JP2018128299A - 十字引張継手の破断様式判定方法、及び、十字引張継手用薄鋼板 - Google Patents

十字引張継手の破断様式判定方法、及び、十字引張継手用薄鋼板 Download PDF

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照輝 貞末
聡 伊木
Satoshi Iki
聡 伊木
公一 谷口
Koichi Taniguchi
公一 谷口
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Tomomasa Ikeda
倫正 池田
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Abstract

【課題】炭素量や炭素当量の異なる薄鋼板をスポット溶接にて作製した十字引張継手において、試験を行うことなく、破断様式を判定することができる十字引張継手の破断様式判定方法、及び、十字引張継手用薄鋼板を提供すること。【解決手段】はく離破断とプラグ破断とが、応力拡大係数とピーク相当塑性ひずみとで競合する解析モデルを用いる十字引張継手の破断様式判定方法であって、薄鋼板の炭素量Cが0.10〜0.40[%]、炭素当量CeqWが0.30〜0.60[%]、P≦0.020[%]、及び、S≦0.010[%]であり、十字引張継手における、炭素当量CeqW、き裂長さa、板厚t、及び、ナゲット径NDの関係が、所定の条件式を満足することにより、十字引張継手におけるスポット溶接部の破断様式が、はく離破断になるかプラグ破断になるかを判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、十字引張継手の破断様式判定方法、及び、十字引張継手用薄鋼板に関する。
近年の自動車産業では、車体重量の軽量化による燃費向上及び衝突時の乗員の安全性確保を両立した車体の技術開発が推進され、車体に用いられる薄鋼板の高強度化及び薄肉化がキーテクノロジーとなっている。しかしながら、車体組み立て時の主要な溶接方法であるスポット溶接を薄鋼板に適用した場合、化学成分、鋼板強度、継手形式、及び負荷様式によっては静的継手強度が低下することがある。特に、静的継手強度の低下は、非特許文献1に記載されているように十字引張継手の破断様式がはく離破断である場合に顕著になるとされている。
このため、十字引張継手のはく離破断を予測し、そのような負荷様式となる車体のスポット溶接継手部の低強度破壊を防止する技術が必要とされている。このような背景から、非特許文献2には、十字引張継手の破断様式を予測する技術が提案されている。また、非特許文献3には、応力拡大係数と相当塑性ひずみとによる解析モデルが開示されている。また、特許文献1〜6には、継手強度を向上させるスポット溶接技術が提案されている。さらに、特許文献7〜11には、十字引張強さ(Cross Tension Strength:CTS)や破断様式を予測する技術が提案されている。
特許第5151615号公報 特許第5299257号公報 特許第5333560号公報 特許第5418726号公報 特許第5429326号公報 特許第5429327号公報 特許第4150383号公報 特許第4700559号公報 特開2013−22637号公報 特開2014−25892号公報 特許第4418287号公報
田中甚吉ら、日本鋼管技報、No.105、P.72(1984) 及川初彦ら、新日鉄技報、No.385、P.36(2006) 貞末照輝ら、溶接学会論文集、第32巻、第2号、P.64(2014)
非特許文献2では、十字引張強さではく離破断を抑制するために、下記(8)式〜下記(11)式に示すような、種々の炭素当量Ceqが提案されており、その式の範囲内では、十字引張継手の破断様式はプラグ破断を示し、十字引張強さが低下しないとされている。
しかしながら、上記(8)式〜上記(11)式は、引張強さで590[MPa]以下の軟鋼を含む複数試験からの経験式であり、引張強さが590[MPa]を超える高張力鋼板の十字引張継手の破壊様式を必ずしも判定しない。
一方、非特許文献2では、十字引張試験においてプラグ破断を示す場合、下記(12)式〜下記(14)式が提案されている。
ここで、各式中、Fは定数、NDはナゲット径、tは板厚、TSNはナゲットの引張強さ、Elは鋼板の伸びである。
しかしながら、上記(12)式〜上記(14)式は、はく離破断を示す場合の判定は明らかでなく、試験前にはく離破断するかプラグ破断するかの判定ができないなどの問題点があった。また、上記(12)式〜上記(14)式には、鋼板の化学成分の項が存在しないため、鋼板の化学成分(特に炭素量や炭素当量)が変われば破壊様式も変化することを予測できていない。
