<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図10は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
まず、図1および図2により、本実施の形態によるブロー成形方法によって作製される複合容器の概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
図1および図2に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図3参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。また複合容器10A内に内容液Lが充てんされて、内容液入り複合容器10Bが得られる。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
他方、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
次に容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、肩部12と、胴部20と、底部30とを有している。
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
さらに、胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部20は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部20にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
一方、底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
また胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm〜250μm程度に薄くすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g〜20gとすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォーム10a、すなわち容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち押し出し成形または射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを押出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
このような容器本体10は、例えば満注容量が150ml〜1500mlのボトルからなっていても良い。
次にプラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40は1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40を肩部12の外面および底部30の外面にそれぞれ設けても良い。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
プラスチック製部材40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、プリフォーム10aの外側に設けられ、このプリフォーム10aと一体となって加熱され、2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。このようなプラスチック製部材(外側収縮部材)40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものであれば良い。なお、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。あるいは、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものであっても良い。
またプラスチック製部材40aの厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm〜50μm程度とすることができる。
次に図3により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図3に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
このうちプリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aを除く全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
なお、プラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40aは、口部11aを除く、胴部20aおよび底部30aの全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40aは1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40aを胴部20aの外側2箇所にそれぞれ設けても良い。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
後者の場合、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。
プラスチック製部材40aとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン−1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロンMXD6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうちポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。またそれらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
またプラスチック製部材40aが容器本体10(プリフォーム10a)と同一の材料からなっていても良い。この場合、複合容器10Aのうち、例えば強度を高めたい部分に重点的にプラスチック製部材40を配置し、当該箇所の強度を選択的に高めることができる。例えば、容器本体10の肩部12周辺および底部30周辺にプラスチック製部材40を設け、この部分の強度を高めても良い。このような材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を挙げることができる。
またプラスチック製部材40aは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、酸素や水蒸気によって内容液が劣化することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20および底部30の全域にプラスチック製部材40を設け、この部分のガスバリア性を高めても良い。このような材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、MXD−6(ナイロン)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)またはこれらの材料に脂肪酸塩などの酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
またプラスチック製部材40aは、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20および底部30の全域にプラスチック製部材40aを設け、この部分の紫外線バリア性を高めても良い。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
またプラスチック製部材40aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20の保温性又は保冷性を高めても良い。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、熱すぎたり冷たすぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
