JP6451203B2 - レジストパターンの形成方法、パターンが形成された基板の製造方法 - Google Patents
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Description
また、この分野では、レジストパターンの精度を高める手段の一つとして、レジスト層上の帯電による精度の低下を抑制するために帯電防止膜(導電膜)を形成することが知られている。該帯電防止膜を形成する材料としては、酸性基を有する水溶性導電性ポリマーが多く使用されている。
しかし、該帯電防止膜が化学増幅型レジスト層上に形成されると、帯電防止膜の影響で、レジスト層の性能(感度等)の変化、パターン形状の変化等が起こる問題があった。
なお、以下の明細書において、残存モノマーや硫酸イオンなどと、酸性基置換ポリアニリンから脱離した酸性基とを総称して「酸性物質」という。
具体的には、レジスト層がポジ型の場合、酸性物質がレジスト層へ移行すると、現像時に未露光部のレジスト層が溶解してしまうため、レジスト層の膜減り、パターンの細り、高感度側への感度変動などが起こる。塩基性物質がレジスト層へ移行すると、露光部の酸が失活してしまい、パターン形状の変化や低感度側への感度変動などが起こる。
レジスト層がネガ型の場合、上記副生成物のレジスト層への移行は、各々逆の現象を引き起こす。
また、一方の表面にレジスト層と導電性膜とを有する基板に対する電子線の照射工程、露光後ベーク工程、現像工程を経ることでレジストパターンを形成する従来のプロセスに対し、電子線の照射工程の後、露光後ベーク工程の前に、水洗等によって導電性膜を除去する導電性膜除去工程を導入した方法が提案されている(特許文献2)。該導電性膜(帯電防止膜)は、加熱により酸を放出するが、露光後ベーク工程の前に導電性膜を除去することで、高精細なパターンを形成できるとされている。
特許文献1〜2に記載の方法では、帯電防止膜のレジストパターンへの影響(膜減り、硬化、パターン劣化等)をある程度抑制できるものの、半導体デバイスの微細化に伴うレジストパターン管理の厳格化の要求に完全には対応できない。
[1]ポジ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記保管工程の後、前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去し、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する水洗・現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ポジ型レジスト減膜率が10%以下である、レジストパターンの形成方法。
ポジ型レジスト減膜率={(A−B)/A}×100
(Aは帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Bは帯電防止膜を積層した場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
[2]前記水洗にアルカリ現像液を用い、前記帯電防止膜の除去と共に前記レジスト層の現像を行う、[1]に記載のレジストパターンの形成方法。
[3]ポジ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去する水洗工程と、
前記水洗工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ポジ型レジスト減膜率が4%以下である、レジストパターンの形成方法。
ポジ型レジスト減膜率={(A−B)/A}×100
(Aは帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Bは帯電防止膜を積層した場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去し、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する水洗・現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上12%以下である、レジストパターンの形成方法。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
[5]ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記保管工程の後、前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去し、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する水洗・現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上13%以下である、レジストパターンの形成方法。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
[6]前記水洗にアルカリ現像液を用い、前記帯電防止膜の除去と共に前記レジスト層の現像を行う、[4]または[5]に記載のレジストパターンの形成方法。
[7]ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去する水洗工程と、
前記水洗工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上3%以下である、レジストパターンの形成方法。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
[8]ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去する水洗工程と、
前記水洗工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上3%以下である、レジストパターンの形成方法。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
を有することを特徴とする、パターンが形成された基板の製造方法。
[10]前記パターンが形成された基板がフォトマスクである、[9]に記載のパターンが形成された基板の製造方法。
本発明において「導電性(を有する)」とは、その材料(ポリマー、組成物等)から形成された塗膜(膜厚10〜20nm)が1011Ω/□以下の表面抵抗値を有することを意味する。表面抵抗値は、前記塗膜に一定の電流を流した場合の電極間の電位差より求められる。
本発明において「水溶性」とは、単なる水、塩基および/または塩基性塩を含む水、酸を含む水、または水と水溶性有機溶媒との混合物10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。
本発明において「室温」とは、25℃を意味する。
本発明の第一の態様のレジストパターンの形成方法(以下、レジストパターンの形成方法(P1)ともいう。)は、
ポジ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク(以下、PEBともいう。)工程と、
前記PEB工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去し、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する水洗・現像工程と、
を有し、
下記ポジ型レジスト減膜率が6%以下であることを特徴とする。
ポジ型レジスト減膜率={(A−B)/A}×100
(Aは帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Bは帯電防止膜を積層した場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
