以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態の蒸気滅菌器1の構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態の蒸気滅菌器1は、ガーゼ、メスなどの医療器具に代表される被滅菌物を収容可能なチャンバ10を備えている。チャンバ10は、開閉可能な開閉蓋11を含んでいる。開閉蓋11は、チャンバ10の側部に装着されている。開閉蓋11を開放することにより、チャンバ10内への被滅菌物の搬出入が可能となる。開閉蓋11を閉じることにより、チャンバ10の内部は密閉状態に保持される。
チャンバ10の内底部には、ヒータ12が設置されている。ヒータ12は、チャンバ10内に供給された水を加熱して、蒸気を発生させる。ヒータ12は、チャンバ10の内底部に沿って延びるように配置されている。ヒータ12の上方には、図示しない被滅菌物を載置可能な載置台13が、チャンバ10の内底部に対して略平行に設けられている。
チャンバ10の、開閉蓋11と対向する内側面には、チャンバ10内の温度を検出する温度センサ16が取り付けられている。温度センサ16は、チャンバ10内の気体の温度を計測する。
蒸気滅菌器1は、貯水槽20を備えている。貯水槽20は、チャンバ10内に注入される水を貯留する。貯水槽20の内部空間には、水が存在する液相部21と、空気が存在する気相部22とが含まれている。チャンバ10と貯水槽20とは、給水経路40と、排水経路50と、排気経路70とによって連通されている。給水経路40は、貯水槽20からチャンバ10へ水を供給するための経路である。排水経路50は、チャンバ10から貯水槽20へ水と水蒸気とを排出するための経路である。排気経路70は、チャンバ10から貯水槽20へ空気と水蒸気との混合気を排出するための経路である。
給水経路40は、給水管41と、補助タンク30と、給水管42とを含んでいる。給水管41の一端は貯水槽20内部の液相部21に連結され、他端は補助タンク30に連結されている。給水管41の一端は、貯水槽20の底部の取水口に連結されている。給水管41は、貯水槽20と補助タンク30とを連通している。
給水管42の一端は補助タンク30に連結され、他端はチャンバ10の底部の外側に設けられた連結部17に連結されている。給水管42の一端は、補助タンク30の底部の取水口に連結されている。給水管42は、補助タンク30とチャンバ10の連結部17とを連通している。
給水経路40は、第一電磁弁43と、第三電磁弁44とを含んでいる。第一電磁弁43は、給水管41の途中に配置されている。第一電磁弁43は、給水経路40を開閉する。第一電磁弁43は、補助タンク30に対して貯水槽20側において給水経路40を開閉する。第一電磁弁43は、貯水槽20から補助タンク30へ水が流れ得る開状態と、貯水槽20から補助タンク30への水の流れを禁止する閉状態と、を切り換え可能に設けられている。
第三電磁弁44は、給水管42の途中に配置されている。第三電磁弁44は、給水経路40を開閉する。第三電磁弁44は、補助タンク30に対してチャンバ10側において給水経路40を開閉する。第三電磁弁44は、補助タンク30からチャンバ10へ水が流れ得る開状態と、補助タンク30からチャンバ10への水の流れを禁止する閉状態と、を切り換え可能に設けられている。
補助タンク30は、給水経路40の途中に設けられている。補助タンク30の給水側に給水管41が接続され、補助タンク30の排水側に給水管42が接続されている。補助タンク30は、一時貯留部であり、貯水槽20からチャンバ10内に供給される水を、一時的に貯留する。補助タンク30は、貯水槽20から給水管41を経て補助タンク30へ流入する水を、その内部に定量貯水する。補助タンク30内に貯留された規定量の水が、給水管42を経由してチャンバ10へ流れることにより、チャンバ10に規定量の水が供給される。
補助タンク30の内部には、補助タンク30内の水位を検出する上限水位センサ34と下限水位センサ35とが設けられている。上限水位センサ34と下限水位センサ35とは、被滅菌物の滅菌処理のために必要な所定量の水が補助タンク30内に入ったことを検出する。補助タンク30は、滅菌工程に必要な規定水量よりも大きな容積を有している。
上限水位センサ34と下限水位センサ35とは、その突端に設けられた金属などの導電性材料製のセンサ部と、セラミックに代表される絶縁材料製の根元部と、を含んでいる。上限水位センサ34は、補助タンク30の上面に取り付けられている。上限水位センサ34は、補助タンク30の天井部から下方に突起するように設けられている。下限水位センサ35は、補助タンク30の下面に取り付けられている。下限水位センサ35は、補助タンク30の底部から上方に突起するように設けられている。
上限水位センサ34は、補助タンク30内の水位の上限値を検出する。上限水位センサ34がオン状態になることにより、補助タンク30内に規定量の水が貯留されていることが検出される。蒸気滅菌器1は、上限水位センサ34がオン状態になった時点で補助タンク30への水の供給が終了するように、制御される。補助タンク30内の水位が上限水位センサ34に達したか否かにより、補助タンク30への給水停止が制御される。下限水位センサ35は、補助タンク30内の水位の下限値を検出する。
