JP6462875B2 - 近赤外線カットフィルタ、および光半導体装置 - Google Patents

近赤外線カットフィルタ、および光半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、所定の波長域の光、具体的には近赤外線の透過を抑制する近赤外線カットフィルタ、および近赤外線カットフィルタを用いた光半導体装置に関するものである。
近年、撮像素子または受光素子等の光半導体素子を用いた光半導体装置には、光を集光する光学レンズ、および所定の波長域の光として近赤外線の透過を抑制し、その他の波長域の光を透過させるショートパス型の近赤外線カットフィルタ、または所定の波長域の光の透過を抑制し、その他の波長域の光を透過させるショートパス型およびロングパス型の近赤外線カットフィルタ等の各種の光学部材が使用される。例えば、撮像素子を用いる場合には、撮像素子に入射する光の波長域を人間の眼が知覚することができる波長域(可視光線域)に限定する目的で、近赤外の波長域(近赤外線域)の光の透過を抑制する近赤外線カットフィルタまたは近赤外線カットフィルタが光学レンズと撮像素子との間に配置される。この近赤外線カットフィルタまたは近赤外線カットフィルタは、可視光線の波長域よりも長い波長の光である近赤外線の透過を抑制するように構成される。
例えば特開2012−137649号公報には、透明基板の上に近赤外線の波長域の光を吸収する吸収膜を積層した近赤外線カットフィルタが提案されている。また、例えば特開2013−54368号公報には、半導体基板の上に、特定の波長域の光である赤外線を反射する、複数種類の薄膜を積層した多層膜から成る近赤外線カットフィルタが提案されている。
特開2012−137649号公報に開示された近赤外線カットフィルタは、透明基板上に、近赤外線を反射する反射膜、近赤外線を吸収する吸収膜および保護膜を順次積層して得られる。この吸収膜には、近赤外線を吸収する有機色素が含まれる。また、吸収膜にはスチレン構造を含有するアクリル系のものが用いられる。
しかしながら、この構成の近赤外線カットフィルタでは、近赤外線を吸収する吸収膜において、吸収膜を形成する樹脂中に有機色素が多い箇所と少ない箇所とができるので、吸収膜の全ての箇所において有機色素に近赤外線の吸収を均一に行なわせることが難しい場合があった。また、有機色素が少ない箇所をなくすために複数の層を重ねると、有機色素が多過ぎる箇所ができるおそれがあり、また全体に光の透過性が悪くなる場合があった。
本発明の一実施形態にかかる近赤外線カットフィルタは、入射する光のうち近赤外線を吸収する吸収膜と、上面に前記吸収膜が配置された、前記吸収膜を透過した光のうち近赤外線を反射する反射膜と、上面に前記反射膜および前記吸収膜が配置された、前記反射膜を透過した光を透過させる透明基板とを備えており、前記吸収膜は、疎水基を有する繰返し単位および水酸基を有する繰返し単位から成るポリマーと、前記ポリマーに分散した、水酸基を有するとともに近赤外線を吸収する有機色素とから成っており、前記ポリマーにおける水酸基を有する繰返し単位がビニルアルコールである。
また、本発明の一実施形態にかかる光半導体装置は、光が入射するレンズ固定部、前記レンズ固定部を通った光が通るフィルタ固定部および前記フィルタ固定部を通った光が入射する光半導体素子実装部を有する光半導体素子収納用パッケージと、前記レンズ固定部に固定されたレンズと、前記レンズを透過した光が前記吸収膜側から入射するように前記フィルタ固定部に固定された、本発明の一実施形態の近赤外線カットフィルタと、前記近赤外線カットフィルタを透過した光が入射するように前記光半導体素子実装部に実装された光半導体素子とを備えている。
(a)は本発明の一実施形態にかかる近赤外線カットフィルタを示す断面図であり、(b)は(a)の吸収膜の拡大断面図である。 本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタを示す断面図である。 本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタを示す断面図である。 本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタを示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる近赤外線カットフィルのうち反射膜および透明基板を示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる近赤外線カットフィルタの反射膜のうち第1群の多層構造を示す拡大図である。 図5に示した構成における光の透過率を示すグラフである。 図2に示した本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタのうち反射膜を詳細に示した断面図である。 図8に示した構成における光の透過率を示すグラフである。 本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタのうち反射膜および透明基板を示す断面図である。 図4に示した本発明の一実施形態にかかる近赤外線カットフィルタのうち反射膜を詳細に示した断面図である。 本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタの片面のうち反射膜のみを示した断面図である。 図12に示した本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタの片面に透明基板を設けた場合の光の透過率を示すグラフである。 図12に示した本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタの透過率を示すグラフである。 本発明の実施形態にかかる光半導体装置を示す上面視図である。 図15に示す光半導体装置のA−A線に沿った断面図である。
以下、本発明の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタについて、図面を参照しながら説明する。
<近赤外線カットフィルタの構成>
図1(a)は本発明の一実施形態にかかる近赤外線カットフィルタ1の断面図を、図1(b)は吸収膜2の一部を拡大した断面図をそれぞれ示している。これらの図において、近赤外線カットフィルタ1は、吸収膜2、反射膜3および透明基板4を備えている。
図1(a)に示すように、透明基板4の上面には反射膜3が設けられており、反射膜3の上面には、近赤外線を吸収する吸収膜2が設けられている。この吸収膜2は、疎水基を有する繰返し単位および水酸基(−OH基)を有する繰返し単位から成るポリマー20と、このポリマー20に分散した、水酸基を有するとともに近赤外線を吸収する有機色素21とから成る。ここで近赤外線とは、波長域で700〜1500nmの光のことである。この吸収膜2は、平面視した場合の大きさが例えば一辺が7×7mmの四角形状で、厚みが0.5〜10μmである。
このポリマー20のうち疎水基を有する繰返し単位は、水分子となじみにくい原子団を有するポリマー20を構成する分子構造である。このポリマー20のうち疎水基を有する繰返し単位は、例えばブチラール基(C15:示性式は省略)を有するビニルブチラール(C15:示性式は省略)およびアセチル基(CO:CHCO−)を有する酢酸ビニル(CO:CH=CHOCOCH)、ホルマール基(C:示性式は省略)を有するビニロン(C:示性式は省略)およびアセチル基を有する酢酸ビニル、アルキル基(C2m)等を有する炭素と水素から成る炭化水素系モノマー、アクリル基を有するアクリル酸(C:CH=CHCOOH)モノマーあるいはメタクリル酸メチル(C:CH=C(CH)COOCH)モノマーである。
アルキル基を有する炭化水素系モノマーは、例えばエチレン(C:CH=CH)である。他にも、プロピレン(C:CHCH=CH)あるいはブタジエン(C:CH=CHCH=CH)等であってもよい。また、疎水基がアルキル基の他にも、フェニル基(C−)を有する炭化水素系(C)モノマー(nとmとは自然数であり、モノマー中に二重結合を持つような組合せである。)であってもよく、例えばスチレン(C:C−CH=CH)あるいはα−メチルスチレン(C10:CC(=CH)CH)等であってもよい。
