JP6448990B2 - 薬物依存症の治療薬としてのTrkB受容体拮抗薬 - Google Patents

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本発明は覚せい剤、麻薬等の乱用による薬物依存症の治療薬、およびその医学応用に関する。
覚せい剤(メタンフェタミン、アンフェタミン)、合成麻薬MDMA(3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)、コカイン、ヘロイン、ニコチン、アルコール、フェンサイクリジン、ケタミン、大麻、危険ドラッグなどの物質の繰り返し使用は、ヒトにおいて、依存を形成し、様々な精神障害および神経障害を引き起こすことから、世界中で大きな社会問題となっている。わが国では、特に、覚せい剤の乱用が最も多く、近年、危険ドラッグの使用に関連する事故や事件が大きな社会問題になっている。覚せい剤は中枢神経系でドパミンの再取り込みを抑制するとともに遊離を促進し、眠気および疲労の消失や多弁躁状態を引き起こす。また、ラット、マウスなどの動物に覚せい剤を連続投与すると、惹起される異常行動が投与と共に増大する行動感作が観察される。覚せい剤を繰り返し投与すると、ヒトでは強い精神依存および覚せい剤精神病を生じ、断薬後もストレス、飲酒や1回の薬物摂取により、覚せい剤精神病が再燃する。一方、モルヒネやヘロインは、オピオイド受容体を介した中枢抑制作用を持ち、痛覚の抑制から始まり、情動の安定、多幸感を引き起こす。モルヒネやヘロインを繰り返し投与すると鎮痛耐性、精神依存および身体依存を生じる。これらの作用は、いずれもドパミンの過剰遊離が関与していると考えられているが、その詳細については未だ明らかになっていない。
これら依存性薬物の繰り返し投与により生じる薬物依存や精神症状の治療薬としては、現在、精神科領域で使用されている抗精神病薬、抗うつ薬などが使用されるが、一部の症状を抑えるだけであり、根本的に治療できる薬剤は無い。この要因として、これらの依存性薬物の繰り返し投与による脳内の可塑的変化が、断薬後も長期間にわたり持続するためと考えられている(非特許文献1-4)。しかしながら、現在のところ、薬物依存症に有効な治療法は確立されていない。
一方、脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor、BDNF)は、中枢神経系に対して神経保護作用を持つ代表的な神経栄養因子であり、うつ病などの精神疾患の病態だけでなく、抗うつ薬の治療メカニズムに深く関わっていることが知られている(非特許文献5-7)。動物を用いた研究では、BDNFの受容体であるtropomyocin-related kinase B (TrkB、脳由来神経栄養因子受容体)に結合する化合物が、抗うつ作用、神経保護作用を有することが報告されている(非特許文献8、9)。本発明者は、BDNFや TrkBに作用する低分子化合物が精神神経疾患の治療薬に結びつくと考え、長年にわたって、そのような化合物の検索を行ってきた。本発明者はTrkB作動薬7,8−dihydroxyflavone (7,8-DHF)が覚せい剤投与によるドパミン作動性神経系の障害を予防することや、炎症によるうつ症状を改善することを、マウスを用いた実験で明らかにした(非特許文献10-12)。また、覚せい剤の繰り返し投与により、脳の報酬系に関係する側坐核における樹状突起スパイン密度が、増加することが報告されている(非特許文献13、14)。さらに、側坐核におけるBDNFの増加は、うつ病の病態に関わっていることが報告されている(非特許文献12、15および16)。
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覚せい剤、麻薬、大麻、危険ドラッグなどの違法性薬剤の乱用は、薬物依存症を生じる。またこれらの薬物の断薬後も長期間にわたり、身体依存、精神依存が持続することが知られているが、現在のところ根本的な治療法が無い。
本発明の課題は、覚せい剤、麻薬、大麻、危険ドラッグなどの違法性薬剤の乱用による薬物依存症を治療する化合物を提供することを目的とする。特に、TrkB受容体拮抗作用(TrkBアンタゴニスト作用)を有する薬物依存症治療薬を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明者は以下の検討を行なった。即ち、BDNFが樹状突起スパイン密度の機能調節に重要な役割を担っていることや、BDNF-TrkBシグナル系が薬物依存の形成に重要であることに注目し、TrkB受容体拮抗作用を有するANA−12 (N2-(2-{[(2-oxoazepan-3-yl)amino]carbonyl}phenyl)benzo[b]thiophene-2- carboxamide)が、薬物依存症治療薬として有用であるという仮説を抱き、以下の実験を検討した。その結果、覚せい剤の一つであるメタンフェタミンの繰り返しによって誘発されたうつ症状および行動感作に対して、ANA−12の2週間の腹腔内投与が、これらの行動異常に対して治療効果を示すことを見出した。