JP6450258B2 - ゴム組成物、タイヤ及びゴム組成物の製造方法 - Google Patents

ゴム組成物、タイヤ及びゴム組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関するものである。
タイヤ等に使用するゴム組成物は多量のゴムを原料として含んでおり、例えば、乗用車用空気入りタイヤの場合、通常、ゴム組成物の50質量%以上が天然ゴムと合成ゴムとを配合したゴム成分からなる。したがって、これらのゴム組成物及び当該ゴム組成物を使用したタイヤは、原油価格の高騰や天候不良によるゴムの不作等の影響を受け、原料コストが上昇するおそれ、及び安定した製品の供給が困難となるおそれがある。
また、近年では世界的に環境問題が重視される傾向にあり、特に地球温暖化防止の観点からCO2の排出量の規制が強化され、石油資源の使用量の低減が求められていると共に、資源循環型社会の形成が求められている。
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、全重量の75重量%以上を石油外資源からなる原材料で構成した、いわゆるエコタイヤが開示されている。
また、特許文献2には、ゴム成分の使用量を低減したゴム組成物及びタイヤとして、ゴム成分に、コーヒー粕又は茶殻等の植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物及び少なくとも一部に当該ゴム組成物を用いたタイヤが開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2のタイヤは、いずれも、植物資源抽出残渣の使用により、石油資源の使用量は低減でき、環境負荷を抑えることができるものの、タイヤ性能、特に、破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性については、石油資源材料を用いた場合に比べると劣るため、さらなる改良が望まれていた。
そのため、主に耐熱老化性の向上を目的として、特許文献3〜7には、ゴム成分、乾燥した茶殻及び充填材等を含むマスターバッチを形成し、ゴム組成物とすることで、耐熱老化性及びその他のゴム特性(耐オゾン性、耐摩耗性又は接着性等)を向上させる、技術が開示されている。
特開2003−63206号公報 国際公開第2009/154118号 特開2011−132321号公報 特開2010−242072号公報 特開2010−168490号公報 特開2010−168472号公報 特開2010−065103号公報
しかしながら、特許文献3〜7に記載されたタイヤは、いずれも、破壊強度、耐摩耗性及び耐カット性についての改善は十分に図られていなかった。さらに、耐熱老化性の向上についても、一定の効果が望めるものの、製品として使用するには十分でなく、さらなる改良が望まれていた。
そのため、本発明は、環境負荷の小さい材料を利用して、良好な、破壊強度、耐摩耗性及び耐カット性を有しつつ、耐熱老化性の大きな向上が図られたゴム組成物及びゴム組成物の製造方法を提供すること、並びに、優れた破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を有するタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、ゴム成分及び植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物について、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ゴム組成物中の、天然ゴムを含むゴム成分及び水分を含んだ植物資源抽出残渣を用いるとともに、それらを、その他の配合成分との混練りに先立って、練り合わせて予備マスターバッチとすることによって、良好な、破壊強度、耐摩耗性及び耐カット性を有するとともに、優れた耐熱老化性を実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。予備マスターバッチでは、天然ゴム中に含まれる水溶性の天然老化防止成分が植物資源抽出残渣へと取り込まれ、該天然老化防止成分がゴム組成物の加硫後に留まるためである。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分及び水分を含んだ植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物であって、
前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、その他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成することを特徴とする。
これによって、ゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を向上できる。
また、本発明に係るゴム組成物は、前記植物資源抽出残渣の含水率が40〜90質量%であることが好ましく、含水率が40〜80質量%であることがより好ましい。ゴム組成物の破壊強度をより向上できるためである。
