JP6456256B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関から排出された排ガスの一部を吸気通路に還流させるEGR装置を備える内燃機関の制御装置に関し、特にEGR率を推定し、EGR率に応じて内燃機関を制御する制御装置に関する。
従来のEGR率の推定方法として、気筒に吸入される新気量をエアフローセンサで検出するとともに、吸気圧センサで検出された吸気圧に基づいて気筒に吸入される総ガス量を算出し、これらの新気量と総ガス量からEGR率を推定することが知られている。しかし、この推定方法を低圧EGR装置(ターボチャージャのタービンよりも下流側から排ガスを取り出し、吸気通路のコンプレッサよりも上流側に還流させるEGR装置)に用いた場合には、気筒までの外部EGRガスの流路が比較的長く、外部EGRガスが気筒内に到達するまでの遅れが大きいため、EGR率を精度良く推定することは困難である。
また、EGR率を推定する従来の他の方法として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この推定方法は、内燃機関の圧縮行程における混合気の状態変化がポリトロープ変化であることや、混合気の組成に応じて比熱比が変化することに着目したものである。具体的には、圧縮行程中の所定の2つのクランク角CA1、CA2において筒内圧P1、P2を筒内圧センサで検出し、これらの筒内圧P1、P2とクランク角CA1、CA2に対応する気筒容積V1、V2から、混合気の比熱比κを次式によって算出する。
κ = log(P1/P2)/log(V2/V1)
そして、算出された比熱比κに基づき、比熱比とEGR率(EGRガス濃度)との関係を規定した所定のテーブルを参照することによって、EGR率が算出される。
特開2008−231995号公報
上述した従来のEGR率の推定方法では、圧縮行程における混合気の状態変化がポリトロープ変化であることを前提とし、圧縮行程中に検出された筒内圧P1、P2の変化量に基づいて、混合気の比熱比が算出される。一方、実際の内燃機関の制御では、内燃機関の負荷や回転数などに応じて、点火時期が変更され、それに伴って混合気の燃焼の開始タイミングが変化するのが通常である。
これに対し、従来の推定方法では、筒内圧P1、P2の検出タイミングとして、所定のクランク角CA1、CA2が一律に設定されているため、後側のクランク角CA2が混合気の実際の燃焼開始タイミングよりも遅くなる場合がある。その場合には、混合気の燃焼による圧力上昇によって、混合気の状態変化がポリトロープ変化に沿わなくなるため、比熱比の算出精度が低下してしまう。また、このような不具合を回避するために、例えば、後側のクランク角CA2をより進角側に設定した場合には、筒内圧P1、P2の圧力差を十分に確保できないおそれがあり、やはり比熱比を精度良く算出することができない。
また、混合気の比熱比は、温度に応じて変化するという温度特性を有するため、混合気の組成やEGR率が同じでも、圧縮行程での圧縮による混合気の温度上昇に伴って変化する。これに対し、従来の推定方法では、比熱比を算出する際にも、比熱比からEGR率を算出する際にも、比熱比の温度特性は考慮されておらず、この点からも比熱比及びEGR率の算出を精度良く行えない。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、圧縮行程における混合気の状態変化に基づき、比熱比の温度特性を良好に反映させながら、EGR率を精度良く推定できるとともに、推定したEGR率を用いて内燃機関を適切に制御することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、気筒3a内に燃料を直接、噴射するとともに、気筒3aから排気通路7に排出された排ガスの一部を外部EGRガスとして吸気通路6に還流させるEGR装置14を備える内燃機関の制御装置であって、気筒3a内に充填される混合気のEGR率R_EGRの目標となる目標EGR率TGT_EGRを設定する目標EGR率設定手段(ECU2、図20)と、気筒3a内の圧力を筒内圧PCYLとして検出する筒内圧センサ51と、内燃機関3の運転状態(点火時期IGLOG、吸気圧PBA、エンジン回転数NE)を検出する運転状態検出手段(吸気圧センサ56、クランク角センサ52、ECU2)と、検出された内燃機関3の運転状態に応じて、気筒3a内に充填された混合気の燃焼が開始される直前のクランク角を、基準クランク角CA_REFとして設定する基準クランク角設定手段(ECU2、図3のステップ5、図4)と、混合気のEGR率R_EGRが設定された目標EGR率TGT_EGRに等しく且つ混合気の空燃比が理論空燃比であるという条件で、混合気の比熱比の温度特性に基づき、設定された基準クランク角CA_REFにおいて発生する気筒3a内の圧力を、基準筒内圧P_REFとして算出する基準筒内圧算出手段(ECU2、図3のステップ6、図6)と、基準クランク角CA_REFにおいて筒内圧センサ51により検出された実筒内圧P_CPSと算出された基準筒内圧P_REFとの圧力差ΔPに基づき、混合気のEGR率R_EGRを推定するEGR率推定手段(ECU2、図3のステップ9〜11)と、推定されたEGR率R_EGRに応じて内燃機関3を制御する制御手段(ECU2、図18)と、を備えることを特徴とする。
この内燃機関では、気筒内に燃料が直接、噴射されるとともに、気筒から排気通路に排出された排ガスの一部が、外部EGRガスとして吸気通路に還流する。本発明の内燃機関の制御装置では、混合気のEGR率の目標となる目標EGR率が設定されるとともに、筒内圧(気筒内の圧力)が筒内圧センサによって検出される。また、検出された内燃機関の運転状態に応じて、混合気の燃焼が開始される直前のクランク角が、基準クランク角として設定され、さらに、この基準クランク角において発生する気筒内の圧力が、基準筒内圧として算出される。この基準筒内圧の算出は、EGR率が目標EGR率に等しく且つ空燃比が理論空燃比であるという混合気の組成の条件で、混合気の比熱比の温度特性に基づいて行われる。
前述したように、混合気の比熱比は、基本的に混合気の組成に応じて定まるとともに、混合気の温度に応じて変化するという温度特性を有する。したがって、混合気のEGR率が目標EGR率に等しく且つ混合気の空燃比が理論空燃比であるという条件で、基準筒内圧の算出を、比熱比の温度特性に基づいて行うことによって、混合気の比熱比の温度特性を反映させながら、基準筒内圧を一義的かつ適切に求めることができる。
また、本発明によれば、基準クランク角において検出された筒内圧を実筒内圧として求め、実筒内圧と基準筒内圧との圧力差に基づいて、EGR率が推定される。この実筒内圧には、外部EGRガスを含む混合気の実際の組成とそれに応じた温度や比熱比が反映される。したがって、実筒内圧と基準筒内圧との圧力差に基づいて、EGR率を推定できる。
