JP6451488B2 - スポット溶接部材 - Google Patents

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本発明は、スポット溶接部材に関する。
近年の自動車産業では、車体重量の軽量化による燃費向上及び衝突時の乗員の安全性確保を両立した車体の技術開発が推進され、車体に用いられる薄鋼板の高強度化及び薄肉化がキーテクノロジーとなっている。しかしながら、車体組み立て時の主要な溶接方法であるスポット溶接を薄鋼板に適用した場合、化学成分、鋼板強度、継手形式、及び負荷様式によっては静的継手強度が低下することがある。特に、静的継手強度の低下は、非特許文献1に記載されているように十字引張継手の破断様式がはく離破断である場合に顕著になるとされている。
このため、十字引張継手のはく離破断を予測し、そのような負荷様式となる車体のスポット溶接継手部の低強度破壊を防止する技術が必要とされている。このような背景から、非特許文献2には、十字引張継手の破断様式を予測する技術が提案されている。また、特許文献1〜8には、継手強度を向上させるスポット溶接技術が提案されている。また、特許文献9には、せん断強度特性やはく離強度特性を向上させるためのスポット溶接ナゲット部の硬度分布が提案されている。さらに、特許文献10〜14には、十字引張継手強度(Cross Tension Strength :CTS)や破断様式を予測する技術が提案されている。
特許第5151615号公報 特許第5299257号公報 特許第5333560号公報 特許第5418726号公報 特許第5429326号公報 特許第5429327号公報 特許第5305194号公報 特許第5305195号公報 特許第5467480号公報 特許第4150383号公報 特許第4700559号公報 特開2013−22637号公報 特開2014−25892号公報 特許第4418287号公報
田中甚吉ら、日本鋼管技報、No.105、P72(1984) 及川初彦ら、新日鉄技報、No.385、P36(2006)
非特許文献2には、CTSではく離破断することを防止するために、以下の数式(1)〜(4)に示すような種々の炭素当量Ceqが提案されており、その式の範囲内では十字引張継手の破断様式はプラグ破断となり、CTSが低下しないとされている。しかしながら、これらの数式は、引張強度が590MPa以下である軟鋼を含む複数の試験から求められた経験式であり、引張強度が590MPaを超える高張力鋼板の十字引張継手の破断様式を判定できない。また、板厚やナゲット径が変動する場合には、数式(1)〜(4)を満足していてもはく離破断による強度低下が生じることが多々あり、成分のみでは十字引張継手の破断様式を精度高く判定できない。
Ceq=C+Si/30+Mn/20+2P+4S≦0.24(%) …(1)
Ceq=C+Si/90+(Mn+Cr)/100+1.5P+3S≦0.21(%) …(2)
Ceq=C+2P/3+2P<0.153(%) …(3)
Ceq=C+Si/30+(Mn+Cr)/20+2P+3S≦0.248(%) …(4)
一方、非特許文献2には、十字引張試験において十字引張継手の破断様式がプラグ破断である場合におけるCTSを求めるための以下に示す数式(5)〜(7)が提案されている。数式(5)〜(7)において、Fは定数、NDはナゲット径、tは薄鋼板の板厚、TSNはナゲットの引張強さ、Elは薄鋼板の伸びを示している。
CTS=F・2/√3・π・ND・t・TSN …(5)
CTS=645・t・ND1.27 …(6)
CTS=5π・t・ND・TSN・(1-(100/(100+0.5・El)2)1.46 …(7)
しかしながら、上記数式(5)〜(7)は、引張強度が590MPa以下である軟鋼を含む複数の試験から求められた経験式であり、高張力鋼板によって形成された十字引張継手の破断様式を判定することはできない。また、上記数式(5)〜(7)では、十字引張継手の破断様式がはく離破断及びプラグ破断のどちらになるのかを試験前に判定することはできない。さらに、上記数式(5)〜(7)には薄鋼板の化学成分(特に炭素含有量)の項が存在しないために、薄鋼板の化学成分(特に炭素含有量)が変わればCTSも変化することを予測できていない。
一方、特許文献1には、溶接通電に引き続き、後加熱条件(電流、時間)を適正範囲内にすることにより、十字引張強度を向上させるスポット溶接方法が記載されている。特許文献2には、加圧力や保持時間を適正範囲内とすることにより、溶接強度を高めるスポット溶接方法が記載されている。特許文献3には、所望のナゲット径を形成する第1通電の後、鋼板を再溶融させることなく後加熱通電するスポット溶接方法が記載されている。特許文献4には、溶接時の加圧力や第1通電及び第2通電を適正範囲内とすることにより、高強度の継手を形成するスポット溶接方法が記載されている。
特許文献5,6には、溶接通電直後に冷却時間を設け、適正範囲内で後加熱通電することにより、CTSを向上させるスポット溶接方法が記載されている。特許文献7には、第1の周波数又は直流の電力を印加して所定領域を加熱する第1の加熱手段と、第2の周波数の電力を印加して上記所定領域とは異なる領域を加熱する第2の加熱手段と、上記第1及び上記第2の加熱手段をそれぞれ独立して制御する通電制御部と、を備える溶接装置が記載されている。
特許文献8には、低周波数又は直流を有する第1の加熱手段による電極への第1の通電によって所定領域を加熱して溶接する第1ステップと、電極を上記第1ステップと同一の位置に維持した状態で高周波を有する第2の加熱手段による電極への第2の通電によって上記第1ステップの所定領域とは異なる領域を加熱する第2ステップと、を含み、上記第1ステップ及び上記第2ステップの加熱時間をそれぞれ独立して制御する溶接方法が記載されている。
しかしながら、スポット溶接部の強度は、ナゲット領域、溶接熱影響硬化領域(以下、HAZ硬化領域と表記)、及び溶接熱影響軟化領域(以下、HAZ軟化領域と表記)の形や配列、硬度比等と密接に関連していると考えられるが、特許文献1〜8にはそのような記述はなく、スポット溶接部の強度向上に対する指針が不明瞭である。
特許文献9には、鋼板の面同士を重ね合わせてスポット溶接部を形成して接合した鋼板からなる溶接構造部材であって、接合部の端部から中心部に行くにつれて軟らかくなっている溶接構造部材、又は、溶接部が溶融凝固部とそれを取り囲む熱影響部とを備え、硬さが、熱影響部の外側領域から熱影響部に行くにつれて硬くなり、さらに熱影響部から溶融凝固部の中心部へ行くにつれて軟らかくなっている溶接構造部材が記載されている。しかしながら、スポット溶接部の強度は、硬度のみならず、ナゲット領域及び熱影響部の形状や大きさ、配列等によっても左右されるが、特許文献9にはそのような知見は記載されていない。
特許文献10,11には、スポット溶接継手の十字引張試験やせん断引張試験に基づいて、有限要素解析により部材の衝突時のスポット溶接部の破断予測を行う技術が記載されている。しかしながら、特許文献10,11記載の技術は、種々のパラメータを経験式に基づいてフィッティングする技術であり、少なくとも十字引張試験やせん断引張試験が必要であることから、試験を行うことなくナゲット領域の破断様式の改善や強度向上を予測することはできない。
