次に、発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、以下の説明において図1に示す横レール10の長手方向を横方向Xとし、縦レール20の長手方向を縦方向Yとする。また、縦、横の用語は説明の便宜上用いるものであり、具体的な方向を特定するものではない。
図1は、太陽電池モジュール2を設置する架台1の全体構成について示すものである。地面などの設置面4に複数の基礎3,3が配置され、各基礎3,3に柱5,5が立設される。柱5,5の上に横レール10,10が架け渡たされ、横レール10,10の上に、横レール10,10に対して直交するように複数の縦レール20,20が架け渡たされる。
横レール10は、複数個所においてブレス6を通じて基礎3に対し接続され、架台1の強度が高められる構成が実現されている。
図2(A)は、図1に示す構成の架台1の側面図であり、高さの異なる柱5,5を用い、各柱5,5の上に横レール10を設置するとともに、各柱5,5の上の横レール10に縦レール20を掛け渡すことで、縦レール20が設置面4に対して勾配が付けられて傾斜する。これにより、縦レール20の上に設置される太陽電池モジュール2にも勾配が付けられて傾斜して配置される。なお、この図2(A)の構成を水下側柱有り構成とする。
図2(B)は、一方の基礎3については柱を設置せずに横レール10を設置し、他方の基礎3の上に柱5を用いてその上に横レール10を設置し、両横レール10の上に縦レール20を掛け渡すことで、縦レール20が設置面4に対して勾配が付けられて傾斜するよう構成とする。これにより、縦レール20の上に設置される太陽電池モジュール2にも勾配が付けられて傾斜して配置される。なお、この図2(B)の構成を水下側柱無し構成とする。
図3は、図1の矢印A方向図、図4は、図1の矢印B方向図である。この図3、及び、図4に示すように、基礎3には、下部支持部材30が設置され、下部支持部材30に柱5の下端部がボルト固定されている。柱5の上部には、上部支持部材34を介して横レール10が固定される。横レール10の上部には、レール連結部材40を介して縦レール20が固定される。縦レール20の上部には、モジュール固定部材50を介して太陽電池モジュール2が固定される。
次に、モジュール固定部材50を用いた太陽電池モジュール2の固定について説明する。
図5は、モジュール固定部材50による太陽電池モジュール2の固定について説明する斜視図であり、図6(A)は、モジュール固定部材50の正面図、図6(B)は、縦レール20に取り付けたモジュール固定部材50について示す正面図、図6(C)は、モジュール固定部材50に太陽電池モジュール2を固定した状態について示す正面図である。図7及び図8はモジュール固定部材50とレール連結部材40の部位について示す斜視図である。
図5及び図6(A)に示すように、モジュール固定部材50は、縦レール20に設けた被係合部22に対して取り付けられる。本実施例では、被係合部22は、中空角材にてなる縦レール20の縦側面20aの上部に設けた略横T字状の突条にて構成される。
被係合部22は、縦レール20の縦側面20aから横方向に突出する水平突出部22aと、水平突出部22aの突端において下方に突出する下側突出部22bと、水平突出部22aの突端において上方に突出する上側突出部22cと、を有して構成される。
モジュール固定部材50は、被係合部22に対して係合する溝状の係合部52と、係合部52をその側部に配置する縦面部53と、縦面部53において係合部52と反対側に伸びて太陽電池モジュール2に下側から対向する固定面部54を有して構成される。なお、係合部52を突条で構成し、被係合部22を溝にて構成し、図5の溝と突条の関係が逆にとなる構成も考えられる。
図6(A)に示すように、モジュール固定部材50の係合部52は、開放部にて上下に離間する縦片部52x,52yの内側に形成され、縦片部52x,52yの間の幅狭部52aと、その内側の幅広部52bを有する構成としている。
また、図6(B)に示すように、縦レール20の端部の位置において、略横T字状の被係合部22をモジュール固定部材50の溝状の係合部52内に挿入すると、縦片部52x,52yが下側突出部22bと上側突出部22cに引っ掛かり、被係合部22からモジュール固定部材50が脱落しない係合状態が構成される。これにより、縦レール20に対してモジュール固定部材50を引っ掛けた仮固定の状態が実現できる。
なお、この仮固定は、予め工場などで実施して仮固定が完了した状態で現場に搬入することや、施工現場で適宜実施することなどが考えられる。また、縦レール20の端部から脱落しないように、図示せぬ縦レール20の端部キャップなどによって脱落対策が施されることが好ましい。
また、図6(B)に示すように、モジュール固定部材50が縦レール20に引っ掛けられた仮固定の状態では、モジュール固定部材50が縦レール20の幅方向(矢印X方向)に張り出した状態で設置され、係合部52と被係合部22の間に隙間が確保されることで、被係合部22に対してモジュール固定部材50をスライド移動が可能である。これにより、図5に示すように、施工時においては、縦レール20の長手方向の任意の位置(矢印Y方向)にモジュール固定部材50を配置することができる。
また、図5及び図6(C)に示すように、モジュール固定部材50の固定面部54には、貫通孔54hが形成されており、この貫通孔54hの位置を太陽電池モジュール2のフレーム下片部2bに形成された貫通孔2aに合わせるとともに、ボルト58a,ナット58bにてフレーム下片部2bと固定面部54が締結固定され、固定面部54の上面54cと、縦レール20の上面20cが略面一の状態となる。
ここで、図6(A)(C)に示すように、モジュール固定部材50の係合部52の高さ幅52w(内側の幅広部52bの幅寸法)は、太陽電池モジュール2の固定が完了した状態で、略横T字状の被係合部22の下側突出部22bに当接するように設定されている。
これにより、ボルト58a,ナット58bによる固定が完了した状態では、被係合部22の下側突出部22bに対してモジュール固定部材50の縦片部52yが押し付けられて両者の間に静止摩擦力が発生し、モジュール固定部材50の被係合部22に対するスライドが規制され、モジュール固定部材50が被係合部22に固定された状態を実現できる。またこのような構成とすることで、縦レール20に対する太陽電池モジュール2とモジュール固定部材50の固定を同時に完了させることができ、施工性に優れた構成が実現される。
また、図6(A)(C)に示すように、縦面部53の下端部には、縦側面20a側に向かって突出し、さらに屈曲して上側へと突出する略J字状の係止片部53aが形成され、係止片部53aと縦面部53の間に上側が開放される溝部55aが形成され、この溝部55aにて結束バンド55bを係止するフック形状をなす係止部55が構成される。
このように、モジュール固定部材50について係止部55を設けることで、図7及び図8に示すように、係止部55に対し結束バンド55bにてケーブル56を括り付けて整線を行うことが可能となり、ケーブル56の配線が煩雑になることを防止できる。
また、図6(C)に示すように、モジュール固定部材50に対する太陽電池モジュール2の固定が完了した状態においては、略J字状の係止片部53aと縦レール20の縦側面20aの間に隙間55sが確保され、予め輪を形成した結束バンド55bを隙間55sを通じて溝部55aへと引っ掛けることができる。
仮に、隙間55sがない場合には、太陽電池モジュール2の下から見上げつつ、小さな溝部55aに合わせて結束バンド55bの先端を差込み、さらに、結束バンド55bの孔通しや締め付けを行う必要が生じてしまう。特に、太陽電池モジュール2の下のスペースが狭い場合には、作業は困難を極めることになる。これに対し、図6(C)に示す方法によれば、結束バンド55bの孔通しや締め付けを事前に行い、隙間55sの位置を厳密に意識せずに、モジュール固定部材50の表面に沿わせるようにして隙間55sを通じて溝部55aに結束バンド55bを引っ掛けるだけで作業を完了することができ、優れた作業性を実現できる。
以上に説明した構成によれば、結束バンド55bを縦レール20に巻きつける場合と比較して作業効率が良好ととなり、また、結束バンド55bの長さが短くても足りることから、より安価な結束バンド55bを用いることができる。さらに、モジュール固定部材50に結束バンド55bを係止させる構成により、ケーブル56を固定する箇所が確保され、縦レール20に沿うようにケーブル56を整線することも可能となる。
なお、以上に説明した構成において、図5に示す縦レール20の一方の縦側面20aに加え、他方の縦側面20bについても被係合部22を設け、縦レール20の両側にモジュール固定部材50を配置可能とする構成としてもよい。このほか、縦レール20の一方の縦側面20aに代えて、他方の縦側面20bにのみ被係合部22を設ける構成としてもよい。