非特許文献3には、き裂先端とシートセパレーション終端近傍とに細かいメッシュ配列を設け、さらには、シートセパレーション終端が半円でコロナボンドが裂け、き裂先端がナゲット内にある場合、もしくは、シートセパレーション終端が3つの楕円の組み合わせと微小き裂とからなる場合の応力拡大係数と相当塑性ひずみとによる解析モデルが開示されている。しかしながら、この解析モデルは、同一炭素量のみの検討であり、炭素量や炭素当量が幅広く変化する場合には適応できない。
特許文献1には、溶接通電に引き続き、後加熱条件(電流や時間)を適正範囲とすることによって、十字引張強さを向上させるスポット溶接技術が開示されている。
特許文献2には、加圧力や保持時間を制御して適正範囲とすることにより、溶接強度を高めるスポット溶接方法が開示されている。
特許文献3には、所望のナゲット径を形成させる第一通電の後、鋼板を再溶融させることなく後熱通電する、高強度継手を得るためのスポット溶接方法が開示されている。
特許文献4には、溶接時の加圧力や第一通電や第二通電を適正範囲とすることにより、高強度な継手を得るためのスポット溶接方法が開示されている。
特許文献5及び6には、溶接通電直後に冷却時間を設け適正範囲で後熱通電することにより、十字引張強度を向上させるスポット溶接方法が開示されている。
特許文献1〜6に開示された技術は、いずれも継手強度を向上させるスポット溶接技術である。しかしながら、車体設計等行う場合には、試験を行うことなく、継手の破断形態を予測することができれば非常に有用であるが、これら技術では、そのような予測が得られず、最終的には継手試験を行って破断形態や値を求めなければならないなどの問題点があった。
特許文献7及び8には、スポット溶接継手の十字引張試験やせん断引張試験をもとに、有限要素解析により、部材の衝突時のスポット溶接部の破断予測を行う技術が開示されている。これは、種々のパラメータを経験式に基づきフィッティングする技術であるが、ナゲットがはく離破断するかプラグ破断するかは明らかではなく、また、少なくとも十字引張試験が必要であることから、試験を行うことなく破壊様式を予測することはできないなどの問題点があった。
特許文献9には、種々の通電条件によりスポット溶接し、ナゲット径と熱影響部の軟化量と十字引張強さとを測定し、それらを入力することによって、十字引張強さと軟化度合いと板厚とナゲット径との関係を予め求めておき、ついで、溶接した継手の軟化度合いと板厚とナゲット径とから予め求めた式により、十字引張強さを求める方法が開示されている。しかしながら、この方法では、はく離破断やプラグ破断を判定することができないことや、予測式中に鋼板の化学成分(特に炭素量や炭素当量)や鋼板の強度の情報がなく、鋼板が変わる毎に予測式を求めるには、膨大な試験数が必要であることなどの問題点があった。
特許文献10には、解析により、応力テンソルや破断応力などを求めて破断リスクを算出することにより、接合部の破断を判定する判定装置や判定方法などが開示されている。しかしながら、この判定装置を作成するには膨大な費用と時間がかかることや、解析精度によっては計算時間が膨大なことや、破壊形態を予測できないことなどの問題点があった。
特許文献11には、十字引張試験における材料強度、板厚、ナゲット径、継手の板幅、破断時の最大荷重、及び、継手の回転角などを測定してデータベースを作成し、そのデータベースを用いてスポット溶接の破断強度を増大させる最適化法が開示されている。しかしながら、この最適法では、鋼板の化学成分(特に炭素量や炭素当量)や鋼板の強度が変わる毎に、膨大な試験によりデータベースを作成しなければならないことや、はく離破断/プラグ破断の破壊形態を予測できないことなどの問題点があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、炭素量や炭素当量の異なる薄鋼板をスポット溶接にて作製した十字引張継手において、試験を行うことなく、破断様式を判定することができる十字引張継手の破断様式判定方法、及び、十字引張継手用薄鋼板を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る十字引張継手の破断様式判定方法は、鋼板表面の打刻痕で打刻円もしくは打刻楕円で中心0’を通るX’軸と、前記X’軸に直角なY’軸を規定し、前記中心0’を通る板厚方向の線をZ軸とし、ナゲット断面でナゲット厚さ方向に二等分する前記Z軸に直角な線をX軸とし、前記X軸と前記Z軸との交点0を結ぶ前記X軸に直角な方向にY軸を定め、X−Zナゲット断面に打刻痕を設け、ナゲット外殻のメッシュを半楕円、もしくは、矩形と半円/半楕円との組み合わせとし、前記ナゲット外殻のメッシュが、半楕円の場合には、HAZ領域を前記打刻痕まで前記交点0を中心とした前記X軸及び前記Z軸において等間隔で前記半楕円を拡げ、他方、前記ナゲット外殻のメッシュが、矩形と半円/半楕円との場合には、HAZ領域を打刻