JP6455412B2 - プッシュプル型dc/dcコンバータ - Google Patents

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本発明は、複数の一次側スイッチング素子を交互に動作させ、トランスを介して電力を変換するプッシュプル方式の絶縁型DC/DCコンバータに関する。
一般に絶縁型DC/DCコンバータにおいては、トランスの寄生インダクタンスや配線インダクタンスと、ダイオードの接合容量とで共振回路が構成され、二次側ダイオードのオフ時、スイッチング動作に伴う共振回路の共振によって、サージ電圧が発生する。
従来、このサージ電圧を抑制するため、二次側ダイオードと並列にスナバ回路を設けた構成が知られている。ただし、スナバ抵抗を通り電荷を充放電することによるスナバ損失のため、変換効率が低下する。その対策として、例えば特許文献1に開示された絶縁型スイッチング電源は、スナバ回路の配置を工夫し、二つのダイオードにそれぞれスナバ回路を並列に設けた構成に対し、スナバ回路に印加される電圧及び素子数を半減している。
特開2013−5640号公報
特許文献1の技術では、二つのダイオードにそれぞれスナバ回路を並列に設けた構成に対しスナバ損失を低減できると記載されているが、スナバ損失が発生することに代わりはない。
また、スナバ回路を使う技術に代えて、スイッチング素子のドレイン−ゲート間に容量を追加して電圧の変化率を調整するサージレス駆動方式を想定する。このサージレス駆動方式では、スナバ回路構成に比べて損失を低減することができると考えられる。しかし、スイッチング素子のオン速度を緩めてサージ電圧を抑制するため、オン損失が発生することが懸念される。
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、スナバ損失やオン損失の発生を回避しつつ、サージ電圧の発生を抑制するプッシュプル型DC/DCコンバータを提供することにある。
本発明は、電源(Bt)と負荷(Ld)との間に接続され直流電力を変換するプッシュプル型DC/DCコンバータに係る発明である。このプッシュプル型DC/DCコンバータは、トランス(20)の励磁インダクタを構成する複数の一次コイル(31、32)及び複数の二次コイル(33、34)と、複数の一次側スイッチング素子(SW1、SW2)と、複数の二次側整流素子(SW3、SW4、DI3、DI4)と、二次側整流素子と負荷との間に接続される平滑インダクタ(7)と、スイッチング操作部(16)とを備える。
複数の一次側スイッチング素子は、複数の一次コイルと電源との間に接続され、且つ還流ダイオードが並列に接続されており、交互に動作する。
複数の二次側整流素子は、複数の二次コイルに接続され、二次コイルに流れる電流を整流可能である。例えば二次側整流素子は、ダイオード又はスイッチング素子である。
スイッチング操作部は、一次側スイッチング素子を操作する。また、二次側整流素子がスイッチング素子の場合、さらに二次側スイッチング素子を操作する。
以下、一次側スイッチング素子がすべてオフ時の負荷電流が二次側整流素子を還流する期間において、負荷及び平滑インダクタを経由して二次側整流素子一つ当たりに還流する電流を「素子当負荷電流」とする。また、トランスの励磁インダクタに流れる励磁電流について、二次側整流素子一つ当たりに流れる電流に換算した励磁電流を「換算励磁電流」とする。
また、素子当負荷電流の絶対値が換算励磁電流の絶対値以上である状態を「通常状態」と定義し、素子当負荷電流の絶対値が換算励磁電流の絶対値を下回る状態を「逆転状態」と定義する。通常状態から逆転状態に移行すると、二次側から一次側に転流した励磁電流によって一次側スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧が降下する。
スイッチング操作部は、一次側スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧が降下し、ゼロ電圧に到達した後、次にオンする順番の一次側スイッチング素子をターンオンする。これにより、ターンオン損失を低減することができる。
好ましくは、スイッチング操作部は、一次側スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧がゼロ電圧に到達した後、逆転状態から再び通常状態に戻る時までに一次側スイッチング素子をオンする。
また、プッシュプル型DC/DCコンバータには、ターンオン時の電流経路に存在するトランス漏れインダクタンス、トランス浮遊容量、及びダイオード接合容量を含む共振回路が形成される。本発明では、共振回路のインダクタンス及び容量は、一次側スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧が降下を開始してからゼロ電圧に到達するまでの電圧降下時間(Tdn1、Tdn2)が、共振回路の共振周期と一致するように設定されている。これにより、一次側スイッチング素子のターンオン時に、サージ電圧の発生を抑制することができる。
なお、「電圧降下時間が共振回路の共振周期と一致する」とは、厳密な一致に限らず、当該技術分野における技術常識に照らして、「一致する」と認識され得る程度のばらつき範囲を含む範囲で解釈される。また、電圧降下時間が共振周期に対して十分長い場合、電圧に含まれる共振周波数成分が小さく、サージ電圧は発生しなくなるため、電圧降下時間をそのように設計してもよい。
本発明の第一の態様では、複数の二次側整流素子は、ダイオードである。或いは、複数の二次側整流素子は、還流ダイオードが並列に接続された複数の二次側スイッチング素子である。二次側スイッチング素子で、負荷還流期間において同期整流を行う場合、スイッチング操作部は、通常状態から逆転状態に移行する前にオン状態の二次側スイッチング素子をターンオフする。すなわち、遅くとも逆転状態に移行する前に、同期整流を終了している。
そして、共振回路のインダクタンス及び容量は、通常状態から逆転状態への移行時である逆転開始時刻(tb)に電圧降下が開始する電圧降下時間(Tdn1)が共振回路の共振周期と一致するように設定されている。