次に、モジュール固定部材の他の実施例について説明する。
図9(A)は、他の実施例のモジュール固定部材50Aの構成について示す正面図、図9(B)は、縦レール20へのモジュール固定部材50Aの取り付けについて示す正面図である。
この実施例においては、モジュール固定部材50Aにおいて、固定面部54の幅方向Xの一側端部には、上側が開放される係合部52Aが形成される。係合部52Aは、縦面部53から断面略L字状の縦片部52cを設けることで構成される。また、モジュール固定部材50Aには、ケーブルを固定するための結束バンドが括り付けられる係止部55が設けられる。
縦レール20側には、縦側面20aの上部に下側が開放される溝部22eにて構成される被係合部22Aが形成される。溝部22eは、縦側面20aにおいて断面視略逆L字状をなす垂片部22dにて構成される。
そして、図9(A)に示すように、太陽電池モジュール2のフレーム下片部2bに設けた貫通孔2aにボルト58aを上から差し込むとともに、このボルト58aをモジュール固定部材50Aの貫通孔54hを通してナット58bで仮止めする。このようにして、モジュール固定部材50Aを太陽電池モジュール2に吊り下げた状態で仮止め状態にできる。
次いで、図9(A)に示すように、モジュール固定部材50Aの縦片部52cを縦レール20の溝部22eに下側から差し込んで係合させるとともに、ナット58bを締め込むことによって、図9(B)に示すように、モジュール固定部材50Aの固定面部54がナット58bとフレーム下片部2bの間に挟みこまれて固定される。
この際、被係合部22Aの垂片部22dに対してモジュール固定部材50の縦片部52c押し付けられて両者の間に静止摩擦力が発生し、モジュール固定部材50の被係合部22に対するスライドが規制され、モジュール固定部材50が被係合部22に固定される。またこのような構成により、縦レール20に対する太陽電池モジュール2とモジュール固定部材50Aの固定を同時に完了させることができ、施工性に優れた構成が実現される。
また、図9(A)(B)に示す実施例によれば、モジュール固定部材50Aを太陽電池モジュール2に仮固定しておき、太陽電池モジュール2を縦レール20に載置して、モジュール固定部材50Aの縦片部52cを縦レール20の溝部22eに引っ掛けるといった操作により、太陽電池モジュール2の縦レール20への固定が実現できるため、モジュール固定部材50Aを縦レール20に対してスライドさせて貫通孔の位置合わせを行う作業を不要とする構成が実現できる。
以上の実施例により、次の構成が実現できる。
即ち、図5及び図6(A)〜(C)に示すように、
太陽電池モジュール2が固定されるモジュール固定部材50と、
モジュール固定部材50が固定されるレール部材と(縦レール20)、を有する太陽電池モジュール設置架台であって、
レール部材には、レール部材の幅方向(矢印X方向)に張り出すようにしてモジュール固定部材50を係合させるための被係合部22であって、モジュール固定部材50をレール部材の長手方向の任意の位置において係合させるための被係合部22が設けられる、太陽電池モジュール設置架台とするものである。
これにより、レール部材(縦レール20)の長手方向Yの任意の位置においてモジュール固定部材50を介して太陽電池モジュール2をレール部材に対して固定することが可能となり、太陽電池モジュールの多様な規格寸法に対応できる架台を実現できる。また、レール部材について太陽電池モジュールの規格寸法ごとの専用設計が不要となり、プレカットによる量産化や在庫からの供給が可能となり、納期の短縮化や、価格の低廉化を図ることができる。
また、図5及び図6(C)に示すように、
モジュール固定部材50には、レール部材(縦レール20)の上面20cと略面一となってレール部材の幅方向に張り出す固定面部(上面54c)が設けられ、固定面部に設けた固定部(貫通孔54h)が、太陽電池モジュール2の下面側に設けられた被固定部(貫通孔2a)の位置に合わせられる、こととするものである。
この構成によれば、モジュール固定部材50の固定面部(上面54c)と、その固定面部(上面54c)に設けた固定部(貫通孔54h)を、レール部材(縦レール20)から張り出してレール部材からずれた位置に配置させることができ、下面側に被係合部(貫通孔2a)が設けられて下留め方式にて固定がされる規格の太陽電池モジュール2について、下留めによる固定を実施することができる。なお、太陽電池モジュール2側の被係合部は、本実施例のように上方から下方に突出するボルト58aにて構成し、下側からナット58bを締結して下留めを行う構成とするほか、太陽電池モジュール2側の被係合部をナット、或いは、雌ネジで構成し、ボルトを下側から締結して下留めを行う構成としてもよい。
また、図5に示すように、被係合部22に対するモジュール固定部材50の係合は、レール部材の長手方向の端部において、モジュール固定部材50の係合部52を被係合部22の位置に合わせ、長手方向にスライドさせることで行う、こととするものである。
この構成によれば、モジュール固定部材50をレール部材に対して仮固定状態として係合させつつ、任意の位置にスライド移動させる構成が実現できる。
また、図9(A)(B)に示すように、被係合部22Aに対するモジュール固定部材50の係合は、レール部材の長手方向の任意の位置において、太陽電池モジュール2側に仮固定されたモジュール固定部材50Aの係合部52Aを被係合部22Aの位置に合わせ、係合部52Aを下側から被係合部22Aに係合させることで行う、こととするものである。
この構成によれば、太陽電池モジュール2にモジュール固定部材50Aを仮固定しておき、太陽電池モジュール2をレール部材(縦レール20)に載置して、モジュール固定部材50Aの縦片部52cをレール部材の溝部22eに引っ掛けるといった操作により、太陽電池モジュール2のレール部材への固定が実現できるため、モジュール固定部材50Aをレール部材に対してスライドさせて貫通孔の位置合わせを行う作業を不要とする構成が実現できる。
また、図5(C)及び図9(A)に示すように、モジュール固定部材50,50Aには、ケーブルを固定するための結束バンドが括り付けられる係止部55が設けられる。
これにより、ケーブルを固定する箇所が確保され、レール部材(縦レール20)に沿うようにケーブル56を整線することが可能となる。
次に、レール連結部材40を用いた横レール10と縦レール20の連結について説明する。
図10(A)はレール連結部材40の斜視図であり、図10(B)は横レール10に対するレール連結部材40の固定について示す側面図であり、図11はレール連結部材40の連結を完了した状態について示す側面図であり、図12はレール連結部材40を用いた連結について説明する図である。
図10(A)(B)乃至図12に示すように、本実施例のレール連結部材40は、横レール10の第一上面部11aに載置される載置片部41aと、載置片部41aと離間して設けられ横レール10の溝部11bに挿入されて係止される傾斜面部をなす係止片部41bと、載置片部41aと係止片部41bに対しそれぞれ垂直方向に配置され互いに対向する縦片部41c,41dと、縦片部41c,41dの上端の間を跨ぐようにして縦レール20を載置するための傾斜面を構成する傾斜面部41eと、載置片部41aにおける係止片部41bとは反対側の端部に形設されて横レール10の第二係合片部11cと係合する係合溝部41fと、係合溝部41fの下方に位置し、横レール10の縦面部11dに当接する固定片部41gと、を有する構成としている。
より具体的には、横レール10の上部には略水平面を形成する第一上面部11aが設けられており、この第一上面部11aに対しレール連結部材40の載置片部41aと、縦片部41cの下端部が載置される。横レール10には、断面略コ字状の溝部11bが形設され、この溝部11bに対してレール連結部材40の係止片部41bが挿入される。この挿入は、図10(B)に示すように、レール連結部材40を全体的に傾けることで行われる。
また、横レール10において溝部11bと反対側の第一上面部11aの端部となる位置には、突条にて構成される第二係合片部11cが形設されており、この第二係合片部11cがレール連結部材40の係合溝部41fに挿入される。また、この際、横レール10の第一上面部11aから下方に延びる縦面部11dに対し、レール連結部材40の固定片部41gが当接される。
レール連結部材40の固定片部41gには、貫通孔41hが形成され、この貫通孔41hを介してドリルネジ42を縦面部11dに打ち込むことで、横レール10に対してレール連結部材40が固定される。また、この際、固定片部41gと反対側に配置される係止片部41bは、横レール10の溝部11bの突条部にて構成される第一係合片部11eの裏側に配置され、第一係合片部11eによって係止片部41bが上側に抜けることが規制される。