また、基準クランク角は、混合気の燃焼の開始直前のクランク角であり、検出された内燃機関の運転状態に応じて設定される。このような基準クランク角の設定により、燃焼がまだ行われず、混合気の状態変化がポリトロープ変化に保たれた状態で、実筒内圧を取得するとともに、実筒内圧と基準筒内圧との大きな圧力差を確保できる。したがって、この圧力差に基づき、比熱比の温度特性を良好に反映させながら、EGR率を精度良く推定することができる。また、精度良く推定されたEGR率に応じて内燃機関を制御するので、内燃機関の制御を適切に行うことができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、EGR装置14は、排気通路7における過給機(ターボチャージャ13)のタービン23よりも下流側から吸気通路6における過給機のコンプレッサ21よりも上流側に、外部EGRガスを還流させるように構成されていることを特徴とする。
上記のように構成されるEGR装置は、いわゆる低圧EGR装置であり、外部EGRガスの流路が比較的長いため、外部EGRガスが気筒に到達するまでの遅れが大きい傾向がある。上述したように、本発明では、EGR率の推定を、気筒内の実際の圧力である実筒内圧とその基準筒内圧をパラメータとして行うので、低圧EGR装置の場合にも、外部EGRガスの遅れの影響を受けることなくEGR率を精度良く推定でき、したがって、本発明による効果を特に有効に得ることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、運転状態検出手段は、内燃機関3の運転状態として、点火時期IGLOG、気筒3aに吸入される吸気の圧力(吸気圧PBA)、及び内燃機関3の回転数NEを検出し、基準クランク角設定手段は、検出された点火時期IGLOG、吸気圧力及び内燃機関3の回転数NEに応じて、基準クランク角CA_REFを設定すること(図4)を特徴とする。
前述したように、基準クランク角は、混合気の燃焼の開始直前のクランク角として設定される。また、混合気の燃焼の開始タイミングは、点火時期の影響をダイレクトに受けるとともに、吸気圧力に応じて変化し、また、クランク角で表される場合には、内燃機関の回転数に応じて変化する。この構成によれば、検出されたこれらの3つのパラメータに応じて、基準クランク角を設定するので、基準クランク角の設定を、内燃機関の実際の運転状態に応じて適切に行うことができ、基準クランク角における基準筒内圧及び実筒内圧を適切に得ることができる。なお、本明細書における各種のパラメータの「検出」には、パラメータを、センサなどで直接、検出することの他、演算によって推定することなども含まれる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、圧縮行程において混合気の圧縮が開始される圧縮開始時のクランク角を、初期クランク角(吸気閉弁タイミングIVC)として取得する初期クランク角取得手段(吸気位相センサ53、ECU2)と、圧縮開始時における気筒3a内の温度を、初期筒内温度T_STRTとして取得する初期筒内温度取得手段(吸気温センサ57、吸気位相センサ53、排気位相センサ54、ECU2、図6のステップ32)と、圧縮開始時における気筒3a内の圧力を、初期筒内圧(吸気圧PBA)として取得する初期筒内圧取得手段(吸気圧センサ56)と、をさらに備え、基準筒内圧算出手段は、基準クランク角CA_REFと、取得された初期クランク角、初期筒内温度T_STRT及び初期筒内圧と、目標EGR率TGT_EGRに応じ、混合気の比熱比の温度特性に基づいて、基準筒内圧P_REFを算出すること(図6のステップ33)を特徴とする。
基準筒内圧は、混合気の燃焼の開始直前に相当する基準クランク角において発生する筒内圧であるため、基準クランク角に応じて変化するとともに、混合気の圧縮の開始タイミングや、圧縮開始時における混合気の温度及び圧力に応じて変化する。また、EGR率が変更されると、混合気の組成が変化し、それに応じて比熱比が変化するため、基準筒内圧はEGR率に応じて変化する。以上の関係から、この構成によれば、基準筒内圧を、基準クランク角と、圧縮開始時の初期クランク角、初期筒内温度及び初期筒内圧と、目標EGR率に応じて算出するので、基準筒内圧の算出を適切に行うことができる。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関の回転数NEを検出する回転数検出手段(クランク角センサ52)と、内燃機関3を冷却する冷却水の温度TWを検出する冷却水温度検出手段(水温センサ59)と、をさらに備え、基準筒内圧算出手段は、検出された内燃機関3の回転数NE及び冷却水温度TWに応じて基準筒内圧P_REFを補正すること(図6のステップ34、35)を特徴とする。
この構成によれば、検出された内燃機関の回転数及び冷却水温度に応じて基準筒内圧を補正することによって、気筒内と外部との間で授受される熱の影響を補償することができる。
請求項6に係る発明は、請求項4又は5に記載の内燃機関の制御装置において、EGR率推定手段は、基準クランク角CA_REFと、初期クランク角、初期筒内温度T_STRT及び初期筒内圧に応じ、混合気の比熱比の温度特性に基づいて、圧力差ΔPに対するEGR率R_EGRの傾きを表すEGR係数C_EGRを算出するとともに、算出されたEGR係数C_EGRを圧力差ΔPに乗算した値に、目標EGR率TGT_EGRを加算することによって、EGR率R_EGRを算出すること(図3のステップ7、11、図13)を特徴とする。
基準筒内圧は、EGR率が目標EGR率のときに発生する筒内圧である。このため、実際のEGR率が目標EGR率と等しくなったときには、実筒内圧が基準筒内圧に一致し、両者の圧力差は0になり、実EGR率と目標EGR率との差であるEGR率差が大きいほど、圧力差は大きくなる。また、図5に示すように、この圧力差はEGR率と線形関係(EGR率差と比例関係)にあるとともに、その傾き(比例定数)が吸気条件及び圧縮条件に応じて変化するという特性が認められている。
以上の関係から、この構成によれば、EGR率を推定する際、まず、圧力差に対するEGR率の傾きを表すEGR係数を、基準クランク角、初期クランク角、初期筒内温度及び初期筒内圧に応じて算出する。これにより、基準筒内圧の算出に用いられるパラメータのうち、目標EGR率以外のパラメータを用い、混合気の吸気・圧縮条件を反映させながら、EGR係数を適切に算出できる。また、算出したEGR係数を圧力差に乗算した値に目標EGR率を加算することによって、EGR率を算出するので、EGR率を精度良く推定することができる。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、筒内圧センサ51は、筒内圧を検出するための圧力検出素子と、圧力検出素子から出力される信号を増幅し、出力する増幅回路とを有し、圧力検出素子及び増幅回路が、気筒3a内に燃料を噴射する燃料噴射弁4に一体に設けられていることを特徴とする。
上記のように構成される筒内圧センサは、その圧力検出素子及び増幅回路が燃料噴射弁に一体に設けられているため、点火動作によるノイズや他の気筒の燃料噴射弁の噴射動作によるノイズの影響を受けにくい。このため、筒内圧センサによる実筒内圧の検出精度が高められることで、EGR率の推定精度をさらに向上させることができる。
