JP2001265400A - ピッチ変換装置及びピッチ変換方法 - Google Patents

ピッチ変換装置及びピッチ変換方法

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JP2001265400A
JP2001265400A JP2000074857A JP2000074857A JP2001265400A JP 2001265400 A JP2001265400 A JP 2001265400A JP 2000074857 A JP2000074857 A JP 2000074857A JP 2000074857 A JP2000074857 A JP 2000074857A JP 2001265400 A JP2001265400 A JP 2001265400A
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signal
period
pitch
waveform
value
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JP2000074857A
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Goro Sakata
吾朗 坂田
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Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 声のピッチを、そのスペクトル分布における
フォルマントや倍音構造を維持しつつ変換させる。 【解決手段】 読み出し波形31a、31b、31c、
31dは、いずれも、音声信号から抽出された、該音声
信号の1周期ωに含まれる信号の波形である。この読み
出し波形31a、31b、31c、31dを、所定の時
間間隔ωoutで時間軸上に並べて合成する。この時間
間隔ωoutをωから変化させることによって音声信号
のピッチを変換させた合成信号を得ることができる。し
かも、元の音声信号が声である場合におけるその声のス
ペクトル分布におけるフォルマントや倍音構造は、合成
信号において維持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音声信号を変換す
る技術に関し、特に、音声信号における音のピッチ(音
高)を変換する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】音声信号における音のピッチを変換する
装置として、電子楽器の演奏等の場で用いられるピッチ
シフタやピッチトランスポーザなどのエフェクタが知ら
れている。これらの装置では、音の波形データを一旦バ
ッファメモリに書き込み、その後にそのバッファメモリ
から波形データを読み出す構成を備え、このときの書き
込みの速度と読み出しの速度とを異ならせることによっ
て音のピッチ変換を実現しているものが多い。また、こ
の速度の違いに起因する読み出された波形データの不連
続性による異音の発生を防止するため、読み出しのため
のアドレスにオフセットを持たせて複数の波形データの
読み出しを行ない、読み出された波形データにクロスフ
ェード処理を施して加算する技術もしばしば実施されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】人間の声を上述したエ
フェクタでピッチ変換を行なわせると、磁気テープに記
録した音声信号を速度を変化させて再生したかのような
音声になってしまい、人間の発声のように、声のスペク
トル分布におけるフォルマントや倍音構造を個々に維持
しつつそのピッチを変換させることができなかった。
【0004】上述した問題を鑑み、声のピッチを、その
スペクトル分布におけるフォルマントや倍音構造を維持
しつつ変換させることが本発明が解決しようとする課題
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るピッチ変換
装置は、音声信号から、該音声信号のピッチに関係する
長さの期間に含まれる該音声信号である期間信号を抽出
する期間信号抽出手段と、前記期間信号を、所定の時間
間隔で時間軸上に複数並べて合成することによって合成
信号を得る信号合成手段とを有するように構成すること
によって前述した課題を解決する。
【0006】この本発明の原理構成によれば、時間軸上
に並べる期間信号の時間間隔を変化させることによって
音声信号のピッチを変換させた合成信号を得ることがで
きる。しかも、この合成信号は期間信号を単に時間軸上
に複数並べて合成したものに過ぎないのであるから、元
の音声信号が声である場合におけるその声のスペクトル
分布におけるフォルマントや倍音構造は、合成信号にお
いてかなり維持される。
【0007】なお、音声信号のピッチを取得するために
は、例えば、前述した原理構成において、前記音声信号
の信号波形の波高よりも値が小さいときには該波高値が
該値として設定され、時間の経過に応じて一定の割合で
該値が減少する第一のカウンタと、前記音声信号の信号
波形の波高よりも値が大きいときには該波高値が該値と
して設定され、時間の経過に応じて一定の割合で該値が
増加する第二のカウンタと、前記第一のカウンタに前記
波高値が設定されたときに第一の状態から第二状態へ遷
移する第一の遷移を生じ、前記第二のカウンタに前記波
高値が設定されたときに該第二の状態から該第一の状態
へ遷移する第二の遷移を生じるフラグと、前記フラグの
変化に基づいて前記音声信号のピッチを取得するピッチ
取得手段と、を有することによって可能となる。
【0008】このとき、前記ピッチ取得手段は、例え
ば、前記フラグにおける前記第一の遷移の直後に最初に
発生する前記音声信号の信号波形のゼロクロスの発生間
隔に基づいて前記ピッチを得るようにする。ここで、信
号波形のゼロクロスとは、信号波形の符号が反転するこ
とをいう。
【0009】また、前述した原理構成において、前記期
間が、前記音声信号の信号波形の周期の整数倍の期間で
