JP6467193B2 - 量子カスケードレーザ - Google Patents

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Description

本発明は、量子井戸構造でのサブバンド間遷移を利用した量子カスケードレーザに関するものである。
中赤外の波長領域(例えば波長3〜30μm)の光は、分光分析分野において重要な波長領域となっている。このような波長領域での高性能な半導体光源として、近年、量子カスケードレーザ(QCL:Quantum Cascade Laser)が注目を集めている(例えば、特許文献1〜4参照)。
量子カスケードレーザは、半導体量子井戸構造中に形成されるサブバンドによる準位構造を利用し、サブバンド間での電子遷移によって光を生成するモノポーラタイプのレーザ素子であり、量子井戸構造で構成され活性領域となる量子井戸発光層を多段にカスケード結合することによって、高効率、高出力動作を実現することが可能である。また、この量子井戸発光層のカスケード結合は、発光上準位へと電子を注入するための電子注入層を用い、量子井戸発光層と注入層とを交互に積層することによって実現される。
特開平10−144995号公報 特許第5127430号公報 特開2009−206340号公報 特開2008−60396号公報
M. Yamanishi et al., "Theoryof the Intrinsic Linewidth of Quantum-Cascade Lasers: Hidden Reason for theNarrow Linewidth and Line-Broadening by Thermal Photons", IEEE Journal ofQuantum Electronics Vol.44 No.1 (2008), pp.12-29 L. Tombez et al.,"Temperature dependence of the frequency noise in a mid-IR DFB quantumcascade laser from cryogenic to room temperature", Opt. Express Vol.20No.7 (2012), pp.6851-6859 S. Bartalini et al.,"Measuring frequency noise and intrinsic linewidth of a room-temperatureDFB quantum cascade laser", Opt. Express Vol.19 No.19 (2011),pp.17996-18003 I. Galli et al.,"Comb-assisted subkilohertz linewidth quantum cascade laser forhigh-precision mid-infrared spectroscopy", Appl. Phys. Lett. Vol.102(2013), pp.121117-1-121117-4 P. J. Orders and B. F. Usher,"Determination of critical layer thickness in InxGa1-xAs/GaAsheterostructures by x-ray diffraction", Appl. Phys. Lett. Vol.50 (1987),pp.980-982
量子カスケードレーザは、本来は、例えば260Hz程度の非常に狭いスペクトル線幅を有していると推断されている。しかしながら、実際にフリーランニング状態で使用する場合には、このような狭いスペクトル線幅は得られず、この線幅は、例えば400kHz程度(室温動作)に広がっている。
このような線幅の拡大は、レーザ素子内でのキャリアの揺らぎによる電圧ノイズが出力の揺らぎ、温度の揺らぎを生み出して、それによってレーザ素子内において屈折率が変化し、発振波長の揺らぎが発生することによるものである。すなわち、量子カスケードレーザにおけるスペクトル揺らぎの原因は、レーザ素子における電圧ノイズ(電気的揺らぎ)であり、また、その別の見え方である、電圧ノイズを素子の微分抵抗で割り算して得られる電流ノイズである(非特許文献1〜3参照)。
ここで、量子カスケードレーザの主要な用途の1つとして、吸収によるスペクトル分光がある。このような分光測定では、レーザ光のスペクトル線幅が測定精度を決めている。したがって、レーザ素子のスペクトル線幅を狭くすることは非常に重要であるが、従来の量子カスケードレーザでは、上記したように充分に狭い線幅は得られていない。また、上記のようなレーザ素子内での揺らぎ、攪乱は、レーザ出力の強度揺らぎの原因にもなる。また、非特許文献4には、スペクトル揺らぎを抑制する手法として、フィードバックループを用いた構成が記載されている。しかしながら、このような構成は、非常に大掛かりな装置を要し、実用的ではない。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、レーザ素子内での電圧ノイズの影響を抑制して、スペクトル線幅を狭くすることが可能な量子カスケードレーザを提供することを目的とする。
本願発明者は、上記問題に対し、量子カスケードレーザにおいて発生する電圧ノイズについて詳細に検討を行った。その結果、半導体基板上にある活性層を含む半導体積層部分を所定の幅だけ残してエッチングしてリッジ構造とした量子カスケードレーザにおいて、そのリッジ側面に、ダングリングボンドによる表面準位が発生すること、また、この表面準位にトラップされている電子の注入層内のミニバンドへのランダムな遷移が過剰な電圧ノイズを発生させていることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明による量子カスケードレーザは、(1)半導体基板と、(2)半導体基板上に設けられ、量子井戸発光層及び注入層からなる単位積層体が多段に積層されることで量子井戸発光層と注入層とが交互に積層されたカスケード構造が形成された活性層とを備え、(3)単位積層体は、その量子井戸構造によるサブバンド準位構造において、発光上準位と、それぞれ発光下準位または緩和準位として機能する複数の準位を含むミニバンドとを少なくとも有し、(4)量子井戸発光層における発光上準位から発光下準位への電子のサブバンド間遷移によって光が生成され、サブバンド間遷移を経た電子は、ミニバンド内の緩和準位を介して後段の単位積層体の量子井戸発光層へと注入され、(5)注入層は、n個(nは4以上の整数)の障壁層及び井戸層を含んで構成され、ミニバンドは、I個(Iは4以上の整数)の準位を含むとともに、(6)半導体基板を含む基体部と、活性層を含んで基体部上に設けられて活性層で生成される光に対するレーザ共振器構造における共振方向にストライプ状に延びるリッジ部と、活性層の側面を含むリッジ部のリッジ側面上にエピタキシャル成長された電子阻止膜とを有し、電子阻止膜は、活性層を構成する障壁層と同一の半導体材料で形成されているアンドープ型の膜であることを特徴とする。
