JP6452630B2 - 含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤、電子顕微鏡観察用キット、電子顕微鏡による観察、診断、評価、定量の方法並びに試料台 - Google Patents

含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤、電子顕微鏡観察用キット、電子顕微鏡による観察、診断、評価、定量の方法並びに試料台 Download PDF

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Description

本発明は、含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤、電子顕微鏡観察用キット、電子顕微鏡による観察方法並びに試料台に関する。
走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡で試料の観察を行うためには、試料を真空下におくことから、試料の耐真空性と、像を得るために必要な導電性の付与が必要である。
走査型電子顕微鏡の試料の調製は、試料を予め真空乾燥することによって水分を除去した後に、導電性を付与し二次電子の発生効率を上げるために導電性材料(白金、炭素、金、パラジウム、オスミウムなど)を蒸着、スパッタなどの手段で試料の表面にコートして行われる。
金属や半導体などのように、導電性を有し、耐真空性があるものは、このような前処理は必要としないが、導電性が無いものは導電性材料による導電膜コートが必要である。また、耐真空性などに劣るもの、すなわち、真空乾燥や、電子顕微鏡観察時の真空中で電子ビーム照射によって変形するものである場合も、導電性材料による導電膜コートが必要である。
生物試料は、大量の水分を含むため、予め真空乾燥を要する場合が多い。このため、表面の形状が著しく変形してしまうこともあり、生きたままの状態で電子顕微鏡観察することは困難であった。
ゲル状物質、食品などの湿潤試料の含水状態は、低真空SEMやクライオSEM、環境制御型SEM(ESEM)などを用いて、常温での観察が可能である。これらの方法によれば、湿潤試料に限らず、試料を未処理のままで観察可能である。しかし、高倍率での観察を行うためには、高真空にする必要があり、試料の耐真空性、あるいは導電性が必要となる。そのため、生物試料の観察においても、生きたままの状態の高倍率での像を得ることは困難であった。
近年は、イオン液体を用いた電子顕微鏡観察方法が提案されている。特許文献1および非特許文献1、2には、イオン液体を用いて濡れた試料をSEM観察したことが記載されている。細胞への応用についても非特許文献2に記載されている。また、特許文献2にはイオン液体の技術を透過型電子顕微鏡観察に用いる方法が開示されている。
国際公開WO2007/083756号パンフレット 特開2009−266741号公報
Langmuir, 2011, 27, 9671-9675 Microsc. Res. Tech. 2011, 74, 415-420
しかしながら、環境SEMを用いる観察や上記の各文献による方法であっても、生物試料に関しては、生きたままの状態を直接に高倍率で電子顕微鏡観察することは達成されていない。
すなわち、生物試料においては、生きたままの動いている様子の電子顕微鏡観察を行うことは達成されていない。
また、電子顕微鏡での観察後、回収した試料が成長を続けることや、生き続けるということはできなかった。すなわち生還を果たす電子顕微鏡観察は不可能とされていた。
電子顕微鏡の測定環境は、真空状態であるため試料は極度の乾燥状態におかれる。このため試料には変形や変質がおこり、生きたままの状態に近い状態を観察することができない。
さらに、含水試料においては、真空下に置かれた際に瞬時に凍結してしまい、試料の氷晶によって変形や変質がおこり、もとの状態に近い状態を観察することができない。
生物試料においては、真空下におかれるため、外界からの酸素供給を絶たれ、酸欠状態に陥る。また、乾燥状態におかれるため、干物のようになってしまい(イカがスルメのようになってしまう。)、生物試料を生きたままの状態で電子顕微鏡の鏡体内にいれることは難しい。
乾燥状態に耐えることができる生物であっても、生体内に含まれる水が凍ってしまうことから、動いている状態を観察する前に、あるいは観察中に死んでしまう。
電子顕微鏡での観察を行うために電子ビームを照射するが、この電子ビームの照射による電気的な要因や熱的な要因などによって変形、変性をきたさず、生物試料を生きたままの状態で電子顕微鏡像を得ることが必要である。
バリア性能に関しては、これまでに有機物、無機物、有機/無機ハイブリッド素材を使用して、試料をスピンコート、蒸着、塗布するなどの手段によって試料表面に膜をつくりバリア性能を付与する技術は提案されているものの、このようなバリア性能を電子顕微鏡の試料作製に応用する例はこれまでにない。
そこで、本発明者らは、これまでに、両親媒性化合物、油脂類、およびイオン液体から選ばれる少なくとも1種を含有する蒸発抑制用組成物と、この蒸発抑制用組成物を生物/生体試料の表面に適用して薄膜を形成し、試料を薄膜で覆うことで、真空下の試料室に収容されたこの薄膜で覆った試料を生きたまま、そのままの状態で電子顕微鏡により観察する方法を提案している(特願2011−197685号、特願2012−044383号、PCT/JP2012/072982号)。また、本発明者らは、膜状にするのが困難であった生体適合性化合物等を原料として、新規な薄膜を作製する技術を提案している(PCT/JP2013/074141号)。
本発明者らによる上記の先行発明は、主に、表皮を強固なクチクラ層で覆われた昆虫を生物/生体試料として用いて、真空下の試料室に収容された試料を生きたまま、そのままの状態で電子顕微鏡による観察を可能とするものであった。
つまり、上記の昆虫以外の生物/生体試料、例えば、哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の表面を覆う強固な層を有さない脆弱な生物試料についても、先行発明の技術を適用可能かどうかの検討は必ずしも充分とはいえなかった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みて鋭意検討を重ねた結果なされたものであり、真空下においても哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料を変形させずに、生きたままの状態を保護できる真空下での電子顕微鏡観察用保護剤とそれを用いたキット、電子顕微鏡による試料の観察、診断、評価、定量の方法、および観察に用いる試料台を提供すること課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、生存環境付与成分、糖類および電解質を含有することを特徴としている。
生存環境付与成分は、多価アルコールおよびその誘導体から選択される1種以上であることが好ましい。
糖類は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類とそれらの誘導体から選択される1種以上であることが好ましい。
電解質は、金属化合物、金属錯体、無機塩、有機塩、酸塩基から選択される1種以上であることが好ましい。
また、本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用キットは、(A)生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤と、(B)界面活性剤含有溶液とを具有することを特徴としている。
生存環境付与成分は、多価アルコールおよびその誘導体から選択される1種以上であることが好ましい。
糖類は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類とそれらの誘導体から選択される1種以上であることが好ましい。
電解質は、金属化合物、金属錯体、無機塩、有機塩、酸塩基から選択される1種以上であることが好ましい。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布する工程と、この電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の生物試料を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成して含水状態の生物試料を覆う工程と、真空下の試料室に収容された薄膜で覆った含水状態の生物試料の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程とを含むことを特徴としている。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布する少なくともその前後に、界面活性剤含有溶液を含水状態の生物試料に塗布してもよい。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布するのに先立って含水状態の生物試料表面を水洗浄してもよい。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、円柱形の基部材の上面に、薄膜を形成させた含水状態の生物試料を載置し、円柱形の部材の直径にほぼ等しい円形の開口部を有し、その上面部には開口部よりも直径の小さな開口部を備え、側面部には固定孔を持つリング状部材を、円柱形の基部材の上面に載置した含水状態の生物試料に被せ、円柱形の基部材とリング状部材を固定材で固定する試料台を用いることが好ましい。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、中央に円形の凹部が形成された円柱形の部材の上面に、薄膜を形成させた含水状態の生物試料を載置し、中央に円形の貫通孔が形成され、貫通口の周囲に複数の固定孔が開孔された円盤状の部材を、円柱形の部材の上面に載置した含水状態の生物試料に被せ、円盤状の部材と円柱形の部材とを固定材で固定する試料台を用いることが好ましい。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、電子顕微鏡の試料室内において試料観察用の電子線を含水状態の生物試料に照射することによって、含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成することが好ましい。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、電子顕微鏡による含水状態の生物試料観察前に予め、電子顕微鏡の試料室内の電子線とは別途の電子線またはプラズマを試料に照射することによって、含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成することが好ましい。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、含水状態の生物試料の電子顕微鏡像を、含水状態の生物試料の破壊を伴わずに表示装置に表示することが好ましい。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、走査型電子顕微鏡を用いて、含水状態の生物試料のチャージアップを起こさずに試料の電子顕微鏡像を表示装置に表示することが好ましい。
本発明の観察方法に用いる試料台は、円柱形の基部材と、円柱形の部材の直径にほぼ等しい円形の開口部を有し、その上面部には開口部よりも直径の小さな開口部を備え、側面部には固定孔を持つリング状部材と、固定材を備え、円柱形の基部材の上面に、薄膜を形成させた含水状態の生物試料が載置され、リング状部材は、円柱形の基部材の上面に載置した含水状態の生物試料に被せられ、円柱形の基部材とリング状部材が固定材で固定されることを特徴としている。
本発明の観察方法に用いる試料台は、中央に円形の凹部が形成された円柱形の部材と、中央に円形の貫通孔が形成され、貫通口の周囲に複数の固定孔が開孔された円盤状の部材と、固定材を備え、円柱形の部材の上面に、薄膜を形成させた含水状態の生物試料が載置され、円盤状の部材は、円柱形の部材の上面に載置された含水状態の生物試料に被せられ、円盤状の部材と円柱形の部材とが固定材で固定されることを特徴としている。
本発明の含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法は、生体から摘出した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織に生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の表面に薄膜を形成して覆う工程と、真空下の試料室に収容された薄膜で覆った含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の画像診断を行う工程とを含むことを特徴としている。
本発明の含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法において、含水状態の癌細胞は、正常細胞または細胞シート上に播種し、培養したものであることが好ましい。
本発明の含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法において、生体から摘出した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織を、摘出後直ちに化学固定することが好ましい。
本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法は、含水状態の細胞または細胞シートに生理活性物質または薬剤を添加する工程と、生理活性物質または薬剤を添加した含水状態の細胞または細胞シートに生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の細胞または細胞シートを試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の細胞または細胞シートの表面に薄膜を形成して覆う工程と、真空下の試料室に収容された薄膜で覆った含水状態の細胞または細胞シートの電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態の細胞または細胞シートに対する生理活性物質または薬剤の効果を画像診断する工程とを含むことを特徴としている。
本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法において、細胞が含水状態の正常細胞であって、正常細胞の形態変化を指標として副作用の少ない生理活性物質または薬剤をスクリーニングすることが好ましい。
本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法において、生理活性物質または薬剤が抗癌剤であることが好ましい。
本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法において、細胞が含水状態の病変細胞であって、含水状態の病変細胞の形態変化を指標として活性のある薬剤をスクリーニングすることが好ましい。
本発明の含水状態の細胞に対する薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法において、含水状態の病変細胞が癌細胞であって、薬剤が抗癌剤であることが好ましい。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、含水状態の細胞と1次抗体を接触させる工程と、1次抗体に金コロイド修飾された2次抗体を接触させる工程と、1次抗体と2次抗体とが結合した含水状態の細胞に生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の細胞を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の細胞の表面に薄膜を形成して含水状態の細胞を覆う工程と、真空下の試料室に収容された薄膜で覆った含水状態の細胞の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程とを含み、含水状態の細胞の一次抗体との結合部位を観察することを特徴としている。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、1次抗体と反応する抗原が、含水状態の細胞の膜タンパク質であり、含水状態の細胞の一次抗体との結合部位を観察することが好ましい。
本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法は、含水状態のウイルス粒子を基板上に濃縮する工程と、基板上に濃縮した含水状態のウイルス粒子に生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態のウイルス粒子を基板とともに試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態のウイルス粒子の表面に薄膜を形成して試料を覆う工程と、真空下の試料室に収容された薄膜で覆った含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡像においてウイルス粒子を計数する工程とを含むことを特徴としている。
本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法において、含水状態のウイルス粒子を基板上に濃縮する工程が、含水状態のウイルス粒子の表面に電荷をチャージさせ、このチャージさせた電荷と相反する電荷を表面にチャージさせた基板に吸着させてウイルス粒子を濃縮することが好ましい。
本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法において、含水状態のウイルス粒子表面にポリブレン処理してプラスの電荷をチャージさせることが好ましい。
本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法において、プラズマ照射することによって基板の表面にマイナスの電荷をチャージさせることが好ましい。
本発明によれば、真空下においても哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料を変形させずに、生きたままの状態を保護できる真空下での電子顕微鏡観察用保護剤とそれを用いたキット、電子顕微鏡による試料の観察、診断、評価、定量の方法、および観察に用いる試料台を提供することができる。
(a)は、実施例1のSEM像であり、(b)は、比較例1のSEM像である。(a)(b)は、それぞれ試料を倍率50倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)は、実施例1のSEM像であり、(b)は、比較例1のSEM像である。(a)(b)は、それぞれ図1の試料を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例2のSEM像である。(a)は、化学固定せずに、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態のマウス腹膜上皮側を倍率100倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例3のSEM像である。(a)は、従来の一次化学固定の後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理したヒト胃癌の病理切片を倍率500倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率1,500倍で観察、撮影したSEM像である。 図4に示した実施例3のヒト胃癌の病理切片の一部を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)は、実施例4のSEM像であり、(b)は、比較例2のSEM像である。(a)(b)は、それぞれ試料を倍率100倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)は、図6(a)に示した実施例4の一部を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。(b)は、図6(b)に示した比較例2の一部を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。 図6(a)に示した実施例4のヒト胃癌の病理切片を厚み方向に切断し、断面部を倍率200倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例5のSEM像である。(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した非転移株のヒトメラノーマ細胞を倍率1,000倍で観察、撮影したものである。また、(b)は、(a)の辺縁部の微小ファイバーを倍率10,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例6のSEM像である。(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞を倍率1,000倍で観察、撮影したものである。また、(b)は、(a)の辺縁部の微小ファイバーを倍率10,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例7のSEM像である。(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞を、播種から20分後に倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)を倍率5,000倍で観察、撮影したSEM像である。 図11(a)に示した実施例7のヒトメラノーマ細胞の辺縁部の微小ファイバーを倍率10,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例8のSEM像である。(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞を、播種から30分後に倍率500倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例9のSEM像である。(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞を、播種から60分後に倍率1,000倍で観察、撮影したものである。また、(b)は、(a)を倍率5,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例10のSEM像であり、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した非転移株のヒトメラノーマ細胞を、播種から60分後に倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ図15(a)(b)に示した非転移株のヒトメラノーマ細胞を、倍率5,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例11のSEM像である。(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞に、抗癌剤の一種であるソラフェニブを添加して60分後に倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)を倍率5,000倍で観察、撮影したSEM像である。 A、Bは、それぞれ後述の実施例12で用いるヒト人工皮膚の写真である。Aは、培養中のヒト人工皮膚と培養容器を示した写真である。また、Bは、Aのヒト人工皮膚の病理切片をHE染色した写真である。 (a)は、実施例12のSEM像であり、(b)は、比較例3のSEM像である。(a)は、図18Aに示したヒト人工皮膚にジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したゲフィチニブを添加し、60分後に倍率2,500倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、対照区として、図18Aに示したヒト人工皮膚にDMSOを添加し、60分後に倍率2,500倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例13の免疫電顕法によるSEM像であり、ヒト皮膚由来繊維芽細胞に1次抗体と金コロイド修飾された2次抗体とを結合させ、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した後、倍率10,000倍で観察、撮影した免疫電顕法によるSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例14の免疫電顕法によるSEM像である。(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞に1次抗体と金コロイド修飾された2次抗体とを結合させ、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した後、倍率1,000倍で観察、撮影した免疫電顕法によるSEM像である。また、(b)は、(a)を倍率10,000倍で観察、撮影した免疫電顕法によるSEM像である。 図21(a)に示したヒトメラノーマ細胞の辺縁部の微小ファイバーを倍率7,000倍で観察、撮影した免疫電顕法によるSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ本発明の電子顕微鏡観察用試料台を示す写真である。(a)は、円柱状の部材とリング状の部材と固定材から構成される、試料台の一実施形態を示したものである。また、(b)は、円柱状の部材と円盤状の部材と固定材から構成される、試料台の他の実施形態を示したものである。 (a)(b)は、それぞれ実施例15のSEM像である。(a)は、マウスから摘出した腹膜を、図23(a)に示した試料台上に載置し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態のマウス腹膜上皮側を倍率100倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率1,500倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ比較例4のSEM像である。(a)は、マウスから摘出した腹膜を、従来の電子顕微鏡観察用標本の作製方法である、化学固定、脱水、乾燥、金属蒸着工程を経た後、図23(a)に示した試料台上に載置して倍率50倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例16のSEM像である。(a)は、マウスから摘出した含水状態の腹膜を、図23(a)に示した試料台上に載置し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理して倍率100倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率1,300倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ比較例5のSEM像である。(a)は、マウスから摘出した腹膜を、従来の電子顕微鏡観察用標本の作製方法である、化学固定、脱水、乾燥、金属蒸着工程を経た後、図23(a)に示した試料台上に載置して倍率50倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ比較例6のSEM像であり、マウスから摘出した腹膜を、図23(a)に示した試料台上に載置し、未処理の状態で電子顕微鏡内に導入し、倍率1,500倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例17のSEM像を示す写真である。(a)は、マウスから摘出した含水状態の横隔膜を、図23(b)に示した試料台上に載置し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理して倍率500倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。 