本発明の第二の態様では、複数の二次側整流素子は、還流ダイオードが並列に接続され、負荷還流期間において同期整流を行うように動作する複数の二次側スイッチング素子である。スイッチング操作部は、通常状態から逆転状態への移行後、所定の継続時間(Tcont)にわたって同期整流を継続した時点である同期整流停止時刻(tc)に二次側スイッチング素子をターンオフする。
そして、共振回路のインダクタンス及び容量、並びに継続時間は、同期整流停止時刻に電圧降下が開始する電圧降下時間(Tdn2)が共振回路の共振周期と一致するように設定されている。
第1実施形態に用いられる二次側整流素子がダイオードであるプッシュプル型DC/DCコンバータの構成図。 第1、第2実施形態に用いられる二次側整流素子がスイッチング素子であるプッシュプル型DC/DCコンバータの構成図。 プッシュプル型DC/DCコンバータの動作を示すタイムチャート。 第1実施形態の一次側スイッチング素子オン移行時(負荷電流最小領域)における動作を示すタイムチャート。 第1実施形態のモード(a)、(b)での電流経路の図。 第1実施形態のモード(d)、(e)、(f)での電流経路の図。 [A]:電圧降下時間導出に用いる電圧記号を示す図。[B]:回路モデル図。 [A]:RLC成分を示す模式図、[B]:抽出した共振回路の図。 サージ電圧を示す図。 [A]:回路モデル図、[B]:サージ電圧抑制の考え方を説明する図。 第2実施形態の一次側スイッチング素子オン移行時(負荷電流最小領域)における動作を示すタイムチャート。 第2実施形態のモード(a)、(b)、(c)での電流経路の図。 第2実施形態のモード(d)でのSW1電流の拡大図。 第3実施形態のプッシュプル型DC/DCコンバータの構成図。 [A]:比較例のサージレス駆動方式の構成図、[B]:サージレス駆動によるサージ電圧低減を示す図。 比較例のサージレス駆動におけるオン損失を説明する図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、以下に説明する第1〜第3実施形態を包括して「本実施形態」という。
最初に、プッシュプル型DC/DCコンバータの二通りの構成図を図1、図2に示す。これらは二次側整流素子の構成のみが異なり、その他の構成は共通である。図1に示すプッシュプル型DC/DCコンバータ101は、二次側整流素子としてダイオードDI3、DI4が用いられる。一方、図2に示すプッシュプル型DC/DCコンバータ102は、二次側整流素子としてスイッチング素子SW3、SW4が用いられる。
ただし、各実施形態の特徴は、二次側整流素子の構成そのものではなく、プッシュプル型DC/DCコンバータの回路定数の設定、又は、スイッチング素子の動作タイミングの制御等に関する思想にある。その観点で第1、第2実施形態を大別すると、二次側整流素子がダイオードの構成は、第1実施形態にのみ適用可能であり、二次側整流素子がスイッチング素子の構成は、第1実施形態及び第2実施形態の両方に適用可能である。そこで、最初に二通りのプッシュプル型DC/DCコンバータ101、102の構成を説明した後、各実施形態の説明に移る。なお、第3実施形態は、第2実施形態からさらに派生する実施形態である。
まず図1を参照し、二次側整流素子がダイオードDI3、DI4の構成のプッシュプル型DC/DCコンバータ101について説明する。プッシュプル型DC/DCコンバータ101は、電源Btと負荷Ldとの間に接続され、直流電力を変換する。
プッシュプル型DC/DCコンバータ101は、トランス20の励磁インダクタを構成する二組の一次コイル31、32及び二次コイル33、34、二つの一次側スイッチング素子SW1、SW2、二つの二次側ダイオードDI3、DI4、及び、平滑インダクタ7等を備える。また、プッシュプル型DC/DCコンバータ101は、一次側スイッチング素子SW1、SW2を操作するスイッチング操作部16(図中、「SW操作部」と記載)を備える。
トランス20は、一次側と二次側との巻数比が「1:N」となるように構成され、励磁インダクタに励磁電流ILmが流れる。励磁電流ILmは、各コイル31、32、33、34を流れる電流It1、It2、N×It3、N×It4の和に等しい。本実施形態では、主に巻数比が1:1の場合を想定して説明する。
一次コイル31、32の一端同士は一次側センタタップCT1で接続されており、センタタップCT1は、電源Btの正極に接続されている。一次コイル31、32の他端は、それぞれ一次側スイッチング素子SW1、SW2を介して電源Btの負極に接続されている。
二次コイル33、34の一端同士は二次側センタタップCT2で接続されており、センタタップCT2は、負荷Ldの一方の端子Ppに接続されている。二次コイル33、34の他端は、それぞれダイオードDI3、DI4のカソードに接続されている。二次側整流素子としてのダイオードDI3、DI4は、二次コイル33、34に流れる電流を整流する。
ダイオードDI3、DI4のアノードと負荷Ldの他方の端子Pnとの間には、通電により磁気エネルギを蓄積する平滑インダクタ7が接続されている。負荷Ld及び平滑インダクタ7を流れる電流を負荷電流という。負荷電流iLは、負荷Ldから平滑インダクタ7を経由してダイオードDI3、DI4に向かう方向を正方向とする。
また、負荷Ldと並列に、二次側平滑コンデンサ8が接続されている。
一次側スイッチング素子SW1、SW2は、一次コイル31、32と電源Btの負極との間に接続され、且つ還流ダイオードが並列に接続されており、一次コイル31、32に正負の電圧を交互に印加するように交互に動作する。
本実施形態では、一次側スイッチング素子SW1、SW2として、ボディダイオードを有するMOSFETを用いる。この構成でのボディダイオードは、「還流ダイオード」に含まれるものと解釈する。また、図中、ドレインソース間に存在する容量を容量成分として記号で示す。この容量は、トランジスタ、ダイオードの接合容量と、並列に接続されたコンデンサとの合成容量である。この容量記号は、必ずしも独立したコンデンサ素子を意味しない。
一次側スイッチング素子SW1、SW2は、ドレインが一次コイル31、32に接続され、ソースが電源Btの負極に接続されている。一次側スイッチング素子SW1、SW2のゲートには、スイッチング操作部16からゲート信号が入力される。
なお、他の実施形態では、スイッチング素子としてIGBT等のトランジスタを用いてもよい。その場合、トランジスタのベース、コレクタ、エミッタを、それぞれゲート相当電極、ドレイン相当電極、ソース相当電極として解釈する。
