JP6465762B2 - 舗装用補修材及び舗装補修方法 - Google Patents
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骨材とアスファルトを含んで形成されたアスファルト常温合材と、
ひまし油変性ポリエステルポリオールを含む主剤と、
ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを混合してなることを特徴としている。
上記損傷部分に、ひまし油変性ポリエステルポリオールを含む主剤とポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを混合してなるプライマーを塗布する工程と、
上記プライマーが塗布された損傷部分に、骨材とアスファルトを含んで形成されたアスファルト常温合材と、ひまし油変性ポリエステルポリオールを含む主剤と、ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを混合してなる補修材を配置する工程と
を備えることを特徴としている。
[アスファルト常温合材]
本発明の舗装用補修材で用いるアスファルト常温合材は、アスファルトと骨材を含んで形成され、常温で保存及び使用が可能な材料である。アスファルトは、舗装に使用されるものであれば特に限定されない。例えば、原油を蒸留装置にかけ、軽質分を除去して得られる瀝青物質を主成分とするストレートアスファルトや、ストレートアスファルトに所定温度で空気を吹き込んで針入度や軟化点等を改善したセミブローンアスファルトや、カットバックアスファルトや、ポリマー改質アスファルトH型等を使用できる。骨材は、舗装用として使用されるものならば特に限定されるものではないが、砕石、砂、砂利、鉄鋼スラグ等の粒状材料を使用できる。骨材の粒度分布は、0.075mm以上2.36mm未満の粒径が0重量部より多く10重量部未満であり、2.36mm以上4.75mm未満の粒径が90重量部以上100重量部未満であり、かつ、上記0.075mm以上2.36mm未満の粒径と上記2.36mm以上4.75mm未満の粒径の合計が100重量部である。また、アスファルト常温合材の骨材の粒度分布は、0.075mm以上2.36mm未満の粒径が0重量部より多く20重量部未満であり、2.36mm以上4.75mm未満の粒径が0重量部以上30重量部未満であり、4.75mm以上13.2mm未満の粒径が70重量部以上100重量部以下であり、かつ、上記0.075mm以上2.36mm未満の粒径と上記2.36mm以上4.75mm未満の粒径と上記4.75mm以上13.2mm未満の粒径の合計が100重量部であってもよい。このような粒度分布の骨材を用いることにより、補修材の硬化物が透水性を発揮することができる。
本発明の舗装用補修材で用いる主剤は、活性水素化合物であるポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリアミドポリオール類、ポリカプロラクトンポリエステルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、ひまし油系ポリオール、低分子量ジオール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール等が例示される。特に、ひまし油系ポリオール、ひまし油変性ポリエステルポリオール、ダイマー酸ひまし油変性アジペートが好ましく、ひまし油変性ポリエステルポリオールが最も好ましい。主剤は、JIS K1557−1(A法)に従って求めた平均分子量が600以上1200以下であるのが好ましい。また、主剤は、官能基数が2以上6以下であるのが好ましい。また、主剤は、ひまし油変性ポリエステルポリオールに、上記活性水素化合物を1種又は2種以上混合したものでもよい。
本発明の舗装用補修材で用いる硬化剤は、ポリイソシアネート化合物であり、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、65/35−トリレンジイソシアネート、80/20−トリレンジイソシアネート、4,4´ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トリデンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、その他の芳香族ジイソシアネート類、その他の脂環族ジイソシアネート類等が例示される。これらのポリイソシアネート化合物を1種又は2種以上混合して用いてもよい。特に、これらのうち、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが、耐久性、安全性及びコスト面で好ましい。また、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートに、上記ポリイソシアネート化合物を1種又は2種以上混合して用いてもよい。
[硬化促進剤]
