以下に添付図面を参照して、本発明に係る外筒の組立装置及び方法と隙間調整装置の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
図11は、放射性物質収納容器を表す縦断面図、図12は、放射性物質収納容器を表す水平断面図である。
本実施形態において、図11及び図12に示すように、放射性物質収納容器としてのキャスク11は、胴部12と蓋部13とバスケット14とを有している。胴部12は、胴本体21の上部に開口部22が形成され、下部に底部(閉塞部)23が形成された円筒形状をなしている。胴本体21は、内部にキャビティ24が設けられ、このキャビティ24は、その内面がバスケット14の外周形状に合わせた形状となっている。バスケット14は、例えば、使用済燃料集合体である放射性物質(図示略)を個々に収納するセルを複数有している。胴本体21は、下部に底部23が溶接結合または一体成形されており、この胴本体21及び底部23は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製の鍛造品となっている。
胴部12は、胴本体21の外周側に所定の隙間を空けて外筒25が配設されており、胴本体21の外周面と外筒25の内周面との間に熱伝導を行う銅や鋼製の伝熱フィン26が周方向に所定間隔で複数溶接されている。そして、胴部12は、胴本体21と外筒25との空間部に水素を多く含有する高分子材料で中性子遮蔽機能を有するボロンまたはボロン化合物を含有したレジン(中性子遮蔽体)27が充填されている。
また、胴部12は、底部23の下側に所定の隙間を空けて底板28が連結されており、底部23と底板28との空間部にレジン(中性子遮蔽体)29が設けられている。また、胴部12は、側面部にトラニオン30が固定されている。
蓋部13は、一次蓋31と、二次蓋32と、三次蓋33とを有している。一次蓋31は、胴部12における胴本体21の開口部22に対して着脱可能に取付けられる。二次蓋32は、一次蓋31の外側で開口部22に対して着脱可能に取付けられる。三次蓋33は、二次蓋32の外側で開口部22に対して着脱可能に取付けられる。一次蓋31は、キャビティ24側の負圧を維持してキャビティ24内に充填されたガスの漏洩を防ぐと共に、キャビティ24内に収納された放射性物質から出る放射線(γ線)を遮蔽する。また、一次蓋31は、二次蓋32側にレジン(中性子遮蔽体)34が設けられている。二次蓋32は、一次蓋31との間に大気に対して加圧された圧力監視境界を有し、一次蓋31からのガスの漏洩を阻止すると共に、キャビティ24側の圧力を担保する。三次蓋33は、二次蓋32を外部の衝撃から防御する。
胴部12は、胴本体21の開口部22の内周部に3個の段付部41,42,43が設けられている。第1段部41は、第1座面部41aを有し、第1座面部41aに複数のネジ穴41bが胴本体21の周方向に等間隔で形成されている。第2段部42は、第1段部41よりも開口部22の外側に位置し、第2座面部42aを有し、第2座面部42aは、複数のネジ穴42bが胴本体21の周方向に等間隔で形成されている。第3段部43は、第2段部42よりも開口部22の外側に位置し、第3座面部43aを有し、第3座面部43aは、複数のネジ穴43bが胴本体21の周方向に等間隔で形成されている。
一次蓋31は、第1段部41に嵌合し、第1座面部41aに密着する。そして、ボルト51が一次蓋31を貫通してネジ穴41bに螺合することで、一次蓋31は、胴本体21の開口部22における第1段部41に固定される。二次蓋32は、第2段部42に嵌合し、第2座面部42aに密着する。そして、ボルト52が二次蓋32を貫通してネジ穴42bに螺合することで、二次蓋32は、胴本体21の開口部22における第2段部42に固定される。三次蓋33は、第3段部43に嵌合し、第3座面部43aに密着する。そして、ボルト53が三次蓋33を貫通してネジ穴43bに螺合することで、三次蓋33は、胴本体21の開口部22における第3段部43に固定される。