これらの繰返し単位から成るポリマー20であれば、ポリマー20と有機色素21との反応を抑制することができる。このため、吸収膜2は有機色素21の持つ吸収特性を維持することができる。
ポリマー20において疎水基を有する繰返し単位が例えばビニルアセタールおよび酢酸ビニルの場合には、ポリマー20はポリビニルアセタールポリマーである。このポリビニルアセタールがアセタール基を含むことで、吸収膜2の靱性が向上する。このため、透明基板4にガラス等を用いた場合でも、割れおよびクラック等が生じるのを抑制することができる。また、ポリビニルアセタールがアセチル基を有するので、吸収膜2自体が水に溶けにくいものとなる。このようにポリマー20が有機色素21と反応しない繰返し単位から成る場合には、有機色素21がポリマー20中に溶解するおそれがないので、有機色素21の機能を維持することができる。
また、ポリマー20のうち水酸基を有する繰返し単位であるビニルアルコールは、示性式上ではビニルアルコールモノマーであるが、実製品の近赤外線カットフィルタ1の状態においてはビニルアルコールモノマーは存在しない。これは、ビニルアルコール(CH=CHOH)は不安定であり、すぐにより安定なアセトアルデヒド(CHCHO)になってしまうためである。
また、ポリビニルアセタールポリマーは、ポリビニルアルコールとアルデヒド(ホルムアルデヒド(CHO:HCHO)あるいはブチルアルデヒド(CO:CCHO))との縮合反応によって得られる。この際に、縮合反応の触媒として、塩酸または硫酸等の無機酸を用いる。そして、溶媒としては水またはメタノール等を用いる。この場合に、アセタール化反応において、ポリビニルアルコールを完全にアセタール化することができない。このため水酸基が残され、さらに鹸化において少量のアセチル基が残る。このことによって、疎水基としてアセタール基を有する繰返し単位およびアセチル基を有する繰返し単位ならびに水酸基を有するビニルアルコールから成るポリマーを得ることができる。また、炭化水素系モノマーあるいはアクリル酸系モノマーとビニルアルコールとから成るポリマー20は、炭化水素−酢酸ビニルコポリマーあるいはアクリル酸系−酢酸ビニルコポリマーをメタノール中で鹸化することによって得られる。
以上のように、ビニルアルコールモノマーは安定して存在することができないが、便宜上、ビニルアルコールの部分については、以下、ビニルアルコールモノマーという。
ビニルアルコールモノマーは、酸素等のガスの透過率が低く、ガスバリア性に優れている。これは、以下のような理由による。すなわち、ビニルアルコールモノマーに含まれる水酸基の極性によって電荷に偏りが生じると、プラス−マイナス間で引き合って分子間に働く力が強くなる。このように分子間に働く力が強くなると、分散した酸素分子がこの分子間力を引き離すのに大きなエネルギーが必要になる。このとき、酸素分子が高分子鎖を透過するために、高分子鎖に働く分子間力を弱めるように高分子鎖を押し広げて通り道を作ることは困難である。これはつまり、酸素が吸収膜2の表面から内部へ透過しにくくなるということなので、酸素透過率が小さくなり、ガスバリア性に優れるものとなる。
吸収膜2に好適なポリビニルアセタールポリマーは、ポリビニルブチラールポリマーである。この場合には、ポリビニルブチラールポリマーにおいて、ブチラール基のモル比率が60〜80モル%、アセチル基のモル比率が2〜6モル%のものを用いるとよい。ポリビニルブチラールポリマーは、樹脂の中では比較的酸素の透過率が小さい。また、水蒸気透過率も低いので、ポリマー20が水に溶けることを抑制できる。そして、ポリマー20に靱性があるので、他の膜を保護することもできる。
また、吸収膜2が炭化水素−ビニルアルコールコポリマーの場合には、例えばエチレン−ビニルアルコールコポリマーを用いる。この場合には、エチレン−ビニルアルコールコポリマーにおいて、エチレンモノマーのモル比率が20〜60モル%のものを用いるとよい。エチレン−ビニルアルコールコポリマーは、酸素の透過率が小さいだけではなく、親油性のエチレンが重合されることで、コポリマー自体が水に溶けることを抑制できる。さらに、水蒸気の透過率も低いので、有機色素21が水に溶けることを抑制することができる。また、特にエチレンモノマーのモル比率が25〜35モル%のエチレン−ビニルアルコールコポリマーから成る吸収膜2は、水に溶けにくく、ガスバリア性に優れている。
また、ポリマー20がアクリル酸ビニルアルコールコポリマーあるいはビニルメタクリル酸メチルであれば、吸収膜2の伸展性が高い。このため、吸収膜2を形成する際の熱履歴によって生じる応力を低減することができる。また、ポリビニルアセタールポリマーおよび炭化水素−ビニルアルコールコポリマーと同様に、酸素の透過率が小さく、水にも溶けにくい。
以上に示したポリマー20は、水に溶けにくく、ガスバリア性に優れている。このことによって、有機色素21の酸化分解および水への溶解を抑制することができ、有機色素21の機能を維持することができる。
吸収膜2は、図1(b)に示すように、ポリマー20と、このポリマー20に分散した有機色素21とから成る。この有機色素21は、水酸基を有している。有機色素21の材料は、例えば置換基に水酸基を有する、フタロシアニン系化合物またはシアニン系化合物である。他にも、置換基に水酸基を有するものであれば、スクアリウム系化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等を用いることができる。このような有機色素21は、吸収したい波長域に合わせていくつかを組み合わせてポリマー20に分散することができる。これらの有機色素21は、波長域で700〜1500nmの光を他の波長の光と比較して強く吸収することができる。
このように、吸収膜2中のビニルアルコールモノマーおよび有機色素21の双方が水酸基を有していることによって、ビニルアルコールモノマーの水酸基と有機色素21の水酸基とが水素結合する。水酸基同士の水素結合においては、電気陰性度の値が水素より大きい酸素と水素とが結合すると、その水素はプラスの電荷を帯びる。一方、電子を引き付けた酸素は、逆にマイナスの電荷を帯びる。このような少しプラスの電荷を帯びた水素原子と、別の分子のマイナスの電荷を帯びた酸素との間に静電的引力が作用して水素結合ができる。つまり、ビニルアルコールモノマーの水素と有機色素21の酸素との間に、またはビニルアルコールモノマーの酸素と有機色素21の水素との間に電気的な引力が働く。このため、水酸基同士が結合するようになって有機色素21が分散する。この場合には、ポリマー20において、連続した構造を持つビニルアルコールモノマーの水酸基に対応して有機色素21の水酸基が結合するようになって有機色素21が分散するので、有機色素21をポリマー20内に偏りなく分散させることができる。
さらに、この水素結合によって、ポリマー20と有機色素21とが強く結合されるので、有機色素21が雰囲気中の酸素と反応して酸化分解することを抑制することができる。まず、酸素が有機色素21を酸化分解しようとする際には、最初に水酸基同士の水素結合を切断するためにエネルギーが必要となる。このため、有機色素21をポリマー20との結合から切断することができたとしても、酸化分解するほどのエネルギーが残されていない可能性がある。あるいは酸化分解をしたとしても一部のみになるため、吸収膜2における有機色素21の酸化分解を抑制することができる。
また、ポリマー20がガスバリア性に優れているため、酸素の透過率が低く、有機色素21の酸化分解を抑制することができる。また、有機色素21をポリマー20内に偏りなく分散させることができる。このため、樹脂中に有機色素21を単純に混ぜる場合に生じるような有機色素21が固まって存在する箇所およびほとんど存在しない箇所等の発生を抑えることができる。ひいては、ポリマー20中の有機色素21の濃度が不均一になるおそれを抑制することができる。
