JP6451936B2 - フォーム用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、フォーム用紙に関し、特に、その内部に、紙パルプ繊維と応力発光材料を含んで、その応力発光材料がその紙パルプ繊維に接する状態で含まれており、そのフォーム用紙に所定の外力を負荷すると、その外力によって、そのフォーム用紙が、引っ張られたり、湾曲したり、折り曲げられたり、さらには、捻じ曲げられ、このことによって、その紙パルプ繊維が変形を受けると同時に、その紙パルプ繊維と接した状態で混在している、応力発光材料のそれぞれの部位が所定の変形応力を受けて、あらかじめ定められた波長の光を、それらの変形応力の大きさに応じて、所定の強度で発する(発光する)こととなる、フォーム用紙に関するものである。
そもそも、「紙」とは、経済産業省による生産動態統計分類における、「紙」、「板紙」、及び、「パルプ」の品種分類の中の一つであり、その「紙」も、非塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、特殊印刷用紙、及び、情報用紙の4つに分類されている。
すなわち、上級印刷用紙、中級印刷用紙(中質紙および上更紙)、下級印刷用紙などの非塗工印刷用紙、上級印刷用紙や中級印刷用紙を原紙とし、表面に塗料を塗布した印刷用紙であって、塗料の量などにより、アート紙、コート紙、または、軽量コート紙などに分類される、塗工印刷用紙、塗料の量が塗工印刷用紙よりも少ない、微塗工印刷用紙や、色上質紙、官製はがきなどに分類される、特殊印刷用紙、及び、コピー用紙、フォーム用紙、インクジェット用紙、ノーカーボン紙、感光紙、感熱紙、OCR用紙や圧着はがき用紙などを指す、情報用紙に分類される。
その内、「情報用紙」は、ノーカーボン紙、フォーム用紙、PPC(plain paper copier。普通紙複写機。)用紙、及び、感熱紙の「4分類」に分類されることもある。
いずれの「分類」においても、その中の「一分類」に位置づけられている、本発明における、「フォーム用紙」とは、様々なデータ出力をプリントする「紙」としての出力用連続伝票、すなわち、いわゆるコンピューター用帳票、言い換えれば、コンピューター制御された様々なプリンター(インパクトプリンター、ノンインパクトプリンターなど。特には、レーザープリンターや、インクジェットプリンターなど。)、さらには、種々の原理に基づく複写機等により、種々の情報(デザインを含む。)が出力される帳票であり、出力位置を示す罫線等を入れたり、送り孔加工やジグザグ折りを施してある「用紙」である(罫線、孔加工、及び、折り加工を施す前の状態の『用紙』を含む。一部には、『単票』もある)。
また、一部には複写用紙としても用いられている「用紙」である。
このため「フォーム用紙」には、「フォーム用紙」として必須となる「品質特性」、すなわち、「オフセット印刷等の印刷適性」、「NIP(ノンインパクトプリンター)等のプリント適性」、「インクジェットプリンター等の印字適性」や、送り孔(スプロケットホール)加工、ミシン加工、ジグザグ折り加工、封筒加工、もしくは、「後糊圧着」処理等の後加工適性を有することが求められる。
これらの「適性」を確保するため、「フォーム用紙」は、少なくとも、所定の「坪量」及び、その「坪量」の許容範囲、所定の「厚さ」及び、その「厚さ」の許容範囲、所定の「平滑度」及び、その「平滑度」の許容範囲、所定の「水分量」及び、その「水分量」の許容範囲、所定の「剛度」及び、その「剛度」の許容範囲、所定の「強度」及び、その「強度」の許容範囲を、全て、満足している「情報用紙」、もしくは、「紙」である。
ここで、「坪量」は、JIS−P8124において、所定の「坪量」(『所定の坪量』とは、『坪量』が、飛び飛びの『値』として定められており、その個々の『値』を持つこと意味する。以下、同様。)+10%、及び−2%、「厚さ」は、JIS−P8118において、所定の「厚さ」±8%、「平滑度」は、JIS−P8119において、表(おもて)面で、20sec以上、裏面で、20sec以下、「水分量」は、未調湿にて、5.0〜7.0%、「ISO白色度」は、JIS−P8148において、83%±2%、「クラークこわさ」は、JIS−P8143において、所定の「値」以上、「引張強度」は、JIS−P8113において、「縦」、「横」とも所定の「値」以上、引裂強度は、JIS−P8116において、「縦」、「横」とも所定の「値」以上でなければならない。
例えば、それらの「値」の一つを例示すると、「クラークこわさ」は、JIS−P8143において、30cm3/100以上、「引張強度」は、JIS−P8113において、「縦」3.55以上で、「横」1.5以上、「引裂強度」は、JIS−P8116において、「縦」180以上で、「横」210以上となるが、これらを満足する、具体的な「用紙」のいずれの「値」も、その「値」の、一ランク上(『坪量』のより大きい『用紙』を意味する。)の「品質仕様の『値』」(『飛び飛びの値』の『次の値』と言う意味。)を超えないものとする。
すなわち、その個々の値を全て示すと、所定の「坪量」として、52.3、60、64、81.4、84.9、96.5、104.7、127.9、157g/m3という、「飛び飛びの値」をとる。
これに応じて、所定の「厚さ」も、67、81、84、102、106、119、128、156、192μmと、「飛び飛びの値」をとる。
このことは、所定の「剛度」及び、所定の「強度」においても同様である。
すなわち、これらの「用紙」の「品質仕様」を、標準的な「フォーム用紙」と、「同一」としなければ、その「用紙」の用途において、印刷不良、印字不良や加工不良などの不具合が発生してしまうこととなり、さらには、耐久性等の物理特性が著しく劣るものとなってしまう(標準的な『フォーム用紙』に適合するように『設定』してあるプリンター等や、加工装置等に対して、それらの『設定』を変更することなく、本発明の『フォーム用紙』を適合させることができることを意味する。)。
従って、「用紙」に含まれる、「紙パルプ繊維」に対して、その比重が大きく、「剛度」や、「強度」も著しく大きい「応力発光材料」を含む、本発明の「フォーム用紙」においても、この「品質仕様」を満足させるため、その「応力発光材料」を「所定の形状(所定の『大きさ』や所定の『形』。)」とするとともに、その含有させる「量」や、含有させる状態(『用紙』の中の配置や分布状態など。)を制御する必要が生じる。
さらに、「ISO白色度」については、その「値」を所定の値とすることにより、オフセット印刷等の印刷後や、プリンター印字後の「色コントラスト」を向上させ、特に、「ハイライト部」での「印刷上がり(印刷の仕上がりと言う意味。印字部と非印字部のコントラストを含む。)」を非常に良好なものとするため、その「値」を90%前後とすることは、「ISO白色度向上タイプの『フォーム用紙』」と位置付けることができ、好適である。
「平滑度」については、その高い「平滑度」により、細かい網点や、細かい印字部まで、ムラ無く再現でき、「画像再現性」に優れることとなり、「文字」だけでなく「写真」まで美しく印刷(印字)できるものとなることから、より高い「平滑度」とすることも、同様に、「平滑度向上タイプの『フォーム用紙』」と位置付けることができ、好適である。
そして、上述した諸基準には含まれていないが、「フォーム用紙」の「不透明度」を向上させると(より『不透明な』フォーム用紙とすると。)、その「不透明性」により、「両面印刷」や、「両面印字」をも可能にすることとなる(『裏面の印刷や印字』が透けて見えて、『表面の印刷や印字』に影響を及ぼすことがないという意味。)。
また、本発明の「フォーム用紙」は、種々の孔開け加工、ミシン(折りミシンや、破断ミシン、さらには、バースト用ミシンや、シートカット用ミシンなど。ハーフカットも含む。)加工、さらには、スリット加工など、それぞれ所定の「加工刃」を用いて(レーザー加工の場合には、レーザー光線を意味する。)、所定の孔、所定のミシン目、所定のスリットを設けることとなるため、これらの加工における、「加工精度」を維持し、且つ、これらの「刃」の「耐摩耗性」を劣化させないため(『刃』が、『応力発光材料』との接触により、著しく削られて、消耗してしまい、その所定の『耐用回数(耐用頻度や、耐用長さ等)』より、著しく少ない『回数(頻度や、長さ)』で交換せざるを得なくなることを防止することを意味する。『レーザー加工』においては、不要に『高出力』とすることで、『レーザー光源』の交換を早めてしまうようなことがないことを意味する。)、上記した「応力発光材料」の「形状」や「分布」の制御が重要となる。
特には、「平滑度」、「剛度」、及び、「強度」をその「許容範囲」内とするため、「応力発光材料」の「大きさ」を、「微粒子」、さらには、「超微粒子」とし、「用紙」に、「均一に分散」させることが好ましい。
しかも、「応力発光材料」を含める「量」にも制約があるため(もちろん、上記したように、その『大きさ』にも制約がある。)、少ない「量」で(しかも、小さい『形状』で。)、より「高輝度」の「発光」を発現させるため、その「応力発光材料」の中の、「強く発光する部位」、すなわち、「所定の部位」の応力発光係数αを2以上とすることが好ましく、特には、10以上とすることが好ましい。
そして、そのような印刷や、印字の背景となる「白色の背景」を、「ムラの無い、均一な白色の背景」とするため、「ISO白色度」を満足するのみならず、「用紙」に添加される「サイジング剤」の「色調」と、「応力発光材料」の「色調」の「色差△E」を、0.5以下とする。
本発明において、「紙パルプ繊維」とは、「製紙」に用いるために分離した植物繊維である「パルプ繊維(以下、「パルプ」とも称す。)」のことを意味し、「動物繊維」や、「化学繊維」、または、「人造繊維」などを含まないものとする。
但し、これらの「繊維」を、「紙パルプ繊維」に加えて含めることを排除しない。
ここで、「繊維」状としている「形」は、形態上の性質であって、「細長いもの」、すなわち、「太さ」(最大直径。もしくは、その断面の「幅」や「厚さ」で表す。)に対して、「長さ」がきわめて大きいものであって、いわゆるアスペクト比の値(「太さ」対「長さ」)として、1対50〜1対2000程度のものを意味する。
そして、本発明の「フォーム用紙」は、この「紙パルプ繊維」に加えて、いわゆる「セラミック」からなる「応力発光材料」を含めた「用紙」であって(「応力発光材料」の組成や構造等は、以下に詳述する。)、しかも、その「紙パルプ繊維」と、その「応力発光材料」が、その「用紙」の内部で接したり、絡まって存在しており(この意味で、この「用紙」の中の「『紙パルプ繊維』&『応力発光材料』」を、「合体」したものとして、「複合体」とも称す。)、この「用紙」に所定の外力負荷、例えば、「指の力」で湾曲させたり、適宜な曲面を持つ治具にその「用紙」を手の力で押し付けたりしたときに、まず、その「用紙」内の「紙パルプ繊維」がその外力負荷によって「変形」を生じる。
そして、「複合体」が「湾曲」したときの「紙パルプ繊維」の「変形」は、その「紙パルプ繊維」と「合体(一部、結合している。)」している「応力発光材料」の「変形」を引き起こし、特には、「紙パルプ繊維」と「応力発光材料」の「接点」において、物理的な移動を伴って、「引っ張り応力」、「せん断応力」、「ずれ応力」(以下、総称して「応力」と称すこともある。)を発生させることとなる。
この「応力発光材料」は、「セラミック」、中でも、「金属、または、ケイ素の酸化物、窒化物、炭化物や硫化物の構成」を持ち、「紙パルプ繊維」と「応力発光材料」の接点においては、「紙パルプ繊維」間の接点における「セルロースの水酸基」による「水素結合」と同様に、「紙パルプ繊維」を構成している「セルロースの水酸基」と、「酸化物、窒化物、炭化物や硫化物の酸素原子、窒素原子、炭素原子や硫黄原子」との「水素結合」により、その接点において「結合」している。
もちろん、「複合体」の「湾曲」、及び、「紙パルプ繊維」の「湾曲」による、直接的な「応力発光材料」への圧力も、その「応力発光材料」に発生する「応力」を助長する。
本発明の「フォーム用紙」に用いられる「応力発光材料」は、「針状」や、「帯状」でなく、「粒子」状であって、この「粒子」の「形状」が、「所定の形状」となっており、上記したような、「応力発光材料」への圧力、すなわち、その「粒子」が「変形圧力」を受けた際に、「紙パルプ繊維の変形に対応した変形応力」、すなわち、その「粒子内」において、「『引っ張り応力』、『せん断応力』、もしくは、『ずれ応力』」が発生し、その「粒子」の「外形」に特有の部位(これが『所定の部位』。)に、「応力の集中」が起こり、特には、その「粒子」の表面に、多数、存在する「凹凸形状(『粒子』を生成する過程で生じる、『粒子』の表面の、三次元的な、『凹凸の形状』を意味する。)」の「凹部」において発生する、「『引っ張り応力』、『せん断応力』、もしくは、『ずれ応力』」により、その「凹部の底の部位」(これも『所定の部位』となる。)に同様の「応力の集中」が起こって、それらの「部位」が、強く発光することとなる(『粒子』表面の『凸部』よりも、『凹部』に、より大きな『応力』が発生する。)。
すなわち、このような「粒子」の「『外形』に特有の部位(『外形』によって定まる『部位』と言う意味。)」や、「粒子」に必ず存在する、「粒子の表面の凹部の『底』の部位」が、それぞれ、「応力発光材料」の「所定の部位」であり、その「所定の部位」の応力集中係数αが、2以上、さらには、10以上となっている。
また、上記した、「応力発光材料」における、「紙パルプ繊維」との「接点」の箇所も、「応力発光材料」の「所定の部位」となり得る箇所であって、上記した、その「接点」における上記したような「結合」を通じて、「『引っ張り応力』、『せん断応力』、もしくは、『ずれ応力』」が、「紙パルプ繊維の変形に対応した変形応力」として発生する。
そして、それらの「応力発光材料」、さらには、「応力発光材料」のそれぞれの「部位」は、それらの「部位」に作用する、それぞれの「応力の大きさ」に比例する強度で、且つ、以下に詳述する「応力発光材料を構成する構造(組成や結晶構造などを含む。)」に対する「応力の作用する方向」に応じた強度で(これが、「変形応力に応じた強度」を意味する。)、その「構造」に特有(固有)の波長の光を発する。
そして、この「『応力発光材料を構成する構造』に特有の波長の光」が、「所定波長の光」であって、通常は、「可視光」の波長範囲、すなわち、光の波長で、400nm〜800nmの範囲にあり、一つの種類の「応力発光材料」に対応して、一つの波長の光が発光する。従って、この発光した「所定波長の光」を観察者が目視にて視認できることとなる。
但し、この「所定波長の光」の強度は、「目視にて視認可能である」ためには、その「発光輝度」(「光の強度」の一つの指標。)として、少なくとも1.0mcd/cm2(ミリカンデラ/平方センチメートル)の大きさが必要である。
本発明の「フォーム用紙」に用いられる「紙パルプ繊維」の代表例である、「針葉樹パルプ繊維(NBKP、または、「N材」と呼ばれる。)」は、その「太さ」が、30〜50μm程度であり、その「長さ」が、1.0〜6.0mm、もしくは、その「N材」としての「平均長さ」が、3.0mmという「形」を持つ。
本発明の「フォーム用紙」に用いられる「応力発光材料」のヤング率は、「紙パルプ繊維」のヤング率より、非常に大きいため(100倍以上の差がある。)、上記した「品質仕様」を満足させるために、「応力発光材料」の「大きさ(最大直径。)」を、「紙パルプ繊維」の「太さ」の1/2以下、さらには、1/20以下、且つ、「紙パルプ繊維」の「長さ」の1/50以下、さらには、1/500以下とする。
その「太さ」が1/2を超えたり、「長さ」が1/50を超えると、「フォーム用紙」としての「剛性」や、「強度」を、その「品質仕様」内に留めることが困難となる。
本発明において、「応力発光材料は、針状の『形』、または、帯状の『形』を有しない」とは、「応力発光材料」が、「紙パルプ繊維」と同様の「形」を持たないことを意味し、「針状」の「形」とは、「紙パルプ繊維」と同等の「最大直径及び長さ」を有した「棒状」を意味し、「帯状」の「形」とは、「紙パルプ繊維」の最大直径と同等の「長さ」の「縦の長さ×横の長さ」を持つ「長方形」の「断面」を持ち、「紙パルプ繊維」と同等の「長さ」を有する「極薄板状(帯状)の扁平な直方体」を意味する。
このような針状、または、帯状の「形」を有する「応力発光材料」は、非常に「剛性」及び「強度」が大きく、その単体としての存在により、「フォーム用紙」の「剛性」及び「強度」を大きいものとしてしまうこととなる。さらには、「紙パルプ繊維」と絡んで、「複合体」としても、その「剛性」及び「強度」を著しく高めてしまうこととなる。
また、「フォーム用紙」に、このような針状、または、帯状の「形」を有する「応力発光材料」が含まれていると、「フォーム用紙」に、上記したような加工処理を施す際、その加工「刃」による「応力発光材料」の「切断(応力発光材料をその『刃』が直接分断することを意味する。)」機会が増加し、その加工「刃」の摩耗が著しいものとなる(レーザー加工等の場合には、そのレーザー出力を増大させることとなる。)。
これに対して、「応力発光材料」を、上記したような「微粒子」や、「超微粒子」として、「フォーム用紙」の中に均一に分散させることで、「フォーム用紙」の「剛性」及び「強度」の制御を容易とするのみならず、そのような加工「刃」の摩耗をも抑制することができる(『応力発光材料』が『小さい』ことから、加工『刃』が『応力発光材料』を分断する『機会』が激減する、もしくは、ほぼ無くなるという意味。)。
この「微粒子」状の「粒子」の「所定の形状」とは、最大直径が1.0〜20μmであって、且つ、平均直径D50が0.5〜15μmである「微粒子形状」である。
さらには、最大直径が0.01〜1.0μmであって、且つ、平均直径D50が0.005〜0.5μmである「超微粒子」状の「粒子」の「所定の形状」とすることも、より好適である。
ここで、「微粒子」状の「粒子」の「所定の形状」を得るべく、比較的大きな「塊状」、または、「板状」の「応力発光材料」に、単純な「破砕処理」、及び、その処理後に単純な「分級処理」を併せて施しただけでは、その粒径分布は、いわゆる「正規分布」を成し、平均直径D50を中心に(ここに、分布の最大値を持つ。)、より小さい粒径、及び、より大きい粒径の両方に向かって、同様の傾斜で、徐々にその分布の値が小さくなっていく「分布曲線」を描く(その平均直径D50の少なくとも、±70%以上の直径を有する粒子が有意に存在する広がりを持つ、『分布』となる。)。
本発明の「応力発光材料」の「微粒子」状の「粒子」の「所定の形状」は、例えば、最大直径が20μmであって、且つ、平均直径D50が15μmである「微粒子形状」であって、平均直径D50に対して、大きい粒径に向かう分布が、+35%を境に、その分布値が突然『0』(ほぼ無くなるという意味。)となる「分布曲線」(小さい粒径に向かう分布は、上記したような『−70%以上の広がり』を持つ『分布』となる。)を持つ。
すなわち、「平均直径D50に対して+35%を超える最大粒径の「粒子」を除去する分級処理」(予め定めた最大粒径を超える、大きい『粒子』を除去する『分級処理』法を用いる。)を施した「応力発光材料」であって、このことにより、「フォーム用紙」が、不要な大きさの「粒子」を含むことを阻止して、「平滑度」等の「品質特性」を高め、同時に、比較的大きい平均直径D50を持つ「応力発光材料」とすることで、その発光強度を大きいものとすることを可能とする。
このような「最大直径と平均直径D50との比(『最大直径』/『平均直径D50』の値)」は、1.05〜1.50とする。特には、1.20〜1.35が好ましい。
この比が、1.50を超えると、上記した「特殊な分級処理」をする意味が薄れ、1.05未満とすると、そのような分級処理自体が困難なものとなる(繰り返して行う、『分級処理』の、『繰返し回数』が極端に増加するという意味も含まれる。)のみならず、結果として得られる「応力発光材料」の「収率」が、著しく減少してしまうこととなるため、不適当である。
また、上述の説明において、「紙パルプ繊維」と「応力発光材料」は、互いに「接した状態」で含まれているとした、そのような「状態」は、以下に詳述する「『フォーム用紙』を製造する工程」、すなわち、その「製紙工程」の中に、「紙パルプ繊維」と「応力発光材料」の懸濁液(スラリーとも呼ばれる。)を、いわゆる「網(プラスチックワイヤーなど。)」上に広げて乾燥させる一連の工程があるが、この一連の工程において、その「紙パルプ繊維」と「応力発光材料」を、その懸濁液中で均一に分散し、その均一分散液を、一様、且つ、均一に、薄く広げることで、または、「紙パルプ繊維」を薄く広げた後、「応力発光材料」を薄く重ねるように広げ、その上に、再び、「紙パルプ繊維」を薄く重ねるなどして、「応力発光材料」の個々の「粒子」が、「紙パルプ繊維」の表面に付着し易くしたり(『繊維』の表面の凹部に付着させて、互いに接した状態で、その『粒子』を留めるという意味。)、「紙パルプ繊維」が互いに重なっているところ、例えば、「×」状、もしくは、「キ」状に「クロス(交差)」する状態となっている、「紙パルプ繊維」どおしの、その「交差位置」に、その「粒子」を入り込ませると同時に、固着させることで得られる。
そして、このような「工程」を経て、「応力発光材料」の「粒子」を、「フォーム用紙」全体に、均一に分散させる。
ここで、この「互いに接した部分(交差位置も含む。以下、同様。)」が増加すればするほど、「フォーム用紙」を変形させたときの発光強度が増加することとなる(発光点が増加するという意味。)。
また、このような「接した部分」には、「変形応力」が集中し、そのことによって、応力発光材料の発光強度が増すとともに(「応力に比例して増す」という意味。)、その発光部位において発光した「光」が、透明性を有する「紙パルプ繊維」の中にも入り込んで、その「紙パルプ繊維」の中で、繰り返し反射し(多重反射現象を起こすという意味。)、いわゆる「発光点」を、「発光域」へと拡大させ(複数の『発光点』から発光するという意味。)、発光した部位(『発光点』及び、『発光域』を含む。)と、その周辺領域のコントラストが大きくなって、より視認し易くなる。
本発明において、「応力発光材料」とは、いわゆる「熱弾性マルテンサイト変態」近傍において、「物理的な変形」を伴って、その材料に「応力」を負荷すると「双晶擬弾性変形」を生じやすい材料である、「Eu添加SrAl24(「SAOE」とも称される。)」等に代表される、「『物理的な変形』を伴って、その材料に『応力』を負荷した際に、所定の波長の光を発光し、且つ、その負荷した『応力』に応じてその発光強度が増加する」材料を、焼成し、焼結させて、上記した「粒子」状など、所定の形状としたものである。
ここで、「物理的な変形」と表現した意味は、もちろん、「化学的な組成変化」ではないことを表すが、さらに、「材料内部の一部の結晶構造のみがその格子構造を変化させること」に留まらず、「材料全体の外形の変化」に至る「変形」であることを示している。(このように、「『外観上認識できる外形の変形』を伴う変形」を、「物理的な変形」と称した。すなわち、格子構造の変形が、微視的な領域のみで発生している状態ではなく、格子構造の変形が材料内で伝搬し、視認できるほどの大きな領域に渡って発生している状態を意味する。)
従って、本発明の「応力発光材料」の「発光」を促進するために、「材料全体の外形」が「変化」し得る「領域」(動き得る領域として「可動域」とも表現される。)を確保することが求められ、本発明の「応力発光材料」のように、「応力発光材料」が「用紙」内で、比較的自由に動くことができる構成とすることが重要となる。
次に、本発明における、「応力集中係数α」につき説明する。
そもそも、「応力集中」とは、ある材料の「形状」の「不連続性」により、その材料に外力を負荷して、その材料内部に、その外力に応じた「応力」を発生させたとき、その「不連続箇所」の近傍に、他の領域に発生する「応力」に比較して、「大きな応力」が発生することをいう。