また、メタンフェタミンの繰り返し投与によって引き起こされたうつ症状および行動感作は、マウス側坐核へのANA-12の直接の単回投与によって有意に抑制されることが判明した。興味深いことに、その治療効果は、投与3週間後でも観察された。更に検討を進めたところ、メタンフェタミンを繰り返し投与したマウスの側坐核ではBDNF発現量および樹状突起スパイン密度の増加が観察されたが、その他の部位(前頭皮質、海馬)では変化無かった。側坐核のBDNFが、うつ症状の病態に関わっていることが報告されており(非特許文献12、15、16)、ANA-12はTrkB受容体に結合することにより、増加したBDNFのTrkB受容体への結合を阻害し、その結果としてうつ症状および行動感作を抑制したものと予想される。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものである。
本発明は、
1)TrkB(tropomyocin-related kinase B、脳由来神経栄養因子受容体)を阻害する化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する、薬物依存症の予防剤および/または治療剤に関する。
2)また、TrkB受容体拮抗作用(TrkBアンタゴニスト作用)を有する化合物を含有する、薬物依存症の予防剤および/または治療剤に関する。
3)さらに、TrkBを阻害する化合物および/またはTrkB受容体拮抗作用(TrkBアンタゴニスト作用)を有する化合物が、ANA−12( N2- (2-{[(2-oxoazepan-3-yl) amino]carbonyl}phenyl)benzo[b]thiophene-2-carboxamide)、AZD6918(5-fluoro-2-[[(1S)-1-(5-fluoro-2-pyridyl)ethyl]amino]-6-[(5-isopropoxy-1H-pyrazol-3-yl)amino]pyridine-3-carbonitrile)、およびCEP701(Lestaurtinib、(9S,10S,12R)-2,3,9,10,11,12-Hexahydro-10-hydroxy-10-(hydroxymethyl)-9-methyl-9,12-epoxy-1H-diindolo[1,2,3-fg:3',2',1'-kl]pyrrolo[3,4-i][1,6]benzodiazocin-1-one)からなる群から選ばれる1つまたは1つ以上の化合物である、上記1)または2)に記載の薬物依存症の予防剤および/または治療剤に関する
4)また、TrkB受容体拮抗作用(TrkBアンタゴニスト作用)を有する化合物の薬物依存症の治療のための使用に関する。
5)さらに、ANA−12( N2- (2-{[(2-oxoazepan-3-yl) amino] carbonyl} phenyl) benzo [b] thiophene-2-carboxamide)のメタンフェタミンの薬物依存症の治療のための使用に関する。
本発明の薬物依存症の治療のために用いる化合物は、BDNFの作用を抑制する化合物、およびTrkB受容体を拮抗する化合物であればよい。

「薬物依存治療薬」とは、薬物依存形成を抑制するために使用される薬剤、または形成された薬物依存の症状を改善(部分的又は完全な治癒を含む)するために使用される薬剤のことをいう。したがって本発明の薬物依存治療薬には、薬物依存症の治療に使用可能な薬剤が含まれる。原因となる薬物によっても異なるが、薬物依存症は薬物の精神的な作用(効果)に依存する精神依存、退薬に伴う生体反応を避けるための身体依存、または耐性の獲得(或いはこれらの組み合わせ)を特徴とする。薬物依存症の原因となる薬物としては、覚せい剤(メタンフェタミン、アンフェタミン)、合成麻薬MDMA、モルヒネ、コカイン、ニコチン、アルコール、フェンザイクリジン、ケタミン、ベンゾジアゼピン類、大麻、危険ドラッグ等(各種の塩を含む)を例示できるが、本発明が対象とする薬物依存症はこれらの薬物に関連するものに限られない。

本発明を構成するTrkB受容体拮抗薬(TrkBアゴニスト)は、薬物依存症による様々な症状を改善する。したがってこれらのTrkB受容体拮抗薬を有効成分として含有する本発明の薬剤は、薬物依存症の治療用として好適である。また、本発明を構成するTrkB受容体拮抗薬は、低分子化合物であり、医薬品としての調製が容易であるという利点を有する。