特許文献12には、種々の通電条件でスポット溶接し、ナゲット径及び熱影響部の軟化量及びCTSを測定し、それらを入力することによってCTSと軟化度合い、板厚、及びナゲット径との関係を予め求めておき、溶接した継手の軟化度合い、板厚、及びナゲット径から予め求めた式によりCTSを求める方法が記載されている。しかしながら、特許文献12記載の技術では、ナゲット領域の破断様式がはく離破断及びプラグ破断のどちらになるのかを予測することはできす、また、予測式中に薄鋼板の成分(特に炭素含有量)の情報がないために、薄鋼板が変わる毎に予測式を求める必要があり、膨大な試験数が必要になる。
特許文献13には、解析により応力テンソルや破断応力等を求めて破断リスクを算出することにより、接合部の破断を判定する判定装置及び判定方法が記載されている。しかしながら、このような装置を作成するためには膨大な費用及び時間が必要となり、解析精度によっては計算時間が膨大になる。また、薄鋼板や接合方法が変わった場合には再度解析しなければならず、接合部の破断様式や強度を精度良く予測することはできない。
特許文献14には、十字引張試験における材料強度TS、板厚、ナゲット径、継手の板幅、破断時の最大荷重、及び継手の回転角等を測定してデータベースを作成し、作成したデータベースを用いてスポット溶接部の破壊強度を増大させる技術が記載されている。しかしながら、特許文献14記載の技術では、鋼板の成分や強度が変わる毎に膨大な試験によりデータベースを作成しなければならず、またスポット溶接部の破断様式や強度を予測することはできない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、はく離破断強度を向上可能なスポット溶接部材を提供することを目的とする。
本発明に係るスポット溶接部材は、炭素の含有量が0.05mass%以上0.5mass%以下、引張強度TSが780MPa以上、板厚tが1.2mm以上である2枚以上の鋼板をスポット溶接することによって形成されたスポット溶接部材であって、鋼板あわせ面に原点を有するX−Y平面において、前記スポット溶接部のナゲット領域が半径aの円内に80%以上の面積率で存在し、且つ、溶接熱影響硬化領域がナゲット領域の外周から半径cの円内に80%以上の面積率で存在し、且つ、溶接熱影響軟化領域が溶接熱影響硬化領域の外周から半径eの円内に80%以上の面積率で存在し、原点を通りX軸及びY軸と直交する鋼板の厚さ方向にZ軸を設定した時、X−Z平面及びY−Z平面において、前記ナゲット領域が、原点を通る長軸a及び短軸bからなる楕円形状内に80%以上の面積率で存在し、且つ、長軸a及び板厚tが条件a≧√tを満足し、X−Z平面及びY−Z平面における前記ナゲット領域の外周域において、前記溶接熱影響硬化領域が、原点を通る長軸c及び短軸dの楕円形状の外挿線内に80%以上の面積率で存在し、X−Z平面及びY−Z平面における前記溶接熱影響硬化領域の外周域において、前記溶接熱影響軟化領域が、原点を通る長軸e及び短軸fの楕円形状の外挿線内に80%以上の面積率で存在し、前記a,b,c,d,e,fの値が条件a<c<e及び条件b<d<fを満足し、前記溶接熱影響硬化領域の幅c-a及び前記溶接熱影響軟化領域の幅e-cが共に250μm以上であり、前記溶接熱影響軟化領域の硬度が鋼板の母材領域の硬度より小さく、鋼板の母材領域の硬度がナゲット領域の硬度より小さく、ナゲット領域の硬度が溶接熱影響硬化領域の硬度より小さいことを特徴とする。
本発明に係るスポット溶接部材は、上記発明において、前記X−Z平面及び前記Y−Z平面において、前記ナゲット領域が、原点を重心とし、長辺2g及び短片2bからなる長方形とX=±g、Z=0並びにY=±g、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがbとhの半楕円又は半径bの半円からなる円筒形状内に80%以上の面積率で存在し、a=g+h又はa=g+bであり、且つ、aとtが条件a≧√tを満足することを特徴とする。
本発明に係るスポット溶接部材は、上記発明において、X−Z平面及びY−Z平面における前記ナゲット領域の外周域において、前記溶接熱影響硬化領域が、原点0を重心とし、長辺2i及び短片2dからなる長方形とX=±i、Z=0並びにY=±i、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがdとjの半楕円又は半径dの半円からなる円筒形状の外挿線内に80%以上の面積率で存在し、c=i+j又はc=i+dであることを特徴とする。
本発明に係るスポット溶接部材は、上記発明において、X−Z平面及びY−Z平面における前記溶接熱影響硬化領域の外周域において、前記溶接熱影響軟化領域が、原点0を重心とし、長辺2k及び短片2fからなる長方形とX=±k、Z=0並びにY=±k、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがfとlの半楕円又は半径fの半円からなる円筒形状の外挿線内に80%以上の面積率で存在し、e=k+l又はe=k+fであることを特徴とする。
本発明に係るスポット溶接部材は、上記発明において、シートセパレーション終端部が前記溶接熱影響軟化領域にあることを特徴とする。
本発明に係るスポット溶接部材は、上記発明において、母材の硬度HvBMに対するナゲット領域の硬度HvNG、前記溶接熱影響硬化領域の硬度HvHH、及び前記溶接熱影響軟化領域の硬度HvHSの関係が、HvNG≧1.3HvBM、HvHH≧1.4HvBM、HvHS<0.85HvBMであり、且つ、HVBM≧275であることを特徴とする。
本発明に係るスポット溶接部材は、上記発明において、前記溶接熱影響硬化領域の幅c-aが250μm以上であり、前記溶接熱影響軟化領域の幅e-cが500μm以上であり、前記溶接熱影響硬化領域の硬度HvHHと前記溶接熱影響軟化領域の硬度HvHSが条件HvHS≦0.6HvHHを満足することを特徴とする。
本発明に係るスポット溶接部材は、上記発明において、前記Z軸の正側におけるナゲット領域の大きさbと前記Z軸の負側におけるナゲット領域の大きさb’、前記Z軸の正側における前記溶接熱影響硬化領域の大きさdと前記Z軸の負側における前記溶接熱影響硬化領域の大きさd’、前記Z軸の正側における前記溶接熱影響軟化領域の大きさfと前記Z軸の負側における前記溶接熱影響軟化領域の大きさf’のうちの少なくとも1つが異なることを特徴とする。
本発明に係るスポット溶接部材は、上記発明において、前記X軸及び前記Y軸の正側におけるナゲット領域の大きさbと前記X軸及び前記Y軸の負側におけるナゲット領域の大きさb’、前記X軸及び前記Y軸の正側における前記溶接熱影響硬化領域の大きさdと前記X軸及び前記Y軸の負側における前記溶接熱影響硬化領域の大きさd’、前記X軸及び前記Y軸の正側における前記溶接熱影響軟化領域の大きさfと前記X軸及び前記Y軸の負側における前記溶接熱影響軟化領域の大きさf’のうちの少なくとも1つが異なることを特徴とする。
本発明に係るスポット溶接部材によれば、はく離破断強度を向上させることができる。
