流量を検出する。流量センサ66は、酸化ガス管P5に対して、途中箇所P5Cよりも上流側で、かつ、圧力センサ58よりも下流側に設けられており、酸化ガス管P5での酸化ガスの流量を検出する。
電圧センサ68は、カソード22Aとアノード22Bとの間に設けられており、カソード22A及びアノード22Bにおける電圧を検出する。電圧センサ70は、カソード24Aとアノード24Bとの間に設けられており、カソード24A及びアノード24Bにおける電圧を検出する。
温度センサ72は、前段燃料電池スタック22に設けられており、前段燃料電池スタック22での温度を検出する。温度センサ74は、後段燃料電池スタック24に設けられており、カソード24A及びアノード24Bの周辺の空間の温度を検出する。温度センサ76は、燃焼器20に設けられており、燃焼器20での燃焼温度を検出する。温度センサ78は、気化器16に設けられており、気化器16での温度を検出する。温度センサ80は、改質器18に設けられており、改質器18での温度を検出する。温度センサ82は、再生燃料ガス管P7−1に設けられており、再生燃料ガス管P7−1に流れる再生燃料ガスの温度を検出する。温度センサ84は、水供給管P2に対して、気化器16よりも上流側で、かつ、流量センサ63よりも下流側に設けられており、気化器16に流入する水の温度を検出する。温度センサ86は、配管P11に対して、気化器16よりも下流側(配管P11の他端側)に設けられており、燃焼排ガスの温度を検出する。
ガス漏れセンサ87は、燃料再生器34から外部に漏れ出たガスである漏出ガスを検出する。漏出ガスとは、例えば、再生燃料ガスに含まれるガス、及びアノードオフガスに含まれるガスを指す。なお、本実施形態において、ガス漏れセンサ87は、再生燃料ガスに含まれるガス、及びアノードオフガスに含まれるガスの各々について、基準値以上の濃度を検出することで漏出ガスを検出する。
一例として図2に示すように、制御装置14は、主制御部100、受付インタフェース(I/F)102、受付デバイス104、表示制御部106、ディスプレイ108、バスライン110、及び通信I/F112を含む。
主制御部100、受付I/F102、表示制御部106、及び通信I/F112の各々は、バスライン110に接続されている。従って、主制御部100は、受付I/F102及び表示制御部106の各々との間で各種情報の授受を行う。
受付デバイス104は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等を有しており、ユーザによる各種指示を受け付ける。受付デバイス104は、受付I/F102に接続されており、受け付けた指示の内容を示す指示内容信号を受付I/F102に出力する。主制御部100は、受付I/F102から入力された指示内容信号に応じた処理を実行する。
ディスプレイ108は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又はOELD(Organic Electroluminescence Display)等である。ディスプレイ108は、表示制御部106に接続されている。表示制御部106は、主制御部100の制御下で、ディスプレイ108を制御することにより、メニュー画面等の各種画面を表示する。
通信I/F112は、燃料電池システム本体部12の電気系と接続されており、主制御部100の制御下で動作し、主制御部100と燃料電池システム本体部12の電気系との間での各種情報の送受信を司る。
燃料電池システム本体部12は、検出部113、ブロア駆動回路130、ポンプ駆動回路132、回転数検出部134、ブロア群136、電磁弁駆動回路137、及び電磁弁群139を含む。
検出部113は、複数の因子を検出可能な複数のセンサの集合である。ここで、複数の因子とは、燃料電池システム本体部12で発生する複数の異常状態の各々の発生を各々特定可能な複数の因子を指す。また、「複数の異常状態」とは、燃料電池システム本体部12に対して影響を及ぼす影響度別に分類された複数の異常状態を指す。「影響」とは、例えば、燃料電池システム本体部12の安全性に対する影響、及び燃料電池システム本体部12の運転に対する影響等のうちの少なくとも1つを指す。ここで言う「燃料電池システム本体部12の運転」とは、設計通りの発電効率が実現可能な運転を指す。
ここで、「燃料電池システム本体部12の運転」に対する影響度を「大」と「小」とで表現すると、影響度「大」とは、例えば、発電効率が予め設定された閾値未満になる影響度を意味する。影響度「小」とは、例えば、発電効率が予め設定された閾値以上であるものの、発電効率の標準範囲として予め設定された範囲の下限値未満になる影響度を意味する。また、影響度「小」であったとしても、影響度は、発電効率が予め設定された閾値に近付くに従って徐々に大きくなる。
なお、以下では、説明の便宜上、上述した複数の異常状態を、「燃料電池システム本体部12での複数の異常状態」又は「複数の異常状態」と称する。
検出部113は、電圧センサ群113A、温度センサ群113B、流量センサ群113C、圧力センサ群113D、及びガス漏れセンサ87を含む。
電圧センサ群113Aとは、少なくとも電圧センサ68,70を含む複数の電圧センサの集合を指す。温度センサ群113Bとは、少なくとも温度センサ72,74,76,78,80,82,84,86を含む複数の温度センサの集合を指す。流量センサ群113Cとは、少なくとも流量センサ63,64,66を含む複数の流量センサの集合を指す。圧力センサ群113Dとは、少なくとも圧力センサ56,58,60,62を含む複数の圧力センサの集合を指す。
なお、電圧センサ群113Dによって検出される圧力は、本発明に係る因子の一例である。また、温度センサ群113Bによって検出される温度も、本発明に係る因子の一例である。また、流量センサ群113Cによって検出される流量も、本発明に係る因子の一例である。また、圧力センサ群113Dによって検出される圧力も、本発明に係る因子の一例である。更に、ガス漏れセンサ87によって検出される漏出ガスも、本発明に係る因子の一例である。
電圧センサ群113A、温度センサ群113B、流量センサ群113C、圧力センサ群113D、及びガス漏れセンサ87は、通信I/F112に接続されている。主制御部100は、電圧情報、温度情報、流量情報、圧力情報、及びガス漏れ情報を取得する。
ここで、電圧情報とは、電圧センサ群113Aによる検出結果を示す情報を指す。電圧情報は、電圧センサ68により検出された電圧を示す第1電圧情報と、電圧センサ70により検出された電圧を示す第2電圧情報とに大別される。
温度情報とは、温度センサ群113Bによる検出結果を指す。温度情報は、第1〜第8温度情報に大別される。第1温度情報とは、温度センサ72により検出された温度を示す情報を指す。第2温度情報とは、温度センサ74により検出された温度を示す情報を指す。第3温度情報とは、温度センサ76により検出された温度を示す情報を指す。第4温度情報とは、温度センサ78により検出された温度を示す情報を指す。第5温度情報とは、温度センサ80により検出された温度を示す情報を指す。第6温度情報とは、温度センサ82により検出された温度を示す情報を指す。第7温度情報とは、温度センサ84により検出された温度を示す情報を指す。第8温度情報とは、温度センサ86により検出された温度を示す情報を指す。
流量情報とは、流量センサ群113Cによる検出結果を示す情報を指す。流量情報は、流量センサ64により検出された流量を示す第1流量情報と、流量センサ66により検出された流量を示す第2流量情報と、流量センサ63により検出された流量を示す第3流量情報とに大別される。
圧力情報とは、圧力センサ群113Dによる検出結果を示す情報を指す。圧力情報は、第1〜第4圧力情報に大別される。第1圧力情報とは、圧力センサ56により検出された圧力を示す情報を指す。第2圧力情報とは、圧力センサ58により検出された圧力を示す情報を指す。第3圧力情報とは、圧力センサ60により検出された圧力を示す情報を指す。第4圧力情報とは、圧力センサ62により検出された圧力を示す情報を指す。
ガス漏れ情報は、ガス漏れセンサ87により漏出ガスが検出されたか否かを示す情報である。
ブロア群136は、燃料電池システム本体部12で用いられ、ブロア30,32を含む複数のブロアの集合である。ブロア駆動回路130は、通信I/F112及びブロア群136に接続されており、主制御部100からの指示に従って、ブロア群136を制御する。
ポンプ駆動回路132は、通信I/F112及びポンプ28に接続されており、主制御部100からの指示に従って、ポンプ28を制御する。
