JP6449076B2 - 殺菌装置、殺菌方法 - Google Patents
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Description
特許文献1は、容器が搬送される領域に紫外線を照射するものであり、容器にはその外側から紫外線が照射される。
また、特許文献2および特許文献3は、紫外線発生器から発光された紫外線を光ファイバーと光照射本体から成る光照射部とによって容器の口部の外面または充填機の充填ノズル口へ照射して、容器の口部の外面または充填ノズル口を殺菌する。
また、特許文献2および特許文献3においては、紫外線が照射されるのは容器口部の外面であるから、容器の内周面、特に口部に連なる胴部の内周面を十分に殺菌することはできない。
光源に液体を付着させた状態で電磁波を照射することにより、この液体が気化し、容器内部に蒸気が充満すると同時に、オゾンまたはラジカルを発生させることができる。これにより、光源が保持する発光体によって発生する紫外線殺菌効果が向上する。
また、ラジカルとしては、ヒドロキシラジカルが挙げられる。ヒドロキシラジカルは高い殺菌力を発現する。
上記の無電極光源は、発光体と、発光体を封入する封入体とからなり、この封入体が石英ガラスからなることが好ましい。石英ガラスは紫外線透過率に優れるとともに、通常のガラスと比較して耐腐食性が高く、温度変化にも強い。
光源は容器内部に挿入可能であればその形状は問わないが、例えば管状の形態とすることができる。PETボトルの前駆体であるプリフォームの口径は約24mm程度と狭いが、このように口部が狭い容器を殺菌する場合には管状の光源が好適である。
第1の形態の一例として、光源を吊り下げる索体を伝って光源の外表面に液体を供給することができる。
第2の形態の一例として、液体供給源が光源の外表面に向けて液体をミスト状に噴霧し、その直後に光源を容器内部に挿入するようにしてもよい。また、第2の形態の他の例として、光源を液体供給源としての液体槽に浸漬し、その直後に光源を容器内部に挿入することもできる。
殺菌対象としては、飲料用のプラスチックボトル、または、その前駆体であるプリフォームが挙げられる。この場合には、第2ステップに先立ち、光源を、プラスチックボトルまたはプリフォームの収容空隙に挿入すればよい。
液体としては、水、過酸化水素、過酢酸の少なくともいずれかが好適である。
しかも、光源が容器の内部に挿入された状態であって、かつ液体が付着した状態で、光源に電磁波が照射されると、液体が、オゾンまたはラジカルを発生させるため、殺菌効果がさらに高まる。
また、本発明は、紫外線の光源として紫外線を発光する発光体が保持された光源を用いるが、この光源は水銀や、キセノンガス、アルゴンガス等の発光体を保持すれば足りるので、寸法的な制約が小さい。したがって、殺菌対象がプリフォームのように径方向の寸法が小さい容器であっても、その内周面を殺菌できる。
本発明の第1実施形態に係る殺菌処理ライン10について、図1、図2を参照して説明する。殺菌処理ライン10は、上流から連続的に搬送される容器Pの特に内周面に、殺菌光である紫外線、及び、オゾンまたはラジカルの発生に寄与する液体Lを用いて殺菌処理を施してから、下流に向けて搬送するものである。
図1に示すように、殺菌処理ライン10は、上流から搬送されてくる容器Pに殺菌処理を施す処理部20と、上流から搬送される容器Pを処理部20に受け渡す上流側ホイール12と、処理部20で殺菌された容器Pを受け取り、下流に向けて搬送する下流側ホイール14と、を備える。
容器Pとしては、PETボトルまたはPETボトルの前駆体であるプリフォームを例示することができる。これらはいずれも外周面と内周面を有するとともに、胴部の内周面よりも内側に、内容物を収容する空隙(収容空隙)が設けられる。
光源23は、発光体Vを内部に封入する封入体231と、封入体231に封入されて保持される発光体Vとを含む。電磁波Wが照射されると、発光体Vが紫外線を発光する。
また、処理部20は、光源23が挿入されかつ液体Lが付着された状態の容器Pに向けて電磁波Wを照射する電磁波発生器27を備えている。なお、上流側ホイール12、下流側ホイール14及び回転テーブル21は、その外周に容器Pを把持する手段を備えているものとする。