基板としては、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、ガラス、石英ガラス、各種ウエハ、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、タンタル、ステンレス鋼等、及びこれらの基板表面に各種塗料や感光性樹脂がコーティングされているものなどを例示することができる。
ポジ型の化学増幅型レジストとしては、電子線に感度を有するものであれば特に限定されず、公知のものを使用できる。典型的には、電子線の照射により酸を発生する酸発生剤と、酸分解性基を有する構成単位を含む重合体とを含有するものが用いられる。
ポジ型レジスト層は公知の方法により形成できる。例えば基板の片面上に化学増幅型レジストの有機溶剤溶液を塗布し、必要に応じて加熱(プリベーク)を行うことによりポジ型レジスト層を形成できる。
導電性組成物としては、後述する導電性組成物(I)が好ましい。
導電性組成物の塗布方法としては、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法等の手法が挙げられる。
塗布後の加熱条件は、溶剤を蒸発させる点から、50〜100℃で1〜20分間程度が好ましい。
露光工程では、基板に対し、帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射(露光)する。これにより、基板と帯電防止膜との間のポジ型レジスト層に潜像が形成される。
このとき、ポジ型レジスト層の表面に帯電防止膜が設けられていることにより、帯電防止膜からアースをとることができ、基板全体の帯電を防止できる。そのため、帯電の影響でポジ型レジスト層に入射する電子の位置がずれることを抑制でき、目的とするレジストパターンに対応する潜像を精度良く形成できる。
PEB工程では、露光工程で電子線を照射した基板を加熱(PEB)する。これにより、ポジ型レジスト層の電子線照射部(露光部)で、酸発生剤から発生した酸の作用による反応が促進され、現像液への溶解性が増大する。なお、後述のネガ型レジスト層の場合は逆に、現像液への溶解性が低下する。
基板の加熱は、ホットプレートを用いる等の公知の方法により行うことができる。加熱条件は、レジストにより異なるが、帯電防止膜の耐熱性の点から、200℃以下、1時間以内が好ましい。
帯電防止膜は水溶性であるため、水洗を行うと、帯電防止膜が溶解除去される。また、ポジ型レジスト層を現像すると、ポジ型レジスト層の電子線照射部(露光部)が溶解除去され、ポジ型レジスト層の電子線未照射部(未露光部)からなるレジストパターンが形成される。
水洗は、水性液に接触させることを示す。水性液としては、単なる水、塩基および/または塩基性塩を含む水、酸を含む水、水と水溶性有機溶媒との混合物等が挙げられる。
方法(α):水洗にアルカリ現像液を用い、帯電防止膜の除去と共にポジ型レジスト層の現像を行う。
方法(β):水洗により帯電防止膜のみを除去し、次いで、現像液によりポジ型レジスト層を現像する。
方法(β)の水洗は、現像液に該当しない水性液、例えば水等を用いて行うことができる。現像は、方法(α)と同様、アルカリ現像液を用いて行うことができる。
現像後、またはリンス処理後、必要に応じて、レジストパターンが形成された基板を加熱(ポストベーク)してもよい。
前記の積層工程から水洗・現像工程までの一連の工程を経ることで、片面上にレジストパターンを有する基板が得られる。
レジストパターン形成方法(P1)においては、ポジ型レジスト減膜率が6%以下であり、2.5%未満であることが特に好ましい。
ポジ型レジスト減膜率={(A−B)/A}×100
上記式中、Aは、帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚、つまり、ポジ型レジスト層の電子線未照射部であって帯電防止膜で被覆されなかった部分の現像後の膜厚(nm)である。
Bは、帯電防止膜を積層した場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚、つまり、ポジ型レジスト層の電子線未照射部であって帯電防止膜で被覆された部分の現像後の膜厚(nm)である。
A、Bは、例えば後述の実施例に示す手順で測定できる。
レジストパターン形成方法(P1)において、ポジ型レジスト減膜率は、導電性組成物の組成等によって調整できる。
例えば導電性組成物として後述の導電性組成物(I)を用いることで、前記減膜率を6%以下にすることができる。
導電性組成物(I)は、導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含む。
導電性組成物(I)は、溶剤(d)をさらに含むことが好ましい。
導電性ポリマー(a)は、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する。
スルホン酸基及びカルボキシ基はそれぞれ、酸の状態(−SO3H、−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−SO3 −、−COO−)で含まれていてもよい。
スルホン酸基またはカルボキシ基の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩等が挙げられる。
導電性ポリマー(a)が有する酸性基は1種でも2種以上でもよい。
導電性ポリマー(a)に含まれる酸性基は、導電性向上の観点から、少なくとも一部が酸の状態(遊離酸型)であることが好ましい。
具体的には、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平1−301714号公報、特開平5−504153号公報、特開平5−503953号公報、特開平4−32848号公報、特開平4−328181号公報、特開平6−145386号公報、特開平6−56987号公報、特開平5−226238号公報、特開平5−178989号公報、特開平6−293828号公報、特開平7−118524号公報、特開平6−32845号公報、特開平6−87949号公報、特開平6−256516号公報、特開平7−41756号公報、特開平7−48436号公報、特開平4−268331号公報に示された導電性ポリマーなどが、溶解性の観点から好ましい。
また、イミノフェニレン、およびガルバゾリレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含み、該構成単位の窒素原子上に、前記酸性基、又は前記酸性基で置換されたアルキル基、又は前記酸性基で置換された、エーテル結合を含むアルキル基を有するπ共役系導電性ポリマーが挙げられる。
これらの中でも、導電性や溶解性の観点から、β位が前記酸性基で置換されたチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、およびイソチアナフテンからなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含むπ共役系導電性ポリマーが好ましい。
Aは、前記酸性基を表す。すなわち、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩のいずれかを表す。スルホン酸基およびカルボキシ基はそれぞれ、酸の状態(−SO3H、−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−SO3 −、−COO−)で含まれていてもよい。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩等が挙げられる。
R16は、炭素数1〜24のアルキレン基、炭素数1〜24のアリーレン基、又は炭素数1〜24のアラルキレン基を表す。
