JP6117794B2 - ロータおよびモータ - Google Patents

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Description

本発明は、ロータおよびモータに関する。
従来、様々な装置や製品の駆動源としてモータが用いられている。例えば、プリンタや複写機等の事務機器、様々な家電製品、自動車や電動自転車等の車両のアシスト動力源の用途で採用されている。特に、動作頻度の高い可動部品の駆動源として、耐久性や電気ノイズの観点からブラシレスモータが使われる場合がある。
このようなブラシレスモータの一種として、ロータに永久磁石を埋め込んだ埋込磁石型(Interior Permanent Magnet)が知られている。例えば、ロータヨークに板状の複数の磁石が放射状に埋め込まれているとともに、隣接する磁石の同極同士がヨークの周方向において互いに対向するように各磁石が配置されている電動機がある(例えば、特許文献1参照)。
特許第3425176号公報
しかしながら、上述の電動機のロータヨークにおいて外周部における平均磁束密度を向上させるためには、残留磁束密度の高い磁石を用いることが一案であるが、コストの上昇を招いてしまうという解決すべき課題がある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、モータが備えるロータ外周部の平均磁束密度を高める技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のロータは、円形のロータコアと、複数の板状マグネットとを備える。ロータコアは、回転軸を中心に放射状に形成された複数のマグネット収容部を有する。板状マグネットは、隣接するマグネットと同じ磁極同士がロータコアの周方向において対向するようにマグネット収容部に収容されている。そして、ロータは、板状マグネットの磁極がある面の表面積をS[mm]、ロータコアの外周面の表面積をS[mm]、ロータの磁極数をP、ロータコアの最大外径をDr[mm]、ロータコアの周方向における板状マグネットの平均厚みをLm[mm]とすると、S1>S2/P・・・式(1)、0.665×10−4×P−0.28×10−2×P+0.577×10−1<(Lm/Dr)<3.38×10−4×P−1.86×10−2×P+3.36×10−1・・・式(2)を満たす。
この態様によると、マグネット1個あたりのロータコアの外周面の表面積S/Pが、板状マグネットの磁極がある面の表面積Sより小さくなる。つまり、マグネットの磁極がある面から出た磁力線が、より狭い領域であるロータの外周部を通過するため、ロータとステータとのギャップ部での平均磁束密度をマグネットの残留磁束密度以上にすることが可能となる。また、ロータの磁極数とロータコアの最大外径と板状マグネットの平均厚みとの関係が上述の式(2)を満たすように各値を適切に選択することで、ロータの平均磁束密度をより高めることができる。
ロータコアは、複数の電磁鋼板または冷延鋼板を積層したものであり、電磁鋼板または冷延鋼板の厚みをT[mm]、隣接する板状マグネット同士の最短距離をWb[mm]とすると、Wb≦5T・・・式(3)を満たしてもよい。マグネット同士の最短距離が広いと、ヨークコアにおける磁気ショートによる有効磁束が低下する傾向にある。そこで、マグネット同士の最短距離Wbを式(3)を満たすように設計することで、有効磁束(換言するとロータ外周部での平均磁束密度)の低下を抑制できる。
マグネット収容部は、ロータコアの径方向であってロータコアの中心側の端部に、板状マグネットが収容された状態で隙間となる径方向逃がし部が形成されていてもよい。径方向逃がし部は、収容されている板状マグネットのロータコア中心側端面からロータコアの中心に向かって延びるように設けられていてもよい。これにより、マグネット収容部へ板状マグネットを挿入する際の作業性が向上する。また、各マグネットから出る磁束がロータコア内で短絡(磁気ショート)することが抑制される。また、径方向逃がし部は、ロータコアの中心に向かって延びているので、板状マグネット同士の最短距離をより小さくできる。
マグネット収容部は、ロータコアの径方向であってロータコアの中心側と反対側の端部に、板状マグネットが収容された状態で隙間となる周方向逃がし部が形成されていてもよい。周方向逃がし部は、収容されている板状マグネットの磁極表面からロータコアの周方向に向かって延びるように設けられていてもよい。これにより、マグネット収容部へ板状マグネットを挿入する際の作業性が向上する。また、各マグネットから出る磁束がロータコア内で短絡(磁気ショート)することが抑制される。
ロータの磁極数Pは、12極、14極、16極、18極、20極のいずれかであってもよい。これにより、平均磁束密度をより高めることができる。
板状マグネットのロータコア周方向の厚みLmは、1mm〜25mmの範囲であってもよい。
ロータコアの最大外径Drは、35mm〜200mmの範囲であってもよい。
本発明の別の態様は、モータである。このモータは、複数の巻線が配置されている筒状のステータと、ステータの中心部に設けられている上述のロータと、ステータの複数の巻線に給電する給電部と、を備えている。
この態様によると、ロータ外周部の平均磁束密度を高めることができ、モータトルクの向上に寄与する。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、モータが備えるロータ外周部の平均磁束密度を高めることができる。
