JP6466763B2 - 水溶性シスチン誘導体またはその塩およびそれを含有する化粧料組成物 - Google Patents

水溶性シスチン誘導体またはその塩およびそれを含有する化粧料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、毛髪や皮膚に対して親和性が高く水溶性であるシスチン誘導体またはその塩およびシスチン誘導体またはその塩によって、皮膚もしくは毛髪に好ましい感触を有しながら、保湿効果に優れ、毛髪にハリを与える化粧料組成物に関する。
毛髪は、日常のヘアケア、ヘアメイク行動により多くの損傷を受けている。
特にヘアカラー、パーマ、ブリーチ等の化学的処理により毛髪の構成蛋白質の溶出や構造変化を促進し、又はシャンプー等の洗髪行為でも主成分である界面活性剤により毛髪の脂質や毛髪構成蛋白質までが溶出され、毛髪損傷に拍車をかけている。
このような弱体化した毛髪や加齢による変化で細く柔らかくなった毛髪は、ハリ・コシ、ボリューム感がないためスタイリングしづらいという問題を有している。
そこで、毛髪に対して、外部からシステインやシスチンや類似の含硫化合物を与えハリやコシを改善する試みがなされている。
シスチン及びシステインは硫黄原子をその化学構造中に含むため、他のアミノ酸とは異なる毛髪のハリ・コシ改善作用などの物理化学的性質、生物活性等を示すことが期待されている。
特許文献1には、アセチルシステイン と2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン単量体を含有する共重合体との組み合わせが毛髪の損傷を防御し、ハリやコシのあるつややかでまとまりのある髪とする効果にも優れた毛髪化粧料を提供する技術が開示されている。
特許文献2には、システイン、シスチン、アセチルシステイン、ホモシステイン酸らが毛髪・毛包の細胞を賦活化することにより、更に詳しくは、毛髪関連遺伝子の発現を上昇することによりハリ・コシを改善する効果があることを主張している。
いずれも優れた効果を有するが、システインは構造上メルカプト基を含有しており、それに起因する臭気の発生の問題があり、安定に化粧料に配合することが困難である。またメルカプト基をジスルフィド結合で封鎖したシスチンその物は水溶性に乏しく化粧料での使用が著しく制限されていた。
ジスルフィド結合を有する物質を化粧料に配合した例としては特許文献3が挙げられる。更に、特許文献4では、シスチンの配合特性を変える試みとして、シスチンのカルボキシ基をエステル化する事で水溶性とする試みもなされているが、エステルであるためその合成法や化粧料中での加水分解が懸念される。
即ち、現在に至るまで充分満足できる水溶性と安定性を有する、毛髪のハリ・コシ改善効果を有するシスチン誘導体は開発されていない。
特開2006−282532公報 特開2006−143649公報 特開昭63−188618号公報 WO00/21925パンフレット
本発明は、優れた水溶性と安定性を有する、毛髪のハリ・コシ改善効果を有するシスチン誘導体またはその塩およびそれを含有する化粧料組成物を提供することにある。
本発明者は、簡便な反応によってシスチンのアミノ基に対し、親水性の官能基を導入することによって水溶性と安定性に優れ、臭気も改善したシスチン誘導体を合成でき、且つ、この基剤によって好ましい感触を維持しつつ毛髪にハリ・コシを付与でき、皮膚の保湿性を高めることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、一般式(1)の構造で示されるシスチン誘導体またはその塩に関する。
[式中、R,R,R,Rは独立して水素原子又は一般式(2)で示される末端に親水基を有する置換基であり、
,R,R,Rが同時に水素原子であることはない。
及びMは同一でも異なっていても良く、水素原子又は、ナトリウム、カリウムから選ばれるアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムから選ばれるアルカリ土類金属、アンモニア、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸から選ばれる電離親水基のカウンターを示す。カウンターが多価イオンの場合には、そのカウンターを介して分子内でつながっていても、分子間でつながっていても良い。]
[式中
pは0又は1の整数を示し、
sは1又は2の整数を示し
は分岐、不飽和を含有して良い炭素数2〜3の連結基を示し、
Xは、硫酸エステル(塩)基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、水酸基である末端親水基を示す。]
一般式(2)で示される末端に親水基を有する置換基の好適例としては、一般式(3)〜(14)に示される物が好適例として挙げられる。
〔但し、式中M及びMは同一でも異なっていても良く、水素原子又は、ナトリウム、カリウムから選ばれるアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムから選ばれるアルカリ土類金属、アンモニア、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸から選ばれる電離親水基のカウンターを示す。カウンターが多価イオンの場合には、そのカウンターを介して分子内でつながっていても、分子間でつながっていても良い。〕〕
