JP6461596B2 - 精密蒸溜精製装置及び方法 - Google Patents

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本発明は、蒸溜精製に関し、特に高純度の分離精製、特定不純物の分離、異性体の分離など精密蒸溜精製に好適な精密蒸溜精製装置及びこれを使用する精密蒸溜精製方法に関する。
常圧または減圧下で分解することなく蒸発(気化)できる混合物は、共沸混合物を形成せず、沸点差がある限り、適当な温度と圧力のもとで、蒸溜により、原理的にはほぼ完全に単離精製することが知られている。
しかし、蒸溜対象物質が液体ではなく高融点の固体である場合、蒸留塔ばかりではなく、プロセスライン、真空ライン及び受器等においても固化しない様に加熱を維持しなければならないが、通常用いられる熱源である蒸気又は温水を用いるボイラー加熱では、融点が高々100℃程度までの固体物質しか対応ができず、それより高温とする場合は高圧ガス法規制にも対処する必要がある。特に、プロセスラインの配管等における閉塞が問題となり、それを防止するために強力な断熱材や保温措置が必要となり、装置メンテナンスの増大ともなっている。また、従来の蒸溜塔のリボイラー等の釜部の加熱方法では高融点の原料である場合、短時間で加熱して蒸発させることが困難である。
化学プラントで汎用されている蒸気を蒸溜の熱源に用いた場合は、熱効率低下の主因となるドレン排出のためのスチームトラップを設置する必要があること、乾き度の高い状態で蒸気を使用しなければ加熱効率が落ちること、配管抵抗などの圧力損失で圧力が低下した場合に蒸気の温度が下がってしまうこと、ドレンの排出が適切に行われなかった場合に起こるウォーターハンマー(水撃作用)による装置破損の危険などがある。
例えば、特許文献1は、蒸溜物質の重合による閉塞を防止するために、蒸溜塔の外壁に外套管を備えてこの外套管に熱風を送ることを開示している。また、特許文献2は、蒸溜塔の空塔部分から蒸気送出しラインにかけてそれらの外周を囲むジャケットを設け、このジャケット内に減圧水蒸気を通すことにより、筒内を通過する蒸溜物質(気相)の温度よりも高い温度に保温することを開示している。しかし、これら特許文献1、2では一定保温については開示するものの、蒸溜塔を含むプロセスライン全般に亘る厳密な温度制御については教えるものではない。
一方、蒸溜操作中の熱重合によって有効成分の回収率低下を防止するために、蒸溜塔に冷却装置を備えることも、例えば特許文献3に開示されている。
ボイラー以外の加熱手段として、実験室レベルの蒸溜装置においてはニクロム線などの抵抗加熱手段を利用しているものも散見されるが、火災等の問題があり、広く利用できない。特許文献4では、約300℃程度まで加熱できる熱媒を用いて加熱する方法が開示されている。しかし、熱媒として使用されるシリコンオイルが高価であること、熱媒を加熱するために使用される燃料である重油や灯油の価格高騰などの問題がある。
さらに、加熱手段として電磁誘導加熱を利用しようとする試みも行われている。例えば、特許文献5は、蒸溜塔のボイラーやリボイラーに代えて電磁誘導加熱を熱源として利用することを開示している。しかし、特許文献5は、プロセスライン全体に亘る加熱効率の点については教示していない。特許文献6は、高融点材料(アモルファス性固体材料)を精製するために蒸発部と捕集部とを電磁誘導加熱することを開示している。しかし、これは、主に固体材料を精製するための特殊な横型の装置であり、還流が行われる一般的な蒸溜塔とは全く異なる。特許文献7には、研究開発段階で使用される回転型熱処理装置(回転レトルト炉)において電磁誘導加熱により発生させた過熱水蒸気を利用することを開示している。しかし、特許文献7も、一般的な蒸溜装置への適用を教示するものではない。