回転数検出部134は、ポンプ28の回転数を検出し、検出した回転数を示す回転数情報を出力する。回転数検出部134の一例としては、ロータリエンコーダが挙げられる。回転数検出部134は、通信I/F112に接続されている。主制御部100は、通信I/F112を介して回転数検出部134から回転数情報を取得する。なお、本実施形態では、ポンプ28の回転数の単位の一例として、rpm(revolution per minute)が採用されているが、この単位は、あくまでも一例に過ぎない。
また、ここでは、回転数検出部134により回転数が直接検出される手法を例示したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポンプに回転数を指令する電圧値などの値から回転数が算出されてもよい。また、ここでは、ポンプ28の回転数を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、ポンプ28の回転数に代えて、流量センサ63によって計測された水の流量を用いても成立する。例えば、後述するポンプ異常状態が発生したか否かの判定とポンプ対応処理とのうちの少なくとも一方は、流量センサ63によって計測された水の流量に基づいて行われてもよい。主制御部100は、流量センサ63による計測結果を用いることで、ポンプ28の回転数を用いる場合に比べ、水量を容易に把握することができる。
電磁弁群139は、燃料電池システム本体部12で用いられ、電磁弁88,90を含む複数の電磁弁の集合である。電磁弁駆動回路137は、通信I/F112及び電磁弁群139に接続されており、主制御部100からの指示に従って、電磁弁群139を制御する。
一例として図3に示すように、主制御部100は、CPU(Central Processing Unit)114、一次記憶部116、及び二次記憶部118を含み、CPU114、一次記憶部116、及び二次記憶部118は、バスライン110に接続されている。
CPU114は、燃料電池システム10の全体を制御する。一次記憶部116は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリであり、一次記憶部116の一例としては、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。また、二次記憶部118は、燃料電池システム10の基本的な動作を制御するプログラムや各種パラメータ等を記憶する不揮発性のメモリであり、二次記憶部118の一例としては、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等が挙げられる。
二次記憶部118は、保守プログラム120及び複数の相関情報121を記憶している。CPU114は、二次記憶部118から保守プログラム120を読み出して一次記憶部116に展開し、保守プログラム120を実行することで、実行部122及び制御部124として動作する。
実行部122は、複数の異常状態の各々に各々対応する複数の処理を実行する。制御部124は、検出部113による検出結果に基づいて、複数の異常状態のうち、燃料電池システム本体部12に対して影響を及ぼす影響度の大きい方の異常状態から優先して、複数の処理のうちの対応する処理が実行されるように実行部122を制御する。
一例として図4に示すように、相関情報121は、燃焼温度と燃料利用率との既定の相関を示す情報である。燃焼温度は、燃焼器20での燃焼温度である。ここで、既定の相関とは、例えば、発電効率の標準範囲として予め設定された範囲内での発電効率を実現可能な、燃焼温度と燃料利用率との相関であって、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等から得られた結果に基づいて予め定められた相関を指す。
燃料利用率は、原料ガスの流量及び燃料電池スタックでの電流量に基づいて算出される。例えば、燃料利用率は、下記(4)式によって算出される。なお、燃料電池スタックでの電流量は、下記(4)式において「反応に利用された原料ガスの量」の算出に用いられる。
(燃料利用率)=(反応に利用された原料ガスの量)/(原料ガスの流量)…(4)
相関情報121は、例えば、燃料電池スタックでの電流量、燃焼温度、及び原料ガスの流量の組み合わせ毎に定められている。
次に、燃料電池システム10の本発明に係る部分の作用として、燃料電池システム10の稼働が開始されてからCPU114が保守プログラム120に従うことでCPU114によって実行される保守処理について図5及び図6を参照して説明する。
燃料電池システム本体部12での複数の異常状態は、供給系異常状態と非供給系異常状態とに大別される。供給系異常状態は、燃料電池スタックの発電に供する流体を燃料電池システム本体部12に含まれる被供給部に供給する供給系に関する異常状態である。非供給系異常状態は、燃料電池システム本体部12での複数の異常状態のうち、供給系異常状態とは異なる異常状態である。また、非供給系異常状態は、燃料電池システム本体部12に対して影響を及ぼす影響度が供給系異常状態よりも小さな異常状態、もしくは、直ちに燃料電池システム本体部12に対して影響を及ぼさない異常状態である。
ここで、上記の「燃料電池スタックの発電に供する流体」とは、例えば、基礎的原料流体を指す。基礎的原料流体とは、燃料電池スタックの発電に供する基礎的な原料に相当する流体を指す。基礎的原料流体の一例としては、原料ガス、酸化ガス、及び水が挙げられ、燃料電池スタックの種類やシステムの構成によって異なる。なお、燃料電池システム10では、副次的原料流体も用いられる。副次的原料流体とは、燃料電池スタックの発電に供する副次的な原料に相当する流体を指す。副次的原料流体の一例としては、再生燃料ガス及びスイープガスが挙げられる。
上記の「被供給部」とは、燃料電池システム本体部12の全ての構成部材のうち、基礎的原料流体が供給系により供給される構成部材を指す。「被供給部」の一例としては、気化器16、燃料電池スタック、及び改質器18が挙げられる。
上記の「供給系」とは、燃料電池システム本体部12の構成部材のうち、基礎的原料流体を送出することで被供給部に基礎的原料流体を供給することに直接資する構成部材を指す。換言すると、「供給系」とは、例えば、燃料電池システム本体部12の全ての構成部材のうち、後述するポンプ異常状態、原料ガス系異常状態、及び酸化ガス系異常状態の少なくとも1つの異常状態の発生を引き起こす直接的な要因となり得る構成部材を指す。なお、「供給系」の一例としては、ポンプ28及びブロア30,32が挙げられる。
本実施形態に係る保守処理は、供給系保守処理と、非供給系保守処理とを含む処理である。供給系保守処理とは、供給系異常状態に対応する処理を指す。図5に示す例では、供給系保守処理は、ステップ202〜ステップ214の処理である。非供給系保守処理とは、非供給系異常状態に対応する処理を指す。図6に示す例では、非供給系保守処理は、ステップ220〜ステップ244の処理である。
図5に示す保守処理では、ステップ200で、制御部124は、実行部122が後述の複数の対応処理(ステップ206,210,214,224,228,232,236,240,244参照)のうちの少なくとも1つを実行中であるか否かを判定する。ここで言う「複数の対応処理」とは、ポンプ対応処理、原料ガス系対応処理、酸化ガス系対応処理、前段外部リーク対応処理、前段内部リーク対応処理、ガス漏れ対応処理、劣化対応処理、後段外部リーク対応処理、及び後段内部リーク対応処理を指す。
ステップ200において、実行部122が複数の対応処理のうちの少なくとも1つを実行中である場合は、判定が肯定されて、ステップ216へ移行する。ステップ200において、実行部122が複数の対応処理の何れも実行中でない場合は、判定が否定されて、ステップ202へ移行する。
ステップ216で、制御部124は、現在実行中の対応処理を終了する条件である対応処理終了条件を満足したか否かを判定する。なお、対応処理終了条件の一例としては、受付デバイス104によって、現在実行中の対応処理を終了する指示が受け付けられた、との条件が挙げられる。
ステップ216において、対応処理終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、ステップ218へ移行する。ステップ216において、対応処理終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップ200へ移行する。
ステップ218で、制御部124は、実行部122に対して、現在実行中の対応処理の実行を終了させ、その後、ステップ202へ移行する。
