JP2002228827A - 光学フィルターおよびプラズマディスプレイパネル - Google Patents

光学フィルターおよびプラズマディスプレイパネル

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JP2002228827A
JP2002228827A JP2001021178A JP2001021178A JP2002228827A JP 2002228827 A JP2002228827 A JP 2002228827A JP 2001021178 A JP2001021178 A JP 2001021178A JP 2001021178 A JP2001021178 A JP 2001021178A JP 2002228827 A JP2002228827 A JP 2002228827A
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JP2001021178A
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Toru Harada
徹 原田
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光堅牢性が優れた光学フィルターを得る。 【解決手段】 透明支持体上に、染料およびポリマーバ
インダーを含むフィルター層を有する光学フィルターに
おいて、染料として、アニオン性染料と銀イオンとの塩
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明支持体および
フィルター層を有する光学フィルターに関する。特に本
発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶
表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディス
プレイ(ELD)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレ
イのような画像表示装置の表面に、誤動作防止および色
再現性改良のため取り付けられる光学フィルターに関す
る。
【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレイパネル(PD
P)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセ
ンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CR
T)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイのような画
像表示装置は、原則として、赤、青、緑の三原色の光の
組み合わせでカラー画像を表示する。しかし、表示のた
めの光を理想的な三原色にすることは、非常に難しい
(実質的には不可能である)。例えば、プラズマディス
プレイパネル(PDP)では、三原色蛍光体からの発光
に余分な光(波長が500乃至620nmの範囲)が含
まれていることが知られている。そこで、表示色の色バ
ランスを補正するため特定の波長の光を吸収するフィル
ターを用いて、色補正を行うことが提案されている。フ
ィルターによる色補正については、特開昭58−153
904号、同61−188501号、特開平3−231
988号、同5−205643号、同9−145918
号、同9−306366号、同10−26704号の各
公報に記載がある。またディスプレイから発生する赤外
線(主に、750nmから1100nm)によって遠隔
操作装置(リモコン)が誤動作するとの問題が報告されて
いる。この問題を解決するために、赤外線吸収フィルタ
ーが用いられている。赤外線吸収フィルターに用いる染
料については、米国特許5945209号明細書に記載
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、赤外
線および色純度を低下させる波長の光を選択的にカット
し、誤動作が起こらない、色バランスに優れた光学フィ
ルターを提供すること、およびそれを用いた画像表示装
置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(10)の光学フィルターおよび下記(1
1)、(12)のプラズマディスプレイパネルによって
達成された。
【0005】(1)透明支持体上に、染料およびポリマ
ーバインダーを含むフィルター層を有する光学フィルタ
ーであって、染料が、アニオン性染料と銀イオンとの塩
であることを特徴とする光学フィルター。 (2)アニオン性染料が、アニオン性基を有するメチン
染料である(1)に記載の光学フィルター。
【0006】(3)メチン染料が、下記式で定義される
オキソノール染料であって、エノール型酸性核の水酸基
からプロトンが解離し、その部分がアニオン性基として
機能している(2)に記載の光学フィルター: Ak=Lo−Ae [式中、Akは、ケト型酸性核であり;Loは、奇数個
のメチンからなるメチン鎖であり;そして、Aeは、エ
ノール型酸性核である]。 (4)750nm乃至1100nmの範囲に吸収極大を
有する(1)に記載の光学フィルター。 (5)750乃至1100nmの範囲の吸収極大におけ
る光透過率が0.01乃至30%の範囲である(4)に
記載の光学フィルター。
【0007】(6)さらに、下記式で定義されるシアニ
ン染料を含む(1)に記載の光学フィルター: Bo−Le=Bs [式中、Boは、塩基性核のオニウム体であり;Lo
は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;そして、
Bsは、塩基性核である]。 (7)シアニン染料のメチン鎖が、3個のメチンからな
る(6)に記載の光学フィルター。 (8)シアニン染料が、会合状態である(6)に記載の
光学フィルター。
【0008】(9)560nm乃至620nmの範囲に
吸収極大を有する(6)に記載の光学フィルター。 (10)560nm乃至620nmの範囲の吸収極大に
おける光透過率が0.01乃至80%の範囲である
(9)に記載の光学フィルター。
【0009】(11)(1)乃至(10)のいずれか一
つに記載の光学フィルターで覆われたディスプレイ表面
を有するプラズマディスプレイパネル。 (12)プラズマディスプレイに前面板が設けられてお
らず、光学フィルターがディスプレイ表面に直接貼り付
けられている(11)に記載のプラズマディスプレイパ
ネル。
【0010】
【発明の効果】光学フィルターは、多量の光を照射して
使用することが普通である。従って、光学フィルターに
使用する染料は、他の用途の場合よりも、堅牢性、特に
光堅牢性が要求される。従来の染料、特に従来の赤外吸
収染料は、光学フィルターに要求される高い光堅牢性を
満足しない場合が多かった。本発明者の研究により、ア
ニオン性染料を銀イオンとの塩の状態で使用すると、染
料の堅牢性が著しく改善されることが判明した。ハロゲ
ン化銀写真材料の技術分野では、アニオン性染料と銀イ
オンとの塩に、さらに配位子を加えた銀錯体を使用する
ことが提案されている(欧州特許0586749A1号
明細書記載)。ハロゲン化銀写真材料において、カブリ
防止剤や現像促進剤として機能する化合物は、一般に含
窒素複素環化合物であって、銀錯体の配位子として機能
できる。その銀錯体を形成する中間体として、アニオン
性染料と銀イオンとが塩を形成している。本発明では、
銀錯体を形成せずに、アニオン性染料と銀イオンとの単