本発明を適用した内燃機関の構成を概略的に示す図である。 制御装置の概略構成を示すブロック図である。 EGR率の推定処理のメインフローである。 基準クランク角の設定処理を示すサブルーチンである。 実筒内圧−基準筒内圧の圧力差とEGR率及び目標EGR率との関係を示す図である。 基準筒内圧の算出処理を示すサブルーチンである。 基準筒内圧マップの入出力関係を示す図である。 混合気の各成分の比熱比の温度特性を示す図である。 圧縮行程におけるクランク角に対する混合気の比熱比の関係の例を、EGRガスが存在しない場合と存在する場合について示す図である。 基準筒内圧マップにおける、基準クランク角及び吸気閉弁タイミングに対する基準筒内圧の設定例を示す図である。 基準筒内圧マップにおける、初期筒内温度に対する基準筒内圧の設定例を示す図である。 基準筒内圧マップにおける、吸気圧に対する基準筒内圧の設定例を示す図である。 EGR係数の算出処理を示すサブルーチンである。 EGR係数マップの入出力関係を示す図である。 EGR係数マップにおける、基準クランク角及び吸気閉弁タイミングに対するEGR係数の設定例を示す図である。 EGR係数マップにおける、初期筒内温度に対するEGR係数の設定例を示す図である。 EGR係数マップにおける、吸気圧に対するEGR係数の設定例を示す図である。 EGR率を用いた点火時期の制御処理を示すフローチャートである。 変形例による基準筒内圧の算出処理を示すサブルーチンである。 目標EGR率の設定処理を示すフローチャートである。 基準筒内圧マップにおける、目標EGR率に対する基準筒内圧の設定例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1に示すように、本発明を適用した内燃機関(以下「エンジン」という)3は、例えば4つの気筒3aを有するガソリンエンジンであり、車両(図示せず)に動力源として搭載されている。
エンジン3の各気筒3aには、燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)4及び点火プラグ5が、気筒3aの燃焼室(図示せず)に臨むように設けられている。インジェクタ4は、燃焼室内に燃料を直接、噴射するタイプのものである。点火プラグ5からの火花の放電によって、燃料と空気との混合気が点火され、燃焼が行われる。インジェクタ4からの燃料噴射量及び燃料噴射時期と点火プラグ5の点火時期IGLOGは、電子制御ユニット(以下「ECU」という)2からの制御信号によって制御される(図2参照)。
なお、本実施形態において「混合気」は、気筒3aに充填され、燃焼に供される筒内ガスであり、後述するEGR装置14による排気還流(外部EGR)が行われる場合には、外部EGRガスを含むものである。
エンジン3の各気筒3aには、その内部の圧力(筒内圧)を検出する筒内圧センサ51が設けられている。本実施形態では、筒内圧センサ51は、インジェクタ一体型のものであり、図示しないが、燃焼室に臨み、筒内圧をピックアップする圧力検出素子や、圧力検出素子からの信号を増幅し、出力する増幅回路などが、インジェクタ4に一体に組み付けられている。筒内圧センサ51で検出された筒内圧PCYLを表す検出信号は、ECU2に入力される。
また、エンジン3は、可変吸気位相機構11、可変排気位相機構12、ターボチャージャ13及びEGR装置14などを備えている。
可変吸気位相機構11は、エンジン3のクランクシャフトに対する吸気弁(いずれも図示せず)の相対的な位相(以下「吸気位相」という)CAINを無段階に変更するものであり、吸気位相制御モータ11a(図2参照)などを備えている。吸気位相制御モータ11aは、ECU2からの制御信号に応じて、クランクシャフトに対して吸気カムシャフト(図示せず)を相対的に回転させ、両者の相対角度を変化させることによって、吸気位相CAINを無段階に変更する。
同様に、可変排気位相機構12は、クランクシャフトに対する排気弁(図示せず)の相対的な位相(以下「排気位相」という)CAEXを無段階に変更するものであり、排気位相制御モータ12a(図2参照)などを備えている。排気位相制御モータ12aは、ECU2からの制御信号に応じて、クランクシャフトに対して排気カムシャフト(図示せず)を相対的に回転させ、両者の相対角度を変化させることによって、排気位相CAEXを無段階に変更する。
これらの可変吸気位相機構11及び可変排気位相機構12は、吸気位相CAINと排気位相CAEXの変更によって、吸気弁及び排気弁の開閉弁タイミングをそれぞれ制御するとともに、吸気弁と排気弁とのバルブオーバーラップによる内部EGRを制御するのに用いられる。
ターボチャージャ13は、吸気通路6に設けられたコンプレッサ21と、排気通路7に設けられ、シャフト22を介してコンプレッサ21に一体に連結されたタービン23を備えている。排気通路7を流れる排ガスによってタービン23が駆動され、それと一体にコンプレッサ21が回転することによって、吸気が過給される。また、ウェイストゲートバルブ(図示せず)などをECU2からの制御信号で制御することで、過給圧が調整される。
吸気通路6には、上流側から順に、吸気絞り弁25、ターボチャージャ13のコンプレッサ21、過給によって昇温した吸気を冷却するためのインタークーラ26、及びスロットル弁27が設けられている。吸気絞り弁25は、その下流側に外部EGRガスを導入するための負圧を発生させるものであり、その開度は、ECU2からの制御信号に応じ、LPアクチュエータ25aを介して制御される。
スロットル弁27は、吸気通路6の吸気マニホルド6aよりも上流側に配置されている。スロットル弁27の開度は、ECU2からの制御信号に応じ、THアクチュエータ27aを介して制御され、それにより、気筒3aに吸入される筒内ガス量が制御される。
排気通路7のタービン23よりも下流側には、三元触媒28が設けられている。三元触媒28は、活性状態において、排ガス中のHCやCOを酸化するとともに、NOxを還元することによって、排ガスを浄化する。
EGR装置14は、気筒3aから排気通路7に排出された排ガスの一部を、EGR通路41を介し、外部EGRガスとして吸気通路6に還流させるものである。図1に示すように、EGR通路41は、排気通路7のタービン23及び三元触媒28よりも下流側と、吸気通路6のコンプレッサ21と吸気絞り弁25との間に接続されている。この構成により、外部EGRガスは、排ガスがタービン23に対して仕事を行った後の状態で取り出されるため、比較的低圧になる。すなわち、EGR装置14は、いわゆる低圧EGR装置として構成されている。
EGR通路41の途中には、EGR弁42と、外部EGRガスを冷却するためのEGRクーラ43が設けられている。EGR弁42の開度は、ECU2からの制御信号に応じ、EGRアクチュエータ42aを介して制御され、それにより、外部EGRガス量が制御される。
また、エンジン3には、その運転状態を検出するために、前述した筒内圧センサ51に加えて、以下のような各種のセンサが設けられている(図2参照)。
クランク角センサ52は、クランクシャフトの回転に伴い、所定のクランク角度ごとに、パルス信号であるCRK信号及びTDC信号をECU2に出力する。CRK信号は、所定のクランク角度(例えば0.5度)ごとに出力される。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。
また、TDC信号は、いずれかの気筒3aにおいて、エンジン3のピストン(図示せず)が吸気TDC(上死点)付近の所定のクランク角度位置にあることを表す信号であり、本実施形態のようにエンジン3が4気筒の場合には、クランク角度180度ごとに出力される。ECU2は、TDC信号およびCRK信号に応じて、TDC信号の出力タイミングを基準とするクランク角CAを、気筒3aごとに算出する。また、ECU2は、TDC信号及びCRK信号に応じて、所定のクランク角度(例えば30度)ごとに、クランク角ステージFISTG(=0〜23)を算出し、割り当てる。
