JP6460685B2 - 運搬台車 - Google Patents
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Description
図1は運搬台車1の底面図である。図2は運搬台車1の平面図である。図3は運搬台車1の側面図である。各図では、運搬台車1の進行方向を前後方向として、前側をFr、後側をRr、右側をR、左側をLで示している。したがって、図3の側面図は、運搬台車1の進行方向に対して直交する方向から見た図である。なお、本実施形態の運搬台車1は、前側に限られず、前後左右を含め任意の方向に走行することができる。
まず、台車本体10について説明する。
台車本体10は、鉄製またはアルミニウム合金製の複数の角状のパイプ11により構成されるフレーム部12と、フレーム部12の上部に結合され被載物である物品を載置するためのベース13とを有している。
図1に示すように、フレーム部12は、パイプ11を前後左右方向に付き合わせて接合し格子状に形成される。ここでは、前後方向に長尺な4本のパイプ11aと、左右方向にやや短尺なパイプ11bと、左右方向に短尺なパイプ11cとを接合することで、前後方向に3列、左右方向に4列の複数の矩形状の空間14が形成される。フレーム部12の4つ角部には、コーナ部材15によってパイプ11aとパイプ11bとが接合される。コーナ部材15は、例えば押出し成形により形成されたアルミニウム合金製であって、上下方向に手押棒が挿入される挿入孔15aが形成される。
図2に示すように、ベース13は、取付板40が取り付けられなかった空間14全体を上方から閉塞するようにしてフレーム部12に溶接などにて結合される。
本実施形態では、キャスター20が少なくとも台車本体10の下面の4隅に配置されるので、運搬台車1を走行させるときに台車本体10が傾くことなく安定した状態で走行させることができる。
本実施形態のキャスター20は、車輪21、支持部25、ブレーキペダル35などを有している。
車輪21は、物品が載置された台車本体10を円滑に走行できる耐荷重に設定される。車輪21は、内部にベアリングが内蔵されたホイール部22と、ホイール部22の外周に嵌め込まれたタイヤ部23とを有する。
フォーク部材26は、例えば鋼板をプレス成形することによって形成される。フォーク部材26は、車輪21の両側にそれぞれ位置する一対の側壁26aと、一対の側壁26aを車輪21の上側で連結させた円形の天板26bとで一体的に形成される。一対の側壁26aにはそれぞれ車軸24が挿通される車軸孔26cと、ペダル保持部材31を支持するための軸孔26dが形成される。天板26bは後述するベアリングを介して上皿部材27と下皿部材28とにより挟持されている。
上皿部材27は、例えば鋼板をプレス成形することによって形成される。上皿部材27は、天板26bよりもやや大きな円形に形成され、中央には旋回軸Oと同軸状に挿通孔27aが形成される。また、上皿部材27は、下面にベアリング29を安定して配置するために環状の収容溝27bが形成される。このように、環状の収容溝27bを形成することによって、逆に上皿部材27の上面には旋回軸Oを中心とした環状に沿って、断面視で円弧状の突出部27cが形成される。また、上皿部材27は、突出部27cから挿通孔27aに向かうにしたがって、下側に傾斜する傾斜部27dが形成される。また、上皿部材27の外周縁部27eは、断面視で円弧状に形成された後に垂下して形成される。
ここで、上皿部材27と下皿部材28とは、挿通孔27aおよび挿通孔28aの近辺で両者が相対的に回転しないように一体的に結合されている。したがって、天板26b、すなわちフォーク部材26は、上皿部材27および下皿部材28に対して、ベアリング29,30を介して旋回軸Oを中心に旋回可能である。
また、側壁31aの上部であって、連結板31bに近接した位置には、ブレーキペダル35を揺動可能に支持するための支持孔31gが形成される。また、側壁31aの支持孔31gの下側には、略前後方向に長い長孔31hが形成される。
ペダル保持部材31が車軸24および軸部材32を介してフォーク部材26により支持された状態では、連結板31bは後部に向かうにしたがって下側に傾斜する。本実施形態では連結板31bの傾斜角度が略45度である。
なお、進行方向を180度反転させた場合には逆に車輪21が前側になるように旋回する。したがって、前側のキャスター20は、ブレーキペダル35の操作片35bが前側のパイプ11bを超えて位置する。
図5は、ブレーキを解除した状態を示すキャスター20の断面図である。図5に示すように、ブレーキを解除した状態では、ブレーキペダル35は軸部材36を中心として上昇した位置にある。ここでは、板バネ33の一端部33bが天板26bに対して接し、他端部33cが板バネ33自身の付勢力によって軸部材37のみに接している。すなわち、図5の状態は、車輪21は何れの部材にも接触していないために、車輪21が自由に回転できる、ブレーキが解除された状態である。なお、ブレーキペダル35は、ペダル本体35aがペダル保持部材31に重なり合う位置で各部材間の摩擦力などによって保持されている。