特公昭48-32513号公報 特許第4095471号公報 特公昭62-49916号公報 特開2008-231053号公報 特開平7-39745号公報 特許第5248721号公報 特許第5401152号公報
したがって、本発明の目的は、精密蒸溜精製すべき蒸溜対象物質を、蒸溜の全工程において適切かつ短時間に加熱すると共に、その加熱温度を精度よく制御でき、それによって高純度の蒸溜製品を歩留り良く精製でき、かつエネルギー効率にも優れた精密蒸留精製装置及び方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、精密蒸溜精製すべき原料や製品に応じて、蒸溜塔だけでなく、プロセスラインなど蒸溜装置全体について、電磁誘導加熱により各々独立かつ精密に温度制御することにより、目的を達成することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の精密蒸溜精製装置は、蒸溜精製すべき原料が装入され釜部、気液接触部及びコンデンサー部を有する蒸溜塔、該蒸溜塔からプロセスラインを通じて蒸溜精製後の留分としての各製品が流入する複数の受器、及び該蒸溜塔のコンデンサー部について真空ラインを通じて減圧又は真空状態にするための真空ポンプを主たる構成要素とする精密蒸溜精製装置において、蒸溜精製装置を構成する蒸溜塔、プロセスライン、受器、及び真空ラインに、各々独立して温度制御する電磁誘導加熱手段を備え、蒸溜精製の全工程において原料や製品の種類に応じて各ゾーンを最適温度条件に制御して蒸溜精製することを可能にしたことを特徴とする。
また、本発明の精密蒸溜精製方法は、上記精密蒸溜精製装置の蒸溜塔に蒸溜精製すべき原料を装入し、蒸溜塔の釜部を電磁誘導加熱手段により所定温度に加熱して蒸発させ、電磁誘導加熱手段により温度制御された気液接触部において気液接触、精留させ、コンデンサー部において凝縮させること、凝縮した留分を、プロセスラインを経由して蒸溜塔から取り出して受器で受け取ること、蒸留塔及びプロセスラインを真空ラインに連接された真空ポンプにより減圧状態にすること、プロセスライン、真空ライン及び受器について、各々少なくとも1箇所に備えられた電磁誘導加熱手段により、各々独立して温度制御すること、及び受器が沸点範囲の異なる留分を受け取るように弁が制御されることを特徴とする。
本発明によれば、蒸溜精製装置を構成する蒸溜釜、プロセスライン、真空ライン及び受器に、各々、電磁誘導加熱手段により独立して温度制御する精密加熱手段を備え、蒸溜精製の全工程において原料や製品の種類に応じて各ゾーン(箇所)を最適温度条件に制御して蒸溜精製することを可能にしたので、蒸溜対象物質を、蒸溜の全工程において各箇所で適切かつ短時間に加熱でき、加熱温度を厳密に制御できる。そのため、高純度の留分(蒸溜製品)を歩留り良く精製でき、しかもエネルギー効率も従来のボイラー法などに比べて格段に改善でき、省エネへの貢献も顕著である。
高純度の分離精製、特定不純物の分離、異性体の分離など、精密蒸溜精製が要求される分野に広く適用できる。特に、大学や研究機関における実験スケールの精密蒸溜精製において有効である。
本発明の精密蒸溜精製装置の一例を表す全体構造図 従来の蒸溜精製装置の一例を表す全体構造図