このように構成されたキャスク11にて、胴部12は、胴本体21の外周側に複数の伝熱フィン26が周方向に所定間隔で溶接により固定され、その外側に外筒25が溶接により固定され、胴本体21と外筒25と各伝熱フィン26との間にレジン27が充填されて構成されている。
本実施形態の外筒の組立装置は、胴本体21の外周面に固定された複数の伝熱フィン26の外側に外筒25を自動的に組付けるものである。図1は、本実施形態の外筒の組立装置を表す概略構成図である。
本実施形態の外筒の組立装置は、図1に示すように、回転支持装置101と、作業用ロボット102と、隙間計測装置103と、隙間調整装置104と、溶接装置105と、制御装置106とを有する。この場合、作業用ロボット102と隙間計測装置103と隙間調整装置104と溶接装置105は、回転支持装置101に支持された胴本体21の下方側に配置されている。なお、作業用ロボット102を2組設け、回転支持装置101に支持された胴本体21の両側に配置してもよい。
回転支持装置101は、例えば、ターニングローラであって、胴本体21を横倒し状態で回転自在に支持するものである。回転支持装置101にて、支持台111は、複数の脚部112により床面113に設置されており、前後一対の支持ローラ114,115が回転自在に支持されている。この各支持ローラ114,115は、2個ずつ設けられており、一対の支持ローラ114が胴本体21における上部(開口部22近傍)の外周面を支持し、一対の支持ローラ115が胴本体21における上部(底部23近傍)を支持することで、胴本体21を横倒し状態で回転自在に支持することができる。また、各支持ローラ114,115は、駆動装置116が駆動連結されており、駆動装置116により各支持ローラ114,115を正転駆動及び逆転駆動することができる。
本実施形態にて、作業用ロボット102は、多関節アーム121と、治具装着部122と、CCDカメラ123を有している。隙間計測装置103は、隙間を計測する隙間計測治具131を有し、隙間調整装置104は、隙間調整治具132を有し、溶接装置105は、溶接治具133を有している。そして、作業ロボット102は、多関節アーム121の治具装着部122に隙間計測治具131と隙間調整治具132と溶接治具133のいずれかを選択的に着脱自在となっている。そして、隙間計測治具131と隙間調整治具132と溶接治具133は、作業台134上に載置されている。
以下、隙間計測装置103の隙間計測治具131、隙間調整装置104の隙間調整治具132、溶接装置105の溶接治具133について詳細に説明する。
図2は、隙間計測装置を表す側面図、図3は、隙間計測装置を表す正面図である。
隙間計測装置103にて、図2及び図3に示すように、隙間計測治具131は、作業用ロボット102に装着され、胴本体21と外筒25との間で、且つ、隣接する伝熱フィン26の間の空間部Rへ挿入可能であり、伝熱フィン26の他側部と外筒25の内周部との隙間Sを計測するものである。この隙間計測治具131にて、支持ロッド201は、外筒25の軸方向長さより長い長さを有し、基端部が作業用ロボット102における多関節アーム121の治具装着部122に着脱自在となっている。この支持ロッド201は、中間部に複数のコロ202が装着され、先端部に計測ヘッド203が取付けられている。計測ヘッド203は、内部に隙間センサ204が収容されており、隙間センサ204は、センサケーブル205が接続されている。
そのため、作業用ロボット102は、多関節アーム121が作動することで、治具装着部122に隙間計測治具131が装着され、この隙間計測治具131を先端部側から空間部Rに挿入する。このとき、隙間計測治具131は、基端部が多関節アーム121に支持され、先端部が複数のコロ202により外筒25と伝熱フィン26とが連結される鋭角部に転動自在に支持される。そして、隙間計測治具131が空間部R内を移動するとき、隙間センサ204が伝熱フィン26と外筒25との隙間Sの大きさを計測する。
図4は、隙間調整装置を表す概略図、図5は、隙間調整装置の要部を表す側面図、図6は、隙間調整装置の要部を表す平面図、図7は、隙間調整装置の要部を表す正面図である。
