JP6449605B2 - 架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法 - Google Patents

架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発泡剤を利用したポリオレフィン系発泡体の製造方法に関するものである。
化学発泡によるポリオレフィンの高倍率発泡体の製造には、従来からアゾジカルボンアミド(ADCA)等の有機発泡剤や、炭酸水素ナトリウム(重曹、NaHCO3)に代表される無機発泡剤が一般的に使用されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
そして、高倍率の発泡体を得るための方法としては、ポリオレフィン系樹脂に、発泡剤及び架橋剤を混和して発泡性樹脂組成物を得、当該組成物を密閉金型中に充填して加圧下に加熱し、発泡剤及び架橋剤を部分的に分解させた後除圧して中間発泡体を得る第一の工程と、次いで第一の工程によって得た中間発泡体を常圧下に加熱して残存する発泡剤及び架橋剤を分解させて発泡させる第二の工程とを含んでいる、所謂二段発泡法が広く適用されている。
このような二段発泡法では、高倍率の発泡体を得るためには、特に前記第二の工程が重要であると言われている。すなわち、この第二の工程において発泡剤による気体の発生と、当該発泡剤による発泡に樹脂が好適に適用し得るための架橋剤による樹脂の架橋とが併せて実現されることにより、初めて高倍率の発泡体を得る事ができる。
特開2012−224751号公報 特開2009−108174号公報
ここで本願発明者らは、上記二段発泡法においては、特に架橋剤による架橋が、中間発泡体を包含する雰囲気内の酸素の存在が架橋剤により発生する酸素ラジカルの作用を阻害している事を発見した。
すなわち本発明は、上記の点に本願発明者らが初めて着目することにより実現したものであり、高倍率の発泡体を得ることができる架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち本発明に係る架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂に、発泡剤及び架橋剤を混和して発泡性樹脂組成物を得、当該組成物を密閉金型中に充填して加圧下に加熱し、発泡剤及び架橋剤を部分的に分解させた後除圧して中間発泡体を得、次いで該中間発泡体を常圧下に加熱して残存する発泡剤及び架橋剤を分解させて発泡させる架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法であって、前記中間発泡体を、低酸素雰囲気中で発泡させる低酸素発泡工程を有していることを特徴とする。
すなわち本願発明者らは、発泡体を二段発泡法によって製造する工程において、架橋剤による架橋が、中間発泡体を包含する雰囲気内の酸素の存在が架橋剤により発生する酸素ラジカルの作用を阻害する点を発見した事により、本願発明を実現したものである。
また「低酸素雰囲気」とは、酸素分子が化学反応に影響を与えないまでに低い濃度にある状態を指すものである。つまり酸素濃度がゼロである事を妨げるものではないが、ある一定の濃度の酸素により有意に化学反応に影響してしまうような濃度は含まれない。また二酸化炭素分子のようには酸素原子を含むものの酸素分子としての酸化といった化学反応を起こし得ないため、考慮に入れない、還元すれば酸素濃度として扱わないものとする。他方、オゾン分子等、酸素分子と同じ化学反応を起こし得るものは酸素分子同様、酸素濃度として扱う。
このような方法によれば、二段発泡法におけるいわゆる第二の工程における架橋剤の作用を、従来に無いまでに有効に奏させることができる。その結果、従来にはないまでに高倍率である架橋ポリオレフィン系発泡体を得ることができる。
本発明でいうポリオレフィンとは、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、エチレン共重合体を挙げることができる。
本発明でいう架橋剤とは、ポリエチレン系樹脂中において少なくともポリエチレン樹脂の流動開始温度以上の分解温度を有するものであって、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生してその分子間もしくは分子内に架橋結合を生じせしめるラジカル発生剤であるところの有機過酸化物、例えばジクミルパーオキサイド、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ジターシャリーブチルパーオキサイド、1,1−ジターシャリーブチルパーオキシー3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルー2,5−ジターシャリーブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチルー2,5−ジターシャリーブチルパーオキシヘキシン、α、α―ジターシャリーブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、ターシャリーブチルパーオキシケトン、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートなどがあるが、その時に使用される樹脂によって最適な有機過酸化物を選択しなければならない。