本発明の精密蒸溜精製装置は、蒸溜塔、プロセスライン、受器、真空ライン及び真空ポンプを主たる構成要素とし、蒸溜塔、プロセスライン、真空ライン及び受器には、各々独立して温度制御可能な電磁誘導加熱手段を備えている。そして、蒸溜塔は、原料装入部、釜部、気液接触部及びコンデンサー部を有し、釜部、及び気液接触部にも、各々独立して温度制御可能な電磁誘導加熱手段を備えている。蒸溜塔は、連続蒸留塔であっても、バッチ式蒸留塔であってもよい。釜部はリボイラー形式であっても、塔底を外部から加熱する形式であってもよい。蒸溜塔は、金属製であっても、ガラス製又はガラスや樹脂等でライニングされた材料であってもよいが、電磁誘導加熱する部分は金属製であることが望ましい。
かかる電磁誘導加熱手段は、発熱材料の周りに配置された誘導コイルに高周波電流を流すことにより発熱を生じさせる。高周波電流の周波数としては50〜500Hzが一般的であるが、商用周波数で差し支えない。発熱温度としては、室温から最高700℃程度まで適用でき、0.1℃の精度で制御できるものが好ましい。誘電コイルは、各取付部位において、着脱自在にするとよい。
こうした電磁誘導加熱手段によって、蒸溜精製の全工程において最適温度条件に制御して蒸溜精製するために、蒸留塔、プロセスライン、真空ライン及び受器は、各々、電磁誘導加熱手段によって発熱できる材料で構成された発熱部を有している。
その発熱部としての電磁誘導加熱手段は、蒸留塔、プロセスライン、真空ライン及び受器の温度制御又は加熱を要するゾーン(箇所)に必要であり、主たる構成要素の全体が電磁誘導加熱手段によって発熱できる材料で構成されていることが好ましいが、蒸溜精製の全行程において原料や製品の種類に応じて各箇所を最適温度条件に制御して蒸溜精製することができる限り、各構成要素で温度制御を要する箇所を部分的に発熱材料で構成してもよい。蒸溜塔の場合、釜部、気液接触部及びコンデンサー部を有するが、釜部、気液接触部及びコンデンサー部を包含する全体を発熱材料で構成してもよいし、釜部及び気液接触部だけを発熱材料で構成してもよい。気液接触部において下方から上方へ複数のゾーンに分けて発熱部を配置し、気液接触部の各ゾーンにおいて独立に温度制御してもよい。気液接触部は、塔本体を発熱材料にすることもできるが、充填材(規則的配置又は不規則配置)を存在させる場合には、その充填材を発熱材料にしてもよい。コンデンサー部は、通常は還流蒸溜において凝縮機能を果たすため加熱する必要は無いが、蒸溜工程の全体の精密な温度制御の観点から、コンデンサー部が発熱部を兼備していても差し支えない。蒸留塔の釜部及び気液接触部には、各々少なくとも1つの電磁誘導加熱手段を有するが、加熱の全部を電磁誘導加熱とする必要はなく、部分的にスチーム加熱等で加熱されてもよい。しかし、釜部の熱源の全部を電磁誘導加熱とすることが好ましい。
プロセスラインは留分が流れるラインであり、留分が高融点である場合は、加熱が必要である。プロセスラインの場合も、還流ラインや受器ラインにおいて複数のゾーンに分けて発熱部を配置してもよい。留分(蒸溜製品)が流入する各受器についても、留分に応じて受器毎に独立して温度制御できる発熱部を有することがよいが、全部の受器がそれを有する必要はなく、少なくとも1つが有すればよい。例えば、受器の一部はスチーム加熱等で加熱されてもよい。プロセスラインにおける配管についても同様であり、一部はスチーム加熱等で加熱されてもよい。
蒸溜塔は、真空ポンプから真空ラインを通じて減圧又は真空状態にされるが、この真空ラインについても、留分が高融点である場合、閉塞する恐れがあることから、加熱可能とすることがよく、少なくとも一部は電磁誘導加熱とする。
このように、蒸溜精製の全工程において、各ゾーン(箇所)を電磁誘導加熱手段により精密(0.1℃刻み)に温度制御できることから、原料や製品の種類に応じて最適温度条件に制御して蒸溜精製することが可能となる。