なお、図6の状態から、使用者が足などでブレーキペダル35の操作片35bを上側に押し上げるような操作をすることで、再び図5の状態に戻すことができ、ブレーキを解除することができる。
図7は、キャスター20と取付板40との結合構造を上側から見た分解斜視図である。ここでは、1箇所のキャスター20と取付板40との結合構造を説明するが、他の箇所の結合構造も同様である。
運搬台車1は、キャスター20、取付板40、補強部材50、座金部材42、ボルト44、ナット46などを有する。図7に示すキャスター20は、既に組み立てられたものである。
また、図8に示すように、取付板40には、旋回軸Oを中心とした環状リブ40dが形成される。環状リブ40dは取付板40の下面40cから膨出する。また、取付板40には、環状リブ40dを囲むように複数の矩形状リブ40eが形成される。矩形状リブ40eは、矩形の外形に沿って下面40cから凹ませることで形成される。すなわち、矩形状リブ40e内の領域は、下面40cと同一高さの平坦面である。矩形状リブ40eは、旋回軸Oを中心とした円周方向に沿って等間隔の位置であって、前後左右および前後左右のそれぞれ中間の計8箇所に形成される。ここで、複数の矩形状リブ40eのうち、左右の矩形状リブ40e内には補強部材50を所定の位置に位置決めするために、位置決め部としての突起40fが形成される。環状リブ40dおよび矩形状リブ40eが形成することで取付板40の剛性を向上させることができる。
なお、取付板40の周囲には、ブラインドリベット16を挿入して取付板40を台車本体10に取り付けるための複数の固定孔40gが形成される。
また、補強部材50は、上皿部材27の上面に接触する下側凸部50bと、取付板40の下面40cに接触する上側凸部50cとが形成される。下側凸部50bは下側に向かって膨出するリブ状であり、旋回軸Oを中心とした円周方向に沿って等間隔の位置に計8箇所形成される。また、上側凸部50cは上側に向かって膨出するリブ状であり、旋回軸Oを中心として円周方向に沿って等間隔の位置に計8箇所形成される。したがって、補強部材50を平面視で見たときに、下側凸部50bと上側凸部50cとは環状に沿って交互に形成される。
各上側凸部50cは、それぞれの中央に環状に沿った凹部50eが形成される(図7を参照)。凹部50eは、補強部材50の上側凸部50cと取付板40の下面40cとを平面同士で接触させるために、環状リブ40dとの干渉を避けるためのものである。
また、補強部材50のうち左右の端部には、取付板40の突起40fに係合する被位置決め部としての切欠50fが形成される。
図9に示すように補強部材50を取付板40に重ね合わせた状態では、8つの上側凸部50cが前後左右および前後左右のそれぞれ中間に位置している。下側凸部50bと上側凸部50cとは交互に形成されていることから、各上側凸部50cに隣接する両側には下側凸部50bが位置している。取付板40と補強部材50とは、取付板40の突起40fと補強部材50の切欠50fとが係合することによって位置決めされる。このとき、各上側凸部50cの上面のうち凹部50eよりも外周側は、それぞれ取付板40の矩形状リブ40e内に当接される。ここで、取付板40の矩形状リブ40e内は平坦面であることから、補強部材50と取付板40とはガタつくことなく重なり合う。
なお、座金部材42は、外径が補強部材50の開口部50aの内径と略同一の寸法に設定されているために、プレス成形で補強部材50の開口部50aを打ち抜いた円形の材料を用いて製造することができる。したがって、材料を有効に利用することで座金部材42および補強部材50を安価に製造することができる。
図10は、キャスター20と取付板40との結合構造を示す一部断面図である。図10に示すように、補強部材50は、取付板40とキャスター20との間に位置し、取付板40の下面40cとキャスター20の上面とに接触した状態で配置される。具体的には、補強部材50の上側凸部50cの上面は、取付板40の下面40cに接触する。このとき、上側凸部50cに形成された凹部50eにより、取付板40の環状リブ40dとの干渉を避けることができる。一方、補強部材50の下側凸部50bでは、下側凸部50bの下面のうち、開口部50aから膨出部50dまでに亘る傾斜部分が、上皿部材27の上面のうち外周側および外周縁部27eに接触する。なお、上皿部材27の上面のうち突出部27cおよび挿通孔27a近辺は、補強部材50が介在することなく取付板40の下面40cに直接、接触する。すなわち、補強部材50は、取付板40の下面40cと上皿部材27の上面との間に生じる隙間を埋めるように配置される。
まず、ブレーキペダル35の操作片35bの作用について説明する。
図3に示すように、運搬台車1をフォークリフトで搬送する場合、運搬台車1の下方であって前後のキャスター20の間にフォークリフトの2本のフォーク60を差し込み上昇させることで、運搬台車1の下面を支持しながら搬送する。
このとき、2本のフォーク60を運搬台車1に差し込む位置や、上昇させる位置がキャスター20に近接している場合には、ブレーキペダル35がフォーク60によって押し上げられ、ブレーキペダル35やフォーク部材26などが変形したり破損したりする虞がある。