図29に示した含水状態のマウス横隔膜腹側を倍率20,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)は、実施例18のSEM像であり、(b)は、比較例7のSEM像である。(a)は、炎症を惹起させたマウスから摘出した含水状態の腹膜を図23(a)に示した試料台上に載置し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理して、倍率30倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、対照区のマウスから摘出した含水状態の腹膜を図24(a)に示した試料台上に載置し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理して、倍率30倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ図31(a)(b)に示した含水状態のマウス腹膜上皮側を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ図31(a)(b)に示した含水状態のマウス腹膜上皮側を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例19のSEM像である。(a)は、培養細胞として、マウス由来線維芽細胞をガラスプレート上で培養し、培地から引き揚げた後、直ちに界面活性剤含有溶液で処理し、電子顕微鏡観察用保護剤で処理して倍率450倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ比較例8のSEM像である。(a)は、培養細胞として、マウス由来線維芽細胞をガラスプレート上で培養し、培地から引き揚げた後、未処理の状態で電子顕微鏡内に導入し、倍率1,500倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率1,800倍で観察、撮影したものである。 (a)(b)は、それぞれ実施例20のSEM像である。(a)は、培養細胞として、ヒト由来線維芽細胞をガラスプレート上で培養し、培地から引き揚げた後、直ちに蒸留水で洗浄し、電子顕微鏡観察用保護剤で処理して倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率5,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ比較例9のSEM像である。(a)は、単一細胞として、ヒト赤血球を含む生理食塩水をガラスプレート上に滴下し、未処理の状態で電子顕微鏡内に導入し、倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)(c)は、それぞれ実施例21のSEM像である。 (a)は、単一細胞として、ヒト血球細胞および血小板を含む生理食塩水をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した含水状態のヒト血球細胞および血小板を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。(b)は、単一細胞として、ヒト赤血球を含む生理食塩水をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した含水状態のヒト赤血球を倍率7,000倍で観察、撮影したSEM像である。(c)は、単一細胞として、ヒト白血球を含む生理食塩水をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した含水状態のヒト白血球を倍率7,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)(c)(d)は、それぞれ実施例22のSEM像である。(a)は、単一細胞として、酵母を含む培養液をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した含水状態の酵母を倍率5,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率20,000倍で観察、撮影したSEM像である。(c)は、単一細胞として、納豆菌を含む培養液をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した含水状態の納豆菌を倍率15,000倍で観察、撮影したSEM像である。(d)は、単一細胞として、大腸菌を含む培養液をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した含水状態の大腸菌を倍率10,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)(c)(d)は、それぞれ実施例23のSEM像である。(a)は、単一細胞として、タマホコリカビの子実体を含む培養液をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した含水状態のキイロタマホコリカビ子実体を倍率50倍で観察、撮影したSEM像である。(b)は、(a)の一部を倍率300倍で観察、撮影したSEM像である。(c)は、(a)の一部を倍率3,000倍で観察、撮影したSEM像である。(d)は、(a)の一部を6,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例24の含水状態のMCMV感染マウスフィブロブラスト細胞のSEM像である。(a)は、感染から10分後のSEM像であり、(b)は、(a)の一部を拡大したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ図41(a)(b)に示した含水状態のMCMV感染マウスフィブロブラスト細胞を高倍率で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)(c)は、それぞれ実施例25の含水状態のMCMV感染マウスフィブロブラスト細胞のSEM像である。(a)は、感染から10分後のSEM像であり、(b)は、(a)の感染から15分後、(c)は、(a)の感染から20分後のSEM像である。 (a)〜(f)は、それぞれ実施例26の含水状態のヒトポリオウイルス感染ヒト咽頭がん細胞(Hep−2細胞)のSEM像である。(a)は、感染から15分後のSEM像であり、(b)は、(a)の図中枠で囲まれた領域を拡大して観察したSEM像である。(c)は、(b)の感染から30分後、(d)は、(b)の感染から45分後、(e)は、(b)の感染から60分後、(f)は、(b)の感染から75分後のSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例27のカバーガラスの表面にポリブレン処理したMCMVを吸着させて観察、撮影した蛍光顕微鏡写真である。(a)は、プラズマ処理したカバーガラスの表面に、ポリブレン処理したマウスサイトメガロウイルス(MCMV)を吸着させて観察、撮影した写真である。図中の蛍光発色している緑色のドットは、カバーガラスに吸着した含水状態のMCMVを示している。(b)は、対照区として未処理のカバーガラスの表面に、ポリブレン処理したMCMVを吸着させて観察、撮影した写真である。 (a)(b)は、それぞれ実施例27のポリブレン処理したMCMVとカバーガラスを用いたMCMVの濃縮方法を示した模式図である。(a)は、ポリブレン処理したMCMVのチャージを示しており、(b)は、プラズマ処理したカバーガラスの表面に、ポリブレン処理したマウスサイトメガロウイルス(MCMV)を吸着させて濃縮する原理を模式的に示している。 実施例28のMCMV粒子のカバーガラスへの吸着率を測定した結果を示すグラフである。 (a)(b)は、それぞれ実施例28のカバーガラスに吸着して濃縮させたMCMVのSEM像である。(a)は、ポリブレン処理してプラスにチャージさせたMCMV粒子を、プラズマ照射してマイナスにチャージさせたカバーガラスに吸着して濃縮させたMCMVを倍率15,000倍で観察、撮影したSEM像である。(b)は、(a)の一部を倍率35,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)〜(j)は、それぞれ実施例29の複数の異なる視野においてウイルス粒子を撮影したSEM像である。 実施例29と同様の実験を5回繰り返した際の平均ウイルス粒子数を示したグラフである。 (a)(b)(c)は、それぞれ実施例30の含水状態のMCMVのSEM像である。(a)は、対照区のMCMVのSEM像であり、(b)は、酢酸ウラン処理したMCMVのSEM像である。また、(c)は、シスプラチン処理したMCMVのSEM像であり、図中矢印はDNA含有ウイルス粒子を示している。いずれも、倍率10,000倍で観察、撮影したSEM像である。 実施例31のSEM像であり、MCMVに1次抗体として抗DNA抗体を結合させ、2次抗体として1次抗体に対する結合性を有し、金コロイド修飾された抗体を結合させた後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態のMCMVを観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例32のSEM像である。(a)は、植物の生体組織として含水状態のフクジュソウの花弁を採取し、図23(a)に示した試料台上に載置し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理して倍率30倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、(a)の一部を倍率5,000倍で観察、撮影したSEM像である。 (a)(b)は、それぞれ実施例33のSEM像である。(a)は、植物の生体組織として含水状態のツユクサの葉を採取し、一次化学固定処理した後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理して、ツユクサの葉の表側の葉肉細胞を倍率30倍で観察、撮影したSEM像である。また、(b)は、一次化学固定処理した後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態のツユクサの葉の裏側の葉肉細胞を倍率30倍で観察、撮影したSEM像である。 図54(a)(b)に示した含水状態のツユクサの葉の葉肉細胞を倍率500倍で観察、撮影したSEM像であり、(a)は葉の表側を、(b)は葉の裏側を示している。 図54(a)(b)に示した含水状態のツユクサの葉の葉肉細胞を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像であり、(a)は葉の表側を、(b)は葉の裏側を示している。 実施例34のSEM像を示す写真である。生きたプラナリアに電子顕微鏡観察用保護剤を滴下し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態のプラナリアを観察、撮影したSEM像である。 実施例35のSEM像を示す写真である。ショウジョウバエの複眼発生過程において、生きたショウジョウバエに電子顕微鏡観察用保護剤を滴下し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態のショウジョウバエ複眼の発生エッジ部位を観察、撮影したSEM像である。 実施例36のSEM像を示す写真である。ヒドラの再生過程において、生きたヒドラに電子顕微鏡観察用保護剤を滴下し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態のヒドラ頭部の再生先端を観察、撮影したSEM像である。 (a)〜(c)は、それぞれ実施例37のSEM像であり、(d)は実施例37のTEM像である。(a)は、含水状態の原核生物のSEM像である。(b)は、含水状態のナタデココ菌のSEM像であり、(c)は、含水状態の酵母のSEM像である。また、(d)は、含水状態の大腸菌のTEM像である。 (a)は、実施例38のSEM像であり、(b)は、実施例38でEDS解析を行った部位を示す図であり、(c)は、実施例38のEDS解析チャートである。 (a)は、比較例10のSEM像であり、(b)は、比較例10でEDS解析を行った部位を示す図であり、(c)は、比較例10のEDS解析チャートである。 (a)は、実施例39のSEM像であり、(b)は、実施例39でEDS解析を行った部位を示す図であり、(c)は、実施例39のEDS解析チャートである。 (a)は、比較例11のSEM像であり、(b)は、比較例11でEDS解析を行った部位を示す図であり、(c)は、比較例11のEDS解析チャートである。
以下に、本発明について詳細に説明する。
前記先行発明においては、哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の表面を覆う強固な層を有さない脆弱な生物試料が、電子顕微鏡の鏡体内における真空下で生存し、観察可能であるかの検討が必ずしも充分ではなかった。そこで、本発明者らは鋭意検討を重ね、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を塗布することによって、検討が必ずしも充分ではなかった哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の表面を覆う強固な層を有さない脆弱な生物試料を生きたままの状態で電子顕微鏡観察することが可能となることを見出した。これは、本発明者らによる新規の知見である。
本発明者らは、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を、先行発明の蒸発抑制用組成物による水/ガスバリア性能(Surface Shielding Effect,SS効果)を増強する、Surface Shielding Enhancer(SSE)と呼称している。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤によれば、哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の表面を覆う強固な層を有さない脆弱な生物試料を生きたままの状態で電子顕微鏡観察することを可能とする。また、本発明は、生物試料の電子顕微鏡観察のための溶液を提供することに限定されず、広くSSEとして作用する溶液(SSE溶液)の組成について提供する。
本発明によれば、SSE溶液は、主成分の生存環境付与成分、糖類および電解質を含有し、さまざまな用途に用いることが可能である。
なお、本発明において、「生存環境付与成分」とは、電子顕微鏡観察を行う真空下においても保水能力を有することによって含水状態の生物試料に疑似的な生活環境または生存環境を与え得る化合物を意味する。
また、本発明において、「真空」とは、例えば10−1Pa以下、さらには10−2Pa〜10−8Pa、特に10−4Pa〜10−8Paの範囲を意味する。
上記生存環境付与成分としては、例えば、多価アルコールおよびその誘導体等が例示される。水酸基を分子内にもち、低蒸気圧物質であるものが好ましい。また、粘性を有していることが好ましい。具体的には、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、トリグリセリド、ポリレゾルシノール、ポリフェノール、タンニン酸、ウルシオール、サポニンなどが挙げられ、特にグリセリンを用いることが好ましい。
上記糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類とそれらの誘導体等が例示される。具体的には、単糖類として、グルコース、フルクトースなどが挙げられる。二糖類として、スクロース、トレハロースなどが挙げられる他、多糖類として、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、プルラン、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、イヌリンなどを挙げることができる。特にグルコースのような単糖類が好ましい。その他、カラメル、蜂蜜、ミツロウなどを用いてもよい。また、哺乳動物の涙、毛穴から分泌されるワックスエステル、スクアレン、トリグリセリド、脂肪酸などの皮脂、セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸、硫酸コレステロールなどの角質細胞間脂質、唾液や消化器から分泌される消化液、気道や消化器官を中心とする上皮細胞の膜表面に存在する膜型ムチンや分泌型ムチンなどを用いてもよい。また、節足動物などの無脊椎動物がクチクラ表面に分泌するワックス成分や水可溶性物質や脊椎動物の毛穴から分泌される油脂や水可溶性物質を用いてもよい。また、サメ、タラ、エイなどの肝臓にふくまれる肝油、クラゲ、ナマコなどの体液を用いてもよい。また、植物や菌類が分泌する天然分泌液を用いてもよく、植物由来では、ユーカリ油、はっか油、ひまし油など種々の植物の種子から採取できるオイル、松油、漆、サクラ、クヌギ、ヤナギなどの樹液を用いてもよい。原核生物が分泌するバイオフィルムを形成する初期分泌物やバイオフィルムそのものを用いてもよい。
上記電解質としては、金属化合物、金属錯体、無機塩、有機塩、酸塩基等が例示される。
金属化合物としては、金属イオンを含むものであれば幅広く用いることができる。
上記金属化合物は、陽イオンと陰イオンからなる塩(単塩)であっても、二種類以上からなる塩(複塩)であってもよい。
上記金属化合物は、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、乳酸塩などの化合物であってもよい。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、塩化リチウム、塩化ハフニウム、塩化鉄、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化銅、塩化コバルト、塩化硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸一水素ナトリウム、乳酸カルシウムなどが挙げられる。
上記金属化合物は、金属酸化物であってもよい。金属アルコキシドはMORで示される化合物であり、金属(M)とアルコキシド(RO-)(Rは炭化水素)からなる。金属(M)として、具体的には、ケイ素、チタン、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム、ホウ素、バナジウム、タングステン、リン、ゲルマニウム、インジウム、ハフニウム、モリブデンなどが挙げられ、種々のアルコールから金属アルコキシドが得られる。これらの金属アルコキシドをそのまま用いてもよく、これらの金属アルコキシドを酸またはアルカリ存在下でゾルゲル反応を行った反応物を用いてもよい。金属アルコキシドとしては、単一成分を用いず、二種類以上のものを混合してもよい。
上記金属化合物は、金属錯体であってもよい。具体的には、エチレンジアミンニッケル錯体、テトラアンミンコバルト錯体などが挙げられる。
上記酸塩基は、具体的には、例えば、塩酸、酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸等が例示され、特にクエン酸を用いることが好ましい。
また、上記電解質としては、市販のスポーツドリンク粉末や粉末のリンガー試薬等を使用することもできる。特に、市販のスポーツドリンク粉末は、糖類を含んでいるため、グリセリン等に溶解するだけで、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を調製することができる。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、試料全体に塗布した後、紙材質のろ紙等で余分な液を十分に拭い去る。これによって、これまで検討が必ずしも充分ではなかった哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の表面を覆う強固な層を有さない脆弱な生物試料を生きたままの状態で電子顕微鏡観察を可能とする。また、塗布に限らず、浸漬、滴下等各種の方法を採用しても構わない。さらに使用に際しては、試料の特性に応じて原液を希釈して用いることがある。例えば、上皮組織等を剥離した部位、あるいは個体から切り出した器官・組織など、生物に傷をつけるなど本来の構造を大きく損なう処理を行った試料には、高い保護効果を得る為、電子顕微鏡観察用保護剤を原液のまま用いることが好ましい。一方、試料特性として、構造の安定性・気密性に優れている生物(例えば、細胞、組織、器官等が例示される)には、電子顕微鏡観察用保護剤を10倍から10,000倍の範囲で希釈して使用することが好ましい。すなわち、電子顕微鏡観察用保護剤を薄く塗布した方が、電子顕微鏡により微細構造およびその変化を解析する上で有効である。ただし、電子顕微鏡観察用保護剤を原液のまま利用する場合、必ずしも微細構造観察には不適というわけではない。あくまで試料特性を鑑み、試料ごとに保護効果を生み出す最適希釈率で本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を使用することにより、生存状態を維持したまま継時的かつ高分解能・高解像度で電子顕微鏡観察するための最も良い条件が得られる。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、試料全体に塗布することによって、生物試料の発生過程や再生過程についても、生存状態を維持したまま継時的に電子顕微鏡観察を可能とする。
また、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、試料全体に塗布することによって、疾患や、生理活性物質または薬剤の添加による正常細胞と病変細胞との形態の差異や変化を指標として、画像診断、細胞や組織に対する薬剤の効果や副作用の評価、薬剤のスクリーニングを可能とする。
さらにまた、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、試料全体に塗布することによって、生きた細胞の抗原に対する1次抗体と、この1次抗体に結合する修飾、標識された2次抗体とを結合させた免疫電顕法を可能とする。
そして、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、試料全体に塗布することによって、生きた細胞やウイルス等を電子顕微鏡下で観察、計数することによって、細胞やウイルス等の定量を可能とする。
なお、上記において「生物試料」には、原核生物および真核生物が含まれる。
原核生物には、真正細菌、古細菌が含まれる。
真正細菌には、アシドバクテリア門、アクイフェックス門、アクチノバクテリア門、エルシミクロビウム門、カルディセリクム門、クラミジア門、クロロビウム門、クロロフレクサス門、クリシオゲネス門、サーモデスルフォバクテリウム門、サーモミクロビア門、シアノバクテリア門、ゲマティモナス門、シネルギステス門、スピロヘータ門、ディクチオグロムス門、デイノコッカス-サーマス門、テネリクテス門、デフェリバクター門、テルモトガ門、ニトロスピラ門、バクテロイデス門、フィルミクテス門、フィブロバクター門、フソバクテリア門、プランクトミケス門、プロテオバクテリア門、ウェルコミクロビウム門、レンティスファエラ門が含まれる。
古細菌には、クレンアーキオータ門(界)、ユリアーキオータ門(界)、コルアーキオータ門(界)、ナノアーキオータ門、タウムアーキオータ門が含まれる。
真核生物には、原生生物界、植物界、菌界、動物界が含まれる。
原生生物界には、藻類(緑藻、褐藻、紅藻、珪藻類、ユーグレナ植物門、クリプト植物門、渦鞭毛植物門)、原生動物(繊毛虫門、根足虫類(アメーバ、有孔虫、太陽虫、放散虫)、胞子虫門(アピコンプレクサ、微胞子虫、粘液胞子虫)、鞭毛虫(トリパノソーマ類、襟鞭毛虫、超鞭毛虫、多鞭毛虫))、その他 、変形菌門、細胞性粘菌、ラビリンチュラ、二毛菌門が含まれる。
植物界には、緑藻門、コケ植物門、車軸藻門、維管束植物亜界(古マツバラン門、ヒゲノカズラ門、トクサ植物門、ハナヤスリ門、シダ植物門、球果植物門(マツ門)、ソテツ門、イチョウ門、マオウ門、被子植物門(モクレン門(双子葉植物綱(モクレン綱)、単子葉植物綱(ユリ綱)))が含まれる。
菌界には、ツボカビ門(ツボカビ)、接合菌門(ケカビ、クモノスカビ)、子嚢菌門(酵母、アカパンカビ)、担子菌門(キノコ)、不完全菌、地衣植物門が含まれる。
動物界には、海綿動物門、平板動物門(センモウヒラムシ)、刺胞動物門(クラゲ、イソギンチャク、サンゴ)、有櫛動物門(クシクラゲ)、中生動物門(ニハイチュウ)、扁形動物門(ウズムシ、プラナリア)、紐形動物門(ヒモムシ)、顎口動物門、腹毛動物門、輪形動物門(ワムシ)、動吻動物門、鉤頭動物門、内肛動物門、線形動物門(回虫、C. elegans)、類線形動物門(ハリガネムシ)、外肛動物門、箒虫動物門、腕足動物門、軟体動物門(貝、イカ、タコ)、鰓曳動物門、星口動物門(ホシムシ)、ユムシ動物門、環形動物門(ミミズ、ゴカイ)、緩歩動物門(クマムシ)、五口動物門、有爪動物門(カギムシ)、節足動物門(鋏角亜門(ウミグモ上綱、カブトガニ上綱(カブトガニ)、クモ上綱(クモ、サソリ))、甲殻亜門(エビ、カニ)、多足亜門(ムカデ綱(唇脚綱、ムカデ)、コムカデ綱(結合綱、コムカデ)、エダヒゲムシ綱(少脚綱、エダヒゲムシ)、ヤスデ綱(倍脚綱、ヤスデ))、六脚亜門(内顎綱、外顎綱(昆虫綱)))、有鬚動物門、棘皮動物門(ウニ、ヒトデ、クモヒトデ、ナマコ、ウミユリ)、毛顎動物門(ヤムシ)、半索動物門(ギボシムシ)、脊索動物門(尾索動物亜門(ホヤ)、頭索動物亜門(ナメクジウオ)、脊椎動物亜門(無顎上綱(ヌタウナギ綱、頭甲綱(ヤツメウナギ))、顎口上綱(軟骨魚綱(サメ、エイ、ギンザメ)、肉鰭綱(シーラカンス、ハイギョ)、条鰭綱、両生綱、爬虫綱、哺乳綱、鳥綱)))が含まれる。
特に、哺乳綱、哺乳動物としては、ウサギ科(ノウサギ、アナウサギ)、ネズミ科(マウス、ラット)、イヌ科、ネコ科(イエネコ)、ウシ科(ウシ、スイギュウ、ヤギ、ヒツジ)、イノシシ科(イノシシ、ブタ)、ウマ科(ウマ、ロバ)、オナガザル科(アカゲザル、カニクイザル、ニホンザル)等のオナガザル科、ヒト科(ヒト、チンパンジー)等が例示される。
また、「生物試料」には、上記動物の生体内から摘出した組織だけでなく、植物から摘出した組織、培養細胞、単一細胞等が含まれる。
動物の生体内から摘出した組織としては、例えば、皮膚、血管、毛髪、筋肉、胃、腸、肺、心臓、肝臓、膵臓、腎臓、脳、眼球、角膜、神経、臍帯、胎盤、腹膜、横隔膜、筋膜、心膜等が例示される。
植物から摘出した組織としては、例えば、花弁、種子、果実、葉、茎、根、根毛、茎頂分裂組織、根端分裂組織、導管、師管、維管束、葉肉細胞等が例示される。
培養細胞としては、例えば、ヒトまたは非ヒト動物由来の組織から単離した幹細胞、線維芽細胞、皮膚細胞、粘膜細胞、肝細胞、膵島細胞、神経細胞、軟骨細胞、内皮細胞、上皮細胞、骨細胞、筋細胞、さらに、家畜などの動物や魚類の精子、卵子または受精卵等の生殖細胞、腫瘍細胞、昆虫細胞、植物細胞などを初代培養または継代培養したものが含まれる。さらに、株化されて市販されている細胞株を用いても構わない。また、細胞としては、接着細胞を用いてもよいし、浮遊細胞を用いてもよい。さらに、平板状に培養した細胞や細胞シートを用いてもよいし、立体的に三次元培養した細胞を用いてもよい。
単一細胞としては、血球細胞、血小板、赤血球、白血球等が例示される。また、酵母、大腸菌、枯草菌、納豆菌、細胞性粘菌等の単細胞生物も単一細胞として例示される。
さらにまた、「生物試料」には、ウイルスやウイロイドが含まれる。ウイルスの種類としては、DNAウイルスであってもよいし、RNAウイルスであってもよい。
DNAウイルスとしては、例えば、ポックスウイルス科(天然痘ウイルス、サル痘ウイルス等)、ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス等)、アデノウイルス科(アデノウイルス)、パポバウイルス科(パピローマウイルス、JCウイルス等)、パルボウイルス科(パルボウイルス)、ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス等)が例示される。