本発明でいう発泡剤のうち、有機発泡剤としては、アゾ系化合物のアゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等;ニトロソ系化合物のジニトロソペンタメチレンテトラミン、トリニトロトリメチルトリアミン等;ヒドラジッド系化合物のp,p‘−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド等;スルホニルセミカルバジッド系化合物のp,p‘−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジッド、トルエンスルホニルセミカルバジッド等である。また向き発泡剤としては、重層を代表的なものとして挙げることができる。
本発明においては、使用する組成物の物性の改良或いは価格の低下を目的として、架橋結合に著しい悪影響を与えない配合剤(充填剤)、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、あるいはパルプ等の繊維物質、又は各種染料、顔料並びに蛍光物質、その他常用のゴム及びプラスチック配合剤等を必要に応じて添加することができる。
本発明において、発泡助剤を発泡剤の種類に応じて添加することができる。発泡助剤としては尿素を主成分とした化合物、酸化亜鉛、酸化鉛等の金属酸化物、サリチル酸、ステアリン酸等を主成分とする化合物、即ち高級脂肪酸あるいは高級脂肪酸の金属化合物などがある。
本発明においては、使用する組成物の物性の改良或いは価格の低下を目的として、架橋結合に著しい悪影響を与えない配合剤(充填剤)、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、あるいはパルプ等の繊維物質、又は各種染料、顔料並びに蛍光物質、その他常用の配合剤等を必要に応じて添加することができる。
次に、本発明の架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法についてさらに説明する。
容器内の酸素をより有効に除去するためには、低酸素発泡工程が、中間発泡体を収容した容器内へ酸素以外の気体を充填し容器内部から外部へ向けて掛け流すことにより、容器内に残存する酸素を容器外へ放出する酸素放出ステップを含むようにしている
そして容器内の酸素を有効に除去しつつ中間発泡体の発泡に適した温度環境を併せて好適に実現し得るように、酸素以外の気体を、酸素を含まない220℃の常圧加熱水蒸気としている。
ここで「酸素を含まない」という記載は本明細書においては、常圧加熱水蒸気を生成する工程に置いて空気を含まないことにより、酸素分子が化学反応に影響し得ないまでに低い条件下にあることを意味する。すなわち本来であれば通常得られる水には微量ながら酸素分子が含まれているものの、水に含まれている濃度の酸素分子であれば発泡体生成に影響を与えることは無いため、当該酸素分子のみの濃度であれば「酸素を含まない」の概念に入るものとする。
さらに、常圧加熱水蒸気を利用した、酸素の除去と二段発泡法における第二の工程に適した温度環境の維持を同時に実現するためのさらに具体的な態様として、低酸素発泡工程が、中間発泡体を収容した容器内へ常圧加熱水蒸気を充填し容器内部から外部へ向けて掛け流すことにより容器内に残存する酸素を容器外へ放出する酸素放出ステップと、当該酸素放出ステップにより低酸素雰囲気となった容器内の温度を所定温度に維持すべく容器内へ常圧加熱水蒸気を導入する導入圧を制御する導入圧制御ステップとを含む態様を挙げることができる。
本発明によれば、高倍率の発泡体を得ることができる架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る製造装置の説明図。 同実施形態に係る常圧加熱水蒸気発生機の構成説明図。 同上。 同上。 同実施形態の変形例に係る図1に対応した説明図。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る発泡体Xの製造装置1は、図1〜図4に示すように、例えば架橋ポリオレフィン系発泡体の製造に際し、好適に適用され得るものである。具体的には、ポリオレフィン系樹脂の一例として低密度ポリエチレンに、上記に例示した発泡剤及び架橋剤を混和して発泡性樹脂組成物を得、当該組成物を密閉金型中に充填して加圧下に加熱し、発泡剤及び架橋剤を部分的に分解させた後除圧して中間発泡体Yを得た後の工程に用いられる。換言すれば、二段発泡法と称される発泡体の製造方法における、中間発泡体Yを常圧下で加熱して残存する発泡剤及び架橋剤を分解させて発泡させるという第二の工程において好適に適用され得るものである。