次に、反射膜3について説明する。この反射膜3は、吸収膜2を透過した光のうち近赤外線を反射する。ここで、近赤外線とは、波長領域で700〜1500nmの光である。反射膜3の材料は、例えば低屈折率材料の酸化ケイ素(シリカ)、高屈折率材料の酸化チタン(チタニア)である。他にも、近赤外線を反射するものであれば、ジルコニア、酸化タンタル等であってもよい。この反射膜3は、平面視した場合の大きさが例えば吸収膜2と同じ大きさであって、厚みが0.01〜10μmである。この反射膜3が設けられていることによって、吸収膜2で吸収しきれなかった近赤外線を反射するので、近赤外線が透明基板4から光半導体素子へ透過することを抑制することができる。
そして、上面に反射膜3および吸収膜2が配置された透明基板4は、入射した光を透過させて撮像素子等の光半導体素子に可視光線として入射させる。この透明基板4は、可視光線に対する光透過性を有する基板である。このときの可視光線の波長域は、400〜600nmの光である。なお、このときの透明とは、入射した可視光線の80%以上の可視光線を通すものをいう。
透明基板4の材料としては、例えばガラスを用いることができる。ガラスの種類としてはソーダ石灰ガラス、石英ガラスあるいはホウケイ酸ガラスを挙げることができる。他にも、光透過性を有する基板であれば、金属酸化物等の無機材料またはPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、ポリカーボネートもしくはアクリル等の樹脂材料から成るものであってもよい。この透明基板4は、平面視した場合の大きさが例えば吸収膜2および反射膜3と同じ大きさであって、厚みが50〜300μmである。
なお、近赤外線カットフィルタ1に入射する光には、可視光線および近赤外線のみでなく、紫外線も含まれている。紫外線とは、波長域で200〜380nmの光線である。紫外線は、近赤外線と比較すると空気中またはレンズ等の透過率が低い。このため、近赤外線のように吸収膜2に有機色素21のような吸収剤を分散させて吸収しなくても、反射膜3および透明基板4で十分透過を抑制することができる。
以上に示すような近赤外線カットフィルタ1は、光学レンズ等を透過した光(吸収膜2側から入射した光)が、まず吸収膜2に入射して、反射膜3、透明基板4を順次透過する。このとき、吸収膜2において、近赤外線を吸収することによって、反射膜3のみで近赤外線を反射する場合と比較して、反射膜3で反射する近赤外線の量を低減することができる。さらに、近赤外線カットフィルタ1には、吸収膜2および反射膜3の両方が設けられていることによって、2段階で近赤外線をカットすることができる。つまり、吸収膜2の表面から入射した光は、吸収膜2の有機色素21において近赤外線が吸収される。さらに、吸収膜2で吸収されずに反射膜3まで透過した近赤外線が、反射膜3で反射される。これにより、99%以上の近赤外線をカットすることができる。
また、以上に示すような近赤外線カットフィルタ1は、吸収膜2がポリマー20と水酸基を有する有機色素21とから成ることによって、ポリマー20の水酸基と有機色素21の水酸基とが水素結合することができるものになっている。この水素結合によって、有機色素21の酸化分解を抑制することができるとともに、ポリマー20内に有機色素21を偏りなく分散させることができる。これにより、有機色素21の機能を維持することができ、吸収膜2側から入射した近赤外線の透過を抑制した可視光線を通す近赤外線カットフィルタ1を実現することができる。
次に、本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタ1について、図面を参照しながら説明する。図2〜図4には、それぞれ本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタ1の断面図を示している。これらの図において、近赤外線カットフィルタ1は、本発明の一実施形態と同様に、吸収膜2、反射膜3および透明基板4を備えている。
図2に示すように、近赤外線カットフィルタ1は、吸収膜2の上面に、入射した光を透過させる、吸収膜2を保護する保護膜5が配置されている。図2に示す例においては、保護膜5を備えている点が上述した本発明の実施形態と異なる。この図2に示した例の近赤外線カットフィルタ1には、光学レンズ等を透過した、紫外線、可視光および近赤外線等の全ての波長域の光が入射する。
保護膜5の材料には、フッ素樹脂を用いることができる。フッ素樹脂は、耐摩擦性、耐薬品性および硬さに優れているので、吸収膜2を傷付けないように保護することができる。特に、フッ素樹脂が熱によって重合反応を示す材料を選択することで、吸収膜2の表面にコーティングする際に、フッ素樹脂を乾燥する熱で樹脂が重合反応してフッ素樹脂の分子間の結合が大きくなるため、より硬い膜を得ることができる。この理由としては、熱によって重合反応を示すような熱硬化性樹脂は、高分子同士が架橋することによって3次元的な網目構造の分子を作り、複雑、かつ立体的に密に絡み合っているためである。この架橋反応は不可逆的なものであり、重合後の熱硬化性樹脂は、元の原料状態に戻すことも、再び溶融して再成形することもできない。このような3次元網目構造の高分子である熱硬化性樹脂は、耐摩擦性、耐薬品性および硬さに優れているだけでなく、高温にしても分子運動しにくいため耐熱性も高い。
また、フッ素樹脂は光の屈折率が空気に近いので、入射した光を表面で反射することなく透過させる反射防止膜としての役割も持たせることができる。つまり、フッ素樹脂から成る保護膜5は、近赤外線カットフィルタ1の表面の傷を防ぐ効果が大きく、光を反射することなく透過させることができる。この保護膜5は、平面視した場合の大きさが例えば透明基板4、反射膜3および吸収膜2と同じ大きさであって、厚みが0.05〜5μmである。
この保護膜5があることによって、吸収膜2の上面が外部に露出している場合と比較して、酸素および水蒸気等の透過を抑制することができる。また、吸収膜2の上面を摩擦等から保護して、傷が付かないようにすることができる。
次に、図3あるいは図4に示す例においては、近赤外線カットフィルタ1は、図1に記載した本発明の一実施形態あるいは図2に記載した本発明の他の実施形態における透明基板4の下面にも、上面側とは透明基板4を挟んで対称になるように、反射膜3および吸収膜2が順次設けられている。あるいは反射膜3、吸収膜2および保護膜5が順次設けられていてもよい。このように透明基板4の上面側および下面側の膜構成が透明基板4を挟んで対称であることによって、それぞれの膜の材料および厚みが異なることによって生じる膜間の応力が透明基板4の上下で同じように生じる。このため、透明基板4が歪むのを低減することができる。これは、近赤外線カットフィルタ1の作製および使用の際に熱が加わることがあっても、透明基板4の上面側および下面側において同様の構成の膜が同じように熱膨張および熱収縮するためである。特に、大きなサイズの多数個取り用の母基板から、最終的にダイシングして複数の近赤外線カットフィルタ1を得る際に、多数個取り用の母基板をダイシングソー等で切断する力を均等に加えることができる。
図5は本発明の一実施形態にかかる近赤外線カットフィルタ1のうち反射膜3および透明基板4を示した断面図であり、図6はその反射膜3を構成する第1群31の多層構造を示す拡大断面図である。また、図7は図5に示した構成における透過率のグラフを示しており、横軸は波長(nm)を、縦軸は透過率(%)を表わしている。反射膜3は、屈折率が異なりそれぞれ可視光線および近赤外線を透過させる低屈折率層11および高屈折率層12を積層して構成された複数の群を有している。図5に示すように、反射膜3は、光が入射する方(図5においては図の上方)から順に、第1群31、第2群32、第3群33、第4群34、第5群35、第6群36および第7群37を備えている。この近赤外線カットフィルタ1は、反射膜3に入射した光を透過させることによって、可視光線を近赤外線よりも多く透過させるものとして機能する。
以下に示す構成は、反射を抑制したい可視光線を効果的に透過させるために、中心波長を500nmとした設計条件に基づいて求めた構成である。また、以下では便宜上、低屈折率層11の光学膜厚の4分の1をLとし、高屈折率層12の光学膜厚の4分の1をHとして説明する。また、以下に示す実施例においては、低屈折率層11は二酸化珪素(SiO)で屈折率が1.47であり、高屈折率層12は二酸化チタン(TiO)で屈折率が2.43であるとしている。この第1群31を平面視したときの大きさは、目的とする近赤外線カットフィルタの仕様に合わせて適宜設定すればよく、例えば7×7mmである。
