JP6452601B2 - 超電導マグネット、及びmri用超電導マグネット装置 - Google Patents

超電導マグネット、及びmri用超電導マグネット装置 Download PDF

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Description

この発明は、超電導コイルを備えている超電導マグネット、及びMRI用超電導マグネット装置に関するものである。
従来、高温超電導線材を環状に巻いて構成した超電導コイルに冷却板を接触させ、冷却板を冷凍機で冷却することにより超電導コイルを冷却するようにした超電導コイル装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−182176号公報
しかし、特許文献1に示されている従来の超電導コイル装置では、超電導コイルの一部が超電導状態から常電導状態に転移、即ちクエンチすると、磁場の変化によって冷却板に誘導電流が流れ、冷却板が加熱昇温する。従来の超電導コイル装置では、超電導コイルが冷却板に接触しているため、冷却板が加熱昇温すると、超電導コイルの超電導状態にある他の部位もクエンチしやすくなり、超電導コイルのクエンチの連鎖が生じやすくなる。これにより、従来の超電導コイル装置では、超電導コイル装置の磁場の強度の変化が大きくなりやすくなってしまう。従って、例えば医療用のMRI(Magnetic Resonance Imaging)用超電導マグネット装置に、特許文献1に示されている従来の超電導コイル装置が適用された場合、超電導コイルの一部のクエンチが生じると、被検体である人体が受ける磁場の強度の変化が大きくなりやすくなり、人体に悪影響が生じるおそれがある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、超電導コイルがクエンチしても磁場の強度の急激な変化を抑制することができる超電導マグネット、及びMRI用超電導マグネット装置を得ることを目的とする。
この発明による超電導マグネットは、扁平状の超電導コイルと、超電導コイルに重なっている冷却板とを有する冷却コイル体、冷却コイル体から離れて配置されている導電性の誘導板、及び冷却コイル体と誘導板との間に介在している断熱スペーサを備えている。
この発明による超電導マグネット、及びMRI用超電導マグネット装置によれば、超電導コイルがクエンチした場合に、磁場の変化を抑制する方向へ誘導電流を誘導板に発生させることができ、超電導マグネットの磁場の変化を緩やかにすることができる。これにより、超電導コイルがクエンチしても磁場の強度の急激な変化を抑制することができる。
この発明の実施の形態1によるMRI用超電導マグネット装置を示す一部破断斜視図である。 図1の超電導マグネットを示す断面図である。 実施例1、比較例1及び比較例2のそれぞれによる超電導マグネットについての中心磁界B0(T)と経過時間t(sec)との関係を示すグラフである。 実施例1、比較例1及び比較例2のそれぞれによる超電導マグネットについての磁場の変化dB/dT(T/sec)と経過時間t(sec)との関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態3による超電導マグネットの単位積層部を示す分解斜視図である。 この発明の実施の形態4による超電導マグネットの単位積層部を示す拡大断面図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるMRI用超電導マグネット装置を示す一部破断斜視図である。MRI用超電導マグネット装置は、筒状の超電導マグネット1と、超電導マグネット1を収容する真空断熱容器2と、超電導マグネット1を冷却する冷却装置である冷凍機3とを有している。MRI用超電導マグネット装置は、例えば医療用に使われる。
真空断熱容器2は、超電導マグネット1の径方向内側に位置する内周壁と、超電導マグネット1の径方向外側に位置する外周壁とを持つ筒状の容器である。これにより、真空断熱容器2の内側には、真空断熱容器2の内周壁で囲まれた円柱状の空間が形成されている。真空断熱容器2の内周壁で囲まれている空間には、被検体10が載せられた支持台11が配置される。被検体10としては、例えば人体等が挙げられる。真空断熱容器2内で超電導マグネット1が収容されている空間の真空度は、予め設定された設定真空度以下に保たれている。