次に図2を参照し、二次側整流素子がスイッチング素子SW3、SW4の構成のプッシュプル型DC/DCコンバータ102について、ダイオード構成との相違点を説明する。
プッシュプル型DC/DCコンバータ102では、二次側スイッチング素子SW3、SW4が、二次コイル33、34に流れる電流を整流する。二次側スイッチング素子SW3、SW4もまた、還流ダイオードが並列に接続されている。
本実施形態では、一次側スイッチング素子SW1、SW2と同様に、二次側スイッチング素子SW3、SW4としても、ボディダイオードを有するMOSFETを用いる。
二次側スイッチング素子SW3、SW4は、ドレインが二次コイル33、34に接続され、ソースが平滑インダクタ7に接続されている。二次側スイッチング素子SW3、SW4のゲートには、スイッチング操作部16からゲート信号が入力される。
スイッチング操作部16は、一次側スイッチング素子SW1、SW2に加え、さらに二次側スイッチング素子SW3、SW4を操作する。具体的には、SW3、SW4の通電期間に通電による損失(すなわち、導通損)を低減するため、SW3、SW4をオン状態とする「同期整流」を実行する。
なお、一次側スイッチング素子SW1、SW2と同様に、他の実施形態では、二次側スイッチング素子SW3、SW4としてIGBT等のトランジスタを用いてもよい。その場合、やはり、トランジスタのベース、コレクタ、エミッタを、それぞれゲート相当電極、ドレイン相当電極、ソース相当電極として解釈する。
以下、適宜「スイッチング素子」を省略し、単に「SW1〜SW4」と記す。
次に図3を参照し、プッシュプル型DC/DCコンバータ101、102の動作の概要について説明する。
一次側スイッチング素子SW1、SW2のオン、オフ状態に基づき、三通りの区間を定義する。区間IではSW1がオン、SW2がオフである。区間IIでは、SW1がオフ、SW2がオンである。区間IIIでは、SW1、SW2共にオフである。プッシュプル型DC/DCコンバータ101、102は、区間I→III→II→III→I・・・というように、SW1とSW2とが、共にオフの期間を間に挟みながら交互にオンする。
区間IIIでは、平滑インダクタ7に蓄積された磁気エネルギが減少し、負荷電流iLが減少する。一方、区間I及び区間IIでは、平滑インダクタ7に磁気エネルギが蓄積され、負荷電流iLが増加する。
二次側スイッチング素子SW3、SW4を用い同期整流を行う構成の場合、SW3は、区間Iから区間IIIに移行した後、ターンオンし、区間IIを過ぎ、区間IIIから区間Iに移行する前にターンオフする。SW4は、区間IIから区間IIIに移行した後、ターンオンし、区間Iを過ぎ、区間IIIから区間IIに移行する前にターンオフする。
ここで、一次側スイッチング素子SW1、SW2の切替タイミングに対し、二次側スイッチング素子SW3、SW4の切替タイミングを少しずらしているのは、短絡を防止するためのデッドタイムを確保するためである。
以下、負荷電流iLが減少から増加に転じる谷の領域、すなわち、区間IIIから区間I又は区間IIに移行する領域を「負荷電流最小領域」という。
最小領域における負荷電流iLの最小値は、一次側スイッチング素子SW1、SW2をターンオンするタイミングによって決まる。例えば、SW1、SW2のドレイン−ソース間(以下、「DS間」)電圧がまだ高いうちにSW1、SW2をオンした場合、後述するようにターンオン損失が発生する。また、SW1、SW2のターンオン時に、各種寄生成分による共振により二次側ダイオードにサージ電圧が発生するという課題がある。
本実施形態は、プッシュプル型DC/DCコンバータの負荷電流最小領域における動作に関し、励磁電流を利用してサージ電圧を低減することを特徴とする。以下、負荷電流最小領域における動作を詳しく説明するにあたり、図3に丸印で囲んだ「区間IIIから区間Iに移行する場面」、すなわち、一次側スイッチング素子SW1をターンオンする場面を代表として説明する。二次側で同期整流を行う構成では、二次側スイッチング素子SW3をターンオフした後、一次側スイッチング素子SW1をターンオンする場面となる。
したがって、以下の説明では、二次側スイッチング素子SW3及び一次側スイッチング素子SW1の電流、電圧変化について主に言及する。逆の「区間IIIから区間IIに移行する場面」では、二次側スイッチング素子SW4及び一次側スイッチング素子SW2について、電流方向の符号等を適宜設定しつつ、同様に解釈可能である。
(第1実施形態)
第1実施形態によるプッシュプル型DC/DCコンバータの動作について、図4〜図10を参照して説明する。第1実施形態は、二次側整流素子がダイオードDI3、DI4の構成、又は、二次側整流素子がスイッチング素子SW3、SW4であって、負荷電流iLが後述の「逆転開始時刻tb」の前に同期整流を停止する構成に適用される。
まず、図4のタイムチャート、及び、図5、図6の電流経路図を参照し、第1実施形態の負荷電流最小領域における動作を説明する。図5、図6では、二次側整流素子がスイッチング素子SW3、SW4である構成について図示する。以下の図中では、後述の数式に用いられる物理量を斜字体で記載する。
図4には、上から順に、負荷電流iL及び励磁電流iLm、SW1電流isw1、SW1電圧vsw1、SW3電圧vsw3、及び、各スイッチング素子SW1〜SW4のゲート電圧、すなわち、スイッチング操作部16からのオン信号の入力変化を示す。二次側整流素子については、ダイオードDI3、DI4を用いる構成の場合、ゲート電圧を常に0として示す。また、二次側スイッチング素子SW3、SW4を用いて同期整流を行う構成の場合、ゲート電圧を破線で示す。
ここで、本明細書で用いる用語を定義する。
一次側スイッチング素子SW1、SW2がすべてオフ時の負荷電流が二次側整流素子SW3、SW4を還流する期間において、負荷Ld及び平滑インダクタ7を経由して二次側整流素子一つ当たりに還流する電流を「素子当負荷電流」とする。また、トランス20の励磁インダクタに流れる励磁電流iLmについて、区間I及び区間IIで蓄積される励磁電流値に対し、区間IIIでの励磁電流変化はないものとし、二次側整流素子一つ当たりに流れる電流に換算した励磁電流iLmを「換算励磁電流」とする。
