<発明の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図13は本発明の実施の形態を示す図である。
まず、図1および図2により、本実施の形態による複合容器の殺菌方法によって殺菌される複合容器の概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
図1および図2に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図3参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。また複合容器10A内に内容液Lが充てんされて、内容液入り複合容器10Bが得られる。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
他方、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
次に容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、肩部12と、胴部20と、底部30とを有している。
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
さらに、胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部20は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部20にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
一方、底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
また胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm〜250μm程度に薄くすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g〜20gとすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォーム10a、すなわち容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち押し出し成形または射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを押出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
このような容器本体10は、例えば満注容量が150ml〜1500mlのボトルからなっていても良い。
次にプラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40は1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40を肩部12の外面および底部30の外面にそれぞれ設けても良い。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
プラスチック製部材40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、プリフォーム10aの外側に設けられ、このプリフォーム10aと一体となって加熱され、2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。このようなプラスチック製部材(外側収縮部材)40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものであれば良い。なお、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。あるいは、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものであっても良い。
またプラスチック製部材40aの厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm〜50μm程度とすることができる。
次に図3により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図3に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
このうちプリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aを除く全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
なお、プラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40aは、口部11aを除く、胴部20aおよび底部30aの全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40aは1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40aを胴部20aの外側2箇所にそれぞれ設けても良い。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
後者の場合、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。
