以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
先ず、本発明の第1の実施形態によるゲート装置1について説明する。ゲート装置1は、図1〜図4に示されるように、高速道路や有料道路の料金所、又は有料駐車場の出入口等のゲートにおいて、ゲートバー7によって、車路2上を進行する車両(移動体)の通行を規制するように構成され、例えば、車路2に沿うように形成されたコンクリート製のプラットフォームであるアイランド3上に設置される。
図1は、ゲートバー7が閉じて車路2を遮断した状態(閉状態)を示し、図2は、ゲートバー7が開いて車路2を開放した状態(開状態)を示す。また、図3は、ゲートバー7がリリースした状態を示し、図4は、ゲートバー7のリリース復帰動作の中間状態を示す。以下では、説明の便宜上、車路2上においてゲートの通過前の地点からゲートを見た場合に、即ち、車路2における車両の進行方向において、手前側を「前」、向こう側(奥側)を「後」、右側を「右」、左側を「左」、上側を「上」、下側を「下」とする。車路2上を進行する車両は、通常、ゲート装置1の前方からゲート装置1に接近し、その後、ゲート装置1の後方へ進む。即ち、ゲート装置1の前後方向は、車路2と平行な車両進行方向(移動体進行方向)である。
ゲート装置1は、矩形柱状に形成された本体筐体4(本体部)を備え、本体筐体4は本体ベース5によってアイランド3上に固定されている。また、ゲート装置1では、車路2を遮断する部材であるゲートバー基部6及びゲートバー7、並びに復帰駆動部8が、本体筐体4の上部前方側に備わる水平回動軸9に取り付けられている。第1の実施形態において、ゲート装置1は、本体筐体4側から復帰駆動部8へと非接触給電によって電力を供給するために、後述する給電部16と受電部17とからなる固定式の非接触給電機構15を備えている。
本体筐体4は、水平方向(前後方向)に伸長する水平回動軸9と、水平回動軸9をゲートバー基部6及びゲートバー7と共に駆動するためのゲート駆動モータ51等(図7や図11参照)からなるゲート駆動機構とを備える。更に、本体筐体4は、ゲート装置1を統括制御するための本体制御部10(図7や図11参照)を内部に備え、復帰駆動部8の受電部17に対して非接触給電によって電力を供給するための給電部16を前面に備える。ゲート駆動モータ51や本体制御部10については後述する。
水平回動軸9は、本体筐体4の内部から本体筐体4の前面の開口部を介して前方(車両進行方向と反対側)に突出するように配置される。水平回動軸9は、本体筐体4の内部でゲート駆動モータ51に電気的に接続されていて(図7参照)、ゲート駆動モータ51によって駆動されて回動すると共に、水平回動軸9に取り付けられたゲートバー基部6及びゲートバー7を一体的に回動させることができる。従って、水平回動軸9は、ゲートバー7を回動させることで車路2の開閉動作(車路開閉動作)を行うことができる。
この車路開閉動作は、水平回動軸9に直交するゲートバー基部6及びゲートバー7を横臥・起立させることにより、車路2の遮断・開放を行う動作である。図1に示すように、ゲート駆動モータ51により水平回動軸9が回動してゲートバー基部7を横臥させると、ゲートバー基部7と共にゲートバー6が横臥し、これにより車路2が遮断される。このように、ゲートバー基部6及びゲートバー7が横臥する位置を「横臥位置」という。一方、図2に示すように、ゲート駆動モータ51により水平回動軸9が回動してゲートバー基部6を起立させると、ゲートバー基部6と共にゲートバー7が起立し、これにより車路2が開放される。このように、ゲートバー基部6及びゲートバー7が起立する位置を「起立位置」という。
ゲートバー基部6は、前側が開口された断面コ字状に形成された長尺状の部材であり、ゲートバー7の一端側を嵌合する形状を有する。ゲートバー基部6は、長手方向一端側(例えば、右側)の後面が水平回動軸9に固定されていて、水平回動軸9の回動に応じて本体筐体4に対して回動可能になっている。一方、ゲートバー基部6の長手方向他端側(例えば、左側)は、水平回動軸9と交わる方向(例えば、水平回動軸9と直交する方向)に伸長している。
また、ゲートバー基部6は、長手方向一端側に、嵌合されたゲートバー7を着脱可能に係止するための係止機構11として係止可動部12等を備え、長手方向他端側に、短手方向(例えば、ゲートバー7の閉状態において上下方向)に伸長するリリース軸13を備える。リリース軸13の下面には、軸径よりも若干細い丸凹部13aが形成されている(図5参照)。丸凹部13aは、後述する復帰駆動部8の復帰駆動軸32を嵌合させる形状を有し、リリース軸13と復帰駆動軸32とを同軸にしてゲートバー基部6の下面と復帰駆動部8とを位置決めするためのものである。なお、ゲートバー基部6と復帰駆動部8との位置決めには、位置決めボスや取付ビス(図示せず)等も用いられてよい。
また、ゲートバー基部6は、ストッパー部14を長手方向他端側で且つ後面側に備えている(図7等参照)。ストッパー部14は、例えば、発泡ウレタン等からなるクッションであり、ゲートバー基部6の長手方向と平行な面を有する。ストッパー部14は、後述する復帰従動部21の当接部22の回動軌道上に配設される。
ゲートバー7は、長尺の棒状に形成され、閉状態で車路2を遮断できる程度の長さを有する。ゲートバー7は、長手方向一端側(例えば、閉状態で右側)に設けられるゲートバー保持部18と、ゲートバー保持部18に装着されて長手方向他端側(例えば、閉状態で左側)に延在するゲートバー本体19とを備える。ゲートバー本体19は、軽量な材料、例えば、アルミの中空パイプ等からなる芯部の他端側を、発泡ウレタン等からなる緩衝材で覆うことによって形成される。ゲートバー本体19を構成する緩衝材の外表部には、ドライバー等からの視認性を良くするために、赤白のストライプ等のラミネートが施されるとよい。
ゲートバー7は、長手方向一端側のゲートバー保持部18を介してゲートバー基部6に取り付けられている。具体的には、ゲートバー保持部18の長手方向一端側が、ゲートバー基部6に着脱可能に保持されると共に、ゲートバー保持部18の長手方向他端側が、ゲートバー基部6のリリース軸13に軸支されている。
ゲートバー7は、通常、図1及び図2に示されるように、長手方向一端側のゲートバー保持部18がゲートバー基部6に嵌合されると共に、ゲートバー保持部18の長手方向一端側が係止機構11によってゲートバー基部6に係止されて、ゲートバー基部6と一体化固定された固定状態(非リリース状態)になっている。このとき、ゲートバー7の長手方向がゲートバー基部6の長手方向と一直線状になり、ゲートバー7の長手方向他端側が水平回動軸9と交わる(直交する)方向に大きく伸長される。