RNAウイルスとしては、例えば、アレナウイルス科(ラッサウイルス等)、オルトミクソウイルス科(インフルエンザウイルス等)、カリシウイルス科(ノロウイルス、サポウイルス等)、コロナウイルス科(SARSウイルス等)、トガウイルス科(風疹ウイルス等)、ノダウイルス科(ウイルス性神経壊死症ウイルス等)、パラミクソウイルス科(ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス等)、ピコルナウイルス科(ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス等)、フィロウイルス科(マールブルグウイルス、エボラウイルス等)、ブニヤウイルス科(クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、重症熱性血小板減少症候群ウイルス等)、フラビウイルス科(黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、C型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス等)、ラブドウイルス科(狂犬病ウイルス等)、レオウイルス科、レトロウイルス科(ヒト免疫不全ウイルス、ヒトTリンパ好性ウイルス、サル免疫不全ウイルス、STLV等)が例示される。
生物試料として、ウイルスやウイロイドを用いる場合、結晶状のウイルス粒子を観察することができる。また、ウイルス粒子と宿主細胞とを共存状態で電子顕微鏡観察に供し、宿主細胞へのウイルスの感染過程や増殖過程を経時的につぶさに観察することも可能である。
上記の生物試料は、生存状態であってもよいし、従来の一次化学固定処理をしたものであってもよい。動物の生体内から摘出した組織は、化学固定処理によって組織の変化が止まるため、状態の良い電子顕微鏡試料を作製することが可能となり、また、電子顕微鏡試料作製技術の標準化も可能となる。
上記において「発生過程」の用語は、胚発生のみならず、ES細胞やiPS細胞等の幹細胞の分化過程が含まれる。
上記において「再生過程」の用語は、生体の組織や細胞の欠損した部分が、同一の細胞・組織で修復される過程が含まれ、生理的再生、病的再生のいずれも含んでいる。
上記において「病変細胞」の用語は、癌細胞、炎症細胞等を含んでいる。
上記において「画像診断」の用語は、SEM像に基づいて行う病理診断や病変細胞の転移、浸潤の診断などが含まれる。
上記において「生理活性物質」は、神経性アミノ酸、生理活性アミン、生理活性ヌクレオチド・ヌクレオシド、生理活性ペプチド、血管内皮由来弛緩因子、エイコサノイドとその他の脂質メディエーター、サイトカインとケモカイン、ビタミン、ホルモンが含まれる。
上記において「薬剤」の用語は、コリン作用薬、抗コリン作用薬、アドレナリン作用薬、抗アドレナリン作用薬、局所麻酔薬、抗精神病薬、抗うつ薬・気分安定薬・精神刺激薬(中枢興奮薬)、Parkinson病治療薬、抗認知症薬,脳循環・代謝改善薬、抗てんかん薬・中枢性骨格筋弛緩薬、抗不安薬・催眠薬、全身麻酔薬、麻薬性鎮痛薬、中枢抑制薬、中枢興奮薬、大麻類、幻覚発現薬、有機溶剤、ニコチン、禁煙補助薬、ドーピング、心臓作用薬(抗不整脈薬、心不全治療薬、抗狭心症薬)、高血圧治療薬、低血圧治療薬、昇圧薬、血管拡張薬、頭痛薬、止血薬、抗血栓薬、造血薬、利尿薬、排尿障害治療薬、前立腺肥大症治療薬、ホスホジエステラーゼ−5(PDE5)阻害薬、ホルモン阻害薬、子宮収縮薬、子宮弛緩薬、免疫抑制薬、細胞毒性薬、免疫刺激薬、抗アレルギー薬、モノクローナル抗体などの生物学的製剤、抗炎症薬及びその関連薬(非ステロイド抗炎症薬、解熱鎮痛薬、ステロイド抗炎症薬、抗リウマチ薬、関節機能改善薬、感覚器用薬)、呼吸器作用薬(呼吸刺激薬、鎮咳薬、去痰薬、気管支拡張薬、気管支喘息治療薬)、消化器作用薬(健胃消化薬、胃運動促進薬、催吐薬と制吐薬、消化性潰瘍治療薬、制瀉薬、腸運動抑制薬、下剤、潰瘍性大腸炎治療薬、肝臓疾患治療薬、胆道疾患治療薬、膵臓疾患治療薬)、糖尿病治療薬、脂質異常症治療薬、高尿酸血症・痛風治療薬、骨粗鬆症治療薬、抗感染症薬(抗生物質、合成抗菌薬、抗結核薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、消毒薬)、抗悪性腫瘍薬、分子標的薬等が含まれる。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤において、生存環境付与成分と、糖類および電解質との配合割合は、特に限定されないが、例えば次のような組成が好ましいものとして例示される。なお、これらの組成の電子顕微鏡観察用保護剤を原液とし、試料の特性等に応じて希釈してもよい。また、本発明の電子顕微鏡用保護剤の組成(生存環境付与成分と、糖類および電解質との配合割合)は、観察対象とする哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料中に含まれる物質(有機物、無機物など)の種類や含有量等を考慮して、適宜調整することができる。
(1)生存環境付与成分(グリセリン):(水):糖類(グルコース):電解質(塩化ナトリウム)=20:10:0.7:0.03〜20:10:0.4:0.01
(2)生存環境付与成分(グリセリン):糖類(グルコース):電解質(塩化ナトリウム)=20:0.7:0.03〜20:0.4:0.01
(3)生存環境付与成分(グリセリン):(水):糖類(グルコース):電解質(リン酸一水素ナトリウム)=20:10:0.7:0.03〜20:10:0.4:0.01
(4)生存環境付与成分(グリセリン):糖類(グルコース):電解質(リン酸一水素ナトリウム)=20:0.7:0.03〜20:0.4:0.01
(5)生存環境付与成分(グリセリン):(水):糖類(グルコース):電解質(クエン酸)=20:10:0.7:0.03〜20:10:0.4:0.01
(6)生存環境付与成分(グリセリン):糖類(グルコース):電解質(クエン酸)=20:0.7:0.03〜20:0.4:0.01
(7)生存環境付与成分(グリセリン):(水):糖類(グルコース):電解質(乳酸カルシウム)=20:10:1:0.03〜20:10:0.4:0.01
(8)生存環境付与成分(グリセリン):糖類(グルコース):電解質(乳酸カルシウム)=20:1:0.03〜20:0.4:0.01
なお、生存環境付与成分は水を含有したものの方が、調製が容易であり、試料に塗布しやすく好ましい。
また、上記配合割合(3)と(4)では、電解質成分としてリン酸二水素ナトリウムを用いてもよい。
SSE中において、グリセリン等の生存環境付与成分は、それ自身導電性が乏しい化合物であるが、塩化ナトリウム等の電解質を添加することによって、導電性を付与することができる。これにより、低倍率ならばSEM画像を得ることができるようになり、先行発明で用いられているイオン液体と同等の機能を備えるようになると考えられる。また、生存環境付与成分それ自体が保水性を備えているものの、糖類を添加することで相乗効果が生じ、より保水性が高まると考えられる。このような高い保水性と導電性を兼ね備えた生存環境付与成分によって、これまで検討が必ずしも充分ではなかった哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の表面を覆う強固な層を有さない脆弱な生物試料を生きたままの状態で電子顕微鏡観察が可能になったと考えられる。
また、試料特性として、観察対象とする哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料中に、本発明の電子顕微鏡用保護剤を構成する成分と同等の作用効果(生存環境の付与、保水性の付与、導電性の付与等)を発揮する物質が存在する場合には、上記に例示した組成は、本発明の電子顕微鏡用保護剤を適用した後の当該生物試料の表面において、上記に例示した組成を満たした状態となることを含んでおり、そのような状態とするために適用された組成物は、本発明の電子顕微鏡用保護剤に含まれる。
なお、本発明の電子顕微鏡用保護剤としては、上記のような生存環境付与成分、糖類および電解質の組み合わせのほか、例えば、生存環境付与成分と糖鎖と電解可能な官能基とを有する高分子化合物を用いてもよい。すなわち、本発明の電子顕微鏡用保護剤に含まれる生存環境付与成分、糖類および電解質は、各々別個の物質であってもよく、また、一つの物質中にこれらの構成要素またはそれと同等の機能を有する分子構造を備える物質であってもよい。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、固体状態や液状であってよいが、真空下において試料組織の水環境を保持するために、液状で粘性の高い状態のものが好ましい。また、固体状態のものは、使用する際は液状にして用いることができる。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、生物試料に塗布した後、余分な液をキムワイプのような柔らかい布状の紙、ろ紙などで吸い取る。TEM観察のための試料は、媒体の塗布、付着、コート、被覆、包埋などにより処理される。
また、本発明によれば、(A)生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤と、(B)界面活性剤含有溶液を具有する電子顕微鏡観察用キットを提供することもできる。
本発明における界面活性剤含有溶液は、先行発明における蒸発抑制用組成物に代わるものであり、水/ガスバリア性能(Surface Shielding Effect,SS効果)を発揮する溶液である。
界面活性剤含有溶液は、界面活性剤を主成分(基材)としている。界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、天然由来の界面活性剤、微生物由来の両親媒性化合物(バイオサーファクタント)などのように分子構造から大きく区別されている。工業、食品、医療品など幅広い分野で用いられているが、基本的にどの界面活性剤を用いてもある一定のバリア性能は発現することができる。
上記界面活性剤のうち、陰イオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型に分類される。このうち、具体的には、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、α-スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルエトキシレート硫酸ナトリウムなどが挙げられ、中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることが好ましい。
上記界面活性剤のうち、陽イオン性界面活性剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩型、アルキルアミン型、複素環アミン型に分類される。具体的には、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリピリジニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
上記界面活性剤のうち、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、N-メチルアルキルグルカミドなどが挙げられる。中でも、ドデシルアルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ラウロイルジエタノールアマイドの他、TritonTMX(TritonTMX-100など)、Pluronic(R) (Pluronic(R) F-123、F-68など)、Tween (Tween 20、40、60、65、80、85など)、Brij(R)(Brij(R)35、58、98など)、Span (Span 20、40、60、80、83、85)の名前で市販されているものが好ましい。
上記界面活性剤のうち、両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、3-(テトラデシルジメチルアミニオ)プロパン-1-スルホナートなどがあるが、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナート(CHAPS)、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホナート(CHAPSO)などを用いることが好ましい。
上記界面活性剤のうち、天然由来の界面活性剤としては、例えば、レシチン、サポニンが好ましく、レシチンとして称される化合物のうち、具体的には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロールなどが好ましい。また、サポニンとしてはキラヤサポニンが好ましい。
上記界面活性剤のうち、微生物由来の両親媒性化合物(バイオサーファクタント)としては、ラムノリピド、ソフオロリピド、マンノシルエリストールリピッドなどを用いることが好ましい。
上記界面活性剤に例示したもの以外に、一般に公知のものとして使用されている界面活性剤のうち、特に化粧品類に用いられている界面活性剤としては、例えば、アーモンド油PEG-6、アシル(C12,14)アスパラギン酸Na、アシル(C12、14)アスパラギン酸TEA、アラキデス-20、ステアリルアルコール、アルキル(C11、13、15)硫酸ナトリウム、アルキル(C11,13,15)硫酸TEA、アルキル(C11,13,15)リン酸カリウム、アルキル(C12,13)硫酸DEA、アルキル(C12,13)硫酸ナトリウム、アルキル(C12,13)硫酸TEA、アルキル(C12,14,16)硫酸アンモニウム、アルキル(C12-14)オキシヒドロキシプロピルアルギニン塩酸塩、アルキル(C12-14)ジアミノエチルグリシン塩酸塩、アルキル(C12-14)硫酸TEA、アルキル(C12-15)硫酸TEA、アルキル(C14-18)スルホン酸ナトリウム、アルキル(C16,18)トリモニウムクロリド、アルキル(C28)トリモニウムクロリド、イソステアラミドDEA、イソステアリルアルコール、イソステアリルグリセリル、イソステアリルラウリルジモニウムクロリド、イソステアリン酸PEG-2、イソステアリン酸PEG-3、イソステアリン酸PEG-4、イソステアリン酸PEG-6、イソステアリン酸PEG-8、イソステアリン酸PEG-10、イソステアリン酸PEG-12、イソステアリン酸PEG-15グリセリル、イソステアリン酸PEG-20、イソステアリン酸PEG-20グリセリル、イソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-20ソルビタン、イソステアリン酸PEG-30、イソステアリン酸PEG-30グリセリル、イソステアリン酸PEG-40、イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-58水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-60グリセリル、イソステアリン酸PG、イソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルベス-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-5、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアレス-2、イソステアレス-10、イソステアレス-15、イソステアレス-22、イソステアロイル加水分解コラーゲン、イソステアロイル加水分解コラーゲンAMPD、イソステアロイル乳酸ナトリウム、イソセテス-10、イソセテス-20、イソパルミチン酸オクチル、イソパルミチン酸ポリグリセリル-2、イソ酪酸酢酸スクロース、ウンデシレノイル加水分解コラーゲンカリウム、エチレンジアミンテトラキスヒドロキシイソプロピルジオレイン酸、エポキシエステル-1、エポキシエステル-2、エポキシエステル-3、エポキシエステル-4、エポキシエステル-5、エルカ酸グリセリル、オクタン酸PEG-4、ノノキシノール-14、オクチルドデセス-2、オクチルドデセス-5、オクチルドデセス-10、オクチルドデセス-30、オクテニルコハク酸デキストリンTEA、オクトキシノール-1、オクトキシノール-2エタンスルホン酸ナトリウム、オクトキシノール-10、オクトキシノール-25、オクトキシノール-70、オリーブ油PEG-6、オリゴコハク酸PEG-3-PPG-20、オレアミドDEA、オレアミンオキシド、オレイルベタイン、オレイル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸TEA、オレイン酸PEG-2、オレイン酸PEG-10、オレイン酸PEG-10グリセリル、オレイン酸PEG-15グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、オレイン酸PEG-36、オレイン酸PEG-40ソルビット、オレイン酸PEG-75、オレイン酸PEG-150、オレイン酸PG、オレイン酸スクロース、オレイン酸ヒドロキシ{ビス(ヒドロキシエチル)アミノ}プロピル、オレイン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリギリセリル-5、オレイン酸ポリグリセリル-10、オレオイル加水分解コラーゲン、オレオイルサルコシン、オレオイルメチルタウリン酸ナトリウム、オレス-2、オレス-3リン酸DEA、オレス-7リン酸ナトリウム、オレス-8リン酸ナトリウム、オレス-10、オレス-10リン酸、オレス-10リン酸DEA、オレス-20、オレス-20リン酸、オレス-30、オレス-50、オレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム、カチオン化加水分解コムギタンパク-1、カチオン化加水分解コムギタンパク-3、カチオン化加水分解コンキオリン-2、カチオン化加水分解ダイズタンパク-1、カチオン化加水分解ダイズタンパク-2、カチオン化加水分解ダイズタンパク-3、カチオン化デキストラン-2、カプラミドDEA、牛脂脂肪酸グリセリル、キョウニン油PEG-6、クエン酸ジステアリル、クエン酸脂肪酸グリセリル、クオタニウム-14、クオタニウム-18、クオタニウム-18ヘクトライト、クオタニウム18ベントナイト、クオタニウム-22、クオタニウム-33、コーン油PEG-6、コーン油PEG-8、コカミド、コカミドDEA、コカミドMEA、コカミドプロピルベタイン、ココアミンオキシド、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシル硫酸ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸ニナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、ココイルアラニンTEA、ココイルアルギニンエチルPCA、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ココイル加水分解カゼインカリウム、ココイル加水分解ケラチンカリウム、ココイル加水分解酵母カリウム、ココイル加水分解酵母タンパクカリウム、ココイル加水分解コムギタンパクカリウム、ココイル加水分解コラーゲン、ココイル加水分解コラーゲンカリウム、ココイル加水分解コラーゲンナトリウム、ココイル加水分解コラーゲンTEA、ココイル加水分解ジャガイモタンパクカリウム、ココイル加水分解ダイズタンパクカリウム、ココイル加水分解トウモロコシタンパクカリウム、ココイル加水分解バレイショタンパクカリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシンTEA、ココイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルサルコシン、ココイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンTEA、ココイルタウリンナトリウム、ココイルメチルアラニン、ココイルメチルアラニンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココグリセリル硫酸ナトリウム、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解シルク、ココベタイン、コハク酸PEG-50水添ヒマシ油、コハク酸脂肪酸グリセリル、コレス-10、コレス-15、酢酸イソセテス-3、酢酸セテス-3、酢酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸グリセリル、酢酸脂肪酸グリセリル、酢酸ステアリン酸スクロース、酢酸トリデセス-3、酢酸トリデセス-15、酢酸ブチル、酢酸モノステアリン酸グリセリル、酢酸ラネス-9、ジアセチル酒石酸脂肪酸グリセリル、ジアルキル(C12-15)ジモニウムクロリド、ジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリド、ジイソステアリン酸PEG-8、ジイソステアリン酸PG、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジオレイン酸PEG-4、ジオレイン酸PEG-10、ジオレイン酸PEG-32、ジオレイン酸PEG-75、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース、ジオレイン酸PEG-150、ジオレイン酸PG、ジオレイン酸グリコール、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、ジ牛脂アルキルジモニウム硫酸セルロース、ジココジモニウムクロリド、ジ酢酸ステアリン酸グリセリル、ジステアリルジモニウムクロリド、ジステアリン酸PEG-2、ジステアリン酸PEG-12、ジステアリン酸PEG-20メチルグルコース、ジステアリン酸PEG-120、ジステアリン酸PEG-250、ジステアリン酸PEG-トリメチロールプロパン、ジステアリン酸PG、ジステアリン酸PPG-20メチルグルコース、ジステアリン酸グリコール、ジステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸スクロース、ジステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジセチルジモニウムクロリド、ジセテアリルリン酸MEA、ジヒドロキシエチルステアリルベタイン、ジパルミチン酸PEG-3、ジヒドロキシエチルラウラミンオキシド、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解カゼイン、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルク、ジヒドロコレス-15、脂肪酸(C8-22)ポリグリセリル-10、ジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオールエチル、ジメチコンコポリオールブチル、ジメチルステアラミン、ジラウリン酸PEG-4、ジラウリン酸PEG-12、ジラウリン酸PEG-32、ジラウリン酸スクロース、ジラウレスー4リン酸、ジラウレス-10リン酸、ジラウロイルグルタミン酸マグネシウム、水酸化レシチン、水添ココグリセリル、水添ダイズ脂肪酸グリセリル、水添タロウアミドDEA、水添タロウグルタミン酸ニナトリウム、水添タロウグルタミン酸TEA、水添ラノリン、水添ラノリンアルコール、水添リゾレシチン、水添レシチン、ステアラミド、ステアラミドDEA、ステアラミドMEA、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミンオキシド、ステアラルコニウムクロリド、ステアラルコニウムヘクトライト、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ステアリルトリモニウムサッカリン、ステアリルトリモニウムブロミド、ステアリルベタイン、ステアリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸PEG-2、ステアリン酸PEG-6ソルビット、ステアリン酸PEG-10、ステアリン酸PEG-10グリセリル、ステアリン酸PEG-14、ステアリン酸PEG-20グリセリル、ステアリン酸PEG-23、ステアリン酸PEG-25、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ステアリン酸PEG-120グリセリル、ステアリン酸PEG-150、ステアリン酸PEG-200グリセリル、ステアリン酸PG、ステアリン酸TEA、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸スクロース、ステアリン酸ステアレス-4、ステアリン酸ステアロイルジヒドロキシイソブチルアミド、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル、ステアリン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリルー10、ステアリン酸/リンゴ酸グリセリル、ステアルジモニウムヒドロキシジプロピル加水分解ケラチン、ステアルジモニウムヒドロキシジプロピル加水分解コラーゲン、ステアルジモニウムヒドロキシジプロピル加水分解シルク、ステアルトリモニウムクロリド、ステアレス-2リン酸、ステアレス-3、ステアレス-10、ステアレス-16、ステアレス-50、ステアレス-80、ステアレス-100、ステアロイル加水分解コラーゲンカリウム、ステアロイル加水分解コラーゲンナトリウム、ステアロイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸ニナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジウムクロリド、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、スルホコハク酸(C12-14)パレスニナトリウム、スルホコハク酸PEG-2オレアミドニナトリウム、スルホコハク酸PEG-4ココイルイソプロパノールアミドニナトリウム、スルホコハク酸PEG-5ラウラミドニナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸シトステレスー14-2ナトリウム、スルホコハク酸ラウリルニナトリウム、スルホコハク酸ラウレスニナトリウム、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸グリセ
リル、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ジグリセリル、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸メチルグルコース、セチルジメチコンコポリオール、セチルピリジウムクロリド、セチル硫酸ナトリウム、セチルリン酸DEA、セチルリン酸カリウム、セテアリルアルコール、セテアリルグルコシド・セテアリルアルコール、セテアリル硫酸ナトリウム、セテアレス-10、セテアレス-15、セテアレス-22、セテアレス-34、セテアレス-55、セテアレス-60、セテアレス-60ミリスチルグリコール、セテアレス-100、セテス-8リン酸、セテス-10、セテス-10リン酸、セテス-12、セテス-24、セテス-45、セトリモニウムクロリド、セトリモニウムサッカリン、セトリモニウムプロミド、セトレス-10、セトレス-20、セトレス-25、タロウアミドMEA、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、デシルグルコシド、テトラオクタン酸ジグリセロールソルビタン、テトラオレイン酸ソルベス-30、テトラオレイン酸ソルベス-40、テトラオレイン酸ソルベス-60、テトラステアリン酸ソルベス-60、ドデシルベンゼンスルホン酸TEA、トリPEG-8アルキル(C12-15)リン酸、トリ(イソステアリン酸PEG-3)トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸PEG-10グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-15水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-30グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-30水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-50グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸PEG-3ソルビット、トリステアリン酸PEG-140グリセリル、トリステアリン酸PEG-160ソルビタン、トリステアリン酸スクロース、トリステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ポリグリセリル-10トリデセス-三酢酸ナトリウム、トリデセス-六酢酸ナトリウム、トリデセス-9、トリデセス-10、トリデセス-11、トリデセス-20、トリデセス-21、トリヒドロキシステアリン、トリベヘン酸スクロース、トリラウリルアミン、トリラウレス-四リン酸、トリラウレス-四リン酸ナトリウム、乳酸脂肪酸グリセリル、ノニルノノキシノール-10、ノニルノノキシノール-100、ノノキシノール-3、ノノキシノール-4硫酸ナトリウム、ノノキシノール-6リン酸、ノノキシノール-6リン酸ナトリウム、ノノキシノール-10、ノノキシノール-10リン酸、ノノキシノール-23、ノノキシノール-50、ノノキシノール-120、パーフルオロアルキルPEGリン酸、パーフルオロアルキルリン酸DEA、パーム核脂肪酸アミドDEA、パーム核脂肪酸アミドエチルヒドロキシエチルアミノプロピオン酸ナトリウム、パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム脂肪酸グルタミン酸ナトリウム、パルミタミドMEA、パルミチン酸PEG-6、パルミチン酸PEG-18、パルミチン酸PEG-20、パルミチン酸スクロース、パルミチン酸ソルビタン、パルミトイルアスパラギン酸二TEA、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ピーナッツ油PEG-6、ヒドロキシステアリン酸グリセリル、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解カゼイン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コラーゲン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解シルク、ヒドロキシラノリン、プロピオン酸PPG-2ミリスチル、ヘプタステアリン酸ポリグリセリル-10、ヘプタデシルヒドロキシエチルカルボキシラートメチルイミダゾリニウム、ベヘナミドプロピルPGジモニウムクロリド、ベヘナミンオキシド、ベヘネス-10、ベヘネス-30、ベヘン酸グリセリル、ベヘントリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオクタン酸ジグリセロールソルビタン、ペンタオレイン酸PEG-40ソルビット、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-6、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸TEA、ポリオキシエチレンエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルステアリルジエーテル、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸TEA、ポリオキシプロピレンカルボキシアルキル(C14-18)ジグルコシド、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルリン酸、ポリオキシプロピレンソルビット、ポリオレイン酸スクロース、ポリグリセリル-2オレイル、ポリステアリン酸スクロース、酢酸セチル、酢酸ラノリンアルコール、ポリバーム脂肪酸スクロース、ポリラウリン酸スクロース、ポリリシノレイン酸ポリグセリル、ポリリノール酸スクロースポロキサマー181、ポロキサマー333、ポロキサミン304、ポロキサミン901、ポロキサミン1104、ポロキサミン1302、ポロキサミン1508、マルチトールヒドロキシアルキル(C12,14)、ミリスタミドDEA、ミリスタミンオキシド、ミリスタルコニウムクロリド、ミリスチルPGヒドロキシエチルデカナミド、ミリスチルベタイン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチン酸PEG-8、ミリスチン酸PEG-20、ミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸スクロース、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ミレス-3、ミリストイル加水分解コラーゲン、ミリストイル加水分解コラーゲンカリウム、ミリストイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ミレス-3、ミレス-3硫酸ナトリウム、モノ酢酸モノステアリン酸グリセリル、ヤシ脂肪酸TEA、ヤシ脂肪酸グリセリル、ヤシ脂肪酸スクロース、ヤシ脂肪酸ソルビタン、ヤシ脂肪酸リシン、ラウラミドDEA、ラウラミドMEA、ラウラミドプロピルベタイン、ラウラミノジ酢酸ナトリウム、ラウラミノプロピオン酸、ラウラミノプロピオン酸ナトリウム、ラウラミンオキシド、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルDEA、ラウリルイソキノリニウムサッカリン、ラウリルイソキノリニウムプロミド、ラウリルグルコシド、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解シルク、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリルヒドロキシ酢酸アミド硫酸ナトリウム、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルピリジニウムクロリドラウリルベタイン、ラウリル硫酸DEA、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸MEA、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸TEAラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸ニナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリン酸PEG-2、ラウリン酸PEG-4DEA、ラウリン酸PEG-6、ラウリン酸PEG-8、ラウリン酸PEG-8グリセリル、ラウリン酸PEG-9、ラウリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12グリセリル、ラウリン酸PEG-23グリセリル、ラウリン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-75、ラウリン酸PEG-150、ラウリン酸PEGソルビット、ラウリン酸PG、ラウリン酸TEA、ラウリン酸グリセリル、ラウリン酸スクロース、ラウリン酸ポリオキシエチレン水添ヒマシ油、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸マルチトール、ラウルトリモニウムクロリド、ラウルトリモニウムプロミド、ラウレス-2-硫酸アンモニウム、ラウレス-3酢酸、ラウレス-3硫酸TEA、ラウレス-3硫酸アンモニウム、ラウレス-3リン酸、ラウレス-4リン酸、ラウレス-4リン酸ナトリム、ラウレス-4.5酢酸カリウム、ラウレス-5酢酸、ラウレス-5硫酸ナトリム、ラウレス-6酢酸、ラウレス-6酢酸ナトリム、ラウレス-7リン酸、ラウレス-9、ラウレス-10、ラウレス-10酢酸、ラウレス-10酢酸カリウム、ラウレス-16酢酸ナトリム、ラウレス-17酢酸ナトリウム、ラウレス-40、ラウレス硫酸TEA、ラウロアンホPG酢酸リン酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸、ラウロイル加水分解コラーゲンカリウム、ラウロイル加水分解コラーゲンナトリウム、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、ラウロイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸TEA、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデセス-2、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジコレステリル、ラウロイルグルタミン酸ジステアレス-2、ラウロイルグルタミン酸ジステアレス-5、ラウロイルサルコシン、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンTEA、ラウロイルトレオニンカリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニン、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンTEA、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ラネス-10、ラネス-25、ラネス-40、ラネス-75、ラノリン脂肪酸PEG-4、ラノリン脂肪酸PEG-12、ラノリン脂肪酸アミドDEA、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸グリセリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、ラピリウムクロリド、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸グリセリル、リシノレイン酸スクロース、リシノレイン酸ポリオキシプロピレンソルビット、リシノレイン酸ポリグリセリル-6、リノール酸ラノリル、リノレアミドDEA、硫酸化ヒマシ油、リンゴ酸ラウラミド、ロジン加水分解コラーゲン、ロジン加水分解コラーゲンAMPDなどが挙げられる。
上記界面活性剤の他、フッ素系の界面活性剤を用いることもできる。具体的には、例えば、ヘプタデカフルオロ-1-オクタンスルホン酸アンモニウム、ペンタデカフルオロオクタン酸アンモニウム、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロ-1-オクタンスルホン酸リチウム、ペンタデカフルオロオクタン酸、ペンタデカフルオロオクタン酸水和物、ヘプタデカフルオロ-1-オクタンスルホン酸カリウムなどが挙げられる。
上記界面活性剤の他、例えば、N-長鎖アシルグルタミン酸塩、N-長鎖アシルアスパラギン酸塩、N-長鎖アシルグリシン塩、N-長鎖アシルアラニン塩、N-長鎖アシルスレオニン塩、N-長鎖アシルサルコシン塩などのN-長鎖アシル中性アミノ酸塩等のN-長鎖アシルアミノ酸塩、N-長鎖脂肪酸アシル-N-メチルタウリン塩、アルキルサルフェートおよびそのアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、脂肪酸の金属塩、スルホコハク酸系界面活性剤、アルキルフォスフェートおよびそのアルキレンオキシド付加物、高級アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルヒドロキシエーテルカルボン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸などのアニオン界面活性剤、グリセリンエーテルおよびそのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型界面活性剤、グリセリンエステルおよびそのアルキレンオキシド付加物などのエステル型界面活性剤、ソルビタンエステルおよびそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型界面活性剤、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸アルキロールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン水添ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、アシルアミノ酸ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型界面活性剤、アルキルグルコシド類、硬化ヒマシ油ピログルタミン酸ジエステルおよびそのエチレンオキシド付加物、脂肪酸アルカノールアミドなどの含窒素型の非イオン性界面活性剤などの非イオン性界面活性剤、アルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、塩化アルキルトリメチルアンモニウム(C16-C22)、ジアルキルジメチルアンモニウムメトサルフェート塩などの脂肪族アミン塩、それらの4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩などの芳香族4級アンモニウム塩、脂肪酸アシルアルギニンエステル、N−長鎖アシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩、アミドアミン類、ステアラミドプロピルジメチルアミングルタミン酸塩、ステアラミドプロピルジメチルアミン乳酸塩、ステアラミドプロピルジメチルアミンピロリドンカルボン酸塩、ベヘナミドプロピルジメチルアミングルタミン酸塩ベヘナミドプロピルジメチルアミン乳酸塩、ベヘナミドプロピルジメチルアミンピロリドンカルボン酸塩等のカチオン両親媒性化合物並びにアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミノプロピオネート、カルボキシベタインなどのベタイン型両親媒性化合物、N−長鎖アシルアルギニン、N−(3−アルキル(12,14)オキシ−2−ヒドロキシプロピル)アルギニン塩酸塩、アミノカルボン酸型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤などの両性界面活性剤などを用いることもできる。
また、界面活性剤含有溶液は、界面活性剤の他に金属化合物を含んでいても構わない。金属化合物としては、金属イオンを含むものであれば幅広く用いることができる。
上記金属化合物は、陽イオンと陰イオンからなる塩(単塩)であっても、二種類以上からなる塩(複塩)であってもよい。
上記金属化合物は、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、乳酸塩などの化合物であってもよい。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、塩化リチウム、塩化ハフニウム、塩化鉄、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化銅、塩化コバルト、塩化硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸一水素ナトリウム、乳酸カルシウムなどが挙げられる。
上記金属化合物は、金属酸化物であってもよい。金属アルコキシドはMORで示される化合物であり、金属(M)とアルコキシド(RO-)(Rは炭化水素)からなる。金属(M)として、具体的には、ケイ素、チタン、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム、ホウ素、バナジウム、タングステン、リン、ゲルマニウム、インジウム、ハフニウム、モリブデンなどが挙げられ、種々のアルコールから金属アルコキシドが得られる。これらの金属アルコキシドをそのまま用いてもよく、これらの金属アルコキシドを酸またはアルカリ存在下でゾルゲル反応を行った反応物を用いてもよい。金属アルコキシドとしては、単一成分を用いず、二種類以上のものを混合してもよい。
上記金属化合物は、金属錯体であってもよい。具体的には、エチレンジアミンニッケル錯体、テトラアンミンコバルト錯体などが挙げられる。
また、界面活性剤含有溶液は、糖類を含んでいても構わない。糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類とその誘導体を配合する。具体的には、単糖類として、グルコース、フルクトースなどが挙げられる。二糖類として、スクロース、トレハロースなどが挙げられる他、多糖類として、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、プルラン、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、イヌリンなどを挙げることができ、特にプルランのような多糖類が好ましい。その他、カラメル、蜂蜜、ミツロウなどを用いてもよい。また、哺乳動物の涙、毛穴から分泌されるワックスエステル、スクアレン、トリグリセリド、脂肪酸などの皮脂、セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸、硫酸コレステロールなどの角質細胞間脂質、唾液や消化器から分泌される消化液、気道や消化器官を中心とする上皮細胞の膜表面に存在する膜型ムチンや分泌型ムチンなどを用いてもよい。また、節足動物などの無脊椎動物がクチクラ表面に分泌するワックス成分や水可溶性物質や脊椎動物の毛穴から分泌される油脂や水可溶性物質を用いてもよい。また、サメ、タラ、エイなどの肝臓にふくまれる肝油、クラゲ、ナマコなどの体液を用いてもよい。また、植物や菌類が分泌する天然分泌液を用いてもよく、植物由来では、ユーカリ油、はっか油、ひまし油など種々の植物の種子から採取できるオイル、松油、漆、サクラ、クヌギ、ヤナギなどの樹液を用いてもよい。原核生物が分泌するバイオフィルムを形成する初期分泌物やバイオフィルムそのものを用いてもよい。
また、界面活性剤含有溶液は、油脂類を含んでいても構わない。
油脂類としては、例えば、シリコンオイルなどが挙げられる。シリコンオイルは、生物試料の組織または細胞の水環境を保つ水分保持剤として機能し、これにより生きたままの生物試料の動的観察を達成する。すなわち、真空下においても組織や細胞の水が失われない、バリア性能を有する材料として用いることができる。
シリコンオイルとしては、例えば、25℃における粘度が1〜100,000mPa・sのものを使用できる。例えば、和光純薬工業「636−04001」、信越シリコーン「KF−54」、「KF−96」などが使用できる。
シリコンオイルを用いた本発明の界面活性剤含有溶液は、シリコンオイルを組成物全量に対して好ましくは10重量%以上含有し、それ以外の成分として、下記に例示したような成分を配合してもよい。
また、界面活性剤含有溶液は、イオン液体を含んでいても構わない。
イオン液体としては、例えば、イミダゾリウム塩類、ピリジニウム塩類、ピペリジニウム塩類、ピロリジニウム塩類、四級アンモニウム塩類、ホスホニウム類、スルホニウム類、ピラゾリウム類などが挙げられる。
イミダゾリウム塩類としては、例えば、1-アルキル-3-アルキルイミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、3-メチル-1-オクチルイミダゾリウム、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリイウム、1-メチル-3-テトラデシルイミダゾリウム、1-ヘキサデシル-3-イミダゾリウム、1-オクタデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム、1-アリル-3-エチルイミダゾリウム、1-アリル-3-ブチルイミダゾリウム、1,3-ジアリルイミダゾリウム、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルイミダゾリウムなどが挙げられる。
1-アルキル-2,3-ジアルキルイミダゾリウム塩としては、例えば、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3,-トリエチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジデシル-2-メチルイミダゾリウムなどが挙げられる。
ピリジニウム塩類としては、例えば、1-メチルピリジニウム、1-エチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-ヘキシルピリジニウム、1-エチル-3-メチルピリジニウム、1-メチル-4-メチルピリジニウム、1-プロピル-4-メチルピリジニウム、1-プロピル-3-メチルピリジニウム、1-ブチル-2-メチルピリジニウム、1-ブチル-3-メチルピリジニウム、1-エチル-3-ヒドロキシメチルピリジニウム、1-(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムなどが挙げられる。
ピペリジニウム塩類としては、例えば、1-メチル-1-プロピルピペリジニウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、1-(メトキシエチル)-1-メチルピペリジニウムなどが挙げられる。
ピロリジニウム塩類としては、例えば、1,1-ジメチルピロリジニウム、1-エチル-1-メチルピロリジニウム、1-メチル-1-プロピルピロリジニウム、1-ブチル-1-メチルピロリジニウム、1-(メトキシエチル)-1-メチルピロリジニウムなどが挙げられる。
四級アンモニウム塩類としては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、エチル-ジメチル-プロピルアンモニウム、トリブチルメチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウムなどの他、コリン、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム、トリメチルアミンオキシドなどが挙げられる。
ホスホニウム類としては、例えば、テトラブチルホスホニウム、トリブチルヘキサデシルホスホニウム、トリエチルペンチルホスホニウム、トリエチルオクチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、トリイソブチルメチルホスホニウム、トリブチルテトラデシルホスホニウム、トリエチルテトラデシルホスホニウムなどが挙げられる。
スルホニウム類としては、例えば、トリエチルスルホニウム、ジエチルメチルスルホニウムなどが挙げられる。
ピラゾリウム類としては、例えば、1-エチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1-プロピル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1-ブチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウムなどの他、グアニジニウム、N-(メトキシエチル)-N-メチルモルホリニウムなどが挙げられる。
上記、イオン液体と称される化合物のうち、アニオン部位は、次のようなものであってよい。すなわち、飽和/不飽和炭化水素基の他、芳香族炭化水素基、エーテル基、アルキル水酸基、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、アセテート、ラクテート、メトキシスルホネート、エトキシスルホネート、ジメトキシホスフェート、n-ブチルスルホネート、ジエトキシホスフェート、エチルスルホネート、n-ヘキシルホスフェート、ハイドロゲンホスフェート、チオシアネート、オクチルスルホネート、2-(2-メトキシエトキシ)エチルサルフェート、トリシアノメタン、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフラート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、エチルサルフェート、パーフルオロブタンスルホネート、ジシアンアミド、トリフルオロアセテート、ホルメート、リン酸二水素イオン(ジハイドロゲンホスフェート)、炭酸水素、メチルカルボネート、ジブチルホスフェート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[オキサレート(2-)-O,O’]ボレート、デカノエート、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィネート、ドデシルベンゼンスルホネート、p-トリエンスルホネート、ジエチルホスホネート、ベンゾエート、チオサリシネート、テトラクロロフェラート、テトラクロロアルミネート、ヘキサフルオロアンチモネートなどであってもよい。
また、アニオン部位は、J.Am.Chem.Soc., 2005, 127, 2398-2399に示す方法でイオン交換して得られる任意のアミノ酸であってもよい。ここでいうアミノ酸はモノマーであっても、ジペプチド、オリゴペプチドであってもよい。
また、界面活性剤含有溶液は界面活性剤を主成分とし、あるいは界面活性剤と金属化合物または糖とを含み、あるいは油脂類を含み、あるいはイオン液体を含むが、これらの成分に加え、以下の項目に挙げるアミノ酸およびその誘導体、多価アルコール、ビタミン類およびその誘導体、脂肪酸およびその誘導体、高分子材料などを任意の割合で加えてもよい。
上記水/ガスバリア性能を与える界面活性剤含有溶液の組成分として、アミノ酸およびその誘導体を配合しても良い。アミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジンなどの単体、塩酸塩、二分子以上で結合しているもの、その高分子などが挙げられる。これらは1種単独であっても二種類以上の混合物であってもよい。さらに、これらの誘導体であってもよい。
上記水/ガスバリア性能を与える界面活性剤含有溶液の組成分として、多価アルコールおよびその誘導体を配合してもよい。水酸基を分子内にもち、低蒸気圧物質であるものが好ましい。具体的には、例えば、グリセリン、トリグリセリド、ポリレゾルシノール、ポリフェノール、タンニン酸、ウルシオールなどが挙げられ、特にタンニン酸を用いることが好ましい。
上記水/ガスバリア性能を与える界面活性剤含有溶液の組成分として、ビタミン類およびその誘導体と関連物質を配合してもよい。具体的には、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、あるいはこれら誘導体が挙げられる。中でも、レチナール、β-カロテン、ビタミンB3(ニコチン酸、ニコチンアミド)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン)、ビタミンB9(葉酸)が好ましい。この他、ビタミン誘導体としては、D-アラボアスコルビン酸、セトフラビンT、4-デオキシピリドキシン塩酸塩、ジベンゾイルチアミン、2,6-ジ-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸、フラビンアデニンジヌクレオチド二ナトリウム水和物、(+)-5,6-O-イソプロピリデン-L-アスコルビン酸、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸、プロフラビンヘミ硫酸塩水和物、ピリドキサール塩酸塩、5-リン酸ピリドキサール一水和物、ピリドキシン3,4-ジパルミタート、イソアスコルビン酸ナトリウム一水和物、チアミンジスルフィド水和物、チアミンジスルフィド硝酸塩などが挙げられる。ビタミン関連物質としては、塩化コリン、臭化コリン、クエン酸二水素コリン、重酒石酸コリンコエンザイムQ10、補酵素Qo、メチオニンメチルスルホニルクロリド、イノシトール類などが挙げられる。
高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、テフロン(登録商標)(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、チタンイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