ANA−12 、N2-(2-{[(2-oxoazepan-3-yl)amino]carbonyl}phenyl)benzo[b]thiophene-2-carboxamideの化学式である。 AZD6918、 5-fluoro-2-[[(1S)-1-(5-fluoro-2-pyridyl)ethyl]amino]-6-[(5-isopropoxy-1H-pyrazol-3-yl)amino]pyridine-3-carbonitrileの化学式である。 CEP-701、(9S,10S,12R)-2,3,9,10,11,12-Hexahydro-10-hydroxy-10-(hydroxymethyl)-9-methyl-9,12-epoxy-1H-diindolo[1,2,3-fg:3',2',1'-kl]pyrrolo[3,4-i][1,6]benzodiazocin-1-oneの化学式である。 Aに示したのは、生理食塩水あるいはメタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与後、うつ症状評価を検討した試験計画を説明する図である。試験は、覚せい剤で処理したマウス(以下、覚せい剤投与によるうつ病マウスと称する)を動物モデルとして使用して実施した。図中、METHはメタンフェタミン、LMTは自発運動試験、TSTは尾懸垂試験、FSTは強制水泳試験、SPTは1%ショ糖嗜好性試験を意味する。(実施例1)図4のBに示したのは、METH処置マウスのうつ症状検討した結果を示す図である。図中、Controlは生理食塩水を投与した正常マウス群を示し、METHはメタンフェタミン塩酸塩(3mg/kgを1日1回5日間(Day 1からDay 5まで)皮下投与)を投与したマウス群を示す。Day 7でのSPTでは、METH群は、コントロール群と比較して有意に低下した。またDay 8でのLMTは両群で変化無いが、TSTおよびFSTではMETH群の無動時間は有意に高かった。この結果は、METH群がうつ症状を示すことを示した。(実施例1の結果) Cには、Day 11でのSPTでは、METH群は、コントロール群と比較して有意に低下した。またDay 12でのLMTは両群で変化無いが、TSTおよびFSTではMETH群の無動時間は有意に高かったことが示された。この結果は、METH群がうつ症状を示すことを示した。(実施例1の結果) Dには、Day 18でのSPTでは、METH群は、コントロール群と比較して有意に低下した。またDay 19でのLMTは両群で変化無いが、TSTおよびFSTではMETH群の無動時間は有意に高かったことが示された。これらの結果は、メタンフェタミンの繰り返し投与は、最終投与から19日後でも、うつ症状を示した(実施例1の結果)。 Aは、メタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与し、最終投与3日後にウエスタンブロット法にて脳由来神経栄養因子(BDNF:Brain-derived neurotrophic factor)を測定した試験計画を説明する図である。試験は、覚せい剤で処理したマウス(以下、覚せい剤投与によるうつ病マウスと称する)を動物モデルとして使用して実施した。(実施例2)図7のBには、METH投与群は、Control群と比較して、側坐核におけるBDNFの量が有意に高かったこと、しかしながら、他の部位(線条体、海馬CA3領域、海馬歯状回、前頭皮質)では差は無かったことが示された。このことは、メタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与は、側坐核におけるBDNF量を有意に増加させることが明らかとなった。(実施例2の結果) Aは、メタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与後、6日間断薬し、その後2週間、生理食塩水、ANA−12 (0.5 mg/kg/day)あるいは7,8−DHF(7,8−dihydroxyflavone)を1日1回2週間腹腔内投与し、その2日後に、うつ症状評価を検討した試験計画を説明する図である。Control群は、生理食塩水を1日1回5日間投与し、その後溶媒を2週間投与した群である。METH群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、6日間断薬し、その後、溶媒を2週間腹腔内投与した群である。METH+ANA−12群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、その後、ANA−12(0.5 mg/kg/day)を2週間腹腔内投与した群である。ANA−12群は、生理食塩水を1日1回5日間皮下投与し、6日間断薬し、その後、ANA−12 (0.5 mg/kg/day)を2週間腹腔内投与した群である。図中、METHはメタンフェタミン、LMTは自発運動試験、TSTは尾懸垂試験、FSTは強制水泳試験、SPTは1%ショ糖嗜好性試験を意味する。ANA−12はTrkB拮抗薬であり、7,8−DHFはTrkB作動薬である。(実施例3) 図8のBには、以下のことが示された。LMTはすべての群で有意な差は無かった。TSTおよびFSTでは、METH群の無動時間はControl群と比較して有意に増加した。METH+ANA−12群の無働時間は、METH群と比較して有意に減少した。一方、ANA−12群は、Control群と同様であった。