プラスチック製部材40aとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン−1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロンMXD6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうちポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。またそれらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
またプラスチック製部材40aが容器本体10(プリフォーム10a)と同一の材料からなっていても良い。この場合、複合容器10Aのうち、例えば強度を高めたい部分に重点的にプラスチック製部材40を配置し、当該箇所の強度を選択的に高めることができる。例えば、容器本体10の肩部12周辺および底部30周辺にプラスチック製部材40を設け、この部分の強度を高めても良い。このような材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を挙げることができる。
またプラスチック製部材40aは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、酸素や水蒸気によって内容液が劣化することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20および底部30の全域にプラスチック製部材40を設け、この部分のガスバリア性を高めても良い。このような材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、MXD−6(ナイロン)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)またはこれらの材料に脂肪酸塩などの酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
またプラスチック製部材40aは、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20および底部30の全域にプラスチック製部材40aを設け、この部分の紫外線バリア性を高めても良い。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
またプラスチック製部材40aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20の保温性又は保冷性を高めても良い。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、熱すぎたり冷たすぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
またプラスチック製部材40aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20を持ちやすくしても良い。
さらにプラスチック製部材40aには、デザイン又は印字が施されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20に画像や文字を表示しても良い。この場合、プラスチック製部材40の材料としては、容器本体10と同一のものを用いても良く、容器本体10と異なるものを用いても良い。
次にプラスチック製部材40aの形状について説明する。
図3および図4(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。
また、図4(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aとしては、例えば押出チューブを用いることができる。
また、図4(c)および図4(d)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図4(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、図4(d)に示すように、底部42を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
次に複合プリフォームの殺菌方法および複合容器の殺菌方法について図5乃至図13により説明する。
図5(A1)〜図8(K)に示すように、複合プリフォーム70および複合容器10Aに対して殺菌処理が施され、複合容器10Aに内容液Lが充てんされて内容液入り複合容器10Bが得られる。
最初に、図5(A1)に示すプリフォーム10aが所望の速度で連続的に搬送され、走行中のプリフォーム10aの内面および外面に、殺菌剤のガスG若しくはミスト又はこれらの混合物が吹付けられて吸着される。
この場合、殺菌剤である過酸化水素成分を含むガスG、ミスト又はこれらの混合物がプリフォーム10aの内外面に接触し付着することにより、プリフォーム10aの表面に付着した微生物が殺菌され、あるいは傷付けられる。殺菌剤としては、過酸化水素以外に過酢酸成分を含むものでも良い。
なお、図5(A1)に示したプリフォーム1へのガスGの吹き付けの直前に、プリフォーム1に熱風を吹き付ける等してプリフォームを予備加熱してもよい。
次に内面および外面に殺菌剤が吹付けられたプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aが挿着され、このようにしてプリフォーム10aとプラスチック製部材40aとからなる複合プリフォーム70が得られる(図5(A2))。