図11は、上昇しているフォーク60がブレーキペダル35の操作片35bに接触したときの状態を示す側面図である。ここで、操作片35bの下面は、先端が水平よりも上方向に傾斜している。したがって、フォーク60によりブレーキペダル35を上昇させる力は、傾斜する操作片35bによって運搬台車1を車輪21の進行方向に移動させる力に変換される。なお、操作片35bの傾斜角度αは、上昇される力を進行方向への力へと効率よく変換できるように、例えば10度以上50度以下に設定されていることが好ましく、ここでは略30度に設定されている。
図12は、フォーク60を更に上昇させたときの状態を示す側面図である。運搬台車1は傾斜する操作片35bによって変換された力により進行方向に移動する。したがって、フォーク60を更に上昇させてもブレーキペダル35はフォーク60と接触する位置から移動しているために、キャスター20が変形したり破損したりすることが防止される。すなわち、キャスター20を破損させることなく運搬台車1をフォークリフトで搬送することができる。
ここでは、図11に示すように、車輪21の後端の外形線から後側に露出されたペダル本体35aの下面のうち、操作片35bの傾斜角度と略同一角度に傾斜した下面の前後長さL1が操作片35bの傾斜角度と異なる角度に傾斜した下面の前後長さL2よりも長く形成される。したがって、上昇しているフォーク60が操作片35bあるいは操作片35bの傾斜角度と略同一角度に傾斜したペダル本体35aの下面に接触させ易くすることができる。
図10に示すように、進行方向の前側にある障害物Bにキャスター20の車輪21が衝突する場合を想定する。車輪21が障害物Bに衝突すると、キャスター20にはボルト44を中心として矢印A方向に回転しようとするモーメントが発生する。ここで、補強部材50を配置しない場合には、取付板40の下面40cとキャスター20の上面との間、より具体的には取付板40の下面40cと、上皿部材27の上面のうち突出部27cを超え外周縁部27eに到るまでの部分との間に隙間が存在する。したがって、キャスター20はボルト44を中心とした矢印A方向への回転が隙間の分だけ許容されるために、フォーク部材26が塑性変形してしまう虞がある。
なお、補強部材50の下側凸部50bおよび上側凸部50cは、補強部材50の環状に沿って交互に形成されていることから、障害物Bが車輪21の前側で衝突する場合に限られず、旋回軸Oに対して何れの方向から力が付加されても、フォーク部材26の塑性変形を防止することができる。
上述した実施形態では、台車本体10の下面に4つのキャスター20を配置する場合について説明したが、この場合に限られない。キャスター20の数は、運搬台車1の用途などに応じて自由に変更することができる。例えば、平面視で4つのキャスター20により囲まれた領域の内側、外側および領域線上の少なくとも何れかの位置に一つ以上のキャスター20を追加してもよい。例えば、領域の内側であって左右方向における中央に、前後に離して2つのキャスターを追加してもよい。また、例えば、右側に配置された前後の2つのキャスター20の間に一つ追加し、左側に配置された前後の2つのキャスター20の間に一つ追加し、計2つのキャスターを追加してもよい。何れの例であっても、追加する2つキャスターと、取付板40との間には補強部材50を配置することが好ましい。一方、追加する2つのキャスターは、ブレーキペダル35やペダル保持部材31がないブレーキなしキャスターであることが好ましい。
Claims (5)
- 被載物を載置する台車本体と、
前記台車本体に取り付けられる取付板と、
前記取付板の下面に取り付けられるキャスターと、
前記キャスターの上面、および、前記取付板の下面の何れにも接触した状態で配置される補強部材と、を備え、
前記補強部材は、前記取付板の下面に接触する上側凸部と、前記キャスターの上面に接触する下側凸部とが形成されていることを特徴とする運搬台車。 - 前記運搬台車の進行方向を前後方向としたとき、
前記補強部材は、少なくとも後部に前記上側凸部が形成され、前記上側凸部の両側に前記下側凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。 - 前記補強部材は、平面視で環状に形成され、前記上側凸部および前記下側凸部が環状に沿って交互に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の運搬台車。
- 前記取付板の下面には、位置決め部が形成され、
前記上側凸部には、前記位置決め部に係合する被位置決め部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の運搬台車。 - 前記キャスターの上面は、円形に形成され、
前記下側凸部は、前記キャスターの上面のうち外周縁部であって、断面視で円弧状に形成された部位に接触することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の運搬台車。
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