図6に示すように、第1群31は、光が入射する側から順に低屈折率層11、高屈折率層12および低屈折率層11から成る。このとき、第1群31の見かけの光学膜厚は可視光線の波長(ここでは500nm)の略4分の1である。上下の低屈折率層11の厚みは同じであり、高屈折率層12を中心に対称に設けられている。この第1群31による反射波は、3層による反射波を合成したものであるが、実際には第1群31を単層とみなした場合の反射波と同じになり、第1群31は見かけの屈折率がn1である単層として扱うことができる。
ここで、第1群31は例えば低屈折率層11がSiO、高屈折率層12がTiOおよび低屈折率層11がSiOから成る組合せであって、各層の光学膜厚が0.3L、0.29Hおよび0.3Lである。この0.3および0.29は各層の光学膜厚を調整する光学膜厚調整係数としての第1係数である。このとき、各層の光学膜厚は0.3×(500/4)=37.5(nm)、0.29×(500/4)=36.25(nm)および0.3×(500/4)=37.5(nm)となり、第1群31の見かけの光学膜厚はそれらの合計の111.25(nm)である。また、各層の物理膜厚は各層の光学膜厚をそれぞれ屈折率で除したものに等しくなり、それぞれ37.5÷1.47=25.51(nm)、36.25÷2.43=14.92(nm)および37.5÷1.47=25.51(nm)である。このとき、この第1群31の見かけの屈折率n1は1.85である。
第1群31は見かけの光学膜厚が可視光線の波長の略4分の1である。本発明の一実施形態は可視光線の波長を500nmとして設定しているので、その波長の4分の1は125nmになる。しかしながら、この500nmは設計時の中心波長であり、実際の設計においては、この第1群31および以下のいくつかの群における光学膜厚は厳密に一義的に定められるものではなく、中心波長付近の光の波長の4分の1の大きさであればよい。すなわち、第1群31の光学膜厚は、可視光線の波長の略4分の1であればよい。ここでの第1群31の光学膜厚は上記のように111.25nmであり、中心波長である500nmの4分の1である125nm付近であって、透過させたい波長域の可視光線の4分の1になっている。したがって、中心波長である500nm付近の可視光線についてその反射を抑制して、第1群31を効果的に透過させることができる。
第2群32は、上面に第1群31が配置されており、上面側から低屈折率層、高屈折率層および低屈折率層がこの順に積層されている。このとき、第1群31と同様に低屈折率層同士の厚みは同じである。例えば、SiOから成る低屈折率層およびTiOから成る高屈折率層の組合せであって、それぞれの光学膜厚は、低屈折率層が0.3L、高屈折率層が0.45Hおよび低屈折率層が0.3Lである。この0.3および0.45は、第1群31と同様に、各層の第1係数である。第2群32を平面視したときの大きさは第1群31と同じである。
このとき、第2群32の各層の光学膜厚は、低屈折率層が0.3×(500/4)=37.5(nm)、高屈折率層が0.45×(500/4)=56.25(nm)および低屈折率層が0.3×(500/4)=37.5(nm)となり、第2群32の見かけの光学膜厚はそれらの合計の131.25(nm)である。また、各層の物理膜厚は各層の光学膜厚をそれぞれ屈折率で除したものに等しくなり、それぞれ37.5÷1.47=25.51(nm)、56.25÷2.43=23.148(nm)および37.5÷1.47=25.51(nm)である。このとき、この第2群32の見かけの屈折率は2.06である。ここで、第2群32の光学膜厚は特に可視光線の波長の略4分の1である必要はないが、中心波長である500nmの4分の1である125nmに近い値になっているため、可視光線を透過させやすくなっている。
ここで、空気の屈折率をn0とした場合に、n0=1なので、第1群31との間では屈折率の関係としてn0<n1が成り立つ。このとき、光の反射を抑制するためには、第2群32の見かけの屈折率n2についてn1<n2の関係である必要がある。このため、本発明の一実施形態のような組合せとして、第2群32について低屈折率層、高屈折率層および低屈折率層の光学膜厚が0.3L、0.45Hおよび0.3Lであり、見かけの屈折率n2が2.06であると、上記の関係を成り立たせることができる。
このような第1群31および第2群32において、可視光線の透過率を大きくするための2つの条件(位相条件および振幅条件)について説明する。
まず、位相条件について説明する。異なる屈折率を有する群を複数積層する場合に、光の透過率を大きくするためには、それぞれの群の界面で起こる反射を抑制する必要がある。本発明の一実施形態においては、空気と第1群31との界面および第1群31と第2群32との界面で光の反射が起こっている。このとき、第1群31の光学膜厚を可視光線の波長の略4分の1とすることにより、第1群31の上下の界面で生じる光の反射波が逆位相になり互いに打ち消し合うので、第1群31による可視光線の反射を抑え、透過率を向上させることができる。なお、第1群31は可視光線の反射率が小さくなるように設定されているため、第1群31では、可視光線ではない近赤外線の反射率は可視光線の反射率よりも高くなる。特に、可視光線について設定した中心波長(500nm)の2倍の波長(1000nm付近)においては、光学膜厚が波長の略2分の1であるので、第1群31の上下の界面による近赤外線の反射波は同位相になる。このため、近赤外線の反射波は強め合うことになるので、第1群31における近赤外線の透過は抑制されることになる。
次に、振幅条件について説明する。光の振幅条件とは、上述した位相条件に対して、協同して光学薄膜の表面での反射を抑制するための条件である。空気、第1群31および第2群32において、振幅条件の実現のためには、光の入射側から見て、第1群31の上下の界面における近赤外線の反射率を等しくすればよい。これら反射率を等しくすることにより、第1群31の上下の界面における近赤外線の反射波の振幅が揃うので、上述した位相条件の効果をさらに高めることができる。
ここで振幅条件が成立するためには、空気、第1群31および第2群32の屈折率n0、n1およびn2の関係が、n1=n0×n2となるようにすればよい。これは空気と第1群31の上面との界面での反射率は(n1−n0)/(n1+n0)で近似でき、第1群31の下面と第2群2の上面との境界での反射率は(n2−n1)/(n2+n1)で近似できる。これらの近似値が等しいことから、(n1−n0)/(n1+n0)=(n2−n1)/(n2+n1)となり、これを解いて、n1=n0×n2の関係を導き出すことができる。
なお、位相条件により、第1群31の上下の界面での反射波が互いに逆位相となっているので、厳密に振幅条件が成立していなくても反射波を抑える効果を得ることができる。さらに、屈折率n0、n1およびn2の関係が、n0<n1<n2またはn0>n1>n2の関係が成り立つように、つまりn1がそれぞれ第1群31の上面および下面に設けられた空気および第2群32の屈折率の間の値をとるように選ぶことで、それぞれの屈折率が振幅条件に反しない範囲で選ばれるので、反射波を抑える効果が高くなる。
具体的には、n1=n0×n2の関係から、屈折率n0、n1およびn2の大小関係について、n0>n1が成り立つときにはn2についてn1>n2が成り立ち、n0<n1が成り立つときにはn2についてn1<n2が成り立つ。なお、反射波を抑える効果をより高めるためには、n0×n2−n1の差が絶対値で0.5以下となるように各群の屈折率を選ぶのがよい。n0×n2−n1の差が絶対値で0.5以下の場合には、空気、第1群31および第2群32の間における中心波長500nmの可視光線の反射率を1.5%以下に抑えることができる。
以下、第3群33〜透明基板4についても同様に説明する。第3群33は、上面に第2群32が配置されており、低屈折率層から成る。この低屈折率層は例えばSiOから成り、光学膜厚がLである。第3群33の屈折率n3は1.47である。第3群33を平面視したときの大きさは、第1群31および第2群32と同じである。