隙間調整装置104にて、図4に示すように、隙間調整治具132は、作業用ロボット102に装着され、空間部Rへ挿入可能であり、胴本体21に固定された一側部を支点として伝熱フィン26の取付角度を変更することで、隙間Sの大きさを調整(減少)するものである。この隙間調整治具132にて、支持ロッド211は、外筒25の軸方向長さより長い長さを有し、基端部に作業用ロボット102における多関節アーム121の治具装着部122に着脱自在な連結部212が設けられている。支持ロッド211は、長手方向に所定間隔で複数のジャッキアップ装置213,214が設けられている。この場合、ジャッキアップ装置213,214は、2個で1組をなし、先端部に1組の異なるジャッキアップ装置213,214が装着され、中間部に複数組の同じジャッキアップ装置214,214が装着されている。このジャッキアップ装置213,214は、隣接する伝熱フィン26の一方を起点として他方を押圧可能である。
図5に示すように、支持ロッド211は、断面が略コ字形状をなし、底部211aと、底部211aの両側から直角に屈曲する左右の側部211b,211cと、各側部211b,211cから直角に屈曲する左右のフランジ部211d,211eとを有している。ジャッキアップ装置213,214は、この支持ロッド211に所定間隔を空けて固定されている。そして、支持ロッド211は、ジャッキアップ装置213,214の間に継手215が固定され、ジャッキアップ装置213,214からの配管216,217がこの継手215により連結され、継手215の連結部218に油圧供給管219が連結されている。
ジャッキアップ装置213において、図5から図7に示すように、支持ロッド211は、その外側で底部211a及び側部211b,211cを囲繞するように本体(装置本体)221が固定されており、本体221の底部211a側に支持部222が固定されている。この支持部222は、反力部223と先細部224とを有している。反力部223は、本体221への取付面に対して所定角度傾斜した押圧面223aを有し、先細部224は、本体221への取付面に対して支持ロッド211の先端部側に向けて先細となる傾斜面224aを有している。
本体221は、フランジ部211d,211e側に連結部材225を介して取付台226が固定されており、この取付台226に押圧部227が固定されている。この押圧部227は、油圧ジャッキ228により構成され、軸方向に移動自在な駆動ロッド229が設けられ、先端部に本体221への取付面に平行となる押圧面229aが設けられている。また、取付台226は、取付板230を介して先細部231が固定されている。先細部231は、本体221への取付面に対して支持ロッド211の先端部側に向けて先細となる傾斜面231aを有している。
本体221は、側部211c側にガイド部232が固定されている。このガイド部232は、接触部233と先細部234とを有している。接触部233は、本体221への取付面に対して所定角度傾斜した接触面233aを有し、先細部234は、本体221への取付面に対して支持ロッド211の先端部側に向けて先細となる傾斜面234aを有している。
一方、ジャッキアップ装置214は、図5に示すように、ジャッキアップ装置213とほぼ同様の構成となっている。支持ロッド211の外側で底部211a及び側部211b,211cを囲繞するように本体(装置本体)241が固定されており、本体241の底部211a側に支持部242が固定されている。この支持部242は、反力部243を有し、反力部243は、本体241への取付面に対して所定角度傾斜した押圧面243aを有している。
本体241は、フランジ部211d,211e側に連結部材244を介して取付台245が固定されており、この取付台245に押圧部246が固定されている。この押圧部246は、油圧ジャッキ247から構成され、軸方向に移動自在な駆動ロッド248が設けられ、先端部に本体241への取付面に平行となる押圧面248aが設けられている。本体241は、側部241c側にガイド部249が固定されている。このガイド部249は、接触部250を有し、接触部250は、本体241への取付面に対して所定角度傾斜した接触面250aを有している。
