JP6470642B2 - 金属製支柱を補強または補修する方法、および補強または補修された金属製支柱構造 - Google Patents

金属製支柱を補強または補修する方法、および補強または補修された金属製支柱構造 Download PDF

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Description

本発明は、金属製支柱を補強または補修する方法および補強または補修された金属製支柱構造に関する。より具体的には、倒壊を未然防止するための鋼製支柱を補強する方法、道路附属物の金属製支柱における破損部または腐蝕部を補修する方法、ならびにその補修補強された支柱構造に関する。
道路附属物と称される標識および照明施設などの金属製支柱は、一般構造用炭素鋼管が使用されている。このような金属製支柱は、老朽化に伴い、腐食による断面欠損、および溶接継手部からの疲労亀裂発生などの不具合が進行することが知られている。特に路面境界部での支柱腐食は、発生割合も多く、突然の倒壊を起こす可能性があるため深刻である。
腐食が著しく進行している金属製支柱は早急な建替えが望まれるが、一般に建替費用は高額であり、建替までの一時的な延命化として補修対策が検討される。
具体的な補修工法としては、鋼板を巻き立てて接着する工法が古くから知られており、さらに、多層(通常5層から8層程度)で重ねられた、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などの繊維シートを、樹脂を用いて貼り付ける工法も実用化されている。
特開平10−86277号公報(特許文献1)には、金属であってよい板材の腐食部分に、金属板を積層し、さらにその上に、金属板より小さいサイズの炭素繊維シートを積層する補修方法が開示されている。
また、特開2003−213635号公報(特許文献2)には、金属支柱の破損または腐食部分に紫外線硬化型の繊維強化樹脂シートを巻付けて硬化させ、その上面側を支柱断面に対応した筒状の金属補強材で覆う補修方法が開示されている。
特開平10−86277号公報 特開2003−213635号公報
繊維シートを多層積層する工法は、支柱の強度回復を行うには繊維シートを多層重ねる必要がある。したがって、各層に対して樹脂の塗布および含浸と硬化とを行う必要があり、作業の手間と時間が非常に多くかかる。
鋼板を巻き立てる工法、特許文献1の方法および特許文献2の方法ではいずれも、補強に用いられる金属板の表面が露出する。この場合、今度は金属板が腐食するため、再度の強度低下は免れない。仮にこの金属板に防錆塗装を施したとしても、塗装自体が剥がれおよび割れなどに耐える強度には限度があるため、その防錆効果の持続性に問題がある。
そこで本発明の目的は、補強効果または補修効果が高く、その補強効果または補修効果の持続性も高く、かつ簡易な補強または補修方法、および、補強効果または補修効果が高く、その補強効果または補修効果の持続性も高い補強または補修構造を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は以下の発明を含む。
(1)
本発明の金属製支柱を補強または補修する方法は、第1被覆工程と、貼設工程と、第2被覆工程と、硬化工程とを含む。
第1被覆工程は、金属製支柱の補強または補修すべき部分を第1の繊維強化樹脂プリプレグシートで被覆する。貼設工程では、第1の繊維強化樹脂プリプレグシートの外側表面に金属製補強部材を貼設する。第2被覆工程では、金属製補強部材の少なくとも外側表面の全てを覆う大きさおよび形状の第2の繊維強化樹脂プリプレグシートで被覆する。硬化工程では、第1の繊維強化樹脂プリプレグシートおよび第2の繊維強化樹脂プリプレグシートのマトリックス樹脂を硬化させる。
このように、金属補強材の外側表面全体を第2の繊維強化樹脂プリプレグシートで被覆するため、金属補強材自体が防錆され、腐食による強度低下を有効に防止することができる。また、第2の繊維強化樹脂プリプレグシートを用いるため、防錆層として機能するとともに剥がれおよび割れに耐える強度にも優れるため、防錆効果の維持性も高い。さらに、第2の繊維強化樹脂プリプレグシートが金属補強材の外側表面全体を覆う大きさおよび形状である。金属補強材外側表面全体を覆う大きさおよび形状とは、第2の繊維強化樹脂プリプレグシートが、金属製支柱まわりを最大で1周巻回することで、金属補強材の外側表面全体を覆うことができる大きさおよび形状をいう。第2の繊維強化樹脂プリプレグシートがこのような大きさおよび形状であるため、金属補強材の外側表面上に存在する第2の繊維強化樹脂プリプレグシートの端面が最小限で済む。したがって、容易に信頼性の高い防錆効果が得られるとともに、金属製支柱の強度向上効果も高い。
なお、補強とは、対象となる金属製支柱の劣化度合いに関わらず、当該金属製支柱の健全状態(非劣化状態)よりも向上された機械的特性を付与するための処理をいい、補修とは、対象となる金属製支柱の劣化による機械的特性の低下を健全状態(非劣化状態)同等に回復させるための処理をいう。
また、繊維強化樹脂プリプレグシートは、繊維シートに予め樹脂が含浸されているものであり、且つ、含浸されている樹脂は完全に硬化されていない、硬化の程度としては、完全硬化でなければ特に限定されないが、被着体への追従が可能な程度の柔軟性を有する程度であればよい。
