(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図8を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
図1は、第1の実施形態の空気調節装置(エアコンディショナー。以下、空調機と称する)10を示す斜視図である。空調機10は、空気調節装置及び回転機械の一例であり、例えば、空気調和機とも称され得る。なお、回転機械は空調機10に限らず、産業用モータを有する機構や、扇風機及び洗濯機のような家庭用電気器具や、動力源及び回転体を有する他の機械であっても良い。
各図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、空調機10の幅に沿う。Y軸は、空調機10の長さ(奥行き)に沿う。Z軸は、空調機10の高さに沿う。
図1に示すように、空調機10は、室内ユニット11を有する。室内ユニット11は、例えば、室外機や、室内ユニット11及び室外機を制御する制御装置に接続される。なお、複数の室内ユニット11が一つの制御装置に接続された空気調節システムが構成されても良い。
室内ユニット11は、カバー21と、本体22とを有する。カバー21は、例えば、室内ユニット11が設置された室内の天井に設けられる。カバー21に、複数の吸気口25と複数の送気口26とが設けられる。送気口26は、例えば、ルーバーにより開閉可能である。
図2は、第1の実施形態の室内ユニット11の本体22を示す斜視図である。図3は、第1の実施形態の室内ユニット11の本体22を示す断面図である。図2及び図3に示すように、本体22は、筐体31と、熱交換器32と、モータ33と、ターボファン34と、キャップ35と、ブッシュ36とを有する。モータ33は、動力源の一例である。ターボファン34は、回転体及びファンの一例であり、例えば、遠心ファンとも称され得る。なお、回転体はターボファン34に限らず、例えば、プロペラファンのような他のファン、又は歯車や滑車のような他の回転体であっても良い。ブッシュ36は、例えば、接続部品、軸受、又は部材とも称され得る。
図3に示すように、筐体31は、例えば、金属によって形成され、上壁41と、周壁42とを有する。上壁41は、X-Y平面上に広がる板状に形成される。上壁41に、例えば、当該上壁41の剛性を向上させるリブが形成されても良い。周壁42は、上壁41の縁からZ軸に沿う負方向(Z軸の矢印の反対方向、下方向)に延びる筒状に形成される。
筐体31の内部に、送風路45が設けられる。送風路45は、筐体31によって形成されても良いし、例えば、筐体31の内側に取り付けられる部材によって形成されても良い。上壁41は、送風路45に向く内面41aを有する。内面41aは、Z軸に沿う負方向に向く。
熱交換器32は、送風路45に配置される。熱交換器32は、例えば、上壁41の内面41aに取り付けられ、Z軸に沿う負方向に延びる筒状に形成される。熱交換器32は、例えば、冷媒が流される管やフィンを有する。熱交換器32は、当該熱交換器32を通過する空気と冷媒との間で熱交換を生じさせ、当該空気を暖め又は冷やす。なお、熱交換器32はこの例に限らない。
モータ33は、例えば、インバータ制御により回転数を変動可能なDCモータである。モータ33は、上壁41の内面41aに取り付けられる。例えば、モータ33は、内面41aから延びるボルトに、ナットによって取り付けられる。
モータ33は、軸33aを有する。軸33aは、例えば、駆動軸又は回転軸とも称され得る。軸33aは、Z軸に沿う負方向に延びる。モータ33は、駆動されることにより、軸33aを、当該軸33aの中心軸まわりに回転させる。
ターボファン34は、送風路45に配置され、熱交換器32に囲まれる。ターボファン34は、例えば、合成樹脂によって作られる。ターボファン34は、他の材料によって作られても良い。ターボファン34は、ハブ51と、支持部52と、連結部53と、複数の羽根54と、シュラウド55とを有する。
ハブ51は、Z軸に沿う方向に延びる筒状に形成される。ハブ51は、ブッシュ36を介してモータ33の軸33aに取り付けられる。支持部52は、X-Y平面上に広がる円環状に形成される。支持部52は、ハブ51よりも上壁41に近い位置に配置され、モータ33を囲む。
連結部53は、例えば、略円錐台形の筒状に形成され、ハブ51の端部と、支持部52の内周とを連結する。複数の羽根54は、円環状に配置され、支持部52からZ軸に沿う負方向に延びる。シュラウド55は、X-Y平面上に広がる円環状に形成され、複数の羽根54の端部に接続される。
モータ33は、軸33aを回転させることで、ターボファン34を回転させる。図3の矢印で示すように、回転するターボファン34は、図1の吸気口25から室内の空気を吸引し、当該空気を熱交換器32へ送る。熱交換器32により暖められ又は冷やされた空気は、図1の送気口26から室内に供給される。
キャップ35は、モータ33の軸33aに、ターボファン34及びブッシュ36を固定する。例えば、キャップ35は、軸33aの先端部に形成された雄ネジにねじ留めされ、ターボファン34及びブッシュ36を支持する。
図4は、第1の実施形態のブッシュ36を示す斜視図である。図5は、第1の実施形態のブッシュ36を示す平面図である。図6は、第1の実施形態のブッシュ36とモータ33の軸33aの一部とを模式的に示す断面図である。図4乃至図6に示すように、ブッシュ36は、内筒61と、外筒62と、三つのピン63とを有する。内筒61は、第1の部材の一例である。外筒62は、第2の部材の一例である。三つのピン63は、複数の第3の部材の一例である。
内筒61及び外筒62は、例えば、アルミニウム合金のような比較的軽い金属によって作られる。すなわち、内筒61及び外筒62は同一の材料によって作られ、内筒61の材料のヤング率と、外筒62の材料のヤング率とは実質的に等しい。内筒61及び外筒62は、合成樹脂のような他の材料によって作られても良い。また、内筒61の材料と、外筒62の材料とが異なっても良い。
内筒61は、Z軸に沿う方向に延びる略円筒形に形成される。このため、内筒61に、Z軸に沿う方向に延びるとともに内筒61を貫通する第1の開口71が設けられる。なお、第1の開口71は、内筒61を貫通する孔に限らず、有底の穴であっても良い。
図5に示すように、第1の開口71は、第1の中心軸C1を中心とする略円形の断面を有する。第1の中心軸C1は、Z軸に沿う第1の開口71の仮想的な中心軸である。すなわち、第1の開口71は、第1の中心軸C1を中心として延びる、略円形の孔である。言い換えると、第1の開口71は、第1の中心軸C1を中心に置いて延びる孔である。図6に示すように、本実施形態において、第1の中心軸C1は、モータ33の軸33aの中心軸と実質的に一致する。