上記水/ガスバリア性能を与える界面活性剤含有溶液の組成分として、金属化合物、糖など、上記に例示した成分以外に、下記の成分を配合してもよい。
配位化合物:クラウンエーテル、シクロデキストリン、レゾルシン環状四量体、カリックスアレーン、デンドリマーなど。
脂肪酸とその誘導体:リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノレイン酸など。
糖と脂肪酸の誘導体:ヒアルロン酸、セラミド、両親媒性化合物、コラーゲン、アミノ酸、精油、ワセリンなど。
ゲル化剤:Poly(pyridinium-1,4-diyliminocarbonyl-1,4-phenylenemethylene chlorideなど。
色素:クロロフィル、カロテノイド(リコペン)、フィコビリン、メラニンなどの他、パプリカ色素、マラカイトグリーンなど。
導電性ポリマー:ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの他、ナフィオン(登録商標)など。
ナノクレイ:Nanoclay Nanomer(R) Laponiteの名前で商品化されているものやモンモリロナイトなど。
質量分析用試薬で主にMALDI法に用いられるマトリックス素材:3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸、シナピン酸、エスクレチン、4-ヒドロキシアゾベンゼン-2'-カルボン酸、3-ヒドロキシ-2-ピリジンカルボン酸、ニコチン酸、2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノン、α-シアノ-4-ヒドロキシけい皮酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸など。
界面活性剤含有溶液は、固体状態や液状であってよいが、真空下において試料組織の水環境を保持するために、液状で粘性の高い状態のものが好ましい。また、固体状態のものは、使用する際は液状態にして用いることができる。
界面活性剤含有溶液は、例えば、上記した各成分を水、有機溶剤などに溶かして、試料に直接コートなどすると、試料の表面にごく薄い膜を形成することができる。
界面活性剤含有溶液において、界面活性剤と、金属化合物および糖との配合割合は、特に限定されないが、例えば次のような組成が好ましいものとして例示される。
(1)界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):金属化合物(エチレンジアミンニッケル錯体)=0.005:0.001〜0.05〜0.01
(2)界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム):金属化合物(エチレンジアミンニッケル錯体)=0.005:0.0001〜0.05〜0.001
(3)界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):金属化合物(テトラアンミンコバルト錯体)=0.005:0.001〜0.05〜0.01
(4)界面活性剤(Tween 20)/糖(トレハロース)=3/1〜20/2
(5)界面活性剤(Tween 20)/糖(プルラン)=3/0.2〜20/2
(6)界面活性剤(Tween 20/糖(イヌリン)=3/0.1〜20/7
界面活性剤含有溶液は、試料に塗布した後、余分な液をキムワイプのような柔らかい布状の紙、ろ紙などで吸い取る。TEM観察のための試料は、媒体の塗布、付着、コート、被覆、包埋などにより処理される。
このようにして試料表面に形成される薄膜の膜厚は、例えば、5nm〜1000nmの範囲にすることができる。
本発明の電子顕微鏡観察用キットは、以上に説明した電子顕微鏡観察用保護剤と界面活性剤含有溶液を含有することを特徴としている。本発明の電気顕微鏡観察用キットは、上記の二種類の溶液を用いるだけで、これまで検討が必ずしも充分ではなかった哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の表面を覆う強固な層を有さない脆弱な生物試料を生きたままの状態で簡便に電子顕微鏡観察することを可能とする。
本発明の電子顕微鏡による試料の観察方法によれば、上記の電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布し、電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の生物試料を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成して含水状態の生物試料を覆い、真空下の試料室に収容されたこの薄膜で覆った含水状態の生物試料の電子顕微鏡像を表示装置に表示することによって含水状態の生物試料を生かしたまま観察することができる。
また、本発明の電子顕微鏡による試料の観察方法によれば、上記の電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布する少なくとも前後に、界面活性剤含有溶液を含水状態の生物試料に適用することが好ましい。
すなわち、界面活性剤含有溶液を塗布するタイミングは、含水状態の生物試料の種類に応じて、電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布する前後のどちらでも構わない。
また、本発明の電子顕微鏡による試料の観察方法では、含水状態の生物試料に塗布するのに先立って含水状態の生物試料表面を水洗浄することが好ましい。
水洗浄に用いる水は、含水状態の生物試料に影響を及ぼさない限り特に制限されない。具体的には、例えば、超純水、脱イオン水、蒸留水等が例示される。
通常、細胞に上記の水を滴下すれば、浸透圧異常が引き起こされて、細胞が破裂すると考えられてきた。しかしながら、本発明者らは、細胞に蒸留水を滴下して1分間静置する洗浄処理を2回繰り返しても、細胞には何ら異常が認められないことを見出した。さらに、一部の細胞においては、水洗浄工程を加えることで得られたSEM像は、界面活性剤含有溶液処理後に電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した場合のSEM像と比較して、より明瞭であることが確認された。本発明者らは、培養細胞の表面に界面活性剤含有溶液と類似した性状の物質が存在しており、その濃度は、界面活性剤含有溶液よりも高濃度であるため、水洗浄によって、培養細胞の分泌物が観察に適した薄膜を形成可能な濃度に希釈されたと考えている。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、電子顕微鏡の試料室内において試料観察用の電子線を含水状態の生物試料に照射することによって含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成することが好ましい。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、電子顕微鏡による含水状態の生物試料観察前に予め、電子顕微鏡の試料室内の電子線とは別途の電子線またはプラズマを試料に照射することによって含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成することが好ましい。
特に、電子顕微鏡観察用保護剤または界面活性剤含有溶液を含水状態の生物試料の表面に塗布した後、含水状態の生物試料に電子線またはプラズマを照射して、含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成して含水状態の生物試料を覆い、真空下の試料室に収容されたこの薄膜で覆った含水状態の生物試料の電子顕微鏡像を表示装置に表示することによって含水状態の生物試料を生かしたまま観察することができる。
この薄膜は、電子顕微鏡の試料室内において試料観察用の電子線を含水状態の生物試料に照射することによって、含水状態の生物試料の表面に形成することができる。
あるいは、電子顕微鏡による試料観察前に予め、電子顕微鏡の試料観察用の電子線とは別途の電子線またはプラズマを試料に照射することによって、含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成することができる。
照射条件は、使用する電子顕微鏡観察用保護剤または界面活性剤含有溶液等によって適宜に選択され、特に限定されないが、一例としては、従来の前処理をせずに電子顕微鏡観察用保護剤または界面活性剤含有溶液で覆った含水状態の生物試料にSEMの電子ビーム(例えば5.0kV程度)を試料室内で60分間照射することによって、高真空(例えば10-4〜10-7 Pa)での生きたままの生物試料のSEM観察、例えば通常のFE-SEMでの観察が可能になる。
また、別の一例では、従来の前処理をせずに電子顕微鏡観察用保護剤または界面活性剤含有溶液で覆った含水状態の生物試料に予め3分間プラズマを照射することによって、高真空での生きたままの生物試料のSEM観察やTEM観察が可能になる。
このような電子線やプラズマの照射によって、含水状態の生物試料の表面は薄膜で覆われる。この薄膜の厚さは、生物試料表面に形成する場合には、例えば、5nm〜1000nmの範囲にすることができる。
プラズマの照射による重合は、例えば、従来のイオンスパッタリング装置などを用いて、圧力10-3〜105Pa、-20〜+80℃、1〜10kV DCの条件で行うことができる。あるいは、従来のプラズマ重合で用いられているような反応管のような装置や方法で行うことができる。
本発明において、電子顕微鏡による観察のために、SEM観察のための含水状態の生物試料は、界面活性剤含有溶液の塗布、付着、コート、被覆などにより処理される。例えば塗布の場合には、塗布した後、余分な液をキムワイプのような柔らかい布状の紙、ろ紙などで吸い取る。TEM観察のための含水状態の生物試料は、界面活性剤含有溶液の塗布、付着、コート、被覆、包埋などにより処理される。
また、一部の培養細胞、単一細胞については、プラズマの照射によって細胞の萎縮が認められることがあるため、電子線の照射によって薄膜を形成することが好ましい。
試料を試料室に導入する際、例えば、円柱形の基部材の上面に、薄膜を形成させた含水状態の生物試料が載置され、円柱形の部材の直径にほぼ等しい円形の開口部を有し、その上面部にはこの開口部よりも直径の小さな開口部を備え、側面部には固定孔を持つリング状部材が、円柱形の基部材の上面に載置した含水状態の生物試料に被せられ、円柱形の基部材とリング状部材が固定材で固定される試料台を用いてもよい。
また、中央に円形の凹部が形成された円柱形の部材の上面に、薄膜を形成させた含水状態の生物試料が載置され、中央に円形の貫通孔が形成され、この貫通口の周囲に複数の固定孔が開孔された円盤状の部材が、円柱形の部材の上面に載置された含水状態の生物試料に被せられ、円盤状の部材と円柱形の部材とが固定材で固定される試料台を用いてもよい。
上記のような構造を備えた試料台を用いることによって、膜状の動物組織の試料に対して張力がかかり、組織の萎縮が抑制され、より膜表面が広がった生物体内における形態に近い状態での観察が可能である。
本発明の含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法は、生体から摘出した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織に生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の癌細・BR>Eまたはこれを含む組織の表面に薄膜を形成して覆う工程と、真空下の試料室に収容された薄膜で覆った含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の画像診断を行う工程とを含むことを特徴としている。
本発明の含水状態の癌細胞の観察方法を適用することにより、正常細胞では、細胞が規則正しく配列され、細胞の形状も滑らかであるのに対し、癌細胞では、細胞が不規則に存在し、多層状に積み重なり、細胞表面も隆起が多いことが確認される。このため、特殊な細胞マーカー等を用いずとも、正常細胞と癌細胞の外部形態の差異に着目することで、癌細胞またはこれを含む組織の画像診断を行うことが可能となる。この他に、浸潤性、転移性の高い癌細胞については、周辺の正常細胞に対して微小ファイバーを伸長させることがあるため、このような癌細胞特有の形態変化に着目することによっても、癌細胞またはこれを含む組織の画像診断を行うことが可能となる。
本発明の含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法において、含水状態の癌細胞は、正常細胞または細胞シート上に播種し、培養したものであることが好ましい。
細胞シートは正常細胞を平板状に培養することで得られる培養細胞の一形態である。このような正常細胞や細胞シートを用いることにより、癌細胞が正常細胞に浸潤、転移する過程を経時的に観察することが可能となり、また、癌細胞が正常細胞に浸潤、転移する際の特有の形態変化を観察することも可能となる。このような癌細胞が正常細胞に浸潤、転移する際の特有の形態変化としては、癌細胞による微小ファイバー伸長が例示される。癌細胞は、正常細胞に対して、微小ファイバーを伸長させ、この微小ファイバーを足掛かりとして正常細胞の内部へと浸潤、転移していく。本発明の含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法を用いることで、含水状態の正常細胞および癌細胞を生かしたまま、この微小ファイバーの伸長を観察することができる。
本発明の含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法において、生体から摘出した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織を、摘出後化学固定することなく観察することができる。このように、化学固定することなく生体から摘出した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織を観察することにより、癌細胞の浸潤、転移にともなう形態変化をリアルタイムに観察することができる。
また、本発明の含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法において、生体から摘出した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織を、従来医療機関で行われているように、摘出後直ちに化学固定することも可能である。このように、迅速に化学固定をすることにより、細胞の変化を最小限に食い止め、再現性の高い診断技術を提供することが可能となり、本発明は、診断技術の標準化にも寄与すると考えられる。
本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法は、含水状態の細胞または細胞シートに生理活性物質または薬剤を添加する工程と、生理活性物質または薬剤を添加した含水状態の細胞または細胞シートに生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の細胞または細胞シートを試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の細胞または細胞シートの表面に薄膜を形成して覆う工程と、真空下の試料室に収容された薄膜で覆った含水状態の細胞または細胞シートの電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態の細胞または細胞シートに対する生理活性物質または薬剤の効果を画像診断する工程とを含むことを特徴としている。
本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法を用いれば、含水状態の正常細胞または細胞シートに薬剤を添加することにより生じる形態変化を細胞を生かしたまま経時的に観察することが可能となる。例えば、生理活性物質または薬剤添加後の経過時間が20分、30分、60分と異なるタイミングの細胞に本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を塗布することにより、生理活性物質または薬剤が投与後いつの時点で有効に作用するのかを観察することができる。
本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法において、細胞が含水状態の正常細胞であって、正常細胞の形態変化を指標として副作用の少ない生理活性物質または薬剤をスクリーニングすることが好ましい。
本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法において、生理活性物質または薬剤は創薬分野における新規開発薬品であることが好ましい。新規開発薬品としては、例えば、抗癌剤等が例示される。
本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法において、細胞が含水状態の病変細胞であって、含水状態の病変細胞の形態変化を指標として活性のある生理活性物質または薬剤をスクリーニングすることが好ましい。
本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法において、含水状態の病変細胞が癌細胞であって、生理活性物質または薬剤は創薬分野における新規開発薬品であることが好ましい。新規開発薬品としては、例えば、抗癌剤等が例示される。
含水状態の正常細胞または細胞シートに添加する生理活性物質及び薬剤は、抗癌剤に限らず、例えば、ヒスタミンや増殖因子、抗炎症薬、抗悪性腫瘍薬等、様々な生理活性あるいは薬理活性を有する薬剤に対して適用可能である。これらの多様な薬剤について、細胞の形態に変化を引き起こす薬剤であれば、その効果、活性について観察して、評価することが可能となり、薬剤のスクリーニングを行うことができる。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、含水状態の細胞と1次抗体を接触させる工程と、1次抗体に金コロイド修飾された2次抗体を接触させる工程と、1次抗体と2次抗体とが結合した含水状態の細胞に生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の細胞を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の細胞の表面に薄膜を形成して含水状態の細胞を覆う工程と、真空下の試料室に収容された薄膜で覆った含水状態の細胞の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程とを含み、含水状態の細胞の1次抗体との結合部位を観察することを特徴としている。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、1次抗体と反応する抗原が、含水状態の細胞の膜タンパク質であり、含水状態の細胞の一次抗体との結合部位を観察することが好ましい。
従来の免疫電顕法において化学固定を含む多段階の試料作製法が必要であり、SEMでは丸1日、TEMでは数日間を要していた。しかしながら、本発明の含水状態の細胞の1次抗体との結合部位の観察方法は、細胞を化学固定する必要がなく、抗体以外に添加するものは、電子顕微鏡観察用保護剤と界面活性剤含有溶液のみである。このため、数時間で含水状態の細胞の1次抗体との結合部位の観察を行うことができる。
また、従来の免疫電顕法においては、超微形態保存と染色性の良い部位を選ぶ必要があった。そして、微細構造維持のため、化学固定を強めると含水状態の細胞の抗原能が低下し、感度の低下が引き起こされる。感度を向上させるために、化学固定を弱めると細胞の微細構造が損壊するという同時に解決することが困難な問題が指摘されている。しかしながら、本発明の含水状態の細胞の1次抗体との結合部位の観察方法は、化学固定による抗原能失活を激減させることが可能であり、感度を従来法のおよそ100倍程度まで向上させることも可能である。
さらにまた、従来の免疫電顕法においては、試料作製にあたってのアーチファクトと本来目的とするシグナルとの区別がつきにくく、正確な抗原タンパク質の局在の確認には、実験者の手技と熟練度に依存するところが大きかった。また、免疫染色法で使用する実験機器の操作も難しく、十分な訓練が必要であった。しかしながら、本発明の含水状態の細胞の1次抗体との結合部位の観察方法は、上記のとおり、従来法と比較して高感度であるため、低濃度での抗体処理が可能となり、非特異的なシグナルが検出されにくいという利点がある。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いることによって、細胞を化学固定することなく、1次抗体と2次抗体を作用させ、極めて短時間に、感度良く、非特異的シグナルの少ない免疫電顕法のSEM像を得られる。この新規の面免疫電顕法を用いた観察を行えば、例えば、抗原として腫瘍マーカーを用いることで、迅速、簡便に高確度の癌診断、癌病理検査を実現することが可能となる。なお、病変細胞は、癌細胞に限らず、炎症性の疾患や自己免疫疾患等についても、診断が可能である。
本発明者らは、本発明の含水状態の細胞の1次抗体との結合部位の観察方法を、新規の免疫電顕法である、Live免疫電顕法と呼称している。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いることによって、含水状態のウイルス粒子を電子顕微鏡を用いて観察、計数し、ウイルス濃度を定量することも可能である。
従来のウイルス定量法としては、プラークアッセイ法や定量PCR法等が利用されている。しかしながら、プラークアッセイ法は、準備にかかる時間や再現性の乏しさから、よりよい測定法が求められている。定量PCRは、非常に有効な測定法であるが、ウイルスDNAを抽出する工程におけるDNAの損失が不可避であることが課題とされている。また、定量PCRによるウイルス定量は、試料溶液中に含まれる全てのウイルスゲノム量を測定するため、実際のウイルス粒子の数については推定するしかなかった。
そのため、ウイルス粒子を定量的に直接測定することが理想であったが、直接測定法であるTEM、クライオ電子顕微鏡を用いたウイルス定量法では定量性に技術的な困難があった。
以上の課題を解決するための手段として、本発明者らは、本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法を考案した。
すなわち、本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法は、含水状態のウイルス粒子を基板上に濃縮する工程と、基板上に濃縮した含水状態のウイルス粒子に生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態のウイルス粒子を基板とともに試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態のウイルス粒子の表面に薄膜を形成して試料を覆う工程と、真空下の試料室に収容された薄膜で覆った含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡像においてウイルス粒子を計数する工程とを含むことを特徴としている。
本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法において、含水状態のウイルス粒子を基板上に濃縮する工程が、含水状態のウイルス粒子の表面に電荷をチャージさせ、このチャージさせた電荷と相反する電荷を表面にチャージさせた基板に吸着させてウイルス粒子を濃縮することが好ましい。
本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法において、含水状態のウイルス粒子表面にポリブレン処理してプラスの電荷をチャージさせることが好ましい。
本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法において、プラズマ照射することによって基板の表面にマイナスの電荷をチャージさせることが好ましい。すなわち、基板表面にプラズマを照射することにより、基板表面の官能基が切断され、親水性基が表面に露出する。これらの親水性基として、例えば、水酸基等が例示され、基板表面にマイナスの電荷をチャージさせることが可能となる。
本発明の実施形態においては、あらかじめ宿主細胞において増殖させたウイルスを回収しておくことが好ましい。ウイルスの回収方法としては、宿主細胞にウイルス粒子を感染させ、培養上清中に存在するウイルス粒子を回収したり、ウイルスに感染した細胞を緩衝液中で磨砕し、得られたウイルス感染細胞の磨砕液をフィルターろ過、ショ糖密度勾配法、超遠心処理するなど公知の方法を好適に用いることが可能である。また、これらの方法は、単独または複数を組み合わせることができる。
含水状態のウイルス粒子を基板上に濃縮する方法として、ウイルス粒子にプラスの電荷をチャージさせ、基盤にマイナスの電荷をチャージさせているが、ウイルス粒子にマイナスの電荷をチャージさせ、基盤にプラスの電荷をチャージさせてもよい。
また、ウイルス粒子にプラス電荷をチャージさせるための化合物としては、含水状態のウイルス粒子に形態変化を引き起こさない限り、特に限定されない。ポリブレンは、図46(a)に示すように、多価第四級アミン高分子化合物で、負に荷電しているガラス基板表面とウイルスの間の糊の役目を果たし、ウイルスの流出防止に著しい効果を持つことから好ましく用いられる。
なお、含水状態のウイルス粒子を基板上に濃縮する方法は、含水状態のウイルス試料に形態変化を起こさせない限り、上記のとおり電荷を使用した方法に限定されるものではない。
基板としては、ガラスに限らず、金属製試料台やセラミックス等も用いることができる。
本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法では、電子顕微鏡の複数の視野におけるウイルス粒子をカウントし、平均値を算出し、測定試料であるウイルス粒子の分散液の希釈倍率や、ウイルス粒子の分散液の滴下量等のパラメータを乗じることによって、求めることができる。そして、本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法で求められたウイルス濃度は、従来法であるプラークアッセイ法や定量PCR法によって求められたウイルス濃度と矛盾しない。
また、本発明の含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法と本発明の含水状態の細胞の1次抗体との結合部位の観察方法とを組み合わせることによって、例えば、1次抗体として抗DNA抗体を用いることによりDNAウイルスとRNAウイルスの区別も可能であると考えられる。
本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、電子顕微鏡と他の分析方法とを組み合わせて行う解析・分析に適用することが可能である。
例えば、本発明の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法は、走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析との組合せ(SEM−EDS)、透過型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析との組合せ(TEM−EDS)などに適用することができる。EDSとの組み合わせにより、例えば、含水状態の細胞の表面から数百μm程度までの深さにわたる元素分布を、細胞を化学固定することなく解析することができる。
