JP6460051B2 - 信号処理装置、信号処理方法 - Google Patents
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Description
上記特許文献3には、ヘッドホン装置により楽曲などのコンテンツの音声(オーディオ信号)を再生しているときに聴こえてくる外部のノイズをデジタル回路によりキャンセルする技術が開示されている。
例えばサンプリング周波数が異なるオーディオ信号を処理するには各サンプリング周波数毎に信号処理装置内部のフィルタの係数等を変更して対応しなければならない。
また信号処理装置では、多くは受信するオーディオ信号から基準となるクロックを再生し、そのクロックに同期して動作するが、その場合、信号処理装置内でサンプリング周波数の異なるオーディオ信号に対して、サンプリング周波数が変化しても内部係数等の変更の必要のない信号処理装置を実現することは困難であった。
例えば上記信号処理装置の上記サンプリングレート変換部は、入力されたデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数を上昇させるアップサンプリング部と該アップサンプリング部により上昇させたサンプリング周波数を、上記ノイズキャンセル処理用クロックに基づいた周波数に低下させるダウンサンプリング部とを備える。
<1.実施の形態に至る具体的事情の説明>
<2.第1の実施の形態>
<3.第2の実施の形態>
<4.第3の実施の形態>
<5.第4の実施の形態>
<6.第5の実施の形態>
<7.第6の実施の形態>
まず、実施の形態の説明に先だって、実施の形態の技術に至った具体的事情を説明する。
図1は、ノイズキャンセル動作を行う信号処理装置1の一例を表した図である。
この図に示されるノイズキャンセリングシステムとしての構成はフィードフォワード方式に基づいたものとなっている。ただし、本開示に係る信号処理装置はフィードフォワード方式に限定されるものではない。
フィードフォワード方式は、外部音(ノイズ)を収音した音声信号を得て、この音声信号について適切なフィルタリング処理を施して、キャンセル用音声信号を生成するようにされる。そして、このキャンセル用音声信号を、再生すべき音声信号に合成する。そして、この合成後の音声信号をヘッドホン等から音として出すことにより、外部音を打ち消すようにしてノイズキャンセルを図ろうとするものである。
この図により、各音楽ソースのサンプリング周波数が相異した場合のノイズキャンセリング動作の概要を説明する。
サンプリング周波数のm1(整数)倍のマスタークロック15(mcki)で動作するシステムにより、これら音楽ソースからデジタルオーディオ信号が読み出され、信号処理装置1に入力される。信号処理装置1では、その入力されたデジタルオーディオ信号からマスタークロックを生成し、その生成されたクロックを基準にして(同期して)動作する。
アップサンプリング部2は、入力されたデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数をより高いサンプリング周波数(n・Fsi)でサンプリングされた信号に変換するものとされる。nは通常4、8、16などである。nを1としていないのは、後段のDA変換部3としてΔΣ型のDA変換器を使用する場合、その入力として4倍程度以上にオーバーサンプリングされた信号を用いられることが多いこと、および、ノイズキャンセル全体の信号処理動作の遅延を防止するためである。
なお、この図では、L、Rの何れか一方のチャンネルに対応して設けられるスピーカ10及びマイクロホン11が示されている。
マイクロホン11は、キャンセル対象となるヘッドホン周囲の外部音(外部ノイズ)を収音するためのものである。ここでは、図示していないが、フィードフォワード方式の場合、このマイクロホン11は、実際には、スピーカ10が設けられたL、Rの各チャンネルごとに対応するヘッドホン筐体外部に対して設けるようにされるのが一般的である。
ノイズキャンセリングフィルタ5は、ダウンサンプリング部6からの出力が入力され、外部音をキャンセルする作用を持つ音のオーディオ信号(キャンセル用音声信号)を生成し出力する。かかるキャンセル用音声信号として最も簡単なものとしては、例えば、外部音を収音して得た信号に対して逆位相となる信号である。そのうえで、実際にあっては、ノイズキャンセリングシステムの系中における回路、空間などの伝達特性を考慮した特性が与えられるようにされる。
さらに、キャンセル用音声信号はフィルタに通され数kHz以上の不要な信号は除去される。