痕まで前記矩形と前記半円/半楕円とでX軸及びZ軸において等間隔で拡げ、前記HAZ領域が前記打刻痕に接してからは、前記交点0を中心とする半楕円によって、前記HAZ領域及び母材領域を前記X軸及び前記Z軸において等間隔で拡げ、X−Zナゲット断面において、コロナボンドがはく離したき裂を設け、き裂先端を中心とした0.4[mm]×0.4[mm]以上の領域に、25[μm]×25[μm]以下のメッシュ配列の領域Aを設け、他方で、シートセパレーション終端形状は半円とし、シートセパレーション終端を中心とした0.4[mm]×0.4[mm]以上の領域に、50[μm]×50[μm]以下のメッシュ配列の領域Bを設け、解析モデルがZ軸周りの90[°]回転体であり、ナゲット領域及びHAZ領域において、硬度分布に応じて応力−ひずみ曲線を入力して弾塑性有限要素解析を実施して、前記領域Aで、前記き裂先端を囲む積分経路から算出したJ積分値の安定解より、平面ひずみ状態を仮定して応力拡大係数Kを求め、判定基準として、前記応力拡大係数Kが、下記(3)式で示されるシートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみPeeqの限界値に達する前に、鋼板の炭素量C[%]に応じて下記(1)式で算出される値を上回る場合には、はく離破断すると予測され、他方で、シートセパレーション終端領域の半円近傍部に集中する50[μm]×50[μm]のピーク相当塑性ひずみPeeqが、下記(1)式で計算される前記応力拡大係数Kの限界値に達する前に、下記(2)式の炭素当量Ceq W[%]に応じて、下記(3)式で計算される条件を満たす場合には、延性き裂が発生してプラグ破断することを予測される、はく離破断とプラグ破断とが、前記応力拡大係数Kと前記ピーク相当塑性ひずみPeeqとで競合する前記解析モデルを用いる、十字引張継手の破断様式判定方法であって、下記(1)式における炭素量Cの範囲を0.10〜0.40[%]とし、下記(3)式における炭素当量Ceq Wの範囲を0.30〜0.60[%]とし、下記(1)式及び下記(3)式は、P≦0.020[%]、及び、S≦0.010[%]の鋼に適用できるものであり、前記判定基準に加えて、き裂長さをa[μm]、板厚をt[mm]、及び、ナゲット径をND[mm]としたとき、下記(4)式を満足する場合には、前記十字引張継手におけるスポット溶接部の破断様式がはく離破断になると判定し、下記(5)式を満足する場合には、前記十字引張継手におけるスポット溶接部の破断様式がプラグ破断になると判定するステップを含むことを特徴とするものである。
ここで、Ln(C)は薄鋼板の炭素量C[%]の自然対数であり、eは自然対数の底である。
ここで、Peeq<0の場合にはPeeq=0.01とする。
また、本発明に係る十字引張継手用薄鋼板は、炭素量Cが0.10〜0.40[%]、炭素当量Ceq Wが0.30〜0.60[%]、P≦0.020[%]、及び、S≦0.010[%]であり、十字引張継手における、炭素当量Ceq W[%]、き裂長さa[μm]、板厚t[mm]、及び、ナゲット径ND[mm]の関係が、下記(5)式を満足することを特徴とするものである。
なお、本発明において各成分の含有量%は質量%である。
本発明に係る十字引張継手の破断様式判定方法、及び、十字引張継手用薄鋼板は、炭素量や炭素当量の異なる薄鋼板をスポット溶接にて作製した十字引張継手において、試験を行うことなく、破断様式を判定することができるという効果を奏する。
図1(a)は、薄鋼板表面の打刻痕における座標軸の定義についての説明図である。図1(b)は、ナゲット断面における座標軸の定義についての説明図である。 図2(a)は、十字引張継手の1/4対称ソリッドモデルの外観を示す図である。図2(b)は、ナゲット領域近傍における、十字引張継手の1/4対称ソリッドモデルを示す図である。図2(c)は、HAZ領域近傍における、十字引張継手の1/4対称ソリッドモデルを示す図である。 図3は、炭素量Cが0.133[%]、炭素当量Ceq Wが0.582[%]、板厚tが1.6[mm]であって、引張強さが980[MPa]級の薄鋼板を用いてスポット溶接を行い作製した、十字引張継手(ナゲット径3√t)に対して、荷重を負荷した場合における、き裂発生及び進展状況を示す図である。 図4は、はく離破断した解析例における、シートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみと、き裂先端の応力拡大係数との関係を示すグラフである。 図5は、プラグ破断した解析例における、シートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみと、き裂先端の応力拡大係数との関係を示すグラフである。 図6は、はく離破断を示した場合における、炭素量Cとき裂先端の応力拡大係数Kとの関係を実験/解析値及び予測値について示したグラフである。 図7は、プラグ破断を示した場合における、炭素当量Ceq Wとシートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみPeeqとの関係を実験/解析値及び予測値について示したグラフである。
