以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面は、各実施形態について、共通する箇所には共通の符号が付されており、第二実施形態以降の実施形態では、重複する説明が省略されている。また、図面は、概念図であり、細部構造の寸法まで規定するものではない。
<第一実施形態>
図1に示すように、本実施形態の燃料電池システム1は、筐体11、燃料電池モジュール20、排熱回収システム30、電力変換器50および制御装置60を備えている。また、燃料電池システム1と外部装置80(水供給源Ws)との間の流体の流路70には、継ぎ手90が設けられている。同様に、燃料電池システム1と外部装置80(給湯器Hws)との間の流体の流路70には、継ぎ手90が設けられている。
(筐体11)
筺体11は、燃料電池モジュール20、排熱回収システム30、電力変換器50および制御装置60を収容している。筺体11は、上記機器および装置を収容することができれば良く、その形状、材質等は限定されない。本実施形態では、筺体11は、例えば、ステンレス鋼板などの金属材料で、箱状に形成されている。また、筐体11は、筐体11内を区画して第一室R1および第二室R2を形成する仕切部材12を備えている。第一室R1は、第一空間を形成し、第二室R2は、第二空間を形成する。仕切部材12は、筐体11を上下に区画する部材であり、第一室R1および第二室R2は、連通可能になっている。
(燃料電池モジュール20)
燃料電池モジュール20は、第一室R1内において、第一室R1の内壁面から離間して収納されている。燃料電池モジュール20は、ケーシング21、燃料電池24を少なくとも含んでいる。本実施形態では、燃料電池モジュール20は、ケーシング21、蒸発部22、改質部23および燃料電池24を備えている。
ケーシング21は、断熱性材料で箱状に形成されている。ケーシング21は、図示略の支持構造により、第一室R1内において、第一室R1の内壁面から離間して仕切部材12に設置されている。ケーシング21内には、蒸発部22、改質部23、燃料電池24および燃焼部26である燃焼空間R3が配設されている。蒸発部22および改質部23は、燃料電池24の上方に配設されている。
蒸発部22は、後述する燃焼ガスにより加熱される。これにより、蒸発部22は、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱する。蒸発部22は、生成された水蒸気と予熱された改質用原料とを混合して改質部23に供給する。改質用原料は、天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料を用いることができる。また、改質用原料は、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料を用いることもできる。
給水管41の一端側(下端)は、水タンク13に接続されており、給水管41の他端側は、蒸発部22に接続されている。給水管41には、改質水ポンプ41aが設けられている。改質水ポンプ41aは、蒸発部22に改質水を供給するとともに、改質水供給量を調整する。改質水供給量は、改質水の流量で表すことができ、改質水の流量は、改質水の単位時間あたりの流量で示すことができる。改質水ポンプ41aは、貯水器である水タンク13に貯蔵されている凝縮水を改質水として改質部23に供給する。
また、蒸発部22には、改質用原料が改質用原料供給管42を介して供給されている。同図では、改質用原料の供給源(以下、単に、供給源という。)を供給源Gsで示している。供給源Gsとして、例えば、都市ガスのガス供給管、LPガスのガスボンベなどが挙げられる。改質用原料供給管42には、原料ポンプ42aが設けられている。原料ポンプ42aは、筺体11内に収納されている。原料ポンプ42aは、燃料電池24に燃料(改質用原料)を供給する供給装置であり、後述する制御装置60から出力される指令にしたがって、供給源Gsから供給する燃料の燃料供給量を調整する。燃料供給量は、燃料の流量で表すことができ、燃料の流量は、燃料の単位時間あたりの流量で示すことができる。原料ポンプ42aは、改質用原料を吸入し、改質部23に圧送する。
改質部23は、改質用原料および改質水から燃料を生成して燃料電池24に導出する。具体的には、改質部23は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、水蒸気改質反応に必要な熱が供給される。これにより、改質部23は、蒸発部22から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出する。改質部23内には、触媒が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて、水素ガスと一酸化炭素ガスが生成される(いわゆる水蒸気改質反応)。触媒は、例えば、ルテニウム系またはニッケル系の触媒などを用いることができる。
生成されたガス(いわゆる改質ガス)は、燃料電池24の燃料極に導出される。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(例えば、メタンガスなど)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部23は、改質用原料(原燃料)と改質水とから燃料である改質ガスを生成して燃料電池24に供給する。なお、水蒸気改質反応は、吸熱反応である。
燃料電池24は、複数のセル24aが積層されている。各セル24aは、燃料極と、空気極(酸化剤極)と、両極の間に介装された電解質とを備える。燃料電池24は、種々の燃料電池(例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)など)を用いることができる。固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用する。燃料電池24の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。セル24aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路24bが形成されている。セル24aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエアともいう。)が流通する空気流路24cが形成されている。
燃料電池24は、マニホールド25上に設けられている。マニホールド25には、改質ガス供給管43の一端側が接続されており、改質ガス供給管43の他端側は、改質部23に接続されている。改質部23から導出された改質ガスは、改質ガス供給管43を介してマニホールド25に供給される。燃料流路24bの一端側(下端)は、マニホールド25の燃料導出口に接続されている。燃料導出口から導出された改質ガスは、燃料流路24bの一端側(下端)から導入され、燃料流路24bの他端側(上端)から導出される。
カソードエア供給管44の一端側は、空気流路24cの一端側(下端)に接続されており、カソードエア供給管44の他端側は、カソードエアブロワ44aに接続されている。カソードエアブロワ44aによって送出されたカソードエアは、カソードエア供給管44を介して空気流路24cに供給される。カソードエアは、空気流路24cの一端側(下端)から導入され、空気流路24cの他端側(上端)から導出される。
カソードエアブロワ44aは、第二室R2内に配設されている。そのため、カソードエアブロワ44aは、第二室R2内の空気を吸入し、燃料電池24の空気極に吐出する。カソードエアブロワ44aから吐出される空気の吐出量は、後述する制御装置60によって、調整制御される。調整制御として、例えば、燃料電池24の負荷電力量(消費電力量)に応じて制御する負荷追従制御が挙げられる。
燃料電池24は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する。具体的には、各セル24aの燃料極に供給された燃料と、空気極に供給された酸化剤ガスとにより発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1および化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。つまり、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより、電気エネルギーが発生する。なお、発電に使用されなかった改質ガスは、燃料流路24bから導出し、発電に使用されなかった酸化剤ガス(空気)は、空気流路24cから導出する。
(化1)