内筒61は、第1の内周面61aと、第1の外周面61bと、第1の端部61cと、第2の端部61dと、三つの第1の凹面61eとを有する。第1の外周面61bは、外周面の一例である。
第1の内周面61aは、第1の開口71を規定し、第1の中心軸C1を中心として延びる略円筒形の面である。言い換えると、第1の内周面61aは、第1の中心軸C1を中心に置いて延びる略円筒形の面である。第1の内周面61aは、第1の開口71に面する。第1の開口71は、第1の内周面61aの内側に設けられる。
図5に示すように、第1の外周面61bは、第1の内周面61aの反対側に位置する。第1の外周面61bは、第1の中心軸C1を中心として延びる略円筒形の面である。言い換えると、第1の外周面61bは、第1の中心軸C1を中心に置いて延びる略円筒形の面である。すなわち、第1の内周面61aと第1の外周面61bとは、同心円状に配置される。なお、第1の内周面61aの中心と第1の外周面61bの中心とが異なっても良い。
第1の外周面61bは、第1の中心軸C1を中心として延びる略円筒形に形成されることで、第1の中心軸C1まわりの回転対称に形成される。このように、第1の中心軸C1は、第1の外周面61bの対称軸でもある。
図6に示すように、第1の端部61cは、Z軸に沿う負方向における内筒61の端部である。第1の端部61cは、Z軸に沿う負方向に向く略平坦な面である。Z軸に沿う負方向は、第1の方向の一例である。なお、第1の端部61cは、例えば、曲面であっても良いし、凹凸を有しても良い。
第2の端部61dは、Z軸に沿う負方向の反対であるZ軸に沿う正方向(Z軸の矢印が示す方向、上方向)における、内筒61の端部である。第2の端部61dは、Z軸に沿う正方向に向く略平坦な面である。Z軸に沿う正方向は、第2の方向の一例である。なお、第2の端部61dは、例えば、曲面であっても良いし、凹凸を有しても良い。
第1の開口71は、第1の端部61cと第2の端部61dとに連通する。言い換えると、第1の端部61cに第1の開口71が開くとともに、第2の端部61dに第1の開口71が開く。
図5に示すように、第1の凹面61eは、第1の中心軸C1に近づく方向に凸に、第1の外周面61bから窪む。このため、三つの第1の凹面61eはそれぞれ、第1の外周面61bに設けられ、第1の中心軸C1から放射状に遠ざかる方向に開く第1の窪み72を形成する。
図6に示すように、第1の凹面61eは、第1の端部61cから第2の端部61dに亘って設けられる。言い換えると、第1の凹面61eは、第1の端部61cからZ軸に沿う正方向に延びる。このため、第1の窪み72は、第1の端部61cに開くとともに、第2の端部61dに開く。
図5に示すように、第1の凹面61eは、第1の端部61cから第2の端部61dに近づくに従って半径が小さくなる円弧状の曲面に形成される。すなわち、第1の凹面61eはZ軸に対して傾斜するが、複数の第1の凹面61eのそれぞれの中心軸は、第1の中心軸C1と平行に、Z軸に沿う方向に延びる。
第1の凹面61eの半径は、第1の端部61cから第2の端部61dに近づくに従っていわゆる線形テーパ状に小さくなる。このため、第1の凹面61eの勾配は実質的に一定である。なお、第1の凹面61eの勾配はこの例に限らない。第1の凹面61eの勾配は、当該第1の凹面61eの中心軸が延びる方向(Z軸に沿う方向)における位置の変化に対する、第1の凹面61eの半径の比である。
三つの第1の凹面61eは、第1の中心軸C1まわりに等間隔に配置される。なお、三つの第1の凹面61eの配置はこの例に限らない。また、内筒61は、三つより多い第1の凹面61eを有しても良い。第1の凹面61eの数が多い場合、第1の中心軸C1まわりに隣り合う二つの第1の凹面61eが近接することがある。この場合、第1の中心軸C1まわりにおける、一つの第1の凹面61eの端と、隣接する第1の凹面61eの端と、が接続される部分(稜)が、第1の外周面61bを形成する。
内筒61に、嵌合部73が設けられる。嵌合部73は、第1の内周面61aから、第1の開口71の内側に突出する。図6に示すように、Z軸に沿う方向において、嵌合部73の長さは、第1の開口71の長さよりも短い。
第1の開口71に、モータ33の軸33aが挿通される。軸33aは、切欠き33bが設けられたいわゆるDカット軸である。第1の開口71に軸33aが通されると、切欠き33bに嵌合部73が嵌まる。これにより、軸33aの回転が内筒61に伝わる。
外筒62は、Z軸に沿う方向に延びる略円筒形に形成される。このため、外筒62に、Z軸に沿う方向に延びるとともに外筒62を貫通する第2の開口75が設けられる。なお、第2の開口75は、外筒62を貫通する孔に限らず、有底の穴であっても良い。
第2の開口75は、第2の中心軸C2を中心とする略円形の断面を有する。すなわち、第2の中心軸C2はZ軸に沿う第2の開口75の仮想的な中心軸であり、第2の開口75は第2の中心軸C2を中心として延びる略円形の孔である。言い換えると、第2の開口75は、第2の中心軸C2を中心に置いて延びる孔である。
第2の中心軸C2は、Z軸に沿う第2の開口75の仮想的な中心軸である。第2の中心軸C2は、第1の中心軸C1と平行であり、第1の中心軸C1から離間して配置されることが可能である。言い換えると、第2の中心軸C2は、第1の中心軸C1と異なる位置に配置可能である。このため、第1の開口71と第2の開口75とは、互いに偏心する位置に配置可能である。なお、第2の中心軸C2は、第1の中心軸C1に対して斜めに傾いても良い。
外筒62は、第2の内周面62aと、第2の外周面62bと、第3の端部62cと、第4の端部62dと、複数の第2の凹面62eとを有する。第2の凹面62eの数は、第1の凹面61eの数よりも多い。
第2の内周面62aは、第2の開口75を規定し、第2の中心軸C2を中心として延びる略円筒形の面である。言い換えると、第2の内周面62aは、第2の中心軸C2を中心に置いて延びる略円筒形の面である。第2の内周面62aは、第2の開口75に面する。第2の開口75は、第2の内周面62aの内側に設けられる。
第2の内周面62aは、第2の中心軸C2を中心として延びる略円筒形に形成されることで、第2の中心軸C2まわりの回転対称に形成される。このように、第2の中心軸C2は、第2の内周面62aの対称軸でもある。
図5に示すように、第2の開口75に、内筒61が収容される。第2の開口75の半径は、内筒61の第1の外周面61bの半径よりも長い。内筒61は、第2の内周面62aから離間した位置に配置される。このため、内筒61と外筒62との間に、隙間Gが設けられる。