また、素子当負荷電流の絶対値が換算励磁電流の絶対値以上である状態を「通常状態」と定義し、素子当負荷電流の絶対値が換算励磁電流の絶対値を下回る状態を「逆転状態」と定義する。そして、素子当負荷電流と換算励磁電流との大小関係に注目する。
本実施形態の説明において特に断らない限り、二次側整流素子は、電気的仕様が同等のものを二つ備えており、トランス一次側と二次側との巻線比は1:1とする。この場合、素子当負荷電流は(iL/2)で表され、換算励磁電流は(iLm/2)で表される。
つまり、素子当負荷電流と換算励磁電流とを比較する場合、負荷電流iL及び励磁電流iLmの2分の1の電流同士を比較することになるため、負荷電流iL及び励磁電流iLmそのものを比較しても大小関係の判断は同じとなる。そこで図4では、負荷電流iL及び励磁電流iLmを用いて、両者の大小関係を示している。
第1実施形態では、負荷電流最小領域において、(a)、(b)、(d)、(e)、(f)の5つのモードを定義する。なお、モード(c)は後述の第2実施形態に特有のモードであり、第1実施形態には存在しない。
図5、図6に、各モードにおける負荷電流iLを実線で、励磁電流iLmを破線で示す。また、各電流、電圧の正負を以下のように定義する。
負荷電流iLは、トランスの二次センタタップCT2から平滑インダクタ7を経由して二次側スイッチング素子SW3、SW4に向かう方向を正方向とする。
励磁電流iLmは、各図中の破線矢印の向きを正方向とする。
スイッチング素子に流れるSW1電流isw1等は、ドレインからソースに向かう順方向、すなわち図の下向きを正方向とする。負方向の電流は、図の矢印とは反対向き、すなわち図の上向きに流れる。
SW1電圧vsw1、SW3電圧vsw3等は、スイッチング素子のDS間電圧を意味し、図の矢印のように、ソース電位を基準としたときのドレイン電位を正の電圧と定義する。
続いて、各モードについて順に説明する。以下、時間に関する記号に関し、時刻を表す記号には小文字の「t」を用い、時間又は期間を表す記号には大文字の「T」を用いる。
モード(a)では、一次側スイッチング素子SW2がオン、スイッチング素子SW1がオフしている。このとき、負荷電流iLが励磁電流iLm以上である通常状態であり、且つ負荷電流iLは次第に増加する。負荷還流期間において二次側で同期整流を行う構成の場合、破線で示すように二次側スイッチング素子SW3がオンしている。
モード(a)では、一次側に、スイッチング素子SW2を経由して負荷電流iL及び励磁電流iLmが流れる。また、二次側に、スイッチング素子SW3又はダイオードDI3を経由して負荷電流iLが流れる。
負荷電流最大時刻taに一次側スイッチング素子SW2がオフすると、モード(b)に移行し、負荷電流iLは増加から減少に転じる。モード(b)では、一次側スイッチング素子SW1、SW2はいずれもオフ状態であり、負荷電流iLは次第に減少するが、励磁電流iLm以上の通常状態の範囲である。
二次側スイッチング素子SW3、SW4により同期整流を行う構成では、モード(b)へ移行したら、SW4がターンオンされる。また、逆転開始時刻tbの前にSW3がターンオフされる。
モード(b)では、負荷電流iL及び励磁電流iLmは、二次側スイッチング素子SW3、SW4又はダイオードDI3、DI4を経由して還流し、一次側には流れない。
負荷電流iLが励磁電流iLmと等しくなる逆転開始時刻tbを過ぎると、逆転状態であるモード(d)に移行する。モード(d)では、一次側スイッチング素子SW1、SW2はいずれもオフのままである。また、二次側で同期整流を行う構成の場合、スイッチング素子SW3は既にオフしている。
以下の説明に用いるダイオード導通不可電流i、一次側転流電流ip、及び二次側残留電流isの用語については、図7[B]を参照して後述する。
二次側の負荷電流iLが励磁電流iLmを下回ると、励磁電流iLmは二次側スイッチング素子SW3のボディダイオードを導通することができなくなる。そのため、素子当負荷電流(iL/2)から換算励磁電流(iLm/2)を減算したダイオード導通不可電流iの内、一次側スイッチング素子経路と二次側スイッチング素子経路とのインピーダンス比を乗算した一次側転流電流ipが二次側から一次側に転流する。
この一次側転流電流ipは一次側スイッチング素子SW1と並列に存在するコンデンサの電荷をスイッチング素子SW2と並列に存在するコンデンサに充電する方向に流れるため、SW1電流isw1が負となる。転流電流ipが流れることにより、SW1電圧vsw1は次第に低下し、SW2電圧vsw2は次第に増加する。そのため、第1実施形態では逆転開始時刻tbにSW1電圧vsw1の電圧降下が開始する。また、ダイオード導通不可電流iから一次側転流電流ipを減算した電流を二次側残留電流isとすると、二次側残留電流isによりSW3電圧に並列に存在するコデンサを充電するため、二次側スイッチング素子SW3のDS間電圧vsw3は上昇する。
ゼロ電圧到達時刻tdにSW1電圧vsw1はゼロ電圧まで降下する。第1実施形態での逆転開始時刻tbからゼロ電圧到達時刻tdまでの電圧降下時間を「Tdn1」と表す。
ゼロ電圧到達時刻tdの後の逆転状態の期間であるモード(e)では、SW1、SW2、SW3の電圧は区間Iの定常電圧に達しているため、各SWと並列に存在するコンデンサの充放電電流は流れなくなる。負荷電流iLとの差分に相当する励磁電流iLmは、すべて一次側を流れ、電源Btに回生する。
一次側スイッチング素子SW1のオンオフに関わらず、SW1電圧vsw1がゼロ電圧であるため、トランス20の一次コイル31には区間IIとは逆向きの電圧が印加される。このため、SW1電流isw1が順方向に増加する。
また、スイッチング操作部16は、モード(e)の間に、「次にオンする順番の一次側スイッチング素子」であるSW1をターンオンする。すると、SW1電圧vsw1がゼロ電圧状態での「ゼロ電圧スイッチング」が実現される。これにより、ターンオン損失を低減することができる。
モード(e)でSW1電流isw1が順方向に増加し、一次側の電源Btに流れる電流値と等しくなる通常状態復帰時刻teを過ぎると、通常状態であるモード(f)に移行する。モード(f)では、一次側スイッチング素子SW1がオン状態で、SW1電流isw1が順方向に流れる。以後、正のSW1電流isw1が次第に増加する。