このようにして得られた複合プリフォーム70に対し、その内部にエアノズル180によってホットエアPが供給される(図5(B))。
ホットエアPの吹き付けにより、複合プリフォーム70の内面に付着した過酸化水素がホットエアPの熱で活性化され、これにより複合プリフォーム70内の微生物が殺菌される。また、ホットエアPの吹き付けによって複合プリフォーム70内面に付着した過酸化水素はプリフォーム1の表面から速やかに除去される。
図5(C)に示すように、殺菌された複合プリフォーム70は、赤外線ヒータ118aその他の加熱手段によって、後のブロー成形に適した温度まで加熱される。この温度は90℃から130℃程度である。複合プリフォーム70の口部11aは、変形等を防止するため、赤外線ヒータ118aからの熱が伝わらないよう、赤外線ヒータ118aに正対しない位置を通過する。
図5(C)に示すように、複合プリフォーム70の加熱の際、複合プリフォーム70はスピンドル143によって支持される。
図10に示すように、スピンドル143の下部には複数個のボール状の弾性体143bが埋設される。また、スピンドル143の外部には、傘状部材143aが必要に応じて取り付けられる。ここで図10は加熱炉133のスピンドル143を示す図である。
複合プリフォーム70は、その口部11a内にスピンドル143の下部が挿入された際に、弾性体143bの弾性変形によってスピンドル143に支持される。そして、傘状部材143aが設けられた場合は、同時に複合プリフォーム70の口部11aが傘状部材143aにより覆われる。
図10に示すように、傘状部材143aが設けられた場合は、複合プリフォーム70の口部11a内面とスピンドル143の下部との間から複合プリフォーム70の口部11a外面と傘状部材143aとの間にかけて、隙間が形成されることから、赤外線ヒータ118aからの熱によって加熱された複合プリフォーム70内のエアはホットエアとなって上記隙間を複合プリフォーム70内から複合プリフォーム70外へと流れ、その間に複合プリフォーム70の口部11aを加熱する。
複合プリフォーム70の口部11aは、後に複合容器10Aの状態でキャップ103により密封された時に複合容器10Aの密封性が損なわれないよう、複合プリフォーム70の段階で加えられる熱で変形しないよう配慮されている。
上記隙間を流れるホットエアは、口部11aを加熱するが、口部11aに変形を来さない70℃程度以下の温度までしか加熱しない。このような口部11aの加熱により、複合プリフォーム70内に残留した微量の過酸化水素が活性化され、口部11aが適度に殺菌される。
なお、口部11aの殺菌性を向上するために、傘状部材143aではなく紫外線ランプやパルスビーム等で照射殺菌しても良い。
上記加熱の際、複合プリフォーム70は、その口部11aにスピンドル143が挿入されることによって正立状態で吊下げられた状態で、望ましくは、スピンドル143と共に軸回りで回転しつつ搬送される。これにより、複合プリフォーム70は口部11aを除き赤外線ヒータ118aにより90℃から130℃程度に均一に加熱される。
なお、複合プリフォーム70は、倒立状態で搬送することも可能である。
この間、複合プリフォーム70を構成するプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの双方が、赤外線ヒータ118aにより加熱されるが、プリフォーム10aの外面、すなわちプリフォーム10aとプラスチック製部材40aとの間に残留する過酸化水素も活性化される。このため、この活性化された過酸化水素によって、プリフォーム10aの外面およびプラスチック製部材40aの内面を適切に殺菌することができる。
加熱された複合プリフォーム70は、図6(D)に示すように、スピンドル143から解放され、グリッパ132に受け渡され、口部11a側から無菌エアQを吹き付けられつつ、図6(E)に示すブロー成形型である金型104へと搬送される。この無菌エアQの吹き付けにより、複合プリフォーム70は無菌性を維持しつつ金型104に供給される。
上記無菌エアQはホットエアであってもよい。ホットエアの吹き付けにより、プリフォーム1の温度低下が防止される。
また、図6(D)に示すように、複合プリフォーム70の加熱が終わって複合プリフォーム70が金型104へと向かう箇所には、複合プリフォーム70の走行路を囲むように覆い186がトンネル状に設けられる。このトンネル状の覆い186における複合プリフォーム70の口部11aをその上方から覆う天井部分は、傾斜面を有する屋根状に形成される。また、天井部分には、無菌エアQを複合プリフォーム70の口部11aの方に向かって吹き出すノズル186aが、パイプの列状に又はスリット状に設けられる。これにより、無菌エアQが複合プリフォーム70へと効率的に供給され、複合プリフォーム70はチャンバー141b内にあって無菌性を保持しつつ走行する。
無菌エアQの吹き付けにより無菌性を保ったまま搬送される複合プリフォーム70は、図6(E)に示すように、金型104内に収納される。
金型104は、プリフォーム1の走行速度と同じ速度で連続的に走行しつつ、型締め状態とされ、金型104内でプリフォーム1に対するブロー成形が行われた後に型開き状態とされる。
上述の如く複合プリフォーム70は、図5(C)に示した加熱工程でその口部11aを除く全体が成形に適した温度域まで均一に加熱されていることから、図6(E)に示すように、この加熱された複合プリフォーム70が金型104内に装着された後、延伸ロッド105が複合プリフォーム70内に挿入されると、複合プリフォーム70はその長さ方向に金型104内で引き伸ばされる。