第2の内周面62aは、内筒61から離間した位置で第1の外周面61bに向く。言い換えると、第2の内周面62aと第1の外周面61bとは、隙間Gを介して向かい合う。
第2の外周面62bは、第2の内周面62aの反対側に位置する。第2の外周面62bは、第2の中心軸C2を中心として延びる円筒形の面である。言い換えると、第2の外周面62bは、第2の中心軸C2を中心に置いて延びる円筒形の面である。すなわち、第2の内周面62aと第2の外周面62bとは、同心円状に配置される。なお、第2の内周面62aの中心と第2の外周面62bの中心とが異なっても良い。
図3に示すように、外筒62は、例えばインサート成形により、ターボファン34のハブ51と一体的に形成される。本実施形態において、外筒62の第2の外周面62bが、ターボファン34のハブ51に接続される。なお、外筒62とターボファン34とは、この例に限らず、例えば同一の材料により一つの部品として形成されても良い。
図6に示すように、第3の端部62cは、Z軸に沿う負方向における外筒62の端部である。第3の端部62cは、Z軸に沿う負方向に向く略平坦な面である。なお、第3の端部62cは、例えば、曲面であっても良いし、凹凸を有しても良い。
第4の端部62dは、Z軸に沿う正方向における外筒62の端部である。第4の端部62dは、Z軸に沿う正方向に向く略平坦な面である。なお、第4の端部62dは、例えば、曲面であっても良いし、凹凸を有しても良い。
第2の開口75は、第3の端部62cと第4の端部62dとに連通する。言い換えると、第3の端部62cに第2の開口75が開くとともに、第4の端部62dに第2の開口75が開く。
図5に示すように、第2の凹面62eは、第2の中心軸C2から遠ざかる方向に凸に、第2の内周面62aから窪む。このため、複数の第2の凹面62eはそれぞれ、第2の内周面62aに設けられ、第2の中心軸C2に向く方向に開く第2の窪み76を形成する。
図6に示すように、第2の凹面62eは、第3の端部62cから第4の端部62dに亘って設けられる。言い換えると、第2の凹面62eは、第3の端部62cからZ軸に沿う正方向に延びる。このため、第2の窪み76は、第3の端部62cに開くとともに、第4の端部62dに開く。
図5に示すように、第2の凹面62eは、第3の端部62cから第4の端部62dに近づくに従って半径が小さくなる円弧状の曲面に形成される。すなわち、第2の凹面62eはZ軸に対して傾斜するが、複数の第2の凹面62eのそれぞれの中心軸は、第2の中心軸C2と平行に、Z軸に沿う方向に延びる。
第2の凹面62eの半径は、第3の端部62cから第4の端部62dに近づくに従っていわゆる線形テーパ状に小さくなる。このため、第2の凹面62eの勾配は実質的に一定である。なお、第2の凹面62eの勾配はこの例に限らない。第2の凹面62eの勾配は、当該第2の凹面62eの中心軸が延びる方向(Z軸に沿う方向)における位置の変化に対する、第2の凹面62eの半径の比である。
複数の第2の凹面62eは、第2の中心軸C2まわりに等間隔に配置される。なお、複数の第2の凹面62eの配置はこの例に限らない。本実施形態において、第2の中心軸C2まわりに隣り合う二つの第2の凹面62eが近接する。第2の中心軸C2まわりにおける、一つの第2の凹面62eの端と、隣接する第2の凹面62eの端と、が接続される部分(稜)が、第2の内周面62aを形成する。
ピン63は、例えば、シリコン樹脂のような合成樹脂によって作られる。このため、ピン63の材料のヤング率は、内筒61の材料のヤング率よりも低く、且つ外筒62の材料のヤング率よりも低い。なお、ピン63はこの例に限らず、他の材料によって作られても良いし、内筒61及び外筒62の材料と同じ材料によって作られても良い。
図6に示すように、ピン63は、Z軸に沿う方向に延びるとともに、Z軸に沿う正方向に先細る円錐台形に形成される。すなわち、ピン63は、第1の中心軸C1と平行且つ第2の中心軸C2と平行に延びる。なお、ピン63は、多角形の錐台形のような他の形状に形成されても良い。ピン63は、第5の端部63aと、第6の端部63bと、周面63cとを有する。
第5の端部63aは、Z軸に沿う負方向におけるピン63の端部である。第5の端部63aは、Z軸に沿う負方向に向く略平坦な面である。なお、第5の端部63aは、例えば、曲面であっても良いし、凹凸を有しても良い。
第6の端部63bは、Z軸に沿う正方向におけるピン63の端部である。第6の端部63bは、Z軸に沿う正方向に向く略平坦な面である。なお、第6の端部63bは、例えば、曲面であっても良いし、凹凸を有しても良い。第6の端部63bの半径は、第5の端部63aの半径よりも小さい。言い換えると、第6の端部63bは、第5の端部63aよりも小さい。
周面63cは、第5の端部63aの縁と第6の端部63bの縁とを接続する。周面63cは、Z軸に沿う方向に延びるとともに、Z軸に沿う正方向に先細る円錐台形の筒状の面である。
ピン63の周面63cの半径は、第5の端部63aから第6の端部63bに近づくに従っていわゆる線形テーパ状に小さくなる。このため、ピン63の周面63cの勾配は実質的に一定である。なお、周面63cの勾配はこの例に限らない。周面63cの勾配は、当該周面63cの中心軸が延びる方向(Z軸に沿う方向)における位置の変化に対する、周面63cの半径の比である。
ピン63の周面63cの勾配は、第1の凹面61eの勾配と実質的に等しい。さらに、周面63cの勾配は、第2の凹面62eの勾配と実質的に等しい。なお、周面63cの勾配と、第1の凹面61eの勾配と、第2の凹面62eの勾配とが互いに異なっても良い。
図5に示すように、三つのピン63は、隙間Gに配置される。三つのピン63はそれぞれ、三つの第1の凹面61eのうち一つと、複数の第2の凹面62eのうち一つと、に接触する。言い換えると、ピン63の一部が第1の窪み72に嵌められる。さらに、ピン63の他の一部が第2の窪み76に嵌められる。
上述のように、周面63cの勾配と、第1の凹面61eの勾配と、第2の凹面62eの勾配とは等しい。このため、ピン63の周面63cは、第1の凹面61e及び第2の凹面62eに、線接触又は面接触する。なお、ピン63の周面63cは、第1の凹面61e及び第2の凹面62eに点接触しても良い。
ピン63の半径が第1及び第2の凹面61e,62eの半径よりも大きい場合、ピン63は、第1及び第2の凹面61e,62eの端に線接触する。しかし、例えばピン63の材料のヤング率が低い場合、ピン63は、第1及び第2の凹面61e,62eに面接触できる。