ここで、本実施形態に係る製造装置1は、中間発泡体Yを収容する容器たる金型21と、酸素を含まない常圧加熱水蒸気を発生させる常圧加熱水蒸気供給部3とを有するものであり、当該常圧加熱水蒸気供給部3が常圧加熱水蒸気を金型21内へ導入する気体導入部32を有するとともに、容器たる金型21が常圧加熱水蒸気を排出する気体排出部25を有していることを特徴とする。
以下、本実施形態に係る製造装置1について説明する。この製造装置1は、金型21を含む装置本体2と、この装置本体2に対し、酸素を含まない常圧加熱水蒸気を供給する常圧加熱水蒸気供給部3と、中間発泡体Yを間接的に熱するために装置本体2に熱媒を供給する熱媒供給機4と、金型21内の雰囲気を制御するための制御部5とを有している。ここで熱媒供給機4は、従来より用いられている、酸素を含んだ水蒸気を装置本体2側に供給するものであるため、詳細な説明を省略する。なお本実施形態ではこの熱媒供給機4により、酸素を含んだ160℃の水蒸気が熱媒供給路41を通じて装置本体2側へ供給される。
装置本体2は、中間発泡体Yを収容する金型21と、この金型21を外方から加熱するための加熱部22とを有している。加熱部22は、本実施形態では金型21の上下壁略全域に亘って配されたものであり、その内部に、熱媒供給機4により製造された熱媒である酸素を含んだ160℃の蒸気を熱媒供給路41から通すための熱媒流路27を有している。また勿論図示しないが当該加熱部22は金型21の上下壁のみならず、側壁に対して設けられたものであっても良い。
容器たる金型21は、中間発泡体Yを収容する金型本体23と、この金型本体23に酸素を含まない常圧加熱水蒸気を導入するための水蒸気導入部24と、常圧加熱水蒸気を排出するための気体排出部25とを有している。そして本実施形態では水蒸気導入部24は金型本体23の上壁にのみ設けられているが勿論、底壁や側壁に設けられていても良い。また気体排出部25は例えば対向する側壁にそれぞれ対をなして形成されているが勿論、上壁や底壁に設けられていても良い。また本実施形態ではこの金型21には、常圧加熱水蒸気が所定の流量すなわち圧力をなして導入されるが、気体排出部25の開口面積が適宜設定されているため、金型本体23内は常に常圧に近い気圧に維持され得る。
制御部5は、同図に示す本実施形態では専ら金型21へ導入する、酸素を含まない常圧加熱水蒸気を導入する流量すなわち導入圧を制御するための構成のみが図示されているが勿論、他の種々の設定条件を制御する構成をも含む。この制御部5は、常圧加熱水蒸気発生機31から導入される気体導入部32に設けられた流量センサ52及び流量制御弁53と、金型本体23に取り付けられた温度センサ51と、これら流量センサ52及び温度センサ51からの信号a,bを受信し、所要の圧力で常圧加熱水蒸気を金型本体23へ導入すべく流量制御弁53を制御するための制御信号cを発信するためのECU(Electronic Control Unit)50とを備えている。当該ECU50は、例えば、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。なお当該制御部5による制御の具体的な仕様は従来の種々の制御方式を適用し得る。
しかして本実施形態に係る製造装置1では、中間発泡体Yを、低酸素雰囲気中で発泡させる低酸素発泡工程を実現するために、金型21内に酸素以外の気体の一例として酸素を含まない常圧加熱水蒸気を供給するための常圧加熱水蒸気供給部3を有している。
この常圧加熱水蒸気供給部3は、酸素を含まない常圧加熱水蒸気を発生させる常圧加熱水蒸気発生機31と、この常圧加熱水蒸気発生機31により生成された酸素を含まない常圧加熱水蒸気を装置本体2へ導入するための気体導入部32とを有している。