図1は、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみとモードI応力拡大係数との関係を示す図である。 図2Aは、鋼板あわせ面におけるスポット溶接部の構成を示す模式図である。 図2Bは、断面におけるスポット溶接部の構成を示す模式図である。 図3Aは、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみとモードI応力拡大係数との関係を示す図である。 図3Bは、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみとモードI応力拡大係数との関係を示す図である。 図4Aは、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみとモードI応力拡大係数との関係を示す図である。 図4Bは、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみとモードI応力拡大係数との関係を示す図である。 図4Cは、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみとモードI応力拡大係数との関係を示す図である。 図4Dは、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみとモードI応力拡大係数との関係を示す図である。 図5Aは、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみとモードI応力拡大係数との関係を示す図である。 図5Bは、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみとモードI応力拡大係数との関係を示す図である。 図6Aは、断面におけるスポット溶接部の構成を示す模式図である。 図6Bは、断面におけるスポット溶接部の構成を示す模式図である。 図6Cは、断面におけるスポット溶接部の構成を示す模式図である。 図6Dは、断面におけるスポット溶接部の構成を示す模式図である。 図6Eは、断面におけるスポット溶接部の構成を示す模式図である。 図6Fは、断面におけるスポット溶接部の構成を示す模式図である。 図6Gは、断面におけるスポット溶接部の構成を示す模式図である。 図7は、スポット溶接部材の構成を示す模式図である。 図8は、高速圧潰試験機の構成を示す模式図である。 図9Aは、十字引張試験片の1/4対称ソリッドモデルを示す図である。 図9Bは、ナゲット領域近傍における十字引張試験片の1/4対称ソリッドモデルを示す図である。
本発明の発明者らは、スポット溶接部においてはく離破断を回避してプラグ破断を促進し、十字引張継手強度(Cross Tension Strength :CTS)を向上させる技術について鋭意検討した。実験には、炭素含有量0.13%、板厚1.6mmの980MPa級高張力鋼板を用い、種々のスポット溶接にてナゲット径3√tの十字引張継手を作製して試験を実施した。併せて、そのときのナゲット領域、溶接熱影響硬化領域(以下、HAZ硬化領域と表記)、及び溶接熱影響軟化領域(以下、HAZ軟化領域と表記)の形状及び配列を求め、これを忠実に再現した有限要素解析(Finite Element Analysis : FEA)を実施した。FEAにおいては、十字引張試験の1/4対称ソリッドモデルを用い、有限要素解析ソフトウェアABAQUS ver.6.9-2を利用して弾塑性解析を実施した。
実験の結果、スポット溶接部が低強度破壊であるはく離破断を示す場合、負荷の極初期にコロナボンドがはく離してナゲット領域まで至るき裂が発生すること、発生したき裂はCTSまで進展せずに開口し、CTSでナゲット領域へと急速に脆性的に進展してはく離破断することが知見された。また、そのときのはく離破断のクライテリアはモードI(開口形)応力拡大係数KIによって解析的に表され、モードI応力拡大係数KIが116MPa√mに達した際にCTS=6kNではく離破断すること、この値はナゲット領域の破壊靱性値と考えられることが知見された。
一方、スポット溶接部がプラグ破断を示す場合には、負荷の極初期にコロナボンドがはく離してナゲット領域まで至るき裂が発生するものの進展せず、次いでシートセパレーション終端R部から延性き裂が発生し、これが主き裂となってプラグ破断すること、プラグ破断時のCTSは先のはく離破断する場合よりも向上することが知見された。また、このとき、シートセパレーション終端R部は、HAZ硬化領域とHAZ軟化領域との境界に近く、且つ、HAZ軟化領域内にあること、このときナゲット領域、HAZ硬化領域、及びHAZ軟化領域は特定の形状や大きさを有していることが知見された。
また、解析によりシートセパレーション終端R部からの延性き裂発生挙動を評価した結果、シートセパレーション終端R部で相当塑性ひずみが最も集中する局所領域(50μm四方)で相当塑性ひずみεpeeqが0.34の時にプラグ破断のための延性き裂が発生することが知見された。このとき、CTSは8kNまで上昇した。そして、図1に示すように、はく離破断を示した継手Aとプラグ破断を示した継手Bにおいて、モードI応力拡大係数KIとシートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみεpeeqを指標としたとき、継手Aでは、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみεpeeqが限界値(0.34)に達する前にモードI応力拡大係数KIが限界値(116MPa√m)に達すること、他方で継手Bでは、モードI応力拡大係数KIが限界値(116MPa√m)に達する前にシートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみεpeeqが限界値(0.34)に達することによるモードI応力拡大係数KIとシートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみεpeeqの競合モデルにより説明できることが知見された。
そこで、上記の実験及び解析の結果を踏まえて、はく離破断挙動及びプラグ破断挙動をFEAにより解析的に求めた。FEAとしては、十字引張試験の1/4対称ソリッドモデルを用い、有限要素解析ソフトウェアABAQUS ver.6.9-2を利用して弾塑性解析を実施した。解析にあたっては、ナゲット領域、HAZ硬化領域、及びHAZ軟化領域の形状、大きさ、及び配列と、ナゲット領域、HAZ硬化領域、及びHAZ軟化領域の硬度とに注目した。具体的には、図2Aに示すように、鋼板あわせ面においては、半径aの円形状のナゲット領域Iと、ナゲット領域Iの外周域に形成された半径cのリング状のHAZ硬化領域IIと、HAZ硬化領域IIの外周域に形成された半径eのリング状のHAZ軟化領域IIIとした。また、鋼板の板厚tは1.6mmとし、ナゲット領域の半径aは1.5√t(ナゲット径3√t)とした。また、図2Bに示すように、断面においては、長軸a及び短軸bよりなる楕円状のナゲット領域Iと、長軸c及び短軸dよりなる楕円状のHAZ硬化領域IIと、長軸e及び短軸fよりなる楕円状のHAZ軟化領域IIIとして、それ以外は母材部からなり、シートセパレーション先端がHAZ硬化領域IIとHAZ軟化領域IIIの境界上にあり、シートセパレーション終端R部がHAZ軟化領域III内にあるモデルとした。また、比較例として領域IIをHAZ軟化領域、領域IIIをHAZ硬化領域とした場合も解析した。