さらに、本発明に係るゴム組成物は、前記植物資源抽出残渣の配合量が、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜40質量部であることが好ましい。より優れた耐熱老化性が得られるからである。
さらにまた、本発明に係るゴム組成物は、前記植物資源抽出残渣の平均粒径が600〜50000μmであることが好ましい。ゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性をより向上できるためである。
なお、本発明に係るゴム組成物は、前記植物資源抽出残渣が、茶殻であることが好ましい。植物資源抽出残渣を低コストで得ることができるためである。
本発明に係るタイヤは、上述したゴム組成物を用いたことを特徴とする。
これによって、タイヤの破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を向上できる。
本発明に係るゴム組成物の製造方法は、ゴム成分及び水分を含んだ植物資源抽出残渣配合したゴム組成物の製造方法であって、
前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、その他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成する工程を具えることを特徴とする。
これによって、タイヤの破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を向上できる。
本発明によれば、環境負荷の小さい材料を利用して、良好な、破壊強度、耐摩耗性及び耐カット性を有しつつ、耐熱老化性の大きな向上が図られたゴム組成物及びゴム組成物の製造方法を提供すること、並びに、優れた破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を有するタイヤを提供することが可能となる。
本発明に係るタイヤの一例の断面図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、ゴム成分及び水分を含んだ植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物である。
そして、本発明は、前記ゴム成分が天然ゴムを含有しその他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成することを特徴とする。
上記構成を具えることで、良好な、破壊強度、耐摩耗性及び耐カット性を有するとともに、優れた耐熱老化性を実現できる。
ここで、天然ゴムの中には、ビタミン類などの天然老化防止成分が含有されており、その天然老化防止成分は、水溶性のものも多く含まれる。そのため、含水率が高い(例えば40〜90質量%)植物資源抽出残渣と練り合わせる(つまり予備マスターバッチを形成する)ことで、植物資源抽出残渣中に前記天然老化防止成分が取り込まれる。
ここで、前記植物資源抽出残渣中に取り込まれた天然老化防止成分は、他の配合成分と混練りした際、前記植物資源抽出残渣中に取り込まれる前に発生したラジカルや熱と反応し、失活することが考えられるが、本発明では、他の配合成分と混練りする前に予備マスターバッチを形成することで、該予備マスターバッチと他の配合成分とを混練りした際に発生したラジカルや熱と天然老化防止成分とが反応することを抑制でき、加硫後まで前記天然老化防止成分をゴム組成物中に留まらせることが可能となる。その結果、従来の植物資源抽出残渣含有ゴム組成物に比べて、耐熱老化性を大幅に向上できると考えられる。
また、ゴム成分に配合する植物資源抽出残渣の含水率を高くすることにより、当該植物資源抽出残渣が柔らかく、予備マスターバッチと他の配合成分とを混練りすることによって、ゴム組成物中に前記植物資源抽出残渣が適度に細かく分散されることから、破壊強度、耐摩耗性及び耐カット性の向上も可能となると考えられる。
(ゴム成分)
本発明のゴム組成物のゴム成分については、天然ゴムを含むことを要件とする。ここで、ゴム成分における天然ゴムの含有率は、上述した天然の老化防止成分を十分に提供できる観点からは、30質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
なお、天然ゴム以外のゴムについても含有することは可能である。その種類については、特に限定はされず、例えば、優れた耐摩耗性を得る点からは、ジエン系合成ゴムを併用して用いることができる。かかるジエン系合成ゴムとしては、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)等が挙げられる。なお、これらジエン系合成ゴムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上のブレンドとして用いてもよい。
(植物資源抽出残渣)
本発明のゴム組成物は、植物資源抽出残渣を含む。