また、可変吸気位相機構11を取り付けた吸気カムシャフト、及び可変排気位相機構12を取り付けた排気カムシャフトには、吸気位相センサ53及び排気位相センサ54がそれぞれ設けられている。吸気位相センサ53は、吸気カムシャフトの回転に伴い、所定のカム角度(例えば0.5度)ごとに、パルス信号であるCAMIN信号をECU2に出力する。ECU2は、このCAMIN信号とCRK信号に基づき、吸気位相CAINを算出する。同様に、排気位相センサ54は、排気カムシャフトの回転に伴い、所定のカム角度(例えば0.5度)ごとに、CAMEX信号をECU2に出力する。ECU2は、このCAMEX信号とCRK信号に基づき、排気位相CAEXを算出する。
また、吸気通路6には、吸気絞り弁25の上流側にエアフローセンサ55が設けられ、スロットル弁27の下流側の吸気チャンバ6bに、吸気圧センサ56及び吸気温センサ57が設けられている。エアフローセンサ55は、気筒3aに吸入される空気(新気)の量(吸入空気量)GAIRを検出し、吸気圧センサ56は、吸気圧PBAを絶対圧として検出し、吸気温センサ57は、気筒3aに吸入される、外部EGRガスを含む吸気の温度(吸気温)TAを検出する。これらの検出信号はECU2に入力される。
排気通路7のタービン23と三元触媒28との間には、LAFセンサ58が設けられている。LAFセンサ58は、理論空燃比を含む広い空燃比領域において、三元触媒28に流入する排ガス中の酸素濃度を連続的に検出し、その検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この検出信号に基づき、排ガスの当量比KACTを算出する。
さらに、ECU2には、水温センサ59からエンジン3を冷却する冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを表す検出信号が、アクセル開度センサ60から、車両のアクセルペダル(図示せず)の踏込み量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が、それぞれ入力される。
ECU2は、CPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などから成るマイクロコンピュータで構成されている。ECU2は、前述した各種のセンサの検出信号などに応じて、エンジン3の運転状態を判別し、インジェクタ4の燃料噴射量や点火プラグ5の点火時期IGLOGの制御などを含むエンジン制御を実行する。
また、本実施形態では特に、ECU2は、気筒3a内に充填される混合気のEGR率R_EGRを推定するとともに、推定したEGR率R_EGRに応じて点火時期IGLOGを制御する。なお、混合気のEGR率R_EGRは、混合気(筒内ガス)の総量に対するEGRガス量の比率として定義される。
本実施形態では、ECU2が、目標EGR率設定手段、基準クランク角設定手段、基準筒内圧算出手段、EGR率推定手段、制御手段、初期クランク角取得手段、及び初期筒内温度取得手段に相当する。
図20は、ECU2で実行される、目標EGR率TGT_EGRの設定処理を示す。本処理では、まずステップ61において、アクセル開度AP及びエンジン回転数NEに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、要求トルクTRQCMDを算出する。次に、要求トルクTRQCMD及びエンジン回転数NEに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、目標EGR率TGT_EGRを算出し(ステップ62)、本処理を終了する。目標EGR率TGT_EGRが設定されると、それに応じた制御信号がEGRアクチュエータ42aに出力され、EGR弁42の開度が制御されることで、EGR率R_EGRが目標EGR率TGT_EGRに制御される。
なお、上述した目標EGR率TGT_EGRの設定処理は一例であり、他の適当な設定方法を採用することが可能である。例えば、上記の要求トルクTRQCMDに代えて、エンジン3の負荷を表す他のパラメータ、例えば吸入空気量GAIRや燃料噴射量などを用いて、目標EGR率TGT_EGRを設定してもよく、さらにノッキングの発生状況などに応じた補正を加えてもよい。
次に、ECU2で実行されるEGR率R_EGRの推定処理について説明する。図3は、そのメインフローを示す。本処理は、気筒3aごとに、前述したクランク角ステージFISTGの切替周期と同じ周期(例えばクランク角度30度ごと)で、繰り返し実行される。なお、筒内圧センサ51で検出された筒内圧PCYLに直接、関連する処理は、本処理とは別個に、CRK信号の発生周期と同じ周期(例えばクランク角度0.5度ごと)で実行され、例えば、検出された筒内圧PCYLがクランク角CAに対応して記憶される。
図3の推定処理では、まずステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、クランク角ステージFISTGが、吸気TDC(上死点)に相当する第1所定値STG1に等しいか否かを判別する。この判別結果がYESで、当該気筒3aが吸気行程に移行した直後の段階にあるときには、吸気関連パラメータを取得する(ステップ2)。具体的には、吸気関連パラメータとして、吸気温TA、エンジン水温TW及び排気位相CAEXを読み出すとともに、ECU2のRAMの所定領域に記憶する。その後、本処理を終了する。
前記ステップ1の判別結果がNOのときには、クランク角ステージFISTGが、圧縮BDC(下死点)に相当する第2所定値STG2に等しいか否かを判別する(ステップ3)。この判別結果がYESで、当該気筒3aが圧縮行程に移行した直後の段階にあるときには、圧縮関連パラメータを取得する(ステップ4)。具体的には、圧縮関連パラメータとして、検出された吸気圧PBA、エンジン回転数NE及び吸気位相CAINと、その時点で設定されている点火時期IGLOGを読み出すとともに、ECU2のRAMの所定領域に記憶する。
次に、基準クランク角CA_REFの設定処理を実行する(ステップ5)。この設定処理は、混合気の燃焼が開始される直前のタイミングを予測し、基準クランク角CA_REFとして設定するものである。図4はそのサブルーチンを示す。
本処理では、まずステップ21において、前記ステップ4で取得した吸気圧PBA及びエンジン回転数NEに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、遅角補正量ΔC_CAを算出する。この遅角補正量ΔC_CAは、点火時期IGLOGで点火プラグ5による点火動作が行われた後、混合気が着火し、燃焼が開始されるまでの着火遅れ時間に相当し、クランク角度で表される。吸気圧PBAが低いほど、混合気が着火しにくくなり、また、エンジン回転数NEが高いほど、同じ着火遅れ時間に対応するクランク角度は大きくなる。このため、上記のマップでは、遅角補正量ΔC_CAは、吸気圧PBAが低いほど、また、エンジン回転数NEが高いほど、より大きくなるように設定されている。