塩(錯塩および複塩とは異なり、一種類のアニオンと一
種類のカチオンとから形成される塩)を、堅牢性が高い
染料として光学フィルターに使用する。
【0011】
【発明の実施の形態】[フィルター層]光学フィルター
は、750nm乃至1100nmの赤外域に吸収を有す
ることが好ましい。光学フィルターの吸収極大は、79
0乃至1050nmの波長領域にあることが好ましく、
800乃至1030nmの波長領域にあることがさらに
好ましい。吸収極大における光透過率は、0.01乃至
30%であることが好ましく、0.05乃至20%であ
ることがさらに好ましく、0.1乃至10%であること
が最も好ましい。赤外領域に吸収極大を得るためには、
染料を用いてフィルター層を形成する。
【0012】本発明では、フィルター層の染料として、
アニオン性染料と銀イオンとの塩を用いる。アニオン性
染料は、アニオン性基を有するメチン染料であることが
好ましい。メチン染料には、下記式で定義されるシアニ
ン染料、メロシアニン染料、オキソノール染料、スチリ
ル染料およびアリーリデン染料が含まれる。
【0013】 シアニン染料: Bo−Lo=Bs メロシアニン染料:Bs=Le=Ak オキソノール染料:Ak=Lo−Ae スチリル染料: Bo−Le−Ar アリーリデン染料:Ak=Lo−Ar [式中、Boは、塩基性核のオニウム体であり;Bs
は、塩基性核であり;Akは、ケト型酸性核であり;A
eは、エノール型酸性核であり;Arは、芳香族核であ
り;Loは、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;
そして、Leは、偶数個のメチンからなるメチン鎖であ
る]。
【0014】アニオン性基は、置換基としてメチン染料
に導入するか、あるいは、エノール型酸性核(Ae)の
水酸基からプロトンを解離させ、その部分がアニオン性
基として機能させる。置換基としてメチン染料に導入す
るよりも、エノール型酸性核(Ae)の水酸基を解離さ
せる方が好ましい。従って、エノール型酸性核(Ae)
を有するオキソノール染料が特に好ましく用いられる。
オキソノール染料のケト型酸性核(Ak)およびエノー
ル型酸性核(Ae)は、脂肪族環または複素環である。
脂肪族環よりも複素環の方が好ましい。酸性核を形成す
る環の例には、2−ピラゾリン−5−オン、ロダニン、
ヒダントイン、チオヒダントイン、2,4−オキサゾリ
ジンジオン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、チオ
バルビツール酸、インダンジオン、ジオキソピラゾロピ
リジン、ヒドロキシピリジン、ピラゾリジンジオン、
2,5−ジヒドロフラン−2−オン、ピロリン−2−オ
ン、ピラゾロトリアゾールおよびピロロトリアゾールが
含まれる。2−ピラゾリンー5−オンがが特に好まし
い。酸性核を形成する環は、置換基を有していてもよ
い。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、
脂肪族基、芳香族基、複素環基、−OR、−COR、−
COOR、−OCOR、−NRR、−NHCOR、−C
ONRR、−NHCONRR、−NHCOOR、−S
R、−SO2 R、−SO2 OR、−NHSO2 Rおよび
−SO2 NRRが含まれる。上記Rは、それぞれ独立
に、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基であ
る。なお、−COORのRが水素原子(すなわち、カル
ボキシル)の場合および−SO2 ORのRが水素原子
(すなわち、スルホ)の場合は、水素原子が解離して
も、塩の状態であってもよい。
【0015】本明細書において、脂肪族基は、アルキル
基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル
基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基お
よび置換アラルキル基を意味する。アルキル基は、環状
であってもよい。鎖状アルキル基は、分岐を有していて
もよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至20が好ま
しく、1乃至12であることがさらに好ましく、1乃至
8であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−
ブチル、シクロプロピル、シクロヘキシルおよび2−エ
チルヘキシルが含まれる。
【0016】置換アルキル基のアルキル部分は、上記ア
ルキル基と同様である。置換アルキル基の置換基の例に
は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、アミ
ノ、カルバモイル、ウレイド、メルカプト、スルホ、ス
ルファモイル、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO
−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NHR、−
NR2 、−NH−CO−R、−CO−NHR、−CO−
NR2 、−NH−CO−NHR−、−NH−CO−NR
2 −、−NH−CO−O−R、−S−R、−SO2
R、−SO2 −O−R、−NH−SO2 −R、−SO2
−NH−Rおよび−SO2 −NR2 が含まれる。上記R
は、それぞれ、脂肪族基、芳香族基または複素環基であ
る。上記カルボキシルおよびスルホは、水素原子が解離
していても、塩の状態であってもよい。置換アルキル基
の例には、2−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチ
ル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル、
3−スルホプロピルおよび4−スルホブチルが含まれ
る。
【0017】アルケニル基は、環状であってもよい。鎖
状アルケニル基は、分岐を有していてもよい。アルケニ
ル基の炭素原子数は、2乃至20が好ましく、2乃至1
2がさらに好ましく、2乃至8が最も好ましい。アルケ
ニル基の例には、ビニル、アリル、1−プロペニル、2
−ブテニル、2−ペンテニルおよび2−ヘキセニルが含
まれる。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記ア
ルケニル基と同様である。置換アルケニル基の置換基
は、置換アルキル基の置換基と同様である。アルキニル
基は、環状であってもよい。鎖状アルキニル基は、分岐
を有していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は、2
乃至20が好ましく、2乃至12がさらに好ましく、2
乃至8が最も好ましい。アルキニル基の例には、エチニ
ルおよび2−プロピニルが含まれる。
【0018】置換アルキニル基のアルキニル部分は、上
記アルキニル基と同様である。置換アルキニル基の置換
基は、置換アルキル基の置換基と同様である。アラルキ
ル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。
アラルキル基のアリール部分は、後述するアリール基と
同様である。アラルキル基の例には、ベンジルおよびフ
ェネチルが含まれる。置換アラルキル基のアルキル部分
は、上記アルキル基と同様である。置換アラルキル基の
アリール部分は、後述するアリール基と同様である。置
換アラルキル基のアルキル部分の置換基は、置換アルキ
ル基の置換基と同様である。置換アラルキル基のアリー
ル部分の置換基は、後述する置換アリール基の置換基と