R17は、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアリール基、又は炭素数1〜24のアラルキル基を表す。R17は、炭素数1〜24のアルキレン基が好ましい。アルキル基は直鎖でも分岐でもよく、例えば−CH3、−C2H5等が挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基はそれぞれ、直鎖でも分岐でもよい。
前記一般式(1)で表される構成単位としては、製造が容易な点で、R1〜R4のうち、いずれか1つが炭素数1〜4のアルコキシ基であり、他のいずれか一つがスルホン酸基であり、残りが水素原子であるものが好ましい。
前記含有量は、導電性ポリマー(a)製造時の、モノマーの仕込み比から算出できる。
アルキル基、アルコキシ基はそれぞれ、直鎖でも分岐でもよい。
nは5〜2500の整数であることが好ましい。
導電性ポリマー(a)の質量平均分子量が2000以上であると、導電性、及び成膜性に優れる。質量平均分子量が100万以下であると、溶解性に優れる。
ここで、「成膜性」とは、ハジキ等が無い均一な膜となる性質のことを指し、ガラス上へのスピンコート等の方法で評価することができる。
導電性ポリマー(a)は公知の方法で製造できる。例えば、酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(モノマー)を、塩基性反応助剤の存在下、酸化剤を用いて重合することで得られる。
スルホン酸基置換アニリンとして代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体的にはo−,m−,p−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスルホン酸などが好ましく用いられる。
アミノベンゼンスルホン酸類以外のスルホン酸基置換アニリンとしては、例えば、メチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベンゼンスルホン酸、n−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、iso−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、t−ブチルアミノベンゼンスルホン酸等のアルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類;メトキシアミノベンゼンスルホン酸、エトキシアミノベンゼンスルホン酸、プロポキシアミノベンゼンスルホン酸等のアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ニトロ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;フルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロアミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホン酸等のハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類;それらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩;等が挙げられる。
これらのスルホン酸基置換アニリンはそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
塩基性反応助剤としては、無機塩基が好ましく、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
また、無機塩基以外では、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン等の脂式アミン類;ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン等の環式不飽和アミン類が、塩基性反応助剤として好ましく用いられる。
これらの塩基性反応助剤はそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
これらの酸化剤はそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合後は、通常、遠心分離器等の濾過器により溶媒を濾別する。さらに、必要に応じて濾過物を洗浄液により洗浄した後、乾燥させて、重合体(導電性ポリマー(a))を得る。
従って、導電性ポリマー(a)を精製してオリゴマー、酸性物質、塩基性物質などを除去することが好ましい。これらを除去することで導電性がより向上する。
イオン交換法を用いることにより、導電性ポリマーの酸性基と塩を形成した状態で存在する塩基性物質や、酸性物質などを効果的に除去でき、純度の高い導電性ポリマー(a)を得ることができる。
なお、イオン交換法で酸性物質や塩基性物質等を除去する場合は、重合で得られた反応混合物を所望の固形分濃度になるように水性媒体に溶解させ、反応混合物溶液としてから酸性物質や塩基性物質等を除去する。
水性媒体としては、水、水溶性有機溶媒、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒は、水に可溶な有機溶媒であり、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類;乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類;等が挙げられる。
陽イオン交換樹脂としては、例えばオルガノ株式会社製の「アンバーライトIR−120B」などが挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、例えばオルガノ株式会社製の「アンバーライトIRA410」などが挙げられる。
なお、精製後の導電性ポリマー(a)は、水などの水性媒体に分散または溶解した状態である。従って、エバポレータなどで水性媒体を全て除去すれば固体状の導電性ポリマー(a)が得られるが、導電性ポリマー(a)は溶媒に分散または溶解した状態のまま導電性組成物の製造に用いてもよい。
塩基性化合物(b)は、導電性ポリマー(a)の酸性基と塩を形成しやすく、酸性基を安定化して帯電防止膜からの酸性物質のレジストパターンへの影響を抑制する効果に優れる点から、下記の第4級アンモニウム塩(b−1)および塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
第4級アンモニウム塩(b−1):窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩。
塩基性化合物(b−2):2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物。
化合物(b−1)において、第4級アンモニウムイオンの窒素原子に結合する炭素数3以上の炭化水素基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基等が挙げられる。
アルキル基は、直鎖でも分岐でもよく、炭素数3〜6のアルキル基が好ましい。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
窒素原子に結合する4つの置換基のうち、炭素数3以上の炭化水素基であるのは1つでも2つ以上でもよい。2つ以上が炭素数3以上の炭化水素基である場合、各炭化水素基は同じでも異なってもよい。
窒素原子に結合する置換基として、炭素数3以上の炭化水素基以外の他の基を有していてもよい。該他の基としては、例えばメチル基、エチル基、炭素数1〜6のアルコキシ基等が挙げられる。