以下に、本発明に係る十字引張継手におけるスポット溶接部の破断様式判定方法(以下、単に破断様式判定方法と言う。)、及び、十字引張継手用薄鋼板の一実施形態について説明する。なお、本実施形態により、本発明が限定されるものではない。
本発明に係る破断様式判定方法は、炭素量Cや炭素当量Ceq Wの異なる薄鋼板をスポット溶接にて作製した十字引張継手において、試験を行うことなく、はく離破断(脆性破壊)あるいはプラグ破断(延性破壊)を判定する方法である。より詳細には、任意の炭素量C、炭素当量Ceq W、板厚t、ナゲット径ND、ナゲット形状、シートセパレーション形状、き裂長さa、母材強度(降伏応力、引張応力、一様伸び)、硬度分布を想定すれば解析により試験を行うことなく、十字引張継手のはく離破断かプラグ破断かを判定することができる。
まず、実施形態に係る破断様式判定方法の手順について説明する。図1(a)は、薄鋼板表面の打刻痕における座標軸の定義についての説明図である。図1(b)は、ナゲット断面における座標軸の定義についての説明図である。図2(a)は、十字引張継手の1/4対称ソリッドモデルの外観を示す図である。図2(b)は、ナゲット領域近傍における、十字引張継手の1/4対称ソリッドモデルを示す図である。図2(c)は、HAZ領域近傍における、十字引張継手の1/4対称ソリッドモデルを示す図である。
まず、ナゲットをモデル化する際の座標軸を構築するための手法について説明する。図1(a)に示すように、鋼板表面の打刻痕で打刻円もしくは打刻楕円で中心0’を通るX’軸と、そのX’軸に直角なY’軸を規定し、中心0’を通る板厚方向の線をZ軸とする。そして、図1(b)に示すように、ナゲット断面でナゲット厚さ方向に二等分するZ軸に直角な線をX軸とし、X軸とZ軸との交点0を結ぶX軸に直角な方向にY軸を定める。すなわち、ナゲット中心を求めるために、鋼板表面の打刻痕で打刻円もしくは打刻楕円で中心0’を求める。その際の座標は、X’軸とY’軸とする。そして、中心0’を通る板厚方向の線をZ軸と定める。また、ナゲット断面でナゲット厚さ方向に二等分するZ軸に直角な線をX軸とし、X軸とZ軸との交点を交点0として交点0を結ぶX軸に直角な方向にY軸を定める。
次に、X−Zナゲット断面に打刻痕を設け、ナゲット外殻のメッシュを半楕円、もしくは、矩形と半円/半楕円との組み合わせとする。すなわち、図2(b)に示すように、X−Z断面にナゲットと打刻痕とをモデル化する。ナゲット外殻のメッシュは半楕円もしくは矩形と半円/半楕円の組み合わせとし、この領域内に80[%]の面積分率でナゲットが含まれていればよい。
次に、ナゲット外殻のメッシュが、半楕円の場合には、HAZ(熱影響部)領域を打刻痕まで交点0を中心としたX軸及びZ軸において等間隔で半楕円を拡げる。すなわち、ナゲット外殻が半楕円の場合には、打刻痕に接するまで楕円メッシュをX軸及びZ軸において等間隔で半楕円を拡げることによって、HAZ領域を再現する。
一方、ナゲット外殻のメッシュが、矩形と半円/半楕円との場合には、HAZ領域を打刻痕まで矩形と半円/半楕円とでX軸及びZ軸において等間隔で拡げる。すなわち、図2(b)に示すように、ナゲット外殻が矩形と半円/半楕円とで近似される場合には、HAZ領域を打刻痕に接するまで矩形と半円/半楕円とをX軸及びZ軸で等間隔に拡げることによって、HAZ領域を再現する。
そして、HAZ領域が打刻痕に接してからは、交点0を中心とする半楕円によって、HAZ領域及び母材領域をX軸及びZ軸において等間隔で拡げる。すなわち、ナゲット外殻が、半楕円で近似される場合と、矩形と半円/半楕円とで近似される場合ともに、図2(b)に示すように、交点0を中心とする半楕円によって、HAZ領域及び母材領域をX軸及びZ軸において等間隔で拡げて再現する。
次に、X−Zナゲット断面において、コロナボンドがはく離したき裂を設け、き裂先端を中心とした0.4[mm]×0.4[mm]以上の領域に、25[μm]×25[μm]以下のメッシュ配列の領域Aを設ける。すなわち、X−Zナゲット断面において、コロナボンドがはく離したき裂を設ける。このき裂の長さは、途中止め試験を行い、十字引張強さ(CTS)の50[%]の負荷を与えて除荷したときのナゲット断面の観察結果から設定する。図1(b)に示すように、き裂先端を中心とした0.4[mm]×0.4[mm]以上の領域に、25[μm]×25[μm]以下のメッシュ配列の領域Aを設けることによって、き裂先端を囲む積分経路からJ積分を行い、安定解を得ることができる。