この合成されたデジタルオーディオ信号は、DA変換部3に入力され、アナログ信号に変換された後、アンプ8により増幅されスピーカ10により耳で聞く音に再生されることになる。
このようにして再生される音は、音楽ソースの音成分と、キャンセル用音声信号の音成分とが合成されたものとなるが、キャンセル用音声信号の音成分により、外部から耳に到達してくる外部音を打ち消す(キャンセルする)効果を生じることになる。この結果、ヘッドホン装着者が耳で聴く音としては、外部音がキャンセルされて、相対的に音楽ソースの音が強調されたものとなる。
図2は、音楽ソースのサンプリング周波数の違いによるカットオフ周波数の違いを表した図である。図2Aは、サンプリング周波数が32kHzの場合のフィルタ特性である。この場合、カットオフ周波数は5kHzとなる。
一方、図2Bは、サンプリング周波数が48kHzの場合のフィルタ特性である。この場合、カットオフ周波数は7.5kHzである。
本開示の実施の形態では、そのような処理を不要とする。つまりデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数Fsiが変化しても、ノイズキャンセリングフィルタ5のフィルタ係数を変更せずに、適切なノイズキャンセリング処理を実行できることとなる。
以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
本実施の形態に係る信号処理装置20は、信号処理装置20自身がマスタークロック30を持ち、そのマスタークロック30に同期しノイズキャンセル動作をするものである。
このマスタークロック30の周波数は、サンプリング周波数(Fso)のm2(整数)倍の周波数(mcko)を想定している。サンプリング周波数Fsoは32kHz、44.1kHz、48kHz、96kHz等のうち、いずれかの周波数でありFsiとは相異している。
サンプリングレート変換部23は、アップサンプリング部24、ダウンサンプリング部25およびFsi/Fso計測部26により構成できる。
サンプリングレート変換部23は、音楽ソースからの、サンプリング周波数Fsiでサンプリングされたデジタルオーディオ信号を信号処理装置20のマスタークロック30に同期して動作できるサンプリング周波数(n・Fso)でサンプルされたデジタルオーディオ信号に変換するものである。音楽ソースからのデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数はFsiなので、このままでは信号処理装置20のマスタークロックと同期せず、正常動作しないからである。
つぎにダウンサンプリング部25により、高いサンプリング周波数でサンプリングされた信号に変換されたデジタルオーディオ信号をより低いサンプリング周波数(n・Fso)でサンプリングされた信号に変換する。
これにより、音楽ソースのFsiでサンプリングされたデジタルオーディオ信号がマスタークロック30の下で動作が可能となる。
AD変換部29は、マイクロホン11により収音され、アンプ9により適正レベルに増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するものである。AD変換部29は、例えばΔΣ型1ビットAD変換器などとされ、アナログ信号を64・Fsoなど、非常に高いサンプリング周波数のデジタル信号に変換する。
マイクロホン11は、ノイズキャンセル対象となるスピーカ10を有するヘッドホンの周囲の外部音(外部ノイズ)を収音するためのものである。
上述したサンプリングレート変換部23の動作は、このノイズキャンセリング処理のためのサンプリング周波数(n・Fso)に合わせる動作となる。
このノイズキャンセリングフィルタ27は、ダウンサンプリング部28からの出力が入力され、これに対するフィルタ処理で、外部音をキャンセルする作用を持つ音のオーディオ信号(キャンセル用音声信号)を生成し出力する。さらにキャンセル用音声信号においては数kHz以上の不要な信号は除去される。
この合成されたデジタルオーディオ信号は、DA変換部21に入力され、アナログ信号に変換された後、アンプ8により増幅されスピーカ10により耳で聞く音に再生されることになる。
上述の外部ノイズ成分をキャンセルする信号特性となるノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセリングフィルタ27、及び該フィルタで生成されるノイズキャンセル信号をデジタルオーディオ信号に重畳する加算部22とからノイズキャンセル部が構成される。