SPTでは、METH群で有意に低下した1%ショ糖嗜好性は、ANA−12の投与で有意に改善したが、7,8−DHFでは効果が無かった。この結果は、TrkB拮抗薬であるANA−12の投与は、メタンフェタミン投与によるうつ症状を治療できることを示した。(実施例3の結果) Aは、メタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与後、6日間断薬し、その後2週間、生理食塩水、7,8−DHF (10 mg/kg)およびANA−12 (0.5 mg/kg)を1日1回2週間腹腔内投与し、その2日後に、すべてのマウスにメタンフェタタミン(1mg/kg)を皮下投与して検討した試験計画を説明する図である。Control群は、生理食塩水を1日1回5日間皮下投与し、その後溶媒を2週間腹腔内投与した群である。METH群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、その後、溶媒を2週間腹腔内投与した群である。METH+7,8−DHF群は、メタンフェタミン(3mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、その後、7、8−DHF(10 mg/kg/day)を2週間腹腔内投与した群である。METH+ANA−12群は、メタンフェタミン(3 mg/kg)を1日1回5日間皮下投与し、その後、ANA−12(0.5 mg/kg)を2週間腹腔内投与した群である。(実施例4)図9のBには、以下のことが示された。Control群と比較して、METH+Vehicle群の運動量は有意に増加した。METH+7,8−DHF群の運動量は、METH+Vehicle群の運動量と比較して差は無かった。一方、METH+ANA−12群は、METH+Vehicle群と比較して有意に減少した。この結果は、メタンフェタミン投与による行動感作は、7,8−DHFの投与では改善しないが、ANA−12の投与では改善することを示している。しなわち、TrkB拮抗薬ANA−12が、メタンフェタミン投与による行動感作の治療に有効であることを示している。(実施例4の結果) Aは、タンフェタミンの1日1回5日間皮下投与後、1日間断薬し、手術で側坐核にカニューレを挿入し、翌日に溶媒あるいはANA−12を直接、側坐核に注入し、検討した試験計画を説明する図である。Control群は、生理食塩水を1日1回5日間皮下投与し、その後、溶媒を側坐核に投与した群である。METH群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、その後、溶媒を側坐核に投与した群である。METH+ANA−12群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、ANA−12を側坐核に投与した群である。最終投与より1時間後に自発運動量(LMT)、3時間後に尾懸垂試験(TST)、5時間後に強制水泳試験(FST)に実施した。また最終投与2日後に1%ショ糖嗜好性試験(SPT)を実施した。(実施例5)図10のBには、以下のことが示された。LMTはすべての群で有意な差は無かった。TSTおよびFSTでは、METH群の無動時間はControl群と比較して有意に増加した。METH+ANA−12群の無動時間は、METH群と比較して有意に減少した。SPT試験においても、METH群で低下したショ糖嗜好性は、側坐核へのANA−12の単回投与によって有意に改善した。この結果は、側坐核へのANA−12の単回投与は、メタンフェタミン投与によるうつ症状を有意に改善することを示した。(実施例5の結果) Aは、生理食塩水あるいはメタンフェタミンの1日1回5日間皮下投与後、6日間断薬し、その後2週間、溶媒、ANA−12 (0.5 mg/kg)を1日1回2週間腹腔内投与し、最終投与より2日間断薬し、脳内透析法にて側坐核における細胞外ドパミン含量を測定した試験計画を説明する図である。Control群は、生理食塩水を1日1回5日間皮下投与し、その後、溶媒を2週間腹腔内投与した群である。METH群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、その後、溶媒を2週間腹腔内投与した群である。METH+ANA−12群は、メタンフェタミン(3 mg/kg)を1日1回5日間皮下投与し、その6日後、ANA−12(0.5 mg/kg)を2週間腹腔内投与した群である。(実施例6)図11のBには以下のことが示された。Control群と比較して、METH+Vehicle群のドパミン放出量は有意に増加した。一方、METH+ANA−12群は、METH+Vehicle群と比較して有意に減少した。この結果は、メタンフェタミンのくり返し投与により形成された行動感作時のマウス側坐核におけるドパミン放出は、ANA−12の2週間投与で有意に減少することを示している。このことは、メタンフェタミンの繰り返し投与による側坐核におけるドパミン放出の亢進は、TrkB拮抗薬で治療可能であることを示している。