そして常圧加熱水蒸気発生機31は、図2〜図4に示される各態様のものを適用することができる。これらの図に示された常圧加熱水蒸気発生機31は、何れも、材料となる水を供給する水供給部33と、この水供給部33から供給された水を熱する水加熱部34と、この水加熱部34により熱された水又は水蒸気を下流側にて貯留しつつ再び加熱する再加熱部35と、この再加熱部35によって加熱され生成された酸素を含まない常圧加熱水蒸気を取り出す水蒸気取り出し部36とを有している。そしてこの再加熱部35は、図2〜図4に示すように、水加熱部34から得られた蒸気又は水を貯留する蒸気貯留機37と、この蒸気貯留機37を直接又は間接的に熱するための、バーナー38a、ヒータ38b又は抵抗発熱体38cを有するものとしている。これらの図に示した3種類の常圧加熱水蒸気発生機31は、当該バーナー38aによって間接的に水蒸気を加熱する図2に示すものであっても、ヒータ38b又は抵抗加熱体38cによって直接的に水蒸気を加熱する図3又は図4に示すものであっても、好適に酸素を含まない常圧加熱水蒸気を得ることができる。
続いて本実施形態では図2〜図4に示した常圧加熱水蒸気供給部3から供給される酸素を含まない常圧加熱水蒸気を導入する圧力を、例えば0.15MPa〜0.5MPaという範囲内で制御することにより、二段発泡法における第二の工程初期において金型21内に残存する酸素を、酸素を含まない常圧加熱水蒸気へと置換するとともに、しかる後に、この低酸素雰囲気を安定して維持し得るものとしている。
具体的に説明すると、中間発泡体Yを常圧下で発泡させる当該工程では、金型21内へ常圧加熱水蒸気を充填し金型21内部から外部へ向けて掛け流すことにより金型21内に残存する酸素を容器外へ放出する酸素放出ステップと、当該酸素放出ステップにより低酸素雰囲気となった金型21内の温度を所定温度に維持すべく金型21内へ常圧加熱水蒸気を導入する導入圧を制御する導入圧制御ステップとを経るようにしている。酸素放出ステップにおける常圧加熱水蒸気の導入圧を、例えば0.15MPa〜0.5MPaの範囲内の何れかの値に設定するとともに、金型21内の温度によって上下するものの、導入圧制御ステップにおける常圧加熱水蒸気の導入圧を0.15MPa〜0.5MPaの範囲内の何れかの値に設定するようにしている。
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る発泡体Xの製造装置1によって実現される架橋ポリオレフィン発泡体の製造方法によれば、二段発泡法におけるいわゆる第二の工程における架橋剤の作用を、従来に無いまでに有効に奏させることができる。その結果、従来にはないまでに高倍率である架橋ポリオレフィン系発泡体を得ることができる。
また本実施形態では、容器たる金型21内の酸素分子を有効に除去すべく、低酸素発泡工程が、中間発泡体Yを収容した金型21内へ酸素以外の気体を充填し金型21内部から外部へ向けて掛け流すことにより、金型21内に残存する酸素分子を金型21外へ放出する酸素放出ステップを適用している。
そして酸素を含まない常圧加熱水蒸気によって中間発泡体Yを取り囲む雰囲気を構成するので、金型21内の酸素分子を有効に除去しつつ中間発泡体Yの発泡に適した温度環境を併せて好適に実現し得るものとなっている。
さらに、本実施形態では、低酸素発泡工程として、金型21内に残存する酸素を金型21外へ放出する酸素放出ステップと、当該酸素放出ステップにより低酸素雰囲気となった金型21内の温度を所定温度に維持すべく金型21内へ常圧加熱水蒸気を導入する導入圧を制御する導入圧制御ステップとを含む態様とすることにより、架橋剤によるポリオレフィン系樹脂の架橋を従来に無いまでに促しつつ、金型21内の温度管理をも好適に行い得るようにしている。
そして、より高倍率の発泡体を得るために上記製造方法に好適に適用され得る本実施形態に係る製造装置1は、気体導入部32から導入された常圧加熱水蒸気を排出する気体排出部25を金型21が有しているので常圧加熱水蒸気の、所謂掛け流しによる酸素分子の除去を速やかに行う事ができ、その結果、より高倍率の発泡体Xの製造を可能なものとしている。
当該製造装置1において金型21内を中間発泡体Yの発泡に適した環境にし得る構成として本実施形態では、気体導入部32が常圧加熱水蒸気の流量を検出する流量センサ52と、金型21への常圧加熱水蒸気の導入量を調節する流量制御弁53とを有し、さらに、金型21に、金型21内の温度を検出する温度センサ51を設けている構成を適用し、ECU50により的確な温度制御を行い得るようにした。
特に有効に金型21内の酸素分子を除去するために本実施形態では、気体導入部32により常圧加熱水蒸気を導入する圧力を0.15MPa〜0.5MPaの範囲で制御し得るようにしている。
<変形例>
以下に、本実施形態の変形例について図5に示して説明するが、当該変形例について、上記実施形態の構成要素に相当するものに対しては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
本変形例に係る製造装置1は、常圧加熱水蒸気供給部3、熱媒供給機4及び制御部5の構成や態様や上記実施形態と同様である。同変形例に係る製造装置1は、装置本体2が、その上面側において上下動する事により金型21を上方に開放させ得る上蓋28と、上蓋28と金型本体23との間に、常圧加熱水蒸気の流出を回避するためのパッキン29とを有するものとなっている。
