JP6455187B2 - 被覆はんだワイヤおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置などを製造する際に用いるはんだワイヤ、およびその製造方法に関する。
半導体素子接合基板や半導体装置などの製造において、金属材料同士を接合する際に、あるいは、半導体素子などの電子部品をプリント基板に接合する際に、はんだ付けが一般的に採用される。はんだ付けに使用されるはんだ材料は、ワイヤ、リボン、シート、プリフォーム材(打抜き材)、ボール、微粉末などの種々の形状に成形される。
はんだ材料は、酸素の存在下で酸化しやすく、保管中に、その表面に酸化膜が形成される。特に、はんだ材料を製造してから長期間経過後に使用する場合には、酸化が進行し、この酸化膜が厚いものとなるため、はんだ材料の濡れ広がり性や接合性の低下、あるいは、空隙(ボイド)の発生などの接合欠陥を招く。加えて、はんだ材料は、使用時に高温で溶融されるため、酸化膜はさらに厚いものとなる。このようにして形成された分厚い酸化膜が、接合界面に存在すると、導通不良や接合性の低下といった問題を引き起こす。
金属材料や合金材料の酸化を防止する技術として、表面処理により被覆膜を形成する方法が知られている。特に、大気圧プラズマCVD法を用いた表面処理は、比較的低コストで、緻密な被覆膜を形成することができるため、酸化防止効果が高いばかりでなく、成膜材料が室内に拡散することがないため、安全性にも優れることから注目を集めている。
たとえば、特表2004−510571号公報には、有機材料などからなる噴霧液体および/または固体コーティング形成材料を大気圧プラズマ放電中に導入し、金属などの基板をコーティング形成材料に晒すことにより、基板の表面に、コーティング(被覆膜)を形成する方法が開示されている。
また、特開2009−286041号公報には、樹脂フィルムの表面に形成された金属酸化物膜の表面を、n−ペンタンやn−ヘキサンなどの特定の炭化水素を用いた大気圧プラズマCVD法により表面処理することにより、無着色のガスバリア性フィルムを製造する技術が開示されている。
これらの文献に記載の大気圧プラズマCVD法は、減圧プラズマCVD法と異なり、真空装置や減圧装置を必要としないため、製造コストや生産性の悪化といった問題が生じることはない。しかしながら、これらの文献に記載の技術では、反応ガスのプラズマ化と微粒化されるコーティング形成材料の活性化が同時に行われるため、コーティング形成材料の活性化が不均一なものとなり、基板の表面全面にわたって、緻密な被覆膜を均一に形成することは困難である。また、これらの文献に記載の技術は、はんだ材料表面の酸化を防止することを意図したものではなく、はんだ材料の溶融時における被覆膜の挙動や、被覆膜の存在による濡れ広がり性および接合性への影響については何ら考慮されていない。
特表2004−510571号公報 特開2009−286041号公報
本発明は、長期保管時や溶融時における表面の酸化を防止することができ、かつ、濡れ広がり性や接合性に優れた被覆はんだワイヤを提供することを目的とする。また、本発明は、このような被覆はんだワイヤを、1回の連続的処理で効率よく得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、はんだワイヤと、該はんだワイヤの表面に形成された含炭素化合物からなる被覆膜とから構成される被覆はんだワイヤに関する。
特に、本発明の被覆はんだワイヤは、前記被覆膜の厚さが4nm〜200nm、該厚さの最大値と最小値の差が2.5nm以内であり、かつ、150℃〜300℃で加熱された場合の質量減少率が60質量%以上であることを特徴とする。
前記はんだワイヤとして、80質量%以上のPbと、Sn、Ag、Cu、In、TeおよびPの群から選択される1種以上の第2元素とを含有し、かつ、Pbと第2元素との含有量が、合計で95質量%以上のはんだ合金からなる、はんだワイヤを好適に用いることができる。
または、前記はんだワイヤとして、80質量%以上のSnと、Ag、Sb、Cu、Ni、GeおよびPの群から選択される1種以上の第2元素とを含有し、かつ、Snと第2元素との含有量が、合計で95質量%以上のはんだ合金からなる、はんだワイヤを好適に用いることができる。
なお、前記質量減少率が80質量%以上であることが好ましい。
本発明の被覆はんだワイヤの製造方法は、
大気圧下でプラズマ化された反応ガスと、キャリガスを介して導入された炭化水素化合物とを混合し、該炭化水素化合物をラジカル化することにより、ラジカル化炭化水素化合物を形成する、ラジカル化工程と、
螺旋状のガス流によって画定され、前記ラジカル化炭化水素化合物が均一に分散した反応領域を形成する、反応領域形成工程と、
前記反応領域内で、はんだワイヤを搬送し、前記ラジカル化炭化水素化合物を該はんだワイヤ表面の金属と反応させることにより、該はんだワイヤ表面に厚さが4nm〜200nmの、含炭素化合物からなる被覆膜を形成する、被覆工程と、
を備えることを特徴とする。
前記反応領域形成工程において、予め導入した螺旋状のガス流に、前記ラジカル化炭化水素化合物を混合することにより、前記反応領域を形成することが好ましい。この場合、前記螺旋状のガス流を、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素および空気の群から選択される少なくとも1種によって形成することができる。
前記炭化水素化合物として、炭素数が8以下の脂肪族化合物、脂環式化合物および芳香族化合物の群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
たとえば、前記炭化水素化合物として、炭素数が4以下の脂肪族化合物および/または脂環式化合物からなる炭化水素系ガスを用いることが好ましい。または、炭素数が5以上8以下の脂肪族化合物、脂環式化合物および芳香族化合物の群から選択される少なくとも1種からなる炭化水素系溶剤を用いることが好ましい。
前記反応ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素および空気の群から選択される少なくとも1種を用いることができる。また、前記キャリアガスとしては、アルゴン、ヘリウムおよび窒素の群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
前記ラジカル化工程において、大気圧プラズマ重合処理装置により、前記炭化水素化合物をラジカル化することが好ましい。
前記ラジカル化工程において、前記はんだワイヤ1mに対する前記炭化水素化合物の導入量を0.02g〜1.2gとすることが好ましい。また、前記被覆工程における該はんだワイヤの搬送速度を1m/分〜100m/分とすることが好ましい。