あると、元の音声信号の声のスペクトル分布におけるフ
ォルマントや倍音構造が合成信号で維持される程度が向
上する。このようにするためには、例えば、前記期間
が、前記音声信号の信号波形が最小値を示すときを基準
にして設定されるようにすればよい。あるいは、前述し
た例においては、前記期間が、前記第二のカウンタの値
と前記音声信号の信号波形の波高値とが一致していた状
態から不一致の状態へと変化したときを基準にして設定
されるようにすればよい。
【0010】また、前述した原理構成において、前記所
定の時間間隔は、所望する変換後のピッチに応じて設定
されるようにすると、音声信号を所望のピッチの合成信
号に変換させることができる。
【0011】また、前述した原理構成において、前記期
間の開始のときにおける前記期間信号の信号波形の波高
値と該期間の終了のときにおける前記期間信号の信号波
形の波高値とを一致させるオフセットを該期間信号に与
えるオフセット手段を更に有するように構成してもよ
く、この構成により、元の音声信号の声のスペクトル分
布におけるフォルマントや倍音構造が合成信号で維持さ
れる程度が向上する。
【0012】ここで、特に、前記音声信号の信号波形が
最小値を示すときを基準にして設定されるのであれば、
期間信号の両端が音声信号の信号波形において変化の少
ない部分となるので、合成信号に混じる異音の発生を軽
減させることができる。また、前記オフセット手段は、
前記期間の開始のときにおける前記期間信号の信号波形
の波高値と該期間の終了のときにおける前記期間信号の
信号波形の波高値とを共に0にするオフセットを該期間
信号に与えるようにしても、合成信号に混じる異音の発
生を軽減させることかできる。更に、前記オフセットを
与えた前記期間信号に重畳されている直流信号成分を除
去する直流信号成分除去手段を更に有するようにすれ
ば、合成信号における直流信号成分に起因する異音を低
減させることができる。
【0013】また、前述した原理構成において、前記音
声信号から子音の発声音を示す該音声信号の検出を行な
う子音発声音検出手段と、前記検出の結果に応じて、前
記音声信号と前記合成信号とのいずれかを選択する選択
手段とを有するように構成してもよい。ここで、子音発
声音検出手段は、例えば、高域通過フィルタを通過させ
た前記音声信号の大きさについての大小判定の結果を前
記検出の結果とすればよい。子音の発声音は、音声のピ
ッチの特定には寄与しない事が知られているので、この
構成により、子音の発声音については元の音声信号をそ
のまま出力するので、元の音声信号に対する合成信号の
忠実度を向上させることができる。
【0014】また、前述した原理構成において、前記期
間信号に時間窓を掛ける窓掛け手段を更に有するように
してもよく、この構成によっても、元の音声信号の声の
スペクトル分布におけるフォルマントや倍音構造が合成
信号で維持される程度が向上する。ここで、前記時間窓
の形状が、前記音声信号の信号波形の周期以上の期間に
及ぶ平坦な区間を有するようにしたり、特に、前記平坦
な区間が、前記音声信号の信号波形の周期の整数倍の期
間であるようにすると更に効果的である。
【0015】また、前述した原理構成において、前記音
声信号が予め記憶されている記憶手段と、前記記憶手段
から前記音声信号を読み出す読み出し手段とを更に有す
るようにして、期間信号抽出手段が、前記記憶手段から
前記音声信号について期間信号を抽出するようにしても
前述した原理構成と同様の作用・効果が得られる。
【0016】また、本発明に係るピッチ変換方法は、音
声信号から、該音声信号のピッチに関係する長さの期間
に含まれる該音声信号である期間信号を抽出し、前記期
間信号を、所定の時間間隔で時間軸上に複数並べて合成
することにより、前述した本発明に係るピッチ変換装置
と同様の作用・効果が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は本発明を実施するピッチ変
換装置の第一の実施例の全体構成を示す図である。この
ピッチ変換装置(以下、「本装置」という)の第一の実
施例では、ピッチ抽出部11、スタートアドレスレジス
タ12、エンドアドレスレジスタ13、スタートデータ
レジスタ14、エンドデータレジスタ15、波形メモリ
16、タイミングジェネレータ17、波形読み出し部1
8a〜18d、オフセット補正部19a〜19d、加算
器20、HPF21、HPF22、子音制御部23、ミ
キサ24を備えて構成されている。
【0018】本装置には人間の声である音声信号をアナ
ログ・デジタル変換したデータ(入力波形データ)が入
力され、本装置の使用者によって設定されるピッチ変換
の程度を示すデータ(出力ピッチ設定データ)に従って
入力波形データが処理される。その処理の結果として得
られるデータ(出力波形データ)は、その後デジタル・
アナログ変換されてアナログ音声信号とされ、不図示の
増幅器によって電力増幅された後に不図示のスピーカか
ら放音される。
【0019】以下、図1に示す本装置の動作について説
明する。ピッチ抽出部11では、入力波形データからそ
の波形のピッチを取得し、更にその入力波形データから
その入力波形データの周期の整数倍の波形データを切り
出すための切り出しのタイミングを抽出する処理が行な
われる。なお、本実施の形態では、入力波形データの1
周期分の波形データを切り出すタイミングの抽出処理が
行なわれる。
【0020】図2は、ピッチ抽出部11において行なわ
れる処理を説明する図である。同図において、変数hi
_cは、時間の経過に応じて一定の割合で減少するカウ
ンタの値であり、その値が入力波形データの値(波高
値)よりも小さくなる時刻ではその値を入力波形データ
の値に一致させるように変化させる。
【0021】一方、変数lo_cは、時間の経過に応じ
て一定の割合で増加するカウンタの値であり、その値が
入力波形データの値(波高値)よりも大きくなる時刻で
はその値を入力波形データの値に一致させるように変化
させる。
【0022】フラグflagは、変数hi_cの値と入
力波形データの値とがそれまで不一致であったときから