また、ゲートバー7は、ゲートバー保持部18の長手方向一端側がゲートバー基部6から取り外されて、ゲートバー基部6との一体化固定(固定状態)が解除(リリース)されると、図3等に示されるように、リリース状態になる。リリース状態のゲートバー7(ゲートバー保持部18)は、ゲートバー基部6に対してリリース軸13を中心にして回動可能になっている。
このように、ゲートバー7がリリースされると共にゲートバー基部6に対して回動する動作を、以下では「リリース動作」と称する。また、リリースされたゲートバー7が、リリース軸13を中心にして回動し、ゲートバー7の長手方向一端部がゲートバー基部6から離間すると共にゲートバー7の長手方向他端部が車両進行方向へと向かう方向(上方から見て時計回り方向)を「リリース方向」と称する。また、リリースされたゲートバー7が、リリース軸13を中心にして回動して車路2から退避した状態、例えば、リリース軸13周りに約90度回動して長手方向が車路2と略平行になった状態(図3参照)を「リリース完了状態」と称する。
ゲートバー保持部18は、例えば、ゲートバー7をゲートバー基部6に着脱可能に係止させるための係止機構11としてラッチ部20等を長手方向一端側に備える。即ち、ゲートバー基部6とゲートバー7との間には、係止可動部12やラッチ部20からなる係止機構11が備えられる。
係止機構11は、図1及び図2に示されるように、ゲートバー基部6に嵌合されたゲートバー7(ゲートバー保持部18)を係止して、ゲートバー7の固定状態(非リリース状態)を維持するように構成される。なお、係止機構11は、車路開閉動作による振動や風圧等の力が加えられても、ゲートバー基部6とゲートバー7との係止を維持する程度の保持力を有する。即ち、固定状態は、ゲートバー基部6及びゲートバー7の車路開閉動作が可能な状態である。
一方、係止機構11は、上記保持力以上の力、例えば、車両がゲートバー7に衝突する際に加わる外力によって、図3及び図4に示されるように、ゲートバー基部6とゲートバー7(ゲートバー保持部18)との係止が外れて、ゲートバー7をリリース状態にするように構成される。なお、係止機構11は、リリース状態のゲートバー7が、リリース方向とは逆方向に回動して、ゲートバー基部6に当接すると共に押圧されたときに、その押圧力によって、ゲートバー基部6に嵌合されたゲートバー7を係止する構成を有する。例えば、係止機構11では、ゲートバー基部6側の係止可動部12が、ゲートバー7側のラッチ部20に押圧されて、可動してからラッチ部20を係止することにより、ゲートバー7がゲートバー基部6に係止される。
また、ゲートバー保持部18は、長手方向においてリリース軸13よりも他端側に復帰従動部21を備える。復帰従動部21は、ゲートバー保持部18の後面側に突出していてゲートバー保持部18と一体的に回動するように設けられ、当接部22(図5等参照)と復帰従動ピン23とを備えている。
当接部22は、長手方向一端側(例えば、ゲートバー7の閉状態において右側)の外壁面であって、例えば、ゲートバー7の長手方向に直交する当接面である。当接部22は、ゲートバー7が固定状態のときには、他の部材に干渉しないフリーな状態である。また、当接部22は、ゲートバー7がリリースされて回動するときには、ゲートバー基部6のストッパー部14に当接することにより、それ以上のゲートバー7の回動を制限する。ゲートバー7のリリース制限角度は、ゲートバー7が固定状態のときから、当接部22がストッパー部14に当接するまでの角度であり、例えば、上方から見て時計回りに約90度である。
復帰従動ピン23は、ゲートバー基部6が横臥した状態において、ゲートバー保持部18よりも下方に突出して形成される(図5等参照)。復帰従動ピン23は、長手方向においてリリース軸13よりも他端側(例えば、ゲートバー7の閉状態において左側)で、且つリリース軸13の近傍に設けられ、また、後述する復帰駆動部8の復帰駆動アーム38の回動軌道上に配設されている。
復帰駆動部8は、ゲートバー保持部18(ゲートバー7)を駆動してゲートバー基部6に対してリリース軸13周りに駆動させるもので、図5〜図10等に示すように、ゲートバー基部6と同様に長尺状に形成された部材である。図5は、ゲートバー7が固定状態であって、復帰駆動部8をゲートバー基部6に取り付ける前の状態を示している。図6は、ゲートバー7がリリース状態であって、復帰駆動部8をゲートバー基部6に取り付けた状態を、復帰駆動部8を透過して示している。図7は、ゲートバー基部6及びゲートバー7が横臥した状態において、復帰駆動部8及び受電部17の構成を上方から見た図である。図8は、ゲートバー基部6及びゲートバー7が横臥した状態において、復帰駆動部8及び受電部17の構成を前方から見た図である。図9は、ゲートバー基部6及びゲートバー7が起立した状態において、復帰駆動部8及び受電部17の構成を前方から見た図である。図10は、復帰駆動部8の分解斜視図である。
復帰駆動部8は、ゲートバー保持部18(ゲートバー7)の復帰駆動を実行する駆動機構部24と、駆動機構部24へと電力を供給する受電部17とを主に備える。駆動機構部24は、各部を制御するための復帰駆動制御部60(図11参照)を内部に備える。復帰駆動制御部60については後述する。
また、復帰駆動部8の駆動機構部24は、例えば、図10等に示されるように、略箱状の復帰駆動部シャーシ25内に、復帰駆動モータ26とギアヘッド27と、ウォームギア28と、ウォームホイール29と、中継ギア30と、復帰駆動ギア31と、復帰駆動軸32と、センサディスク33と、アーム角度センサ34と、ホームポジション(HP)センサ35とを備えている。そして、駆動機構部24は、復帰駆動軸32がゲートバー基部6のリリース軸13と同軸になる位置でゲートバー基部6の下側(上下方向一端側)に位置決め固定される。
復帰駆動部シャーシ25は、シャーシ下部25a及びシャーシ上部25bと、前後のカバー(図示せず)からなり、シャーシ下部25aとシャーシ上部25bとは、例えば、ネジ止めや接着等の何れの手段によって締結されてもよい。シャーシ下部25aの底面には、上方に突出するウォームホイール支軸25cと中継ギア支軸25dとが設けられる。また、シャーシ下部25aの底面とシャーシ上部25bの上面のそれぞれには、復帰駆動軸32を軸支するベアリング36を取り付けるための軸穴25eが、長手方向の他端側(左側)に設けられ、シャーシ上部25bの長手方向の一端側の側面(右面)には、ウォームギア28を軸支するための軸溝25fが設けられる。
復帰駆動モータ26は、例えば、直流モータであり、内部に多数の歯車列を有するギアヘッド27と一体構成され、ギアヘッド27の出力軸にはウォームギア28が固定されている。ウォームギア28は、シャーシ上部25bの軸溝25fに軸支されていて、ギアヘッド27の出力軸と一体的に回転する。