蒸溜精製すべき原料は、蒸溜塔に装入されて気液接触による還流蒸溜後、プロセスラインを経由して留分ごとに各受器に流入するが、蒸溜塔、プロセスライン及び受器の温度は、各箇所に備えられた電磁誘導加熱手段により、蒸溜工程の下流側に向かって順次温度が低下するように精密に温度制御される。高融点又は凝固点のある対象物質を蒸溜する場合は、プロセスライン等を電磁誘導加熱手段によって凝固点以上の所定の温度に加熱をすることにより、固化させることなく留分(蒸溜製品)を得ることができる。
このように本発明の蒸溜精製装置の主たる構成要素である蒸溜塔やプロセスライン等の発熱部の電磁誘導加熱手段に使用される材料は、蒸溜塔自体の材料やプロセスラインの配管自体の材料が電磁誘導加熱手段により発熱するものであることが好ましい。この場合、蒸溜精製すべき原料や留分に対して不活性な材料とすることがよい。また、蒸溜物と接触する内側だけを不活性な材料としてもよい。こうした発熱材料によって構成される発熱部は、形状などには制限はなく、各種の蒸溜塔や受器、例えば、筒状やフラスコ状の蒸溜釜、筒状や直方体状の受器に適用できる。蒸溜対象物質に対して不活性な材料とは、蒸溜精製条件で蒸溜対象物質と反応しないことを意味する他、蒸溜対象物質が蒸溜精製の際分解して生じる化合物と反応しないこと、蒸溜対象物質などの分解反応やこれらとほかの成分との反応の触媒作用を有しないこと、精製された蒸溜対象物質を汚染しないこと、使用中または休止中に触れる酸素ガス等の雰囲気ガスに反応しないことなどを含む。例えば、金属が酸化されて錆ができ、これが物理的に剥がされて精製された蒸溜対象物質を汚染するような場合も、蒸溜対象物質に対して不活性な材料とは言えないが、精製された蒸溜対象物質を実用上問題にならない程度かすかに汚染される程度は許容される。
こうした電磁誘導加熱手段により発熱できる材料としては、電磁性を有する金属やセラミックなどがあげられる。金属磁性材料としては鉄が一般的であるが、長期安定性からステンレスなどが好ましい。被蒸溜物に対して不活性な材料としては、金属、ガラス、セラミック、高耐熱樹脂などが挙げられる。蒸溜対象物質の中には、蒸溜精製装置を構成する材料と反応したり、金属の触媒作用によって変性したり、金属由来の不純物によるコンタミが起こる場合がある。このため、不活性材料を用いた内面のコーティングでコンタミを防止したり、あるいは磁性セラミックス等の不活性材料を発熱体とすることが好適である。
本発明の精密蒸溜精製装置及び精密蒸溜精製方法は、各種の精密蒸溜精製に適用できる。高純度の分離・精製、例えば沸点差1℃前後の化合物を99.9%に分離精製したり、特定不純物の分離、例えば不純物をppm、ppbのオーダーで分離したり、異性体の分離、例えばオルトとパラ、イソとノルマル、シスとトランスに分離したりすることに適用できる。加えて、液体の蒸溜対象物質ばかりでなく、高融点の個体の蒸溜対象物質にも適用可能であり、歩留り良くかつエネルギー効率にも優れている。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図1が、本発明の精密蒸溜精製装置の一例を表す全体構造図であり、対比のため、図2に、従来の蒸溜精製装置の一例を表す全体構造図を示す。図1及び図2において、同じ符号は、同じ構成要素を示す。従来装置では、ボイラー(図示せず)からの蒸気で加熱するために、プロセスライン2が二重配管構造となっている。