H2+O2−→H2O+2e−
(化2)
CO+O2−→CO2+2e−
(化3)
1/2O2+2e−→O2−
燃焼部26は、燃料のオフガスである燃料オフガスと、酸化剤ガスのオフガスである酸化剤オフガスとが燃焼して、蒸発部22および改質部23を加熱する。具体的には、燃焼部26では、燃料流路24bから導出され、発電に使用されなかった改質ガス(燃料オフガス)と、空気流路24cから導出され、発電に使用されなかった酸化剤ガス(酸化剤オフガス)とが燃焼する。図1に示すように、燃焼部26は、蒸発部22および改質部23と、燃料電池24との間の燃焼空間R3である。燃焼部26では、燃焼ガスによって蒸発部22および改質部23が加熱される。同図では、燃料オフガスと酸化剤オフガスとが燃焼する様子を火炎27によって模式的に示している。また、燃焼部26は、燃料電池モジュール20内を動作温度に加熱する。その後、燃焼ガスは、導出口21aから燃料電池モジュール20の外部に排気される。
このように、燃焼部26は、燃料電池24から導出された燃料オフガスと酸化剤オフガスとが燃焼して、蒸発部22および改質部23を加熱する燃焼空間R3である。すなわち、燃焼部26は、燃料電池24から未使用の燃料を含む可燃性ガスを導入し、可燃性ガスと酸化剤ガスとが燃焼して燃焼ガスを導出する。なお、燃焼部26には、燃料オフガスを着火させる一対の着火ヒータ26a1,26a2が設けられている。
(排熱回収システム30)
排熱回収システム30は、燃料電池24の排熱と貯湯水との間で熱交換を行う。これにより、排熱回収システム30は、燃料電池24の排熱を貯湯水に回収して蓄える。排熱回収システム30は、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン32と、熱交換器33とを備えている。熱交換器33では、燃料電池モジュール20から導出された燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる。
貯湯槽31は、柱状容器を備えており、内部に温水が層状に貯留されている。つまり、貯湯槽31に貯留されている水は、上部の温度が最も高温であり、下部にいくにしたがって低温となり、下部の温度が最も低温である。貯湯槽31の柱状容器の下部には、水供給源Ws(例えば、水道管などの水道設備)が接続されており、水供給源Wsから水(低温の水。例えば、水道水)が補給可能になっている。また、貯湯槽31の柱状容器の上部には、給湯器Hwsが接続されており、給湯器Hwsは、貯湯槽31に貯留された水(高温の水。温水)を利用可能になっている。給湯器Hwsは、例えば、排熱(潜熱)回収型の給湯器であり、貯湯槽31から供給された水(温水)を必要に応じて加熱することができる。
貯湯水循環ライン32の一端側は、貯湯槽31の下部に接続され、貯湯水循環ライン32の他端側は、貯湯槽31の上部に接続されている。貯湯水循環ライン32上には、一端側から他端側に向かって順に、貯湯水循環ポンプ32a、第一温度センサ32b、熱交換器33および第二温度センサ32cが配設されている。貯湯水循環ポンプ32aは、貯湯槽31の下部の貯湯水を吸引し、貯湯水循環ライン32を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽31の上部に吐出する。貯湯水循環ライン32を流通する貯湯水の流量(送出量)は、後述する制御装置60によって制御される。貯湯水循環ポンプ32aは、例えば、第二温度センサ32cの検出温度(貯湯水の貯湯槽31の入口温度)が所定の温度または温度範囲となるように、送出量が制御される。
第一温度センサ32bは、熱交換器33の貯湯水導入側の貯湯水循環ライン32であって、熱交換器33と貯湯槽31との間に配設されている。第一温度センサ32bは、貯湯水の熱交換器33の入口温度(すなわち、貯湯水の貯湯槽31の出口温度)を検出し、検出結果を制御装置60に送信する。第二温度センサ32cは、熱交換器33の貯湯水導出側の貯湯水循環ライン32に配設されている。第二温度センサ32cは、貯湯水の熱交換器33の出口温度(すなわち、貯湯水の貯湯槽31の入口温度)を検出し、検出結果を制御装置60に送信する。
熱交換器33は、燃料電池24の排熱を含む燃焼部26から排出される燃焼排ガスと、貯湯槽31の貯湯水との間で熱交換を行う。具体的には、熱交換器33には、燃料電池モジュール20から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに、貯湯槽31から貯湯水が供給される。そして、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する。熱交換器33は、筐体11内に配設されている。本実施形態では、熱交換器33は、燃料電池モジュール20の下部に設けられており、少なくとも熱交換器33の下部は、仕切部材12を貫通して第二室R2に突出している。
熱交換器33は、ケーシング33aを備えている。ケーシング33aの上部は、燃料電池モジュール20のケーシング21の下部に設けられ、燃焼排ガスが導出される導出口21aに連通している。ケーシング33aの下部には、排気管45の一端側が接続されている。排気管45の他端側は、排気口11aに接続されている。ケーシング33aの底部には、純水器14に接続される凝縮水供給管46が接続されている。ケーシング33a内には、貯湯水循環ライン32に接続される熱交換部33bが配設されている。
熱交換器33では、燃料電池モジュール20から排出された燃焼排ガスが、導出口21aを通ってケーシング33a内に導入される。燃焼排ガスは、貯湯水が流通する熱交換部33bを通る際に、貯湯水との間で熱交換が行われて、凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは、排気管45を通って排気口11aから外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管46を通って純水器14に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部33bに流入した貯湯水は、加熱されて流出される。
熱交換器33の燃焼排ガス導入部、すなわちケーシング21の導出口21aには、第二燃焼部28が設けられている。第二燃焼部28は、燃焼部26から排気される未使用の可燃性ガス(例えば、水素、メタンガス、一酸化炭素など)を導入し、燃焼して導出する。第二燃焼部28は、可燃性ガスを燃焼する触媒である燃焼触媒を備えている。燃焼触媒は、例えば、白金、パラジウムなどの貴金属をセラミックの単体などに担持させて生成することができる。燃焼触媒は、ペレット状のものを充填しても良く、セラミック・メタルのハニカムや発泡金属の上に担持させることもできる。第二燃焼部28には、燃焼触媒ヒータ28aが設けられている。燃焼触媒ヒータ28aは、燃焼触媒を触媒の活性温度まで加熱して可燃性ガスを燃焼させる。燃焼触媒ヒータ28aは、後述する制御装置60から出力される指令にしたがって、加熱される。
燃料電池システム1は、水タンク13および純水器14を備えている。水タンク13および純水器14は、第二室R2内に配設されている。純水器14は、例えば、イオン交換樹脂(例えば、粒状など)を内蔵している。純水器14は、熱交換器33から排出された凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化する。なお、熱交換器33から供給される凝縮水の状態によっては、中空糸フィルタを設置しても良い。純水器14は、配管47を介して水タンク13に連通しており、純水器14内の純水は、配管47を通って水タンク13に導出される。このようにして、純水器14は、熱交換器33から排出された凝縮水を純水化して水タンク13に供給する。水タンク13は、純水器14から導出された純水を貯蔵する。
また、燃料電池システム1は、第二室R2を形成する筐体11に形成された空気導入口11bと、第一室R1を形成する筐体11に形成された空気導出口11cと、空気導入口11bに設けられた換気用空気ブロワ15と、を備えている。換気用空気ブロワ15は、筐体11内を換気する。換気用空気ブロワ15が作動すると、外気が空気導入口11bを介して換気用空気ブロワ15に吸入され、第二室R2に送出される。さらに、第二室R2内の気体(主として空気)は、仕切部材12を通って第一室R1に流れ、第一室R1内の気体は、空気導出口11cを介して外部に排出される。
(電力変換器50)