補助タンク30内に上限水位センサ34および下限水位センサ35が設置されている一方、チャンバ10内には、チャンバ10内の水位を検出するためのセンサは設置されていない。
排水経路50は、排水管51を含んでいる。排水管51の一端は、チャンバ10の底部の連結部17に連結されている。排水管51の他端は、貯水槽20の内部に配置されている。
貯水槽20の内部において、排水管51は、液相部21に配置されたコンデンサ部55を有している。コンデンサ部55は、排水管51が屈曲して形成された複数個の環状部分が同心に重なる筒状に形成されている。コンデンサ部55は、貯水槽20内の液相部21に水没する排水管51の管長を増大している。コンデンサ部55は上記の形状に限られず、たとえば蛇行形状など、排水管51の管長を増大できる任意の形状を有してもよい。
コンデンサ部55は、排水管51の内部を通過する高温の水から貯水槽20内部の液相部21に貯留された水への熱伝達を促進し、排水管51を流れる水の温度を低下させる。これによりコンデンサ部55は、水が貯水槽20内に排出されるときの騒音を低減する。コンデンサ部55は、蒸気滅菌器1の発生する音の大きさを低減する静音機能を有している。
貯水槽20の内部において、排水管51は、屈曲部56を有している。排水管51は、コンデンサ部55から上方に立ち上がり、液相部21から気相部22にまで亘って延びている。排水管51は、屈曲部56において屈曲して、下方に向かって延びている。排水管51の他端は、液相部21の液面に向いて配置されている。これにより、排水管51から貯水槽20の内部に排出される水または蒸気は、排水管51の他端から、貯水槽20内に貯留されている水に向かって流出する。
排水経路50は、第七電磁弁52を含んでいる。第七電磁弁52は、排水管51の途中に配置されている。第七電磁弁52は、排水経路50を開閉する。第七電磁弁52は、チャンバ10から貯水槽20へ水が流れ得る開状態と、チャンバ10から貯水槽20への水の流れを禁止する閉状態と、を切り換え可能に設けられている。
チャンバ10の底部に設けられた連結部17には、給水経路40の給水管42と、排水経路50の排水管51とが連結されている。連結部17を介して、給水管42とチャンバ10の内部空間とが連通し、排水管51とチャンバ10の内部空間とが連通し、また給水管42と排水管51とが連通している。そのため、連結部17は、チャンバ10内へ水を供給するときの給水口として機能し、かつ、チャンバ10から水を排出するときの排出口としても機能する。
排気経路70は、排気管71を含んでいる。排気管71の一端はチャンバ10の天井部に連結され、他端は貯水槽20内部の気相部22に連結されている。排気経路70は、第六電磁弁72を含んでいる。第六電磁弁72は、排気管71の途中に配置されている。第六電磁弁72は、チャンバ10から貯水槽20へ気体が流れ得る開状態と、チャンバ10から貯水槽20への気体の流れを禁止する閉状態と、を切り換え可能に設けられている。
排気経路70は、滅菌処理のためにチャンバ10内部に蒸気を充満させるときの、空気と蒸気との混合気の出口となる経路を形成している。排気経路70の他端が貯水槽20内部の気相部22に連結されていることにより、当該混合気は、貯水槽20内の気相部22に放出される。貯水槽20には、貯水槽20の外部空間と気相部22とを連通するための、図示しない排気口が形成されている。この排気口は、貯水槽20の気相部22から蒸気滅菌器1を使用する操作者へ向かって気体が噴出しないように、位置を調整されて形成されている。排気口はたとえば、貯水槽20の蓋部に形成されている。
蒸気滅菌器1はまた、送風経路60を備えている。送風経路60は、エアーポンプ61と、送風管62と、送風管64とを含んでいる。エアーポンプ61は、空気の流れを発生する送風部としての機能を有している。送風管62の一端は、エアーポンプ61に接続されている。エアーポンプ61は、送風管62の一端から他端へ向かう方向に空気を移送する。
送風管62と送風管64とは、接続部分63を介して、互いに連通している。送風管62の他端は、接続部分63に接続されている。送風管64の一端は、接続部分63に接続されている。送風管64の他端は、貯水槽20の気相部22に接続されている。
送風経路60は、第四電磁弁65と、第二電磁弁66とを含んでいる。第四電磁弁65は、送風管62の途中に配置されている。第四電磁弁65は、接続部分63に対して送風部側において通気路を開閉する。第四電磁弁65は、エアーポンプ61から接続部分63へ気体が流れ得る開状態と、エアーポンプ61から接続部分63への気体の流れを禁止する閉状態と、を切り換え可能に設けられている。第二電磁弁66は、送風管64の途中に配置されている。第二電磁弁66は、接続部分63に対して送風部側とは反対側において通気路を開閉する。第二電磁弁66は、接続部分63から貯水槽20へ気体が流れ得る開状態と、接続部分63から貯水槽20への気体の流れを禁止する閉状態と、を切り換え可能に設けられている。
