JP6468003B2 - 永久磁石電動機 - Google Patents

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本発明は、永久磁石電動機の回転子の構造に関する。
従来の永久磁石電動機には、回転磁界を発生する固定子の内部に、永久磁石を備える回転子を回転可能に配置したインナーロータ型の電動機があり、例えば、空気調和機に搭載する送風ファンを回転駆動するためのブラシレスDCモータとして用いられる。
このような永久磁石電動機は、円筒形状の永久磁石と、永久磁石の中心軸に沿って配置されたシャフトと、永久磁石とシャフトの間に配置されたリブ部材を有する回転子を備えている。永久磁石は、磁石粉末を合成樹脂で固めることで形成されたプラスチックマグネットであり、リブ部材は、永久磁石とシャフトを連結する合成樹脂材である。このリブ部材の構造には、例えば、シャフトの軸方向の中心位置に形成された隔壁と、隔壁の軸方向の両側にシャフトを中心に放射状に形成される複数のリブとを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このリブ部材は、隔壁と複数のリブとが一体形成され、隔壁がシャフトを中心に軸方向に同じ高さで連続形成されているため、リブ部材の剛性が大きく、回転子自体の振動を減衰させる効果が低いという問題があった。例えば、リブ部材は、永久磁石(回転子)に作用するコギングトルクやトルクリップルなどの加振力によって回転子に発生する振動を減衰させる効果が低かった。
特許第3494887号公報
本発明は上記問題点に鑑み、リブ部材の剛性を小さくし、回転子自体の振動減衰効果を向上させることができる永久磁石電動機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の永久磁石電動機は、円筒形状の永久磁石と、永久磁石の中心軸に沿って配置されたシャフトと、永久磁石とシャフトの間に配置され夫々を連結するリブ部材とを有する回転子と、回転子の外周面に所定の間隔をもって対向するように配置される固定子とを備えたものであって、リブ部材は、シャフトに固定される内周部と、永久磁石を固定する外周部と、内周部と外周部を連結し内周部から外周部に向かって放射状に形成された複数のリブと、複数のリブの間をつなぐ隔壁とを有し、リブを介してリブ部材の周方向に隣り合う隔壁は、シャフトの軸方向の高さを異ならせるようにしたことを特徴とする。
本発明の永久磁石電動機によれば、複数の隔壁が軸方向に同じ高さで連続形成されていないため、リブ部材の剛性を小さくし、回転子自体の振動減衰効果を向上させることができる。
本発明の永久磁石電動機に用いられる回転子の第1の実施形態を示す永久磁石を省略した部分斜視図である。 図1の回転子のリブ部材の外周部を省略した部分斜視図である。 図1の回転子に対応する上面図である。 図3の回転子の断面図であり、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。 本発明の永久磁石電動機に用いられる回転子の第2の実施形態を示す永久磁石を省略した部分斜視図である。 図5の回転子のリブ部材の外周部を省略した部分斜視図である。 図5の回転子に対応する上面図である。 図7の回転子の断面図であり、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。 本発明の永久磁石電動機に用いられる回転子の第3の実施形態を示す永久磁石を省略した部分斜視図である。 図9の回転子のリブ部材の外周部を省略した部分斜視図である。 図9の回転子に対応する上面図である。 図11の回転子の断面図であり、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図、(c)はC−C断面図、(d)はD−D断面図である。 本発明の永久磁石電動機に用いられる回転子の第4の実施形態を示す永久磁石を省略した部分斜視図である。 図13の回転子のリブ部材の外周部を省略した部分斜視図である。 図13の回転子に対応する上面図である。 図15の回転子の断面図であり、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図、(c)はC−C断面図、(d)はD−D断面図、(e)はE−E断面図である。 図1の回転子を用いた永久磁石電動機を示す断面図である。 図13の永久磁石電動機に対応する上面図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1乃至図18は、本実施形態における永久磁石電動機を説明する図である。永久磁石電動機は、回転磁界を発生する固定子内に、永久磁石を備える回転子を回転可能に配置したインナーロータ型電動機であり、例えば、空気調和機に搭載する送風ファンを回転駆動するためのブラシレスDCモータとして用いられる。以下、永久磁石電動機に用いられる回転子の構造について第1乃至第4の実施形態を説明する。なお、共通する構成要素についての説明は、第1の実施形態で説明した後は第2の実施形態以降での説明を省略する。