ウォームホイール29は、ウォームギア28に噛合するハスバ歯車部29aとハスバ歯車部29aの下方に形成された小歯車部29bとを一体的に回転するように有し、ウォームホイール支軸25cに軸支される。中継ギア30は、ウォームホイール29の小歯車部29bと噛合する大歯車部30aと大歯車部30aの下方に形成された小歯車部30bとを一体的に回転するように有し、中継ギア支軸25dに軸支される。
復帰駆動ギア31は、中継ギア30の小歯車部30bと噛合する歯車を有し、復帰駆動軸32に固定されていて復帰駆動軸32と一体的に回転する。復帰駆動軸32は、軸穴25eに取り付けられたベアリング36に軸支されている。復帰駆動軸32の復帰駆動ギア31の上方には、センサディスク33も復帰駆動軸32と一体的に回転するように固定されている。センサディスク33の外周部には、ホームポジション検出用のHP凹部33aが形成されている。
アーム角度センサ34及びアームHPセンサ35は、センサディスク33の周辺に固定して配設され、アームHPセンサ35についてはセンサディスク33の所定位置(HP凹部33a)を検知することで、復帰駆動軸32に取り付けられる復帰駆動アーム38のホームポジションを検出し、アーム角度センサ34についてはセンサディスク33の周面に等角度間隔に多数開口されたスリット33bによる透過/遮蔽のパルス数より復帰駆動アーム38の回転角度を検出する。なお、復帰駆動軸32や復帰駆動アーム38の回動角度は、ゲートバー基部6側(ゲート閉状態やリリース状態では上側であり、後述する復帰中間状態では右側)から見て時計回り又は反時計回りの角度を示す。
そして、上記したような復帰駆動部8の駆動機構部24の内部構造によれば、復帰駆動モータ26が回転駆動すると、その回転力をギアヘッド27で減速すると共に出力軸を回転してウォームギア28に伝達する。この回転力は、ウォームギア28とウォームホイール29のハスバ歯車部29aとの噛合により、例えば、数十分の一に減速し、ウォームホイール29の小歯車部29bと中継ギア30の大歯車部30aとの噛合でも減速し、更に中継ギア30の小歯車部30bと復帰駆動ギア31との噛合でも減速して、最終的に復帰駆動モータ26の駆動を数百分の一に減速して復帰駆動軸32が回転される。従って、比較的小径で動力の小さい復帰駆動モータ26でも、高速回転駆動させて、多段減速することによって、強大なトルクで復帰駆動軸32を回転させることができ、復帰回動軸32の回転速度は低速になる。
また、復帰駆動軸32の上部は、シャーシ上部25bの軸穴25eを貫通してシャーシ上部25bの上方に突出している。復帰駆動軸32の上端には、ゲートバー基部6のリリース軸13の丸凹部13aに緩嵌合する丸凸部37が段付き形状で形成されている。即ち、リリース軸13の丸凹部13aと復帰駆動軸32の丸凸部37とが、ゲートバー基部6と復帰駆動部8(駆動機構部24)との位置決め機構になっている。
更に、復帰駆動軸32の上部には、復帰駆動アーム38が、丸凸部37の下方に固定されていて、復帰駆動軸32と一体的に回動するようになっている。復帰駆動アーム38は、復帰駆動軸32に直交して伸長する平板状に形成され、ゲートバー基部6側からゲートバー7まで延在している。
復帰駆動アーム38の長手方向の長さは、復帰駆動軸32と同軸のリリース軸13から復帰従動部21の復帰従動ピン23までの長さを十分に超えていて、即ち、復帰駆動アーム38の回動軌道上に復帰従動部21の復帰従動ピン23が位置する。復帰駆動アーム38の上下高さ位置は、復帰従動ピン23の突出した長さの範囲に収まっている。復帰駆動アーム38の短手方向両端には、第1押圧部38a及び第2押圧部38bが設けられる。第1押圧部38aは、復帰駆動部8を上方から見て、時計回り方向側の端部であり、第2押圧部38bは、反時計回り方向側の端部である。従って、復帰駆動アーム38が時計回りに回動するときに第1押圧部38aが復帰従動ピン23に当接し、復帰駆動アーム38が反時計回りに回動するときに第2押圧部38bが復帰従動ピン23に当接する。このように、復帰駆動アーム38は、回動することで復帰従動ピン23に当接し、また、復帰従動ピン23(復帰従動部21)を押圧することで、復帰従動ピン23(復帰従動部21)を備えたゲートバー保持部18(ゲートバー7)を回動させることができる。
復帰駆動アーム38の周方向の位置は、図5等に示されるように、ゲートバー7が固定状態の場合には、復帰従動ピン23に干渉しないホームポジションに維持される。なお、復帰駆動アーム38のホームポジションは、復帰従動ピン23に対してゲートバー7のリリース方向とは逆側に設定される。これにより、ゲートバー7のリリース動作があったとき、ゲートバー7と共に回動する復帰従動ピン23は、ホームポジションの復帰駆動アーム38から遠ざかるので干渉することがない。
次に、第1の実施形態における固定式の非接触給電機構15の給電部16及び受電部17について説明する。
給電部16は、その給電面を前方に向けて本体筐体4の前面に取り付けられる給電アンテナである。給電部16は、ゲートバー基部6が横臥した状態において復帰駆動部8の受電部17の受電面と、その給電面が対面一致するような位置に設けられている。
給電部16は、コアレスの巻線からなる給電コイル40を有し、給電コイル40は給電面と平行方向に巻回された略矩形状に形成される。給電コイル40は、カバーとして樹脂等で形成される給電収容部41に収容されている。
受電部17は、その受電面を後方に向けてゲートバー基部6の長手方向一端側に取り付けられる受電アンテナであり、即ち、駆動機構部24とは水平回動軸9を挟んで略対称位置に取り付けられる。受電部17は、図8等では、ゲートバー基部6が横臥した状態においてゲートバー基部6の上面が取付位置になっているが、受電部17の取付位置はこれに限定されない。受電部17は、ゲートバー基部6の外形よりも外側であって、ゲートバー基部6の構造物に遮蔽されずに給電部16と対向できるような位置に取り付けられればよく、例えば、ゲートバー基部6が横臥した状態においてゲートバー基部6の下面や、ゲートバー基部6の背面に取り付けられてもよい。
受電部17は、コアレスの巻線からなる受電コイル42を有し、受電コイル42は受電面と平行方向に巻回された略矩形状に形成される。受電コイル42は、カバーとして樹脂等で形成される受電収容部43に収容されている。この受電収容部43には、後述する充電回路部63及びバッテリー64も収容される。なお、バッテリー64は、着脱可能に取り付けられていてもよい。受電部17、充電回路部63及びバッテリー64の電気的な構成については後述する。
また、給電部16及び受電部17は、給電収容部41及び受電収容部43の対向する外装面の間、即ち、給電コイル40の給電面と受電コイル42の受電面との間に僅かなギャップを有して配置される。