送風経路60は、送風管67と、第五電磁弁68とを含んでいる。送風管67の一端は、チャンバ10に接続されている。送風管67の他端は、送風管62の途中に接続されている。送風管67は、送風管62から分岐している。送風管67は、チャンバ10に接続された一端と、送風管62に接続された他端とを有している。送風管67は、接続部分63よりも空気の流れの上流側において、送風管62に接続されている。送風管67は、第四電磁弁65よりも空気の流れの上流側において、送風管62に連結されている。送風管62と送風管67とにより、エアーポンプ61とチャンバ10とが互いに連通している。
第五電磁弁68は、送風管67の途中に配置されている。第五電磁弁68は、エアーポンプ61からチャンバ10へ気体が流れ得る開状態と、エアーポンプ61からチャンバ10への気体の流れを禁止する閉状態と、を切り換え可能に設けられている。
蒸気滅菌器1が通常に動作しているとき、送風管62に設けられた第四電磁弁65と、送風管67に設けられた第五電磁弁68とは、両方が開くことはなく、いずれか一方のみが開かれる。第四電磁弁65が開いているとき、第五電磁弁68は閉じられている。このときエアーポンプ61からの空気は、送風管62を通過して流れる。第五電磁弁68が開いているとき、第四電磁弁65は閉じられている。このときエアーポンプ61からの空気は、送風管67を通過して流れる。第四電磁弁65と第五電磁弁68とは、エアーポンプ61から発生した空気が送風管62と送風管67とのどちらを流れるかを選択する選択部を構成している。
送風経路60は、送風管67を経由して、チャンバ10の内部に空気を送り込む。チャンバ10内に空気が送り込まれると、チャンバ10内に残留している水または水蒸気は、送り込まれた空気の圧力により、チャンバ10外へ排出される。
送風管62と送風管64とを連結している接続部分63は、補助タンク30の上面に設けられている。図2は、図1に示す補助タンク30の上面301付近の詳細を示す拡大断面図である。図2に示すように、接続部分63は、T字状の形状を有している。接続部分63は、管状の横部分631と、管状の縦部分632とを有している。縦部分632は、横部分631の途中に連結されている。中空の横部分631の内部空間と、中空の縦部分632の内部空間とは、互いに連通している。
接続部分63の形成するT字形状の横部分631の一端に、送風管62が連結されている。接続部分63の形成するT字形状の横部分631の他端に、送風管64が連結されている。横部分631を介在させて、送風管62と送風管64との内部空間が、互いに連通している。
接続部分63の形成するT字形状の縦部分632は、補助タンク30の上面301に連結されている。接続部分63は、補助タンク30と一体化されるように、縦部分632が補助タンク30の上面301に固定されている。中空の補助タンク30の上面301に、上面301を厚み方向に貫通する貫通孔が形成されており、接続部分63の縦部分632が当該貫通孔に挿通されている。
補助タンク30の内部空間と、縦部分632の内部の経路とは、互いに連通している。接続部分63を介在させて、送風管62と補助タンク30の内部空間とが連通し、送風管64と補助タンク30の内部空間とが連通している。
接続部分63の横部分631の内部空間の、空気が流れる方向に直交する断面積は、送風管62の断面積より小さく、かつ送風管64の断面積よりも小さい。横部分631を小径に形成して、横部分631の断面積を送風管62および送風管64の断面積と比較して小さくすることにより、送風管62および送風管64を流れる空気の流速よりも、横部分631を流れる空気の流速が増大している。
図3は、本実施の形態の蒸気滅菌器1の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、蒸気滅菌器1は、蒸気滅菌器1の動作を制御する制御部80を備えている。制御部80は、温度センサ16、下限水位センサ35および上限水位センサ34に電気的に接続されている。制御部80は、温度センサ16からチャンバ10の内部の温度に係る検出値の入力を受ける。制御部80は、下限水位センサ35および上限水位センサ34から、補助タンク30の内部の貯水量に係る検出値の入力を受ける。
制御部80はまた、入力部81を有する。蒸気滅菌器1を使用する操作者は、加熱温度、滅菌時間および乾燥時間などの設定値を、入力部81から制御部80に入力する。
制御部80は、蒸気滅菌器1の各制御ステップに対応して、ヒータ12、第一電磁弁43、第二電磁弁66、第三電磁弁44、第四電磁弁65、第五電磁弁68、第六電磁弁72、第七電磁弁52およびエアーポンプ61などの、蒸気滅菌器1に含まれる各機器に制御信号を出力する。制御部80からの制御信号を受けて各機器が適切に動作することにより、蒸気滅菌器1による被滅菌物の滅菌処理が確実に行なわれる。