冷凍機3は、超電導マグネット1に複数の熱伝導部材を介して接続されている。超電導マグネット1は、冷凍機3によって各熱伝導部材を介して伝導冷却される。超電導マグネット1の温度は、冷凍機3による超電導マグネット1の冷却によって設定温度以下の極低温になる。設定温度としては、例えば30Kとされている。
図2は、図1の超電導マグネット1を示す断面図である。超電導マグネット1は、筒状の内枠5と、内枠5の外周部に設けられている筒状の積層コイル6とを有している。内枠5は、超電導マグネット1の軸線と同軸に配置されている。
積層コイル6は、超電導マグネット1の軸線方向について並んでいる複数の単位積層部61と、各単位積層部61間にそれぞれ介在している複数の断熱スペーサ62とを有している。従って、積層コイル6では、超電導マグネット1の軸線方向について単位積層部61と断熱スペーサ62とが交互に重なっている。各単位積層部61間の熱の移動は、各断熱スペーサ62によって抑制される。
各単位積層部61は、冷却コイル体63と、超電導マグネット1の軸線方向について冷却コイル体63から離れて配置されている導電性の金属板である誘導板64と、冷却コイル体63と誘導板64との間に介在している断熱スペーサ65とを有している。冷却コイル体63と誘導板64との間の熱の移動は、断熱スペーサ65によって抑制される。断熱スペーサ62,65は、電気絶縁性及び熱絶縁性を持つ環状の平板である。この例では、断熱スペーサ62,65のそれぞれの大きさが互いに同じになっている。
冷却コイル体63は、環状で扁平状の超電導コイル66と、超電導マグネット1の軸線方向について超電導コイル66の側面に重なっている環状の金属製の平板である冷却板67とを有している。
超電導コイル66は、予め決まったターン数で環状に巻かれているテープ状のコイル線材を有している。また、超電導コイル66は、コイル線材7が超電導コイル66の径方向について重なって形成されているパンケーキコイルになっている。超電導コイル66を構成するコイル線材は、超電導線材である。
冷却板67は、超電導コイル66と熱的に接続されている。冷却板67には、冷却板67の径方向外側へ突出する接続部67aが設けられている。冷却板67の接続部67aには、冷凍機3が熱伝導部材を介して接続されている。超電導コイル66は、冷凍機3によって熱伝導部材及び冷却板67を介して冷却される。超電導コイル66の状態は、超電導コイル66が冷凍機3で冷却されることにより超電導状態になる。真空断熱容器2の内周壁で囲まれている空間には、各超電導コイル66が励磁されることにより超電導マグネット1の磁場が形成される。
誘導板64は、環状の平板である。この例では、誘導板64が、超電導コイル66の冷却板67側とは反対側の面に断熱スペーサ65を介して重なっている。また、この例では、誘導板64、超電導コイル66及び冷却板67のそれぞれの外径が互いに同じになっている。さらに、この例では、断熱スペーサ62,65のそれぞれの外径が誘導板64及び超電導コイル66のそれぞれの外径よりも大きくなっている。
次に、動作について説明する。積層コイル6への給電により各超電導コイル66が励磁されると、真空断熱容器2の内周壁で囲まれた空間には、超電導マグネット1の磁場が形成される。
何等かの原因で各超電導コイル66のいずれかの一部がクエンチし、超電導コイル66の一部に大きな抵抗が生じた場合、積層コイル6の電流が急激に低下し、超電導コイル66の発生する磁場が大きく変化する。このとき、誘導板64には、超電導コイル66による磁場の変化を抑制する方向へ誘導電流が流れる。これにより、超電導マグネット1の磁場の変化が緩やかになる。従って、真空断熱容器2の内周壁で囲まれた空間に被検体10がある場合、被検体10が受ける磁場の変化が緩やかになり、磁場の変化による被検体10の悪影響が抑制される。また、このとき、誘導板64には、誘導電流が流れることによりジュール熱が発生するが、誘導板64から超電導コイル66への熱の移動が断熱スペーサ62,65によって抑制され、超電導コイル66のクエンチの誘発及び促進が抑制される。