なお、図1において、上流側ホイール12、下流側ホイール14、回転テーブル21が回転する向き、容器Pが搬送される向きを実線の矢印で示している。また、上流側ホイール12、下流側ホイール14及び回転テーブル21は、同期して回転されるようになっている。
区間R1または区間R2において、容器Pの内部に管状の光源23が挿入され、光源23に向けて電磁波発生器27から電磁波Wを照射して、殺菌処理がなされる。光源23を、区間R1または区間R2のいずれで挿入するかは、液体Lの供給方法に応じて決定されるが、これについては後述する。
区間R3では、区間R1または区間R2で挿入された光源23が容器Pから抜き取られ、その後、下流側ホイール14へ受け渡され、下流側ホイール14から下流に向けて搬出されるようになっている。
本実施形態では、容器Pの内部に挿入された光源23から、殺菌光である紫外線を容器Pの内周面に向けて照射するため、この紫外線は容器Pを透過する必要はない。換言すると、低エネルギーで容器Pの内部を殺菌することができる。
光源23は、上述した通り、発光体Vを封入する封入体231と、封入体231に封入されて保持される発光体Vとを含む。本実施形態の封入体231は管状の形態をなすが、管状に限らず、発光体Vを封入できてかつ容器Pに挿入可能な他の形態であってもよい。また、封入体231の形態は容器Pの形状に応じて適宜設定することができる。
光源23は、図示しない昇降機構によって、図2に示したY方向、つまり鉛直方向、およびY方向と直交する水平方向にも移動可能である。
光源23は無電極光源であり、配線や電極を有しておらず、殺菌処理が行われる過程においては、容器Pの内部に挿入された状態で容器Pと追随して移動可能である。一方、殺菌処理後に通過する区間R3では、上述の通り、光源23は容器Pから抜き取られる。
ここで、光源23内に封入された発光体Vから発光する紫外線は、波長が100〜280nmであると、殺菌力が強く、殺菌が効果的に行われる。
本発明は、殺菌光である紫外線に加えて、オゾンまたはラジカルの発生に寄与する液体Lを用いて殺菌処理を施すことを主たる特徴とする。
液体Lとしては、例えば水(H2O)、過酸化水素(H2O2)、過酢酸(CH3COOOH)が例示される。但し、元素としてOおよびHを含む液体であって、電磁波Wが照射されることによりオゾンまたはラジカルを発生させる液体であれば、水、過酸化水素、過酢酸以外の液体を用いてもよい。
液体Lとして水(H2O)を用いた場合には、電磁波Wの照射により水が気化し、容器P内に蒸気が充満するが、その過程で水に含まれる少なくとも一部のO2がオゾンO3に変化し、殺菌力を発現する。オゾンO3の少なくとも一部がヒドロキシラジカルを発生させるが、ヒドロキシラジカルも、高い殺菌力を発現する。
液体Lとして過酸化水素(H2O2)や過酢酸(CH3COOOH)を用いた場合には、電磁波Wの照射によりこれらが気化する過程で、ヒドロキシラジカルや有機ラジカルが発生し、特にヒドロキシラジカルが高い殺菌力を発現する。
液体Lとして水を用いる場合よりも、過酸化水素または過酢酸を用いた場合の方が高い殺菌力を得ることができるため、高い殺菌力を得たい場合には液体Lとして過酸化水素または過酢酸を用いればよい。
一方、オゾンには脱臭効果もあるため、液体Lとして水を用いる場合には、容器P内に殺菌剤特有の匂いが残留しにくいという利点がある。また、水、過酸化水素、過酢酸の中では水の沸点が最も低いため、液体Lとして水を用いる場合には短時間で気化させやすく、効率よくオゾンまたはラジカルを発生させることができるという利点がある。その他、液体Lとして水を用いる利点としては、安価、入手しやすさ、残留物がない、残留臭がない等がある。
なお、殺菌に寄与するラジカルとしては、上記したもの以外に、スーパーオキシドアニオンラジカル,ヒドロペルオキシルラジカル等が挙げられる。
また、液体Lとして、複数種類の液体を混合して用いてもよい。
殺菌処理の過程で一部の液体Lが気化しきれずに容器P内に残留することは望ましくないため、この点も考慮して液体Lの供給量は設定される。
ここで、容器P内に直接、液体Lを供給する手法も考えられる。但し、電磁波Wが照射される光源23は容器Pよりも熱をもっているため、光源23の外表面に液体Lを供給し付着させる手法の方が、容器P内に直接、液体Lを供給する手法よりも液体Lが気化,活性化しやすいためにオゾンまたはラジカルを大量発生させる上で有利であるとともに、液体Lの残留を回避する上でも有利である。