このようなものであっても、発泡体Xの取り出しをより容易なものとしつつ、上記実施形態と同様、高倍率の発泡体の獲得に寄与し得る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、上記実施形態では低酸素雰囲気を実現し得る気体として水蒸気を適用した態様を開示したが、勿論、二酸化炭素、窒素或いは酸素分子と同じ反応を起こし得ない他の分子、原子による気体を用いたものであってもよい。また発泡体に用いる樹脂の種類や架橋剤、発泡剤の種類や濃度といった具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
以下に本発明の一実施例について説明するが勿論、本発明は当該実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例>
ポリオレフィンたる低密度ポリエチレン(商品名:ノバテックYF30、密度0.920g/cm3、メルトフローレート1.1g/10min、三菱化学株式会社製)100重量部、発泡剤たるアゾジカルボンアミド(商品名:ビニホールAC#3、永和化成工業株式会社製)32.5重量部、架橋剤たるジクミルパーオキサイド0.5重量部、酸化亜鉛0.15重量部からなる組成物を100℃のニーダーにて混練し、150℃に加熱されたプレス内の金型(38×160×160mm)に練和物を充填し、40分間加圧下で加熱し、中間発泡体たる発泡性架橋組成物を成形した。
次いで、発泡性架橋組成物を上記実施形態に係る製造装置の装置本体における金型(100×500×500mm)の略中央に載置し、ボイラーにより供給される160℃(0.52MPa)の加圧加熱水蒸気を発泡性架橋組成物の外周流路に流すとともに、220℃の常圧加熱水蒸気を0.2kPaの圧力にて金型内部に流し込み装置中の酸素を除去した。60分間加熱して発泡剤及び架橋剤を分解して冷却後、本願発明の実施例に係る発泡体を得た。
得られた発泡体は、見掛け密度15kg/m3、発泡倍率67倍、気泡形状が均一の発泡体であった。また視覚的に、所謂「黄ばみ」を起こしたものは殆ど無く、加えて当該発泡体を製造する上での歩留まりは高いものであった。
<比較例>
一方、本発明の比較例として、上記同様の中間発泡体Yである発泡性架橋組成物を成形した後、金型内部に流し込む気体として、上記実施例に係る220℃の常圧加熱水蒸気に代え、外周流路に流しているものと同様の加熱水蒸気を0.2kPaの圧力で流し込んだ。
得られた比較例に係る発泡体は、架橋が阻害され、変形が大きく、発泡体として使用できないものであった。
本発明は架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法及び製造装置として利用することができる。
1…架橋ポリオレフィン系発泡体の製造装置(製造装置)
2…装置本体
3…常圧加熱水蒸気供給部
X…架橋ポリオレフィン発泡体(発泡体)
Y…中間発泡体

Claims (2)

  1. ポリオレフィン系樹脂に、発泡剤及び架橋剤を混和して発泡性樹脂組成物を得、当該組成物を密閉金型中に充填して加圧下に加熱し、発泡剤及び架橋剤を部分的に分解させた後除圧して中間発泡体を得、次いで該中間発泡体を常圧下に加熱して残存する発泡剤及び架橋剤を分解させて発泡させる架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法であって、
    前記中間発泡体を、低酸素雰囲気中で発泡させる低酸素発泡工程を有しているものであり、
    前記低酸素発泡工程が、前記中間発泡体を収容した容器内へ酸素を含まない220℃の常圧加熱水蒸気を充填し前記容器内部から外部へ向けて掛け流すことにより、前記容器内に残存する酸素を容器外へ放出する酸素放出ステップを含むことを特徴とする架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法。
  2. 前記低酸素発泡工程が、前記中間発泡体を収容した容器内へ前記常圧加熱水蒸気を充填し前記容器内部から外部へ向けて掛け流すことにより前記容器内に残存する酸素を容器外へ放出する酸素放出ステップと、当該酸素放出ステップにより低酸素雰囲気となった容器内の温度を所定温度に維持すべく前記容器内へ前記常圧加熱水蒸気を導入する導入圧を制御する導入圧制御ステップとを含む請求項1記載の架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法。
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