第1の実施の形態に係るブラシレスモータの断面図である。 第1の実施の形態に係るロータの分解斜視図である。 図3(a)は、軸受を除く各部材を回転シャフトに取り付けた状態のロータの斜視図、図3(b)は、軸受を含む各部材を回転シャフトに取り付けた状態のロータの斜視図である。 図4(a)は、第1の実施の形態に係るロータコアの上面図、図4(b)は、図4(a)に示すロータコアにθマグネットを嵌め込んだ状態を示す上面図である。 図5(a)は、図4(a)のA領域の拡大図、図5(b)は、図4(a)のB領域の拡大図である。 ステータコアの上面図である。 巻線を巻き付けるインシュレータの斜視図である。 図8(a)は、本実施の形態に係るステータおよびロータの上面図、図8(b)は、本実施の形態に係るステータおよびロータの斜視図である。 磁極数Pとθマグネット厚み(Lm[mm])/ロータコア最大外径(Dr[mm])とに応じたロータのマグネット配置を模式的に列挙した図である。 各磁極数ごとにθマグネット厚み/ロータコア最大外径(Lm/Dr)とギャップ部での平均磁束密度Bgとの関係を示した図である。 Bg/Br>1.0となる磁極数Pとθマグネット厚み/ロータコア最大外径(Lm/Dr)との関係を示した図である。 図12(a)は、第2の実施の形態に係る逃がし部のないロータコアの上面図、図12(b)は、第2の実施の形態に係る逃がし部がなく外周が分断されたロータコアの上面図である。 図13(a)は、第3の実施の形態に係るロータコアの上面図、図13(b)は、第3の実施の形態の変形例に係るロータコアの上面図である。 図14(a)は、図13(a)のC領域の拡大図、図14(b)は、図13(a)のD領域の拡大図である。 図15(a)〜図15(c)は、第4の実施の形態に係るロータコアの一例を示す上面図である。 図16(a)は、第1の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図、図16(b)は、図16(a)のG領域の拡大図である。 図17(a)〜図17(h)は、第1の変形例に係るロータコアの他の例を示す上面図である。 図18(a)は、第2の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図、図18(b)は、図18(a)のH領域の拡大図である。 図19(a)〜図19(h)は、第2の変形例に係るロータコアの他の例を示す上面図である。 図20(a)は、第3の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図、図20(b)は、図20(a)のI領域の拡大図である。 図21(a)〜図21(h)は、第3の変形例に係るロータコアの他の例を示す上面図である。 図22(a)、図22(b)は、第4の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図である。 図23(a)、図23(b)は、第5の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図である。 図24(a)、図24(b)は、第6の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。以下では、インナーロータタイプのブラシレスモータを例に説明する。
(第1の実施の形態)
[ブラシレスモータ]
図1は、第1の実施の形態に係るブラシレスモータの断面図である。第1の実施の形態に係るブラシレスモータ(以下、「モータ」と称する場合がある。)100は、フロントベル10と、ロータ12と、ステータ14と、エンドベル16と、ハウジング18と、給電部20と、を備える。
フロントベル10は、板状の部材であり、中央に回転シャフト24が貫通できるように孔10aが形成されているとともに、孔10aの近傍に軸受22aを保持する凹部10bが形成されている。また、エンドベル16は、板状の部材であり、中央に回転シャフト24が貫通できるように孔16aが形成されているとともに、孔16aの近傍に軸受22bを保持する凹部16bが形成されている。ハウジング18は、筒状の部材である。そして、フロントベル10、エンドベル16およびハウジング18は、モータ100の筐体を構成する。
[ロータ]
図2は、第1の実施の形態に係るロータの分解斜視図である。図3(a)は、軸受を除く各部材を回転シャフト24に取り付けた状態のロータの斜視図、図3(b)は、軸受を含む各部材を回転シャフト24に取り付けた状態のロータの斜視図である。
ロータ12は、円形のロータコア26と、複数のθマグネット28と、を備える。ロータコア26の中心には、回転シャフト24が挿入された状態で固定される貫通孔26aが形成されている。また、ロータコア26は、θマグネット28が挿入され固定される複数のマグネット収容部26bを有する。θマグネット28は、マグネット収容部26bの形状に対応した板状の部材である。
そして、これら各部材を順に組み立てる。具体的には、複数(16個)のθマグネット28のそれぞれを、対応するマグネット収容部26bに嵌め込み、そのロータコア26の貫通孔26aに回転シャフト24を挿入する。そして、軸受22aは、スペーサ30aを介して回転シャフト24に取り付けられる。また、軸受22bは、スペーサ30bおよび軸受用スペーサ32を介して回転シャフト24に取り付けられる。
[ロータコア]
図4(a)は、第1の実施の形態に係るロータコア26の上面図、図4(b)は、図4(a)に示すロータコア26にθマグネット28を嵌め込んだ状態を示す上面図である。ロータコア26は、複数の板状の部材を積層したものである。複数の板状の部材のそれぞれは、無方向性電磁鋼板(例えばケイ素鋼板)からプレス加工によって図4(a)に示すような所定の形状で打ち抜くことで作製される。そして、マグネット収容部26bは、ロータコア26の回転軸を中心に放射状に形成されている。