この第3群33の光学膜厚は可視光線の波長の略4分の1であり、中心波長が500nmの場合には500/4=125(nm)である。また、第3群33の物理膜厚は光学膜厚を屈折率n3で除したものに等しくなり、125÷1.47=85.03(nm)である。このとき屈折率n3は1.47である。第3群33は光学膜厚が可視光線の波長の略4分の1である。第1群31と同様に、第3群33の光学膜厚が125nm付近であれば、中心波長500nm付近の可視光線の反射を抑制して、効果的に透過させることができる。
第4群34は、上面に第3群33が配置されており、上面側から低屈折率層、高屈折率層および低屈折率層がこの順に説明されて成る。このとき、第1群31および第2群32と同様に低屈折率層同士の厚みは同じである。例えば、SiOから成る低屈折率層およびTiOから成る高屈折率層の組合せであって、それぞれの光学膜厚は、低屈折率層がL、高屈折率層が2Hおよび低屈折率層がLである。この2Hの2は、第1群31および第2群32と同様に、高屈折率層の第1係数である。第4群34を平面視したときの大きさは、第1群31、第2群32および第3群33と同じである。
このとき、第4群34の各層の光学膜厚は、低屈折率層が500/4=125(nm)、高屈折率層が2×(500/4)=500(nm)および低屈折率層が500/4=125(nm)となり、第4群34の見かけの光学膜厚はそれらの合計の1000(nm)である。この第4群34は、この見かけの光学膜厚を調整するために、3層の組合せの光学膜厚全体にかかる第2係数を用いて、見かけの光学膜厚の0.8〜1.2倍の光学膜厚を有する3層(低屈折率層、高屈折率層および低屈折率層)の組合せを20組まで有するものであってもよい。この3層の組合せを20組有している場合の各組合せにおける各層の物理膜厚は、各層の光学膜厚をそれぞれ屈折率で除したものに等しくなり、低屈折率層が0.8〜1.2×125÷1.47=68.03〜102.04(nm)、高屈折率層が0.8〜1.2×500÷2.43=86.42〜246.91(nm)および低屈折率層が68.03〜102.04(nm)である。このとき第4群34の見かけの屈折率n4は、各組合せおよび組合せ全体で共に1.1である。
この第4群34は、近赤外線の透過を抑制することができる。特に、この第4群34を構成する3層の組合せを多く有するほど近赤外線の透過を抑制することができ、各組の第2係数の個数が上記範囲内において多いほど、広い波長範囲の近赤外線の透過を抑制することができる。例えば、第4群34の光学膜厚L、2HおよびLの組合せ1組に対して第2係数が0.8である場合には、0.8×500=400(nm)の可視光線の反射を抑制し、その2倍の波長の800nmの近赤外線の透過を抑制することができる。
この反射の仕組みは、光学膜厚L、2HおよびLの組合せにある。この光学膜厚L、2HおよびLの条件で3層の組合せ1組について考えてみると、この1組の光学膜厚は全体として中心波長と同じになる。この値は中心波長の2倍の波長に対して2分の1とみなすことができ、この1組の上面および下面で生じる中心波長の2倍の波長の光の反射波が同位相になるため、中心波長の2倍の波長の光についての反射が強められる。このため、この3層の組合せにおいて中心波長500(nm)×第2係数の2倍の波長の光に相当する近赤外線の光の透過を抑制することができる。
第5群35は、上面に第4群34が配置されており、上面側から低屈折率層、高屈折率層および低屈折率層がこの順に積層されている。第1群31、第2群32、第4群34および第5群35と同様に、低屈折率層同士の厚みは同じである。例えば、SiOから成る低屈折率層およびTiOから成る高屈折率層の組合せであって、それぞれの光学膜厚は、低屈折率層が0.3L、高屈折率層が0.3Hおよび低屈折率層が0.3Lである。この0.3は、第1群31、第2群32および第4群34と同様に、各層の第1係数である。第5群35を平面視したときの大きさは、第1群31、第2群32、第3群33、第4群34と同じである。
このとき、第5群35の各層のそれぞれの光学膜厚は37.5(nm)であり、第5群35の見かけの光学膜厚は112.5(nm)である。また、各層の物理膜厚は各層の光学膜厚をそれぞれ屈折率で除したものに等しくなり、それぞれ37.5÷1.47=25.51(nm)、37.5÷2.43=15.43(nm)および37.5÷1.47=25.51(nm)である。このとき、この第5群35の見かけの屈折率n5は1.86である。
第5群35は見かけの光学膜厚が可視光線の波長の略4分の1である。本発明の一実施形態は可視光線の波長を500nmとして設定しているので、第1群31および第3群33と同様に、第5群35の光学膜厚が125nm付近であれば、中心波長500nm付近の可視光線についてその反射を抑制して、第5群35を効果的に透過させることができる。
第6群36は、上面に第5群35が配置されており、上面側から高屈折率層、低屈折率層および高屈折率層がこの順番に積層されている。このとき、高屈折率層同士の厚みは同じである。例えば、TiOから成る高屈折率層およびSiOから成る低屈折率層の組合せであって、それぞれの光学膜厚は、高屈折率層が0.85〜1.0×1.5H、低屈折率層が0.85〜1.0×0.2Lおよび高屈折率層が0.85〜1.0×1.5Hである。この1.5および0.2は、第1群31、第2群32、第4群34および第5群35と同様に、各層の第1係数である。
この光学膜厚1.5H、0.2Lおよび1.5Hの組合せであれば、見かけの光学膜厚が400nmであるので、第4群34と同様に400nmの2倍の波長の光についてこの1組の上面および下面で生じる反射波が同位相になるので、その波長に相当する近赤外線の透過が抑制される。このため、上記の第2係数(0.85〜1.0)を掛けると、400(nm)×第2係数の2倍の波長の光に相当する近赤外線の透過を抑制することができる。第6群36を平面視したときの大きさは、第1群31、第2群32、第3群33、第4群34および第5群35と同じである。
このとき、第6群36の各層の光学膜厚は、高屈折率層が0.85〜1.0×1.5×(500/4)=159.38〜187.5(nm)、低屈折率層が0.85〜1.0×0.2×(500/4)=21.25〜25(nm)および高屈折率層が150〜187.5(nm)となり、この第6群36の見かけの光学膜厚は360(nm)である。また、第4群34と同様に第2係数が0.85〜1.0の場合の各層の物理膜厚は各層の光学膜厚をそれぞれ屈折率で除したものに等しくなり、それぞれ159.38〜187.5÷2.43=65.59〜77.16(nm)、21.25〜25÷1.47=14.46〜17.01(nm)および65.59〜77.16(nm)である。このとき、この第6群36の見かけの屈折率は、各組合せおよび組合せ全体で共に2.82である。また、第4群34と同様に、0.85〜1.0×(1.5H、0.2L、1.5H)の組合せを5組まで有していてもよい。
第7群37は、上面に第6群6が配置されており、上面側から低屈折率層、高屈折率層および低屈折率層がこの順に積層されている。このとき、第1群31、第2群32、第4群34および第5群35と同様に、低屈折率層同士の厚みは同じである。例えば、SiOから成る低屈折率層およびTiO高屈折率層から成る組合せであって、それぞれの光学膜厚は、低屈折率層が0.3L、高屈折率層が0.45Hおよび低屈折率層が0.3Lである。この0.3および0.45は、第1群31、第2群32、第4群34、第5群35および第6群36と同様に、各層の第1係数である。第7群37を平面視したときの大きさは、第1群31、第2群32、第3群33、第4群34、第5群35および第6群36と同じである。
このとき、第7群37の各層の光学膜厚は第2群32と同じであり、第7群37の見かけの光学膜厚は112.5(nm)である。また、各層の物理膜厚は各層の光学膜厚をそれぞれ屈折率で除したものに等しくなり、それぞれ37.5÷1.47=25.51(nm)、56.25÷2.43=23.15(nm)および37.5÷1.47=25.51(nm)である。このとき、この第7群37の見かけの屈折率は、2.06である。