三つのピン63はそれぞれ、内筒61を、第1の中心軸C1に向かって押す。これにより、三つのピン63は、内筒61が外筒62に対して、第1の中心軸C1と交差する方向に移動することを制限する。さらに、三つのピン63は、内筒61が外筒62に対して、第1の中心軸C1まわりに回転することを制限する。言い換えると、三つのピン63は、外筒62に対して内筒61を保持する。
周面63cが第1の凹面61eと第2の凹面62eとに接触することで、第1の開口71に挿通されたモータ33の軸33aが、内筒61、ピン63、及び外筒62を介して、ターボファン34に回転(トルク)を伝えることが可能となる。
周面63cは、例えば接着剤により、第1の凹面61e及び第2の凹面62eに固定されても良い。これにより、三つのピン63は、外筒62に対して内筒61をより強固に保持することができる。
本実施形態において、第1の中心軸C1は、第2の中心軸C2から離間した位置に配置される。この場合、三つのピン63の大きさは異なる。以下、三つのピン63を、第1のピン63A、第2のピン63B、及び第3のピン63Cと個別に称する。
第1のピン63Aの周面63cの勾配と、第2のピン63Bの周面63cの勾配と、第3のピン63Cの周面63cの勾配と、は実質的に等しい。第1乃至第3のピン63A〜63Cの周面63cの勾配は、第1及び第2の凹面61e,62eの勾配と実質的に等しい。
一方、第1のピン63Aの第5の端部63aの半径は、第2のピン63Bの第5の端部63aの半径よりも短く、且つ第3のピン63Cの第5の端部63aの半径よりも短い。また、第1のピン63Aの第6の端部63bの半径は、第2のピン63Bの第6の端部63bの半径よりも短く、且つ第3のピン63Cの第6の端部63bの半径よりも短い。すなわち、第1のピン63Aは、第2のピン63Bよりも小さく、且つ第3のピン63Cよりも小さい。
第3のピン63Cの第5の端部63aの半径は、第1のピン63Aの第5の端部63aの半径よりも長く、且つ第2のピン63Bの第5の端部63aの半径よりも長い。また、第3のピン63Cの第6の端部63bの半径は、第1のピン63Aの第6の端部63bの半径よりも長く、且つ第2のピン63Bの第6の端部63bの半径よりも長い。すなわち、第3のピン63Cは、第1のピン63Aよりも大きく、且つ第2のピン63Bよりも大きい。
第1のピン63Aが接触する第1の凹面61eと第2の凹面62eとの間の距離は、第2のピン63Bが接触する第1の凹面61eと第2の凹面62eとの間の距離よりも短く、且つ第3のピン63Cが接触する第1の凹面61eと第2の凹面62eとの間の距離よりも短い。さらに、第3のピン63Cが接触する第1の凹面61eと第2の凹面62eとの間の距離は、第1のピン63Aが接触する第1の凹面61eと第2の凹面62eとの間の距離よりも長く、且つ第2のピン63Bが接触する第1の凹面61eと第2の凹面62eとの間の距離よりも長い。
上記の第1乃至第3のピン63A〜63Cは、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持する。言い換えると、上記の第1乃至第3のピン63A〜63Cは、内筒61と外筒62とが互いに偏心した位置で、外筒62に対して内筒61を保持する。なお、三つのピン63の大きさが等しい場合、当該三つのピン63は、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2と同一の位置に配置された状態で、外筒62に対して内筒61を保持する。言い換えると、三つのピン63は、内筒61と外筒62とが同心円状に配置された状態で、外筒62に対して内筒61を保持する。
以下、図7及び図8を参考に、ブッシュ36の製造方法の第1の例について例示する。図7は、第1の実施形態の内筒61と、外筒62と、三つのピン63とを分解して示す斜視図である。
図7に示すように、ブッシュ36が組み立てられる前において、三つのピン63は実質的に同一の形状を有する。以下、ブッシュ36が組み立てられる前のピン63を、ピン63Xと称する。Z軸に沿う方向において、ピン63Xの長さは、内筒61の長さよりも長く、且つ外筒62の長さよりも長い。
例えばインサート成形時の外筒62の位置ずれにより、ターボファン34の重心の位置が外筒62の中心(第2の中心軸C2)の位置と異なる場合がある。ブッシュ36の内筒61、外筒62、及びピン63は、外筒62と一体的に形成されたターボファン34の重心の位置に応じて、モータ33の軸33aの中心軸の位置とターボファン34の重心の位置とが一致するように組み立てられる。言い換えると、ブッシュ36は、第1の中心軸C1の位置と、ターボファン34の重心の位置とが一致するように組み立てられる。
まず、ターボファン34の重心の位置が、三角形状に配置された三つの圧力センサにターボファン34を載置させることで計測される。なお、ターボファン34の重心の位置はこの例に限らず、例えば、ターボファン34を回転させることで計測されても良い。
次に、第1の中心軸C1の位置とターボファン34の重心の位置とが一致するように、内筒61と外筒62とが配置される。ターボファン34の重心は、Z軸に沿う第1の中心軸C1上のいずれの位置にあっても良い。すなわち、ターボファン34の重心の位置は、第1の中心軸C1が延びる方向(Z軸に沿う正方向又はZ軸に沿う負方向)に平面視した場合に、第1の中心軸C1の位置と一致させられる。
次に、第1の中心軸C1の位置と、ターボファン34の重心の位置とが一致した状態で、三つのピン63Xが隙間Gに挿入される。三つのピン63Xはそれぞれ、三つの第1の凹面61eのうち一つと、複数の第2の凹面62eのうち一つと、に接触させられる。
第1の凹面61eは、第1の端部61cから第2の端部61dに近づくに従って外筒62に近づくように延びる。一方、第2の凹面62eは、第3の端部62cから第4の端部62dに近づくに従って内筒61に近づくように延びる。このような第1の凹面61eと第2の凹面62eとが向かい合うことで、仮想的な孔Hが形成される。図7は、説明のため、孔Hを二点鎖線で示す。
孔Hは、例えば、略円形又は歪んだ円形に形成される。ピン63Xが対応する孔Hに挿入されることで、当該孔Hの半径にかかわらず、ピン63Xが三つの第1の凹面61eのうち一つと、複数の第2の凹面62eのうち一つと、に接触する。
図8は、第1の実施形態のピン63Xが挿通された内筒61及び外筒62を示す斜視図である。図8に示すように、孔Hを形成する第1の凹面61eと第2の凹面62eとの間の距離(孔Hの半径)に応じて、Z軸に沿う方向における三つのピン63Xの位置が異なる。例えば、孔Hの半径が大きいほど、ピン63Xは孔Hに深く挿入される。