同様である。
【0019】本明細書において、芳香族基は、アリール
基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フ
ェニルおよびナフチルであることが好ましく、フェニル
であることがさらに好ましい。置換アリール基のアリー
ル部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール
基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カ
ルボキシル、アミノ、カルバモイル、ウレイド、メルカ
プト、スルホ、スルファモイル、シアノ、ニトロ、脂肪
族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−
CO−O−R、−O−CO−R、−NHR、−NR2
−NH−CO−R、−CO−NHR、−CO−NR2
−NH−CO−NHR−、−NH−CO−NR2 −、−
NH−CO−O−R、−S−R、−SO2 −R、−SO
2 −O−R、−NH−SO2 −R、−SO2 −NH−R
および−SO2 −NR2 が含まれる。上記Rは、それぞ
れ、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。上記カ
ルボキシルおよびスルホは、水素原子が解離していて
も、塩の状態であってもよい。
【0020】本明細書において、複素環基は、無置換複
素環基および置換複素環基を意味する。複素環基の複素
環は、5員環または6員環であることが好ましい。複素
環に、脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合して
いてもよい。複素環の(縮合環を含む)例には、ピリジ
ン環、ピペリジン環、フラン環、フルフラン環、チオフ
ェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、イン
ドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾー
ル環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリ
ン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベ
ンゾキノリン環およびチアジアゾール環が含まれる。置
換複素環基の置換基は、置換アリール基の置換基と同様
である。
【0021】オキソノール染料のメチン鎖は、3、5ま
たは7個のメチンからなることが好ましく、5個のメチ
ンからなることがさらに好ましい。メチン基は置換基を
有していてもよい。置換基を有するメチン基は中央の
(メソ位の)メチン基であることが好ましい。メチン鎖
の置換基の例は、置換アルキル基の置換基の例と同様で
ある。メチン鎖の二つの置換基が結合して、5員環また
は6員環を形成してもよい。以下に、オキソノール染料
と銀イオンとの塩を示す。
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】二種類以上の染料を併用してもよい。赤外
線吸収染料に加えて、可視光を吸収する染料を用いても
よい。可視光を吸収する色補正染料としては、560乃
至620nmの波長領域吸収極大を示す染料が好まし
い。560nm乃至620nmの波長領域に吸収極大を
有する染料のスペクトルは、なるべく緑の蛍光体の必要
な発光領域に影響を与えないよう選択的に光をカットす
るためにシャープにすることが好ましい。具体的には、
半値幅が5乃至100nmであることが好ましく、10
乃至70nmであることがさらに好ましく、10乃至5
0nmであることが最も好ましい。可視光を吸収する染
料は、下記式(I)で定義される。
【0027】
【化5】
【0028】式(I)において、PおよびQは、それぞ
れ独立に、酸性核、塩基性核または芳香核である。式
(I)において、Lは、1乃至5個のメチンまたはアザ
メチンが共役しているメチン鎖である。式(I)におい
て、実線と破線で表された結合は、PとLおよびQとL
とが、それぞれ単結合あるいは二重結合で連結されてい
ることを表す。結合次数がは、P、LおよびQで構成さ
れる染料分子の発色団(クロモフォア)が共役鎖で連結
されるように選択する。P、Q、Lは、それぞれ置換基
を有していてもよい。二つの置換基が互いに結合して4
員乃至7員の環を形成してもよい。L(メチン鎖)の二
つの置換基が結合して形成する環の例には、シクロブテ
ノン(例えば、スクアリリウム染料)が含まれる。Pあ
るいはQの二つの置換基が結合して形成する環の例に
は、キサンテンおよびチオキサンテンが含まれる。
【0029】酸性核は、二つの電子吸引性基によって挟
まれたメチレン基を有する開鎖状核よりも、環状核の方
が好ましい。環状酸性核の環としては、脂肪族環よりも
複素環の方が好ましい。環状酸性核の環には、複素環、
芳香族環または脂肪族環が縮合してもよい。酸性核は、
ケト型とエノール型の互変異性がある。同様に、窒素原
子についてはイミノ型およびアミノ型、硫黄原子につい
てはチオケト型およびチオール型の互変異性もある。エ
ノール型の水酸基に含まれる水素原子あるいはチオール
型のメルカプト基に含まれる水素原子は、プロトンとし
て解離していてもよい。酸性核を構成する環の(縮合環
を含む)例には、2−ピラゾリン−5−オン、ロダニ
ン、ヒダントイン、チオヒダントイン、2,4−オキサ
ゾリジンジオン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、
チオバルビツール酸、インダンジオン、ジオキソピラゾ
ロピリジン、ヒドロキシピリジン、ピラゾリジンジオ
ン、2,5−ジヒドロフラン−2−オン、ピロリン−2
−オン、ピラゾロトリアゾールおよびピロロトリアゾー
ルが含まれる。酸性核の環は、置換基を有していてもよ
い。
【0030】塩基性核は、開鎖状核よりも、環状核の方
が好ましい。環状塩基性核の環は、願窒素複素環である
ことが好ましい。環状塩基性核の環には、他の複素環、
芳香族環または脂肪族環が縮合していてもよい。環状塩
基性核は、オニウム体を形成できる。塩基性核を構成す
る環(縮合環を含む)例には、オキサゾール、イソオキ
サゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、
オキサゾロカルバゾール、オキサゾロジベンゾフラン、
チアゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、イ
ンドレニン、ベンゾインドレニン、イミダゾール、ベン
ゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、キノリン、ピリ
ジン、オキサゾリン、ピロロピリジン、ピロール、フロ
ピロール、インドリジン、イミダゾキノキサリンおよび
キノキサリンが含まれる。塩基性核の環は、置換基を有
していてもよい。
【0031】芳香族核は、芳香族性炭化水素環または芳
香族性複素環を有する。芳香族核の環は、L(メチン
鎖)と共役できる位置に、アミノ、ヒドロキシルまたは
アルコキシ基が置換基として結合していることが好まし
い。芳香族性炭化水素環の例には、ベンゼンおよびナフ
タレンが含まれる。芳香族性複素環の例には、ピロー
ル、インドール、インドレニン、ベンゾインドレニン、
カルバゾール、フロピロール、チオフェン、ベンゾチオ
フェン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、オキ
サゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、
イソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、ナ
フトチアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、イミダ
ゾール、インダゾール、ナフトイミダゾール、ベンズイ
ミダゾール、インドリジン、キノリン、フェノチアジ
ン、フェノキサジン、インドリン、ピリジン、ピリダジ
ン、チアジアジン、ピラン、チオピラン、オキサジアゾ
ール、ベンゾキノリン、チアジアゾール、ピロロチアゾ
ール、ピロロピリダジン、ピロロピリジン、イミダゾキ
ノリン、イミダゾキノキサリン、テトラゾール、クマリ
ンおよびクマロンが含まれる。芳香族核の環は、置換基
を有していてもよい。
【0032】式(I)で定義される染料には、メチン染
料(例、シアニン染料、メロシアニン染料、オキソノー
ル染料、ピロメテン染料、スチリル染料、アリーリデン
染料)、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染
料、キサンテン染料、スクアリリウム染料、クロコニウ
ム染料、アジン染料、アクリジン染料、チアジン染料お
よびオキサジン染料が含まれる。
【0033】可視領域に吸収極大を有する染料は、会合
状態で用いることが好ましい。会合状態の染料は、いわ
ゆるJバンドを形成するため、シャープな吸収スペクト
ルピークを示す。染料の会合とJバンドについては、文
献(例えば、Photographic Science and Engineering V
ol 18,No 323-335(1974))に詳細がある。J会合状態の
染料の吸収極大は、溶液状態の染料の吸収極大よりも長
波側に移動する。従って、フィルター層に含まれる染料
が会合状態であるか、非会合状態であるかは、吸収極大
を測定することで容易に判断できる。
【0034】本明細書では、溶液状態の染料の吸収極大
より30nm以上長波長側に移動している状態を会合状
態と称する。会合状態の染料では、吸収極大の移動が3
0nm以上であることが好ましく、40nm以上である
ことがさらに好ましく、45nm以上であることが最も
好ましい。染料には、水に溶解するだけで会合体を形成
する化合物がある。ただし、一般には、染料の水溶液に
ゼラチンまたは塩(例、塩化バリウム、塩化カリウム、
塩化ナトリウム、塩化カルシウム)を添加して会合体を
形成する。染料の水溶液にゼラチンを添加する方法が特
に好ましい。染料の会合体は、染料の固体微粒子分散物
として形成することもできる。固体微粒子分散物にする
ためには、公知の分散機を用いることが出来る。分散機
の例には、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミ
ル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル及びロー
ラミルが含まれる。分散機については、特開昭52ー9
2716号公報および国際特許88/074794号明
細書に記載がある。縦型又は横型の媒体分散機が好まし
い。
【0035】分散は、適当な媒体(例、水、アルコー
ル)の存在下で実施してもよい。分散用界面活性剤を用
いることが好ましい。分散用界面活性剤としては、アニ
オン界面活性剤(特開昭52−92716号公報および
国際特許88/074794号明細書に記載)が好まし
く用いられる。必要に応じてアニオン性ポリマー、ノニ
オン性界面活性剤あるいはカチオン性界面活性剤を用い
てもよい。染料を適当な溶媒中に溶解した後、その貧溶
媒を添加して、微粒子状の粉末を得てもよい。この場合
も、上記の分散用界面活性剤を用いてもよい。あるいは
pHを調整することによって溶解し、次にpHを変化さ
せて染料の微結晶を析出させてもよい。この微結晶も染
料の会合体である。会合状態の染料が微粒子(または微
結晶)である場合、平均粒径は0.01乃至10μmで
あることが好ましい。可視領域に吸収極大を有する染料
は、金属と錯体を形成させて使用することができる。錯
体を形成することで、染料の堅牢性を高めることができ
る。金属錯体として使用する染料は、ピロメテン染料が
好ましい。可視領域に吸収極大を有する染料について
は、特開平11−92682号、同11−255774
号、同11−256057号、同11−227332号
の各公報に記載がある。
【0036】下記式(II)で表されるシアニン染料の会
合体が、特に好ましい可視領域に吸収極大を有する染料
である。
【0037】
【化6】
【0038】式(II)において、Z1 およびZ2 は、そ
れぞれ独立に、5員または6員の含窒素複素環を形成す
る非金属原子群である。含窒素複素環には、他の複素
環、芳香族環または脂肪族環が縮合してもよい。含窒素
複素環は、6員環よりも5員環の方が好ましい。5員の
含窒素複素環にベンゼン環またはナフタレン環が縮合し
ていることがさらに好ましい。含窒素複素環および縮合
環の例には、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベ
ンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾ
ロカルバゾール環、オキサゾロジベンゾフラン環、チア
ゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、
インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール
環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キ
ノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロー
ル環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環および
キノキサリン環が含まれる。オキサゾロジベンゾフラン
環が特に好ましい。含窒素複素環および縮合環は、置換
基を有していてもよい。置換基の例は、オキソノール染
料の酸性核の置換基の例と同様である。
【0039】式(II)において、R7 およびR8 は、そ
れぞれ独立に、脂肪族基または芳香族基である。脂肪族
基および芳香族基は、オキソノール染料について説明し
た脂肪族基および芳香族基と同様である。式(II)にお
いて、L2 は、奇数個の炭素原子からなるメチン鎖であ
る。メチン鎖は、3個のメチンからなることが好まし
い。メチン鎖は、置換基を有していてもよい。置換基
は、中央の(メソ位の)メチンに結合することが好まし
い。メチン鎖の置換基の例は、オキソノール染料の酸性
核の置換基の例と同様である。式(II)において、b、
cおよびdは、それぞれ独立に、0または1である。b
およびcは、それぞれ、0であることが好ましい。d
は、シアニン染料がスルホやカルボキシルのようなアニ
オン性置換基を有して分子内塩を形成する場合に0にな
る。式(II)において、X2 は、アニオンである。アニ
オンの例には、ハライドイオン(Clー 、Brー 、I
)、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオ
ン、PF6ー,BF4ーおよびClO4ーが含まれる。式(I
I)で表されるシアニン染料は、カルボキシルまたはス
ルホを置換基として有することが好ましい。
【0040】以下に、式(II)で表されるシアニン染料
の例を示す。
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】光学フィルターは、500乃至550nm