次に、前記ステップ4で取得した点火時期IGLOGから遅角補正量ΔC_CAを減算した値を、基準クランク角CA_REFとして設定し(ステップ22)、本処理を終了する。なお、この基準クランク角CA_REFは、各気筒3aの圧縮TDCを原点(0度)とし、進角側を正として表される(図10参照)。
図3に戻り、上記ステップ5に続くステップ6では、基準筒内圧P_REFの算出処理を実行する。この基準筒内圧P_REFは、混合気のEGR率R_EGRが図20の処理で設定された目標EGR率TGT_EGRに等しく、且つ混合気の空燃比が理論空燃比であるという条件で、上記の基準クランク角において発生する筒内圧である。その算出処理の詳細については、後述する。
次に、EGR係数C_EGRの算出処理を実行し(ステップ7)、本処理を終了する。図5に示すように、このEGR係数C_EGRは、圧力差ΔP(後述する実筒内圧P_CPSと基準筒内圧P_REFとの差)とEGR率差ΔEGR(実EGR率R_EGRと目標EGR率TGT_EGRとの差)の間に、比例関係が認められることから、その傾き(=ΔEGR/ΔP)をEGR係数C_EGRと定義したものである。その算出処理の詳細については、後述する。
前記ステップ3の判別結果がNOのときには、クランク角ステージFISTGが、圧縮TDC(上死点)に相当する第3所定値STG3に等しいか否かを判別する(ステップ8)。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ8の判別結果がYESで、当該気筒3aが圧縮行程が終了した直後の段階にあるときには、ステップ5で設定した基準クランク角CA_REFにおいて検出された筒内圧PCYLを、RAMから読み出し、実筒内圧P_CPSとして取得する(ステップ9)。
次に、取得した実筒内圧P_CPSとステップ6で算出された基準筒内圧P_REFとの差(=P_CPS−P_REF)を、圧力差ΔPとして算出する(ステップ10)。次に、これまでに算出した圧力差ΔP及びEGR係数C_EGRと目標EGR率TGT_EGRを用い、次式(A)によって、混合気のEGR率R_EGRを算出し(ステップ11)、本処理を終了する。
R_EGR = ΔP×C_EGR+TGT_EGR ・・・(A)
なお、この式(A)は、上述したEGR係数C_EGRの定義を表す次式(A)’から直接、導き出される(図5参照)。
C_EGR = ΔEGR/ΔP
=(R_EGR−TGT_EGR)/ΔP ・・・(A)’
次に、図6を参照しながら、図3のステップ6で実行される基準筒内圧P_REFの算出処理について説明する。本処理では、まずステップ31において、前記ステップ2で取得した吸気位相CAINから、吸気弁の閉弁タイミング(以下「吸気閉弁タイミング」という)IVCを算出する。この吸気閉弁タイミングIVCは、前述した基準クランク角CA_REFと同様、圧縮TDCを原点(0度)とし、進角側を正とするクランク角で表される。
この吸気閉弁タイミングIVCが圧縮行程中に設定される場合、混合気の圧縮は実質的に吸気弁の閉弁時から開始されるので、吸気閉弁タイミングIVCは、圧縮開始時のクランク角(初期クランク角)に相当する。また、吸気圧PBAは、圧縮開始時における筒内圧(初期筒内圧)に相当する。
次に、吸気温TA、吸気位相CAIN及び排気位相CAEXに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、圧縮開始時における気筒3a内の温度である初期筒内温度T_STRTを算出する(ステップ32)。上記のパラメータのうち、吸気位相CAIN及び排気位相CAEXは、吸気弁と排気弁とのバルブオーバーラップによる内部EGRが実行される場合に、内部EGR量に応じた筒内温度の上昇を反映させるためのものである。このため、上記のマップでは、初期筒内温度T_STRTは、吸気温TAが高いほど、また、吸気位相CAIN及び排気位相CAEXに対しては、バルブオーバーラップが大きい側に位置するほど、より高い値に設定されている。
次のステップ33では、基準クランク角CA_REF、吸気閉弁タイミングIVC、初期筒内温度T_STRT及び吸気圧PBAと、目標EGR率TGT_EGRに応じ、図7に示す基準筒内圧マップを検索することによって、基準筒内圧P_REFを算出する。以下、この基準筒内圧マップについて説明する。
まず、気筒3a内に充填された混合気(筒内ガス)の比熱比と圧縮行程における状態変化について説明する。混合気の比熱比κは、定圧比熱Cpと気体定数Rを用いて次式(1)で表され、定圧比熱Cpは次式(2)で表される。
Figure 0006456256
Figure 0006456256
式(2)に示されるように、混合気の比熱比κは、その組成(成分と各成分のモル数)に応じて変化する。また、図8に示すように、混合気の各成分の比熱比は、温度が上昇するにつれて低下するという温度特性を有し、これらの成分で構成される混合気の比熱比κもまた、同様の温度特性を有する。さらに、図9に示すように、混合気中にEGRガスが含まれる場合には、混合気の組成が変化し、EGRガスのCO2成分が加わることで、混合気の比熱比κが増大するという特性を有する。
また、圧縮行程における混合気の状態変化が、断熱圧縮変化であり、ポリトロープ変化とみなされることから、クランク角CA=aのときの筒内温度Taは、次式(3)で表される。
Figure 0006456256
式(3)に示されるように、筒内温度Tは比熱比κの関数であり、また、上述したように、混合気の比熱比κは筒内温度Tの関数である。このため、比熱比κ及び筒内温度Tを正確に求めるために、式(1)(2)と式(3)の演算結果を逐次、相互に適用した逐次計算が行われる。その結果、クランク角CA=最終クランク角θのときの筒内温度(最終筒内温度)Tθは、次式(4)で表される。
Figure 0006456256
また、クランク角CA=aのときの筒内圧Paは、次式(5)で表され、さらに、この式(5)から、クランク角CA=θのときの筒内圧(最終筒内圧)Pθは、次式(6)で表される。
Figure 0006456256
Figure 0006456256
式(6)に示されるように、最終筒内圧Pθは、初期筒内圧P0、初期気筒容積V0、最終気筒容積Vθ及び逐次計算される比熱比κの関数である。また、比熱比κは、逐次計算される筒内温度Tの関数であり、筒内温度Tは、初期筒内温度T0と比熱比κの関数である。また、気筒容積Vはクランク角CAから一義的に求められるため、初期気筒容積V0と最終気筒容積Vθは、初期クランク角CA0と最終クランク角CAθにそれぞれ置き換えられる。
以上から、最終筒内圧Pθは、式(2)における混合気の組成が与えられた条件で、初期筒内圧P0、初期筒内温度T0、初期クランク角CA0及び最終クランク角CAθの関数として、求められる。
前述した基準筒内圧マップは、以上の関係に基づいており、図7に示すように、初期筒内圧P0、初期筒内温度T0及び初期クランク角CA0にそれぞれ相当する吸気圧PBA、初期筒内温度T_STRT及び吸気閉弁タイミングIVCと、最終クランク角CAθに相当する基準クランク角CA_REFを入力パラメータとし、最終筒内圧Pθに相当する基準筒内圧P_REFを出力として得るものである。