このようなMRI用超電導マグネット装置及び超電導マグネット1では、冷却コイル体63が、超電導コイル66と、超電導コイル66に重なっている冷却板67とを有し、導電性の誘導板64が冷却コイル体63から離れて配置され、冷却コイル体63と誘導板64との間に断熱スペーサ65が介在しているので、超電導コイル66の少なくとも一部がクエンチした場合に、超電導コイル66の発生する磁場の変化を抑制する方向へ誘導電流を誘導板64に発生させることができ、超電導マグネット1の中心磁場の変化を緩やかにすることができる。これにより、超電導コイル66がクエンチしても被検体10が受ける磁場の強度の急激な変化を抑制することができる。また、誘導板64で発生した熱を断熱スペーサ65によって超電導コイル66に伝えにくくすることができる。これにより、超電導コイル66の温度上昇を抑制することができ、超電導コイル66のクエンチの誘発及び促進を抑制することができる。
ここで、超電導マグネット1の中に誘導板64がない場合を考える。誘導板64がない場合、各超電導コイル66のいずれかがクエンチして、超電導コイル66の発生する磁場が大きく変化すると、誘導板64による磁場の変化の抑制効果がないことから、真空断熱容器2の内周壁で囲まれた空間に形成される超電導マグネット1の磁場も大きく変化する。磁場の減衰時定数は積層コイル6のインダクタンスLc及び積層コイル6の発生抵抗Rcによって決まることから、積層コイル6の発生抵抗Rcが時間とともに増加することを考慮すると、例えば、Lcが20H、Rcが20Ωである場合には、磁場の減衰時定数は1秒になる。従って、この場合、超電導マグネット1の中心磁場が3Tであると、数T/secの大きな磁場の変化が生じることになる。被検体10が人体である場合、被検体10が受ける磁場の変化が1T/sec以上になると、被検体10に対する悪影響として例えば閃光現象等が現れるおそれがある。
これに対して、本実施の形態では、誘導板64に流れる誘導電流によって生じる磁場により磁場の変化が抑制されるため、積層コイル6の見かけの抵抗Rcを、誘導板64がない場合よりも小さい値、例えば1Ω以下に抑制することができ、磁場の減衰時定数を10秒以上にすることができる。これにより、被検体10に対する悪影響をなくすことができる。また、誘導板64と超電導コイル66との間に介在する断熱スペーサ65によって誘導板64と超電導コイル66との間の熱時定数を一定値以上にすることができる。これにより、超電導コイル66のクエンチの誘発及び促進を抑制することができ、磁場の急激な減衰を抑制することができる。
また、本実施の形態による超電導マグネット1での磁場の変化の抑制効果を確認するために、実施例1、比較例1及び比較例2のそれぞれによる超電導マグネットについて、超電導コイル66の一部がクエンチしたときの中心磁界B0(T)と経過時間t(sec)との関係と、超電導コイル6の一部がクエンチしたときの磁場の変化dB/dT(T/sec)と経過時間t(sec)との関係とを解析により算出し、実施例1、比較例1及び比較例2のそれぞれの解析結果を比較した。
なお、実施例1による超電導マグネットの構成は、図2の超電導マグネット1の構成と同じである。また、比較例1による超電導マグネットは、実施例1の構成から誘導板64、断熱スペーサ62,65及び冷却板67を無くし、残った超電導コイル66同士を熱短絡させた超電導マグネットである。比較例2による超電導マグネットは、実施例1の構成から誘導板64及び断熱スペーサ62,65を無くし、残った冷却コイル体63、即ち超電導コイル66及び冷却板67を熱短絡させた超電導マグネットである。また、解析に用いた超電導マグネットは、本発明の効果を定性的に計算で比較するため、インダクタンスが20H程度の小型の超電導コイルを用いた簡易モデルとしている。さらに、解析では、実施例1における誘導板64と超電導コイル66との間の熱時定数を20(sec)で計算し、温度依存性は考慮していない。
図3は、実施例1、比較例1及び比較例2のそれぞれによる超電導マグネットについての中心磁界B0(T)と経過時間t(sec)との関係を示すグラフである。また、図4は、実施例1、比較例1及び比較例2のそれぞれによる超電導マグネットについての磁場の変化dB/dT(T/sec)と経過時間t(sec)との関係を示すグラフである。