そして、この「応力集中」の要因となるものとして、その「材料」に存在する「段差(断面の急激な変化)」、「凹み」、「凹凸」、「貫通孔」、「切欠き」、さらには、その材料内の「材料組成の急激な変化」(燒結境界面や、溶接などによる接合面)などがある。
この「応力集中」の状態を数値で表したものが、「応力集中係数α」であって、α=σmax/σ0(式中、σ0は、材料全体に発生する「『応力』の平均値」であり、σmaxは、その応力集中箇所に生じる「『応力』の最大値」である。)と表される。
単純な例として、円柱形状の材料(上面と下面が同一の円となっている棒状のもの。)に対して、その上面と下面(各面の面積を、S平方ミリメートルとする。)を挟んで垂直方向に外力F(N:ニュートン)を負荷したとき、その円柱形状の中間位置に、断面積がその上面(下面)の1/2となる箇所(この箇所の断面積は、S/2平方ミリメートルとなる。)を設けてあるとすると、σ0は、[(比例定数k)×F/S](N/mm2)となり、σmaxは、[(比例定数k)×2F/S](N/mm2)となって、応力集中係数α=σmax/σ0=2.0となる。
この例は、上記したような「物理的な変形」を伴わない応力発生例であるが、説明の単純化のために敢えて用いた。
本発明の「応力発光材料」の「応力集中係数α」を、2以上とするためには、「粒子状」の外形をした「応力発光材料」の一部に、その最大直径の1/10〜1/5の深さの「凹み」や「切欠き」を設けることで得られる。
この「凹み」の形を、「底の浅い形。例えば、[(開口部幅/深さ)の比]が1/5〜1/1」としたもの、もしくは、「底の深い形。例えば、[(開口部幅/深さ)の比]が1/20〜1/10」としたものは、この「凹み」の「底部」周辺に「応力集中」が起こり、その「応力集中係数α」は、2以上となる。
同様に、「段差」、「凹凸」や、「材料組成の急激な変化」を設けることで、「応力集中係数α」の値を調節することができる。
本発明の「応力発光材料」は、発生した「応力の大きさ」に応じて、さらには、ほぼ比例して、その発光強度が大きくなるため、「応力集中係数α」が大きいほど、その発光強度が増大し、視認性を向上させることができる。
この「応力集中係数α」は、大きいほど望ましく、2以上とする。さらには、10以上、より好適には、100以上とすることで、その部分の発光強度を「高輝度」として、より視認しやすくすることができるため好適である。
但し、「応力集中係数α」が大きければ大きいほど、「応力発光材料」の「形状」の「不連続性」が、いわゆる「急激」なものとなり、「応力発光材料」を「発光」させるための「変形」を繰り返すと、容易に「破壊」され、もはや、「発光」しなくなるため、不適当である。(このことは、真正性判定の信頼性を確保するため、「少なくとも100回以上の安定した発光」が必要であるが、その信頼性を確保できないことを意味する。)
また、本発明において、「応力発光材料の形状は、所定の外力負荷に対して、応力集中係数αが2以上となる部位を有する形状である」との記載における、その「応力集中係数α」とは、あくまで、「応力発光材料」そのものにおける「応力集中係数α」を用い、「応力発光材料」の「形状」そのものに起因する数値とする。
さらに、本発明において、「サイジング剤」とは、「フォーム用紙」を「製紙」する段階で、「フォーム用紙」としての印刷適性、平滑性、耐摩擦性、バリヤー性、耐折強度、破裂強度、耐油性、耐薬品性等の性能を向上させるために使用する材料の「総称」であって、「フォーム用紙」に対して印刷用インキなど、液体の浸透性を抑え、裏移りや滲みを防ぎ、ある程度の耐水性を与える目的で加えられる「サイズ剤」、「フォーム用紙」に不透明性をもたせて裏抜けを防いだり、白色度、平滑性などをもたせるために配合または塗布される鉱物性の粉末であり、主として、タルク、カオリンが、用いられている「フィラー(填料ともいう。)」や、「和紙」等にも用いられる「粘剤」などがある。
この「サイジング剤」の「色調」は、本発明の「フォーム用紙」に添加する「サイジング剤」全体の「色調」を意味するものとする。
この「サイジング剤」全体の「色調」と、「応力発光材料」の「色調」との差である、「色差」とは、例えば、L*a*b*色度図(LAB表色系)における△E{=(△a2+△b2+△L21/2)}で表される「色差」であって、この「色差」が0.5以下となることとは、「応力発光材料」の「色調」と、「サイジング剤」の「色調」が「同色」となっていることを意味する。
また、国際照明委員会(CIE)が提唱する表色系には、その他に、RGB系、XYZ系(Yxy系)、UVW系(Luv系)等があるが、これらは相関しており、容易に換算が可能であって、その換算値を用いることもできる。
そして、「色」の変化は、この△Eが0.5を超えると「差があるもの」として認識され(「SLIGHT:差がわずかに感じられる。」と定義されている。)、1.5を超えると明確にその「違い」を視認できるものとなる(「NOTICEABLE:差がかなり感じられる」と定義されている。)。
この「応力発光材料」の「色調」と、「サイジング剤」の「色調」を「同色」とすることにより、「フォーム用紙」の中に「応力発光材料」を含めてあることを、確実に「隠ぺい」することが可能となる。
さらに、「応力発光材料」を「所定のパターン」状に、例えば、所定のサイズの文字、図形や、記号、特には、真正性判定用の何らかの「メッセージ(「真正」の文字など。)」を所定のサイズで、設けてある場合において(『応力発光材料』の含めてある領域と、含めていない領域、または、含める量の多い領域と、少ない領域を設けるという意味。それぞれの領域内の『応力発光材料』の分布は均一である。)、その「所定のパターン」を「応力発光材料」を発光させる前や、その「所定のパターン」の存在を隠したい状況において、この「色差」をより小さくしておくことは重要となる。
本明細書において、配合を示す「部」は質量基準である。
(主なる用途)
本発明の「フォーム用紙」が用いられる分野には、以下のものがある。
すなわち、債権、預金証書、受取証書、手形、小切手、通帳、磁気帳票、振込カード、商品券、クーポン券、籤、ギフト券、映画券、会員券、ビール券などの有価証券や、証拠証券などとして証券分野に、カタログ、チラシ、パンフレット、リーフレット、ポスター、POP、グリーティングカード、絵はがき、ステッカー、案内状、招待状、報告書、議事録、名簿、ネームカード、名刺、参加証、説明書、マニュアル、社史、広報誌、社内報、料金表、振込用紙、注文書、生産指示書、納品書、売上伝票などの各種伝票、通話料金明細書、給与明細書、取引明細書などの各種明細書、各種請求書、ビジネスフォーム、はがきや封書となるフォーム、ノート、封筒、便箋、手帳、ダイアリー、はがき、圧着はがき、切手、ダイレクトメール、シークレットメール、包装紙、軟包装、プラスチック容器、紙器、玩具などの商業分野、または、その一部に「挿入する(差し込む)」ことを含め、小説、絵本、事典、その他の書籍、新聞、雑誌、業界紙、地図、電話帳、教科書、参考書、楽譜などの出版分野がある。
特に、偽造防止分野に使用される「用紙」であって、具体的には、証券等の偽造されて使用されると、証券の保持者や発行会社等に損害を与え得るもの、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、入学試験用の受験票、パスポート等、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関用の金券等がある。
これらはいずれも、経済的、もしくは社会的な価値を有する情報を保持した情報記録体であり、偽造による損害を防止する目的で、記録体そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
また、これら情報記録体以外であっても、高額商品、例えば、高級腕時計、高級皮革製品、貴金属製品、もしくは宝飾品等の、しばしば、高級ブランド品と言われるものに「付して」その証明をするもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等そのものも、偽造され得るものである。さらには、量産品であっても、有名ブランドのもの、例えば、オーディオ製品、電化製品等に「付して」その証明をするもの、または、それらに吊り下げられるタグも、偽造の対象となりやすい。
さらに、著作物である音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶体に「付して」その証明をするもの、または、それらのケースそのもの等も、やはり偽造の対象となり得る。また、プリンター用のトナー、用紙など、交換する備品を純正材料に限定している製品などにも、偽造による損害を防止する目的で、そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
(背景技術)
そもそも、「発光」とは、光を発することであり、「現象」面で分類すると、物体を燃焼させたり、電気抵抗の大きい導電性材料に大量の電流を流したり、さらには、核融合などの発熱反応を起こさせたりなどして、その物体や材料を高温状態とし、その物体または材料を構成する原子や分子を高速に振動させて、その温度に対応する光を発する「熱放射(黒体放射ともいう。炎、白熱灯や恒星などの光。)」、励起状態にある量子系(電子など)が、より低い励起状態や基底状態に遷移することにより光を発する「ルミネセンス(冷光)」、荷電粒子が電場の中で急に減速されたり進路を曲げられたりした際に発生する電磁波放射である、 荷電粒子線の「制動放射」、荷電粒子の速度がその物質中の光速度よりも速い速度でその物質中を伝搬するときに発生する「チェレンコフ放射」などがある。
そして、この「制動放射」にはシンクロトロン放射が含まれ、狭義の意味で原子により電子が止められることについていう。X線管でX線を人工発生させる原理は制動輻射であり、また、高速の電子がターゲットに衝突することによっても、ターゲット内で制動放射が発生する。すなわち、ベータ線(電子線)を鉛(ターゲット)などで遮蔽すると、ベータ線そのものは鉛で停止するが、同時に、制動放射によるX線も発生する。
また、「ルミネッセンス」は、物質が電磁波の照射や電場の印加、電子の衝突などによってエネルギーを受け取って励起され、低いエネルギー状態の分布数に対する高いエネルギー状態の分布数の比が熱平衡状態のときと比較して大きい状態にされたときに起きる自然放出による発光現象であり(これに対して、熱平衡状態の物質が光を発する現象が黒体放射である。)、また、低いエネルギー状態の分布数に対する高いエネルギー状態の分布数の比が1以上となる反転分布状態においては、誘導放出による光の増幅が起きる。
そして、励起源からのエネルギーの供給を絶つとすぐに発光も止まるものを「蛍光」、残光を持つものを「燐光」と呼ぶが、両者をまとめて「蛍光」と呼ぶこともある。化学的には、励起一重項からの失活(基底状態への遷移。)に伴う発光が「蛍光」であり、励起三重項からの失活に伴う発光が「燐光」である。この励起三重項から基底状態(基底一重項)への遷移は、そのスピン多重度が異なることから禁制遷移であって、そのため、励起三重項の状態は寿命が長く、また、励起三重項は、励起一重項よりもエネルギー準位が低いことが多く、そのため「燐光」の波長は「蛍光」より長くなる傾向にある。
「ルミネッセンス」は、電子が基底状態から励起状態へ「どのようにして励起されたか」によって、光照射による励起での発光であるフォトルミネセンス(PL)、 電子線照射による励起での発光であるカソードルミネセンス(CL)、電圧による励起での発光であるエレクトロルミネセンス(EL)、音響エネルギーによる励起での発光であるソノルミネセンス(SL) 、熱による励起での発光である熱ルミネッセンス、摩擦力や衝撃などの機械的エネルギーによる励起での発光であるトリボルミネッセンス、化学反応による励起での発光であるケミルミネッセンス、溶媒によって励起される発光であるソルバトルミネッセンス、圧電効果による励起での発光であるピエゾルミネッセンスなどに分類される。
また、化学反応には、酵素を使って発光物質を酸化させるなどの化学反応によって光を発する生物発光などが含まれる。
上記した「熱放射」においては、その物体や材料を高温状態としたり、その物体または材料を構成する原子や分子を高速に振動させるなど、「光を発する」ために、特別、且つ、非日常的な状態を必要とするが、「ルミネッセンス」においても、それぞれ、電子を基底状態から励起状態へ励起させるために、光照射による励起、電子線照射による励起、電圧による励起、音響エネルギーによる励起、機械的エネルギーによる励起、化学反応による励起、溶媒による励起、圧電効果による励起など、「励起」させるために、何らかのプロセスを要し、また、このプロセスも、十分な「発光」を得るためには、それに相当する過大な負荷を掛ける必要があった。
(先行技術)
これらの「発光」メカニズムに対し、「材料」そのもの、すなわち、「材料の組成」、もしくは、「材料の構造」に、「潜在的な発光構造」を持たせ、比較的小さい応力を負荷するのみで、その「材料」を発光させ得る、新規な「発光」メカニズムを持つ、新規な「応力発光材料」が発見されている。
この新規な「応力発光材料」は、(独立行政法人)産業技術総合研究所の徐氏他が開発した新規な「発光材料」であって、「力学エネルギー」の比較的小さい「弾性変形領域」で「応力発光を示す材料」である。
そもそも、「応力発光」とは、「発光」の励起源として「機械的な力」を用いるものであり、「外部から加えられた『機械的な力(力学エネルギー)』によって、材料が『発光』する現象」のことと定義されている。
従来の「応力発光」現象は、「破壊発光」と「変形発光」とに分けることができ、このうち、「破壊発光」は、材料を破断させたり、粉砕したりすることによって「光」が放出される現象であって、「方解石」を割った時などに観察されていた現象である。一方、「変形発光」は、このような「破壊」を伴わないものであって、ある材料に外力負荷を徐々に掛けていったときに現われる、いわゆる「応力―ひずみ曲線」において、その「曲線」が「直線」として示される(「応力」が「ひずみ」に比例するという意味。)「弾性変形領域」での発光と、この「直線」が、「材料の降伏点」において途絶えて(その比例関係が終わるという意味。)、材料内部において少しずつではあるが「構造破壊」の段階に入っている「塑性変形領域」での発光に分けられる。
「破壊発光」現象は、非常に多くの材料系で観察されており、無機物質の約半分は「破壊発光」の性質を持つと言われている。
これに対して、「変形発光」については、放射線照射したアルカリハライドやある種の高分子で数例の報告例はあるものの、これは、「塑性変形領域」での微弱な発光であると判明している。
(独立行政法人)産業技術総合研究所の徐氏他が開発した「応力発光材料」は、これとは異なり、この「変形発光」の中で、しかも、「弾性変形領域」での「応力発光」を示す材料である。
これらはいずれも、高度に構造を制御した無機結晶骨格の中に、発光中心となる元素を添加した材料(セラミックス)であり、無機材料や発光中心の種類を選択することにより、紫外〜可視〜赤外の様々な波長で発光する材料が得られている。
代表的なものとしては、発光中心として、ユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl24:Eu:緑色発光)、マンガンを発光中心として添加した硫化亜鉛(ZnS:Mn、黄橙色発光)等がある。(特許文献1参照。)
そして、これらの応力発光材料を、その構造物単体(構造物がすべて「応力発光材料」で構成されているもの。)、もしくは、その構造物を単純に別の構造物等に重ねた積層体とし、それらに、直接、外部応力を負荷して、その構造物単体、もしくは、積層体を単に発光させるものが公開されている。(特許文献2参照。)
しかし、これらの技術開示を含め、その後にされた多くの技術開示によって、この応力発光構造物を、その「処方箋」によって作製したり、この応力発光構造物単体、もしくは、積層体を作成して、同様の効果を得るものを作り上げることはそれほどの困難を要しないものとなっている。
また、偽造防止を目的とした「用紙」、すなわち、「偽造防止用紙」として、紫外線照射によってその真正性を判定する、「蛍光インキ」印刷用紙や、ホログラムスレッドを埋設した証券用紙など、その真正性を確認可能な「用紙」も、数多く開示されているが、このような「偽造防止用紙」は、その真正性判定のために、「紫外線ランプ」等の「光を照射する光源」を必要とし、例えば、パスポートの真正性を確認するために、入国審査官がその審査用テーブルの下などで「判定」したり、照明光の届かないところや、「暗がり」で、その真正性を確実に判定することは難しいという欠点を有していた。
特開2007−055144号公報 特開2003−253261号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、外観上は、単なる「フォーム用紙」を使用していると認識させておきながら、実際には、その「フォーム用紙」内部に、その外観からは全く認識できない形で、「応力発光材料」を「紙パルプ繊維」とともに含ませておき、その「フォーム用紙」に対する所定の外力負荷によって、その「紙パルプ繊維」が変形を生じると同時に、「応力発光材料」の所定の部位に「変形応力」が発生して、その所定の部位からその変形応力に応じた強度を有する所定波長の光が発光し、視認可能となることをもって、その「フォーム用紙」の真正性を、特段の照明光なく、容易に判定することを可能とした「フォーム用紙」を提供する。
また、この「応力発光材料」を特定の形状とし、さらには、「紙パルプ繊維」と接するように含ませて、その「発光」を増大させ、その上、「フォーム用紙」に用いる「サイジング剤」との色差を0.5以下として、その意匠性や偽造防止性を高めた「フォーム用紙」を提供する。
上記の課題を解決するために、
本発明のフォーム用紙の第1の態様は、
少なくとも紙パルプ繊維、及び、応力発光材料を含むフォーム用紙であって、前記応力発光材料は、所定の形状を有しており、前記フォーム用紙に対する所定の外力負荷によって、前記紙パルプ繊維が前記フォーム用紙内で変形を生じ、且つ、前記応力発光材料の所定の部位に、前記紙パルプ繊維の前記変形に対応した変形応力が発生するとともに、前記所定の部位から前記変形応力に応じた発光強度を有する所定波長の光が発光して、前記所定波長の光が視認可能となることを特徴とするものである。
上記第1の態様のフォーム用紙によれば、
少なくとも紙パルプ繊維、及び、応力発光材料を含むフォーム用紙であって、前記応力発光材料は、所定の形状を有しており、前記フォーム用紙に対する所定の外力負荷によって、前記紙パルプ繊維が前記フォーム用紙内で変形を生じ、且つ、前記応力発光材料の所定の部位に、前記紙パルプ繊維の前記変形に対応した変形応力が発生するとともに、前記所定の部位から前記変形応力に応じた発光強度を有する所定波長の光が発光して、前記所定波長の光が視認可能となることを特徴とするフォーム用紙を提供することができ、意匠性、及び、偽造防止性に優れるフォーム用紙を提供することが可能となる。
本発明のフォーム用紙の第2の態様は、
第1の態様の前記フォーム用紙において、前記応力発光材料の前記所定の形状は、最大直径が1.0〜20μmであって、且つ、平均直径D50が0.5〜15μmである微粒子形状となっていることを特徴とするものである。
上記第2の態様のフォーム用紙によれば、
第1の態様の前記フォーム用紙において、前記応力発光材料の前記所定の形状は、最大直径が1.0〜20μmであって、且つ、平均直径D50が0.5〜15μmである微粒子形状となっていることを特徴とするフォーム用紙を提供することができ、その「品質特性」の適合性を高めるとともに、加工処理適性も向上させ、且つ、発光強度を増すことをも可能とするフォーム用紙を提供することができる。
本発明のフォーム用紙の第3の態様は、
第1の態様、または、第2の態様の前記フォーム用紙において、前記応力発光材料の前記所定の形状は、前記フォーム用紙に対する、第1の態様に記載の前記所定の外力負荷に対して、応力集中係数αが2以上となる部位を有する形状であることを特徴とするものである。
上記第3の態様のフォーム用紙によれば、
第1の態様、または、第2の態様の前記フォーム用紙において、前記応力発光材料の前記所定の形状は、前記フォーム用紙に対する、第1の態様に記載の前記所定の外力負荷に対して、応力集中係数αが2以上となる部位を有する形状であることを特徴とするフォーム用紙を提供することができ、発光強度がより増大して、さらに意匠性、及び、偽造防止性に優れるフォーム用紙を提供することが可能となる。
本発明のフォーム用紙の第4の態様は、
第1から第3の態様の何れかの態様の前記フォーム用紙において、前記フォーム用紙がサイジング剤を含み、前記サイジング剤の色調と、前記フォーム用紙に含まれる前記応力発光材料の色調との色差が0.5以下であることを特徴とするものである。
上記第4の態様のフォーム用紙によれば、
第1から第3の態様の何れかの態様の前記フォーム用紙において、前記フォーム用紙がサイジング剤を含み、前記サイジング剤の色調と、前記フォーム用紙に含まれる前記応力発光材料の色調との色差が0.5以下であることを特徴とするフォーム用紙を提供することができ、著しく意匠性、及び、偽造防止性に優れるフォーム用紙を提供することが可能となる。
本発明の「フォーム用紙」は、その「用紙」の製紙工程において、「紙パルプ繊維」と「応力発光材料」をともに含ませることで、「紙パルプ繊維」と「応力発光材料」とが互いに接触しており、その「用紙」に係る外力負荷が、その内部の「紙パルプ繊維」に伝わって、「紙パルプ繊維」が互いに引っ張られたり、曲げられたりして「変形」する段階で、その「紙パルプ繊維」の受ける「変形」が、その「紙パルプ繊維」と接触している「応力発光材料」への「変形」圧力として働いて、結果として、「応力発光材料」が「変形」圧力を受けて、「応力発光材料」の内部に、「変形応力」が発生し、その「変形応力」に応じた強度を有する(ほぼ比例する。)、所定波長の光が発光するという構造を有している。
本発明の「フォーム用紙」に用いられる「応力発光材料」は、「紙パルプ繊維」と同様の大きさの「繊維状」(『針状』や『帯状』。)の「形状」ではなく、「所定の形状」、すなわち、「粒子」状の「形状」を持ち、さらには、「微粒子」状、特には、「超微粒子」状である。
そして、その「粒子」状の「応力発光材料」の表面には、多数の突起(凸部)や、多数のクレーター(凹部)が存在している。
すなわち、その「応力発光材料」の一つ一つの「粒子」の表面には、多数の「凹凸」が存在し、その「粒子」に、上記したような「外部からの力」(『粒子』に対する『変形』圧力。)が働くと、その「粒子」の内部に発生する「変形応力」は、その凸部の「頂点」や、その凹部の「底」に集中することとなり、その中でも、特に、その「凹部の底の部位」に、最も大きな変形応力(内部応力)が発生する(『応力発光材料』のこの『所定の部位』が、『応力集中部分』である。)。
(図1参照。図1に、この状態を、『フォーム用紙A1』の一断面の『模式図』として示している。図1の中で、『粒子』状の『応力発光材料P1』の表面にある、『凹凸』の『凹部の底』の『部位』を、『応力集中部分S1』として示している。)
さらには、その「粒子」状の「応力発光材料」の「形状(外形)」の一部に、その最大直径の1/10〜1/5の深さの「凹み」や「切欠き」を設けておくことによっても、その「凹み」の「底部」周辺や、「切欠き」の「頂点(底の尖っている部分)」周辺に「応力集中」が起こり、その「底部」や「頂点」の「部位」が、「応力集中部分」となる。(図示せず。)
また、「紙パルプ繊維」と「応力発光材料」とが互いに接している箇所も、その「接している箇所」に応力集中が起こり、「応力発光材料」の、その「接している箇所」が、「応力集中部分」となり得る。(図1参照。図1は模式図であって、『応力発光材料P1』が、『紙パルプ繊維1』の表面に固着している状態を示している。『紙パルプ繊維1』どおしが交差している位置に、『応力発光材料P1』が固着している状態も図示しているが、この部位については、『応力集中部分S1』としての表示はしていない。また、『応力発光材料P1』単独の状態で表示してあるものは、『紙パルプ繊維1』以外の、何らかの『材料』に付着して存在している状態を示している。)