さらに、外側とは、金属製支柱の表面に積層される積層体にとって、金属製支柱の補強または保守すべき部分の側を内側とすることに対する概念である。したがって、たとえば金属補強材にとっては、金属製支柱の補強または保守すべき部分の側(つまり直接的には第1の繊維強化樹脂プリプレグシートに接触している側)が内側であり、第2の繊維強化樹脂プリプレグシートに接触させられている側が外側である。
(2)
(1)の金属製支柱を補強または補修する方法において、金属製補強部材による貼設面積は、金属製支柱の周方向の一部を覆う大きさであってよい。
これによって、金属製支柱の周方向における部分的な補修が可能となる。
(3)
(1)の金属製支柱を補強または補修する方法において、金属製補強部材による貼設面積が、金属製支柱の周方向の全部を覆う大きさであってよい。
これによって、金属製支柱の周方向全体の補強または補修が可能となる。
(4)
(1)から(3)の金属製支柱を補強または補修する方法において、金属製補強部材は、金属製支柱の表面形状に沿った割管状であってよい。
これによって、金属製支柱の表面に沿って均一に貼設しやすく、向上された強度を良好に得ることができる。また、半割管状の金属製補強部材を用いることにより、広範囲(特に金属製支柱の周方向全体)の表面に沿って効率的に覆うことができる。
(5)
(1)から(4)の金属製支柱を補強または補修する方法において、金属製補強部材の端面が、第1の繊維強化樹脂プリプレグシートおよび第2の繊維強化樹脂プリプレグシートの少なくともいずれかによって被覆されていてよい。
これによって、金属製補強部材の面全体が第1の繊維強化樹脂プリプレグシートおよび第2の繊維強化樹脂プリプレグシートの少なくともいずれかに密着するため、金属補強材自体の防錆能が高く、腐食による強度低下をより有効に防止することができる。
(6)
(1)から(5)の金属製支柱を補強または補修する方法において、金属製補強部材は、端部に向かって肉薄となるように形成されていてよい。
これによって、金属製補強部材の中央部の表面と第1の繊維強化樹脂プリプレグシート表面または金属製支柱表面との高低差が金属製補強部材の端部の構造によって滑らかになる。したがって、第2の繊維強化樹脂プリプレグシートの密着性が良好となる。
(7)
(1)から(5)の金属製支柱を補強または補修する方法において、金属製補強部材の端面にシーリング剤樹脂が塗着されていてよい。
これによって、金属製補強部材の中央部の表面と第1の繊維強化樹脂プリプレグシート表面または金属製支柱表面との高低差が金属製補強部材の端部のシーリング剤樹脂によって滑らかになる。したがって、第2の繊維強化樹脂プリプレグシートの密着性が良好となる。
(8)
(1)から(7)の金属製支柱を補強または補修する方法において、金属製補強部材の外側表面および内側表面の表面粗さは、1μm以上100μm以下であってよい。
これによって、第2の繊維強化樹脂プリプレグシートおよび第1の繊維強化樹脂プリプレグシートの密着性が良好となる。なお、表面粗さは、JIS1994に準拠した十点平均高さRzをいう。
(9)
本発明の補強または補修された金属製支柱構造は、第1の繊維強化樹脂シートと、金属製補強部材と、第2の繊維強化樹脂シートと、を含む。
第1の繊維強化樹脂シートは、金属製支柱の補強または補修すべき部分を被覆している。金属製補強部材は、第1の繊維強化樹脂シートの表面に貼設されている。第2の繊維強化樹脂シートは、金属製補強部材の表面よりも大きい表面積を有し、金属製補強部材の表面を被覆している。第1の繊維強化樹脂シートおよび第2の繊維強化樹脂シートにおける樹脂は一体的に硬化されている。
このように、金属補強材の表面全体を、硬化された樹脂が含浸された第2の繊維強化樹脂シートで被覆しているため、金属補強材自体が防錆され、腐食による強度低下を有効に防止することができる。また、硬化された樹脂が含浸された第2の繊維強化樹脂シートは、防錆層として機能するとともに剥がれおよび割れに耐える強度にも優れるため、防錆効果の維持性も高い。さらに、硬化された樹脂が含浸された第2の繊維強化樹脂シートが金属補強材より大きな面積を有するため、金属補強材表面上第2の繊維強化樹脂シートの継ぎ目がなく、信頼性の高い防錆効果が得られるとともに、金属製支柱の強度向上効果も高い。
なお、一体的に硬化されているとは、第1の繊維強化樹脂シートにおける樹脂(マトリックス樹脂)の界面と第2の繊維強化樹脂シートにおける樹脂(マトリックス樹脂)の界面とが互いに融合する程度に密着した状態で硬化されている状態をいい、第1の繊維強化樹脂シートと第2の繊維強化樹脂シートとの間に別の樹脂が介在していないことをいう。
本発明によれば、補強効果または補修効果が高く、その補強効果または補修効果の持続性も高く、かつ簡易な補強または補修方法、および、補強効果または補修効果が高く、その補強効果または補修効果の持続性も高い補強または補修構造が提供される。
本発明の補強または補修された金属製支柱構造の一例の一部切り欠き図である。 図1の金属製支柱構造を軸方向に垂直な面で切断した場合の横断面図である。 補強または補修された金属製支柱構造の第1変形例の横断面図である。 補強または補修された金属製支柱構造の第2変形例の一部縦断面図である。 補強または補修された金属製支柱構造の第3変形例の横断面図である。 補強または補修された金属製支柱構造の第4変形例の一部縦断面図である。 金属製支柱を補強または補修する方法の一工程を示す縦断面図である。 金属製支柱を補強または補修する方法の一工程を示す縦断面図である。 金属製支柱を補強または補修する方法の一工程を示す縦断面図である。 金属製支柱を補強または補修する方法の一工程を示す縦断面図である。 金属製支柱を補強または補修する方法の一工程を示す縦断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は基本的に繰り返さない。