解析において、母材の硬度HvBMはHv300、ナゲット領域の硬度HvNGはHv400、HAZ硬化領域の硬度HvHHはHv420、HAZ軟化領域の硬度HvHSはHv280とした。また、各領域における降伏点及び引張強度は母材のそれに母材との硬度比(すなわちナゲット領域ではHvNG/HvBM、HAZ硬化領域ではHvHH/HvBM、HAZ軟化領域ではHvHS/HvBM)を乗じることによって外挿した。また、各領域における一様伸びは母材のそれを母材との硬度比で除算することによって外挿したS-Sカーブを用いた。また、解析において、はく離破断はシートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみεpeeqが限界値(0.34)に到達する前にモードI応力拡大係数KIが限界値(116MPa√m)に到達するときに生じるものとし、プラグ破断はモードI応力拡大係数KIが限界値(116MPa√m)に到達する前にシートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみεpeeqが限界値(0.34)に到達するときに生じるものとした。
また、CTSは、はく離破断及びプラグ破断共に、モードI応力拡大係数KIが限界値(116MPa√m)に到達した時の強度とした。ここで、プラグ破断はシートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみεpeeqが限界値(0.34)に到達した時に延性き裂が発生することで判定されるが、CTS(破壊時の荷重)は判定できないため、簡易的にき裂先端がモードI応力拡大係数KIが限界値(116MPa√m)に到達した時の強度として求めた(実際のプラグ破断では少なくともこの荷重以上で生じるものと考えられる)。また、HAZ硬化領域の幅c-aは200μm、250μm、500μm、1000μmとし、HAZ軟化領域の幅e-cは200μm、250μm、500μm、1000μm、5000μmとして解析を実施した。
この結果、原点0からX軸及びY軸方向にナゲット領域、HAZ硬化領域、及びHAZ軟化領域が順に存在する場合、図3A,3B及び表1に示すように、HAZ硬化領域の硬度HvHHがHv420であり、HAZ軟化領域の硬度HvHSがHv280である時に、HAZ硬化領域及びHAZ軟化領域の幅に関係なくはく離破断が生じることが予測された。また、この時、CTSはいずれも6kNとほとんど変化しないことが予測された。一方、図4A〜4D及び表2に示すように、HAZ硬化領域の硬度HvHHがHv420であり、HAZ軟化領域の硬度HvHSがHv230であり、HAZ硬化領域の幅が200μmである時には、HAZ軟化領域の幅を200μm〜5000μmとしても、いずれもはく離破断が予測され、CTSもほとんど変化しないことが予測された。
これに対し、HAZ硬化領域の幅が250μm以上である場合には、HAZ軟化領域の幅が200μmでははく離破断してCTSの向上も見込めないが、HAZ軟化領域の幅を250μm以上とすることによってプラグ破断が生じることが予測され、CTSも8kN程度までの上昇が予測された。また、そのような効果はHAZ軟化領域の幅が500μmになると飽和し、HAZ軟化領域の幅を1000μm、5000μmとしてもそれ以上の効果は認められなかった。このような挙動は、HAZ軟化領域の幅を250μm以上、硬度を230とすることによって、HAZ硬化領域に隣接するHAZ軟化領域において、強度のミスマッチによりHAZ軟化領域側でシートセパレーション終端R部に塑性ひずみが集中することによるものと考えられる。
次に、HAZ硬化領域とHAZ軟化領域の配列について検討した。すなわち、領域Iをナゲット領域、領域IIをHAZ軟化領域、領域IIIをHAZ硬化領域とした解析を実施した。その結果、図5A,5B及び表3に示すように、いずれのケースにおいてもはく離破断が予測され、CTSは4〜3kNまで低下した。この原因は、ナゲット領域の外周からHAZ硬化領域がなくなると、荷重に対するCTODの上昇代が大きくなり、モードI応力拡大係数KIが上昇することによるものと考えられる。
なお、図3及び図4に示した結果を解析的に検討した結果、母材の硬度HvBMに対するナゲット領域の硬度HvNG、HAZ硬化領域の硬度HvHH、及びHAZ軟化領域の硬度HvHSの関係が、HvNG≧1.3HvBM、HvHH≧1.4HvBM、HvHS<0.85HvBMであればプラグ破断が促進されることが明らかとなった。また、引張強度TSで780MPaを超えるためには母材の硬度HVBM≧275であることが示された。
また、図4B〜4D及び表2に示したように、HAZ硬化領域を250μm以上、且つ、HAZ軟化領域を250〜500μmとすることで顕著なプラグ破断化の促進とCTSの向上が見られた。また、HAZ軟化領域をさらに1000μm、5000μmとしても500μmの場合とほぼ同等であることから、HAZ軟化領域の幅e-cは500μm以上とすることが望ましい。
また、図3,4及び表1,2に示した結果を解析的に検討した結果、HAZ硬化領域の硬度HvHHとHAZ軟化領域の硬度HvHSとが条件HvHS≦0.6HvHHを満足すれば、強度ミスマッチによりHAZ軟化領域によるシートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみの集中が見られた。このため、HAZ硬化領域の硬度HvHHとHAZ軟化領域の硬度HvHSとが条件HvHS≦0.6HvHHを満足することが望ましい。
また、ナゲット領域、HAZ硬化領域、及びHAZ軟化領域の形状が長方形領域と半楕円領域又は半円領域との組み合わせによって表される場合(図6A〜6G参照)であっても、領域Iにナゲット領域、領域IIにHAZ硬化領域、領域IIIにHAZ軟化領域がそれぞれ配列され、a=g+h、c=i+j、e=k+lの寸法要件が満たされれば上記の効果が得られることが解析により確認された。
具体的には、図6Aに示す例では、X−Z平面及びY−Z平面において、ナゲット領域Iは、原点0を重心とし、長辺2g及び短片2bからなる長方形とX=±g、Z=0並びにY=±g、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがbとhの半楕円又は半径bの半円からなる円筒形状に近似される。なお、完全な長方形と半楕円/半円状でなくとも、その外挿線内に80%以上の面積率でナゲット領域Iが存在すればよく、同様の効果が得られる。この場合でも鋼板あわせ面においてナゲット領域Iは半径aの円状となるため、a=g+h(半楕円)又はa=g+b(半円)の寸法要件が得られる。また、安定したナゲット径を得るためには、ナゲット径として2√t以上が必要となるため、a≧√tが成立する。