以上の構成を備えている蒸気滅菌器1の動作について、以下に説明する。図4は、蒸気滅菌器1の基本動作工程を示す流れ図である。図5は、蒸気滅菌器の各機器の動作の第一の例を示すタイミングチャートである。図4に示す流れ図、および図5に示すタイミングチャートに従って、蒸気滅菌器1による被滅菌物の滅菌のための各工程における、蒸気滅菌器1の動作について説明する。
まず工程(S10)において、蒸気滅菌器1の電源をオンにし、蒸気滅菌器1を起動する。蒸気滅菌器1を電源オフから電源オンに切り換えることにより、図5に示すように、第六電磁弁72がオンになる。本実施の形態において、第一〜第七電磁弁はいずれも、オフ(非通電)状態で閉状態を保ち、オン(通電)状態で開く、常時閉仕様の電磁弁である。
貯水槽20の気相部22は、上述した通り排気口を介して外部空間と連通しているため、大気圧に保たれている。第六電磁弁72を開くことにより、チャンバ10の内部空間と貯水槽20の気相部22とが、排気経路70を介して互いに連通する。これにより、チャンバ10の内部空間が、気相部22と同じ大気圧に調整される。チャンバ10の内部空間と貯水槽20内の気相部22とが連通することで、チャンバ10内の空気圧と外気圧とが一定にされる。これにより、チャンバ10の開閉蓋11を容易に開閉できるようになる。
次に工程(S20)において、チャンバ10から水を排出する動作が行なわれる。図5に示すように、排水工程では、第六電磁弁72がオンからオフに切り換わる。第二電磁弁66、第三電磁弁44および第五電磁弁68は、オフからオンに切り換わる。第一電磁弁43、第四電磁弁65および第七電磁弁52はオフのままにされる。これにより、第一電磁弁43、第四電磁弁65、第六電磁弁72、および第七電磁弁52が閉状態とされ、第二電磁弁66、第三電磁弁44および第五電磁弁68が開状態とされる。
このように各電磁弁の開閉が設定された状態で、エアーポンプ61が起動して空気の流れが発生することにより、チャンバ10から排水する動作が行なわれる。
図6は、排水工程における蒸気滅菌器1の各機器の動作を示す模式図である。上述したように各電磁弁の開閉が設定される結果、送風管62が閉塞され、送風管67が開放される。エアーポンプ61で発生した空気の流れは、送風管67を経由して、チャンバ10へ流れる。チャンバ10の内部空間へ外部から空気が送られることにより、チャンバ10内の圧力が上昇する。チャンバ10の内圧を陽圧にすることによって、チャンバ10内に存在する水がチャンバ10外へ押し出されてチャンバ10から排出され、チャンバ10から排水される。
チャンバ10の連結部17に連結された給水管42と排水管51とのうち、排水管51に設けられた第七電磁弁52は閉状態であり、給水管42に設けられた第三電磁弁44は開状態である。そのため、チャンバ10から排出された水は、給水管42を経由して、補助タンク30へ移送される。このとき、チャンバ10から補助タンク30への水の逆流が発生している。
補助タンク30の上面に設けられた接続部分63と貯水槽20とは、送風管64を介して連結している。送風管64に設けられた第二電磁弁66は、開状態である。チャンバ10から補助タンク30へ流入した空気は、送風管64および貯水槽20を経由して、外部へ排出される。貯水槽20の気相部22の内圧は大気圧であり、補助タンク30内の圧力は、ほぼ大気圧に保たれる。補助タンク30の内圧上昇が抑制されるので、チャンバ10から補助タンク30へ向かう水および空気の流れが補助タンク30の内圧によって妨げられることがない。そのため、チャンバ10から効率よく排水することができる。
チャンバ10から水を排出する動作を一定時間継続した後、図5に示すように、第二電磁弁66、第三電磁弁44および第五電磁弁68を閉じ、エアーポンプ61を停止する。
次に、図4に示す工程(S30)において、チャンバ10への給水が行なわれる。図5に示すように、給水工程の前半では、第一電磁弁43、第二電磁弁66および第四電磁弁65がオフからオンに切り換わる。第三電磁弁44、第五電磁弁68、第六電磁弁72および第七電磁弁52はオフのままにされる。これにより、第三電磁弁44、第五電磁弁68、第六電磁弁72および第七電磁弁52が閉状態とされ、第一電磁弁43、第二電磁弁66および第四電磁弁65が開状態とされる。
このように各電磁弁の開閉が設定された状態で、エアーポンプ61が起動して、エアーポンプ61から貯水槽20へ向かう空気の流れが発生することにより、貯水槽20から補助タンク30への給水が行なわれる。
図7は、給水工程の前半における蒸気滅菌器1の各機器の動作を示す模式図である。上述したように各電磁弁の開閉が設定される結果、送風管67が閉塞され、送風管62が開放される。エアーポンプ61で発生した空気の流れは、送風管62、接続部分63および送風管64を経由して、貯水槽20へ流れる。
図2を併せて参照して、接続部分63の横部分631を通過して送風管62から送風管64へ向かう空気の流れが発生する。ベルヌーイの定理から、横部分631における圧力は、縦部分632および補助タンク30の内部の圧力よりも低くなる。これによりベンチュリ効果が発生し、補助タンク30内の空気が、接続部分63から補助タンク30外へ吸い出される。補助タンク30から吸い出された空気は、接続部分63および送風管64を経由して、貯水槽20へ抜ける。