このようにして再生される音は、音楽ソースの音成分と、キャンセル用音声信号の音成分とが合成されたものとなるが、キャンセル用音声信号の音成分により、外部から耳に到達してくる外部音を打ち消す(キャンセルする)効果を生じることになる。この結果、ヘッドホン装着者が耳で聴く音としては、外部音がキャンセルされて、相対的に音楽ソースの音が強調されたものとなる。
そして本例の場合、サンプリングレート変換部23から出力されるデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数も、このサンプリング周波数(n・Fso)にあわせられる。
特にノイズキャンセリングフィルタ27の有する機能である、数kHz以上の不要な信号を除去する機能において、再生すべきデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数はFsoを基礎としたサンプリング周波数の信号に変換されており、ノイズキャンセリングフィルタ27が対象とする信号はサンプリング周波数がFsoを基礎とする信号となる。
したがって、そのフィルタ特性のカットオフ周波数は音楽ソースのデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数(Fsi)によらない固定の値とすることができる。すなわち、音楽ソースのデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数(Fsi)が変わる毎に、フィルタ係数の入れ替えをするといった処理は不必要となり、処理負担が少なく動作効率の良い信号処理装置を提供することができる。
続いて第2の実施の形態について説明する。
以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
イコライザとは、オーディオ信号の周波数特性を変更する音響機器のことであるが、一般的にノイズキャンセリングに用いるヘッドホンは低域の再生特性を重視しているので、好適な音楽再生をするにはあらかじめ低域をカットすることが行われる。
図4において、イコライザ16は音楽ソースからのデジタルオーディオ信号を直接受け、低域をカットする等の処理を行い、その信号をアップサンプリング部2に出力する。
本実施の形態にかかる信号処理装置40は、イコライザ41を有し、信号処理装置40自身がマスタークロック30を持ち、そのマスタークロック30に同期しノイズキャンセル動作を行うものである。
図5に示すように、サンプリングレート変換部23と加算部22の間にイコライザ41を配置する。これにより、サンプリングレート変換部23から出力された、n・Fsoのサンプリング周波数でサンプリングされたデジタルオーディオ信号がイコライザ41で低域カット等の処理が行われ、その信号が加算部22に入力され、キャンセル用音声信号に加算される。
図6は第3の実施の形態を説明する図である。信号処理装置50はマスタークロック30を単独で持っていることから、ノイズキャンセリング機能を単独で動作させることができる。したがって、音楽ソースからのデジタルオーディオ信号の入力が途切れたとしてもノイズキャンセリング機能を動作させることができる。
以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、本実施の形態では、入力検出部53、ゲート52およびゲート51が図3で説明した構成に付加される。
入力検出部53は、サンプリングレート変換部23から出力されたデジタルオーディオ信号について、加算部22への供給の可否を切り換える供給切換部の一例となる。
ゲート52とゲート51は、入力信号を切断又は接続して出力端子に出力するものである。
制御信号としてオン信号(例えば1)が供給されれば、オン状態となり、ゲート52とゲート51の出力端子には他の一方の端子に入力された信号(音楽ソースからのオーディオ信号)がそのまま出力されることになる。
逆に、制御信号としてオフ信号(例えば0)がゲート52とゲート51に供給されれば、ゲート52とゲート51はオフ状態となり、ゲート52とゲート51の出力端子には他の一方の端子に入力された信号(音楽ソースからのオーディオ信号)は出力されないことになる。
したがって、音楽ソースからのデジタルオーディオ信号が途切れたとしても、回路の接続状態をそのままとすることができ、ノイズキャンセリング効果を安定して維持することができる。
なお、ゲート52とゲート51は2つ持たせてもいいし、いずれか一方を持たせてもよい。