燃料電池24は、電力変換器50を介して電源ライン52に接続されている。電力変換器50は、公知の昇圧型のDC/DCコンバータおよびインバータを備えている。電力変換器50には、燃料電池24から出力された直流電力が入力される。DC/DCコンバータは、入力された直流電力を昇圧し、インバータは、昇圧された直流電力を交流電力に変換して、電源ライン52に出力する。電源ライン52は、系統電源51および外部電力負荷53に接続されている。電力変換器50は、電源ライン52を介して、外部電力負荷53に電力を供給する。
また、電力変換器50は、公知のAC/DCコンバータを備えている。AC/DCコンバータは、系統電源51から供給された交流電力を直流電力に変換して、補機や制御装置60に出力する。補機として、例えば、既述の改質水ポンプ41a、原料ポンプ42aおよびカソードエアブロワ44aなどが挙げられる。また、補機として、例えば、既述の貯湯水循環ポンプ32aおよび換気用空気ブロワ15などが挙げられる。さらに、補機として、例えば、既述の第一温度センサ32bおよび第二温度センサ32cなどの各種センサや着火ヒータ26a1,26a2および燃焼触媒ヒータ28aなどの各種ヒータなどが挙げられる。なお、補機は、上述の補機に限定されるものではない。
系統電源51は、交流の系統電源であり、電気事業者(例えば、電力会社など)が保有する商用の配電線網から供給される電源をいう。系統電源51は、単相であっても、多相(例えば、三相)であっても良い。系統電源51は、外部電力負荷53に電力を供給する。外部電力負荷53は、電気を駆動源とする負荷であり、例えば、家庭用電気機器(電化製品など)や産業用電気機器(ロボットなど)が挙げられる。外部電力負荷53は、一つであっても複数であっても良い。
(制御装置60)
制御装置60には、上述した貯湯水循環ポンプ32a、改質水ポンプ41aおよび原料ポンプ42aなどの各種ポンプが接続されている。また、制御装置60には、上述した換気用空気ブロワ15およびカソードエアブロワ44aなどの各種ブロワが接続されている。さらに、制御装置60には、上述した第一温度センサ32bおよび第二温度センサ32cなどの各種センサが接続されている。また、制御装置60には、上述した着火ヒータ26a1,26a2および燃焼触媒ヒータ28aなどの各種ヒータが接続されている。制御装置60は、公知の演算装置、記憶装置、入出力インターフェースを備えており、これらは、バスを介して接続されている(いずれも図示略)。制御装置60は、これらを用いて、種々の演算処理を行うことができ、外部機器との間で、入出力信号(駆動信号を含む)の授受を行うことができる。
演算装置は、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)であり、種々の演算処理を行うことができる。記憶装置は、第一記憶装置および第二記憶装置を備えている。第一記憶装置は、読み出しおよび書き込み可能な揮発性の記憶装置(RAM:Random Access Memory)であり、第二記憶装置は、読み出し専用の不揮発性の記憶装置(ROM:Read Only Memory)である。入出力インターフェースは、外部機器との間で、入出力信号(駆動信号を含む)の授受を行う。
例えば、演算装置は、第二記憶装置に記憶されている補機の駆動制御プログラムを第一記憶装置に読み出して、当該駆動制御プログラムを実行する。演算装置は、当該駆動制御プログラムに基づいて、補機の駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、入出力インターフェースおよびドライバ回路などの駆動回路(図示略)を介して、補機に付与される。このようにして、補機は、制御装置60によって駆動制御される。以上のことは、電力変換器50などについても同様である。
(外部装置80)
外部装置80は、燃料電池システム1の外部に設けられており、流路70によって燃料電池システム1と接続されている。流路70は、液状の流体が流通する。流体は、燃料電池システム1に用いられる液状の流体であれば良く、限定されない。例えば、流体として、水や改質用液体燃料などが挙げられる。流体として水が用いられる場合、外部装置80として、既述の水供給源Wsや給湯器Hwsなどが挙げられる。流体として改質用液体燃料が用いられる場合、外部装置80として、既述の供給源Gsが挙げられる。
流路70は、例えば、公知の配管によって形成することができる。配管は、流通する流体の種類、温度、圧力などに応じて材質、断面形状、肉厚などが規定される。例えば、流体として水が用いられる場合、流路70は、樹脂(例えば、硬質ポリ塩化ビニル)などの非金属製の配管で形成することができ、ステンレス鋼などの金属製の配管で形成することもできる。また、流路70は、例えば、軸線に垂直な平面で切断した断面形状が円形の円管で形成することができ、軸線に垂直な平面で切断した断面形状が正方形や長方形などの角管で形成することもできる。さらに、配管の肉厚は、流通する水の水圧に耐え得る肉厚に設定する。一般に、流通する流体の圧力が高くなる程、必要な耐圧が高くなり、配管の肉厚は、厚肉にする必要がある。
外部装置80として用いられる水供給源Wsは、流路70を介して、燃料電池システム1に水を供給する。そのため、水供給源Wsは、上流側であり、燃料電池システム1は、下流側である。外部装置80として供給源Gsが用いられる場合も、上流側、下流側の関係は、水供給源Wsの場合と同様である。一方、外部装置80として用いられる給湯器Hwsは、流路70を介して、燃料電池システム1から水(温水)が供給される。そのため、燃料電池システム1は、上流側であり、給湯器Hwsは、下流側である。
このように、流体は、燃料電池システム1および外部装置80のうちの一方から他方に向けて流路70を流通する。以下、外部装置80として、水供給源Wsを例に説明するが、給湯器Hws、供給源Gsなどの他の外部装置80についても同様である。なお、本実施形態では、供給源Gsは、改質用原料として、天然ガス(改質用気体燃料)を供給する。そのため、図1では、供給源Gsについて、継ぎ手90などは、図示されていない。
(継ぎ手90)
燃料電池システム1と外部装置80との間の流体の流路70には、継ぎ手90が設けられている。継ぎ手90は、筐体11内および筺体11外のうちのいずれに配設しても良い。継ぎ手90は、上述の配管と同様に、流通する流体の種類、温度、圧力などに応じて材質、肉厚などが規定される。また、樹脂などの非金属材料で形成する場合、継ぎ手90は、例えば、射出成形などによって形成することができる。ステンレス鋼などの金属材料で形成する場合、継ぎ手90は、例えば、鋳造などによって形成することができる。
ここで、継ぎ手90より上流側の流路70を上流側流路71とする。また、継ぎ手90より下流側の流路70を下流側流路72とする。流路70を形成する配管と継ぎ手90との接続方法は、これらの材質、流通する流体の種類、温度、圧力などに応じて、公知の方法で接続することができる。配管と継ぎ手90との接続方法として、例えば、ねじ込み、差込み溶接、突合せ溶接、フランジなどが挙げられる。非金属製の配管と非金属製の継ぎ手90とを接続し、水などが流通する場合には、例えば、ねじ込みやフランジによって、配管と継ぎ手90とを接続することができる。
図2に示すように、継ぎ手90は、本体部91、流入口92、流出口93、ストレーナ94、排出口95および開閉弁96を備えている。本実施形態では、本体部91は、略T字形状に形成されており、本体部91内には、継ぎ手90内の流路70である第一流路C1および第二流路C2が形成されている。第一流路C1および第二流路C2の詳細は、後述する。
流入口92は、流路70のうちの上流側流路71に接続される。流入口92では、流体が上流側流路71から流入する。流出口93は、流路70のうちの下流側流路72に接続される。流出口93では、流体が下流側流路72に流出する。ここで、流入口92と流出口93との間の継ぎ手90内の流路70を第一流路C1とする。本実施形態では、第一流路C1は、水平方向(矢印X方向)に沿って延伸して形成されており、流入口92、第一流路C1および流出口93は、同軸に形成されている。また、第一流路C1を形成する本体部91の内壁面を第一内壁面91aとし、第一流路C1の軸線を第一軸線C1xとする。第一軸線C1xに垂直な平面で切断した第一内壁面91aの断面形状は、限定されない。本実施形態では、第一内壁面91aの断面形状は、後述する分岐部分を除いて、例えば、円形に形成されている。
ストレーナ94は、第一流路C1に設けられており、流体の通過を許容しつつ流体に混入した固形の異物の通過を規制する。異物は、流体に不可避的に混入する固形物であり、限定されない。水に混入する異物として、例えば、砂、小石、錆などが挙げられる。ストレーナ94は、流体の通過を許容しつつ流体に混入した固形の異物の通過を規制することができれば良く、材質などは限定されない。ストレーナ94は、例えば、公知の織金網を用いることができる。織金網は、ステンレス鋼などの金属細線が網目状に交差して形成される。ストレーナ94は、規制する異物の大きさが小さくなる程、網目の大きさ(メッシュサイズ)を小さくすれば良いが、第一流路C1の圧力損失は、増大する。そのため、網目の大きさ(メッシュサイズ)は、規制する異物の大きさ、許容される圧力損失などを比較考慮して、規定することができる。