以上の構成では、レール連結部材40の一端側の係止片部41bが第一係合片部11eと係合されるため、矢印Y方向(縦レール20の長手方向)における反対側においてのみドリルネジ42を打ち込むだけで固定を完了することができる。なお、ドリルネジ42による固定が行われる前においては、レール連結部材40は横レール10の長手方向の任意の位置にスライド移動させることができる。
図10(A)、図12に示すように、レール連結部材40の縦片部41c,41dの上部において、横方向Xの一側端部(図12において紙面左側)には、横方向Xに延びる係合溝部41m,41nがそれぞれ形設されている。
また、図12に示すように、縦レール20の底面24には、底面24がレール連結部材40の傾斜面部41eに載置された状態において、レール連結部材40の係合溝部41m,41nに挿入される第一係合片部24nが形成されている。
以上の構成により、施工時には、まず縦レール20の底面24をレール連結部材40に半分程度乗りかからせた状態とし、その後、縦レール20を横方向へと移動させることで、第一係合片部24nを係合溝部41m,41nへと進入させて係合させる。
ここで、係合がなされた状態では、縦レール20がレール連結部材40から離れて上方に抜けてしまうことを防止できるとともに、レール連結部材40に対する縦レール20の位置決めが行われる。
また、図12に示すように、縦レール20の底面24において、横方向Xにおいて第一係合片部24nとは反対側の端部(図12において紙面右側)には、上方に立ち上がる第二係合片部24cが形成される。
そして、図12に示すように、この第二係合片部24cが押さえ部材45にて上から押さえ込まれる。押さえ部材45は、レール連結部材40の傾斜面部41eに載置される平板部45aと、平板部45aの幅方向Xの一端側にて立設される縦面部45bと、縦面部45bの下端部と平板部45aの間に形設される溝部45cと、平板部45aの幅方向Xの他端側にて下方に垂設されてレール連結部材40(傾斜面部41e)の側端部に当接して位置決めが行われる位置決め片部45dと、を有して構成される。
また、図12に示すように、押さえ部材45には貫通孔45k(丸孔)が形成され、レール連結部材40の傾斜面部41eには貫通孔41k(雌螺孔)が形成されている。位置決め片部45dによる位置決めが行われると、両貫通孔45k,41kの位置が一致し、ボルト49aを上から挿入すると、押さえ部材45がレール連結部材40に固定されるとともに、押さえ部材45の溝部45cに縦レール20の第二係合片部24cが入り込み、押さえ部材45による縦レール20の固定が行われる。
また、押さえ部材45の縦面部45bには、貫通孔45hが形設されており、貫通孔45hを通じてドリルネジ49bが縦レール20の縦側面20aに打ち込まれ、これにより、押さえ部材45と縦レール20のズレが規制される。
以上のようにして、縦レール20と横レール10とをレール連結部材40を介して連結させることができる。そして、図12に示すように、縦レール20は、縦レール20の長手方向Yと直交する方向(矢印X方向)の一方側では第一係合片部24nがレール連結部材40に対して係合し、他方側では第二係合片部24cがレール連結部材40にボルト固定される押さえ部材45に係合される。このようにして、縦レール20は、押さえ部材45側(他方側)のみをボルト固定するだけでレール連結部材40との固定が完了される。
同様に、図10(A)(B)、及び、図11に示すように、横レール10は、横レール10の長手方向Xと直交する方向(矢印Y方向)の一方側において第一係合片部11eがレール連結部材40に係合し、他方側において第二係合片部11cがレール連結部材40に係合し、他方側においてレール連結部材40の固定片部41gが横レール10にボルト固定される。このようにして、縦レール20は、固定片部41g側(他方側)のみをボルト固定するだけでレール連結部材40との固定が完了される。
以上のように、互いに直交する二つの横レール10、縦レール20を連結するレール連結部材40であって、各レールとレール連結部材40の留め付けについては、各レールの長手方向と直交する方向の一側にて締結具(ボルト)による固定により完了される構成とし、これにより、作業工数の少ない優れた施工性が実現できる。
なお、以上の構成では、図12に示すように、第二係合片部24cを押さえ部材45で押さえる構成としたが、この代わりに、縦レール20の側面に横片部分を設け、当該横片部分をレール連結部材40にボルト固定することとしてもよい。また、レール連結部材40側に第二係合片部24cに対する係合部と、縦レール20の側面に対向する縦片部を設け、当該縦片部を縦レール20の側面に対しボルト固定することとしてもよい。
また、以上の構成においては、図8に示すように、ドリルネジ49bを介した縦レール20と押さえ部材45の通電が確保され、ボルト49aを介した押さえ部材45とレール連結部材40の通電が確保され、ドリルネジ42を介したレール連結部材40と横レール10の通電が確保される。以上のようにして、縦レール20と横レール10の間の通電(アース接続)が可能となっている。
また、図7及び図8に示すように、レール連結部材40について、縦片部41c,41dの間の隙間41sを利用し、結束バンド48にてケーブル47を括り付けて整線を行うことができる。これにより、ケーブル47の配線が煩雑になることを防止できる。
なお、図7及び図8に示すように、レール連結部材40の裏側に結束バンド48を配置して、ケーブル47をレール連結部材40に対して裏側に配置することのほかに、レール連結部材40の表側にケーブル47を配置し、結束バンド48にてレール連結部材40の表側にてケーブル47を整線してもよい。これによれば、ケーブル47を横レール10の表側に沿わせて配置することができ、ケーブル47を横レール10で隠すようにして、裏側から架台を見たときにケーブル47を見難くすることできる。
次に、図13(A)〜(C)に示される整線トレイ65について説明する。
この整線トレイ65は、横レール10(レール部材)に対して係合固定され、横レール10の上に載置されたケーブル66と接触して横レール10からのケーブル66の脱落を規制する上側係止部65bを備えて構成されるものである。この整線トレイ65は、例えば、樹脂成形品にて構成することができる。
整線トレイ65は、横レール10の第二上面部11gに載置されるベース部65aと、ベース部65aと略直交する方向に立ち上げられる上側係止部65bと、ベース部65aと略直交する方向に垂設される下側係止部65cと、を有する。
また、上側係止部65bと反対側となるベース部65aの端部には、レール連結部材40に係合固定される係合部65d,65dと、レール連結部材40の一部である突条部41pに当接する当接片部65e,65eが形成されている。
整線トレイ65の当接片部65e,65eと下側係止部65cの間の寸法Y6は、レール連結部材40の突条部41pに当接片部65eを当接させた際に、下側係止部65cが横レール10の縦面部11hに当接するように設定されており、これにより、横レール10に整線トレイ65を付け合せた後に、整線トレイ65が突条部41pや縦面部11hに当接することで、整線トレイ65のズレの発生が抑制される。
また、整線トレイ65の幅方向Xにおける両端部には、弾性突片にて構成される係合部65d,65dが形成される。二つの係合部65d,65dの間には、整線トレイ65のベース部65aの縁に沿うようにして微小の突条部65fが形成されている。
係合部65dは、整線トレイ65の幅方向Xの中心側が高くなるように斜め方向に突出されており、上から荷重を受けて下方へと撓むとともに、荷重がなくなると弾性復帰して元の斜め方向に突出する状態に戻る。
レール連結部材40には、横レール10の縦面部11dに当接して固定される固定片部41gが設けられており、この固定片部41gの下端部には、横レール10側の最下端部を切り欠いてなる溝部41yが形成される。
そして、図13(C)に示すように、この溝部41yの側方に整線トレイ65の係合部65dを位置させつつ、横方向Xに整線トレイ65をスライドさせると、溝部41yに入り込む一方の係合部65dが撓んで折れ曲がるとともに、溝部41yを通過後は、図13(C)の左側に示されるように、一方の係合部65dが復帰して立ち上がるとともに、他方の係合部65dが固定片部41gの端面41vに当接して整線トレイ65のスライド移動が規制される。
以上のようにして、整線トレイ65の二つの係合部65d,65dが、レール連結部材40の固定片部41gの両側に配置され、整線トレイ65の横方向X(横レール10の長手方向)の移動が規制される。
また、以上のスライドの際に、突条部65fが溝部41y内へと進入することで、突条部65fの矢印Ya方向(図13(A))の移動が規制される。