の波長領域にも吸収極大を有することが好ましい。50
0乃至550nmの波長領域における吸収極大の透過率
は、20乃至85%であることが好ましい。500乃至
550nmの波長領域における吸収極大は、視感度が高
い緑の蛍光体の発光強度を調整するために設定される。
緑の蛍光体の発光域は、なだらかにカットすることが好
ましい。500乃至550nmの波長領域における吸収
極大での半値幅(吸収極大での吸光度の半分の吸光度を
示す波長領域の幅)は、30乃至300nmであること
が好ましく、40乃至300nmであることがより好ま
しく、50乃至150nmであることがさらに好まし
く、60乃至150nmであることが最も好ましい。5
00乃至550nmの波長領域に吸収極大を有する色素
としては、スクアリリウム染料、アゾメチン染料、シア
ニン染料、オキソノール染料、アントラキノン染料、ア
ゾ染料、ベンジリデン染料およびそれらの金属キレート
化合物が好ましく用いられる。以下に、500乃至55
0nmの波長領域に吸収極大を有する染料の例を挙げ
る。
【0046】
【化11】
【0047】
【化12】
【0048】光学フィルターは、色調調整用として、3
50乃至450nmまたは470乃至530nmの波長
領域にも吸収極大を有することが好ましい。350乃至
450nmまたは470乃至530nmの波長領域に吸
収極大を有する染料としては、スクアリリウム染料、ア
ゾメチン染料、シアニン染料、メロシアニン染料、オキ
ソノール染料、アントラキノン染料、アゾ染料またはベ
ンジリデン染料およびそれらの金属キレート化合物が好
ましい。以下に、350乃至450nmまたは470乃
至530nmの波長領域に吸収極大を有する染料の例を
挙げる。
【0049】
【化13】
【0050】
【化14】
【0051】
【化15】
【0052】フィルター層に使用する染料、特にシアニ
ン染料は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテ
ロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アン
ド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compou
nds Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン
・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ー
ニューヨーク、ロンドン、1964年刊、およびデー・
エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリッ
ク・コンパウンズースペシャル・トッピクス・イン・ヘ
テロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compou
nds-Special topics in heterocyclic chmistry)」、第
18章、第14節、482〜515頁、ジョン・ウィリ
ー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨ
ーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリ
ー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd’s Chemistry
of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977年
刊、第15章、369〜422頁、エルセビア・サイエ
ンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Sci
ence Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、
特開平6−313939号および同5−88293号の
各公報の記載を参考にして容易に合成できる。
【0053】フィルター層に、褪色防止剤、酸化防止剤
や紫外線防止剤を添加してもよい。褪色防止剤には、ハ
イドロキノン誘導体(米国特許3935016号、同9
82944号の各明細書記載)、ハイドロキノンジエー
テル(米国特許4254216号明細書、特開昭55−
21004号公報記載)、フェノール誘導体(特開昭5
4−145530号公報記載)、スピロインダン、メチ
レンジオキシベンゼン(英国特許2077455号、同
2062888号の各明細書記載)、スピロクロマン、
クマラン誘導体(米国特許3432300号、同357
3050号、同3574627号、同3764337号
の各明細書、特開昭52−152225号、同53−2
0327号、同53−17729号、同61−9015
6号の各公報記載)、ハイドロキノンモノエーテル、p
−アミノフェノール誘導体(英国特許1347556
号、同2066975号の各明細書、特公昭54−12
337号、特開昭55−6321号の各公報記載)およ
びビスフェノール誘導体(米国特許3700455号明
細書、特公昭48−31625号公報記載)が含まれ
る。また、金属錯体や一重項酸素クウェンチャー(米国
特許4245018号明細書、特開昭60−97353
号公報記載)を褪色防止剤として用いてもよい。金属錯
体および一重項酸素クウェンチャーには、ニトロソ化合
物(特開平2−300288号公報記載)、ジインモニ
ウム化合物(米国特許465612号明細書記載)、ニ
ッケル錯体(特開平4−146189号公報記載)が含
まれる。酸化防止剤については、EP820057A1
号明細書に記載がある。記載のが含まれる。
【0054】フィルター層の厚さは、0.1μm乃至1
cmであることが好ましく、0.5μm乃至100μm
であることがさらに好ましい。
【0055】フィルター層は、さらにポリマーバインダ
ーを含む。ポリマーバイダーとしては、天然ポリマー
(例、ゼラチン、セルロース誘導体、アルギン酸)また
は合成ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポビニルア
ルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポ
リマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、水溶性ポリ
アミド)を用いることができる。親水性ポリマー(上記
天然ポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロ
リドン、ポビニルアルコール、水溶性ポリアミド)が特
に好ましい。
【0056】[透明支持体]透明支持体は、ポリマーフイ
ルムからなることが好ましい。ポリマーフイルムを構成
するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セル
ロースジアセテート、セルローストリアセテート、セル
ロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロ
ースアセテートプロピオネート、セルロースニトレー
ト)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル
(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4
−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチ
レン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカル
ボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリア
リレート(例 ビスフェノールAとフタル酸の縮合
物)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチ
レン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリメチルペンテン)、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸エステル(例、ポリメチルメタク
リレート)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リエーテルケトン、ポリエーテルイミドおよびポリオキ
シエチレンが含まれる。セルローストリアセテート、ポ
リカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチ
レンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが
好ましい。透明支持体の厚みは、5μm乃至5cmであ
ることが好ましく、25μm乃至1cmであることがさ
らに好ましく、80μm乃至1.2mmであることが最
も好ましい。透明支持体の光透過率は80%以上である
ことが好ましく、86%以上であることがさらに好まし
い。透明支持体のヘイズは、2%以下であることが好ま
しく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率
は、1.45〜1.70であることが好ましい。
【0057】透明支持体に、紫外線吸収剤を添加しても
よい。紫外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01
乃至20質量%であることが好ましく、0.05乃至1
0質量%であることがさらに好ましい。透明支持体に、
滑り剤として不活性無機化合物の粒子を添加してもよ
い。無機化合物の例には、SiO2 、TiO2 、BaS
4 、CaCO3 、タルクおよびカオリンが含まれる。
透明支持体に表面処理を施すことが好ましい。表面処理
の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火
炎処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処
理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理および
オゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照
射処理、コロナ放電処理および火炎処理が好ましく、コ
ロナ放電処理がさらに好ましい。
【0058】[下塗り層]透明支持体とフィルター層の間
に下塗り層を設けることができる。下塗り層は、柔らか
いポリマーで形成することが好ましい。「柔らかい」と
は、具体的には、室温での弾性率が1000乃至1Mp
aであることが好ましく、800乃至5Mpaであるこ
とがさらに好ましく、500乃至10Mpaであること
が最も好ましい。下塗り層の厚さは、2nm乃至20μ
mであることが好ましく、5nm乃至5μmであること
がさらに好ましく、50nm乃至1μmであることが最
も好ましい。下塗り層には、ガラス転移温度が−60乃
至60℃であるポリマーを用いることが好ましい。ガラ
ス転移温度が−60乃至60℃であるポリマーの例に
は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリブタジエン、ポリネオプレン、ポリスチレ
ン、ポリクロロプレン、ポリアクリル酸エステル、ポリ
メタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリメ
チルビニルエーテルおよびこれらの共重合体が含まれ
る。下塗り層を二層以上設けてもよい。
【0059】[反射防止層]反射率として、3.0%以下
の正反射率が得られるように反射防止層を設けることが
好ましい。正反射率は、1.8%以下であることがさら
に好ましい。反射防止層としては、一般に、低屈折率層
を設ける。低屈折率層の屈折率は、その下に設けられる
層の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.2
0乃至〜1.55であることが好ましく、1.20乃至
1.50であることがさらに好ましい。低屈折率層の厚
さは、50乃至400nmであることが好ましく、50
乃至200nmであることがさらに好ましい。低屈折率
層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開
昭57−34526号、特開平3−130103号、同
6−115023号、同8−313702号、同7−1
68004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られ
る層(特開平5−208811号、同6−299091
号、同7−168003号の各公報記載)あるいは微粒
子を含む層(特公昭60−59250号、特開平5−1
3021号、同6−56478号、同7−92306
号、同9−288201号の各公報に記載)として形成
できる。微粒子を含む層では、微粒子間または微粒子内
のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成するこ
とができる。微粒子を含む層は、3乃至50体積%の空
隙率を有することが好ましく、5乃至35体積%の空隙
率を有することがさらに好ましい。
【0060】広い波長領域の反射を防止するためには、
低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率
層)を設けることが好ましい。高屈折率層の屈折率は、
1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70
乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層
の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率
との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折
率は、1.50乃至1.90であることが好ましい。中
・高屈折率層の厚さは、5nm乃至100μmであるこ
とが好ましく、10nm乃至10μmであることがさら
に好ましく、30nm乃至1μmであることが最も好ま
しい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であること
が好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1
%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、
比較的高い屈折率を有するポリマーを用いて形成するこ
とができる。屈折率が高いポリマーの例には、ポリスチ
レン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン
樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環