次に、シートセパレーション終端形状は半円とし、シートセパレーション終端を中心とした0.4[mm]×0.4[mm]以上の領域に50[μm]×50[μm]以下のメッシュ配列の領域Bを設ける。すなわち、シートセパレーション終端形状は半円であると仮定する。プラグ破断する場合には、シートセパレーション終端領域において、ピーク相当塑性ひずみが集中しプラグ破断化が促進される。そのため、これを捉えるために、図1(b)に示すように、シートセパレーション終端形状は半円とし、シートセパレーション終端を中心とした0.4[mm]×0.4[mm]以上の領域に、50[μm]×50[μm]以下のメッシュ配列の領域Bを設ける。
ここで、解析モデルは、Z軸周りの90[°]回転体である。すなわち、図2(b)や図2(c)に示すように、解析モデルとしては、十字引張継手の1/4対称ソリッドモデルを作成するものであって、X−Z断面はY−Z断面に等しい。
次に、ナゲット領域及びHAZ領域において、硬度分布に応じて応力−ひずみ曲線を入力して弾塑性有限要素解析を実施する。すなわち、ナゲット及びHAZの降伏応力及び引張応力は、ナゲット硬度/母材硬度、あるいは、HAZ硬度/母材硬度を、母材の降伏応力及び引張応力に乗じた値とし、ナゲットあるいはHAZの一様伸びは、母材硬度をナゲット硬度/母材硬度、あるいは、HAZ硬度/母材硬度で除した値として、ナゲット及びHAZの応力−ひずみ曲線とし、降伏応力以降の塑性域以降は、下記(6)式で示すSwiftの式で外挿する。また、作成した応力−ひずみ曲線をナゲット領域に設定し、HAZ領域は作成した数パターンの応力−ひずみ曲線を硬度分布に応じて入力する。これにより、弾塑性有限要素解析が実施できるようになる。
ここで、上記(6)式中、σは真応力、σYは降伏応力、εpは真塑性ひずみ、Aは材料定数、Nは硬化係数である。
次に、領域Aで、き裂先端を囲む積分経路から算出したJ積分値の安定解より、平面ひずみ状態を仮定して応力拡大係数Kを求める。すなわち、領域Aで、き裂先端を囲む積分経路から算出したJ積分値の安定解より、下記(7)式により平面ひずみ状態を仮定して応力拡大係数Kを求める。
ここで、上記(7)式中、JはJ積分値、Eはヤング率、νはポアソン比である。
次に、破壊様式の判断基準として、応力拡大係数Kが、下記(3)式で示されるシートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみPeeqの限界値に達する前に、薄鋼板の炭素量C[%]に応じて下記(1)式で算出される値を上回る場合には、はく離破断すると予測する。すなわち、下記(2)式の炭素当量Ceq Wにより、下記(3)式によって算出されるシートセパレーション終端領域の限界相当塑性ひずみ(ピーク相当塑性ひずみPeeqの限界値)に達する前に、鋼板の炭素量C[%]に応じて下記(1)式によって算出される限界応力拡大係数Kに達する解析結果が得られた場合には、はく離破断すると予測する。なお、炭素量Cや炭素当量Ceq Wが異なる板組の場合には、炭素量Cや炭素当量Ceq Wの高いほうを選択して、下記(1)式及び下記(3)式にて、限界応力拡大係数及び限界相当塑性ひずみを求めるものとする。
ここで、Ln(C)は薄鋼板の炭素量C[%]の自然対数であり、eは自然対数の底である。
ここで、Peeq<0の場合にはPeeq=0.01とする。
他方で、上記判断基準として、シートセパレーション終端領域の半円近傍部に集中する50[μm]×50[μm]のピーク相当塑性ひずみPeeqが、上記(1)式で計算される応力拡大係数Kの限界値に達する前に、上記(2)式の炭素当量Ceq W[%]に応じて、上記(3)式で計算される条件を満たす場合には、延性き裂が発生してプラグ破断することを予測する。すなわち、図4に示すように、解析により、上記(1)式で計算される限界応力拡大係数(応力拡大係数Kの限界値)に到達する前に、シートセパレーション終端領域の半円近傍部に集中する50[μm]×50[μm]のピーク相当塑性ひずみPeeqが、上記(2)式の炭素当量Ceq W[%]に応じて、上記(3)式で計算される条件を満たす場合には、延性き裂が発生してプラグ破断すると予測する。
このように、十字引張継手の解析方法においては、はく離破断とプラグ破断とが、応力拡大係数Kとピーク相当塑性ひずみPeeqとで競合する解析モデルを用いている。すなわち、図4及び図5に示すように、解析解が限界応力拡大係数と限界相当塑性ひずみとのどちらかに先に到達することにより、はく離破断とプラグ破断とを競合して予測する十字引張継手の解析モデルを用いている。