本発明によれば、含炭素化合物からなる緻密な被覆膜が、はんだワイヤの表面全体にわたって均一に形成された被覆はんだワイヤを、工業規模の製造により1回の連続的処理で効率よく提供することが可能となる。このため、本発明の工業的意義はきわめて大きい。
図1(a)は、本発明の被覆はんだワイヤの製造方法を説明するための概略斜視図であり、および、図1(b)は、本発明の被覆はんだワイヤの製造方法で得られた被覆はんだワイヤの断面図である。 図2(a−1)〜図2(c−1)は、従来の大気圧プラズマCVD法を適用した、3段階の工程からなる被覆はんだワイヤの製造方法を説明するための概略斜視図であり、図2(a−2)〜図(c−2)はこの被覆はんだワイヤの製造方法の各段階における被覆はんだワイヤの断面図である。 図3は、実施例1で得られた被覆はんだワイヤの断面TEM写真である。 図4は、比較例3で得られた被覆はんだワイヤの断面TEM写真である。
本発明者らは、上述した問題に鑑みて、はんだ材料表面の酸化を防止し、かつ、はんだ材料の濡れ広がり性や接合性などに影響を与えない被覆膜について鋭意研究を重ねた。この結果、被覆膜として適度な熱分解性を有するものを使用することで、保管時および溶融時におけるはんだ材料の酸化を防止しつつ、その濡れ広がり性や接合性に対する影響を大幅に低減できるとの結論を得た。また、このような被覆膜としては、特定の炭化水素系ガスまたは特定の炭化水素系溶剤を、所定条件下で、好ましくは大気圧プラズマ重合処理によって、ラジカル化させたラジカル化炭化水素化合物を、はんだ材料を構成する金属と反応させて、このはんだ材料上に形成した緻密な含炭素化合物からなる被覆膜が最適であるとの結論を得た。
ところで、従来の大気圧プラズマCVD法を、長尺のはんだワイヤの表面に被覆膜を形成することに適用した場合、図2に示すように、基材となるはんだワイヤ2に対して複数回(図示の例では3回)の処理をすることが必要となる。すなわち、
(a)搬送中におけるはんだワイヤ2の捻れを防止可能な搬送治具7を、面7aが底面側となるよう固定した状態で、はんだワイヤ2を矢印Aの方向に搬送しつつ、ノズル8をからラジカル化した炭化水素化合物5を噴霧し、被覆膜3aを形成し(図2(a−1)参照)、
(b)次いで、搬送治具7を、面7bが底面側となるように120°回転させた後、(a)と同様にして、被覆膜3bを形成し(図2(b−1)参照)、
(c)最後に、搬送治具7を、面7cが底面側となるようにさらに120°回転させた後、(a)および(b)と同様にして、被覆膜3c形成する(図2(c−1)参照)、
ことが必要となる。
また、従来の大気圧プラズマCVD法を利用した被覆膜の形成方法では、反応ガスと、キャリアガスと、被覆材料とを装置内に供給した後、反応ガスのプラズマ化と被覆材料の活性化(ラジカル化)が同時に行われるため、被覆材料の活性化が不均一なものとなる。この結果、被覆膜は緻密なものとならず、また、この点からも、はんだワイヤの表面全体に均一に形成することが困難となる。
したがって、従来の大気圧プラズマCVD法を工業規模の製造に適用した場合には、被覆はんだワイヤの生産性が著しく損なわれることが予想される。また、図2(a−2)、(b−2)および(c−2)に示されるように、被覆膜5a〜5cの境界に被覆が薄い部分が生じるため、被覆膜全体としての厚さの均一性が十分に得られない。
本発明者らは、これらの点について検討を重ねた結果、予め、ラジカル化した炭化水素化合物が均一に分散し、かつ、ラジカル化した炭化水素化合物がはんだワイヤ表面の金属と反応可能な反応領域を形成し、この反応領域内ではんだワイヤを搬送することにより、1回の連続的処理で、きわめて均一かつ緻密な被覆膜を形成することができるとの知見を得た。また、このような反応領域は、螺旋状のガス流に、ラジカル化した炭化水素化合物を混合することにより形成できるとの知見を得た。
本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。以下、本発明について、「1.被覆はんだワイヤ」、「2.被覆はんだワイヤの製造方法」および「3.被覆はんだワイヤによるダイボンディング方法」に分けて詳細に説明する。なお、本発明の被覆はんだワイヤは、基材として使用するはんだワイヤの直径によって制限されることはないが、以下、一般的に用いられる、直径が0.3mm〜1.0mmのはんだワイヤを基材として用いる場合を例に挙げて説明する。
1.被覆はんだワイヤ
本発明の被覆はんだワイヤは、はんだワイヤと、はんだワイヤの表面に形成された含炭素化合物からなる被覆膜とから構成される。この被覆膜は、厚さが4nm〜200nm、該厚さの最大値と最小値の差が2.5nm以内であり、かつ、150℃〜300℃で加熱された場合の質量減少が60質量%以上であることを特徴とする。
(1)はんだワイヤ
本発明において、はんだワイヤは特に制限されることはなく、種々の組成を有するものを用いることができる。しかしながら、はんだワイヤとして、以下の組成を有するものを用いた場合に、本発明の効果を好適に発揮することができる。なお、はんだワイヤの組成は、ICP発光分光分析法により求めることができる。
a)Pb系はんだワイヤ
Pb系はんだワイヤは、Pb(鉛)を主成分とし、Sn(スズ)、Ag(銀)、Cu(銅)、In(インジウム)、Te(テルル)およびP(リン)の群から選択される1種以上の第2元素を含有する、はんだ合金から構成される。なお、Pbを主成分とするとは、はんだ合金全体に対するPbの含有量が80質量%以上であることを意味する。
このようなPb系はんだワイヤは、きわめて汎用性が高く、従来、種々の用途に使用されている。近年、人体や環境への影響を考慮して、Pbの使用が制限されているものの、その汎用性や使いやすさから、高温はんだとして、パワーデバイスの接合などの一部の用途においては、現在でも使用され続けている。
Pb系はんだワイヤにおいて、Pbと第2元素の含有量は、合計で95質量%以上、好ましくは合計で97質量%以上とする。Pbと第2元素の含有量が、合計で95質量%未満では、上記特性を得ることは難しい。
なお、Pbの含有量は、好ましくは80質量%以上98質量%以下、より好ましくは85質量%以上98質量%以下とする。また、第2元素の含有量は、好ましくは2質量%以上15質量%以下、より好ましくは2質量%以上12質量%以下とする。
Pb系はんだワイヤにおいては、その用途や目的に応じて、Pbおよび第2元素以外の元素(第3元素)を含有させてもよい。このような第3元素としては、たとえば、Ni(ニッケル)、Ge(ゲルマニウム)、Co(コバルト)、Sb(アンチモン)およびBi(ビスマス)などを挙げることができる。これらの第3元素の含有量は、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下とする。第3元素の含有量が5.0質量%を超えると、Pbおよび第2元素の含有量の関係で、所望の特性を得ることができなくなる場合がある。
b)Sn系はんだワイヤ