この第7群37の見かけの光学膜厚は、可視光線の波長の略4分の1である。本発明の一実施形態は可視光線の波長を500nmとして設定しているので、第1群31、第3群33および第5群35と同様に、第7群37の光学膜厚が125nm付近であれば中心波長500nm付近の可視光線についてその反射を抑制して、第7群37を効果的に透過させることができる。
上述した透明基板4は、上面に第7群37が配置されており、広い波長域の光を透過させやすいものである。このとき、透明基板4は、第7群37を透過した光のうち、近赤外線が抑制された可視光線を透過させる。
透明基板4の屈折率n8は、温度20℃の場合に、1.3〜1.8である。例えば透明基板4がホウケイ酸ガラスの場合には、屈折率n8は1.52である。
以上に示した一実施形態の各群の構成について、具体的な材料等を示してまとめた表を表1に示す。表1には、各群の低屈折率層および高屈折率層を組み合せた3層を、上面側から順に第1層、第2層および第3層と示している。また、製品として製造する際の低屈折率層および高屈折率層の層数である製造上層数、各群を構成する層の材料、この材料に対する屈折率、各群の見かけの屈折率、各群を構成する3層の組合せ全体にかかる光学膜厚を調整する係数を第2係数、各群を構成する層の第1係数(各層)、中心波長500nmの場合の各群を構成する各層の単層の光学膜厚(nm)、中心波長500nmの単層の光学膜厚に対する物理膜厚(nm)、製造上の1層である低屈折率層および高屈折率層に対応した物理膜厚である複数膜厚(nm)ならびに見かけの光学膜厚を含む光学膜厚(nm)を順に示している。ここで、製造上層数は、連続する層において同じ材料を用いる場合には1つの層として成膜することができるので、その場合の層数を示している。このように1つの層として設ける場合には、低屈折率層および高屈折率層が交互に設けられている状態になる。
表1に示すように、この例における屈折率n0、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7およびn8の関係は、n0<n1<n2、n2>n3>n4、n4<n5<n6かつn6>n7>n8である。反射膜3においてこの関係が成り立つことによって、図7に示すように、可視光線の透過率が少なくとも80%以上の近赤外線カットフィルタ1となる。さらに、中心波長500nm付近では透過率が90%以上である。
以上に示すような近赤外線カットフィルタ1は、レンズ等を透過した光が、まず第1群31に入射して、第2群32、第3群33、第4群34、第5群35、第6群36、第7群37および透明基板4を順次透過する。また、近赤外線カットフィルタ1は、第1群31、第3群33、第5群35および第7群37の光学膜厚が可視光線の波長の略4分の1であるとともに、屈折率の関係がn0<n1<n2、n2>n3>n4、n4<n5<n6かつn6>n7>n8であることによって、可視光線の透過率を向上させることができる。また、第4群34において、光学膜厚の比が低屈折率層:高屈折率層:低屈折率層=1:2:1であることによって、近赤外線の透過を抑制することができる。
次に、本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタ1について、図面を参照しながら説明する。図8、図10および図11には、それぞれ本発明の他の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタ1の断面図を示す。図9には、図8に示した近赤外線カットフィルタ1による透過率のグラフを示しており、横軸は波長(nm)を、縦軸は透過率(%)を表わしている。図8において、反射膜3は、第1群31、第2群32、第3群33、第4群34、第5群35、第6群36、第7群37および透明基板4を備えている。この図8に示す例においては、吸収膜2の上面に、入射した光を透過させる、吸収膜2を保護する保護膜5が配置されている。
この吸収膜2は、温度が20℃の場合に、屈折率naは1.45〜1.55である。例えば吸収膜2がポリビニルブチラールから成るときには、屈折率は500nmで1.47〜1.55である。
保護膜5は、温度が20℃の場合に、屈折率npは1.35〜1.45である。例えば、保護膜5がハイドロフルオロエーテルから成るときには、屈折率は500nmで1.37〜1.41である。
また、第2群32、第1群31、吸収膜2、保護膜5および空気の屈折率をそれぞれn2、n1、na、npおよびn0とすると、n2>n1>naかつna>np>n0の関係が成り立っている。これらの値は、温度が20℃の場合である。各膜および各群の屈折率についてこの関係が成り立っている場合には、より多くの可視光線を透過させることができる。このときの透過率を図9のグラフに示している。
この屈折率の評価は、透過率の測定または材料解析等から行なうことができる。このような屈折率の関係を成り立たせるには、材料を適切に選択して組み合わせればよい。例えば、保護膜5として屈折率が1.35程度のフッ素樹脂を、吸収膜2として屈折率が1.5程度のポリビニルブチラールポリマーあるいはエチレン−ビニルアルコールコポリマーを選択することができる。なお、これらの材料において、屈折率の微調整は材料中の空孔量を調整することで行なうことができる。
次に、図10に示す例においては、近赤外線カットフィルタ1は、図5に示した反射膜3と透明基板4の構成において、透明基板4の下面にも、上面と透明基板4を挟んで対称な配置になるように、第7群37、第6群36、第5群35、第4群34、第3群33、第2群32および第1群31が設けられている。また、図11に示す例においては、近赤外線カットフィルタ1は、図4に記載した本発明の一実施形態における反射膜3詳細に示したものである。つまり、透明基板4の下面にも、第7群37、第6群36、第5群35、第4群34、第3群33、第2群32、第1群31、吸収膜2および保護膜5が順次設けられている。このように透明基板4の上面側および下面側の構成が透明基板4を挟んで対称な配置であることによって、それぞれの膜および群の材料および厚みが異なることによって生じる応力が透明基板4の上下で同じように生じる。このため、透明基板4が応力で歪むのを低減することができる。
次に、図12には、本発明の一実施形態における透明基板4の反対側に設けた他の構成の断面図を示している。図13には、図12の構成を透明基板4にさらに設けた場合における透過率のグラフを示しており、横軸は波長(nm)を、縦軸は透過率(%)を表わしている。図10および図11の場合と同様に、近赤外線カットフィルタ1は、図5に記載した本発明の一実施形態における透明基板4の反対側にも、図12に示すような構成を有していてもよい。このとき、図12に示した上面側から光が入射するとした場合には、第1群01、第2群02、第3群03、第4群04および第5群05で構成されている。この第1群01の上面に、透明基板4の他の面同様に吸収膜2および保護膜5が設けられてもよい。以下に具体的に示す。
第1群01は、低屈折率層から成る。この低屈折率層は、例えばSiOから成り、光学膜厚が0.84Lであり、中心波長が500nmの場合には光学膜厚は105(nm)である。このときの屈折率は1.47である。この0.84は、本発明の一実施形態に示した各群と同様に、低屈折率層の光学膜厚を調整する第1係数である。
第2群02は、上面に第1群01が配置されており、上面側から低屈折率層、高屈折率層および低屈折率層がこの順に積層されている。この低屈折率層は例えばSiOから成り、高屈折率層はTiOからなり、各層の光学膜厚は0.22L、0.33Hおよび0.22Lである。この0.22および0.33は、第1群01と同様に、各層の第1係数である。このときの中心波長が500nmの場合には、第2群02の光学膜厚は288.25(nm)であり、見かけの屈折率は1.95である。
第3群03は、上面に第2群02が配置されており、高屈折率層から成る、この高屈折率層は例えばTiOからなり、光学膜厚は1.87Hである。この1.87は、第1群01および第2群02と同様に、高屈折率層の第1係数である。中心波長が500nmの場合には、光学膜厚は233.50(nm)であり、このときの屈折率は2.43である。