また、図6B,6Cに示す例では、X−Z平面及びY−Z平面において、HAZ硬化領域IIは、原点0を重心とし、長辺2i及び短片2dからなる長方形とX=±i、Z=0並びにY=±i、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがdとjの半楕円又は半径dの半円からなる円筒形状に近似される。完全な長方形と半楕円/半円状でなくとも、その外挿線内に80%以上の面積率でHAZ硬化領域IIが存在すればよく、同様の効果が得られる。この場合でも鋼板あわせ面においてHAZ硬化領域IIは半径cの円状となるため、c=i+j(半楕円)又はc=i+d(半円)の寸法要件が成立する。
また、図6D〜6Gに示す例では、X−Z平面及びY−Z平面において、HAZ軟化領域IIIは、原点0を重心とし、長辺2k及び短片2fからなる長方形とX=±k、Z=0並びにY=±k、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがfとlの半楕円又は半径fの半円からなる円筒形状に近似される。完全な長方形と半楕円/半円状でなくとも、その外挿線内に80%以上の面積率でHAZ軟化領域IIIが存在すればよく、同様の効果が得られる。この場合でも鋼板あわせ面においてHAZ軟化領域IIIは半径eの円状となるため、e==k+l(半楕円)又はe=k+f(半円)の寸法要件が成立する。
また、(A)ナゲット領域、HAZ硬化領域、及びHAZ軟化領域が原点0を中心として回転して鋼板に対して傾いている場合や(B)原点0を中心としてZ軸の正側におけるb,d,fとZ軸の負側におけるb’,d’,f’との関係がb≠b’,d≠d’,f≠f’となって上下非対称である場合においても同様な効果が得られることが解析により確認された。また、(C)原点0を中心としてX軸及びY軸の正側におけるa,c,eとX軸及びY軸の負側におけるa’,c’,e’との関係がa≠a’,c≠c’,e≠e’となって左右非対称である場合においても同様な効果が得られることが解析により確認された。また、(D)楕円及び円筒の中心が原点0と異なり、Z軸側やX軸側及びY軸側にずれている場合においても同様な効果が得られることが解析により確認された。さらに、上記(A)〜(D)のいずれの組み合わせにおいても上記と同様のプラグ破断の促進とCTSの向上効果が認められた。
また、図7に示すプレス成形したハット部材に背板をスポット溶接で溶接し、曲げ圧壊試験を実施した。曲げ圧壊試験は、図8に示すような高速圧潰試験機(高速変形試験機)を用いて、支持点間距離320mmで保持した部材の長手中央部をR100mmの圧子で変形させて行った。変形速度は10m/sで最大ストローク70mmとして試験を実施した。試験後に部材がスポット溶接部で分離破断するか未破断するかを確かめた。その結果、本発明例においてはいずれも未破断であり、部材の破壊性能が向上した。
以上のように、試験を行うことなくスポット溶接部の破断様式やCTSを予測できれば、試験費用削減や試験期間縮小に繋がり有益である。また、机上計算により溶接熱影響部の硬度マッチングを用いて、はく離破断を防止してプラグ破断化を促進し、且つ、CTSも向上できれば、試験費用の削減のみならず試験期間の短縮にも繋がり、ひいては総合的な車体設計や車体組み立てに利用できれば開発費用の削減に繋がり、最終的な車体の高性能化を低コストで実現でき、エンドユーザーに対して有益となる。また、上記の効果により衝突時の乗員の安全性確保しながら車体重量の軽量化が達成できれば、自然環境破壊に対するメリットにも繋がる。さらに、溶接条件等が未知のスポット溶接部である場合、本規定に達していればプラグ破断と高いCTSが予測され、判定方法として用いることもでき、汎用性が高い。
なお、本発明は、炭素を0.05〜0.5mass%含有し、引張強度TSが780MPa以上、板厚tが1.2mm以上の薄鋼板を2枚以上スポット溶接することによって形成されたスポット溶接部材に適用されるものとする。炭素の含有量の下限値は鋼を強化させるために必要な含有量であり、0.05mass%、より好ましくは0.075とする。また、炭素の含有量の上限値は、スポット溶接性や継手特性を阻害しない値であり、0.5mass%、より好ましくは0.3mass%とする。
また、スポット溶接部におけるナゲット領域は溶融・急冷プロセスによって焼き入れままのマルテンサイトとなる。焼き入れままのマルテンサイトの硬さは炭素の含有量のみにより決定されることから本発明では鋼板の炭素含有量のみを規定する。用途に応じてSiやMnの他、各種の固溶強化元素、析出強化元素等も添加して良い。本発明において鋼板のMn量は特に規定しないが、安価に鋼板の焼き入れ性を高めて強度及び靱性を向上させるため、Mnを0.5〜3.0mass%、より好ましくは1.0〜2.5mass%添加することが望ましい。
また、鋼板の強度については、今回の実験や解析に用いた鋼板の最低引張強度である780MPaを下限値とした。鋼板の強度の上限値は特に定めないが、溶接性や加工性等を考慮すると引張強度TSで2500MPa以下であることが望ましい。また、鋼板の板厚tが薄い場合、プラグ破断しやすいが板厚が厚くなり、且つ、炭素含有量が0.10mass%を超え、鋼板強度が780MPa以上である場合には、板厚1.2mm以上ではく離破断が生じやすくなる。本発明はこれをプラグ破断へと移行させCTSを向上させる技術であるので、板厚tを1.2mm以上と規定する。
また、スポット溶接は同一鋼板の2枚重ねにおいて実施すれば良く、2枚以上の複数枚で実施しても良い。部材の継手形式は十字引張様式である場合JIS Z 3137又はJIS Z 3138にある試験片形状としても良い。また、せん断引張様式(JISZ3136)やL字様式(ISO14270)においてはく離破断が生じるようなケースにおいても本技術を用いることができる。溶接する鋼板は炭素含有量、引張強度、及び板厚が同一であるものでも良く、それらが異なる鋼板でも構わない。板厚が異なる場合、上述のナゲット径(2√t以上)のtは溶接部材(継手)を構成する鋼板のうち最小板厚をとるものとする。
また、本発明は上述のようなナゲット領域、HAZ硬化領域、及びHAZ軟化領域の配列、形状、大きさ、及び硬度を有していれば良く、製造方法については何ら規定されることはない。具体的には、所望のHAZ軟化領域を得るために、スポット溶接の電極形状や溶接方法を変化させる手法がある。さらには、スポット溶接に高周波誘導加熱やアーク溶接、レーザー溶接等を組み合わせたり、それらの方法を2つ以上組み合わせたハイブリッド溶接を実施したりする手法がある。
本実施例では、C含有量[mass%]、Mn含有量[mass%]、引張強度TS[MPa]、及び板厚t[mm]の異なる鋼板をスポット溶接にて2枚重ねてナゲット径を変化させた十字引張試験片を作製した。十字引張試験片は同一条件で3本作製して試験し、3本のCTSの平均値を求めた。また、破断様式をはく離破断とプラグ破断とに大別し、部分プラグ破断ははく離破断したものとみなした。そして、各十字引張試験片が以下に示す本発明の構成要件A〜Mを満足するか否かを評価し、本発明の構成要件A〜Mとスポット溶接部の破断様式との関係を確認した。また、図7に示すプレス成形したハット部材に背板をスポット溶接にて溶接し、曲げ圧壊試験を実施した。試験は高速変形試験機を用いて、支持点間距離320mmで保持した部材の長手中央部をR100mmの圧子で変形させて行った(図8参照)。変形速度は10m/sで最大ストローク70mmとして試験を実施した。