以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
これは図6の入力検出部53に代えてゲート制御部54を有する例である。ゲート制御部54は、サンプリングレート変換部23から出力されたデジタルオーディオ信号について、加算部22への供給の可否を切り換える供給切換部の一例となる。
ゲート制御部54によるゲート52とゲート51の制御により、音楽ソースからのデジタルオーディオ信号に対してノイズキャンセリングをするのか、音楽ソースからのデジタルオーディオ信号なしの状態でノイズキャンセリングをするのかの選択が可能となる。
例えばユーザ操作に応じてゲート制御部54が制御信号を出力するものとすれば、スピーカ10及びマイクロホン11を有するヘッドホンを装着したユーザが、音楽等を聴かずに遮音効果を望む場合に、ノイズキャンセリング動作による遮音効果を発揮できることとなる。
この場合も、ゲート52とゲート51の2つを持たせてもよいし、いずれか1つを持たせてもよい。
図8は、第4の実施の形態に係る信号処理装置60について説明するための図である。 信号処理装置60自身がマスタークロック30を持ち、フィードバック方式によるノイズキャンセリングシステムにおいて、ノイズキャンセリングフィルタ27の前後に音楽ソースからのデジタルオーディオ信号をそれぞれ加算してダイナミックレンジを確保しようとするものである。フィードバック方式においては、マイクロホンから再生する音声と共に外部ノイズを取り込むので、ダイナミックレンジを確保することは、ノイズキャンセルを際立たせるうえで有効なこととされている。
以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
また、マイクロホン63は、操作者によってスピーカ62からの出力音とヘッドホン69外部の音(外部音)とが聴取される聴取点と近接するような位置関係となるようにして、装着部61の内側に対して設けられる。
すなわち音楽ソースからのデジタルオーディオ信号を信号処理装置60が受信する経路として、サンプリングレート変換部91内にアップサンプリング部66およびダウンサンプリング部65の経路が追加される。アップサンプリング部66およびダウンサンプリング部65で周波数(n・Fso)にサンプリングレート変換されたデジタルオーディオ信号は、加算部93に供給される。すなわちこの経路を経由して、加算部93により音楽ソースからのデジタルオーディオ信号にダウンサンプリング部28から出力されたキャンセル用音声信号が重畳され、その重畳された信号がノイズキャンセリングフィルタ27に入力される。
図8ではノイズ入力のためのマイクを筐体内側、すなわちスピーカと同じ側にあるフィードバック形式のノイズキャンセリングシステムを想定している。この場合、フィードフォワード同様に音楽ソース信号は、ノイズキャンセリング信号と重畳されるが、この時、音楽ソース信号もフィードバックの系に組み込まれることに留意すべきである。一般的には、この重畳は、音楽ソース信号に適切なフィルタを掛けた後、ノイズキャンセリングフィルタ27の後に行われるが、この場合、フィルタには、おおまかにはノイズキャンセル特性の逆特性に近い形状のフィルタが必要となり、ノイズキャンセル量が大きいほど、極端にゲインの大きなフィルタが必要となり、結果、システムとしてダイナミックレンジを損なうことになる。
しかしながら、特許文献4によると、図8のように、音楽ソース信号に対して、適切なフィルタ67及びフィルタ68を経由して、ノイズキャンセリングフィルタ27の前後の両方で、重畳することで、フィルタに対して過剰なゲインのフィルタの使用を抑えることができ、システムのダイナミックレンジをより大きくとることができ、有効である。
なお、フィルタ68及びフィルタ67は、一方、または双方に対して、フィルタにより周波数の調整でなくゲインの調整のみとすることもできる。
なお、フィルタ68とフィルタ67によるフィルタ処理は、信号処理装置60側のサンプリング周波数n・Fsoの単位で行うより、音楽ソース側のサンプリング周波数Fsiの単位で行ったほうが演算回数が少なくて済み、全体としての消費電力および処理に負担が少なく好適である。
図9は、第5の実施の形態にかかる信号処理装置70について説明するための図である。信号処理装置70自身がマスタークロック30を持ち、マイクロホン11から収音された外部ノイズに基づいて、最適な周波数特性を音楽ソースからのデジタルオーディオ信号に付与しようとするものである。
以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