続いて、例えば一次ブロー用無菌エアや二次ブロー用無菌エアが図示しないブローノズルから複合プリフォーム70内に順次吹き込まれることによって、金型104のキャビティ104C内で複合プリフォーム70が成形品の複合容器10Aまで膨張する。
このように金型104内で複合容器10Aが成形されると、金型104が引き続き走行しながら型開きし、複合容器10Aの完成品が金型104から外方へ取り出される。
複合容器10Aは、金型104から外方へ取り出された後、図7(G)に示す過酸化水素供給工程に至るまでの間、図6(F)に示すように、無菌エアQが口部11側から吹き付けられ、搬送される。この無菌エアQの吹き付けにより、複合容器10Aはできるだけ微生物に汚染されないようにして過酸化水素供給ノズル193の直下へと送られる。
図6(F)に示す無菌エアQは、ホットエアであるのが望ましい。ホットエアの吹き付けにより、複合容器10Aの温度低下が防止されるので、次の過酸化水素による殺菌効果が向上する。
また、図6(F)に示すように、複合容器10Aが次の過酸化水素供給ノズル193(図7(G)参照)へと移動する箇所には、複合容器10Aの走行路を囲むように覆い187がトンネル状に設けられる。このトンネル状の覆い187における複合容器10Aの口部11をその上方から覆う天井部分は、傾斜面を有する屋根状に形成される。また、天井部分には、無菌エアQを複合容器10Aの口部11の方に、又は走行路の方に向かって吹き出すノズル187aが、パイプの列状に又はスリット状に設けられる。これにより、無菌エアQが複合容器10Aへと効率的に供給され、複合容器10Aは後述するチャンバー141b、141c1内にあって無菌性を保持しつつ走行する(図9参照)。
無菌エアQを吹き付けられた複合容器10Aは、図12(G)に示すように、殺菌剤である過酸化水素が供給されることにより殺菌される。
具体的には、過酸化水素のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物が殺菌用ノズル193から搬送中の複合容器10Aに吹き付けられる。殺菌用ノズル193は複合容器10Aの口部11に対峙するように配置される。過酸化水素のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物は殺菌用ノズル193の先端から流下し、複合容器10Aの口部11から複合容器10A内に侵入して複合容器10Aの内面に接触する。
また、この複合容器10Aの走行箇所にはトンネル144が形成され、殺菌用ノズル193から吐出された過酸化水素のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物が複合容器10Aの外面に沿って流れ落ち、さらにトンネル144内に滞留することから、複合容器10Aの外面にも効果的に付着する。
過酸化水素のミストM又はガスGは、例えば殺菌剤ガス生成器によって生成可能である。
殺菌用ノズル193は複合容器10Aの搬送路上の定位置に設置してもよいし、複合容器10Aと同期的に移動させてもよい。
図7(G)に示すように、殺菌用ノズル193から吹き出た過酸化水素のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物は複合容器10Aの内外面に接触するが、その際複合容器10Aは上記複合プリフォーム70の段階で加えられた熱及び図6(F)の段階で複合容器10Aに加えられた熱が残留することによって所定温度に保持されていることから、効率良く殺菌される。
この所定温度は、複合プリフォーム70のプリフォーム10aがPET製の場合、望ましくは40℃〜80℃であり、より望ましくは、50℃〜75℃である。40℃よりも低い場合は殺菌性が著しく低下する。80℃よりも高い場合は成型後にボトルが収縮するという不具合が生じる。
この過酸化水素のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物の吹き付け後、複合容器10Aは、図7(H1)に示すように、エアリンスに付される。エアリンスは無菌エアNがノズル145から複合容器10A内に吹き込まれることによって行われ、この無菌エアNの流れによって複合容器10A内から異物、過酸化水素等が除去される。その際、複合容器10Aは正立状態とされる。
望ましくは、ノズル145には傘状部材184が取り付けられる。この傘状部材184による案内作用によって、無菌エアNは複合容器10A内からあふれ出た後、複合容器10Aの外面へと向かい、複合容器10Aの外面をエアリンスする。
なお、図7(H1)のエアリンス工程に代えて図7(H2)のごときエアリンス工程を採用してもよい。図7(H2)の工程を採用し、ボトル2を倒立状態にして下向きになった口部11から無菌エアNをボトル2内に吹き込むようにすることで、複合容器10A内の異物等を口部11から複合容器10A外に落下させることができる。あるいは、図7(H1)のエアリンス工程に続いて図7(H2)の工程を、無菌エアNを吹き込むことなく行うようにしてもよい。また、図7(H2)に示すノズル145にも傘状部材184を取り付けてもよい。
エアリンス後に、必要に応じて、図8(I)に示すように、複合容器10Aに付着した過酸化水素を洗い流し、且つ異物を除去するために無菌の常温水又は15℃〜85℃の熱水による無菌水リンスが行われる。ノズル1本あたりの流量は5L/min〜15L/minとし、洗浄リンス時間は0.2〜10秒にするのが望ましい。
上述したように、プリフォーム1の段階で殺菌した後に過酸化水素で複合容器10Aをさらに殺菌するので、複合容器10Aについての過酸化水素の使用量が少なくて済み、したがって、エアリンス後の温水リンス工程は省略可能である。
図7(G)の工程で使用する過酸化水素のミストM又はガスGは次の通りである。