一般式(2)においてXがカルボン酸(塩)基であることがより好ましい。
一般式(1)で示されるシスチン誘導体またはその塩は、シスチンにジカルボン酸無水物、酸ハロゲン化物、アルキレンオキサイド、ビニル化合物(ビニル基含有化合物)を反応させることで合成される。
本発明のシスチン誘導体またはその塩を含有する毛髪化粧料組成物は、毛髪にハリを付与することができる。
本発明のシスチン誘導体またはその塩を含有する皮膚化粧料組成物は、皮膚に保湿効果を賦与することができる。
毛髪や皮膚に対して親和性が高く水溶性であるシスチン誘導体またはその塩を提供する。本発明のシスチン誘導体またはその塩を配合することにより優れた性能の化粧料を提供することができる。
実施例1で製造したシスチン誘導体のH−NMRのチャートである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明は、一般式(1)の構造で表されるシスチン誘導体またはその塩に関する。
[式中、R,R,R,Rは独立して水素原子又は一般式(2)で示される末端に親水基を有する置換基であり、
,R,R,Rが同時に水素原子であることはない。
及びMは同一でも異なっていても良く、水素原子又は、ナトリウム、カリウムから選ばれるアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムから選ばれるアルカリ土類金属、アンモニア、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸から選ばれる電離親水基のカウンターを示す。カウンターが多価イオンの場合には、そのカウンターを介して分子内でつながっていても、分子間でつながっていても良い。]
[式中
pは0又は1の整数を示し、
sは1又は2の整数を示し
は分岐、不飽和を含有して良い炭素数2〜3の連結基を示し、
Xは、硫酸エステル(塩)基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、水酸基である末端親水基を示す。]
一般式(1)で示されるシスチン誘導体またはその塩の構造は、シスチンの2カ所の窒素原子の少なくとも1を、末端親水基を有する置換基で置換された構造を有する。
末端親水基を有する置換基は一般式(2)により示される。
一般式(2)において、pは0又は1の整数を示し、sは1〜2の整数を示す。
一般式(2)で示される末端親水基を有する置換基の末端親水性置換基を示すXについて詳細に述べる。
Xは一般式(2)で示される置換基がシスチンの窒素に結合する部位から逆末端にいることが肝要である。
シスチンの窒素に結合する部位から逆末端にいることにより広範なpHにおいて水溶性が発現する。
Xとしては、硫酸エステル(塩)基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、水酸基から選ばれることがより好ましい。
一般式(2)で示される末端親水基を有する置換基の具体例としては、一般式(3)〜一般式(14)が例示される。
〔但し、式中M及びMは同一でも異なっていても良く、水素原子又は、ナトリウム、カリウムから選ばれるアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムから選ばれるアルカリ土類金属、アンモニア、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸から選ばれる電離親水基のカウンターを示す。カウンターが多価イオンの場合には、そのカウンターを介して分子内でつながっていても、分子間でつながっていても良い。〕
置換基の導入反応は、導入置換基により選択できるが、シスチンの窒素原子に対するジカルボン酸無水物、酸ハロゲン化物、アルキレンオキサイド、ビニル化合物(ビニル基含有化合物)を反応させることで合成される。
例えば、
一般式(3)で示される末端親水基を有する置換基をシスチンに導入するには、シスチンに無水マレイン酸を反応させることにより目的物を合成できる。
一般式(4)で示される末端親水基を有する置換基をシスチンに導入するには、シスチンに無水コハク酸を反応させることにより目的物を合成できる。
一般式(5)で示される末端親水基を有する置換基をシスチンに導入するには、シスチンに無水グルタル酸を反応させることにより目的物を合成できる。
一般式(6)で示される末端親水基を有する置換基をシスチンに導入するには、シスチンにビニルスルホン酸を反応させることにより目的物を合成できる。
一般式(7)で示される末端親水基を有する置換基をシスチンに導入するには、シスチンにマレイン酸を反応させることにより目的物を合成できる。
一般式(8)で示される末端親水基を有する置換基をシスチンに導入するには、シスチンにエチレンオキシドを反応させることにより目的物を合成できる。
一般式(9)で示される末端親水基を有する置換基をシスチンに導入するには、シスチンにモノクロロ酢酸を反応させることにより目的物を合成できる。
一般式(10)で示される末端親水基を有する置換基をシスチンに導入するには、シスチンにアクリル酸を反応させることにより目的物を合成できる。
一般式(11)及びまたは一般式(12)で示される末端親水基を有する置換基をシスチンに導入するには、シスチンに無水イタコン酸を反応させることにより目的物を合成できる。