第1の実施形態による回転子1は、図1乃至図4に示すように、円筒形状の永久磁石2と、永久磁石2の中心軸oに沿って配置されたシャフト3と、永久磁石2とシャフト3の間に配置されたリブ部材4を備えている。永久磁石2は、例えば、8極の磁極からなり、磁石粉末を合成樹脂で固めることで形成されたプラスチックマグネットである。
リブ部材4は、永久磁石2とシャフト3を連結するとともに、永久磁石2とシャフト3の間に伝わる振動を抑制するための部材であり、永久磁石2よりも剛性の低いPBT(ポリブチレンテレフタラート)やPET(ポリエチレンテレフタラート)などの合成樹脂で形成されている。リブ部材4は、円筒形状の外周部41と、外周部41の内径より小さい外径の円筒形状の内周部42と、外周部41と内周部42を連結する4つのリブ431〜434と、4つのリブ431〜434の隣り合う2つのリブの間に形成される4つの隔壁441〜444からなる隔壁部44とを備えている。外周部41と内周部42と、4つのリブ431〜434と隔壁部44がそれぞれ一体形成されている。
外周部41は、外周面に備えた外周凹部411に永久磁石2の内周面21が固定されている。内周部42は、シャフト3の周囲に固定されている。4つのリブ431〜434は、シャフト3を中心に周方向に等間隔に配置されシャフト3の軸を中心に内周部42から外周部41に向って放射状に形成されている。隔壁部44の4つの隔壁は、リブ間の上部に配置される上部隔壁441、443とリブ間の下部に配置される下部隔壁442、444からなり、リブ431とリブ432の間には上部隔壁441、リブ432とリブ433の間には下部隔壁442、リブ433とリブ434の間には上部隔壁443、リブ434とリブ431の間には下部隔壁444がそれぞれ形成されている。つまり、上部隔壁441、443と下部隔壁442、444は、シャフト3の軸方向に異なる高さに配置されている。
以上のように構成された回転子1は、上下一対の金型内に、予め成形した永久磁石2とシャフト3を配置した後、永久磁石2とシャフト3の間にリブ部材4となる合成樹脂を注入し、永久磁石2とシャフト3を合成樹脂で一体成形することにより成形される。このとき、リブ部材4の外周部41と内周部42が形成される。そして、永久磁石2は回転子1が形成された後に着磁される。
永久磁石電動機Mは、図17および図18に示すように、上述の第1の実施形態による回転子1と固定子5とを備えている。固定子5は、固定子鉄心51とインシュレータ52と固定子巻線53とを備えている。固定子鉄心51は、薄い鋼板を複数積層して円筒状に形成され、環状のバックヨーク部511とバックヨーク部511から内径側に延びる複数のティース部512とを備えている。この固定子鉄心51には、インシュレータ52を一体形成し、インシュレータ52を介してティース部512に固定子巻線53が巻回されている。
このように構成された固定子5は、固定子巻線53が巻回された固定子鉄心51をティース部512の先端面5121(固定子鉄心51の内周面)を除いてモールド樹脂でモールド成形して円筒状の外郭54を形成し、ティース部512の先端面5121が回転子1の外周面(永久磁石2の外周面22)に所定の間隔(いわゆるエアギャップ)をもって対向するように配置されている。永久磁石電動機Mは、例えば、回転子1のシャフト3に送風ファン(図示省略)が連結されて空気調和機に搭載される。
この第1の実施形態による回転子1によれば、4つのリブ431〜434のうち隣り合う2つのリブの間をシャフト3の軸方向に異なる高さに交互に配置した上部隔壁441、443と下部隔壁442、444でつなぐようにしたので、リブを介して隣り合う隔壁が連続して形成されないようになっている。従って、背景技術の欄に記載したリブ部材よりもリブ部材4の剛性を小さくし、回転子1自体の振動を減衰させる効果を向上させることができる。このリブ部材4により、例えば、回転子1(永久磁石2)に作用するコギングトルクやトルクリップルなどの加振力によって回転子1に生じる振動を減衰させる効果を向上させることができる。
第2の実施形態による回転子1は、図5乃至図8に示すように、第1の実施形態による回転子1と比べて隔壁部44のみが相違する構造になっている。隔壁部44の4つの隔壁は、リブ間の上端に配置される上端隔壁445、447とリブ間の下端に配置される下端隔壁446、448からなり、リブ431とリブ432の間には上端隔壁445、リブ432とリブ433の間には下端隔壁446、リブ433とリブ434の間には上端隔壁447、リブ434とリブ431の間には下端隔壁448がそれぞれ形成されている。つまり、上端隔壁445、447と下端隔壁446、448は、シャフト3の軸方向に異なる高さに配置されている。
この第2の実施形態による回転子1によれば、第1の実施形態による回転子1と同様に、4つのリブ431〜434のうち隣り合う2つのリブの間をシャフト3の軸方向に異なる高さに交互に配置した上端隔壁445、447と下端隔壁446、448でつなぐようにしたので、リブを介して隣り合う隔壁が連続して形成されないようになっている。従って、背景技術の欄に記載したリブ部材よりもリブ部材4の剛性を小さくし、回転子1自体の振動を減衰させる効果を向上させることができる。また、第1の実施形態による回転子1よりも、リブ部材4の形状がシャフト3の軸方向に沿って単純な形になっているので、リブ部材4を成形するための上下一対の金型を簡単な構造にすることができる。