化合物(b−1)において、第4級アンモニウムイオンと塩を形成する対イオン(アニオン)としては、例えば、SO3 −、OH−、NO3 −、またはハロゲンイオン(F−、Cl−、Br−、またはI−)等が挙げられる。
塩基性化合物(b−2)としては、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
これらの塩基性化合物は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
他の塩基性化合物としては、例えば、第4級アンモニウム塩(b−1)以外の他の第4級アンモニウム塩、第1級〜第3級の塩基性化合物等が挙げられる。
他の第4級アンモニウム塩としては、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
水溶性ポリマー(c)としては、本発明の効果を有する限り特に限定はされず、種々の水溶性ポリマーを用いることができる(ただし、導電性ポリマー(a)を除く。)。
水溶性ポリマー(c)としては、導電性組成物をレジスト層表面に塗布する際の塗布性の観点から、界面活性能を有するものが好ましく、例えばノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
水溶性ポリマー(c1)としては、例えば、含窒素官能基を有するビニルモノマーのホモポリマー、または該ビニルモノマーと他のビニルモノマーとのコポリマーであり、かつ水溶性であれば特に限定されない。
含窒素官能基を有するビニルモノマーとしては、アクリルアミドおよびその誘導体、含窒素官能基を有する複素環状モノマー等が挙げられ、その中でも、アミド結合を持つものが好ましい。具体的には、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。これらの中でも、アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタムが特に好ましい。
他のビニルモノマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーと共重合可能であれば特に制限されないが、例えばスチレン、アクリル酸、酢酸ビニル、α−オレフィン等が挙げられる。
末端疎水性基の炭素数は、界面活性能の点から、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上がさらに好ましく、13以上が特に好ましい。また、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、30以下が特に好ましい。
水溶性ポリマー(c2)中の末端疎水性基の数は特に制限されない。同一分子内に末端疎水性基を2つ以上有する場合、末端疎水性基は同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
水溶性ポリマー(c1)への末端疎水性基の導入方法としては特に制限されないが、通常、ビニル重合時の連鎖移動剤を選択することにより導入するのが簡便で好ましい。この場合、連鎖移動剤としてはアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基等の疎水性基を含む基が、得られる重合体の末端に導入されるものであれば特に限定はされない。例えば、末端疎水性基としてアルキルチオ基、アラルキルチオ基、またはアリールチオ基を有する水溶性ポリマーを得る場合は、これらの末端疎水性基に対応する疎水性基を有する連鎖移動剤、具体的にはチオール、ジスルフィド、チオエーテルなどを用いてビニル重合することが好ましい。
ここで、「低分子量成分」とは、質量平均分子量が、500〜1000程度のオリゴマー成分のことを意味する。
水溶性ポリマー(c)の質量平均分子量は、後述の実施例に示す方法で測定される。
溶剤(d)としては、導電性ポリマー(a)、塩基性化合物(b)及び水溶性ポリマー(c)を溶解することができる溶剤であれば、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、水、または水と有機溶剤との混合溶剤が好ましく用いられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、エチルイソブチルケトン等が挙げられる。エチレングリコール類としては、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。プロピレングリコール類としては、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等が挙げられる。アミド類としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。ピロリドン類としては、N−エチルピロリドン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
混合溶剤における水と有機溶剤との質量比は、水/有機溶剤=1/100〜100/1であることが好ましく、2/100〜100/2であることがより好ましい。
導電性組成物(I)は、導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを混合することで得られる。
導電性ポリマー(a)としては、精製後の導電性ポリマー(a)を用いることが好ましい。
精製後の導電性ポリマー(a)は、上述したように、水などの水性媒体に分散または溶解した状態(以下、この状態の導電性ポリマー(a)を導電性ポリマー溶液ともいう。)で得られる。そのため、導電性ポリマー溶液に塩基性化合物(b)と水溶性ポリマー(c)とを添加して導電性組成物(I)を製造することができる。
導電性ポリマー溶液に塩基性化合物(b)および水溶性ポリマー(c)を添加する方法としては特に制限されず、それぞれ任意の温度および添加速度で導電性ポリマー溶液に添加することができる。通常は、導電性ポリマー溶液を室温に保持し、攪拌しながら塩基性化合物(b)および水溶性ポリマー(c)を添加することが好ましい。塩基性化合物(b)、水溶性ポリマー(c)はそれぞれ、固体状のもの添加してもよく、水などの水性媒体に分散または溶解した状態で添加してもよい。
本発明の第二の態様のレジストパターンの形成方法(以下、レジストパターンの形成方法(P2)ともいう。)は、
ポジ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記保管工程の後、前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を加熱するPEB工程と、
前記PEB工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去し、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する水洗・現像工程と、
を有し、
下記ポジ型レジスト減膜率が10%以下であることを特徴とする。
ポジ型レジスト減膜率={(A−B)/A}×100
(Aは帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Bは帯電防止膜を積層した場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
保管工程における保管期間、温度、湿度等の保管条件は、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、2か月以内、5℃〜30℃、70%以下が好ましい。
レジストパターン形成方法(P2)においては、ポジ型レジスト減膜率が10%であり、3.1%未満であることが特に好ましい。
レジストパターン形成方法(P2)において、ポジ型レジスト減膜率は、導電性組成物の組成等によって調整できる。