〔構成要件A〕
(a)鋼板あわせ面に原点0を有するX−Y平面において、ナゲット領域(溶融部)をベストフィットする半径aの円で外挿し、円内にあるナゲット領域の面積率を求めた。そして、面積率で80%以上を合格(○)とした。
(b)鋼板あわせ面に原点0を有するX−Y平面において、HAZ硬化領域をベストフィットする半径cの円で外挿し、ナゲット領域の外周域から半径cのリング状部位におけるHAZ硬化領域の面積率を求めた。面積率で80%以上を合格(○)とした。
(c)鋼板あわせ面に原点0を有するX−Y平面において、HAZ軟化領域をベストフィットする半径eの円で外挿し、HAZ硬化領域の外周域から半径eのリング状部位におけるHAZ軟化領域の面積率を求めた。面積率で80%以上を合格(○)とした。
〔構成要件B〕
原点0を通りX軸及びY軸に直交する鋼板の厚さt方向にZ軸を設定した時、
(d)X−Z平面及びY−Z平面において、ナゲット領域をベストフィットする原点0の長軸a及び短軸bからなる楕円で外挿し、楕円内にあるナゲット領域の面積率を求めた。面積率で80%以上を合格(○)とした。
(e)板厚tと長軸aが条件a≧√tを満足する場合を合格(○)とした。
(f)X−Z平面及びY−Z平面において、HAZ硬化領域をベストフィットする原点0を通る長軸c及び短軸dの楕円形状を描き、ナゲット領域の外周域から半径cのリング状部位におけるHAZ硬化領域の面積率を求めた。面積率で80%以上を合格(○)とした。
(g)X−Z軸平面及びY−Z軸において、HAZ軟化領域をベストフィットする原点0を通る長軸e及び短軸fの楕円形状を描き、HAZ硬化領域の外周域から半径eのリング状部位におけるHAZ軟化領域の面積率を求めた。面積率で80%以上を合格(○)とした。
〔構成要件C〕
HAZ硬化領域の幅c-aとHAZ軟化領域の幅e-cを求め、両幅が共に250μm以上である場合を合格(○)とした。
〔構成要件D〕
X−Z平面及びY−Z平面におけるZ=0の線上で0.2mmピッチ、荷重300gfでナゲット領域及びHAZ硬化領域の硬度分布を求めた。また、HAZ軟化領域及び母材については、Z=0.2mmのラインで同様に硬度分布を求めた。母材領域の硬度HvBMは測定範囲2mm範囲内での平均値とした。また、ナゲット領域の硬度HvNGは±aの範囲内での平均値とした。また、HAZ硬化領域の硬度HvHHはX=±(c-a)の範囲内の平均値とした。また、HAZ軟化領域の硬度HvHSはX=±(e-c)の範囲内の平均値とした。そして、HAZ軟化領域の硬度HvHS<母材領域の硬度HvNG<ナゲット領域の硬度HvNG<HAZ硬化領域の硬度HvHHである場合を合格(○)とした。
〔構成要件E〕
(h)X−Z平面及びY−Z平面において、原点0を重心とし、長辺2g及び短片2bからなる長方形とX=±g、Z=0、並びにY=±g、Z=0において長軸若しくは短軸の組み合わせがbとhの半楕円又は半径bの半円とからなる円筒形状で外挿し、円筒形状内にあるナゲット領域の面積率を求め、面積率で80%以上を合格(○)とした。
(i)上記(h)において、a=g+h又はa=g+bであり、且つ、aとtが条件a≧√tを満足する場合を合格(○)とした。
〔構成要件F〕
(j)X−Z平面及びY−Z平面において、原点0を重心とし、長辺2i及び短片2dからなる長方形とX=±i、Z=0、並びにY=±i、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがdとjの半楕円又は半径dの半円とからなる円筒形状でHAZ硬化領域を外挿し、ナゲット外周から円筒内におけるHAZ硬化領域の面積率を求め、面積率で80%以上を合格(○)とした。
(k)上記(j)において、c=i+j又はc=i+dである場合を合格(○)とした。
〔構成要件G〕
(l)X−Z平面とY−Z平面において、原点0を重心とし、長辺2k及び短片2fからなる長方形とX=±k、Z=0並びにY=±k、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがfとlの半楕円又は半径fの半円とからなる円筒形状でHAZ軟化領域を外挿し、HAZ硬化領域外周から円筒内におけるHAZ軟化領域の面積率を求め、面積率で80%以上を合格(○)とした。
(m)上記(l)において、e=k+l又はe=k+fである場合を合格(○)とした。
〔構成要件H〕
上記で求めたa〜fで、その大小関係がa<c<e、且つ、b<d<fで表される場合を合格(○)とした。
〔構成要件I〕
シートセパレーション終端部がHAZ軟化領域にある場合を合格(○)とした。
〔構成要件J〕
母材の硬度HvBMに対するナゲット領域の硬度HvNG、HAZ硬化領域の硬度HvHH、及びHAZ軟化領域の硬度HvHSの関係が、HvNG≧1.3HvBM、HvHH≧1.4HvBM、HvHS<0.85HvBMであり、且つ、HvBM≧275である場合を合格(○)とした。
〔構成要件K〕
(n)HAZ硬化領域の幅c-aが250μm以上であり、HAZ軟化領域の幅e-cが500μm以上である場合を合格(○)とした。
(o)HAZ硬化領域の硬度HvHHとHAZ軟化領域の硬度HvHSとの関係がHvHS≦0.6HvHHである場合を合格(○)とした。
〔構成要件L〕
X−Z平面及びY−Z平面において、Z軸の正側におけるナゲット領域の大きさbとZ軸の負側におけるナゲット領域の大きさb’、Z軸の正側におけるHAZ硬化領域の大きさdとZ軸の負側におけるHAZ硬化領域の大きさd’、Z軸の正側におけるHAZ軟化領域の大きさfとZ軸の負側におけるHAZ軟化領域の大きさf’を求め、b≠b’、d≠d’、f≠f’なる関係を検証した。
〔構成要件M〕
X−Z平面及びY−Z平面において、X軸及びY軸の正側におけるナゲット領域の大きさaとX軸及びY軸の負側におけるナゲット領域の大きさa’、X軸及びY軸の正側におけるHAZ硬化領域の大きさcとX軸及びY軸の負側におけるHAZ硬化領域の大きさc’、X軸及びY軸の正側におけるHAZ軟化領域の大きさeとX軸及びY軸の負側におけるHAZ軟化領域の大きさe’を求め、a≠a’、c≠c’、e≠e’なる関係を検証した。
FEAでは、図7Aに示す十字引張継手の1/4対称ソリッドモデルを用い、有限要素解析ソフトウェアABAQUS ver.6.9-2を利用して弾塑性解析を実施した。また、図7Bに示すように、き裂はコロナボンド上にあり、そのき裂先端はナゲット領域内で200μmの位置に存在するものとした。き裂先端でのモードI応力拡大係数KIは、き裂先端を囲むJ積分値の安定解から平面ひずみ条件を仮定して求めた。ナゲット領域はHAZ硬化領域で覆われ、HAZ硬化領域はHAZ軟化領域で覆われているものとした。