補助タンク30から空気が流出した結果、補助タンク30の内圧は、大気圧よりも低くなる。貯水槽20の気相部22は外部空間と連通しているため、補助タンク30の内圧は、貯水槽20の気相部22の内圧よりも低くなる。エアーポンプ61が貯水槽20に給気するのに伴い、補助タンク30内が陰圧となる。貯水槽20と補助タンク30との内圧が相対的に異なり、圧力差が生じる。その結果、貯水槽20の液相部21に貯留されている水が、給水管41を経由して、補助タンク30に移送される。このようにして、貯水槽20から補助タンク30への給水が行なわれる。
図5に示すように、補助タンク30に設けられた下限水位センサ35がオンになることで、補助タンク30への給水が開始されたことが確認される。
補助タンク30に設けられた上限水位センサ34がオンになり、補助タンク30内に規定量の水が給水されたことが確認されるまで、貯水槽20から補助タンク30への給水が継続される。補助タンク30内の下限水位センサ35の先端のセンサ部が水没し、次に上限水位センサ34の先端のセンサ部が水没すれば、補助タンク30への給水は完了する。上限水位センサ34のオフからオンへの切り換わりが確認された後、第一電磁弁43、第二電磁弁66および第四電磁弁65を閉じ、エアーポンプ61を停止する。これにより、補助タンク30への規定水量の給水が完了する。
続いて、図5に示すように、給水工程の後半では、第三電磁弁44、第四電磁弁65および第六電磁弁72が、オフからオンに切り換わる。第一電磁弁43、第二電磁弁66、第五電磁弁68および第七電磁弁52は、オフのままにされる。これにより、第三電磁弁44、第四電磁弁65および第六電磁弁72が開状態とされ、第一電磁弁43、第二電磁弁66、第五電磁弁68および第七電磁弁52が閉状態とされる。
このように各電磁弁の開閉が設定された状態で、エアーポンプ61が起動して、エアーポンプ61から補助タンク30へ向かう空気の流れが発生することにより、補助タンク30からチャンバ10への給水が行なわれる。
図8は、給水工程の後半における蒸気滅菌器1の各機器の動作を示す模式図である。上述したように各電磁弁の開閉が設定される結果、送風管67が閉塞され、送風管62が開放され、送風管64が閉塞される。エアーポンプ61で発生した空気の流れは、送風管62を経由して、接続部分63へ至る。送風管64が閉塞されているために、空気は、接続部分63を経由して、補助タンク30へ流れる。
補助タンク30の内部空間へ外部から空気が送られることにより、補助タンク30内の圧力が上昇する。補助タンク30の内圧を陽圧にすることによって、補助タンク30内に貯留されている水が、補助タンク30外へ押し出され、給水管42を経由して、チャンバ10に移送される。このようにして、補助タンク30からチャンバ10への給水が行なわれる。
図5に示すように、補助タンク30に設けられた下限水位センサ35がオフになり、補助タンク30から規定量の水が排出されたことが確認されるまで、補助タンク30からチャンバ10への給水が継続される。下限水位センサ35のオンからオフへの切り換わりが確認された後、第三電磁弁44および第四電磁弁65を閉じ、エアーポンプ61を停止する。これにより、チャンバ10への規定水量の給水が完了する。なお図5に示すように、第六電磁弁72は、開状態に維持される。
次に、図4に示すように、給水工程(S30)の完了後、工程(S40)において、チャンバ10内が加熱される。チャンバ10内の底面にあるヒータ12をオンにすることで、チャンバ10内に供給された水がヒータ12で加熱され、蒸気が発生する。同時に載置台13に載置された被滅菌物も加熱される。
工程(S40)の加熱工程の開始時には、排気経路70の第六電磁弁72が依然として開状態に保たれている。そのため、ヒータ12により水が加熱されて発生した蒸気でチャンバ10内の空気が押し出され、押し出された空気は排気経路70を介してチャンバ10の外部へ排気される。チャンバ10内の空気を水蒸気にて押し出すことにより、チャンバ10内の空気と水蒸気とが置換され、チャンバ10内が水蒸気で充満される。
チャンバ10内に残留した空気と水蒸気との混合気は、排気経路70を経由して、貯水槽20内の気相部22に放出される。貯水槽20には上述した排気口が形成されており、気相部22の圧力は大気圧に保たれている。そのため、チャンバ10からの水および水蒸気の混合気の排出が貯水槽20の内圧によって妨げられることはない。
チャンバ10内に残留した空気をできるだけチャンバ10外に排気するため,チャンバ10内温度が99℃(すなわち、水の沸点(100℃)よりも1℃低い温度)になったことを温度センサ16により検出するまで、チャンバ10内の空気と水蒸気との置換を継続する。チャンバ10内温度が99℃になった後、第六電磁弁72が閉じられ、チャンバ10が密閉される。第六電磁弁72を閉じることにより、チャンバ10の内圧が上昇できる状態となり、チャンバ10内を過熱蒸気で充満させてチャンバ内の温度を100℃以上に上昇させることができるようになる。
チャンバ10内が被滅菌物の滅菌処理のために必要な温度に達するまで、ヒータ12がオン状態に維持され、チャンバ10内の加熱が継続される。