図3に示すように、超電導コイル66のみを有する比較例1の超電導マグネットでは、超電導コイル66がクエンチしてから約7秒で磁場が無くなるのに対して、誘導板64、断熱スペーサ65、超電導コイル66及び冷却板67を有する実施例1の超電導マグネットでは、超電導コイル66がクエンチしてから約18秒で磁場が無くなることが分かる。また、誘導板64がなく冷却板67が存在する比較例2の超電導マグネットでは、超電導コイル66の磁場の変化によって冷却板67に誘導電流が流れるため、超電導コイル66がクエンチしてから約2秒後までは、磁場の減衰が抑制されるが、その後、冷却板67の誘導電流による発熱によって超電導コイル66が加熱されて超電導コイル66の抵抗の増加が促進されるため、磁場が急激に減衰し、超電導コイル66がクエンチしてから約5秒で磁場が無くなることが分かる。このように、実施例1の超電導マグネットでは、比較例1及び2の超電導マグネットに比べて磁場の減衰時間が長くなっていることが分かる。
また、図4に示すように、誘導板64がなく冷却板67が存在する比較例2の超電導マグネットでは、超電導コイル66のみを有する比較例1の超電導マグネットよりも、磁場の最大変化が大きくなっている。また、比較例2の超電導マグネットでは、磁場の最大変化が1.2T/secになっており、上記の被検体10が人体である場合に悪影響が出る値以上になっている。これに対して、実施例1の超電導マグネットでは、磁場の最大変化が、0.3T/secであり、比較例1の超電導マグネットよりも半分以下に抑制されていることが分かる。このように、実施例1の超電導マグネットでは、比較例1及び2の超電導マグネットに比べて磁場の変化が緩やかになっていることが分かる。
また、MRI用超電導マグネット装置に用いられる大型の超電導マグネット1になると、解析に用いた簡易モデルに比べて蓄積エネルギが10倍以上になるため、磁場の変化の特性は上記の解析と異なると考えられるが、MRI用超電導マグネット装置に用いられる超電導マグネット1による磁場の変化の抑制効果は、上記の解析よりもさらに顕著になると考えられる。
実施の形態2.
実施の形態2では、誘導板64が合金で構成されている。誘導板64を構成する合金としては、例えば白銅、黄銅、ステンレス又はジュラルミン等が挙げられる。誘導板64を構成する合金の電気抵抗率の温度依存性は、純金属(例えば純銅又は純アルミニウム等)の電気抵抗率の温度依存性よりも低くなっている。即ち、実施の形態2では、純金属よりも電気抵抗率の温度依存性の低い合金が、誘導板64を構成する材料として用いられている。これにより、誘導板64の温度が変化しても、誘導板64の電気抵抗率の変化は小さくなり、超電導マグネット1の磁場の減衰時定数の急激な変化が抑制される。
例えば、誘導板64を構成する材料が90Cu−10Niの白銅である場合、白銅の温度が20Kから室温まで変化しても、白銅の電気抵抗率は、1.5×10−7Ωmから1.7×10−7Ωmに変化するだけで、10%強しか変化しない。これに対して、誘導板64を構成する材料が純銅である場合、純銅の温度が20Kから室温まで変化すると、純銅の電気抵抗率は、1.8×10−10Ωmから1.8×10−8Ωmに変化し、100倍も増加してしまう。このように、白銅の電気抵抗率の温度依存性は、純銅の電気抵抗率の温度依存性よりも低くなっている。黄銅、ステンレス及びジュラルミンの電気抵抗率の温度依存性も、白銅と同様に、純銅の電気抵抗率の温度依存性よりも低くなっている。他の構成は実施の形態1と同様である。
このようなMRI用超電導マグネット装置及び超電導マグネット1では、誘導板64が白銅、黄銅、ステンレス又はジュラルミンで構成されているので、超電導コイル66の一部がクエンチして誘導板64の温度が変化しても、誘導板64の電気抵抗率の変化を、誘導板64が純金属で構成されている場合よりも小さくすることができる。これにより、超電導マグネット1の磁場の急激な変化をさらに抑制することができる。
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3による超電導マグネットの単位積層部61を示す分解斜視図である。各単位積層部61では、環状の平板である冷却板67に、冷却板67の内周部から冷却板67の外周部に達する切断部であるスリット67bが設けられている。スリット67bは、冷却板67の内周部及び外周部のそれぞれで開放されている。この例では、スリット67bが冷却板67の径方向に沿って設けられている。冷却板67のスリット67bを介して対向する2つの対向部は、互いに離れている。これにより、冷却板67は、冷却板67の周方向についてスリット67bの位置で電気的に絶縁されている。また、スリット67bは、冷却板67の中で、冷凍機3(図1)に接続されている接続部67aから最も遠い位置に設けられている。他の構成は実施の形態1と同様である。