シートセパレーション終端部はHAZ硬化領域とHAZ軟化領域の境界に存在するものとし、シートセパレーション終端R部(半径100μmの半円)に集中する相当塑性ひずみ(要素50μm四方内での平均値)εpeeqを求めた。実験との相関より、はく離破断では、シートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみεpeeqが限界値(0.34)に達する前にモードI応力拡大係数KIが限界値(116MPa√m)に達すること、他方でプラグ破断では、モードI応力拡大係数KIが限界値(116MPa√m)に達する前に相当塑性ひずみεpeeqが限界値(0.34)に達することによるモードI応力拡大係数KIとシートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみεpeeqの競合モデルで破断様式を判定した。
CTSは、はく離破断及びプラグ破断共に、モードI応力拡大係数KIが限界値(116MPa√m)に到達した時の強度とした。ここで、プラグ破断はシートセパレーション終端R部の相当塑性ひずみεpeeqが限界値(0.34)に到達した時に延性き裂が発生することで判定されるが、CTS(破壊時の荷重)は判定できない。このため、簡易的にモードI応力拡大係数KIが限界値(116MPa√m)に到達した時の強度として求めた(実際のプラグ破断では少なくともこの荷重以上で生じるものと考えられる)。そして、解析にて破断形態及びCTSを予測した。実験及び解析結果を以下の表4A〜4Iに示す。
本発明により得られる効果の1次判定は、プラグ破断し、且つ、CTSが7kN以上であることを指標とした。本発明によるさらなる効果が得られる2次判定として、プラグ破断し、且つ、CTSが8kN以上であることを指標とした。1次判定を目標としてそれを満足する場合、2次判定を目標としてそれを満足する場合を本実施例とし、それ以外は比較例とした。また、溶接条件等が未知のスポット溶接部を入手し、破断形態とCTSの判定方法としての妥当性も検証した。また、曲げ圧壊試験でナゲットが未破断である場合を本発明例とし、分離破壊する場合を比較例とした。
比較例1〜14では、1次判定としてプラグ破断でCTSが7kNを目標に、構成要件A〜Mの全てが満足されることを目標としたが、そのうちの1つ又は複数の構成要件が満足せずにはく離破断した。具体的には、比較例1では、C含有量が0.05mass%未満でHAZ硬化領域が存在せず、板厚tが1.2mmに満たず、引張強度TSが780MPaを下回った。また、FEAではプラグ破断が予測されたが、CTSは7kNに満たず、実験ではプラグ破断したもののCTSが3.5kNと低かった。また、比較例2では、鋼板あわせ面におけるナゲット領域の形状がいびつであり、半径aの円で面積率が80%以上に満たなかった。また、FEAでは、はく離破断、CTS<7kNを予測した。実験では、はく離破断し、CTSが4.2kNと低かった。比較例3では、C含有量が0.05mass%未満のためでHAZ硬化領域が存在せず、FEAでは、はく離破断、CTS<7kNを予測した。実験では、はく離破断し、CTSが2.8kNと低かった。
比較例4では、HAZ軟化領域が存在しないため、シートセパレーション先端部がHAZ硬化領域内に存在していた。FEAでは、はく離破断でCTS<7kNを予測し、実験では、はく離破断し、CTSが2.4kNと低かった。比較例5では、ナゲット領域の形状がいびつで、X−Z平面及びY−Z平面において楕円又は円筒で近似できず、面積率が80%を下回った。FEAでは、はく離破断でCTS<7kNを予測し、実験では、はく離破断し、CTSが4.1kNと低かった。比較例6では、ナゲット領域の形状がいびつで、X−Z平面及びY−Z平面において楕円又は円筒で近似できず、面積率が80%を下回り、a≧√tを満足しなかった。FEAでは、はく離破断でCTS<7kNを予測し、実験では、はく離破断し、CTSが2.2kNと低かった。比較例7では、HAZ硬化領域の幅c-aが250μmに満たなかった。FEAでは、はく離破断でCTS<7kNを予測し、実験では、はく離破断し、CTSが3.2kNと低かった。
比較例8では、HAZ軟化領域の幅e-cが250μmに満たなかった。FEAでは、はく離破断でCTS<7kNを予測し、実験では、はく離破断し、CTSが2.2kNと低かった。比較例9では、HAZ硬化領域の硬度HvHHがナゲット領域の硬度HvNGよりも低かった。FEAでははく離破断でCTS<7kNを予測し、実験では、はく離破断し、CTSが3.9kNと低かった。比較例10では、ナゲット領域の形状がいびつで、X−Z平面及びY−Z平面において楕円又は円筒で近似できず、面積率が80%を下回った。FEAでは、はく離破断でCTS<7kNを予測し、実験では、はく離破断し、CTSが4.5kNと低かった。比較例11では、HAZ硬化領域の幅c-aが250μmに満たなかった。FEAでは、はく離破断でCTS<7kNを予測し、実験では、はく離破断し、CTSが5.2kNと低かった。
比較例12では、HAZ軟化領域が存在しないため、シートセパレーション先端部がHAZ硬化領域内に存在していた。FEAでは、はく離破断でCTS<7kNが予測され、実験では、はく離破断し、CTSが2.1kNと低値を示した。比較例13では、HAZ軟化領域の幅e-cが80μmで250μmに満たなかった。FEAでは、はく離破断でCTS<7kNを予測し、実験では、はく離破断し、CTSが3.9kNと低かった。比較例14では、HAZ軟化領域の硬度HvHSが母材の硬度HvBMを上回った。FEAでは、はく離破断でCTS<7kNを予測し、実験では、はく離破断し、CTSが1.1kNと低値であった。なお、比較例3,4,7,9は、溶接条件等が未知のスポット溶接部であり、スポット溶接部の形状や大きさ、硬度を測定してFEAを実施した。FEAではいずれもはく離破断を予測し、CTSは実験値とほぼ同等であり、本手法が十字引張継手の破壊形態とCTSの判定方法として妥当であることが確認された。
これに対して、本発明例1〜42では、プラグ破断でCTSが7kNを目標に、構成要件A〜Mの全ての構成要件を満足することを目標とし、FEAによる予測はいずれもプラグ破断でCTS≧7kNであり、実験結果とほぼ一致した。また、本発明例6,8,11,16は溶接条件等が未知のスポット溶接部であり、スポット溶接部の形状や大きさ、硬度を測定してFEAを実施した。FEAではいずれもプラグ破断を予測し、CTSは実験値とほぼ同等であり、本手法が十字引張継手の破壊形態とCTSの判定方法として妥当であることを実証した。一方、本発明例5,17,18,32〜34,37,41は上記に加え構成条件J,Kを同時に満たし、プラグ破断でさらに8kN以上を目指したものである。FEAにおいていずれもプラグ破断を予測し、CTS≧8kNが予測され、破断形態やCTSは実験結果とほぼ一致した。なお、本発明例32,34は溶接条件等が未知のスポット溶接部であり、スポット溶接部の形状や大きさ、硬度を測定してFEAを実施した。このとき、構成条件J,Kを同時に満たしたため、プラグ破断でCTS≧8kNが判定され、破壊形態とCTSの実験値ともほぼ合致した。