以上のようにして、整線トレイ65を横レール10に載置しつつ、レール連結部材40に対する移動が規制された状態において、整線トレイ65を横レール10に取り付けることができる。そして、横レール10に対する整線トレイ65の取り付けについて、工具やボルトなどを用いることがないため、作業性に優れた構成を実現できる。
また、横レール10に整線トレイ65を取り付けた後、ケーブル66を整線してベース部65aに置いた際には、ベース部65aに立ち上がる上側係止部65bによってケーブル66の脱落を規制し、ケーブル66が整線された状態を維持することができる。
なお、整線トレイ65を用いることに加え、結束バンドを用いてケーブル66を他の部位に括り付けることとしてもよい。また、整線トレイ65を用いることで、第二上面部11gの上にケーブル66を沿わせる取り回しが可能となる。特に、ケーブル66は重量の有る銅を含んで構成されるため、その自重によって経年により垂れ下がり、美観上の不具合となる場合が考えられるが、第二上面部11gの上にケーブル66を載置してこの自重を支えることによれば、このような不具合が発生しない整線が実現できる。
次に、横レール10の固定方法について説明する。
図14は、横レール10の固定に関する部材の分解図、図15は横レール10が固定された状態について示す側面図、図16(A)は連結用部材60の形状などに詳細について示す側面図、図16(B)はレール空間Sが形成された状態について示す側面図、図16(C)はレール空間Sに連結用部材60が挿入された状態について示す側面図、図16(D)は下部支持部材30の他の実施例について示す側面図、図17(A)は連結用部材60の取り付けについて示す正面図、図17(B)は連結用部材60を用いて固定が完了した状態について示す正面図である。
本実施例の図14及び図15に示す構成は、図2(B)に示される水下側柱無し構成において、図2(B)の左側の基礎に設置される下部支持部材30に対し、横レール10が設置される構成に対応するものである。なお、以下に説明する連結用部材60を用いた固定方法は、図2(B)の右側の基礎に立設された柱5の上部に配置される上部支持部材34と横レール10の連結部においても適用できる。
図14及び図15に示すように、横レール10の下部には、横レール10の長手方向に沿う縦面部11s,11sと、縦面部11s,11sの下端部同士をつなぐ底面部11uが構成されている。
下部支持部材30は、ベース板部31aと、ベース板部31aから上方に立設されて対向する縦面部31b,31bを有しており、この縦面部31b,31bの間に、横レール10の縦面部11,11と底面部11uの部位が差し込まれるようにして納められる。
横レール10の縦面部11s,11sには、それぞれ側方(横レール10の長手方向Xと直交する矢印Y方向)に向かって開放されるレール溝12,12が形成される。レール溝12,12は、横レール10の長手方向Xに連続して形成される。
レール溝12,12には、それぞれ連結用部材60,60が挿入される。連結用部材60は、レール溝12内において摺動可能に構成される。
連結用部材60には、その板厚方向に貫通する貫通孔62h,62hが形成される。この貫通孔62h,62hには雌ネジが螺設されており、連結用部材60を摺動させて、下部支持部材30の縦面部31b,31bに形設された貫通孔31h,31hの位置に対し、連結用部材60の貫通孔62h,62hを合わせつつ、ボルト63,63を挿入して締結することで、連結用部材60を介した下部支持部材30と横レール10の固定を可能にするものである。
図16(A)に示すように、連結用部材60は、長尺の板状や棒状の部材で構成でき、肉厚の本体部60mと、本体部60mの長手方向と直交する方向に突出する係止部62aと、係止部62aを本体部60mの厚み方向において一側へオフセットさせて配置させる屈曲部62bと、を有している。
図16(A)に示すように、横レール10のレール溝12の部位には、横レール10の横面部11vから垂れ下がる突条部12aと、突条部12aの下端部において形成される円弧面部12bと、突条部12aの裏側面12cと、溝天面部12dと、溝縦面部12eと、溝底面部12fと、レール側部開口部12gが形成される。
図16(A)に示すように、レール溝12の開口高さ幅12vは、突条部12aにより溝内高さ幅12wよりも狭く構成される。また、連結用部材60は、本体部60mが高さ幅60vを有し、本体部60mと係止部62aを合わせて全体として高さ幅60wを有する。
そして、連結用部材60の全体高さ幅60wは、レール溝12の開口高さ幅12vよりも大きく、溝内高さ幅12wよりも小さく構成される。これにより、連結用部材60を傾けることで、レール側部開口部12gを通じてレール溝12内に連結用部材60を挿入することができる。また、この挿入の際には、レール溝12の円弧面部12bに対し、連結用部材60の屈曲部62bを沿わせることでスムーズに挿入できる。
また、図16(C)に示すように、連結用部材60の挿入後は、連結用部材60の係止部62aが、レール溝12の突条部12aの裏側に配置されるとともに、連結用部材60がレール溝12の溝底面部12fに載置された状態となる。
また、図16(B)の状態においては、図17(A)に示すように、連結用部材60はレール溝12内をスライド移動することができる。この際、連結用部材60は、下側がレール溝12の溝底面部12fに支持され、上側では連結用部材60の係止部62aがレール溝12の突条部12aの裏側に配置されるため、連結用部材60をレール溝12から脱落させることなく、スムーズにスライド移動させることができ、作業性に優れた構成が実現できる。
また、図16(B)に示すように、下部支持部材30の縦面部31bの内側面には、横レール10のレール溝12に対向して配置させるための対向レール溝32が形成されている。対向レール溝32の部位には、溝天面部32aと、溝縦面部32bと、溝底面部32cとが形成されている。対向レール溝32の上方には、レール溝12の突条部12aに対向する突条部32dが形成されている。
図16(B)は、図17(A)のD−D線図に対応するものであり、下部支持部材30が配置される部位においては、図16(B)に示すように、レール溝12,32によって一つのレール空間Sが形成される。
図16(B)に示すように、レール空間Sにおいては、レール溝12の溝底面部12fと対向レール溝32の溝底面部32cの高さが一致し、両溝底面部12f,32cにて一連の底面部が形成され、図16(C)に示すように、レール空間Sの位置に連結用部材60が配置された際には、両溝底面部12f,32cによって連結用部材60の下方への移動(抜け)が規制される。なお、図16(C)は、図17(B)のE−E線図に対応するものである。
また、図16(B)に示すように、レール空間Sにおいて、レール溝12の突条部12aの下面と、対向レール溝32の溝天面部32aの高さが一致し、図16(C)に示すように、レール空間Sの位置に連結用部材60が配置された際には、連結用部材60の上面62uが突条部12aと溝天面部32aに対向し、連結用部材60の上方への移動(抜け)が規制される。
これにより、図16(C)に示すように、強風などにより、横レール10に上方向の大きな荷重が作用した際には、連結用部材60溝天面部32aにて押さえ込むことができ、下部支持部材30からの横レール10の脱落を確実に防止できる。なお、対向レール溝32の溝天面部32aにて連結用部材60を上から押さえ込む構成とすることで、縦面部31bにて連結用部材60に作用する上方向の荷重Fを受け止めることができ、ボルト63と連結用部材60(貫通孔62h)に作用する荷重を低減し、太陽電池モジュール2の風の吹き上げに起因する荷重に対する対荷重性能を高めることができる。
下部支持部材30への横レール10の固定の手順について説明すると、図17(A)に示すように、レール側部開口部12gを通じてレール溝12内に連結用部材60を挿入する。ここで、下部支持部材30の縦面部31bからずれた位置においては、横レール10のレール溝12のレール側部開口部12gが開放されており、横レール10の長手方向の任意の位置において連結用部材60を挿入することができる。なお、連結用部材60は、下部支持部材30に対し図において右側の位置、或いは、左側の位置のいずれからもレール溝12内に挿入することができる。
次いで、レール溝12に挿入した連結用部材60を縦面部31bの位置までスライド移動させて、貫通孔31h,62h同士の位置を一致させる。なお、縦面部31bの貫通孔31hと、連結用部材60の貫通孔62hは、同一ピッチで配置される。
次いで、図16(C)に示すように、貫通孔31hを通じて雌ネジが切られた貫通孔62hにボルト63を捻じ込むと、連結用部材60が縦面部31b側へと引き寄せられ、連結用部材60の係止部62aがレール溝12の突条部12aの裏側面12cへと当接する。