上記したような固定式の非接触給電機構15では、例えば、1次コイルである給電部16の給電コイル40を高周波発振させると、相互誘導による電磁誘導作用によって2次コイルである受電コイル42に起電力が発生するので、給電部16から受電部17に電力が給電されることになる。なお、給電コイル40及び受電コイル42の結合係数に応じて、適宜コンデンサを直列又は並列に配置することにより、給電効率を高めることが可能である。更に、給電部16及び受電部17は、それぞれ給電コイル40及び受電コイル42をフェライトコアに巻回して形成されてもよい。
次に、ゲート装置1の本体筐体4側における本体制御部10を含む電気的な構成について、図11を参照しながら説明する。
本体制御部10は、例えば、CPU(中央演算処理装置)やメモリ等で構成され、メモリには、ゲート装置1の車路開閉動作や復帰動作等を制御する制御プログラムが記憶されている。本体筐体4は、本体制御部10以外に、ゲート駆動モータ51、ゲート角度センサ52、ゲートHPセンサ53、外部通信部54、無線通信部55及び給電部16を備えている。ゲート駆動モータ51、ゲート角度センサ52、ゲートHPセンサ53、外部通信部54、無線通信部55及び給電部16は、本体制御部10に電気的に接続されていて、本体制御部10によって上記した制御プログラムに基づいて制御される。
ゲート駆動モータ51は、水平回動軸9を駆動するもので、例えば、直流モータである。ゲート角度センサ52は、水平回動軸9の回動角度を検知するもので、例えば、ゲート駆動モータ51と一体化されたエンコーダであり、ゲート駆動モータ51の回転角度を正確に検出することが可能である。ゲートHPセンサ53は、水平回動軸9に取り付けられたゲートバー基部6及びゲートバー7のホームポジションを検知するものである。例えば、本体制御部10は、ゲート角度センサ52の検出結果に基づいて、ゲート駆動モータ51を所望の回転角度で停止させると共に、水平回動軸9の細かい角度制御が可能になる。なお、ゲートバー基部6(ゲートバー7)のホームポジションは、ゲートバー基部6(ゲートバー7)の長手方向が水平方向(左右方向)になる位置である。
外部通信部54は、ゲート装置1(本体制御部10)をネットワークを介して外部機器と通信可能にするもので、例えば、ゲート装置1を備えるシステムが当該ゲート装置1とは別個の車路制御盤(図示せず)によって車路2の遮断不可や車両進入中を制御する場合に、この車路制御盤にネットワークを介して通信可能に接続される。例えば、外部通信部54は、ゲート装置1がETCゲートに設置される場合に、ETCアンテナから車路制御盤へ送られた車両データに基づく車路開/閉動作指令を車路制御盤から受信する。
無線通信部55は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線方式によって、後述の復帰駆動部8の無線通信部65と無線通信することにより、本体制御部10と復帰駆動制御部60との間で制御信号等の各種信号を無線で送受信するものである。
次に、ゲート装置1の復帰駆動部8側における復帰駆動制御部60を含む電気的な構成について、図11を参照しながら説明する。
復帰駆動制御部60は、例えば、CPU(中央演算処理装置)やメモリ等で構成され、復帰駆動部シャーシ25の内部に設けられる。復帰駆動制御部60のメモリには、復帰駆動部8の復帰動作等を制御する制御プログラムが記憶されている。復帰駆動部8は、復帰駆動制御部60以外に、復帰駆動モータ26、アーム角度センサ34、アームHPセンサ35、近接センサ61、リリース検知スイッチ62、受電部17、充電回路部63、バッテリー64及び無線通信部65が備えている。復帰駆動モータ26、アーム角度センサ34、アームHPセンサ35、近接センサ61、リリース検知スイッチ62、受電部17、充電回路部63及び無線通信部65は、復帰駆動制御部60に電気的に接続されていて、復帰駆動制御部60によって上記した制御プログラムに基づいて制御される。
近接センサ61は、例えば、金属センサであり、ゲートバー基部6の長手方向他端側で且つ後面側に取り付けられ、復帰従動部21の当接部22がゲートバー基部6のストッパー部14に当接、若しくは接近したことを検知するものである。
リリース検知スイッチ62は、例えば、ゲートバー基部6に取り付けられ、ゲートバー7がゲートバー基部6からリリースされたか否かを検知するものである。
受電部17は、復帰駆動制御部60だけでなく、充電回路部63にも電気的に接続され、また、バッテリー64も充電回路部63に電気的に接続される。そして、充電回路部63は、ゲートバー基部6及びゲートバー7が横臥位置にある場合、ゲートバー7が固定状態であれば、受電部17が受電した電力をバッテリー64に蓄電するが、ゲートバー7がリリース状態になると、バッテリー64に蓄電された電力を復帰駆動制御部60へと供給する。これにより、リリース状態のゲートバー7の復帰動作では、復帰駆動制御部60は、バッテリー64の電力を用いて復帰駆動部8の各種センサ34、35、61、62や復帰駆動モータ26を駆動することができる。あるいは、受電部17は、バッテリー64が満充電状態であれば、受電コイル41に発生した起電力を、直接的に復帰駆動制御部60に供給してもよい。
無線通信部65は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線方式によって、本体筐体4に備わる無線通信部55と無線通信することにより、本体制御部10と復帰駆動制御部60との間で制御信号等の各種信号を無線で送受信するものである。
次に、ゲート装置1におけるゲートバー7のリリース動作を説明する。
ゲート装置1では、図1、図2や図5等に示されるように、通常、ゲートバー基部6及びゲートバー7が固定状態になっていて、係止可動部12やラッチ部20からなる係止機構11によって係止されている。この固定状態において、復帰駆動部8の復帰駆動アーム38は、ホームポジションに維持されていて、復帰駆動アーム38の第1押圧部38aは、復帰従動部21の復帰従動ピン23と接触せずに僅かに隙間を空けた位置にある。
ゲート装置1において、この固定状態は、図1に示すゲートバー7の閉状態でも、図2に示すゲートバー7の開状態でも同様に維持される。ゲート装置1が車路2を遮断する場合には、水平回動軸9がゲートバー基部6及びゲートバー7を横臥位置まで回動して、ゲートバー7を閉状態(図1等参照)にしている。
このように、ゲートバー基部6及びゲートバー7が横臥位置にある場合には、復帰駆動部8の受電部17が、本体筐体4の給電部16と対面一致する。給電部16は、本体制御部10によって制御されていて、例えば、図示しない高周波発信源等によって高周波電流を給電部16の給電コイル40に供給する。すると、1次コイルである給電コイル40と、2次コイルである受電部17の受電コイル42との間で、相互誘導による電磁誘導作用が生じ、受電コイル42に起電力が発生する。