例えば導電性組成物として前述の導電性組成物(I)を用いることで、ポジ型レジスト減膜率を10%以下にすることができる。
本発明の第三の態様のレジストパターンの形成方法(以下、レジストパターンの形成方法(P3)ともいう。)は、
ポジ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去する水洗工程と、
前記水洗工程の後、前記基板を加熱するPEB工程と、
前記PEB工程の後、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有し、
下記ポジ型レジスト減膜率が3%以下であることを特徴とする。
ポジ型レジスト減膜率={(A−B)/A}×100
(Aは帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Bは帯電防止膜を積層した場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
水洗工程は、レジストパターンの形成方法(P1)の水洗・現像工程における水洗と同様に実施できる。
レジストパターン形成方法(P3)においては、ポジ型レジスト減膜率が3%であり、1%未満であることが特に好ましい。
レジストパターン形成方法(P3)において、ポジ型レジスト減膜率は、導電性組成物の組成等によって調整できる。
例えば導電性組成物として前述の導電性組成物(I)を用いることで、ポジ型レジスト減膜率を3%以下にすることができる。
本発明の第四の態様のレジストパターンの形成方法(以下、レジストパターンの形成方法(P4)ともいう。)は、
ポジ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去する水洗工程と、
前記水洗工程の後、前記基板を加熱するPEB工程と、
前記PEB工程の後、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有し、
下記ポジ型レジスト減膜率が4%以下であることを特徴とする。
ポジ型レジスト減膜率={(A−B)/A}×100
(Aは帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Bは帯電防止膜を積層した場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
保管工程は、レジストパターンの形成方法(P2)の保管工程と同様に実施できる。
レジストパターン形成方法(P4)においては、ポジ型レジスト減膜率が4%であり、1.3%未満であることが特に好ましい。
レジストパターン形成方法(P4)において、ポジ型レジスト減膜率は、導電性組成物の組成等によって調整できる。
例えば導電性組成物として前述の導電性組成物(I)を用いることで、ポジ型レジスト減膜率を4%以下にすることができる。
本発明の第五の態様のレジストパターンの形成方法(以下、レジストパターンの形成方法(N1)ともいう。)は、
ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を加熱するPEB工程と、
前記PEB工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去し、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する水洗・現像工程と、
を有し、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上12%以下であることを特徴とする。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
ネガ型レジスト層を現像すると、ポジ型レジスト層の場合とは逆に、電子線未照射部(未露光部)が溶解除去され、ネガ型レジスト層の電子線照射部(露光部)からなるレジストパターンが形成される。
ネガ型レジスト層は、ポジ型レジスト層と同様、公知の方法により形成できる。
レジストパターン形成方法(N1)においては、ネガ型レジスト減膜率が0%以上12%以下であり、0%以上7%未満であることが特に好ましい。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
上記式中、Cは、帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚、つまり、ネガ型レジスト層の電子線照射部であって帯電防止膜で被覆されなかった部分の現像後の膜厚(nm)である。
Dは、帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚、つまり、ネガ型レジスト層の電子線照射部であって帯電防止膜で被覆された部分の現像後の膜厚(nm)である。
C、Dは、例えば後述の実施例に示す手順で測定できる。
レジストパターン形成方法(N1)において、ネガ型レジスト減膜率は、導電性組成物の組成等によって調整できる。
例えば導電性組成物として前述の導電性組成物(I)を用いることで、ネガ型レジスト減膜率を12%以下にすることができる。
本発明の第六の態様のレジストパターンの形成方法(以下、レジストパターンの形成方法(N2)ともいう。)は、
ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記保管工程の後、前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を加熱するPEB工程と、
前記PEB工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去し、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する水洗・現像工程と、
を有し、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上13%以下であることを特徴とする。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
ネガ型レジスト層は前記と同様である。
レジストパターン形成方法(N2)においては、ネガ型レジスト減膜率が0%以上13%以下であり、0%以上9.2%未満であることが特に好ましい。
レジストパターン形成方法(N2)において、ネガ型レジスト減膜率は、導電性組成物の組成等によって調整できる。
例えば導電性組成物として前述の導電性組成物(I)を用いることで、ネガ型レジスト減膜率を0%以上13%以下にすることができる。
本発明の第七の態様のレジストパターンの形成方法(以下、レジストパターンの形成方法(N3)ともいう。)は、
ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去する水洗工程と、
前記水洗工程の後、前記基板を加熱するPEB工程と、
前記PEB工程の後、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有し、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上3%以下であることを特徴とする。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
ネガ型レジスト層は前記と同様である。
レジストパターン形成方法(N3)においては、ネガ型レジスト減膜率が0%以上3%であり、0%以上1%未満であることが特に好ましい。
レジストパターン形成方法(N3)において、ネガ型レジスト減膜率は、導電性組成物の組成等によって調整できる。
例えば導電性組成物として前述の導電性組成物(I)を用いることで、ネガ型レジスト減膜率を0%以上3%以下にすることができる。