[1.補強または補修された金属製支柱構造]
図1に、本発明の補強または補修された金属製支柱構造の一例の一部切り欠き図を示す。図1では、一部切り欠きによって軸心を含む面で切断した場合の断面図(縦断面図)が示される。図2は、図1の金属製支柱構造を軸心方向に垂直な面で切断した場合の断面図(横断面図)である。図1および図2に示す補強または補修された金属製支柱構造100は、金属製支柱200と、第1の繊維強化樹脂シート311と、第2の繊維強化樹脂シート312と、金属製補強部材320とを含む。図1においては、金属製支柱構造のグラウンドレベルGLより下の地下埋設部を含む地際部付近を表示しており、上部は省略している。
[1−1.金属製支柱]
金属製支柱200は、照明柱、標識柱、および信号柱など、建築構造物の金属製支柱であってよい。金属製支柱200の材質としては特に限定されず、炭素鋼および鋳鋼などが挙げられる。本実施形態の金属製支柱200は中空管状であるが、本発明は、金属製支柱200が中実であることを除外するものではない。本実施形態の金属製支柱200の外周断面形状は円であるが、四角形その他の多角形を含む任意の形状であってよい。
金属製支柱200は、たとえば、外周の最大幅が50mm以上1000mm以下であってよく、中空の場合は肉厚が2mm以上30mm以下であってよい。
金属製支柱200は、地際部において、金属製支柱200の外周方向全体に亘る劣化部210を有する。劣化部210は、腐食によるものであってよい。具体的には、劣化部210は、地際部が水分に曝されるとともに、土壌成分、動物の排泄物、融雪剤などの腐食促進物により腐食が進んだものであってよい。本実施形態における劣化部210は全面腐食の態様である。劣化部210は、1mm以上の不陸があれば、樹脂により均されていてもよい。この場合の樹脂としては、後述の第1の繊維強化樹脂シートにおけるマトリックス樹脂として挙げるものであってよく、好ましくは、第1の繊維強化樹脂シートにおけるマトリックス樹脂と同じ樹脂であることにより、当該マトリックス樹脂と一体的に硬化されている。
なお、本発明では、劣化部210の有無を問わない。本実施形態では、当該劣化部210を補修して補強する例を示しているが、この態様に限定されるものではない。たとえば、金属製支柱200が比較的新しく地際部において劣化がほとんどない場合であっても、金属製支柱200の将来的な腐食などの劣化による強度低下を防止する目的を兼ねて補強されてもよい。
[1−2.第1の繊維強化樹脂シート]
第1の繊維強化樹脂シート311は、金属製支柱200の補強または補修すべき箇所、本実施形態では劣化部210全体を被覆している。第1の繊維強化樹脂シート311は、繊維にマトリックス樹脂が含浸されかつ当該マトリックス樹脂が硬化されていればよい。
繊維の形態としては特に限定されず、たとえば、トウ、クロス、チョップドファイバー、連続繊維などの繊維の方向を一方向に引き揃えた形態;連続繊維を経緯にして織物とした形態;トウの方向を一方向に引き揃え横糸補助糸で保持した形態;繊維の方向を一方向に引き揃えた複数の繊維シートを、それぞれ繊維の方向が異なるように重ね補助糸でステッチして留めたマルチアキシャルワープニットの形態;および、繊維の不織布の形態などが挙げられる。繊維方向が一方向である第1の繊維強化樹脂シート311を用いる場合、このような第1の繊維強化樹脂シート311は、繊維方向が金属製支柱200の軸方向に沿う方向となるように設けることが、曲げ耐力の向上の観点から好ましく、繊維方向が金属製支柱200の周方向に沿う方向となるように設けることが、後述の金属製補強部材320の剥離を抑制する観点から好ましい。
繊維は、PAN (ポリアクリロニトリル) 系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維などの炭素繊維;スチール繊維などの金属繊維;ガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維などの無機繊維;ならびに、アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、ポリアセタール、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール、高強度ポリプロピレンなどの有機繊維;ケナフ、麻などの天然繊維が挙げられる。これらの繊維は、単独または複数種を組み合わされて使用されてよい。比強度の観点からは、炭素繊維であることが好ましい。また、一般的に発生可能性は少ないとされるが、金属製支柱200と金属製補強部材320との自然電位差による電食発生の可能性を考慮すると、そのような電食発生さえ確実に防止する観点からは、第1の繊維強化樹脂シート311はガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維などの非導電性繊維が好ましい。
マトリックス樹脂としては特に限定されないが、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂の予備重合樹脂、ビスマレイミド樹脂、アセチレン末端を有するポリイミド樹脂及びポリイソイミド樹脂、ナジック酸末端を有するポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独または複数種が組み合わされて使用されてよい。