孔Hの半径が大きい場合、ピン63Xの半径が大きい部分が、当該孔Hを形成する第1の凹面61e及び第2の凹面62eに接触する。一方、孔Hの半径が小さい場合、ピン63Xの半径が小さい部分が、当該孔Hを形成する第1の凹面61e及び第2の凹面62eに接触する。これにより、三つのピン63Xは、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持する。
次に、ピン63Xの、内筒61及び外筒62から張り出した部分が切断される。例えば、Z軸に沿う方向における第1の端部61cの位置及び第2の端部61dの位置で、ピン63Xが切断される。ピン63Xは、シリコン樹脂によって作られるため、容易に切断され得る。
ピン63Xが切断されると、第1の凹面61e及び第2の凹面62eに接触するピン63Xの一部が隙間Gに残る。残った三つのピン63Xの一部は、第1のピン63A、第2のピン63B、及び第3のピン63Cを形成し、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持する。
以上により、ブッシュ36が組み立てられ、第1の中心軸C1の位置とターボファン34の重心の位置とが一致させられる。これにより、回転するターボファン34に振動が生じることが抑制される。なお、第1の中心軸C1の位置とターボファン34の重心の位置とが異なっても、第1の中心軸C1の位置がターボファン34の重心の位置に近づけられることで、回転するターボファン34に生じる振動が低減される。
以下、ブッシュ36の製造方法の第2の例について例示する。なお、ブッシュ36の製造方法は上記第1の例及び以下の第2の例に限られず、他の方法が用いられても良い。以下の第2の例は、例えば、モータ33が大型である場合に用いられる。
まず、第1の例と同じく、ターボファン34の重心の位置が計測される。次に、第1の中心軸C1の位置とターボファン34の重心の位置とが一致するように、内筒61と外筒62とが配置される。
次に、又は予め、ピン63が挿入される孔Hを形成する第1の凹面61eと第2の凹面62eとの間の距離が確認される。なお、上記の内筒61及び外筒62の配置と、第1の凹面61e及び第2の凹面62eの間の距離の確認とは、例えば、実際に行われても良いし、CAD上で行われても良い。
三つの孔Hのうち一つは、内筒61と外筒62とが最も離れた位置に配置される。三つの孔Hが略正三角形の頂点に配置されるよう、三つの孔Hのうち他の二つが配置される。第1の凹面61eと第2の凹面62eとの間の距離に応じて、三つのピン63のそれぞれの大きさ(半径)が決定される。
次に、ピン63の質量が算出される。ピン63の質量は、例えば、ピン63の最大半径及び最小半径と、Z軸に沿う方向におけるピン63の長さと、ピン63の材料とに基づいて算出される。
次に、ピン63の質量と、内筒61の質量と、外筒62の質量とに基づき、ブッシュ36が取り付けられた状態のターボファン34の重心の位置を算出する。すなわち、ピン63の質量による影響をフィードバックし、ブッシュ36が取り付けられた状態のターボファン34の重心の位置が再計算される。
次に、第1の中心軸C1の位置と、算出されたターボファン34の重心の位置とが一致するように、内筒61と外筒62とが再配置される。以降、第1の例と同じく、孔Hに挿入された三つのピン63Xにより、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61が保持される。ピン63Xが切断されることで、第1のピン63A、第2のピン63B、及び第3のピン63Cが形成される。
以上説明された第1の実施形態に係る空調機10において、複数のピン63は、それぞれが複数の第1の凹面61eのうち一つと複数の第2の凹面62eのうち一つとに接触し、内筒61の第1の中心軸C1が外筒62の第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持する。これにより、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置に、容易に外筒62に対して内筒61を保持させることが可能となる。すなわち、第2の中心軸C2に対する第1の中心軸C1の位置(偏心量)を調整することが可能となる。これにより、例えば、第1の中心軸C1の位置を、ブッシュ36が取り付けられるターボファン34のような回転体の重心の位置と一致させることが可能となり、ターボファン34が振動することが抑制される。従って、振動による騒音の発生が抑制される。また、錘(バランサ)の取り付けによる重心調整作業が不要になるとともに、振動抑制のための複雑な補強構造が不要となるため、ブッシュ36を有する空調機10のような回転機械の製造コストが低減する。さらに、ピン63が第1の凹面61eと第2の凹面62eとに接触することで、内筒61が外筒62に対して回転することが抑制される。
第1の凹面61eは、第1の端部61cから第2の端部61dに近づくに従って外筒62に近づくように延びる。第2の凹面62eは、第3の端部62cから第4の端部62dに近づくに従って内筒61に近づくように延びる。すなわち、第1の凹面61eと第2の凹面62eとは、Z軸に沿う正方向に先細る仮想的な孔Hを形成する。当該孔Hにピン63が挿入されることで、当該ピン63は第1の凹面61eと第2の凹面62eとに接触する。上記孔Hが先細るため、例えば、一定に設定されたピン63の大きさ(半径)が上記孔Hのある位置における大きさ(半径)といくらか異なっていたとしても、ピン63は上記孔Hのどこかの位置で第1の凹面61eと第2の凹面62eとに接触できる。これにより、用意されるピン63の大きさの種類が増大することが制限される。
ピン63は、Z軸に沿う正方向に先細る。ピン63がZ軸に沿う方向に十分に長い場合、ピン63は、第1の凹面61eと第2の凹面62eとが形成する仮想的な孔Hの大きさにかかわらず、Z軸に沿う正方向に先細る当該孔Hを形成する第1の凹面61e及び第2の凹面62eに接触することが可能である。これにより、用意されるピン63の大きさの種類が増大することが制限され、例えば一種類のピン63により、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持することが可能となる。