(実施例6の結果) Aは、生理食塩水あるいはメタンフェタミンの1日1回5日間皮下投与後、6日間断薬し、その後2週間、生理食塩水、7,8−DHF (10 mg/kg)およびANA−12 (0.5 mg/kg)を1日1回2週間腹腔内投与してゴルジ染色を検討した試験計画を説明する図である。Control群は、生理食塩水を1日1回5日間皮下投与し、その後溶媒を2週間腹腔内投与した群である。METH群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、その後、溶媒を2週間腹腔内投与した群である。METH+7,8−DHF群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、その6日後、7、8−DHF(10 mg/kg/day)を2週間腹腔内投与した群である。METH+ANA−12群は、メタンフェタミン(3 mg/kg)を1日1回5日間皮下投与し、その6日後、ANA−12(0.5 mg/kg)を2週間腹腔内投与した群である。最終投与より2日間断薬後に、脳を取り出し、ゴルジ染色を行い、各部位におけるスパイン密度を測定した。(実施例7)図12のBには、以下のことが示された。Control群と比較して、METH+Vehicle群の側坐核のshell領域および腹側被蓋野のスパイン密度は有意に増加した。METH+ANA−12群は、METH+Vehicle群と比較して有意に減少したが、METH+7,8―DHF群は差が無かった。この結果は、メタンフェタミンのくり返し投与により形成された行動感作時のマウス側坐核shellおよび腹側被蓋野におけるスパイン密度の増加は、ANA−12の2週間投与で有意に減少することを示している。(実施例7の結果) Cには、以下のことが示された。海馬CA3領域、歯状回、前頭皮質におけるスパイン密度は、全ての群で変化しなかった。この結果は、メタンフェタミンのくり返し投与により、脳の報酬系である腹側被蓋野および側坐核のシェル領域におけるスパイン密度の増加が認められ、TrkB拮抗薬(TrkBアンタゴニスト)がこれらの形態異常を治療できることを示した。(実施例7の結果)
本発明は、TrkB受容体を拮抗する化合物、例えば、現在、臨床開発中の化合物、ANA−12、AZD6918、PLX7486、およびCEP−701など、またはその薬理学的に許容される塩を含有する薬物依存症の予防剤および/または治療剤に関する。また本発明は、ANA−12、AZD6918、PLX7486、およびCEP−701、またはその薬理学的に許容される塩を薬物依存症のうつ症状等の軽減に有効な量を含有する、薬物依存症の予防用医薬組成物および/または治療用医薬組成物に関する。
本発明において、TrkB受容体を拮抗する化合物(例えば、ANA−12、AZD6918、PLX7486、およびCEP−701など)が覚せい剤の繰り返し投与によるうつ症状および行動感作を改善することを、覚せい剤精神病のモデル動物を使用して証明した。さらに、本動
物モデルはヒトにおける覚せい剤精神病の動物モデルとして有用である。
本発明に係るTrkB受容体拮抗作用(TrkBアンタゴニスト作用)を有する薬剤および医薬組成物は、薬物依存症の治療に好ましく適用することができる。本発明の範囲には、TrkB受容体拮抗作用(TrkBアンタゴニスト作用)を有する薬剤またはその薬理学的に許容される塩を薬物依存症の症状軽減に有効な量を含有し、TrkB受容体作動作用(TrkBアゴニスト作用)を有する薬剤、またはその薬理学的に許容される塩を実質的に含まない、薬物依存症の予防および/または治療用医薬組成物が包含される。
本発明に係る薬剤剤および医薬組成物は、経口的または非経口的に投与することができる。経口投与には、錠剤、カプセル、コーティング錠、トローチ、溶液または懸濁液などの液剤といった既知の投与用剤形を用いることができる。また、非経口投与は、注射による静脈内、筋肉内、または皮下への投与、スプレーやエアロゾルなどを用いた経鼻腔や口腔などの経粘膜投与、坐剤などを用いた直腸投与、パッチやリニメントやゲルなどを用いた経皮投与などを挙げることができる。好ましくは経口投与、経鼻腔投与、さらに好ましくは注射による静脈内投与や側坐核への直接投与を挙げることができる。
ANA−12は遊離塩基、またはその薬学的に許容し得る塩の両方の形態で用いることができる。薬学的に許容し得る塩としては、薬学的に許容し得る酸の付加塩が好ましく、より好ましくは塩酸塩である。
開発番号ANA−12で示される化合物、〔N2- (2-{[(2-oxoazepan-3-yl) amino] carbonyl} phenyl) benzo [b] thiophene-2-carboxamide)〕の化学式を以下に示す。