次に、第1実施形態の電圧降下時間Tdn1の導出について図7を参照して説明する。
図7[A]には、図6のモード(d)の電流経路図を基に、電源Btから入力される入力電圧vin、負荷Ldに出力される出力電圧vout、一次側トランス電圧v1及び二次側トランス電圧v2の記号を付記する。一次側トランス電圧v1は、一次コイル32のセンタタップ側でない一方端の電位を基準として一次コイル31のセンタタップ側でない一方端の電位を表した電圧である。二次側トランス電圧v2は、二次コイル33のセンタタップ側でない一方端の電位を基準として二次コイル34のセンタタップ側でない一方端の電位を表した電圧である。
なお、二次側スイッチング素子SW3、SW4はダイオードDI3、DI4に置き換えてもよい。一次側スイッチング素子SW1、SW2、及び、二次側スイッチング素子SW3、SW4又は二次側ダイオードDI3、DI4は、それぞれ電気的仕様が同等の素子が二つ並列に設けられている構成を前提とする。
トランス一次側と二次側の巻線比が1:1の場合、次式(1.1)が成り立つ。
Figure 0006455412
図7[B]は、図7[A]、すなわち図6のモード(d)の等価回路を示す回路モデルである。iは素子当負荷電流(iL/2)から換算励磁電流(iLm/2)を減算したダイオード導通不可電流である。ipは一次側転流電流、isは二次側残留電流を示す。
ds1、Cds2、Cds3は、各スイッチング素子のDS間容量である。
ここで、モード(b)からモード(d)に移行する逆転開始時刻tbに注目すると、次式(1.2)〜(1.4)が成り立つ。
Figure 0006455412
図7[B]の回路モデルを流れるダイオード導通不可電流iは、トランス一次側と二次側との巻線比が1:Nのとき、式(2.1)で表される。式(2.1)の第1項(iLm/2N)は換算励磁電流であり、第2項(iL/2)は素子当負荷電流である。巻線比を1:1とすると、電流iは式(2.2)で表される。以下、巻線比が1:1の場合について説明する。
Figure 0006455412
ダイオード導通不可電流iは、式(2.2)において、換算励磁電流(iLm/2)がほぼ一定のため、逆転開始時刻tbをt=0とした場合、負荷電流の変化分で計算でき、式(2.3)で表される。ダイオード導通不可電流iの内、二次側残留電流isにより上昇するSW3電圧vsw3を無視すると、ダイオード導通不可電流iは、式(2.4)で近似される。
Figure 0006455412
なお、後述の第2実施形態と対照すると、式(2.3)、(2.4)は、第2実施形態の式(4.3)、(4.4)の過渡項に相当する。第1実施形態では、初期値項は0である。
図7[B]の回路モデルにて各DS間容量Cds1、Cds2、Cds3が等しいとし、共通の記号Cdsで記す。一次側スイッチング素子経路にはCdsの二直列が存在し、二次側スイッチング素子経路にはCdsが存在する。ダイオード導通不可電流iは二つの経路のインピーダンス比で分流するため、一次側転流電流ipは式(2.5)で表される。
Figure 0006455412
SW1電圧vsw1は、逆転開始時刻tbを「t=0」とした場合、式(2.6)で求められる。式(2.6)で出力電圧voutを一定とすると、式(2.7)のようになる。
Figure 0006455412
式(2.7)のSW1電圧vsw1が0になるとき、ゼロ電圧到達時刻tdまでの電圧降下時間Tdn1について、式(2.8)が成り立つ。よって、電圧降下時間Tdn1は、式(2.9)で表される。
Figure 0006455412
そして、式(2.10)に示すように、式(2.9)の電圧降下時間Tdn1が共振回路の共振周期2π√(LALLALL)に一致するように、共振回路のインダクタンスL及びDS間容量Cdsが設定される。なお、「一致する」とは、厳密な一致に限らず、当該技術分野における技術常識に照らして、「一致する」と認識され得る程度のばらつき範囲を含む範囲で解釈される。
Figure 0006455412
ここで、電圧降下時間Tdn1を共振回路の共振周期2π√(LALLALL)に一致させることの技術的意義について説明する。
まず、プッシュプル型DC/DCコンバータの一般的な課題として、一次側スイッチング素子のターンオン時に各種寄生成分による共振により二次側ダイオードにサージ電圧が発生することについて、図8、図9を参照して説明する。
図8[A]に、プッシュプル型DC/DCコンバータ回路の抵抗成分R、インダクタンス成分L、及び容量成分Cを模式的に示す。各記号の意味は、以下の通りである。なお、トランス銅抵抗は、表皮効果も考慮したものである。
R:トランス銅抵抗
A〜LD:トランス漏れインダクタンス
T:トランス浮遊容量
D:ダイオード接合容量
また、一次側スイッチング素子SW2のオン時における共振電流経路を矢印で示す。
図8[A]の共振回路のみを抽出し、回路全体の成分RALL、LALL、CALLとして示すと、図8[B]のようになる。各全体成分は、式(3.1)〜(3.3)で表される。
Figure 0006455412
一次側スイッチング素子のターンオン時、この共振回路の共振により、図9に示すようなサージ電圧が二次側ダイオードに印加される。
続いて、サージ電圧抑制の考え方について、図10を参照して説明する。
図10[A]は、図8[B]の全体インダクタンス成分LALL及び全体容量成分CALLと電圧との関係を示す回路モデルである。インダクタ電圧vL及び容量成分電圧vdは、それぞれ、全体インダクタンス成分LALL及び全体容量成分CALLの両端電圧を示す。
図10[B]は、ターンオン時をt=0とし、通電開始直後の電圧及び電流の変化を示した図である。全体容量成分CALLの両端電圧に対応する素子電圧vdは、ターンオンによる通電開始から共振周期Trをかけて共振によって振動しながら定常電圧に上昇する。
一方、入力電圧vinは、ターンオン時からのスイッチング時間Ttをかけて変動させるものとする。容量成分電圧vdと入力電圧vinとの差分が、インダクタ電圧vLに相当する。
図10[B]でターンオン時(t=0)から共振が終了するまでの共振周期Trの中間時をtxとすると、t=0からtxまでの期間T1では、インダクタ電圧vLは正となり、電流iが増加する。また、t=txからttまでの期間T2では、インダクタ電圧vLは負となり、電流iが減少する。容量成分電圧vdと入力電圧vinとの間の面積は、インダクタ電圧vLと時間との積である「ET積」を意味する。