ステップ202で、制御部124は、供給系因子情報を取得し、その後、ステップ204へ移行する。
ここで、供給系因子情報とは、供給系異常状態の発生の特定に用いられる因子を示す情報を指す。本ステップ202では、供給系因子情報の一例として、回転数情報及び流量情報が採用されている。
ステップ204で、制御部124は、ステップ202の処理で取得した回転数情報に基づいて、ポンプ28に関連する要素が異常状態であるポンプ異常状態が発生したか否かを判定する。ポンプ28に関連する要素とは、例えば、ポンプ28の正常な動作に対して直接的に又は間接的に影響を及ぼす要素を指す。ポンプ28の正常な動作に対して直接的に又は間接的に影響を及ぼす要素とは、例えば、ポンプ28そのもの、及び、ポンプ28と通信I/F112との間の電気系統等のうちの少なくとも1つを指す。
例えば、ステップ204では、ステップ202の処理で取得した回転数情報により示されるポンプ28の回転数が、第1既定範囲に含まれない場合に、ポンプ異常状態が発生したと判定される。また、ステップ204では、ステップ202の処理で取得した回転数情報により示されるポンプ28の回転数が、第1既定範囲に含まれる場合に、ポンプ異常状態が発生していないと判定される。なお、第1既定範囲とは、回転数検出部134により検出される現時点での正常な回転数の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。
ステップ204において、ポンプ異常状態が発生した場合は、判定が肯定されて、ステップ206へ移行する。ステップ204において、ポンプ異常状態が発生していない場合は、判定が否定されて、ステップ208へ移行する。
ステップ206で、制御部124は、実行部122に対して、ポンプ対応処理の実行を開始させ、その後、ステップ206へ移行する。なお、ポンプ対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。ポンプ対応処理の一例としては、ポンプ異常報知処理、ポンプ回転数調節処理、及びポンプ停止処理のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ここで、上記のポンプ異常報知処理及び上記のポンプ停止処理は、ポンプ異常状態の解消に寄与する処理であり、上記のポンプ回転数調節処理は、ポンプ異常状態が発生しているものの、燃料電池スタックによる発電の続行に要する処理である。
上記のポンプ異常報知処理とは、例えば、ポンプ異常状態が発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることによりポンプ異常状態の発生が報知される処理を指す。
なお、ここでは、上記のポンプ異常報知処理の1つとして、ディスプレイ108による表示である可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポンプ異常状態が発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、ポンプ異常状態が発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
上記のポンプ回転数調節処理とは、例えば、複数の相関情報121のうち、燃料電池スタックでの電流量、燃焼温度、及び原料ガスの流量の現時点での組み合わせに対応する相関情報121に基づいて、ポンプ28の回転数が調節される処理を指す。すなわち、現時点での燃焼温度と燃料利用率の相関とが、相関情報121により示される燃焼温度と燃料利用率との相関に一致するように、ポンプ28の回転数が制御される処理を指す。
上記のポンプ停止処理とは、例えば、ポンプ28の動作を停止させる処理を指す。なお、ここで言う「停止」は、ポンプ28の動作の完全な停止の意味合いを勿論含むが、燃料電池スタックによる発電が行われない程度にポンプ28の動作を抑制する意味合いでの停止も含む。 なお、ポンプ回転数調節処理や、ポンプ停止処理などを実行する際に、例えば燃料電池スタックの電流値やその他の基礎的原料流体も必要に応じて変動させても良い。
なお、上記のポンプ回転数調節処理及び上記のポンプ停止処理を組み合わせた処理が実行部122によって実行される場合、例えば、上記のポンプ回転数調節処理が実行された後もポンプ異常状態が解消されなかった場合に上記のポンプ停止処理が実行されるようにするとよい。
ステップ208で、制御部124は、ステップ202の処理で取得した第1流量情報に基づいて、原料ガス系が異常状態である原料ガス系異常情報が発生したか否かを判定する。原料ガス系とは、気化器16への原料ガスの正常な供給に対して直接的に又は間接的に影響を及ぼす要素を指す。気化器16への原料ガスの正常な供給に対して直接的に又は間接的に影響を及ぼす要素とは、例えば、流量センサ64、ブロア30、原料ガス管P1、及びブロア30と通信I/F112との間の電気系統等のうちの少なくとも1つを指す。
例えば、ステップ208では、ステップ202の処理で取得した第1流量情報により示される流量が第2既定範囲に含まれない場合に、原料ガス系異常情報が発生したと判定される。また、ステップ208では、ステップ206の処理で取得した第1流量情報により示される流量が第2既定範囲に含まれる場合に、原料ガス系異常情報が発生していないと判定される。
ここで、第2既定範囲とは、流量センサ64により検出される現時点での正常な流量の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。
ステップ208において、原料ガス系異常状態が発生した場合は、判定が肯定されて、ステップ210へ移行する。ステップ208において、原料ガス系異常状態が発生していない場合は、判定が否定されて、ステップ212へ移行する。
ステップ210で、制御部124は、実行部122に対して、原料ガス系対応処理の実行を開始させ、その後、ステップ212へ移行する。なお、原料ガス系対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。原料ガス系対応処理の一例としては、原料ガス系異常報知処理、ブロア調節処理、及びブロア停止処理のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ここで、上記の原料ガス系異常報知処理及び上記のブロア停止処理は、原料ガス系異常状態の解消に寄与する処理であり、上記のブロア調節処理は、原料ガス系異常状態が発生しているものの、燃料電池スタックによる発電の続行に要する処理である。
上記の原料ガス系異常報知処理とは、例えば、原料ガス系異常状態が発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることにより原料ガス系異常状態の発生が報知される処理を指す。
なお、ここでは、上記の原料ガス系異常報知処理の1つとして、上記のポンプ異常報知処理と同様に可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、原料ガス系異常状態が発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、原料ガス系異常状態が発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
上記のブロア調節処理とは、例えば、複数の相関情報121のうち、燃料電池スタックでの電流量、燃焼温度、及び酸化ガスの流量の現時点での組み合わせに対応する相関情報121に基づいて、ブロア30,32のうちの少なくとも一方によるガスの送出量が調節される処理を指す。すなわち、上記のブロア調節処理とは、現時点での燃焼温度と燃料利用率との相関が、酸化ガスに関連する物理量を参照して、相関情報121により示される燃焼温度と燃料利用率との相関に一致するように、ブロア30,32のうちの少なくとも一方によるガスの送出量が調節される処理を指す。ここで、酸化ガスに関連する物理量とは、例えば、下記(5)式の「酸化ガス利用率」を指す。
(酸化ガス利用率)=(反応に利用された酸化ガスの量)/(酸化ガスの流量)…(5)
上記のブロア停止処理とは、例えば、ブロア30,32によるガスの送出を停止させる処理を指す。なお、ここで言う「停止」は、ブロア30,32によるガスの送出の完全な停止の意味合いを勿論含むが、燃料電池スタックによる発電が行われない程度にブロア30,32によるガスの送出を抑制する意味合いでの停止も含む。 なお、上記のブロア調節処理や、上記のブロア停止処理などを実行する際に、例えば燃料電池スタックの電流値やその他の基礎的原料流体も必要に応じて変動させても良い。