そして、この発光した、所定波長の光を、観察者が目視にて視認する。
さらに、本発明の「フォーム用紙」は、上記したように、孔開け加工、ミシン加工、ジグザグ折加工、スリッター加工、バースト加工、二つ折り加工、三つ折り加工、全面糊付け加工、部分糊付け加工、窓開け加工、窓フィルム貼り加工、封筒加工、エンボス加工、もしくは、磁気ストライプ等、偽造防止その他の目的の種々の材料の貼付加工や、転写加工などの「後加工」(いずれの『加工』も、『処理』と称し、それらを総称して、『後処理』ともいう。)を施される。
(図2参照。図2においては、『フォーム用紙A2』として、いわゆる『連続帳票』の一部を示し、孔開け加工により設けた『送り孔HL』、横ミシン加工により設けた『横ミシンM1』、縦ミシン加工により設けた『縦ミシンM2』、及び、スリッター加工により設けた『スリット端面SL』の『加工状態』を、模式的に例示している。『フォーム用紙A2』としての『単票』や、その他の加工を施した状態は省略している。)
特に、「孔開け加工」の「加工精度」は、その「孔」が「送り孔(スプロケットホールとも称す。)」である場合には、上記した種々の「プリンター」での連続印字の際の、「紙送り適性」(『紙折れ』、『蛇行』や、『ジャム』等の無い『スムースな送り』を実現可能な性質という意味。)及び、「印字位置精度」を左右するため、「孔開け加工」に用いる「加工刃」の摩耗が激しいと、この「加工刃」の交換頻度が急増するのみならず、「加工刃」が突発的に折れたり、突発的な刃欠けを生じることによる「用紙ロス」や「作業時間ロス」までも発生し、また、「加工刃」の「刃先」に「部分的な摩耗」が発生していることを把握し難くなり、「種々の孔開け不良」を含む「フォーム用紙」を製造してしまうこととなる。(このことは、『加工刃』を用いない『レーザー加工』においても同様であり、要求される『高いレーザー出力』の変動による『不良』発生が見込まれる。以下、同様。)
このため、上記した「加工」に用いられる「加工刃」の消耗度合は、その「消耗速度」、または、その結果、顕在化する「加工刃交換期間」によっても把握できる。
すなわち、本発明の「フォーム用紙」は、上記した「品質仕様」を満足するとともに、この「消耗速度」も、「通常のフォーム用紙(応力発光材料が含まれていないフォーム用紙)」と同等、もしくは、少なくともその2倍の「消耗速度」までとする必要がある。この「消耗速度」を指標化するため、「加工刃」の「交換期間」に置き換えると、「通常のフォーム用紙」を用いた場合の「加工刃」の「交換期間」に対して、本発明の「フォーム用紙」を用いた場合の「加工刃」の「交換期間」は、その「1/2〜1/1の期間」とする。
以上のことは、「ミシン加工」、及び、「スリッター加工」においても同様である。
さらに、このような「送り孔」、「ミシン目」や、「スリッターライン(『端面』を意味する。部分的なスリッターとなる『切り込みライン』等を含む。)」は、
それぞれが、「フォーム用紙」に対して、それぞれの「形」(『円形の孔』の『形』、『楕円形の孔』の『形』、もしくは、『垂直に切り立った断面』の『形』など。)での「切り込み(『切断』を含む。)」を設けたものとなっており、「プリンター」などの「フォーム用紙送り機構」や、「フォーム用紙」の種々の「加工機」(折り機、製袋加工機や、バースター等。)における「フォーム用紙搬送機構」によって、様々な「外力負荷」を受け、その「送り孔」、「ミシン目」や、「スリッターライン」の「形」に特有の「応力集中部分」に、強い「発光」を生じることとなる。
例えば、「フォーム用紙」の「送り孔」は、「プリンター」の「フォーム用紙送り機構」の一つである、「送りピン」(『送り孔』に『送りピン』を挿入し、『送りピン』の移動に伴い、『フォーム用紙』を搬送するもの。)により、その「送りピン」と「送り孔」との「接点」において、その「送りピン」の移動方向に、所定の「外力負荷」を受け、
この「接点」に「変形応力」が集中し(円形の孔の円周上の『一点』に大きな外力負荷が負荷され、その「円形」が歪むことによる「変形応力」も働く。)、その「接点」近傍に存在する「フォーム用紙」内の「紙パルプ繊維」が変形して、その「接点」近傍に存在する「フォーム用紙」内の「応力発光材料」の所定の「部位」に、その「紙パルプ繊維」の変形に対応した「変形応力」が発生し、その所定の「部位」から、その「変形応力」に応じた発光強度を有する所定波長の光が発光する。
特に、この「送り孔」の「形」が、単なる「円」や「楕円」でなく、その円周上、もしくは、その楕円周上において、多数の「切欠け」を有する「形」(いわゆる、ギザギザの周を持つ『孔』を意味する。)であった場合には、その「一点」にあたる「切欠け」部分に非常に大きな「変形応力」が働き、結果として、上記の「部位」から、強い「発光」が生じることとなる。
そして、このような「フォーム用紙」の「送り孔」、「ミシン目」や、「スリッターライン」等における所定の波長の「発光」を適宜な受光素子により受光して、使用している「フォーム用紙」が真正なものであると判定したり、それらの「発光」を適宜な「位置センサー」で検知して、「フォーム用紙」の送り状況や、加工状況を把握し、「送りピン」の移動速度等を制御することで、「フォーム用紙」の送り精度や加工精度を向上させることを可能とする。
本発明の「フォーム用紙」を「製紙」する「製紙工程」は、代表的には、図3に示したごとく、「パルプ化工程」、「パルプ漂白工程」、「パルプの精選&脱水工程」、「原料調整工程1:融解&叩解」、「原料調整工程2:サイジング剤等薬品添加」、「抄紙工程1:ワイヤリング&搾水」、「抄紙工程2:乾燥&プレス処理」、及び「加工&仕上げ工程」で構成され、主に、この工程中、「原料調整工程2:サイジング剤等薬品添加」工程や、「抄紙工程1:ワイヤリング&搾水」において、「応力発光材料」を加える。
もちろん、その他の工程において、「応力発光材料」を加えても良いし、この工程中において、「紙パルプ繊維」の「層(「湿紙」ともいう。乾燥前の一つの層を成している状態を意味する。)」を設け、その「層」の上に「応力発光材料」の「層」を重ねて、「『応力発光材料』/『「紙パルプ繊維』」の2層構成(乾燥前に二つの層を重ねるため、二つの材料が混在する境界領域で、より好適な「絡まり」状態とすることができる。)としても良い。
さらには、同様にして、「『応力発光材料』/「紙パルプ繊維』/『応力発光材料』」や、「『「紙パルプ繊維』/『応力発光材料』/「紙パルプ繊維』」の3層構成、または、それ以上の多層とすることができる。
このときに、『応力発光材料』を外側に配置するとその「発光」が視認し易くなり、「紙パルプ繊維』を外側にすると、『応力発光材料』の存在を秘匿し易くなる。
本発明に用いる、「紙パルプ繊維」には、「製紙」に用いるために分離した植物繊維である「パルプ繊維(「パルプ」)」を用いる。
ここで、この「紙パルプ繊維」には、セルロースを、溶剤に溶かして、再度、繊維化させた再生セルロース繊維や、「とうもろこし」の「でんぷん」を素材とした「とうもろこし繊維」など、植物由来の合成繊維をも含む。
本発明に用いる、「繊維」、もしくは、「繊維状」として表している「形状」は、形態上の性質であって、「細長いもの」、すなわち、「太さ」(最大直径。もしくは、その断面の「幅」や「厚さ」で表す。)に対して、「長さ」がきわめて大きいものであって、アスペクト比の値(「太さ」対「長さ」)として、1対50〜1対2000程度のものを用いる。
本発明の「紙パルプ繊維」の形状は、その代表的な「針葉樹パルプ繊維(「N材」)」や、「広葉樹パルプ繊維(LBKP、または、「L材」と呼ばれる。)」において、それぞれ、「太さ」が30〜50μm程度、「長さ」が1.0〜6.0mm、もしくは、「太さ」が10〜30μm程度、「長さ」が0.5〜3.0mmという形状を持つ。
本発明の「フォーム用紙」は、この「紙パルプ繊維」に加えて、「応力発光材料」を含めた「用紙」であって、その「紙パルプ繊維」と、その「応力発光材料」が、その「用紙」の内部で絡まって存在し、この「用紙」に所定の外力負荷、例えば、「指の力」で湾曲させたり、適宜な曲面を持つ治具にその「用紙」を手の力で押し付けたりしたときに、まず、その「用紙」内の「紙パルプ繊維」がその外力負荷によって「変形」を生じる。
このときの「紙パルプ繊維」の「変形」は、以下の様に表現できる。
すなわち、「用紙」の厚さを、一般的な上質紙の厚さに例えて、「100μmの厚さ」とし、この「用紙」を「長さ30mm(30,000μm)の切片」に切り取って、この「『厚さ100μm×長さ30,000μm(図1のような、用紙の断面をイメージしている。)』の『切片』」の中に、「『太さ』が数十μm程度で、『長さ』が数mm(数千μm)程度の『形状』」を持つ「繊維」が、その「繊維」を引き延ばした状態で、しかも、その複数の「繊維」が「引き延ばされつつ、複数個所で接している状態」(この状態が、「複数の『繊維』が絡まった状態」であると表現され、「紙パルプ繊維」は、これらの「接点」において、「水素結合」によって、互いに結合している。)で含まれている、「繊維複合体(用紙全体を一つの『繊維複合体』と見立てている。)」を想定する。
そして、この「繊維複合体」に対して、「所定の外力負荷」、例えば、この「繊維複合体」の両端を指で挟んで、その「繊維複合体」を「湾曲」させたとき、その「繊維複合体」に閉じ込められている、個々の「繊維」がその「湾曲」に応じて、その「湾曲」方向に、「しなる」ように曲げられることとなる。
しかも、「紙パルプ繊維」間の、それらの「接点」における「結合(水素結合)」は、一般的な高分子の化学結合や、樹脂間の接着などに比べて非常に弱く、上記したような「所定の外部負荷(すなわち、湾曲。)」によって、容易に、その結合が切断され、それらの「紙パルプ繊維」は、「しなる」のみならず、「切片」の両端方向に引っ張られると同時に、「物理的な水平移動」をも引き起こす。(巨視的な移動を伴うという意味。)
そして、「紙パルプ繊維」は、互いの結合が切断した後、再び、空気中の「湿気」、すなわち、水分を吸収して、新たに生じた「別の接点」において、再び「結合」することとなる。
以上のごとく、非常に薄く広がった「繊維複合体(用紙)」の中に閉じ込められている、非常に細長い「繊維(紙パルプ繊維)」は、この「繊維複合体」が「湾曲」したとき、その「湾曲」に応じて「しなる」と同時に「水平移動」を生じる。
特に、このような「用紙」に含められている「紙パルプ繊維」の場合には、この「変形」を、単なる「湾曲」に留めず、すなわち、「適宜な曲面を持つ治具にその『用紙』を手の力で押し付けながら(ここまでが『湾曲』。)、その治具の表面に『用紙』の表面を擦り付ける(その表面上を滑らせるという意味。)」という「変形」(いわば、ずれ変形。)を与えることで、「『湾曲』に伴う変形応力に加えて、『用紙』の内部に『ずれ応力』をも発生させることができる。
そして、このような「すれ応力」が発生すると、上記した「物理的な水平移動」が助長され、最早、その「用紙」は「湾曲」した形状のままとなり、この形状を、再び、元の「平らな状態」に戻すためには、再度、「同様、且つ、逆方向へ」の「ずれ応力を伴う変形処理」が必要となる。
本発明の「フォーム用紙」に用いられる「応力発光材料」は、セラミック、中でも、金属、または、ケイ素の酸化物、窒化物、炭化物や硫化物の構成を持ち、「紙パルプ繊維」と「応力発光材料」の接点においては、「紙パルプ繊維」間の接点における「セルロースの水酸基」による「水素結合」と同様に、「紙パルプ繊維」を構成している「セルロースの水酸基」と、「酸化物、窒化物、炭化物や硫化物の酸素原子、窒素原子、炭素原子や硫黄原子」との「水素結合」により、その接点において「結合」するものを用いる。
このことにより、この「繊維複合体」が「湾曲」したときの「紙パルプ繊維」の「変形」は、その「紙パルプ繊維」と「結合」している「応力発光材料」の「変形」を引き起こし、特には、「紙パルプ繊維」と「応力発光材料」の接点において、物理的な移動を伴って、「引っ張り応力」、「せん断応力」、「ずれ応力」を発生させる。
もちろん、この「繊維複合体」の「湾曲」、及び、「紙パルプ繊維」の「湾曲」による、直接的な「応力発光材料」への圧力も、その「応力発光材料」の「応力」を助長する。(実際には、この『繊維複合体』と『応力発光材料』とを併せた、『複合体』全体が『変形』している。)
そして、この「応力発光材料」における、「紙パルプ繊維」との接点の箇所が、「応力発光材料の所定の部位」となり、この「『引っ張り応力』、『せん断応力』、『ずれ応力』」が、「紙パルプ繊維の変形に対応した変形応力」となって、これらの「応力の大きさ」に比例する強度で、より詳しくは、「応力発光材料を構成する構造(組成や結晶構造などを含む。)」に対する「応力の作用する方向」に比例する強度で、その「構造」に特有の波長の光を発する(応力の作用方向に対する依存性があるという意味。)。
本発明の「応力発光材料」は、その「組成」を含めた「立体構造」、さらには、この「構造」の中に位置する「電子密度の高い格子位置の元素」や「電子密度の低い格子位置の元素(『格子欠陥:元素が無い状態』となっているものも含む。)」によって、その電子状態の「遷移幅」が決まり、この「遷移幅」に相当するエネルギーを持つ「光」を発する。
すなわち、外力によって発生した内部応力(「機械的なエネルギー」)を受けて、「エネルギーE=プランク定数×光の振動数」&「光の波長=光速度/光の振動数」の式に基づく、所定の波長の光を放出するが、この内部応力の大きさをいかに大きくしても、また、この内部応力を与える速度をいかに大きくしても(すなわち、ひずみ速度をいかに大きくしても。)、「所定の波長」そのものは変化せず、「一定」である(材料に「固有」という意味。)。
従って、このような「応力発光材料」をその内部に含めた、本発明の「フォーム用紙」の真正性判定を高い信頼性をもって実施することを可能とする。
さらには、この「応力発光材料」に発生する「変形応力」の強度分布によって、すなわち、「応力発光材料」の「変形の仕方」、ひいては、本発明の「フォーム用紙」の「変形の仕方」によって、「所定の波長の光」の「発光強度」や「『フォーム用紙』の紙面上における『発光分布』」が異なってくるため、この性質を利用した真正性判定をも可能とする。もちろん、上記した「送り孔」や「ミシン目」等における「発光」、及び、「発光分布」も、上記したように、その真正性判定に利用可能である。
実際に、本発明の「フォーム用紙」を適宜な製紙機にて量産した場合には、個々の「フォーム用紙」の紙面上の「発光分布」について、その「平均発光強度」は制御可能であるものの、個々の「フォーム用紙」の紙面上の「発光分布」、例えば、11インチ幅の「連続用紙」とした「フォーム用紙」の中央をある「幅」をもって「その進行方向」に、順次、連続的に発光させたときの「発光強度曲線(横軸を「用紙上の進行方向の位置」とし、縦軸を「発光強度」としたグラフ。)は、比較的変動の激しい曲線となり、且つ、その「幅」の設定によりその変動の仕方も大きく変化するとともに、その「発光強度曲線」は、個々の「フォーム用紙」に「固有」のものとなる。(「紙パルプ繊維」に対する個々の「応力発光材料」の配置や絡まり具合までは、人為的な制御が不可能という意味。)
さらには、このような「発光分布」を個々の「フォーム用紙」において、顕著に異ならせることを目的として、後述する製紙工程における「『紙パルプ繊維』と『応力発光材料』」の「懸濁液」の中の「応力発光材料」の「濃度」や「懸濁状態」を時間的に変化させる方法なども好適である。
また、この「所定の波長の光」を視認する際に、適宜な光学フィルター(その「所定の波長の光」のみを通過させる波長フィルターなど。)を介して観察するなどして、その真正性判定の信頼性をさらに高めることも可能である。
この新規な「応力発光材料」の発光メカニズムは、(独立行政法人)産業技術総合研究所山田氏、及び、新日本製鐵株式会社松尾氏により、いずれも、代表的な「応力発光材料」である、SrAl24:Eu系につき、詳細に発表されているため、以下に、その概略のみを記す。(「(独)産業技術総合研究所 生産計測技術研究センター 応力発光技術チーム長 徐超男(編集代表)、上野直広、寺崎正、山田浩志(編集委員)他著、“応力発光による構造体診断技術 Mechanoluminescence and Novel Structural Health Diagnosis”、株式会社エヌ・ティー・エス、2012年8月発刊」参照。)
前者は、母体結晶が、スタッフド・トリジマイト構造であって、且つ、AlO4四面体が「頂点共有」して形作られるハニカム構造となっており、その中の大きな空孔に、Sr2+イオンが配置している構造を持つ。そして、その母体結晶の中に、発光中心として、Eu2+イオンが添加されて、上記したSr2+イオンの2つの種類のサイトに置換されているとし、このEu2+イオンの「4f−5d電子軌道遷移」(このときの電子軌道エネルギーの差が上記のエネルギーEとなる。)に伴う輻射遷移によって発光が起こるものとしている。
後者は、燒結体作成時に、SrAl24のβ相からα相への熱弾性マルテンサイト変態が起こって、結晶内に「双晶界面」が形成され、その界面近傍の電子密度に勾配が生じ、紫外線照射などでEuから励起されたキャリアが、空孔などにトラップされた状態にある「応力発光材料」に、「応力」を負荷すると、「双晶擬弾性変形」が起こり、その変形に伴って「双晶界面」が移動することより、電子密度分布が変化して、トラップされたキャリアが解放され、発光中心のEu2+と再結合して発光が起こるとしている。
そして、この応力を除荷した際、「双晶界面」が元の位置に戻り、その際に、Eu2+からキャリアが励起され、空孔などにトラップされて、元の状態に戻り、この現象が繰り返されるとしている。
これらの発光メカニズムから、「応力発光材料」は、「機械的エネルギーによる『励起』」を必要とせず、「トリボルミネッセンス」とは異なる現象と推察される。
いずれにしても、母体構造そのものの「変形」、従って、「応力発光材料」としての「物理的な変形(具体的に巨視的なスケールで、曲がったり、ねじれたりして、その『形』を変えるという意味。)」が必須であって、「応力発光材料」に対して、このような「変形」を可能とするためには、「応力発光材料」の「動き易さ」、及び、実際に「動く領域(「動ける空間」という意味。)を併せ持つ、「フォーム用紙」の構成設計が必要となる。
そして、この「応力発光材料を構成する『構造』に固有の波長の光」が、上記した「所定波長の光」であって、通常は、「可視光」の波長範囲、すなわち、光の波長で、400nm〜800nmの範囲にあり、一つの種類の「応力発光材料」に対応して、一つの波長の光が発光する。従って、この発光した「所定波長の光」を観察者が目視にて視認できることとなる。
但し、この「所定波長の光」の強度を、目視にて視認可能とするために、その「発光輝度」を、少なくとも1.0mcd/cm2の大きさとする。
そして、この「応力発光材料」と接している「紙パルプ繊維」そのものの透明性が高いことを利用し、このような「応力発光材料」の発光した光を、その近傍にある「紙パルプ繊維」の内部で繰り返し反射を起こしつつ通過するようにして、その視認性をさらに高めることができる。(その接している箇所から、「紙パルプ繊維」内を、発光した光が広がる際に、その光が「紙パルプ繊維」の最外壁との成す角度によっては、その光が、その最外壁で反射を繰り返すという意味。)
特に、屋外での目視確認においては、10mcd/cm2以上、さらに、「高輝度」と認識させ、且つ、その「発光」を真偽判定に利用する場合における、その判定の信頼性をより高くするため、100mcd/cm2以上の「発光輝度」を持たせる。
もちろん、一つの「応力発光材料」に、「複数の構造(結晶構造や、発光中心元素の異なるものなど。)」を含ませたり、「フォーム用紙」に、複数の種類の「応力発光材料」を含ませたりして、複数の波長領域を持つ光を発光するものとしてもよいし、さらには、可視光以外の波長領域において、「応力発光」させ(紫外光や赤外光の応力発光をする材料を用いる。)、その発光した光で、あらかじめ、本発明の「フォーム用紙」に、適宜、含ませておいた「蛍光体層(適宜な蛍光材料を含む層。)」や「蛍光体パターン層(パターン状に形成した蛍光体層)」を「励起」して、可視光領域にて発光させて、結果として、可視光を視認するものとしてもよい。
さらに、「製紙」工程においては、「紙パルプ繊維」を一定方向に流しながら製造するため、この方向に「紙パルプ繊維」の「長さ」方向が揃いやすく「紙の流れ目」ができるが、「応力発光材料」にも、この「流れ目」に沿った分布が発生し易くなり(「紙パルプ繊維」の「長さ」方向に、「応力発光材料」の「粒子」が揃うという意味。)、その結果として、「フォーム用紙」を、その「流れ目」に対して「垂直」に湾曲させる場合(個々の「応力発光材料」を「折り曲げる変形」となる。)と、その「流れ目」に対して「平行」に湾曲させる場合(個々の「応力発光材料」に対する「変形」がほとんど生じない。)とで、「応力発光材料」に発生する「応力」の方向のみならず、「応力」の大きさに対して、「大きな有意差(目視判別できる差という意味。)」を生じさせることができる。
そもそも、「紙」とは、「植物などの繊維を絡ませながら薄く平(たいら)に成形したもの」であって、日本工業規格 (JIS) では、「植物繊維その他の繊維を膠着させて製造したもの」と定義されている。
「広義の紙」の原料としては、直径100μm以下の細長い繊維状であれば、鉱物、金属、動物由来の物質、または合成樹脂など、ほぼあらゆる種類の原料を用いて「広義の紙」を作ることができ、「不織布」なども、「紙」の一種として分類されることがある。
しかし、本発明の「フォーム用紙」とは、「植物繊維」である、「紙パルプ繊維」を原料にしているものとし、その「フォーム用紙」の「製法」(「製紙」の方法。)も、「紙パルプ繊維」を、適宜な「水」に分散させてから、「簀の子」や「網(ネット)」の上に広げ、脱水工程、及び、乾燥工程等を経て作られるものを用いる。但し、「水」を使用しない「乾式製法」で製造したものを除外するものでない。
また、本発明の「フォーム用紙」に用いる「応力発光材料」の中には、「耐水性に劣る性質」を有するものもあるため、そのような「応力発光材料」の表面に対して、シリル化など、表面処理を施して、水による「応力発光材料」の結晶構造の崩壊や、発光性の喪失を防ぐことも好適である。
さらには、その表面処理面を覆うように、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂の「被膜」を形成したものとしてもよい。特には、「紙パルプ繊維」と絡まり易い、メチルセルロース、エチルセルロース、硝酸セルロース、セルロース・アセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂が好ましい。
その表面処理剤としては、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基、およびシラノール基の少なくとも何れかの酸性基、または、そのエステルを含む化合物を用いて、これらの表面処理剤を応力発光材料と反応させる方法により施すことができる。
例えば、上記の表面処理剤を有機溶媒に溶解させ、その溶液に応力発光材料を添加し、攪拌する方法などを好適に用いることができる。
特に、トリメチルシリルクロライドや、ヘキサメチルジシラザン等のシリル化剤による表面処理が好ましい。
このような「応力発光材料」の耐水性の向上により、上記した製紙工程の中の「水」処理工程における発光性能の低下を防ぐことを可能とし、さらには、「フォーム用紙」としての耐水性や耐候性の向上を図ることができる。
本発明における「フォーム用紙」に用いる「紙パルプ繊維」の原料としては、いわゆる「和紙」や「洋紙」の原料である、「木材」そのもの、「輸入木材チップ」、「非木材植物」、さらには、「古紙」を用いることができ、それらを「パルプ化」した、「木材パルプ」、ワラパルプ、ケナフパルプなどの「非木材パルプ」や、「古紙パルプ」などを用いることができる。