本発明の第八の態様のレジストパターンの形成方法(以下、レジストパターンの形成方法(N4)ともいう。)は、
ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去する水洗工程と、
前記水洗工程の後、前記基板を加熱するPEB工程と、
前記PEB工程の後、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有し、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上3%以下であることを特徴とする。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。)
ネガ型レジスト層は前記と同様である。
レジストパターン形成方法(N4)においては、ネガ型レジスト減膜率が0%以上3%以下であり、0%以上1.5%未満であることが特に好ましい。
レジストパターン形成方法(N4)において、ネガ型レジスト減膜率は、導電性組成物の組成等によって調整できる。
例えば導電性組成物として前述の導電性組成物(I)を用いることで、ネガ型レジスト減膜率を0%以上3%以下にすることができる。
本発明のパターンが形成された基板の製造方法は、前述のレジストパターンの形成方法(P1)、(P2)、(P3)、(P4)、(N1)、(N2)、(N3)または(N4)によりレジストパターンを形成して、片面上にレジストパターンが形成された基板を得る工程(以下、レジストパターン形成工程)、を有する。
該レジストパターン工程により、片面上にレジストパターンを有する基板が得られる。
また、エッチング工程の後に基板上にレジストパターンが残存する場合は、基板上のレジストパターンを剥離剤によって除去する工程をさらに有してもよい。
後述の各例で用いた評価方法を以下に示す。
水溶性ポリマー(c)の0.1質量%水溶液を、0.45μmのメンブレンフィルターにて濾過し、サンプルを調製した。前記サンプルのGPC測定を以下の条件で行い、水溶性ポリマー(c)の質量平均分子量について評価を行った。
測定機:TOSOH GPC−8020(東ソー社製)。
溶離液:0.2M−NaNO3−DIW/アセトニトリル=80/20(v/v)。
カラム温度:30℃。
検量線:EasiVial(登録商標)ポリエチレングリコール/オキシド(PolymerLab社製)を用いて作成。
導電性組成物を、ガラス基材上に、スピンコート塗布(2000rpm×60秒間)した後、ホットプレートにて80℃、2分間加熱処理を行い、膜厚10〜30nmの塗膜を形成して導電体を得た。
得られた導電体の表面抵抗値[Ω/□]を、ハイレスタMCP−HT260(三菱化学社製)を用い2端子法(電極間距離20mm)にて測定した。
水溶性ポリマー(c)の粉末5mgを用い、示差走査熱量測定(DSC)を以下の条件で行い、水溶性ポリマー(c)のガラス転移温度について評価を行った。
測定機:Thermoplus EV0 DSC 8230(Rigaku社製)。
雰囲気:窒素。
流量:50mL/min。
昇温速度:150℃(10℃/min)、20℃(50℃/min)、150℃(10℃/min)。
リファレンス:アルミナ。
[1.帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚Aの測定]
化学増幅型電子線ポジ型レジスト(例えば、市販されている富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製ポジ型レジストFEP−171等が挙げられる。以下、「ポジ型レジスト」と略す。)を使用し、帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚Aを、以下の方法で測定した。
(1)レジスト膜形成:4インチシリコンウエハー(基板)上にポジ型レジストを2000rpmで60秒間回転塗布した後、130℃で90秒間プリベークを行って溶剤を除去した。これにより、膜厚400nmのポジ型レジスト層を得た。
(2)ベーク処理:ポジ型レジスト層が積層された基板を、空気雰囲気下、ホットプレートにて、120℃で20分間加熱し、その後、基板を空気雰囲気下、常温(25℃)で90秒間静置した。
(3)現像:2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液よりなる現像液20mLをポジ型レジスト層の表面に滴下した。60秒間静置した後、2000rpmで回転させて現像液を除去し、その後60秒間回転を維持して乾燥させた。
(4)ポジ型レジスト層を一部剥離した後、触針式段差計(Stylus profiler P−16+, KLA−Tencor Corporation製)を用い、現像後膜厚A(nm)を測定した。
ポジ型レジストおよび導電性組成物を使用し、帯電防止膜を積層した場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚Bの測定を、導電性組成物により形成される塗膜(帯電防止膜)を除去するタイミングが異なる2種類の手順で実施した。それぞれ、ベーク処理後に水洗により塗膜を除去するPEB後剥離工程と、ベーク処理前に水洗により塗膜を除去するPEB前剥離工程である。ポジ型レジストは、現像後膜厚Aの測定に用いたものと同じである。
(1)レジスト膜形成:4インチシリコンウエハー(基板)上にポジ型レジストを2000rpmで60秒間回転塗布した後、130℃で90秒間プリベークを行って、溶剤を除去した。これにより、膜厚400nmのポジ型レジスト層を得た。
(2)帯電防止膜形成:基板上に形成されたポジ型レジスト層の表面に、導電性組成物2mLを滴下し、ポジ型レジスト層の表面全面を覆うように配置した後、スピンコーターにて2000rpmで60秒間回転塗布して膜厚10〜30nmの帯電防止膜を作成した。
(3)ベーク処理:帯電防止膜とポジ型レジスト層が積層された基板を、空気雰囲気下、ホットプレ−トにて、120℃で20分間加熱し、その後、基板を空気雰囲気下、常温(25℃)で90秒間静置した。
(4)水洗:帯電防止膜を、20mLの水で洗い流した。その後、スピンコーターにて2000rpmで60秒間回転させ、ポジ型レジスト層の表面の水を除去した。
(5)現像:2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液よりなる現像液20mLをポジ型レジスト層の表面に滴下した。60秒間静置した後、2000rpmで回転させて現像液を除去し、その後60秒間回転を維持して乾燥させた。
(6)ポジ型レジスト層を一部剥離した後、触針式段差計(Stylus profiler P−16+, KLA−Tencor Corporation製)を用い、現像後膜厚B(nm)を測定した。
以下の計算式により、ポジ型レジスト減膜率(帯電防止膜に起因する減膜率)(%)を算出した。
ポジ型レジスト減膜率={(A−B)/A}×100
化学増幅型レジストは、レジスト層形成後の保管期間によって、現像液への感度が異なり、現像後膜厚が異なる。
前記の現像後膜厚A、Bそれぞれの測定では一連の手順を連続的に実施した(保管無)が、経時の影響を見積もるために、ベーク処理前の基板を乾燥空気(相対湿度20%以下)で1週間保管する工程を追加し、それ以外は前記と同じ条件で現像後膜厚A、Bを測定し、ポジ型レジスト減膜率を算出した。
[1.ネガ型レジスト層の現像後膜厚C、Dの測定]
化学増幅型電子線ネガ型レジスト(例えば、市販されている富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製ネガ型レジストFEN−271等が挙げられる。以下、「ネガ型レジスト」と略す。)を使用し、PEB後剥離工程でのレジストの現像後膜厚C、Dを、以下の方法で測定した。