受電部17は、受電コイル42に発生した起電力を充電回路部63に供給し、充電回路部63は供給された電力をバッテリー64に蓄電する。復帰駆動部8の復帰駆動制御部60、並びに復帰駆動モータ26、アーム角度センサ34、アームHPセンサ35、近接センサ61、リリース検知スイッチ62及び無線通信部65は、バッテリー64からの電力供給を受けて動作可能な状態となる。
ところで、通常、車両は、車路2を遮断している閉状態のゲートバー7に衝突することはない。しかし、例えば、ETC車載器にETCカードを挿入し忘れた車両がETCのゲートを通過する場合や、駐車場の出口から出場する車両が故意又は過失によりゲートバー7が開くのを待たずに進行する場合等では、車路2を遮断しているゲートバー7に車両が衝突することがある。
例えば、車両がゲートバー7の他端側(ゲートバー本体19の他端側)に衝突すると、その衝突によってゲートバー7の他端側に加わる外力により、係止機構11の係止が外れて、ゲートバー基部6の一端側からゲートバー7の一端側(ゲートバー保持部18の一端側)が取り外され、更に、ゲートバー7はリリース軸13を中心にリリース方向(上方から見て時計回り)に回動する(リリース動作)。
このようにリリース動作によって回動したゲートバー7は、上記したリリース制限角度の範囲内で様々な位置で停止することになる。例えば、ゲートバー7は、リリース軸13周りに約90度回動し、長手方向が車路2と略平行になって停止することがある。又は、ゲートバー7は、他端側に加わる衝撃力(外力)が小さい場合には、回動角度が90度よりも小さくなり、車路2側に張り出したままで停止することもある。或いは、ゲートバー7は、車両が勢い良く衝突して他端側に加わる衝撃力(外力)が大きい場合には、90度回動したときに、復帰従動部21の当接部22がゲートバー基部6のストッパー部14に勢い良く当接し、その反動によって逆方向(上方から見て反時計回り)に回動することにより、車路2側に張り出して停止することもある。
次に、ゲート装置1において、上記したようにリリースされたゲートバー7の復帰動作を説明する。ここで、「復帰動作」とは、リリース動作したゲートバー7を、リリース動作前の状態、即ち、車路開閉動作が可能な固定状態に復帰させる動作である。
ゲート装置1は、初期状態では、ゲートバー7がゲートバー基部6に対して固定状態である。そして、このようなゲートバー基部6及びゲートバー7の固定状態を監視するために、復帰駆動部8の復帰駆動制御部60は、リリース検知スイッチ62によって、ゲートバー7がゲートバー基部6からリリースされたか否かを常に検知している。そして、上記したように、ゲートバー7がゲートバー基部6からリリースされると、リリース検知スイッチ62がONになる。
リリース検知スイッチ62がONになると、復帰駆動部8の復帰駆動制御部60は、復帰駆動モータ26を制御して逆転駆動させる。そして、復帰駆動モータ26の回転力が、復帰駆動部8の各ギア28、29、30及び31を介して復帰駆動軸32に伝達し、復帰駆動軸32を回転させて復帰駆動アーム38を復帰従動部21の復帰従動ピン23に追随する方向(リリース方向、上方から見て時計回り)に回動させる。このとき、復帰駆動アーム38の第1押圧部38aは、ゲートバー7が車路2側に張り出している場合には、復帰従動部21の復帰従動ピン23を押圧して、ゲートバー7(ゲートバー保持部18)をゲートバー基部6に対してリリース方向(上方から見て時計回り)に回動させる。
この復帰駆動アーム38の回動角度は、アーム角度センサ34によって逐次検出されていて、アーム角度センサ34の検出結果は復帰駆動部8の復帰駆動制御部60に入力され、即ち、復帰駆動制御部60は復帰駆動アーム38の回動角度を監視している。そして、アーム角度センサ34が、予め復帰駆動制御部60に設定された所定の角度α1を検出すると、復帰駆動制御部60は復帰駆動モータ26の駆動を停止して復帰駆動アーム38の回動を停止させる。所定の角度α1は、例えば、固定状態における復帰駆動アーム38と復帰駆動ピン32との隙間角度に、ゲートバー7のリリース制限角度(例えば、90度)を加えた角度(90度プラスアルファ)である。
このようにして、ゲートバー7(ゲートバー保持部18)はゲートバー基部6に対してリリース制限角度(90度)だけ開いた状態になり、停止した復帰駆動アーム38が復帰駆動ピン23を支持することによってこの状態が維持される。また、ゲートバー7がリリース制限角度に達すると、復帰従動部21の当接部22がゲートバー基部6のストッパー部14に当接する。このような当接部22とストッパー部14との当接は、近接センサ61によって検出される。
この近接センサ61が当接部22とストッパー部14との当接を検出すると、復帰駆動制御部60は、リリース完了状態と判定してその判定結果を復帰駆動部8の無線通信部65を介して、本体筐体4の無線通信部55へと送信し、更に本体制御部10へと送信される。なお、復帰駆動制御部60は、近接センサ61による検出を省略し、上記したアーム角度センサ34の角度α1の検出によって、リリース完了状態と判定してもよい。本体制御部10は、リリース完了状態の判定結果に応じて、ゲート駆動モータ51を正転駆動させて、水平回動軸9をゲートバー基部6及びゲートバー7と共に、前方から見て時計回りに低速で回動させる。これにより、ゲートバー7は、ゲートバー基部6に対してリリース完了状態に保持されたままで、本体筐体2の上方に向かって徐々に上昇する。このようにして、ゲートバー7は、リリース完了状態のままで本体筐体2の上方に配置される復帰中間状態へと移行する。
この水平回動軸9の回動角度は、ゲート角度センサ52によって検出されていて、ゲート角度センサ52の検出結果は本体制御部10に入力され、本体制御部10は水平回動軸9の回動角度を監視している。そして、ゲート角度センサ52が、予め本体制御部10に設定された所定の角度β1、具体的には、ゲートバー7の開状態と同じ角度β1(例えば、90度)を検出すると、本体制御部10は、ゲート駆動モータ51の駆動を停止して水平回動軸9の回動を停止させる。この状態が復帰中間状態である(図4参照)。このようにゲートバー基部6及びゲートバー7を水平回動軸9周りに回動させるときには、ゲートバー7が常にリリース完了状態にあるので、ゲートバー本体19の長手方向他端部が車路2側に張り出すことがなく、ゲートバー7の復帰中間状態への移行が安定的に行える。