式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応
で得られるポリウレタンが含まれる。その他の環状(芳
香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ
素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマー
も、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を
可能にしたモノマーの重合反応によりポリマーを形成し
てもよい。
【0061】さらに高い屈折率を得るため、ポリマーバ
インダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子
の屈折率は、1.80乃至2.80であることが好まし
い。無機微粒子は、金属の酸化物または硫化物から形成
することが好ましい。金属の酸化物または硫化物の例に
は、二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの
混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化
インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜
鉛が含まれる。酸化チタン、酸化錫および酸化インジウ
ムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化
物または硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むこ
とができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最
も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の
例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、
Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、S
i、PおよびSが含まれる。被膜形成性で溶剤に分散し
得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種
元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合
した配位化合物(例、キレート化合物)、活性無機ポリ
マーを用いて、中・高屈折率層を形成することもでき
る。
【0062】[電磁波遮蔽層]電磁波遮蔽効果を有する層
の表面抵抗は0.01〜500Ω/□、より好ましくは
0.01〜10Ω/□である。電磁波遮蔽効果を付与す
るには、前面板の透過率を低下させないため透明導電層
を用いることが好ましい。透明導電層は、金属層、金属
酸化物層あるいは導電性ポリマー層として形成できる。
透明導電層を形成する金属の例には、銀、パラジウム、
金、白金、ロジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、錫、タングステン、イ
リジウム、鉛およびこれらの合金が含まれる。銀、パラ
ジウム、金、白金、ロジウムおよびこれらの合金が好ま
しく、銀とパラジウムとの合金が最も好ましい。合金中
の銀の含有率は60乃至99質量%が好ましく、80乃
至98質量%がさらに好ましい。金属層の厚さは、1乃
至100nmが好ましく、5乃至40nmがさらに好ま
しく、10乃至30nmが最も好ましい。厚さが1nm
未満では電磁波遮蔽効果が乏しく、100nmを超える
と可視光線の透過率が低下する。
【0063】透明導電層を形成する金属酸化物の例に
は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化
亜鉛、ITOおよびATOが含まれる。金属酸化物層の
厚さは、20乃至1000nmが好ましく、40乃至1
00nmがさらに好ましい。金属透明導電層と金属酸化
物透明導電層とを積層して用いてもよい。また、同一層
内に金属と導電性金属酸化物とを併用してもよい。金属
層の保護、酸化劣化の防止あるいは可視光線の透過率を
高めるために、透明酸化物層を積層することもができ
る。この場合の透明酸化物層は、導電性がなくてもよ
い。酸化物の例には、2〜4価金属の酸化物、酸化ジル
コニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ケイ
素、酸化アルミニウムおよび金属アルコキサイド化合物
が含まれる。透明導電層および透明酸化物層は、スパッ
タリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プ
ラズマCVD法、PVD法、超微粒子の塗布法あるいは
金属シートの接着により形成できる。
【0064】[その他の層]光学フィルターの表面にアン
チグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景
色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することが
できる。例えば、透明フイルムの表面に微細な凹凸を形
成し、そしてその表面に反射防止層を形成するか、ある
いは反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に
凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を得るこ
とができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、
一般に3乃至30%のヘイズを有する。
【0065】光学フィルターには、ハードコート層、潤
滑層、防汚層、帯電防止層あるいは中間層を設けること
も好ましい。ハードコート層は、架橋しているポリマー
を含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル
系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系のポリマ
ー、オリゴマーまたはモノマー(例、紫外線硬化型樹
脂)を用いて形成することができる。シリカ系のフィラ
ーをハードコート層に添加することもできる。反射防止
膜の最表面には潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、反
射防止膜表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能
を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例、シ
リコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂
肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤またはその誘導体を用いて
形成することができる。潤滑層の厚さは、2乃至20n
mであることが好ましい。反射防止膜の最表面に防汚層
を設けることもできる。防汚層は反射防止層の表面エネ
ルギーを下げ、親水性、親油性の汚れを付きにくくする
ものである。そのほか防汚層は含フッ素ポリマーを用い
て形成することができる。防汚層の厚さは2乃至100
nmであることが好ましく、5乃至30nmであること
がさらに好ましい。
【0066】光学フィルターに設ける種々の層、すなわ