硬化促進剤としては、イソシアネート基と活性水素原子との反応を促進する公知のものを使用できる。例えば、オクチル酸錫やジブチル錫ジラウレート等の有機錫系触媒や、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒や、ナフテン酸鉛、酢酸カリウム等のカルボキシレート触媒や、トリエチルホスフェート、ハロゲン化ホスフェート等の有機リン系触媒や、カルボン酸ビスマス、オクタン酸ビスマス等のビスマス系触媒等を用いることができる。硬化促進剤は、例えばジブチル錫ジラウレートを用いた場合、希釈用の有機溶剤100重量部に0.5重量部以上3重量部以下のジブチル錫ジラウレートを混合してなる促進剤希釈物を、主剤と硬化剤の混合物100重量部に対して1重量部以上5重量部以下添加するのが好ましい。ここで希釈用に使用される有機溶剤は、芳香族系ではなく、酢酸エチルなどのエステル系やアセトンなどのケトン系等が好ましい。これは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系の有機溶剤では、アスファルトが溶解し、多孔質アスファルト舗装に対する接着力の不足や、骨材の結合力の不足による飛散を招く恐れがあるからである。硬化促進剤は、補修作業を行う環境の温度が15℃未満の場合に添加するのが好ましいが、硬化時間を短縮するために、環境温度に関わらず、添加することができる。
[プライマー]
本発明の舗装用補修材は、舗装の損傷部分にプライマーを塗布し、このプライマー上に配置されることにより、舗装への付着力を向上することができる。プライマーは、主剤としての活性水素化合物と、硬化剤としてのポリイソシアネート化合物との混合物により形成される。プライマーは、舗装用補修材の主剤及び硬化剤と同じ主剤及び硬化剤を用いて形成してもよい。
本発明の舗装用補修材は、舗装の損傷部分に配置した後、舗装用補修材の表面及び舗装用補修材の周囲の舗装の表面に、トップコートを塗布することにより、舗装用補修材の骨材飛散の抑制と、舗装用補修材の多孔質アスファルト舗装への付着力の向上を得ることができる。また、舗装用補修材と多孔質アスファルト舗装との境界に段差が生じた場合、この段差を緩和して表面の連続性を得ることができる。トップコートは、主剤としての活性水素化合物と、硬化剤としてのポリイソシアネート化合物との混合物により形成される。トップコートの配合及び粘度は、プライマーと同じでよいが、トップコートの粘度は500mPa・s以上1500mPa・s以下に調整するのが好ましい。トップコートの粘度が500mPa・s未満であると、舗装用補修材の周囲の舗装に勾配が存在する場合に、表面に塗布したトップコートが流れてしまう。また、トップコートの粘度が1500mPa・sを超えると、舗装用補修材の表面に塗布したトップコートが舗装用補修材に浸透しにくくなり、舗装用補修材の骨材飛散の抑制と多孔質アスファルト舗装との付着力の向上を得ることができない。
本発明の舗装用補修材を用いて、以下のような方法で舗装を補修することができる。
まず、主剤と硬化剤を十分に混合及び撹拌して、混合物を作製する。
続いて、主剤と硬化剤の混合物と、アスファルト常温合材とを混合し、撹拌して補修材を作製する。補修材は、アスファルト常温合材100重量部に対し、主剤と硬化剤の混合物を5重量部以上11重量部以下配合する。主剤と硬化剤の混合物が5重量部を下回ると、補修材の硬化物の耐久性が不十分になる場合があり、主剤と硬化剤の混合物が11重量部を超えると、補修材の骨材と分離して舗装の損傷部分の底に溜まる場合がある。混合物とアスファルト常温合材は、モルタルミキサーやニーダー等で混合及び撹拌する。混合物とアスファルト常温合材との混合及び撹拌は、常温で行うが、補修作業を行う環境の温度が15℃未満の場合は、上述のように、硬化促進剤を配合した混合物を用いる。
舗装の損傷部分へ、主剤と硬化剤の混合物をプライマーとして塗布する。プライマーは、ローラー刷毛や刷毛等を用いて塗布する。プライマーの塗布は、常温で行うが、補修作業を行う環境の温度が15℃未満の場合は、上述のように、硬化促進剤を配合した混合物をプライマーとして用いる。プライマーの塗布量は、0.1kg/m2以上0.5kg/m2以下が特に好ましい。
上記補修材を、プライマーを塗布した損傷部分に配置する。補修材は、締固めによる見かけの体積の減少を考慮し、表面が舗装の表面と同一になるよりも多く配置する。
舗装の損傷部分に配置した補修材を、振動コンパクターやハンドガイドローラー等で締め固める。
締固められた補修材は硬化が進行し、補修材の主剤と硬化剤の混合物と、アスファルト常温合材とを混合した時から60〜180分で、道路を解放できる。
[実施例1]
官能基数4〜6、平均分子量900〜1200、粘度900〜2500mPa・sのひまし油変性ポリエステルポリオールの主剤と、硬化剤との混合物に、アスファルト常温合材を混合して舗装補修材を作成した。硬化促進剤は配合しない。
[実施例2]
官能基数2〜4、平均分子量600〜1000、粘度600〜700mPa・sのひまし油変性ポリエステルポリオールの主剤と、硬化剤との混合物に、アスファルト常温合材を混合して舗装補修材を作成した。硬化促進剤は配合しない。