一般式(13)及びまたは一般式(14)で示される末端親水基を有する置換基をシスチンに導入するには、シスチンに無水シトラコン酸を反応させることにより目的物を合成できる。
一般式(1)で示されるシスチン誘導体には、電離親水基(例えばカルボン酸基)が結合されるが、それぞれのカウンター(M〜Mで示される。)はシスチン誘導体を中和する成分により決定される。
本発明シスチン誘導体またはその塩は毛髪化粧料添加物として優れた水溶性と臭気安定性を有し、特に毛髪にハリ・コシを与える効果に優れた性能を示す。
毛髪化粧料への本発明シスチン誘導体またはその塩の配合量は0.01%〜5%が好ましい。
添加量が0.01%を下回る場合、ハリ・コシを与える効果に乏しい問題があり好ましくない。
添加量が5%を上回る場合、毛髪への堆積の問題があり好ましくない。
本発明の毛髪化粧料とは、シャンプー、コンディショナー、ヘアミスト、ヘアクリーム、スタイリングローションを包含する。
本発明シスチン誘導体またはその塩は皮膚化粧料添加物として優れた水溶性と保湿効果を有する。
皮膚化粧料への本発明シスチン誘導体またはその塩の配合量は0.01%〜5%が好ましい
添加量が0.01%を下回る場合、保湿効果に乏しい問題があり好ましくない。
添加量が5%を上回る場合、使用感が悪化し好ましくない。
皮膚化粧料としては化粧水等が挙げられる。
更に本発明の効果を妨害しない範囲でアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、双性界面活性剤、半極性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等の界面活性剤、通常洗浄剤あるいは化粧品に用いられる他の成分、例えば、動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級アルコール、エステル類、シリコーン、保湿剤、水溶性高分子、被膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、低級アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH 調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、抗菌剤、香料などを必要に応じて1種あるいは2種以上用いても良い。
本発明の効果に関して以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
フラスコ中でシスチン懸濁液をシスチンに対して2当量の苛性ソーダで中和し、アルカリ水溶液とする。シスチンに対して2当量の無水コハク酸を加え、無水コハク酸に対して等量の苛性ソーダでpHを調整しながら室温で反応させ、N,N’-ビスサクシニル化シスチン・4Na水溶液として取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。δ = 2.2-2.4ppm (8H, m), 2.7-3.1ppm (4H, m), 4.3ppm (2H, dt).
図1に取り上げた水溶液にエタノールを加え析出回収処理した反応生成物のH−NMR及びその帰属を示す。
実施例2
フラスコ中でシスチン懸濁液をシスチンに対して2当量の苛性ソーダで中和し、アルカリ水溶液とする。シスチンに対して2当量の無水マレイン酸を加え、無水マレイン酸に対して等量の苛性ソーダでpHを調整しながら加熱し、N,N’-ビスマレイル化シスチン・4Na水溶液として取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。δ = 2.9-3.2ppm (4H, m), 4.7ppm (2H, t), 6.3ppm (8H, dt).
実施例3
フラスコ中でシスチン懸濁液をシスチンに対して2当量の苛性ソーダで中和し、アルカリ水溶液とする。シスチンに対して2当量のモノクロロ酢酸を加え、モノクロロ酢酸に対して等量の苛性ソーダでpHを調整しながら加熱し、N,N’-ビスカルボキシメチル化シスチン・4Na水溶液として取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。δ = 2.8-3.7ppm (4H, m), 3.5ppm (4H, s), 3.7ppm (4H, t).
実施例4
フラスコ中でシスチン懸濁液をシスチンに対して2当量の苛性ソーダで中和し、アルカリ水溶液とする。シスチンに対して2当量のアクリル酸エチルを加えて加熱した後、精製、アクリル酸エチルに対して等量の苛性ソーダで加水分解してN,N’-ビスカルボキシエチル化シスチン・4Na水溶液として取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。δ = 2.4-3.0ppm (12H, m), 3.7ppm (4H, t).
実施例5
フラスコ中でシスチン懸濁液をシスチンに対して2当量の苛性ソーダで中和し、アルカリ水溶液とする。シスチンに対して2当量のビニルスルホン酸を加えて加熱した後、精製、ビニルスルホン酸に対して等量の苛性ソーダで中和してN,N’-ビススルホエチル化シスチン・4Na水溶液として取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。δ = 2.8-3.0ppm (4H, m), 3.3ppm (8H, dt), 3.7ppm (2H, t).