そして、ボルト63の捻じ込みが完了すると、レール溝12の突条部12aが、連結用部材60(係止部62a)と縦面部31b(突条部32d)に挟み込まれ、図15に示されるように、横レール10を下部支持部材30に対して固定させた状態を実現できる。
また、以上の一連の作業においては、横レール10のレール溝12の側方から連結用部材60が挿入できるので、予め連結用部材60をレール溝12内に配置させておく必要はない。また、下部支持部材30の近傍の位置において連結用部材60をレール溝12内に挿入できるので、連結用部材60をスライドさせる量を最低限に抑えることができる。
以上の実施例により、次の構成が実現できる。
即ち、図14乃至図17に示すように、
太陽電池モジュールを支持するためのレール部材(横レール10)であって、レール溝12が長手方向に形設されるレール部材と、
レール溝12に挿入される連結用部材60と、
レール部材を支持するための縦面部31bを有し連結用部材60と連結可能な支持部材(下部支持部材30)と、
を有し、
レール溝12には、
レール部材の側部に設けられて側方に開放されるレール側部開口部12gと、
レール側部開口部12gの開口端部の片側(図16(A)では横レール10の横面部11v側)においてレール溝12に沿って形設される被係止部(突条部12a)と、が形設され、
連結用部材60は、レール側部開口部12gからレール溝12内に挿入可能であって、レール溝12内に挿入された状態で被係止部(突条部12a)に対向する係止部62aを有し、
レール溝12において支持部材(下部支持部材30)の位置に連結用部材60をスライド可能とし、係止部62aと支持部材(下部支持部材30)の間で被係止部(突条部12a)を挟み込むことで、
レール部材(横レール10)と支持部材(下部支持部材30)を固定する、太陽電池モジュール設置架台とする。
これにより、連結部材をレール溝12の長手方向の任意の位置にてレール溝12に挿入可能となり、予めレール溝12内に挿入しておく必要がなく、また、施工をやり直さずに、支持部材とレール部材の連結箇所を増やすことも可能となる。
なお、以上に説明した実施例では、図16(C)に示すように、レール溝12において上から垂れ下がる突条部12aを構成し、この突条部12aにて連結用部材60の係止部62aに対する被係止部を構成することとしたが、この例に限定されるものではなく、例えば、突条部12aの代わりに被係止部となる溝部を設けてこの溝部内に連結用部材60の係止部62aが差し込まれる構成としてもよく、また、突条部12aを下側から立設して図16(C)において連結用部材60が上下反転して設置される構成などとしてもよい。つまり、レール側部開口部12gの開口端部の片側のいずれの側に突条部が設けられるものであってもよい。また、連結用部材60の係止部62aは、突出するものではなく溝部にて構成し、レール溝12側の突条部12aを溝部内に挿入させることで係止を行うこととしてもよい。
また、図14に示すように、
連結用部材60は被締結部(本実施例では貫通孔62hの雌ネジ部(ナットで構成してもよい))を有する長尺部材にて構成され、
支持部材(下部支持部材30)に形設される貫通孔31hを通じて締結具(ボルト63)を被締結部に締結することで、
係止部62aと支持部材(下部支持部材30)の間に突条部12aを挟み込む、
こととするものである。
このように、連結用部材60を長尺部材にて構成することで、突条部12aを面で押さえることができ、レール部材と支持部材とを強固に固定することができる。
また、図16(C)に示すように、
支持部材(下部支持部材30)の縦面部31bには、レール溝12に対向し、連結用部材60の上面62に対向する部位を有する対向レール溝32が設けられる、
こととするものである。
これにより、支持部材(下部支持部材30)の縦面部31bに対して連結用部材60に作用する上方向の荷重Fを受け止めることができ、太陽電池モジュール2の風の吹き上げに起因する荷重に対する対荷重性能を高めることができる。
また、図14及び図16(A)に示すように、
レール部材(縦レール20)のレール溝12は、レール溝12に浸入した水をレール側部開口部12gを通じて外部に排出可能に構成されている。
これにより、レール溝12内での埃や雨水などの停留を防ぎ、各種部材の汚れや、腐食の発生を防止できる。なお、上記実施例では、溝底面部12fを平坦な面で構成することにより、水を外部に排出可能としたが、溝底面部12fについて溝の外側を低くする傾斜を設けてもよく、また、水の排出が自然に行われるのであれば、具体的な構成については特に限定されるものではない。
さらに、以上の構成とするほか、図16(D)に示すように、縦面部31bについて、レール溝を設けない構成としてもよい。この構成によっても、上記の構成と同様に、レール溝12と縦面部31bの間にレール空間Sを構成することができ、図17(A)に示すように、横レール10の長手方向の任意の位置において、レール側部開口部12gを通じてレール溝12内に連結用部材60を挿入することができる。また、以上の構成は、横レール10のように水平配置されるものについて用いられるほか、例えば、縦レール20のように傾斜して配置されるものや、柱などの垂直に配置されるものなど、各種の長尺部材について幅広く適用可能である。
次に、ボルトガイド部材70について説明する。
図18は柱5にボルトガイド部材70を用いる例の斜視図であり、図19(A)はボルトガイド部材70の斜視図であり、図19(B)はボルトガイド部材70Bの断面図であり、図19(C)はボルトガイド部材70Cの断面図であり、図20はボルトガイド部材70の柱5への取り付けについて示す断面図であり、図21はボルトガイド部材70の使用状態について示す側面図である。
このボルトガイド部材70は、中空の柱状部材にボルトなどの締結具を貫通させて他部材との連結を行う箇所に設けられ、中空部内に配置させる筒状部にて柱状部材の内側の壁面を支持することにより、締結時の柱状部材の撓み変形を防止可能とするものである。
以下詳述すると、図18に示すように、基礎3の上に下部支持部材30が固定され、下部支持部材30に柱5の下部が固定されて、下部支持部材30に柱5が立設される。
柱5は長手方向に貫通する中空部5kを有する中空の角柱部材にて構成され、柱5の下部において、柱5の一組の対向面を構成する側板5aには、矢印Y方向に貫通する貫通孔5h,5hがそれぞれ形成されている。また、柱5の上部においても同様に、矢印Y向に貫通する貫通孔5h,5hが形成されている。
そして、柱5の上端、下端のそれぞれにおいて、中空部5kの開放部からボルトガイド部材70が挿入される。
図19、及び、図20に示すように、ボルトガイド部材70は、横ブリッジ部71aと、横ブリッジ部71aの両端部においてそれぞれ横ブリッジ部71aと略直交する方向に延びる一対の縦ブリッジ部71b,71bと、縦ブリッジ部71b,71bの横ブリッジ部71aと反対側の端部において、横ブリッジ部71aとは反対の方向に略直交する方向に延びる係止部71c,71cを有している。
また、横ブリッジ部71aと縦ブリッジ部71b,71bの連結部位となるコーナー部分には、矢印Y方向、つまり、ボルトの挿入方向に長い断面略C字状の筒状ガイド部71d,71dが形成されている。なお、本実施例では、押し出し成形によりボルトガイド部材70を構成しており、横ブリッジ部71a、縦ブリッジ部71b、係止部71cについては板状体で構成されているが、板状体で構成するほか、棒状の部材などであってもよく、ボルトガイド部材70を一体物として構成できるものであれば、その構成は限定されるものではない。また、筒状ガイド部71dについても、断面略C字状とするほか、コ字状やO字状などとすることも考えられ、ボルトを貫通させる筒状のものであれば、具体的な構成に限定されるものではない。
また、図20に示すように、ボルトガイド部材70の寸法について、矢印X方向において、一対の係止部71c,71cの端部間の幅寸法X1は、柱5の中空部5kの幅寸法X3よりも広く構成される。また、一対の筒状ガイド部71d,71dの幅寸法X2は、柱5の中空部5kの幅寸法X3よりも狭く構成される。
また、図19(A)に示すように、ボルトガイド部材70の寸法について、矢印Y方向における全体の幅寸法Y1は、柱5の中空部5kの幅寸法X3よりも狭く構成される。
以上の構成により、図20に示すように、ボルトガイド部材70を柱5の中空部5kに対して、筒状ガイド部71d側から差し込むようにして挿入すると、係止部71c,71cが柱5の側板5aの長手方向端部5cに当接し、ボルトガイド部材70のさらなる挿入が規制され、ボルトガイド部材70が規定の位置に配置される。
そして、ボルトガイド部材70が規定の位置に配置された状態では、筒状ガイド部71dの位置が柱5の貫通孔5hの位置に一致し、貫通孔5hを通じて筒状ガイド部71d内へとボルト75を挿入できる状態となる。このようにして、ボルトガイド部材70の挿入規制を行うと同時に、柱5の貫通孔5hに対する筒状ガイド部71dの位置決めを実施できる。