また、光源23が電磁波Wの照射を受けることにより、光源23の外表面に付着していた液体Lが気化し、容器P内に蒸気が充満すると同時に、液体Lからオゾンまたはラジカルが発生することにより、殺菌力が相乗的に向上する。
電磁波Wの照射による殺菌処理は、容器Pの内部に管状の光源23を挿入し、光源23を殺菌対象である容器Pの内周面に対向させたままで行われる。光源23は、Y方向に昇降が可能とされた棒状の把持具(索体)29に把持されており、この把持具29を介して容器Pの内部の所定の深さまで挿入される。
この状態のままで容器Pは電磁波発生器27の前を通過する。電磁波発生器27は、図示しない電磁波スクリーンからマイクロ波等の電磁波Wを容器Pが搬送される領域に向けて出射しており、搬送される容器Pはこの電磁波Wの照射を受ける。容器Pの中に挿入された光源23が電磁波Wの照射を受けると、光源23内に封入されている発光体Vが紫外線を発光し、この紫外線は容器Pの内周面に照射されることで、容器Pの内周面を殺菌することができる。
上述した通り、図1に示した区間R1または区間R2において、容器Pの内部に光源23が挿入される。
光源23を、区間R1または区間R2のいずれで挿入するかは、光源23の外表面への液体Lの付着方法に応じて決定される。ここで、液体Lを光源23の外表面に付着させる形態としては、2つの形態、すなわち、光源23が容器Pの内部に挿入された状態で液体Lを付着させる第1の形態と、光源23が容器Pの内部に挿入される前に光源23の外表面に液体を付着させて、その直後に光源23を容器Pの内部に挿入する第2の形態と、がある。
図2に示すように、棒状の把持具29は鉛直方向に延びて、その一端側が光源23の上端部を把持して光源23を吊り下げている。把持具29の他端側は、液体供給源40から供給される液体Lが流れ出す液体供給口40Nに近接して配置される。液体供給口40Nの位置、および液体Lの流量,流速を適宜設定することにより、把持具29の軸方向に沿って液体Lを重力により伝わせて、把持具29に把持される光源23の外表面に液体Lを付着させることができる。
図1に示したように、1つの回転テーブル21を用いて複数の容器Pを順次殺菌処理する場合には、光源23が容器Pの内部に挿入された状態で液体Lを付着させる第1の形態が好ましい。また、図2に示した方法によれば、簡素な装置構成にて光源23の外表面に効率よく液体Lを供給、付着させることができる。
図3(a)に示すように、ノズルである液体供給口40Nを光源23の側面に対向配置して、液体供給口40Nからミスト状に液体Lを噴霧することにより、光源23の外表面ほぼ全域に液体Lを付着させてもよい。
なお、容器Pが比較的大きい場合には、例えば光源23を軸心まわりに回転させながら液体Lを噴霧することにより、光源23の外表面に均一に液体Lを付着させてもよい。容器Pがプリフォームのように小型である場合には、光源23を回転させることなく、光源23の外表面ほぼ全域に液体Lを付着させることができる。
もしくは、図3(b)に示すように、液体供給源40としての液体槽を区間R1または区間R1の近傍に設置し、この液体槽に、把持具29に把持された状態の光源23を浸漬させることによって光源23の外表面に液体Lを付着させてもよい。
突起23Pの形状としては、光源23の周方向に連続したリング状のものや、光源23の上端近傍から下端近傍に連なるらせん状のものが例示される。突起23Pに限らず、光源23の外表面に微小な凹凸を形成することにより、液体Lが光源23の外表面に滞留する時間を長くしてもよい。
保液部として機能する突起23P等は、上記した第1の形態および第2の形態のいずれにも適用することができる。
また、光源23の外表面に液体Lを付着させた状態で電磁波Wを照射することにより、殺菌に寄与するオゾンまたはラジカルが発生するため、液体Lを付着させることなく電磁波Wを照射した場合と比較して、より高い殺菌効果を得ることができる。
また、本実施形態は、紫外線の光源として紫外線を発光する発光体Vが封入された光源23を用いるが、この光源23は水銀や希ガス等の発光体Vを封入できれば足りるので、寸法的な制約が小さい。したがって、プリフォームのように径方向の寸法が小さい容器Pにも無理なく適用することができる。
また、電磁波発生器27は光源23と配線する必要はなく、電磁波発生器27自体は定位置に固定されている。よって、電磁波発生器への配線や電磁波発生器の移動手段を必要とする装置構成と比較して、容器Pに殺菌処理を施す処理部20の構成を簡素化することができる。