または、「パルプ化」の方法による分類においては、「砕木パルプ(GP)」、「リファイナーグランドパルプ(RGP)」などの「機械パルプ(MP)」や、「クラフトパルプ(KP)」などの「化学パルプ(CP)」を用いることができる。
本発明の「応力発光材料」には、上記したように、「熱弾性マルテンサイト変態」近傍において、「物理的な変形」を伴って、その材料に「応力」を負荷すると「双晶擬弾性変形」を生じやすい材料である、「Eu添加SrAl24(SAOE)」等に代表される、「『物理的な変形』を伴って、その材料に『応力』を負荷した際に、所定の波長の光を発光し、且つ、その負荷した『応力』に応じてその発光強度が増加する」材料を焼成し、焼結させて、上記した「繊維」状など、所定の形状としたものを用いる。
ここで、「『物理的な変形』を伴って、その材料に『応力』を負荷する」とは、
「フォーム用紙に対する所定の外力負荷」によって、その「外力負荷」が、「『紙パルプ繊維』に対する外力負荷」へと伝わり、さらには、「『応力発光材料』に対する外力負荷」へと伝わったときに、「応力発光材料」内に「応力ひずみ」が発生し、「応力発光材料」そのものが、「物理的な『変形』」=「応力ひずみ」を生じることを意味する。
すなわち、本発明の「応力発光材料」は、外力負荷を与えると、いわゆる「応力―ひずみ線図」において、その「弾性域内(応力―ひずみ線図において、直線状に変化する領域。従って、外力負荷を除去すると元の状態に戻ろうとする。)」における挙動を指す。(この挙動が、いわゆる「弾性変形」である。)
本発明の「応力発光材料」の「応力発光」は、この「弾性変形」領域で発生する現象を利用するものであって、その発光現象を、数百回から数万回程度、安定して起こすことができ、この「発光」を視認することで、その真正性を判定する目的、すなわち、この「発光」と「判定」を繰り返し行う用途に適している。
このように、「『物理的な変形』を伴って、その材料に『応力』を負荷する」と、材料外形に対して、目視できるほど大きな「物理的な変形」を生じさせることができ、その材料内部の結晶構造そのもの(格子形状など。)や、晶壁(結晶と結晶の壁。)に対しての変形や移動を促進し、その「変形や移動」に基づく「発光」を増大させることができる。
より具体的には、あくまで「結晶構造が、『どのような変化をするか』について『概念的なイメージ』を捉え易くするための説明」としてではあるが、以下のように例えることができる。
すなわち、結晶格子の一つである「正方晶」に、「『物理的な変形』を伴わせて」、例えば、「正方晶の一つの軸方向へのせん断変形を伴う相変態」を起こさせて、外観上、あたかも「三斜晶」へと「変形」したような変化、または、複数の結晶構造が層状に重なった状態において、それらの結晶層の間で「ずれ変形」を起こさせて、「材料」全体として、「巨視的な変形(測定可能、もしくは、目視可能なレベルの変形。)」を生じるような変形に例えられる。(あくまでイメージである。)。
そして、上記の「物理的な変形」が、その「応力―ひずみ線図」において、いわゆる「降伏点」を超えて、「塑性域」に達してしまうと、外力負荷に応じて「材料」が伸びていくのみとなり、その「材料」が「破断」するまで「伸び」続け、最早、繰り返し発光させることができなくなるため、このような「塑性域」における変形は、本発明の「変形」では無い。
また、「材料形状にほとんど変化を与えずに、その材料の内部応力を高める」ことも、本発明の「変形」に該当しない。
例えば、「その材料の外形面に、数百N(ニュートン)の外圧を負荷して、その材料の内部応力を高めても、『応力ひずみ』が発生せず、且つ、『材料形状』がほとんど変化しない状態」においては、その材料内部の結晶構造そのもの(格子形状など。)や、晶壁(一つの結晶構造と他の結晶構造の間の壁<境界面>。)に対しての変形や移動が発生しないと考えられ、言い換えると、「単に、格子を構成する原子間の間隔やその配置を維持したまま、負荷された大きい圧力に、それらの構造が耐えている状態」を指し、従って、その原子配置等から想定される「電子状態」に何らの変化も無いことから(従って、電子遷移による発光が無い。)、本発明の「外力負荷とその変形」とは異なり、「本発明に係る発光」は何ら生じない。
本発明の「応力発光材料」には、多面体構造の複数の分子によって形成される母体構造の空間に、アルカリ金属イオンや、アルカリ土類金属イオンが、挿入された基本構造を有し、その一部が、希土類金属イオン、や遷移金属イオンの中の、少なくとも1種の金属イオンによって置換されている応力発光材料、AlO様構造、及び、SiO様構造の四面体構造を有する複数の分子によって形成された3次元構造と、非対称性のフレキシブルなフレーム構造とを有する基本構造に、発光中心が挿入された構成である応力発光材料、歪エネルギーの形成によって、圧電効果、格子欠陥、および変形による発熱等の機構により発光する応力発光材料や、複数の結晶構造を混在してなる混和とした応力発光材料など、さらには、これらの応力材料の発光輝度を、数百倍以上高めた、高発光輝度応力発光材料、可視光領域以外の発光を生じる紫外光(赤外光)発光応力発光材料、もしくは、超微粒子化して透明な樹脂に分散せて、改めて「粒子状等の所定の形状」とした応力発光材料などを用いることができる。
これらの材料を用いて、本発明の「応力発光材料」を、所望の形状、すなわち、「粒子状」などとするためには、材料組成を整えた粉体混合物を、そのまま、もしくは、適宜な樹脂材料に分散混合して、所定の形状を有する「成形型」に入れ、焼成、そして、燒結させて得ることができる。
または、「焼成時に焼失し得る樹脂板」上に、上記の粉体混合物そのものや、上記の樹脂材料分散混合物を、微細な網点状に形成後、同様に、焼成し、燒結させて得ることができる。
もちろん、単なる「破砕(粉砕)方式」を採用することも可能であるが、その破砕(粉砕)物は、上記の方法で作製したものより、その「形状(外形)」の均一性や、寸法精度、さらには、その表面の「凹凸形状」の制御性などが若干劣るものとなり易いため、この方式の場合には、あらかじめ求める形状に近い厚さとした、「薄くシート状の成形体」を燒結させた後に、破砕(粉砕)することが好ましい。
また、本発明の「応力発光材料」として、「応力集中係数αが2以上である応力発光材料」を使用することで、その「発光」強度を高いものとし、その視認判定の信頼性を確保することができる。
本発明の「応力発光材料」の「応力集中係数α」を、2以上とするためには、「粒子状」の外形をした「応力発光材料」の一部に、その直径の1/10〜1/5の深さの「凹み」や「切欠き」を設ける。この「凹み」や「切欠き」は、「応力発光材料」の繰り返し発光性が維持できる範囲において、または、「そのための加工処理」が可能な範囲において、複数個所、設けてもよい。
この「凹み」の形は、「底の浅い形」としても、もしくは、「底の深い形」としても、いずれも、この「凹み」の「底部」周辺に、「応力集中」が起こり、その「応力集中係数α」は、2以上となる。
さらには、この[凹みの開口幅/凹みの深さ] 比を、[<1/20]とすると、ほとんど「裂け目」のような形とすることができ、その「底部」は「鋭利な刃物の切っ先」の様になり、この「底部」における「応力集中係数α」は、100以上となる。
同様に、「段差」、「凹凸」や、「材料組成の急激な変化」を設けることで、「応力集中係数α」の値を調節することができる。
このような、「応力発光材料」に、所望の「凹み」や「切欠き」を設けるには、上記した「成形型」や、「焼成時に焼失する樹脂板上」にあらかじめそのような「凹み」部や、「切欠き」部に該当する部分を設けておく方法を用いる。
また、「貫通孔」や、非常に「鋭利な隙間」を設ける場合には、「焼成時に焼失する樹脂」をその箇所に詰め込んでおく方法を用いる。
本発明の「応力発光材料」は、発生した「応力の大きさ」に応じて、さらには、ほぼ比例して、その発光強度が大きくなるため、「応力集中係数α」が大きいほど、その発光強度が増大し、視認性を向上させることができる。
この「応力集中係数α」は、大きいほど望ましく、2以上とする。さらには、10以上、より好適には、100以上とすることで、その発光強度を「高輝度」とすることができるため好適である。
また、このようにして「応力集中係数α」の大きい「応力発光材料」を用いることで、「応力発光材料」に負荷する「応力」の「大きさ」は、例えば、JIS X 6305(2010:ISO/IEC 10373−1)の「識別カードの試験方法―第1部:一般特性」に提示されている、「カードの右側3mm以内の領域全体に0.7Nの荷重(F)を1分間かける。」というような「大きな応力負荷。(10MPa程度と試算される。)」でなく、観察者の「手」で軽く曲げる程度の「大きさ」で、十分な発光を得ることができるものとなり、そのような応力負荷を、5kPa〜1MPa、好ましくは、5kPa〜100kPaに設定することができる。
但し、上述したように、「応力集中係数α」が大きければ大きいほど、「応力発光材料」の「形状」の「不連続性」が、いわゆる「急激」なものとなり、「応力発光材料」を「発光」させるための「変形」を繰り返すと、容易に「破壊」され、もはや、「発光」しなくなるため、「応力集中係数α」が1000を超えるものとすることは、不適当である。
「応力集中係数α」の計算は、上述した「円柱形」のような、単純な形状においては容易であるが、より複雑な形状を持つ「応力発光材料」に対する、しかも、「応力発光材料」の中で、「所定の部位」に「応力が集中」し、その「『応力発光材料』の中で『応力集中係数αが2以上』となる所定の部位」の、その『応力集中係数α』の値を求めるためには、「有限要素法」を用いた「構造解析ソフト(応力分布解析ソフト)」を適用して求める必要がある。
この方法により、「応力発光材料」に対して、どの方向からどのような大きさの外力を負荷すると、どの部位の『応力集中係数α』が高くなるかを試算することができ、さらには、本発明の「フォーム用紙」そのものに対して、その「フォーム用紙」を引っ張る力の大きさや方向、曲げる力の大きさや方向、さらには、ねじる力の大きさや方向に対する「フォーム用紙」内の応力集中傾向を試算することが可能となる。
このようにして、本発明の「フォーム用紙」の応力集中傾向を分析し、さらに、その内部に含めた「応力発光材料」の「形状」やその配置を分析することで、最終的には、その「応力発光材料」の、その「応力集中部分」の「応力」の大きさを推定する。
また、本発明において、「応力発光材料」の「色調」を、その「フォーム用紙」に用いた「サイジング剤」の「色調」との「色差」で、0.5以下とすることで、「用紙」内の「応力発光材料」の存在を隠ぺい可能とする。
「フォーム用紙」の「製紙」工程で使われる、種々の薬品や添加物、すなわち、本発明の「フォーム用紙」に用いられる、これら添加物の総称としての「サイジング剤」には、その「製紙工程」において、「網(ワイヤー)」の上に残る「紙パルプ繊維」や鉱物系填料の割合(歩留まり)を向上させるために添加される薬品であって、主に硫酸アルミニウム、ポリアクリルアミドなどのポリマー類、デンプン類、さらには、カルボキシメチルセルロースや無機のコロイダルシリカが用いられる、歩留剤、「製紙工程」において、水切れを良くし、乾燥性を上げるために添加される薬品であって、ポリエチレンイミンやポリアクリルアミド、カチオン化デンプンなどが用いられる、濾水向上剤、「用紙」に強度をもたせるために添加され、内添方式で用いられる、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリビニルアミンなど、濡れて水分を帯びた状態での強度を持たせるための湿潤紙力増強剤、カチオン化デンプンやカチオン性や両性のポリアクリルアミド系コポリマーなど、通常の乾いた状態での紙の強度を上げるための、乾燥紙力増強剤、表面方式で用いられる、紙の表面に、変性でんぷん、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなど、塗布またはスプレーで付着させる、紙力増強剤、「機械抄き和紙」の「紙パルプ繊維」を水中に分散させた状態を保ち、重ね合わせた紙の接着を防ぐ効果のあるトロロアオイなどの天然「ねり」や、ポリアクリルアミドなどの合成粘剤(合成ねり)、ロジン石鹸、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ポリビニルアルコールなど、内添方式のもの、または、酸化でんぷん、スチレン・アクリル共重合体(コポリマー)、スチレン・メタクリル共重合体など、ゲートロールコーターや液膜転写によって塗布する表面方式のものであって、「用紙」に対して、インクなど液体の浸透性を抑え、裏移りや滲みを防ぎ、ある程度の耐水性を与える目的で加えられる、サイズ剤、パルプの減量、軽量化に対応しながら、不透明性や印刷性能を保つために、脂肪酸エステルエマルジョンなどの界面活性剤で、繊維表面を一部疏水化させることで効果を与えつつ、濾水性も上げる効果を持つ、「用紙」の密度を減らし、容積を増やす目的で加えられる薬剤である、嵩高剤、紙に不透明性をもたせて裏抜けを防いだり、白色度、平滑性などをもたせるために配合または塗布される鉱物性の粉末であって、主にタルク、カオリン(白土)、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウムなど、さらには、非晶性シリカ(ホワイトカーボン)、有機系填料として尿素樹脂も使用され、フィラー、さらには、顔料として、カオリン、炭酸カルシウムや有機白色顔料を用い、バインダーとして、ブタジエンを主体とした合成ゴムラテックスが用いられ、紙の表面に白色の顔料を含んだ塗料液を塗布して、白色度、平滑性や、印刷適性をあげたり、耐水性を与えたりし、でんぷん、カゼイン、カルボキシメチルセルロースなどを添加して、保水剤や、改質剤として用いられる、塗工用薬品などがある。
この「サイジング剤」の「色調」としては、本発明の「フォーム用紙」に添加する「サイジング剤」の全体の「色調」を用いる。
この「応力発光材料」の「色調」と、「サイジング剤」の「色調」を「同色」とすることにより、「フォーム用紙」の中に「応力発光材料」を含めてあることを「隠ぺい」することが可能となる。従って、この色差△Eを、0.5以下とするが、さらには、0.3以下とすることが好ましい。
具体的には、まず、「応力発光材料」を含めず作成した「試作紙」の「色調」を測定し(紙パルプ繊維は基本的には「透明」であるため、「紙パルプ繊維」と「サイジング剤」を併せたものを用いることができる。)、この色調との色差が0.5以下となる「色調」を持つ「応力発光材料からなる『シート』」を選定して、本発明に用いる「応力発光材料」の組成を定める。(さらに、厳密には、「紙パルプ繊維とサイジング剤を併せたもの」の色調と、「紙パルプ繊維、サイジング剤と応力発光材料を併せたもの」の色調を比較する。)
この色差は、分光色差計、分光色彩計、分光測色計、微小面分光色差計や、オプティカルファイバー式分光色差計などを用いて、測定することができる。
また、「応力発光材料」を「所定のパターン」状、例えば、所定のサイズの文字、図形や、記号、特には、真正性判定用の何らかの「メッセージ(『真正』の文字など。)」を所定のサイズで設け、その「所定のパターン」を「応力発光材料」を発光させる前段階や、その「所定のパターン」の存在を隠したい状況においては、特に、その秘匿性を高めるために、この「色差」を小さくしておくことが望ましい。
このような「所定のパターン」としては、その「フォーム用紙」の用途により、番号または記号のみならず、文字、図形、マークその他、個人、及び、その「フォーム用紙」の供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。
そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法を採用することができる。
特に、この「所定のパターン」として、「フォーム用紙」の種類や型番号、製造メーカー名や、その製造日を採用し、その「フォーム用紙」のトレーサビリティを確保することも好適である。
また、ある限定した用途や目的に使用するために製造する「フォーム用紙」などには、その用途や目的に応じた「情報」、例えば、ロゴ、印章、その他、他社との識別性を有する文字、図形や、記号等、すなわち、ブランドロゴ表示や、出版社、著作者、ゲーム機運用会社、高級ブランド、セキュリティ会社、金券類発券者や発行者、配達や配送会社、販売会社、その他関連組織等の名称や、真正性を表す文字や記号等を含めた「情報」であって、そのロゴや、文字、図形や、記号等が、その用紙の付加価値や、品質保証等の信頼性を高めるもの(証明するもの)などを採用することができる。
さらには、単なる連続番号や記号であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号、さらには、全くの乱数であって「フォーム用紙」を作製するときに発生させ、作製者を含め誰も、その番号の内容を知らないように工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を用いる。もちろん、全体システムの設計者や、「フォーム用紙」を応用した製品の発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は、物理的に見ることができないように設定される番号または記号等を用いてもよい。
そして、このような、いわば、「隠しパターン」を確認する方法として、所定の形状の「治具」、例えば、「底のサイズが、縦30〜50mm×横50〜100mmのかまぼこ型」であって、その突出部の曲率半径が10mm〜100mmである「治具」の、その突出部の曲面上に、本発明の「フォーム用紙」を、観察者が手の指で押し当てて発光させる方法を採用することができる。
さらには、その確認すべき「隠しパターン」の文字サイズを、縦5〜10mm×横10〜30mmとして、その「治具」の曲面上で読み取ることができるようにすることが好ましく、より安定した真正性判定を可能とする。
一例をあげれば、「隠しパターン」の文字サイズを、10mm×横20mm(縦横比1/2の「横長」とする。)とし、「曲率半径が60mmで、底面のサイズが、縦30mm×横50mmのかまぼこ型」の形状の治具の、その曲面上に、本発明の「フォーム用紙」を、観察者が手の指で押し当て、さらには、「フォーム用紙」の両端を下方に引っ張ったり、その状態で治具に擦りつけるように動かしたり(紙を『しごく』動作とも表現される。)して、発光した「隠しパターン」状の文字を、視認し、判定する。
また、本発明の「フォーム用紙」に対して、孔開け加工を施す際の加工具には、両刃、片刃、二段刃、片二段刃、または、蛤刃等の「刃先」を持ち、その「刃」の「形」を、円形や、角形等の所望の「形」としたものを用い、その「刃」の材料組成として、SK60等のSKシリーズ(炭素工具鋼。)、SKS(合金工具鋼鋼材の一種、タングステン鋼。)4等のSKSシリーズ、SKD(合金工具鋼鋼材の一種、ダイス鋼。)11等のSKDシリーズ、SKT(合金工具鋼鋼材の一種。)4(ロックウェル硬度HRC:42以上。)等のSKTシリーズ、SKH(高速度工具鋼、もしくは、ハイス鋼、以下、同様。)3、SKH10、SKH51、SKH59等のSKHシリーズ、SUS(ステンレス鋼、以下、同様。)440C等のSUSシリーズ、その他、オーステナイト系ステンレス、WC−Co(タングステン・カーバイド−コバルト)系合金(ロックウェル硬度HRA:80〜94、抗折力:2〜5GPa、ヤング率:500〜700GPa。)等の超硬合金などを用いることができる。
特には、その硬度及び耐久性から、超硬合金が好ましい。
そして、孔開け加工を施す、その「孔(貫通孔」」の「形」としては、「円形」、「楕円形」、「三角形」、または、「長方形」等の様々な「形」を用い得るが、「連続帳票」に最も用いられる「孔(貫通孔」」である「スプロケットホール(送り穴)」の例を以下に示す。
その寸法、及び、精度は、JIS C6283に準じ、「送り穴」の直径は、4.0±0.1mmの「円形」(但し、『穴の周辺』が、『歯状(切り込み入り。菊丸ともいう。)』になっている『送り穴』は、この値が、最小直径に該当し、その最大直径は、4.5mmを超えない。)であり、「送り穴」の中心間距離は、12.70mm±0.05mm、「送り穴」の位置は、その「連続伝票」の左右両端の余白に設けられ、「送り穴」のセンタラインと対応する端辺までの距離は、6.0±0.7mmとする。
また、他の「孔」の例として、いわゆる「パンチ穴」があるが、その「パンチ穴」の一つである「2穴(JIS S6041)」は、「穴」の直径が、5.5〜6.5mmの「円形」、「穴」の位置が、「フォーム用紙」の一番近い端から11〜13mm、「穴」どうしの距離が、「穴」の中心間距離として、79.5〜80.5mmとするものである。
その他の「規格『穴』」や、「ドンコ穴(26穴・30穴など)」、「コンピュータ穴」、「角ドンコ」、さらには、「針穴」などを、本発明の「フォーム用紙」に設けることができる。
また、本発明の「フォーム用紙」に対して、施し得る「ミシン加工」には、その「ミシン刃」に、ゼンマイ刃、フレキシブルダイ(樹脂板上に『刃』が設けられているもの。)、ロータリーダイ(回転するロールの表面に『刃』が設けられているもの。高速連続加工が可能となる。)等を用い、通常ミシン、マイクロミシン、ジャンプミシン(止ミシン、L字ミシン、T字ミシンなど。)、スリッターミシン、角ミシン等の種々の「ミシン加工」を施すことができる。
その「ミシン刃」の「刃先」は、上記した孔開け加工具と同様のものを用い、その材質も、上記した孔開け加工具と同様のものを用いることができるが、さらに、その「刃先」の耐久性より、ロックウェル硬度で、HRC=30〜60のものも用い得る。また、「刃先の頂部」に、より硬度の大きい材料や、離型性を有する材料を配することも、その耐久性を向上させ、好適である。
「ミシン刃の厚さ」は、0.5〜5mmであって、その断面形状が、「角形」でなく、「楕円形」であるもの、特には、その「角丸」部分の曲率Rが、その「厚さ」の1/2〜1/10となるように、「先細りの形」としたものが好ましい。
その「刃先の形」であるミシン目としては、「カット/アンカット」として、通常のミシン刃として、[1/1](単位mm、以下、同様。)、「2/3」、「2/1」、「2/1.5」、「2.5/3」、「2.5/1」、「2.5/1.5」、「2.5/2」、「3/1」、「3/1.5」、「3/2」、「3/2.5」等、マイクロミシン刃として、「0.2/0.1」、「0.2/0.15」等を用い得る。
また、「ミシン目」として、「連続帳票」に対し、「水平内部ミシン」(横ミシンの一種。例えば、カット/アンカット=3/1、且つ、ミシン止め左右10mm。)、「折りミシン」(横ミシンの一種。例えば、カット/アンカット=2.5/1)や、「垂直内部ミシン」(縦ミシンの一種。例えば、カット/アンカット=2/1)を設けることもできる。
さらには、「押し刃」を用いて、「押し掛」を付してもよい(この場合には、貫通孔とはならない。)。
その他、二つ折、巻三つ折り、内外三つ折り、ジャバラ折り、カンノン折り、カンノン開き折り、クロス折り、レター折り、地図折り、及び、それらの組み合わせ折りなど、さらには、ダイレクトメール折、四つ折や、ミニ折(『取扱説明書』や『能書』など。)等の「折り加工」、さらには、スリッター加工、バースト加工、全面糊付け加工、部分糊付け加工、窓開け加工、窓フィルム貼り加工、封筒加工、エンボス加工や、磁気ストライプ等、偽造防止その他の目的の種々の材料の貼付加工や、転写加工などの「後処理」を施すことができる。
また、不可視レーザーを利用する工作機械である「レーザー加工機」を用いて、本発明の「フォーム用紙」に、上記した種々の「後処理」を施すことも可能である。
この場合には、上記した種々の「刃」の著しい摩耗を考慮する必要が無いことから(但し、『レーザー光の出力』は、より高くする必要がある。)、特に好ましい。