第4群04は、上面に第3群03が配置されており、第2群02と同様に、上面側から低屈折率層、高屈折率層および低屈折率層がこの順に積層されている。この低屈折率層は例えばSiOから成り、高屈折率層はTiOからなり、各層の光学膜厚は0.22L、0.33Hおよび0.22Lである。この0.22および0.33は、第1群01、第2群02および第3群03と同様に、各層の第1係数である。このときの中心波長が500nmの場合には、第4群04の光学膜厚は288.25(nm)であり、見かけの屈折率は1.95である。
第5群05は、上面に第4群04が配置されており、第1群01と同様に、低屈折率層から成る。この低屈折率層は例えばSiOから成り、光学膜厚が0.84Lであり、この0.84は、第1群01、第2群02、第3群03および第4群04と同様に、低屈折率層の第1係数である。中心波長が500nmの場合には光学膜厚は105(nm)である。このときの屈折率は1.47である。
このとき、第1群01〜第5群05が第3群03を中心として対称な配置の場合には、全体として見かけの屈折率を1.5とすることができる。また、第1群01〜第5群05の組合せを10組まで有していてもよい。このとき、各組合せおよび組合せ全体で共に見かけの屈折率は1.5である。また、中心波長が500nmの場合に、第1群01〜第5群05の全体の光学膜厚は636(nm)であるので、空気との界面および透明基板4との界面で生じる2倍波長の近赤外線の反射波が同位相になるため、近赤外線の透過を抑制することができる。
以上の他の実施形態の片面における各群の構成について、具体的な材料等を示してまとめた表を表2に示す。表2には、表1と同様に、各群に対応した低屈折率層および高屈折率層を組み合せた3層を、上面側から順に第1層、第2層および第3層と示している。また、製品として製造する際の低屈折率層および高屈折率層の層数である製造上層数、各群を構成する層の材料、この材料に対する屈折率、各群の見かけの屈折率、各群を構成する各層の第1係数(各層)、中心波長が500nmの場合の各群を構成する各層の単層の光学膜厚(nm)、中心波長が500nmの単層の光学膜厚に対する物理膜厚(nm)、製造上の1層である低屈折率層および高屈折率層に対応した物理膜厚である複数膜厚(nm)ならびに見かけの光学膜厚を含む各群の光学膜厚(nm)を順に示している。
上述した構成を透明基板4の本発明の一実施形態の反対側の面に設けた場合には、図13および図14に示すような透過率を示すグラフを得ることができる。このとき、図13は反射膜3および透明基板4のみの場合の透過率であり、図14は第1群31および第1群01の上面に吸収膜2が設けられている場合を示している。
<近赤外線カットフィルタの製造方法>
次に、以上の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタ1の製造方法の一例について説明する。
まず、透明基板4として、0.2mmの厚みを有する、直径が30〜90mmの円形状のガラス板を準備する。このガラス板の表面を、例えば超音波洗浄法あるいは化学洗浄法等を用いて洗浄する。なお、ここでのガラス板は、多数個取り用の母基板として用いるものなので、一辺が30〜90mmの四角形状であってもよい。
次に、洗浄後のガラス板の表面に、シリカまたはチタニアから成る反射膜3を設ける。この反射膜3は、蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法あるいはスパッタリング法等を用いた成膜によって形成することができる。厚さは0.05μmである。その後、反射膜3の表面を超音波洗浄法あるいは化学洗浄法等を用いて洗浄する。なお、透明基板4の反対側の表面にも同様に反射膜3を設けてもよい。
反射膜3は、SiOから成る低屈折率層およびTiOから成る高屈折率層を交互に積層して、第7群37、第6群36、第5群35、第4群34、第3群33、第2群32および第1群31を順次設ける。これらの各群に交互に設ける各層は、蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法あるいはスパッタリング法等を用いた成膜法によって形成することができる。各群の厚さは、第7群37から第1群31まで順番に、74.17(nm)、728.20(nm)、66.45(nm)、4.4(μm)、85.03(nm)、74.17(nm)および65.94(nm)である。その後、各群の表面を超音波洗浄法あるいは化学洗浄法等を用いて洗浄する。なお、透明基板4の反対側の表面にも同様に、第7群37、第6群36、第5群35、第4群34、第3群33、第2群32、第1群31を順次設けてもよい。なお、透明基板4の上下の面で各群の層が異なる構成の場合にも、同様の方法で設けることができる。
次に、反射膜3の表面に吸収膜2を設ける。この吸収膜2は、ポリマー20および有機色素21を、メチルエチルケトンおよびトルエン等の有機溶媒の混合液に濃度が5〜20質量%程度になるように溶解させた塗布液を、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、グラビア法あるいはバーコーター法等を用いて、反射膜3の表面に10〜100μmの厚さになるようにコーティングする。その後、加熱炉で乾燥させて、有機溶媒を気化させることにより、厚さ3μmの吸収膜2を得る。なお、ポリマー20と有機色素21とを混ぜた液中では、水酸基同士が互いに水素結合をするため、有機色素21がポリマー20の水酸基に引き寄せられる。その状態を保ったまま、有機溶媒が気化して吸収膜2の厚みが薄くなりつつ硬化するので、吸収膜2中に有機色素21が均一に分散する。
次に、吸収膜2の表面に保護膜5を設ける。この保護膜5としては、フッ素樹脂を用いて、フッ素系有機溶媒の混合液に濃度が5〜20質量%程度になるように溶解させた塗布液を、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、グラビア法あるいはバーコーター法等を用いて、10〜100μmの厚さになるようにコーティングする。その後、加熱炉で乾燥させて、有機溶媒を気化させるとともに重合させることにより、厚さ3μmの保護膜5を得る。
最後に、所定の大きさ、例えば7×7mmにダイシングして、洗浄する。このとき、透明基板4の両面に対称に吸収膜2,反射膜3および保護膜5が設けられていると、ダイシングの際に透明基板4の上下に均一に応力が生じるので、透明基板4が歪みにくくなり、透明基板4が割れたり反ったりすることを抑制することができる。
以上のようにして、本発明の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタ1を製造することができる。
<光半導体装置の構成>
次に、本発明の一実施形態にかかる光半導体装置100について、図面を参照しながら説明する。図15および図16は、本発明の一実施形態にかかる光半導体装置100の上面視図および断面図をそれぞれ示している。これらの図において、光半導体装置100は、本発明の実施形態にかかる近赤外線カットフィルタ1(以下、単に「フィルタ1」と総称する場合がある。)、光半導体素子収納用パッケージ101、光半導体素子105およびレンズ106を備えている。
図15に示すレンズ106が設けられている箇所において、このレンズ106の上面から入射する光を光半導体素子収納用パッケージ101の内部に入射させる。入射した光は、フィルタ1を透過して、近赤外線の透過が抑制された状態で、光半導体素子105に照射される。
図16に示すように、光半導体素子収納用パッケージ101は、光が入射するレンズ固定部104、レンズ固定部104を通った光が通るフィルタ固定部103およびフィルタ固定部103を通った光が入射する光半導体素子実装部102を有している。光半導体素子収納用パッケージ101は、セラミック材料あるいは金属材料で形成されている。この光半導体素子収納用パッケージ101における光半導体素子実装部102に、撮像素子または受光素子等の光半導体素子105が実装される。このとき、光半導体素子105は、ボンディングワイヤ等の接続部材によって、光半導体素子収納用パッケージ101の配線等に電気的に接続される。光半導体素子105が撮像素子または受光素子の場合には、光半導体素子105が、光半導体素子105の表面に入射する光の強さに応じた電荷を生じさせる光電変換の機能を備える。