第1の凹面61eは、第1の端部61cから第2の端部61dに近づくに従って半径が小さくなる円弧状の曲面に形成される。第2の凹面62eは、第3の端部62cから第4の端部62dに近づくに従って半径が小さくなる円弧状の曲面に形成される。ピン63は、Z軸に沿う正方向に先細る円錐台形に形成される。これにより、ピン63と、第1の凹面61e及び第2の凹面62eとが、より安定的に接触しやすい。従って、ピン63は、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を安定的に保持することが可能となる。
第1の凹面61eの勾配と、第2の凹面62eの勾配と、ピン63の勾配と、が等しい。これにより、ピン63と、第1の凹面61e及び第2の凹面62eとが、より確実に線接触又は面接触することができる。従って、ピン63が、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を安定的に保持することが可能となる。
ピン63の材料のヤング率は、内筒61及び外筒62の材料のヤング率よりも低い。このため、ピン63は、弾性変形することで、第1の凹面61e及び第2の凹面62eにより確実に接触することが可能となる。
本実施形態において、第1の外周面61bの中心である第1の中心軸C1は、回転対称に形成された第1の外周面61bの対称軸である。第1の外周面61bが回転対称でない場合、第1の中心軸C1は、第1の外周面61bの円弧状の部分の中心を通る。第1の外周面61bが複数の円弧状の部分を含む場合、第1の中心軸C1は、第1の外周面61bの重心に最も近い中心を有する円弧状の部分の中心を通る。
上の記載では第1の外周面61bが円弧状の部分を有する場合について説明したが、第1の外周面61bが円弧状の部分を有さないことがある。この場合、第1の中心軸C1は、第1の外周面61bが形成する最も大きい回転対称な形状の対称軸を通る。第1の外周面61bの形状が上述のいずれの場合にもあてはまらない場合、第1の中心軸C1は、第1の外周面61bの重心を通る。
複数の第2の凹面62eが第2の内周面62aに設けられる。第2の中心軸C2は、窪みや突起が設けられない円形の断面を有する部分における、第2の開口75の中心を通る。また、本実施形態のように、第2の凹面62eが、Z軸に沿う方向における第2の内周面62aの全域に設けられることがある。この場合、第2の中心軸C2は、第2の開口75の断面における円弧状の部分の中心を通る。第2の開口75の断面が複数の円弧状の部分を含む場合、第2の中心軸C2は、第2の開口75の重心に最も近い中心を有する円弧状の部分(第2の内周面62a)の中心を通る。
上の記載では第2の開口75の断面が円形又は円弧状の部分を有する場合について説明したが、第2の開口75の断面が円弧状の部分を有さないことがある。この場合、第2の中心軸C2は、窪みや突起が設けられない回転対称な断面を有する部分における、第2の開口75の対称軸を通る。また、窪みや突起が、Z軸に沿う方向における第2の内周面62aの全域に設けられることがある。この場合、第2の中心軸C2は、第2の開口75の断面が形成する最も大きい回転対称な形状の対称軸を通る。第2の開口75の形状が上述のいずれの場合にもあてはまらない場合、第2の中心軸C2は、第2の開口75の断面の重心を通る。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図9を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図9は、第2の実施形態に係るブッシュ36を示す平面図である。図9に示すように、第2の実施形態のブッシュ36は、充填材81をさらに有する。充填材81は、第4の部材の一例である。充填材81は、例えば、発泡プラスチック又はウレタン樹脂のような熱可塑性又は熱硬化性の合成樹脂によって作られる。なお、充填材81はこの例に限らず、接着剤のような他の材料によって作られても良い。
充填材81は、例えばインサート成形により、内筒61と外筒62との間の隙間Gに充填される。詳しく述べると、充填材81は、内筒61と、外筒62と、第1の中心軸C1まわりに間隔を介して隣り合う二つのピン63と、によって囲まれる空間Sに充填される。本実施形態において、三つの空間Sが第1の中心軸C1まわりに配置される。隣り合う空間Sは、ピン63によって隔てられる。
充填された充填材81は、内筒61の第1の外周面61bと、外筒62の第2の内周面62a及び複数の第2の凹面62eと、ピン63の周面63cとに接触した状態で硬化させられる。硬化した充填材81は、内筒61と、外筒62と、三つのピン63とが相対的に移動することを制限する。
複数の第1の凹面61eのそれぞれに、第1の凹部83が設けられる。なお、複数の第1の凹面61eのそれぞれに複数の第1の凹部83が設けられても良い。第1の凹部83は、第1の中心軸C1に近づく方向に凸な略半円状に第1の凹面61eから窪む。
第1の凹部83は、第1の端部61cから第2の端部61dに亘って設けられる。言い換えると、第1の凹部83は、第1の端部61cからZ軸に沿う正方向に延びる。このため、第1の凹部83は、第1の端部61cに開くとともに、第2の端部61dに開く。第1の凹部83の半径は、Z軸に沿う方向における位置の変化にかかわらず一定である。
複数の第2の凹面62eのそれぞれに、第2の凹部84が設けられる。なお、複数の第2の凹面62eのそれぞれに複数の第2の凹部84が設けられても良い。第2の凹部84は、第2の中心軸C2から遠ざかる方向に凸な略半円状に第2の凹面62eから窪む。
第2の凹部84は、第3の端部62cから第4の端部62dに亘って設けられる。言い換えると、第2の凹部84は、第3の端部62cからZ軸に沿う正方向に延びる。このため、第2の凹部84は、第3の端部62cに開くとともに、第4の端部62dに開く。第2の凹部84の半径は、Z軸に沿う方向における位置の変化にかかわらず一定である。
三つのピン63はそれぞれ、第1の凸部86と、第2の凸部87とを有する。第1の凸部86及び第2の凸部87は、ピン63の中心軸から遠ざかる方向に凸に、周面63cから突出する。第2の凸部87は、第1の凸部86の反対方向に突出する。なお、第2の凸部87は、他の方向に突出しても良い。
第1の凸部86及び第2の凸部87は、例えば、略半円状の断面を有する。第1の凸部86及び第2の凸部87は、第5の端部63aから第6の端部63bに亘って設けられる。第1の凸部86及び第2の凸部87のそれぞれの半径は、Z軸に沿う方向における位置の変化にかかわらず一定である。なお、第1の凸部86及び第2の凸部87の形状はこの例に限らない。