またプラスチック製部材40aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20を持ちやすくしても良い。
さらにプラスチック製部材40aには、デザイン又は印字が施されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20に画像や文字を表示しても良い。この場合、プラスチック製部材40の材料としては、容器本体10と同一のものを用いても良く、容器本体10と異なるものを用いても良い。
次にプラスチック製部材40aの形状について説明する。
図3および図4(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。
また、図9(後述)および図4(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aとしては、例えば押出チューブを用いることができる。
また、図4(c)および図4(d)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図4(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、図4(d)に示すように、底部42を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
次に図5(a)〜(f)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aをプリフォーム作製部Aにより作製して準備する(図5(a)参照)。この場合、プリフォーム作製部Aとして例えば射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。
このようにして作製されたプリフォーム10aは第1前段殺菌処理部91aへ送られ、この第1前段殺菌処理部91aにおいて、プリフォーム10aに対して殺菌処理が施される。他方、プラスチック製部材作製部Bによりプラスチック製部材40aが作製され、このプラスチック製部材40aは第2前段殺菌処理部91bに送られる。そしてこの第2前段殺菌処理部91bにおいて、プラスチック製部材40aに対して殺菌処理が施される。
次に、プラスチック製部材挿着部Cにおいて、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図5(b)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。このプラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。
この場合、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、後述するように、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図5(a)〜(b))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図5(c)〜(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
このようにして作製された複合プリフォーム70は、その後プリフォーム殺菌処理部92へ送られ、このプリフォーム殺菌処理部92において複合プリフォーム70に対して殺菌処理が施される。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置(プリフォーム加熱部)51によって加熱される(図5(c)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。プラスチック部材40aが滑り落ちない場合や滑り落ち防止ガイドを設けた場合は、口部11aを上に向けた状態で加熱しても良い。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図5(d)参照)。
複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型50は互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(図5(d)参照)。図5(d)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
次に図5(e)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。次にプリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
このことにより、ブロー成形金型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
このようにして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。
次に図5(f)に示すように、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形金型50内から複合容器10Aが取出される。
次にこのようにして得られた複合容器10Aは容器殺菌部93へ送られ、この容器殺菌部93において、複合容器10Aに対して殺菌処理が施される。無菌ブロー成形機を用いた場合は、複合容器10Aに対する殺菌処理を行わなくても良い。
<殺菌処理部>
次に第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91b、プリフォーム殺菌処理部92、容器殺菌処理部93について説明する。
このうち第1前段殺菌処理部91aおよび第2前段殺菌処理部91bは、前段殺菌処理部91a、91bを構成する。
また第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91bおよびプリフォーム殺菌処理部92は、略同様の構造をもち、いずれも薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理または温水殺菌処理により、プリフォーム10a、プラスチック製部材40aまたは複合プリフォーム70に対して殺菌処理を施すようになっている。
また容器殺菌処理部93は、薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理、温水殺菌処理、ホット充填殺菌処理、またはパストライジング殺菌処理により、複合容器10Aに対して殺菌処理を施すようになっている。
次に各殺菌処理について、以下説明する。
<薬剤殺菌処理>
(1)薬剤殺菌処理の一つとして、過酸化水素(H2O2)殺菌処理が挙げられる。過酸化水素殺菌処理は過酸化水素と圧縮空気の混合物を空気中に噴霧し、一旦気化させることで過酸化水素のミスト又はガスを生成し、この過酸化水素のミスト又はガスをプリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70または複合容器10Aに対して噴射することにより殺菌処理を行なうものである。また、プリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70に対しては、過酸化水素水に浸漬させた後、ホットエアーをブローすることで殺菌処理を行っても良い。
(2)薬剤殺菌処理として、過酢酸(CH3COOH)殺菌処理を挙げることもできる。この過酢酸殺菌処理は、プリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70または複合容器10Aに対して過酢酸水溶液を液又はガス状で噴霧することにより殺菌処理を行なうものである。
(3)薬剤殺菌処理として、塩素殺菌処理を挙げることができる。この塩素殺菌処理は、例えば亜塩素酸塩水溶液等からなる酸性洗浄液を用い、このような酸性洗浄液によりプリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70または複合容器10Aを洗浄して殺菌処理を行なうものである。