第1の繊維強化樹脂シート311は、1層のみ積層されていてもよいし、2層以上(たとえば2層以上4層以下、または2層以上3層以下で)積層されていてもよいが、通常は1層であってよい。あるいは、第1の繊維強化樹脂シート311の積層厚は、たとえば0.5mm以上5mm以下となるように積層されていてよい。
[1−3.金属製補強部材]
金属製補強部材320は、たとえば、炭素鋼、鋳鋼、鉄鋼、ステンレスなどの板材である。金属製補強部材320は、第1の繊維強化樹脂シート311上に貼設されている。具体的には、金属製支柱200の補強または補修すべき箇所、本実施形態では劣化部210全体を、第1の繊維強化樹脂シート311を介して被覆するように貼設されている。金属製補強部材320の厚みとしては、当業者が適宜決定することができ、劣化による肉厚減少で生じた剛性減少を補填し、健全状態同等の剛性を回復(補修)させ得る厚みであってもよいし、それ以上の剛性を付与(補強)させ得る厚みであってもよい。
本実施形態では、劣化部210が金属製支柱200の外周方向全体に亘るため、金属製補強部材320も金属製支柱200の外周全体を囲い込むように設けられる。図2に示すように、本実施形態においては、金属製補強部材320は金属製支柱200の外周面に沿う半割管を一対用いる。それぞれの金属製補強部材320は、端面324で接着剤樹脂によって互いに接着されている。
金属製補強部材320は、図1に示すように、金属製支柱200の軸方向の両端部分は、それぞれの末端に向かって肉薄となる傾斜面329が形成されている。傾斜面329は、金属製補強部材320の末端における肉厚が0mm超1mm以下となるように形成されてよい。あるいは、傾斜面329の勾配は、0%超10%以下となるように形成されてよい。このような傾斜面329が形成されていることにより、作用外力により発生する引張応力負荷を、後述の第2の繊維強化樹脂シート312の長繊維全体で適切に負担することができる。また傾斜面329で段差が解消されているため、第2の繊維強化樹脂シート312の金属製補強部材320に対する密着性に優れ、金属製補強部材320の防錆能に優れる。
金属製補強部材320の厚み(傾斜面329が形成されていない部分)は、たとえば0.5mm以上5mm以下であってよい。
金属製補強部材320の表面(少なくとも内側表面および外側表面327であってよく、内側表面、外側表面327および端面324の全ての面であってもよい)は、粗化されていてよい。この場合の表面粗さは、1μm以上100μm以下であってよい。これによって、第1の繊維強化樹脂シート311(および後述の第2の繊維強化樹脂シート312)との密着性、あるいはさらに端面324同士の密着性に優れる。
[1−4.第2の繊維強化樹脂シート]
第2の繊維強化樹脂シート312は、金属製補強部材320の外側表面327の全体を覆っている。第2の繊維強化樹脂シート312は、金属製補強部材320の外側表面327の全体を一度に覆うことが可能な形状および大きさを有するシートである。本実施形態では、第2の繊維強化樹脂シート312の1周分の巻回によって、一対の金属製補強部材320の外側表面327の全体がまとめて被覆されている。
本実施形態では、第2の繊維強化樹脂シート312が、金属製補強部材320よりも大きい形状および大きさのシートであることにより、金属製補強部材320の外側表面327と傾斜面329とを覆うとともに、第1の繊維強化樹脂シート311の外側表面にも密着している。第1の繊維強化樹脂シート311のマトリックス樹脂と、第2の繊維強化樹脂シート312のマトリックス樹脂とは一体的に硬化されており、その界面は互いに誘導する程度に十分に密着している。
第2の繊維強化樹脂シート312の繊維の形態、繊維の材質およびマトリックス樹脂の材質としては、前述の第1の繊維強化樹脂シート311の繊維の形態、繊維の材質およびマトリックス樹脂の材質といて挙げたものが同様に挙げられる。第2の繊維強化樹脂シート312は、繊維の形態、繊維の材質およびマトリックス樹脂の材質の点で、第1の繊維強化樹脂シート311と同じであることが好ましい。特にマトリックス樹脂が同じであることは、第1の繊維強化樹脂シート311のマトリックス樹脂と第2の繊維強化樹脂シート312のマトリックス樹脂との良好な一体的硬化態様が得られる点で好ましい。
第2の繊維強化樹脂シート312は、1層のみ積層されていてもよいし、2層以上(たとえば2層以上4層以下、または2層以上3層以下で)積層されていてもよいが、通常は1層であってよい。あるいは、第2の繊維強化樹脂シート312の積層厚が、たとえば0.5mm以上5mm以下となるように積層されていてよい。
なお、後述のケレン処理により金属下地が露出した部位の防錆目的、プリプレグシートの耐候性を向上させる目的、および色目を未補修部と合わせる目的などにより、処置部全体にさらに塗装が施されていてよい。
[2.補強または補修された金属製支柱構造の変形例]
図3は、補強または補修された金属製支柱構造の第1変形例を示す横断面図である。図4は、補強または補修された金属製支柱構造の第2変形例の一部縦断面図である。図5は、補強または補修された金属製支柱構造の第3変形例の横断面図である。図6は、補強または補修された金属製支柱構造の第4変形例の一部縦断面図である。
以下の変形例においては、主に上述の実施形態と異なる点について説明し、その他の部分は同じとして基本的に説明を省略する。