容量成分電圧vdの定常電圧到達時刻trまでの期間TrでのET積の合計がゼロとなる場合、電流iの変化Δi及び(−Δi)が打ち消されるため、定常電圧到達時刻trにはゼロとなる。定常電圧到達時刻trに全体インダクタンス成分LALLに電流iが流れていなければ、更なる電圧の上昇を回避することができる。
すなわち、式(3.4)が成立するとき、ターンオン時に二次側ダイオードに印加されるサージ電圧を抑制することできる。
Figure 0006455412
よって、スイッチング時間Ttと共振周期Trとを一致させること、すなわち、式(3.5)に示すようにスイッチング時間Ttと共振回路の共振周期2π√(LALLALL)とを一致させることにより、サージ電圧の発生を抑制することができる。
Figure 0006455412
第1実施形態では、上記のサージ電圧抑制の考え方を電圧降下時間Tdn1に置き換えて応用している。そして、式(2.10)に基づき、電圧降下時間Tdn1が共振回路の共振周期2π√(LALLALL)に一致するように、共振回路のインダクタンスL及びDS間容量Cdsを設定することを特徴とする。これにより、一次側スイッチング素子SW1のターンオン時におけるサージ電圧の発生を抑制することできる。
(効果)
以上のように、第1実施形態のプッシュプル型DC/DCコンバータは、従来技術のようにスナバ回路を設けることなく、一次側スイッチング素子SW1のターンオン時のサージ電圧を適切に抑制することできる。したがって、スナバ回路構成で発生するスナバ損失を無くすことができる。
また、スナバ回路を使う技術に代えて、比較例としてサージレス駆動方式を想定する。
図15[A]に示すように、サージレス駆動方式では、スイッチング素子のドレイン−ゲート間に、基本コンデンサCresに加えて追加のコンデンサCaddを設け、電圧の変化率(dv/dt)を調整して、スイッチング時間を共振周期に一致させる。
図15[B]に示すように、サージレス駆動方式では、第1実施形態と同様に、スナバ損失の発生なく、通常駆動方式に対してサージ電圧を低減することができる。
しかし、サージレス駆動方式では、スイッチング素子のオン速度を緩めてサージ電圧を抑制するため、図16に破線ハッチングで示す領域でオン損失が発生する。
それに対し、本実施形態では、励磁電流iLmの転流を利用して一次側スイッチング素子SW1の電圧vsw1を降下させ、SW1電圧vsw1がゼロ電圧に到達した後、SW1をターンオンすることにより、ターンオン損失を低減することができる。また、SW1電圧vsw1が降下する電圧降下時間Tdn1を共振回路の共振周期に一致させるように、共振回路のインダクタンスL及びDS間容量Cdsが設定される。したがって、スナバ損失やオン損失の発生を回避しつつ、サージ電圧の発生を抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態によるプッシュプル型DC/DCコンバータの動作について、既出の図2、図5、図6、及び新出の図11〜図13を参照して説明する。第2実施形態は、図2に示す二次側整流素子がスイッチング素子SW3、SW4であるプッシュプル型DC/DCコンバータ102において、スイッチング操作部16が同期整流制御を行う。
主に図11を参照し、第2実施形態の負荷電流最小領域における動作を説明する。
二次側スイッチング素子SW3の動作について、第1実施形態で同期整流を行う場合、すなわち図4に破線で示す動作では、二次側スイッチング素子SW3は、負荷電流最大時刻taから逆転開始時刻tbまでのモード(b)の間にターンオフされる。
これに対し第2実施形態では、二次側スイッチング素子SW3は、逆転開始時刻tbを過ぎてから継続時間Tcontの間、オン状態が維持され、同期整流を継続する。この継続時間Tcont中の状態を、第1実施形態には存在しないモード(c)とする。
図12に、同期整流動作におけるモード(a)、(b)、(c)の電流経路を示す。図12のモード(a)及びモード(b)は、図5のモード(a)、モード(b)に対し、電流が二次側スイッチング素子SW3のDS間を通過している点が異なる。そのため、図12では、電流経路を示す矢印がDS間を通るように記載している。
モード(c)で負荷電流iLが励磁電流iLmを下回ったときでも、励磁電流iLmは、オン状態の二次側スイッチング素子SW3のDS間を経由して流れることができる。したがって、モード(c)の電流経路は、モード(b)と同様となる。
逆転開始時刻tbから継続時間Tcontが経過した時点である同期整流停止時刻tcに、二次側スイッチング素子SW3がターンオフされると、励磁電流iLmはスイッチング素子SW3を導通することができなくなる。そのため、素子当負荷電流(iL/2)から換算励磁電流(iLm/2)を減算したダイオード導通不可電流iの内、一次側スイッチング素子経路と二次側スイッチング素子経路とのインピーダンス比を乗算した一次側転流電流ipが二次側から一次側に転流する。そして、モード(d)に移行する。
このように、第2実施形態では、同期整流停止時刻tcからSW1電圧vsw1の電圧降下が開始する。また、第2実施形態では、電圧降下開始時点でのダイオード導通不可電流iの初期値が第1実施形態のようにゼロでなく、継続時間Tcontに比例して電流初期値が増加する。
モード(d)では、一次側転流電流ipによって、SW1電圧vsw1がスロープ状に降下し、ゼロ電圧到達時刻tdにゼロとなる。第2実施形態における同期整流停止時刻tcからゼロ電圧到達時刻tdまでの電圧降下時間を「Tdn2」と表す。また、SW1電圧vsw1が低下する一方で、二次側スイッチング素子SW3の電圧vsw3は上昇する。
図13に、モード(c)、(d)におけるSW1電流isw1(又は一次側転流電流ip)の変化を拡大して示す。モード(c)では同期整流を継続し、負荷電流iLが励磁電流iLmを下回ったときでも、励磁電流iLmは、オン状態の二次側スイッチング素子SW3のDS間を経由して流れることができる。モード(c)の期間においてSW3を流れる素子当負荷電流(iL/2)は(vout/2L)の傾きで減少する。