上記した量子カスケードレーザでは、発光層及び注入層から構成される単位積層体でのサブバンド準位構造において、発光上準位と、それぞれ発光下準位または緩和準位として機能する複数の準位を含むミニバンドとを設けるとともに、注入層を、4個以上(n個)の障壁層及び井戸層を含んで構成し、また、ミニバンドを、4個以上(I個)のサブバンド準位によって構成している。
また、上記構成の量子カスケードレーザの共振器構造において、半導体基板を含む基体部と、カスケード構造の活性層を含み、基体部よりも狭い幅で共振方向に延びるストライプ状に形成されたリッジ部とを有するリッジ構造によって、レーザ素子を構成している。さらに、このように半導体積層構造の所定部分がエッチングされたリッジ構造の量子カスケードレーザにおいて、活性層を含むリッジ部に対し、活性層の側面を含むリッジ側面上にエピタキシャル成長された電子阻止膜を設ける構成としている。
このような構成では、リッジ側面上に所定の半導体材料、所定の膜厚で、電子阻止膜をエピタキシャル成長することにより、リッジ側面におけるダングリングボンドの形成、及びそれによる表面準位の発生が抑制される。これにより、リッジ側面の表面準位から注入層内のミニバンドへの電子の遷移、注入による電圧ノイズの影響を抑制して、スペクトル線幅が狭いレーザ素子を実現することが可能となる。
ここで、上記した量子カスケードレーザにおいて、電子阻止膜は、電子阻止膜内での伝導帯が、活性層における注入層内でのミニバンドよりも高いエネルギー位置(ミニバンドのエネルギー上端よりも高いエネルギー位置)にあるように形成されていることが好ましい。このような構成によれば、電子阻止膜内の伝導帯において形成されるポテンシャル障壁により、電子阻止膜の表面準位から注入層内のミニバンドへの電子の遷移、注入による電圧ノイズの影響を好適に抑制することができる。
また、電子阻止膜は、活性層を構成する井戸層に対して歪緩和が生じない半導体材料及び膜厚で形成されていることが好ましい。同様に、電子阻止膜は、活性層を構成する井戸層と電子阻止膜との間での格子不整合率の大きさが1%以下となるように形成されていることが好ましい。また、電子阻止膜は、活性層を構成する障壁層と同一の半導体材料で形成されていることが好ましい。これらの構成を有する電子阻止膜によれば、リッジ側面でのダングリングボンドによる表面準位の発生等を好適に抑制することができる。
また、電子阻止膜は、100nm以上200nm以下の膜厚で形成されていることが好ましい。電子阻止膜の膜厚を100nm以上とすることにより、電子阻止膜の表面準位から注入層内のミニバンドへのトンネル効果による電子の注入を抑制することができる。また、電子阻止膜の膜厚を200nm以下とすることにより、電子阻止膜が低抵抗となって電流が流れてしまうことを防止することができる。
また、電子阻止膜の具体的な構成については、活性層の側面を含むリッジ側面上に少なくとも形成されていれば良く、例えば、電子阻止膜が、活性層の側面を含むリッジ側面上のみに形成されている構成とすることができる。あるいは、電子阻止膜が、リッジ側面上から基体部の基体上面上にわたって形成されている構成としても良い。
本発明の量子カスケードレーザによれば、発光層及び注入層から構成される単位積層体でのサブバンド準位構造において、発光上準位と、それぞれ発光下準位または緩和準位として機能する複数の準位を含むミニバンドとを設け、半導体基板を含む基体部と、活性層を含むストライプ状のリッジ部とを有するリッジ構造によってレーザ素子を構成するとともに、活性層を含むリッジ部に対し、活性層の側面を含むリッジ側面上にエピタキシャル成長された電子阻止膜を設ける構成とすることにより、リッジ側面の表面準位から注入層内のミニバンドへの電子の遷移による電圧ノイズの影響を抑制して、スペクトル線幅が狭いレーザ素子を実現することが可能となる。
量子カスケードレーザにおける半導体積層構造の基本構成を概略的に示す図である。 量子カスケードレーザの活性層におけるサブバンド準位構造の一例を示す図である。 量子カスケードレーザの具体的な構成の一例を示す斜視図である。 (a)、(b)活性層の注入層内における、電子を供給するための不純物の添加について模式的に示す図である。 リッジ側面の表面準位からミニバンドへの電子の注入について模式的に示す図である。 リッジ側面の表面準位からミニバンドへの電子の注入の電子阻止膜による抑制効果について模式的に示す図である。 結晶膜の臨界膜厚の格子不整合率に対する依存性を示すグラフである。 量子カスケードレーザを構成する半導体積層構造の一例を示す図表である。 上部注入層、活性層、及び下部注入層の構成の一例を示す図表である。 活性層における1周期分の単位積層体の構成の一例を示す図表である。 活性層における単位積層体の構成、及びサブバンド準位構造の一例を示す図である。 活性層における1周期分の単位積層体の構成の他の例を示す図表である。 素子I、IIについてのVNPSDの温度依存性を示すグラフである。 素子II、IIIについてのVNPSDの温度依存性を示すグラフである。 量子カスケードレーザの具体的な構成の他の例を示す斜視図である。
以下、図面とともに本発明による量子カスケードレーザの実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明による量子カスケードレーザにおける半導体積層構造の基本構成を概略的に示す図である。本実施形態の量子カスケードレーザ1Aは、半導体量子井戸構造におけるサブバンド間の電子遷移を利用して光を生成するモノポーラタイプのレーザ素子である。この量子カスケードレーザ1Aは、半導体基板10と、半導体基板10上に形成された活性層15とを備えて構成されている。
活性層15は、光の生成に用いられる量子井戸発光層と、発光層への電子の注入に用いられる電子注入層とが交互かつ多段に積層されたカスケード構造を有する。具体的には、量子井戸発光層及び注入層からなる半導体積層構造を1周期分の単位積層体16とし、この単位積層体16が多段に積層されることで、カスケード構造を有する活性層15が構成されている。量子井戸発光層及び注入層を含む単位積層体16の積層数は、レーザ素子の具体的な構成、特性等に応じて適宜設定される。また、活性層15は、半導体基板10上に直接に、あるいは他の半導体層を介して形成される。
図2は、図1に示した量子カスケードレーザの活性層におけるサブバンド準位構造の一例を示す図である。図2に示すように、活性層15に含まれる複数の単位積層体16のそれぞれは、量子井戸発光層17と、電子注入層18とによって構成されている。これらの発光層17及び注入層18は、それぞれ量子井戸層及び量子障壁層を含む所定の量子井戸構造を有して形成される。これにより、単位積層体16中においては、量子井戸構造によるエネルギー準位構造であるサブバンド準位構造が形成される。
注入層18は、具体的には、nを4以上の整数として、それぞれn個の障壁層及び井戸層を含んで構成される。また、図2中に不純物準位Limpによって模式的に示すように、この注入層18内において、本レーザ素子での発光動作に必要なキャリアである電子を供給するための不純物が、所定の添加位置及び添加幅を有する添加量分布によって添加されている。
本実施形態における単位積層体16は、図2に示すように、そのサブバンド準位構造において、発光に関わる準位である発光上準位Lupと、発光上準位よりも低エネルギーの複数の準位(複数のサブバンド)を含むミニバンドMBとを有している。ミニバンドMBは、具体的には、Iを4以上の整数として、それぞれ発光下準位Llow、または緩和準位Lとして機能するI個のサブバンド準位によって構成されている。