また、レンズ固定部104には、レンズ106が固定されている。このレンズ106は、外部からの光を屈折させつつ透過させて、フィルタ1に入射させる。レンズ106はガラスあるいは透明な樹脂等の材料から成る。レンズ106としては、凸レンズ、凹レンズまたはフレネルレンズ等の各種形状のレンズを使用目的に合わせて用いる。
図15および図16に示すように、レンズ固定部104は、例えば立方体形状または直方体形状を有し、上下面に貫通孔が設けられていて、この貫通孔に嵌めるようにしてレンズ106が固定される。
また、フィルタ固定部103には、フィルタ1が固定されている。このフィルタ1は、レンズ106と光半導体素子105との間に位置するように、フィルタ固定部103に固定される。フィルタ固定部103の形状は特に限定されるものではなく、例えば平面視において四角形状、六角形状、八角形状または円形状等である。
近赤外線カットフィルタ1を備える光半導体装置100は、近赤外線カットフィルタ1の吸収膜2が近赤外線を吸収する有機色素21を分散させて有していることによって、レンズ106から入射した光が近赤外線カットフィルタ1を透過する際に、近赤外線を効果的に吸収することができる。さらに、近赤外線カットフィルタ1は、吸収膜2の下面に近赤外線を反射する反射膜3が設けられていることによって、吸収膜2を透過した光のうち近赤外線を反射膜3で反射することができる。このため、近赤外線の透過を抑制した光を透過させて光半導体素子105に入射させることができる。
また、光半導体装置100は、反射膜3において第1群31、第3群33、第5群35および第7群37の光学膜厚あるいは見かけの光学膜厚が可視光線の略4分の1であること、ならびに屈折率の関係が成り立つ。このことによって、レンズ106から入射した光が近赤外線カットフィルタ1を透過する際に、近赤外線の透過および可視光線の反射を効果的に抑制することができる。さらに、第1群31の上面に有機色素21を含む吸収膜2を備えている場合には、吸収膜2で近赤外線を吸収し、吸収膜2を透過した近赤外線を第1群31〜第7群37で反射するので、近赤外線をより効果的に抑制することができる。
以上のような光半導体装置100は、外部の光がフィルタ1を透過して光半導体素子105に入射するので、人間の眼が知覚することができる可視光線に近い光のより多くを光半導体素子105に入射させることができる。このように所望の光学特性が得られるフィルタ1を備えていることによって、光学特性に優れた光半導体装置100を実現することができる。
また、本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものではない。
1 近赤外線カットフィルタ
2 吸収膜
20 ポリマー
21 有機色素
3 反射膜
4 透明基板
5 保護膜
11 低屈折率層
12 高屈折率層
31 第1群
32 第2群
33 第3群
34 第4群
35 第5群
36 第6群
37 第7群
01 他面側における第1群
02 他面側における第2群
03 他面側における第3群
04 他面側における第4群
05 他面側における第5群
100 光半導体装置
101 光半導体素子収納用パッケージ
102 光半導体素子実装部
103 フィルタ固定部
104 レンズ固定部
105 光半導体素子
106 レンズ

Claims (9)

  1. 入射する光のうち近赤外線を吸収する吸収膜と、
    上面に前記吸収膜が配置された、前記吸収膜を透過した光のうち近赤外線を反射する反射膜と、
    上面に前記反射膜および前記吸収膜が配置された、前記反射膜を透過した光を透過させる透明基板とを備えており、
    前記吸収膜は、疎水基を有する繰返し単位および水酸基を有する繰返し単位から成るポリマーと、前記ポリマーに分散した、水酸基を有するとともに近赤外線を吸収する有機色素とから成っており、前記ポリマーにおける水酸基を有する繰返し単位がビニルアルコールであることを特徴とする近赤外線カットフィルタ。
  2. 前記吸収膜の前記ポリマーが、ポリビニルブチラールポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線カットフィルタ。
  3. 前記吸収膜の上面に、フッ素樹脂から成る保護膜をさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の近赤外線カットフィルタ。
  4. 前記反射膜は、屈折率が異なりそれぞれ可視光線および近赤外線を透過させる低屈折率層および高屈折率層を積層して構成された複数の群を有しており、
    上面側から前記低屈折率層、前記高屈折率層および前記低屈折率層がこの順に積層され、見かけの屈折率がn1であるとともに見かけの光学膜厚が可視光線の波長の略4分の1である第1群と、
    上面に前記第1群が配置された、上面側から前記低屈折率層、前記高屈折率層および前記低屈折率層がこの順に積層され、見かけの屈折率がn2である第2群と、
    上面に前記第2群が配置された、前記低屈折率層から成り、屈折率がn3であるとともに光学膜厚が可視光線の波長の略4分の1である第3群と、
    上面に前記第3群が配置された、上面側から前記低屈折率層、前記高屈折率層および前記低屈折率層がこの順に積層され、光学膜厚の比が低屈折率層:高屈折率層:低屈折率層=1:2:1であるとともに見かけの屈折率がn4である第4群と、
    上面に前記第4群が配置された、上面側から前記低屈折率層、前記高屈折率層および前記低屈折率層がこの順に積層され、見かけの屈折率がn5であるとともに見かけの光学膜厚が可視光線の波長の略4分の1である第5群と、
    上面に前記第5群が配置された、上面側から前記高屈折率層、前記低屈折率層および前記高屈折率層がこの順に積層され、見かけの屈折率がn6である第6群と、
    上面に前記第6群が配置された、上面側から前記低屈折率層、前記高屈折率層および前記低屈折率層がこの順に積層され、見かけの屈折率がn7であるとともに見かけの光学膜厚が可視光線の波長の略4分の1である第7群とを有しており、
    上面に前記第7群が配置された前記透明基板の屈折率をn8、空気の屈折率をn0としたとき、屈折率n0、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7およびn8の関係が、n0<n1<n2、n2>n3>n4、n4<n5<n6かつn6>n7>n8であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載した近赤外線カットフィルタ。
  5. 前記第4群は、前記低屈折率層、前記高屈折率層および前記低屈折率層の組合せを20組有することを特徴とする請求項4に記載の近赤外線カットフィルタ。
  6. 前記第6群は、前記高屈折率層、前記低屈折率層および前記高屈折率層の組合せを5組有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の近赤外線カットフィルタ。
  7. 前記第1群の上面に設けられた前記吸収膜の屈折率がnaであるとともに、
    前記保護膜の屈折率がnpであり、
    屈折率n0、np、na、n1およびn2の関係が、n0<np<naかつna<n1<n2であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の近赤外線カットフィルタ。
  8. 前記低屈折率層が二酸化珪素から成り、前記高屈折率層が二酸化チタンから成ることを特徴とする請求項6に記載の近赤外線カットフィルタ。
  9. 光が入射するレンズ固定部、前記レンズ固定部を通った光が通るフィルタ固定部および前記フィルタ固定部を通った光が入射する光半導体素子実装部を有する光半導体素子収納用パッケージと、
    前記レンズ固定部に固定されたレンズと、
    前記レンズを透過した光が前記吸収膜側から入射するように前記フィルタ固定部に固定された請求項1〜8のいずれか1つに記載の近赤外線カットフィルタと、
    前記近赤外線カットフィルタを透過した光が入射するように前記光半導体素子実装部に実装された光半導体素子とを備えていることを特徴とする光半導体装置。
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