(4)薬剤殺菌処理として、アルカリ水溶液を用いたアルカリ水溶液殺菌処理を用いることができる。アルカリ水溶液殺菌処理は、例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等からなるアルカリ水溶液によりプリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70または複合容器10Aを洗浄して殺菌処理を行なうものである。
(5)薬剤殺菌処理として、オゾン(O3)を用いたオゾン殺菌処理を用いることができる。オゾン殺菌処理は、オゾンをプリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70または複合容器10Aに噴射して殺菌処理を行なうものである。
<光殺菌処理>
(1)光殺菌処理として、UV殺菌処理や光パルス殺菌処理を挙げることができる。この殺菌処理は、プリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70または複合容器10Aに対して光を照射して殺菌処理を施すものである。このような光としては、例えば波長150〜2000nmの紫外線又はキセノンランプから発光する光を用いることができる。
(2)光殺菌処理としてプラズマ殺菌処理を挙げることができる。プラズマ殺菌処理は減圧室内で低温プラズマを発生させ、このプラズマをプリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70または複合容器10Aに照射させることにより殺菌処理を施すものである。
<放射線殺菌処理>
放射線殺菌処理の一つとして、EB殺菌処理を用いることができる。このEB殺菌処理は、プリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70または複合容器10Aに対して電子ビーム(EB)を照射して殺菌処理を行なうものである。
<温水殺菌処理>
(1)温水殺菌処理は、例えば70℃〜95℃の温水を準備し、この温水をプリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70または複合容器10Aに噴射することにより殺菌処理を施すものである。
<ホット充填殺菌処理>
(1)ホット充填殺菌処理は、例えば60℃〜80℃の中温の内容液を準備し、この中温の内容液を複合容器10Aに充填することにより、複合容器10Aに対して殺菌処理を施すものである。このホット充填殺菌処理は、複合容器10Aに内容液を充填する作業と、殺菌処理を同時に行なうことができる。
(2)また、例えば80℃〜95℃の高温の内容液を準備し、この高温の内容液を複合容器10Aに充填・転倒することにより複合容器10Aをホット充填殺菌処理することもできる。
(3)また、水蒸気をプリフォーム10a、プラスチック製部材40a、複合プリフォーム70に付着させた後、このプリフォームを加熱させることにより殺菌処理することもできる。
<パストライジング殺菌処理>
(1)その他の殺菌処理としては、複合容器10A内に内容液を充填し、その後に内容液入り複合容器10Bに対して殺菌処理を施すパストライジング殺菌処理が挙げられる。
<ブロー成形方法の変形例>
次に、図6(a)〜(f)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)の変形例について説明する。図6(a)〜(f)に示す変形例は、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものであり、他の構成は、図5(a)〜(f)に示す形態と略同一である。図6(a)〜(f)において、図5(a)〜(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aをプリフォーム作製部Aにより作製して準備する(図6(a)参照)。
このようにして作製されたプリフォーム10aは第1前段殺菌処理部91aへ送られ、この第1前段殺菌処理部91aにおいて、プリフォーム10aに対して殺菌処理が施される。他方、プラスチック製部材作製部Bによりプラスチック製部材40aが作製され、このプラスチック製部材40aは第2前段殺菌処理部91bに送られる。そしてこの第2前段殺菌処理部91bにおいて、プラスチック製部材40aに対して殺菌処理が施される。
次に、プラスチック製部材挿着部Cにおいて、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けて複合プリフォーム70が得られる(図6(b)参照)。この場合、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。このプラスチック製部材(外側収縮部材)40は、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。
このようにして作製された複合プリフォーム70は、その後プリフォーム殺菌処理部92へ送られ、このプリフォーム殺菌処理部92において複合プリフォーム70に対して殺菌処理が施される。
次に、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、加熱装置(プリフォーム加熱部)51によって加熱される(図6(c)参照)。このとき、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
このように、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する(図6(c)参照)。なお、プラスチック製部材(外側収縮部材)40a自体が収縮性を有する場合、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けた時点(図6(b)参照)でプラスチック製部材(外側収縮部材)40aがプリフォーム10aの外側に密着していても良い。
続いて、加熱装置51によって加熱されたプリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、ブロー成形金型50に送られる(図6(d)参照)。
プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図5(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材(外側収縮部材)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図6(d)〜(f)参照)。
次にこのようにして得られた複合容器10Aは容器殺菌部93へ送られ、この容器殺菌部93において、複合容器10Aに対して殺菌処理が施される。無菌ブロー成形機を用いた場合は、複合容器10Aに対する殺菌処理を行わなくても良い。
<殺菌処理部>
次に第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91b、プリフォーム殺菌処理部92、容器殺菌処理部93について説明する。
このうち第1前段殺菌処理部91aおよび第2前段殺菌処理部91bは、前段殺菌処理部91a、91bを構成する。
また第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91bおよびプリフォーム殺菌処理部92は、略同様の構造をもち、いずれも薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理または温水殺菌処理により、プリフォーム10a、プラスチック製部材40aまたは複合プリフォーム70に対して殺菌処理を施すようになっている。
また容器殺菌処理部93は、薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理、温水殺菌処理、ホット充填殺菌処理、またはパストライジング殺菌処理により、複合容器10Aに対して殺菌処理を施すようになっている。
次に図7(a)〜(g)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)の他の変形例について説明する。図7(a)〜(g)に示す変形例は、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもち、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを2段階で加熱するものであり、他の構成は、図5(a)〜(f)に示す形態と略同一である。図7(a)〜(g)において、図5(a)〜(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aをプリフォーム作製部Aにより作製して準備する(図7(a)参照)。