実施例6
フラスコ中でマレイン酸メチルにマレイン酸メチルに対して0.5当量のシスチンを懸濁させ加熱した。水を加えてシスチンに対して6当量の苛性ソーダで中和、加水分解した後に精製し、N,N’-ビスマレイン酸付加型シスチン・6Na水溶液として取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。δ = 2.5-3.0ppm (8H, m), 3.7ppm (2H, t), 4.1ppm (2H, t).
実施例7
水中でシスチンをシスチンに対して2当量の苛性ソーダで中和し、シスチンに対して4当量のエチレンオキシドを加えて加熱し、精製し、N,N,N’,N’-テトラキス(2−ヒドロキシエチル)シスチン・2Na水溶液として取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。δ = 2.6ppm (8H, t), 2.8-3.0ppm (4H, m), 3.6ppm (8H, t), 3.7ppm (2H, t).
実施例8
フラスコ中でシスチン懸濁液をシスチンに対して2当量の苛性ソーダで中和し、アルカリ水溶液とする。シスチンに対して2当量の無水シトラコン酸を加え、無水シトラコン酸に対して等量の苛性ソーダでpHを調整しながら加熱し、N,N’-ビスシトラコニル化シスチン・4Na水溶液として取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。δ = 2.4ppm (6H, s), 2.9-3.2ppm (4H, m), 4.7ppm (2H, t), 7.2ppm (2H, s).
実施例9
フラスコ中でシスチン懸濁液をシスチンに対して2当量の苛性ソーダで中和し、アルカリ水溶液とする。シスチンに対して2当量の無水イタコン酸を加え、無水イタコン酸に対して等量の苛性ソーダでpHを調整しながら加熱し、N,N’-ビスイタコニル化シスチン・4Na水溶液として取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。δ = 2.8ppm (4H, s), 2.9-3.2ppm (4H, m), 4.7ppm (2H, t), 5.9ppm (2H, s), 6.5 (2H, s).
実施例10
フラスコ中でシスチン懸濁液を苛性ソーダで中和し、アルカリ水溶液とする。無水グルタル酸を加え、苛性ソーダでpHを調整しながら反応させ、N,N’-ビスグルタル化シスチン・4Na水溶液として取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。δ = 2.0ppm (8H, s), 2.3ppm (4H, s), 2.9-3.2ppm (4H, m), 4.7ppm (2H, t).
本発明で製造したシスチン誘導体の性能評価を行った。各評価結果は表1にまとめた。
保存安定性試験方法
1%水溶液、pH5、50℃、1ヶ月。
色相評価
〇 継時着色無し
△ 継時着色あり
× 懸濁
臭気変化
〇 匂わない
△ 僅かに匂う
× 明らかに匂う
ハリ・コシ賦与効果試験法
カトーテック製多目的純曲げ試験機を用いて、毛髪の硬さを測定した。
測定毛の準備
ビューラックス製ライトブラウン毛BR-3-Aを購入して用いた。
初期値測定
1%ラウレス硫酸ナトリウム水溶液(pH5に調整)に毛髪を30分含浸し、水洗した。
温度20℃、湿度60%の恒温恒湿室で24時間静置した。
別記の条件でカトーテック製多目的純曲げ試験機を用いて、無処理毛髪の固さを測定した。
サンプル測定
各測定サンプル純分1%水溶液(pH5に調整)に毛髪を10分含浸し(温度60℃)、温度20℃、湿度40%の恒温恒湿室で24時間静置した。
別記の条件でカトーテック製多目的純曲げ試験機を用いて、各試料処理毛髪の固さを測定した。
ハリ・コシの評価基準として毛髪固さを以下の式で算出した
毛髪固さ=各試料処理毛髪の固さ÷無処理毛髪の固さ
処理前後の硬さ変化を比較した。数値が高いほど毛髪の硬さが向上している事を示す。
カトーテック製多目的純曲げ試験機測定条件
SPEED:5 mm/sec
最大曲率:2.5 cm-1
計測サイクル:1サイクル
サンプル幅:5cm (毛髪50本、1mm間隔に貼り付け)
アセチルシステインに代表されるシステイン・シスチン誘導体は水溶液での継時安定性に乏しいが、実施例1〜10のシスチン誘導体は継時安定性に優れている。また、毛髪補修に用いられるアルギニンやグリシンなどと比べて毛髪の硬さも向上している。
従って、本発明の化合物は、安定性に優れ、優れたハリ・コシ賦与効果を示す。毛髪化粧料原料として優れている物であった。
更に、実用形態の処方例を開示して、本発明を詳細に述べる。
実施例11 シャンプー組成物1
実施例1で製造したシスチン誘導体 0.5%
N−アシルメチルアラニン 30%溶液 注1 47.0%
コカミドプロピルベタイン 30%溶液 注2 13.0%
脂肪酸モノエタノールアミド 注3 2.0%
カチオン化高分子 注4 0.3%
中和剤 適量
精製水 残分
注1:アラノンALE 川研ファインケミカル株式会社製
注2:ソフタゾリンCPB 川研ファインケミカル株式会社製
注3:アミゾールCME 川研ファインケミカル株式会社製
注4:カチナールHC−200 東邦化学工業株式会社製