一致へと変化させたときにその論理をL(ローレベル)
からH(ハイレベル)に変化させる。そして、変数lo
_cの値と入力波形データの値とがそれまで不一致であ
ったときから一致へと変化させたときに、その論理をH
からLに変化させる。
【0023】フラグpc_flagは、フラグflag
がLからHに変化したとき、すなわち、変数hi_cの
値と入力波形データの値とがそれまで不一致であったと
きから一致へと変化したときに、その論理をLからHに
変化させる。そして、そのHへの論理の変化が発生した
後であって、入力波形データに正から負への値の変化
(いわゆる、入力波形データの符号の正から負へのゼロ
クロス)が最初に発生したときに、その論理をHからL
に変化させる。ここで、このフラグpc_flagにお
けるHからLへの論理の変化の周期ωが求められる。こ
の周期ωの値は、入力波形データの1周期の波形変化に
要する時間、すなわち入力波形データのピッチを示す値
とみなすことができる。
【0024】フラグphは、フラグflagがHからL
に変化したとき、すなわち、変数lo_cの値と入力波
形データの値とがそれまで不一致であったときから一致
へと変化したときにその論理をLからHに変化させる。
そして、そのHへの論理の変化が発生した後であって、
入力波形のデータの値と変数lo_cの値とか一致であ
ったときから不一致へと変化したときにはその論理をH
からLに変化させる。入力波形データは、このフラグp
hの論理がHからLへ変化した直前のサンプルにおいて
最小値を呈しているとみなすことができる。ピッチ抽出
部11は、この入力波形データの最小値が格納される波
形メモリ16のアドレスをエンドアドレスレジスタ13
に設定する。
【0025】ピッチ抽出部11において実行される、こ
れらの各変数及び各フラグの値を上述したように変化さ
せる制御処理の処理内容を図3にフローチャートで示
す。このフローチャートは、1サンプル分の入力波形デ
ータがピッチ抽出部に入力される度に実行される。な
お、このフローチャートにおいて、各フラグの論理は、
Hを1に対応させ、Lを0に対応させている。
【0026】まず、S101において、変数INの値が
変数hi_cの値よりも大きいか否かが判定され、判定
結果がYesならばS102に、NoならばS105
に、それぞれ進む。ここで、変数INには、ピッチ抽出
部11に入力された入力波形データが格納されている。
【0027】S102では、変数INの値、すなわち、
ピッチ抽出部11に入力された入力波形データが変数h
i_cに代入される。S103では、フラグflagの
論理が0であり、且つ、変数p_cが定数lmよりも大
きいか否かが判定され、判定結果がYesならば、S1
04においてフラグflag及びフラグpc_flag
の論理が1にされ、その後にS106に進む。一方、S
103の判定処理の結果がNoならばこのままS106
に進む。
【0028】ここで、変数p_cは、入力波形のピッチ
を求める目的でフラグphの変化の周期を取得するため
のカウンタであり、後述する処理ステップの作用によっ
て同図に示すフローチャートを1回実行する度にその値
が1ずつ増加する。また、定数lmは、入力波形のピッ
チの上限値に対応する閾値である。つまり、S103の
判定処理は、例えフラグflagが0であったとして
も、定数lmによって示されるものよりも高いピッチは
入力波形のピッチとしては異常であるとみなして無視
し、S104の処理を実行しないようにも作用する。
【0029】S105では変数hi_cから定数aの値
を減じた計算の結果が改めて変数hi_cに代入され
る。ここで、定数aは、入力波形データのサンプリング
間隔当たりでの、変数hi_cの値を減少させる割合を
示している。
【0030】S106では、変数INの値が変数lo_
cの値よりも小さいか否かが判定され、判定結果がYe
sならばS107に、NoならばS110に、それぞれ
進む。
【0031】S107では、変数INの値、すなわち、
ピッチ抽出部11に入力された入力波形データが変数l
o_cに代入される。S108では、フラグflagの
論理が1であり、且つ、変数p_cが定数lmよりも大
きいか否かが判定され、判定結果がYesならば、S1
09においてフラグflagの論理が0に、更にフラグ
phの論理が1にされ、その後にS112に進む。一
方、S108の判定処理の結果がNoならばこのままS
112に進む。つまり、このS108の判定処理は、例
えフラグflagが1であったとしても、定数lmによ
って示されるものよりも高いピッチは入力波形のピッチ
としては異常とみなして無視し、S109の処理を実行
しないようにも作用する。
【0032】なお、ここで、S103とS108とで用
いられている定数lmの値を異なる値に設定するように
してもよい。S110では変数lo_cから定数aの値
を加えた計算の結果が改めて変数lo_cに代入され
る。このステップにおいては、定数aは、入力波形デー
タのサンプリング間隔当たりでの、変数lo_cの値を
増加させる割合を示している。なお、S105とS11
0とで用いられている定数aの値を異なる値に設定する
ようにしてもよい。
【0033】S111では、フラグphの論理が0にさ
れる。S112では、変数INの値が負であり、且つ、
フラグpc_flagの論理が1であり、且つ、フラグ
flagの論理が1であるか否かが判定され、判定結果
がYesならばS113に、NoならばS114に、そ
れぞれ進む。この判定処理は、変数hi_cの値と入力
波形データの値とがそれまで不一致であったときから一
致へと変化した後における、入力波形データの正から負
へのゼロクロスの最初の発生を検出するものである。
【0034】S113では、変数p_cの値が変数pi
tchに代入される。この値が、入力波形データのピッ
チを示す値となる。また、この後に、変数p_cに0が
代入され、更にフラグpc_flagの論理が0にされ
る。この後に図3に示す処理が終了する。
【0035】S114では、変数p_cの値を1だけ増
加させ、その後に図3に示す処理が終了する。図3に示
した処理は以上の通りであり、ピッチ抽出部11がこの