本発明に係る医薬組成物は、ANA−12またはその薬理学的に許容される塩に加え、うつ症状に効果のある他の薬効成分であってよい。また、これら薬効成分の他に、適宜、投与形態などに応じて、当業者によく知られた適切な薬学的に許容される担体を含有していてもよい。薬学的に許容される担体としては、抗酸化剤、安定剤、防腐剤、矯味剤、着色料、溶解剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、粘度調整剤、ゲル化剤、吸収促進剤、分散剤、賦形剤、およびpH調整剤などを例示できる。
本発明に係る薬剤および医薬組成物を注射用製剤として調製する場合は、溶液剤または懸濁剤の製剤の形態が好ましく、経鼻腔や口腔などの経粘膜投与用の場合は、粉末、滴剤、またはエアロゾル剤の製剤の形態が好ましい。また、直腸投与用の場合は、クリ−ムまたは坐薬のような半固形剤の製剤の形態が好ましい。これらの製剤はいずれも、例えばレミントンの製薬科学(マック・パブリッシング・カンパニー、イーストン、PA、1970年)に記載されているような製薬技術上当業者に知られているいずれかの方法によって調製することができる。注射用製剤は担体として、例えば、アルブミンなどの血漿由来タンパク、グリシンなどのアミノ酸、およびマンニトールなどの糖を加えることができ、さらに緩衝剤、溶解補助剤、および等張剤などを添加することもできる。また、水溶製剤または凍結乾燥製剤として使用する場合、凝集を防ぐためにTween(登録商標)80、Tween(登録商標)20などの界面活性剤を添加するのが好ましい。さらに、注射用製剤以外の非経口投与剤形は、蒸留水または生理食塩液、ポリエチレングリコ−ルのようなポリアルキレングリコ−ル、植物起源の油、および水素化したナフタレンなどを含有してもよい。例えば、坐薬のような直腸投与用の製剤は、一般的な賦形剤として、例えば、ポリアキレングリコ−ル、ワセリン、およびカカオ油脂などを含有する。膣用製剤では、胆汁塩、エチレンジアミン塩、およびクエン酸塩などの吸収促進剤を含有してもよい。吸入用製剤は固体でもよく、賦形剤として、例えば、ラクト−スを含有してもよく、さらに、経鼻腔滴剤は水または油溶液であってもよい。
本発明に係る薬剤および医薬組成物の正確な投与量および投与計画は、個々の治療対象毎の所要量、治療方法、疾病または必要性の程度などに依存して調整できる。投与量は、具体的には年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組合せ、および患者の病状などに応じて決めることができ、さらに、その他の要因を考慮して決定してもよい。本発明に係る医薬組成物を、薬物依存症を示す疾患に投与する場合は、該医薬組成物中に含まれる有効成分は、うつ病、などの各疾患の症状、好ましくは各疾患のうつ症状の軽減に有効な量を含有することが好ましい。安全性が認められているTrkB拮抗薬、たとえばヒトに使用されているANA−12、AZD6918、PLX7486、CEP−701は、安全に使用することができ、その1日の投与量は、患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路などによって異なるが、例えば、有効成分量として、非経口投与の場合は、約0.01〜1000mg/人/日、好ましくは0.1〜500mg/人/日で投与され、また、経口の場合は約0.01〜500mg/人/日、好ましくは0.1〜100mg/人/日で投与されることが望ましい。あるいは薬物依存症患者の脳部位(側坐核)に直接投与することが望ましい。
以下、実施例にて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。また、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(実施例1) 覚せい剤の繰り返し投与によるうつ病の動物モデルを使用し、該モデル動物のうつ様行動および行動感作に対する、ANA−12の抗うつ効果を検討した。全ての動物実験は千葉大学動物実験委員会の承認を得て実施した。
1.材料および方法 メタンフェタミン塩酸塩は、大日本住友製薬株式会社(大阪、日本)から購入した。ANA−12は、Maybridge社(Cornwell,UK)から購入した。7,8−dihydroxyflavone(7,8−DHF)は、東京化成工業(東京、日本)から購入した。その他の試薬は、市販品を使用した。
薬物依存症の動物モデルは、マウスのメタンフェタミン塩酸塩(3mg/kgを1日1回5日間皮下投与)を暴露することにより作成した。オープンフィールドテストでは、フィールド中央で過ごす時間が有意に減少し、このことから、自発活動性の低下が示唆された。尾懸垂試験(tail suspension test;TST)および強制水泳試験(forced swimming test;FST)では、いずれでも無動時間の増加が認められたことから、抑うつ様行動が惹起されたことが示唆された。一方、自発運動試験(locomotion test;LMT)では、メタンフェタミン塩酸塩投与マウスと正常マウスとの間で自発運動量に差異はなかった。