本体制御部10は、上記のようにしてゲートバー7の復帰中間状態への移行を判定すると、その判定結果を本体筐体4の無線通信部55を介して、復帰駆動部8の無線通信部65へと送信し、更に、復帰駆動制御部60へと送信される。復帰駆動制御部60は、復帰中間状態の判定結果に応じて、復帰駆動モータ26を正転駆動させて、復帰駆動軸32を回転させることにより、復帰駆動アーム38をリリース方向とは逆方向(右方から見て反時計回り)に回動させる。これにより、リリース状態にあるゲートバー7に対して、復帰駆動アーム38の第2押圧部38bが復帰従動ピン23を押圧して、ゲートバー7(ゲートバー保持部18)をゲートバー基部6に対してリリース方向とは逆方向(右方から見て反時計回り)に回動させる。このリリース方向とは逆方向の押圧力は、ゲートバー基部6の一端側とゲートバー7の一端側とに設けられた係止可動部12やラッチ部20等の係止機構11に作用して、この係止機構11でゲートバー基部6とゲートバー7とが確実に係止される。これにより、ゲートバー7は固定状態(非リリース状態)になる。
この復帰駆動アーム38の回動角度は、上記と同様にアーム角度センサ34によって逐次検出されていて、復帰駆動制御部60は復帰駆動アーム38の回動角度を監視している。そして、アーム角度センサ34が、予め復帰駆動制御部60に設定された所定の角度α2を検出すると、復帰駆動制御部60は復帰駆動モータ26の駆動を停止して復帰駆動アーム38の回動を停止させる。所定の角度α2は、例えば、復帰駆動アーム38の反時計回りの回動角度であって第1押圧部38aが復帰従動ピン23に当接する状態から第2押圧部38bが復帰従動ピン23に当接する状態までの角度(360度以下)に、ゲートバー7の復帰動作角度(リリース制限角度に等しい。例えば、90度)を加えた角度である。
このようにして、固定状態になったゲートバー7(ゲートバー保持部18)及びゲートバー基部6は、起立位置に配置された状態になる(図2参照)。また、この状態ではリリース検知スイッチ62がOFFになる。
リリース検知スイッチ62がOFFになると、復帰駆動制御部60は、復帰駆動モータ26を逆転駆動させて、復帰駆動軸32を回転させることにより、復帰駆動アーム38をリリース方向(右方から見て時計回り)に回動させる。
このとき、復帰駆動アーム38は、アームHPセンサ35によって逐次検出されていて、アームHPセンサ35の検出結果は復帰駆動制御部60に入力され、復帰駆動制御部60は復帰駆動アーム38がホームポジションに戻ったかを監視している。
アームHPセンサ35は、ホームポジションに復帰駆動アーム38が戻ったことを示すセンサディスクのHP凹部33aを検出するとONになり、復帰駆動制御部60は、アームHPセンサ35がONになると、復帰駆動モータ26の駆動を停止して復帰駆動アーム38の回動を停止させる。そして、復帰駆動制御部60は、復帰駆動部8側の動作終了の通知を復帰駆動部8の無線通信部65を介して、本体筐体4の無線通信部55へと送信し、更に、本体制御部10へと送信される。
ところで、本体制御部10は、ゲートバー7による車路2の遮断が可能か否かを判断している。例えば、本体制御部10は、上記のような車路制御盤から遮断不可又は車両進入中を示す信号を外部通信部54を介して受信した場合には、車路2を遮断不可と判断し、このような信号を受信していない場合には、遮断可能と判断する。
本体制御部10は、上記のように復帰駆動部8側の動作終了の通知を受けると共に、車路2を遮断可能と判断した場合、ゲート駆動モータ51を逆転駆動させて、水平回動軸9をゲートバー基部6及びゲートバー7と共に、前方から見て反時計回りに回動させる。これにより、ゲートバー7は、起立位置に配置された状態から、本体筐体2の左方に向かって徐々に下降し、ゲートバー基部6及びゲートバー7が横臥位置へと移行して閉状態になる(図1参照)。
そして、ゲートバー基部6及びゲートバー7が横臥位置に到達すると、ゲートHPセンサ53がONになる。本体制御部10は、ゲートHPセンサ53がONになると、ゲート駆動モータ51の駆動を停止して水平回動軸9の回動を停止させる。これにより、復帰動作が完了する。
上記した第1の実施形態では、ゲートバー基部6に対してゲートバー7を回動させる構成として、ゲートバー基部6側に復帰駆動アーム38を有する復帰駆動部8を備えると共に、ゲートバー7側に復帰従動ピン23を有する復帰従動部21を備える構成を説明したが、他の構成でもよい。
また、上記した第1の実施形態では、ゲートバー基部6とゲートバー7とを係止する係止機構11として、係止可動部12やラッチ部20から構成される係止機構11を説明したが、係止機構11はこのような構成に限定されず、所定の保持力でゲートバー基部6とゲートバー7とを係止することができれば他の構成でもよい。
また、上記した第1の実施形態では、ゲートバー基部6と復帰駆動部8との位置決め機構として、ゲートバー基部6のリリース軸13の丸凹部13aに対して、復帰駆動部8の復帰駆動軸32の丸凸部37が緩嵌合する構成を説明したが、この構成に限定されない。復帰駆動部8は、復帰駆動アーム38によって、ゲートバー基部6に対してゲートバー7を回動させることができれば、上記のような位置決め機構を備えなくてもよい。
第1の実施形態によれば、上述のように、車路2上の車両(移動体)の通行を規制するゲート装置1は、本体筐体4(本体部)と、水平回動軸9と、ゲートバー基部6と、ゲートバー7と、復帰駆動部8とを備える。そして、水平回動軸9は、車路2に平行な車両進行方向(移動体進行方向)と反対側に突出するように本体筐体4に取り付けられている。ゲートバー基部6は、長尺状に形成され、その長手方向が水平回動軸9に直交するように水平回動軸9に取り付けられ、車路2を遮断する場合には横臥し、車路2を開放する場合には起立するように水平回動軸9によって回動される。ゲートバー7は、長尺状に形成され、その長手方向一端側がゲートバー基部6に軸支されて車両進行方向へと向かうリリース方向とその逆方向とに回動可能にゲートバー基部6に取り付けられると共に、ゲートバー基部6に一体化固定されて固定状態になる一方、所定の外力を受けることでゲートバー基部6との一体化固定が解除されてリリース状態になるようにゲートバー基部6に着脱可能に設けられる。復帰駆動部8は、ゲートバー基部6側に位置決め固定(取付)されていて、ゲートバー7をリリース方向及びその逆方向に回動させる復帰駆動アーム38を備えている。そして、ゲートバー7がリリース状態になったときにゲートバー7の復帰動作を開始し、該復帰動作において、復帰駆動アーム38がゲートバー7をリリース方向に回動させて車路2から退避したリリース完了状態まで移行させ、復帰駆動アーム38によってゲートバー7をリリース完了状態で保持した状態で水平回動軸9がゲートバー基部6を起立させる方向に回動させ、ゲートバー基部6が起立した状態で復帰駆動アーム38がゲートバー7をリリース方向とは逆方向に回動させて固定状態まで移行させる固定状態復帰動作を行う。