また、混合気の組成の条件として、その時点で設定されている目標EGR率TGT_EGRが入力パラメータに加えられ、この目標EGR率TGT_EGRと、空燃比が理論空燃比であるという条件から、式(2)の各成分のモル数nxが定まる。具体的には、上記の5つの入力パラメータの様々な条件に対し、式(1)〜(6)に基づいて基準筒内圧P_REFをあらかじめ算出し、その算出結果を入力パラメータに対してマップ化することによって、基準筒内圧マップが作成されている。
図10〜図12及び図21は、基準筒内圧マップにおける、各入力パラメータに対する基準筒内圧P_REFの設定例を示す。まず、図21に示すように、基準筒内圧P_REFは、目標EGR率C_EGRが高いほど、より大きな値に設定されている。これは、EGR率が高いほど、混合気の比熱比κが高くなり(図9参照)、それに伴って最終的な筒内圧が大きくなるためである。
また、図10に示すように、基準筒内圧P_REFは、基準クランク角CA_REFの値が0に近いほど、すなわち基準クランク角CA_REFが圧縮TDCに近いほど、より大きな値に設定され、また、吸気閉弁タイミングIVCの値が大きいほど、すなわち圧縮行程における吸気弁の閉弁タイミングが早いほど、より大きな値に設定されている。これは、基準クランク角CA_REFが圧縮TDCに近いほど、また、吸気弁の閉弁タイミングが早いほど、混合気の実質的な圧縮期間が長くなることで、最終的な筒内圧が大きくなるためである。
また、図11に示すように、基準筒内圧P_REFは、初期筒内温度T_STRTが高いほど、より小さな値に設定されている。これは、初期筒内温度T_STRTが高いほど、筒内温度がより高くなるのに応じて混合気の比熱比κが低下する結果、筒内圧の上昇度合が低下するためである。
さらに、図12に示すように、基準筒内圧P_REFは、吸気圧PBAに比例するように設定されている。これは、基準筒内圧P_REF及び吸気圧PBAは、最終筒内圧Pθ及び初期筒内圧P0にそれぞれ相当し、両者が比例関係にあるためである(式(6)参照)。
前述したように、図6のステップ33では、上記の5つのパラメータに応じ、上述した基準筒内圧マップを検索することによって、基準筒内圧P_REFが算出される。次のステップ34では、エンジン回転数NE及びエンジン水温TWに応じ、所定のマップを検索することによって、伝熱補正係数K_HTを算出する。この伝熱補正係数K_HTは、気筒3a内と外部との間で授受される熱の影響を補償するためのものである。
次に、ステップ33で算出された基準筒内圧P_REFに伝熱補正係数K_HTを乗算することによって、最終的な基準筒内圧P_REFを算出し(ステップ35)、本処理を終了する。
次に、図13を参照しながら、図3のステップ7で実行されるEGR係数C_EGRの算出処理について説明する。前述したように、EGR係数C_EGRは、圧力差ΔP(実筒内圧P_CPSと基準筒内圧P_REFとの差)に対するEGR率差ΔEGR(実EGR率R_EGRと目標EGR率TGT_EGRとの差)の傾きとして定義され(図5参照)、EGR率R_EGRの算出に用いられる。また、上記の傾きが吸気条件及び圧縮条件に応じて変化するという特性が認められたため、本処理において、EGR係数C_EGRを算出するものである。
本処理では、まずステップ41において、基準クランク角CA_REF、吸気閉弁タイミングIVC、初期筒内温度T_STRT及び吸気圧PBAを取得する。これらのパラメータは、上記の吸気条件及び圧縮条件を表すものであり、前述した基準筒内圧マップの4つの入力パラメータと共通である。このため、ステップ41におけるパラメータの取得は、図6の基準筒内圧P_REFの算出処理で得られたデータを読み出すことによって、行われる。
次に、取得した4つのパラメータに応じ、図14に示すEGR係数マップを検索することによって、EGR係数C_EGRを算出し(ステップ42)、本処理を終了する。このEGR係数マップは、上記の4つの入力パラメータの様々な条件に対し、式(1)〜(6)に基づいてEGR係数C_EGRをあらかじめ算出し、その結果を入力パラメータに対してマップ化したものである。なお、基準筒内圧P_REFと異なり、EGR係数C_EGRは目標EGR率TGT_EGRの影響を受けないので、目標EGR率TGT_EGRは、EGR係数マップの入力パラメータには含まれない。
図15〜図17は、EGR係数マップにおける、各入力パラメータに対するEGR係数C_EGRの設定例を示す。図15に示すように、EGR係数C_EGRは、基準クランク角CA_REFが圧縮TDCに近いほど、また、圧縮行程における吸気弁の閉弁タイミングが早いほど、より小さな値に設定されている。これは、基準クランク角CA_REFが圧縮TDCに近いほど、また、吸気弁の閉弁タイミングが早いほど、混合気の実質的な圧縮期間が長くなることで、圧力差ΔPが大きくなり、それに応じてEGR係数C_EGRが小さくなるためである。
また、図16に示すように、EGR係数C_EGRは、初期筒内温度T_STRTが高いほど、より小さな値に設定されている。これは、以下の理由による。すなわち、混合気の成分の中で、燃料は、他の成分と比較して、定圧比熱Cpの温度変化が大きく、混合気の比熱比κの温度特性への寄与度が大きい。一方、EGR率R_EGRが増加すると、それに伴って燃料の割合が低下し、その寄与度が低くなることで、温度に応じた比熱比κの変化度合は小さくなる。このため、初期筒内温度T_STRTが高いほど、圧縮中に比熱比κがより高いレベルで変化することで、圧力差ΔPが大きくなり、EGR係数C_EGRが小さくなるためである。
さらに、図17に示すように、EGR係数C_EGRは、吸気圧PBAが高いほど、より小さな値に設定されている。これは、初期筒内圧である吸気圧PBAが高いほど、それに比例して実筒内圧P_CPS及び圧力差ΔPが増大し、それに応じてEGR係数C_EGRが小さくなるためである。
ここで、図5を再び参照しながら、上述したEGR率R_EGRの推定処理によって得られる動作について説明する。例えば、EGRが停止された状態(目標EGR率TGT_EGR=0)から、図5に示す目標EGR率TGT_EGRが設定され、外部EGRが開始された場合、その開始時から低圧EGR装置に顕著な遅れ時間が経過するまでは、実際のEGR率R_EGRが0であることで、EGR率差ΔEGRは負値であり、また、実筒内圧P_CPSが基準筒内圧PREFよりも小さいことで、圧力差ΔPも負値である。
上記の遅れ時間が経過し、気筒3aに外部EGRガスが導入されるようになると、EGR率R_EGRは0から増加し、最終的に目標EGR率TGT_EGRに達する。これに伴って実筒内圧P_CPSが増加することで、圧力差ΔPは、同図に矢印Aで示すように、EGR係数C_EGRに対応する傾きで線形に増加し、EGR率R_EGRが目標EGR率TGT_EGRに達したときに、0になる。したがって、この間の任意の点において圧力差ΔP=ΔP1が得られた場合、EGR係数C_EGRと目標EGR率TGT_EGRを用い、前記式(A)によって、そのときの実EGR率R_EGR1を精度良く算出することができる。
上記とは逆に、目標EGR率TGT_EGRがより大きな値から小さな値に変更された場合にも、上記と同様にEGR率R_EGRを算出できる。すなわち、この場合には、目標EGR率TGT_EGRの変更開始時から遅れ時間が経過するまでは、実際のEGR率R_EGRが変更前の目標EGR率のままであることで、EGR率差ΔEGRは正値であり、それに応じて圧力差ΔPもまた正値である。
