JP6454958B2 - 電子弦楽器、楽音制御方法及びプログラム - Google Patents
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Description
このような楽音生成装置を備えた電子ギター等の電子弦楽器においては、弦を指で押さえるフレット操作と、弦を弾くピッキングとが演奏操作として行われ、これらの演奏操作に応じた楽音を発生させる。
なお、フレット操作及びピッキングを検出して楽音を発生させる電子弦楽器は、例えば、特許文献1に記載されている。
ここで、ピッキングにより振動した弦のピッチを抽出する場合、弦の振動に倍音の波形が重畳されることから、弦の振動波形をローパスフィルタに通した後にピッチ抽出を行うことがある。
ローパスフィルタによって倍音の波形が除去されると、ピッチの抽出をより正確に行うことができる。
その結果、正確なピッチ抽出を行うことができないことから、発音される音高が適切なものとはならない場合があった。
なお、電子弦楽器においては、ピッキングされた弦に隣接する弦にクロストークの影響が生じることがあり、この場合にも、正確なピッチ抽出を妨げる要因となる。
すなわち、従来の技術においては、電子弦楽器におけるピッチ抽出を正確に行うことが困難であった。
張設された弦の振動を検出する弦振動検出手段と、
指板上の複数のフレットを複数のグループに分類し、当該分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応したフィルタリング特性を有するフィルタ手段と、
前記複数のフレットのいずれが操作されたかを検知するフレット操作検出手段と、
前記振動が検出された弦及び前記操作が検出されたフレットに応じて決定されるクロストーク係数に基づいて、前記弦に隣接する弦へのクロストークの演算処理を行うクロストーク演算手段と、
前記弦振動検出手段により検知された弦の振動信号に前記クロストークの演算処理により前記演算処理された信号を、前記フレット操作検出手段により操作の検出されたフレットが属するグループに対応する前記フィルタ手段でフィルタリング処理するフィルタ制御手段と、
前記フィルタ手段よりフィルタリング処理された弦の振動信号に基づいて、発生すべき楽音のピッチを抽出する処理を実行するピッチ抽出手段と、
を有する電子弦楽器。
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明するが、ここではこの発明を電子ギター(ギターシンセサイザ)に適用した場合を例に挙げて説明する。なお、これに限らず他のタイプの電子楽器であっても同様に適用できる。
図1に示すように、電子ギター1は、指板FB上に張設された6つの弦STG1〜STG6を備えており、各弦に対して、フレット及びピッキングを行うことにより、アコースティックギター等の自然楽器と同様の操作でユーザの演奏を可能とするものである。図1に示すように、電子ギター1は、指板FB上に張設された6つの弦STG1〜STG6にそれぞれ設けられ、各弦にスキャンパルスを入力するスキャンパルス発生器PGを備えている。そして、電子ギター1は、各弦に対するフレットあるいはピッキングが行われた場合に、フレットスキャン部FS及びピッチ抽出回路PCによって、各操作を検出する。
図2は、全体の回路を示すブロック図である。ピッチ抽出回路PCは、各弦の振動を電気信号に変換し、振動波形のゼロクロス点及び振幅の絶対値を取得して、マイコンMCPに出力する。
図3は、フレットの押弦状態を検出するためのフレット検出回路FDCを示す図である。フレット検出回路FDCは、フレットスキャン部FSに備えられている。
図3に示すように、フレット検出回路FDCは、フレットの数に対応する22の選択線KI0〜KI21と、弦の数に対応する6の信号線KC0〜KC5とがマトリクス状に配列された構成を有している。
すなわち、フレット検出回路FDCは、所定時間毎に選択線KI0〜KI21を1つずつアクティブな状態に切り替え、信号線KC0〜KC5の状態(ハイレベルまたはローレベル)を読み出して、すべてのフレットについて、いずれの位置が押弦されているかを検出する。