このようにして作製されたプリフォーム10aは第1前段殺菌処理部91aへ送られ、この第1前段殺菌処理部91aにおいて、プリフォーム10aに対して殺菌処理が施される。他方、プラスチック製部材作製部Bによりプラスチック製部材40aが作製され、このプラスチック製部材40aは第2前段殺菌処理部91bに送られる。そしてこの第2前段殺菌処理部91bにおいて、プラスチック製部材40aに対して殺菌処理が施される。
次に、プラスチック製部材挿着部Cにおいて、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設ける(図7(b)参照)。この場合、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。このプラスチック製部材(外側収縮部材)40は、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。
次に、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、第1の加熱装置55によって加熱される(図7(c)参照)。このとき、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aの加熱温度は、例えば50℃乃至100℃としても良い。
プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材(外側収縮部材)40aとを有する複合プリフォーム70が得られる(図7(c)参照)。
このように、第1の加熱装置55を用いて予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを加熱密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図7(a)〜(c))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図7(d)〜(g))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
このようにして作製された複合プリフォーム70は、その後プリフォーム殺菌処理部92へ送られ、このプリフォーム殺菌処理部92において複合プリフォーム70に対して殺菌処理が施される。
次に、複合プリフォーム70は、第2の加熱装置(プリフォーム加熱部)51によって加熱される(図7(d)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、第2の加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
続いて、第2の加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図7(e)参照)。
複合プリフォーム70は、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図5(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた外側収縮部材(外側収縮部材)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図7(e)〜(g)参照)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ブロー成形金型50内で複合プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させ、容器本体10とプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aを作製する。これにより、プリフォーム10a(容器本体10)とプラスチック製部材40a(プラスチック製部材40)とを別部材から構成することができる。したがって、プラスチック製部材40の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器10Aに様々な機能や特性を自在に付与することができる。
また、本実施の形態によれば、複合容器10Aを作製する際、一般的なブロー成形装置をそのまま用いることができるので、複合容器10Aを作製するための新たな成形設備を準備する必要が生じない。
次にこのようにして得られた複合容器10Aは容器殺菌部93へ送られ、この容器殺菌部93において、複合容器10Aに対して殺菌処理が施される。無菌ブロー成形機を用いた場合は、複合容器10Aに対する殺菌処理を行わなくても良い。
<殺菌処理部>
次に第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91b、プリフォーム殺菌処理部92、容器殺菌処理部93について説明する。
このうち第1前段殺菌処理部91aおよび第2前段殺菌処理部91bは、前段殺菌処理部91a、91bを構成する。
また第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91bおよびプリフォーム殺菌処理部92は、略同様の構造をもち、いずれも薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理または温水殺菌処理により、プリフォーム10a、プラスチック製部材40aまたは複合プリフォーム70に対して殺菌処理を施すようになっている。
また容器殺菌処理部93は、薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理、温水殺菌処理、ホット充填殺菌処理、またはパストライジング殺菌処理により、複合容器10Aに対して殺菌処理を施すようになっている。
変形例
次に図8、図9および図10(a)〜(f)により本発明の第1の実施の形態の変形例について説明する。
図8、図9および図10(a)〜(f)に示す変形例は、プラスチック製部材40aとして胴部と底部とを有するものではなく、円筒状のプラスチック製部材40aを用いたものである。
図8に示す複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40は、容器本体10の肩部12から胴部20の下方部分まで延びているが、底部30まで達していない。また、図9に示す複合プリフォーム70において、プラスチック製部材40aはプリフォーム10aの胴部20aのみを覆うように密着されており、より詳細には、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aと胴部20aの下部に対応する部分とを除く領域を覆っている。
図8、図9および図10(a)〜(f)において他の構成は、図1乃至図5に示す実施の形態と略同一である。図8、図9および図10(a)〜(f)に示す変形例において、図1乃至図5に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
このほか、複合容器10Aの構成および製造方法、ならびに複合プリフォーム70の構成および製造方法については、図1乃至図5に示す実施の形態と略同様であるので、詳細な説明を省略する。また、図8、図9および図10(a)〜(f)において、プラスチック製部材40がプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものを用いても良い。
<第2の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図11乃至図20は本発明の第2の実施の形態を示す図である。図11乃至図20において、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、図11および図12により、本実施の形態によるブロー成形方法によって作製される複合容器の概要について説明する。
図11および図12に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図13参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