なお、織金網の織り方として、例えば、平織、綾織、平畳織、綾畳織などが挙げられる。異物の通過を規制するという観点からは、平織と比べて、綾織、平畳織、綾畳織などが良い。第一流路C1の圧力損失を低減するという観点からは、綾織、平畳織、綾畳織などと比べて、平織が良い。また、ストレーナ94は、樹脂などの非金属材料で形成することもできる。さらに、ストレーナ94の形状は、第一流路C1の断面形状に合わせて形成される。本実施形態では、ストレーナ94は、円形の薄板状(以下、単に、円板状という。)に形成されている。また、ストレーナ94の固定方法として、例えば、溶着、接着、カシメなどが挙げられる。
図2に示すように、ストレーナ94は、第一流路C1と同軸に設けられており、流入面94a、流出面94bおよび側面94cを備えている。流入面94aは、流体がストレーナ94に流入する側の面をいい、流出面94bは、流体がストレーナ94から流出する側の面をいう。側面94cは、円板の側面に相当し、第一内壁面91aに密着した状態で、第一内壁面91aに固定される。本実施形態では、ストレーナ94は、円板状に形成されている。そのため、流体に混入した異物は、流入面94aより下流側に流通することが規制され、流入面94aは、異物の通過を規制する規制面94rである。
次に、第一流路C1のうちの流入口92とストレーナ94との間の流路を流入口側流路C11とする。また、第一流路C1のうちのストレーナ94と流出口93との間の流路を流出口側流路C13とする。流入口側流路C11は、下方に向けて分岐しており、流入口側流路C11から下方に向けて分岐した流路を第二流路C2とする。本実施形態では、流入口側流路C11および流出口側流路C13は、水平方向(矢印X方向)に沿って延伸して形成されており、第二流路C2は、鉛直方向下向き(矢印Z1方向)に延伸して形成されている。なお、水平方向(矢印X方向)に沿った方向のうち、流入口92の開口方向と同じ方向を水平方向流入口側(矢印X1方向)とする。また、水平方向(矢印X方向)に沿った方向のうち、流出口93の開口方向と同じ方向を水平方向流出口側(矢印X2方向)とする。
さらに、第二流路C2を形成する本体部91の内壁面を第二内壁面91bとし、第二流路C2の軸線を第二軸線C2xとする。第二軸線C2xに垂直な平面で切断した第二内壁面91bの断面形状は、限定されない。本実施形態では、第二内壁面91bの断面形状は、後述する排出口95が設けられる部位を除いて、例えば、円形に形成されている。また、第二流路C2の基端であって、第一流路C1を形成する第一内壁面91aと、第二流路C2を形成する第二内壁面91bと、が接続される部位を接続口97とする。接続口97の形状は、限定されない。本実施形態では、接続口97は、例えば、略円形に形成されている。
図3に示すように、本実施形態では、ストレーナ94の規制面94rは、接続口97と接している。同図では、ストレーナ94の規制面94rは、実線で示されており、規制面94rと接続口97との接点は、接点P11で示されている。これにより、ストレーナ94は、破線BL11で示す場合と比べて、異物の通過を確実に規制することができる。また、ストレーナ94によって規制された異物は、破線BL12で示す場合と比べて、自重によって下方に落下する際に、第二流路C2に誘導され易い。
破線BL11は、本実施形態と比べて、水平方向流入口側(矢印X1方向)にストレーナ94を配設した場合のストレーナ94の規制面94rの位置を示している。この場合、流体に混入した異物は、第二流路C2を迂回して、ストレーナ94の流出面94b側に流通することができる。そのため、ストレーナ94によって、異物の通過が規制されない場合が生じる。一方、破線BL12は、本実施形態と比べて、水平方向流出口側(矢印X2方向)にストレーナ94を配設した場合のストレーナ94の規制面94rの位置を示している。この場合、ストレーナ94によって規制された異物は、自重によって下方に落下する際に、ストレーナ94の流入面94a側の第一内壁面91aに堆積し易く、第二流路C2に誘導され難い。
なお、破線BL13に示すように、ストレーナ94の規制面94rは、接続口97の形状に合わせて形成することもできる。この場合、規制面94rは、鉛直方向(矢印Z方向)視において、円弧状に形成され、規制面94rと接続口97とが接する部位が増大する。そのため、ストレーナ94によって規制された異物は、自重によって下方に落下する際に、本実施形態と比べて、第二流路C2に誘導され易い。
本体部91には、ストレーナ94によって規制された異物を流体とともに継ぎ手90の外部に排出可能な排出口95が設けられている。図2に示すように、排出口95が設けられる部位は、例えば、水平方向流入口側(矢印X1方向)に向かって、本体部91を突出させて形成することができる。当該部位の本体部91内には、排出路C21が形成されている。排出路C21の軸線を軸線C21xとする。軸線C21xに垂直な平面で切断した排出路C21の断面形状は、限定されない。本実施形態では、当該断面形状は、例えば、円形に形成されている。
また、排出路C21の一端側の開口部は、排出口95になっており、排出路C21の他端側の開口部95aは、第二流路C2に接続されている。このように、本実施形態では、排出口95は、排出路C21を介して、第二流路C2に接続されている。これにより、ストレーナ94によって規制された異物は、流体とともに排出口95から継ぎ手90の外部に排出可能である。また、排出口95が設けられる部位は、本体部91が突出して形成されているので、排出口95から排出された異物を導出する導出管を排出口95に接続することが容易である。なお、排出路C21は、省略することができる。この場合、排出口95は、本体部91の外壁面を貫通して形成することができる。また、排出口95は、水平方向流入口側(矢印X1方向)以外の方向に設けることもできる。
開閉弁96は、第二流路C2に設けられている。開閉弁96は、異物を排出するときには排出口95を開状態にし、異物を排出しないときには排出口95を閉状態にする。開状態は、排出口95と第二流路C2とが連通した状態であり、排出口95は、ストレーナ94によって規制された異物を流体とともに継ぎ手90の外部に排出可能である。一方、閉状態は、排出口95と第二流路C2とが遮断された状態であり、ストレーナ94によって規制された異物は、継ぎ手90の外部に排出されない。
開閉弁96は、例えば、公知の開閉弁を用いることができ、開閉弁96と本体部91との接続方法や弁体の種類、材質などは限定されない。開閉弁96と本体部91との接続方法として、例えば、ねじ込み、溶接、フランジなどが挙げられる。また、弁体の種類として、例えば、スライド弁、ボール弁、仕切り弁(ゲートバルブ)などが挙げられる。弁体は、例えば、樹脂などの非金属材料やステンレス鋼などの金属材料で形成することができる。また、弁体は、本体部91の材質に合わせて形成することができる。
開閉弁96は、流体の種類、温度、圧力などに応じて選定することができる。本実施形態では、流体として水を用いる。そのため、開閉弁96は、例えば、公知の管用ねじを用いることができる。管用ねじは、第二流路C2を形成する第二内壁面91bに、ねじ形成することにより、本体部91と開閉弁96とを容易に接続することができる。
図2に示すように、第二流路C2において、開閉弁96が前進した状態のとき、排出口95は、開閉弁96によって流路が塞がれて閉状態になる。このとき、開閉弁96の先端部96aは、鉛直方向上向き(矢印Z2方向)に移動しており、開状態のときと比べて、第一流路C1に近づいている。一方、第二流路C2において、開閉弁96が後退した状態のとき、排出口95は、開閉弁96によって流路が塞がれず、開状態になる。このとき、開閉弁96の先端部96aは、鉛直方向下向き(矢印Z1方向)に移動しており、閉状態のときと比べて、第一流路C1から離れている。開閉弁96を移動させる方法は、限定されない。開閉弁96は、例えば、手動操作可能な開閉弁を用いることができ、電動弁などの遠隔操作可能な開閉弁を用いることもできる。