(1)レジスト膜形成:4インチシリコンウエハー(基板)上にネガ型レジストを2000rpmで60秒間回転塗布した後、120℃で90秒間プリベークを行って溶剤を除去した。これにより、膜厚400nmのネガ型レジスト層を得た。
(2)帯電防止膜形成:基板上に形成されたネガ型レジスト層の表面の中心より外側(中心と端の中点)に、導電性組成物0.1mLを滴下した後、スピンコーターにて2000rpmで60秒間回転塗布して膜厚10〜30nmの帯電防止膜を部分的に作成した。
(3)ベーク処理:帯電防止膜とネガ型レジスト層が積層された基板を、空気雰囲気下、ホットプレ−トにて、130℃で5分間加熱し、その後、基板を空気雰囲気下、常温(25℃)で90秒間静置した。
(4)水洗:帯電防止膜を、20mLの水で洗い流した。その後、スピンコーターにて2000rpmで60秒間回転させ、レジスト表面の水を除去した。
(5)現像:2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液よりなる現像液20mLをレジスト表面に滴下した。15秒間静置した後、2000rpmで回転させて現像液を除去し、その後60秒間回転を維持して乾燥させた。
(6)帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の一部と、帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の一部を剥離した後、触針式段差計(Stylus profiler P−16+,KLA−Tencor Corporation製)を用い、各部位のネガ型レジスト層の膜厚(nm)を測定した。帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の膜厚を現像後膜厚C、帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の膜厚を現像後膜厚Dとした。
以下の計算式により、ネガ型レジスト減膜率(%)を算出した。なお、減膜率がマイナス(−)となる場合は、帯電防止膜の被覆により、ネガ型レジストが現像液に難溶化していることを示す。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
前記の現像後膜厚C、Dそれぞれの測定では一連の手順を連続的に実施した(保管無)が、経時の影響を見積もるために、ベーク処理前の基板を乾燥空気(相対湿度20%以下)で1週間保管する工程を追加し、それ以外は前記と同じ条件で現像後膜厚C、Dを測定し、ネガ型レジスト減膜率を算出した。
3−アミノアニソール−4−スルホン酸1molを、4mol/L濃度のピリジン溶液(溶媒:水/アセトニトリル=3/7)300mLに0℃で溶解し、モノマー溶液を得た。別途、ペルオキソ二硫酸アンモニウム1molを、水/アセトニトリル=3/7の溶液1Lに溶解し、酸化剤溶液を得た。ついで、酸化剤溶液を5℃に冷却しながら、モノマー溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間さらに攪拌して、導電性ポリマーを得た。その後、得られた導電性ポリマーを含む反応混合物を遠心濾過器にて濾別した。さらに、メタノールにて洗浄した後乾燥させ、粉末状の導電性ポリマー(a−1−1)185gを得た。
得られた導電性ポリマー(a−1−1)20gを、超純水980gに溶解させ、固形分濃度2質量%の導電性ポリマー水溶液(a−1−2)1000gを得た。
超純水により洗浄した陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIR−120B」)500mLをカラムに充填した。このカラムに、導電性ポリマー水溶液(a−1−2)1000gを、50mL/分(SV=6)の速度で通過させて、塩基性物質等が除去された導電性ポリマー水溶液(a−1−3)900gを得た。
次に、超純水により洗浄した陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIRA410」)500mLをカラムに充填した。このカラムに、導電性ポリマー水溶液(a−1−3)900gを、50mL/分(SV=6)の速度で通過させて、塩基性物質等が除去された導電性ポリマー水溶液(a−1)800gを得た。
この導電性ポリマー水溶液(a−1)についてイオンクロマトグラフィにより組成分析を行ったところ、残存モノマーは60%、硫酸イオンは99%、塩基性物質は99%以上除去されていた。また、導電性ポリマー水溶液(a−1)についてGPC測定を行ったところ、導電性ポリマーの質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算)は1万であった。
なお、1スベルドラップ(SV)は 1×106m3/s(1GL/s)と定義される。
含窒素官能基を含むビニルモノマーとしてN−ビニルピロリドン46g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル5.1g、末端疎水性基導入のための連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン1.7gを、溶剤であるイソプロピルアルコール100mLに攪拌溶解して反応溶液を得た。その後、予め80℃に加熱しておいたイソプロピルアルコール中に、前記反応溶液を1mL/minの滴下速度で滴下し、滴下重合を行った。滴下重合は、イソプロピルアルコールの温度を80℃に保ちながら行った。滴下終了後、80℃で更に2時間熟成した後、放冷した。その後、減圧濃縮を行い、得られた反応物を少量のアセトンに再溶解させた。この反応物のアセトン溶液を、過剰のn−ヘキサンに滴下することで得られた白色沈殿を濾別し、n−ヘキサンで洗浄した後乾燥させ、38gの水溶性ポリマー(c−1)を得た。水溶性ポリマー(c−1)の質量平均分子量は1000、ガラス転移温度は51℃であった。
含窒素官能基を含むビニルモノマーとしてN−ビニルピロリドン46g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.84g、末端疎水性基導入のための連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.14gを、溶剤であるイソプロピルアルコール100mLに攪拌溶解して反応溶液を得た。その後、予め80℃に加熱しておいたイソプロピルアルコール中に、前記反応溶液を1mL/minの滴下速度で滴下し、滴下重合を行った。滴下重合は、イソプロピルアルコールの温度を80℃に保ちながら行った。滴下終了後、80℃で更に2時間熟成した後、放冷した。その後、減圧濃縮を行い、得られた反応物を少量のアセトンに再溶解させた。この反応物のアセトン溶液を、過剰のn−ヘキサンに滴下することで得られた白色沈殿を濾別し、n−ヘキサンで洗浄した後乾燥させ、38gの水溶性ポリマー(c−2)を得た。水溶性ポリマー(c−2)の質量平均分子量は4380、ガラス転移温度は113℃であった。
含窒素官能基を含むビニルモノマーとしてN−ビニルピロリドン46g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.84g、末端疎水性基導入のための連鎖移動剤としてn−オクタデシルメルカプタン0.14gを、溶剤であるイソプロピルアルコール100mLに攪拌溶解して反応溶液を得た。その後、予め80℃に加熱しておいたイソプロピルアルコール中に、前記反応溶液を1mL/minの滴下速度で滴下し、滴下重合を行った。滴下重合は、イソプロピルアルコールの温度を80℃に保ちながら行った。滴下終了後、80℃で更に2時間熟成した後、放冷した。その後、減圧濃縮を行い、得られた反応物を少量のアセトンに再溶解させた。この反応物のアセトン溶液を、過剰のn−ヘキサンに滴下することで得られた白色沈殿を濾別し、n−ヘキサンで洗浄した後乾燥させ、45gの水溶性ポリマー(c−3)を得た。水溶性ポリマー(c−3)の質量平均分子量は4800、ガラス転移温度は114℃であった。