また、上記EDS解析によって得られる元素分布と、本発明の含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法とを組み合わせることによって、例えば、含水状態の正常細胞または細胞シートに生理活性物質または薬剤を添加することにより生じる作用機序に関して、細胞の形態変化に加えて元素分布変化の観点も含めて、細胞を生かしたまま経時的に分析することが可能となる。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、電子顕微鏡による哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料を観察するための良好な電子顕微鏡観察用保護剤として機能する。すなわち、哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料を従来の脱水、化学固定、電子染色を施すことなく、生きたものを生きたままの状態で電子顕微鏡の鏡体内にいれることを可能にし、観察時においても、減圧下における、乾燥、氷晶、温度変化によるダメージを抑制し、かつ、試料中の水/ガスをバリアするSurface Shielding Effect(SS効果)を増強している。
本発明によれば、本発明者らによる先行発明では検討が必ずしも充分ではなかった哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料を変形させずに試料そのものの状態を損なうことなく観察できるようになる。つまり、先行発明に示された、試料中の水/ガスをバリアするSurface Shielding Effect(SS効果)を増強することが可能である。
すなわち、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、電子顕微鏡による哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料を観察するための良好な可視化剤として機能するため、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡での試料観察への利用に適している。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を培養細胞に塗布する場合、生きたまま細胞表面を覆うことが可能であるだけでなく、細胞表面を覆った後も細胞は生存している。
哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料の表面を本発明の電子顕微鏡観察用保護剤と界面活性剤含有溶液で覆うことによって、哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料の生きた状態を走査型電子顕微鏡でかつ生物微細表面などの構造を観察できる。
そして本発明の電子顕微鏡観察用保護剤によれば、哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料の表面を覆うことによって、含水状態の生物試料の生きた状態を、走査型電子顕微鏡下で帯電(チャージアップ)することなく直接観察することが可能となる。
また、電子顕微鏡での観察において、従来必要とされてきた、含水状態の生物試料の試料作製に必要であった化学固定→導電染色→脱水→乾燥→コーティング、あるいは、化学固定→脱水→包埋→超薄切→電子染色→コーティングなどの行程を経ることなく、高倍率での観察を可能にする。
本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、電子顕微鏡による測定中においても試料の変形、変質を抑制し、測定の前後において著しいダメージを試料に与えない。本発明者らの先行発明である蒸発抑制用組成物では検討が必ずしも充分ではなかった哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料に対し、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いることによって、真空下において、水/ガスバリア性能を増強し、試料内の温度の著しい低下を抑制することが可能となる。また、真空下において、哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料に電子線を照射しても、水/ガスバリア性能を増強し、試料内の温度の著しい低下を抑制するほか、電子線照射による帯電の防止、熱的ダメージの抑制等の作用を増強することが可能となる。試料が含水状態の生物試料である場合は、生きた状態のものを生きたままで観察でき、鏡体から出しても試料になんら変化はみられない。
特に、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いることによって、培養細胞を生きたまま電子顕微鏡観察した後、培養細胞を培地中に戻すことによって、培養細胞は観察後直ちに死滅することはなく、一定期間生存し続けることが可能である。
本発明において、走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡による試料観察は、これまでに知られている構成の装置によって行うことができる。
走査型電子顕微鏡は、一般に鏡筒部(鏡体)と操作部とから構成されている。鏡筒部では、電子銃による電子線の発生、電子レンズによる電子線の絞り込み、電子プローブの整形、偏向コイルによる電子プローブの試料表面の観察領域での走査などが行われる。試料が載置される試料室は、試料台と、試料から放出された信号を検出する検出器を備えている。この鏡筒部は、清浄な真空で維持されなければならないため、目的に応じた真空排気機構が設けられる。
操作部は、電子線の発生、電子レンズのレンズ作用、非点補正、電子プローブの試料面上での走査範囲(倍率)や走査速度などの制御を行い、また検出された信号をCRT上に映像として表示する。
また、静止した走査型電子顕微鏡像ではノイズの少ないロースキャン画像で観察・撮影するのが一般的であったが、生きた生物試料の走査型電子顕微鏡による観察ではTVモードでの観察、すなわち動画の映像が主になる。したがって、走査型電子顕微鏡にはノイズの少ない(S/Nの小さい)TVモード画像表示・録画回路を付加し、高画質のTVモードで走査型電子顕微鏡像の表示と録画を行うことも考慮される。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例において、SEM観察は、典型的には、電界放射型走査型電子顕微鏡(FESEM,S−8000(Hitachi))を用いて、5.0kVの加速電圧で行った。
<実施例1>
生存環境付与成分としてグリセリンと水を、糖類としてグルコースを、電解質として塩化ナトリウムを用い、生存環境付与成分(グリセリン):(水):糖類(グルコース):電解質(塩化ナトリウム)=20:10:0.7:0.03の配合割合で混合し、電子顕微鏡観察用保護剤を調製した。
また、界面活性剤含有溶液として、1%(v/v)のTween20溶液を調製した。
生きたマウスから腹膜を摘出し、10%(w/w)中性緩衝ホルマリンによって一次化学固定した後、前処理として電子顕微鏡観察用保護剤に1分間浸漬した。前処理したマウス腹膜剥離部位を、界面活性剤含有溶液に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分を拭き取り、その表面を界面活性剤含有溶液で覆った。その後、界面活性剤含有溶液で覆われたマウス腹膜の上皮側を上面にしてSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図1(a)は、従来の一次化学固定の後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態のマウス腹膜上皮側を倍率50倍で観察、撮影したSEM像である。また、図2(a)は、図1(a)の試料を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例1では、チャージアップや腹膜の開裂は全く認められず、腹膜表面に多数の隆起が確認された。このことから、薄膜形成に先だって、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤で処理することによって、生物試料が哺乳動物の生体組織であっても、真空下において正常な形態を維持できることが確認された。
<比較例1>
実施例1と同様に、生きたマウスから腹膜を摘出し、10%(w/w)中性緩衝ホルマリンによって一次化学固定した後、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤と界面活性剤含有溶液で処理せずに、マウス腹膜の上皮側を上面にしてSEM試料室に入れ、SEM観察を行った。
図1(b)は、一次化学固定処理のあと、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤と界面活性剤含有溶液で処理していないマウス腹膜上皮側を倍率50倍で観察、撮影したSEM像である。また、図2(b)は、図1(b)の試料を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。
比較例1では、SEM像がチャージアップを起こしており、腹膜表面が破れていることが確認された。このため、従来の化学固定処理方法では、哺乳動物の生体組織を真空下において正常な形態を維持させることは困難であることがわかる。
<実施例2>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
生きたマウスから摘出した腹膜を、化学固定せずに、直ちに前処理として電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液に1分間浸漬した。
前処理したマウス腹膜を、界面活性剤含有溶液に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分を拭き取り、その表面を界面活性剤含有溶液で覆った。その後、界面活性剤含有溶液で覆われたマウス腹膜をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図3(a)は、倍率100倍で観察、撮影したSEM像であり、また、図3(b)は、図3(a)の試料を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例2では、実施例1と同様に、腹膜表面が正常な形態を維持しており、多数の隆起構造が確認された。このことから、薄膜形成に先だって、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤で処理することによって、生物試料が哺乳動物の生体組織であっても、真空下において正常な形態を維持できることが確認された。
<実施例3>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
10%(w/w)中性緩衝ホルマリンによって一次化学固定したヒト胃癌の病理標本を電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液に1分間浸漬した。余分な界面活性剤含有溶液を拭き取り、試料をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図4(a)は、従来の一次化学固定の後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態のヒト胃癌の病理標本を倍率500倍で観察、撮影したSEM像である。また、図4(b)は、図4(a)の試料を倍率1,500倍で観察、撮影したSEM像である。さらに、図5は、図4(a)の試料を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例3では、表面に不規則な隆起を有する癌細胞と、規則的な構造を有する正常細胞との形態の差異を明瞭に確認することができ、癌細胞と正常細胞との境界面(Front line)も認められた。
<実施例4>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
10%(w/w)中性緩衝ホルマリンによって一次化学固定したヒト胃癌の病理標本を電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液に1分間浸漬した。余分な界面活性剤含有溶液を拭き取り、試料をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図6(a)は、従来の一次化学固定の後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態のヒト胃癌の病理標本を倍率100倍で観察、撮影したSEM像である。また、図7(a)は、図6(a)の試料を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。さらに、図8は、図6(a)に示したヒト胃癌の病理標本を厚み方向に切断し、切断面を倍率200倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例4では、表面に不規則な隆起と穿孔を有する癌細胞を明瞭に確認することができた。また、図8に示したように、表面を観察した病理標本を厚み方向に切断し、従来困難であった同一の病理標本を厚み方向に切断し、病理標本の切断面を観察可能であることも確認された。これにより、癌細胞が臓器の表面からどの程度の深さまで広がっているかについて、容易に情報を得ることができると考えられる。
<比較例2>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
10%(w/w)中性緩衝ホルマリンによって一次化学固定した正常なヒト胃の病理標本を電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液に1分間浸漬した。余分な界面活性剤含有溶液を拭き取り、試料をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図6(b)は、従来の一次化学固定の後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した含水状態の正常なヒト胃の病理標本を倍率100倍で観察、撮影したSEM像である。また、図7(b)は、図6(b)の試料を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。
<実施例5>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒト正常皮膚細胞を平板状に培養した細胞シート上に非転移株のヒトメラノーマ細胞を播種し、培養後に電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。その後、界面活性剤含有溶液で覆われた非転移株のメラノーマをSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図9(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した非転移株のヒトメラノーマ細胞を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、図9(b)は、(a)の辺縁部の微小ファイバーを倍率10,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例5では、非転移株のメラノーマ細胞は、微小ファイバーをほとんど伸長させることがないため、正常皮膚細胞の表面にとどまり浸潤しないことが確認された。また、ヒト皮膚由来線維芽細胞とヒトメラノーマ細胞との境界は明瞭に区別することが可能である。
<実施例6>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒト正常皮膚細胞を平板状に培養した細胞シート上に転移株のヒトメラノーマ細胞を播種し、培養後に電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。その後、界面活性剤含有溶液で覆われた転移株のヒトメラノーマ細胞をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図10(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞を倍率1,000倍で観察、撮影したものである。また、図10(b)は、図10(a)の辺縁部の微小ファイバーを倍率10,000倍で観察、撮影したものである。
実施例6では、転移株のメラノーマ細胞が、正常皮膚細胞に対して微小ファイバーを伸長し、この微小ファイバーを足掛かりにして、正常皮膚細胞に浸潤することが確認された。
<実施例7>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒト正常皮膚細胞を平板状に培養した細胞シート上に転移株のヒトメラノーマ細胞を播種し、20分後に電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。その後、界面活性剤含有溶液で覆われた転移株のヒトメラノーマ細胞をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図11(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞を、倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、図11(b)は、図11(a)を倍率5,000倍で観察、撮影したSEM像である。図12は、図11(a)を倍率5,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例7では、播種から20分で転移株のメラノーマ細胞が、正常皮膚細胞に対して微小ファイバーを伸長し、この微小ファイバーを足掛かりにして、正常皮膚細胞に浸潤を開始することが確認された。
<実施例8>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒト正常皮膚細胞を平板状に培養した細胞シート上に転移株のヒトメラノーマ細胞を播種し、30分後に電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。その後、界面活性剤含有溶液で覆われた転移株のヒトメラノーマ細胞をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図13(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞を、倍率500倍で観察、撮影したSEM像である。また、図13(b)は、図13(a)を倍率2,000倍で観察、撮影したものである。
実施例8では、播種から30分で転移株のメラノーマ細胞の正常皮膚細胞に対する浸潤が進行し、徐々に正常皮膚細胞と一体化しつつあることが確認された、また、転移株のメラノーマ細胞の微小ファイバーは、播種後20分と比較してさらに伸長していることが確認された。
<実施例9>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒト正常皮膚細胞を平板状に培養した細胞シート上に転移株のヒトメラノーマ細胞を播種し、60分後に電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。その後、界面活性剤含有溶液で覆われた転移株のヒトメラノーマ細胞をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図14(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞を、倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、図14(b)は、図14(a)を倍率5,000倍で観察、撮影したものである。
実施例9では、播種から60分で転移株のメラノーマ細胞の正常皮膚細胞に対する浸潤はさらに進行し、正常皮膚細胞と転移株のメラノーマ細胞が完全に一体化していることが確認された、また、転移株のメラノーマ細胞の微小ファイバーは、播種後30分と比較してさらに伸長していることが確認された。
<実施例10>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒト正常皮膚細胞を平板状に培養した細胞シート上に非転移株のヒトメラノーマ細胞を播種し、60分後に電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。その後、界面活性剤含有溶液で覆われた非転移株のヒトメラノーマ細胞をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図15(a)、(b)は、それぞれヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した非転移株のヒトメラノーマ細胞を、倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、図16(a)、(b)は、図14(a)、(b)を倍率5,000倍で観察、撮影したものである。
実施例10では、非転移株のメラノーマ細胞は、正常皮膚細胞上に播種後60分経過しても、微小ファイバーの伸長およびメラノーマ細胞の浸潤が認められなかった。
以上の実施例7〜10の結果から、ヒトメラノーマ細胞が正常皮膚細胞への浸潤に要する時間は、播種からわずか20分〜60分という短時間であることが明らかとなった。また、メラノーマ細胞の場合、微小ファイバーの伸長を指標とすることで形態学的に非転移株のメラノーマ細胞と転移株のメラノーマ細胞とを識別することが可能となり、皮膚癌患者から採取した癌細胞を数十分培養した後、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いてSEM観察することによって、患者の癌細胞が転移株か非転移株であるのかを診断することが可能となる。さらに、微小ファイバーの伸長している範囲を確認することで、癌細胞を外科的に切除する際に、切除範囲を最小限に抑えることも可能になると考えられる。
<実施例11>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒト正常皮膚細胞を平板状に培養した細胞シート上に転移株のヒトメラノーマ細胞を播種し、抗癌剤の一種であるソラフェニブを添加して60分後に電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。その後、界面活性剤含有溶液で覆われた転移株のヒトメラノーマ細胞をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図17(a)は、ヒト皮膚由来線維芽細胞の細胞シート上に播種した転移株のヒトメラノーマ細胞にソラフェニブを添加し、倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、図17(b)は、図17(a)を倍率5,000倍で観察、撮影したものである。
実施例11では、ソラフェニブを添加することによって、転移株のメラノーマ細胞であっても、微小ファイバーを伸長させることができず、浸潤が抑えられることが確認された。
したがって、皮膚癌患者から採取した癌細胞に抗がん剤を添加して培養した後、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いてSEM観察することによって、添加した抗癌剤が患者の癌細胞に対して有効であるかどうかを診断することが可能となる。また、癌細胞に抗癌剤候補物質を添加して培養した後、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いてSEM観察することによって、添加した抗癌剤候補物質が実際に抗癌活性を有するかどうか、薬剤スクリーニングを行うことも可能である。
<実施例12および比較例3>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒト正常皮膚細胞を立体的に三次元培養したヒト人工皮膚上にゲフィチニブを添加し、60分後に電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。その後、界面活性剤含有溶液で覆われた転移株のヒトメラノーマ細胞をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った(実施例12)。
図18は、三次元培養したヒト人工皮膚の写真である。図18Aは、培養中のヒト人工皮膚と培養容器を示した写真である。また、図18Bは、図18Aのヒト人工皮膚の病理切片を作成し、HE染色した写真である。図19(a)は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したゲフィチニブを添加したヒト人工皮膚を倍率2,500倍で観察、撮影したSEM像である。また、図19(b)は、対照区として、図19(a)に示したヒト人工皮膚にDMSOを添加し、60分後に電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した後、倍率2,500倍で観察、撮影したSEM像である(比較例3)。
実施例12では、ゲフィチニブを添加した人工皮膚細胞の表皮が、図19(a)に示すように鱗片状に剥離
することが確認された。一方、対照区の人工皮膚細胞においては、正常な形態が保たれていた。以上の結果から、三次元培養した人工皮膚細胞に対してゲフィチニブを添加した後、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いてSEM観察することにより、ゲフィチニブの副作用である皮膚細胞の表面変化を培養細胞系で評価することが可能となった。また、各種の抗癌剤を添加することにより、より副作用の少ない薬剤をスクリーニングすることが可能となる。さらにまた、抗癌剤に限らず、薬剤候補物質を添加して培養した後、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いてSEM観察することによって、活性のある薬剤候補物質をスクリーニングすることができる。
<実施例13>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ポリエチレンテレフタラート(PET)製の細胞培養フィルターに、ヒト新生児皮膚由来性線維芽細胞を4層の層状になるように培養し、次いで、培養されたヒト新生児皮膚由来性線維芽細胞の上に、ヒト皮膚由来リンパ管内皮細胞を播種して共培養した。共培養した細胞上に、ヒト皮膚由来リンパ管内皮細胞の膜タンパク質を抗原とする1次抗体溶液を、適当な抗体希釈バッファーを用いて濃度調整して滴下し、37℃で30分培養した。適当な洗浄バッファーを用いて、共培養した細胞に結合しなかった余分な1次抗体等を洗浄し、1次抗体と結合性を有し、金コロイド修飾された2次抗体を、適当な抗体希釈バッファーを用いて濃度調整して滴下し、37℃で30分培養した。適当な洗浄バッファーを用いて、共培養した細胞に結合しなかった余分な2次抗体等を洗浄した後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。その後、界面活性剤含有溶液で覆われた抗体結合性の培養細胞をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図20(a)、(b)は、生きたヒト皮膚由来リンパ管内皮細胞に1次抗体と金コロイド修飾された2次抗体とを結合させ、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した後、倍率10,000倍で観察、撮影した免疫電顕法によるSEM像である。
この結果から、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いることによって、細胞を化学固定することなく、1次抗体と2次抗体を作用させ、極めて短時間に、感度良く、非特異的シグナルの少ない免疫電顕法のSEM像を得られることが確認された。
<実施例14>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