[2−1.第1変形例]
図3に示す補強または補修された金属製支柱構造100aは、金属製支柱200aと、第1の繊維強化樹脂シート311と、第2の繊維強化樹脂シート312と、金属製補強部材320aとを含む。補強または補修された金属製支柱構造100aにおいては、金属製支柱200aにおける劣化態様および金属製補強部材320aの大きさ・形状が、それぞれ、上述の補強または補修された金属製支柱構造100における金属製支柱200における劣化態様および金属製補強部材320の大きさ・形状と異なる。
金属製支柱200aには、劣化部210aが存在する。本変形例における劣化部210aは孔食の態様である。劣化部210aの孔食のように部分的に程度の激しい腐食が存在する場合、劣化部210aに樹脂Faが充填されていてよい。
樹脂Faとしては特に限定されないが、第1の繊維強化樹脂シート311および第2の繊維強化樹脂シート312に用いられるマトリックス樹脂として挙げたものと同様の樹脂が挙げられる。たとえば第1の繊維強化樹脂シート311のマトリックス樹脂と同じ樹脂であることは、第1の繊維強化樹脂シート311のマトリックス樹脂との良好な一体的硬化態様が得られる点で好ましい。
金属製補強部材320aは、劣化部210a全体を、第1の繊維強化樹脂シート311を介して被覆するように貼設されている。本変形例では、劣化部210aが金属製支柱200aの外周方向において部分的に存在するため、金属製補強部材320aも、劣化部210a全体を第1の繊維強化樹脂シート311を介して被覆できる限りにおいて、金属製支柱200aの外周方向の全体でなく部分的に占める大きさおよび形状のパッチ部材として用いられる。
金属製補強部材320aはパッチ部材であるため、その全周囲部に亘り傾斜面325が形成されていることが好ましい。傾斜面325は、上述の補強または補修された金属製支柱構造100における金属製補強部材320に形成されている傾斜面329と同様に、周囲に向かって肉薄となるように、金属製補強部材320の周囲における肉厚が0mm超1mm以下となるように形成されてよい。あるいは、傾斜面325の勾配は、0%超10%以下となるように形成されてよい。このような傾斜面325が形成されていることにより、第2の繊維強化樹脂シート312が傾斜面325を覆うため金属製補強部材320に対する密着性に優れ、金属製補強部材320aの防錆能に優れる。
[2−2.第2変形例]
図4に示す補強または補修された金属製支柱構造100bは、金属製支柱200と、第1の繊維強化樹脂シート311と、第2の繊維強化樹脂シート312と、金属製補強部材320bとを含む。補強または補修された金属製支柱構造100bにおいては、金属製補強部材320bの形状が、上述の補強または補修された金属製支柱構造100における金属製補強部材320の形状と異なる。
金属製補強部材320bは、端面328に傾斜面(図1における金属製補強部材320の傾斜面329参照)が形成されていない。その代わり、金属製補強部材320bの端面328にシーリング樹脂Fbが塗着されていてよい。シーリング樹脂Fbは、第1の繊維強化樹脂シート311と金属製補強部材320bとの高低差を滑らかにする。シーリング樹脂Fbは、端面328から離れるにつれシーリング樹脂Fbの厚みが小さくなるように、最も離れた地点における厚みが0mm超1mm以下となるように形成されてよい。あるいは、シーリング樹脂Fbの勾配は、0%超10%以下となるように形成されてよい。
シーリング樹脂Fbとしては特に限定されないが、第1の繊維強化樹脂シート311および第2の繊維強化樹脂シート312に用いられるマトリックス樹脂として挙げたものと同様の樹脂が挙げられる。たとえば第1の繊維強化樹脂シート311のマトリックス樹脂と同じ樹脂であることは、第1の繊維強化樹脂シート311のマトリックス樹脂および第2の繊維強化樹脂シート312との良好な一体的硬化態様が得られる点で好ましい。
第2の繊維強化樹脂シート312は、金属製補強部材320bの外側表面327およびシーリング樹脂Fbの表面を被覆する。
[2−3.第3変形例]
図5に示す補強または補修された金属製支柱構造100cは、金属製支柱200と、第1の繊維強化樹脂シート311と、第2の繊維強化樹脂シート312と、金属製補強部材320cとを含む。補強または補修された金属製支柱構造100cにおいては、金属製補強部材320cの形状および第1の繊維強化樹脂シート311の被覆態様が、それぞれ、上述の補強または補修された金属製支柱構造100における金属製補強部材320の形状および第1の繊維強化樹脂シート311の被覆態様と異なる。
金属製補強部材320cは、第1の繊維強化樹脂シート311の外側表面に貼設された状態において、互いの端面324cの間に隙間がある形状を有する点が、補強または補修された金属製支柱構造100における金属製補強部材320と異なる。
第1の繊維強化樹脂シート311は、金属製支柱200の劣化部210を被覆するとともに、一対の金属製補強部材320cの端面324c間の隙間を埋めるように折り返されている。これによって、金属製補強部材320cの端面324cは第1の繊維強化樹脂シート311に被覆され、外側表面327cは第2の繊維強化樹脂シート312に被覆される。
[2−4.第4変形例]