チャンバ10内が所定の滅菌処理のための必要温度に到達すると、次に工程(S50)において、各設定温度における最低滅菌時間以上の時間、被滅菌物の滅菌処理を行なう。ヒータ12は、工程(S50)で所定時間が経過した後、オフされる。滅菌処理の実行中、チャンバ10内の温度が所定の滅菌温度を下回らないよう、温度センサ16を用いてチャンバ10内の温度が監視される。
工程(S50)で滅菌処理が終了した後、次に工程(S60)において、チャンバ10内部の水および水蒸気を貯水槽20へ排出する排蒸工程が行なわれる。
図5に示すように、第七電磁弁52がオフからオンに切り換わる。他の電磁弁はオフのままにされる。これにより、第七電磁弁52が開状態とされ、他の電磁弁が閉状態とされる。このように各電磁弁の開閉が設定される結果、チャンバ10内の蒸気圧によって高温の水および水蒸気がチャンバ10から押し出され、排水経路50を経由して、貯水槽20内に排出される。
排水管51がコンデンサ部55を有しており、コンデンサ部55を経由して流れる高温の水および水蒸気が貯水槽20の液相部21に貯留された水で冷却される。これにより、貯水槽20内に水および水蒸気を排出するときの騒音を低減でき、静音化が図られている。貯水槽20内部に設けられた排水管51の端部は、気相部22に配置されており、貯水槽20内の空気中に水蒸気を排出する気中排蒸が行なわれる。そのため、チャンバ10の内圧が十分低下した後にも、貯水槽20から排水経路50を経由してチャンバ10へ水が逆流することはない。
工程(S60)で所定時間が経過することで、排蒸が完了したと判断され、第七電磁弁52がオフされる。
次に工程(S70)において、チャンバ10内の乾燥を行なう。図5に示すように、排蒸工程(S60)完了時に、チャンバ10内のヒータ12をオンにする。このとき同時に、第五電磁弁68および第六電磁弁72を開くとともにエアーポンプ61を起動し、送風管67を経由して外部からチャンバ10内へ送風する。このようにして、チャンバ10内の乾燥が所定の時間行なわれる。
蒸気滅菌器1のチャンバ10内で被滅菌物が滅菌処理された後にチャンバ10の内部に空気を送り込むことにより、チャンバ10内に残留する水蒸気が、排気経路70を経由してチャンバ10外へ排出される。チャンバ10の内部の水蒸気が湿度の低い空気によって置換されることにより、チャンバ10の内部を乾燥させる乾燥処理が行なわれる。チャンバ10の内部に常圧の空気を送り込むことにより、排蒸工程時と比較してチャンバ10の内圧が下げられる。
設定された乾燥時間を経過した後に、第五電磁弁68が閉じられ、ヒータ12およびエアーポンプ61が停止される。これにより、工程(S80)に示すように被滅菌物の滅菌のための全工程が完了となる。
この状態で、ヒータ12はオフであり、チャンバ10と貯水槽20の気相部22とを連通する第六電磁弁72のみ開いている。蒸気滅菌器1を使用する操作者は、安全に開閉蓋11を開けて、滅菌処理後の被滅菌物を安全にチャンバ10から取り出すことができる。
図6を参照して説明した通り、チャンバ10から水を排出する動作において、チャンバ10内に存在する水は、給水管42を経由して、補助タンク30へ逆流する。図5に示す第一の例のタイミングチャートでは、排水工程中、補助タンク30に設けられた下限水位センサ35はオフのままである。第一の例では、蒸気滅菌器1の電源をオンにしたときに、チャンバ10内に水が存在しておらず、そのため、チャンバ10から補助タンク30へ向く空気の流れを形成しても、水が補助タンク30へ流れることはない。
一方、一旦チャンバ10への給水を開始した後に、たとえば被滅菌物を追加でチャンバ10内に入れるために一時停止した場合など、チャンバ10内に水が存在する状態で一連の滅菌処理が開始される場合がある。この場合、チャンバ10から排出された水を補助タンク30へ流すことにより、給水工程の時間短縮が可能になる。以下、滅菌処理の開始時にチャンバ10内に水が存在する場合の例について、詳細に説明する。
図9は、排水工程後の補助タンク30内の水位に従った給水プロセスの分岐を示す流れ図である。補助タンク30内の水位は、補助タンク30に設けられた上限水位センサ34および下限水位センサ35によって、検出される。図9には、給水工程における、補助タンク30内の水位に基づいて補助タンク30への給水およびチャンバ10への給水が行なわれるプロセスが、詳細に示されている。
図9に示すように、チャンバ10から水を排出する動作が完了する(工程(S31))と、次に、補助タンク30内の水位を検出する(工程(S32))。図3に示す制御部80は、上限水位センサ34および下限水位センサ35から、各々の水位センサがオンまたはオフであることを示す検出信号を受ける。制御部80は、上限水位センサ34がオンまたはオフである検出結果から、補助タンク30内に貯留されている水の量が規定量以上であるかどうかを判断する(工程(S33))。下限水位センサ35がオンであるが上限水位センサ34がオフである場合には、制御部80は、一定時間待機して、当該一定時間内に上限水位センサ34がオンに切り換わるかどうかを確認する。