サンプリングレート変換部92内のアップサンプリング部72とダウンサンプリング部71は、それぞれダウンサンプリング部25およびアップサンプリング部24と逆特性を有する。すなわち、b/a=b’/a’の関係になっている。
そしてマイクロホン11から収音されて、アンプ9、AD変換部29およびダウンサンプリング部28を経由して、n・Fsoの周波数でサンプリングされた信号となっている音声信号を、まずアップサンプリング部72によりそのキャンセル用音声信号をサンプリング周波数が、例えば256・Fsoの周波数でサンプリングした信号に変換する。つぎにダウンサンプリング部71により、Fsi/Fsoの周波数比を用いて、256・Fsoサンプリングのデータを直線補間して、必要となるFsiサンプリング周波数の信号に変換する。
5バンドレベル解析部74は、ダウンサンプリング部71からの信号(すなわちマイクロホン11から収音された外部ノイズ)を解析するものであり、その信号がどの帯域に集中しているか解析することができる。
そして5バンドイコライザ部73のイコライジング特性が、5バンドレベル解析部74での解析結果に応じて可変制御される。
図9Cは、マイクロホン11から収音された音声信号の周波数特性を5バンド毎に表した図である。
ここで例えば、あるバンドにおいてそのノイズキャンセリング信号のレベルが他のバンドより高い場合、そのバンドに対応する5バンドイコライザ部73のバンドのレベルをブースト方向に制御する、他方その逆の場合、5バンドイコライザ部73のバンドのレベルをカット方向に制御することによりノイズキャンセリング効果を最適な状態にすることができる。
ノイズレベルの解析において低域成分のみに特化して解析する場合、5バンドレベル解析部74内でさらに1/2,1/4等のデシメーションを行ってもよい。
なお、上記ではバンドを5つに分割しているがこれに限定されるものではない。
また、5バンドレベル解析部74はmcki同期で動作するが、mcki/mckoの関係によらず常に同じバンドレベル解析結果およびイコライザ係数を用いることができる。
図10は、第6の実施の形態にかかる信号処理装置80について説明するための図である。信号処理装置80自身がマスタークロック30を持つという本開示の技術を、MFB(Motional FeedBack : モーショナルフィードバック)処理に適用したものである。
以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
MFBは、スピーカユニットにおける振動板の動きを検出し、入力オーディオ信号に負帰還をかけて、例えばスピーカユニットの振動板と入力オーディオ信号とが同じ動きとなるように制御する技術である。これにより、例えば低域共振周波数f0近辺の振動に対してダンピングが与えられ、聴感上は、いわゆる「ボンつき」などといわれる、好ましくない低域の響きが抑制される。
加算部86は、入力オーディオ信号に対して負帰還を与えるための部位であり、入力されたデジタルオーディオ信号に対して、MFB対応デジタル信号処理部87から出力される帰還信号を反転させて合成する。
DA変換部85は、入力されるデジタルオーディオ信号をアナログ信号に変換する。
これにより、MFBの制御系は、スピーカ81を、入力オーディオ信号波形に対して忠実に振動するようにして制御することになる。これは、例えば低域共振周波数f0を中心にしてダンピングを与えるという動作となり、その結果、例えば先にも述べたように、低域の不要な響きが抑制され、再生音が改善される。
また、本実施の形態によれば、音楽ソースのデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数が変化したとしても、イコライザ84の周波数特性およびMFB対応デジタル信号処理部87の特性を変更する必要のないMFBの処理系を実現できる。
(1)所定の固定周波数のノイズキャンセル処理用クロックを生成するノイズキャンセル処理用クロック発生部と、
上記ノイズキャンセル処理用クロックに基づいて動作し、マイクロホンで収音された外部ノイズ成分を含む入力音声信号に基づいて、外部ノイズ成分をキャンセルする信号特性となるノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセリングフィルタ、及び該フィルタで生成した上記ノイズキャンセル信号をデジタルオーディオ信号に重畳する加算部を有するノイズキャンセル部と、