薬剤の抗うつ効果の検討は、既報(非特許文献12)に従い、TST、FST、LMT、および1%ショ糖嗜好性試験(1% sucrose preference test;SPT)などの行動試験により実施した(図4のA)。TSTは次のように行った。まず、マウスをケージから取り出し、そしてその尾の先端からおよそ2cmの部分に接着テープの小片を貼り付けた。該小片に小さい穴を開け、マウスをそれぞれフックに吊り下げた。各マウスの無動時間を10分間記録した。マウスが無抵抗かつ完全静止であるときのみを無動であると判断した。うつ状態では無動時間が増加する。FSTは次のように行った。まず、シリンダー(径:23cm、高さ:31cm)に水を15cmまで満たして23±1℃に維持し、各シリンダーにそれぞれマウスを入れた。マウスは、自動強制水泳装置(automated forced−swimming apparatus)中で、SCANET MV−40(有限会社メルクエスト、富山、日本)を使用して試験した。無動時間は、合計時間から活性時間を減じた値として、該装置の解析ソフトウエアを使用して算出した。累積無動時間は、試験期間中、6分間にわたって記録を取った。LMTは次のように行った。まず、マウスを実験ケージ(長さ×横幅×高さ:560×560×330mm)に入れた。マウスの自発運動活性をSCANETMV−40により計数し、累積運動を60分間記録した。ケージは試験と次の試験の間に洗浄した。うつ状態では無動時間が増加する。SPTは、通常の飲料水と1%ショ糖溶液とを用意して自由に摂取させ、ショ糖溶液の消費量の割合を測定することにより実施した。うつ状態では報酬反応であるショ糖溶液の消費が低減する。統計分析は、Student t−testを行うことにより実施した。データは、平均±標準誤差(n=6−10マウス/群)で表す。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001はControl群と比較した有意差を示す。
(実施例2) 生理食塩水(10ml/kg)あるいはメタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与し、最終投与3日後にマウス脳を取り出し、前頭皮質、海馬(CA3,歯状回(Dentate Gyrus:DG))、線条体、側坐核に分割して、−80℃の冷凍庫に保存した。既報(非特許文献12)に従い、BDNFのウエスタンブロット法を実施し、各部位におけるBDNFのタンパク量を測定した。統計分析は、Student t−testを行うことにより実施した。データは、平均±標準誤差(n=6マウス/群)で表す。**p<0.01はControl群と比較した有意差を示す。
(実施例3)生理食塩水(10ml/kg)あるいはメタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与後、6日間断薬し、その後2週間、溶媒、ANA−12 (0.5mg/kg)あるいは7,8−DHF(10 mg/kg)を1日1回2週間腹腔内投与し、その2日後に、うつ症状評価を上記の方法に準じて検討した。Control群は、生理食塩水を1日1回5日間投与し、その後溶媒を2週間投与した群である。METH群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間試験腹腔内投与し、6日間断薬し、その後、溶媒を2週間投与した群である。METH+ANA−12群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間試験腹腔内投与し、その後、ANA−12(0.5 mg/kg/day)を2週間投与した群である。ANA−12群は、生理食塩水を1日1回5日間投与し、6日間断薬し、その後、ANA−12 (0.5 mg/kg/day)を2週間投与した群である。結果の統計解析は、一元配置分散分析(one−way ANOVA)およびそれに続いて最小有意差検定(LSD test)を行うことにより実施した。データは、平均±標準誤差(n=7−14マウス/群)で表す。p<0.05、**p<0.01はメタンフェタミン投与群と比較した有意差を示す。
(実施例4)生理食塩水(10ml/kg)あるいはメタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与後、6日間断薬し、その後2週間、生理食塩水、ANA−12 (0.5mg/kg)あるいは7,8−DHF(10 mg/kg)を1日1回2週間腹腔内投与し、その2日後に、うつ症状評価を上記の方法に準じて検討した。Control群は、生理食塩水を1日1回5日間投与し、その後溶媒を2週間投与した群である。METH群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間試験腹腔内投与し、6日間断薬し、その後、溶媒を2週間投与した群である。METH+ANA−12群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間試験腹腔内投与し、その後、ANA−12(0.5 mg/kg/day)を2週間投与した群である。ANA−12群は、生理食塩水を1日1回5日間投与し、6日間断薬し、その後、ANA−12 (0.5 mg/kg/day)を2週間投与した群