過酸化水素の使用量をミストMの量に換算した場合、図7(G)の工程のみを行って複合容器10Aを滅菌するためには、複合容器10Aに35%重量換算で50μL/500mLボトル〜100μL/500mLボトルの量の過酸化水素を付着させる必要があったが、本発明のように複合プリフォーム70の殺菌を行った場合は、10μL/500mLボトル〜50μL/500mLボトルの量の過酸化水素ミストMを付着させることで商業的無菌充填が可能となった。
また、過酸化水素の使用量をガスGの量に換算した場合、図7(G)の工程のみを行って複合容器10Aを滅菌するためには、ガス濃度が5mg/L〜10mg/Lの過酸化水素ガスGを複合容器10Aに吹き付ける必要があったが、本発明のように複合プリフォーム70の予備加熱を伴う予備殺菌を行った場合は、ガス濃度が1mg/L〜5mg/Lの過酸化水素ガスGを吹き付けることで商業的無菌充填が可能となった。
無菌水リンスを省略するものとした場合、上記エアリンス後、図8(J)に示すように、内容液Lが充填ノズル110から複合容器10A内に充填され、図8(K)に示すように、蓋であるキャップ103で密封されることにより、内容液入り複合容器10Bが得られる。
なお、本実施の形態において、図7(G)(H1)(H2)に対応するボトルの殺菌工程を省略し、内容液L自体を殺菌処理した後に無菌環境の下で、常温で充填することも可能である。
また、複合容器10Aの上記殺菌工程を省略し、内容液Lを70℃程度の中温の状態で充填することも可能である。中温で充填する場合は、内容液Lや複合容器10A内での芽胞菌の生残は許容されるが、カビ、酵母等は内容液Lの有する熱によって殺菌され、また、PET製の容器本体10に変形等を来さない。従って、中温充填の場合は、内容液Lが芽胞菌の発芽を抑止する性質のある茶飲料、酸性飲料、ミネラルウォータである場合に適する。
上記複合容器10Aの殺菌方法を実施するための複合容器の殺菌装置は、例えば図9乃至図13に示すごとく構成される。
図9に示すように、複合容器の殺菌装置は、口部11aを有する有底筒状のプリフォーム10a(図5(A1)参照)を所定の間隔で順次供給するプリフォーム供給機111と、ブロー成形機112と、成形された複合容器10Aを殺菌する殺菌機188と、複合容器10A(図7(F)参照)に内容液Lを充填し、キャップ103(図8(K)参照)で密封する充填機113とを備える。
この殺菌装置は、ブロー成形機112から充填機113に至る個所においてチャンバー141a,141b,141c1,141c2,141d,141e,141fで囲まれている。
チャンバー141aはプリフォーム10aに殺菌剤を供給する箇所に対応し、チャンバー141bは複合容器10Aを成形する箇所に対応し、チャンバー141c1は複合容器10Aを殺菌機188へと搬送する箇所に対応し、チャンバー141c2は複合容器10Aに殺菌剤を供給し、リンスする箇所に対応し、チャンバー141dは複合容器10Aに内容液Lを充填し、密封する箇所に対応する。
チャンバー141bからチャンバー141c1に至る箇所は、クリーンルームとして維持される。クリーンルームとするため、無菌包装体の製造前からチャンバー141b〜141c1内に、HEPAフィルタに通した無菌の陽圧エアが供給される。これにより、チャンバー141b〜141c1内がクリーン状態に維持され、無菌性レベルの高い複合容器10Aの製造が可能になる。この場合、例えば、チャンバー141dから、陽圧エアが供給され、チャンバー141aから陽圧エアが排出される。
チャンバー141b〜141c1内に無菌の陽圧エアを吹き込む前に、チャンバー141b〜141c1内を10mg/L以下の過酸化水素ガスでガス殺菌しても良い。また、複合プリフォーム70や複合容器10Aが接触する部位をUVランプで照射(紫外線殺菌)しても良い。或いは、金型104や延伸ロッド105、グリッパ132など資材が接触する箇所をエタノールや過酸化水素が1%含有している薬剤で殺菌しても良い。
プリフォーム供給機111から充填機113に至る間には、プリフォーム10aおよび複合プリフォーム70を第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、複合容器10Aの完成品形状のキャビティ104Cを有する金型104を、上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段と、金型104で成形された複合容器10Aを、上記第二の搬送路に接続される第三の搬送路上で搬送しつつ、複合容器10Aに対し殺菌、充填等を行う容器用搬送手段とが設けられる。
プリフォーム用搬送手段の第一の搬送路と、金型用搬送手段の第二の搬送路と、複合容器用搬送手段の第三の搬送路は互いに連通し、これらの搬送路上には複合プリフォーム70や複合容器10Aを保持しつつ搬送するグリッパ132等が設けられている。
プリフォーム用搬送手段は、その第一の搬送路上に、プリフォーム供給機111から供給されたプリフォーム10aを所定の間隔で順次供給するプリフォームコンベア114を備える。また、プリフォームコンベア114の終端からプリフォーム10aを受け取り、プリフォーム10aとプラスチック製部材40aとから複合プリフォーム70を作製し、この複合プリフォーム70を搬送するホイール201,202,203,204,205の列と、複合プリフォーム70を受け取って走行させる無端チェーン18とを具備する。
この場合、ホイール201はプリフォーム10aを搬送するとともに、プリフォーム10aの内面および外面に対して殺菌剤を吹付ける殺菌剤吹付部として機能する(図11参照)。