一方、内側ラベル部材60は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されている。
また、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面かつ内側ラベル部材60の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されている。
プラスチック製部材40は、その少なくとも一部が半透明又は透明であることが考えられ、この場合、この半透明又は透明な部分を介して、内側ラベル部材60を外方から視認できる。なお、プラスチック製部材40は、その全体が半透明又は透明であっても良く、あるいは不透明な部分と半透明又は透明な部分(例えば窓部)とを有していても良い。なお、本実施の形態ではプラスチック製部材40の全体が透明である場合を例にとって説明する。
次に内側ラベル部材60について説明する。内側ラベル部材60(60a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、このプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aと一体となって2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
内側ラベル部材60は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。この内側ラベル部材60は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。図12に示すように、内側ラベル部材60は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に所望の文字、画像等を付与し、複合容器10Aに対して装飾性をもたせたり、情報を表示させたりすることができる。
なお、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、内側ラベル部材60は1つに限らず、複数設けても良い。なお、内側ラベル部材60は、プラスチック製部材40と同一の領域に設けられていても良く、プラスチック製部材40よりも狭い領域に設けられていても良い。後者の場合、内側ラベル部材60はプラスチック製部材40によって完全に覆われることが好ましい。
また内側ラベル部材60の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm〜50μm程度とすることができる。
次にプラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するように内側ラベル部材60aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aおよび内側ラベル部材60aと一体となって2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は内側ラベル部材60の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、内側ラベル部材60の外面において薄く引き延ばされて内側ラベル部材60を覆っている。図12に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
このほか、容器本体10およびプラスチック製部材40の構成は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に図13により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図13に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着して設けられた有底円筒状の内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着して設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
内側ラベル部材60aは、プリフォーム10aの外面に密着されており、プリフォーム10aに対して容易に移動又は回転しない状態で密着されている。内側ラベル部材60aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
内側ラベル部材60aには、予めデザイン又は印字が施されていても良い。例えば、図柄や商品名等のほか、内容液の名称、製造者、原材料名等の文字情報が記載されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。例えば、プリフォーム10aのうち胴部20aの全部又は一部に内側ラベル部材60aを設け、成形後に容器本体10の胴部20に画像や文字が表示されるようにしても良い。これにより、容器を密栓した後、ラベラーを用いてラベルを付与する工程が不要となるので、製造コストを抑制することができるとともに、歩留まりが低下することを防止することができる。
このような内側ラベル部材60aとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂などのフィルムを用いることができる。内側ラベル部材60aは、容器本体10(プリフォーム10a)および/またはプラスチック製部材40aと同一の材料からなっていても良く、異なる材料からなっていても良い。
また、内側ラベル部材60aとして、以下に説明する各種材料を用いることもできる。
例えば内側ラベル部材60aは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、酸素や水蒸気によって内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、MXD−6(ナイロン)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)またはこれらの材料に脂肪酸塩などの酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
また内側ラベル部材60aは、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。
また内側ラベル部材60aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。
一方、プラスチック製部材40aは、内側ラベル部材60aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aを除く全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
なお、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、口部11aを除く、胴部20aおよび底部30aの全体を覆うように設けられていても良い。さらに、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aはそれぞれ1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つの内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを胴部20aの外側2箇所にそれぞれ設けても良い。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
後者の場合、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものであれば良い。なお、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられることが好ましい。
このほか、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの構成は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次にプラスチック製部材40aおよび/または内側ラベル部材60aの形状について説明する。