第3の実施形態による回転子1は、図9乃至図12に示すように、第1の実施形態による回転子1と比べて隔壁部45のみが相違する構造になっている。隔壁部45の4つの隔壁は、リブ間の上部に配置される上部隔壁451とリブ間の中間に配置される中間隔壁452、454とリブ間の下部に配置される下部隔壁453からなり、リブ431とリブ432の間には下部隔壁453、リブ432とリブ433の間には中間隔壁454、リブ433とリブ434の間には上部隔壁451、リブ434とリブ431の間には中間隔壁452がそれぞれ形成されている。つまり、上部隔壁451と中間隔壁452、454と下部隔壁453は、シャフト3の軸方向に異なる高さに配置されている。
この第3の実施形態による回転子1によれば、第1の実施形態による回転子1よりも、4つのリブ431〜434のうち隣り合う2つのリブの間をシャフト3の軸方向に異なる高さに配置した上部隔壁451と中間隔壁452、454と下部隔壁453でつなぐようにしたので、リブを介して隣り合う隔壁が連続して形成されないようになっている。従って、背景技術の欄に記載したリブ部材よりもリブ部材4の剛性を小さくし、回転子1自体の振動を減衰させる効果を向上させることができる。
第4の実施形態による回転子1は、図13乃至図16に示すように、第1の実施形態による回転子1と比べて、リブ部材4が4つのリブ431〜434の代わりに8つのリブ461〜468を備え、8つのリブ461〜468の隣り合う2つのリブの間に形成される8つの隔壁471〜478からなる隔壁部47を備えた構造になっている。8つのリブ461〜468は、第1の実施形態による回転子1と同様に、シャフト3を中心に周方向に等間隔に配置されシャフト3の軸方向に沿って形成されている。
隔壁部47の8つの隔壁は、リブ間の上部に配置される上部隔壁471、475とリブ間の中間に配置される中間隔壁472、474、476、478とリブ間の下部に配置される下部隔壁473、477とからなる。リブ461とリブ462の間には上部隔壁471、リブ462とリブ463の間には中間隔壁472、リブ463とリブ464の間には下部隔壁473、リブ464とリブ465の間には中間隔壁474、リブ465とリブ466の間には上部隔壁475、リブ466とリブ467の間には中間隔壁476、リブ467とリブ468の間には下部隔壁477、リブ468とリブ461の間には中間隔壁478がそれぞれ形成されている。つまり、上部隔壁471、475と中間隔壁472、474、476、478と下部隔壁473、477は、シャフト3の軸方向に異なる高さに配置されている。
この第4の実施形態による回転子1によれば、第3の実施形態による回転子1と同様に、8つのリブ461〜468のうち隣り合う2つのリブの間をシャフト3の軸方向に異なる高さに配置した上部隔壁471、475と中間隔壁472、474、476、478と下部隔壁473、477でつなぐようにしたので、リブを介して隣り合う隔壁が連続して形成されないようになっている。従って、背景技術の欄に記載したリブ部材よりもリブ部材4の剛性を小さくし、回転子1自体の振動を減衰させる効果を向上させることができる。
なお、永久磁石電動機Mの運転中、回転子1の強度は、発生トルクや断続運転による繰返し応力に耐え得る強度が必要であり、リブ部材4は、この回転子1の強度を考慮しつつ、回転子1自体の振動を減衰させる効果を損なわない範囲で、第1乃至第3の実施形態のような4つのリブと隔壁、第4の実施形態のような8つのリブと隔壁に限らず、リブと隔壁の数を適宜設定することができる。
1 回転子
2 永久磁石
21 内周面
22 外周面
3 シャフト
4 リブ部材
41 外周部
411 外周凹部
42 内周部
431〜434 リブ
44 隔壁部
441、443 上部隔壁
442、444 下部隔壁
445、447 上端隔壁
446、448 下端隔壁
45 隔壁部
451 下部隔壁
452、454 中間隔壁
453 上部隔壁
461〜468 リブ
47 隔壁部
471、475 上部隔壁
472、474、476、478 中間隔壁
473、477 下部隔壁
5 固定子
51 固定子鉄心
511 バックヨーク部
512 ティース部
5121 先端面
52 インシュレータ
53 固定子巻線
54 外郭
M 永久磁石電動機
O 中心軸

Claims (1)

  1. 円筒形状の永久磁石と、前記永久磁石の中心軸に沿って配置されたシャフトと、前記永久磁石と前記シャフトの間に配置され夫々を連結するリブ部材とを有する回転子と、前記回転子の外周面に所定の間隔をもって対向するように配置される固定子とを備えた永久磁石電動機であって、
    前記リブ部材は、前記シャフトに固定される内周部と、前記永久磁石を固定する外周部と、前記内周部と前記外周部を連結し前記内周部から前記外周部に向かって放射状に形成された複数のリブと、前記複数のリブの間をつなぐ隔壁とを有し、
    前記リブを介して前記リブ部材の周方向に隣り合う前記隔壁は、前記シャフトの軸方向の高さを異ならせるようにしたことを特徴とする永久磁石電動機。
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