実施例11と同様にして、ヒト正常皮膚細胞を平板状に培養した細胞シート上に転移株のヒトメラノーマ細胞を播種し、ヒトメラノーマ細胞の膜タンパク質を抗原とする1次抗体溶液を、適当な抗体希釈バッファーを用いて濃度調整して滴下し、37℃で30分培養した。適当な洗浄バッファーを用いて、ヒトメラノーマ細胞に結合しなかった余分な1次抗体等を洗浄し、1次抗体と結合性を有し、金コロイド修飾された2次抗体を、適当な抗体希釈バッファーを用いて濃度調整して滴下し、37℃で30分培養した。適当な洗浄バッファーを用いて、1次抗体に結合しなかった余分な2次抗体等を洗浄した後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。その後、界面活性剤含有溶液で覆われた転移株のヒトメラノーマ細胞をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図21(a)は、生きたヒトメラノーマ細胞に1次抗体と金コロイド修飾された2次抗体とを結合させ、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した後、倍率1,000倍で観察、撮影した免疫電顕法によるSEM像である。図21(b)は、図21(a)の細胞を倍率10,000倍で観察、撮影した免疫電顕法によるSEM像である。また、図22は、図21(a)のメラノーマ細胞の辺縁部の微小ファイバーを倍率7,000倍で観察、撮影した免疫電顕法によるSEM像である。
これらの結果から、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いることによって、細胞を化学固定することなく、1次抗体と2次抗体を作用させ、極めて短時間に、感度良く、非特異的シグナルの少ない免疫電顕法のSEM像を得られることが確認された。この新規の面免疫電顕法を用いた観察を行えば、例えば、抗原として腫瘍マーカーを用いることで、迅速、簡便に高確度の癌診断、癌病理検査を実現することが可能となる。なお、病変細胞は、癌細胞に限らず、炎症性の疾患や自己免疫疾患等についても、診断が可能である。
<実施例15>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
生きたマウスから摘出した腹膜を、図23に示した試料台(a)上に上皮側を上面にして載置し、直ちに前処理として電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を滴下して1分間静置した。
前処理したマウス腹膜に、界面活性剤含有溶液を滴下して1分間静置し、その後余剰分を拭き取り、その表面を界面活性剤含有溶液で覆った。その後、界面活性剤含有溶液で覆われたマウス腹膜をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図24(a)は、倍率100倍で観察、撮影したSEM像であり、また、図24(b)は、図24(a)の試料を倍率1,500倍で観察、撮影したSEM像である。
図23に示した試料台は、腹膜や横隔膜などの膜状組織に張力をかけた状態で観察するための治具である。すなわち、試料に上方から重みをかけることで張力が生じ、生体からの摘出後、時間と共に縮んでいく腹膜や横隔膜などの膜状組織を、生物体内にある時と同様に観察することができるようになる。
この試料台を用いた実施例15のSEM像では、実施例1、2で観察されていた腹膜表面の多数の隆起が確認できなくなり、高倍率では、細かな網目状の構造を観察することができた。また、腹膜の開裂や、腹膜の表面下に存在するフィラメントの露出も全く認めらなかった。このため、図23に示した試料台を用いることによって、試料に張力がかかり、より生体内に存在する状態に近い形態を維持したまま、観察することが可能になったと考えられる。
<比較例4>
生きたマウスから摘出した腹膜を、10%(w/w)中性緩衝ホルマリンによって一次化学固定した後、試料を乾燥させて金属蒸着(JEOL JFC−1100)した。このような従来の電子顕微鏡観察用標本の作製方法に則って作製したマウス腹膜標本を、図23(a)に示した試料台上に上皮側を上面にして載置し、SEM観察を行った。
図25(a)は、倍率50倍で観察、撮影したSEM像であり、また、図25(b)は、図25(a)の試料を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。
比較例3のSEM像では、腹膜の開裂や、腹膜の表面下に存在するフィラメントの露出が確認された。
<実施例16>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
マウスから摘出した腹膜を、図23に示した試料台(a)上に内臓側を上面にして載置したこと以外は、実施例15と同様にしてマウス腹膜内臓側の試料を作製し、SEM観察を行った。
図26(a)は、倍率100倍で観察、撮影したSEM像であり、また、図26(b)は、図26(a)の試料を倍率1,300倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例16のSEM像では、実施例15と同様に、明瞭に隆起が確認できなくなり、高倍率では、細かな網目状の構造を観察することができた。また、腹膜の開裂や、腹膜の表面下に存在するフィラメントの露出も全く認めらなかった。
<比較例5>
マウスから摘出した腹膜を、図23に示した試料台(a)上に内臓側を上面にして載置したこと以外は、比較例4と同様にしてマウス腹膜内臓側の標本を作製し、SEM観察を行った。
図27(a)は、倍率50倍で観察、撮影したSEM像であり、また、図27(b)は、図27(a)の試料を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。
比較例5のSEM像では、比較例4と同様に腹膜の開裂や、腹膜の表面下に存在するフィラメントの露出が確認された。
<比較例6>
実施例15と同様にして生きたマウスから摘出した腹膜を、図23(a)に示した試料台上に載置し、未処理の状態で電子顕微鏡内に導入した。図28(a)、(b)のいずれも倍率1,500倍で観察、撮影したSEM像である。
比較例6のSEM像では、全体的にチャージアップを起こしており、正常な観察ができるものではなかった。また、真空下にさらされることによって、腹膜表面が破れており、組織が崩壊していることが確認された。
<実施例17>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
マウスから摘出した組織が横隔膜剥離部位であること以外は実施例15と同様にして、マウス横隔膜剥離部位の試料を作製し、SEM観察を行った。
図29(a)は、倍率500倍で観察、撮影したSEM像であり、また、図29(b)は、図29(a)の試料を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。図30は、図29(a)の試料を倍率20,000倍で観察、撮影したSEM像である。
試料台を用いた実施例17のSEM像では、実施例15で観察されていた腹膜表面と同様に、横隔膜剥離部位の表面は正常な形態を維持しており、図29(b)の倍率2,000倍のSEM像では、複数の隆起を微細な孔が確認された。また、横隔膜の開裂や、横隔膜の表面下に存在するフィラメントの露出も全く認めらなかった。さらに超高倍率の20,000倍のSEM像である図30では、図29(b)で確認された微細な孔は、分泌組織のようにも見えるが、このような状態の横隔膜を観察したのは本発明者らが初めてであり、上記微細な孔の機能等を推定することは現時点では困難である。このため、本発明を適用することによって、従来電子顕微鏡下で観察することが不可能であった、膜状組織の表面における微細構造を観察でき、医学、生物学分野に新たな知見を提供できる可能性が示唆される。
<実施例18>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
マウスに炎症を惹起させることを目的として、アジュバンドを1週間に1回腹腔内注射することを繰り返し、3週間後に、生きたマウスから腹膜を摘出した。上記炎症を惹起したマウス腹膜を用いたこと以外は、実施例15と同様にして試料を作製し、SEM観察を行った。
図31(a)は、倍率30倍で観察、撮影したSEM像であり、図32(a)は、図31(a)の試料を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、図33(a)は、図31(a)の試料を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例18のSEM像では、炎症惹起マウスの腹膜における病理学的変化を含水状態で観察できることが確認できた。図31(a)の倍率30倍のSEM像では、腹膜表面に筋状の変化が認められるが、図32(a)の倍率1,000倍のSEM像および図33(a)の倍率2,000倍のSEM像では、多数の不規則な隆起が認められる。このような変化は、炎症部位を修復するために集合した細胞の増殖や繊維化によって生じたと考えられる。このため、本発明を適用することによって、従来電子顕微鏡下で観察することが不可能であった、動物体内における病理学的変化についても、生体内に極めて近い状態で観察でき、医学、生物学分野に新たな知見を提供できる可能性が示唆される。
<比較例7>
実施例18の対照区として、マウスにアジュバントを注射せず、1週間に1回生理食塩水を腹腔内注射することを繰り返し、3週間後に、生きたマウスから腹膜を摘出した。上記対照区マウス腹膜を用いたこと以外は、実施例15と同様にしてマウス腹膜の標本を作製し、SEM観察を行った。
図31(b)は、倍率30倍で観察、撮影したSEM像であり、図32(b)は、図31(b)の試料を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、図33(b)は、図31(b)の試料を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。
比較例7のSEM像では、実施例18のSEM像と対称的に、腹膜が正常な形態を維持し、細胞が規則正しく並んでいることが確認された。
<実施例19>
生存環境付与成分としてグリセリンと水を、糖類としてグルコースを、電解質として塩化ナトリウムを用い、生存環境付与成分(グリセリン):(水):糖類(グルコース):電解質(塩化ナトリウム)=20:10:0.09:0.01の配合割合で混合し、電子顕微鏡観察用保護剤を調製した。
培養細胞として、マウス由来線維芽細胞をガラスプレート上で培養し、培養液からガラスプレートごと引き揚げた後、直ちに界面活性剤含有溶液を滴下して1分間静置した。その後、マウス由来線維芽細胞の培養液を用いて100倍希釈した電子顕微鏡観察用保護剤を、界面活性剤含有溶液で処理したマウス由来線維芽細胞に滴下して1分間静置した。電子顕微鏡観察用保護剤を滴下したマウス由来線維芽細胞を、ガラスプレートごとSEM試料室に入れ、電子ビームを照射して界面活性剤含有溶液を重合させて薄膜を成膜し、SEM観察を行った。
図34(a)は、倍率450倍で観察、撮影したSEM像であり、また、図34(b)は、図34(a)の試料を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。
界面活性剤含有溶液を適用した後に、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤で処理することによって、従来、SEM試料室内での真空引きの時点で破裂してしまっていた培養細胞についても、真空下において正常な形態を観察できることが確認された。特に、線維芽細胞から仮足が伸びている状態を観察することができたことは特筆すべき点である。
さらに、観察後、ガラスプレートを培養液中に戻すと、細胞は生存を維持していることが確認された。このように、細胞の生存状態での観察を電子顕微鏡下で行い、しかも、真空下から細胞を生還させることが可能な技術は、全く新規のものであり、生命科学研究における極めて重要な技術になるものと考えられる。
<比較例8>
実施例19と同様にして、ガラスプレート上で培養したマウス由来線維芽細胞を培養細胞として用い、培地からガラスプレートごと引き揚げた後、未処理の状態で電子顕微鏡内に導入した。
図35(a)は、倍率1,500倍で観察、撮影したSEM像であり、また、図35(b)は、図35(a)の試料を倍率1,800倍で観察、撮影したSEM像である。
いずれのSEM像も、細胞が委縮、変形しており、生存状態での観察は不可能であることが確認された。
<実施例20>
実施例19と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤を調製した。
培養細胞として、ガラスプレート上で培養したヒト由来線維芽細胞を用い、培地からガラスプレートごと引き揚げた後、直ちに蒸留水を滴下して1分間静置する洗浄処理を2回繰り返し、その後、ヒト由来線維芽細胞の培養液を用いて100倍希釈した電子顕微鏡観察用保護剤を滴下して1分間静置した。電子顕微鏡観察用保護剤を滴下したヒト由来線維芽細胞を、ガラスプレートごとSEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図36(a)は、倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像であり、また、図36(b)は、図36(a)の試料を倍率5,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例20では、界面活性剤含有溶液を処理していないにも関わらず、真空下において生存状態の培養細胞を観察することができ、実施例19と同様に線維芽細胞から仮足が伸びている状態が確認された。
<比較例9>
単一細胞として、ヒト赤血球を含む生理食塩水をガラスプレート上に滴下し、未処理の状態で電子顕微鏡内に導入した。
図37(a)は、倍率1,000倍で観察、撮影した際のSEM像であり、また、図37(b)は、図37(a)の一部を倍率2,000倍で観察、撮影したSEM像である。
いずれのSEM像も、チャージアップを起こしており、また、赤血球が委縮、変形し、生存状態での観察は不可能であることが確認された。
<実施例21>
実施例19と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤を調製した。
単一細胞として、ヒト血球細胞、血小板、赤血球および白血球を含む生理食塩水をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤を滴下して1分間静置した。電子顕微鏡観察用保護剤を滴下したヒト血球細胞および血小板、赤血球、白血球をガラスプレートごと、SEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図38(a)は、倍率1,800倍で観察、撮影したヒト血球細胞および血小板のSEM像である。また、図38(b)は、倍率7,000倍で観察、撮影したヒト赤血球のSEM像であり、図38(c)は、倍率7,000倍で観察、撮影したヒト白血球のSEM像である。
実施例21では、ヒト血球細胞および血小板、赤血球、白血球のいずれについても、電子顕微鏡下において生存状態の細胞を確認することができた。
<実施例22>
実施例19と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤を調製した。
単一細胞として、酵母、納豆菌および大腸菌を含む培養液をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した。電子顕微鏡観察用保護剤を滴下した酵母、納豆菌および大腸菌をガラスプレートごと、SEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図39(a)は、倍率5,000倍で観察、撮影した含水状態の酵母のSEM像である。また、図39(b)は、(a)の一部を倍率20,000倍で観察、撮影したSEM像である。図39(c)は、倍率15,000倍で観察、撮影した含水状態の納豆菌のSEM像である。図39(d)は、倍率10,000倍で観察、撮影した含水状態の大腸菌のSEM像である。
実施例22では、酵母、納豆菌および大腸菌のいずれについても、電子顕微鏡下において生存状態の細胞を確認することができた。
<実施例23>
実施例19と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤を調製した。
単一細胞として、細胞性粘菌の一つであるタマホコリカビの子実体を含む培養液をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した。電子顕微鏡観察用保護剤を滴下したタマホコリカビの子実体をガラスプレートごと、SEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図40(a)は、倍率50倍で観察、撮影した含水状態のキイロタマホコリカビ子実体のSEM像である。また、図40(b)は、(a)の一部を倍率300倍で観察、撮影したSEM像であり、図40(c)は、倍率3,000倍で、図40(d)は、倍率6,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例23では、含水状態のキイロタマホコリカビ子実体について、電子顕微鏡下において生存状態の細胞を確認することができた。特に、高倍率による観察では、子実体表面に細かな網目状の隆起が存在することが確認された。
<実施例24>
実施例19と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤を調製した。
ガラスプレート上で培養したマウスフィブロブラスト細胞にマウスサイトメガロウイルス(MCMV)を感染させ、ただちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した。電子顕微鏡観察用保護剤を滴下したMCMV感染マウスフィブロブラスト細胞をガラスプレートごと、SEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図41(a)は、実施例24のMCMV感染マウスフィブロブラスト細胞の感染から10分後のSEM像である。図41(b)は、(a)の一部を拡大して観察、撮影したSEM像であり、図42(a)(b)は、図41(b)をさらに高倍率で観察、撮影したSEM像である。
実施例24では、含水状態のMCMV感染マウスフィブロブラスト細胞の表面において、ウイルス粒子を明瞭に観察可能であることが確認された。また、フィブロブラスト細胞に対するMCMVの感染は10分以内に行われることも確認された。
<実施例25>
実施例19と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤を調製した。
実施例24と同様に、ガラスプレート上で培養したマウスフィブロブラスト細胞にマウスサイトメガロウイルス(MCMV)を感染させ、ただちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した。電子顕微鏡観察用保護剤を滴下したMCMV感染マウスフィブロブラスト細胞をガラスプレートごと、SEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図43(a)は、実施例25のMCMV感染マウスフィブロブラスト細胞の感染から10分後のSEM像である。図43(b)は、(a)の感染から15分後、図43(c)は、(a)の感染から20分後のSEM像である。
実施例25では、含水状態のMCMV感染マウスフィブロブラスト細胞の表面において、ウイルス粒子が経時的に、宿主細胞の表面から細胞内部へとエンドサイトーシスによって侵入していく過程をSEMを用いて観察可能であることが確認された。
<実施例26>
実施例19と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤を調製した。
実施例24と同様に、ガラスプレート上で培養したヒト咽頭がん細胞であるHep−2にヒトポリオウイルスを感染させ、ただちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した。電子顕微鏡観察用保護剤を滴下したヒトポリオウイルス感染Hep−2細胞をガラスプレートごと、SEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図44(a)は、実施例26のヒトポリオウイルス感染Hep−2細胞の感染から15分後のSEM像である。図44(b)は、(a)の図中枠で囲まれた領域を拡大して観察、撮影したSEM像である。また、図44(c)は、(b)の感染から30分後、図44(d)は、(b)の感染から45分後、図44(e)は、(b)の感染から60分後、図44(f)は、(b)の感染から75分後のSEM像である。
実施例26では、含水状態のヒトポリオウイルス感染Hep−2細胞の表面において、ウイルス粒子が経時的に、宿主細胞の表面から細胞内部へとエンドサイトーシスによって侵入していく過程をSEMを用いて観察可能であることが確認された。
<実施例27>
ウイルスとして、GFPを発現するマウスサイトメガロウイルス(GFP−M32−MCMV)を作製し、ウイルス粒子を含む分散液をスライドガラス状に播種し、MCMV粒子にプラスの電荷をチャージさせるポリブレンを添加処理した。次いで、実験区としてカバーガラスの表面にプラズマ処理を施し、表面に水酸基を露出させることで親水性を向上し、表面の電荷がマイナスにチャージしたカバーガラスを作製した。また、対照区として、未処理のカバーガラスを用いた。ポリブレン処理によって、実験区および対照区の2種類のカバーガラスに対するMCMV粒子の吸着量に差異があるかどうかを検討した。
図45は、実施例27の蛍光顕微鏡写真である。図45(a)は、プラズマ処理したカバーガラスの表面に、ポリブレン処理したマウスサイトメガロウイルス(MCMV)を吸着させて観察、撮影した写真である。図中の蛍光発色している緑色のドットは、カバーガラスに吸着した含水状態のMCMVを示している。図45(b)は、対照区として未処理のカバーガラスの表面に、ポリブレン処理したMCMVを吸着させて観察、撮影した写真である。
実施例27では、図45(a)の蛍光顕微鏡写真から、カバーガラスにプラズマ処理して親水性を高めることにより、未処理のカバーガラスと比較してマイナスに強くチャージし、ポリブレン処理によってプラスにチャージさせたMCMV粒子を静電的に吸着、濃縮可能であることが確認された。一方、図45(b)の蛍光顕微鏡写真から、カバーガラスにプラズマ処理していない場合、図45(a)の実験区のスライドガラスと比較して、MCMV粒子の吸着量が少ないことが確認された。これにより、MCMV粒子を顕微鏡下で計測、観察可能なレベルにまで濃縮できることが明らかとなった。
<実施例28>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
図46(b)に示すように、プラズマ処理したカバーガラスの表面に、ポリブレン処理したマウスサイトメガロウイルス(MCMV)を吸着させて濃縮した。カバーガラスに吸着して濃縮させたMCMVを、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。界面活性剤含有溶液を滴下したMCMVをカバーガラスごとSEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図47は、MCMV粒子のカバーガラスへの吸着率を測定した結果を示すグラフである。グラフ左側のデータは、ポリブレン処理してプラスにチャージさせたMCMV粒子を、プラズマ照射してマイナスにチャージさせたカバーガラスに吸着させる前のウイルス粒子の分散液中におけるウイルス濃度を示している。一方、グラフ右側のデータは、吸着後の洗浄液中におけるウイルス濃度を示している。吸着前後のウイルス濃度についてt検定を行い、統計解析したところ、p<0.01であり、吸着の前後でウイルス粒子の分散液に含まれるMCMV粒子の濃度は有意に低下していることが確認された。この結果から、MCMV粒子のカバーガラスに対する吸着率は、99.65%と求められ、ウイルス粒子の分散液中に含まれるMCMV粒子のほぼ全量が、カバーガラスに吸着していることが確認された。
図48は、実施例28のSEM像である。図48(a)は、ポリブレン処理してプラスにチャージさせたMCMV粒子を、プラズマ照射してマイナスにチャージさせたカバーガラスに吸着して濃縮させたMCMVを倍率15,000倍で観察、撮影したSEM像である。また、図48(b)は、図48(a)の一部を倍率35,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例28では、含水状態のMCMVについて、ウイルス粒子についてはポリブレン処理してプラスにチャージさせることにより、プラズマ照射してマイナスにチャージさせたカバーガラスに吸着させて、電子顕微鏡下で観察可能であることが確認された。
<実施例29>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
予め、MCMVを感染させたマウスフィブロブラスト細胞を培養し、MCMV粒子を含有する培養上清を回収し、これをサンプルAとした。また、MCMV粒子を含有する培養上清を回収し、超遠心にてウイルス粒子とdense bodyを分離し、ウイルス粒子のみを回収したものをサンプルBとした。
実施例28と同様にして、カバーガラスに吸着して濃縮させたMCMVを、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。界面活性剤含有溶液を滴下したMCMVをカバーガラスごとSEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図49は、実施例29のSEM像で(a)〜(j)は、それぞれ異なる視野においてウイルス粒子を撮影したSEM像である。(a)〜(j)のSEM像において、視野内のウイルス粒子数をカウントし、10点の視野におけるウイルス粒子の平均値を算出した。その結果、サンプルBのウイルス粒子分散液を用いた場合、(a)では17個、(b)では21個、(c)では35個、(d)では20個、(e)では15個、(f)では32個、(g)では25個、(h)では17個、(i)では36個、(j)では14個であり、10視野での平均ウイルス粒子数は23.2個/fieldとなった。この10視野での平均ウイルス粒子数を元に、ウイルス分散液中のウイルス濃度を算出したところ、8.35x1010個/mlであった。なお、図示していないが、サンプルAのウイルス粒子分散液を用いた場合、ウイルス濃度は6.35x10個/mlであった。
図50はサンプルBを用いて、同様の実験を5回繰り返した際のウイルス粒子数を示したグラフである。5回の実験の平均値を算出したところ、平均ウイルス粒子数は、17.2±2.5個/fieldであった。この5回の実験での平均ウイルス粒子数を元に、MCMVウイルスのウイルス分散液中のウイルス濃度を算出したところ、6.55x1010±2.56x1010個/mlであった。なお、図示していないが、サンプルAのウイルス粒子分散液を用いた場合、ウイルス濃度は、8.73x10±7.14x10個/mlであった。
また同一のウイルス粒子の分散液を試料として用いて、従来法であるプラークアッセイ法と定量PCR法によるウイルス濃度の定量を行った。結果を表1に示す。
その結果、サンプルAのウイルス粒子分散液を用いた場合、プラークアッセイ法では、1.3×108±7×107PFU/ml、定量PCR法では、1.09×1011±9.5×109copies/mlのウイルス濃度であることが確認された。一方、サンプルBのウイルス粒子分散液を用いた場合、プラークアッセイ法では、2.2×109±6×108PFU/ml、定量PCR法では、1.35×1010±1.0×109copies/mlのウイルス濃度であることが確認された。実施例29の結果と対比すると、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いたウイルス粒子の電子顕微鏡観察による計数および定量方法によって算出したウイルス粒子濃度は、従来法であるプラークアッセイ法や定量PCR法の結果と矛盾しないものであった。
さらに、従来法と本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いたウイルス粒子の電子顕微鏡観察による計数および定量方法の特徴を表2に示す。
したがって、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤を用いたウイルス粒子の電子顕微鏡観察による計数および定量方法を用いることで、短時間に正確なウイルス濃度の定量が可能である。