なお、上記のブロア調節処理及び上記のブロア停止処理を組み合わせた処理が実行部122によって実行される場合、例えば、上記のブロア調節処理が実行された後も原料ガス系異常状態が解消されなかった場合に上記のブロア停止処理が実行されるようにするとよい。
ステップ212で、制御部124は、ステップ202の処理で取得した第2流量情報に基づいて、酸化ガス系が異常状態である酸化ガス系異常情報が発生したか否かを判定する。酸化ガス系とは、透過部52への酸化ガスの正常な供給に対して直接的に又は間接的に影響を及ぼす要素を指す。透過部52への酸化ガスの正常な供給に対して直接的に又は間接的に影響を及ぼす要素とは、例えば、酸化ガスそのもの、ブロア32、酸化ガス管P5、及びブロア32と通信I/F112との間の電気系統等のうちの少なくとも1つを指す。
例えば、ステップ212では、ステップ202の処理で取得した第2流量情報により示される流量が第3既定範囲に含まれない場合に、酸化ガス系異常情報が発生したと判定される。また、ステップ212では、ステップ202の処理で取得した第2流量情報により示される流量が第3既定範囲に含まれる場合に、酸化ガス系異常情報が発生していないと判定される。
ここで、第3既定範囲とは、流量センサ66により検出される現時点での正常な流量の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。
ステップ212において、酸化ガス系異常状態が発生した場合は、判定が肯定されて、ステップ214へ移行する。ステップ212において、酸化ガス系異常状態が発生していない場合は、判定が否定されて、図6に示すステップ220へ移行する。
ステップ214で、制御部124は、実行部122に対して、酸化ガス系対応処理の実行を開始させ、その後、ステップ220へ移行する。なお、酸化ガス系対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。酸化ガス系対応処理の一例としては、酸化ガス系異常報知処理、上記のブロア調節処理、及び上記のブロア停止処理のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ここで、酸化ガス系異常報知処理及び上記のブロア停止処理は、酸化ガス系異常状態の解消に寄与する処理であり、上記のブロア調節処理は、酸化ガス系異常状態が発生しているものの、燃料電池スタックによる発電の続行に要する処理である。
酸化ガス系異常報知処理とは、例えば、酸化ガス系異常状態が発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることにより酸化ガス系異常状態の発生が報知される処理を指す。
なお、ここでは、酸化ガス系異常報知処理の1つとして、ポンプ異常報知処理と同様に可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、酸化ガス系異常状態が発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、酸化ガス系異常状態が発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
なお、上記のブロア調節処理及び上記のブロア停止処理を組み合わせた処理が実行部122によって実行される場合、例えば、上記のブロア調節処理が実行された後も酸化ガス系異常状態が解消されなかった場合に上記のブロア停止処理が実行されるようにするとよい。
図6に示すステップ220で、制御部124は、非供給系因子情報を取得し、その後、ステップ222へ移行する。
ここで、非供給系因子情報とは、非供給系異常状態の発生の特定に用いられる因子を示す情報を指す。本ステップ218では、非供給系因子情報の一例として、電圧情報、温度情報、圧力情報、及びガス漏れ情報が採用されている。
ステップ222で、制御部124は、ステップ220の処理で取得した非供給系因子情報に基づいて、前段スタック外部リークが発生したか否かを判定する。
前段スタック外部リークとは、前段燃料電池スタック22から外部へガスが漏れている可能性がある異常状態を指す。前段燃料電池スタック22からガスが漏れている可能性とは、酸化ガス及び燃料ガスのうちの少なくとも一方が漏れている可能性を指す。なお、ここで、前段燃料電池スタック22からアノードオフガスが漏れているとは、前段燃料電池スタック22においてアノードオフガス管P6,P6−2以外の箇所からアノードオフガスが漏れていることを意味する。
ステップ222では、第1〜第6条件の全てを満たした場合に、前段スタック外部リークが発生したと判定される。なお、外部リークの度合いにより判定が変わる可能性があるが、ここでは、大幅な外部リークが発生していないと仮定する。
第1条件とは、第1電圧情報により示される電圧が第4既定範囲に含まれる、との条件を指す。ここで、第4既定範囲とは、電圧センサ68により検出される現時点での正常な電圧の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。
第2条件とは、第2電圧情報により示される電圧が第5既定範囲に含まれない、との条件を指す。ここで、第5既定範囲とは、電圧センサ70により検出される現時点での正常な電圧の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。
第3条件とは、ガス漏れ情報により示されるガス漏れセンサ87による検出結果が既定検出結果と一致した、との条件を指す。既定検出結果とは、ガス漏れセンサ87により漏出ガスが検出されていないことを示す検出結果を指す。
第4条件とは、第2圧力情報により示される圧力が第6既定範囲に含まれる、との条件を指す。ここで、第6既定範囲とは、圧力センサ58により検出される現時点での正常な圧力よりも低い圧力の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。
第5条件とは、第3圧力情報により示される圧力が第7既定範囲に含まれない、との条件を指す。ここで、第7既定範囲とは、圧力センサ60により検出される現時点での正常な圧力の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた圧力を指す。なお、本第5条件がなくても本発明は成立する。
第6条件とは、第1圧力情報により示される圧力が第8既定範囲に含まれ、かつ、第4圧力情報により示される圧力が第9既定範囲に含まれる、との条件を指す。ここで、第8既定範囲とは、圧力センサ56により検出される現時点での正常な圧力よりも低い圧力の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。また、第9既定範囲とは、圧力センサ62により検出される現時点での正常な圧力よりも低い圧力の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。
ステップ222において、前段スタック外部リークが発生した場合は、判定が肯定されて、ステップ224へ移行する。ステップ222において、前段スタック外部リークが発生していない場合は、判定が否定されて、ステップ226へ移行する。
ステップ224で、制御部124は、実行部122に対して、前段スタック外部リークの解消に寄与する処理である前段外部リーク対応処理の実行を開始させ、その後、ステップ226へ移行する。なお、前段外部リーク対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。前段外部リーク対応処理の一例としては、前段外部リーク報知処理、上記のブロア調節処理、及び上記のブロア停止処理のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ここで、前段外部リーク報知処理及び上記のブロア停止処理は、前段スタック外部リークの解消に寄与する処理であり、上記のブロア調節処理は、前段スタック外部リークが発生しているものの、燃料電池スタックによる発電の続行に要する処理である。
前段外部リーク報知処理とは、例えば、前段スタック外部リークが発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることにより前段スタック外部リークの発生が報知される処理を指す。