処理を実行することによって図2に示した各フラグの論
理が制御されている。
【0036】図1の動作説明に戻る。入力波形データ
は、ピッチ抽出部11の他に、波形メモリ16にも与え
られている。波形メモリ16は、ランダム・アクセス・
メモリ(RAM)を備えて構成され、入力波形データが
1サンプルずつ順に格納される。ここで、ピッチ抽出部
11は、フラグphがHからLに変化する毎に、その変
化の直前のサンプルの入力波形データが格納された波形
メモリ16のアドレス値を取得し、そのアドレス値をエ
ンドアドレスレジスタ13に設定する。
【0037】エンドアドレスレジスタ13は、ピッチ抽
出部11によって新たなアドレス値が設定されるとき
に、それまで設定されていたアドレス値をスタートアド
レスレジスタ12に設定する。
【0038】次に波形読み出し部18a〜18dについ
て説明する。これらはいずれも同一の機能を有してお
り、波形メモリ16に格納されている入力波形データの
うち、スタートアドレスレジスタ12及びエンドアドレ
スレジスタ13にそれぞれ設定されているアドレス値の
間のメモリ領域に格納されている、入力波形の1周期分
の波形データを、タイミングジェネレータ17から入力
される読み出しタイミング信号に従ったタイミングで読
み出す。ここで注目すべきことは、波形メモリ16への
入力波形データの格納間隔(書き込みのレート)と波形
読み出し部18a〜18dの各々による波形メモリ16
からのデータ読み出し間隔(読み出しのレート)とは一
致していることである。
【0039】ここで、本発明におけるピッチ変換の原理
について、図4を参照しながら説明する。同図に示す合
成波形データは、後述するオフセット補正部19a〜1
9dによる補正が施され、加算器20により加算された
ものである。なお、ここでは、理解を容易にするため、
図4の説明においては、図1に示す波形読み出し部18
c及び18dは考えないこととする。
【0040】まず、図4(A)に示す合成波形の例につ
いて説明する。読み出し波形31a、31bは、それぞ
れ波形読み出し部18a、18bによって波形メモリ1
6から読み出された、周期がωである入力波形データの
1周期分の波形である。つまり、この読み出し波形31
a、31bは、その読み出しの時間を波形読み出し部1
8aと波形読み出し部18bとの間でωoutだけずら
して読み出して加算合成したものが同図(A)に示され
ている波形である。ここで、読み出し波形31a、31
bはどちらも入力波形データの1周期分の波形を、時間
軸の圧縮や伸張がなされずにそのまま有しているのであ
るから、この合成波形データの示す声のフォルマントや
倍音構造は元の入力波形データのものをほぼそのまま維
持している。そして、読み出し波形31aと読み出し波
形31bとはその時間軸上の位置がωoutだけずらし
て並べられているのであるから、同図(A)に示す合成
波形データの示す声は、元の入力波形データの示す声の
ピッチに対してω/ωoutだけピッチが変化した
((A)の例においてはωout/ωだけピッチを下げ
た)ものとなる。
【0041】次に、図4(B)に示す合成波形の例につ
いて説明する。同図(B)に示されている波形における
読み出し波形31c、31dは、周期がωである入力波
形データの1周期分の同一の波形データであり、その読
み出しの時間を波形読み出し部18aと波形読み出し部
18bとの間でωoutだけずらして読み出して加算合
成したものである。従って、同図(B)の合成波形デー
タの示す声は、そのフォルマントや倍音構造については
元の入力波形データのものをほぼそのまま維持してお
り、そして、元の入力波形データの示す声のピッチに対
してω/ωoutだけピッチが変化した((B)の例に
おいてはω/ωoutだけピッチを上げた)ものとな
る。
【0042】本発明では、この原理を用いてピッチ変換
を行なう。図1の説明に戻る。タイミングジェネレータ
17は、本装置の使用者によって設定される出力ピッチ
設定データに基づいて、波形メモリ16からの入力波形
データの1周期分の波形データの読み出しの開始のタイ
ミングを決定し、そのタイミングに応じた読み出しアド
レス値を波形読み出し部18a〜18dの各々に与え
る。ここで、出力ピッチ設定データは本装置の使用者が
所望する変換後のピッチに応じて設定されるデータであ
り、このデータに基づいて前述したωoutの値が設定
される。
【0043】ここで、波形メモリ16から波形データを
読み出すための読み出しアドレスの生成を図5を参照し
ながら説明する。図5において、(A)は、タイミング
ジェネレータ17内に設けられているマスタカウンタに
ついて、時間経過に対するカウント値の変化を示したも
のであり、入力波形データのサンプリング間隔と同一の
間隔でカウント値が1ずつ増加する。また、(B)は、
波形メモリ16からの波形データの読み出し開始を波形
読み出し部18a〜18dの各々に指示するための波形
読み出しスタートトリガである。各トリガの間隔は、本
装置の使用者によって設定される出力ピッチ設定データ
によって決定され、同図に示すようにそれぞれ4×ωou
t に対応する間隔で発生させる。
【0044】波形読み出し部18a〜18dの各々は、
(A)に示されているマスタカウンタのカウント値と、
(B)に4つ示されている、トリガ発生のタイミングが
それぞれωout ずつずらされている波形読み出しスター
トトリガのうちのいずれか1つとを個々に受け取り、同
図(C)に示す波形読み出しオフセットアドレスを生成
する。
【0045】波形読み出しオフセットアドレスの値は、
波形読み出しスタートトリガを受けたときには0であ
り、マスタカウンタと同一の間隔で増加する。そして、
この波形読み出しオフセットアドレスの値が、スタート
アドレスレジスタ12に設定されているアドレス値とエ
ンドアドレスレジスタ13に設定されているアドレス値
との差を計算することによって求まるデータ数であっ
て、波形メモリ16に格納されている入力波形データの
1周期分の波形データの該データ数となった後には、そ
の値は0とされる。その後は波形読み出しスタートトリ