図13および図14(a)に示すように、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)は、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41(胴部61)と、胴部41(胴部61)に連結された底部42(底部62)とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)の底部42(底部62)がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。
また、図19(後述)および図14(b)に示すように、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)は、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部41(胴部61)を有していても良い。この場合、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)としては、例えば押出チューブを用いることができる。
また、図14(c)および図14(d)に示すように、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)は、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図14(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41(胴部61)を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、図14(d)に示すように、底部42(底部62)を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
次に図15(a)〜(f)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aをプリフォーム作製部Aにより作製して準備する(図15(a)参照)。
このようにして作製されたプリフォーム10aは第1前段殺菌処理部91aへ送られ、この第1前段殺菌処理部91aにおいて、プリフォーム10aに対して殺菌処理が施される。他方、プラスチック製部材作製部Bによりプラスチック製部材40aが作製され、このプラスチック製部材40aは第2前段殺菌処理部91bに送られる。そしてこの第2前段殺菌処理部91bにおいて、プラスチック製部材40aに対して殺菌処理が施される。
また内側ラベル部材作製部Dにより内側ラベル部材60aが作製され、この内側ラベル部材60aは第3前段殺菌処理部91cに送られる。そしてこの第3前段殺菌処理部91cにおいて、内側ラベル部材60aに対して殺菌処理が施される。
次に、プラスチック製部材挿着部Cにおいて、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設けるとともに、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材40aを設ける。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着された内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図15(b)参照)。この場合、内側ラベル部材60aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部61と、胴部61に連結された底部62とを有している。
この際、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつ内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを、それぞれプリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、熱収縮性をもつ内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、この内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
また、予め内側ラベル部材60aの周囲にプラスチック製部材40aを設けておき、これら内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体としてプリフォーム10aの外側に装着しても良い。あるいは、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設け、その後、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材40aを設けてもよい。
このように、予めプリフォーム10aおよび内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図15(a)〜(b))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図15(d)〜(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
このようにして作製された複合プリフォーム70は、その後プリフォーム殺菌処理部92へ送られ、このプリフォーム殺菌処理部92において複合プリフォーム70に対して殺菌処理が施される。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置(プリフォーム加熱部)51によって加熱される(図15(c)参照)。
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる。複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した第1の実施の形態の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる(図15(d)−(f)参照)。
このほか、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次にこのようにして得られた複合容器10Aは容器殺菌部93へ送られ、この容器殺菌部93において、複合容器10Aに対して殺菌処理が施される。無菌ブロー成形機を用いた場合は、複合容器10Aに対する殺菌処理を行わなくても良い。
<殺菌処理部>
次に第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91b、第3前段殺菌処理部91c、プリフォーム殺菌処理部92、容器殺菌処理部93について説明する。
このうち第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91bおよび第3前段殺菌処理部91cは、前段殺菌処理部91a、91b、91cを構成する。
また第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91b、第3前段殺菌処理部91cおよびプリフォーム殺菌処理部92は、略同様の構造をもち、いずれも薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理または温水殺菌処理により、プリフォーム10a、プラスチック製部材40a、内側ラベル部材60aまたは複合プリフォーム70に対して殺菌処理を施すようになっている。
また容器殺菌処理部93は、薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理、温水殺菌処理、ホット充填殺菌処理、またはパストライジング殺菌処理により、複合容器10Aに対して殺菌処理を施すようになっている。
ブロー成形方法の変形例
次に図16(a)〜(f)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)の変形例について説明する。図16(a)〜(f)に示す変形例は、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものであり、他の構成は、図15(a)〜(f)に示す形態と略同一である。図16(a)〜(f)において、図15(a)〜(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aをプリフォーム作製部Aにより作製して準備する(図16(a)参照)。