補助タンク30内の貯水量が規定値に達していないと判断されると、工程(S34)に進み、図7を参照して説明した、貯水槽20から補助タンク30への水の移送が行なわれる。補助タンク30内の貯水量が規定値以上であると判断されるまで、工程(S32)の補助タンク30内の水位検出と、工程(S33)の補助タンク30内の貯水量の判断が繰り返される。
補助タンク30内の貯水量が規定値以上であると判断されると、工程(S35)に進み、補助タンク30に貯留された水が補助タンク30からチャンバ10へ移送されて、図8を参照して説明したチャンバ10への規定量の給水が行なわれる。下限水位センサ35がオンからオフに切り換わったことを示す検出信号が制御部80に入力されて、補助タンク30内の貯水量が下限水位センサ35で検出可能な量を下回ると、チャンバ10への給水が完了する(工程(S36))。
図10は、蒸気滅菌器1の各機器の動作の第二の例を示すタイミングチャートである。図10には、蒸気滅菌器1が起動されたときに、チャンバ10内に規定量よりも少ない量の水が存在する状態である例が示されている。
図5に示す第一の例のタイミングチャートでは、チャンバ10から水を排出する動作中、補助タンク30に設けられた下限水位センサ35はオフのままである。これに対し、図10に示す第二の例では、チャンバ10から水を排出する動作中に、下限水位センサ35がオフからオンに切り換わる。チャンバ10から水を排出する動作の完了時に、下限水位センサ35がオン、上限水位センサ34がオフの状態である。
続いて、補助タンク30への給水が行なわれる。図7を参照して説明したように、貯水槽20と補助タンク30との圧力差を生じさせることにより、貯水槽20から補助タンク30への給水が行なわれる。上限水位センサ34がオフからオンに切り換わり、補助タンク30内に規定量の貯水がされたことが確認されるまで、貯水槽20から補助タンク30への給水が継続される。
上限水位センサ34の先端のセンサ部が水没し、上限水位センサ34がオフからオンに切り換わったことを示す検出信号が制御部80に入力されると、補助タンク30内に規定水量の貯水がされたと判断されて、貯水槽20から補助タンク30への給水が完了する。
図10に示す第二の例では、補助タンク30への給水より前の、チャンバ10からの排水において、チャンバ10内に存在していた水が補助タンク30内に移送される。貯水槽20から補助タンク30への給水を開始するときに、下限水位センサ35は既にオンの状態であり、補助タンク30内に規定量よりは少ないもののある程度の量の水が存在している。これにより、補助タンク30内に規定量の水を貯留するために貯水槽20から補助タンク30への移送が必要な水の量が、図5に示す第1の例と比較して、小さくなっている。よって、補助タンク30内に規定量の貯水をするために必要な時間を短縮できるので、チャンバ10への規定水量の給水のための所要時間を短縮することができる。
図11は、蒸気滅菌器1の各機器の動作の第三の例を示すタイミングチャートである。図11には、蒸気滅菌器1が起動されたときに、チャンバ10内に規定量の水が存在する状態である例が示されている。
図11に示す第三の例では、チャンバ10から水を排出する動作中に、下限水位センサ35と上限水位センサ34との両方がオフからオンに切り換わる。チャンバ10から水を排出する動作の完了時に、下限水位センサ35と上限水位センサ34とが、いずれもオンの状態である。
既に上限水位センサ34がオンであり、補助タンク30内に規定水量の貯水がされているために、貯水槽20から補助タンク30への給水をする必要はない。そのため、図11に示す給水工程では、図5において「給水工程の前半」として示した、貯水槽20から補助タンク30へ給水するための動作が除かれている。図11に示す給水工程では、給水工程の開始と同時に、直ちに補助タンク30からチャンバ10への給水が行なわれる。図9に示す流れ図を参照すると、第1回目の工程(S33)の判断において補助タンク30内の貯水量が規定値以上であると判断され、そのまま工程(S35)に進み、補助タンク30からチャンバ10への給水が行なわれる。
図11に示す第三の例では、チャンバ10からの排水において、チャンバ10内に存在していた水が補助タンク30内に移送される。チャンバ10からの排水が完了したときに、下限水位センサ35および上限水位センサ34の両方が既にオンの状態であり、補助タンク30内に規定量の水が存在している。これにより、補助タンク30内に規定量の水を貯留するために貯水槽20から補助タンク30への移送は必要なく、補助タンク30内に規定量の貯水をするための時間が不要になる。貯水槽20の水を補助タンク30に移送することなく補助タンク30内に規定量の水を貯留できるので、補助タンク30に貯留された水をそのままチャンバ10へ供給することにより、チャンバ10への規定水量の給水のための所要時間を短縮することができる。