第1の実施形態と同じく、ピン63は、孔Hに挿入され、複数の第1の凹面61eのうち一つと複数の第2の凹面62eのうち一つとに接触する。第1の凸部86は、当該第1の凹面61eに設けられた第1の凹部83に入れられる。一方、第2の凸部87は、上記第2の凹面62eに設けられた第2の凹部84に入れられる。
第1の凸部86が第1の凹部83に保持され、第2の凸部87が第2の凹部84に保持される。これにより、第1の凹面61e及び第2の凹面62eに接触するピン63が回転することが制限されるとともに、ピン63が第1の凹面61e及び第2の凹面62eを乗り越えて第1の中心軸C1まわりに移動することが制限される。
以上説明された第2の実施形態の空調機10において、第1の凹面61eに、第1の端部61cからZ軸に沿う負方向に延びる第1の凹部83が設けられる。第2の凹面62eに、第3の端部62cからZ軸に沿う負方向に延びる第2の凹部84が設けられる。ピン63は、第1の凹部83に入れられる第1の凸部86と、第2の凹部84に入れられる第2の凸部87と、を有する。これにより、内筒61及び外筒62に相対的にトルクが作用したときに、ピン63が第1の凹面61e又は第2の凹面62eを乗り越えることが抑制される。従って、複数のピン63を介して、内筒61と外筒62とが互いにトルクをより確実に伝えることが可能となる。
充填材81が、内筒61と外筒62との間に充填される。これにより、内筒61の第1の中心軸C1が外筒62の第2の中心軸C2から離間した位置で、内筒61が外筒62に対してより確実に保持されることが可能となる。
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図10を参照して説明する。図10は、第3の実施形態に係るブッシュ36を模式的に示す断面図である。図10に示すように、第3の実施形態のブッシュ36は、ピン63の代わりに複数のボール91を有する。ボール91は、第3の部材の一例である。
ボール91は、例えば、合成ゴムのような合成樹脂によって作られる。すなわち、ボール91の材料のヤング率は、内筒61の材料のヤング率よりも低く、且つ外筒62の材料のヤング率よりも低い。なお、ボール91は、他の材料によって作られても良い。
複数のボール91は、図10に示す第1のボール91Aと第2のボール91Bとを含む。第1のボール91Aの半径と、第2のボール91Bの半径とは異なる。なお、複数のボール91の半径が同一であっても良い。
複数のボール91はそれぞれ、複数の第1の凹面61eのうち一つと複数の第2の凹面62eのうち一つとによって形成される孔Hに挿入され、当該第1の凹面61eと当該第2の凹面62eとに接触する。孔Hに挿入されるボール91は、当該孔Hの半径に応じて選択される。
ボール91の半径に対して孔Hの半径が小さい場合、ボール91は、第1の端部61c及び第3の端部62cにより近い位置で、第1の凹面61e及び第2の凹面62eに接触する。一方、ボール91の半径に対して孔Hの半径が大きい場合、ボール91は、第2の端部61d及び第4の端部62dにより近い位置で、第1の凹面61e及び第2の凹面62eに接触する。
複数のボール91は、第1及び第2の凹面61e,62eに接触することで、内筒61を、第1の中心軸C1に向かって押す。これにより、複数のボール91は、内筒61が外筒62に対して、第1の中心軸C1と交差する方向に移動することを制限する。さらに、複数のボール91は、内筒61が外筒62に対して、第1の中心軸C1まわりに回転することを制限する。言い換えると、複数のボール91は、外筒62に対して内筒61を保持する。
複数のボール91のそれぞれの半径が異なる場合、複数のボール91は、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持する。複数のボール91の半径が等しい場合、当該複数のボール91は、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2と同一の位置に配置された状態で、外筒62に対して内筒61を保持できる。
複数のボール91が外筒62に対して内筒61を保持した状態で、内筒61と外筒62との間の隙間Gに、充填材81が充填される。充填された充填材81は、内筒61の第1の外周面61b及び複数の第1の凹面61eと、外筒62の第2の内周面62a及び複数の第2の凹面62eと、ボール91の表面とに接触した状態で硬化させられる。硬化した充填材81は、内筒61と、外筒62と、複数のボール91とが相対的に移動することを制限する。
以上説明された第3の実施形態の空調機10において、複数のボール91が、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で内筒61を外筒62に保持する。複数のボール91により保持された内筒61と外筒62との間に、充填材81が充填される。これにより、ボール91が、充填材81の充填時における内筒61と外筒62との相対的な移動を制限できる。
(第4の実施形態)
以下に、第4の実施形態について、図11を参照して説明する。図11は、第4の実施形態に係るブッシュ36を示す平面図である。図11に示すように、第4の実施形態のブッシュ36は、ピン63の代わりに複数のステント95を有する。ステント95は、第3の部材の一例である。ステント95は、例えば、金属の網によって略円錐台形の筒状に形成される。
例えば、膨張及び収縮可能なゴムチューブを収容した状態で、ステント95が、第1の凹面61eと第2の凹面62eによって形成された孔Hに挿入される。上記ゴムチューブが膨張させられることで、ステント95の半径が拡張され、ステント95が第1の凹面61e及び第2の凹面62eに接触する。これにより、ステント95は、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持する。ステント95は、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2と同一の位置に配置された状態で、外筒62に対して内筒61を保持しても良い。
ステント95が外筒62に対して内筒61を保持した状態で、内筒61と外筒62との間の隙間Gに充填材81が充填される。上記ゴムチューブは、充填される充填材81の圧力に抗してステント95の形状を保つ。充填材81が充填された後、ゴムチューブは縮小され、ステント95の内側から除去される。なお、当該ゴムチューブがステント95の内側に残されても良い。また、ゴムチューブが除去されたステント95の内部に充填材81がさらに充填されても良い。