またホイール202およびホイール203は、回転軸202Aを中心として回動するようになっており、このうちホイール202はプリフォーム10aを保持するグリッパ202aを有し、このグリッパ202aによりプリフォーム10aを把持してプリフォーム10aを回転軸202Aを中心として回転させる(図12参照)。
またホイール203はプラスチック製部材、とりわけブローチューブからなるプラスチック製部材40aを把持するカップ203aを有する。そしてホイール202およびホイール203は互いに同期して回転する。この回転中にホイール203がホイール202に対して上昇し、ホイール202とホイール203の回転中に、プリフォーム10aの外面にプラスチック製部材40aが挿着され、このようにしてプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に挿着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70が得られる。
このためグリッパ202aを有するホイール202とカップ203aを有するホイール203とにより、複合プリフォーム70を作製するプラスチック部材挿着部が構成される。
またホイール204およびホイール205は、複合プリフォーム70を搬送するとともに複合プリフォーム70内にホットエアを吹付けるホットエア吹付部として機能する。
上述のように、ホイール201,202,203,204,205は、プリフォーム10aにプラスチック製部材40aを挿着して複合プリフォーム70を作製する機能および複合プリフォーム70を殺菌する機能をもつ。
なお、プラスチック製部材40aがブローチューブからなる場合、ホイール203はプラスチック製部材40aを保持するカップ203aを有しているが(図12参照)、プラスチック製部材40aが収縮チューブからなる場合、カップ203aの代わりにホイール203先端にプラスチック製部材40aを拡げた状態で把持する吸盤203bを設けてもよい(図13参照)。
図13において、ホイール202およびホイール203は互いに同期して回転する。この回転中にホイール203がホイール202に対して上昇し、ホイール202とホイール203の回転中に、プリフォーム10aの外面にプラスチック製部材40aが挿着され、このようにしてプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に挿着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70が得られる。図12、図13に記載したプリフォーム10aは共に倒立状態でも良い。倒立状態の場合、装着部材の落下が防止できる点で優位である。
ところで図11に示すように、ホイール201におけるプリフォーム10aの走行路上の定位置には、過酸化水素ガスGを生成する殺菌剤ガス生成器と、過酸化水素ガスGをプリフォーム1に向かって吐出する図5(A1)に示したような殺菌剤供給ノズル106が配置される。
またホイール202,203は上述のようにプラスチック製部材挿着部として機能する(図5(A2))。
またホイール204,205における複合プリフォーム70の走行路上には、複合プリフォーム70に向かってホットエアPを吐出することにより、プリフォーム1の内外面に付着した過酸化水素を活性化させるとともにプリフォーム1の外に排出するエアノズル180(図5(B)参照)が配置される。
またホイール204,205,あるいはホイール119に、プラスチック製部材40aの装着状態を確認する検査装置(カメラ等)を設けてもよい。
図9および図11に示すように、ホイール201,202,203,204,205の回りは、チャンバー141aで囲まれている。このチャンバー141aには、チャンバー141a内のエア中の過酸化水素等の殺菌剤を分解するフィルタ136と、ブロア137とからなる排気手段が連結される。これにより、隣接するブロー成形機112内へ過酸化水素が流入しないようにすることができる。第一の搬送路中、ホイール205に接するホイール117から第二の搬送路に接するホイール119に至る箇所には、複合プリフォーム70を成形温度まで加熱する加熱炉133が設けられる。
複合プリフォーム70は加熱炉133内を走行しながら均一に加熱され、口部11a以外がブロー成形に適した温度である90℃〜130℃まで昇温する。口部11aは、キャップ103が被せられたときの密封性が損なわれないように、変形等を生じることのない70℃以下の温度に抑えられる。
第二の搬送路の回りには、ブロー成形機112が配置される。ブロー成形機112は、上記加熱炉133内で加熱された複合プリフォーム70を受け取って複合容器10Aに成形する。
プリフォーム用搬送手段の第一の搬送路と、金型用搬送手段の第二の搬送路との間に位
置するホイール119の上方には、このホイール119の回りを走行する複合プリフォーム70に対しその口部11aの上方から覆う覆い186(図6(D)参照)がトンネル状に設けられる。この覆い186内には無菌エアQが複合プリフォーム70の口部11aに向かうように吹き込まれる。この無菌エアQは、無菌エア供給装置から供給される無菌エアPの一部を分け取ったものであってもよい。
これにより、複合プリフォーム70はクリーンルームをなすチャンバー141bに囲まれたうえ、さらに無菌エアQを覆う覆い186により覆われることとなり、無菌性を高度に維持した状態でブロー成型機112に向かうことになる。
ブロー成型機112における金型104は、第三の搬送路の始端となるホイール121に接したところで型開きし、ホイール121の回りのグリッパ32によって受け取られる。
ブロー成形機112から出てホイール21に至った複合容器10Aは、ホイール121の外周に必要に応じて配置される検査装置135によって成形不良等の有無について検査される。