ただ、本発明の「フォーム用紙」に用いられる「応力発光材料」は、素材として、屈折率が高く、「応力発光材料」の表面で、加工用の「レーザー光」を高い反射率で反射してしまうため、そのような「反射現象」を抑制するため、「応力発光材料」の表面を散乱性の高いものとしたり(凹凸形状を『増す』。表面の『凹凸の数』を多くし、且つ、その『起伏』を激しいものとするという意味。)、または、「応力発光材料」を「微粒子化」して、「レーザー光」の「透過性」を高めて、その「レーザー加工性」を向上させることが好適である。
この「レーザー加工機」には、気体式レーザー加工機と、固体式レーザー加工機を用いることができ、気体式レーザー加工機としては、平均出力が、数W〜数十KWの、連続出力式、または、パルス発振式、さらには、ファイバーレーザー式の炭酸ガスレーザー(発振波長:9〜11μm。従って、この『波長』に対する『低反射性』、または、『透過性』が必要となる。以下、同様。)などを用い、固体式レーザー加工機としては、平均出力数W〜数KWの、連続出力式、または、パルス発振式、さらには、ファイバーレーザー式のYAG(Y:イットリウム、AL:アルミニウム:Garnet:ガーネット)レーザー(発振波長:1.1μm。『高調波』も使用可能。)や、平均出力数W〜数十KWのYb:YAGファイバーレーザー(Diode Pumped Solid State<DPSS>レーザーの一種。他に、Nd:YAGファイバーレーザー等がある。)を用いることができる。
その「後処理」の内容に応じて、レーザー光の平均出力、レーザー光のスポット径、光学系による焦点距離や、焦点深度、さらには、レーザーパルスのピーク出力、平均出力、繰り返し周波数及び、デューティ比を調整する。
本発明の「フォーム用紙」によれば、
外観上は、単なる「フォーム用紙」を使用していると認識させておきながら、実際には、その「フォーム用紙」内部に、その外観からは全く認識できない形で、「応力発光材料」を「紙パルプ繊維」とともに含ませておき、その「フォーム用紙」に対する所定の外力負荷によって、その「紙パルプ繊維」が変形を生じると同時に、「応力発光材料」の所定の部位に「変形応力」が発生して、その所定の部位からその変形応力に応じた強度を有する所定波長の光が発光し、視認可能となることをもって、その「フォーム用紙」の真正性を、特段の照明光なく、容易に判定することを可能とした「フォーム用紙」が提供される。
また、この「応力発光材料」を特定の形状とし、さらには、「紙パルプ繊維」と交差するように含ませて、その「発光」を増大させ、その上、「フォーム用紙」に用いる「サイジング剤」との色差を0.5以下として、その意匠性や偽造防止性を高めた「フォーム用紙」が提供される。
は、本発明の一実施例を示す「フォーム用紙A1」の断面図である。
(『フォーム用紙A1』の中に、『紙パルプ繊維1』及び『応力発光材料P 1』が含まれている様子、及び、『応力発光材料P1』の『応力集中部分 S1(所定の部位)』、さらに、『紙パルプ繊維1』と『応力発光材料P 1』が接している状況を、模式的に示している。そして、その接点も応力 集中部分となり得る。)
は、本発明の他の一実施例の「フォーム用紙A2」を示した図である。
(『連続帳票』である『フォーム用紙A2』に、孔開け加工により設けた『 送り孔HL』、横ミシン加工により設けた『横ミシンM1』、縦ミシン加工 により設けた『縦ミシンM2』、及び、スリッター加工により設けた『スリ ット端面SL』の『加工状態』を、模式的に例示している。『フォーム用紙 A2』としての『単票』や、その他の加工を施した状態は省略している。)
は、本発明の一実施例の「フォーム用紙A1」を製造するための「製紙工程」の 流れを示した図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(紙パルプ繊維及びサイジング剤)
本発明のフォーム用紙A1(もしくは、フォーム用紙A2。以下、同様。)に用いられる「紙パルプ繊維1」は、図3の製紙工程の中の、「パルプ化工程」、「パルプ漂白工程」、「パルプの精選&脱水工程」及び、「原料調整工程1:融解&叩解」工程を経て得ることができる。(図1〜図3参照。図1では、サイジング剤を表示していない。)
「紙パルプ繊維1」の原料としては、「木材」、「輸入木材チップ」、及び、「古紙」が主に用いられるが、「製紙」による森林伐採を抑制する観点から、ケナフ、サトウキビ、タケなどの「非木材植物」が用いられる場合もある。
その「非木材植物」には、「リネンパルプ」と呼ばれ、古くから紙の主原料であったアサ、木の樹皮が原料となるカジノキ、ガンピ、ミツマタ、マユミや、「和紙」の主原料であって、栽培し易いコウゾ、「竹紙」の原料となる竹、繊維が細くて短すぎるため、比較的紙力が弱くなる稲藁や麦藁、亜麻、古くは洋紙の主原料であり、綿花の加工途中で生ずる地毛などの短繊維(リンター)を原料として漉いて「紙」とすることもでき、また「繊維」が比較的長いラグパルプ、綿花の地毛などの短繊維から作られるリンターパルプの原料となる木綿、 バガス(絞りかす)パルプの原料となるサトウキビ、比較的繊維が細長く、しなやかで強い「紙」を作ることができる、アバカ(バショウ科の植物)パルプ の原料となるマニラアサ、木に近い性質を持ち、成長が非常に早く、木材の代替となるケナフ、茎の繊維が利用されるバナナ、 非常に強度が高く、絞りかすの繊維を用いる、アブラヤシなどがある。
「紙パルプ繊維1」の原料としては、本発明の目的より、「L材」より「しなやか」な、「N材」が好ましく、「和紙」の原料となるものなどが、特に好適である。また、上記した「非木材植物」の中では、同様の意味において、強度が高く、長い繊維であって「しなやかさ」を持つ、「マニラアサ」、「アブラヤシ」が好適である。
「古紙」は、水に溶解し、機械的な力や重力、界面活性剤などの薬品を利用して「紙パルプ繊維1」以外の異物(金属やフィルム、粘着性樹脂、印刷インキ、コピートナーなど)を分離、除去し、用途に応じて白さを高めるよう漂白処理を加え、脱水し、乾燥して「紙パルプ繊維1」とするが、その回収ルート、回収する「紙」の種類、分別状態などによってその組成や品質が大きく左右されるため、本発明の「フォーム用紙A1」の材料としてはやや不適当であるものの、その低価格性から用い得る。
また、金属繊維や、樹脂繊維(高分子繊維。アラミド繊維など。)を、本発明の「フォーム用紙A1」の強度補強(繰り返しの変形によって、「フォーム用紙A1」が破れたり、劣化することを防ぎ、且つ、元の形状への復元を助長する効果。)の目的で「紙パルプ繊維1」に対して、5%〜20%添加することは、好適である。この添加量が、5%未満であると、この「補強」効果が不十分であり、20%を超えると、「紙パルプ繊維1」と「応力発光材料P1」との絡まりや、結合を阻害することとなる。
「木材」としては、モミやマツなどの針葉樹(「N材」となる。)、及び、ユーカリ、ポプラなどの広葉樹(「L材」となる。)が用いられ、針葉樹では仮道管が、広葉樹では木繊維細胞が主に使われる。針葉樹の繊維は、広葉樹の繊維より太く長いため、針葉樹から製造した「フォーム用紙A1」の方が強い「紙」となる。「情報用紙」の多くは、広葉樹が主原料になっている。
「輸入木材チップ」としては、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、チリや中国などから輸入される、製材の背板などの残りや、間伐材、廃材などから製造されるものや、「製紙」原料目的で植林された、ユーカリやアカシアなどの木材から生産されるものを用いる。
「紙パルプ繊維1」の原料となる「植物繊維」は、「セルロース」が主成分であって、細分化すると、「セルロース」、「ヘミセルロース」及び「リグニン」に分けられ、「セルロース」が骨格を形作り、「ヘミセルロース」が接続を促進し、「リグニン」が空隙充填を担っている。
この中で、「セルロース」は、その構造の中に非常に多くの「OH基」を有することから、「水素結合」によって結びつく性質がある。この「水素結合」によって、さらには、「フォーム用紙A1」の中に含まれる水分(H−OH)の助けを借りて、「紙パルプ繊維1」どおしが、それらの交差する箇所において結合している(くっつき合っている)。(図1において、この「紙パルプ繊維1」どおしの結合箇所は、特段の表示をしていない。)
「紙パルプ繊維1」は、「植物繊維」から、マトリクスであるリグニンおよびヘミセルロースを除去するパルプ化の後、パルプ繊維(細胞壁単位)を分離(離解)して叩解した素材である。
「紙パルプ繊維1」は、その表面に水酸基を多数有するため、乾燥させると水素結合を形成して自己接着したり、「応力発光材料P1」と結合することで、「フォーム用紙A1」となる。乾燥後は、主として、「紙パルプ繊維1」の膨潤能や、相互順応性によって、「フォーム用紙A1」の変形やその復元に寄与する。
この「紙パルプ繊維1」に対して、さらに、様々な手法を用いて「解繊」して、「セルロースナノファイバー」を抽出し、この「セルロースナノファイバー」を用いて「透明な紙」を作る技術も、既に開示されている。
このような「セルロースナノファイバー」を、「紙パルプ繊維1」に対して、1%〜20%添加して、「フォーム用紙A1」の透明性を増し、よって、「応力発光材料P1」の発光に基ずく「フォーム用紙A1」の発光を助長することも好適である。
また、「紙パルプ繊維1」の原料としての「パルプ」には、その製法によって、物理的な力で木材を破砕する方法でできた機械パルプ(MP:メカニカルパルプ)に分類されるものと、化学的な反応で、粉砕チップ木材を分解し、リグニンなどを分離(蒸解)する方法でできる化学パルプ(CP:ケミカルパルプ)に分類されるものがある。
この「機械パルプ」には、砕木パルプ(GP、Ground Pulp)、 リファイナーグランドパルプ(RGP、Refiner GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、 Thermo―MP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP、Chemi―TMP)などがあり、「機械パルプ」を主体とすると、「フォーム用紙A1」が、比較的剛直な「紙」となる。
また、「化学パルプ」には、クラフトパルプ(KP、Kraft Pulp)、サルファイドパルプ(SP、Sulfide Pulp)、アルカリパルプ(AP、Alkaline Pulp) などがある。「化学パルプ」から得られる「紙パルプ繊維1」は、かなり高い純度のセルロースを含むため「しなやか」であって、「しなやか」に「絡み合う」ため、「フォーム用紙A1」としての強度は強く、好適である。
図3の製紙工程における、「パルプ化工程」は、例えば、原材料として「木材」を使用する場合には、その「木材」から樹皮を除去して、いわゆる「チップ状」に粉砕し、水酸化ナトリウムや、塩化ナトリウムの水溶液中で高温加熱処理し、化学的に、「木材」を一本一本の「パルプ」とする工程である。
次の「パルプ漂白工程」は、二酸化塩素などの漂白剤で、この「パルプ」を漂白することで「『白い』パルプ」とする工程である。
例えば、機械パルプや古紙パルプに対しては、過酸化水素やハイドロサルファイトなどの漂白剤で「パルプ」を漂白する。また、化学パルプの場合は、この工程に、「パルプ」中に残留するリグニンなどの不純物を取り除く工程を含めることとなる。
そして、「パルプの精選&脱水工程」は、「パルプ」の中に含まれている、「未離解繊維」や「塵」を、クリーナー等を用いて取り除き、脱水して「パルプシート」とする工程である。
さらに、「原料調整工程1:融解&叩解」工程は、その「パルプシート」を、パルパー等を用いて、再び「水」に融解し、「パルプ」が十分な量の水に均一に混ざった状態で、2枚の金属の刃(ダブルディスクリファイナー)の間にパルプの融解液を通すなど、適宜な叩解機(リファイナー)にかけ、「パルプ」を適度なサイズにカットすると同時に、毛羽立たせ(フィブリル化)、繊維間の結びつきをしやすくする工程である。
これら、「パルプ化工程」、「パルプ漂白工程」及び、「パルプの精選&脱水工程」を経て、本発明の「フォーム用紙A1」に用いられる「紙パルプ繊維1」を得る。(図3参照。)
本発明の「フォーム用紙A1」に用いられるサイジング剤は、図3の製紙工程の中の「原料調整工程2:サイジング剤等添加」において、「パルプの精選&脱水工程」を経て得られた「紙パルプ繊維1」に、適宜な割合で添加される。
この「サイジング剤」には、上述したように、歩留剤、濾水向上剤、紙力増強剤、粘剤、サイズ剤、嵩高剤、フィラー、及び、塗工用薬品などがあるが、本発明の「フォーム用紙A1」の用途に応じて、各々適宜な割合で、且つ、適宜な方法で添加する。(図示せず。)
本発明の「紙パルプ繊維1」は、上記した漂白工程において「白く」なっているが、これは、その表面が粗面となっているためであって、材質そのものは、高い「透明性」を有する。
従って、本発明の「フォーム用紙A1」の「色調」を左右するものは、この「サイジング剤」であるため、この「サイジング剤」の「色調」と、本発明の「応力発光材料P1」の「色調」との色差を、0.5以下とすることで、本発明の「フォーム用紙A1」の中に存在する、「応力発光材料P1」を隠ぺいすることが可能となる。
上記した「サイジング剤」の中では、無色透明なものも多く、実際には、「紙力増強剤」、「サイズ剤」、及び、「フィラー」の色調が重要となる。
いずれにしても、「応力発光材料P1」を、確実に、隠ぺいするために、このサイジング剤」を含め、且つ、「応力発光材料P1」を除いて作成した「紙」を準備して、その「色調」を測定し、その「色調」との「色差」が0.5以下である「応力発光材料P1」を選定する。
さらに、その「隠ぺい性」を確実とするために、すなわち、この「色差」を、0.3以下とするために、本発明の「フォーム用紙A1」を作成する際に、その準備段階として、複数の「応力発光材料P1」を「帯状等のパターン状」に形成し、この「帯状」の形成部分と、「応力発光材料P1」無い部分(「帯状」形成部分以外の部分)との「色差」を上記した色差計で測定して、最適な「応力発光材料P1」を選定する。
(応力発光材料)
本発明の「フォーム用紙A1」に用いられる「応力発光材料P1」としては、以下のものを用いることができる。(図1参照。)
(1)多面体構造の複数の分子によって形成される母体結晶の空間に、アルカリ金属イオン、及び/または、アルカリ土類金属イオンが、挿入された基本構造を有し、その空間に挿入された、アルカリ金属イオン、及び/または、アルカリ土類金属イオンの、一部が、希土類金属イオン、遷移金属イオン、III族の金属イオン、および、IV族の金属イオンからなる群より選択される、少なくとも1種の金属イオンによって置換されている応力発光材料P1。
この応力発光材料P1は、その基本構造である母体結晶として、
P−1空間群に属する三斜晶構造、特には、アノーサイト様構造、及び、3次元構造の空間にアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンを挿入できる範囲で、アノーサイト構造に類似する構造(類似の組成物)も包含するもの、
P−42m空間群に属する正方晶構造、特には、オケルマナイト(akermanite、オケルマン石)様構造、及び、母体結晶の空間に、アルカリ金属イオンお主びアルカリ土類金属イオンを挿入できる範囲で、オケルマナイト構造に類似する構造(類似の組成物)も包含するもの、
R−3空間群に属する三方晶構造、特には、アルミノケイ酸塩の組成を持つ長石(フェルドスパー)構造、及び、四面体構造のSiO分子およびAlO分子が最小単位であり、これらの分子が全ての頂点を共有して複数結合した、3次元構造体、さらに、その3次元構造体に形成された空間(隙間)に、アルカリ金属、または。アルカリ土類金属が挿入されているもの、
準長石(feldspathoid、フェルドスパソイド)構造、例えば、白榴石(leucite、リューサイト)KAlSiO、かすみ石(nepheline、ネフェリン)NaAlSiO、およびこれらの組成物に結晶構造が類似する組成物等、
そして、この基本構造が、下記一般式(1)〜一般式(6)のいずれか1つで示されるものを用いる。
すなわち、MxN1−xAl2Si28・・・(1) / XxY1−xAlSi38・・・(2) /(XxM1−x)(SixAl1−x)AlSi28・・・(3) /XxMyCa1−x−yAl2−xSi2+xO8・・・(4) /MxN2−xMgSi27・・・(5) /MxN3−x(PO42・・・(6)(ただし、式中、MおよびNは、2価の金属イオンであって、少なくとも1つは、Ca、Sr、Ba、MgまたはMnであり、XおよびYは、1価の金属イオンであって、少なくとも1つは、Li,Na,またはKであり、0≦x,y≦0.8である。)。
中でも、紫外線発光を示す(1)の応力発光材料P1の母体結晶は、一般式 M1−x−yNxQyAl2Si28 ・・・(7)(ただし、式中のMおよびNはそれぞれ、アノーサイト構造ではCa、Sr、Mg、またはBaであり、長石構造では、Li、NaまたはKであり、Qは、希土類金属イオン、遷移金属イオン、III族の金属イオン、もしくは、IV族の金属イオンであり、0≦X≦0.8、及び、0.001≦y≦0.1を満たす数である。)の化合物であるもの、
さらに、その応力発光材料P1の母体結晶において、アルカリ土類金属イオンとしてCaを選択し、かつ、そのCaサイトの一部を、希土類金属イオンとしてCeで置換したもの、すなわち、一般式(8)、Ca1−yQyAl2Si28・・・(8)(式中、Qは、Euまたは他の発光中心イオンであり、yは0.001≦y≦0.1を満たす数である。)また、この一般式(8)は、Ca1−mCemAl2Si28(式中、mは、0.001≦m≦0.1を満たす数である。)と表すことができるものを用いることができる。
そして、この応力発光材料P1の発光中心として、
希土類金属のイオンとして、ユウロピウム(Eu)、ジプシロシウム(Dy)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd) 、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、イットリウム(Y)、ネオジウム(Nd)、テルビウム(Tb)、プラセオジム(Pr)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、プロメチウム(Pm)、ホルミウム(Ho)、ルテチウム(Lu)等のイオン、
また、遷移金属のイオンとして、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニオビウム(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)等のイオンが例示される。さらに、III族の金属イオンとして、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等のイオンを用いることができる。
加えて、IV族の金属イオンとして、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)等のイオン、さらには、これら希土類金属のイオン、遷移金属のイオン、III族の金属イオン、およびIV族の金属イオンの中から、少なくとも1つのイオンを選択したもの、そして、その希土類金属イオン、および、遷移金属イオンの含有量、言い換えれば、発光中心の含有量を、0.1mol%以上20mol%以下の範囲内としたもの、好ましくは、0.2mol%以上10mol%以下の範囲内としたもの、特に好ましくは、0.5mol%以上5mol%以下の範囲内としたものを用いることができる。
ここで、その含有量が、0.lmol%未満の場合、効率的な発光が得られず、20mol%を越えると母体結晶が乱れ、発光効率が低下する。
(2)少なくともAlO様構造、および、SiO様構造の四面体構造を有する複数の分子が、その四面体構造の頂点の原子を共有して結合することにより形成された母体結晶の空間に、アルカリ金属イオン、および、アルカリ土類金属イオンの少なくとも一方が挿入された基本構造を有し、その母体結晶は、さらに、非対称性のフレームワーク構造を有していて、その空間に挿入されたアルカリ金属イオン、および、アルカリ土類金属イオンの少なくとも一方の一部が、希土類金属イオン、および、遷移金属イオンの少なくとも1種の金属イオンに置換されている応力発光材料P1であって、特に、少なくともAlO様構造およびSiO様構造の四面体構造を有する複数の分子によって形成された3次元構造(3次元フレーム構造)と、非対称性のフレキシブルなフレーム構造とを有する基本構造に、発光中心が挿入された構成を持つことで、この応力発光材料P1を含む、本発明の「フォーム用紙A1」が、手で軽く変形させるだけで発光することができるものとなるもの。
この応力発光材料P1は、フレキシブルな3次元フレーム構造と、非対称性のフレキシブルなフレームワーク構造とを、同時に備えることで、3次元フレーム構造に加えて、「自発ひずみ」、または、「弾性異方性」を示す構造を有しており、このような母体結晶は、歪やすく、しかも、その歪エネルギーを、効率よく、フレームの中心にある発光中心の電子構造の変化へと変換しやすいものとなっている。
また、この母体結晶を、さらに、歪みやすくするために、母体結晶の空間に挿入されたアルカリ金属、または、アルカリ土類金属の一部が、他のイオン(例えば、希土類金属イオン、または、遷移金属イオン)で置換されていてもよい。
このときの置換するイオンは、母体結晶の結晶構造(非対称性のフレキシブルな3次元フレーム構造)を維持できれば、特に限定されるものではない。この置換するイオンには、例えば、その母体結晶に形成された空間に挿入されているアルカリ金属イオン、および、アルカリ土類金属イオンとはイオン半径の異なる、希土類金属イオン、または、遷移金属イオンが好適である。これにより、母体結晶を歪みやすくすることが可能となり、より強い発光を示す応力発光材料P1を提供できる。なお、ここでの希土類金属イオンまたは遷移金属イオンは、母体結晶を歪みやすくするためのものであって、後述する発光中心として機能しないものであってもよい。
この母体結晶として、アルミノケイ酸塩の組成を持つ長石(フェルドスパー)構造、とりわけ、アノーサイト様構造とする。このような基本構造は、例えば上記した一般式(1)〜(4)のいずれかで示されるアルミノケイ酸塩であることがより好ましい。
その発光中心としては、発光中心の希土類金属イオンとして、Euを用いることによって、好適に青色発光を示す発光体とすることができる。また、発光中心は、一種類に限定されるものではなく、複数種類の混合物を用いてもよい。例えば、EuとDyの混合物を用いることもできる。
より詳細には、特に強い青色発光を示す応力発光材料P1は、次の M1−x−yNxQyAl2Si28 ・・・(9)、及び、X1−x−yYxQyAl2−xSi2+xO8 ・・・(10)(ただし、式中のMおよびNはそれぞれ、2価の金属イオンであり、少なくとも1種類は、Ca,Sr,MgまたはMnであり、XおよびYは、1価の金属イオンであり、少なくとも1種類は、Li,Na,またはKであり、Qは希土類金属イオンもしくは遷移金属イオンであり、0≦X≦0.8、0.001≦y≦0.1を満たす数である。)で示される発光体であることが好ましい。
ただし、(9)式のように、アルカリ土類金属の場合、AlおよびSiは、それぞれ2のままで、式のXにより変化はしない。一方、(10)式のように、アルカリ金属の場合、電荷バランスをとるために、1価のアルカリ金属の数Xが増えた分、4価のSiの数が増え(2+X)に、また3価のAlが減り(2−X)となっている。
さらに、応力発光材料P1において、アルカリ土類金属として、Caを選択し、かつ、そのCaサイトの一部を、少なくとも一種類の発光中心で置換した応力発光材料P1がより好ましい。すなわち、Ca1−yQyAl2Si28・・・(11)(ただし、式中のQはEu、および、他の発光中心の少なくとも一種類、yは0.001≦y≦0.1を満たす数である。)とする。