ここで、柱5に対するボルトガイド部材70の取り付けは、柱5とボルトガイド部材70を施工現場に個別に搬入し施工時に柱5にボルトガイド部材70を挿入することや、工場において接着剤やカシメなどにより、柱5に対してボルトガイド部材70を一体化させておくこととしてもよい。なお、接着剤を用いる場合には、ボルトガイド部材70の係止部71cの部位に接着剤を塗布し、柱5に係止部71cを引っ掛けた状態で放置することで、一体化を行うことができる。この点、仮に単なる筒状部材にてボルトガイド部材を構成し柱5の中空部5kに接着固定する場合には、柱5の内部にボルトガイド部材が落ちないように、接着剤が乾くまで手で押さえておくなどの手間を要することになる。
以上のようにしてボルトガイド部材70が柱5に対し規定の位置にセットされた状態で、図21に示すように、柱5の下部においては、下部支持部材30の縦面部31b,31bの間に柱5が差し込まれ、縦面部31b,31bに形設された貫通孔32h、32hと、柱5の貫通孔5h、5hの位置を一致させる。
そして、縦面部31bの貫通孔32hからボルト75を挿込み、さらに、柱5の貫通孔5hを通じて筒状ガイド部71dへとボルト75の先端を進入させ、反対側の柱5の貫通孔5h、及び、縦面部31bの貫通孔32hを通じてボルト75の先端を外部へ突出させ、その先端にナット76が締結される。
同様に、図21に示すように、柱5の上部においては、横レール10と連結するための上部支持部材34が柱5の上部に取り付けられる。上部支持部材34は横面部34aとその両端の縦面部34b,34bを有して側面視略H字状に構成され、縦面部34b,34bの間の空間において、横面部34aの上側に横レール10の下部が挿入され、横面部34aの下側に柱5の上部が挿入される。
そして、上部支持部材34の縦面部34b,34bに形設された貫通孔34h、34hと、柱5の貫通孔5h、5hの位置を一致させた状態とし、縦面部34bの貫通孔34hからボルト75を挿込み、さらに、柱5の貫通孔5hを通じて筒状ガイド部71dへとボルト75の先端を進入させ、反対側の柱5の貫通孔5h、及び、縦面部34bの貫通孔34hを通じてボルト75の先端を外部へ突出させ、その先端にナット76が締結される。
以上のように、柱5の上部と下部において、それぞれボルトナットによる固定がなされる。ここで、図21に示すように、柱5は中空の部材で構成されるため、ボルトナットを強く締め付けると柱5の撓み変形が生じることが懸念されるが、幅寸法X3が縮小しようとした際には、柱5の側板5aが筒状ガイド部71dに当接し、筒状ガイド部71dによって側板5aの内側面を支えることができる。
以上のようにボルトガイド部材70を用いることにより、柱5(側板5a)の撓みによる変形が規制され、十分な締め付けトルクによるボルトナットでの固定が可能となる。なお、柱5の変形を可能な限り抑えるためには、筒状ガイド部71dの長手方向の幅寸法Y1は、柱5の中空部5kの幅寸法X3よりも僅かに小さく設定し、柱5の中空部5k内への筒状ガイド部71dの挿入を可能としつつ、側板5aに当接し得る寸法とすることが好ましい。
さらに、図21の部分拡大図A1(矢印Z方向から見た拡大図)に示すように、ボルトガイド部材70には、ボルトガイド部材70を固定対象物となる中空材の柱5に固定した状態において、柱5の中空部5kの内部と外部を連通させて水抜きを行うための水抜部71gが構成される。
本実施例では、係止部71cにおいて、柱5の側板5aよりも内側、即ち、中空部5kの中心に近い側において、筒状ガイド部71dと同一方向に延びる凹溝部71fを形成し、この凹溝部71fが柱5の側板5aよりも柱5の長手方向において突出する位置に配置される構成とすることで、柱5の中空部5kの内部と外部を通じさせる水抜部71gが構成される。
以上の構成により、図21に示すように、柱5の下部に配置されるボルトガイド部材70において、柱5を下部支持部材30のベース板部31aに立設した状態において、柱5の下端のライン5pよりも下方に凹溝部71fからなる水抜部71gが現れ、この水抜部71gを通じて、柱5の中空部5kと外部空間が連通される。
このように水抜部71gが形成されることで、柱5の中空部5k内の水を水抜部71gを通じて外部へ流し出すことができ、柱5の内部に水が溜まってしまうことを防止できる。
また、以上に述べたボルトガイド部材70と同様の構成は、図18に示すように、柱5の上下端部に設けられ、柱5と他部材の固定個所において用いられるものとするほか、図2に示される中空のブレス6の接合個所6a,6bについても適用できる。
この場合、図19(B)(C)に示すごとく、一箇所の筒状ガイド部71hを有するボルトガイド部材70B,70Cとし、一本のボルトのみが挿通される構成にて実現できる。また、全体形状としては、図19(B)に示すT字型、図19(C)に示すY字型など、特に限定するものではない。
次に、図21に示される下部支持部材30の水抜部31mについて説明する。
この水抜部31mは、柱5の中空部5kの内部と外部を連通させて水抜きを行うためのものであり、この構成は、図21の部分拡大図B1に示すように、上述のボルトガイド部材70が用いられて柱5の側板5aとベース板部31aの上面31pの間に隙間31sが形成される場合の他、図21の部分拡大図B2に示すように、ボルトガイド部材70が用いられずに、柱5の側板5aがベース板部31aの上面31pに密着する場合のいずれにおいても適用できる。
下部支持部材30は、平坦なベース板部31aの上面31pに間隔を空けて縦面部31b,31bを平行に配置して構成されており、例えば、押し出し成形にて製造することができる。縦面部31b,31bの間に柱5の下端部が挿入され、ボルト75,ナット76にて縦面部31b,31bと柱5を固定することで、下部支持部材30に柱5が立設される。
ベース板部31aには、縦面部31b,31bの両側方となる位置に長孔からなる貫通孔31n,31nが形成されており、この貫通孔31n,31nに基礎3に埋め込まれたアンカーボルト3b,3bを挿通させ、ナット3c,3cを締結することで下部支持部材30が基礎3に固定される。
また、ベース板部31aの上面31pにおいて、二つの縦面部31b,31bの間の中心線と一致する箇所には、当該中心線と同一線上に、凹溝状の水抜部31mが形成される。この水抜部31mは、図18にも示されるように、凹溝の長手方向となる矢印X方向において、ベース板部31aの全幅Xbに対応する範囲に形成され、凹溝を伝って端部まで辿り着いた水がそのまま凹溝の外に流出される。
また、図21の部分拡大図B2に示すように、水抜部31mの底面において、水抜部31mの水幅方向の中心線と一致する箇所には、当該中心線と同一線上に、中央ライン31cが設けられる。この中央ライン31cは、図18に示すように、施工時において基礎3の上に引かれる墨出し線3xとの位置合わせに用いることができ、下部支持部材30の位置出し(位置合わせ)の作業の簡略化と、正確性を確保できる。なお、ベース板部31aの貫通孔31nは、長孔で構成することで、アンカーボルト3bを挿通させた状態において下部支持部材30をずらすことができ、下部支持部材30の正確な位置出しが可能となっている。
また、水抜部31m内の中央ライン31cは、例えば、下部支持部材30を押し出し成形にて構成する際に水抜部31mとともに形成することができ、断面V字状の極細溝等で構成することができる。
以上の構成により、図21の部分拡大図B2に示すように、柱5の側板5aの下端面(長手方向端部5c)がベース板部31aの上面31pに当接し、隙間がない場合においても、中空部5k内の水を水抜部31mを通じて外部へ流し出すことができ、柱5の内部に水が溜まってしまうことを防止できる。このため、柱5の側板5aについて、水抜きのための孔加工を不要とすることができる。
また、図21の部分拡大図B1の場合においては、上述のボルトガイド部材70を備えることにより、柱5の側板5aの下端面(長手方向端部5c)とベース板部31aの上面31pの間に隙間31sが形成されるが、この場合においても、ベース板部31aの上に落ちる水を水抜部31mを通じて外部へと排出できる。
以上のように、本実施例では、中空部5kを有する柱状部材(柱5)の下端部を支える下部支持部材30であって、下部支持部材30における中空部5kに対向するベース板部31aには、中空部5kの内部と外部を連通させるための水抜部31mを設ける構成とするものである。また、好ましくは、水抜部31mは凹溝状に構成されることとし、さらに好ましくは、水抜部31mの溝底面において、下部支持部材30の中心線(柱5の位置決めライン)と同一線上となる位置に、中央ライン31cが形成されることとするものである。