以上説明された第4の実施形態の空調機10において、金属の網によって円筒状に形成されたステント95が、第1の凹面61eと第2の凹面62eとに接触する。これにより、例えば、一種類のステント95により、内筒61の第1の中心軸C1が外筒62の第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持することが可能となる。
(第5の実施形態)
以下に、第5の実施形態について、図12を参照して説明する。図12は、第5の実施形態に係るブッシュ36を模式的に示す断面図である。図12に示すように、第5の実施形態のブッシュ36は、ピン63の代わりに複数のチューブ97を有する。チューブ97は、第3の部材の一例である。
チューブ97は、例えば、耐熱性を有する合成ゴムにより作られる。チューブ97は、例えば、内部に気体や液体のような流体を供給及び除去されることで、膨張及び収縮が可能である。
例えば、収縮された状態で、チューブ97が、第1の凹面61eと第2の凹面62eによって形成された孔Hに挿入される。チューブ97の内部に、流体としての熱硬化性又は熱可塑性の合成樹脂98が供給されることで、チューブ97が膨張する。
膨張したチューブ97は、第1の凹面61e及び第2の凹面62eに接触することで、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持する。チューブ97は、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2と同一の位置に配置された状態で、外筒62に対して内筒61を保持しても良い。
合成樹脂98が硬化させられることで、チューブ97は、略円柱形状に保たれる。チューブ97が破損したとしても、硬化した合成樹脂98が内筒61と外筒62との間に残る。従って、硬化した合成樹脂98は、第1の中心軸C1が第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持することが可能である。
以上説明された第5の実施形態の空調機10において、膨張及び収縮可能なチューブ97が、第1の凹面61eと第2の凹面62eとに接触する。これにより、例えば、一種類のチューブ97により、内筒61の第1の中心軸C1が外筒62の第2の中心軸C2から離間した位置で、外筒62に対して内筒61を保持することが可能となる。
以上説明された少なくとも一つの実施形態によれば、複数の第3の部材は、それぞれが複数の第1の凹面のうち一つと複数の第2の凹面のうち一つとに接触し、第1の部材の第1の中心軸が第2の部材の第2の中心軸から離間した位置で、第2の部材に対して第1の部材を保持する。これにより、第1の中心軸が第2の中心軸から離間した位置に、容易に第2の部材に対して第1の部材を保持させることが可能となり、例えば、第1の中心軸の位置をブッシュが取り付けられる回転体の重心と一致させることができ、回転体が振動することが抑制される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲の内容を付記する。
[1]
第1の開口が設けられ、前記第1の開口に面する第1の内周面と、前記第1の内周面の反対側に位置するとともに第1の中心軸を中心として延びる外周面と、前記第1の中心軸に近づく方向に凸に前記外周面から窪むとともに前記第1の中心軸まわりに配置された複数の第1の凹面と、を有する第1の部材と、
第2の中心軸を中心として延びるとともに前記第1の部材が収容される第2の開口が設けられ、前記第2の開口に面するとともに前記第1の部材から離間した位置で前記外周面に向く第2の内周面と、前記第2の中心軸から遠ざかる方向に凸に前記第2の内周面から窪むとともに前記第2の中心軸まわりに配置された複数の第2の凹面と、を有する第2の部材と、
それぞれが前記複数の第1の凹面のうち一つと前記複数の第2の凹面のうち一つとに接触し、前記第1の中心軸が前記第2の中心軸から離間した位置で前記第2の部材に対して前記第1の部材を保持するよう構成された、複数の第3の部材と、
を具備するブッシュ。
[2]
前記第1の部材は、前記第1の開口が開くとともに第1の方向に向く第1の端部と、前記第1の方向の反対の第2の方向に向く第2の端部と、を有し、
前記第2の部材は、前記第2の開口が開くとともに前記第1の方向に向く第3の端部と、前記第2の方向に向く第4の端部と、を有し、
前記複数の第1の凹面はそれぞれ、前記第1の端部から前記第2の端部に近づくに従って前記第2の部材に近づくよう、前記第1の端部から前記第2の方向に延び、
前記複数の第2の凹面はそれぞれ、前記第3の端部から前記第4の端部に近づくに従って前記第1の部材に近づくよう、前記第3の端部から前記第2の方向に延びる、
[1]のブッシュ。
[3]
前記複数の第3の部材はそれぞれ、前記第2の方向に先細る、[2]のブッシュ。
[4]
前記複数の第1の凹面はそれぞれ、前記第1の端部から前記第2の端部に近づくに従って半径が小さくなる円弧状の曲面に形成され、
前記複数の第2の凹面はそれぞれ、前記第3の端部から前記第4の端部に近づくに従って半径が小さくなる円弧状の曲面に形成され、
前記複数の第3の部材はそれぞれ、前記第2の方向に先細る円錐台形に形成される、
[3]のブッシュ。
[5]
前記複数の第1の凹面のそれぞれの勾配と、前記複数の第2の凹面のそれぞれの勾配と、前記複数の第3の部材のそれぞれの勾配と、が等しい、[4]のブッシュ。
[6]
前記複数の第1の凹面のそれぞれに、前記第1の端部から前記第2の方向に延びる第1の凹部が設けられ、
前記複数の第2の凹面のそれぞれに、前記第3の端部から前記第2の方向に延びる第2の凹部が設けられ、
前記複数の第3の部材はそれぞれ、前記複数の第1の凹面のうち一つの前記第1の凹部に入れられる第1の凸部と、前記複数の第2の凹面のうち一つの前記第2の凹部に入れられる第2の凸部と、を有する、
[2]乃至[5]のいずれか一つのブッシュ。
[7]
前記複数の第3の部材の材料のヤング率は、前記第1の部材の材料のヤング率よりも低く、且つ前記第2の部材の材料のヤング率よりも低い、[1]乃至[6]のいずれか一つのブッシュ。
[8]
前記第1の部材と前記第2の部材との間に充填された第4の部材、を具備する[1]乃至[7]のいずれか一つのブッシュ。
[9]
[1]乃至[8]のいずれか一つのブッシュと、
前記第1の開口に挿通される軸を有し、当該軸を回転させることが可能な動力源と、
を具備する回転機械。
[10]
[1]乃至[8]のいずれか一つのブッシュと、
前記第1の開口に挿通される軸を有し、当該軸を回転させることが可能な動力源と、
前記第2の部材に接続されるファンと、
を具備する空気調節装置。