次に、ストレーナ94の異物の通過を規制する規制面94rの上端の高さ位置を第一上端位置H11とし、ストレーナ94の異物の通過を規制する規制面94rの下端の高さ位置を第一下端位置H12とする。また、流入口92の上端の高さ位置を第二上端位置H21とし、流入口92の下端の高さ位置を第二下端位置H22とする。さらに、排出口95の上端の高さ位置を第三上端位置H31とし、排出口95の下端の高さ位置を第三下端位置H32とする。また、流出口93の上端の高さ位置を第四上端位置H41とし、流出口93の下端の高さ位置を第四下端位置H42とする。なお、これらの「高さ位置」は、継ぎ手90が流路70を形成する配管に取り付けられたときの鉛直方向(矢印Z方向)における位置をいう。
図2に示すように、本実施形態では、第一流路C1は、水平方向(矢印X方向)に沿って延伸して形成されており、ストレーナ94、流入口92および流出口93は、第一流路C1の第一軸線C1xと同軸に設けられている。そのため、第一上端位置H11、第二上端位置H21および第四上端位置H41は、同じ高さ位置に配設されている。また、第一下端位置H12、第二下端位置H22および第四下端位置H42は、同じ高さ位置に配設されている。
さらに、第二流路C2は、第一流路C1のうちの流入口側流路C11から下方(本実施形態では、鉛直方向下向き(矢印Z1方向))に向けて分岐した流路であり、第二流路C2には、排出口95が接続されている。そのため、第三上端位置H31は、第一下端位置H12、第二下端位置H22および第四下端位置H42のいずれに対しても下方位置に配設されている。
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90によれば、排出口95は、流入口92とストレーナ94との間の流路である流入口側流路C11から下方に向けて分岐した流路である第二流路C2に接続されている。また、第三上端位置H31は、第一下端位置H12および第二下端位置H22のいずれに対しても下方位置に配設されている。そのため、ストレーナ94によって規制された異物は、自重によって下方に落下する際に、排出口95が接続されている第二流路C2に誘導され易い。また、第二流路C2に誘導され集積した異物は、開閉弁96が排出口95を開状態にすることにより、排出口95から継ぎ手90の外部に排出することができる。このように、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、ブラシ部材等の異物除去手段を別途設けることなく、ストレーナ94によって規制された異物を除去し、排出することができる。そのため、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、異物除去手段を別途設ける場合と比べて、小型化することができ、異物の排出可能化と小型化との両立を図ることができる。
また、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90によれば、接続口97は、ストレーナ94の規制面94rと接している。そのため、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、ストレーナ94によって異物の通過を確実に規制しつつ、規制された異物を第二流路C2に誘導し易い。
なお、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、ストレーナ94によって規制された異物が、自重によって下方に落下することにより、異物が除去され、排出口95から継ぎ手90の外部に排出される。そのため、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、流路70を形成する配管から継ぎ手90を取り外すことなく、異物の除去および排出を行うことができる。また、異物の排出は、上流側流路71から供給される流体の供給を継続した状態で行うこともできる。さらに、仮に、ストレーナ94が異物によって目詰まりを起こした場合には、上流側流路71から供給される流体の供給を中止した状態で、異物の除去および排出を行うこともできる。
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90によれば、第四下端位置H42は、第一下端位置H12と同じ高さ位置に配設されている。そのため、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第四下端位置H42が第一下端位置H12より下方位置に配設されている場合と比べて、下流側流路72から流体を逆流させることが容易である。
具体的には、まず、上流側流路71から供給される流体の供給が中止される。次に、開閉弁96は、上流側流路71から供給される流体の供給を中止した状態で、排出口95を閉状態から開状態にする。これにより、下流側流路72から流体が逆流する。逆流した流体は、ストレーナ94の規制面94r(流入面94a)を通過する際に、規制面94r(流入面94a)に付着して目詰まりを起こしている異物をストレーナ94から除去する。そして、排出口95は、下流側流路72から逆流させた流体とともに当該異物を排出する。このように、仮に、ストレーナ94が異物によって目詰まりした場合においても、ストレーナ94によって規制された異物は、除去され、排出口95から継ぎ手90の外部に排出される。
<第二実施形態>
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、ストレーナ94が水平方向流入口側(矢印X1方向)に傾斜した状態で、第一流路C1を形成する第一内壁面91aに固定されている点で、概ね第一実施形態と異なる。
図4に示すように、ストレーナ94は、水平方向流入口側(矢印X1方向)に傾斜した状態で、第一流路C1を形成する第一内壁面91aに固定されている。そのため、本実施形態では、ストレーナ94は、規制面94rが楕円状に形成されている。図4に示す破線BL21は、楕円の長軸方向を示している。楕円の短軸方向は、紙面に垂直な方向である。ここで、接続口97を含む平面と、ストレーナ94の規制面94rと、のなす角(鋭角)を傾斜角θ1とする。傾斜角θ1は、第一流路C1におけるストレーナ94の傾斜状態を示しており、第一角度に設定されていると好適である。
第一角度は、第一流路C1の直径を接続口97の直径で除した値の逆正接(アーク・タンジェント)によって得られる角度をいう。ここで、楕円状の規制面94rの長軸(破線BL21で示す)と第一内壁面91aとの二つの交点のうち、交点P21(第一実施形態で既述の接点P11と同じ。)と異なる側の交点を交点P22とする。また、交点P22から鉛直方向下向き(矢印Z1方向)に延伸した垂線と、第一内壁面91aとの交点を交点P23とする。
交点P22と交点P23との間の距離である鉛直方向距離L11は、第一流路C1の直径に相当する。また、交点P21(接点P11)と交点P23との間の距離を水平方向距離L12とする。水平方向距離L12が接続口97の直径と同じとき、傾斜角θ1は、第一角度に設定される。この場合、図4に示すように、流体に混入した異物は、規制面94rのいずれの位置で規制されても、自重によって下方に落下する際に、第二流路C2に誘導され易い。
本実施形態においても、第三上端位置H31は、第一下端位置H12および第二下端位置H22のいずれに対しても下方位置に配設されている。また、接続口97は、ストレーナ94の規制面94rと接している。そのため、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第一実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。なお、後述する第三実施形態および第四実施形態においても、本実施形態と同様に、ストレーナ94を形成し、配設することができる。
<第三実施形態>
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第二流路C2の先端側に排出口95が設けられており、開閉弁96としてボール弁が用いられている点で、概ね第一実施形態と異なる。
図5に示すように、排出口95は、第二流路C2を形成する第二内壁面91bの先端側の開口部に設けられている。本実施形態においても、排出口95は、第二流路C2に接続されている。なお、排出路C21は、省略されている。また、本実施形態では、開閉弁96として、公知のボール弁が用いられている。ボール弁は、例えば、球状、半球状、円筒状の弁体の回転位置によって、流体の流通を制御する。ここで、流体の通過を許容する弁体の回転位置を通過許容位置Pr1とする。また、流体の通過を規制する弁体の回転位置を通過規制位置Pr2とする。通過許容位置Pr1は、通過規制位置Pr2から90度回転した位置に相当する。