<実施例30>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
実施例30では、含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡観察において、DNA含有ウイルス粒子の検出を試みた。実施例28と同様にして、カバーガラスに吸着して濃縮させたMCMVに、対照区として電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液のみを処理した。実験区としては、カバーガラスに吸着して濃縮させたMCMVに、酢酸ウラン処理した後に、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液処理を行った。酢酸ウランは、DNAとペプチドを染めることが可能である。また、実験区としてカバーガラスに吸着して濃縮させたMCMVに、シスプラチン処理した後に、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液で処理した。シスプラチンは、DNAのみを染めることが可能である。これらの各処理済みのMCMVをカバーガラスごとSEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図51(a)は、対照区のMCMVのSEM像であり、図51(b)は、酢酸ウラン処理したMCMVのSEM像である。また、図51(c)は、シスプラチン処理したMCMVのSEM像であり、図中矢印はDNA含有ウイルス粒子を示している。いずれも、倍率10,000倍で観察、撮影した含水状態のMCMVのSEM像である。
実施例30では、ウイルス粒子に対しても含水状態での免疫電顕法による観察が可能であることを確認した。また、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理したMCMVでは、DNAを含有していることが確認できると考えられる。
<実施例31>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
実施例28と同様にして、カバーガラスに吸着して濃縮させたMCMVに1次抗体として抗DNA抗体を結合させ、2次抗体として1次抗体に対する結合性を有し、金コロイド修飾された抗体を結合させた後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。界面活性剤含有溶液を滴下した二抗体結合MCMVをカバーガラスごとSEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図52は、倍率10,000倍で観察、撮影した含水状態の二抗体結合MCMVのSEM像である。
実施例31では、ウイルス粒子に対しても含水状態での免疫電顕法、すなわちLive免疫電顕による観察が可能であることを確認した。また、1次抗体として抗DNA抗体を用いたことから、電子顕微鏡観察による、DNAウイルスとRNAウイルスの区別も可能であると考えられる。
<実施例32>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
植物の生体組織としてフクジュソウの花弁を採取し、図23(a)に示した試料台上に載置し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。界面活性剤含有溶液を滴下したフクジュソウの花弁をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図53(a)は、倍率30倍で観察、撮影した含水状態のフクジュソウ花弁のSEM像である。また、図53(b)は、倍率5,000倍で図53(a)の一部を観察、撮影したSEM像である。
実施例32では、含水状態のフクジュソウ花弁について、電子顕微鏡下において生存状態の細胞を確認することができた。特に、高倍率による観察では、花弁の表面に溝状の構図が規則的に形成されていることが確認された。
<実施例33>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
植物の生体組織としてツユクサの葉を採取し、10%(w/w)中性緩衝ホルマリンによって一次化学固定した後、前処理として電子顕微鏡観察用保護剤に1分間浸漬した。電子顕微鏡観察用保護剤で処理したツユクサの葉を、界面活性剤含有溶液で処理した。界面活性剤含有溶液を滴下したツユクサの葉をSEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図54(a)は、倍率30倍で観察、撮影したツユクサの葉の表側の葉肉細胞のSEM像である。また、図54(b)は、倍率30倍で観察、撮影したツユクサの葉の裏側の葉肉細胞のSEM像である。
図55(a)、(b)は、図54(a)、(b)の試料を倍率500倍で観察、撮影したSEM像である。また、図56(a)、(b)は、図54(a)、(b)の試料を倍率1,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例33では、ツユクサの葉について、電子顕微鏡下において含水状態の細胞を確認することができた。特に、高倍率による観察では、葉の表側と裏側において、葉肉細胞の形状や密度が大きく異なり、葉の裏側の方が葉肉細胞の密度が疎であることが確認された。
<実施例34>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
生きたプラナリアを図23(a)に示した試料台上に載置し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。界面活性剤含有溶液を滴下した生きたプラナリアをSEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図57は、含水状態で観察、撮影したプラナリアのSEM像である。図中のスケールバーは、500μmを表わしている。
実施例34では、含水状態のプラナリアについて、電子顕微鏡下において生存を確認することができた。
<実施例35>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ショウジョウバエの複眼の発生過程において、生きた状態のショウジョウバエに直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。界面活性剤含有溶液を滴下した生きたショウジョウバエをSEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図58は、含水状態で観察、撮影したショウジョウバエの複眼の発生エッジ部位を倍率4,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例35では、含水状態のショウジョウバエについて、電子顕微鏡下において複眼の発生過程を確認することができた。
<実施例36>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒドラの頭部の再生過程において、生きた状態のヒドラに直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した。界面活性剤含有溶液を滴下した生きたヒドラをSEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。
図59は、含水状態で観察、撮影したヒドラの頭部の再生先端を倍率8,000倍で観察、撮影したSEM像である。
実施例36では、含水状態のヒドラについて、電子顕微鏡下において頭部の再生過程を確認することができた。
<実施例37>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
単一細胞として、原核生物、ナタデココ菌および酵母を含む培養液をガラスプレート上に滴下し、直ちに電子顕微鏡観察用保護剤で処理した。電子顕微鏡観察用保護剤を滴下した原核生物、ナタデココ菌および酵母をガラスプレートごと、
SEM試料室に入れ、電子ビームを照射してSEM観察を行った。また、単一細胞として大腸菌を含む培養液を用いて同様の処理を行い、TEM観察を行った。
図60(a)は、含水状態の原核生物のSEM像である。図中のスケールバーは3μmを表している。また、図60(b)は、含水状態のナタデココ菌のSEM像である。図中のスケールバーは、10μmを表している。図60(c)は、含水状態の酵母のSEM像である。図中のスケールバーは、10μmを表している。図60(d)は、含水状態の大腸菌のTEM像である。図中のスケールバーは、200nmを表している。
実施例37では、原核生物、ナタデココ菌、酵母および大腸菌のいずれについても、電子顕微鏡下において生存状態の細胞を確認することができた。
<実施例38および比較例10>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒト正常皮膚細胞を立体的に三次元培養したヒト人工皮膚を、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した(実施例38)。
一方、対照として、ヒト正常皮膚細胞を立体的に三次元培養したヒト人工皮膚を、一般的な電子顕微鏡観察用固定液であるグルタルアルデヒドにより化学固定した(比較例10)。
実施例38および比較例10のヒト人工皮膚を、それぞれ、SEMにより観察した。さらに、表皮から真皮にかけて複数の部位を選択して、各部位についてEDSによる元素分析を行い、人工皮膚内部の元素分布(Na、Mg、P、S、Cl、KおよびCa)を測定した。なお、本試験例の皮膚内では、測定対象の元素はイオン化した状態で検出される。
図61(a)は、実施例38のSEM像であり、図61(b)は、実施例38でEDS解析を行った部位を示す図であり、図61(c)は、実施例38のEDS解析チャートである。
図62(a)は、比較例10のSEM像であり、図62(b)は、比較例10でEDS解析を行った部位を示す図であり、図62(c)は、比較例10のEDS解析チャートである。
図61(c)および図62(c)に示すように、ヒト人工皮膚において、表皮側から真皮側にかけて、各イオンに特徴的な勾配が存在することが確認された。一方で、図61(c)と図62(c)とを比較すると、各イオンに対応するピークプロファイルが異なっていることがわかる。例えば、実施例38では、イオウイオンおよびカルシウムイオンのピーク高さの変化が見られるが、比較例10では、そのような変化は見られなかった。
以上の結果から、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を用いた場合と、従来の電子顕微鏡観察用固定液を用いて化学固定した場合とでは、サンプル中の元素分布に与える影響が異なっていることが示唆された。
<実施例39および比較例11>
実施例1と同様にして、電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を調製した。
ヒト正常皮膚細胞を立体的に三次元培養したヒト人工皮膚上に10μMのGFT(抗がん剤)を添加した後、電子顕微鏡観察用保護剤で処理し、界面活性剤含有溶液で処理した(実施例39)。
一方、対照として、ヒト正常皮膚細胞を立体的に三次元培養したヒト人工皮膚上に10μMのGFT(抗がん剤)を添加した後、に一般的な電子顕微鏡観察用固定液であるグルタルアルデヒドにより化学固定した(比較例11)。
実施例39および比較例11のヒト人工皮膚を、それぞれ、SEMにより観察した。さらに、表皮から真皮にかけて複数の部位を選択して、各部位についてEDSによる元素分析を行い、人工皮膚内部の元素分布(Na、Mg、P、S、Cl、KおよびCa)を測定した。なお、測定対象の元素は、本試験例の皮膚内ではイオン化した状態で検出される。
図63(a)は、実施例39のSEM像であり、図63(b)は、実施例39でEDS解析を行った部位を示す図であり、図63(c)は、実施例39のEDS解析チャートである。
図64(a)は、比較例11のSEM像であり、図64(b)は、比較例11でEDS解析を行った部位を示す図であり、図64(c)は、比較例11のEDS解析チャートである。
実施例39では、図63(c)に示すように、ヒト人工皮膚において、表皮側から真皮側にかけてカリウムイオンの勾配が存在すること、および真皮側から表皮側にかけてカルシウムイオンの勾配が存在することが確認された。一方、比較例11では、図64(c)に示すように、実施例39で確認されたようなカリウムイオンの勾配およびカルシウムイオンの勾配は確認されなかった。
以上の結果から、本発明の電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を用いてSEM観察およびEDS解析することによって、従来の電子顕微鏡観察用固定液を用いて化学固定したサンプルと比較して、皮膚組織中の元素分布をより正確に測定することが可能となった。これにより、例えば、薬剤を皮膚上投与する前後の皮膚のSEM観察および皮膚内部のEDS解析を行うことによって、当該薬剤の治療効果評価を行うことができる。

Claims (25)

  1. 生存環境付与成分として、グリセリンを含有し、糖類として、グルコース、フルクトースから選択される1種以上を含有し、電解質として、塩化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸、乳酸カルシウムから選択される1種以上を含有し、生存環境付与成分、糖類および電解質を、20:0.7:0.03〜20:0.4:0.01の配合比で含有する電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布する工程と、界面活性剤含有溶液を含水状態の生物試料に塗布する工程と、前記電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を塗布した含水状態の生物試料を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成して含水状態の生物試料を覆う工程と、真空下の試料室に収容された前記薄膜で覆った含水状態の生物試料の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程とを含むことを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。
  2. 請求項1に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、前記電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布するのに先立って含水状態の生物試料表面を水洗浄することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。
  3. 請求項1に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、前記試料台は、円柱形の基部材の上面に、前記薄膜を形成させた含水状態の生物試料を載置し、前記円柱形の部材の直径にほぼ等しい円形の開口部を有し、その上面部には前記開口部よりも直径の小さな開口部を備え、側面部には固定孔を持つリング状部材を、前記円柱形の基部材の上面に載置した含水状態の生物試料に被せ、円柱形の基部材とリング状部材を固定材で固定することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。
  4. 請求項1に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、前記試料台は、中央に円形の凹部が形成された円柱形の部材の上面に、前記薄膜を形成させた含水状態の生物試料を載置し、中央に円形の貫通孔が形成され、前記貫通口の周囲に複数の固定孔が開孔された円盤状の部材を、円柱形の部材の上面に載置した含水状態の生物試料に被せ、円盤状の部材と円柱形の部材とを固定材で固定することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。
  5. 請求項1に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、電子顕微鏡の試料室内において試料観察用の電子線を含水状態の生物試料に照射することによって、含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。
  6. 請求項1に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、電子顕微鏡による含水状態の生物試料観察前に予め、電子顕微鏡の試料室内の電子線とは別途の電子線またはプラズマを試料に照射することによって、含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。
  7. 請求項1に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、含水状態の生物試料の電子顕微鏡像を、含水状態の生物試料の破壊を伴わずに前記表示装置に表示することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。
  8. 請求項1に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、走査型電子顕微鏡を用いて、含水状態の生物試料のチャージアップを起こさずに含水状態の生物試料の電子顕微鏡像を表示装置に表示することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。
  9. 生体から摘出した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織に、生存環境付与成分として、グリセリンを含有し、糖類として、グルコース、フルクトースから選択される1種以上を含有し、電解質として、塩化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸、乳酸カルシウムから選択される1種以上を含有し、生存環境付与成分、糖類および電解質を、20:0.7:0.03〜20:0.4:0.01の配合比で含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、界面活性剤含有溶液を含水状態の生物試料に塗布する工程と、前記電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を塗布した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の表面に薄膜を形成して覆う工程と、真空下の試料室に収容された前記薄膜で覆った含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の画像診断を行う工程とを含むことを特徴とする含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法。
  10. 請求項において、前記含水状態の癌細胞は、正常細胞または細胞シート上に播種し、培養したものであることを特徴とする含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法。
  11. 請求項において、生体から摘出した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織を、摘出後直ちに化学固定することを特徴とする含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法。
  12. 含水状態の細胞または細胞シートに生理活性物質または薬剤を添加する工程と、前記生理活性物質または薬剤を添加した含水状態の細胞または細胞シートに、生存環境付与成分として、グリセリンを含有し、糖類として、グルコース、フルクトースから選択される1種以上を含有し、電解質として、塩化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸、乳酸カルシウムから選択される1種以上を含有し、生存環境付与成分、糖類および電解質を、20:0.7:0.03〜20:0.4:0.01の配合比で含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、界面活性剤含有溶液を含水状態の生物試料に塗布する工程と、前記電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を塗布した含水状態の細胞または細胞シートを試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の細胞または細胞シートの表面に薄膜を形成して覆う工程と、真空下の試料室に収容された前記薄膜で覆った含水状態の細胞または細胞シートの電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態の細胞または細胞シートに対する前記生理活性物質または薬剤の効果を画像診断する工程とを含むことを特徴とする含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法。
  13. 請求項12において、前記細胞が含水状態の正常細胞であって、正常細胞の形態変化を指標として副作用の少ない生理活性物質または薬剤をスクリーニングすることを特徴とする含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法。
  14. 請求項13において、前記生理活性物質または薬剤が抗癌剤であることを特徴する含水状態の細胞に対する薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法。
  15. 請求項12において、前記細胞が含水状態の病変細胞であって、前記含水状態の病変細胞の形態変化を指標として活性のある薬剤をスクリーニングすることを特徴とする含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法。
  16. 請求項15において、前記含水状態の病変細胞が癌細胞であって、前記生理活性物質または薬剤が抗癌剤であることを特徴とする含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法。
  17. 含水状態の細胞と1次抗体を接触させる工程と、前記1次抗体に金コロイド修飾された2次抗体を接触させる工程と、前記1次抗体と2次抗体とが結合した細胞に、生存環境付与成分として、グリセリンを含有し、糖類として、グルコース、フルクトースから選択される1種以上を含有し、電解質として、塩化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸、乳酸カルシウムから選択される1種以上を含有し、生存環境付与成分、糖類および電解質を、20:0.7:0.03〜20:0.4:0.01の配合比で含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、界面活性剤含有溶液を含水状態の生物試料に塗布する工程と、前記電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を塗布した細胞を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して細胞の表面に薄膜を形成して試料を覆う工程と、真空下の試料室に収容された前記薄膜で覆った細胞の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程とを含み、含水状態の細胞の一次抗体との結合部位を観察することを特徴とする電子顕微鏡による観察方法。
  18. 請求項17において、前記1次抗体と反応する抗原が、前記含水状態の細胞の膜タンパク質であり、含水状態の細胞の一次抗体との結合部位を観察することを特徴とする電子顕微鏡による観察方法。
  19. 含水状態のウイルス粒子を基板上に濃縮する工程と、前記基板上に濃縮した含水状態のウイルス粒子に、生存環境付与成分として、グリセリンを含有し、糖類として、グルコース、フルクトースから選択される1種以上を含有し、電解質として、塩化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸、乳酸カルシウムから選択される1種以上を含有し、生存環境付与成分、糖類および電解質を、20:0.7:0.03〜20:0.4:0.01の配合比で含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、界面活性剤含有溶液を含水状態の生物試料に塗布する工程と、前記電子顕微鏡観察用保護剤および界面活性剤含有溶液を塗布した含水状態のウイルス粒子を前記基板とともに試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態のウイルス粒子の表面に薄膜を形成して試料を覆う工程と、真空下の試料室に収容された前記薄膜で覆った含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡像においてウイルス粒子を計数する工程とを含むことを特徴とする含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法。
  20. 請求項19において、前記含水状態のウイルス粒子を基板上に濃縮する工程が、含水状態のウイルス粒子の表面に電荷をチャージさせ、このチャージさせた電荷と相反する電荷を表面にチャージさせた基板に吸着させてウイルス粒子を濃縮することを特徴とする含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法。
  21. 請求項20において、前記含水状態のウイルス粒子表面にポリブレン処理してプラスの電荷をチャージさせることを特徴とする含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法。
  22. 請求項21において、プラズマ照射することによって基板の表面にマイナスの電荷をチャージさせることを特徴とする含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法。
  23. 請求項1に記載の観察方法に用いる含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用キットであって、(A)生存環境付与成分として、グリセリンを含有し、糖類として、グルコース、フルクトースから選択される1種以上を含有し、電解質として、塩化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸、乳酸カルシウムから選択される1種以上を含有し、生存環境付与成分、糖類および電解質を、20:0.7:0.03〜20:0.4:0.01の配合比で含有する電子顕微鏡観察用保護剤と、(B)界面活性剤含有溶液とを具有することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用キット。
  24. 請求項1に記載の観察方法に用いる含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤であって、生存環境付与成分として、グリセリンを含有し、糖類として、グルコース、フルクトースから選択される1種以上を含有し、電解質として、塩化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸、乳酸カルシウムから選択される1種以上を含有し、生存環境付与成分、糖類および電解質を、20:0.7:0.03〜20:0.4:0.01の配合比で含有することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤。
  25. 生存環境付与成分に対して2:1の配合比で水をさらに含有することを特徴とする請求項24に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤。
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