図4に示すように、ピッチ抽出回路PCは、ローパスフィルタLPFと、増幅回路AMCと、ゼロクロス点取込回路ZCRと、絶対値取込回路ABSとを備えている。なお、ローパスフィルタLPF、増幅回路AMC、ゼロクロス点取込回路ZCR及び絶対値取込回路ABSは、後述するローパスフィルタ処理部LAを構成している。
ローパスフィルタLPFには、ピッキングが行われることにより各弦において発生する波形の信号がヘキサピックアップから入力され、ローパスフィルタLPFは、入力された信号の高周波成分をカットし、低周波成分のみを通過させる。
増幅回路AMCは、ローパスフィルタLPFの出力信号を設定されたゲインに応じて増幅し、ゼロクロス点取込回路ZCR及び絶対値取込回路ABSに出力する。
絶対値取込回路ABSは、入力された波形の信号の正負両側におけるピーク値をそれぞれ検出し、ピーク値の絶対値及び符号をマイコンMCPに入力する。
割込制御回路ICは、ゼロクロス点取込回路ZCRの非反転出力及び反転出力が入力され、これらの立ち上がりエッジで割り込み信号を発生させる。すなわち、割込制御回路ICは、ピッキングによって各弦に発生した波形の信号がゼロクロスするタイミングで、割り込み信号を発生させる。割込制御回路ICは、発生した割り込み信号をタイマーTMRに出力する。
アナログ−デジタル変換回路A/Dは、絶対値取込回路ABSから入力されたピーク値の絶対値をデジタル信号に変換し、メモリMEMに出力する。なお、アナログ−デジタル変換回路A/Dは、ピーク値の絶対値とともに入力される符号をデジタル化されたピーク値と併せてメモリMEMに出力する。
また、メモリMEMは、各弦のフレットと周波数との関係を示すフレット−周波数データテーブル(不図示)を記憶している。
また、メモリMEMは、ピッチ抽出によって取得された周波数を音程データ(キーコード)に変換するための音程データ変換テーブル(不図示)を記憶している。
音程データ変換テーブルでは、ピッチ抽出によって得られた周波数が、cent比例した音程データ(キーコード)と対応付けて記憶されている。
本発明におけるピッチ抽出回路PCでは、22個のフレットが1つ若しくは複数のグループ(フレット群)に分けられており、各グループに対応して、異なるカットオフ周波数を有するローパスフィルタが設置されている。さらに、これらグループ毎のローパスフィルタが、6本の弦それぞれについて、各弦に対応するカットオフ周波数に設定されて設置されている。本実施形態では、第1〜第22フレットまでの22個のフレットFB1〜FB22を、フレットFB1〜FB6までの第1フレット群FG1、フレットFB7〜F14までの第2フレット群FG2、フレットFB15〜FB22までの第3フレット群FG3に分類している。なお、第1フレット群FG1には開放弦の場合を含むものとする。
また、ピッチ抽出回路PCでは、弾弦された弦STG1〜STG6のピッチ抽出を行う際、隣接する弦からのクロストークを低減する処理が行われる。具体的には、各弦において、第1〜第3フレット群FG1〜FG3毎に、隣接する弦に対するクロストークを低減する際に用いるクロストーク係数が設定されている。なお、クロストーク係数は、弦番号が1つ大きい弦に対して用いられるものと、弦番号が1つ小さい弦に対して用いられるものとが個別に設定されている。クロストークを低減する処理では、いずれのクロストーク係数を用いるかが、マイコンMCPによって選択される。
図5は、本実施例に係るピッチ抽出回路PCの具体的な構成を示すブロック図である。
図5に示すように、ピッチ抽出回路PCは、クロストーク低減部CTRと、ローパスフィルタ処理部LAと、セレクタSELとを備えている。なお、図5に示すピッチ抽出回路PCは、1つの弦についての構成を示しており、実際のピッチ抽出回路PCには、図5に示す構成が弦STG1〜弦STG6に対応して6組、並列的に実装される。
下側係数選択部110は、弾弦された弦(弦番号n)よりも1つ弦番号が小さい弦(弦番号n−1)について、第1〜第3フレット群FG1〜FG3に対応するクロストーク係数をそれぞれ記憶する係数記憶部111〜113を備えている。係数記憶部111には、弦番号n−1の弦について、第1フレット群に対応するクロストーク係数が記憶されている。同様に、係数記憶部112には、第2フレット群に対応するクロストーク係数が記憶され、係数記憶部113には、第3フレット群FG3に対応するクロストーク係数が記憶されている。下側係数選択部110は、マイコンMCPからの指示(弦番号n−1の弦の操作フレット群を指定する指示)に応じて、これら係数記憶部111〜113のいずれかを選択し、選択されたクロストーク係数を乗算部120に出力する。