Sn系はんだワイヤは、Snを主成分とし、Ag、Sb、Cu、Ni、GeおよびP(リン)の群から選択される1種以上の第2元素を含有する、はんだ合金から構成される。なお、Snを主成分とするとは、はんだ合金全体に対するSnの含有量が80質量%以上であることを意味する。
このようなSn系はんだワイヤは、低融点で、半導体装置などの用途に好ましく適用することができ、いわゆる「鉛フリーはんだ」として用いられている。ここで、鉛フリーとは、鉛を全く含有しないか、不可避不純物として含有する場合であっても、その含有量が0.01質量%未満であることを意味する。
Sn系はんだワイヤにおいて、Snと第2元素の含有量は、合計で、95質量%以上、好ましくは97質量%以上とする。Snと第2元素の含有量が、合計で、95質量%未満では、上記特性を得ることができない。
なお、Snの含有量は、好ましくは80質量%以上98質量%以下、より好ましくは90質量%以上98質量%以下とする。また、第2元素の含有量は、好ましくは1質量%以上10質量%以下、より好ましくは2質量%以上7質量%以下とする。
Sn系はんだワイヤにおいても、その用途や目的に応じて、Snおよび第2元素以外の元素(第3元素)を含有させてもよい。このような第3元素としては、たとえば、In、CoおよびBiなどを挙げることができる。これらの第3元素の含有量は、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下とする。第3元素の含有量が5.0質量%を超えると、Snおよび第2元素の含有量の関係で、所望の特性を得ることができなくなる。
(2)被覆膜
本発明の被覆はんだワイヤを構成する被覆膜は、炭化水素化合物を材料とし、所定条件の大気圧プラズマ重合処理によって、ラジカル化させたラジカル化炭化水素化合物を、はんだ材料を構成する金属と反応させて、緻密な含炭素化合物からなる被覆膜としてはんだ材料上に形成される。
この被覆膜は、薄膜であるにもかかわらず、非常に強固で安全性も高く、はんだ材料の表面全面にわたって均一に形成される。また、熱分解性にも優れていると評価される。したがって、この被覆膜によれば、はんだ材料表面の酸化の進行を抑制することが可能となるばかりでなく、この被覆膜の存在によって、はんだ材料の濡れ広がり性や接合性を低下させることがないため、接合時における空隙(ボイド)の生成を抑制することが可能となる。
a)厚さ
被覆膜の厚さは4nm〜200nm、好ましくは6nm〜100nm、より好ましくは8nm〜50nmに制御される。被覆膜の厚さが4nm未満では、はんだ材料表面の酸化の進行を十分に抑制することができず、濡れ広がり性や接合性の低下し、空隙(ボイド)が生じやすくなる。一方、被覆膜の厚さが200nmを超えると、はんだ材料表面の酸化の進行を十分に抑制することはできるものの、この被覆膜の影響で、同様に、濡れ広がり性や接合性が低下し、空隙が生じやすくなる。なお、被覆膜の厚さは、被覆はんだワイヤを周方向3か所以上の位置で長さ方向に沿って切断した上で、各断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより求めることができる。
b)厚さの均一性
この被覆膜は、厚さの均一性にも優れる。具体的には、本発明の被覆はんだワイヤは、被覆膜の厚さ(径方向の寸法)の最大値と最小値の差を、被覆はんだワイヤ全体(長さ方向および周方向)にわたって2.5nm以内、好ましくは2.0nm以内、より好ましくは1.5nmに制御することが可能である。このため、本発明の被覆はんだワイヤは、耐酸化性、濡れ広がり性、接合性などの特性のばらつきがきわめて小さいということができる。
c)熱分解性
本発明の被覆はんだワイヤを構成する被覆膜は、熱分解性に優れ、150℃〜300℃の範囲で加熱された場合に、該被覆膜の質量減少率αが60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上となる。上記温度範囲で加熱された場合の質量減少率αが60質量%未満では、溶融後のはんだ材料中に未分解の被覆膜が残存し、はんだ材料の濡れ広がり性や接合性を低下させてしまう。
なお、本発明において、被覆膜の質量減少率αとは、加熱前の被覆膜の質量をw1、上記温度範囲で加熱後の被覆膜の質量をw2とした場合に、下記の式(A)によって求められる値を意味する。
α=(w1−w2)/w1×100・・・(A)
d)外観
本発明の被覆はんだワイヤを構成する被覆膜は、無色透明で、きわめて薄く、かつ、はんだ材料の表面全体に均一に形成される。このため、この被覆膜の形成に際して、処理ムラやシミなどの外観不良が生じることはほとんどない。
2.被覆はんだワイヤの製造方法
本発明の被覆はんだワイヤの製造方法は、
(1)大気圧下でプラズマ化された反応ガスと、キャリガスを介して導入された炭化水素化合物とを混合し、炭化水素化合物をラジカル化することにより、ラジカル化炭化水素化合物を形成する、ラジカル化工程と、
(2)螺旋状のガス流によって画定され、前記ラジカル化炭化水素化合物が均一に分散した反応領域を形成する、反応領域形成工程と、
(3)前記反応領域内で、はんだワイヤを搬送し、前記ラジカル化炭化水素化合物をはんだワイヤ表面の金属と反応させることにより、該はんだワイヤ表面に厚さが4nm〜200nmの、含炭素化合物からなる被覆膜を形成する、被覆工程と、
を備えることを特徴とする。
このような製造方法によれば、はんだワイヤに対して、1回の連続的処理で含炭素化合物からなる緻密な被覆膜を均一に形成することができるため、被覆はんだ材料の生産性を飛躍的に向上させることができる。また、この製造方法は、被覆材料として、常態で液体または気体である炭化水素化合物を使用し、かつ、被覆膜を乾式の方法により形成しているため、取扱性や安全性にも優れる。
(1)ラジカル化工程
ラジカル化工程は、大気圧下でプラズマ化された反応ガスと、キャリガスを介して導入された炭化水素化合物とを混合し、炭化水素化合物をラジカル化することにより、ラジカル化炭化水素化合物を形成する工程である。
a)大気圧プラズマ重合処理
プラズマ重合処理は従来から広く知られた技術であるが、本発明で利用する大気圧プラズマ重合処理は、常態では進行しない化学反応を、大気圧プラズマによる反応粒子の活性化により進行させるものである。このような大気圧プラズマ重合処理は、連続処理に向いているため生産性が高く、また、真空装置が不要であるため処理コストが低く、装置構成を簡易化することができるといった特徴を有する。ただし、本発明におけるラジカル化工程は、大気圧プラズマ重合処理に限定されることなく、高圧プラズマ処理や低圧プラズマ処理などの含む他のラジカル化手段も、実操業上の問題がなければその適用は可能である。