なお、ここでは、前段外部リーク報知処理の1つとして、ポンプ異常報知処理と同様に可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前段スタック外部リークが発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、前段スタック外部リークが発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
なお、上記のブロア調節処理及び上記のブロア停止処理を組み合わせた処理が実行部122によって実行される場合、例えば、上記のブロア調節処理が実行された後も前段スタック外部リークが解消されなかった場合に上記のブロア停止処理が実行されるようにするとよい。
ステップ226で、制御部124は、ステップ220の処理で取得した非供給系因子情報に基づいて、前段スタック内部リークが発生したか否かを判定する。
ここで、前段スタック内部リークとは、例えば、ガスがアノードやカソードで反応せずに、カソード22A及びアノード22Bのうちの一方から他方へガスがそのまま移動している可能性がある異常状態を指す。
ステップ226では、上記の第1条件を満足せず、かつ、上記の第2及び第3条件を満足した場合に、前段スタック内部リークが発生したと判定される。
なお、本ステップ226における判定処理は上記の例に限定されるものではなく、次の第1又は第2の変形例として示す判定処理であってもよい。
第1の変形例に係る判定処理は、上記の第1条件を満足せず、かつ、上記の第2及び第3条件を満足し、かつ、上記の第4条件又は第6条件を満足した場合に、前段スタック内部リークが発生したと判定される、という判定処理である。
第2の変形例に係る判定処理は、上記の第4又は第6条件を満足した場合に、前段スタック内部リークが発生したと判定される、という判定処理である。
ステップ226において、前段スタック内部リークが発生した場合は、判定が肯定されて、ステップ228へ移行する。ステップ226において、前段スタック内部リークが発生していない場合は、判定が否定されて、ステップ230へ移行する。
ステップ228で、制御部124は、実行部122に対して、前段スタック内部リークの解消に寄与する処理である前段内部リーク対応処理の実行を開始させ、その後、ステップ230へ移行する。なお、前段内部リーク対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。前段内部リーク対応処理の一例としては、前段内部リーク報知処理、上記のブロア調節処理、及び上記のブロア停止処理のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ここで、前段内部リーク報知処理及び上記のブロア停止処理は、前段スタック内部リークの解消に寄与する処理であり、上記のブロア調節処理は、前段スタック内部リークが発生しているものの、燃料電池スタックによる発電の続行に要する処理である。
前段内部リーク報知処理とは、例えば、前段スタック内部リークが発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることにより前段スタック内部リークの発生が報知される処理を指す。
なお、ここでは、前段内部リーク報知処理の1つとして、ポンプ異常報知処理と同様に可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前段スタック内部リークが発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、前段スタック内部リークが発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
なお、上記のブロア調節処理及び上記のブロア停止処理を組み合わせた処理が実行部122によって実行される場合、例えば、上記のブロア調節処理が実行された後も前段スタック内部リークが解消されなかった場合に上記のブロア停止処理が実行されるようにするとよい。
ステップ230で、制御部124は、ステップ220の処理で取得した非供給系因子情報に基づいて、燃料再生器ガス漏れが発生したか否かを判定する。
燃料再生器ガス漏れとは、燃料再生器34から特定のガスが漏れ出している可能性がある異常状態を指す。ここで、特定のガスとは、例えば、上述した漏出ガスを指す。
ステップ230では、上記の第2条件を満足し、かつ、上記の第3条件を満足していない場合に、燃料再生器ガス漏れが発生したと判定される。
ステップ230において、燃料再生器ガス漏れが発生した場合は、判定が肯定されて、ステップ232へ移行する。ステップ230において、燃料再生器ガス漏れが発生していない場合は、判定が否定されて、ステップ233Aへ移行する。
ステップ232で、制御部124は、実行部122に対して、燃料再生器ガス漏れの解消に寄与する処理であるガス漏れ対応処理の実行を開始させ、その後、ステップ233Aへ移行する。なお、ガス漏れ対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。ガス漏れ対応処理の一例としては、ガス漏れ報知処理、バイパス処理、上記のブロア調節処理、及び上記のブロア停止処理のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ここで、ガス漏れ報知処理及び上記のブロア停止処理は、燃料再生器ガス漏れの解消に寄与する処理であり、バイパス処理及び上記のブロア調節処理は、燃料再生器ガス漏れが発生しているものの、燃料電池スタックによる発電の続行に要する処理である。
ガス漏れ報知処理とは、例えば、燃料再生器ガス漏れが発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることにより燃料再生器ガス漏れの発生が報知される処理を指す。
なお、ここでは、ガス漏れ対応処理の1つとして、ポンプ異常報知処理と同様に可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、燃料再生器ガス漏れが発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、燃料再生器ガス漏れが発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
バイパス処理とは、非バイパスモードからバイパスモードに移行させる処理を指す。非バイパスモードとは、アノードオフガス管P6と再生燃料ガス管P8とがバイパスされない動作モード、すなわち、電磁弁88を閉状態とし、かつ、電磁弁90,91を開状態とする動作モードを指す。バイパスモードとは、バイパス管12Pを介してアノードオフガス管P6と再生燃料ガス管P8とをバイパスする動作モード、すなわち、電磁弁88を開状態とし、電磁弁90,91を閉状態とする動作モードを指す。
なお、上記のバイパス処理及び上記のブロア調節処理のうちの少なくとも1つと上記のブロア停止処理とを組み合わせた処理が実行部122によって実行される場合、例えば、バイパス処理及び上記のブロア調節処理のうちの少なくとも1つが実行された後も燃料再生器ガス漏れが解消されなかった場合に上記のブロア停止処理が実行されるようにするとよい。
ステップ233Aで、制御部124は、ステップ220の処理で取得した非供給系因子情報に基づいて、燃料再生器内部リークが発生したか否かを判定する。
燃料再生器内部リークとは、例えば、スイープガスが分離膜92を介して透過部52から流入部50へ漏出している可能性がある異常状態を指す。他には、アノードオフガスが分離膜92を介して流入部50から透過部52へ漏出している可能性がある異常状態を指す。
ステップ233Aでは、上記の第1〜第3条件を満足した場合に、燃料再生器内部リークが発生したと判定される。
なお、本ステップ233Aでは、上記の第1〜第3条件を満足した場合に、燃料再生器内部リークが発生したと判定される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、燃料電池システム本体部12の仕様や設置環境等に応じて、上記の第1〜第3条件を満足し、かつ、第4又は第6条件を満足した場合に、燃料再生器内部リークが発生したと判定されるようにしてもよい。また、例えば、燃料電池システム本体部12の仕様や設置環境等に応じて、上記の第1〜第3条件を満足し、かつ、上記の第5条件を満足した場合に、燃料再生器内部リークが発生したと判定されるようにしてもよい。また、例えば、燃料電池システム本体部12の仕様や設置環境等に応じて、上記の第1〜第3条件を満足し、かつ、第4又は第6条件を満足しない場合に、燃料再生器内部リークが発生したと判定されるようにしてもよい。