弁体の回転位置が通過許容位置Pr1のとき、弁体内の流路96bと第二流路C2とが連通し、排出口95は、開状態になる。このとき、ストレーナ94によって規制された異物は、流体とともに弁体内の流路96bを通過して、流体とともに排出口95から排出される。一方、弁体の回転位置が通過規制位置Pr2のとき、弁体内の流路96bと第二流路C2とが遮断されており、排出口95は、閉状態になる。このとき、ストレーナ94によって規制された異物は、弁体内の流路96bを通過することができず、継ぎ手90の外部に排出されない。なお、弁体を回転させる方法は、限定されない。開閉弁96は、例えば、手動操作可能な開閉弁を用いることができ、電動弁などの遠隔操作可能な開閉弁を用いることもできる。
本実施形態においても、第三上端位置H31は、第一下端位置H12および第二下端位置H22のいずれに対しても下方位置に配設されている。また、接続口97は、ストレーナ94の規制面94rと接している。そのため、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第一実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。なお、他の実施形態においても、本実施形態と同様に、第二流路C2の先端側に排出口95を設けることができ、開閉弁96としてボール弁を用いることができる。
<第四実施形態>
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、本体部91が略Y字形状に形成されており、第二流路C2が傾斜している点で、概ね第一実施形態と異なる。
図6に示すように、本体部91は、略Y字形状に形成されている。本実施形態では、第二流路C2は、鉛直方向下向き(矢印Z1方向)から水平方向流出口側(矢印X2方向)に傾斜した状態に形成されている。なお、第二流路C2は、鉛直方向下向き(矢印Z1方向)から水平方向流入口側(矢印X1方向)に傾斜した状態に形成することもできる。この場合、排出口95が設けられる部位は、例えば、水平方向流出口側(矢印X2方向)に向かって、本体部91を突出させて形成することができる。いずれの場合においても、本体部91内には、排出路C21を形成することができ、排出口95は、排出路C21を介して、第二流路C2に接続することができる。なお、第一実施形態と同様に、排出路C21は、省略することもできる。
ここで、排出路C21の他端側の開口部95a(排出路C21が省略される場合は、開口部95aに相当する部位)によって囲まれる領域を異物通過領域とする。また、接点P11(接続口97と規制面94rとの接点)から鉛直方向下向き(矢印Z1方向)に延伸した垂線を垂線PL1とする。本実施形態では、垂線PL1が異物通過領域を貫通可能に、開口部95a(排出路C21が省略される場合は、開口部95aに相当する部位)が配設されていると好適である。
ストレーナ94によって規制された異物は、排出口95が閉状態のときに、自重によって下方に落下すると、異物通過領域近傍の開閉弁96の先端部96aに堆積し易い。開閉弁96が後退して、排出口95が閉状態から開状態になると、開閉弁96の先端部96aに堆積した異物は、直近の異物通過領域を通過して、排出路C21、排出口95の順に誘導され、排出口95から継ぎ手90の外部に排出される。そのため、第二流路C2における異物の移動距離を短縮化することができ、第二内壁面91bの広範囲に亘って、異物が堆積することが抑制される。よって、特に、第二流路C2の基端側に異物が堆積して、第二流路C2が塞がれることが低減される。
なお、本実施形態においても、第三上端位置H31は、第一下端位置H12および第二下端位置H22のいずれに対しても下方位置に配設されている。また、接続口97は、ストレーナ94の規制面94rと接している。そのため、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第一実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。さらに、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第二流路C2が傾斜した状態に形成されているので、第一実施形態と比べて、鉛直方向(矢印Z方向)における小型化が容易である。なお、他の実施形態においても、本実施形態と同様にして、第二流路C2を傾斜した状態に形成することができる。
<第五実施形態>
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cに、ストレーナ94が固定されている点で、概ね第一実施形態と異なる。
図7に示すように、第一流路C1は、鉛直流路C12を含んでいる。同図では、鉛直流路C12は、破線で囲まれた領域で示されている。鉛直流路C12は、鉛直方向(矢印Z方向)に形成された流路であり、流体が鉛直方向(矢印Z方向)に流通可能である。鉛直流路C12の下方側(流体の流入側)は、流入口側流路C11に接続されている。また、鉛直流路C12の上方側(流体の流出側)は、流出口側流路C13に接続されている。なお、本実施形態においても、流入口側流路C11および流出口側流路C13は、水平方向(矢印X方向)に沿って延伸して形成されている。
ここで、第一内壁面91aのうち、鉛直流路C12を形成する内壁面を第三内壁面91cとし、鉛直流路C12の軸線を第三軸線C3xとする。第三軸線C3xに垂直な平面で切断した第三内壁面91cの断面形状は、限定されない。本実施形態では、第三内壁面91cの断面形状は、流入口側流路C11に接続される部位および流出口側流路C13に接続される部位を除いて、例えば、円形に形成されている。また、第二流路C2は、鉛直流路C12と同軸に、鉛直流路C12の下方側端部に接続されている。つまり、第二流路C2の第二軸線C2xと鉛直流路C12の第三軸線C3xとは、一致している。
ストレーナ94は、鉛直流路C12に設けられている。本実施形態では、ストレーナ94は、鉛直流路C12内に設けられており、規制面94rが第三軸線C3xと直交した状態で、鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cに固定されている。また、第一上端位置H11および第一下端位置H12は、同じ高さ位置に配設されている。なお、第一上端位置H11および第一下端位置H12は、第二上端位置H21と比べて上方位置(第二上端位置H21と同じ高さ位置を含む)、かつ、第四下端位置H42と比べて下方位置(第四下端位置H42と同じ高さ位置を含む)の範囲に配設することができる。
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90によれば、第一流路C1は、鉛直流路C12を含んでいる。また、第二流路C2は、鉛直流路C12と同軸に、鉛直流路C12の下方側端部に接続されている。さらに、ストレーナ94は、鉛直流路C12に設けられている。また、第三上端位置H31は、第一下端位置H12および第二下端位置H22のいずれに対しても下方位置に配設されている。本実施形態では、第二流路C2は、鉛直流路C12と同軸に、鉛直流路C12の下方側端部に接続されており、ストレーナ94は、鉛直流路C12に設けられている。そのため、流体に混入した異物は、規制面94rのいずれの位置で規制されても、自重によって下方に落下する際に、排出口95が接続されている第二流路C2に誘導され易い。また、第二流路C2に集積した異物は、第一実施形態と同様にして、排出口95から継ぎ手90の外部に排出することができる。よって、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第一実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90によれば、第四下端位置H42は、第一下端位置H12と比べて上方位置に配設されている。そのため、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第四下端位置H42が第一下端位置H12と同じ高さ位置に配設されている第一実施形態と比べて、下流側流路72から流体を逆流させることが容易である。よって、仮に、ストレーナ94が異物によって目詰まりした場合においても、ストレーナ94によって規制された異物は、第一実施形態と同様にして、除去することができ、排出口95から継ぎ手90の外部に排出することができる。
なお、本実施形態の第一流路C1は、鉛直流路C12を含んでおり、第一実施形態と比べて、流路が複雑である。そのため、ストレーナ94を溶着等によって第三内壁面91cに固定しようとすると、第一実施形態と比べて、作業が煩雑になり、作業性が低下する可能性がある。そこで、本実施形態では、開閉弁96は、ストレーナ94とともに鉛直方向(矢印Z方向)に移動可能な可動弁を用いると好適である。