θマグネット28は、図4(b)に示すように、隣接するθマグネットと同じ磁極同士がロータコア26の周方向θにおいて対向するようにマグネット収容部26bに収容されている。つまり、θマグネット28は、略直方体の6つの面のうち表面積の広い2つの主面28a,28bがそれぞれN極とS極となるように構成されている。これにより、θマグネット28の主面28aから出た磁力線は、2つのθマグネット28の間の領域からロータコア26の外に向かう。その結果、本実施の形態に係るロータ12は、その外周部に、N極とS極が交互に8極ずつ計16極ある磁石として機能する。
なお、θマグネット28は、例えば、ボンド磁石や焼結磁石である。ボンド磁石は、ゴムや樹脂などに磁性材を練り込みんで射出成形または圧縮成形した磁石であり、後加工をしなくても高精度のC面(斜面)やR面を得られる。一方、焼結磁石は、粉末状の磁性材を高温で焼き固めた磁石であり、ボンド磁石よりも残留磁束密度を向上させやすいが、高精度のC面やR面を得るためには後加工が必要な場合が多い。
本実施の形態に係るロータ12は、その外周部での平均磁束密度を向上するために、以下の関係を満たすように設定されている。具体的には、θマグネット28の磁極がある主面28a(28b)の表面積をS[mm]、ロータコア26の外周面26cの表面積をS[mm]、ロータ12の磁極数をP(本実施の形態では16極)とすると、
>S/P
を満たすようにロータ12が構成されている。
この場合、θマグネット1個あたりのロータコア26の外周面26cの表面積S/Pが、θマグネット28の磁極がある主面28a(28b)の表面積Sより小さくなる。つまり、一つのθマグネット28の磁極がある主面28a(28b)から出た磁力線が、より狭い領域であるロータ12の外周面の一部領域(表面積S/P)から外へ向かうことで、ロータ12とステータ14とのギャップ部での平均磁束密度をθマグネット28の残留磁束密度以上にすることが可能となる。その結果、ロータ12の外周部での平均磁束密度を向上できる。
次に、マグネット収容部26bについて更に詳述する。図4(a)に示すように、ロータコア26のロータ径方向の両端には、θマグネット28が収容された状態で隙間となる周方向逃がし部34a,34bが形成されている。
図5(a)は、図4(a)のA領域の拡大図、図5(b)は、図4(a)のB領域の拡大図である。
図5(a)に示すようにマグネット収容部26bは、ロータコア26の径方向であってロータコアの中心側の端部に、θマグネット28が収容された状態で隙間となる周方向逃がし部34aが形成されている。周方向逃がし部34aは、収容されているθマグネット28の磁極がある主面28a,28bからロータコア26の周方向θに向かって延びるように設けられている。
ロータコア26を構成する電磁鋼板または冷延鋼板の一枚の厚みをT[mm]とすると、周方向逃がし部34aは、周方向θの厚みtが、t≦3T、より好ましくはt≦2Tを満たすように設定されており、径方向rの厚みtが、t≦3T、より好ましくはt≦2Tを満たすように設定されている。また、周方向逃がし部34aのR1面、R2面の半径は、1.5T以下、より好ましくは1.0T以下である。また、隣接する周方向逃がし部34aとの間隔Gは、1.0T程度である。
また、マグネット収容部26bは、ロータコア26の径方向であってロータコアの中心側と反対側の端部に、θマグネット28が収容された状態で隙間となる周方向逃がし部34bが形成されている。周方向逃がし部34bは、収容されているθマグネット28の磁極がある主面28a,28bからロータコア26の周方向θに向かって延びるように設けられている。
周方向逃がし部34bは、周方向θの厚みtが、t≦3T、より好ましくはt≦2Tを満たすように設定されており、径方向rの厚みtが、t≦3T、より好ましくはt≦2Tを満たすように設定されている。また、周方向逃がし部34bのR3面、R4面の半径は、1.5T以下、より好ましくは1.0T以下である。また、周方向逃がし部34bとロータコア26の外周面26cとの間の厚みtは、1.0T程度である。また、外周面26cを環状の連続面とすることで、ロータコア26の剛性を高めることができる。
マグネット収容部26bは、周方向逃がし部34aや周方向逃がし部34bを有することで、ロータコア26にθマグネット28が挿入される際に、θマグネット28の角部(エッジ部)との干渉が抑えられる。そのため、θマグネット28の形状、特に角部の形状の自由度が増し、R面やC面のないθマグネット28であっても、マグネット収容部26bへ挿入する際の作業性が向上する。また、各θマグネット28の主面28aから出た磁束のうち、ロータコア26内を経由して反対側の主面28bに向かう無効磁束が、比透磁率の低い空気で満たされた周方向逃がし部34a,34bによって妨げられ、ロータコア26内で短絡(磁気ショート)することが抑制される。
一方、θマグネット28の磁極がある主面28a,28bの一部が、周方向逃がし部34a,34bによりロータコア26に接触しなくなるため、θマグネット28の主面28aから出てギャップ部を経由して主面28bに入る有効磁束が減少する可能性がある。しかしながら、θマグネット28として、角部のC面(斜めにした面)若しくはR面がないものの残留磁束密度が高い焼結磁石を用いることができるので、ロータ12として所望の平均磁束密度を実現することができる。
なお、隣接するθマグネット28同士の最短距離をWb[mm](図4(b)参照)とすると、Wb≦7T、より好ましくはWb≦5Tを満たすように設定されている。θマグネット28同士の最短距離が広いと、ロータコア26内における磁気ショートによる無効磁束が増加し、ロータ12とステータ14とのギャップ部での有効磁束が低下する傾向にある。そこで、マグネット同士の最短距離Wbを上述の式を満たすように設計することで、有効磁束(換言するとロータ外周部での平均磁束密度)の低下を抑制できる。