上記の遅れ時間が経過し、気筒3aに導入される外部EGRガス量が減少するようになると、EGR率R_EGRが減少し、最終的に目標EGR率TGT_EGRに達する。これに伴い、実筒内圧P_CPSが減少することで、圧力差ΔPは、同図に矢印Bで示すように、EGR係数C_EGRに対応する傾きで線形に減少し、EGR率R_EGR=目標EGR率TGT_EGRになったときに、0になる。したがって、この間の任意の点において圧力差ΔP=ΔP2が得られた場合、上記のΔP1の場合と同様、式(A)によって、そのときの実EGR率R_EGR2を精度良く算出することができる。
次に、図18を参照しながら、EGR率R_EGRを用いた点火時期の制御処理について説明する。本処理は、TDC信号の発生に同期して、気筒3aごとに実行される。本処理では、まずステップ51において、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQCMDに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、基本点火時期IG_BASEを算出する。
次に、推定されたEGR率R_EGRに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、EGR補正量ΔIGEGRを算出する(ステップ52)。
次に、エンジン水温TWやエンジン回転数NEなどに応じて、EGR率R_EGR以外の要因による補正量ΔIGTTLを算出する(ステップ53)。
最後に、基本点火時期IG_BASEに、EGR補正量ΔIGEGR及び補正量ΔIGTTLを加算することによって、点火時期IGLOGを算出し(ステップ54)、本処理を終了する。
以上のように、本実施形態によれば、EGR率R_EGRが目標EGR率TGT_EGRに等しく且つ空燃比が理論空燃比であるという混合気の組成の条件で、混合気の比熱比κの温度特性に基づき、基準クランク角CA_REFにおいて発生する基準筒内圧P_REFを算出する。そして、基準クランク角CA_REFにおいて検出された実筒内圧P_CPSと基準筒内圧P_REFとの圧力差ΔPに基づいて、EGR率R_EGRを算出するので、混合気の比熱比κの温度特性を反映させながら、EGR率R_EGRを推定できる。
また、基準クランク角CA_REFは、混合気の燃焼の開始直前のクランク角であるので、燃焼がまだ行われず、混合気の状態変化がポリトロープ変化に保たれた状態で、実筒内圧P_CPSを取得するとともに、実筒内圧P_CPSと基準筒内圧P_REFとの大きな圧力差ΔPを確保できる。したがって、この圧力差ΔPに基づき、混合気の比熱比κの温度特性を良好に反映させながら、EGR率EGR率R_EGRを精度良く推定することができる。また、精度良く推定されたEGR率R_EGRを用いて、点火時期IGLOGの制御を適切に行うことができる。
また、EGR率R_EGRの推定を、気筒3a内の実際の圧力である実筒内圧P_CPSとその基準筒内圧P_REFをパラメータとして行うので、EGR装置14が低圧EGR装置の場合においても、外部EGRガスの遅れの影響を受けることなく、EGR率R_EGRを精度良く推定することができる。
さらに、点火時期IGLOG、吸気圧PBA及びエンジン回転数NEを用いて、基準クランク角CA_REFを設定するので、その設定を、エンジン3の実際の運転状態に応じて適切に行うことができ、基準クランク角CA_REFにおける基準筒内圧P_REF及び実筒内圧P_CPSを適切に得ることができる。
また、基準筒内圧P_REFを、基準クランク角CA_REF、圧縮開始時の初期クランク角に相当する吸気閉弁タイミングIVC、初期筒内温度T_STRT、及び初期筒内圧に相当する吸気圧PBAと、目標EGR率TGT_EGRに応じて、適切に算出することができる。さらに、算出された基準筒内圧P_REFをエンジン回転数NE及びエンジン水温TWに応じて補正することにより、気筒3a内と外部との間で授受される熱の影響を補償することができる。
また、基準筒内圧P_REFの算出に用いたパラメータのうち、目標EGR率TGT_EGR以外の4つのパラメータ(基準クランク角CA_REF、吸気閉弁タイミングIVC、初期筒内温度T_STRT及び吸気圧PBA)に応じ、混合気の吸気・圧縮条件を反映させながら、EGR係数C_EGRを適切に算出できる。そして、算出したEGR係数C_EGRを圧力差ΔPに乗算し、さらに目標EGR率TGT_EGRを加算することによって、EGR率R_EGRを算出するので、EGR率R_EGRの推定を精度良く行うことができる。
さらに、筒内圧センサ51は、その圧力検出素子及び増幅回路がインジェクタ4に一体に設けられているため、点火動作によるノイズや他の気筒3aのインジェクタ4の噴射動作によるノイズの影響を受けにくい。このため、筒内圧センサ51による実筒内圧P_CPSの検出精度が高められることで、EGR率R_EGRの推定精度をさらに向上させることができる。
次に、図19を参照しながら、基準筒内圧P_REFの算出処理の変形例について説明する。この変形例は、前述したように、基準筒内圧P_REFが吸気圧PBAに比例するという関係(図12)から、基準筒内圧マップの入力パラメータから吸気圧PBAを除外し、基準筒内圧マップで得られたマップ値を吸気圧PBAで補正するようにしたものである。本処理は、図6の処理に代えて実行される。また、図19において、図6と同じ処理内容のステップには、同じステップ番号が付されている。
本処理では、図6の処理と同じステップ31及びステップ32を実行し、吸気閉弁タイミングIVC及び初期筒内温度T_STRTを算出する。次に、基準クランク角CA_REF、吸気閉弁タイミングIVC、初期筒内温度T_STRT及び目標EGR率TGT_EGRに応じ、基準筒内圧マップ(図示せず)を検索することによって、基準筒内圧P_REFを算出する(ステップ301)。なお、この基準筒内圧マップでは、圧縮開始時の初期筒内圧は、定数として扱われ、基準大気圧PATM(760mmHg)が用いられている。
次に、吸気圧PBAを基準大気圧PATMで除した値を、吸気圧補正係数K_PBとして設定する(ステップ302)とともに、この吸気圧補正係数K_PBをステップ301で算出された基準筒内圧P_REFに乗算することによって、補正された基準筒内圧P_REFを算出する(ステップ303)。
その後の処理内容は、図6と同じであり、ステップ303で算出された基準筒内圧P_REFに、エンジン回転数NE及びエンジン水温TWに応じて算出した伝熱補正係数K_HTを乗算することによって、最終的な基準筒内圧P_REFを算出し(ステップ34、35)、本処理を終了する。
以上の変形例によれば、図6の算出処理の場合と同等の基準筒内圧P_REFを算出できるとともに、入力パラメータが削減されることで、基準筒内圧マップを容易に作成でき、その負荷を軽減することができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、基準クランク角CA_REFを算出する際のパラメータとして、点火時期IGLOG、吸気圧PBA及びエンジン回転数NEを用いているが、他の適当なパラメータを併せて用いてもよい。