ここで、発光下準位Llowは、発光上準位Lupとともに発光に関わる準位である。また、緩和準位Lは、発光下準位Llowから後段の単位積層体の量子井戸発光層17bへの電子の緩和、輸送に用いられる準位である。これらのミニバンドMBを構成するI個のサブバンド準位は、注入層18のn個の障壁層及び井戸層、あるいはさらに発光層17の障壁層及び井戸層による量子井戸構造に起因して生成される。
また、図2に示すサブバンド準位構造では、上記した発光上準位Lup、及びミニバンドMBに加えて、発光上準位よりも高エネルギーの高エネルギー準位Lが設けられている。本構成例では、この高エネルギー準位Lは、準位Lupとともに、発光上準位(第2発光上準位)として機能している。
また、図2に示す単位積層体16では、発光層17と、前段の単位積層体での注入層18aとの間に、注入層18aから発光層17へと注入される電子に対する障壁となる注入障壁(injection barrier)層161が設けられている。なお、発光層17と、注入層18との間においても、必要に応じて、発光層17から注入層18への電子に対する抽出障壁(exit barrier)層が設けられる。
このようなサブバンド準位構造において、前段の注入層18aでのミニバンドMB内の緩和準位Lからの電子eは、注入障壁層161を介して共鳴トンネル効果によって発光層17へと注入される。これにより、第2発光上準位(高エネルギー準位)L及び発光上準位Lupに対して、発光動作に必要なキャリアが供給される。
発光上準位Lup及び第2発光上準位Lに注入された電子は、ミニバンドMBに含まれる1または複数の発光下準位Llowのそれぞれへと遷移し、このとき、上準位Lup、Lと、下準位Llowとのサブバンド準位間のエネルギー差に相当する波長の光hνが生成、放出される。なお、図2においては、図の見易さのため、上準位Lup、Lから、ミニバンドMB内で最も高エネルギー側の下準位Llowへの発光遷移のみを示し、他の準位への遷移については図示を省略している。
発光下準位Llowへと遷移した電子は、発光下準位Llow及び緩和準位Lを含むミニバンドMBにおいて、LOフォノン散乱、電子−電子散乱などを介したミニバンド内緩和によって、高速で緩和される。これにより、上準位Lup、Lと下準位Llowとの間で反転分布が形成される。また、ミニバンドMB内で緩和、輸送された電子は、後段の発光層17bでの発光上準位Lup、Lへとカスケード的に注入される。
このような電子の注入、発光遷移、及び緩和を活性層15を構成する複数の単位積層体16で繰り返すことにより、活性層15においてカスケード的な光の生成が起こる。すなわち、量子井戸発光層17及び注入層18を多数交互に積層することにより、電子は積層体16をカスケード的に次々に移動するとともに、各積層体16でのサブバンド間遷移の際に光hνが生成される。また、このような光がレーザ1Aの光共振器において共振されることにより、所定波長のレーザ光が生成される。
なお、量子カスケードレーザ1Aの活性層15を構成する単位積層体16におけるサブバンド準位構造については、図2に示した構成に限らず、具体的には様々な構成を用いて良い。例えば、高エネルギー準位Lについては、第2発光上準位ではなく、発光上準位Lupへと電子を注入するための注入準位として機能する構成としても良い。また、この高エネルギー準位Lについては、不要であれば設けない構成としても良い。また、発光下準位Llowについては、ミニバンドMBを複数の緩和準位Lを含む緩和ミニバンドとして構成するとともに、ミニバンドMBとは別に、1または複数の発光下準位Llowを設ける構成としても良い。
本発明による量子カスケードレーザ1Aでは、図1、図2に関して上述した半導体積層構造、量子井戸構造、及びサブバンド準位構造を有する構成において、半導体基板10を含む基体部と、活性層15を含むリッジ部とを有するリッジ構造によってレーザ素子を構成する。そして、活性層15を含むリッジ部に対し、リッジ側面上にエピタキシャル成長された電子阻止膜を設け、これによって電圧ノイズを抑制する構成とする。以下、このような本発明による量子カスケードレーザの構成について、具体的に説明する。
図3は、量子カスケードレーザの具体的な構成の一例を示す斜視図である。図3に示す量子カスケードレーザ1Aでは、半導体基板10として、InP基板50を用いている。そして、このInP基板50(10)上に、InP下部クラッド層51、InGaAs/AlInAs下部グレーデッド層52、InGaAs下部ガイド層53、InGaAs/AlInAs下部注入層25、単位積層体16が多段に積層されたInGaAs/AlInAs活性層15、InGaAs/AlInAs上部注入層20、InGaAs上部ガイド層54、InGaAs/AlInAs上部グレーデッド層55、InP上部クラッド層56、InP第2コンタクト層57、InP第1コンタクト層58、及びInGaAsキャップ層59が順に積層されることで、量子カスケードレーザ1Aの素子構造が形成されている。なお、図3に示す量子カスケードレーザ1Aにおいて半導体積層構造を構成する各半導体層(図8参照)については、詳しくは後述する。また、図3の構成において、活性層15における量子井戸構造、及びサブバンド準位構造については、図2に関して上述した通りである。また、InGaAs/AlInAs活性層15において、InGaAs層は井戸層を構成し、AlInAs層は障壁層を構成している(図10参照)。
図3に示す構成例では、このような半導体積層構造において、InP基板50の直上の下部クラッド層51の上面が露出するように、その上の全ての半導体層を所定の幅wだけ残してエッチングすることで、リッジ幅w、リッジ長さlのリッジ構造を形成している。このとき、量子カスケードレーザ1Aは、半導体基板10であるInP基板50を含む基体部30と、活性層15を含んで基体部30上に設けられたリッジ部35とを有して構成されている。
リッジ部35は、活性層15で生成される光に対するレーザ共振器構造における共振方向にストライプ状に延びている。また、このリッジ部35に対し、活性層15の側面を含むリッジ側面36上にエピタキシャル成長された電子阻止膜60が設けられている。この電子阻止膜60は、リッジ側面36の表面準位から注入層18内のミニバンドMBへの電子の遷移、注入による電圧ノイズの影響を抑制する機能を有する。また、この電子阻止膜60としては、本構成例では例えば、活性層15における障壁層と同一の半導体材料からなるアンドープ型のAlInAs膜を用いることができる。
また、本構成例では、リッジ側面36上に形成された電子阻止膜60の外側面(リッジ部35とは反対側の面)、リッジ部35の上面、及び基体部30の基体上面31を覆うように、例えばSiNからなる絶縁層65が形成されている。また、リッジ部35におけるキャップ層59上の絶縁層65にコンタクトホールが形成され、このコンタクトホールに対して電極構造66が設けられている。