このようなMRI用超電導マグネット装置及び超電導マグネット1では、冷却板67の内周部から外周部に達するスリット67bが冷却板67に設けられているので、冷却板67が受ける磁場が変化しても、冷却板67での誘導電流の発生をスリット67bによって防止することができ、冷却板67に大きなジュール熱が発生することを防止することができる。これにより、熱伝導率の高い金属材料、例えば純銅又は純アルミニウム等を冷却板67に用いることができ、超電導コイル66に対する冷却性能を高めることができる。また、通常の給電制御によって超電導コイル66の励磁及び消磁を行う場合でも、超電導コイル66の温度上昇を防止することができ、超電導コイル66の励磁及び消磁を安定して行うことができる。
また、冷却板67の中で、冷凍機3に接続されている接続部67aから最も遠い位置にスリット67bが設けられているので、スリット67bを冷却板67に設けても、冷却板67による超電導コイル66の冷却性能を低下しにくくすることができる。
なお、上記の例では、冷却板67の周方向について1箇所にのみスリット67bが設けられているが、冷却板67の周方向について複数箇所にスリット67bを設けてもよい。
また、上記の例では、冷却板67にスリット67bを設けた構成が実施の形態1の超電導マグネット1に適用されているが、冷却板67にスリット67bを設けた構成を実施の形態2の超電導マグネット1に適用してもよい。
実施の形態4.
図6は、この発明の実施の形態4による超電導マグネットの単位積層部61を示す拡大断面図である。実施の形態1〜3では、単位積層部61の誘導板64が、断熱スペーサ65を介して冷却コイル体63の超電導コイル66に重なっているが、本実施の形態では、単位積層部61の誘導板64が、断熱スペーサ65を介して冷却コイル体63の冷却板67に重なっている。冷却板67は、超電導コイル66の側面に重なっている。
また、超電導コイル66は、予め決まったターン数で巻かれているテープ状のコイル線材7を有している。また、超電導コイル66は、コイル線材7が超電導コイル66の径方向について重なって形成されているパンケーキコイルになっている。コイル線材7の断面の縦横のアスペクト比は、5以上になっている。
コイル線材7は、高温超電導線材である。また、コイル線材7は、テープ状の金属基板71と、金属基板71に生成されて重なっている高温超電導膜72と、高温超電導膜72に重なっている金属製(例えば銅製等)の保護材73と、金属基板71、高温超電導膜72及び保護材73をまとめて被覆している電気絶縁材74とを有している。即ち、コイル線材7では、金属基板71、高温超電導膜72及び保護材73の順に積層された積層体が電気絶縁材74で被覆されている。
高温超電導膜72は、通常知られている高温超電導材料で構成されている。高温超電導膜72を構成する高温超電導材料としては、例えば、希土類(RE)系超電導材料(例えばREBCO等)又はイットリウム(Y)系超電導材料(例えばYBCO等)等が用いられている。また、保護材73は、例えばはんだ等によって高温超電導膜72に固定されている。
冷却板67は、テープ状のコイル線材7の幅方向端部に熱伝導ペーストである接着剤8を介して重なっている。これにより、超電導コイル66と冷却板67との間の熱の移動は、接着剤8を介して行われる。接着剤8としては、例えばエポキシ系接着剤等が用いられている。
積層コイル6は、真空断熱容器2内の高真空度の環境に置かれているため、超電導コイル66と冷却板67との間に高真空度の空間が介在している。従って、接着剤8が超電導コイル66と冷却板67との間に介在していない場合には、超電導コイル66と冷却板67との間に高真空度の空間が介在し、超電導コイル66と冷却板67との間での熱伝導率が極めて小さくなる。本実施の形態では、熱伝導ペーストである接着剤8が超電導コイル66と冷却板67との間に介在しているので、超電導コイル66と冷却板67との間に接着剤8が介在していない場合よりも、超電導コイル66と冷却板67との間での熱伝導率が高くなっている。また、本実施の形態では、超電導コイル66に対する冷却効率の向上を図るために、冷却板67が超電導コイル66にできるだけ近づけて配置されている。他の構成は実施の形態1と同様である。