本発明例3,7では、X−Z平面及びY−Z平面において、Z軸の正側におけるナゲット領域の大きさb及びZ軸の負側におけるナゲット領域の大きさb’、Z軸の正側におけるHAZ硬化領域の大きさd及びZ軸の負側におけるHAZ硬化領域の大きさd’、及びZ軸の正側におけるHAZ軟化領域の大きさf及びZ軸の負側におけるHAZ軟化領域の大きさf’を求めた結果、b≠b’、d≠d’、f≠f’なる関係が少なくとも一つ以上成立し、スポット溶接部の形状は上下非対称であった。また、本発明例13,15では、X−Z軸平面及びY−Z軸平面共に、X軸及びY軸の正側におけるナゲット領域の大きさa及びX軸及びY軸の負側におけるナゲット領域の大きさa’、X軸及びY軸の正側におけるHAZ硬化領域の大きさc及びX軸及びY軸の負側におけるHAZ硬化領域の大きさc’、及びX軸及びY軸の正側におけるHAZ軟化領域の大きさf及びX軸及びY軸の負側におけるHAZ軟化領域の大きさe’を求めた結果、a≠a’、c≠c’、e≠e’なる関係が少なくとも一つ以上成立し、スポット溶接部の形状は左右非対称であった。また、本発明例20,24,28では、b≠b’、d≠d’、f≠f’なる関係が少なくとも一つ以上成立し、且つ、a≠a’、c≠c’、e≠e’なる関係が少なくとも一つ以上成立し、スポット溶接部の形状は上下、且つ、左右に非対称であった。これらは全てFEAによりプラグ破断でCTS≧7kNが予測され、実験値との一致が見られ、上下非対称や左右非対称の悪影響は見られなかった。また、スポット溶接部材の曲げ圧壊試験では、比較例1〜14で全て分離破壊したのに対し、本発明例1〜42は全て未破断であり、スポット溶接部材としての破壊性能が向上した。

Claims (8)

  1. 炭素の含有量が0.05mass%以上0.5mass%以下、引張強度TSが780MPa以上、板厚tが1.2mm以上である2枚以上の鋼板をスポット溶接することによって形成されたスポット溶接部材であって、
    鋼板あわせ面に原点を有するX−Y平面において、前記スポット溶接部のナゲット領域が半径aの円内に80%以上の面積率で存在し、且つ、溶接熱影響硬化領域がナゲット領域の外周から半径cの円内に80%以上の面積率で存在し、且つ、溶接熱影響軟化領域が溶接熱影響硬化領域の外周から半径eの円内に80%以上の面積率で存在し、
    原点を通りX軸及びY軸と直交する鋼板の厚さ方向にZ軸を設定した時、X−Z平面及びY−Z平面において、前記ナゲット領域が、原点を通る長軸a及び短軸bからなる楕円形状内に80%以上の面積率で存在し、且つ、長軸a及び板厚tが条件a≧√tを満足し、X−Z平面及びY−Z平面における前記ナゲット領域の外周域において、前記溶接熱影響硬化領域が、原点を通る長軸c及び短軸dの楕円形状の外挿線内に80%以上の面積率で存在し、X−Z平面及びY−Z平面における前記溶接熱影響硬化領域の外周域において、前記溶接熱影響軟化領域が、原点を通る長軸e及び短軸fの楕円形状の外挿線内に80%以上の面積率で存在し、
    前記a,b,c,d,e,fの値が条件a<c<e及び条件b<d<fを満足し、
    前記溶接熱影響硬化領域の幅c-a及び前記溶接熱影響軟化領域の幅e-cが共に250μm以上であり、
    前記溶接熱影響軟化領域の硬度が鋼板の母材領域の硬度より小さく、鋼板の母材領域の硬度がナゲット領域の硬度より小さく、ナゲット領域の硬度が溶接熱影響硬化領域の硬度より小さく、
    母材の硬度HvBMに対するナゲット領域の硬度HvNG、前記溶接熱影響硬化領域の硬度HvHH、及び前記溶接熱影響軟化領域の硬度HvHSの関係が、HvNG≧1.3HvBM、HvHH≧1.4HvBM、HvHS<0.85HvBMであり、且つ、HVBM≧275である
    ことを特徴とするスポット溶接部材。
  2. 前記X−Z平面及び前記Y−Z平面において、前記ナゲット領域が、原点を重心とし、長辺2g及び短片2bからなる長方形とX=±g、Z=0並びにY=±g、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがbとhの半楕円又は半径bの半円からなる円筒形状内に80%以上の面積率で存在し、a=g+h又はa=g+bであり、且つ、aとtが条件a≧√tを満足することを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接部材。
  3. X−Z平面及びY−Z平面における前記ナゲット領域の外周域において、前記溶接熱影響硬化領域が、原点0を重心とし、長辺2i及び短片2dからなる長方形とX=±i、Z=0並びにY=±i、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがdとjの半楕円又は半径dの半円からなる円筒形状の外挿線内に80%以上の面積率で存在し、c=i+j又はc=i+dであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスポット溶接部材。
  4. X−Z平面及びY−Z平面における前記溶接熱影響硬化領域の外周域において、前記溶接熱影響軟化領域が、原点0を重心とし、長辺2k及び短片2fからなる長方形とX=±k、Z=0並びにY=±k、Z=0で長軸若しくは短軸の組み合わせがfとlの半楕円又は半径fの半円からなる円筒形状の外挿線内に80%以上の面積率で存在し、e=k+l又はe=k+fであることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載のスポット溶接部材。
  5. シートセパレーション終端部が前記溶接熱影響軟化領域にあることを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載のスポット溶接部材。
  6. 前記溶接熱影響硬化領域の幅c-aが250μm以上であり、前記溶接熱影響軟化領域の幅e-cが500μm以上であり、前記溶接熱影響硬化領域の硬度HvHHと前記溶接熱影響軟化領域の硬度HvHSが条件HvHS≦0.6HvHHを満足することを特徴とする請求項1〜のうち、いずれか1項に記載のスポット溶接部材。
  7. 前記Z軸の正側におけるナゲット領域の大きさbと前記Z軸の負側におけるナゲット領域の大きさb’、前記Z軸の正側における前記溶接熱影響硬化領域の大きさdと前記Z軸の負側における前記溶接熱影響硬化領域の大きさd’、前記Z軸の正側における前記溶接熱影響軟化領域の大きさfと前記Z軸の負側における前記溶接熱影響軟化領域の大きさf’のうちの少なくとも1つが異なることを特徴とする請求項1〜のうち、いずれか1項に記載のスポット溶接部材。
  8. 前記X軸及び前記Y軸の正側におけるナゲット領域の大きさaと前記X軸及び前記Y軸の負側におけるナゲット領域の大きさa’、前記X軸及び前記Y軸の正側における前記溶接熱影響硬化領域の大きさcと前記X軸及び前記Y軸の負側における前記溶接熱影響硬化領域の大きさc’、前記X軸及び前記Y軸の正側における前記溶接熱影響軟化領域の大きさeと前記X軸及び前記Y軸の負側における前記溶接熱影響軟化領域の大きさe’のうちの少なくとも1つが異なることを特徴とする請求項1〜6のうち、いずれか1項に記載のスポット溶接部材。
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