電極構造66は、コンタクト層と電気的に接続された厚さ300nmのAu電極から延びるコンタクト電極を、基体部30において露出した下部クラッド層51上の絶縁層65上まで引き出し、ボンディングパッドを形成した構造を有している。なお、本構成例において、リッジ構造におけるリッジ部35のリッジ幅は例えばw=14μm、リッジ長さは例えばl=1mmである。
本実施形態による量子カスケードレーザ1Aの効果について説明する。
図1〜図3に示した量子カスケードレーザ1Aでは、発光層17及び注入層18から構成される単位積層体16でのサブバンド準位構造において、発光上準位Lupと、それぞれ発光下準位Llowまたは緩和準位Lとして機能する複数の準位を含むミニバンドMBとを設けている。また、単位積層体16での量子井戸構造について、注入層18を、4個以上(n個)の障壁層及び井戸層を含んで構成している。また、ミニバンドMBを、4個以上(I個)のサブバンド準位によって構成している。
また、上記構成の量子カスケードレーザ1Aでの共振器構造において、半導体基板10を含む基体部30と、カスケード構造の活性層15を含み、基体部30よりも狭い幅で共振方向に延びるストライプ状に形成されたリッジ部35とを有するリッジ構造によって、レーザ素子を構成している。さらに、このように半導体積層構造の所定部分がエッチングされたリッジ構造の量子カスケードレーザ1Aにおいて、活性層15を含むリッジ部35に対し、活性層15の側面を含むリッジ側面36上にエピタキシャル成長された電子阻止膜60を設ける構成としている。
このような構成では、リッジ側面36上に所定の半導体材料、所定の膜厚で、電子阻止膜60をエピタキシャル成長することにより、リッジ側面36におけるダングリングボンドの形成、及びそれによる表面準位の発生が抑制される。これにより、リッジ側面36の表面準位から注入層18内のミニバンドMBへの電子の遷移、注入による電圧ノイズの影響を抑制して、スペクトル線幅が狭いレーザ素子を実現することが可能となる。
上記構成を有する量子カスケードレーザ1Aによる、レーザ素子において発生する電圧ノイズの影響の抑制効果について、さらに具体的に説明する。図1、図2に例示したような構成を有する量子カスケードレーザ1Aでは、上述したように、レーザ素子における電圧ノイズ(電気的揺らぎ)によって、スペクトル線幅が本来のものよりも広がっている。本願発明者は、このような量子カスケードレーザの素子内での電気的揺らぎについて考察を行った。
量子カスケードレーザの素子内において見られる電圧ノイズは、1/f型(fはノイズ周波数)のいわゆるフリッカー雑音である(非特許文献3)。フリッカー雑音の全般については、電子が表面準位や欠陥などにトラップされ、あるいは、トラップされていた電子が解放される電気的なランダム現象によって引き起こされると考えられ、例えば、RTS(Random Telegraph Signal)モデルによって解釈されている。
本願発明者は、上記したキャリアのトラップと解放という考え方を取り入れて、量子カスケードレーザについて考察を行った。なお、以下においては、不純物の添加位置、空間的広がりなどの空間的な概念は、特に断りがなければ全て、レーザ素子を構成する多重量子井戸構造の積層方向(積層面に垂直な方向)での概念を示しており、積層面に平行な方向については、特に制限は加えていない。
本願発明者は、発光層17及び注入層18からなる単位積層体16の多段積層構造を有する量子カスケードレーザ1Aでの活性層15において、発光層17から引き抜かれた電子を緩和して、注入層18を介して後段の発光層17b(図2参照)へと輸送するミニバンドMBと、活性層15にキャリアである電子を供給するために注入層18内にドーピングされる不純物による不純物準位Limpとの関係に着目した。
図4は、量子カスケードレーザ1Aでの活性層15の注入層18内における、電子を供給するための不純物の添加について模式的に示す図である。図4(a)及び(b)において、Limpは不純物準位を示し、L〜LはミニバンドMBを構成する複数の準位(複数のサブバンド)を示している。
電子eは、不純物準位LimpからミニバンドMB内の準位に確率的に励起され、瞬く間に、規格化された波動関数とボルツマン分布とによって決まる電子分布を形成する。また、電子の励起によって空になった不純物準位Limpには、プラスの電荷を持ったイオン化ドナーが形成され、ミニバンドMBには、マイナスの電荷を持った電子が存在する。このとき、イオン化ドナーと電子とが空間的に離れていれば、ダイポール長Z(図4(b)参照)の電荷ダイポールが形成され、それによる電界が生じる。また、逆の過程として、ミニバンドMB内にある電子eが、確率的に空の不純物準位Limpであるイオン化されたドナーにトラップされる現象が生じる。この過程では、上記のように形成された電荷ダイポールが消滅することとなる。
このように、注入層18に設けられた不純物準位Limpからの電子eの放出とトラップとによって、電界の変化が生じる。このような電子の放出、トラップ過程による電圧の変化は、量子カスケードレーザ1Aにおける電圧ノイズの一因となる。また、図4に示すように、注入層18に形成される電荷ダイポールの極性と大きさとは、発生したプラスのイオン化ドナーの位置に対して、電子によるマイナスの電荷分布がどの位置に形成されるかによって異なってくる。
ここで、注入層18において単一の不純物のみが存在する場合を考える。この場合、不純物から励起された電子によって生成される平均的な電荷ダイポールの大きさを考えることができる。また、ミニバンドMB内での電子分布によって生成される様々な極性の異なる電荷ダイポールをうまくバランスさせれば、平均的には電荷ダイポールの大きさをゼロにすることができる。すなわち、この場合には、量子カスケードレーザ1Aの素子内での電圧ノイズをゼロにすることができる。
別の言い方をすれば、平均的な電荷ダイポールの大きさは、励起された電子が作る電荷分布の重心と、ドーピングされた不純物とによって生成される電荷ダイポールの大きさとなる。したがって、励起された電子の電荷分布の重心位置が、不純物の添加位置に対して空間的に離れていなければ、不純物準位LimpからミニバンドMBへの電子の励起、もしくはミニバンドMBから不純物準位Limpへの電子のトラップが繰り返されても、実質的に電荷ダイポールが形成されず、それによる電圧ノイズはゼロになる。
次に、上記した単一の不純物に加えて、空間的に離れた別の位置にもう1つの不純物が存在する場合を考える。この不純物からミニバンドMBに励起される電子も、先と同様に瞬く間に緩和され、規格化された波動関数とボルツマン分布とによって決まる電子分布を形成する。したがって、ミニバンドMBにおいて形成される電荷分布は、電子がどの位置の不純物から励起されたとしても変わらない。
この場合、空間的に離れた位置に添加された第1、第2の不純物のそれぞれと、ミニバンドMB内での電荷分布の中心とによって生成される電荷ダイポール同士を平均化して、ゼロとすることはできない。第1、第2の不純物は、互いに全く独立な励起、トラップの過程を持つ独立した事象であるからである。この場合には、レーザ素子内での電圧ノイズは、それぞれの不純物に起因するノイズパワーの積算値として評価しなければならない。ノイズパワーは、電荷ダイポールが作るノイズ電圧を2乗した量であり、極性を持たない量であるため、ノイズパワーは必ず加算されることとなる。