図6に示す補強または補修された金属製支柱構造100dは、金属製支柱200と、第1の繊維強化樹脂シート311と、第2の繊維強化樹脂シート312と、金属製補強部材320bとを含む。補強または補修された金属製支柱構造100dにおいては、金属製補強部材320bの形状ならびに第1の繊維強化樹脂シート311および第2の繊維強化樹脂シート312の被覆態様が、それぞれ、上述の補強または補修された金属製支柱構造100における金属製補強部材320の形状ならびに第1の繊維強化樹脂シート311および第2の繊維強化樹脂シート312の被覆態様と異なる。
金属製補強部材320bは、端面328に傾斜面(図1における金属製補強部材320の傾斜面329参照)が形成されていない。第1の繊維強化樹脂シート311は、端面328を被覆するように折り返されている。これによって、金属製補強部材320bの端面328は第1の繊維強化樹脂シート311に被覆され、外側表面327は第2の繊維強化樹脂シート312に被覆される。
[3.金属製支柱を補強または補修する方法]
図7から図11は、金属製支柱を補強または補修する方法の一例について、各工程を示す。図7から図11に説明する方法は、図1および図2に示す構造を得る方法の一例である。
[3−1.前処置]
図7に示すように、補強または補修すべき金属製支柱200の、グラウンドレベルGLから下の部分を掘削によって露出させ、補強または補修すべき部位である劣化部210を露出させる。劣化部210を含む所定の面(後述の第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’で被覆する面)は、金属製支柱200の金属下地が露出するまでケレン処理してよい。ケレン処理としては、ワイヤーブラシやディスクグラインダー、サンドブラストおよびブリストルブラストによる方法が挙げられる。ケレン処理によって、錆びが落とされ表面を均すことができ、また、表面が粗化されることにより、後述の第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’の接着力を上げることができる。
また、ケレン後においても1mm以上の不陸があれば、樹脂を塗布して不陸を均しておいてもよい。この場合の樹脂としては、後述の第1の繊維強化樹脂シートにおけるマトリックス樹脂として挙げるものを用いることができ、好ましくは、第1の繊維強化樹脂シートにおけるマトリックス樹脂と好ましい一体的硬化態様を得るために、当該マトリックス樹脂と同じ樹脂を用いることができる。
[3−2.第1被覆工程]
次に、図8に示すように、金属製支柱200の劣化部210を第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’で被覆する(第1被覆工程)。第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’は、上述の第1の繊維強化樹脂シート311の完全硬化前のものである。つまり、第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’は、上述の第1の繊維強化樹脂シート311で述べた繊維に、マトリックス樹脂が完全硬化されていない状態(未硬化または半硬化)で含浸されている。含浸されたマトリックス樹脂には、硬化剤および硬化促進剤が含まれていてよく、さらに、着色剤および各種添加剤などが含まれていてもよい。マトリックス樹脂が完全硬化されていないことにより、第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’は柔軟であり、該シート表面は粘着性を有する。
たとえば、第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’として、繊維方向が一方向に引き揃えられたものを用いる場合、繊維方向が金属製支柱200の軸方向に沿うように合わせ、金属製支柱200に巻き付けることができる。
[3−3.貼設工程]
第1被覆工程の後、図9に示すように、第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’の外側表面に金属製補強部材320を貼設する(貼設工程)。本実施形態では、金属製補強部材320として、金属製支柱200の外周面に沿う内周面形状を有する半割管を一対用いる態様を例示する。この半割管は、軸心方向の両端部分がそれぞれの末端に向かって肉薄となる傾斜面329が形成されている。
一対の半割管の対向する端面(図2における端面324参照)に速硬化型の接着剤を塗布し、金属製支柱200を取り囲むように、第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’の外側表面を被覆するとともに、端面同士を接着性樹脂により接着する。当該端面がケレン処理されていれば、端面同士の接着性はさらに優れる。
金属製補強部材320は、第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’の外側表面の粘着性によって仮固定された状態で貼設される。さらに、金属製補強部材320の内側表面がケレン処理されていれば、貼設時の接着性はさらに優れる。
[3−4.第2被覆工程]