上述した説明と一部重複する部分もあるが、本実施の形態の特徴的な構成を以下に列挙する。本実施の形態の蒸気滅菌器1は、被滅菌物を収納するチャンバ10と、チャンバ10内に供給される水を貯留する貯水槽20と、貯水槽20とチャンバ10とを接続する給水経路40とを備えている。蒸気滅菌器1はまた、補助タンク30を備えている。補助タンク30は、給水経路40の途中に設けられている。補助タンク30は、貯水槽20からチャンバ10内に供給される水を一時的に貯留する、一時貯留部としての機能を有している。蒸気滅菌器1はさらに、チャンバ10から補助タンク30へ水を逆流させる逆流発生部を備えている。
被滅菌物の滅菌処理を開始する際に、前回の処理開始後に一時停止した場合など、チャンバ10内に水が存在している場合がある。チャンバ10内の過剰な貯水が被滅菌物の水濡れまたはチャンバ10内の乾燥不良などを発生させる事態を確実に回避するために、チャンバ10への給水に先立って、チャンバ10から水を排出して、チャンバ10内に水が存在しない空の状態にする必要がある。チャンバ10から排出された水を、逆流発生部を使用して補助タンク30へ流すことにより、貯水槽20にまで水を流す必要がなくなる。したがって、チャンバ10の排水に必要な時間を短縮することができる。
また、チャンバ10から排出された水を補助タンク30へ逆流させ、補助タンク30にチャンバ10から排出された水を貯留しておくことで、給水工程において補助タンク30内に規定量の水を貯水するための所要時間を短縮できる。より短い時間で補助タンク30内に規定量の水を貯め、貯まった水を補助タンク30からチャンバ10へ供給することにより、チャンバ10へ規定量の水を供給するための所要時間を、短縮することができる。したがって、給水工程の時間短縮が可能になる。
また、本実施の形態の蒸気滅菌器1は、エアーポンプ61と、送風管62と、送風管67とを備えている。エアーポンプ61は、空気の流れを発生する送風部としての機能を有している。送風管67は、送風管62と、チャンバ10とを接続している。送風管62と送風管67とは、エアーポンプ61とチャンバ10とを接続する通気路としての機能を有している。
エアーポンプ61で発生した空気の流れは、通気路を経由してチャンバ10内へ流れる。エアーポンプ61は、チャンバ10への給気のために使用される。チャンバ10から補助タンク30へ水を逆流させるとき、チャンバ10へ給気してチャンバ10内を陽圧にすることで、補助タンク30への水の逆流が容易に可能になる。これにより、簡単な構成で、チャンバ10から補助タンク30へ水を逆流させる逆流発生部を実現することができる。
従来より、蒸気滅菌器1は、チャンバ10内を乾燥させるためにチャンバ10に流入する空気の流れを発生する、エアーポンプなどの送風部を備えている。従来より蒸気滅菌器1に備わっているエアーポンプ61を、チャンバ10から補助タンク30への水の逆流のために使用する構成とすることで、より簡単な構成かつ低コストな蒸気滅菌器1を実現することができる。
また、本実施の形態の蒸気滅菌器1は、補助タンク30内の水位を検出する上限水位センサ34および下限水位センサ35と、蒸気滅菌器1の動作を制御する制御部80とを備えている。制御部80は、補助タンク30へ水が逆流した後の補助タンク30内の貯水量が規定量かどうかを判断する。制御部80は、補助タンク30内の貯水量が規定量に満たない場合は、貯水槽20の水を補助タンク30に移送し、規定量を満たした後に補助タンク30内の水をチャンバ10に移送する。制御部80は、補助タンク30内の貯水量が規定量を満たす場合は、補助タンク30の水をチャンバ10に移送する。
補助タンク30へ水が逆流した後の補助タンク30内の貯水量が規定量に満たない場合は、貯水槽20から補助タンク30への給水を行なうことにより、補助タンク30の内部に定量の水を貯水できる。補助タンク30内に貯水された定量の水をチャンバ10へ給水することにより、チャンバ10への給水量を一定にできるので、給水完了後にチャンバ10内に存在する水の量を、滅菌処理のために最適な量に保つことができる。
補助タンク30へ水が逆流した後の補助タンク30内の貯水量が規定量を満たす場合は、貯水槽20から補助タンク30への水の移送を省略することができる。チャンバ10から補助タンク30への水の逆流によって補助タンク30内に貯まった水が、直ちに補助タンク30からチャンバ10へ供給される。これにより、チャンバ10へ規定量の水を供給するための所要時間を、短縮することができる。したがって、給水工程の時間短縮が可能になる。
チャンバ10に供給される水の量を補助タンク30で検出する構成としたため、チャンバ10内に、チャンバ10内の水位を検出するためのセンサを設置する必要がない。補助タンク30内に設けられた上限水位センサ34および下限水位センサ35は、滅菌工程中にも高温高圧の蒸気に曝されることがないため、センサ表面への不純物の付着が抑制される。したがって、チャンバ10内の水位センサが水位を誤検出する事態が発生しないので、蒸気滅菌器1のより安定した運転が可能になる。また、水位センサの定期的な清掃は必要なく、より使い勝手の良い蒸気滅菌器1を実現することができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。