入力された、上記ノイズキャンセル処理用クロックとは非同期のクロックでサンプリングされているデジタルオーディオ信号を、上記ノイズキャンセル処理用クロックに同期するサンプリング周波数にレート変換して、上記加算部に供給するデジタルオーディオ信号とするサンプリングレート変換部と、
を備えた信号処理装置。
(2)上記サンプリングレート変換部は、
入力されたデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数を上昇させるアップサンプリング部と、
該アップサンプリング部により上昇させたサンプリング周波数を、上記ノイズキャンセル処理用クロックに基づいた周波数に低下させるダウンサンプリング部と、
を備える上記(1)に記載の信号処理装置。
(3)上記ノイズキャンセル部は、
マイクロホンで収音された外部ノイズ成分を含む入力音声信号を、上記ノイズキャンセル処理用クロックの周波数に同期したデジタル信号に変換して、上記ノイズキャンセリングフィルタに供給する外部ノイズデジタル化処理部を、さらに備える上記(1)乃至(2)のいずれかに記載の信号処理装置。
(4)上記サンプリングレート変換部から出力されたデジタルオーディオ信号の周波数特性を変更するイコライザ部をさらに備える上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の信号処理装置。
(5)上記サンプリングレート変換部から出力されたデジタルオーディオ信号について、上記加算部への供給の可否を切り換える供給切換部をさらに備える上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の信号処理装置。
(6)入力されたデジタルオーディオ信号について第1のフィルタ処理されたデジタルオーディオ信号成分が、上記サンプリングレート変換部でレート変換された後、上記加算部が上記ノイズキャンセル信号を重畳するとともに、
入力されたデジタルオーディオ信号について第2のフィルタ処理されたデジタルオーディオ信号成分が、上記サンプリングレート変換部でレート変換された後、上記ノイズキャンセル部の上記フィルタへの入力信号が重畳される構成となっている上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の信号処理装置。
(7)上記サンプリングレート変換部では、マイクロホンで収音された外部ノイズ成分を含む入力音声信号について、上記入力されるデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数に同期するサンプリング周波数でサンプリングされた信号にレート変換するとともに、
該レート変換された信号の周波数特性を解析する信号解析部と、
信号解析部の結果に基づいて 入力されるデジタルオーディオ信号の周波数特性を変更するバンドイコライザ部と、
をさらに備える上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の信号処理装置。
(8)入力されるデジタルオーディオ信号は、記録媒体から再生されたデジタルオーディオ信号である上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の信号処理装置。
(9)入力されるデジタルオーディオ信号は、外部機器から有線通信又は無線通信で送信されてきたデジタルオーディオ信号である上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の信号処理装置。
Claims (12)
- 所定の固定周波数のノイズキャンセル処理用クロックを生成するノイズキャンセル処理用クロック発生部と、
上記ノイズキャンセル処理用クロックに基づいて動作し、マイクロホンで収音された外部ノイズ成分を含む入力音声信号を上記所定の固定周波数のノイズキャンセル処理用クロックでサンプリングして得られた信号に基づいて、外部ノイズ成分をキャンセルする信号特性となるノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセリングフィルタ、及び該フィルタで生成した上記ノイズキャンセル信号をデジタルオーディオ信号に重畳する加算部を有するノイズキャンセル部と、
入力された、上記ノイズキャンセル処理用クロックとは非同期のクロック発生部によって生成されたクロックによりサンプリングされたデジタルオーディオ信号を、上記ノイズキャンセル処理用クロックに同期するサンプリング周波数にレート変換して、上記加算部に供給するデジタルオーディオ信号とするサンプリングレート変換部と、