ゴム組成物中に植物資源抽出残渣を含有することにより、ゴム成分の使用量を低減することができ、また、植物資源の抽出処理後に生じる残渣は、カーボンニュートラルな資源である植物資源から有効成分を抽出した後に残る安価な廃棄物であることから、低コスト化を図り、環境に与える負荷を抑えることができる。
なお、本発明における植物資源抽出残渣とは、植物資源(固体)を溶媒に浸漬して溶媒中に所望の成分を抽出(固−液抽出)した後に、当該成分を含む溶媒(抽出液)をろ過等により分離した際に残る残渣をいう。
該植物資源の具体例としては、例えば、茶葉、コーヒー豆、アロエの葉、ヨモギの葉、桑の根、赤ブドウの皮、アザミの実、明日葉の葉、アセロラ、クロレラ、クズの根(葛根)、バラの花、桃の葉、そばの実、大麦の種子等が挙げられ、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記抽出前の植物資源は、抽出作業の効率を高めるためや、抽出後の植物資源抽出残渣を粉砕工程及び分別工程を経ることなくより容易にゴム成分に配合するため、破砕機等で破砕又は粉砕してから抽出処理に供するのが好ましい。
また、抽出処理においては、必要に応じて、例えば、加熱又は撹拌を行ってもよい。
さらに、前記抽出に使用する溶媒は、植物資源の種類、所望の有効成分及び抽出液の用途に合わせて選択することができる。
溶媒としては、例えば、水又は有機溶媒(エチルアルコール、油等)が挙げられる。当該溶媒に、必要に応じてキレート剤、酸、アルカリ等の抽出剤を混合して用いることができる。
上述した植物資源をこれらの溶媒に浸漬して植物資源中の有効成分を抽出することにより、当該有効成分を含む飲料、化粧水、乳液等を得ることができる。
なお、植物資源抽出残渣のうち、茶葉から得られる茶殻及びコーヒー豆から得られるコーヒー粕は、茶及びコーヒー飲料の製造過程で大量に排出される廃棄物であり、これらをゴム成分に配合して再利用することで環境負荷を低減できるため好ましい。また、茶殻及びコーヒー粕は、通常、製造過程から排出された廃棄物の時点で水等の溶媒を含み、そして破砕又は粉砕されており、ゴム成分に配合する前にさらに、当該茶殻及びコーヒー粕を、破砕又は粉砕する工程を経る必要がなく、環境負荷を低減できるため好ましい。
さらに、前記植物資源抽出残渣は、茶殻であることがより好ましい。前記植物資源抽出残渣として茶殻を用いた場合、特に転がり抵抗を抑えること、ひいては低発熱性を実現できることに加えて、ゴム組成物の加硫物の破断伸びを殆ど低下させることがないという効果があるからである。加えて、植物資源抽出残渣として茶殻を用いる場合には、ゴム成分に当該茶殻を配合する際の臭気が大幅に改善されるという効果もある。
ここで、茶殻の種類としては、特に限定はされず、例えば、緑茶、ほうじ茶、ウーロン茶等の茶殻が挙げられる。また、前記茶殻の形状については、特に限定されない。
また、本発明では、前記植物資源抽出残渣の含水率が40〜90質量%であることが好ましく、60〜80%であることがより好ましく、65〜75%であることが特に好ましい。
前記植物資源抽出残渣の含水率を高くすることで、ゴム特性の向上が図れるものの、前記植物資源抽出残渣の含水率が高すぎると、ゴム組成物製造時の作業性が低下するという問題が発生するおそれもある。そのため、前記植物資源抽出残渣の含水率を上記範囲とすることで、ゴム特性の向上と作業性との両立が可能となる。さらに、含水率を下げるための乾燥作業等の熱を利用する必要がなく、環境負荷の低減が可能となるという効果もある。
なお、前記植物資源抽出残渣の含水率とは、植物資源抽出残渣に含まれる水又は有機溶媒をヒーター等の既知の乾燥手段により除去し、その除去前後の質量変化を天秤等の既知の手段で測定することにより算出される値である。例えば、乾燥前の植物資源抽出残渣の質量が10g、乾燥後の植物資源抽出残渣の質量が3gの場合、含水率(質量%)は、{1−(3/10)}×100=70(質量%)となる。
植物資源抽出残渣の含水率を調整する方法としては、特に限定はされず、例えば、植物資源抽出残渣の水等の溶媒への浸漬、植物資源抽出残渣への水等の溶媒の散布等の含水率を上げる方法等が挙げられる。
上述したように植物資源抽出残渣は、植物資源を固−液抽出処理することにより生じる残渣であることから、水等の溶媒を含んでいる場合がある。植物資源抽出残渣の含水率が40〜80質量%の範囲である場合には、散水等の植物資源抽出残渣の含水率を調整する工程を経ることなく植物資源抽出残渣をゴム成分に配合することが可能である。
また、前記植物資源抽出残渣の平均粒径は600μm〜50000μmであることが好ましく、650〜40000μmであることがより好ましい。
前記植物資源抽出残渣の平均粒径を50000μm以下とすることで、分散性が悪化するという問題を回避できるからである。さらに、前記植物資源抽出残渣の平均粒径を600μm未満とするためには、粉砕・破砕・脱水・分別の工程が煩雑になり、環境負荷を低減することが難しいという点からも、前記植物資源抽出残渣の平均粒径を600μm以上とすることが好ましい。