[ステータ]
次に、ステータ14の構造について詳述する。図6は、ステータコアの上面図である。図7は、巻線を巻き付けるインシュレータの斜視図である。図8(a)は、本実施の形態に係るステータおよびロータの上面図、図8(b)は、本実施の形態に係るステータおよびロータの斜視図である。
ステータコア36は、円筒状の部材であり、複数枚の板状のステータヨーク38が積層されたものである。ステータヨーク38は、複数本(本実施の形態では12本)のティース40が環状部の内周から中心に向かって形成されている。
各ティース40には、図7に示す一体型のインシュレータ42が取り付けられる。次に、ティース40ごとにインシュレータ42の上から導体を巻き付けてステータ巻線43を形成する。そして、このような工程を経て完成したステータ14の中心部にロータ12を配置する(図8参照)。なお、ティースの幅が先端部に向かって広がっている場合、複数に分割したインシュレータをティースの上下から取り付けてもよい。
[θマグネットの数と形状]
ところで、本実施の形態に係るモータ100のように、埋込磁石型のインナーロータタイプのブラシレスモータの場合、θマグネット28の数や形状は、ロータコア26の大きさに応じてある程度選択できる。一方で、θマグネット28の数や形状を適当に選択しただけでは、性能のよい(例えば高トルク)モータを実現できない。
そこで、本発明者が鋭意検討したところ、ロータコア26の直径Dr[mm]に対して、θマグネット28の数(換言するとロータ12の磁極数P)や、θマグネット28のロータコア26の周方向におけるθマグネット28の厚みLm[mm]を最適化することで、θマグネット28の残留磁束密度Brに対するロータ12の外周部の平均磁束密度Bgを向上させることができる点に想到した。
以下、シミュレーション等による解析結果と合わせて説明する。図9は、磁極数Pとθマグネット厚み(Lm[mm])/ロータコア最大外径(Dr[mm])とに応じたロータのマグネット配置を模式的に列挙した図である。なお、ロータコアの形状が真円の場合、直径と最大外径は一致する。所定の大きさのロータコア26にθマグネット28を配置する場合、図9に示すように、θマグネット28の数(磁極数P)が多いほど、隣接するθマグネット28との干渉を避けるためにθマグネットのロータコア径方向の長さが短くなる。つまり、θマグネット28の磁極がある主面の面積が小さくなる。
また、同じ磁極数の場合、図9に示すように、θマグネット28のロータコア周方向の厚みLmが大きいほど、隣接するθマグネット28との干渉を避けるためにθマグネット28のロータコア径方向の長さが短くなる。つまり、θマグネット28の磁極がある主面の面積が小さくなる。
そこで、本発明者は、図9に示す構成の各ロータの外周部(ロータとステータとのギャップ部)における磁束密度が、磁極数Pやθマグネット厚みLm/ロータコア最大外径Drの変化に応じてどのように変化するか解析した。具体的には、磁極数Pを8、12、16、20、24と変化させ、また、θマグネット厚み/ロータコア最大外径(Lm/Dr)を2%〜24%の範囲で変化させた場合について解析した。
図10は、各磁極数ごとにθマグネット厚み/ロータコア最大外径(Lm/Dr)とギャップ部での平均磁束密度Bgとの関係を示した図である。なお、縦軸は、ギャップ部での磁束密度をθマグネットの残留磁束密度Brで除算して規格化してある。また、解析に用いたθマグネットの残留磁束密度Brは1[T]、ギャップ部は、ロータコア最大外径Drの1%の幅とした。
図10に示すように、磁極数Pがいずれの場合も、Lm/Drの値が2%から増加するに従ってBg/Brの値も増加するが、その後Bg/Brの値はピークを経て、Lm/Drの値が更に増加すると、Bg/Brの値は減少に転ずる。これは、図9に列挙されているように、同じ磁極数の場合、θマグネットの厚みLmを増すと、θマグネット同士の干渉を避けるためにロータコア径方向の長さを短くしなければならず、θマグネットの磁極となる主面の面積が減少するためと考えられる。
このような解析結果から、Bg/Br>1.0の範囲では、θマグネットの残留磁束密度Brよりもロータとステータとのギャップ部における平均磁束密度Bgが高いため、Lm/Drの値は、Bg/Br>1.0となる範囲が好ましいことがわかる。
図11は、Bg/Br>1.0となる磁極数Pとθマグネット厚み/ロータコア最大外径(Lm/Dr)との関係を示した図である。つまり、図10に示した各磁極数Pに応じた凸曲線において、Bg/Br>1.0となるLm/Drの範囲の上限値、下限値を示したものである。また、最大値とは、各磁極数におけるBg/Brの値が最大(ピーク)となるLm/Drの値である。
したがって、図11に示す上限値(三角点)を結ぶ曲線と下限値(四角点)を結ぶ曲線との間に含まれるように、磁極数Pとθマグネット厚み/ロータコア最大外径(Lm/Dr)を選択することで、モータが備えるロータ外周部の平均磁束密度を高めることができる。
具体的には、磁極数をP、ロータコアの最大外径をDr[mm]、ロータコアの周方向におけるθマグネットの厚みをLm[mm]とし、上限値を結ぶ曲線と下限値を結ぶ曲線の近似式を算出した。その結果、
0.665×10−4×P−0.28×10−2×P+0.577×10−1<(Lm/Dr)<3.38×10−4×P−1.86×10−2×P+3.36×10−1
を満たすようにθマグネット28の数と形状を構成するとよい。