モード(d)に移行する同期整流停止時刻tcにおいて、励磁電流iLmはスイッチング素子SW3を導通することができなくなるが、この時刻tcでのダイオード導通不可電流iは、初期値として、Tcont×(vout/2L)の電流値を有する。
第1実施形態と同様に、一次側スイッチング素子経路にはCdsの二直列が存在し、二次側スイッチング素子経路にはCdsが存在する。ダイオード導通不可電流iは二つの経路のインピーダンス比で分流するが、第2実施形態では、一次側転流電流ipの初期値として、(1/3)×Tcont×(vout/2L)の電流値を有することになる。これにより、電圧降下時間Tdn2を制御することが可能になる。
一次側スイッチング素子SW1は、ゼロ電圧到達時刻tdから通常状態復帰時刻teまでのモード(e)の間にターンオンされる。図11のモード(e)、(f)での各電流、電圧の変化は図4と同様である。また、モード(d)、(e)、(f)での電流経路は、ほぼ図6と同様に示される。厳密には、オン状態の二次側スイッチング素子SW4のDS間を還流電流が通過可能である点が図6と異なるが、全体の動作に影響しないため図示を省略する。
次に、第2実施形態の電圧降下時間Tdn2の導出について、再び図7を参照する。この説明では、電気的仕様が同等である二つの二次側スイッチング素子SW3、SW4を備える構成を前提とする。
図7[A]、[B]についての基本的な解釈は第1実施形態と同様である。ただし、第2実施形態では、モード(c)からモード(d)に移行する同期整流停止時刻tcにおいて、上記の式(1.2)〜(1.4)が成り立つ。
図7[B]の回路モデルを流れる電流iは、一般にトランス一次側と二次側との巻線比が1:Nのとき、第1実施形態の式(2.1)と同じ式(4.1)で表される。巻線比を1:1とすると、電流iは第1実施形態の式(2.2)と同じ式(4.2)で表される。以下、巻線比が1:1の場合について説明する。
Figure 0006455412
ダイオード導通不可電流iは、式(4.2)において、換算励磁電流(iLm/2)がほぼ一定のため、同期整流停止時刻tcをt=0とした場合、前述の電流初期値である初期値項と、負荷電流の変化分である過渡項とで計算でき、式(4.3)で表される。ダイオード導通不可電流iの内、二次側残留電流isにより上昇するSW3電圧vsw3を無視すると、ダイオード導通不可電流iは、式(4.4)で近似される。
Figure 0006455412
図7[B]の回路モデルにて各DS間容量Cds1、Cds2、Cds3が等しいとし、共通の記号Cdsで記す。一次側スイッチング素子経路にはCdsの二直列が存在し、二次側スイッチング素子経路にはCdsが存在する。ダイオード導通不可電流iは二つの経路のインピーダンス比で分流するため、一次側転流電流ipは式(4.5)で表される。
Figure 0006455412
SW1電圧vsw1は同期整流停止時刻tcを「t=0」とした場合、式(4.6)で求められる。式(4.6)で出力電圧voutを一定とすると、式(4.7)のようになる。
Figure 0006455412
式(4.7)のSW1電圧vsw1が0になるとき、ゼロ電圧到達時刻tdまでの電圧降下時間Tdn2について、式(4.8)が成り立つ。よって、電圧降下時間Tdn2は、式(4.9)で表される。
Figure 0006455412
そして、式(4.10)に示すように、式(4.9)の電圧降下時間Tdn2が共振回路の共振周期2π√(LALLALL)に一致するように、共振回路のインダクタンスL及びDS間容量Cds、並びに、継続時間Tcontが設定される。「一致する」の解釈については、第1実施形態と同様である。
Figure 0006455412
共振回路の回路定数L、Cdsが既に決まっている場合、スイッチング操作部16は、式(4.10)により演算された継続時間Tcontに基づき、二次側スイッチング素子SW3をターンオフする。
第2実施形態では、二次側を同期整流する構成において共振回路のLC定数を調整することが困難又は不適当な場合や出力電圧voutが時々刻々と変化する場合にも、逆転状態移行後の同期整流の継続時間Tcontを調整することにより、電圧降下時間Tdn2を共振回路の共振周期に一致させることができる。よって、一次側スイッチング素子SW1のターンオン時におけるサージ電圧を適切に抑制することできる。
(第3実施形態)
第3実施形態について、図14を参照して説明する。第3実施形態のプッシュプル型DC/DCコンバータ103は、二次側整流素子がスイッチング素子SW3、SW4である第2実施形態のプッシュプル型DC/DCコンバータ102に加え、さらにサージ電圧検出回路15を備えている。
サージ電圧検出回路15は、一次側スイッチング素子SW1のターンオン時に発生するサージ電圧を検出し、スイッチング操作部16に通知する。電圧検出の具体的な構成は、分圧抵抗による検出等の周知技術を採用可能であるため、説明を省略する。
スイッチング操作部16は、サージ電圧検出回路15により検出されるサージ電圧が所定値を超えたとき、継続時間Tcontを補正する。
例えば出力電圧Voutが時々刻々と変化する場合、出力電圧Voutが大きくなったり小さくなったりすると、電圧降下時間は変化する。また、回路素子の特性ばらつき等によっても、実際の電圧降下時間が計算値Tdn2よりも長くなったり短くなったりする可能性がある。電圧降下時間が共振周期からずれた場合、前述のように二次側スイッチング素子の電圧が定常電圧に到達した時刻trにおいて、インダクタンス成分LALLに電流が残存していることで、サージ電圧を発生させてしまうことになる。
そこで、スイッチング操作部16は、サージ電圧検出回路15が検出したサージ電圧が所定値を超えたとき、継続時間Tcontを補正する。これにより、電圧降下開始時点での転流初期値が調整される。その結果、電圧降下時間Tdn2を共振周期に一致させることができ、サージ電圧の発生を抑制することができる
(その他の実施形態)
上記では、二次側整流素子が二つ並列接続された構成においてトランス一次側と二次側との巻線比が1:1の場合について説明しているため、全励磁電流iLmを1とすると、二次側整流素子一つ当たりに流れる換算励磁電流は(1/2)となる。