12 上流側ホイール
14 下流側ホイール
20 処理部
21 回転テーブル
23 光源
231 ガス封入体
23P 突起(保液部)
27 電磁波発生器
29 把持具(索体)
40 液体供給源
40N 液体供給口
L オゾンまたはラジカルの発生に寄与する液体
P 容器
V 発光体
W 電磁波
Claims (16)
- 電磁波が照射されると紫外線を発光する発光体を保持し、殺菌対象である容器の収容空隙に挿入された状態で前記容器の内周面に対向する光源と、
前記光源の外表面に付着させるための液体を前記光源に供給する液体供給源と、
前記液体が付着した状態で前記容器の前記内周面に対向する前記光源に向けて、前記電磁波を照射する電磁波発生部と、
を備え、
前記光源が前記収容空隙に挿入された状態であって、かつ前記液体が付着した状態で、前記光源に前記電磁波が照射されると、前記液体は、オゾンまたはラジカルを発生させることを特徴とする殺菌装置。 - 前記液体は、水、過酸化水素、過酢酸の少なくともいずれかである、
請求項1に記載の殺菌装置。 - 前記ラジカルは、ヒドロキシラジカルである、
請求項1または2に記載の殺菌装置。 - 前記光源は、前記発光体が内部に封入される無電極光源である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の殺菌装置。 - 前記光源は、前記発光体と、前記発光体を封入する封入体と、からなり、
前記封入体は石英ガラスからなる、
請求項4に記載の殺菌装置。 - 前記光源は、管状の形態を有する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の殺菌装置。 - 前記光源は、前記容器に追従して移動し、
定位置に置かれる前記電磁波発生部の前記電磁波の照射領域を通過する過程で、前記光源は前記電磁波の照射を受けて前記紫外線を前記容器に向けて出射する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の殺菌装置。 - 前記光源が前記容器の前記収容空隙に挿入された状態で、前記液体が、前記光源を吊り下げる索体を伝って前記光源の前記外表面に供給される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の殺菌装置。 - 前記光源が前記容器の前記収容空隙に挿入される前に、前記液体供給源は、前記光源の前記外表面に向けて前記液体をミスト状に噴霧する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の殺菌装置。 - 前記光源が前記容器の前記収容空隙に挿入される前に、前記光源が前記液体供給源としての液体槽に浸漬される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の殺菌装置。 - 前記光源の外表面に、前記液体を保持する保液部が形成されている、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の殺菌装置。 - 前記容器は、飲料用のプラスチックボトル、または、前記プラスチックボトルの前駆体であるプリフォームである、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の殺菌装置。 - 電磁波が照射されると紫外線を発光する発光体を封入した光源の外表面に、液体を供給し付着させる第1ステップと、
前記液体が付着した状態で殺菌対象に対向する前記光源に向けて、電磁波を照射する第2ステップと、を備え、
前記第2ステップの過程で、前記液体が気化して蒸気が発生するとともにオゾンまたはラジカルが発生する、
ことを特徴とする殺菌方法。 - 前記液体は、水、過酸化水素、過酢酸の少なくともいずれかである、
請求項13に記載の殺菌方法。 - 前記殺菌対象は、飲料用のプラスチックボトル、または、前記プラスチックボトルの前駆体であるプリフォームである、
請求項13または請求項14に記載の殺菌方法。 - 前記第2ステップに先立ち、前記光源を、前記プラスチックボトルまたは前記プリフォームの収容空隙に挿入する、
請求項15に記載の殺菌方法。
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