貼設工程の後、図10に示すように、金属製補強部材320を第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’で被覆する(第2被覆工程)。第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’は、上述の第2の繊維強化樹脂シート312の完全硬化前のものである。つまり、第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’は、上述の第2の繊維強化樹脂シート312で述べた繊維に、マトリックス樹脂が完全硬化されていない状態(未硬化または半硬化)で含浸されている。含浸されたマトリックス樹脂には、硬化剤および硬化促進剤が含まれていてよく、さらに、着色剤および各種添加剤などが含まれていてもよい。マトリックス樹脂が完全硬化されていないことにより、第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’は柔軟であり、該シート表面は粘着性を有する。
たとえば、第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’として繊維方向が一方向に引き揃えられたものを用いる場合、繊維方向が金属製支柱200の軸方向に沿うように合わせ、金属製補強部材320の端面(図2における端面324参照)の継ぎ目を被覆して巻き付けることができる。
本実施形態においては、第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’の形状および大きさは、金属製補強部材320の外側表面327(図9参照)とともに、軸方向の両端部に形成された傾斜面329(図9参照)を被覆し、かつ、金属製補強部材320の周囲で、最内層である第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’にも接着することができるように構成されている。このため、内側表面が第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’に接着している金属製補強部材320は、外側表面327および傾斜面329は第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’によって被覆され、かつ、周囲では第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’と第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’との接着によってシールされ、腐食環境からより良好に遮蔽されることができる。したがって、より良好な防錆能を得ることができる。
[3−5.硬化工程]
第2被覆工程の後、図11に示すように、第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’および第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’を硬化させる。金属製支柱200に、第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’および第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’が被覆された箇所へシリコンラバーヒーター710を装着し、さらに、それら全体を覆うように構成された保温治具720を装着する。ヒーターを起動させて第1の繊維強化樹脂プリプレグシート311’および第2の繊維強化樹脂プリプレグシート312’(、および不陸を均すために樹脂が塗布された場合は当該塗布された樹脂)を熱硬化させる。これにより、第1の繊維強化樹脂シート311および第2の繊維強化樹脂シート312(図1および図2参照)が金属製補強部材320とともに金属製支柱200に固定される。
硬化工程が終了した後は、ケレン処理により金属下地が露出した部位の防錆目的、プリプレグシートの耐候性を向上させる目的、および色目を未補修部と合わせる目的などにより、処置部全体に、仕上げの塗装を施してよい。その後、グラウンドレベルGLより下の地中埋設部分を埋め戻して現状復帰させる。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の発明に限定されるものではない。
本実施例では、以下に示すように図7から図11の工程に基づいて、図1および図2に示す構造の補強された金属製支柱構造を得た。
(a)金属製支柱として、路面境界部が土砂にて埋め戻されている照明支柱(外径φ165.2mm、厚み5.0mmの一般構造用炭素鋼管)を対象にした。グラウンドレベルより約30cm掘り下げ、路面境界部を露出させた。ケレンにはMBX社製ブリストルブラスターを使用し、金属製支柱の下地の金属色が目視確認できるまで処理した。錆の発生で腐食進行が激しく、ケレン後の不陸が顕著な部分に対しては、熱硬化性エポキシ樹脂パテ剤を塗布し平滑な面を形成した。
(b)第1の繊維強化樹脂プリプレグシートとして、炭素繊維プリプレグシート(三菱レイヨン社製 UDプリプレグタフキュア 100g/m)を、幅520×高さ400mm(高さ方向と繊維方向が一致)に裁断した。この第1の繊維強化樹脂プリプレグシートを金属製支柱へ1周巻回させて貼り付けた。貼り付け方向は、第1の繊維強化樹脂プリプレグシートの高さ方向(つまり繊維方向)が金属製支柱の高さ方向に沿う方向とし、貼り付け範囲は、グラウンドレベル±200mmの範囲とした。
(c)金属製補強部材として、予めサンドブラスト処理された半割鋼管(外径φ176mm、高さ200mm、厚み5.0mm、軸方向の端部をテーパー加工、半割で一対となったもの)を用い、分割面(端面)に速硬化型エポキシ系接着剤を塗布し、第1の繊維強化樹脂プリプレグシート上へ、金属製支柱を囲むように仮固定した。この際、金属製補強部材の半割管の高さ100mmの点がグラウンドレベルと一致する位置で貼設した。