検査された複合容器10Aは、不合格の場合は図示しない排斥装置によって搬送路から排除され、合格品のみがホイール122へと搬送される。
第三の搬送路中、ホイール121,12,189における複合容器10Aの走行路の上方には、複合容器10Aに対しその口部11aの上方から覆う覆い187(図6(F)参照)がトンネル状に設けられる。この覆い187内に吹き込まれる無菌エアQは、無菌エア供給装置から供給する無菌エアPから一部分け取ったものであってもよい。
第三の搬送路中、上記ホイール189に続くホイール190,191,192,123の列には、殺菌剤供給ノズル193(図7(G)参照)及び無菌エア供給ノズル145(図7(H1)又は(H2)参照)が設けられる。
具体的には、殺菌剤供給ノズル193がホイール190の回りにおける複合容器10Aの走行路上の定位置に複数基(図9では、四基)設置される。また、殺菌剤供給ノズル193に対応して複合容器10Aが通過するトンネル144(図7(G)参照)も設置される。殺菌剤供給ノズル193から吹き出る過酸化水素水のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物は複合容器10Aの内部に入って複合容器10Aの内面に薄い被膜となって付着し、また、複合容器10Aの外面に沿って流れるとともにトンネル44内に充満して複合容器10Aの外面に薄い被膜となって付着する。
ホイール192の回りにおける複合容器10Aの走行路上の定位置には、無菌エア供給ノズル145が一基又は複数基設置される。無菌エア供給ノズル145から吹き出た無菌エアNは複合容器10Aの内外面に接触して複合容器10Aの表面に付着した余剰の過酸化水素水の被膜を除去する。無菌エアNがホットエアである場合は、複合容器10Aの内外面に付着した過酸化水素を活性化させ、殺菌効果を高める。
なお、殺菌剤供給ノズル193と無菌エア供給ノズル145は、各ホイール190,192の回りに複合容器10Aのピッチと同じピッチで多数配置し、各ホイール190,192と同期的に旋回運動をさせつつ複合容器10A内に過酸化水素のガスGや無菌エアNを吹き込むようにしてもよい。
第三の搬送路中、上記ホイール123に接するホイール124からホイール127に至る箇所には、フィラー139及びキャッパー140が設けられる。
具体的には、ホイール124の回りに複合容器10A内に内容液Lを充填するための充填ノズル110(図8(J)参照)が多数設けられることによりフィラー139が構成され、ホイール126の回りには、内容液Lが充填された複合容器10Aにキャップ103(図8(K)参照)を取り付けて密封するためのキャッパー140が構成される。
上記第一乃至第三の搬送路において、ホイール201,202,203,204,205の回りはチャンバー141aによって囲まれる。ホイール117からホイール121に至る箇所の周辺は、チャンバー141bによって囲まれる。ホイール122及びホイール189の周辺は、チャンバー141c1によって囲まれる。ホイール190からホイール123に至る箇所の周辺は、チャンバー141c2によって囲まれる。ホイール124からホイール127に至る箇所の周辺は、チャンバー141dによって囲まれる。
上記チャンバー141bの内部へは、図示しないHEPAフィルタ等によって浄化された無菌エアが常時供給される。これにより、チャンバー141bはクリーンルームとされ、その内部への微生物の侵入が阻止される。
上記チャンバー141a、141b、141c2、141d、141e、141fの各内部は、例えばCOP(cleaning outside of place)、SOP(sterilizing outside of place)の実施により殺菌処理され、その後、これらのチャンバー141a、141b、141c2、141d、141e、141fの各々に又は一体的に設置された排気手段によって各チャンバー141a、141b、141c2、141d、141e、141f内から殺菌剤、洗浄剤のガスやミストがチャンバー外に排出される。そして、図示しないスクラバー、フィルタ等によって浄化された無菌エアがこれらの各チャンバー141a、141b、141c2、141d、141e内に供給されることによって、各チャンバー141a、141b、141c2、141d、141f内の無菌性が維持される。チャンバー141d、141e、141fについてはCOP、SOPが必ず実施されるが、チャンバー141a、141b、141c2については必ずしも実施する必要はない。
また、チャンバー141c1は、チャンバー141bとチャンバー141c2との間の雰囲気を遮断する雰囲気遮断チャンバーとして機能する。このチャンバー141c1にも、上記排気手段と同様な排気手段が連結され、チャンバー141c1の内気が外部に排気される。これにより、チャンバー141d内のCOP、SOPにより発生する洗浄剤のガス等や、チャンバー141c2内で発生する殺菌剤のミスト等がチャンバー141c1を経てブロー成形機112のチャンバー141b内へと流入するのを阻止することができる。
なお、複合容器の殺菌装置における環境(チャンバーや製品液ライン)、内容液入り複合容器10Bの中身の殺菌強度は、中身のpHや窒素源、炭素源、ミネラル、カテキンなどの含有量により異なる。
従って、中身によりCOP、SOPの内容や必要なエリアも異なる。加えて、無菌エアの供給配管やボトル殺菌も製品により不要な場合がある。
次に、図5〜図13を参照して複合容器の殺菌装置の動作を説明する。
まず、プリフォーム供給機11からプリフォーム10aが供給され、このプリフォーム10aはプリフォームコンベア14を経てホイール201へ送られる。