ガを再び受け取るまで値の増加が停止される。
【0046】波形読み出し部18a〜18dは、波形読
み出しスタートトリガを受けたときにスタートアドレス
レジスタ12に設定されているアドレス値に、上述した
ようにして生成される波形読み出しオフセットアドレス
を加算して得られる読み出しアドレスを求める。そし
て、波形メモリ16においてその読み出しアドレスに格
納されている波形データを読み出す。
【0047】図6は、入力波形データの格納位置を設定
するために波形メモリ16に与えられる書き込みアドレ
スの変化、及び波形読み出し部18a〜18dによって
読み出される波形データの格納位置を特定するために波
形メモリ16に与えられる読み出しアドレスの変化の様
子を示す図である。同図において、読み出しアドレス
(a)〜(d)は、それぞれ波形読み出し部18a〜1
8dにおいて生成される。なお、同図において、読み出
しアドレス(a)〜(d)の開始アドレス値が異なるの
は、それぞれが波形読み出しスタートトリガを受けたと
きにおけるスタートアドレスレジスタ12に設定されて
いるアドレス値の違いによるものである。
【0048】なお、ここで、読み出しアドレス(a)〜
(d)のそれぞれによって読み出される波形メモリ16
に格納されている入力波形データの1周期分の波形デー
タは、同一の話者による声の波形データであればそれほ
ど大きな違いを有してはいないので、スタートアドレス
レジスタ12及びエンドアドレスレジスタ13の更新間
隔を長くし、図7に示すように、波形メモリ16に格納
されている入力波形データの1周期分の同一の波形デー
タを波形読み出し部18a〜18dが読み出すようにし
てよい。こうすることでスタートアドレスレジスタ12
及びエンドアドレスレジスタ13の更新処理のための処
理負担を軽減させることができる。
【0049】次に、オフセット補正部19a〜19dの
動作について説明する。前述したように、ピッチ抽出部
11では、入力波形データから1周期分の波形データを
切り出すための切り出しのタイミングを抽出する処理が
実行されている。しかしながら、この抽出処理で得られ
るタイミングはあくまでも近似的なものに過ぎず、1周
期分の波形データの抽出を正確に行なえるほど理想的な
ものではない。また、仮に理想的な抽出の可能な処理を
ピッチ抽出部11で実施したとしても、入力波形データ
として声と共に重畳されてしまうノイズ等の影響を排除
することは極めて困難である。
【0050】このような点を考慮すれば、波形メモリ1
6における、スタートアドレスレジスタ12とエンドア
ドレスレジスタ13とに各々格納されているアドレス値
で示される2つの格納位置の格納データの値(波形の波
高値)は、現実には一致しない場合が殆どである。
【0051】そこで、波形メモリ16から読み出した1
周期分の波形データに補正を加え、その波形データの両
端の値を擬似的に一致させる処理をオフセット補正部1
9a〜19dで行なう。
【0052】図8は、オフセット補正部19a〜19d
の動作を説明する図である。オフセット補正部19a〜
19dはいずれも同様の動作を行なう。同図において、
t(pn)及びt(pn+1)は、それぞれ波形読み出
し部18a〜18dにおいて生成される読み出しアドレ
スの開始値及び終了値であり、ωは、t(pn)とt
(pn+1)との差である。
【0053】x(pn)及びx(pn+1)は、波形メ
モリ16におれる、それぞれt(pn)及びt(pn+
1)のアドレス値で示される格納位置の格納データの値
である。
【0054】x(pn+1)は、エンドデータレジスタ
15に設定されている値であり、この値は、ピッチ抽出
部11によって、エンドアドレスレジスタ13にアドレ
ス値が設定されるときに、波形メモリ16におけるその
アドレス値で示される格納位置に格納される入力波形デ
ータの値が設定される。
【0055】x(pn)は、スタートデータレジスタ1
4に設定されている値であり、この値は、ピッチ抽出部
11によって、エンドアドレスレジスタ13にアドレス
値が設定されるときに、それまでエンドデータレジスタ
15に設定されていた値が設定される。
【0056】なお、スタートデータレジスタ14及びエ
ンドデータレジスタ15に格納される入力波形データの
値は、その符号が反転されて格納される。ここで、オフ
セット補正部19a〜19dは、以下に示す式の計算を
行なう。
【0057】
【数1】
【0058】上式において、変数tは、波形読み出し部
18a〜18dにおいて生成される読み出しアドレスで
ある。更に、オフセット補正部19a〜19dは、上式
を計算することによって得られる値xを、波形メモリ1
6における変数tで示される格納位置に格納される入力
波形データの値に加算して出力する。その結果得られる
波形データは、その両端の値が等しく0であってその両
端の値が最小値のピークである、あたかも直流のオフセ
ットが正の電位の方向にかけられたかのような波形とな
る。この波形を得たことにより、入力波形データである
声のスペクトル分布におけるフォルマントや倍音構造が
出力波形データで維持される程度が向上する。しかも、
この両端の近傍では、波形の変化が少ない(波形の傾き
が0に近い)ので異音の発生も軽減される。オフセット
補正部19a〜19dの各々から出力されるこれらの波
形を加算器20で加算して合成した結果が、前述した図
4に示されている合成波形である。
【0059】加算器20から出力される合成波形データ
はその後HPF(高域通過フィルタ)21を通過させる
ことにより、オフセット補正部19a〜19dにおける
処理によって波形データに重畳されている直流信号成分
が除去され、その後にミキサ24に入力される。このミ
キサ24には、本装置への入力信号である入力波形デー
タも入力されている。
【0060】また、入力波形データは、HPF(高域通
過フィルタ)22を通過して低周波数域の減衰を受けた
後に、子音制御部23に入力される。人の声において、
子音の音声は母音の音声に比べて高い周波数成分を含ん
でいる特徴があり、また、子音は音声のピッチの特定に
は寄与しないことが知られている。そこで、HPF22