そこで、レーザ素子の動作のために多数のキャリア(電子)が必要な状況においてノイズパワーを最小に抑える方法としては、できる限り空間的に離れていない位置に多数の不純物を添加(ドーピング)すると良い。このような構成では、注入層18に添加された多数の不純物のそれぞれによる不純物準位Limpの空間的位置がほとんど異ならないことから、不純物が作るダイポールの極性、大きさは略同じになると考えられる。したがって、ある不純物に対してノイズパワーが最小となる条件にしておけば、ノイズパワーを足し合わせてもノイズパワーは小さい値に保たれる。
以上の考察より、ノイズパワーの平方根である電圧ノイズを最小にするための量子カスケードレーザの構造としては、注入層18内において、ある特定の半導体層、添加位置に局所的に不純物添加を行うδドーピングの構造が最適であることがわかる。また、注入層18内において、不純物が空間的にある程度広がって添加されている場合には、不純物ができる限り狭い領域に添加され、また、不純物の添加量分布の中心位置(重心位置)と、ミニバンドMB内に形成される電荷分布の重心位置とをできる限り近接させることが、電圧ノイズの低減のために重要であることが理解される。
しかしながら、本願発明者は、量子カスケードレーザにおける電圧ノイズについてさらなる検討を行った結果、半導体基板10上にある活性層15を含む半導体積層部分を所定の幅wだけ残してエッチングしてリッジ構造とした量子カスケードレーザでは、例えば上記のように不純物の添加量分布を設定した場合であっても、充分な電圧ノイズの抑制効果が得られない場合があることを見出した。これは、リッジ構造の量子カスケードレーザにおいて、そのリッジ側面36にダングリングボンドによる表面準位が発生することによるものと考えられる。この場合、リッジ側面36の表面準位にトラップされている電子の注入層18内のミニバンドMBへのランダムな遷移、もしくは逆に、ミニバンドMB内にある電子の表面準位へのランダムな遷移によって、電気的揺らぎである過剰な電圧ノイズが発生すると考えられる。
図5は、リッジ側面36の表面準位LsからミニバンドMBへの電子の注入について模式的に示す図である。図5では、活性層15を含むリッジ部35において、注入層18内にある1つの井戸層、例えば、注入層18内で最も発光層17側にある第1井戸層(後述する図11の構成例では井戸層191)について、リッジ側面36に形成されている表面準位Lsの影響を考慮したポテンシャル図を示している。このポテンシャル図では、伝導帯、価電子帯、及びミニバンドMBを示しており、伝導帯は、井戸層の底のエネルギーに対応している。
図5に示すように、リッジ部35のリッジ側面36では、リッジ構造を形成するためのエッチングによって形成されたダングリングボンドに起因して、表面準位Lsが発生している。そして、この表面準位Lsに電子がトラップされてたまるために、側面36近傍においてポテンシャルが高くなる部分(ノッチ部分)が形成されている。図5に示すリッジ構造では、ポテンシャルにノッチがあるものの、実線矢印71で示すように、レーザ素子の温度状態に応じて、リッジ側面36の表面準位Lsと、注入層18内のミニバンドMBとの間で熱的、確率的に電子が行き来し、それによって電圧ノイズが発生する。これは、不純物準位Limpと、ミニバンドMBとの間での電子の行き来による電圧ノイズの発生と同様の機構である。
これに対して、図3に示した構成例におけるリッジ構造の量子カスケードレーザ1Aでは、活性層15を含むリッジ部35に対し、活性層15の側面を含むリッジ側面36上にエピタキシャル成長された電子阻止膜60を設ける構成としている。図6は、リッジ側面36の表面準位LsからミニバンドMBへの電子の注入の電子阻止膜60による抑制効果について模式的に示す図である。
電子阻止膜60は、上記したように、リッジ側面36上に、所定の半導体材料、所定の膜厚でエピタキシャル成長されている。ここで、エピタキシャル成長では、成長用基板の成長面上に結晶方位が揃った薄膜結晶が成長する。上記の電子阻止膜60では、リッジ部35が成長用基板に相当し、リッジ側面36が電子阻止膜60の成長面に相当する。この場合、リッジ側面36上にエピタキシャル成長された電子阻止膜60は、活性層15を構成する量子井戸層、障壁層との間で格子整合する。したがって、活性層15の側面を含むリッジ側面36には、図5に示したようなダングリングボンドによる表面準位Lsは発生せず、また、表面準位Lsによるポテンシャルのノッチも発生しない。このように、リッジ側面36上に電子阻止膜60をエピタキシャル成長することにより、リッジ側面36の表面準位Lsから注入層18内のミニバンドMBへの電子の注入による電圧ノイズの発生を抑制することができる。
また、このような構成では、図6に示すように、電子阻止膜60のリッジ側面36とは反対側の面(図3に示した構成例では、電子阻止膜60と絶縁層65との界面)において表面準位Lsが形成される場合がある。この場合、表面準位Lsにトラップされている電子は、破線矢印72で示すように、電子阻止膜60内での伝導帯60aによるポテンシャル障壁を越えなければ、注入層18内でのミニバンドMBに注入されることはない。したがって、電子阻止膜60の半導体材料及び膜厚、及びそれによる電子阻止膜60内でのポテンシャル構造等を適切に選択、設定することにより、電子阻止膜60の表面準位Lsから注入層18内のミニバンドMBへの電子の注入による電圧ノイズの発生についても、抑制することができる。
ここで、上記構成の量子カスケードレーザ1Aにおいて、電子阻止膜60は、電子阻止膜60内のポテンシャル構造での伝導帯60aが、活性層15における注入層18内でのミニバンドMBよりも高いエネルギー位置(ミニバンドMBのエネルギー上端よりも高いエネルギー位置)にあるように形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、電子阻止膜60内に形成されるポテンシャル障壁により、電子阻止膜60の外側面の表面準位Lsから注入層18内のミニバンドMBへの電子の注入を好適に抑制することができる。また、電子阻止膜60内にポテンシャルのノッチがある場合には、図6に示すように、実質的に電子に対する障壁となる伝導帯60aのノッチ上端60bが、ミニバンドMBよりも高いエネルギー位置にあることが好ましい。
また、電子阻止膜60は、100nm以上200nm以下の膜厚で形成されていることが好ましい。ここで、電子阻止膜60の膜厚が100nmより薄い場合、電子阻止膜60内でのポテンシャル障壁を越えることなくトンネル効果によって、電子阻止膜60の表面準位Lsからの電子が注入層18内のミニバンドMBへと注入される可能性がある。これに対して、電子阻止膜60の膜厚を100nm以上とすることにより、電子阻止膜60の表面準位Lsから注入層18内のミニバンドMBへのトンネル効果による電子の注入を確実に抑制することができる。
また、電子阻止膜60の膜厚が200nmより厚い場合、電子阻止膜60が低抵抗となって電子阻止膜60中を電流が流れてしまう可能性がある。これに対して、電子阻止膜60の膜厚を200nm以下とすることにより、電子阻止膜60が低抵抗となって電流が流れてしまうことを確実に防止することができる。