ち反射防止層(低屈折率層)、フィルター層、赤外線や
電磁波の遮蔽層、下塗り層、ハードコート層、潤滑層、
防汚層、その他の層は、一般的な塗布方法により形成す
ることができる。塗布方法の例には、ディップコート
法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラ
ーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法
およびホッパーを使用するエクストルージョンコート法
(米国特許2681294号明細書記載)が含まれる。
二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布
法については、米国特許2761791号、同2941
898号、同3508947号、同3526528号の
各明細書および原崎勇次著「コーティング工学」253
頁(1973年朝倉書店発行)に記載がある。塗布以外
にも、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーテ
ィング法、プラズマCVD法あるいはPVD法により層
を形成することもできる。
【0067】[光学フィルターの用途]光学フィルター
は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパ
ネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレ
イ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像
表示装置に用いられる。光学フィルターは、プラズマデ
ィスプレイパネル(PDP)および陰極管表示装置(C
RT)、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に
使用すると、顕著な効果が得られる。
【0068】
【実施例】[実施例1] (光学フィルターの作製)厚さ175μmの透明な2軸
延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムの両面をコロ
ナ処理した。両面に屈折率1.55、ガラス転移温度3
7℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテッ
クス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)を塗布
し、下塗り層を形成した。乾燥後の厚さとして、片面に
は厚さ300nm、もう一方の面には厚さ150nmと
なるように塗布量を調節した。
【0069】ゼラチンの10質量%水溶液180gに、
pHが7となるように1規定の水酸化ナトリウム溶液を
添加した。次に、染料(I−1)を50mg/m2 の塗
布量および硝酸銀を30mg/m2 の塗布量となるよう
に添加し、30℃で24時間攪拌した。得られたフィル
ター層用塗布液を、厚さ300nmの下塗り層側に、乾
燥膜厚が3.5μmとなるように塗布し、120℃で1
0分間乾燥して光学フィルターを作成した。
【0070】(吸光度の測定)作成した光学フィルターに
ついて、分光透過率を調べたところ、841nmに吸収
極大を有し、透過率は5%であった。なお、染料(I−
1)の水中でのλmaxは、602nmであった。
【0071】[実施例2]染料(II−8)を20mg/
2 の塗布量となる量で、そして、染料(V−1)を1
20mg/m2 の塗布量となる量で、それぞれ、フィル
ター層に添加した以外は、実施例1と同様に光学フィル
ターを作製した。作製した光学フィルターについて、分
光透過率を調べたところ、400nm、595nmおよ
び841nmに吸収極大を有していた。400nmの吸
収極大での透過率は35%、595nmの吸収極大での
透過率は30%、841nmの吸収極大での透過率は5
%であった。
【0072】[比較例1]染料(I−1)を添加しなか
った以外は、実施例1と同様に光学フィルターを作成し
た.
【0073】(光学フィルターの評価)市販のプラズマデ
ィスプレイパネル(PDS4202J−H、富士通(株)
製)の前面版の最表面フイルムを剥がし、その代わりに
作製した光学フィルターを接着剤で貼りつけた。プラズ
マディスプレイパネルに対向して設置したテレビジョン
のリモコンの誤動作があるかどうかを評価したところ、
比較例1の光学フィルターでは、しばしば誤動作を起こ
した。一方、実施例1または2の光学フィルターを用い
ると誤動作は無くなった。また、染料(I−1)の堅牢
性が優れていることを確認した。なお実施例2の光学フ
ィルターを用いると、コントラストがよく、白色光およ
び赤色光が改善され、ディスプレイがグレー色になり好
ましい色調を示した。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体上に、染料およびポリマーバ
    インダーを含むフィルター層を有する光学フィルターで
    あって、染料が、アニオン性染料と銀イオンとの塩であ
    ることを特徴とする光学フィルター。
  2. 【請求項2】 アニオン性染料が、アニオン性基を有す
    るメチン染料である請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 【請求項3】 メチン染料が、下記式で定義されるオキ
    ソノール染料であって、エノール型酸性核の水酸基から
    プロトンが解離し、その部分がアニオン性基として機能
    している請求項2に記載の光学フィルター: Ak=Lo−Ae [式中、Akは、ケト型酸性核であり;Loは、奇数個
    のメチンからなるメチン鎖であり;そして、Aeは、エ
    ノール型酸性核である]。
  4. 【請求項4】 750nm乃至1100nmの範囲に吸
    収極大を有する請求項1に記載の光学フィルター。
  5. 【請求項5】 750乃至1100nmの範囲の吸収極
    大における光透過率が0.01乃至30%の範囲である
    請求項4に記載の光学フィルター。
  6. 【請求項6】 さらに、下記式で定義されるシアニン染
    料を含む請求項1に記載の光学フィルター: Bo−Lo=Bs [式中、Boは、塩基性核のオニウム体であり;Lo
    は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;そして、
    Bsは、塩基性核である]。
  7. 【請求項7】 シアニン染料のメチン鎖が、3個のメチ
    ンからなる請求項6に記載の光学フィルター。
  8. 【請求項8】 シアニン染料が、会合状態である請求項
    6に記載の光学フィルター。
  9. 【請求項9】 560nm乃至620nmの範囲に吸収
    極大を有する請求項6に記載の光学フィルター。
  10. 【請求項10】 560nm乃至620nmの範囲の吸
    収極大における光透過率が0.01乃至80%の範囲で
    ある請求項9に記載の光学フィルター。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれか一項に記
    載の光学フィルターで覆われたディスプレイ表面を有す
    るプラズマディスプレイパネル。
  12. 【請求項12】 プラズマディスプレイに前面板が設け
    られておらず、光学フィルターがディスプレイ表面に直
    接貼り付けられている請求項11に記載のプラズマディ
    スプレイパネル。
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