なお、応力拡大係数Kを判定する判定式である上記(1)式において、炭素量Cの範囲は0.10〜0.40[%]とし、ピーク相当塑性ひずみPeeqを判定する判定式である上記(3)式において、炭素当量Ceq Wの範囲は0.30〜0.60[%]とする。そして、上記(1)式及び上記(3)式は、P≦0.020[%]、S≦0.010[%]の鋼板に適用できるものとする。すなわち応力拡大係数Kを判定する炭素量Cは0.10〜0.40[%]とする。また、ピーク相当塑性ひずみPeeqを判定する炭素当量Ceq Wは0.30〜0.60[%]とする。P≦0.020[%]、及び、S≦0.010[%]は、ナゲットが脆化して、はく離破断が促進されることにより、その上限を定める。
次に、上記判定基準に加えて、炭素当量Ceq W[%]、き裂長さa[μm]、板厚t[mm]、及び、ナゲット径ND[mm]が、下記(4)式を満足する場合には、破断様式がはく離破断であると判定し、下記(5)式を満足する場合には、破断様式がプラグ破断であると判定するものとする。すなわち、実施形態に係る破断様式判定方法では、解析解に加えて、簡易に破断形態を予測する簡易指針として、「Ceq W×a×t2/ND」を定めた。そして、解析解に加えて、下記(4)式の関係を満足する場合には、十字引張継手の破断様式がはく離破断であると判定する。一方、解析解に加えて、下記(5)式の関係を満足する場合には、十字引張継手の破断様式がプラグ破断であると判定する。なお、炭素当量Ceq Wや板厚tが異なる板組の場合には、炭素当量Ceq Wの高いほうや、板厚tが厚いほうを選択して、下記(4)式及び下記(5)式により算出するものとする。
また、上述した簡易指針である「Ceq W×a×t2/ND」を利用して、プラグ破断を示す十字引張継手特性に優れた薄鋼板を提供することができる。すなわち、実施形態に係る破断様式判定方法における薄鋼板の規定成分範囲(炭素量Cが0.10〜0.40[%]、炭素当量Ceq Wが0.30〜0.60[%]、P≦0.020[%]、及び、S≦0.010[%])を満足した上で、後述する実施例に示すように、上記(5)式を満たす薄鋼板であれば、プラグ破断することが予想される。なお、炭素当量Ceq Wや板厚tが異なる板組の場合には、炭素当量Ceq Wの高いほうや、板厚tが厚いほうを選択して、上記(5)式により算出するものとする。
以下、本願発明者らが行った、上述した破断様式判定方法の妥当性の検討結果について説明する。
まず、この破断様式判定方法を用いるにあたって、本願発明者らは、炭素量Cが0.133[%]、炭素当量Ceq Wが0.582[%]であって、板厚tが1.6[mm]の引張強さ980[MPa]級の薄鋼板を用いて、ナゲット径3√tのスポット溶接による十字引張継手を作製した。十字引張継手のシートセパレーション終端は、半径0.1[mm]の半円形で近似された。ナゲット径3√tの十字引張継手で途中止め試験を実施したところ、図3に示すように、負荷のごく初期にコロナボンドがはく離したき裂で、き裂先端はナゲット内にあり、その後、荷重を加えても、き裂長さaが不変でき裂が開口し、き裂がトリガーとなって、十字引張強さ近傍でナゲット内へ進展して破断した。ここで、はく離破断は「断面ナゲット径×0.9>プラグの最短径」とし、プラグ破断は「断面ナゲット径×0.9≦プラグの最短径」で定義した。
図3より、ナゲット径3√tで、はく離破断した例を参照し、解析モデルとして、き裂長さaを1235[μm]とした、十字引張継手の1/4対称ソリッドモデルを作成した。この解析モデルは、ナゲット外殻を楕円形近似して、コロナボンドがはく離したき裂長さ1235[μm]を有するものとし、シートセパレーション終端形状は半径0.1[mm]の半円状とした。
図2に示すように、き裂先端を中心とした0.4[mm]×0.4[mm]以上の領域に、25[μm]×25[μm]以下のメッシュ配列の領域Aを設け、他方でシートセパレーション終端形状は半円とし、シートセパレーション終端を中心とした0.4[mm]×0.4[mm]以上の領域に、50[μm]×50[μm]以下のメッシュ配列の領域Bを設けた。
ナゲット及びHAZの降伏応力及び引張応力は、ナゲット硬度/母材硬度、あるいは、HAZ硬度/母材硬度を、母材の降伏応力及び引張応力に乗じた値とし、ナゲット及びHAZ領域の一様伸びは、母材硬度を、ナゲット硬度/母材硬度、あるいは、HAZ硬度/母材硬度で除した値として、ナゲット及びHAZの応力−ひずみ曲線とし、降伏応力以降の塑性域以降は、上記(6)式で示すSwiftの式で外挿した。
ナゲット領域は作成したナゲットの応力−ひずみ曲線を入力し、HAZの応力−ひずみ曲線は8パターン作成し、硬度分布に応じてHAZ領域に入力した。そして、有限要素解析ソフトウェア「ABAQUS Ver.6−12−1」にて弾塑性解析を実施し、き裂周りの積分経路のJ積分値の安定解より、平面ひずみ状態を仮定して上記(7)式にて応力拡大係数Kに変換した。
また、シートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみPeeqが集中する50[μm]×50[μm]の平均値を求めた。