また、電子阻止膜60の半導体材料及び膜厚については、リッジ側面36上で結晶方位が揃った状態でエピタキシャル成長することが可能な半導体材料、膜厚を選択する必要がある。また、電子阻止膜60の格子定数については、活性層15を構成する井戸層、障壁層の格子定数と一致していることが好ましいが、所定の条件を満たせば、格子定数は完全に一致していなくても良い。一般には、電子阻止膜60は、活性層15を構成する井戸層に対して歪緩和が生じない半導体材料及び膜厚で形成されていることが好ましい。
また、電子阻止膜60は、より具体的には、上記した井戸層に対する歪緩和に関する条件等を考慮して、活性層15を構成する井戸層と電子阻止膜60との間での格子不整合率の大きさが1%以下となるように形成されていることが好ましい。
上記した格子不整合率の設定条件について、具体的に説明する。成長用基板として機能するリッジ部35のリッジ側面36上に、結晶膜(エピタキシャル膜)である電子阻止膜60をエピタキシャル成長するためには、成長させる結晶膜の結晶構造が、基板の構造と同じであり、格子定数も両者で同じであることが理想であるが、上記したように、結晶膜(電子阻止膜60)と、基板(リッジ部35、活性層15)との結晶構造が同じで格子定数がある程度ずれている場合、あるいは、結晶構造が異なる場合でも、所定の条件を満たせば、エピタキシャル成長は可能である。
格子定数が異なる場合には、エピタキシャル成長される結晶膜の格子が歪むことによって、基板との界面での格子の連続性を保って結晶膜が成長する(コヒーレント成長)。このように結晶膜がコヒーレント成長している場合、結晶膜と基板との格子定数の差が大きいほど、エピタキシャル成長可能な結晶膜の膜厚が薄くなる。格子定数の差がある条件下でエピタキシャル成長できる結晶膜の膜厚の限界値は、臨界膜厚と呼ばれる。結晶膜の膜厚が臨界膜厚を超えると、歪みエネルギーを緩和するためにミスフィット転位が発生して格子緩和し、本来の格子定数に近づく。すなわち、結晶膜の臨界膜厚は、歪緩和が生じない膜厚の限界値に相当する。
ここで、図7は、エピタキシャル成長される結晶膜の臨界膜厚の格子不整合率に対する依存性を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は、結晶膜と成長用基板との間での格子不整合率(%)を示し、縦軸は、成長用基板上にエピタキシャル成長可能な結晶膜の臨界膜厚(nm)を示している。なお、臨界膜厚の算出については、非特許文献5(P. J. Orders and B. F. Usher, Appl. Phys. Lett. Vol.50 (1987),pp.980-982)を参照することができる。
また、臨界膜厚は材料にもよるが、図7では、InPとInGaAsとの間での格子不整合率と、臨界膜厚との関係を求めている。また、図7において、グラフA1は力学的平衡理論による計算結果を示し、グラフA2はエネルギー平衡論による計算結果を示している。実際の臨界膜厚は、通常はこれらの数値の間に来ると考えられる。また、ここでは、求められる臨界膜厚の値は格子不整合率0%近傍で発散するため、0%近傍については計算結果を示していない。
図7に示す臨界膜厚の計算結果によれば、エネルギー平衡論によるグラフA2では、格子定数が1%ずれると臨界膜厚は100nmとなることがわかる。このような条件を考慮すると、上記したように、電子阻止膜60は、活性層15を構成する井戸層と電子阻止膜60との間での格子不整合率の大きさが1%以下となるように形成されていることが好ましい。
また、電子阻止膜60の半導体材料については、具体的には例えば、活性層15を構成する障壁層と同一の半導体材料で形成されていることが好ましい。この場合、通常、障壁層と井戸層とによって活性層15が構成されていることから、上記した電子阻止膜60の井戸層に対する歪緩和、格子不整合率についての条件は満たされている。また、障壁層と同一の半導体材料で電子阻止膜60を形成した場合、電子阻止膜60内での伝導帯60aが高いポテンシャル障壁を有することは明らかである。したがって、このような構成は、電子阻止膜60の表面準位Lsから注入層18内のミニバンドMBへの電子の注入を抑制する上でも好適である。
リッジ構造の量子カスケードレーザ1Aにおいて発生する電圧ノイズについて、さらに検討する。本願発明者は、上述した電圧ノイズに関する考察を解析的に進め、ある特定の位置にのみ不純物をドーピングした場合に量子カスケードレーザ素子内に発生する電圧ノイズパワースペクトル密度(VNPSD:Voltage Noise Power Spectral Density)を、下記の式(1)
Figure 0006467193

のように見積もった。
ここで、電圧ノイズパワースペクトル密度とは、電圧ノイズパワーが、各ノイズ周波数における帯域1Hzあたりにどれくらいあるかを示した量である。また、上記の式(1)において、各記号、式等は、それぞれ以下の通りである。
Figure 0006467193

Figure 0006467193

Figure 0006467193

Figure 0006467193

e:素電荷
Z(zimp):ダイポール長
ε:真空の誘電率
ε:活性層の比誘電率
S:活性層の水平方向の面積
M:カスケード構造の段数
imp:カスケード構造1段当たりの不純物面密度
f(Eimp,E,T):不純物準位の電子分布関数
imp:不純物準位のエネルギー
:注入層にあるミニバンドに対する擬似フェルミエネルギー
:活性層内での電子温度(〜格子温度)
I:ミニバンドに含まれるサブバンドの数
τeL:不純物準位からのミニバンドへの放出最長時間(レートの逆数)
τeS:不純物準位からのミニバンドへの放出最短時間
:ミニバンドに含まれるi番目のサブバンド端のエネルギー
z:半導体積層構造の積層方向での空間的位置(ミニバンド内の電子の位置)
imp:不純物準位の積層方向での空間的位置
Ψ:ミニバンドに含まれるi番目のサブバンドの規格化された波動関数
:ノイズ周波数
:電子の有効質量
:ボルツマン定数
p(zimp):添加位置zimpに不純物が存在する確率
なお、VNPSDの式(1)については、不純物準位LimpからミニバンドMBへの遷移の確率密度関数p(τ)、及びミニバンドMBから不純物準位Limpへの遷移の確率密度関数p(τ)が、それぞれ不純物準位からミニバンドへの放出時間τ、及びミニバンドから不純物準位への捕獲時間τの逆数に比例するとして計算している。また、ミニバンドMB内での各準位への電子の分布については、電子温度Tでのボルツマン分布に従うとして計算しているが、このことは実験的にも確かめられており、広く知られている。また、多段に積層されたカスケード構造において、各段の注入層の構造は同一であるとしている。
上記式(1)に示したVNPSD(電圧ノイズパワースペクトル密度)の評価式等の妥当性について、具体的なレーザ素子を用いて検討を行った。図8は、量子カスケードレーザ1Aを構成する半導体積層構造の具体的な一例を示す図表である。なお、以下に示す図表において、「u」型とは、アンドープ(undoped)型を示している。また、n型の不純物としては、具体的にはSiを添加している。また、以下に示す構成例は、図3に示した量子カスケードレーザ1Aにおける半導体積層構造の具体例に対応している。