上記シャンプー組成物は、毛髪を滑らかにし、ハリを与え本発明の効果が確認された。
実施例12 シャンプー組成物2
実施例2で製造したシスチン誘導体 0.5%
ラウレス硫酸ナトリウム 27%溶液 注5 52.0%
コカミドプロピルベタイン 30%溶液 13.0%
脂肪酸モノエタノールアミド 2.0%
カチオン化高分子 0.3%
中和剤 適量
精製水 残分
注5:エマールE−27C 花王株式会社製

上記シャンプー組成物は、毛髪を滑らかにし、ハリを与え本発明の効果が確認された。
実施例13 ヘアコンディショナー組成物
実施例3で製造したシスチン誘導体 0.5%
ポリオキシアルキレンアルキルアミン 注6 2.0%
ステアリルアルコール 注7 8.0%
中和剤 適量
精製水 残分
注6:カワソフトEP59SP 川研ファインケミカル株式会社製
注7:カルコール8098 花王株式会社製

上記ヘアコンディショナー組成物は、毛髪を滑らかにし、ハリを与え本発明の効果が確認された。
実施例14 ヘアミスト組成物
実施例4で製造したシスチン誘導体 0.5%
エタノール 10.0%
ジプロピレングリコール 2.0%
中和剤 適量
精製水 残分

上記ヘアミスト組成物は、毛髪を滑らかにし、ハリを与え本発明の効果が確認された。
実施例15 ヘアクリーム
実施例5で製造したシスチン誘導体 0.5%
ベヘントリモニウムクロリド 注8 2.0%
セトステアリルアルコール 注9 1.0%
ジプロピレングリコール 6.0%
グリセリン 10.0%
流動パラフィン 3.0%
中和剤 適量
精製水 残余
注8:NIKKOL CA−2580 日光ケミカルズ株式会社製
注9:高級アルコール工業株式会社製