である。最終投与から3日後に、全てのマウスに低用量のメタンフェタミン(1mg/kg)を皮下投与し、SCANETで運動量を測定した。結果の統計解析は、繰り返しの一元配置分散分析(repeated one−way ANOVA)およびそれに続いて最小有意差検定(LSD test)を行うことにより実施した。データは、平均±標準誤差(n=7−9マウス/群)で表す。p<0.05、***p<0.001はControl群と比較した有意差を示す。##p<0.05、###p<0.001はMETH群と比較した有意差を示す。
(実施例5)生理食塩水あるいはメタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与後、2日後に、麻酔下、側坐核にカニューレを挿入した。翌日に、溶媒あるいはANA−12 (0.1nmol/L,0.1μL/分、5分間)を既報(非特許論文12)に従い、注入した。注入1時間後に自発運動量、3時間後に尾懸垂試験、5時間後に強制水泳試験に実施した。また最終投与2日後に1%ショ糖嗜好性試験を実施した。結果の統計解析は、一元配置分散分析(one−way ANOVA)およびそれに続いて最小有意差検定(LSD test)を行うことにより実施した。データは、平均±標準誤差(n=6−7マウス/群)で表す。**p<0.01、***p<0.001はメタンフェタミン投与群と比較した有意差を示す。
(実施例6)生理食塩水あるいはメタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与後、6日間断薬し、その後2週間、生理食塩水、ANA−12を1日1回2週間腹腔内投与し、その3日後に、脳内透析法を検討した。Control群は、生理食塩水を1日1回5日間皮下投与し、その後溶媒を2週間腹腔内投与した群である。METH群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、6日間断薬し、その後、溶媒を2週間腹腔内投与した群である。METH+ANA−12群は、メタンフェタミン(3 mg/kg/day)を1日1回5日間皮下投与し、6日間断薬し、その後、ANA−12(0.5 mg/kg/day)を2週間腹腔内投与した群である。最終投与から2日後に、麻酔下、側坐核にカニューレを挿入した。翌日に、全てのマウスに低用量のメタンフェタミン(1mg/kg)を皮下投与し、脳内透析法にて側坐核における細胞外の透析液を回収し、ドパミンを電気化学的検出器付の高速液体クロマトグラフィー(HPLC:エイコム社、京都、日本)にて測定した。結果の統計解析は、繰り返しの一元配置分散分析(repeated one−way ANOVA)およびそれに続いて最小有意差検定(LSD test)を行うことにより実施した。データは、平均±標準誤差(n=8マウス/群)で表す。p<0.05、**p<0.01、***P<0.001はControl群と比較した有意差を示す。p<0.05、##p<0.01はMETH群と比較した有意差を示す。
(実施例7)生理食塩水あるいはメタンフェタミン(3mg/kg)の1日1回5日間皮下投与後、6日間断薬し、その後2週間、溶媒、ANA−12 (0.5mg/kg)あるいは7,8−DHF(10 mg/kg)を1日1回2週間腹腔内投与し、その2日後に、ゴルジ染色を既報(非特許文献12)に準じて検討した。側坐核シェル、側坐核コア、腹側被蓋野、海馬CA3領域、海馬歯状回、前頭皮質におけるスパイン密度を測定した。結果の統計解析は、一元配置分散分析(one−way ANOVA)およびそれに続いて最小有意差検定(LSD test)を行うことにより実施した。データは、平均±標準誤差(n=6マウス/群)で表す。***p<0.001はMETH+Vehicle群と比較した有意差を示す。
上記説明のとおり、本発明に係る薬物依存患者の様々な症状の予防および/または治療用の薬剤および医薬組成物は、即効性かつ長期持続可能な抗うつ効果を有し、また、精神病症状惹起作用などの副作用が少ないため、うつ症状等を示す薬物依存症の予防および/または治療の分野における新規医薬品として有用である。

Claims (2)

  1. ANA−12( N2-(2-{[(2-oxoazepan-3-yl) amino] carbonyl} phenyl) benzo [b]thiophene-2-carboxamide)を含有するメタンフェタミンの薬物依存症の予防剤および/または治療剤。
  2. ANA−12(N2- (2-{[(2-oxoazepan-3-yl) amino] carbonyl} phenyl) benzo [b]thiophene-2-carboxamide)を含有するメタンフェタミンの薬物依存症の治療剤。

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