特に、第1の実施形態によれば、復帰駆動部8は、本体筐体4から非接触給電によって供給される駆動電力により動作するように構成されている。これにより、復帰駆動部8は非接触給電で電力供給を受けてゲートバー7の復帰動作を行うことができるため、通常のゲートバー7の開閉動作時に高速で動作するゲートバー基部6に取り付けられた復帰駆動部8と、本体筐体4側の本体制御部10との間に電源配線を引き回す必要がなくなり、電源配線の耐久性の問題が解消され、ゲート装置1の動作の耐久性を長期的に維持することができる。
また、第1の実施形態に係るゲート装置1では、復帰駆動部8は、ゲートバー基部6に取り付けられる受電部17を備え、本体筐体4は、ゲートバー基部6が横臥した状態で受電部17と対面一致する位置に設けられた給電部16を備え、受電部17は、固定式の非接触給電によって給電部16から電力供給を受けるように構成される。これにより、ゲートバー基部6が横臥した状態のときだけに位置が一致する受電部17と給電部17を各々一つずつ配置すればよいので、非接触給電のための部品費を抑えることができ、全体のコストを安価に抑えることができる。
また、本実施形態のゲート装置1は、復帰駆動部8が、受電部17を介して供給された電力を充電するバッテリー64を備えるように構成される。これにより、復帰駆動部8によるゲートバー7の復帰駆動動作だけでなく、復帰駆動部8側(ゲートバー基部6側)に備わるアーム角度センサ34、アームHPセンサ35、近接センサ61及びリリース検知スイッチ62等の各種センサ、並びに他の部品を、バッテリー64に蓄電した電力で動作させることができる。また、復帰駆動部8に復帰駆動制御部60を配置してバッテリー64に蓄電した電力で動作させることができるので、本体筐体4側とは別個に、復帰駆動制御部60によって復帰駆動部8の駆動機構部24や各種センサ34、35、61、62及び他の部品の細かな制御をすることが可能となる。
更に、本実施形態のゲート装置1は、受電部17及びバッテリー64が、ゲートバー7を駆動する復帰駆動部8の駆動機構部24とは、水平回動軸9を挟んだ略対称位置に取り付けられるように構成される。これにより、受電部17及びバッテリー64が、駆動機構部24に対してカウンターウェイトとなり、特に、比較的重量の重いバッテリー64をカウンターウェイトに活用できるので、本体制御部10がゲート駆動モータ51を駆動して水平回動軸9をゲートバー基部6及びゲートバー7と共に回動するときの消費電力を抑えることができる。
更に、本実施形態のゲート装置1は、本体筐体4及び復帰駆動部8が、相互に無線通信を行う無線通信部55及び65をそれぞれ備えるように構成される。これにより、復帰駆動部8への電源供給だけでなく、本体筐体4及び復帰駆動部8の間の信号通信も無線で行うことができるため、ゲートバー基部6及びゲートバー7の回動に伴う電気配線の耐久性の懸念が払拭される。
更に、本体制御部10は、ゲート角度センサ52によってゲートバー基部6及びゲートバー7の起立位置や横臥位置等の回動位置を把握しているので、横臥状態にある場合に給電部16の給電動作を行い、横臥状態でない場合には給電部16の給電動作を停止するように制御することにより、消費電力を削減することができる。
なお、本実施形態のゲート装置1において、ゲートバー7が起立位置の状態において復帰駆動部8の受電部17の受電面と、給電部16の給電面とが対面一致するような位置に設けられていてもよく、若しくは、ゲートバー7が横臥位置の状態と起立位置の状態と、双方の位置で受電面と給電面とが対面一致するようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態によるゲート装置1について図12〜図16を参照しながら説明する。以下では、第2の実施形態のゲート装置1について、主に第1の実施形態と異なる構成及び動作を説明し、第1の実施形態と同様の構成及び動作については説明を省略する。
第2の実施形態において、ゲート装置1は、本体筐体4側から復帰駆動部8へと非接触給電によって電力を供給するために、固定式の非接触給電機構15に代えて、給電部71と受電部72とからなる移動式の非接触給電機構70を備えている。給電部71及び受電部72は、第1の実施形態と同様に、それぞれ本体制御部10及び復帰駆動制御部60に電気的に接続されている。
給電部71は、ゲートバー基部6の横臥した状態と起立した状態との間の回動(移動行程)において受電部72の回動軌跡に沿った円弧状に形成された給電トランスであり、何れの位置においても受電部72と対面一致するように設けられる。給電部71は、例えば、略4分の1の円環状に湾曲していて、断面コ字状を有するフェライトコア等の給電コア73を備え、給電コア73のコ字状を成す凸部分の外周に給電コイル74が円弧状に沿って巻回されて形成される。
また、給電部71の給電コア73及び給電コイル74は、カバーとして樹脂等で形成される給電収容部75に収容されていて、給電部71は、給電コア73のコ字状を成す凸部分を前方に向けて、受電部72の回動軌跡に沿って本体筐体4の前面に取り付けられる。例えば、給電部71は、本体筐体4の前面に設けられた同形状の開口部に嵌合されてこの開口部から給電面が露出するように配置されてよい。若しくは、給電部71は、本体筐体4の外側に取り付けられ、給電コイル74からの配線だけを本体筐体4の内部に設けるように配置されてよい。また、本体筐体4が金属製である場合には、給電コイル74に対して本体筐体4がヨーク板として作用することで、給電効率を向上することが可能である。
受電部72は、受電コア76及び受電コイル77を受電収容部78に収容していて、給電部71と同様の湾曲形状を有し、弧の長さが給電部71の3分の1程度で形成される受電トランスである。受電部72は、受電コア76のコ字状を成す凸部分を後方に向けて、ゲートバー基部6が横臥した状態においてゲートバー基部6の上面に取り付けられる。なお、受電部72の取付位置はこれに限定されず、受電部72は、ゲートバー基部6の外形よりも外側であって、ゲートバー基部6の構造物に遮蔽されずに給電部71と対向できるような位置に取り付けられればよく、例えば、ゲートバー基部6が横臥した状態においてゲートバー基部6の下面や、ゲートバー基部6の背面に取り付けられてもよい。
また、第2の実施形態の復帰駆動部8は、第1の実施形態の充電回路部63に代えて、電源回路部79を備える。電源回路部79は、受電コイル77に発生した起電力を、直接的に復帰駆動制御部60に供給するように構成される。
このように、給電部71と受電部72とは、受電部72が90度回動する軌跡において受電部72が何れの位置にある場合でも、常に対面一致していて、給電コア73の凸部分と受電コア76の凸部分とが常に対向するように配置される。なお、図16では、受電部72が移動の中間的な位置にある状態を示している。給電コア73の凸部分と受電コア76の凸部分との間にはギャップが設けられ、給電収容部75及び受電収容部78の対向する外装面同士も僅かに離間している。