図8に示す構成例では、キャリア濃度が5×1018(/cm)、厚さが350μmのn型のInP基板50を半導体基板10として用い、この基板50上に、厚さ3.5μmのInP下部クラッド層51、厚さ10.0nmのInGaAs/AlInAs下部グレーデッド層52、厚さ0.25μmのInGaAs下部ガイド層53、InGaAs/AlInAs下部注入層25、単位積層体16が多段に積層されたInGaAs/AlInAs活性層15、InGaAs/AlInAs上部注入層20、厚さ0.25μmのInGaAs上部ガイド層54、厚さ10.0nmのInGaAs/AlInAs上部グレーデッド層55、及び厚さ3.5μmのInP上部クラッド層56が順に積層されることで、量子カスケードレーザの素子構造が形成されている。なお、各半導体層におけるキャリア濃度等については、図8に示す通りである。
また、本構成例では、上部クラッド層56上には、さらに、厚さ0.5μm、キャリア濃度3×1018(/cm)のInP第2コンタクト層57、厚さ0.02μm、キャリア濃度5×1018(/cm)のInP第1コンタクト層58、及び厚さ0.01μm、キャリア濃度1×1019(/cm)のキャップ層59が設けられている。
図9は、図8に示した量子カスケードレーザにおける、上部注入層20、活性層15、及び下部注入層25の構成の一例を示す図表である。また、図10は、活性層15における1周期分の単位積層体16の構成の一例を示す図表である。本構成例では、上部注入層20は、AlInAs障壁層201〜204、及びInGaAs井戸層211〜213によって構成され、井戸層213において、キャリア濃度3×1017(/cm)で不純物が添加されている。また、下部注入層25は、AlInAs障壁層251〜255、及びInGaAs井戸層261〜264によって構成され、井戸層264において、キャリア濃度3×1017(/cm)で不純物が添加されている。これらの上部注入層20、及び下部注入層25は、活性層15に対して補助的に設けられている。
また、図10は、構造Iの量子カスケードレーザ素子(素子I)での活性層15の単位積層体16の構成を示している。素子Iの構成では、単位積層体16での発光層17は、4個のAlInAs障壁層161〜164、及びInGaAs井戸層171〜174によって構成されている。また、注入層18は、7個のAlInAs障壁層181〜187、及びInGaAs井戸層191〜197によって構成され、第7井戸層197において、キャリア濃度3×1017(/cm)で不純物が添加されている。
本構成例における活性層15は、発光層17及び注入層18を含む単位積層体16が40周期で積層されて構成されている。なお、活性層15を構成する40段の単位積層体16のうち、最も上段の単位積層体16では、発光層17の障壁層161が上部注入層20の障壁層204に置き換えられている。また、最も下段の単位積層体16では、注入層18が下部注入層25に置き換えられている。
図11は、図10に示した素子Iの活性層15における単位積層体16の構成、及びサブバンド準位構造について示す図である。本構成例では、単位積層体16は、そのサブバンド準位構造において、発光上準位Lup、第2発光上準位として機能する高エネルギー準位L、及びミニバンドMBを有している(図2参照)。
また、図12は、構造IIの量子カスケードレーザ素子(素子II)での活性層15の単位積層体16の構成を示している。素子IIの構成では、単位積層体16での発光層17は、4個のAlInAs障壁層161〜164、及びInGaAs井戸層171〜174によって構成されている。また、注入層18は、7個のAlInAs障壁層181〜187、及びInGaAs井戸層191〜197によって構成され、第4井戸層194において、キャリア濃度3×1017(/cm)で不純物が添加されている。なお、この素子IIの構成は、不純物の添加位置を除けば素子Iと同様である。
上記構成の量子カスケードレーザについて、図3に示したようにリッジ構造のレーザ素子を作製し、ノイズ電圧の周波数解析を行うことでVNPSDの測定を行い、また、上記の評価式を用いて計算によるVNPSDの評価を行った。なお、以下に示すVNPSDについての計算結果では、各パラメータの数値について、τeS=0.1μs、τeL=100ms、ε=14、M=40、nimp=1.0×1011cm−2、S=1.4×10−4cmの数値を用いている。また、活性層15に印加されているバイアス電圧は、31kV/cmとしている。また、レーザ素子のリッジ構造については、素子I、IIともに、リッジ長さ(共振器長)をl=1mm、リッジ幅をw=14μmとしている。
レーザ素子について測定されたVNPSDは、式(1)に示したように1/f型であり、ノイズ周波数fが1桁上がると、ノイズ密度が1桁下がる。図13は、素子I、IIについてのVNPSDの温度依存性を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は電子温度(K)を示し、縦軸はVNPSD(V/Hz)を示している。また、図13のグラフは、ノイズ周波数f=100HzでのVNPSDについて、実験的な測定結果、及び式(1)を用いた理論的な計算結果を示している。
具体的には、図13において、データ点B1は、素子IのVNPSDについての測定結果を示し、グラフB2は、素子IのVNPSDの計算結果を示している。また、データ点B3は、素子IIのVNPSDについての測定結果を示し、グラフB4は、素子IIのVNPSDの計算結果を示している。
図13に示す結果では、素子Iについては、VNPSDの測定値と計算値とが一致しており、VNPSDの評価式(1)の妥当性を確認することができる。一方、素子IIについては、計算値を示すグラフB4では、温度280K付近でVNPSDが極小値となっているのに対し、データ点B3では、VNPSDの測定値は温度とともに増加していく結果が得られており、測定値と計算値とで高温領域での不一致が観測されている。このようなVNPSDの測定値と計算値との不一致は、上述したように、リッジ側面の表面準位LsからミニバンドMBへと注入される電子の影響と考えられる。
ここで、電圧ノイズにおけるリッジ側面の表面準位Lsの影響を確認するために、素子IIと同じ半導体積層構造を有するとともにリッジ構造が異なる素子IIIを作製して比較を行った。具体的には、レーザ素子のリッジ構造について、素子IIでは、リッジ長さがl=1mm、リッジ幅がw=14μmであったのに対し、素子IIIでは、リッジ長さをl=220μm、リッジ幅をw=50μmとした。これらの素子II、IIIでは、活性層15の水平方向の面積Sはほぼ同じであるが、リッジ側面の面積については、リッジ長さlが短い素子IIIの方が面積が小さくなっている。
図14は、素子II、IIIについてのVNPSDの温度依存性を示すグラフである。図14において、データ点C1は、図13に示したものと同様の素子IIのVNPSDについての測定結果を示している。また、データ点C3は、素子IIIのVNPSDについての測定結果を示し、グラフC4は、素子IIIのVNPSDの計算結果を示している。