(d)第2の繊維強化樹脂プリプレグシートとして、炭素繊維プリプレグシート(三菱レイヨン社製 UDプリプレグタフキュア 100g/m)を、幅553×高さ400mm(高さ方向と繊維方向が一致)に裁断した。この第2の繊維強化樹脂プリプレグシートを、1周巻回させて貼り付けた。貼り付け方向は、第2の繊維強化樹脂プリプレグシートの高さ方向(つまり繊維方向)が金属製支柱の高さ方向に沿う方向とした。
その後、グラウンドレベルに相当する部位に、帯状のテフロン(登録商標)シート(553x10×1mm)を巻付け、更にその上からステンレス製結束バンドにて締め上げた。
(e)シリコンラバーヒーター710と保温治具720からなる専用の加熱装置一式を用い、10分で150℃まで昇温させ、トータル30分間維持した。その後、加熱装置を外した。この加熱によって、第1の繊維強化樹脂プリプレグシートおよび第2の繊維強化樹脂プリプレグシートは熱硬化されて固着し、機械強度、接着力、耐腐食性が発揮される。
(f)その後、ケレン処理により金属下地が露出した部位、およびプリプレグシートに、仕上げの塗装を施し、その後、グラウンドレベルGLより下の地中埋設部分を埋め戻して現状復帰させた。
当該金属製支柱の健全状態での断面係数Zは、97.8cmであった。これに対し、補強後の金属製支柱構造体の断面係数Zは112cmであった。したがって、健全状態の金属製支柱の断面係数に比べて約15%増しの強度を得ることができた。さらに、金属補強材はその全面を繊維強化樹脂シートで包囲されているため、腐食環境から遮蔽され、かつ、補強材自身が半割により継ぎ目が存在していることによる性能の劣化は阻止されている。従って、非常に耐久性に優れた構造体が得られた。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。
100,100a,100b,100c,100d,100d 補強または補修された金属製支柱構造
200,200a 金属製支柱
210,210a 劣化部(金属製支柱の補強または補修すべき部分)
311 第1の繊維強化樹脂シート
311’ 第1の繊維強化樹脂プリプレグシート
312 第2の繊維強化樹脂シート
312’ 第2の繊維強化樹脂プリプレグシート
320,320b,320c 金属製補強部材(金属製支柱の周方向の全部を覆う大きさを有するもの)
320a 金属製補強部材(金属製支柱の周方向の一部を覆う大きさを有するもの)
324c,328 端面
329 傾斜面(端部に向かって肉薄となるように形成されている部分)
327,327c (金属製補強部材の)外側表面
Fb シーリング樹脂

Claims (9)

  1. 金属製支柱の補強または補修すべき部分を第1の繊維強化樹脂プリプレグシートで被覆する第1被覆工程と、
    前記第1の繊維強化樹脂プリプレグシートの外側表面に金属製補強部材を貼設する貼設工程と、
    前記金属製補強部材の外側表面を、前記金属製補強部材の少なくとも前記外側表面の全てを覆う大きさおよび形状の第2の繊維強化樹脂プリプレグシートで被覆する第2被覆工程と、
    前記第1の繊維強化樹脂プリプレグシートおよび前記第2の繊維強化樹脂プリプレグシートのマトリックス樹脂を硬化させる硬化工程と、
    を含む、金属製支柱を補強または補修する方法。
  2. 前記金属製補強部材による貼設面積が、前記金属製支柱の周方向の一部を覆う大きさである、請求項1に記載の金属製支柱を補強または補修する方法。
  3. 前記金属製補強部材による貼設面積が、前記金属製支柱の周方向の全部を覆う大きさである、請求項1に記載の金属製支柱を補強または補修する方法。
  4. 前記金属製補強部材が、前記金属製支柱の表面形状に沿った割管状である、請求項1から3のいずれか1項に記載の金属製支柱を補強または補修する方法。
  5. 前記金属製補強部材の端面が、前記第1の繊維強化樹脂プリプレグシートおよび前記第2の繊維強化樹脂プリプレグシートの少なくともいずれかによって被覆されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の金属製支柱を補強または補修する方法。
  6. 前記金属製補強部材が、端部に向かって肉薄となるように形成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の金属製支柱を補強または補修する方法。
  7. 前記金属製補強部材の端面にシーリング剤樹脂が塗着されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の金属製支柱を補強または補修する方法。
  8. 前記金属製補強部材の外側表面および内側表面の表面粗さが1μm以上100μm以下である、請求項1から7のいずれか1項に記載の金属製支柱を補強または補修する方法。
  9. 金属製支柱の補強または補修すべき部分を被覆する第1の繊維強化樹脂シートと、
    前記第1の繊維強化樹脂シートの表面に貼設された金属製補強部材と、
    前記金属製補強部材の表面を被覆する、前記金属製補強部材の前記表面よりも大きい表面積を有する第2の繊維強化樹脂シートと、を含み、
    前記第1の繊維強化樹脂シートおよび前記第2の繊維強化樹脂シートにおける樹脂が一体的に硬化されている、
    補強または補修された金属製支柱構造。
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