更に、給電部71及び受電部72は、それぞれ通信部を含んでいて、各通信部は、給電のための高周波発振の搬送波に、通信のデータを重畳させることで、別途の無線通信デバイスを設けることなく、本体筐体4側(本体制御部10)と復帰駆動部8側(復帰駆動制御部60)との間で制御信号等の各種信号を通信する。
なお、給電部71及び受電部72の各通信部は、給電のための高周波発振と通信のための発振を、時分割で行ってもよく、これにより、別途の無線通信デバイスを設けることなく、本体筐体4側(本体制御部10)と復帰駆動部8側(復帰駆動制御部60)との間で制御信号等の各種信号を通信することができる。また、復帰駆動部8から本体筐体4側への信号送信の際には、別途コンデンサ等に蓄電した若干の電力で、受電部72の通信部側から受電コア77を発振させてもよい。
また、第2の実施形態では、復帰駆動部8側に備わるリリース検知スイッチ62に代えて、リリース検知スイッチ80を本体筐体4側に設ける。例えば、リリース検知スイッチ80は、反射型測距センサで構成される。この場合、エンコーダであるゲート角度センサ52、ゲート駆動モータ51及び水平回動軸9の中心部分、並びにゲートバー基部6における対応部分には、前後方向に一直線状に導通した通孔81が設けられる。そして、反射型測距センサであるリリース検知スイッチ80は、ゲート角度センサ52の後方に配置されていて、各通孔81を介して前方に検出光を発光すると共に、前方からの反射光を受光することで距離を計測する。ゲートバー基部6に対してゲートバー7(ゲートバー保持部18)が一体化固定されていれば、リリース検知スイッチ80で計測されるゲートバー保持部18の背面までの距離が一定であるので固定状態であることを検出することができる。一方、ゲートバー基部6とゲートバー7(ゲートバー保持部18)との一体化固定が解除されると、リリース検知スイッチ80で計測されるゲートバー保持部18の背面までの距離が変動するのでリリース状態であることを検出することができる。
なお、リリース検知スイッチ80は、反射型測距センサに代えて、機械的なアクチュエータで構成されていてもよい。
本体制御部10は、リリース検知スイッチ80の検出結果を監視していて、この検出結果に応じて給電部71による給電動作を開始又は停止することにより、常時電力供給を行う場合に比べて省電力化を図ることができる。例えば、本体制御部10は、ゲートバー7が固定状態を維持しているときには給電部71の給電動作を停止し、ゲートバー7がリリース状態に移行したときに給電部71の給電動作を行うように制御する。即ち、本体制御部10は、リリース検知スイッチ80がONになったタイミング(リリース状態を検出したタイミング)から給電部71の給電動作を開始し、ゲートバー7の復帰動作が完了した後で給電部71の給電動作を停止する。
第2の実施形態によれば、上述のように、ゲート装置1は、第1の実施形態と同様の構成を有しつつ、給電部71は、ゲートバー基部6の横臥した状態と起立した状態との間の移動行程において受電部72の回動軌跡に沿った円弧状に形成され、何れの位置においても受電部72と対面一致するように設けられ、受電部72は、移動式非接触給電によって給電部71から電力供給を受けるように構成されている。
このように、第2の実施形態に係るゲート装置1では、給電部71と受電部72とからなる移動式の非接触給電機構70によって、受電部72の回動位相に拘らず、即ち、ゲートバー基部6及びゲートバー7が、横臥状態でも起立状態でも、その途中の何れの位相にあっても、給電部71から受電部72へと電力が供給され、電源回路部79を介して復帰駆動部8へと常時、電力が供給される。これにより、バッテリーを備えることなく、復帰駆動部8の駆動動作や信号通信を安定的に行うことができる。特に、復帰駆動アーム38及び水平回動軸9を同期制御して、ゲートバー7の長手方向他端部の回動軌跡を車路2側に張り出さないような調整を行いながら、ゲートバー基部6を横臥状態から起立状態に移行させる復帰駆動動作を、非接触給電状態であっても容易に実現することができる。
従って、第2の実施形態に係るゲート装置1では、重量が重いバッテリーを搭載する必要がなく、設備の簡略化やコストの削減を図ることができ、また、ゲートバー7のリリース状態からの復帰動作以外には給電する必要がないので、極めて合理的に省エネルギー化を実現することができる。
また、第2の実施形態によれば、給電部71及び受電部72は、それぞれ通信部を含み、各通信部は、給電のための高周波発振の搬送波に、通信データを重畳させるか、若しくは、給電と通信を時分割で動作させるように構成される。これにより、別途の無線通信デバイスを設けることなく、本体筐体4側(本体制御部10)と復帰駆動部8側(復帰駆動制御部60)との間で制御信号等の各種信号を通信することができるので、電気配線と電子部品とを削減して、より安価なゲート装置1を実現することができる。
上記した各実施形態では、給電部16や71は給電コイル40や74を給電収容部41や75に収容し、受電部17や72は受電コイル42や77を受電収容部43や78に収容する構成を説明したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、給電部16や71、並びに受電部17や72は、給電コイル40や74、並びに受電コイル42や77について防錆処理を施していれば樹脂等のカバーで覆う必要がなく、例えば、樹脂製塗料で給電コイル40や74、並びに受電コイル42や77をコーティングするように構成されてもよい。その場合には、樹脂製カバーが不要な分だけギャップを極力狭く設定することもできる。
また、上記した第1の実施形態及び第2の実施形態は、固定式の非接触給電機構15及び移動式の非接触給電機構70以外の他の部品でも異なる構成を説明したが、これらの他の部品は何れの実施形態においても適宜組み合わせて採用することが可能である。
上述したように、本発明に係るゲート装置1であれば、リリースされたゲートバー7を復帰動作させる機構スペースを小さくすることができ、また、復帰動作中のゲートバー7の位置を迅速に安定させることができ、更に、復帰動作中のゲートバー7が車路2側に張り出すことを防止することができ、また、コンパクトで安価に実現されると共に、開閉動作するゲートバー7側に復帰駆動部8を設けながら、ゲートバー7の開閉動作に伴って可動する電源配線を不要として、動作の耐久性を確保する復帰駆動部8の給電機構を備えることができる。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うゲート装置もまた本発明の技術思想に含まれる。