大気圧プラズマとしては、コロナ放電、誘電体バリア放電、RF放電、マイクロ波放電、アーク放電などを挙げることができるが、本発明では、特に制限されることなく、いずれも適用可能である。このため、プラズマ化するために使用する装置としては、大気圧下で反応ガスをプラズマ化することができるものであれば、特に制限されることなく、公知のプラズマ発生装置を使用することができる。なお、本発明において、大気圧とは、大気圧(1013.25hPa)およびその近傍の気圧を含み、通常の大気圧の変化の範囲内の気圧も含まれる。
ただし、本発明では、予めプラズマ化された反応ガス中に、炭化水素化合物を、キャリアガスを介して混合噴霧することが必要となる。このような構成を採ることにより、炭化水素化合物を瞬時にラジカル化させることができるため、炭化水素化合物の基本骨格を維持したまま、含炭素化合物からなる緻密な被覆膜をはんだワイヤの表面全体にわたって、均一に形成することが可能となる。
b)プラズマ化条件
反応ガスをプラズマ化するための条件は、使用するプラズマ装置や目的とする被覆膜の厚さなどにより適宜選択されるべきものであるが、炭化水素化合物を効率よくラジカル化し、高品質の被覆膜を形成する観点から、ジュネレータ出力電圧を、好ましくは150V〜350V、より好ましくは200V〜330Vの範囲とすることが好ましい。ジュネレータ出力電圧が150V未満では、反応ガスが十分にプラズマ化することができないため、炭化水素を十分にラジカル化することができない場合がある。一方、350Vを超えると、装置の破損といった問題が生じる場合がある。
c)反応ガス
反応ガスとしては、プラズマ化が容易なものであれば特に制限されることはない。たとえば、Ar(アルゴン)、He(ヘリウム)、N2(窒素)、O2(酸素)および空気などを使用することができる。これらの反応ガスは、単独で使用してもよく、2種類以上を、所定の割合で混合して使用してもよい。なお、製造コストの観点から、N2、O2またはその混合ガス、特に空気を使用することが好ましい。
d)キャリアガス
キャリアガスとしては、噴霧した炭化水素化合物を搬送することができるものであれば特に制限されることはない。たとえば、Ar、HeおよびN2などを使用することができる。これらのキャリアガスは、単独で使用してもよく、2種類以上を所定の割合で混合して使用してもよい。なお、製造コストの観点から、N2を使用することが好ましい。
e)炭化水素化合物
炭化水素化合物としては、被覆膜を形成した際に、150℃〜300℃で加熱した場合の質量減少率が60質量%以上となる材料であることが必要とされる。このような被覆膜を形成するための炭化水素化合物としては、炭素数が8以下の脂肪族化合物、脂環式化合物および芳香族化合物の群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。具体的には、炭素数が4以下の脂肪族化合物もしくは脂環式化合物からなる炭化水素系ガス、または、炭素数が5以上8以下の脂肪族化合物、脂環式化合物もしくは芳香族化合物からなる炭化水素系溶剤を用いることが好ましい。これらの炭化水素化合物は、常態で気体もしくは適度な揮発性を有する液体であるため、キャリアガスとともに、プラズマ化された反応ガス中に容易に導入することができる。このため、はんだワイヤ表面に、緻密な被覆膜を均一に形成することが可能となる。
なお、本発明では、炭化水素化合物として、上述の炭化水素系ガスまたは炭化水素系溶剤のいずれか一方を用いることを前提としているが、取扱性や安全性を確保することができる限り、炭化水素系ガスと炭化水素系溶剤を混合して用いることも可能である。また、炭化水素化合物(炭化水素系ガス、炭化水素系溶剤)を導入する際、必ずしも炭化水素化合物のみで導入する必要はなく、炭化水素化合物を主成分とする限り、安定化剤や酸化防止剤などと混合した状態で導入してもよい。
[炭化水素系ガス]
炭素数が4以下の脂肪族化合物または脂環式化合物からなる炭化水素系ガスとしては、たとえば、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロピレン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、メチルアセチレン、エチルアセチレン、シクロプロパン、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、イソブテンおよび1,3−ブタジエン、の群から選択される少なくとも一種を好適に用いることができる。
[炭化水素系溶剤]
炭素数が5以上8以下の脂肪族化合物、脂環式化合物または芳香族化合物からなる炭化水素系溶剤としては、たとえば、以下に挙げるものを好適に用いることができる。
脂肪族化合物としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの直鎖状のもののほか、2−メチルブタン、2,2−ジメチルプロパン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2−エチルペンタン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2−メチルヘプタン、2,3−ジメチルヘキサン、3−エチルヘキサンなどの分岐を有するものを好適に用いることができる。
脂環式化合物としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、シス−1,3−ジメチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、ノルボルナン、シクロヘキセンなどを好適に用いることができる。
芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを好適に用いることができる。
これらの中でも、取扱いの容易性や被覆膜を形成した場合の熱分解性を考慮すると、直鎖状のn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンを用いることが好ましく、n−ヘキサンを用いることが特に好ましい。
d)炭化水素化合物の導入量
被覆膜を形成するはんだワイヤの直径やプラズマ化条件などによっても異なるが、一般的なはんだワイヤ(直径:0.3mm〜1.0mm)を対象とする場合、はんだワイヤ1mに対する炭化水素化合物の導入量を0.02g〜1.2gとすることが好ましく、0.03g〜1.0gとすることがより好ましく、0.04g〜0.3gとすることがさらに好ましい。炭化水素化合物の導入量が0.02g未満では、被覆膜の厚さが4nm以下になるばかりでなく、厚さにばらつきが生じるおそれがある。一方、炭化水素化合物の導入量が1.2gを超えると、被覆膜の厚さが200nmを超えるおそれがある。
(2)反応領域形成工程
反応領域形成工程は、螺旋状のガス流によって画定され、ラジカル化工程で得られたラジカル化炭化水素化合物が均一に分散した反応領域を形成する工程である。
a)反応領域