プリフォーム10aはこのホイール201により搬送され、この間、殺菌剤供給ノズル106からプリフォーム10aの内面および外面に向って過酸化水素のガスG若しくはミスト又はこれらの混合物が供給される。
次に内面および外面に過酸化水素のガスG若しくはミスト又はこれらの混合物が供給されたプリフォーム10aはホイール202へ送られる。そしてホイール202によってプリフォーム10aが回転搬送される間、このプリフォーム10aの外側に、ホイール203によって回転搬送されるプラスチック製部材40aが挿着され、このようにしてプリフォーム10aとこのプリフォーム10aの外側に挿着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70が得られる。
続いて、過酸化水素が付着したプリフォーム10aを含む複合プリフォーム70がホイール204,205の回りを走行する際、エアノズル180からホットエアPが複合プリフォーム70の内側に吹き付けられる。このホットエアPの熱により、複合プリフォーム70内面に付着した過酸化水素が活性化され、複合プリフォーム70に付着した微生物が殺菌される。また、ホットエアPにより余剰の過酸化水素が複合プリフォーム70から除去される。
その後、複合プリフォーム70は、無端チェーン118上のスピンドル143(図5(C)参照)に受け取られ、加熱炉133内へと搬送される。
加熱炉133内において複合プリフォーム70は赤外線ヒータ118aによって加熱され、口部11aを除く全体の温度がブロー成形に適した温度域まで均一に加熱される。この間、複合プリフォーム70が全体として加熱され、プリフォーム10aとプラスチック製部材40aとの間に残る過酸化水素が活性化され、プリフォーム10a外面が殺菌される。
加熱炉133内で成形温度まで加熱された複合プリフォーム10aは、ホイール119の回りを走行する際、覆い186の中を通りながら、無菌エアQを吹き付けられる。これにより、複合プリフォーム70は無菌性を維持しつつブロー成形機112へと搬送される。無菌エアQがホットエアである場合は、複合プリフォーム70は成形に適した温度を好適に維持しつつブロー成形機112に到達する。
複合プリフォーム70は、ホイール120の外周を通過する際に図6(E)のごとく金型104内に挿着され、無菌の高圧エアが吹き込まれることによってキャビティ104C内で複合容器10Aの完成品へと膨張する。
成形された複合容器10Aは、金型104の型開き後にホイール121の回りのグリッパによって金型104外方に取り出され、検査装置135によって成形不良等の有無について検査される。
不良品の複合容器10Aは図示しない排出装置によって列外に除かれ、良品の複合容器10Aのみがホイール122へと受け渡されつつ殺菌機188へと搬送される。
また、複合容器10Aは、ホイール121からホイール189へと走行する際、覆い187の中を通りながら、無菌エアQを吹き付けられる。これにより、複合容器10Aは無菌性を維持しつつ殺菌機188へと搬送される。無菌エアQがホットエアである場合は、複合容器10Aは殺菌に適した温度を好適に維持しつつ殺菌機188に到達する。
複合容器10Aは、殺菌機188内におけるホイール190の回りを走行しつつ、図7(G)のように、過酸化水素水のミストM若しくはガスG又はこれらの混合物を吹き付けられて殺菌され、続いて、ホイール192の回りを走行しつつ、図12(H1)又は(H2)のように、無菌エアNを吹き付けられてエアリンスされる。
その後、複合容器10Aは充填機113内に至る。
充填機113において複合容器10Aには、あらかじめ滅菌処理された内容液Lが図8(J)のごとくフィラー139の充填ノズル110により充填される。内容液Lが充填された複合容器10Aは、キャッパー140によりキャップ103が施されて密封され(図8(K)参照)、チャンバー141dの出口から外方へ排出される。
なお、今回の実施形態では、はじめに殺菌剤をプリフォーム10aに噴霧し、プリフォーム10a側に殺菌剤を吸着させた状態でプラスチック製部材40aを装着して複合プリフォーム70を作製し、この複合プリフォーム70を赤外線ヒータ118aで加熱することにより、吸着した殺菌剤が活性化され、複合プリフォーム70のプリフォーム10aとプラスチック製部材40aとの隙間を殺菌した例を示した。
他の方法として、プリフォーム40aではなく、プラスチック製部材40a側に殺菌剤を噴霧、或いは浸漬させることで殺菌剤をプラスチック製部材40aに吸着させた後、プリフォーム10aにプラスチック製部材40aを装着して複合プリフォーム70を作製し、この複合プリフォーム70を赤外線ヒータ118aで加熱することにより、吸着した殺菌剤を活性化し、複合プリフォーム70のプリフォーム10aとプラスチック製部材40aとの隙間を殺菌してもよい。この場合も、はじめに殺菌剤をプリフォーム10aに噴霧した場合と同様の効果が得られる。もちろん、プリフォーム10aを殺菌剤に浸漬させることで、殺菌剤を吸着させても良い。
また殺菌剤を吸着させる工程は、実施例で示したようにブロー成形機と連結したインラインで行っても良いが、ブロー成形時に殺菌剤成分の一部が吸着した状態さえ維持できればオフラインであっても良い。
以上のように本実施の形態によれば、ブロー成形金型104内で複合プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させる。このためプリフォーム10aとプラスチック製部材40aとを別部材から構成することができ、プラスチック製部材40aの種類や形状を適宜選択することにより、複合容器に様々な機能や特性を付与することができる。また複合プリフォームおよび複合容器に対して適切な殺菌処理を施すことができる。