また、図10に示す各磁極数におけるBg/Brの最大値を考慮すると、ロータの磁極数Pは、12極、14極、16極、18極、20極のいずれかが好ましい。このような磁極数の場合、θマグネット厚み/ロータコア最大外径(Lm/Dr)を最適化することで、ロータ12の外周部の平均磁束密度Bgをθマグネット28の残留磁束密度Brの約1.3倍以上に高めることができる。
ここで、ロータコア26(ロータ12)の最大外径は、例えば、35mm〜200mmである。また、ロータコア26の貫通孔26aの直径(回転シャフト24の直径)は、例えば、5mm〜40mmである。また、θマグネット28が略直方体の場合、その大きさは、例えば、ロータコアの周方向θの厚みが1mm〜25mm、ロータコア26の径方向rの幅が5mm〜80mm、ロータの回転軸方向の長さが8mm〜32mmである。また、ロータコア26を構成する電磁鋼板の一枚の厚みは、例えば、0.2mm〜1.0mmである。また、θマグネット28の磁気特性は、例えば、残留磁束密度Brが0.4T〜1.5T、保持力Hcbが320kA/m〜1200kA/mである。
(第2の実施の形態)
以下の各実施の形態では、ロータコアの変形例について説明する。図12(a)は、第2の実施の形態に係る逃がし部のないロータコアの上面図、図12(b)は、第2の実施の形態に係る逃がし部がなく外周が分断されたロータコアの上面図である。
図12(a)に示すロータコア44は、第1の実施の形態に係るロータコア26と同様に、θマグネットが挿入され固定される複数のマグネット収容部44bを有する。マグネット収容部44bは、第1の実施の形態に係るロータコア26と異なり逃がし部を有していない。
そのため、マグネット収容部44bのロータコア径方向中心側において、ロータコア26のように周方向逃がし部34a同士の干渉を考慮しなくてもよいため、マグネット収容部44bをロータコア径方向に延ばすことができる。つまり、よりロータコア径方向の長さが大きなθマグネット28を収容することができるため、θマグネット28の主面(磁極がある面)の有効磁束を増加(トルクアップ)できる。また、逃がし部がないため、マグネット収容部44bに収容されたθマグネット28の主面側に空洞が生じず、ロータコア26の外周部に向かう有効磁束の減少が避けられる。
なお、逃がし部がないマグネット収容部44bの場合、角部がC面やR面となっているθマグネット28を用いることでθマグネット28の挿入の際の作業性を向上できる。そのため、後加工をせずに成型時にC面やR面を角部に形成できるボンド磁石が好適である。なお、角部にC面やR面を形成できるのであれば、焼結磁石でもよい。
図12(b)に示すロータコア46は、複数のマグネット収容部46bを有する。マグネット収容部46bは、第1の実施の形態に係るロータコア26と異なり逃がし部を有していないが、ロータコア径方向の外周面46cに切断部46aが形成されている。そのため、ロータコア46の外周部での磁気ショートが抑制される。
(第3の実施の形態)
図13(a)は、第3の実施の形態に係るロータコアの上面図、図13(b)は、第3の実施の形態の変形例に係るロータコアの上面図である。図14(a)は、図13(a)のC領域の拡大図、図14(b)は、図13(a)のD領域の拡大図である。
図13(a)に示すロータコア48は、放射状に形成された複数のマグネット収容部48bを有する。マグネット収容部48bは、ロータコア48の径方向rであってロータコアの中心側の端部に、θマグネット28が収容された状態で隙間となる径方向逃がし部50aが形成されている。径方向逃がし部50aは、収容されているθマグネット28の磁極がある主面28a(28b)と同一平面を有している。また、径方向逃がし部50aは、収容されているθマグネット28のロータコア中心側の端面28cからロータコア48の中心に向かって延びるように設けられている。
ロータコア48を構成する電磁鋼板の一枚の厚みをT[mm]とすると、径方向逃がし部50aは、周方向θの厚みtが、t≦3T、より好ましくはt≦2Tを満たすように設定されており、径方向rの厚みtが、t≦3T、より好ましくはt≦2Tを満たすように設定されている。また、径方向逃がし部50aのR5面、R6面の半径は、1.5T以下、より好ましくは1.0T以下である。また、隣接する径方向逃がし部50aとの間隔Gは、1.0T程度である。
また、マグネット収容部48bは、ロータコア48の径方向rであってロータコアの中心側と反対側の端部に、θマグネット28が収容された状態で隙間となる径方向逃がし部50bが形成されている。径方向逃がし部50bは、収容されているθマグネット28の磁極がある主面28a,28bと同一平面を有している。また、径方向逃がし部50bは、収容されているθマグネット28のロータコア中心側と反対側の端面28dからロータコア48の外周面48cに向かって延びるように設けられている。
径方向逃がし部50bは、周方向θの厚みtが、t≦3T、より好ましくはt≦2Tを満たすように設定されており、径方向rの厚みtが、t≦3T、より好ましくはt≦2Tを満たすように設定されている。また、径方向逃がし部50bのR7面、R8面の半径は、1.5T以下、より好ましくは1.0T以下である。また、径方向逃がし部50bとロータコア48の外周面48cとの間の厚みt10は、1.0T程度である。
マグネット収容部48bは、径方向逃がし部50aや径方向逃がし部50bを有することで、ロータコア48にθマグネット28が挿入される際に、θマグネット28の角部(エッジ部)との干渉が抑えられる。そのため、θマグネット28の形状、特に角部の形状の自由度が増し、R面やC面のないθマグネット28であっても、マグネット収容部48bへ挿入する際の作業性が向上する。また、各θマグネット28の主面28aから出た磁束のうち、ロータコア48内を経由して反対側の主面28bに向かう無効磁束が、比透磁率の低い空気で満たされた径方向逃がし部50a,50bによって妨げられ、ロータコア48内で短絡(磁気ショート)することが抑制される。