本発明の被覆はんだワイヤの製造方法では、予め、ラジカル化した炭化水素化合物が均一に分散し、この炭化水素化合物がはんだワイヤ表面の金属と反応可能な反応領域を形成することが重要となる。なお、この反応領域内における炭化水素化合物はラジカル化している限り、その状態が制限されることはなく、単量体、半重合体または重合体のいずれの状態であってもよい。
この反応領域は、螺旋状のガス流によって画定されることが必要となる。これは、ラジカル化炭化水素化合物が均一に分散した螺旋状のガス流内では、はんだワイヤ表面の金属とラジカル化炭化水素化合物との反応が、同時かつ同程度の反応速度で進行するため、得られる被覆膜をきわめて均一に形成することができるからである。
このような反応領域を形成する方法は、特に制限されることはない。たとえば、装置内に、予め螺旋状のガス流を導入し、上述したラジカル化工程で生成したラジカル化炭化水素化合物を、この螺旋状のガス流と混合することにより形成することができる。また、装置外でラジカル化工程を行い、生成したラジカル化炭化水素化合物を、キャリアガスを用いて螺旋状のガス流として装置内に導入してもよい。ただし、ラジカル化炭化水素化合物は不安定であり、すぐに通常の炭化水素化合物と戻ってしまうことを考慮すると、前者の方がより好ましい。
b)螺旋状のガス流
螺旋状のガス流は、たとえば、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素および空気の群から選択される少なくとも1種、すなわち、上述したキャリアガスと同種のガス、または、これらのガスに装置外で生成したラジカル炭化水素化合物を混合したものを螺旋状に流れるように、装置内に導入することで、形成することができる。ただし、被覆膜を薄く形成する場合には、酸素や空気(特に乾燥空気)を用いて螺旋状のガス流を形成することが好ましい。この場合、酸素や空気を用いることで被覆膜中の酸素導入量を増加させることでき、この結果、被覆膜の緻密性や平滑性を向上させることが可能となる。
なお、螺旋状のガス流は、その断面積が、被覆対象となるはんだワイヤの直径よりも大きくなるように形成することが必要となる。また、螺旋状のガス流の速度(進行方向に対する速度および周方向に対する速度)は、目的とする被覆膜の厚さやはんだワイヤの性状(炭化水素化合物との反応性)に応じて、適宜選択することが必要となる。このため、予備試験を実施した上で、螺旋状のガス流の速度を設定することが好ましい。
(3)被覆工程
被覆工程は、反応領域内ではんだワイヤを搬送し、ラジカル化炭化水素化合物をはんだワイヤ表面の金属と反応させることにより、はんだワイヤ表面に厚さが4nm〜200nmの、含炭素化合物からなる被覆膜を形成する工程である。
a)はんだワイヤ
本発明の被覆はんだワイヤを構成するはんだワイヤとしては、特に制限されることなく、種々のものを用いることができる。ただし、本発明の効果を十分に発揮するためには、以下で説明する成形方法で得られるはんだワイヤを用いることが好ましい。
[原料の融解]
原料の融解方法としては、抵抗加熱法、還元拡散法、高周波溶解法など公知の手段を用いることができ、特に、短時間で、効率よく融解することができる高周波溶解法が好ましい。これらの方法により融解した原料を、予め用意した鋳型に鋳込むことにより、所定形状のはんだ母合金インゴットを形成する。なお、融解や鋳込み時に酸素が存在すると、原料の酸化が進行するばかりでなく、鋳込み時に酸化膜を巻き込み、得られるはんだワイヤ表面の酸化膜が厚くなったり、表面粗さが粗くなったりする。このため、原料の融解時の雰囲気を不活性ガス雰囲気とするとともに、鋳込み時に、鋳型の溶湯入口に不活性ガスを流通させることが好ましい。
[はんだワイヤ]
ワイヤ状のはんだを成形する場合、はんだ母合金インゴットを押出法や伸線法などにより成形する。たとえば、押出法により成形する場合、はんだワイヤの組成に応じた適切な押出温度を選択する必要がある。これは、押出温度が高すぎると、表面の酸化が進行しやすく、逆に、押出温度が低すぎると、はんだワイヤが硬い状態で押し出すこととなるため、成形時間が長時間を要するためである。
また、押出は、不活性ガス中で行うことが好ましく、密封状態で、不活性ガスを流通させながら行うことがより好ましい。これは、押出時に酸素が存在すると、押出温度まで加熱されたワイヤがすぐに酸化してしまうからである。
[研磨・洗浄]
はんだワイヤ表面の酸化膜を薄くしたり、表面粗さ(Ra)を小さくしたりするためには、はんだワイヤに対して、酸洗浄や研磨を行うことが好ましい。酸洗浄や研磨を行うタイミングとしては、はんだ母合金を鋳造した後、所定の加工を行う前、加工中または加工後のいずれでもよい。
酸洗浄を行う場合に使用する酸の種類は、はんだワイヤの組成に応じて適宜選択する限り、特に制限されることはなく、無機酸と有機酸のいずれも用いることができるが、コスト面を考慮すると、安価で、酸化膜除去効果の大きい無機酸を用いることが好ましい。具体的には、無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸などを用いることができる。また、有機酸としては、クエン酸やシュウ酸などを用いることができる。ただし、強酸を用いる場合、はんだワイヤの酸性溶液への溶解速度が速いことに起因して、部分的な溶解が進行し、表面粗さ(Ra)が大きくなったり、組成ずれが生じたりする場合がある。このため、溶解速度が遅く、取扱いの容易な弱酸を用いることが好ましい。なお、酸洗浄では、酸濃度、洗浄時間および洗浄温度などについても十分に配慮する必要がある。
たとえば、5%の酢酸水溶液を用いて、Pb系はんだワイヤを洗浄する場合、洗浄温度を20℃、洗浄時間を15分として行うことが好ましい。この場合、はんだワイヤの酸化膜が、酢酸水溶液に接触した直後の溶解量が最も多く、その後次第に減少し、ある段階で飽和する。具体的には、厚さ100μmの酸化膜を洗浄する場合、酸化膜の厚さは5分程度で20μm〜30μmまで薄くなり、15分程度で10μm程度まで薄くなる。
一方、はんだワイヤ表面を研磨する場合、研磨方法は特に制限されない。たとえば、はんだワイヤを研磨紙に挟み込み、適度な力で押圧し、引っ張りながら巻き取っていくことで研磨してもよい。
b)ラジカル化炭化水素化合物とはんだワイヤ表面の金属との反応
本発明の被覆はんだワイヤの製造方法において、ラジカル化炭化水素化合物とはんだワイヤ表面の金属との反応は、上述した反応領域の内部で進行する。具体的には、図1(a)に示すように、螺旋状のガス流4によって画定される反応領域6の略中央部を、基材となるはんだワイヤ2が矢印Aの方向に搬送される。この際、反応領域6内には、ラジカル化炭化水素化合物5が均一に分散しているため、螺旋状のガス流4の作用により、炭化水素化合物5は、はんだワイヤ2の表面全体に等しく接触する。この結果、ラジカル化炭化水素化合物5とはんだワイヤ2表面の金属との反応が、同時かつ同程度の反応速度で進行することとなる。