ステップ233Aにおいて、燃料再生器内部リークが発生した場合は、判定が肯定されて、ステップ233Bへ移行する。ステップ233Aにおいて、燃料再生器内部リークが発生していない場合は、判定が否定されて、ステップ234へ移行する。
ステップ233Bで、制御部124は、実行部122に対して、燃料再生器内部リークの解消に寄与する処理である再生器内部リーク対応処理の実行を開始させ、その後、ステップ234へ移行する。なお、再生器内部リーク対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。再生器内部リーク対応処理の一例としては、再生器内部リーク報知処理、上記のバイパス処理、上記のブロア調節処理、及び上記のブロア停止処理のうちの少なくとも1つが挙げられる。
再生器内部リーク報知処理とは、例えば、燃料再生器内部リークが発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることにより燃料再生器内部リークの発生が報知される処理を指す。
なお、ここでは、再生器内部リーク対応処理の1つとして、ポンプ異常報知処理と同様に可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、燃料再生器内部リークが発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、燃料再生器内部リークが発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
ステップ234で、制御部124は、ステップ220の処理で取得した非供給系因子情報に基づいて、燃料再生器劣化が発生したか否かを判定する。
燃料再生器劣化とは、経時劣化や腐食等により燃料再生器34が予め定められた度合い以上で劣化している可能性がある異常状態を指す。ここでは、CO2やH2Oの除去率が低下したことを想定している。予め定められた度合いとは、例えば、発電効率の標準範囲として予め設定された範囲内での発電効率が実現可能な度合いとして、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた度合いを指す。
ステップ234では、上記の第1〜第5条件を満足し、かつ、第7条件を満足した場合に、燃料再生器劣化が発生したと判定される。
ここで、第7条件とは、第1圧力情報により示される圧力が第10既定範囲に含まれ、かつ、第4圧力情報により示される圧力が第11既定範囲に含まれる、との条件を指す。ここで、第10既定範囲とは、圧力センサ56により検出される現時点での正常な圧力よりも高い圧力の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。また、第11既定範囲とは、圧力センサ62により検出される現時点での正常な圧力よりも高い圧力の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。
ステップ234において、燃料再生器劣化が発生した場合は、判定が肯定されて、ステップ236へ移行する。ステップ234において、燃料再生器劣化が発生していない場合は、判定が否定されて、ステップ238へ移行する。
ステップ236で、制御部124は、実行部122に対して、燃料再生器劣化の解消に寄与する処理である劣化対応処理の実行を開始させ、その後、ステップ238へ移行する。なお、劣化対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。劣化対応処理の一例としては、燃料再生器劣化報知処理、上記のバイパス処理、上記のブロア調節処理、及び上記のブロア停止処理のうちの少なくとも1つが挙げられる。ここで、燃料再生器劣化報知処理とは、例えば、燃料再生器劣化が発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることにより燃料再生器劣化の発生が報知される処理を指す。
上記の燃料再生器劣化報知処理及び上記のブロア停止処理は、燃料再生器劣化の解消に寄与する処理であり、上記のバイパス処理及び上記のブロア調節処理は、燃料再生器劣化が発生しているものの、燃料電池スタックによる発電の続行に要する処理である。
なお、ここでは、燃料再生器劣化報知処理として、上記のポンプ異常報知処理と同様に可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、燃料再生器劣化が発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、燃料再生器劣化が発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
ステップ238で、制御部124は、ステップ220の処理で取得した非供給系因子情報に基づいて、後段スタック外部リークが発生したか否かを判定する。
後段スタック外部リークとは、後段燃料電池スタック24からガスが漏れている可能性がある異常状態を指す。後段燃料電池スタック24からガスが漏れている可能性とは、酸化ガス及び再生燃料ガスのうちの少なくとも一方が漏れている可能性を指す。なお、ここで、後段燃料電池スタック24から使用済みのガスが漏れているとは、後段燃料電池スタック24において、配管P9,P10以外の箇所から使用済みのガスが漏れていることを意味する。
ステップ238では、上記の第2条件を満足しない場合に、後段スタック外部リークが発生したと判定される。
ステップ238において、後段スタック外部リークが発生した場合は、判定が肯定されて、ステップ240へ移行する。ステップ238において、後段スタック外部リークが発生していない場合は、判定が否定されて、ステップ242へ移行する。
ステップ240で、制御部124は、実行部122に対して、後段スタック外部リークの解消に寄与する処理である後段外部リーク対応処理の実行を開始させ、その後、ステップ242へ移行する。なお、後段外部リーク対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。後段外部リーク対応処理の一例としては、後段外部リーク報知処理、上記のブロア調節処理、及び上記のブロア停止処理のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ここで、後段外部リーク報知処理及び上記のブロア停止処理は、後段スタック外部リークの解消に寄与する処理であり、上記のブロア調節処理は、後段スタック外部リークが発生しているものの、燃料電池スタックによる発電の続行に要する処理である。
後段外部リーク報知処理とは、例えば、後段スタック外部リークが発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることにより後段スタック外部リークの発生が報知される処理を指す。
なお、ここでは、後段外部リーク報知処理の1つとして、ポンプ異常報知処理と同様に可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、後段スタック外部リークが発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、後段スタック外部リークが発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
また、上記のブロア調節処理及び上記のブロア停止処理を組み合わせた処理が実行部122によって実行される場合、例えば、上記のブロア調節処理が実行された後も後段スタック外部リークが解消されなかった場合に上記のブロア停止処理が実行されるようにするとよい。
ステップ242で、制御部124は、ステップ220の処理で取得した非供給系因子情報に基づいて、後段スタック内部リークが発生したか否かを判定する。
ここで、後段スタック内部リークとは、例えば、ガスがアノードやカソードで反応せずに、カソード24A及びアノード24Bのうちの一方から他方へガスがそのまま移動している可能性がある異常状態を指す。
ステップ242では、上記の第1〜第3条件を満足し、かつ、上記の第4又は第6条件を満足した場合に、後段スタック内部リークが発生したと判定される。
ステップ242において、後段スタック内部リークが発生した場合は、判定が肯定されて、ステップ244を移行する。ステップ243において、後段スタック内部リークが発生していない場合は、判定が否定されて、ステップ246へ移行する。