加算部150は、弦番号nの弦についてピックアップから入力される信号と、乗算部120から入力される乗算結果と、乗算部140から入力される乗算結果とを加算し、加算結果をローパスフィルタ処理部LAに出力する。これにより、ローパスフィルタ処理部LAには、弦番号nの弦の信号として、弦番号n−1の弦及び弦番号n+1の弦からのクロストークがキャンセルされた状態の信号が出力される。
ローパスフィルタ処理部210において、ローパスフィルタLPFは、第1フレット群FG1に対応するカットオフ周波数に設定されている。そして、ローパスフィルタLPFは、加算部150から入力された加算結果の信号におけるカットオフ周波数以上の高周波成分をカットし、低周波成分の信号を通過させる。ローパスフィルタLPFの出力は、増幅回路AMCに出力される。
ゼロクロス点取込回路ZCRは、比較器を含み、入力された波形の信号のゼロクロス点を検出する。そして、ゼロクロス点取込回路ZCRは、入力された波形の信号のレベルがゼロクロス点より正側の場合にハイレベル信号、負側の場合にローレベル信号を出力する。
絶対値取込回路ABSは、入力された波形の信号の正負両側におけるピーク値をそれぞれ検出し、ピーク値の絶対値及び符号をマイコンMCPに入力する。
すなわち、ローパスフィルタ処理部220のローパスフィルタLPFは、第2フレット群FG2に対応するカットオフ周波数に設定されている。そして、ローパスフィルタLPFは、加算部150から入力された加算結果の信号におけるカットオフ周波数以上の高周波成分をカットし、低周波成分の信号を通過させる。ローパスフィルタLPFの出力は、増幅回路AMCに出力される。
セレクタSELは、マイコンMCPからの指示(弦番号nの弦の操作フレット群を指定する指示)に応じて、ローパスフィルタ処理部210,220,230の出力(ゼロクロス点、ピーク値の絶対値及び符号)のいずれかを選択し、選択した出力をマイコンMCPに出力する。
図6は、ローパスフィルタ処理部LAにおけるローパスフィルタLPF、増幅回路AMC及びゼロクロス点取込回路ZCRの構成例を示す回路図である。なお、図6においては、ローパスフィルタ処理部LAを構成する回路のうち、主要な部分のみを示している。
図6において、ローパスフィルタLPFは、コンデンサC1,C2,C5と、抵抗R1と、オペアンプOP1とを含む多重帰還形のローパスフィルタとして構成される。また、増幅回路AMCは、コンデンサC3,C4と、抵抗R2と、オペアンプOP2とを含む負帰還型の増幅回路として構成される。さらに、ゼロクロス点取込回路ZCRは、比較器CMPによって構成される。
増幅回路AMCは、オペアンプOP2に設定されているゲインに応じて、ローパスフィルタLPFの出力信号を増幅する。
ゼロクロス点取込回路ZCRは、増幅回路AMCの出力信号をゼロレベルの信号と比較し、ゼロレベルの信号よりも増幅回路AMCの出力信号が大きい場合にハイレベル信号を出力し、ゼロレベルの信号よりも増幅回路AMCの出力信号が小さい場合にローレベル信号を出力する。
なお、ローパスフィルタ処理部LAとして、各弦について、第1〜第3フレット群FG1〜FG3に対応するカットオフ周波数を有する3組が設置され、弦STG1〜STG6それぞれについて、このような3組のローパスフィルタ処理部LAが設置されている。
図6においては、これら18組のローパスフィルタ処理部LAの1つのみを示し、他のローパスフィルタ処理部LAについては、図示を省略している。
図7は、第1〜第3フレット群FG1〜FG3におけるカットオフ周波数を決定するための図6の回路素子のパラメータ及びフィルタ係数を示す図であり、図7(a)は第1フレット群FG1の場合、図7(b)は第2フレット群FG2の場合、図7(c)は第3フレット群FG3の場合を示している。