の通過域を、母音の音声が呈する周波数成分よりも高
く、且つ、子音の音声が呈する周波数成分の一部は通過
できるような周波数域に設定する。子音制御部23で
は、このようなHPF22を通過した入力波形データの
エンベロープの大きさを検出する。ここで、この値が所
定値以上の大きさであるときには、入力波形データは子
音の音声であるとみなし、入力波形データに対するピッ
チ変換の処理は不要であると判断して、ミキサ24を制
御して入力波形データのみを選択させて出力波形データ
として出力させる。一方で、このエンベロープの値が所
定値よりも小さいであれば、ミキサ24を制御し、ピッ
チ変換処理が施されてHPF21を通過した合成波形デ
ータのみ選択させてを出力波形データとして出力させ
る。
【0061】図1に示す本装置の第一の実施例では、各
構成要素が上述したように動作することによって、入力
波形データをピッチ変換させる。なお、この第一の実施
例においては、本装置に波形読み出し部18a〜18d
及びオフセット補正部19a〜19dを各々4つずつ設
けている。波形読み出し部及びオフセット補正部を複数
設ける理由は、図4(B)に示したように、入力波形の
ピッチを上げるときに必要となる波形データの重ね合わ
せのためである。第一の実施例においてこれらを4組設
けたときには、ωout≧ω/4、つまりω/ωout
が4倍まで、すなわち2オクターブまでピッチを上げる
変換を行なわせることができる。このように、本装置に
設ける波形読み出し部及びオフセット補正部の組数は、
どの程度までピッチを上げる変換を本装置に行なわせる
かの条件に応じて増減させてよい。また、本装置ではピ
ッチを下げる変換を行なわせるのみで、ピッチを上げる
変換を全く行なわせないのであれば、波形読み出し部及
びオフセット補正部は1組だけ設けるようにしてもよ
い。
【0062】また、この第一実施例では、波形メモリ1
6から波形データを読み出すための読み出しアドレスの
生成において、タイミングジェネレータ17内に設けら
れているマスタカウンタの増加間隔を入力波形データの
サンプリング間隔と同一の間隔とし、波形メモリ16へ
の入力波形データの格納間隔(書き込みのレート)と波
形読み出し部18a〜18dの各々による波形メモリ1
6からのデータ読み出し間隔(読み出しのレート)とを
一致させるようにしているので、合成波形データの示す
声のフォルマントや倍音構造について、元の入力波形デ
ータのものをほぼそのまま維持することを可能としてい
る。ここで、マスタカウンタの増加間隔と入力波形デー
タのサンプリング間隔とを異ならせることによって、合
成波形データの示す声のフォルマントや倍音構造を、元
の入力波形データのそれから故意に変化させることも可
能である。
【0063】図9は、本装置の第一の実施例において、
マスタカウンタの増加間隔と入力波形データのサンプリ
ング間隔とを異ならせることによってフォルマントを故
意に変化させるときの、書き込みアドレスの変化、及び
読み出しアドレスの変化の様子を示す図である。同図に
示す例では、マスタカウンタの増加間隔を入力波形デー
タのサンプリング間隔よりも長くすることでフォルマン
トを周波数の低い方向に移動させながら、ピッチを上げ
る変換を本装置で行なわせる場合の例を示している。こ
のように、フォルマントとピッチとを周波数軸上で無関
係に変化させるようにすることも本装置では可能であ
る。
【0064】次に本装置の第二の実施例について説明す
る。この第二の実施例においては、波形メモリ16から
読み出した波形データにオフセットを与える補正を行な
う代わりに、波形メモリ16から読み出した波形データ
に、FFT(高速フーリエ変換)などで用いられる時間
窓を用いた窓掛けを行なうことによって、波形の不連続
性による異音などの弊害を軽減させるものである。
【0065】図10は、本発明を実施するピッチ変換装
置の第二の実施例の全体構成を示す図である。図10に
おいて、図1に示す第一の実施例におけるものと同様の
構成要素には同一の符号を付しており、これらの構成要
素は、特に説明しない限り、第一の実施例におけるもの
と同様の動作をする。
【0066】図10を図1と比較すれば分かるように、
本装置の第二の実施例は、第一の実施例からスタートデ
ータレジスタ14、エンドデータレジスタ15、オフセ
ット補正部19a〜19d、HPF21が削除され、窓
掛け処理部41a〜41d及びバッファレジスタ42が
設けられて構成されている。
【0067】窓掛け処理部41a〜41dの動作につい
て図11を参照しながら説明する。図11において、
(A)は図2に示したものと同一の入力波形データであ
る。(B)は、窓掛け処理部41a〜41dにおいて使
用される時間窓の例を示している。同図に示す時間窓
は、切り出し区間が入力波形データの1周期分の時間ω
に相当する長さの矩形窓の両端の時刻に、切り出し区間
が同じくωである正弦波窓を半分ずつ連結した関数であ
り、全体で2ωの切り出し区間を有している。もちろ
ん、窓掛け処理部41a〜41dにおいて使用される時
間窓は同図(B)に示す以外のものであってもよいし、
切り出し区間を更に長くしてもよい。但し、同図(B)
に示す形状の時間窓を採用するのであれば、その時間窓
における矩形窓の部分の長さは、ω以上の長さが好まし
く、ωの整数倍であることが特に好ましい。
【0068】図11(A)に示す入力波形データに対し
て同図(B)に示す時間窓を窓掛けして得られる波形が
同図(C)に示したものである。ここで、時間窓の切り
出し区間を2ωとしているので、波形読み出し部18a
〜18dによる波形メモリ16からの入力波形データの
読み出しは、入力波形データの2周期分を単位として行
なうことが必要になる。そのためには、波形メモリ16
において、スタートアドレスレジスタ12のアドレス値
とエンドアドレスレジスタ13のアドレス値とで示され
る格納領域に入力波形データの2周期分の波形データが
格納されていることとなるようにすればよい。バッファ
レジスタ42はこのために設けられるレジスタである。
【0069】エンドアドレスレジスタ13は、ピッチ抽