そして、以上に説明した水抜部31mの構成は、本実施例のような太陽電池モジュール2用の架台の柱5の分野で用いるほか、他の構造物に用いられる中空部を有する柱を支える部材についても適用できる。
次に、太陽電池モジュール2の架台に対する留め方について説明する。
図22は図2(A)の水下側柱有り構成の場合の留め方について説明する図、図23は図2(B)の水下側柱無し構成の場合の留め方について説明する図である。
図2(A)に示すように、水下側において柱5の高さH1が、例えば、1.5m程度である場合において、最も水下側に配置される太陽電池モジュール2の留め付け位置M1については、作業者は上から太陽電池モジュール2を固定するのが作業がし易い。
このため、図22に示すように、留め付け位置M1については、上留めにて留め付けを行う。ここで、「上留め」とは、太陽電池モジュール2の上側から作業者がボルトなどの固定具を操作して太陽電池モジュール2を架台に留め付けることをいうものである。
また、図2(A)に示すように、水上側において柱5の高さH2が、例えば、2m以上となる場合において、最も水上側に配置される太陽電池モジュール2の留め付け位置M6については、仮に上留めをすることになると相当高い足場を組む必要があるため、作業者が下から太陽電池モジュール2を固定できるようにすることが好ましい。
このため、図22に示すように、留め付け位置M6については、下留めにて留め付けを行う。ここで、「下留め」とは、太陽電池モジュール2の下側から作業者がボルトなどの固定具を操作して太陽電池モジュール2を架台に留め付けることをいうものである。
他方、図2(B)に示すように、水下側において柱が配置されず、例えば、太陽電池モジュール2の最下部の地上高さH3が数十センチである場合においては、最も水下側の留め付け位置M1については、作業者は上から太陽電池モジュール2を固定するほうが作業がし易い。
このため、図23に示すように、留め付け位置M1については、上留めにて留め付けを行う。なお、仮に、下留めをしようとすると、作業者に地面に横たわる等しての作業を強いることになり、作業負担が増してしまうことになる。
また、図2(B)に示すように、水上側において柱5の高さH4が、例えば、1.5m程度である場合において、最も水上側に配置される太陽電池モジュール2の留め付け位置M6については、作業者が下から太陽電池モジュール2を固定できるようにすることが好ましい。
このため、図23に示すように、留め付け位置M6については、下留めにて留め付けを行う。なお、作業者によっては、上留めを選択してもよい。
以上のように、各留め位置において、作業者が任意に上留め、下留めを選択できることによれば、作業性に優れ、施工時間の短縮化も図ることが可能となる。
そして、上留めをする具体的な方法として、図24の構成を採用することができる。この構成は、例えば、図2(A)の留め付け位置M1などの縦レール20の端部において利用できるものである。図24に示すように、縦レール20の上面20cに凹溝25が形成され、凹溝25にボルト26のボルト頭が挿入される。凹溝25は、底面部25aと、底面部25aの両側部から立ち上がる縦面部25b,25bと、縦面部25b,25bの上端部から互いに近づく方向に突設される係合片部25c,25cと、係合片部25c,25cの間に形成されボルト26のネジ部を突出させる隙間部25dを有している。
縦レール20の上面20cには、上留め金具81が取り付けられる。上留め金具81は、上面20cに載置される一対の設置脚部81a,81aと、設置脚部81a,81aの上端部を結ぶ平面部81bと、平面部81bの一側端部にて立設される縦板部81cと、縦板部81cの上端部から平面部81bと反対方向に延びる押さえ部81dと、を有する。
平面部81bには貫通孔81hが形設され、下側からボルト26が挿入されるとともに、突出したネジ部にナット27を締結することで、上留め金具81を縦レール20に固定できる。なお、この締結の際には、凹溝25の縦面部25b,25bによってボルト26の回転が規制される。
また、この上留め金具81の固定の際に、押さえ部81dにて太陽電池モジュール2のフレーム部2fの上面2cが押え付けられることで、太陽電池モジュール2の上留めを行うことができる。
上留めをする場合の他の例として、図25の構成を採用することができる。この構成は、例えば、図2(B)の留め付け位置M3などの太陽電池モジュール2,2の隣接部において利用できるものである。本実施例では、上留め金具82を用いる構成とし、縦レール20の上面に形成された凹溝25にボルト26のボルト頭が挿入され、ボルト26を上留め金具82に下側から挿通しつつ、上側からナット27を留め付けて、一つの上留め金具82にて一方の太陽電池モジュール2の水上側の端部と、他方の太陽電池モジュール2の水下側の端部を押え付ける構成としている。
上留め金具82は、平面部82aと、平面部82aの両側端部において上下方向に立設される縦板部82b,82bと、縦板部82b,82bの上端部からそれぞれ平面部82aと反対方向に延びる押さえ部82c,82cと、を有する。
上留め金具82の平面部82aには、貫通孔82hが形設され、下側からボルト26が挿入されるとともに、突出したネジ部にナット27を締結することで、上留め金具82を縦レール20に固定できる。
また、この上留め金具82の固定の際に、押さえ部82cにて隣り合う二つの太陽電池モジュール2のフレーム部2fの上面2cが押え付けられることで、太陽電池モジュール2の上留めを行うことができる。
なお、以上の上留めをする場合において、図26に示すように、モジュール固定部材50に対して上留め金具84を留め付けることにより実施することもできる。この例の上留め金具84は、モジュール固定部材50の固定面部54に載置される平面部84aと、平面部84aの端部にて立設される縦板部84bと、縦板部84bの上端部から平面部84aと反対方向に延びる押さえ部84cと、を有する。
上留め金具84の平面部84aに形設した貫通孔84hに上からボルト58aを差込み、さらに、モジュール固定部材50の貫通孔54hを貫通させつつ、ナット58bを締結することで、上留めを実施することができる。なお、ナット58bをモジュール固定部材50に一体化しておくことによれば、ナット58bが回り止めされた状態となるため、上留めによる作業性に優れた構成が実現できる。また、モジュール固定部材50の貫通孔54hに雌ネジを刻設し、ナット58bが不要な構成としてもよい。
他方、下留めをする場合には、図5に示されるモジュール固定部材50を下留め金具として用いることができる。
このモジュール固定部材50は、縦レール20に形成された被係合部22に対してスライド移動可能に設けられるものであり、モジュール固定部材50を縦レール20の長手方向の任意の位置に移動させて貫通孔54hの位置を太陽電池モジュール2の貫通孔2aの位置に合わせ、ボルト58a,ナット58bにてフレーム下片部2bに固定面部54を圧着させる。この圧着の際に、被係合部22に対してモジュール固定部材50が押し付けられて両者の間に静止摩擦力が発生し、モジュール固定部材50の被係合部22に対するスライドを規制することができ、モジュール固定部材50が被係合部22に固定された状態を実現できる。
そして、図5におけるボルト58a,ナット58bの締結作業をモジュール固定部材50の下から行うことで、縦レール20に対する太陽電池モジュール2の下留めを実施できる。
なお、図5に示される実施例では、太陽電池モジュール2のフレーム部2fが断面略コ字状であり、その開放部2kの側からボルト58aを挿入することで、下留め作業が実施可能となっている。また、このボルト58aについては、太陽電池モジュール2を架台に載せる前に予め貫通孔2aに差し込んでおけば、下留め作業の際のボルト58aの挿入作業を省略することができ、施工時間を短縮できる。
以上の実施例により、次の構成が実現できる。
即ち、
太陽電池モジュール2を載置するレール部材(縦レール20)に、
太陽電池モジュール2の上方にて操作される締結具に対して固定される上留め用被固定部と、
太陽電池モジュール2の下方にて操作される締結具に対して固定される下留め用被固定部と、
が設けられる構成とするものである。
例えば、図24及び図25の構成であれば、凹溝25とボルト26にて上留め用被固定部を構成することができ、図26の構成であれば、モジュール固定部材50とナット58bにて上留め用被固定部を構成することができる。また、図5の構成であれば、モジュール固定部材50とボルト58aにて下留め用被固定部を構成することができる。