例えば、図7(a)において、弦番号1の弦については、抵抗R1がr11[Ω]、コンデンサC1がX11[μF]、コンデンサC2がX21[μF]、コンデンサC3がX31[μF]、コンデンサC4がX41[μF]、コンデンサC5がX51[μF]に設定されており、その結果、フィルタ係数がFK1となっている。
また、図7(b)において、弦番号1の弦については、抵抗R1がr21[Ω]、コンデンサC1がY11[μF]、コンデンサC2がY21[μF]、コンデンサC3がY31[μF]、コンデンサC4がY41[μF]、コンデンサC5がY51[μF]に設定されており、その結果、フィルタ係数がFK7となっている。
さらに、図7(c)において、弦番号1の弦については、抵抗R1がr31[Ω]、コンデンサC1がZ11[μF]、コンデンサC2がZ21[μF]、コンデンサC3がZ31[μF]、コンデンサC4がZ41[μF]、コンデンサC5がZ51[μF]に設定されており、その結果、フィルタ係数がFK13となっている。
このように、図6に示す回路において、回路素子のパラメータを種々異ならせることで、ローパスフィルタLPFのフィルタ係数を変化させることができ、それにより、目的とするカットオフ周波数を実現することができる。
図8に示すように、本実施形態においては、弦が弾弦された場合に、その弦が隣接する弦に与えるクロストークの影響を低減するためのクロストーク係数が、弦番号の大きい側及び小さい側の弦それぞれに対応して設定されている。さらに、本実施形態においては、このような両隣の弦に対するクロストーク係数が、第1〜第3フレット群FG1〜FG3に対応して設定されている。
また、図8(a)において弦番号3の弦については、弦番号n−1、すなわち、弦番号3の弦に対するクロストーク係数がP13、弦番号n+1、すなわち、弦番号3の弦に対するクロストーク係数がQ13に設定されている。
また、図8(b)において弦番号3の弦については、弦番号n−1、すなわち、弦番号3の弦に対するクロストーク係数がP23、弦番号n+1、すなわち、弦番号3の弦に対するクロストーク係数がQ23に設定されている。
さらに、図8(c)において弦番号2の弦については、弦番号n−1、すなわち、弦番号1の弦に対するクロストーク係数がP32、弦番号n+1、すなわち、弦番号3の弦に対するクロストーク係数がQ32に設定されている。
なお、図8において、弦番号1の弦について弦番号n−1の弦、及び、弦番号6の弦について弦番号n+1の弦は存在しないため、クロストーク係数は0に設定されている。
このように、クロストーク係数を第1〜第3フレット群FG1〜FG3に対応して設定することで、より適切にクロストークを低減することができる。そのため、ピッチ抽出をより正確に行うことが可能となる。
図9は、Fメジャーコードの押弦が行われた場合を示す模式図である。
図9に示すように、Fメジャーコードの押弦が行われると、弦番号1及び弦番号2の弦は第1フレット、弦番号3の弦は第2フレット、弦番号4及び弦番号5の弦は第3フレット、弦番号6の弦は第1フレットが操作される。
そのため、弦番号1の弦の振動の位相を反転させた上で、クロストーク係数が乗算され、弦番号nの弦の信号に加算される。このとき用いられるクロストーク係数は、弦番号2の操作フレット群が第3フレット群FG3であることから、図8(c)における弦番号1の弦のクロストーク係数Q31が用いられる。
これにより、弦番号2の弦の信号において、弦番号1の弦の振動及び弦番号3の弦の振動によるクロストークが低減される。
さらに、このようにフィルタ処理が行われた後の信号に対して、ゼロクロス点の検出やピーク値の検出等が行われ、マイコンMCPによるピッチ抽出処理が行われる。
図10は、A#メジャーコードの押弦が行われた場合を示す模式図である。
図10に示すように、A#メジャーコードの押弦が行われると、弦番号1及び弦番号2の弦は第6フレット、弦番号3の弦は第7フレット、弦番号4及び弦番号5の弦は第8フレット、弦番号6の弦は第6フレットが操作される。
そのため、弦番号1の弦の振動の位相を反転させた上で、クロストーク係数が乗算され、弦番号nの弦の信号に加算される。このとき用いられるクロストーク係数は、弦番号2の操作フレット群が第3フレット群FG3であることから、図8(c)における弦番号1の弦のクロストーク係数Q31が用いられる。
これにより、弦番号2の弦の信号において、弦番号1の弦の振動及び弦番号3の弦の振動によるクロストークが低減される。