出部11によって新たなアドレス値が設定されるとき
に、それまで設定されていたアドレス値をバッフアレジ
スタ42に設定する。そして、バッファレジスタ42
は、エンドアドレスレジスタ13によって新たなアドレ
ス値が設定されるときに、それまで設定されていたアド
レス値をスタートアドレスレジスタ12に設定する。
【0070】このバッファレジスタ42を設けることに
より、波形読み出し部18a〜18dは入力波形データ
の2周期分の波形データを波形メモリ16から読み出す
ようになり、読み出された波形データに対して窓掛け処
理部41a〜41dによって同図(B)に示す時間窓の
窓掛けが行なわれ、同図(C)に示す読み出し波形が得
られるようになる。窓掛け処理部41a〜41dのそれ
ぞれが出力される読み出し波形は加算器20において加
算合成され、ミキサ24へと渡される。なお、この本装
置の第二の実施例においては、第一の実施例のようなオ
フセット値の信号波形への加算は行なわれないので、第
一の実施例には設けていたHPF21は削除されてい
る。
【0071】図10に示す本装置の第二の実施例におい
ては入力波形データに対して上述した処理を施すことに
よってピッチ変換を実現している。なお、この第二の実
施例においては、波形読み出し部18a〜18d及び窓
掛け処理部41a〜41dとして各々4つずつ設けてい
る。波形読み出し部及び窓掛け処理部を複数設ける理由
も、第一の実施例におけるものと同様に、入力波形のピ
ッチを上げるときに必要となる波形データの重ね合わせ
のためである。第二の実施例においては、2周期分の波
形データについての重ね合わせが行なわれるので、これ
らを4組設けたときには、ωout≧2ω/4、つまり
ω/ωoutが2倍まで、すなわち1オクターブまでピ
ッチを上げる変換を行なわせることができる。このよう
に、本装置に設ける波形読み出し部及び窓掛け処理部の
組数は、この第二の実施例においても、どの程度までピ
ッチを上げる変換を本装置に行なわせるかの条件に応じ
て増減させてよい。但し、この第二の実施例において
は、本装置でピッチを下げる変換を行なわせるのみであ
っても、1オクターブ未満しかピッチの変換を行なわな
いのであれば、波形読み出し部及び窓掛け処理部は少な
くとも2組必要である。
【0072】また、以上までに説明した本装置の第一及
び第二の実施例では、どちらも入力波形データが本装置
の外部から入力されるように構成されているが、この波
形データが予め記憶されているメモリを本装置に設け、
このメモリから波形データを読み出して元の信号を再生
するときに本発明に係るピッチ変換をその波形データに
施すように構成することも可能である。このような構成
を有するものを本装置の第三の実施例とし、その全体構
成を図12に示す。
【0073】図12に示す本装置の第三の実施例の構成
は、図10に示した第二の実施例の構成を一部変更した
ものである。図12において、図10に示す第二の実施
例におけるものと同様の構成要素には同一の符号を付し
ており、これらの構成要素は、特に説明しない限り、第
二の実施例におけるものと同様の動作をする。
【0074】図12においては、図10に示されている
波形メモリ16が削除され、波形メモリ51及びデータ
読み出し部52が設けられている。波形メモリ51は、
リード・オンリ・メモリ(ROM)を備えて構成されて
おり、前述した第二実施例における入力波形データが予
め記憶されている。
【0075】データ読み出し部52は、波形メモリ51
から入力波形データを読み出し、読み出された入力波形
データをデータピッチ抽出部11、HPF22、ミキサ
24に与えている。
【0076】波形読み出し部18a〜18dは、第二実
施例においての波形メモリ16からの波形データの読み
出し動作と同様の動作を波形メモリ51に対して行な
う。図12に示す本装置の第三の実施例においては入力
波形データに対して上述した処理を施すことによってピ
ッチ変換が行なわれる。
【0077】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は、
音声信号から、該音声信号のピッチに関係する長さの期
間に含まれる該音声信号である期間信号を抽出し、前記
期間信号を、所定の時間間隔で時間軸上に複数並べて合
成することによって、音声信号のピッチ変換を行なう。
こうすることによって、音声信号の声のピッチを、その
スペクトル分布におけるフォルマントや倍音構造を維持
しつつ変換させることが可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するピッチ変換装置の第一の実施
例の全体構成を示す図である。
【図2】ピッチ抽出部の動作を説明する図である。
【図3】図2に示す変数・フラグの制御処理の処理内容
を示すフローチャートである。
【図4】本発明におけるピッチ変換の原理を説明する図
である。
【図5】読み出しアドレスの生成を説明する図である。
【図6】書き込みアドレスの変化、及び読み出しアドレ
スの変化の様子を示す図である。
【図7】スタートアドレスレジスタ及びエンドアドレス
レジスタの更新間隔を長くした場合における、書き込み
アドレスの変化、及び読み出しアドレスの変化の様子を
示す図である。
【図8】オフセット補正部の動作を説明する図である。
【図9】フォルマントを故意に変化させるときの書き込
みアドレスの変化、及び読み出しアドレスの変化の様子
を示す図である。
【図10】本発明を実施するピッチ変換装置の第二の実
施例の全体構成を示す図である。
【図11】窓掛け処理部の動作を説明する図である。
【図12】本発明を実施するピッチ変換装置の第三の実
施例の全体構成を示す図である。
【符号の説明】
11 ピッチ抽出部 12 スタートアドレスレジスタ 13 エンドアドレスレジスタ 14 スタートデータレジスタ 15 エンドデータレジスタ 16、51 波形メモリ 17 タイミングジェネレータ 18a、18b、18c、18d 波形読み出し部 19a、19b、19c、19d オフセット補正部 20 加算器 21、22 HPF 23 子音制御部 24 ミキサ 31a、31b、31c、31d 読み出し波形 41a、41b、41c、41d 窓掛け処理部 42 バッファレジスタ 52 データ読み出し部