また、実施形態では、基準筒内圧P_REF及びEGR係数C_EGRの算出に用いる初期筒内温度T_STRTを、吸気温TA、吸気位相CAIN及び排気位相CAEXに応じて算出しているが、吸排気弁のバルブオーバーラップによる内部EGRが実行されない場合には、吸気温TAをそのまま初期筒内温度としてもよい。さらに、初期筒内圧として、吸気圧PBAを用いたが、圧縮開始時に筒内圧センサ51で検出された筒内圧PCYLを用いることも可能である。
また、基準筒内圧P_REFを、エンジン回転数NE及びエンジン水温TWに応じて補正しているが、気筒3aの内外間の熱の授受に影響を及ぼす他の適当なパラメータをさらに用いて、補正を行ってもよい。
さらに、実施形態では、推定したEGR率R_EGRに応じて、点火時期制御を実行しているが、これに代えて又はこれとともに、他のエンジン制御、例えばEGR弁42を介したEGR制御、スロットル弁27を介した吸入空気量制御や、インジェクタ4を介した燃料噴射制御などを実行してもよい。
また、実施形態では、EGR装置14は、低圧EGR装置で構成されているが、これに代えて又はこれとともに、高圧EGR装置を用いてもよく、その場合にも前述した効果を同様に得ることができる。さらに、筒内圧センサ51は、インジェクタ4と一体型のものであるが、インジェクタ4と分離して配置される別体型のものでもよいことは、もちろんである。
さらに、実施形態では、エンジン3は車両用のエンジンであるが、本発明は、他の用途のエンジン、例えばクランクシャフトを鉛直方向に配置した船外機用のエンジンなどにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することができる。
2 ECU(目標EGR率設定手段、基準クランク角設定手段、基準筒内圧算出手段、 EGR率推定手段、制御手段、初期クランク角取得手段、初期筒内温度取得手段)
3 内燃機関
3a 気筒
4 燃料噴射弁
6 吸気通路
7 排気通路
13 ターボチャージャ(過給機)
14 EGR装置
21 コンプレッサ
23 タービン
51 筒内圧センサ
52 クランク角センサ(運転状態検出手段、回転数検出手段)
53 吸気位相センサ(初期クランク角取得手段、初期筒内温度取得手段)
54 排気位相センサ(初期筒内温度取得手段)
56 吸気圧センサ(運転状態検出手段、初期筒内圧取得手段)
57 吸気温センサ(初期筒内温度取得手段)
59 水温センサ(冷却水温度検出手段)
κ 混合気の比熱比
TGT_EGR 目標EGR率
PCYL 筒内圧
CA クランク角
CA_REF 基準クランク角
P_REF 基準筒内圧
P_CPS 実筒内圧
ΔP 実筒内圧と基準筒内圧との圧力差
R_EGR EGR率
IGLOG 点火時期
PBA 吸気圧(吸気の圧力、初期筒内圧)
NE エンジン回転数(内燃機関の回転数)
IVC 吸気閉弁タイミング(初期クランク角)
T_STRT 初期筒内温度
TW エンジン水温(冷却水の温度)
C_EGR EGR係数

Claims (7)

  1. 気筒内に燃料を直接、噴射するとともに、前記気筒から排気通路に排出された排ガスの一部を外部EGRガスとして吸気通路に還流させるEGR装置を備える内燃機関の制御装置であって、
    前記気筒内に充填される混合気のEGR率の目標となる目標EGR率を設定する目標EGR率設定手段と、
    前記気筒内の圧力を筒内圧として検出する筒内圧センサと、
    前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    当該検出された内燃機関の運転状態に応じて、混合気の燃焼が開始される直前のクランク角を、基準クランク角として設定する基準クランク角設定手段と、
    混合気のEGR率が前記設定された目標EGR率に等しく且つ混合気の空燃比が理論空燃比であるという条件で、混合気の比熱比の温度特性に基づき、前記設定された基準クランク角において発生する気筒内の圧力を、基準筒内圧として算出する基準筒内圧算出手段と、
    前記基準クランク角において前記筒内圧センサにより検出された実筒内圧と前記算出された基準筒内圧との圧力差に基づき、混合気のEGR率を推定するEGR率推定手段と、
    当該推定されたEGR率に応じて前記内燃機関を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記EGR装置は、前記排気通路における過給機のタービンよりも下流側から前記吸気通路における前記過給機のコンプレッサよりも上流側に、外部EGRガスを還流させるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記運転状態検出手段は、前記内燃機関の運転状態として、点火時期、前記気筒に吸入される吸気の圧力、及び前記内燃機関の回転数を検出し、
    前記基準クランク角設定手段は、前記検出された点火時期、吸気圧力及び内燃機関の回転数に応じて、前記基準クランク角を設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 縮行程において混合気の圧縮が開始される圧縮開始時のクランク角を、初期クランク角として取得する初期クランク角取得手段と、
    前記圧縮開始時における前記気筒内の温度を、初期筒内温度として取得する初期筒内温度取得手段と、
    前記圧縮開始時における前記気筒内の圧力を、初期筒内圧として取得する初期筒内圧取得手段と、をさらに備え、
    前記基準筒内圧算出手段は、前記基準クランク角と、前記取得された初期クランク角、初期筒内温度及び初期筒内圧と、前記設定された目標EGR率に応じ、混合気の比熱比の温度特性に基づいて、前記基準筒内圧を算出することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
    前記内燃機関を冷却する冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、をさらに備え、
    前記基準筒内圧算出手段は、前記検出された内燃機関の回転数及び冷却水の温度に応じて、前記基準筒内圧を補正することを特徴とする、請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記EGR率推定手段は、前記基準クランク角と、前記初期クランク角、前記初期筒内温度及び前記初期筒内圧に応じ、混合気の比熱比の温度特性に基づいて、前記圧力差に対する前記EGR率の傾きを表すEGR係数を算出するとともに、当該算出されたEGR係数を前記圧力差に乗算した値に、前記目標EGR率を加算することによって、前記EGR率を算出することを特徴とする、請求項4又は5に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記筒内圧センサは、前記筒内圧を検出するための圧力検出素子と、当該圧力検出素子から出力される信号を増幅し、出力する増幅回路とを有し、当該圧力検出素子及び増幅回路が、前記気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁に一体に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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