上記ヘアクリーム組成物は、毛髪を滑らかにし、ハリを与え本発明の効果が確認された。
実施例16 スタイリングローション
実施例6で製造したシスチン誘導体 0.5%
ポリビニルピロリドン 注10 3.0%
プロピレングリコール 2.0%
ポリオキシエチレン(20モル)ステアリルアルコールエーテル 注11 1.5%
エタノール 15.0%
中和剤 適量
精製水 残余
注10:ルビスコールK17 BASFジャパン株式会社製

注11:EMALEX 620 日本エマルジョン株式会社製
上記スタイリングローション組成物は、毛髪を滑らかにし、ハリを与え本発明の効果が確認された。
実施例17 パーマ剤
第一剤組成物
製造例7で製造したシスチン誘導体 5.0%
モノエタノールアミン 2.0%
チオグリコール酸 1.0%
エデト酸四ナトリウム 0.2%
中和剤 適量
精製水 残余

第二剤組成物
臭素酸ナトリウム 8.0%
精製水 残余

上記パーマ剤は、施術後も毛髪のハリを損なうことなく、本発明の効果が確認された。
実施例18 ヘアマニキュア組成物
実施例8で製造したシスチン誘導体 0.5%
ナフトールブルーブラック 注12 1.0%
グリコール酸 5.0%
オレイルアルコール 注13 5.0%
エタノール 10.0%
中和剤 適量
精製水 残余
注12:東京化成工業株式会社試薬
注13:東京化成工業株式会社試薬

上記ヘアマニキュア組成物は、施術後も毛髪のハリを損なうことなく、本発明の効果が確認された。
実施例19 化粧水組成物1
製造例9で製造した誘導体 0.5%
グリセリン 5.0%
中和剤 適量
精製水 残分

上記化粧水組成物は、使用感に優れ、肌にしっとり感を与え本発明の効果が確認された。
実施例20 化粧水組成物2
製造例1で製造した誘導体 0.3%
製造例10で製造した誘導体 0.2%
1,3−ブタンジオール 5.0%
中和剤 適量
精製水 残分

上記化粧水組成物は、使用感に優れ、肌にしっとり感を与え本発明の効果が確認された。
本発明シスチン誘導体またはその塩は、毛髪化粧料添加物として優れた性能を有し、特に毛髪にハリ・コシを与える効果に優れた性能を示す。

Claims (6)

  1. 一般式(1)の構造で示されるシスチン誘導体またはその塩。

    [式中、R,R,R,Rは独立して水素原子又は一般式(3)、(5)〜(7)、(9)〜(13)または(14)で表される末端に親水基を有する置換基であり、
    ,R,R,Rが同時に水素原子であることはない。
    及びMは同一でも異なっていても良く、水素原子又は、ナトリウム、カリウムから選ばれるアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムから選ばれるアルカリ土類金属、アンモニア、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸から選ばれる電離親水基のカウンターを示す。カウンターが多価イオンの場合には、そのカウンターを介して分子内でつながっていても、分子間でつながっていても良い。]

    [但し、式中M及びMは同一でも異なっていても良く、水素原子又は、ナトリウム、カリウムから選ばれるアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムから選ばれるアルカリ土類金属、アンモニア、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸から選ばれる電離親水基のカウンターを示す。カウンターが多価イオンの場合には、そのカウンターを介して分子内でつながっていても、分子間でつながっていても良い。]
  2. シスチンに酸ハロゲン化物を反応させることで合成することを特徴とする請求項1記載のシスチン誘導体またはその塩の製造方法。
  3. シスチンに親水性置換基を有するビニル化合物(ビニル基含有化合物)を反応させることで合成される、請求項1記載のシスチン誘導体またはその塩の製造方法。
  4. 請求項に記載のシスチン誘導体またはその塩を含有する化粧料組成物。
  5. 化粧料組成物が毛髪化粧料組成物である請求項に記載の化粧料組成物。
  6. 化粧料組成物が皮膚化粧料組成物である請求項に記載の化粧料組成物。

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