なお、本発明において、球状以外の楕円体及び不定形の植物資源抽出残渣では、前記「粒径」とは、ゴム成分又は樹脂成分に配合する前の植物資源抽出残渣の外周上の2点を結ぶ線分のうち最も長いものの長さを意味し、前記植物資源抽出残渣の平均粒径(μm)は、マイクロスコープ(例えば、株式会社Keyence製の「VHX digital microscope」)を用いて対象となる植物資源抽出残渣を観察することにより求められ、任意に選択された100個の植物資源抽出残渣の粒径の平均値を意味する。
また、前記植物資源抽出残渣の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜40質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。
前記植物資源抽出残渣の配合量を0.5質量部以上とすることにより、ゴム組成物中に含まれる植物資源抽出残渣の量が確保され、前記天然老化防止成分を取り込みやすくなり、所望の耐熱老化性を確保できる。また、前記植物資源抽出残渣の配合量を40質量部以下とすることにより、ゴム組成物中に含まれる植物資源抽出残渣の分散性を確保でき、ゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を向上できる。
なお、本発明において、ゴム組成物中の前記植物資源抽出残渣の質量は、当該植物資源抽出残渣が水又は有機溶剤等の溶媒を含んでいる場合は、その水等を含んだ状態での植物資源抽出残渣の質量を意味する。
(予備マスターバッチ)
本発明のゴム組成物では、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを、その他の配合成分との混練りに先立って練り合わせ、予備マスターバッチを形成することを特徴とする。
該予備マスターバッチを形成することで、他の配合成分と混練りした際に発生するラジカルや熱に天然老化防止成分が反応することを抑制でき、ゴム組成物の加硫後まで前記天然老化防止成分をゴム組成物中に留まらせることができる。
ここで、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせる方法については、特に限定はされず、公知の条件によって混練りすればよい。例えば、通常の混練と同様に、バンバリーミキサー、ロール等を用いることができる。
なお、前記植物資源抽出残渣中の水分が蒸発しない条件が好ましく、具体的には、練り合わせ時のゴム組成物の最高温度が100〜160℃であることが好ましく、120〜150℃であることがさらに好ましい。また、練り合わせの時間は、特に限定はされないが、10秒〜10分であることが好ましく、10秒〜5分であることがさらに好ましい。
(その他の成分)
本発明に係るゴム組成物は、任意成分として、カーボンブラック及びシリカ等の破壊強度充填剤、アロマオイル等の軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等の一般に含有され得る成分を含むこともできる。
本発明に係るゴム組成物の調製方法は、特に限定されず、前記予備マスターバッチを、任意成分である上記カーボンブラック等のその他の成分と共に配合して、例えば、バンバリーミキサー又はロール等を用いて、混練することで調製することができる。
前記予備マスターバッチの配合は、所望の量を一括で配合してもよく、複数回に分けて配合してもよい。
また、前記予備マスターバッチと、前記任意成分とを混練し、さらにマスターバッチを形成し、その後、硫黄等と混練することも可能である。
本発明に係るゴム組成物を調製する場合の混練方法は、特に限定されず、例えば、バンバリーミキサー、ロール等を用いることができる。本発明に係るゴム組成物は、バンバリーミキサーで混練して得られたものであることが好ましい。バンバリーミキサーでの混練条件は、特に限定されず、植物資源抽出残渣の所望の最大長径等に応じて適宜調節すればよいが、低発熱性を向上する観点から、混練時のゴム組成物の最高温度が120〜190℃であることが好ましく、130〜175℃であることが好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。また、混練時間は、10秒〜20分であることが好ましく、10秒〜10分であることがより好ましく、30秒〜5分であることがさらに好ましい。
<タイヤ>
本発明に係るタイヤは、本発明に係るゴム組成物を用いたことを特徴とする。これにより、本発明に係るタイヤは、環境負荷の小さい材料を利用して、破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を向上できる。
本発明に係るタイヤは、当該組成物、より具体的には当該ゴム組成物の加硫物を用いたこと以外は、通常のタイヤと同様の製造方法により製造することができる。
次に、本発明のタイヤの一例を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のタイヤの一例の断面図である。図1に示すタイヤは、一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、上記一対のビード部1間にトロイド状に延在してこれら各部1、2及び3を補強するカーカス4と、当該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に位置するベルト5とを具える。