ステップ244で、制御部124は、実行部122に対して、後段スタック内部リークの解消に寄与する処理である後段内部リーク対応処理の実行を開始させ、その後、ステップ246へ移行する。なお、後段内部リーク対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。後段内部リーク対応処理の一例としては、後段内部リーク報知処理、上記のブロア調節処理、上記のブロア停止処理、及び発電停止処理のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ここで、後段内部リーク報知処理、上記のブロア停止処理、及び発電停止処理は、後段スタック内部リークの解消に寄与する処理であり、上記のブロア調節処理は、後段スタック内部リークが発生しているものの、燃料電池スタックによる発電の続行に要する処理である。
後段内部リーク報知処理とは、例えば、後段スタック内部リークが発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることにより後段スタック内部リークの発生が報知される処理を指す。
なお、ここでは、後段内部リーク報知処理の1つとして、ポンプ異常報知処理と同様に可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、後段スタック内部リークが発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、後段スタック内部リークが発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
発電停止処理とは、後段燃料電池スタック24での発電を停止する処理を指す。この場合、例えば、アノード24Bで生成された電子のアノード24Bからカソード24Aへの移動経路である外部回路にスイッチ(図示省略)を設け、スイッチをオフして外部回路を切断することで後段燃料電池スタック24での発電が停止される。
また、上記のブロア調節処理及び上記のブロア停止処理を組み合わせた処理が実行部122によって実行される場合、例えば、上記のブロア調節処理が実行された後も後段スタック内部リークが解消されなかった場合に上記のブロア停止処理が実行されるようにするとよい。
ステップ246で、制御部124は、本保守処理を終了する条件である終了条件を満足したか否かを判定する。終了条件とは、例えば、受付デバイス104によって、本保守処理を終了する指示が受け付けられた、との条件を指す。
ステップ246において、終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、図5に示すステップ200へ移行する。ステップ246において、終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、本保守処理を終了する。
以上のように、燃料電池システム10では、検出部113による検出結果に基づいて、複数の異常状態のうち、燃料電池システム本体部12に対して影響を及ぼす影響度が大きい方の異常状態から優先して、対応する処理が実行されるように実行部122が制御される。従って、燃料電池システム10によれば、燃料電池システム本体部12で発生する複数の異常状態のうち、影響度の大きな異常状態から優先的に対処することができる。
また、燃料電池システム10では、燃料電池システム本体部12での複数の異常状態が供給系異常状態と非供給系異常状態とに大別され、燃料電池システム本体部12に対して影響を及ぼす影響度は、非供給系異常状態よりも供給系異常状態の方が大きい。従って、燃料電池システム10によれば、非供給系異常状態よりも供給系異常状態を優先(先行)して対処することができる。
また、燃料電池システム10では、検出部113による検出結果が供給系異常状態の発生を示す検出結果の場合に、供給系保守処理が実行される。また、検出部113による検出結果が供給系異常状態の発生を示す検出結果でなく、かつ、検出部113による検出結果が非供給系異常状態の発生を示す検出結果の場合に、非供給系保守処理が実行される。従って、燃料電池システム10によれば、非供給系保守処理よりも供給系保守処理を優先して実行することができる。
また、燃料電池システム10では、上記のブロア停止処理が実行される。従って、燃料電池システム10によれば、ブロア30,32によるガスの送出が続行される場合に比べ、供給系異常状態の深刻化を抑制することができる。
また、燃料電池システム10では、燃料電池システム本体部12で異常状態が発生した場合に、実行部122により上記のブロア調節処理が実行される。従って、燃料電池システム10によれば、燃料電池システム本体部12で異常状態が発生した場合であっても、燃料電池スタックによる発電を継続させることができる。
また、上記実施形態では、制御部124により、酸化ガスとスイープガスが共通のため、スイープガスが異常状態であるスイープガス異常状態が発生したか否かが判定されていないが、酸化ガスとスイープガスが別系統のシステムの場合では、制御部124によりスイープガス異常状態が発生したか否かが判定されるようにしてもよい。この場合、例えば、供給系保守処理の最後に、スイープガス異常状態が発生したか否かのスイープガス異常状態判定処理、及び、スイープガス異常状態に対応する処理であるスイープガス対応処理が実行されるようにすればよい。
スイープガス異常状態判定処理では、例えば、上記の第5条件を満足し、かつ、第8条件を満足した場合に、スイープガス異常状態が発生したと判定される。ここで、第8条件とは、第6温度情報により示される温度が第12既定範囲外である、との条件を指す。ここで、第12既定範囲とは、温度センサ82により検出される現時点での正常な温度の範囲として、実機による試験やコンピュータ・シミュレーション等により事前に定められた範囲を指す。
スイープガス対応処理は、本発明に係る複数の処理のうちの1つの一例である。スイープガス対応処理の一例としては、スイープガス異常報知処理、上記のブロア調節処理、又は上記のブロア停止処理が挙げられる。また、スイープガス対応処理の他の例としては、スイープガス異常報知処理及び上記のブロア調節処理を組み合わせた処理、又は、スイープガス異常報知処理及び上記のブロア停止処理を組み合わせた処理が挙げられる。
スイープガス異常報知処理とは、例えば、スイープガス異常状態が発生したことを示す情報がディスプレイ108に表示されることによりスイープガス異常状態の発生が報知される処理を指す。
なお、ここでは、スイープガス異常報知処理の1つとして、ポンプ異常報知処理と同様に可視表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スイープガス異常状態が発生したことを音声で出力する可聴表示であってもよいし、スイープガス異常状態が発生したことを示す情報がプリンタにより用紙等に記録されて出力される永久可視表示であってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を複数組み合わせてもよい。
また、上記実施形態では、図5に示す供給系保守処理において、酸化ガス系対応処理よりも原料ガス系対応処理が先に実行されており、原料ガス系対応処理よりもポンプ対応処理が先に実行されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、燃料電池システム本体部12に対して影響を及ぼす影響度の大小関係が、“ポンプ異常状態<原料ガス系異常状態<酸化ガス系異常状態”の場合、実行すべき優先度の高低関係を、“ポンプ対応処理<原料ガス系対応処理<酸化ガス系対応処理”としてもよい。このように、供給系保守処理において、燃料システム本体部12の仕様や設置環境等に応じて、燃料電池システム本体部12に対して異常状態が影響を及ぼす影響度の大小関係に対応させて、実行すべき対応処理の優先度を定めればよい。
なお、図6に示す非供給系保守処理においても、図5に示す供給系保守処理と同様に、実行すべき優先度が高い方の対応処理から順に実行される。すなわち、図6に示す非供給系保守処理では、後段内部リーク対応処理よりも後段外部リーク対応処理が先に実行されている。また、後段外部リーク対応処理よりも劣化対応処理が先に実行されている。また、劣化対応処理よりもガス漏れ対応処理が先に実行されている。また、ガス漏れ対応処理よりも前段内部リーク対応処理が先に実行されている。更に、前段内部リーク対応処理よりも前段外部リーク対応処理が先に実行されている。図6に示す非供給系保守処理においても、図5に示す供給系保守処理と同様に、燃料システム本体部12の仕様や設置環境等に応じて、燃料電池システム本体部12に対して異常状態が影響を及ぼす影響度の大小関係に対応させて、実行すべき対応処理の優先度を定めればよい。