このように、誘導板64が断熱スペーサ65を介して冷却コイル体63の冷却板67に重なっていても、超電導コイル66の磁場の変化を抑制する方向へ誘導電流を誘導板64に発生させることができ、超電導マグネット1の磁場の変化を緩やかにすることができる。
また、このようなMRI用超電導マグネット装置及び超電導マグネット1では、超電導コイル66を構成するコイル線材7が高温超電導線材になっているので、液体ヘリウムの温度等の極低温にまで冷却しなくても超電導コイル66を超電導状態にすることができ、超電導コイル66の冷却設備の簡素化を図ることができる。
一方、超電導コイル66を構成するコイル線材7が高温超電導線材である場合、超電導状態から常電導状態に転移する臨界温度が通常の超電導線材よりも高いので、超電導コイル66のクエンチの連鎖速度が非常に遅くなる。このため、コイル線材7が高温超電導線材である場合には、温度上昇が集中するホットスポットが超電導コイル66に発生し、超電導コイル66の局部焼損に至ることが知られている。超電導コイル66に局部焼損が発生すると、超電導コイル66の抵抗が急激に増加し、超電導コイル66による磁場の減衰が激しくなる。本実施の形態では、超電導コイル66に局部焼損が発生した場合であっても、超電導コイル66の磁場の変化を抑制する方向へ誘導電流を誘導板64に発生させることができ、超電導マグネット1の磁場の変化を緩やかにすることができる。
なお、本実施の形態では、冷却板67がコイル線材7に接着剤8を介して重なっているので、超電導コイル66と冷却板67との間の熱時定数が、接着剤8がない場合に比べて短くなっており、超電導コイル66の感度が冷却板67の発熱に敏感になっている。従って、本実施の形態では、実施の形態3と同様に、冷却板67にスリット67bを設けることにより、冷却板67のジュール発熱による超電導コイル66のクエンチの誘発を防止することができ、超電導マグネット1の磁場の急激な変化をさらに抑制することができる。
なお、上記の例では、超電導コイル66を構成するコイル線材7を高温超電導線材にした構成が実施の形態1の超電導マグネット1に適用されているが、超電導コイル66を構成するコイル線材7を高温超電導線材にした構成を実施の形態2又は3の超電導マグネット1に適用してもよい。
実施の形態5.
実施の形態5では、超電導マグネット1の磁場の減衰時定数が目標の設定減衰時定数(例えば10秒等)以上になるように、誘導板64の抵抗値が、超電導コイル66と誘導板64との相互インダクタンスLに基づいて特定されている。即ち、目標の設定減衰時定数を10秒とすると、誘導板64の抵抗値はL/10になっている。また、通常の給電制御によって超電導コイル66を励磁するときの誘導板64の誘導発熱総量は、冷却コイル体63を冷却する冷凍機3の冷却能力の1/10以下になっている。これにより、超電導コイル66に対する通常励磁時間及び通常消磁時間が1000秒以上である場合、誘導板64のジュール発熱は冷凍機3の冷却能力よりも十分小さくなり、誘導板64の温度上昇範囲は超電導コイル66の磁場の減衰に支障がない範囲に留まる。
この例では、黄銅で構成された1ターンの平板を誘導板64として用いており、コイル線材を巻いた1000ターンのコイルを超電導コイル66として用いている。従って、この例では、誘導板64と超電導コイル66との巻線比率が1:1000になっている。これにより、誘導板64の抵抗値が1×10−3Ω、誘導板64の周長が3mである場合には、誘導板64の厚さは5mm程度になる。なお、黄銅よりも抵抗値の低い純銅の膜を黄銅の板にメッキ等で設けて誘導板64を構成することにより、誘導板64の全体の抵抗値を調整しながら、誘導板64の厚さをさらに薄くすることができる。
また、例えば、積層コイル6の通常励磁時間が1000秒である場合、超電導マグネット1では、磁場の減衰時定数が10秒であるため、1/100の磁場の発生の遅れが生じる。また、この場合、誘導板64の発熱量は、1つの超電導コイル66につき1mW程度である。従って、積層コイル6に含まれる超電導コイル66の数が1000個である場合、誘導板64の誘導発熱総量が約1Wになり、運転温度20Kにおける冷凍機3の冷却能力約20Wに対して、誘導板64の温度上昇範囲は1K以下になる。誘導板64の1K以下の温度上昇は、超電導コイル66の励磁には支障のない温度上昇範囲である。通常の給電制御によって超電導コイル66を励磁するときの誘導板64の誘導発熱総量が冷凍機3の冷却能力の1/10以下であれば、超電導コイル66の励磁に支障のない範囲内に誘導板64の温度上昇を留めることができる。他の構成は実施の形態1と同様である。