ところで、上述したように反応領域6内では、ラジカル化炭化水素化合物5が、単量体、半重合体および重合体といった種々の形態で存在している。したがって、ラジカル化炭化水素化合物5とはんだワイヤ2表面の金属との反応としては、
(i)ラジカル化炭化水素化合物5が、はんだワイヤ2表面の金属と反応した後に重合する態様、
(ii)ラジカル化炭化水素化合物5が重合しながら、はんだワイヤ2表面の金属と反応する態様、または、
(iii)ラジカル化炭化水素化合物5が重合した後に、はんだワイヤ2表面の金属と反応する態様、
が考えられる。本発明の被覆はんだワイヤの製造方法では、上述した被覆膜を備えた被覆はんだワイヤを得ることができる限り、いずれかの態様に制限されることはない。
c)はんだワイヤの搬送速度
本発明の被覆はんだワイヤでは、被覆膜の厚さが4nm〜200nmの範囲に調整される。このような被覆膜の厚さは、被覆材料として導入する炭化水素化合物の量や螺旋状のガス流の速度のほか、はんだワイヤの搬送速度によっても制御することができる。具体的には、被覆工程におけるはんだワイヤの搬送速度を1m/分〜100m/分とすることが好ましく、5m/分〜80m/分とすることがより好ましく、10m/分〜50m/分とすることがさらに好ましい。はんだワイヤの搬送速度が1m/分未満では、被覆膜が厚くなりすぎるおそれがあるばかりでなく、生産性が著しく低下してしまう。一方、搬送速度が100m/分を超えると、被覆膜の厚さが4nm以下になったり、厚さにばらつきが生じたりするおそれがある。
3.被覆はんだワイヤによるダイボンディング方法
本発明の被覆はんだワイヤは、各種半導体素子と基板との接合に用いることができ、具体的には、ディスクリート、IC(集積回路)チップ、モジュールなど、多種多様の半導体素子と基板との接合に用いることができる。以下、本発明の被覆はんだワイヤを用いて、ICチップをリードフレームのダイ部に接合する、ダイボンディング方法について説明する。
なお、本発明の被覆はんだワイヤを用いてダイボンディングをする場合、ICチップの水平を保つため、はんだワイヤに、高融点粒子を添加することが好ましい。高融点粒子としては、はんだワイヤの融点よりも50℃以上高いものを使用することが好ましく、具体的には、CuやNiなどの金属粒子、SiO2などの酸化物粒子、SiCなどの炭化物粒子を用いることができる。これらの高融点粒子は、その平均粒径が1μm〜70μmであることが好ましい。また、高融点粒子の含有量は、はんだワイヤに対して1質量%〜40質量%程度とすることが好ましい。
一般的なダイボンディングでは、はんだワイヤや半導体素子を供給するための開口部が設けられた半密閉状のチャンバ内に、ヒータ部が設けられており、このヒータ部に基板を搬送し、加熱する。この際、チャンバ内には、不活性ガスまたはフォーミングガス(不活性ガスに、還元性ガスとして水素を混合したガス)を流通させておく。その後、所定の温度まで加熱された基板上にはんだワイヤを供給し、これを溶融させ、この上に半導体素子を載せ、加圧することにより、基板と半導体素子を接合する。
このとき、はんだワイヤは、ヒータ部で、加熱された不活性ガスと空気の混合ガスを吹き付けられた状態で待機するため、その表面で酸化が進行することとなる。また、不活性ガスが流通しているとはいえ、チャンバ内は完全な密閉状とはなっていないため、はんだワイヤの供給時にチャンバ内に流入した酸素によっても、酸化が進行することとなる。
加えて、良好な接合を行うため、ヒータ部の温度を、はんだワイヤの融点より30℃〜70℃程度高い温度に設定する必要がある。特に、Snを5質量%含むPb系はんだワイヤなどの高融点はんだを使用する場合には、ヒータ部の温度を340℃〜380℃程度に設定しなければならず、これにより、はんだワイヤの酸化が一層進行することとなる。
このようなダイボンディングにおいて、従来のはんだワイヤに変えて、本発明の被覆はんだワイヤを使用すれば、被覆膜の作用により、待機時および溶融時の酸化を防止することが可能となる。また、本発明の被覆はんだワイヤを構成する被覆膜は熱分解性に優れるため、溶融時に被覆膜が残存して、被覆はんだワイヤの濡れ広がり性や接合性に影響を与えることがない。したがって、本発明の被覆はんだワイヤは、濡れ広がり性や接合性(接合強度)に優れ、空隙の発生がきわめて少ない接合を、工業規模の製造において容易に実現できるといえる。このため、本発明の被覆はんだワイヤは、高信頼性が要求される半導体素子接合基板、および、この基板を用いた各種装置を好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例を参照しながら、さらに詳細に説明する。
[はんだワイヤの作製]
原料として、純度が99.9%以上のBi、Zn、Ag、Sn、Pb、Cu、Au、In、Al、Ni、Sb、Ge、TeおよびPを準備した。なお、得られる被覆はんだワイヤにおいて、サンプリング位置による組成のばらつきを防止するため、大きな薄片やバルク状の原料については、切断または粉砕して、3mm以下の大きさに調整した。
このように調整された原料から所定量を秤量して、グラファイト製の坩堝に投入した。この坩堝を高周波溶解炉内に載置するとともに、酸化を抑制するために、原料1kgあたり0.7L/分以上の窒素を流通させた状態で、溶解炉の電源を入れ、局所的な組成のばらつきが生じないように混合棒で十分に撹拌しながら、原料を融解させた。原料が十分に融解したことを確認した後、溶解炉の電源を切り、速やかに坩堝を取り出し、得られた溶湯をはんだ母合金の鋳型に鋳込み、組成の異なるはんだ母合金インゴットを得た。
なお、鋳型は、はんだ母合金の製造の際に用いられる一般的な鋳型と同様のものを使用した。それぞれのはんだ母合金インゴットを、不活性ガス雰囲気下、押出加工機を用い、ワイヤ状に加工することで、試料No.1〜試料No.18のはんだワイヤ(直径0.76mm)を得た。これらのはんだワイヤの組成についてICP発光分光分析器(株式会社島津製作所製、ICPS−8100)を用いて測定した。この結果を表1に示す。
(実施例1)
[被覆はんだワイヤの作製]
試料No.1のPb系はんだワイヤを、はんだワイヤ自動巻取機(株式会社田邊製作所製、TM型巻線機)で巻き取る際、図1に示すような方法により、搬送中のはんだワイヤの表面に大気圧重合処理装置(プラズマトリート株式会社製、プラズマポリマーラボシステム PAD−1型)を用いて、含炭素化合物からなる被覆膜を形成した。
はじめに、大気圧下でプラズマ化された反応ガス(N2)に、キャリガス(N2)を介して導入したn−ヘキサン(関東化学株式会社製)を混合し、以下のラジカル化条件でn−ヘキサンをラジカル化することにより、ラジカル化n−ヘキサンを得た(ラジカル化工程)。
<プラズマ化条件>
・プラズマ発生装置の発信周波数:21kHz
・ジェネレータの出力電圧 :280V
・圧力 :大気圧(1013.25hPa)