なお、式(11)は、発光中心が、Euのみの場合、Ca1−m−nEumAl2Si28と表すこともできる。(ただし、式中のmおよびnは、0.001≦m≦0.1を満たす数である。)この場合、mは、0より大きく0.1以下の範囲であり、発光中心が、EUとその他の発光中心イオンの混合物である場合、混合物の発光中心としての含有量(m)は、0より大きく0.2以下の範囲であればよい。
このような応力発光材料P1は、青色の発光を、特に強く示すことができ、式(11)では、発光中心(Q)が、少なくともEuを含んでいることが好ましい。さらには、式(11)において、発光中心の希土類金属イオンとして、少なくともEuを含んでいることが好ましく、例えば、発光中心が、Euのみ、または、EuとDyの混合物であることがより好ましい。このように、発光中心として、Euを含んでいれば、青色発光を特に強く示す応力発光材料P1とすることができる。
(3)歪エネルギーにより発光する条件を満たしている応力発光材料P1、すなわち、歪エネルギーの形成によって、圧電効果、格子欠陥、および変形による発熱等の機構により発光する応力発光材料P1。
この応力発光材料P1を用いることで、この応力発光材料P1を含む、本発明の「フォーム用紙A1」を、手で軽く変形させるだけで、発光させ得る。
この圧電効果による発光は、歪形成力が加えられることで、「材料」に歪エネルギーが生じ、その歪エネルギーに伴う圧電効果により電気が発生し、これにより、「電場発光」が起こるものである。
このために、結晶構造に対称中心が存在せず、自発分極が発生する構造とする。このような、圧電効果により強く発光する「材料」の一例として、α−SrAl24相の結晶材料を好適に用いることができる。
格子欠陥による発光は、材料に格子欠陥が存在すると、歪エネルギーにより格子欠陥にトラップされている電子と正孔(ホール)とが再結合することが可能となるため、これにより「発光」が生じるものである。
応力発光材料P1において、格子欠陥に由来する発光機構を実現するためには、その応力発光材料P1に含有される母体材料に、少なくとも1種、好ましくは、2種以上の金属イオンを、欠陥中心の中心イオンとして添加すればよいことになる。
このような応力発光材料P1では、後述するように、α−SrAl24相の結晶材料において、SrサイトやAlサイトを金属イオンが置換するように、各種「金属元素」を添加する。
発熱による発光は、歪形成により材料が変形すると、この変形に伴い熱が発生し、発熱(温度上昇)に伴い、サーモルミネッセンス(熱発光)が生じ、「発光」するものである。ここでも、この母体材料として、α−SrAl24を挙げることができる。
(4)複数の結晶構造が混在(混和)してなる「混相」を含んでいる応力発光材料P1。すなわち、複数の結晶構造が混在してなる「混相」とすることにより、単独の結晶構造では実現出来なかった、目視できる高効率な(高輝度な)赤色応力発光が可能な発光材料とするもの。
その混相は、ウルツ鉱型構造の酸化亜鉛と、立方晶、または、ウルツ鉱型構造の硫化亜鉛と、立方晶の酸化マンガンとの結晶構造の中から、少なくとも、2種類以上の結晶構造を有する複合結晶体であることが好ましい。この構成により、酸化亜鉛、硫化亜鉛、および、酸化マンガンのうち、単独、あるいは、これらの2つからなるものでは実現出来なかった、赤色発光体とすることが可能になる。
すなわち、一般式、(xZnO+yZnS+zMnO)で表される混相とすることにより、赤色発光材料を実現することができる。
その混晶を構成する金属イオンの一部は、他の金属イオンに置換されたものであってもよい。この場合、混晶を構成している金属イオンとは別の他の金属イオンは、Teイオンであることが好ましい。これにより、の応力発光材料P1の赤色発光の強度を大きく向上させることが可能となる。(「高輝度赤色応力発光材料」となる。)
このTeイオンは、混晶を構成する金属イオン100molに対し、0.1mol以上5mol以下の範囲内となるようにすることが好ましい。
さらに、この応力発光材料P1は、その混晶が、正方晶構造のチタン酸バリウム、斜方晶構造のチタン酸カルシウム、菱面体晶構造のチタン酸マグネシウム、および、立方晶構造のチタン酸ストロンチウムの中から、少なくとも、2種類以上を含むものであってもよく、この場合、混晶を構成する金属イオンの一部が、他の金属イオンに置換されているものであってもよい。
また、この応力発光材料P1は、一般式(Ca1−xA′x)yBa1−yTiO3、(Mg1−xA′x)yBa1−yTiO3、及び、(Sr1−xA′x)yBa1−yTiO3(ここで、0.0001≦x≦0.05、0.005≦y≦0.995、A′は、Dy,La,Gd,Ce,Sm,Y,Nd,Tb,Pr,Erからなる群より選ばれる希土類元素。)からなるものであってもよい。
この構成により、応力や電場を加えることにより光を発する発光性と、圧電性とを兼ね備えた発光材料とすることができる。
また、A′として示している希土類元素としては、プラセオジム(Pr)が最も好ましく用いられる。さらに、強誘電性正方晶のBa1−xCaxTiO3:Pr固溶体(0<x<0.23)と、常誘電性の斜方晶のBayCa1−yTiO3:Pr固溶体(0.9<y<1)とからなる、「混相」であってもよい。
そのCaの比率が、40%以上80%以下の範囲内、あるいは、1%以上35%以下の範囲内であることが好ましい。また、そのCaの比率が、55%以上65%以下の範囲内、あるいは、25%以上35%以下の範囲内であることがより好ましい。
以上の応力発光材料P1は、機械的な外力、例えば、応力、せん断力、衝撃力、圧力等を加えることによって発光し、発光強度は、一般的に加える外力が大きいほど高くなる。
さらに、本発明の「フォーム用紙A1」に用い得る「応力発光材料P1」として、
(5)母体結晶として、周期表2A、3A、4A、および、3B族に属する、少なくとも1種の金属の酸化物、または、複合酸化物、特には、MgO、SrO、CaO、ZrO2、CeO2、HfO2、Y23、Al23、Cr23、および、Ti23の中から選ばれた金属酸化物、または、その複合酸化物、中でも、スピネル構造、ホタル石構造、イットリア構造、コランダム構造、または、β‐アルミナ構造を有するもの、特には、ZrO2、CeO2、HfO2、Y23、Cr23、および、Ti23の中から選ばれた金属酸化物からなり、ホタル石構造、イットリア構造、および、コランダム構造の中から選ばれた結晶構造を有するものであって、
その発光中心を、不安定な3d、4d、5d、または、4f電子殻を有し、この電子殻内で輻射転移を生起しうる希土類金属イオン、および、遷移金属イオン、特には、第一イオン化エネルギーが、8eV以下の希土類金属イオン、および、遷移金属イオンの中から選ばれた、少なくとも1種の金属イオン、特には、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、および、Lu、特には、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、および、Dyの中から選ばれた希土類金属イオン、または、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、特には、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、Ta、および、Wの中から選ばれた遷移金属イオンとするもの。
(6)母体結晶に、FeS2構造の酸化物、硫化物、炭化物、および、窒化物の1種類以上、特には、FeS2構造のSr3Al26、または、Ca3Al26を用いるものであって、その発光中心を、上記(5)と同様とするもの。
(7)母体結晶に、スピネル構造のMgAl24、および、CaAl24、コランダム構造のAl23、および、β‐アルミナ構造のSrMgAl1017の中から選ばれた、少なくとも、1種の金属酸化物、または、複合酸化物を用いるものであって、その発光中心を、上記(5)と同様とするもの。
(8)母体結晶に、Y、Ba、および、Mgの中から選ばれた、少なくとも1種の金属の酸化物と、Siの酸化物の複合体を、少なくとも主成分とする母体材料、特には、Y2SiO5、BaSi25、および、Ba3MgSi28の中から選ばれた、少なくとも1種の複合酸化物を用いるものであって、その発光中心を、上記(5)と同様とするもの。
特には、機械的エネルギーによって励起された電子が基底状態に戻る場合に発光する希土類、または、遷移金属の1種類以上からなる発光中心を添加したもの。
(9)母体結晶に、メリライト型構造のCaYAl37 、Ca2 Al2 SiO7 、Ca2(Mg,Fe)Si27 、Ca22 SiO7 、CaNaAlSi27 、Ca2 MgSi27 、(Ca,Na)2 (Al,Mg)(Si,Al)27 、および、Ca2 (Mg,Al)(Al,Si)SiO7 の酸化物のうちの1種類以上からなる母体材料を用いるものであって、その発光中心を、上記(5)と同様とするもの。
(10)母体結晶に、MN24で表される化合物(M、および、Nは、Mg,Sr,Ba,Znの群、および、Ga,Alの群からそれぞれ選ばれた、少なくとも1つ以上の金属元素)で構成される酸化物、且つ、Mで表わされ金属元素に対する発光中心元素のモル%を0.001〜20%としたものを用いるもの、特には、MgGa24、ZnGa24、ZnAl24、SnZn24、BaAl24、MgAl24で表される酸化物、さらには、母体材料が、スピネル構造を有する化合物で構成されるものにおいて、擬スピネルまたは逆スピネル構造を含む酸化物であって、その発光中心を、上記(5)と同様とするもの。
(11)MN24で表される化合物(MおよびNは、Mg,Sr,Ba,Znの群、および、Ga,Alの群からそれぞれ選ばれた、少なくとも1つ以上の金属元素)で構成される酸化物を母体材料とし、M、または、Nに対して、0.0001〜20モル%の格子欠陥を有するもの。
(12)母体結晶に、(A)一般式xM1O・yAl23・zSiO2(式中のM1はCa、Ba、または、Srであって、その一部がNa、K、および、Mgの中の少なくと一種で置き換えられていてもよく、x、y、および、zは1以上の数である)で示されるアルミノケイ酸塩、(B)一般式xM2O・yAl23(式中のM2は、Ca、または、Baであって、その一部が、Mg、および、Laの少なくとも一方に置き換えられていてもよい。x、および、yは、前記同様。)で示されるアルミン酸塩、(C)一般式xM3O・ySiO2(式中のM3は、Ca、または、Srであって、その一部が、Na、Mg、Zn、Be、Mn、Zr、Ce、および、Nbの中から選ばれた少なくとも一種で置き換えられていてもよい。x、および、yは前記同様。)、または、Ba2MgSiO7で示されるケイ酸塩、(D)一般式xM4O・yM5411(式中のM4は、Ca、Ba、または、Sr、M5は、Ta、および、Nbの中の少なくとも1種であり、x、および、yは前記と同じ意味をもつ)で示されるタンタル酸、または、ニオブ酸塩、(E)一般式xM5O・yGa23(式中のM5は、Ca、Ba、または、Srであって、その一部は、Laにより置き換えられていてもよい。x、および、yは前記同様。)で示されるガリウム酸塩、および、ZrO2の中から選ばれた、少なくとも一種の酸化物、特には、一般式xSrO ・y A l 23 ・z S i O 2( 式中のSrの一部が、N a 、K 、および、M g の中の少なくとも一種で置き換えられていてもよい。x 、y 、および、z は1 以上の数である。)、一般式xSrO・ySiO 2( 式中のSrの一部が、N a 、M g 、Z n 、B e 、M n 、Z r 、C e 、および、N b の中から選ばれた、少なくとも一種で置き換えられていてもよい。x 、および、y は上記同様。)、または、一般式 xSrO・yM4O11( 式中のMは、Ta 、および、Nb の中の少なくとも一種であり、x、および、yは上記同様。)で表される組成をもつストロンチウム複合酸化物からなる母体材料、さらには、xSrO・yAl23・zSiO2として、(Sr ,K2,Na2) Al4Si1436、( Sr,Na ) ( Mg,Fe,Al,Ti) (Si,Al)26、(Sr,Na)2(Al,Mg,Fe)(Si,Al)27、Sr2 (Mg,Al)(Al,Si)SiO7、Sr2Al2SiO7、SrNa2Al4Si416などを挙げることができ、かっこ内の元素は互いに置き換えることができるもの。
また、xSrO・ySiO2として、Sr(Zn,Mn,Fe,Mg)Si26、Sr 2(Mg,Fe)Si27、Sr22SiO7、Sr2BeSi27、Sr2MgSi27、Sr2Na4CeFeNb2Si828、Sr3Si27、SrFeSi26、SrMgSi26など、もしくは、xSrO・yM4O11として、Sr(Ta,Nb)411であるもの、
特にに発光強度の大きいものは、Sr(Ta,Nb)411、Sr(Zn,Mn,Fe,Mg)Si26、Sr2(Mg,Al)(Al,Si)SiO7、Sr2Al2SiO7、Sr2MgSi27、Sr2Na4CeFeNb2828、および、SrMgSi26としたもの、さらには、SrGa1219、SrLaGa37であるもの。
そして、これらの酸化物が、結晶構造的には点群(簡約化表現の指標において、)1、-1、2、2/m、6/m、m3m、(−4)2m、622で表される結晶分類に属しているもので構成されるものにおいて、その発光中心を、不安定な3d、4d、5d、または、4f電子殻を有し、この電子殻内で輻射転移を生起しうる希土類金属イオン、および、遷移金属イオン、特には、第一イオン化エネルギーが、8eV以下の希土類金属イオン、および、遷移金属イオンの中から選ばれた、少なくとも一種の金属イオン、特には、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、および、Lu、特には、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、および、Dyの中から選ばれた希土類金属イオン、または、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、特には、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、Ta、および、Wの中から選ばれた遷移金属イオンとするもの。
本発明の「フォーム用紙A1」に用い得る「応力発光材料P1」として、
組成式、SrMgAl611、SrLaAl37、または、SrYAl37で示されるストロンチウム、および、アルミニウム含有複合金属酸化物を母体材料とし、ユーロピウムを発光中心としたもの。
(13)発光中心に、少なくとも、ユーロピウム(Eu)を含み、組成式( 1 )(Eu1−xA’x)yB’1−yAl24、または、組成式(2)(Eu1−xA’x)B’1−yMgAl1017{式中、A’は、希土類金属、B’は、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、または、カルシウム(Ca)のいずれかのアルカリ土類金属を示し、0 ≦ x ≦0.99 、0.001≦y≦0.550である}で表される発光体であるもの。
(14)母体結晶に、一般式xBaO・yAl23・zSiO2(式中のBaは、その一部が、Na、K、および、Mgの中の少なくとも一種で置き換えられていてもよく、x、y、および、zは1以上の数である)、xBaO・yAl23(式中のBaはその一部が、Mgで置き換えられていてもよく、x、および、yは前記同様。)、または、xBaO・ySiO2(式中のBaはその一部が、Mg、Fe、Mn、Zn、および、Beの中の少なくとも一種で置き換えられていてもよく、x、および、yは前記同様。)で表わされる組成をもつバリウムの複合酸化物の中から選ばれた、少なくとも一種の酸化物であって、
ここで、xBaO・yAl23・zSiO2で表わされるものとしては、例えば、Ba2(Mg,Al)(Al,Si)SiO7、Ba2Al2SiO7、BaAl2Si28、BaNaAlSi27
xBaO・yAl23で表わされるものとしては、例えば、BaAl813、BaMgAl611
xBaO・ySiO2で表わされるものとしては、例えば、Ba(Zn,Mn,Fe,Mg)Si26、Ba2(Mg,Fe)Si27、Ba2BeSi27、Ba2MgSi27、Ba2MgSiO7、などがあり、
特に発光強度の大きいものは、Ba2Al2SiO7、Ba2MgSi27、BaAl2Si28、BaAl813であるもの。
そして、これらの酸化物は、結晶構造的には点群(簡約化表現の指標において、) 1、-1、2、2/m、6/m、m3m、(−4)2m、622で表される結晶分類に属しているものを用い、その発光中心を、不安定な3d、4d、5d、または、4f電子殻を有し、この電子殻内で輻射転移を生起しうる希土類金属イオン、および、遷移金属イオン、特には、第一イオン化エネルギーが8eV以下の希土類金属イオン、および、遷移金属イオンの中から選ばれた少なくとも一種の金属イオン、特には、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、および、Lu、特には、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、および、Dyの中から選ばれた希土類金属イオン、または、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、特には、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、Ta、および、Wの中から選ばれた遷移金属イオンとするもの。
(14)(Ca1−pPrp)qBa1−qTiO3(0.0001≦p≦0.05,0.005≦q≦0.995)からなる発光材料、さらに、正方晶構造のチタン酸バリウムの結晶相および斜方晶構造のチタン酸カルシウムの結晶相が混在してなる混相を含み、その混相を構成する金属イオンの一部が、Prイオンに置換されている発光材料、特に、サイズの異なる複数の結晶相を有し、チタン酸バリウムの結晶相は大きい粒子サイズであり、チタン酸カルシウムの結晶相は小さい粒子サイズで構成されているとともに、小さい粒子サイズの結晶相は大きい粒子サイズの結晶相の粒子間に均一に分散している発光材料、また、強誘電性正方晶のBa1−xCaxTiO3:Pr固溶体(0<x<0.25)と、常誘電性の斜方晶のBa1−yCayTiO3:Pr固溶体(0.9<y<1)とからなる混相である発光材料、及び、[(1−x)BaTiO3−xCaTiO3]:Pr (xが、0.01≦x≦0.9)、特には、(xが、0.4≦x≦0.8)、もしくは、(xが、0.01≦x≦0.35)の発光材料を用いることができる。
もしくは、以上の発光材料が、赤色発光を示す発光材料であるもの、及び、発光強度がその発光材料に負荷する機械的な外力の大きさに比例するものである、発光材料を用いることができる。
(15)少なくともAlO4様構造、および、SiO4様構造の四面体構造を有する複数の分子が、その四面体構造の頂点の原子を共有して結合することにより形成された母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方が挿入された基本構造を有し、母体構造は、さらに、非対称性のフレームワーク構造を有しており、 その空間に挿入されたアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも、一方の一部が、希土類金属イオンおよび遷移金属イオンの少なくとも一種の金属イオンに置換されていて、且つ、その基本構造は、MxN1−xAl2Si28(ただし、式中MおよびNは、2価の金属イオンであり、少なくとも一種類は、Ca,Sr,Ba,Mg,またはMnであり、0≦x≦0.8である。)で示され、Ca0.985Eu0.01Dy0.005Al2Si28、Ca0.995Dy0.005Al2Si28、Ca0.97Eu0.01Nd0.02Al2Si28、Ca0.93Eu0.02Dy0.05Al2Si28、Sr0.97Eu0.01Dy0.02Al2Si28、Ba0.97Eu0.01Dy0.02Al2Si28、Ca0.8Sr0.17Eu0.01Ho0.02Al2Si28、Sr0.17Ba0.80Eu0.01Ho0.02Al2Si28、Sr0.17Ba0.80Eu0.01Dy0.02Al2Si28、Mg0.2Sr0.77Eu0.01Dy0.02Al2Si28、または、Ba0.2Sr0.77Eu0.01Dy0.02Al2Si28で示される組成を有する応力発光材料P1。
(16)一般式CaM1Al37で表される正方相構造の酸化物(M1は、Y、La、または、Gdを表す。)と、Eu2+とを含み、その酸化物の原料から形成される不純物相をさらに含んでいる応力発光材料、特には、そのM1で表される原子が欠損している格子欠陥構造である酸化物の結晶をさらに含む応力発光材料P1。
そして、Eu2+を、その酸化物100モルに対し、0.01モル〜20モル含む、さらには、不純物相を形成する物質が、その酸化物100モルに対し0.1モル〜80モルである応力発光材料。特には、その酸化物がCaYAl37であり、その不純物相は、Y23、Y3Al512、もしくは、Y4Al29の少なくとも1つを含む、応力発光材料P1。
(17)母体結晶に、金属酸化物、金属窒化物、および、金属硫化物からなる群より選択される、少なくとも1つの化合物を含み、特には、その金属酸化物が、アルミン酸、および、アルミノケイ酸からなる群より選択される、少なくとも1つの化合物を用い、その発光中心を、遷移金属(ただし希土類金属を除く)、Si、および、Snのうち、少なくとも一つの元素をさらに含み、その元素の少なくとも一部が、母体材料に非固溶状態で含有されてなり、さらには、その元素が、粒子状で、且つ、母体材料(母体結晶)の表面に存在して、その元素の含有量が、0.1〜90モル%、特には、10〜90モル%、もしくは、0.1〜10モル%であって、その元素が、Zr、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Hf、Nb、Mo、Ta、および、Wからなる群より選択される少なくとも1つの金属としたもの。
(18)(ZnO)0.6(MnS)0.4−x(MnTe)x(0.001≦x≦0.05)、特には、ウルツ鉱型構造の酸化亜鉛の結晶相、立方晶、または、ウルツ鉱型構造の硫化亜鉛の結晶相、および、立方晶の酸化マンガンの結晶相の中から選択される少なくとも2種類以上の結晶相が混在してなる混相を含み、その混相を構成する金属イオンの一部が、Teイオンに置換されている応力発光材料P1。さらには、サイズの異なる複数の結晶相を有し、酸化マンガンの結晶相は大きい粒子サイズであり、硫化亜鉛の結晶相、および、酸化亜鉛の結晶相は、小さい粒子サイズで構成されているとともに、小さい粒子サイズの結晶相は、大きい粒子サイズの結晶相の粒子間に均一に分散していて、中でも、赤色発光を示し、且つ、発光強度が負荷さ有れる機械的な外力の大きさに比例する、応力発光材料P1。
(19)単斜晶のLiSrPO4:Eu2+を含有する応力発光材料P1。特には、六方晶のLiSrPO4:Eu2+を更に含有する発光体、単斜晶のLiSrPO4:Eu2+からなる発光体、または、斜方晶のLiBaPO4からなる母体構造に形成された空間に、発光中心としてユウロピウム(Eu)のイオンが挿入されたLiBaPO4:Eu2+であって、その発光中心の含有量が2.0〜3.5モル%であるLiBaPO4:Eu2+からなる発光体。
さらに、高輝度な発光を可能とする「応力発光材料P1」(以下、「高輝度応力発光材料P1」とも称す。)として、以下のものを用いることが好適である。