このようなMRI用超電導マグネット装置及び超電導マグネット1では、超電導マグネット1の磁場の減衰時定数が設定減衰時定数以上になるように、超電導コイル66と誘導板64との相互インダクタンスLに基づいて誘導板64の抵抗値が特定されており、超電導コイル66を励磁するときの誘導板64の誘導発熱総量が冷凍機3の冷却能力の1/10以下になっているので、誘導板64の誘導発熱による超電導コイル66のクエンチの発生をより確実に抑制することができ、超電導マグネット1の磁場の急激な変化をさらに確実に抑制することができる。
なお、上記の例では、誘導板64の抵抗値及び冷凍機3の冷却能力に関する上記の構成が実施の形態1に適用されているが、誘導板64の抵抗値及び冷凍機3の冷却能力に関する上記の構成を実施の形態2〜4に適用してもよい。
また、各上記実施の形態では、各単位積層部61における断熱スペーサ65が一体の平板になっているが、超電導コイル66と誘導板64との間に複数の断熱スペーサ65を互いに離して分散して介在させてもよい。この場合、各単位積層部61の超電導コイル66間で電磁力が発生するので、複数の断熱スペーサ65の強度は、各超電導コイル66間に発生する電磁力に耐えうる強度になっている。このように、超電導コイル66と誘導板64との間に複数の断熱スペーサ65を互いに離して分散して介在させれば、超電導コイル66と誘導板64との間に高真空度の空間を一部介在させることができ、超電導コイル66と誘導板64との間の熱時定数をより確実に確保することができる。また、断熱スペーサ65に必要な材料を少なくすることができ、コストの低減化を図ることもできる。
また、各上記実施の形態では、この発明の超電導マグネット1がMRI用超電導マグネット装置に適用されているが、この発明の超電導マグネット1を例えばNMR(nuclear magnetic resonance)用超電導マグネット装置等に適用してもよい。
1 超電導マグネット、7 コイル線材(高温超電導線材)、63 冷却コイル体、64 誘導板、65 断熱スペーサ、66 超電導コイル、67 冷却板。

Claims (6)

  1. 扁平状の超電導コイルと、前記超電導コイルに重なっている冷却板とを有する冷却コイル体、
    前記冷却コイル体から離れて配置されている導電性の誘導板、及び
    前記冷却コイル体と前記誘導板との間に介在している断熱スペーサ
    を備え
    前記誘導板は、環状の平板である超電導マグネット。
  2. 前記誘導板は、白銅、黄銅、ステンレス又はジュラルミンで構成されている請求項1に記載の超電導マグネット。
  3. 前記冷却板は、環状の平板であり、
    前記冷却板には、前記冷却板の内周部から前記冷却板の外周部に達する切断部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の超電導マグネット。
  4. 前記超電導コイルを構成するコイル線材は、高温超電導線材である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の超電導マグネット。
  5. 前記誘導板の抵抗値は、磁場の減衰時定数が設定減衰時定数以上になるように、前記超電導コイルと前記誘導板との相互インダクタンスに基づいて特定されており、
    前記超電導コイルが励磁されているときの前記誘導板の誘導発熱総量は、前記冷却コイル体を冷却する冷却装置の冷却能力の1/10以下である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の超電導マグネット。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の超電導マグネットを備えているMRI用超電導マグネット装置。
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