また、上記実施形態では、ディスプレイ108を用いた可視表示により異常状態の発生等が報知される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、燃料電池システム10との間で通信可能なスマートデバイスやサーバ等の通信装置に対して、燃料電池システム10から異常状態の発生等を示す情報が送信され、通信装置により異常状態の発生等の報知が実現されるようにしてもよい。この場合も、通信装置に搭載されたディスプレイによる可視表示、通信装置に搭載されたスピーカによる可聴表示、及び通信装置に接続されたプリンタによる永久可視表示のうちの少なくとも1つの表示が行われるようにすればよい。また、通信装置にバイブレータが搭載されている場合には、バイブレータを振動させることにより異常状態の発生等が報知されるようにしてもよい。
燃料電池システム10が遠隔地の管理センタから遠隔操作される場合、管理センタのホストコンピュータ等に燃料電池システム10から異常状態の発生等を示す情報が送信され、ホストコンピュータ等により異常状態の発生等の報知が実現されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、保守プログラム120を二次記憶部118から読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部118に記憶させておく必要はない。例えば、図7に示すように、SSD、USBメモリ、又はCD−ROM等の任意の可搬型の記憶媒体300に先ずは保守プログラム120を記憶させておいてもよい。この場合、記憶媒体300の保守プログラム120が燃料電池システム10にインストールされ、インストールされた保守プログラム120がCPU114によって実行される。
また、通信網(図示省略)を介して燃料電池システム10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に保守プログラム120を記憶させておき、保守プログラム120が燃料電池システム10の要求に応じてダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされた保守プログラム120がCPU114によって実行される。
また、上記実施形態で説明した保守処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
また、上記実施形態では、コンピュータを利用したソフトウェア構成により実行部122及び制御部124が実現される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェア構成に代えて、Field−Programmable Gate Array(FPGA)又はApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等のハードウェア構成のみによって実行部122に相当する機能及び制御部124に相当する機能が実現されてもよい。また、実行部122に相当する機能及び制御部124に相当する機能は、ソフトウェア構成とハードウェア構成との組み合わせで実現されてもよい。
また、上記実施形態では、前段燃料電池スタック22及び後段燃料電池スタック24による2段階式の燃料電池スタックを含む燃料電池システム本体部12を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1段式の燃料電池スタックを含む燃料電池システム本体部に対しても本発明は適用可能である。また、2段階式に限らず、3段、4段などと増えても良い。また、1段あたりのスタック数は複数であってもよい。また、燃料再生器34がなくても本発明は成立する。また、空冷装置36やタンク26がなくても本発明は成立する。また、改質器18を用いずに燃料電池で直接改質するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、2つの燃料電池スタックを含む燃料電池システム本体部12を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。一例として図8に示すように2段式のシステムにおいて3つの燃料電池スタックを用いても本発明は成立する。
一例として図8に示すように、燃料電池スタック400は、図1に示す燃料電池スタック10に比べ、燃料電池システム本体部12に代えて燃料電池システム本体部402を有する点が異なる。燃料電池システム本体部402は、燃料電池システム本体部12に比べ、前段燃料電池スタック22に代えて前段第1燃料電池スタック21を有する点が異なる。また、燃料電池システム本体部402は、燃料電池システム本体部12に比べ、前段第2燃料電池スタック404、電圧センサ406、及び温度センサ408を有する点が異なる。
前段第1燃料電池スタック21の基本構成は、前段燃料電池スタック22と同様である。また、前段第2燃料電池スタック404についての基本構成は、前段第1燃料電池スタック21と同様であり、前段第2燃料電池スタック404は、カソード22Aに対応するカソード404Aと、アノード22Bに対応するアノード404Bと、を有する。
電圧センサ406は、カソード404Aとアノード404Bとの間に設けられており、カソード404A及びアノード404Bにおける電圧を検出する。
温度センサ408は、前段第2燃料電池スタック404に設けられており、前段第2燃料電池スタック404での温度を検出する。
燃料ガス管P4は、分岐部B1で燃料ガス管P4−1に分岐しており、燃料ガスは、燃料ガス管P4−1を介してアノード404Bに供給される。酸化ガス管P5は、分岐部B2で酸化ガス管P5−1に分岐している。酸化ガス管P5−1の一端は、分岐部B2で酸化ガス管P5に接続されており、酸化ガス管P5−1の他端は、カソード404Aに接続されている。カソード404Aには、酸化ガス管P5から酸化ガス管P5−1を介して酸化ガスが供給される。従って、前段第2燃料電池スタック404においても、前段第1燃料電池スタック21と同様の反応により、各燃料電池セルで発電され、各燃料電池セルは、発電時に発熱する。
カソード404Aには、カソードオフガスが流れるカソードオフガス管P14の一端が接続されており、カソードオフガス管P14には、カソード404Aからカソードオフガスが排出される。また、カソードオフガス管P13は、合流部I2でカソードオフガス管P14に合流している。すなわち、カソードオフガス管P13の他端は、合流部I2でカソードオフガス管P14に接続されている。カソードオフガス管P14の他端は、カソード24Aに接続されている。従って、カソード22Aからカソードオフガス管P13に排出されたカソードオフガス、及びカソード404Aからカソードオフガス管P14に排出されたカソードオフガスは、カソード24Aに供給される。
アノード404Bには、アノードオフガスが流れる管であるアノードオフガス管P6−2の一端が接続されており、アノードオフガス管P6−2には、アノード404Bからアノードオフガスが排出される。アノードオフガス管P6−2は、合流部I1でアノードオフガス管P6に合流している。
アノードオフガス管P6のうちの合流部I1よりも下流側の部分は、第4熱交換部44及び第1熱交換部38を経て流入部50に接続されている。
アノード22B,404Bから排出されたアノードオフがスは、流入部50に流入し、燃料再生器34は、流入部50に流入されたアノードオフガスから二酸化炭素及び水蒸気を分離する。
透過部52から送出された透過部排出ガスは、酸化ガス管P5を介して酸素を含む酸化ガスとしてカソード22Aに供給され、酸化ガス管P5,P5−1を介してカソード404Aに供給される。
なお、図8に示す例では、前段第1燃料電池スタック21及び前段第2燃料電池スタック404のアノードオフガスが燃料再生器34のみに供給される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、改質器18から送出された燃料ガスと共に、アノードオフガスをアノード22B,404Bのうちの少なくとも一方に供給する循環式の燃料電池スタックを含む燃料電池システム本体部に対しても本発明は適用可能である。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。