(20)アルカリ土類金属酸化物とアルミニウム酸化物とから構成され、かつこの中のアルカリ土類金属イオンの組成比を欠損させたアルカリ土類金属欠損型であって、式MxAl23+x、MxQAl10O16+x、Mx1Qx2Al23+x1+x2、または、Mx1Qx2LAl10O16+x1+x2[式中のM、Q、および、Lは、それぞれMg、Ca、Sr、または、Baであり、xは0.8≦x≦0.99、x1、および、x2は0.8≦(x1+x2)≦0.99を満たす数である]で表わされる化合物を主成分とする非化学量論的組成を有するアルミン酸塩の少なくとも一種からなり、かつ機械的エネルギーによって励起されたキャリアーが基底状態に戻る際に発光する格子欠陥をもつ物質、または、この母体物質中に希土類金属イオン、および、遷移金属イオンの中から選ばれた少なくとも一種の金属イオンを発光中心の中心イオンとして含む物質からなる高輝度応力発光材料。特には、格子欠陥をもつアルミン酸塩からなる物質が、化学量論的組成比から、アルカリ土類金属イオンが1〜20モル%少なく、かつこの物質中に、希土類金属イオン、および、遷移金属イオンの中から選ばれた少なくとも一種の金属イオン0.01〜10モル%を、発光中心の中心イオンとして含む高輝度応力発光材料P1。
(21)一般式xM1Al・(1−x)M2A2(式中のM1、および、M2は、Zn、Mn、Cd、Cu、Eu、Fe、Co、Ni、Mg、および、Caの中から選ばれる少なくとも一種の原子であり、A1、および、A2は、カルコーゲンの中から選ばれる少なくとも一種の原子であって、M1A1とM2A2とは異なったものであり、xは、0よりも大きく1よりも小さい数である。)で表わされる複合半導体結晶、特には、その複合半導体結晶が、ウルツ鉱型構造とせん亜鉛鉱型構造との共存構造を有する高輝度応力発光材料P1。
さらには、そのM1がMn、または、Euであり、A1とA2が同一のカルコーゲンであって、または、そのM2がZnとCd、もしくは、ZnとCuで構成されている高輝度応力発光材料P1、中でも、一般式xMA・(1−x)MnA(式中のMは、Zn、または、Cuにより部分的に置き換えられたZn、Aはカルコーゲン、xは、0よりも大きく1よりも小さい数である。)で表わされ、結晶粒子径が20nm以下の複合半導体結晶からなる高輝度応力発光材料P1。特には、AがS、または、Teである高輝度応力発光材料P1。
(22)結晶構造が単斜晶である第1のアルミン酸塩を含有している応力発光材料であって、第1のアルミン酸塩の母体材料が、α−SrAl24 であり、3種類以上の金属イオンが欠陥中心の中心イオンとしてその母体材料に添加されており、添加された中心イオンが、少なくともα−SrAl24のSrサイトを置換しており、中心イオンとしては、Srよりもイオン径が小さいものおよび大きいものの両方が添加されており、Srよりもイオン径が小さい金属イオンが、Euである高輝度応力発光材料P1、特には、結晶構造が単結晶ではない第2のアルミン酸塩を含有せず、中心イオンの添加により、母体材料の自発分極性を有する結晶構造中に、格子欠陥が形成され、さらには、結晶構造中にトンネル構造を有していて、そのトンネル中に配置する元素がイオン結合で配置されている高輝度応力発光材料P1、さらに、Srよりもイオン径が小さい金属イオンとして、Mg、Na、Zn、Cu、Eu、Tm、Ho、Dy、Sn、Mn、Nd、Pr、Caからなる群より選択される少なくとも一種が用いられ、Srよりもイオン径が大きい金属イオンとして、Ba、および/または、Kが用いられる高輝度応力発光材料P1、および、α−SrAl24のSrサイトを置換している金属イオンは、Srを基準として、0.1〜40モル%で添加されていること、全金属イオンの添加量が化学量論よりも少ないこと、中心イオンが、α−SrAl24 のAlサイトを置換していること、中心イオンとして添加される金属イオンが、Alよりもイオン径が小さいものであって、Si、Bが用いられること、中心イオンとして添加される金属イオンが、Alよりもイオン径が大きいものであって、Ga、Inが用いられること、 中心イオンとして添加され、α−SrAl24 のAlサイトを置換している金属イオンは、Alを基準として0.1〜20モル%で添加されること、中心イオンとして添加される金属イオンとして、価数の異なる金属イオンを少なくとも2種以上添加すること、材料の歪エネルギー密度に比例して発光することなどをその特徴として持つ、高輝度応力発光材料P1。
また、紫外線領域(光の波長として200nm〜400nm)の発光を可能とする「応力発光材料P1」として、以下のものを用いることもできる。
(23)MN(PO34(式中、Mは1価の金属イオンであり、Nは3価の金属イオンである。)で表される構造を母体構造とし、上記のMまたはNの一部が、希土類イオンまたはIII族金属イオンの少なくとも一方によって置換されている応力発光材料P1。
特には、Na1−xQxLa(PO)4(式中、QはCeイオン、またはTlイオンであり、0.01≦x≦0.2)である応力発光材料P1。
(24)多面体構造の複数の分子によって形成される母体構造の空間に、アルカリ土類金属イオンが挿入された基本構造を有し、その空間に挿入された、アルカリ土類金属イオンの一部が、Ceイオンによって置換されている応力発光材料P1であって、その基本構造が、自発歪を有し、その多面体構造の分子が、四面体構造の、AlO4、およびSiO4のうちの少なくとも1つを含んでおり、その基本構造が、一般式 MxN1−xAl2Si28 で示され(ただし、式中、MおよびNは、2価の金属イオンであって、少なくとも1つは、CaまたはSrであり、0≦xである。)、その応力発光材料P1は、Ca0.2Sr0.77Ce0.005Dy0.02Al2Si28、Ca0.2Sr0.79Ce0.005Tb0.005Al2Si28、Ca0.995Ce0.005Al2Si28Ca0.97Ce0.03Al2Si28、Ca0.2Sr0.77Ce0.03Al2Si28、または、Ca0.8Sr0.17Ce0.03Al2Si28で示される組成を有する応力発光材料P1。
(25)一般式MN(PO34(式中、Mは、Naイオンであり、Nは、Laイオンである。)で表される構造を母体構造とし、そのMの一部が、希土類イオン、または、III族金属イオンの少なくとも一方によって置換されており、そのMの一部と置換される希土類イオンは、Eu、Dy、Ce、およびTbからなる群より選択される希土類のイオンであり、そのMの一部と置換されるIII族金属イオンは、Tlイオンである応力発光材料P1。
本発明の「応力発光材料P1」は、上記した組成に対応した材料を準備し、すなわち、各々の母体結晶用材料に対して、対応する発光中心となる元素を含む酸化物等を、その金属原子換算における所定の割合で、混合し、(一般的には、母体結晶用材料100molに対して、0.1〜100molの範囲の所定の値とする。)、窒素ガス等の不活性雰囲気中で、900〜1100℃の範囲の温度まで徐々に昇温させたのち、水素含有アルゴンガス等の還元雰囲気中、1200〜1500℃の範囲の温度で焼成することで、得ることができる。
ここで、本発明の「応力発光材料P1」を、所定の形状とするためには、あらかじめ、所望の形を有する「成形型(焼成用形を含む。以下、同様。また、上記の高温において、比較的変形の少ないセラミック材料からなるものを選定する。)」に、上記材料を入れ、所定の焼成をした後、その「成形型」から取り出す手法を用いることができる。
但し、本発明の「応力発光材料P1」の表面を滑らかにするために、敢えて、溶融温度の高い金属材料(セラミック材料よりも、金属材料の方が、表面平滑性が高く、「焼成」後には、それらの表面が、「応力発光材料P1」の表面になるという意味。)をその成形型として用いてもよい。
また、上記した高温においては、完全に焼失して、焼成物への付着も少ない、セルロース系樹脂材料や、アセチルセルロース系樹脂材料等の樹脂材料を用いて、十分な耐熱性を持つ平坦な「セラミック板」上に、適宜な厚さで樹脂塗膜を形成し、且つ、その際、その樹脂塗膜の表面に、所望の形状(「応力発光材料P1」とする形状)に対応する凹部(微細な凹部となる。)を設けて、その凹部に、上記のごとく準備した材料を入れて、上記と同様に焼成し、樹脂塗膜を焼失させると同時に、その「セラミック板」上に、所望の形状を持つ「応力発光材料P1」を残す方法を採用することも好適である。
ここで、応力発光材料P1の耐水性を向上するため、応力発光材料P1に表面処理を施すことも好適である。
この表面処理は、適宜な量の表面処理剤を、適宜な有機溶媒(有機溶剤)に、常温、または、加温して溶解させ、その溶解液に、目的に応じた適宜な量の、上記した応力発光材料P1を添加し、デゾルバーやミキサー等の適宜な撹拌装置を用いて、適宜な時間、撹拌した後、適宜な条件下で乾燥させることにより得られる。
このとき、応力発光材料P1の「形状」を壊さず、維持するように条件設定することは言うまでもない。
また、耐水性をさらに向上させる目的で、上記した溶解液に、同時に、応力発光材料P1に対する「被膜」形成用の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を適宜な量、混入させることも好適である。
この「被膜」の厚さは、0.1μm〜10μmとなるように設定する。
熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、すなわち、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート等、セルロース系樹脂、すなわち、硝酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロース・アセテートプロピオネート等、ビニル系樹脂、すなわち、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル等、アクリルアミド樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、もしくは、フッ素化樹脂等が挙げられる。
表面処理剤としては、代表的には、シリル化剤、もしくは、シランカップリング剤を用いる。そのシリル化剤、もしくは、シランカップリング剤としては、
ビニル基を有する、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等、エポキシ基を有する、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等、スチリル基を有する、P−スチリルトリメトキシシラン等、アクリル基を有する、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等、メタクリル基を有する、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等、イソシアネート基を有する、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等、さらには、トリメチルシリルクルロライド、ヘキサメチルジシラザン、BSTFA(N、O―ビスートリメチルシリルートリフルオロアセトアミド)、トリエチルシリルクロライド、クロロメチルトリメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、ヘキサメチルジシラン、N、N´−ビストリメチルシリル尿素などを用いることができる。
その表面処理に用いる有機溶媒(有機溶剤)には、エチルアルコール、プロピルアルコール、または、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、または、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、または、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピルセルソルブ、または、ブチルセルソルブ等のグリコールエーテル系溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、または、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン、オキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール、または、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等を好適に用いることができるが、より好ましくは、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤を用いる。
このとき、有機溶媒の水分含有量を調節することが、さらに好ましく、その水分含有量は、0.5%未満とする。水分含有量が0 . 5 % 以上の場合には、溶液中の水分で応力発光材料P1の発光特性が低下する。
また、本発明の応力発光材料P1の耐水性を向上させるため、「金属アルコキシド(アルコールに金属を反応させたもの。)」を用いて、応力発光材料P1の表面被覆処理を行うこともできる。
その「金属アルコキシド」を構成する金属元素としては、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、および、ケイ素(ここでは、「半金属元素」である、「ケイ素」も含める。)を用いることができ、アルコキシドの種類としては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、オキシイソプロポキシド、ブトキシド等を用いることができる。また、テトラエトキシシラン、または、テトラメトキシシランを部分的に加水分解、および、縮合することにより得られるエチルシリケート、および、メチルシリケートを用いることができる。
特には、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエチルシリケート、テトラメチルシリケート、アルミニウムトリイソプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド等が好ましい。
この金属アルコキシドの添加量は、応力発光材料P1の比表面積によって異なるが、応力発光材料P1に対して、金属アルコキシドの各元素換算の合計で、0.5〜20%とする。
この応力発光材料P1と金属アルコキシドを混合するための装置としては、種々のブレード(回転羽)を用いた各種デゾルバー、ヘンシェルミキサー、スピードミキサー、ボールカッター、パワーミキサー、ハイブリッドミキサー等の撹拌機、各種ボールミル、及び、コーンブレンダー等の混練機を用いることができる。さらに、得られた表面被覆済みの応力発光材料P1を、常温乾燥機中で、数時間〜数日間、風乾した後、60℃〜200℃で、1時間〜24時間乾燥する。
さらには、化学的気相成長法( C V D 法) により応力発光材料P1の表面にアルミナ被膜、もしくは、二酸化チタン被膜等をコーティングする方法、140℃以下の温度で気相加水分解反応により、応力発光材料P1の表面を、「酸化物被膜」でコーティングする方法、ゾル−ゲル反応、もしくは、中和反応により、応力発光材料P1の表面に、金属酸化物、もしくは、金属水酸化物からなる「保護膜」を形成させる方法、100〜200℃に加熱された応力発光材料P1の流動層(気体中に微細な粉体が浮遊しつつ移動している状態。)に、金属アルコキシドオリゴマー、金属アルコキシドの有機溶媒溶液、もしくは、金属アルコキシドそのものを噴霧して、応力発光材料P1の表面に金属酸化物被膜(保護膜)を形成する方法、応力発光材料P1をプラズマ状態の反応性ガスに曝し、応力発光材料P1の表面に酸化物被膜を付着させる方法等も用い得る。
また、上記した組成の材料を、所定の方法を用いて「微粒子」化、さらには、「超微粒子」化して、「所定の形状」の「応力発光材料P1」とする。(以下、『微粒子』と『超微粒子』を併せて『微粒子等』とも称する。)
さらには、その「微粒子」化、または、「超微粒子」化した、「応力発光材料P1」を、適宜な樹脂材料、特に、「紙パルプ繊維1」と水素結合し易いものに混入させた後、ステンレススクリーン印刷や、凹版印刷等の適宜な印刷方式を用いて、適宜な剥離性フィルム上に形成し、乾燥後、その適宜な剥離性フィルムから剥離して、所望の形状の「応力発光材料P1」とすることも好適である。
もちろん、そのような「微粒子等を樹脂材料に混入させたもの」を、適宜な「成形型」を用いて、所望の形状に成形することもできる。
いずれの場合も、樹脂材料中に含まれる微粒子の発光が、それを包んでいる樹脂材料中を通過して、広がり、観察者の目に届くこととなり、「発光面積(発光点の占める面積)」を大きくすることを可能として好適である。
特に、「微粒子」、または、「超微粒子」の「応力発光材料P1」は、「応力発光材料の平板」や、「応力発光材料の塊」を、物理的に粉砕して「微粒子」、または、「超微粒子」とするが(これが、『微粒子化』、または、『超微粒子化』である。)、その粉砕の際、例えば、衝撃式粉砕機を用いて、「微粒子」、または、「超微粒子」が比較的不規則な形となるように制御し、且つ、粉砕した微粒子間、または、超微粒子間の衝突を抑制しつつ、「分級装置」にて、所望の粒径(粒径分布)の所望の形を有する「微粒子」、または、「超微粒子」を作製する。
さらには、「焼成前の『応力発光材料』用組成物」(所定の『焼成』手順によって、目的とする『応力発光材料』となる、所定の各元素を所定の割合で含む、水酸化物、水和物、酸化物、複合酸化物、硝酸塩、塩酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩等の原材料及びその混合物を意味する。『前駆体』ともいう。また、発光中心元素を、ドーピング手段等により別途添加することもできる。これらの混合物、さらには、粉末混合物、もしくは、粉体混合物を、直接、『焼成』すると、『応力発光材料』となる。)を、セルロース系樹脂やエチルセルロース系樹脂等の「焼成によって分解しやすい樹脂」(いわゆる、『セラミックス』製造用の樹脂。焼成によって、その樹脂の成分が、炭酸ガスや水となって、ほぼ完全に焼失するもの。焼成時の『煤』や『残渣』が比較的少ないという特徴を持つ。)に分散させ、個々の「焼成前の応力発光材料」が、いわば「個々の粒子として、独立して、分散している状態」(この樹脂によって、互いに離間させられている状態という意味。)とし、所定の焼成を行うことで、「応力発光材料P1」を、「個々の粒子として、独立して、分散している状態」のまま焼成し、燒結させることも、焼成後の個々の形をより複雑なものとすることを可能とし、好適である。
さらには、噴霧熱分解法、ゾルーゲル法、及び、フラックスフィーダー法などを用いることもできるが、これらの方法は、特に、「焼成前の『応力発光材料』用組成物」から、直接的に、「超微粒子」状の「応力発光材料P1」を製造することができ、また、その「粒子径(分布)」の制御性に優れ、好適である。
もちろん、微粒子の「形を」、所望の「形」とするため、その所望の「形」をその内部の形として持つ「成形型(金属製、もしくは、セラミックス製)」に、上記した「焼成前の『応力発光材料』用組成物」を充填して(もしくは、その成形型で成形と同時に充填して。)、焼成後、その成形型から取り出す製法も採用することができる。
この「微粒子」、または、「超微粒子」の「形」が不規則であればある程、さらには、「微粒子」、または、「超微粒子」の表面が粗面であればある程、「微粒子」、または、「超微粒子」の表面においても、同様に定義できる「応力集中係数α>2」となる「箇所」を広範囲に有することを可能とし、さらには、その「微粒子」、または、「超微粒子」の表面における「応力集中係数α」が非常に大きい(α≧500)形状を持つことをも可能とする。
このような「微粒子」、または、「超微粒子」は、そもそも、「応力発光材料」用組成物を、所定の条件にて焼成して、「平板状」や「塊状」などとした「応力発光材料」を、所定の粉砕手段や分級手段等を用いて「微粒子化」、または、「超微粒子化」したものである。
もしくは、その「微粒子化」したもの、すなわち、「微粒子化した粉体」を、一旦、適宜な「透明な樹脂」(特には、その『樹脂』の体積弾性率が、その『微粒子化粉体』の体積弾性率より大きいものとすると、その樹脂に負荷された『変形』がそのまま『微粒子化粉体』に伝わるため、好適。その『透明な樹脂』と、その『応力発光材料』の組成比は、10/1〜1/10である。体積弾性率と、他の指標である、ヤング率、ポアソン比、剛性率、ラメの第一定数には、所定の相関関係がある。)に分散してペレット状などとしたものを、再び、粉砕、及び、分級して「微粒子化」したものである。(ここで、得られた『微粒子化した粉体』と『透明な樹脂』で構成されるものが、本発明の『微粒子状の応力発光材料P1』である。)
さらに、それらの処理中、微粒子間の衝突を抑制して処理すると(粉砕後の微粒子を互いに衝突させると、徐々に微粒子の表面が滑らかな面となってしまうため。)、それらの「微粒子」の「形」そのものが、複雑な「形」を成し、さらに、その「微粒子」の表面も、非常にランダムな凹凸形状(凹凸の周期や深さが、小さいものでは、ナノサイズの非常に微細なものから、大きいものでは、数ミクロンメートルサイズのものまで、そして、その分布幅までも、ランダムに存在するという意味。)を維持するようにすることができる。
そして、「微粒子状の応力発光材料」を、さらに、所定の粉砕手段や分級手段等を用いて「超微粒子化」し、「超微粒子状の応力発光材料P1」とする際に、「微粒子状の応力発光材料」を上記したように、一旦、「透明な樹脂」に分散し、改めて、「『微粒子状の応力発光材料』を含んだ『透明な樹脂』」を、所定の粉砕手段や分級手段等を用いて「超微粒子化」してもよい(このときの『超微粒子状の応力発光材料P1』は、その『透明な樹脂』に覆われていることとなる)。
「微粒子」状の「応力発光材料P1」、または、「超微粒子」状の「応力発光材料P1」の、いずれにしても、「応力発光材料P1」が、「透明な樹脂」に覆われている場合には、「応力発光材料の屈折率」、「透明な樹脂の屈折率」、「紙パルプ繊維1の屈折率」の差は、0.03以下、特には、0.01以下とすることで、これらの接点における「界面」の「透過率」を高め、その「界面」の反射率を下げることができる。
すなわち、それらの「界面」の「透過性」を高め、「反射」を抑制して、「応力発光材料P1」の発光の視認性を向上することができる。
粉砕手段としての粉砕機には、ボールミル、ロッドミル、自生粉砕ミル、SAG(準自生粉砕)ミル、高圧粉砕ロール、縦軸インパクタ(VSI)ミルなどがある。
この中で、細粒を得るための粉砕機の代表的なものであって、少し傾いて、または水平に回転するシリンダーの中に、金属でできたボールが詰まっており、ボールとの衝突や摩擦によって粉砕が行われるボールミルにおいては、乾式ボールミルや、湿式ボールミル(いずれも、内容積100〜10000リットルで、回転速度10〜50回転/分。)が好適に用いられる。
また、ロッドミルは、粉砕媒体としてボールではなくロッド(金属製の円柱)を使用し、回転するドラム(胴体)によって、粉砕物にロッドの衝撃を与えることで粉砕するものである。特に、インパクタミルは、衝撃歯を高速回転させ、衝撃力によって原料を粉砕する微粉砕機であり、直径100〜1000mmの回転盤を500〜10000回転/分で高速回転させるものであって、微粒子、または、超微粒子の形状そのものが複雑な形となり、また、微粒子や、超微粒子の表面も粗い凹凸形状となり易く、好適である。
また、一旦、「応力発光材料」を、「微粒子化」、さらには、「超微粒子化(平均粒径が、0.005〜0.5μm、特には、0.05〜0.5μmであるものを『超微粒子』と称する。これより大きいものが『微粒子』である。)」したものを、造粒機等の「造粒」手段を用いて、「『超微粒子』間の結合が強固な2次凝集物」とすることで、さらに「不定形」で「複雑な形状」を有する「微粒子」状の「応力発光材料P1」を得ることが出来る。
このような造粒機とは、「粉体」や「微細粒子」を固めて、「粒状」にする装置のことであって、「粒状」のペレットをつくれることから、ペレタイザとも呼ばれる。