このようにして作製されたプリフォーム10aは第1前段殺菌処理部91aへ送られ、この第1前段殺菌処理部91aにおいて、プリフォーム10aに対して殺菌処理が施される。他方、プラスチック製部材作製部Bによりプラスチック製部材40aが作製され、このプラスチック製部材40aは第2前段殺菌処理部91bに送られる。そしてこの第2前段殺菌処理部91bにおいて、プラスチック製部材40aに対して殺菌処理が施される。
また内側ラベル部材作製部Dにより内側ラベル部材60が作製され、この内側ラベル部材60は第3前段殺菌処理部91cに送られる。そしてこの第3前段殺菌処理部91cにおいて、内側ラベル部材60に対して殺菌処理が施される。
次に、プラスチック製部材挿着部Cにおいて、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60を設けるとともに、内側ラベル部材60の外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けて複合プリフォーム70が得られる(図16(b)参照)。内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。このプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、その少なくとも一部が半透明又は透明になっていてもよい。
この場合、予め内側ラベル部材60の周囲にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けておき、これら内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを一体としてプリフォーム10aの外側に装着しても良い。あるいは、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60を設け、その後、内側ラベル部材60の外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けてもよい。
次に、プリフォーム10a、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、加熱装置51によって加熱される(図16(c)参照)。このとき、プリフォーム10a、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10a、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
このように、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する(図16(c)参照)。なお、プラスチック製部材(外側収縮部材)40a自体が収縮性を有する場合、内側ラベル部材60の外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けた時点(図16(b)参照)でプラスチック製部材(外側収縮部材)40aが内側ラベル部材60の外側に密着していても良い。
このようにして作製された複合プリフォーム70は、その後プリフォーム殺菌処理部92へ送られ、このプリフォーム殺菌処理部92において複合プリフォーム70に対して殺菌処理が施される。
続いて、加熱装置(プリフォーム加熱部)51によって加熱されたプリフォーム10a、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、ブロー成形金型50に送られる(図16(d)参照)。
プリフォーム10a、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図15(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に設けられたプラスチック製部材(外側収縮部材)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図16(d)〜(f)参照)。
次にこのようにして得られた複合容器10Aは容器殺菌部93へ送られ、この容器殺菌部93において、複合容器10Aに対して殺菌処理が施される。無菌ブロー成形機を用いた場合は、複合容器10Aに対する殺菌処理を行わなくても良い。
<殺菌処理部>
次に第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91b、第3前段殺菌処理部91c、プリフォーム殺菌処理部92、容器殺菌処理部93について説明する。
このうち第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91b、第3前段殺菌処理部91cは、前段殺菌処理部91a、91b、91cを構成する。
また第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91b、第3前段殺菌処理部91cおよびプリフォーム殺菌処理部92は、略同様の構造をもち、いずれも薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理または温水殺菌処理により、プリフォーム10a、プラスチック製部材40a、内側ラベル部材60または複合プリフォーム70に対して殺菌処理を施すようになっている。
また容器殺菌処理部93は、薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理、温水殺菌処理、ホット充填殺菌処理、またはパストライジング殺菌処理により、複合容器10Aに対して殺菌処理を施すようになっている。
次に図17(a)〜(g)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)の他の変形例について説明する。図17(a)〜(g)に示す変形例は、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもち、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを2段階で加熱するものであり、他の構成は、図15(a)〜(f)に示す形態と略同一である。図17(a)〜(g)において、図15(a)〜(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aをプリフォーム作製部Aにより作製して準備する(図17(a)参照)。
このようにして作製されたプリフォーム10aは第1前段殺菌処理部91aへ送られ、この第1前段殺菌処理部91aにおいて、プリフォーム10aに対して殺菌処理が施される。他方、プラスチック製部材作製部Bによりプラスチック製部材40aが作製され、このプラスチック製部材40aは第2前段殺菌処理部91bに送られる。そしてこの第2前段殺菌処理部91bにおいて、プラスチック製部材40aに対して殺菌処理が施される。
また内側ラベル部材作製部Dにより内側ラベル部材60が作製され、この内側ラベル部材60は第3前段殺菌処理部91cに送られる。そしてこの第3前段殺菌処理部91cにおいて、内側ラベル部材60に対して殺菌処理が施される。
次に、プラスチック製部材挿着部Cにおいて、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60を設けるとともに、内側ラベル部材60の外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設ける(図17(b)参照)。プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。このプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、その少なくとも一部が半透明又は透明になっていても良い。
この場合、予め内側ラベル部材60の周囲にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けておき、これら内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを一体としてプリフォーム10aの外側に装着しても良い。あるいは、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60を設け、その後、内側ラベル部材60の外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けてもよい。