具体的には、図8に示すように、開閉弁96は、鉛直方向(矢印Z方向)に延在する連結部材98によって、ストレーナ94と連結されている。連結部材98は、ストレーナ94と開閉弁96とを鉛直方向(矢印Z方向)に連結することができれば良く、材質、形状などは限定されない。連結部材98は、例えば、樹脂などの非金属材料で形成することができ、ステンレス鋼などの金属材料で形成することもできる。また、連結部材98は、例えば、棒状や筒状に形成することができる。なお、連結部材98が筒状の場合、連結部材98によって流体の流通が妨げられないように、連結部材98には、流体が流通可能な流通口98aを設けておくと良い。
本実施形態の開閉弁96は、ストレーナ94とともに鉛直方向(矢印Z方向)に移動可能な可動弁である。開閉弁96は、第二流路C2において、鉛直方向(矢印Z方向)に移動可能であれば良く、種類、材質などは、限定されない。開閉弁96は、例えば、第一実施形態と同様に、管用ねじを用いることができる。本実施形態の開閉弁96は、異物を排出するときには、ストレーナ94が異物の通過を規制しつつストレーナ94とともに鉛直方向下向き(矢印Z1方向)に移動して、排出口95を閉状態から開状態にする。また、開閉弁96は、異物の排出後には、ストレーナ94が異物の通過を規制しつつストレーナ94とともに鉛直方向上向き(矢印Z2方向)に移動して、排出口95を開状態から閉状態にする。
本実施形態では、ストレーナ94の高さ位置は、開閉弁96の移動とともに変化する。しかしながら、ストレーナ94の高さ位置がいずれの高さ位置であっても(排出口95が開状態、閉状態および移行状態のいずれの状態においても)、ストレーナ94は、異物の通過を規制することが望ましい。よって、本実施形態では、ストレーナ94が最も鉛直方向下向き(矢印Z1方向)に移動した状態のとき(排出口95が開状態のとき)においても、第一上端位置H11および第一下端位置H12は、第二上端位置H21と同じ高さ位置または第二上端位置H21と比べて上方位置に配設されていると良い。逆に、ストレーナ94が最も鉛直方向上向き(矢印Z2方向)に移動した状態のとき(排出口95が閉状態のとき)においても、第一上端位置H11および第一下端位置H12は、第四下端位置H42と同じ高さ位置または第四下端位置H42と比べて下方位置に配設されていると良い。
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90によれば、ストレーナ94は、鉛直流路C12内に設けられている。また、開閉弁96は、鉛直方向(矢印Z方向)に延在する連結部材98によってストレーナ94と連結されており、ストレーナ94とともに鉛直方向(矢印Z方向)に移動可能な可動弁である。そのため、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cに、ストレーナ94を固定する必要がなく、製造上の作業性が向上する。
また、開閉弁96は、異物を排出するときには、ストレーナ94が異物の通過を規制しつつストレーナ94とともに鉛直方向下向き(矢印Z1方向)に移動して、排出口95を閉状態から開状態にし、異物の排出後には、ストレーナ94が異物の通過を規制しつつストレーナ94とともに鉛直方向上向き(矢印Z2方向)に移動して、排出口95を開状態から閉状態にする。そのため、排出口95が開状態、閉状態および移行状態のいずれの状態においても、ストレーナ94は、流体に混入した異物の通過を規制することができる。よって、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、可動型のストレーナ94においても、上流側流路71から供給される流体の供給を中止することなく(燃料電池システム1の運転を中止することなく)、ストレーナ94によって異物を規制しつつ、規制された異物を排出口95から継ぎ手90の外部に排出することができる。以上のことは、次の第六実施形態においても同様である。
なお、鉛直流路C12の代わりに傾斜流路を用いることもできる。傾斜流路は、水平方向(矢印X方向)に沿った方向に対して、傾斜した流路をいう。しかしながら、鉛直流路C12の代わりに傾斜流路を用いると、傾斜流路を形成する内壁面に異物が堆積し易くなる。また、鉛直流路C12の代わりに傾斜流路を用いると、鉛直流路C12を用いる場合と比べて、継ぎ手90が大型化し易い。そのため、異物の堆積の抑制および継ぎ手90の小型化という観点からは、傾斜流路と比べて、鉛直流路C12を用いるのが良い。以上のことは、以降の実施形態においても同様である。
また、本実施形態では、ストレーナ94は、鉛直流路C12に設けられるので、ストレーナ94は、板状のストレーナ以外に、例えば、籠状のストレーナを用いることもできる。この場合、ストレーナ94の規制面94rは、籠内の底面に相当する。また、籠状のストレーナ94は、板状のストレーナ94と同様に、例えば、溶着、接着、カシメなどによって、固定することができ、既述の連結部材98によって、開閉弁96と連結することもできる。
<第六実施形態>
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、ストレーナ94が水平方向(矢印X方向)に対して傾斜した状態で、鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cに固定されている点で、概ね第五実施形態と異なる。
図9に示すように、ストレーナ94は、水平方向(矢印X方向)に対して傾斜した状態で、鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cに固定されている。具体的には、ストレーナ94は、水平方向(矢印X方向)に対して、水平方向流入口側(矢印X1方向)が上方に、かつ、水平方向流出口側(矢印X2方向)が下方に傾斜した状態で、鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cに固定されている。そのため、ストレーナ94は、規制面94rが楕円状に形成されている。図9に示す破線BL31は、楕円の長軸方向を示している。楕円の短軸方向は、紙面に垂直な方向である。本実施形態では、ストレーナ94は、規制面94rが第三軸線C3xと直交していない。
本実施形態においても、第一流路C1は、鉛直流路C12を含んでいる。また、第二流路C2は、鉛直流路C12と同軸に、鉛直流路C12の下方側端部に接続されている。さらに、ストレーナ94は、鉛直流路C12に設けられている。また、第三上端位置H31は、第一下端位置H12および第二下端位置H22のいずれに対しても下方位置に配設されている。さらに、第四下端位置H42は、第一下端位置H12と比べて上方位置に配設されている。よって、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第五実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
本実施形態では、第一上端位置H11は、第二上端位置H21と同じ高さ位置に配設されており、第一下端位置H12は、第二下端位置H22と同じ高さ位置に配設されている。なお、第一上端位置H11は、第二上端位置H21と比べて上方位置(第二上端位置H21と同じ高さ位置を含む)、かつ、第四上端位置H41と比べて下方位置(第四上端位置H41と同じ高さ位置を含む)の範囲に配設することができる。鉛直流路C12が鉛直方向上向き(矢印Z2方向)にさらに突出して延伸されている場合は、第一上端位置H11は、第四上端位置H41と比べて上方位置に配設することもできる。また、第二下端位置H22は、第三上端位置H31と比べて上方位置、かつ、第四下端位置H42と比べて下方位置(第四下端位置H42と同じ高さ位置を含む)の範囲に配設することができる。
このように、「ストレーナ94が鉛直流路C12に設けられる」には、ストレーナ94の規制面94rの全部が鉛直流路C12内に配設される場合の他、ストレーナ94の規制面94rの一部が鉛直流路C12外に配設される場合も含む。また、後述する実施形態に示すように、「ストレーナ94が鉛直流路C12に設けられる」には、ストレーナ94の規制面94rが鉛直流路C12に接した状態で、鉛直流路C12に近接して配設される場合も含まれる。なお、いずれの場合も、ストレーナ94は、流体に混入した異物の通過を規制可能に、かつ、規制された異物が自重によって落下可能に配設される必要がある。