以上の構成により、図2(A)(B)、図22、及び、図23に示すように、レール部材に対する上留め、或いは、下留めを任意に選択することができ、作業者は施工現場における太陽電池モジュール2の高さや、太陽電池モジュール2の下方のスペースの状況に応じて、最も作業し易い留め方を実施することで、作業者の負担が軽減されるとともに、施工時間の短縮を図ることができる。なお、以上に説明した実施例では、上留め用被固定部と下留め用被固定部がレール部材の長手方向Yにおいて任意の位置に配置可能な構成とすることで、様々な規格寸法の太陽電池モジュールについて対応することが可能となっている。
また、図5に示すように、下留め被固定部は、レール部材(縦レール20)の側部(縦側面20a)にスライド可能に設けられるモジュール固定部材50にて構成され、太陽電池モジュール2のフレーム部2fに挿通され下方に突出させたボルト58aを、モジュール固定部材50の貫通孔54hに挿通し、突出したボルト58aにナット58bを締結して下留め固定を実施する、こととするものである。
以上のようにして、モジュール固定部材50を太陽電池モジュール2の下側から固定する下留めを実施できる。
また、図24及び図25に示すように、上留め用被固定部は、レール部材(縦レール20)の長手方向に形設される凹溝25と、凹溝25にボルト頭が挿入されて螺子部を上方に突出するボルト26にて構成され、太陽電池モジュール2のフレーム部2fの上面2cを押さえ込む上留め金具81,82からボルト26を突出させ、ボルト26にナット27を締結させて上留め固定を実施する、こととするものである。
また、図26に示すように、上留め用被固定部は、レール部材(縦レール20)の側部(縦側面20a)にスライド可能に設けられるモジュール固定部材50にて構成され、太陽電池モジュール2のフレーム部2fの上面2cを押さえ込む上留め金具84とモジュール固定部材50に締結具(ボルト58a)を挿通して上留め固定を実施する、こととするものである。なお、モジュール固定部材50の貫通孔54hに雌螺子を刻設することや、ナット58bをモジュール固定部材50に一体化させておくことにより、ボルト58aの操作のみで固定を完了できる。
また、図5及び図26に示すように、上留め用被固定部と下留め用被固定部は同一構成であり、上留め用被固定部としても、下留め用被固定部としても用いられるように構成される、こととするものである。
これによれば、一つの構成により、上留め用被固定部と下留め用被固定部の両方を実現することができ、部材の共通化によるシンプルな構成が実現できる。
また、図2(A)(B)、図22、及び、図23に示すように、レール部材(縦レール20)は傾斜して配設され、太陽電池モジュール2が傾斜して配設されるものであり、少なくとも最も水上側の位置(留め付け位置M6)において下留めによる太陽電池モジュール2の留め付けがなされ、少なくとも最も水下側の位置(留め付け位置M1)において上留めによる太陽電池モジュールの留め付けがなされる、こととするものである。
これにより、特に傾斜して配設される太陽電池モジュールの施工において、施工性に優れた構成が実現できる。
以上のようにして、上留め金具81,82,84を太陽電池モジュール2の上側から固定する上留め固定を実施できる。
以上の構成に加え、図27(A)に示すように、太陽電池モジュール2のフレーム下片部2bの貫通孔2hの周囲に、ボルト58aの回り止めとなる突起部2m,2mを設けることによれば、下止め作業の際にボルト58aを押さえる必要がなくなり、ナット58bの締結作業を容易に行うことができる。
また、図27(B)に示すように、側面視略U字状のプレート58eにナット58cを固定してなるナット付き留め具58dを用いる構成としてもよい。この構成では、フレーム下片部2bの横からプレート58eの隙間58sを差し込むようにして取り付けて、プレート58eの弾性力によって、フレーム下片部2bに挟持固定を行い、ナット58cの回り止めを行うものである。この構成では、下側からボルト58aを差し込んで、ナット58cに締結するものであり、この下止め作業の際にナット58cを押さえる必要がなくなり、ボルト58aの締結作業を容易に行うことができる。
また、図27(C)に示すように、側面視略L字状のプレート58mにナット58gを固定してなるナット付き留め具58kを用いる構成としてもよい。この構成では、フレーム下片部2bの上面に対し、下面に接着部58pを設けたプレート58mを貼着固定し、ナット58gの回り止めを行うものである。また、プレート58mの端部には垂片部58nが設けられ、この垂片部58nをフレーム下片部2bの端面2nに突き当てることで、フレーム下片部2bに対するプレート58mのズレとナット58gの回転を防止できるようになっている。この構成でも、図27(B)と同様に、下側からボルトを差し込んで、ナット58gに締結するものであり、この下止め作業の際にナット58gを押さえる必要がなくなり、ボルトの締結作業を容易に行うことができる。
さらに、以上に説明した構成とするほか、フレーム下片部2bの貫通孔21に雌ネジを刻設し、ナットが不要な構成としてもよい。
以上の例に説明した構成によれば、ボルト頭、或いは、ナットをスパナなどの工具で押さえる必要がなくなり、片手作業が可能となり、作業負担を低減することができ、ひいては、施工時間の短縮化を図ることができる。また、締結トルク不足発生を回避することができ、ひいては、太陽電池モジュールの吹き飛び(下方からの吹き上げによる縦レールからの脱落)に対する安全性をより高めることが可能となる。
次に、アース用部材について説明する。
図28(A)はアース用部材90の構成について示す斜視図、図28(B)はアース用部材90を設置した状態について示す図である。
図28(A)(B)に示すように、アース用部材90は、縦レール20の上面20cの部位に配置され、太陽電池モジュール2と縦レール20を導通させるものであって、隣り合う太陽電池モジュール2の間に幅Ysの隙間Syを規定するための縦面部91e,91eを有し、この構成により、隣り合う太陽電池モジュール2のスペーサーとなって太陽電池モジュール2を整列させる機能と、アース確保の二つの機能を兼ね備えることが実現される。
以下詳述すると、アース用部材90は、縦レール20の上面20cに載置されるベース面部91aを有する。ベース面部91aは、縦レール20の幅20Xと略同一の幅を有し、その幅方向の両端部には下方に垂れ下がる縦面部91d,91dが形成され、これにより、縦レール20を縦面部91d,91dにて挟み込むようにして、アース用部材90を縦レール20に取り付けることができる。
また、ベース面部91aには、その中央部において互いに離間して平行に配置される一対の縦面部91e,91eが形成される。この縦面部91e,91eは、縦レール20の長手方向Yと平行となる関係で立設され、当該長手方向Yにおいて幅Ysを有する構成としている。
アース用部材90を縦レール20に設置し、このアース用部材90の両側に太陽電池モジュール2,2を配置した際には、縦面部91eが太陽電池モジュール2,2の間に挟まれてスペーサーとして機能し、太陽電池モジュール2,2の間に幅Ysの隙間Syを規定することができる。この隙間Syは放熱や風を逃がすための通気隙間として機能させることができる。
また、ベース面部91aには、ベース面部91aの一側方向に突出する突起部91bと、ベース面部91aの他側方向に突出する突起部91cと、が形成される。本実施例では、複数の突起部91bが配置されたリング91sをベース面部91aに導通可能としつつ固定する構成ととし、このリング91sをベース面部91aの表側に二箇所、裏側に二箇所に配置する構成としている。
図28(B)に示すように、アース用部材90を縦レール20に取り付け、太陽電池モジュール2,2をモジュール固定部材50に留め付けると、太陽電池モジュール2と縦レール20にアース用部材90のベース面部91aが挟み込まれる。
この際、ベース面部91aの一側の突起部91bは、太陽電池モジュール2のフレームの塗膜を破って突き刺さることで、アース用部材90と太陽電池モジュール2の導通が実現される。同様に、ベース面部91aの他側の突起部91cは、縦レール20の塗膜を破って突き刺さることで、アース用部材90と縦レール20の導通が実現される。
以上の構成によれば、アース用部材90についてスペーサーとアース確保の二つの機能を兼ね備えることが可能となる。即ち、アース用部材90をスペーサーとして機能させることができ、太陽電池モジュール2の間にアース用部材90を設置するだけで、太陽電池モジュール2の間の隙間Syを均一にし、太陽電池モジュール2の整列を容易に行うことができる。また、太陽電池モジュール2の縦レール20への留め付けと同時に、アース用部材90を通じて太陽電池モジュール2と縦レール20の間の導通を確保することができ、太陽電池モジュール2毎にアース線を施す手間を省くことができる。
また、図29に示すアース用部材90Aのように、縦レール20に形成される凹溝25に対して嵌め込む凸部91mを設け、当該凸部91mを凹溝25に嵌めこんでアース用部材90Aを縦レール20に取り付ける構成としてもよい。