そして、この「造粒」の方式には、自立造粒の旋回式(ローター式)、混練式、攪拌式、転動式、流動層式や、強制造粒の圧縮式(ロールプレス式)、二軸押出し式、湿式押出し式、およびこれらを組合せた方式などがあり、混合、分散、及び造粒を連続して行う機種もある。
そのような粉砕手段で「微粒子化」、または、「超微粒子化」した「応力発光材料P1」(『応力発光材料』で100%組成されているもの、複数の応力発光材料から成る『応力発光材料の複合体』、及び、『応力発光材料と透明な樹脂』で組成されたものを含む。)を、分級手段を用いて、選別し、または、造粒手段を用いて造粒した後、さらに、分級手段を用いて選別し、最大直径で、1.0μm〜20μm、好適には、1.0μm〜10μmの「微粒子P1」とし、及び、平均直径D50で、0.5μm〜15μm、好適には、0.5μm〜5μmの「微粒子状の応力発光材料P1」とする。
このときの「粒径」及び「粒子形状」は、レーザー回折式粒度分布測定装置など、種々の粒度分布測定法に基づく装置を使用して決定する。
このような粒度分布測定法には、細く絞ったX線ビームを用いて、分散媒中の粒子濃度を直接測定するX線透過式沈降法、粒子が細孔(アパチャー)の検知領域を通過する際に生じる、2つの電極間の電気抵抗の変化を測定する電気的検知帯法、粒子を、所定の分散媒に均一に分散し、フローセルを通過させるもので、光源からフローセルに光をあて、粒子がセル内を通過した時の投影像を、高感度CCDカメラで撮影して、その粒子像をデジタル変換し、解析用プログラム処理によって、粒子の円相当径、形状情報などを求める画像解析法(数十種類の形状パラメータ、及び、円形モデル、繊維モデル、長方形モデル、多角形モデル、楕円モデル、不規則モデルなどの画像解析モデルを用いる。)、粒子懸濁液の中で「ブラウン運動」をしている粒子に、レーザー光をし照射し、その運動をしている粒子による散乱光から、粒子径を測定する動的光散乱法、粒子にレーザー光を照射することによる光の回析/散乱現象を利用するもので、その回折/散乱光の強度パターンが、粒子の大きさに依存しており、回析/散乱光の角度により異なる強度パターン(強度分布)が観測されて、フランホーファ回折理論や、ミー散乱理論を用いて、粒子径分布を求めるレーザー回折散乱法、粉体の充填層に空気を流す時、粉体粒子が細かいほど流れにくくなり、また、粉体の粒子径と流体の透過性との間の相関関係から粉体の比表面積を求める空気透過法などを用いることができる。
そして、本発明の「フォーム用紙A1」に用いられる、「微粒子状、または、超微粒子状の応力発光材料P1」の「形」とは、本発明の「フォーム用紙A1」に含まれる「多数ある微粒子状、または、超微粒子状の応力発光材料P1の平均的な形」を意味し、いわゆる光学式微粒子形状測定装置等で決定可能な「形」とする。もちろん、この「サンプリング測定」の条件を、具体的に、例えば、本発明の「フォーム用紙A1」の任意の縦10mm×横10mmの領域を切り出して、適宜な溶剤等を用いて、含まれる「微粒子状、または、超微粒子状の応力発光材料P1」を全て抽出して、上記の測定を行うこととすることもできる。
このようにして得られた本発明の「粒子状」の「応力発光材料P1」を、上述した「紙パルプ繊維1」を作製する「製紙工程」(図3参照。)の中の「パルプの精選&脱水工程」において、さらには、その脱水工程前の状態である、いわば「パルプ懸濁液」の段階において、その「パルプ懸濁液」に所定の割合で「混合」し、図3における、残りの「製紙工程」である、「原料調整工程2:サイジング剤等薬品添加」、「抄紙工程1:ワイヤリング&搾水」、「抄紙工程2:乾燥&プレス処理」、及び「加工&仕上げ工程」を経て、本発明の「フォーム用紙A1」を得る。(図1及び図3参照。図1では、サイジング剤を表示していない。)
このときの、「紙パルプ繊維1」に対する「応力発光材料P1」の割合は、「紙パルプ繊維1」100%に対して、0.5〜30%、特には、1〜10%とし、具体的な割合は、本発明の「フォーム用紙A1」の品質仕様、及び、使用目的により設定する。
この「応力発光材料P1」の割合が、0.5%未満では、「フォーム用紙A1」に所定の外部負荷を与えた程度では、視認できるほどの十分な発光が得られず、30%を超えると、「フォーム用紙A1」の剛性が強くなり過ぎたり、「フォーム用紙A1」の比重が大きくなり過ぎ、品質仕様を達成することが困難となる。
ここで、「抄紙工程1:ワイヤリング&搾水」とは、いわゆる「ワイヤーパート」であって、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、または、青銅繊維などで織られた網(ワイヤー)で、連続して回転できるような帯状としたものの上に、上記した「パルプ混濁液」を幅方向に均質で、適切な濃度、速度、及び、角度で供給することで、所定の厚さの塗膜とした後、ワイヤー上で搾水して(脱水するという意味。ある程度、脱水が進んだ部分では、装備されているサクションボックス〈真空ポンプにより水を吸引する装置〉によって、脱水が促進される。)、「フォーム用紙A1」用の「湿紙(未だ、水分を含んでいる状態という意味。)」が形成される。
また、「抄紙工程2:乾燥&プレス処理」とは、いわゆる、「プレスパート」であって、
ワイヤーからはがされた「湿紙」がフェルトに移され、圧力をかけてさらに水分を絞るプレス装置に入って、数本のロールからなるロールプレス処理が施されることとなる。ここで、「湿紙」に適宜なプレスを行うことにより、「フォーム用紙A1」の密度を調整することができる。
次いで、水分の蒸発によって湿紙を乾燥させる、いわゆる「ドライヤーパート」に入り、スチームによって加熱する多数のシリンダドラムに次々と転移させながら、巻き付けて、乾燥させる。
最後に、「加工&仕上げ工程」とは、いわゆる「フォーム用紙A1の加工工程(上述した、『後処理』とは異なる、加工工程。)」に属し、その用途に基づき、サイズプレス処理、艶出し等の塗工処理や、カレンダー処理などの工程に入る。塗工処理やカレンダー処理は、オフマシン(一旦、巻き取ってから、別の専用装置にかけるという意味。)で行ってもよい。
本発明の「フォーム用紙A1」は、手漉き方法でも、作製できるが、品質仕様を満足させつつ、大量に生産するためには、以上の「製紙工程」を達成することが可能な抄紙機、例えば、長網方式、ツインワイヤー方式、ギャップフォーマー方式、丸網方式、ヤンキー方式など各方式の抄紙機を用いる。さらに、マシンカレンダー処理機を追加することもできる。
(実施例1)
針葉樹材(ニドマツと、トドマツの混合材)チップを、リファイナーによって解繊し、濾水度600ml(叩解度。カナディアン・スタンダードによる。)の未漂白機械パルプの懸濁液(1)を得た。この懸濁液(1)を、酢酸緩衝液でpH4,0に調整し、またパルプ濃度を3%に調整した後、シングルディスクリファイナ−(叩解機)で、濾水度が300mlになるまで叩解し、「紙パルプ繊維1」を含む、懸濁液(2)とした。
このときの「紙パルプ繊維1」は、平均「太さ」が30μm、平均「長さ」が3.0mmであった。
これとは別に、焼成用の「型」の「空洞の形(その『型』の内側の『空間』の形)」を、縦30mm×横100mm×厚さ5.0mmの「形」とした、ステンレスを内貼りした金属製の「焼成用型(1)」を準備した。
次いで、母体材料であるSr3Al26に、発光中心となるEuを1%、ホウ酸を1%添加し、その縦30mm×横100mm×厚さ5.0mmの直方体の「空洞」を持つ「焼成用型(1)」に入れて、水素添加アルゴン還元雰囲気中で、900℃まで徐々に昇温して、仮焼成した後、引き続き、水素添加アルゴン還元雰囲気中で、1300℃で、4時間焼成し、自然冷却させて、その「焼成用型(1)」から取り出して、縦30mm×横100mm×厚さ5.0mmの直方体の「形」を持つ、「平板状の応力発光材料シート(H1)」とし、この操作を繰り返して、同様の形の「平板状の応力発光材料シート(H1)」100枚を得た。(ここで、『焼成用型』の内側の形、すなわち、『型』の内側の空間の形に合わせて『応力発光材料』を100%充填しても、上記の『焼成』によって、『応力発光材料』が収縮し、『応力発光材料』の『形状』は、その『焼成用型』の内側の形より、かなり小さい『形状』として仕上がることとなるが、本説明においては、この詳細を省略した。もちろん、この『収縮』をも見込んで『焼成用型』の内側の形を定めて用いても良い。)
この100枚の「平板状の応力発光材料シート(H1)」を、内容積200リットルで、回転速度50回転/分、金属ボールミル(乾式ボールミル。)を用いて、60分の粉砕を3回繰り返し、「粒子化」した。
この「粒子」を、レーザー回折法で「粒径」(粒子直径)を管理しつつ、空気分級式で、1000回転/分のステンレス製分級ロータを装備した分級機にて分級し、粒径分布幅(粒子の最大直径分布幅)1〜50μm、平均粒径(粒子の平均直径)D50=30μmの「粒子状の応力発光材料P1」を得た。(図1参照。図1においては、『粒子状の応力発光材料P1』を『模式的』に大きく、且つ、表面の凹凸形状を誇張して示している。)
この「粒子状の応力発光材料P1」の中から、任意サンプリングにて100個の「粒子状の応力発光材料P1」の「形状(表面の凹凸形状を含む外形。)」を測定し、その「形状」の「3次元画像データ」を、「構造解析ソフト(応力分布解析ソフト)」にかけ、いずれの「粒子状の応力発光材料P1」も、その「粒子状の応力発光材料P1」を曲げる「変形応力」の負荷に対して、応力集中係数αは、ほぼ5以上であり、ほぼ全ての「粒子状の応力発光材料P1」が、「応力集中係数αが2.0以上である部位を有する形状(この場合の応力集中部分S1は、『粒子状の応力発光材料P1』の表面の凹凸形状の凹部の底の位置であった。)」を持つであろうことを確認した。(確認状況は図示せず。)
そして、上記の懸濁液(2)の「紙パルプ繊維1」100部に対して、この「応力発光材料P1」20部を混入させ、懸濁液(3)とした。
さらに、この懸濁液(3)に、適宜なサイジング剤を1部添加して、角型手抄きシートマシンにて、坪量64g/m2となるように「湿紙」を作成し(乾燥処理を見越して「所定の厚さ」とすることを意味する。)、ドラム式乾燥器にて、プレス圧力を加減しつつ、120℃×2分乾燥し、20℃50%条件で、24時間調湿した後、279.4mm幅(11インチ幅)×838.2mm長(33インチ長)のサイズに断裁して、厚さ84μmで、且つ、坪量64g/m2、平滑度(表)25、平滑度(裏)14、クラークこわさ(縦)70cm3/100、クラークこわさ(横)35cm3/100、引っ張り強度(縦)4.5、引っ張り強度(横)2.5、引き裂き強度(縦)220、引き裂き強度(横)240、ISO白色度85%である、本発明の実施例1の「フォーム用紙A1」を得た。(通常のプレス圧力では、厚さが70μm程度となるところを減圧し、厚さを調整した。図1及び図3参照。図1においては、サイジング剤を表示していない。図3の「製紙工程」の一部のみを採用している。)
この実施例1の「フォーム用紙A1」を、「底のサイズが、縦30mm×横100mmのかまぼこ型」であって、その曲率半径が60mmの「治具(最表面を鏡面仕上げしたステンレス製。)」の、その曲面上に、「フォーム用紙A1に対する所定の外力負荷」として、手の指で押し当てたところ、「フォーム用紙A1」が変形し、特に、治具の突出部分(頂点)付近に対応する部分が「緑色」に発光し、目視にて視認することができ、この「フォーム用紙A1」の真正性を確認できた。(評価状況は図示せず。)
このことは、「フォーム用紙A1」に対する所定の外力負荷(手の指による押し当て。)によって、「紙パルプ繊維1」が「フォーム用紙A1」内で変形を生じ、且つ、「応力発光材料P1」の所定の部位に、「紙パルプ繊維1」のその変形に対応した変形応力が発生するとともに、その所定の部位からその変形応力に応じた強度を有する所定波長の光( 『緑色の光』)が発光して、その所定波長の光が視認可能となったものと考えられた。
(実施例2)
実施例1において、母体材料であるSr3Al26に、発光中心となるEuを1%、ホウ酸を1%添加し、その縦30mm×横100mm×厚さ0.1mmの直方体の「空洞」を持つ「焼成用型(2)」に入れて、水素添加アルゴン還元雰囲気中で、900℃まで徐々に昇温して、仮焼成した後、引き続き、水素添加アルゴン還元雰囲気中で、1300℃で、4時間焼成し、自然冷却させて、その「焼成用型(2)」から取り出して、縦30mm×横100mm×厚さ0.1mmの直方体の「形」を持つ、「平板状の応力発光材料シート(H2)」とし、 この100枚の「平板状の応力発光材料シート(H2)」を、内容積100リットルで、回転速度50回転/分、金属ボールミル(乾式ボールミル。)を用いて、60分の粉砕を5回繰り返して(繰り返す毎に、金属ボールミルの直径を徐々に小さくした。)、平均直径10μmの形状の「微粒子状」とし、直径15μmより大きい粒子を除去する分級装置を3回通して、最大直径が15μmで、且つ、平均直径D50が12μmである「微粒子形状」の、実施例2の「応力発光材料P1」を得たこと、及び、「実施例1の懸濁液(2)」の「紙パルプ繊維1」100部に対して、この「応力発光材料P1」10部を混入させ、「実施例2の懸濁液(3)」としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例2の「フォーム用紙A1」を得た。(図1及び図3参照。)
この実施例2の「フォーム用紙A1」の品質仕様(品質特性)は、坪量64g/m2、厚さ84μmで、平滑度(表)27、平滑度(裏)16、クラークこわさ(縦)65cm3/100、クラークこわさ(横)33cm3/100、引っ張り強度(縦)4.2、引っ張り強度(横)2.2、引き裂き強度(縦)200、引き裂き強度(横)225、ISO白色度83%であり、品質仕様(品質特性)を、「応力発光材料P1」を含まない「フォーム用紙」(比較例1参照。)の品質仕様(品質特性)に調整し易くなっていた。(比較例1の『フォーム用紙』の『品質特性』に合致させ易くなっているという意味。図1及び図3参照。図1においては、サイジング剤を表示していない。図3の「製紙工程」の一部のみを採用している。)
そして、この実施例2の「フォーム用紙A1」を、実施例1と同様に評価したところ、「応力発光材料P1」の添加量を、実施例1の「1/2」(20%→10%)と少なくしたにもかかわらず、実施例1とほぼ同様の発光強度を示し、いわゆる「発光効率」が上昇したと思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
(実施例3)
実施例1において、母体材料であるSr3Al26に、発光中心となるEuを1%、ホウ酸を1%添加し、縦1.0mm×横1.0mm×厚さ10μmの直方体の「空洞」を、縦方向に10個、且つ、横方向に20個(全体で200個。)持つ「焼成用型(3)」に入れて、水素添加アルゴン還元雰囲気中で、900℃まで徐々に昇温して、仮焼成した後、引き続き、水素添加アルゴン還元雰囲気中で、1300℃で、4時間焼成し、自然冷却させて、その「焼成用型(3)」から取り出して、縦1.0mm×横1.0mm×厚さ10μmの直方体の「形」を持つ、「平板状の応力発光材料シート(H3)」とし、 この2000枚の「平板状の応力発光材料シート(H3)」を、内容積30リットルで、回転速度50回転/分、金属ボールミル(乾式ボールミル。)を用いて、60分の粉砕を10回繰り返して(繰り返す毎に、金属ボールミルの直径を徐々に小さくした。)、平均直径2μmの形状の「微粒子状」とし、直径1μmより大きい微粒子を除去する分級装置を5回通して、最大直径が1.0μmで、且つ、平均直径D50が0.3μmである「超微粒子形状」の、実施例3の「応力発光材料P1」を得たこと、及び、「実施例1の懸濁液(2)」の「紙パルプ繊維1」100部に対して、この「応力発光材料P1」10部を混入させ、「実施例3の懸濁液(3)」としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例3の「フォーム用紙A1」を得た。(図1及び図3参照。)
この実施例3の「フォーム用紙A1」の品質仕様(品質特性)は、坪量64g/m2、厚さ84μmで、平滑度(表)30、平滑度(裏)18、クラークこわさ(縦)65cm3/100、クラークこわさ(横)30cm3/100、引っ張り強度(縦)4.0、引っ張り強度(横)2.0、引き裂き強度(縦)190、引き裂き強度(横)220、ISO白色度83%であり、品質仕様(品質特性)を、「応力発光材料P1」を含まない「フォーム用紙」(比較例1参照。)の品質仕様(品質特性)に、さらに調整し易くなっていたこと、及び、実施例1よりやや大きな発光強度を示し、その「発光効率」がさらに上昇したと思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図1及び図3参照。図1においては、サイジング剤を表示していない。図3の「製紙工程」の一部のみを採用している。)
(実施例4)
実施例1において、母体材料であるSr3Al26に、発光中心となるEuを1%、ホウ酸を1%添加し、二つの直径100μmの球体のそれぞれの1/8切片で、互いに接合した形(いわば『ひょうたん形』。その『接合面(クビレ)』の部分が、『応力集中部分S1』となる。この『応力集中部分S1』の『応力集中係数α』は、『二つの球を引っ張る際に発生する変形応力』に対しては、10であり、『二つの球を捩じる際に発生する変形応力』では、その接合面の外周部分が『応力集中部分S1』となり、その『応力集中係数α』は、30以上となった。)の「空洞」を、縦方向に20個、且つ、横方向に40個(全体で800個。)持つ「焼成用型(4)」に入れて、水素添加アルゴン還元雰囲気中で、900℃まで徐々に昇温して、仮焼成した後、引き続き、水素添加アルゴン還元雰囲気中で、1300℃で、4時間焼成し、自然冷却させて、その「焼成用型(4)」から取り出して、「ひょうたんの形」を持つ、「応力集中係数αが2以上である、粒子状の実施例4の応力発光材料P1」(最大直径175μmの『ひょうたん形』の粒子状。)としたこと、及び、「実施例1の懸濁液(2)」の「紙パルプ繊維1」100部に対して、この「応力発光材料P1」5部を混入させ、「実施例3の懸濁液(3)」としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例4の「フォーム用紙A1」を得た。(図1及び図3参照。図3において、その『ひょうたん形』は図示していない。)
この実施例4の「フォーム用紙A1」の品質仕様(品質特性)は、厚さ84μmで、且つ、坪量64g/m2、平滑度(表)20、平滑度(裏)10、クラークこわさ(縦)80cm3/100、クラークこわさ(横)40cm3/100、引っ張り強度(縦)5.0、引っ張り強度(横)3.0、引き裂き強度(縦)250、引き裂き強度(横)280、ISO白色度82%であったこと、及び、実施例1より大きな発光強度を示し、その「発光効率」が著しく上昇したと思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図1及び図3参照。図1においては、サイジング剤を表示していない。図3の「製紙工程」の一部のみを採用している。)
(実施例5)
サイジング剤として、粒径1〜10μmのサイズで、実施例1の「応力発光材料P1」の色調との色差が、0.4である「色調」を持つ、「カオリン(白土)」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例5の「フォーム用紙A1」を得た。(図1参照。図1においては、用いた『サイジング剤』についての表示を省略している。)
この実施例5の「フォーム用紙A1」の外観を観察したところ、単なる「白い紙」と認識できるのみであって、この「紙」の中に、「応力発光材料P1」が混入しているとは想像できなかったこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(評価状況は図示せず。)
(実施例6)
実施例1の「フォーム用紙A1」を、350mm幅×1000mm長のサイズに裁断し、さらに、幅方向の左右端部を、「直径60mmで、刃先を片刃とし、超高速度鋼を使用したスリッター刃」を用いて、スリッター加工を施して、幅方向の両端をそれぞれ「スリット端面SL」とし、その幅を279.4mm幅(11インチ幅)とした。
そして、その両スリット端面SLから、内側の所定の位置に、「送り孔HL」として、「『孔』の直径4.0mm(菊丸)」の「スプロケットホール(送り穴)」を所定の規格に準じて、穴開け機(『穴開け用の治具』は、刃先を両刃とし、超高速度鋼を使用。)により設けた。
さらに、「折りたたみ用の横ミシンM1」を、「カット/アンカット=2mm/1mm」とし、刃先が両刃で、厚さが2mmの合金工具鋼を使用した「ミシン刃」を用いて、279.4mm(11インチ)周期で、ミシン加工機により施すと同時に、その両スリット端面SLから、内側の所定の位置に、「カット/アンカット=3mm/1.5mm」とし、刃先が両刃で、厚さが2mmの合金工具鋼を使用した「ミシン刃」を用いて、縦ミシンM2を、ミシン加工機にて施し、本発明の実施例6の「フォーム用紙A2」とした。(図2参照。図2においては、『送り孔HL(円形で示した。)』を左右に各一列、『縦ミシンM2』を2ライン、『横ミシンM1』を2ライン設けた例を示している。)
この実施例6の「フォーム用紙A2」を、実施例1と同様に評価したところ、それぞの加工を施した部分で、それぞれ強い発光が生じ、このことによっても、この「フォーム用紙A2」の真正性の判定が可能であると判断されたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
また量産型の製紙装置を用いて、同様にして、長尺の実施例6の「フォーム用紙A1」、及び、長尺の比較例1の「フォーム用紙」(下記。)を製造し、それぞれ、「スリット加工」、「孔開け加工」及び、「ミシン加工」における「刃」の耐久性を、「同一設定(上記の設定)における『刃』を交換した際の、交換前の『刃』による『加工可能な処理量(加工可能なメーター数)』」で比較したところ、その比が、それぞれ、93/100、95/100、及び、98/100と、その「加工可能な処理量」が若干、少なくなる傾向(可能な加工メーター数が短くなる傾向。)を示すものの、「量産性」に影響を及ぼす程ではなく、「刃の摩耗」を十分に抑制できており、良好な結果であると判断した。
(比較例1)
実施例1において、「応力発光材料P1」を含めず「フォーム用紙」を作製し、比較例1とした。
この比較例1を、実施例1と同様に評価したところ、何らの発光も生じず、この「用紙」が真正なものでないと判断できた。
A1、A2 フォーム用紙
1 紙パルプ繊維
P1 応力発光材料
S1 応力集中部分
HL 送り孔
M1 横ミシン
M2 縦ミシン
SL スリット端面

Claims (2)

  1. 少なくとも紙パルプ繊維、及び、応力発光材料を含むフォーム用紙であって、
    前記応力発光材料は、所定の形状を有しており、
    前記フォーム用紙に対する所定の外力負荷によって、前記紙パルプ繊維が前記フォーム用紙内で変形を生じ、且つ、
    前記応力発光材料の所定の部位に、前記紙パルプ繊維の前記変形に対応した変形応力が発生するとともに、前記所定の部位から前記変形応力に応じた発光強度を有する所定波長の光が発光して、前記所定波長の光が視認可能であり、
    前記応力発光材料の前記所定の形状は、前記フォーム用紙に対する前記所定の外力負荷に対して、応力集中係数αが2以上となる部位を有する形状であることを特徴とするフォーム用紙
  2. 請求項1に記載の前記フォーム用紙において、
    前記応力発光材料の前記所定の形状は、最大直径が1.0〜20μmであって、且つ、平均直径D50が0.5〜15μmである微粒子形状となっていることを特徴とするフォーム用紙。
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