一方、周方向逃がし部50a,50bにより、θマグネット28の主面28aから出てギャップ部を経由して主面28bに入る有効磁束が減少する可能性がある。しかしながら、θマグネット28として、角部のC面(斜めにした面)若しくはR面がないものの残留磁束密度が高い焼結磁石を用いることができるので、ロータとして所望の平均磁束密度を実現することができる。
ロータコア48は、マグネット収容部48bのロータコア径方向中心側において、ロータコア26のように周方向逃がし部34a同士の干渉を考慮しなくてもよいため、マグネット収容部48bをロータコア径方向に延ばすことができる。つまり、よりロータコア径方向の長さが大きなθマグネット28を収容することができるため、θマグネット28の主面(磁極がある面)の有効磁束を増加(トルクアップ)できる。また、周方向逃がし部がないため、マグネット収容部48bに収容されたθマグネット28の主面側に空洞が生じず、ロータコア26の外周部に向かう有効磁束の減少が避けられる。
図13(b)に示すロータコア52は、図13(a)に示すロータコア48の変形例である。ロータコア52は、放射状に形成された複数のマグネット収容部52bを有する。マグネット収容部52bは、ロータコア52の径方向rであってロータコアの中心側の端部に、θマグネット28が収容された状態で隙間となる径方向逃がし部50aが形成されている。
また、マグネット収容部52bは、ロータコア52の径方向rであってロータコアの中心側と反対側の端部に、ロータコア26と同様に、θマグネット28が収容された状態で隙間となる周方向逃がし部34bが形成されている。ロータコア52の作用効果は、前述の各実施の形態と重複するため説明を省略する。
(第4の実施の形態)
図15(a)〜図15(c)は、第4の実施の形態に係るロータコアの一例を示す上面図である。
図15(a)に示すロータコア54は、第1の実施の形態に係るロータコア26の外周面26cの一部が分断されたものである。その結果、マグネット収容部26bのロータコア径方向rの外側端部に外部と連通する切断部54aが形成されている。
また、図15(b)に示すロータコア56は、第3の実施の形態に係るロータコア48の外周面48cの一部が分断されたものである。その結果、マグネット収容部48bのロータコア径方向rの外側端部に外部と連通する切断部56aが形成されている。
また、図15(c)に示すロータコア58は、第3の実施の形態の変形例に係るロータコア52の外周面52cの一部が分断されたものである。その結果、マグネット収容部52bのロータコア径方向rの外側端部に外部と連通する切断部58aが形成されている。
上述のように、外周面に切断部を有するロータコア54,56,58は、外周面近傍において磁気ショートが抑制されるため、ロータコア外周面から外へ向かう有効磁束が増加する。
なお、実施の形態に係るモータは、複数の巻線が配置されている筒状のステータと、ステータの中心部に設けられている上述のロータと、ステータの複数の巻線に給電する給電部と、を備えている。
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
以下では、上述の各実施の形態の逃がし部の変形例について説明する。
図16(a)は、第1の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図、図16(b)は、図16(a)のG領域の拡大図である。図16(a)のロータコア110は、中心側の端部に径方向逃がし部を設けたうえで、さらにその逃がし部から周方向逃がし部を設けてある。
図17(a)〜図17(h)は、第1の変形例に係るロータコアの他の例を示す上面図である。
図17(a)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に逃がし部が無い場合である。図17(b)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部が有る場合である。図17(c)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に径方向逃がし部が有る場合である。図17(d)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部と径方向逃がし部が有る場合である。
図17(e)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に逃がし部が無い場合である。図17(f)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部が有る場合である。図17(g)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に径方向逃がし部が有る場合である。図17(h)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部と径方向逃がし部が有る場合である。
図18(a)は、第2の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図、図18(b)は、図18(a)のH領域の拡大図である。図18(a)のロータコア120は、中心側の端部に周方向逃がし部を設けたうえで、さらにその逃がし部から径方向逃がし部を設けてある。