さらに、このようにフィルタ処理が行われた後の信号に対して、ゼロクロス点の検出やピーク値の検出等が行われ、マイコンMCPによるピッチ抽出処理が行われる。
図11は、マイコンMCPが楽音を発生する際の処理の概要を示す模式図である。
図11において、ピッチ抽出回路PCに図11(c)に示す波形の信号が入力されたとすると、これに対するゼロクロス点取込回路ZCRの非反転出力は、図11(a)に示す波形となり、反転出力は、図11(b)に示す波形となる。
ここで、ピッチ抽出処理が行われる場合、弾弦された弦の操作フレット群に対応するカットオフ周波数で弦の振動に対してローパスフィルタ処理が施される。また、このとき、弾弦された隣接する弦からのクロストークが、各弦における操作フレット群に対応するクロストーク係数で低減される。
初めに、図面の符号について説明する。
AD・・・図2の瞬時値読込み信号RDA13〜18によりピッチ抽出回路PCの入力波形を直接読んだ入力波高値(瞬時値)
T・・・周期データ
THLAB・・・STEP0,STEP1におけるノイズ除去用しきい値
TH0・・・STEP0における波高値判定用しきい値
TH1・・・STEP1における波高値判定用しきい値
VEL・・・速度(ベロシティー)を定める情報で、発音開始時の波形の最大ピーク値(波高値)にて定まる。
VEL0・・・STEP0におけるノイズ除去後の波高値(=a0)
VEL1・・・STEP1におけるノイズ除去後の波高値(=b0)
VEL2・・・STEP2における波高値(=a1)
c・・・ワーキングレジスタCに記憶されている今回波高値(ピーク値)
e・・・ワーキングレジスタEに記憶されている前々回波高値(ピーク値)
h・・・ワーキングレジスタHに記憶されている前々回抽出された周期データ
t・・・ワーキングレジスタTrに記憶されている今回のゼロクロス時刻
F1において、マイコンMCPは、選択線KI0〜KI21のうち1つ(例えば選択線KI0)を選択し、アクティブな状態とする。
続くF2において、マイコンMCPは、信号線KC0〜KC5の信号レベルを読み出す。このとき、押弦されている弦に対応する信号線では、信号レベルがハイレベルとなり、押弦されていない弦に対応する信号線では、信号レベルがローレベルとなる。
F4において、マイコンMCPは、音程コードを算出する。このとき、マイコンMCPは、押弦位置の音程コードを算出する。
このような処理を繰り返し、マイコンMCPは、すべてのフレットについて、各弦の押弦状態を検出する。
ピッチ抽出回路PCは、張設された弦の振動を検出する。
複数のローパスフィルタLPFは、指板上の複数のフレットを1つ若しくは複数のグループに分類し、当該分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応したフィルタリング特性を有する。
フレットスキャン部FSは、複数のフレットのいずれが操作されたかを検知する。
マイコンMCPは、ピッチ抽出回路PCにより検知された弦の振動信号を、フレットスキャン部FSにより操作の検出されたフレットが属するグループに対応するローパスフィルタLPFでフィルタリング処理する。
また、マイコンMCPは、よりフィルタリング処理された弦の振動信号に基づいて、発生すべき楽音のピッチを抽出する処理を実行する。
これにより、検出された弦の振動に対し、押下されているフレットの位置に応じたカットオフ周波数でローパスフィルタによるフィルタ処理を行うことができる。
したがって、電子弦楽器におけるピッチ抽出をより正確に行うことが可能となる。
これにより、各弦におけるピッチ抽出を適確に行うことができるため、電子弦楽器におけるピッチ抽出をより正確に行うことが可能となる。
これにより、フレットのグループ毎に、より適切なフィルタリング処理を施すことができる。
複数のクロストーク低減部CTRは、指板上の複数のフレットが1つ若しくは複数のグループに分類され、当該分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応した値を有するクロストーク係数を用いて、隣接する弦におけるクロストークの演算処理を行う。