そのため、図1、図5から図7に示すように、作業用ロボット102は、多関節アーム121が作動することで、治具装着部122に隙間調整治具132が装着され、この隙間調整治具132を先端部側から空間部Rに挿入する。このとき、隙間調整治具132は、支持部222,242が一方の伝熱フィン26aにおける胴本体21の外周面に対して鈍角θ1をなす平面部側で、押圧部227,246が他方の伝熱フィン26bにおける胴本体21の外周面に対して鋭角θ2をなす平面部側に位置するように空間部Rに挿入される。
また、隙間調整治具132を空間部Rへ挿入するとき、隙間調整治具132は、支持ロッド211の先端部にあるジャッキアップ装置213の先細部224,231,234により案内され、容易に空間部Rに導かれる。また、隙間調整治具132が空間部R内を移動するとき、隙間調整治具132は、ジャッキアップ装置213,214の支持部222,242における反力部223,243の反力面223a,243aが一方の伝熱フィン26aの平面部を摺動し、ガイド部232,249における接触部233,250の接触面233a,250aが外筒25の内周部を摺動することとなる。
そして、隙間調整治具132が空間部Rにおける所定の位置まで挿入されると、隙間計測装置103の計測結果から隙間Sの大きさが予め設定された規定値より大きいとき、この位置に配置されたジャッキアップ装置213,214を作動させる。即ち、ジャッキアップ装置213,214にて、ガイド部232,249における接触部233,250の接触面233a,250aが外筒25の内周部に接触し、支持部222,242における反力部223,243の反力面223a,243aが伝熱フィン26aの平面部に接触して反力を受け止め可能な状態で、押圧部227,246の油圧ジャッキ228,247を作動し、駆動ロッド229,248を突出させる。すると、押圧部227,246は、油圧ジャッキ228,247における駆動ロッド229,248の押圧面229a,248aが伝熱フィン26bの平面部を押圧することで、この伝熱フィン26bの取付角度を変更する。
即ち、ジャッキアップ装置213,214は、支持部222,242における反力部223,243が伝熱フィン26aにおける胴本体21への固定側に接触して反力を取り、押圧部227,246における駆動ロッド229,248が伝熱フィン26bにおける外筒25への自由端側を押圧する。そのため、ジャッキアップ装置213,214は、伝熱フィン26aから十分な反力を確保し、伝熱フィン26bの自由端側を押圧するため、この伝熱フィン26bを胴本体21への固定端を支点として自由端側を外筒25側に移動することとなり、伝熱フィン26bの取付角度を変更して隙間Sを減少させることができる。
図8は、溶接装置を表す側面図、図9は、溶接装置を表す正面図である。
溶接装置105にて、図8及び図9に示すように、溶接治具133は、作業用ロボット102に装着され、空間部Rへ挿入可能であり、隙間調整装置104により隙間Sの大きさが調整された状態で伝熱フィン26の他側部と外筒25の内周部とを溶接するものである。この溶接治具133にて、支持ロッド261は、外筒25の軸方向長さより長い長さを有し、基端部が作業用ロボット102における多関節アーム121の治具装着部122に着脱自在となっている。この支持ロッド261は、先端部にコロ262が装着され、上部に溶接トーチ263が支持されている。溶接トーチ263は、図示しない溶接ワイヤを自動的に送給すると共に、溶接電流やシールドガスを供給することができ、ノズル264が前方の下方に延出されている。
そのため、作業用ロボット102は、多関節アーム121が作動することで、治具装着部122に溶接治具133が装着され、この溶接治具133を先端部側から空間部Rに挿入する。このとき、溶接治具133は、基端部が多関節アーム121に支持され、先端部がコロ262により外筒25と伝熱フィン26とが連結される鈍角部に転動自在に支持される。そして、溶接治具133が空間部R内を移動するとき、伝熱フィン26と外筒25とを溶接する。