図1に示す精密蒸溜精製装置は、蒸溜塔1、プロセスライン2、真空ライン3、受器4及び真空ポンプ5を主たる構成要素としている。蒸溜塔1は、底部に位置する釜部11、中央部に位置して充填物が存在する気液接触部12、頂部のコンデンサー部13を有する。蒸留原料は原料装入部14から装入されるが、バッチ式の蒸留塔の場合は、原料装入部14は、釜部となる塔下部にある釜残排出口15と共用されてもよい。コンデンサー部13の下部には留分の取出口16があり、プロセスライン2を経由して各受器41、42又は43に連結されている。各受器の手前には弁が設けられており、所定の温度範囲の留分が流入するように制御される。例えば、初留又はそれに近い留分は受器41に、それより沸点範囲が高い中間留分は受器42に、更に沸点範囲が高い高沸点留分は受器43に流入させる。各受器41、42、43の下部には取出口が設けられており、弁を開放することにより取出しがなされる。
なお、蒸溜塔1を含む蒸溜精製装置の全体を減圧に保持するように、運転中は受器の前後にある弁の一方は閉めておくことがよい。
プロセスライン2及び受器41、42、43は、真空ライン3と接続して、真空ポンプ5とつながる。蒸溜塔1のコンデンサー部13も同様に、真空ライン3を通じて真空ポンプ5に連結されている。これらの真空ライン3は、真空ポンプ5の手前に、ヘッダー31、トラップ32を備えている。トラップ32では、ガスを洗浄液体に通すことにより、常温固体の成分を除去するなどする。
蒸溜塔1の釜部11、及び気液接触部12は、各々加熱手段を有し、釜部11、及び気液接触部12その少なくとも一部は電磁誘導加熱手段6である。供給する熱量をスチーム等で供給し、電磁誘導加熱手段6では温度を微調整するために使用することでもよく、全熱量を電磁誘導加熱手段6で供給してもよい。
プロセスライン2、真空ライン3及び受器41、42、43は、高融点原料等を蒸留する場合、保温又は加熱する必要があるが、この熱の少なくとも一部は、電磁誘導加熱手段6で供給する。そして、プロセスライン2の少なくとも一部を電磁誘導加熱手段6で加熱すればよく、例えばプロセスライン2の熱を電磁誘導加熱手段6で供給し、他はスチーム等で供給してもよい。真空ライン3についても同様であり、受器41、42、43についても同様である。こうした各所に備えられる電磁誘導加熱手段6(61、62、63、64 )は、着脱自在にするとよい。
電磁誘導加熱する部分の材料は、鉄などの発熱材料とすることがよく、その外周には誘導コイルが配置する。そして、温度を精密制御するため熱電対及び電圧等を調整するための電源制御装置を備えている。電源制御装置は、交流電源に接続され、これを高周波電力に変換し、誘導コイルへ出力すると共に、熱電対からの信号により供給電力の制御が可能とされている。発熱材料を電磁誘導加熱させるために用いられる誘導コイル及び温度調節器には、従来から公知の電磁誘導装置に用いられるものでよい。誘導コイルは、蒸溜塔1、プロセスライン2、真空ライン3及び受器4を所定温度に加熱するため、その外周を所定の長さで囲むように設置する。このように、電磁誘導加熱により蒸留精製装置の加熱が必要な部分を迅速、精密に加熱することができ、例えば室温から400℃に上げるのに数分から60分程度と昇温速度が大きく、また温度制御の精度も高くすることができる。
上記図1の精密蒸溜精製装置を用いて、不純物を含有する蒸溜対象物質を精製する方法について説明する。蒸溜原料を蒸溜塔1に装入し、釜部11、気液接触部12及びコンデンサー部13の各発熱部の周囲に電磁誘導加熱手段61としての誘導コイルを配置し、独立に交流電源から誘導コイルに交流電流を通じると発熱材料によって発熱し、釜部11、気液接触部12及びコンデンサー部13が各所定温度に温度制御された状態で、蒸留を開始する。例えば、バッチ蒸留でいくつかの留分を得る場合、釜部11の温度、気液接触部12の温度及びコンデンサー部13の温度を徐々に上昇させて、目的の留分を取出口16から抜き出す。温度制御は、熱電対と接続した電源制御装置により行う。電源制御装置による温度制御は、交流電源をオン・オフしたり、インバーター制御することなどにより行う、ことができる。