これにより、ピッチ抽出の対象となる振動波形における隣接する弦からのクロストークを、隣接する弦において押下されているフレットに対応するクロストーク係数で低減できるため、電子弦楽器におけるピッチ抽出をより正確に行うことが可能となる。
これにより、クロストークが発生する要因に応じて適切な係数を用いて、クロストークの低減を行うことができるため、電子弦楽器におけるピッチ抽出をより正確に行うことが可能となる。
また、前記実施例においては、この発明を電子ギター(ギターシンセサイザ)に適用したものであったが、それに限らない。ピッチ抽出を行って、オリジナルの信号とは別の音響信号を発生するタイプの楽器または装置であれば、種々適用可能である。
換言すると、図2及び図4等の構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が電子ギター1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能構成及び回路構成とするかは特に図2及び図4の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
[付記1]
張設された弦の振動を検出する弦振動検出手段と、
指板上の複数のフレットを1つ若しくは複数のグループに分類し、当該分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応したフィルタリング特性を有する複数のフィルタ手段と、
前記複数のフレットのいずれが操作されたかを検知するフレット操作検出手段と、
前記弦振動検出手段により検知された弦の振動信号を、前記フレット操作検出手段により操作の検出されたフレットが属するグループに対応する前記フィルタ手段でフィルタリング処理するフィルタ制御手段と、
前記フィルタ手段よりフィルタリング処理された弦の振動信号に基づいて、発生すべき楽音のピッチを抽出する処理を実行するピッチ抽出手段と、
を有する電子弦楽器。
[付記2]
前記弦は複数張設され、前記フィルタ手段は、前記弦それぞれに対して、前記各グループ毎に設けられている付記1に記載の電子弦楽器。
[付記3]
前記フィルタ手段は、前記各グループに対応して設定されたカットオフ周波数でフィルタリング処理するローパスフィルタである付記1または2に記載の電子弦楽器。
[付記4]
前記電子弦楽器はさらに、
指板上の複数のフレットが1つ若しくは複数のグループに分類され、当該分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応した値を有するクロストーク係数を用いて、隣接する弦におけるクロストークの演算処理を行う複数のクロストーク演算手段、
を有する付記1乃至3のいずれかに記載の電子弦楽器。
[付記5]
前記クロストーク演算手段は、隣接する弦のうち、弦番号が大きい側と、弦番号が小さい側とに対する前記クロストーク係数を個別に有している付記4に記載の電子弦楽器。
[付記6]
張設された弦の振動を検出する弦振動検出手段と、指板上の複数のフレットを1つ若しくは複数のグループに分類し、当該分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応したフィルタリング特性を有する複数のフィルタ手段と、を有する電子弦楽器に用いられる楽音制御方法であって、前記電子弦楽器が、
前記複数のフレットのいずれが操作されたかを検知し、
前記検知された弦の振動信号を、前記操作の検出されたフレットが属するグループに対応する前記フィルタ手段にフィルタリング処理させ、
前記フィルタリング処理された弦の振動信号に基づいて、発生すべき楽音のピッチを抽出する処理を実行する、楽音制御方法。
[付記7]
張設された弦の振動を検出する弦振動検出手段と、指板上の複数のフレットを1つ若しくは複数のグループに分類し、当該分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応したフィルタリング特性を有する複数のフィルタ手段と、を有する電子弦楽器として用いられるコンピュータに、
前記複数のフレットのいずれが操作されたかを検知するステップと、
前記弦振動検出手段により検知された弦の振動信号を、前記操作の検出されたフレットが属するグループに対応する前記フィルタ手段にフィルタリング処理させるステップと、