また、図1に示すように、制御装置106は、回転支持装置101と作業用ロボット102とに接続され、駆動制御可能となっている。また、制御装置106は、作業用ロボット102に接続された隙間計測装置103と隙間調整装置104と溶接装置105を駆動制御可能となっている。
また、制御装置106は、作業用ロボット102のCCDカメラ123からの画像に基づいて回転支持装置101を駆動制御することで、回転支持装置101に支持された胴本体21を回転位置決めすることができる。胴本体21は、底部23に底板28(図11参照)を固定するための複数のネジ孔(図示略)が設けられており、制御装置106は、CCDカメラ123からの画像に基づいて胴本体21の回転位相を検出し、回転支持装置101により胴本体21を回動して作業位置(角度)に位置決めすることができる。
以下、本実施形態の外筒の組立方法について、詳細に説明する。図10は、本実施形態の外筒の組立方法を表すフローチャートである。
本実施形態の外筒の組立方法は、一側部が胴本体21の外周部に固定された複数の伝熱フィン26の他側部に外筒25を組付ける外筒の組立方法において、伝熱フィン26の他側部と外筒25の内周部との隙間を計測する工程と、一側部を支点として伝熱フィン26の取付角度を変更することで隙間Sの大きさを調整する工程と、隙間Sの大きさが調整された状態で伝熱フィン26の他側部と外筒25の内周部とを溶接する工程とを有する。
具体的に説明すると、図1及び図10に示すように、ステップS11にて、クレーン(図示略)を用いて胴本体21を搬送し、この胴本体21を横倒し状態で回転支持装置(ターニングローラ)101上に載置し、回転自在に支持する。ステップS12にて、複数の伝熱フィン26が固定された胴本体21の外側に外筒25を仮固定する。外筒25は、半円筒形状をなす2枚の板材を円筒形状に組み合わせて構成されるものである。半円筒形状をなす2枚の板材(外筒25)は、複数の伝熱フィン26の外側に配置され、複数の連結治具301により仮連結される。また、外筒25は、上端部が胴本体21の上部に密着され、下端部が伝熱フィン26に続くように胴本体21に溶接された複数の支持板302に仮溶接により固定される。
ステップS13にて、制御装置106は、回転支持装置101を駆動制御することで胴本体21を回転し、所定の作業位置に位置決めする。即ち、作業ロボット102のCCDカメラ123が胴本体21の下端部のネジ穴を検出することで、胴本体21の回転位相を検出し、回転支持装置101により胴本体21を回転し、作業する空間部Rを所定の作業位置に位置決めする。そして、制御装置106は、以下の作業により胴本体21における各伝熱フィン26の外側に外筒25を溶接する。
ステップS14にて、制御装置106は、作業用ロボット102を駆動制御し、多関節アーム121が作動して治具装着部122に隙間計測治具131を装着し、この隙間計測治具131を空間部Rに挿入する。ステップS15にて、制御装置106は、作業用ロボット102を駆動制御し、多関節アーム121を作動して治具装着部122から隙間計測治具131を取外す一方、治具装着部122に隙間調整治具132を装着し、この隙間調整治具132を隙間計測治具131が配置された空間部Rの隣の空間部Rに挿入する。即ち、隙間計測治具131は、図3に示すように、空間部Rの鋭角側から隙間Sを計測可能とし、隙間調整治具132は、図7に示すように、空間部Rの鈍角側から隙間Sを調整可能とする。
そして、ステップS16にて、制御装置106は、作業用ロボット102を駆動制御し、多関節アーム121を作動して治具装着部122から隙間調整治具132を取外す一方、治具装着部122に隙間計測治具131を装着し、この隙間計測治具131を空間部Rの長手方向、つまり、胴本体21の上下方向に沿って移動させ、隙間センサ204により伝熱フィン26と外筒25との隙間Sの大きさを計測する。