図4は、はく離破断した例における、シートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみと、き裂先端の応力拡大係数Kとの関係を示すグラフである。なお、この解析例における十字引張継手は、炭素量Cが0.133[%]、炭素当量Ceq Wが0.582[%]、き裂長さaが1235[μm]、板厚tが1.6[mm]、及び、ナゲット径NDが3√t[mm]である。また、図4中の限界応力拡大係数は、上記(1)式により求めた値であって112[MPa√m]であり、実験では、この応力拡大係数Kではく離破断した。
また、上記(3)式から求められる横軸の限界相当塑性ひずみは0.34であり、この限界相当塑性ひずみに到達する前に限界応力拡大係数に達していることから、はく離破断が生ずることを予測しており、実験の現象と合致した。また、このとき、炭素当量Ceq W[%]、き裂長さa[μm]、板厚t[mm]、及び、ナゲット径ND[mm]の関係を表した、簡易に破断様式を判定する指針である「Ceq W×a×t2/ND」は485であり、はく離破断を示す条件式である上記(4)式を満たしていた。
図5は、プラグ破断した例における、シートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみと、き裂先端の応力拡大係数Kとの関係を示すグラフである。なお、この解析例における十字引張継手は、炭素量Cが0.109[%]、炭素当量Ceq Wが0.594[%]、き裂長さaが218[μm]、板厚tが1.6[mm]、及び、ナゲット径NDが5√t[mm]である。図5中のプロットで、限界応力拡大係数に達する前に限界相当塑性ひずみに達しており、実験ではシートセパレーション終端から延性き裂が発生し、プラグ破断した。なお、このときの上記指針である「Ceq W×a×t2/ND」は52であり、プラグ破断を示す条件式である上記(5)を満たしていた。これに加えて、後述の実施例を参照すれば、炭素量Cが0.10〜0.40[%]であり、炭素当量Ceq Wが0.30〜0.60[%]で、上記(5)式を満足すれば、プラグ破断を示す薄鋼板を提供することが可能であることがわかる。
図6は、はく離破断を示した場合における、炭素量Cとき裂先端の応力拡大係数Kとの関係を実験/解析値及び予測値について示したグラフである。図6からわかるように、上記(1)式に基づいた予測値は、実験/解析値をよく表現している。
図7は、プラグ破断を示した場合における、炭素当量Ceq Wとシートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみPeeqとの関係を実験/解析値及び予測値について示したグラフである。図7からわかるように、上記(3)式に基づいた予測値は、実験/解析値と良い一致を示した。
[実施例]
本実施例においては、下記表1に示すような、炭素量C[%]、炭素当量Ceq W[%]、板厚t、及び、強度が異なるNo.1〜No.15の薄鋼板を、それぞれスポット溶接して、下記表2に示すようなNo.1〜No.15の十字引張継手を作製し、ナゲット断面を観察して有限要素モデルを作成した。ナゲット外殻は、半楕円、もしくは、矩形と半円/半楕円との組み合わせとした。シートセパレーション終端形状は半円形とした。き裂長さaは、途中止め試験を実施して、十字引張強さの50[%]を負荷して除荷した際のナゲット断面の観察結果からモデルに入力した。なお、下記表1の各成分の含有量%は質量%である。
ナゲット及びHAZの降伏応力及び引張応力は、ナゲット硬度/母材硬度、あるいは、HAZ硬度/母材硬度を、母材の降伏応力及び引張応力に乗じた値とし、ナゲット及びHAZの一様伸びは、母材硬度を、ナゲット硬度/母材硬度、あるいは、HAZ硬度/母材硬度で除した値として、ナゲット及びHAZの応力−ひずみ曲線とし、降伏応力以降の塑性域以降はSwiftの式で外挿した。ナゲット領域は、作成したナゲットの応力−ひずみ曲線を入力し、HAZの応力−ひずみ曲線は8パターン作成し、硬度分布に応じてHAZ領域に入力した。そして、有限要素解析ソフトウェア「ABAQUS Ver.6−12−1」にて弾塑性解析を実施し、き裂周りの積分経路のJ積分値の安定解より、平面ひずみ状態を仮定して応力拡大係数Kに変換した。また、シートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみPeeqが集中する50[μm]×50[μm]の平均値を求めた。
上記表2から、No.1〜No.12の十字引張継手では、解析による破断様式判定結果と、実験結果とが一致した。また、このとき、簡易に破断様式を判定する指針である「Ceq W×a×t2/ND」は、はく離破断とプラグ破断とに応じて、上記(4)式または上記(5)式を満足しており、プラグ破断化する薄鋼板を提供することが可能であった。