[実施例3]
官能基数1〜2、平均分子量800〜1000、粘度200〜300mPa・sのひまし油変性ポリエステルポリオールの主剤と、硬化剤との混合物に、アスファルト常温合材を混合して舗装補修材を作成した。硬化促進剤は配合しない。
[実施例4]
官能基数1〜2、平均分子量300〜500、粘度300〜500mPa・sのひまし油変性ポリエステルポリオールの主剤と、硬化剤との混合物に、アスファルト常温合材を混合して舗装補修材を作成した。硬化促進剤は配合しない。
[実施例5]
実施例1と同じ主剤及び硬化剤を用いて混合物を作製し、更に硬化促進剤を添加したものに、アスファルト常温合材を混合して補修材を作製した。
[実施例6]
実施例2と同じ主剤及び硬化剤を用いて混合物を作製し、更に硬化促進剤を添加したものに、アスファルト常温合材を混合して補修材を作製した。
[比較例1]
1液型ウレタン接着剤と、アスファルト常温合材を混合し、補修材を作製した。
[比較例2]
2液型エポキシ接着剤と、アスファルト常温合材を混合し、補修材を作製した。
[比較例3]
官能基数4〜6、平均分子量900〜1200、粘度900〜2500mPa・sの実施例1と同様のひまし油変性ポリエステルポリオールの主剤と、硬化剤との混合物に、骨材のみを混合して補修材を作成した。骨材は、実施例1〜6及び比較例1,2の常温合材の骨材と同じ粒度分布を有するものを用いた。
実施例1〜6及び比較例1,2のいずれも、アスファルト常温合材は昭和瀝青工業株式会社製のタフストックポーラスを用いた。
主剤、硬化剤及び硬化促進剤の配合と、アスファルト常温合材に対する補修材の混合割合は、表1に示すとおりである。
Claims (10)
- 多孔質の表層を有する多孔質アスファルト舗装の補修に用いられる舗装用補修材であって、
骨材とアスファルトを含んで形成されたアスファルト常温合材と、
ひまし油変性ポリエステルポリオールを含む主剤と、
ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを混合してなることを特徴とする舗装用補修材。 - 請求項1に記載の舗装用補修材において、
上記アスファルト常温合材100重量部に対し、上記主剤と上記硬化剤の混合物5重量部以上11重量部以下混合してなることを特徴とする舗装用補修材。 - 請求項1に記載の舗装用補修材において、
上記主剤のひまし油変性ポリエステルポリオールは、官能基数が2以上6以下、水酸基価が155以上350以下、かつ、JIS K1557−1(A法)に従って求めた平均分子量が600以上1200以下であることを特徴とする舗装用補修材。 - 請求項1に記載の舗装用補修材において、
上記硬化剤のポリイソシアネート化合物は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートであることを特徴とする舗装用補修材。 - 請求項1に記載の舗装用補修材において、
上記主剤と硬化剤の混合物が、混合直後の粘度が500mpa・s以上3000mpa・s以下であることを特徴とする舗装用補修材。 - 請求項1に記載の舗装用補修材において、
硬化促進剤を更に混合してなる舗装用補修材。 - 請求項1に記載の舗装用補修材において、
上記アスファルト常温合材の骨材の粒度分布は、0.075mm以上2.36mm未満の粒径が0重量部より多く10重量部未満であり、2.36mm以上4.75mm未満の粒径が90重量部以上100重量部未満であり、かつ、上記0.075mm以上2.36mm未満の粒径と上記2.36mm以上4.75mm未満の粒径の合計が100重量部であることを特徴とする舗装用補修材。 - 請求項1に記載の舗装用補修材において、
上記アスファルト常温合材は、上記骨材100重量部に対し、上記アスファルト1重量部以上3重量部以下を配合してなることを特徴とする舗装用補修材。 - 多孔質の表層を有する多孔質アスファルト舗装の損傷部分を補修する舗装補修方法であって、
上記損傷部分に、ひまし油変性ポリエステルポリオールを含む主剤とポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを混合してなるプライマーを塗布する工程と、
上記プライマーが塗布された損傷部分に、骨材とアスファルトを含んで形成されたアスファルト常温合材と、ひまし油変性ポリエステルポリオールを含む主剤と、ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを混合してなる補修材を配置する工程と
を備えることを特徴とする舗装補修方法。 - 請求項9に記載の舗装補修方法において、
上記損傷部分に配置された補修材の表面と、上記損傷部分の周辺部分の表面に、ひまし油変性ポリエステルポリオールを含む主剤とポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを混合してなるトップコートを塗布する工程を備えることを特徴とする舗装補修方法。
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