図19(a)〜図19(h)は、第2の変形例に係るロータコアの他の例を示す上面図である。
図19(a)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に逃がし部が無い場合である。図19(b)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部が有る場合である。図19(c)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に径方向逃がし部が有る場合である。図19(d)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部と径方向逃がし部が有る場合である。
図19(e)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に逃がし部が無い場合である。図19(f)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部が有る場合である。図19(g)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に径方向逃がし部が有る場合である。図19(h)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部と径方向逃がし部が有る場合である。
図20(a)は、第3の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図、図20(b)は、図20(a)のI領域の拡大図である。図20(a)のロータコア130は、中心側の端部に周方向逃がし部を設けたうえで、さらにその逃がし部から径方向逃がし部を設けてある。
図21(a)〜図21(h)は、第3の変形例に係るロータコアの他の例を示す上面図である。
図21(a)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に逃がし部が無い場合である。図21(b)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部が有る場合である。図21(c)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に径方向逃がし部が有る場合である。図21(d)に示すロータコアは、コア外周部が分割されていない場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部と径方向逃がし部が有る場合である。
図21(e)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に逃がし部が無い場合である。図21(f)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部が有る場合である。図21(g)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に径方向逃がし部が有る場合である。図21(h)に示すロータコアは、コア外周部が分割されている場合であってかつ中心側と反対側の端部に周方向逃がし部と径方向逃がし部が有る場合である。
図22(a)、図22(b)は、第4の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図である。図22(a)、図22(b)に示すロータコアは、ロータの磁極数が14極の場合に対応するものであり、溝数が12のステータとともに用いられる。
図22(a)に示すロータコア132は、図12(a)に示すロータコア44と同様に、θマグネットが挿入され固定される複数のマグネット収容部134を有する。マグネット収容部134は、第1の実施の形態に係るロータコア26と異なり逃がし部を有していない。また、ロータコア132は、前述の各ロータコアと異なり直径Lが一定ではない。つまり、ロータコア132の外周面132aは、直径が最大となる領域J(直径L1)と直径が最小となる領域K(直径L2)とが周期的に形成されている。また、領域Jは、半径L/2よりも短い曲率半径R9によって規定される曲面を有する。なお、上述の最大外径Drは、直径L1と同じである。このようなロータコア132を用いることでモータのコギングやトルクリップルを抑制できる。
図22(b)に示すロータコア136は、図22(a)に示すロータコア132と比較して、ロータコア径方向の外周面136aに切断部136bが形成されている点が異なる。そのため、ロータコア136は、外周部での磁気ショートが抑制される。なお、上述の最大外径Drは、直径が最大となる領域J(直径L1)の頂点を結んだ仮想円138の直径と定義してもよい。
図23(a)、図23(b)は、第5の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図である。図23(a)に示すロータコア140は、図22(a)に示すロータコア132と比較して、マグネット収容部142の形状が異なる。具体的には、マグネット収容部142にθマグネット144が収容された状態で隙間となる三角柱状の逃がし部142aが形成されている。各θマグネット144の主面144aから出た磁束のうち、ロータコア140内を経由して反対側の主面144bに向かう無効磁束が、比透磁率の低い空気で満たされた逃がし部142aによって妨げられ、ロータコア140内で短絡(磁気ショート)することが抑制される。
図23(b)に示すロータコア146は、図23(a)に示すロータコア140と比較して、ロータコア径方向の外周面146aに切断部146bが形成されている点が異なる。そのため、ロータコア146は、内周部および外周部での磁気ショートが抑制される。