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音声信号から、該音声信号のピッチに関
    係する長さの期間に含まれる該音声信号である期間信号
    を抽出する期間信号抽出手段と、 前記期間信号を、所定の時間間隔で時間軸上に複数並べ
    て合成することによって合成信号を得る信号合成手段
    と、 を有することを特徴とするピッチ変換装置。
  2. 【請求項2】 前記音声信号の信号波形の波高よりも値
    が小さいときには該波高値が該値として設定され、時間
    の経過に応じて一定の割合で該値が減少する第一のカウ
    ンタと、 前記音声信号の信号波形の波高よりも値が大きいときに
    は該波高値が該値として設定され、時間の経過に応じて
    一定の割合で該値が増加する第二のカウンタと、 前記第一のカウンタに前記波高値が設定されたときに第
    一の状態から第二状態へ遷移する第一の遷移を生じ、前
    記第二のカウンタに前記波高値が設定されたときに該第
    二の状態から該第一の状態へ遷移する第二の遷移を生じ
    るフラグと、 前記フラグの変化に基づいて前記音声信号のピッチを取
    得するピッチ取得手段と、 を更に有することを特徴とする請求項1に記載のピッチ
    変換装置。
  3. 【請求項3】 前記ピッチ取得手段は、前記フラグにお
    ける前記第一の遷移の直後に最初に発生する前記音声信
    号の信号波形のゼロクロスの発生間隔に基づいて前記ピ
    ッチを得ることを特徴とする請求項2に記載のピッチ変
    換装置。
  4. 【請求項4】 前記期間は、前記音声信号の信号波形の
    周期の整数倍の期間であることを特徴とする請求項1に
    記載のピッチ変換装置。
  5. 【請求項5】 前記期間は、前記音声信号の信号波形が
    最小値を示すときを基準にして設定されることを特徴と
    する請求項1に記載のピッチ変換装置。
  6. 【請求項6】 前記期間は、前記第二のカウンタの値と
    前記音声信号の信号波形の波高値とが一致していた状態
    から不一致の状態へと変化したときを基準にして設定さ
    れることを特徴とする請求項2に記載のピッチ変換装
    置。
  7. 【請求項7】 前記所定の時間間隔は、所望する変換後
    のピッチに応じて設定されることを特徴とする請求項1
    に記載のピッチ変換装置。
  8. 【請求項8】 前記期間の開始のときにおける前記期間
    信号の信号波形の波高値と該期間の終了のときにおける
    前記期間信号の信号波形の波高値とを一致させるオフセ
    ットを該期間信号に与えるオフセット手段を更に有する
    ことを特徴とする請求項1又は5に記載のピッチ変換装
    置。
  9. 【請求項9】 前記オフセット手段は、前記期間の開始
    のときにおける前記期間信号の信号波形の波高値と該期
    間の終了のときにおける前記期間信号の信号波形の波高
    値とを共に0にするオフセットを該期間信号に与えるこ
    とを特徴とする請求項8に記載のピッチ変換装置。
  10. 【請求項10】 前記オフセットを与えた前記期間信号
    に重畳されている直流信号成分を除去する直流信号成分
    除去手段を更に有することを特徴とする請求項8又は9
    に記載のピッチ変換装置。
  11. 【請求項11】 前記音声信号から子音の発声音を示す
    該音声信号の検出を行なう子音発声音検出手段と、 前記検出の結果に応じて、前記音声信号と前記合成信号
    とのいずれかを選択する選択手段と、 を更に有することを特徴とする請求項1に記載のピッチ
    変換装置。
  12. 【請求項12】 前記子音発声音検出手段は、高域通過
    フィルタを通過させた前記音声信号の大きさについての
    大小判定の結果を前記検出の結果とすることを特徴とす
    る請求項11に記載のピッチ変換装置。
  13. 【請求項13】 前記期間信号に時間窓を掛ける窓掛け
    手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載のピ
    ッチ変換装置。
  14. 【請求項14】 前記時間窓の形状は、前記音声信号の
    信号波形の周期以上の期間に及ぶ平坦な区間を有するこ
    とを特徴とする請求項13に記載のピッチ変換装置。
  15. 【請求項15】 前記平坦な区間は、前記音声信号の信
    号波形の周期の整数倍の期間であることを特徴とする請
    求項14に記載のピッチ変換装置。
  16. 【請求項16】 前記音声信号が予め記憶されている記
    憶手段と、 前記記憶手段から前記音声信号を読み出す読み出し手段
    と、 を更に有することを特徴とする請求項1に記載のピッチ
    変換装置。
  17. 【請求項17】 音声信号から、該音声信号のピッチに
    関係する長さの期間に含まれる該音声信号である期間信
    号を抽出し、 前記期間信号を、所定の時間間隔で時間軸上に複数並べ
    て合成する、 ことを特徴とするピッチ変換方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7523037B2 (en) 2004-11-25 2009-04-21 Casio Computer Co., Ltd. Data synthesis apparatus and program
JP2011215228A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Yamaha Corp ピッチ変換装置
JP2017083909A (ja) * 2017-02-08 2017-05-18 ヤマハ株式会社 音響信号発生装置

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