前記フィルタリング処理された弦の振動信号に基づいて、発生すべき楽音のピッチを抽出するステップと、
を実行させるプログラム。
Claims (7)
- 張設された弦の振動を検出する弦振動検出手段と、
指板上の複数のフレットを複数のグループに分類し、当該分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応したフィルタリング特性を有するフィルタ手段と、
前記複数のフレットのいずれが操作されたかを検知するフレット操作検出手段と、
前記振動が検出された弦及び前記操作が検出されたフレットに応じて決定されるクロストーク係数に基づいて、前記弦に隣接する弦へのクロストークの演算処理を行うクロストーク演算手段と、
前記弦振動検出手段により検知された弦の振動信号に前記クロストークの演算処理により前記演算処理された信号を、前記フレット操作検出手段により操作の検出されたフレットが属するグループに対応する前記フィルタ手段でフィルタリング処理するフィルタ制御手段と、
前記フィルタ手段よりフィルタリング処理された弦の振動信号に基づいて、発生すべき楽音のピッチを抽出する処理を実行するピッチ抽出手段と、
を有する電子弦楽器。 - 前記弦は複数張設され、前記フィルタ手段は、前記弦それぞれに対して、前記各グループ毎に設けられている請求項1に記載の電子弦楽器。
- 前記フィルタ手段は、前記各グループに対応して設定されたカットオフ周波数でフィルタリング処理するローパスフィルタである請求項1または2に記載の電子弦楽器。
- 前記クロストーク演算手段は、前記分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応した値を有する前記クロストーク係数を用いて、隣接する弦におけるクロストークの演算処理を行う、請求項1乃至3のいずれかに記載の電子弦楽器。
- 前記クロストーク演算手段は、隣接する弦のうち、弦番号が大きい側と、弦番号が小さい側とに対する前記クロストーク係数を個別に有している請求項1乃至4のいずれかに記載の電子弦楽器。
- 張設された弦の振動を検出する弦振動検出手段と、指板上の複数のフレットを複数のグループに分類し、当該分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応したフィルタリング特性を有するフィルタ手段と、を有する電子弦楽器に用いられる楽音制御方法であって、前記電子弦楽器が、
前記複数のフレットのいずれが操作されたかを検知し、
前記振動が検出された弦及び前記操作が検出されたフレットに応じて決定されるクロストーク係数に基づいて、前記弦に隣接する弦へのクロストークの演算処理を行い、
前記検知された弦の振動信号に前記演算処理された信号を、前記操作の検出されたフレットが属するグループに対応する前記フィルタ手段にフィルタリング処理させ、
前記フィルタリング処理された弦の振動信号に基づいて、発生すべき楽音のピッチを抽出する処理を実行する、楽音制御方法。 - 張設された弦の振動を検出する弦振動検出手段と、指板上の複数のフレットを複数のグループに分類し、当該分類されたグループ毎に設けられるとともに、各グループそれぞれに対応したフィルタリング特性を有する複数のフィルタ手段と、を有する電子弦楽器として用いられるコンピュータに、
前記複数のフレットのいずれが操作されたかを検知するステップと、
前記振動が検出された弦及び前記操作が検出されたフレットに応じて決定されるクロストーク係数に基づいて、前記弦に隣接する弦へのクロストークの演算処理を行うクロストーク演算ステップと、
前記弦振動検出手段により検知された弦の振動信号に前記クロストークの演算処理により前記演算処理された信号を、前記操作の検出されたフレットが属するグループに対応する前記フィルタ手段にフィルタリング処理させるステップと、
前記フィルタリング処理された弦の振動信号に基づいて、発生すべき楽音のピッチを抽出するステップと、
を実行させるプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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