製造例1で得られた導電性ポリマー水溶液(a−1)、製造例2〜4で得られた水溶性ポリマー(c−1)〜(c−3)の4.5%水溶液、並びに以下に示す塩基性化合物水溶液(b−11)〜(b−18)、イソプロピルアルコール(IPA)および水を用いて、表1の通り、導電性組成物1〜14、16〜19を調製した。
b−11:水酸化テトラブチルアンモニウム5%水溶液。
b−12:水酸化テトラプロピルアンモニウム5%水溶液。
b−13:水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム5%水溶液。
b−14:水酸化テトラメチルアンモニウム5%水溶液。
b−15:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン5%水溶液。
b−16:ピリジン5%水溶液。
b−17:アンモニア5%水溶液。
b−18:トリエチルアミン5%水溶液。
また、導電性組成物15として、三菱レイヨン社製aquaSAVE−57xsを用いた。
導電性組成物として表1に示すものを用いて、上記の導電性評価、ポジ型レジスト減膜率評価、ネガ型レジスト減膜率評価をそれぞれ行った。結果を表2に示す。
表2〜3中の「経時有」は、ベーク処理前の基板乾燥空気(相対湿度20%以下)で1週間保管する工程を行ったことを示し、「経時無」は、前記の保管する工程を行わず、一連の手順を連続的に実施したことを示す。
また、保管の有無や帯電防止膜の剥離のタイミングの違い等のプロセスの違いはポジ型レジスト減膜率及びネガ型レジスト減膜率に影響するが、実施例1〜14の方が、プロセスの違いによる減膜率の差が少なかった。
Claims (10)
- ポジ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記保管工程の後、前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去し、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する水洗・現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ポジ型レジスト減膜率が10%以下である、レジストパターンの形成方法。
ポジ型レジスト減膜率={(A−B)/A}×100
(Aは帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Bは帯電防止膜を積層した場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。) - 前記水洗にアルカリ現像液を用い、前記帯電防止膜の除去と共に前記レジスト層の現像を行う、請求項1に記載のレジストパターンの形成方法。
- ポジ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去する水洗工程と、
前記水洗工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ポジ型レジスト減膜率が4%以下である、レジストパターンの形成方法。
ポジ型レジスト減膜率={(A−B)/A}×100
(Aは帯電防止膜を積層しない場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Bは帯電防止膜を積層した場合のポジ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。) - ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去し、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する水洗・現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上12%以下である、レジストパターンの形成方法。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。) - ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記保管工程の後、前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去し、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する水洗・現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上13%以下である、レジストパターンの形成方法。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。) - 前記水洗にアルカリ現像液を用い、前記帯電防止膜の除去と共に前記レジスト層の現像を行う、請求項4または5に記載のレジストパターンの形成方法。
- ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去する水洗工程と、
前記水洗工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上3%以下である、レジストパターンの形成方法。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。) - ネガ型の化学増幅型レジストからなるレジスト層を片面上に有する基板の前記レジスト層の表面に、導電性組成物を塗布して帯電防止膜を形成する積層工程と、
前記基板を保管する保管工程と、
前記基板に対し、前記帯電防止膜の側から電子線をパターン状に照射する露光工程と、
前記露光工程の後、水洗により前記帯電防止膜を除去する水洗工程と、
前記水洗工程の後、前記基板を加熱する露光後ベーク工程と、
前記露光後ベーク工程の後、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有し、
前記導電性組成物が、スルホン酸基、カルボキシ基およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性基を有する導電性ポリマー(a)と、塩基性化合物(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含み、
前記塩基性化合物(b)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩(b−1)、および2つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(b−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
下記ネガ型レジスト減膜率が0%以上3%以下である、レジストパターンの形成方法。
ネガ型レジスト減膜率={(C−D)/C}×100
(Cは帯電防止膜未被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)であり、Dは帯電防止膜被覆部のネガ型レジスト層の現像後膜厚(nm)である。) - 請求項1〜8のいずれか一項に記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンを形成して、片面上にレジストパターンが形成された基板を得る工程、
を有することを特徴とする、パターンが形成された基板の製造方法。 - 前記パターンが形成された基板がフォトマスクである、請求項9に記載のパターンが形成された基板の製造方法。
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