これに対し、二次側整流素子が二つ並列接続され、巻線比が1:Nの場合、換算励磁電流は(1/2N)となる。また、一般に二次側整流素子がM個並列接続された構成では、換算励磁電流は(1/(M×N))となる。それに応じて、電圧降下時間Tdn1、Tdn2を導出する式の一部が変更される。ただし、励磁電流iLmに基づく初期値項及び過渡項を考慮するという基本的な技術的思想は、上記と同様である。
図4、図11のタイムチャートでは、負荷電流iL及び励磁電流iLmの符号を反転することなく直接比較できるように、正負方向を設定している。ただし、電流方向の定義によっては、適宜、符号を反転して比較することが必要となる場合もある。一般化して言うと、「通常状態」及び「逆転状態」の判定は、「素子当負荷電流の絶対値」と「換算励磁電流の絶対値」との比較に基づいて行われるものである。
トランスの励磁インダクタを構成する複数の一次コイル及び複数の二次コイルの数は、二つに限らず、三つ以上でもよい。また、平滑インダクタは、二次側センタタップCT2と負荷Ldの端子Ppとの間に接続されてもよい。
本発明において、電源Btや負荷Ldの具体的な種類、或いは、入力電圧vin、出力電圧voutの具体的な数値範囲は問わない。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
101、102、103・・・プッシュプル型DC/DCコンバータ、
16・・・スイッチング操作部、
20・・・トランス、
31、32・・・一次コイル、
33、34・・・二次コイル
7 ・・・平滑インダクタ、
SW1、SW2・・・一次側スイッチング素子、
DI3、DI4・・・ダイオード(二次側整流素子)、
SW3、SW4・・・二次側スイッチング素子(二次側整流素子)。

Claims (7)

  1. 電源(Bt)と負荷(Ld)との間に接続され直流電力を変換するプッシュプル型DC/DCコンバータであって、
    トランス(20)の励磁インダクタを構成する複数の一次コイル(31、32)及び複数の二次コイル(33、34)と、
    前記複数の一次コイルと前記電源との間に接続され、且つ還流ダイオードが並列に接続されており、交互に動作する複数の一次側スイッチング素子(SW1、SW2)と、
    前記複数の二次コイルに接続され、前記二次コイルに流れる電流を整流可能な複数の二次側整流素子(DI3、DI4、SW3、SW4)と、
    前記二次側整流素子と前記負荷との間に接続される平滑インダクタ(7)と、
    前記一次側スイッチング素子を操作し、前記二次側整流素子がスイッチング素子の場合にさらに二次側スイッチング素子を操作するスイッチング操作部(16)と、
    を備え、
    前記一次側スイッチング素子がすべてオフ時の負荷電流が前記二次側整流素子を還流する期間において、前記負荷及び前記平滑インダクタを経由して前記二次側整流素子一つ当たりに還流する電流を素子当負荷電流とし、前記トランスの励磁インダクタに流れる励磁電流について、前記二次側整流素子一つ当たりに流れる電流に換算した励磁電流を換算励磁電流とすると、
    前記スイッチング操作部は、
    前記素子当負荷電流の絶対値が前記換算励磁電流の絶対値以上である通常状態から、前記素子当負荷電流の絶対値が前記換算励磁電流の絶対値を下回る逆転状態に移行し、二次側から一次側に転流した励磁電流によって前記一次側スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧が降下しゼロ電圧に到達した後、次にオンする順番の前記一次側スイッチング素子をターンオンし、
    ターンオン時の電流経路に存在するトランス漏れインダクタンス、トランス浮遊容量、及びダイオードの接合容量を含む共振回路のインダクタンス及び容量は、前記一次側スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧が降下を開始してからゼロ電圧に到達するまでの電圧降下時間(Tdn1、Tdn2)が、前記共振回路の共振周期と一致するように設定されているプッシュプル型DC/DCコンバータ。
  2. 前記スイッチング操作部は、
    前記一次側スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧がゼロ電圧に到達した後、前記逆転状態から再び前記通常状態に戻る時までに前記一次側スイッチング素子をターンオンする請求項1に記載のプッシュプル型DC/DCコンバータ。
  3. 前記複数の二次側整流素子は、ダイオードである請求項1または2に記載のプッシュプル型DC/DCコンバータ。
  4. 前記複数の二次側整流素子は、還流ダイオードが並列に接続された複数の二次側スイッチング素子であり、
    前記スイッチング操作部は、
    前記通常状態から前記逆転状態に移行する前にオン状態の前記二次側スイッチング素子をターンオフする請求項1または2に記載のプッシュプル型DC/DCコンバータ。
  5. 前記共振回路のインダクタンス及び容量は、
    前記通常状態から前記逆転状態への移行時である逆転開始時刻(tb)に電圧降下が開始する前記電圧降下時間(Tdn1)が前記共振回路の共振周期と一致するように設定されている請求項3または4に記載のプッシュプル型DC/DCコンバータ。
  6. 前記複数の二次側整流素子は、還流ダイオードが並列に接続され、同期整流を行うように動作する複数の二次側スイッチング素子であり、
    前記スイッチング操作部は、
    前記通常状態から前記逆転状態への移行後、所定の継続時間(Tcont)にわたって同期整流を継続した時点である同期整流停止時刻(tc)に前記二次側スイッチング素子をターンオフし、
    前記共振回路のインダクタンス及び容量、並びに前記継続時間は、
    前記同期整流停止時刻に電圧降下が開始する前記電圧降下時間(Tdn2)が前記共振回路の共振周期と一致するように設定されている請求項1または2に記載のプッシュプル型DC/DCコンバータ。
  7. 前記一次側スイッチング素子のターンオン時に前記共振回路に発生するサージ電圧を検出するサージ電圧検出回路(15)をさらに備え、
    前記スイッチング操作部は、
    前記サージ電圧検出回路が検出したサージ電圧が所定値を超えたとき、前記継続時間を補正する請求項6に記載のプッシュプル型DC/DCコンバータ。
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