図示例のタイヤにおいて、カーカス4は、一枚のカーカスプライからなり、また、上記ビード部1内に夫々配設した一対のビードコア(ワイヤ)6間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア6の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなる。
なお、図示例のカーカス4は、一枚のカーカスプライよりなるが、本発明のタイヤにおいては、カーカスプライの枚数は複数であってもよい。
また、図示例のタイヤにおいて、ベルト5は、二枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいて、ベルトを構成するベルト層の枚数は一枚以上であればよく、これに限られるものではない。
さらに、本発明のタイヤは、ベルト5のタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなるベルト補強層を具えてもよく、ベルト5の端部と当該ベルト補強層との間にさらに層間ゴムを備えてもよい。
上記ゴム組成物を用いる部材としては、例えば、トレッドゴム、サイドゴム、ビードワイヤの半径方向外側に位置するビードフィラーないしスティフナー、カーカス及びベルトのコーティングゴム等が挙げられる。
本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を調整した空気の他、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
<ゴム組成物の製造方法>
次に、本発明のゴム組成物の製造方法について説明する。
本発明によるゴム組成物は、ゴム成分及び水分を含んだ(好ましくは含水率が40〜90質量%である)植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物の製造方法である。
そして、本発明は、前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、その他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成する工程を具えることを特徴とする。
それによって、良好な、破壊強度、耐摩耗性及び耐カット性を有するとともに、優れた耐熱老化性を具えるゴム組成物を製造できる。
なお、本発明のム組成物の製造方法を構成する要素の詳細については、本発明のゴム組成物の説明で述べた内容と同様である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(ゴム組成物の配合成分)
各実施例及び比較例のゴム組成物に含有される成分は、以下のとおりである。カッコ内は表中の略語を表す。
・天然ゴム(NR:ゴム成分):商品名「TSR」
・ポリブタジエンゴム(BR:ゴム成分):JSR株式会社製、商品名「BR01」
・カーボンブラック(CB:充填剤):旭カーボン株式会社製、商品名「旭#78」
・硫黄
・加硫促進剤A(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド):大内新興化学工業製 商品名「ノクセラーCZ」
・加硫促進剤B(ジフェニルグアニジン):大内新興化学工業製 商品名「ノクセラーD」
・亜鉛華(ZnO)
・ステアリン酸
・老化防止剤:大内新興化学工業株式会社製 商品名「ノクラック6C」、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン
・含水茶殻(植物資源抽出残渣):飲料製造工場より排出された茶殻、含水率30、40、50、75、90、95質量%、平均粒径4000μm
・乾燥茶殻(植物資源抽出残渣):飲料製造工場より排出された茶殻を乾燥させたもの、含水率0質量%、平均粒径3000μm
なお、配合した植物資源抽出残渣(茶殻)の平均粒径は、マイクロスコープ(株式会社Keyence製 「VHX digital microscope」を用いて対象となる植物資源抽出残渣(茶殻)を観察することにより求め、任意に選択された100個の植物資源抽出残渣(茶殻)の粒径の平均値とした。
(実施例1、比較例2及び4)
表1に示す配合処方で、バンバリーミキサーを用いて、まず、ゴム成分と含水又は乾燥茶殻とを練り合わせ、マスターバッチ(予備マスターバッチ)を形成した。その後、表1に示す配合処方で、得られた予備マスターバッチと、上述した各配合成分とをバンバリーミキサーを用いて混練し、サンプルとなるゴム組成物を調製した。
(比較例1及び3)
表1に示す配合処方で、バンバリーミキサーを用いて、上述したゴム組成物の配合成分を混練し、サンプルとなるゴム組成物を調製した。
Figure 0006450258
(評価)
得られた各実施例及び比較例のゴム組成物のサンプルについて、加硫処理を施した後、以下の評価(1)〜(4)を行った。