また、ストレーナ94の水平方向(矢印X方向)に対する傾斜方向は、限定されない。図9の破線で示すストレーナ94xは、水平方向(矢印X方向)に対して、水平方向流入口側(矢印X1方向)が下方に、かつ、水平方向流出口側(矢印X2方向)が上方に傾斜した状態で、鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cに固定されている。この場合においても、燃料電池システム1の継ぎ手90は、第五実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
図9の破線で示すストレーナ94xでは、第一上端位置H11は、第四下端位置H42と同じ高さ位置に配設されており、第一下端位置H12は、第二上端位置H21と同じ高さ位置に配設されている。なお、図9の破線で示すストレーナ94xでは、第一上端位置H11および第一下端位置H12は、第二上端位置H21と比べて上方位置(第二上端位置H21と同じ高さ位置を含む)、かつ、第四下端位置H42と比べて下方位置(第四下端位置H42と同じ高さ位置を含む)の範囲に配設することができる。
<第七実施形態>
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、鉛直流路C12の上方側において、ストレーナ94の規制面94rが鉛直流路C12に接した状態で、ストレーナ94が鉛直流路C12に近接して配設されている点で、概ね第一実施形態および第五実施形態と異なる。
図10に示すように、第一流路C1は、鉛直流路C12を含んでいる。また、第二流路C2は、鉛直流路C12と同軸に、鉛直流路C12の下方側端部に接続されている。さらに、本実施形態では、ストレーナ94は、鉛直流路C12の上方側において、規制面94rが鉛直流路C12に接した状態で、鉛直流路C12に近接して配設されている。この場合、ストレーナ94は、仮想面94vが鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cと接するように配設されていると好適である。仮想面94vは、ストレーナ94の規制面94rを鉛直方向下向き(矢印Z1方向)に延伸した仮想の面をいう。
図11に示すように、本実施形態では、仮想面94vは、鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cと接している。同図では、仮想面94vは、実線で示されており、仮想面94vと第三内壁面91cとの接点は、接点P31で示されている。これにより、ストレーナ94は、破線BL41で示す場合と比べて、異物の通過を確実に規制することができる。また、ストレーナ94によって規制された異物は、破線BL42で示す場合と比べて、自重によって下方に落下する際に、鉛直流路C12および第二流路C2に誘導され易い。
破線BL41は、本実施形態と比べて、水平方向流入口側(矢印X1方向)にストレーナ94を配設した場合の仮想面94vの位置を示している。この場合、流体に混入した異物は、鉛直流路C12を迂回して、ストレーナ94の流出面94b側に流通することができる。そのため、ストレーナ94によって、異物の通過が規制されない場合が生じる。一方、破線BL42は、本実施形態と比べて、水平方向流出口側(矢印X2方向)にストレーナ94を配設した場合の仮想面94vの位置を示している。この場合、ストレーナ94によって規制された異物は、自重によって下方に落下する際に、ストレーナ94の流入面94a側の第一内壁面91aに堆積し易く、鉛直流路C12および第二流路C2に誘導され難い。
なお、破線BL43に示すように、仮想面94vが第三内壁面91cの形状に沿うように、ストレーナ94の規制面94rを形成することもできる。この場合、規制面94rは、鉛直方向(矢印Z方向)視において、円弧状に形成され、仮想面94vと第三内壁面91cとが接する部位が増大する。そのため、ストレーナ94によって規制された異物は、自重によって下方に落下する際に、本実施形態と比べて、鉛直流路C12および第二流路C2に誘導され易い。以上のように、仮想面94vと第三内壁面91cとの位置関係による作用効果は、第一実施形態で既述の接続口97と規制面94rとの位置関係による作用効果と同様である。
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90によれば、第一流路C1は、鉛直流路C12を含んでいる。また、第二流路C2は、鉛直流路C12と同軸に、鉛直流路C12の下方側端部に接続されている。さらに、ストレーナ94は、鉛直流路C12に設けられており、規制面94rが鉛直流路C12に接した状態で、鉛直流路C12に近接して配設されている。また、第三上端位置H31は、第一下端位置H12および第二下端位置H22のいずれに対しても下方位置に配設されている。本実施形態においても、燃料電池システム1の継ぎ手90は、第五実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。また、本実施形態のストレーナ94は、仮想面94vが鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cと接するように配設されている。よって、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第一実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、第一上端位置H11は、第二上端位置H21と比べて上方位置に配設されており、第一下端位置H12は、第二下端位置H22と比べて上方位置に配設されている。また、第一上端位置H11および第一下端位置H12は、いずれも第二上端位置H21と比べて上方位置に配設されている。さらに、第四上端位置H41は、第一上端位置H11と同じ高さ位置に配設されており、第四下端位置H42は、第一下端位置H12と同じ高さ位置に配設されている。
<第八実施形態>
本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、鉛直流路C12の下方側において、ストレーナ94の規制面94rが鉛直流路C12に接した状態で、ストレーナ94が鉛直流路C12に近接して配設されている点で、概ね第一実施形態および第五実施形態と異なる。
図12に示すように、第一流路C1は、鉛直流路C12を含んでいる。また、第二流路C2は、鉛直流路C12と同軸に、鉛直流路C12の下方側端部に接続されている。さらに、ストレーナ94は、鉛直流路C12に設けられており、鉛直流路C12の下方側において、規制面94rが鉛直流路C12に接した状態で、鉛直流路C12に近接して配設されている。また、第三上端位置H31は、第一下端位置H12および第二下端位置H22のいずれに対しても下方位置に配設されている。本実施形態においても、燃料電池システム1の継ぎ手90は、第五実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。また、第七実施形態と同様に、ストレーナ94は、仮想面94vが鉛直流路C12を形成する第三内壁面91cと接するように配設されていると好適である。
なお、本実施形態では、第一上端位置H11は、第二上端位置H21と比べて下方位置に配設されており、第一下端位置H12は、第二下端位置H22と比べて下方位置に配設されている。また、第一上端位置H11および第一下端位置H12は、いずれも第二下端位置H22と比べて下方位置に配設されている。さらに、第四上端位置H41は、第一上端位置H11と同じ高さ位置に配設されており、第四下端位置H42は、第一下端位置H12と同じ高さ位置に配設されている。
また、鉛直流路C12の下方側に着目すると、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第一実施形態と同様の構成を備えていると言える。つまり、第一実施形態と同様に、接続口97は、ストレーナ94の規制面94rと接している。よって、本実施形態の燃料電池システム1の継ぎ手90は、第一実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
<その他>
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、第一流路C1は、水平方向(矢印X方向)に対して、傾斜させて配設することもできる。また、第一流路C1および第二流路C2の流路断面積は、同一であっても異なっていても良い。さらに、第五実施形態〜第八実施形態において、流入口側流路C11および流出口側流路C13の流路断面積は、同一であっても異なっていても良い。また、流入口側流路C11および流出口側流路C13の流路断面積が異なる場合、流出口側流路C13の流路断面積は、流入口側流路C11の流路断面積と比べて、小さくすることもできる。