次に、プリフォーム10a、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、第1の加熱装置55によって加熱される(図17(c)参照)。このとき、プリフォーム10a、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aの加熱温度は、例えば50℃乃至100℃としても良い。
プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着された内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に密着されたプラスチック製部材(外側収縮部材)40aとを有する複合プリフォーム70が得られる(図17(c)参照)。
このように、第1の加熱装置55を用いて予めプリフォーム10aおよび内側ラベル部材60の外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを加熱密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図17(a)〜(c))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図17(d)〜(g))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
このようにして作製された複合プリフォーム70は、その後プリフォーム殺菌処理部92へ送られ、このプリフォーム殺菌処理部92において複合プリフォーム70に対して殺菌処理が施される。
次に、複合プリフォーム70は、第2の加熱装置(プリフォーム加熱部)51によって加熱される(図17(d)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、第2の加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10a、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
続いて、第2の加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図17(e)参照)。
複合プリフォーム70は、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図15(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に設けられたプラスチック製部材(外側収縮部材)40aとを備えた複合容器10Aが得られる(図17(e)〜(g)参照)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ブロー成形金型50内で複合プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させ、容器本体10と内側ラベル部材60とプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aを作製する。このためプリフォーム10aを用いて複合容器10Aを製造する段階で、予め複合容器10Aに内側ラベル部材60を設けておくことができる。したがって、複合容器10Aに内容液を充填して密栓した後、ラベラーによってラベルを付与する工程を設ける必要がない。これにより、最終製品を製造するための製造コストを抑制することができる。
また、ラベラーの不具合等により最終製品を製造する際に歩留まりが低下することを防止することができる。
また本実施の形態によれば、プリフォーム10a(容器本体10)とプラスチック製部材40a(プラスチック製部材40)とを別部材から構成することができる。したがって、プラスチック製部材40の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器10Aに様々な機能や特性を自在に付与することができる。
また、本実施の形態によれば、複合容器10Aを作製する際、一般的なブロー成形装置をそのまま用いることができるので、複合容器10Aを作製するための新たな成形設備を準備する必要が生じない。
次にこのようにして得られた複合容器10Aは容器殺菌部93へ送られ、この容器殺菌部93において、複合容器10Aに対して殺菌処理が施される。無菌ブロー成形機を用いた場合は、複合容器10Aに対する殺菌処理を行わなくても良い。
<殺菌処理部>
次に第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91b、第3前段殺菌処理部91c、プリフォーム殺菌処理部92、容器殺菌処理部93について説明する。
このうち第1前段殺菌処理部91aおよび第2前段殺菌処理部91b、第3前段殺菌処理部91cは、前段殺菌処理部91a、91b、91cを構成する。
また第1前段殺菌処理部91a、第2前段殺菌処理部91b、第3前段殺菌処理部91cおよびプリフォーム殺菌処理部92は、略同様の構造をもち、いずれも薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理または温水殺菌処理により、プリフォーム10a、プラスチック製部材40a、内側ラベル部材60または複合プリフォーム70に対して殺菌処理を施すようになっている。
また容器殺菌処理部93は、薬剤殺菌処理、光殺菌処理、放射線殺菌処理、温水殺菌処理、ホット充填殺菌処理、またはパストライジング殺菌処理により、複合容器10Aに対して殺菌処理を施すようになっている。
変形例
次に図18、図19および図20(a)〜(f)により本発明の変形例について説明する。
図18、図19および図20(a)〜(f)に示す変形例は、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aとして胴部と底部とを有するものではなく、円筒状の内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを用いたものである。
図18に示す複合容器10Aにおいて、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材40は、容器本体10の肩部12から胴部20の下方部分まで延びているが、底部30まで達していない。また、図19に示す複合プリフォーム70において、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aはプリフォーム10aの胴部20aのみを覆うように密着されており、より詳細には、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aと胴部20aの下部に対応する部分とを除く領域を覆っている。
図18、図19および図20(a)〜(f)において他の構成は、図11乃至図15に示す実施の形態と略同一である。図18、図19および図20(a)〜(f)に示す変形例において、図11乃至図15に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
このほか、複合容器10Aの構成および製造方法、ならびに複合プリフォーム70の構成および製造方法については、図11乃至図15に示す実施の形態と略同様であるので、詳細な説明を省略する。また、図18、図19および図20(a)〜(f)において、プラスチック製部材40がプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものを用いても良い。
なお、上記実施の形態において、プリフォーム10aを第1前段殺菌処理部91aにおいて殺菌処理し、プラスチック製部材40aを第2前段殺菌処理部91bにおいて殺菌処理し、内側ラベル部材60、60aを第3前段殺菌処理部91cにおいて殺菌処理し、複合プリフォーム70をプリフォーム殺菌処理部92において殺菌処理し、複合容器10Aを容器殺菌処理部93において殺菌処理する例を示したが、これに限らずプリフォーム10aまたはプラスチック製部材40aのみを殺菌処理してもよい。また複合プリフォーム70のみを殺菌処理してもよく、さらに複合容器10Aのみを殺菌処理してもよい。