一方、薄鋼板の炭素量Cが応力拡大係数Kの適用限界を上回り、炭素当量Ceq Wがピーク相当塑性ひずみPeeqの適用限界を上回るNo.13の十字引張継手では、解析によってプラグ破断すると判定されたが、実験でははく離破断した。また、薄鋼板の炭素量Cが応力拡大係数Kの適用限界を下回り、炭素当量Ceq Wがピーク相当塑性ひずみPeeqの適用限界を下回るNo.14の十字引張継手では、解析によってはく離破断すると判定されたが、実験ではプラグ破断した。また、薄鋼板のP量及びS量が本規定範囲を上回るNo.15の十字引張継手では、解析によってプラグ破断すると判定されたが、実験でははく離破断した。

Claims (2)

  1. 鋼板表面の打刻痕で打刻円もしくは打刻楕円で中心0’を通るX’軸と、前記X’軸に直角なY’軸を規定し、前記中心0’を通る板厚方向の線をZ軸とし、ナゲット断面でナゲット厚さ方向に二等分する前記Z軸に直角な線をX軸とし、前記X軸と前記Z軸との交点0を結ぶ前記X軸に直角な方向にY軸を定め、
    X−Zナゲット断面に打刻痕を設け、ナゲット外殻のメッシュを半楕円、もしくは、矩形と半円/半楕円との組み合わせとし、
    前記ナゲット外殻のメッシュが、半楕円の場合には、HAZ領域を前記打刻痕まで前記交点0を中心とした前記X軸及び前記Z軸において等間隔で前記半楕円を拡げ、他方、前記ナゲット外殻のメッシュが、矩形と半円/半楕円との場合には、HAZ領域を打刻痕まで前記矩形と前記半円/半楕円とでX軸及びZ軸において等間隔で拡げ、前記HAZ領域が前記打刻痕に接してからは、前記交点0を中心とする半楕円によって、前記HAZ領域及び母材領域を前記X軸及び前記Z軸において等間隔で拡げ、
    X−Zナゲット断面において、コロナボンドがはく離したき裂を設け、き裂先端を中心とした0.4[mm]×0.4[mm]以上の領域に、25[μm]×25[μm]以下のメッシュ配列の領域Aを設け、
    他方で、シートセパレーション終端形状は半円とし、シートセパレーション終端を中心とした0.4[mm]×0.4[mm]以上の領域に、50[μm]×50[μm]以下のメッシュ配列の領域Bを設け、
    解析モデルがZ軸周りの90[°]回転体であり、
    ナゲット領域及びHAZ領域において、硬度分布に応じて応力−ひずみ曲線を入力して弾塑性有限要素解析を実施して、前記領域Aで、前記き裂先端を囲む積分経路から算出したJ積分値の安定解より、平面ひずみ状態を仮定して応力拡大係数Kを求め、
    判定基準として、前記応力拡大係数Kが、下記(3)式で示されるシートセパレーション終端領域のピーク相当塑性ひずみPeeqの限界値に達する前に、鋼板の炭素量C[%]に応じて下記(1)式で算出される値を上回る場合には、はく離破断すると予測され、他方で、シートセパレーション終端領域の半円近傍部に集中する50[μm]×50[μm]のピーク相当塑性ひずみPeeqが、下記(1)式で計算される前記応力拡大係数Kの限界値に達する前に、下記(2)式の炭素当量Ceq W[%]に応じて、下記(3)式で計算される条件を満たす場合には、延性き裂が発生してプラグ破断することを予測される、はく離破断とプラグ破断とが、前記応力拡大係数Kと前記ピーク相当塑性ひずみPeeqとで競合する前記解析モデルを用いる、十字引張継手の破断様式判定方法であって、
    下記(1)式における炭素量Cの範囲を0.10〜0.40[%]とし、下記(3)式における炭素当量Ceq Wの範囲を0.30〜0.60[%]とし、下記(1)式及び下記(3)式は、P≦0.020[%]、及び、S≦0.010[%]の鋼に適用できるものであり、
    前記判定基準に加えて、き裂長さをa[μm]、板厚をt[mm]、及び、ナゲット径をND[mm]としたとき、下記(4)式を満足する場合には、前記十字引張継手におけるスポット溶接部の破断様式がはく離破断になると判定し、下記(5)式を満足する場合には、前記十字引張継手におけるスポット溶接部の破断様式がプラグ破断になると判定するステップを含むことを特徴とする十字引張継手の破断様式判定方法。
    ここで、Ln(C)は薄鋼板の炭素量C[%]の自然対数であり、eは自然対数の底である。
    ここで、Peeq<0の場合にはPeeq=0.01とする。
  2. 炭素量Cが0.10〜0.40[%]、炭素当量Ceq Wが0.30〜0.60[%]、P≦0.020[%]、及び、S≦0.010[%]であり、
    十字引張継手における、炭素当量Ceq W[%]、き裂長さa[μm]、板厚t[mm]、及び、ナゲット径ND[mm]の関係が、下記(5)式を満足することを特徴とする十字引張継手用薄鋼板。
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