入力された制御信号に応じて上記加算部へのデジタルオーディオ信号の供給と供給停止を切り換える第1のゲートと、
を備えた信号処理装置。 - デジタルオーディオ信号の有無に応じて生成した上記制御信号を上記第1のゲートに出力する入力検出部を更に備える
請求項1に記載の信号処理装置。 - 外部からの操作に応じた上記制御信号を上記第1のゲートに出力するゲート制御部を更に備える
請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記サンプリングレート変換部は、
入力されたデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数を上昇させるアップサンプリング部と、
該アップサンプリング部により上昇させたサンプリング周波数を、上記ノイズキャンセル処理用クロックに基づいた周波数に低下させるダウンサンプリング部と、
を備える請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の信号処理装置。 - 上記アップサンプリング部から上記ダウンサンプリング部へのデジタルオーディオ信号の供給と供給停止を切り換える第2のゲートを更に備える
請求項4に記載の信号処理装置。 - 上記ノイズキャンセル部は、
マイクロホンで収音された外部ノイズ成分を含む入力音声信号を、上記ノイズキャンセル処理用クロックの周波数に同期したデジタル信号に変換して、上記ノイズキャンセリングフィルタに供給する外部ノイズデジタル化処理部を、さらに備える請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の信号処理装置。 - 上記サンプリングレート変換部から出力されたデジタルオーディオ信号の周波数特性を変更するイコライザ部をさらに備える請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の信号処理装置。
- 入力されたデジタルオーディオ信号について第1のフィルタ処理されたデジタルオーディオ信号成分が、上記サンプリングレート変換部でレート変換された後、上記加算部が上記ノイズキャンセル信号を重畳するとともに、
入力されたデジタルオーディオ信号について第2のフィルタ処理されたデジタルオーディオ信号成分が、上記サンプリングレート変換部でレート変換された後、上記ノイズキャンセル部の上記フィルタへの入力信号が重畳される構成となっている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の信号処理装置。 - 上記サンプリングレート変換部では、マイクロホンで収音された外部ノイズ成分を含む入力音声信号について、上記入力されるデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数に同期するサンプリング周波数でサンプリングされた信号にレート変換するとともに、
該レート変換された信号の周波数特性を解析する信号解析部と、
信号解析部の結果に基づいて入力されるデジタルオーディオ信号の周波数特性を変更するバンドイコライザ部と、
をさらに備える請求項1乃至請求項6のいずれか記載の信号処理装置。 - 入力されるデジタルオーディオ信号は、記録媒体から再生されたデジタルオーディオ信号である請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の信号処理装置。
- 入力されるデジタルオーディオ信号は、外部機器から有線通信又は無線通信で送信されてきたデジタルオーディオ信号である請求項1に記載の信号処理装置。
- 所定の固定周波数のノイズキャンセル処理用クロックに基づいたフィルタ処理で、マイクロホンで収音された外部ノイズ成分を含む入力音声信号を上記所定の固定周波数のノイズキャンセル処理用クロックでサンプリングして得られた信号に基づいて、外部ノイズ成分をキャンセルする信号特性となるノイズキャンセル信号を生成し、
入力された、上記ノイズキャンセル処理用クロックとは非同期のクロック発生部によって生成されたクロックによりサンプリングされたデジタルオーディオ信号を、上記ノイズキャンセル処理用クロックに同期するサンプリング周波数にレート変換し、
入力された制御信号に応じてデジタルオーディオ信号の供給と供給停止を切り換え、
上記ノイズキャンセル信号と、上記レート変換されたデジタルオーディオ信号とを加算する信号処理方法。
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