図24(a)、図24(b)は、第6の変形例に係るロータコアの一例を示す上面図である。図24(a)に示すロータコア148は、図23(a)に示すロータコア140と比較して、隣接するマグネット収容部142の逃がし部142a間に三角柱状の貫通穴150が形成されている点が大きく異なる。この貫通穴150が存在することで、逃がし部142aと貫通穴150との間に形成された2つのブリッジそれぞれの最小幅W2と最小幅W2’との和は、マグネット収容部142間の最小幅W1(Wb)よりも小さくできる(W2+W2’<W1)。
これにより、各θマグネット144の主面144aから出た磁束は、ロータコア148内のマグネット収容部142と貫通穴150との間のごく狭い領域が存在することで、反対側の主面144bに向かいにくくなる。その結果、ロータコア148内で短絡(磁気ショート)することが抑制される。一方、各部の幅をW1≒W2+W2’とすることで、ロータコア148自体の強度をあまり低下させずにすむ。なお、W2=W2’とすることで、ロータコア148が正転、逆転にかかわらず特性の変わらない回転が得られる。
図24(b)に示すロータコア152は、図24(a)に示すロータコア148と比較して、ロータコア径方向の外周面152aに切断部152bが形成されている点が異なる。そのため、ロータコア152は、内周部および外周部での磁気ショートが抑制される。
10 フロントベル、 12 ロータ、 14 ステータ、 16 エンドベル、 18 ハウジング、 20 給電部、 24 回転シャフト、 26 ロータコア、 26a 貫通孔、 26b マグネット収容部、 26c 外周面、 28 θマグネット、 28a,28b 主面、 28c,28d 端面、 34a,34b 周方向逃がし部、 36 ステータコア、 38 ステータヨーク、 40 ティース、 42 インシュレータ、 43 ステータ巻線、 48 ロータコア、 48b マグネット収容部、 48c 外周面、 50a,50b 径方向逃がし部、 100 モータ、 132a,136a,146a,152a 外周面、 Dr ロータコアの最大外径、 Lm θマグネットの厚み、 P 磁極数、 Bg ロータ外周部の平均磁束密度、 Br θマグネットの残留磁束密度。
本発明は、ロータおよびモータに利用できる。

Claims (8)

  1. 円形のロータコアと、
    複数の板状マグネットとを備え、
    前記ロータコアは、回転軸を中心に放射状に形成された複数のマグネット収容部を有し、
    前記板状マグネットは、隣接するマグネットと同じ磁極同士がロータコアの周方向において対向するように前記マグネット収容部に収容されており、
    板状マグネットの磁極がある面の表面積をS [mm ]、ロータコアの外周面の表面積をS [mm ]、ロータの磁極数をP、ロータコアの最大外径をDr[mm]、ロータコアの周方向における板状マグネットの厚みをLm[mm]とすると、
    >S /P・・・式(1)、
    0.665×10−4×P−0.28×10−2×P+0.577×10−1<(Lm/Dr)<3.38×10−4×P−1.86×10−2×P+3.36×10−1・・・式(2)、
    上記の式(1)、式(2)を満たすことを特徴とするロータ。
  2. 前記ロータコアは、複数の電磁鋼板または冷延鋼板を積層したものであり、
    前記電磁鋼板または冷延鋼板の一枚の厚みをT[mm]、隣接する板状マグネット同士の最短距離をWb[mm]とすると、
    Wb≦5T・・・式(3)
    上記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のロータ。
  3. 前記マグネット収容部は、ロータコアの径方向であってロータコアの中心側の端部に、前記板状マグネットが収容された状態で隙間となる径方向逃がし部が形成されており、
    前記径方向逃がし部は、収容されている板状マグネットのロータコア中心側端面からロータコアの中心に向かって延びるように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のロータ。
  4. 前記マグネット収容部は、ロータコアの径方向であってロータコアの中心側と反対側の端部に、前記板状マグネットが収容された状態で隙間となる周方向逃がし部が形成されており、
    前記周方向逃がし部は、収容されている板状マグネットの磁極表面からロータコアの周方向に向かって延びるように設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のロータ。
  5. 前記ロータの磁極数Pは、12極、14極、16極、18極、20極のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のロータ。
  6. 前記板状マグネットのロータコア周方向の厚みLmは、1mm〜25mmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のロータ。
  7. 前記ロータコアの最大外径Drは、35mm〜200mmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のロータ。
  8. 複数の巻線が配置されている筒状のステータと、
    前記ステータの中心部に設けられている請求項1乃至のいずれか1項に記載のロータと、
    前記ステータの複数の巻線に給電する給電部と、
    を備えるモータ。
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