ステップS17にて、制御装置106は、隙間センサ204の計測結果に基づいて、伝熱フィン26と外筒25との隙間Sが伝熱フィン26と外筒25の全領域にわたって規定値(望ましくは、隙間S=0)より大きいかを判定する。ここで、隙間Sが全領域にわたって規定値以下であると判定(No)されると、ステップS19に移行する。一方、隙間Sが全領域にわたって規定値より大きいと判定(Yes)されると、ステップS18に移行する。
ステップS18にて、隙間Sの調整作業を実施する。即ち、制御装置106は、作業用ロボット102を駆動制御し、多関節アーム121を作動して治具装着部122から隙間計測治具131を取外す一方、治具装着部122に隙間調整治具132を装着し、該当箇所のジャッキアップ装置213,214を作動する。図5及び図7に示すように、ガイド部232,249における接触部233,250が外筒25の内周部に接触し、支持部222,242における反力部223,243が伝熱フィン26aの平面部に接触した状態で、押圧部227,246の油圧ジャッキ228,247を作動する。すると、ジャッキアップ装置213,214は、支持部222,242が伝熱フィン26aから反力を取り、押圧部227,246における駆動ロッド229,248が伝熱フィン26bを押圧する。そのため、伝熱フィン26bは、胴本体21への固定端を支点として自由端側が外筒25側に移動して接触するため、伝熱フィン26bと外筒25との隙間Sが減少する。
隙間調整治具132により隙間Sが調整されると、ステップS19にて、制御装置106は、作業用ロボット102を駆動制御し、多関節アーム121を作動して治具装着部122から隙間調整治具132を取外す一方、治具装着部122に隙間計測治具131を装着し、この隙間計測治具131を空間部Rから抜き出して退避させる。ステップS20にて、制御装置106は、作業用ロボット102を駆動制御し、多関節アーム121を作動して治具装着部122から隙間計測治具131を取外す一方、治具装着部122に溶接治具133を装着し、この溶接治具133を隙間計測治具131が配置されていた空間部Rに挿入する。
そして、ステップS21にて、図9に示すように、作業用ロボット102は、この溶接治具133を空間部Rの長手方向、つまり、胴本体21の上下方向に沿って移動させ、溶接トーチ263により伝熱フィン26と外筒25とを仮溶接(点溶接)する。溶接が完了したら、ステップS22にて、制御装置106は、作業用ロボット102を駆動制御し、多関節アーム121を作動して溶接治具133を空間部Rから抜き出して退避させる。続いて、ステップS23にて、制御装置106は、作業用ロボット102を駆動制御し、多関節アーム121を作動して治具装着部122から溶接治具133を取外す一方、治具装着部122に空間部R内にある隙間調整治具132を装着する。そして、押圧部227,246の油圧ジャッキ228,247を作動し、伝熱フィン26bの押圧を解除した後、隙間調整治具133を空間部Rから抜き出して退避させる。
そして、このような作業の繰り返しにより胴本体21の複数の伝熱フィン26に対して外筒25の仮溶接が完了したら、続いて、胴本体21の伝熱フィン26に対して外筒25の本溶接を実施する。外筒25の本溶接は、溶接装置105により伝熱フィン26の鋭角側と鈍角側の両方から実施する。
このように本実施形態の外筒の組立装置にあっては、伝熱フィン26の他側部と外筒25の内周部との隙間Sを計測する隙間計測装置103と、一側部を支点として伝熱フィン26の取付角度を変更することで隙間Sの大きさを調整する隙間調整装置104と、隙間調整装置104により隙間Sの大きさが調整された状態で伝熱フィン26の他側部と外筒25の内周部とを溶接する溶接装置105とを設けている。