一方、N2を螺旋状のガス流として装置内に導入し、この螺旋状のガス流に対して、大気圧重合処理装置のノズルからラジカル化n−ヘキサンを噴霧し、螺旋状のガス流とラジカル化n−ヘキサンを混合することにより、反応領域を形成した(反応領域形成工程)。
この状態で、反応領域の略中心部を、はんだワイヤを通過させることにより、このはんだワイヤの表面に被覆膜を形成した。この際、はんだワイヤ1mあたりのラジカル化n−ヘキサンの反応量を0.05g、はんだワイヤの搬送速度を10.0m/分に調整した。
[被覆はんだワイヤの評価]
上述のようにして得られた被覆はんだワイヤに対して、以下の(a)〜(e)の項目について評価を行った。
(a)被覆膜の厚さの測定
被覆はんだワイヤを、基準位置(0°位置)ならびに基準位置に対して、90°および180°回転させた位置(90°位置および180°位置)で長さ方向に沿って切断した上で、各断面をTEM(株式会社日立ハイテクノロジース製、透過型電子顕微鏡HF−2000)により観察し、被覆膜の厚さを測定した。この結果を表3に示す。また、この際に撮影した、被覆はんだワイヤの断面TEM写真を図3に示す。
(b)表面状態の評価
被覆はんだワイヤを作製した時点における表面状態を、光学顕微鏡(株式会社ニコン、ECLIPE M6600)を用いて観察した。この結果、表面状態が、被覆膜を形成していない状態とほぼ同様である場合を「良(○)」、変色が見られる場合を「不良(×)」として評価した。
また、この被覆はんだワイヤに対して、JISZ2371に準拠した中性塩水噴霧試験を7日間行った後、その表面状態を、光学顕微鏡を用いて観察した。この結果、表面状態が、初期状態とほぼ同様である場合を「良(○)」、初期状態と比較して変色していたり、平滑性が悪化していたりした場合を「不良(×)」として評価した。これらの結果を表3に示す。
なお、初期および中性塩水噴霧試験後の表面状態の観察は、いずれも、基準位置(0°)ならびに基準位置に対して、90°および180°回転させた位置で行った。
(c)溶融前後における被覆膜の質量減少率評価
被覆前のはんだ材料の質量W0、加熱前の被覆はんだ材料の質量W1、加熱後の被覆はんだ材料の質量W2を測定することにより、加熱前の被覆膜の質量w1(=W1−W0)および加熱後の被腹膜の質量w2(=W2−W0)を求め、加熱前後における質量減少率α(=(w1−w2)/w1×100))(式1)を算出した。この結果、質量減少率αが、80質量%以上であったものを「優(◎)」、60質量%以上79質量%未満であったものを「良(○)」、59%未満のものを「不良(×)」と評価した。この結果を表3に示す。
(d)濡れ性(濡れ広がり性、接合性)の評価
雰囲気制御式濡れ性試験機(自社製)のヒータ部に2重のカバーをした後、ヒータ部の周囲4箇所からN2を12L/分の流量で流しつつ、ヒータ温度を、被覆はんだワイヤの融点よりも50℃高い温度に設定して加熱した。ヒータ温度が安定したことを確認した後、Cu基板(板厚:約0.70mm)をヒータ部に設置し、25秒間加熱した。この状態で、5cmに切断した被覆はんだワイヤをCu基板の上に載置し、さらに25秒間加熱した。その後、Cu基板をヒータ部から取り上げ、窒素雰囲気中で室温まで冷却した。Cu基板が十分に冷却したことを確認した後、はんだの接合状態を目視により観察した。
この結果、Cu基板と被覆はんだワイヤが接合しており、かつ、被覆はんだワイヤの濡れ広がりが良い場合(接合後のはんだが薄く濡れ広がっている場合)を「良(○)」と、接合することはできたが、被覆はんだワイヤの濡れ広がりが悪い場合(接合後のはんだが盛り上がっている場合)を「不良(△)」、接合することができなかった場合を「不可(×)」として評価した。この結果を表3に示す。
(e)耐熱性の評価
上述した濡れ性の評価で被覆はんだワイヤを接合したCu基板に対して、−55℃の冷却と、+150℃の加熱を1サイクルとするヒートサイクル試験を500サイクル実施した後、Cu基板ごと樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、接合面をSEM(株式会社日立ハイテクノロジース製、走査電子顕微鏡S−4800)により観察した。この結果、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「良(○)」、接合面にはがれが生じていたり、被覆はんだワイヤにクラックが生じていたりした場合を「不良(×)」として評価した。この結果を表3に示す。
(実施例2〜17、比較例1、2)
被覆材料および処理条件を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして被覆はんだワイヤを作製し、上記(a)〜(e)の評価を行った。この結果を表3に示す。
(比較例3)
試料No.1のPb系はんだワイヤを、はんだワイヤ自動巻取機で巻き取る際、図2に示すような方法により、搬送中のはんだワイヤの表面に大気圧重合処理装置(プラズマトリート株式会社製、プラズマポリマーラボシステム PAD−1型)を用いて、含炭素化合物からなる被覆膜を形成した。
はじめに、搬送中におけるはんだワイヤ2の捻れを防止可能な搬送治具7を、面7aが底面側となるよう固定した状態で、はんだワイヤ2を矢印Aの方向に搬送しつつ、ノズル8をからラジカル化した炭化水素化合物5を噴霧し、被覆膜3aを形成した(図2(a−1)参照)。次いで、搬送治具7を、面7bが底面側となるように120°回転させた後、(a)と同様にして、被覆膜3bを形成した。最後に、搬送治具7を、面7cが底面側となるようにさらに120°回転させた後、(a)および(b)と同様にして、被覆膜3c形成した。
このようにして得られた被覆はんだワイヤに対して、上記(a)〜(e)の評価を行った。この結果を表3に示す。また、基準位置(0°位置)および基準位置に対して180°回転させた位置(180°位置)における断面TEM写真を図4に示す。
(比較例4)
試料No.1のPb系はんだワイヤを、はんだワイヤ自動巻取機で巻き取る際、シリコン系コーティング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、APZ6601)に10分間浸漬した後、120℃で10分間乾燥することにより、被覆はんだワイヤを作製した。
このようにして得られた被覆はんだワイヤに対して、上記(a)〜(d)の評価を行った。この結果を表3に示す。なお、比較例4では、(d)濡れ性の評価において、被覆はんだワイヤとCu基板を接合することができなかったため、(e)ヒートサイクル性の評価は行わなかった。
(比較例5)
試料No.1のPb系はんだワイヤを、はんだワイヤ自動巻取機で巻き取る際、フッ素系コーティング剤(株式会社フロロテクノロジー製、FG−3020C30)に10分間浸漬した後、冷風で10分間乾燥することにより、被覆はんだワイヤを作製した。