(1)破壊強度
各加硫ゴム組成物のサンプルについて、JIS K 6251(2010)に準拠した2mm厚さのダンベル状3号形試験片を作成し、該試験片について25℃における破断時の引張破断強度(MPa)を測定した。
評価については、実施例1の破断時の引張破断強度を100とした場合の、各指数として示し、指数値が大きい程、破壊強度が良好であることを示す。評価結果を表2に示す。
(2)耐カット性
各加硫ゴム組成物のサンプルに対し、振り子式衝撃カット試験機にて刃を打ち付けて傷を付け、傷の深さを測定した。
評価については、実施例1の傷の深さの逆数を100とした場合の、各加硫ゴム組成物のサンプルにおける傷の深さの逆数を指数として示し、指数値が大きい程、耐カット性が良好であることを示す。評価結果を表2に示す。
(3)耐熱老化性
各加硫ゴム組成物のサンプルに対し、JIS K 6251(2010)に準拠した加硫物の2mm厚さのダンベル状3号形試験片について、100℃の窒素雰囲気中で1日間の熱老化前後の、JIS K 6257(2010)に準拠した25℃における破断時の引張強さ(MPa)を測定した。
評価については、実施例1の加硫ゴム組成物のサンプルにおいて熱老化試験後の引張強さを熱老化試験前の引張強さで除した結果を100とした場合の、各加硫ゴム組成物において熱老化試験後の引張強さを熱老化試験前の引張強さで除した結果を指数で表示し、数値が大きいほど熱老化前後での破断強度の落ち幅が少なく、耐熱老化性が良好であることを示す。評価結果を表2に示す。
(4)耐摩耗性
各加硫ゴム組成物のサンプルについてランボーン摩耗試験を行った。
評価については、実施例1の加硫ゴム組成物のサンプルの摩耗量の逆数を100とした場合の、各加硫ゴム組成物のサンプルの摩耗量の逆数を指数として示し、指数値が大きい程、耐摩耗性が良好であることを示す。評価結果を表2に示す。
Figure 0006450258
表2の結果から、実施例1のサンプルは、耐摩耗性、耐カット性、耐熱老化性及び破壊強度のいずれの評価項目についてもバランスよく良好な結果を示すことがわかった。
一方、含水茶殻を含有する予備マスターバッチを形成しない比較例1及び3のサンプルについては、実施例1のサンプルに比べて、ほぼ全ての評価項目で劣る結果を示すことがわかった。
また、含水茶殻及びブタジエンゴムを混練し、予備マスターバッチを形成しなかった比較例2のサンプルについては、実施例のサンプルに比べて、ほぼ全ての評価項目で劣る結果を示すことがわかった。
さらに、乾燥茶殻及び天然ゴムの予備マスターバッチを形成した比較例1については、
予備マスターバッチによる有意な差は発現しなかった。
本発明によれば、環境負荷の小さい材料を利用して、良好な、破壊強度、耐摩耗性及び耐カット性を有しつつ、耐熱老化性の大きな向上が図られたゴム組成物及びゴム組成物の製造方法を提供すること、並びに、優れた破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を有するタイヤを提供することができる。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス
5 ベルト
6 ビードコア

Claims (6)

  1. ゴム成分及び水分を含んだ植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物であって、
    前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、
    前記植物資源抽出残渣の平均粒径が600〜50000μmであり、
    その他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成することを特徴とする、ゴム組成物。
  2. 前記植物資源抽出残渣の含水率が40〜90質量%であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記植物資源抽出残渣の配合量が、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜40質量部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記植物資源抽出残渣が、茶殻であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。
  6. ゴム成分及び水分を含んだ植物資源抽出残渣配合したゴム組成物の製造方法であって、
    前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、
    前記植物資源抽出残渣の平均粒径が600〜50000μmであり、
    その他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成する工程を具えることを特徴とする、ゴム組成物の製造方法。
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