従って、隙間計測装置103が伝熱フィン26と外筒25との隙間Sを計測し、この隙間Sの大きさが規定値より大きいと、隙間調整装置104が伝熱フィン26の取付角度を変更することで隙間Sの大きさを減少させ、隙間Sの大きさが減少された状態で、溶接装置105が伝熱フィン26と外筒25とを溶接して固定する。そのため、伝熱フィン26と外筒25との隙間Sを減少させることで、伝熱フィン26と外筒25とを容易に溶接することができ、その結果、外筒25の取付精度を向上することができると共に取付作業性を向上することができる。
本実施形態の外筒の組立装置では、隙間調整装置104は、胴本体21と外筒25との間で且つ隣接する伝熱フィン26の間の空間部Rへ挿入可能であり、隣接する一方の伝熱フィン26aを起点として他方の伝熱フィン26bを押圧可能としている。従って、別途、反力部材を設ける必要がなく、適正に伝熱フィン26bを押圧することができ、構造の複雑化を抑制することができる。
本実施形態の外筒の組立装置では、隙間調整装置104は、一方の伝熱フィン26aにおける胴本体21の外周面に対して鈍角θ1をなす平面部を起点とし、他方の伝熱フィン26bにおける胴本体21の外周面に対して鋭角θ2をなす平面部を押圧可能としている。従って、他側部が胴本体21側にずれた伝熱フィン26を適正位置に修正することができ、伝熱フィン26と外筒25との隙間を適正に減少させることができる。
本実施形態の外筒の組立装置では、隙間調整装置104は、一方の伝熱フィン26aの一側部側を起点とし、他方の伝熱フィン26bの他側部側を押圧可能としている。従って、反力による一方の伝熱フィン26aの移動量を小さくし、押圧力による他方の伝熱フィン26bの移動量を大きくすることとなり、他方の伝熱フィン26bと外筒25との隙間Sを適正に減少させることができる。
本実施形態の外筒の組立装置では、隙間調整装置104は、空間部Rへ挿入可能な本体221,241と、本体221,241に設けられて一方の伝熱フィン26aに接触して反力をとる支持部222,242と、本体221,241に設けられて他方の伝熱フィン26bを押圧して取付角度を変更する押圧部227,246と、外筒25に沿って本体221,241を案内するガイド部232,249とを有している。従って、隙間調整治具132を空間部Rへ適正に挿入することができ、伝熱フィン26と外筒25との隙間Sを適正に減少させることができる。
本実施形態の外筒の組立装置では、多関節アーム121を有する作業ロボット102を設け、作業ロボット102が多関節アーム121に隙間計測治具131と隙間調整治具132と溶接治具133のいずれかを選択的に着脱自在としている。従って、1台の作業ロボット102により隙間計測作業と隙間調整作業と溶接作業を実施することができ、設備を簡素化することができる。
また、本実施形態の外筒の組立方法にあっては、伝熱フィン26の他側部と外筒25の内周部との隙間Sを計測する工程と、一側部を支点として伝熱フィン26の取付角度を変更することで隙間Sの大きさを調整する工程と、隙間Sの大きさが調整された状態で伝熱フィン26の他側部と外筒25の内周部とを溶接する工程とを有している。伝熱フィン26と外筒25との隙間Sを減少させることで、伝熱フィン26と外筒25とを容易に溶接することができ、その結果、外筒25の取付精度を向上することができると共に取付作業性を向上することができる。
また、本実施形態の隙間調整装置にあっては、空間部Rへ挿入可能な本体221,241と、本体221,241に設けられて一方の伝熱フィン26aに接触して反力をとる支持部222,242と、本体221,241に設けられて他方の伝熱フィン26bを押圧して取付角度を変更する押圧部227,246と、外筒25に沿って本体221,241を案内するガイド部232,249とを設けている。従って、支持部222,242が一方の伝熱フィン26aの一側部側で反力をとり、押圧部227,246が他方の伝熱フィン26bの他側部側を押圧して取付角度を変更することとなり、伝熱フィン26と外筒25との隙間Sを容易に減少させることができる。
なお、上述した実施形態では、1台の作業ロボット102が多関節アーム121に隙間計測治具131と隙間調整治具132と溶接治具133を着脱自在としたが、3台の作業ロボットを適用してもよい。