このようにして得られた被覆はんだワイヤに対して、上記(a)〜(d)の評価を行った。この結果を表3に示す。なお、比較例5では、(d)濡れ性の評価において、被覆はんだワイヤとCu基板を接合することができなかったため、(e)ヒートサイクル性の評価は行わなかった。
(比較例6)
試料No.1のPb系はんだワイヤに、被覆膜を形成せずに、上記(a)、(b)、(d)および(e)の評価を行った。この結果を表3に示す。
(実施例18〜25)
基材となるはんだワイヤとして、表4に示すPb系はんだワイヤを使用したこと以外は、実施例1と同様にして被覆はんだワイヤを作製し、上記(a)〜(e)の評価を行った。この結果を表5に示す。
(比較例8〜比化例15)
表4に示すPb系はんだワイヤに、被覆膜を形成せずに、上記(a)、(b)、(d)および(e)の評価を行った。この結果を表5に示す。
(実施例26〜34)
基材となるはんだワイヤとして、表6に示すSn系はんだワイヤを使用したこと以外は、実施例1と同様にして被覆はんだワイヤを作製し、上記(a)〜(e)の評価を行った。この結果を表7に示す。
(比較例16〜24)
表6に示すSn系はんだワイヤに、被覆膜を形成せずに、上記(a)、(b)、(d)および(e)の評価を行った。この結果を表7に示す。
[評価結果]
表3、表5および表7より、実施例1〜34の被覆はんだワイヤは、被覆膜の厚さが4nm〜200nmの範囲にあり、かつ、そのばらつきが少ないこと、および、被覆膜の質量減少率が60質量%以上であることが確認される。加えて、図3および図4を比較すると、実施例1の被覆はんだワイヤは、各位置における厚さ8.3±0.6mmの範囲内にあり、比較例3と比べて、被覆膜の均一性が飛躍的に向上していることが確認される。
また、実施例1〜34の被覆はんだワイヤは、中性塩水噴霧試験の前後で表面状態の変化がほとんどなく、耐酸化性に優れていることが確認される。さらに、濡れ性やヒートサイクルの評価も良好であることが確認される。
このほか、実施例1における処理時間は、比較例3における処理時間の1/3以下であることが確認された。したがって、本発明の製造方法によれば、被覆はんだワイヤの生産性を大幅に改善可能であるといえる。
1 被覆はんだワイヤ
2 はんだワイヤ
3、3a、3b、3c 被覆膜
4 螺旋状のガス流
5 ラジカル化炭化水素化合物
6 反応領域
7 搬送治具
7a、7b、7c 搬送治具の面
8 ノズル
A はんだワイヤの搬送方向

Claims (15)

  1. はんだワイヤと、該はんだワイヤの表面に形成された、炭素数が8以下の脂肪族化合物、脂環式化合物および芳香族化合物の群から選択される少なくとも1種からなる炭化水素化合物を材料とする、含炭素化合物からなる被覆膜とから構成される被覆はんだワイヤであって、
    前記被覆膜は、厚さが4nm〜200nm、該厚さの最大値と最小値の差が2.5nm以内であり、かつ、150℃〜300℃の範囲で加熱された場合に、該被覆膜の質量減少率が60質量%以上となる、被覆はんだワイヤ。
  2. 前記はんだワイヤは、80質量%以上のPbと、Sn、Ag、Cu、In、TeおよびPの群から選択される1種以上の第2元素とを含有し、かつ、Pbと第2元素との含有量が、合計で95質量%以上のはんだ合金からなる、請求項1に記載の被覆はんだワイヤ。
  3. 前記はんだワイヤは、80質量%以上のSnと、Ag、Sb、Cu、Ni、GeおよびPの群から選択される1種以上の第2元素とを含有し、かつ、Snと第2元素との含有量が、合計で95質量%以上のはんだ合金からなる、請求項1に記載の被覆はんだワイヤ。
  4. 前記質量減少率が80質量%以上である、請求項1に記載の被覆はんだワイヤ。
  5. 大気圧下でプラズマ化された反応ガスと、キャリガスを介して導入された炭化水素化合物とを混合し、該炭化水素化合物をラジカル化することにより、ラジカル化炭化水素化合物を形成する、ラジカル化工程と、
    螺旋状のガス流によって画定され、前記ラジカル化炭化水素化合物が均一に分散した反応領域を形成する、反応領域形成工程と、
    前記反応領域内で、はんだワイヤを搬送し、前記ラジカル化炭化水素化合物を該はんだワイヤ表面の金属と反応させることにより、該はんだワイヤ表面に厚さが4nm〜200nmの、含炭素化合物からなる被覆膜であって、該厚さの最大値と最小値の差が2.5nm以内であり、かつ、150℃〜300℃の範囲で加熱された場合に、該被覆膜の質量減少率が60質量%以上となる、被覆膜を形成する、被覆工程と、
    を備える、被覆はんだワイヤの製造方法。
  6. 前記反応領域形成工程において、予め導入した螺旋状のガス流に、前記ラジカル化炭化水素化合物を混合することにより、前記反応領域を形成する、請求項5に記載の被覆はんだワイヤの製造方法。
  7. 前記螺旋状のガス流を、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素および空気の群から選択される少なくとも1種によって形成する、請求項5または6に記載の被覆はんだワイヤの製造方法。
  8. 前記炭化水素化合物は、炭素数が8以下の脂肪族化合物、脂環式化合物および芳香族化合物の群から選択される少なくとも1種である、請求項5〜7のいずれかに記載の被覆はんだワイヤの製造方法。
  9. 前記炭化水素化合物は、炭素数が4以下の脂肪族化合物および/または脂環式化合物からなる炭化水素系ガスである、請求項5〜7のいずれかに記載の被覆はんだワイヤの製造方法。
  10. 前記炭化水素化合物は、炭素数が5以上8以下の脂肪族化合物、脂環式化合物および芳香族化合物の群から選択される少なくとも1種からなる炭化水素系溶剤である、請求項5〜7のいずれかに記載の被覆はんだワイヤの製造方法。
  11. 前記反応ガスは、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素および空気の群から選択される少なくとも1種である、請求項5〜10のいずれかに記載の被覆はんだワイヤの製造方法。
  12. 前記キャリアガスは、アルゴン、ヘリウムおよび窒素の群から選択される少なくとも1種である、請求項5〜11のいずれかに記載の被覆はんだワイヤの製造方法。
  13. 前記ラジカル化工程において、大気圧プラズマ重合処理装置により、前記炭化水素化合物をラジカル化する、請求項5〜12のいずれかに記載の被覆はんだワイヤの製造方法。
  14. 前記ラジカル化工程において、前記はんだワイヤ1mに対する前記炭化水素化合物の導入量を0.02g〜1.2gとする、請求項5〜13のいずれかに記載の被覆はんだワイヤの製造方法。
  15. 前記被覆工程における該はんだワイヤの搬送速度を1m/分〜100m/分とする、請求項14に記載の被覆はんだワイヤの製造方法。
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