取出口17からの最初の留分は、プロセスライン2を経由して、第1の留分の受器41に入る。留分がそれより沸点が高い第2の留分となったとき、受器41につながる弁を閉じて、プロセスライン2を経由して受器42につながる弁を開き受器42に入れる。同様にして、第3の留分となったとき、受器43に入れる。留分の種類が多い場合はこれを繰り返すが、蒸留の間に受器41を別の受器と取り換えたり、洗浄したりすれば、受器の数やプロセスラインの数を最小限とすることが可能である。
受器41、42、43及び受器につながるプロセスライン2の少なくとも一部は、電磁誘導加熱手段62により温度制御される。これらは、独立して制御されることが好ましい。
また、真空ライン3についても、加熱、保温が行われる。この真空ライン3の少なくとも一部は、電磁誘導加熱手段63により温度制御される。これらは、独立して制御されることが好ましい。
よって、蒸溜の全工程において、蒸溜塔1、プロセスライン2、真空ライン3及び受器4(41、42、43)の各ゾーン(箇所)について、電磁誘導加熱手段61、62、63、64により、蒸溜原料を蒸溜精製して抽出するのに適切な温度制御することができる。すなわち、蒸溜工程のポイント毎に、最適な温度管理が可能となる。そのため、熱エネルギーのロスが非常に少なくなり、熱効率が格段に向上する。この点、ボイラーによるスチーム加熱とは対照的である。
蒸溜対象物質が高融点物質の場合にも、プロセスライン2、真空ライン3及び受器4(41、42、43)の各箇所について、蒸溜釜1の電磁誘導加熱手段61と同様に、電磁誘導加熱手段62、63、64による温度制御を行い、蒸溜成分の流出工程において沸点より低くかつ融点より高く制御し、固化しないようにする。
蒸溜精製終了後、または蒸溜精製途中に、受器4に溜められた目的の精製された留分は、製品として回収する。
1 蒸留塔
11 釜部
12 気液接触部
13 コンデンサー部
2 プロセスライン
3 真空ライン
31 ヘッダー
32 トラップ
4、41、42、43 受器
5 真空ポンプ
6、61、62、63、64 電磁誘導加熱手段

Claims (2)

  1. 蒸溜精製すべき原料が装入され釜部、気液接触部及びコンデンサー部を有する蒸溜塔、該蒸溜塔からプロセスラインを通じて蒸溜精製後の留分としての各製品が流入する複数の受器、及び該蒸溜塔のコンデンサー部について真空ラインを通じて減圧又は真空状態にするための真空ポンプを主たる構成要素とする精密蒸溜精製装置において、蒸溜精製装置を構成する蒸溜塔、プロセスライン、受器、及び真空ラインに、各々独立して温度制御する電磁誘導加熱手段を備え、蒸溜精製の全工程において原料や製品の種類に応じて各ゾーンを最適温度条件に制御して蒸溜精製することを可能にしたことを特徴とする精密蒸溜精製装置。
  2. 請求項1に記載の精密蒸溜精製装置の蒸溜塔に蒸溜精製すべき原料を装入し、蒸溜塔の釜部を電磁誘導加熱手段により所定温度に加熱して蒸発させ、電磁誘導加熱手段により温度制御された気液接触部において気液接触、精留させ、コンデンサー部において凝縮させること、凝縮した留分を、プロセスラインを経由して蒸溜塔から取り出して受器で受け取ること、蒸留塔及びプロセスラインを真空ラインに連接された真空ポンプにより減圧状態にすること、プロセスライン、真空ライン及び受器について、各々少なくとも1箇所に備えられた電磁誘導加熱手段により、各々独立して温度制御すること、及び受器が沸点範囲の異なる留分を受け取るように弁が制御されることを特徴とする精密蒸溜精製方法。
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