図14に示す結果では、リッジ側面の面積が小さい素子IIIについて、温度140Kあたりから温度上昇とともに、VNPSDの測定値が計算値と同様に減少する様子が観測されている。このことから、例えば室温のような高温領域では、リッジ側面の表面準位Lsの影響による電圧ノイズが存在することが確認できる。なお、素子IIIの測定結果においても、温度200K以上ではVNPSDが増加している。これは、素子IIIでは、リッジ側面の面積は小さいものの表面準位Lsは残っているため、高温領域においてその影響が出てきているものと考えられる。これに対して、上述したようにリッジ側面上に電子阻止膜を形成することにより、このような表面準位の影響を抑制することが可能である。
量子カスケードレーザの具体的な構成について、さらに説明する。図15は、量子カスケードレーザの具体的な構成の他の例を示す斜視図である。図15に示す量子カスケードレーザ1Bは、図3に示した量子カスケードレーザ1Aと同様の構成を有するが、電子阻止膜の形成条件が異なっている。すなわち、図3の構成例では、リッジ部35に対し、活性層15の側面を含むリッジ側面36上にエピタキシャル成長された電子阻止膜60が設けられている。一方、図15の構成例では、電子阻止膜61は、エピタキシャル成長により、リッジ側面36上から基体部30の基体上面31上にわたって形成されている。
このように電子阻止膜の具体的な構成については、図3に示すように、電子阻止膜60が、リッジ側面36上のみに形成されている構成、あるいは、図15に示すように、電子阻止膜61が、リッジ側面36上から基体部30の基体上面31上にわたって形成されている構成のいずれを用いても良い。一般には、電子阻止膜は、活性層の側面を含むリッジ側面上に少なくとも形成されていれば良い。
本発明による量子カスケードレーザは、上記した実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、活性層15の単位積層体16におけるサブバンド準位構造については、図2はその一例を示すものであり、具体的には、図2以外にも様々な構成を用いて良い。一般には、単位積層体は、その量子井戸構造によるサブバンド準位構造において、発光上準位と、それぞれ発光下準位または緩和準位として機能する複数の準位を含むミニバンドとを少なくとも有していれば良い。
また、量子カスケードレーザにおける半導体積層構造、及びリッジ構造についても、上記した構成例に限らず、具体的には様々な構成を用いて良い。一般には、半導体積層構造については、半導体基板と、半導体基板上に設けられ、量子井戸発光層及び注入層からなる単位積層体が多段に積層されることで量子井戸発光層と注入層とが交互に積層されたカスケード構造が形成された活性層とを備えていれば良い。また、リッジ構造については、半導体基板を含む基体部と、活性層を含んで基体部上に設けられて活性層で生成される光に対するレーザ共振器構造における共振方向にストライプ状に延びるリッジ部とを有していれば良い。
また、上記した構成例では、半導体基板としてInP基板を用い、活性層をInGaAs/AlInAsによって構成した例を示したが、このような材料系以外にも、具体的には様々な構成を用いて良い。そのような半導体材料系としては、例えば、GaAs/AlGaAs、InAs/AlGaSb、AlGaN/GaN、Si/SiGeなど、様々な材料系を用いることが可能である。
本発明は、レーザ素子内での電圧ノイズの影響を抑制して、スペクトル線幅を狭くすることが可能な量子カスケードレーザとして利用可能である。
1A、1B…量子カスケードレーザ、10…半導体基板、15…活性層、16…単位積層体、17…量子井戸発光層、18…注入層、161…注入障壁層、162〜164…障壁層、171〜174…井戸層、181〜187…障壁層、191〜197…井戸層、20…上部注入層、25…下部注入層、
50…InP基板、51…InP下部クラッド層、52…InGaAs/AlInAs下部グレーデッド層、53…InGaAs下部ガイド層、54…InGaAs上部ガイド層、55…InGaAs/AlInAs上部グレーデッド層、56…InP上部クラッド層、57…InP第2コンタクト層、58…InP第1コンタクト層、59…InGaAsキャップ層、
30…基体部、31…基体上面、35…リッジ部、36…リッジ側面、60、61…電子阻止膜、65…絶縁層、66…電極構造、Lup…発光上準位、L…高エネルギー準位(第2発光上準位、注入準位)、MB…ミニバンド、Llow…発光下準位、L…緩和準位、Limp…不純物準位、Ls…表面準位。

Claims (6)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に設けられ、量子井戸発光層及び注入層からなる単位積層体が多段に積層されることで前記量子井戸発光層と前記注入層とが交互に積層されたカスケード構造が形成された活性層とを備え、
    前記単位積層体は、その量子井戸構造によるサブバンド準位構造において、発光上準位と、それぞれ発光下準位または緩和準位として機能する複数の準位を含むミニバンドとを少なくとも有し、
    前記量子井戸発光層における前記発光上準位から発光下準位への電子のサブバンド間遷移によって光が生成され、前記サブバンド間遷移を経た電子は、前記ミニバンド内の前記緩和準位を介して後段の単位積層体の量子井戸発光層へと注入され、
    前記注入層は、n個(nは4以上の整数)の障壁層及び井戸層を含んで構成され、前記ミニバンドは、I個(Iは4以上の整数)の準位を含むとともに、
    前記半導体基板を含む基体部と、前記活性層を含んで前記基体部上に設けられて前記活性層で生成される光に対するレーザ共振器構造における共振方向にストライプ状に延びるリッジ部と、前記活性層の側面を含む前記リッジ部のリッジ側面上にエピタキシャル成長された電子阻止膜とを有し、
    前記電子阻止膜は、前記活性層を構成する障壁層と同一の半導体材料で形成されているアンドープ型の膜であることを特徴とする量子カスケードレーザ。
  2. 前記電子阻止膜は、前記電子阻止膜内での伝導帯が、前記活性層における前記注入層内での前記ミニバンドよりも高いエネルギー位置にあるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の量子カスケードレーザ。
  3. 前記電子阻止膜は、前記活性層を構成する井戸層に対して歪緩和が生じない半導体材料及び膜厚で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の量子カスケードレーザ。
  4. 前記電子阻止膜は、前記活性層を構成する井戸層と前記電子阻止膜との間での格子不整合率の大きさが1%以下となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の量子カスケードレーザ。
  5. 前記電子阻止膜は、100nm以上200nm以下の膜厚で形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の量子カスケードレーザ。
  6. 前記電子阻止膜は、前記リッジ側面上から前記基体部の基体上面上にわたって形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の量子カスケードレーザ。
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