JP6447446B2 - 車両用電池制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載された複数の組電池の残存容量を制御する車両用電池制御装置に関する。
近年、環境問題を背景として、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車両)といった、電池に接続されたモータにより走行する電動車両が注目されている。これらの車両においては、その走行可能距離を延ばすために大容量の電池を搭載することが求められている。しかしながら、容量の増大に応じて電池は大型化するため、車両の1箇所にすべての電池を搭載することには困難がともなった。このため、搭載する電池を複数の組電池に分け、車両上における複数の空きスペースに分割した組電池を搭載して、それらを並列に接続することが行われてきた。これにより、組電池全体の容量の増大と、車両への搭載性とを両立させることができた。
しかしながら、複数の組電池を車両の異なる箇所に搭載することにより、組電池が異なる温度環境にさらされ、それらの抵抗値が互いに異なった値になることがあった。これにより、抵抗値の小さい組電池の蓄電のみが優先的に使用されて、複数の組電池間の残存容量が不均一となる場合があった。したがって、組電池全体において実際に使用可能な容量が制限され、高容量化のために複数の組電池を接続したことが意味を成さなくなるという問題があった。また、抵抗値の小さい組電池においては頻繁に充放電が行われるため、その劣化が早まるという問題もあった。特に、複数の組電池の間において、その温度に対する抵抗特性が互いに異なっている場合に、これらの傾向がいっそう顕著となる。
これに対し、車両上の高温部に搭載される組電池において、含まれる単電池の数を増大させ、単電池一個当たりの充放電量を低減して、組電池全体の劣化を抑制する車両搭載用電池に関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−105687号公報
しかしながら、上述した従来技術による組電池においては、それが搭載される車両上の温度環境によって単電池の数が増大するため、その外形寸法および重量が増大し、車両への搭載性が悪化するという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、組電池全体において使用可能な蓄電容量を増大させることができるとともに、車両への搭載を容易にする車両用電池制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1に係る車両用電池制御装置の発明は、それぞれ複数の単電池が直列接続されて形成されており、車両において、互いに温度環境が異なる複数の部位にそれぞれ搭載されているとともに、互いに並列接続されている複数の組電池と、複数の組電池のそれぞれの充電または放電の容易性を表す通電値を検出する通電検出部と、複数の組電池のうちの少なくとも一つの周辺温度を調整する温度調整部と、通電検出部によって検出された複数の組電池の通電値が互いに等しくなるように、温度調整部の作動を制御して、複数の組電池のうちの少なくとも一つの温度を調整する温度制御部と、を備え、通電検出部は、通電値として、複数の組電池のそれぞれの抵抗値を検出しており、複数の組電池のうちの少なくとも一つについて、温度に対する抵抗値の特性である温度抵抗特性を記憶している特性記憶部をさらに備え、温度制御部は、通電検出部によって検出された複数の組電池のそれぞれの抵抗値と、特性記憶部に記憶されている温度抵抗特性とに基づき、複数の組電池の抵抗値を互いに等しくするために、複数の組電池のうちの少なくとも一つについて目標温度を設定し、温度調整部の作動を制御して、複数の組電池のうちの少なくとも一つの温度を、設定された目標温度に一致させる。
この構成によれば、温度制御部は、通電検出部によって検出された複数の組電池の通電値が互いに等しくなるように、温度調整部の作動を制御して、複数の組電池のうちの少なくとも一つの温度を調整する。これにより、温度環境が異なる部位に搭載された複数の組電池の通電値を互いに等しくすることができるため、複数の組電池の充放電量を均等化して、組電池全体における使用可能な蓄電容量を増大させることができる。また、組電池を大型化する必要がないため、その車両への搭載性を向上でき、特定の組電池のみが充放電することによる組電池の劣化を抑制することも可能になる。
本発明の実施形態1による車両用電池制御装置の全体ブロック図 図1に示した各々の組電池の温度抵抗特性マップを表した図 図1に示した車両用電池制御装置の制御フローチャートを表した図 実施形態2による車両用電池制御装置の全体ブロック図 図4に示した車両用電池制御装置の制御フローチャートを表した図
<実施形態1の構成>
図1乃至図3に基づき、本発明の実施形態1による車両用電池制御装置1について説明する。尚、図1において、各構成を接続している細い実線は信号線を示し、太い実線は電力供給線を表している。図1に示したように、車両用電池制御装置1は、車両VEに搭載された第1組電池2および第2組電池3を備えている。第1組電池2および第2組電池3は、複数の組電池に該当する。第1組電池2は、複数の単電池20が直列接続されて形成されている。また、第2組電池3は、複数の単電池30が直列接続されて形成されている。各々の単電池20、30は、リチウムイオン電池による二次電池から形成されているが、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池等であってもよい。第1組電池2の各々の単電池20は、正極21、負極22および図示しない電解質を含んでいる。また、第2組電池3の各々の単電池30は、正極31、負極32および図示しない電解質を含んでいる。
第1組電池2および第2組電池3は、その温度抵抗特性が互いに異なっている。第1組電池2に含まれた単電池20の正極21は、その活物質として、Sn、Geのうちの少なくとも一つを含んでいる。正極21の活物質として、例えば、層状岩塩型の結晶構造を有するLiNiα η β−γ(0<α+η≦2、0≦η<0.5、0<β≦2、0≦γ≦1、α+η+β=1〜2.1、0.8<β/(α+η)、M:Mn、M:Ge,Snより選ばれる少なくとも1種)が適用可能である。これによって、第1組電池2は高温耐久性に優れた高温用組電池となり、電気自動車のモータ近傍、ハイブリッド車両のエンジン付近といった、車両VE中において周辺温度が主に40℃以上となる高温領域HTに搭載されている。本出願人の実験によれば、第1組電池2は、SOC100%および60℃の状態で30日間放置した場合に、容量劣化率が2%以下となる性能を有する。尚、上述したSOCは残存容量(State of Charge)を表している。第1組電池2に高温耐久性を備えさせるために、単電池20の正極21に上述した成分を含ませることに代えて、非水電解質に対し、プロパンスルトン等に代表される電解液添加剤を用いてもよい。
一方、第2組電池3は一般的な組電池であり、車両VE中において、周辺温度が主に40℃未満である低温領域LTに搭載されている。第2組電池3は、他の組電池に該当し、高温領域HTと低温領域LTとは、互いに温度環境が異なる複数の部位に該当する。第2組電池3は、SOC100%および60℃の状態で30日間放置した場合に、容量劣化率が2%以上である。さらに、上記に加えて、第1組電池2と第2組電池3との間において、それぞれを、SOC100%および60℃の状態で30日間放置した場合に、容量劣化率が互いに5%以上異なっている場合もあるが、これに限定されるべきものではない。
図1に示したように、第1組電池2および第2組電池3は、互いに並列に接続されており、これらはインバータ4に接続されている。インバータ4は、車両VEの図示しない車輪を駆動するためのモータジェネレータ5に接続されている。これにより、第1組電池2および第2組電池3からの電力は、インバータ4によって交流電流に変換されてモータジェネレータ5に供給され、車両VEを走行させる。また、モータジェネレータ5は回生時に発電を行い、インバータ4を介して第1組電池2および第2組電池3に充電を行う。さらに、インバータ4には充電器6が接続されており、第1組電池2および第2組電池3に対し、車両VEの外部から充電を行うことも可能に形成されている。
第1組電池2および第2組電池3の内部には、それぞれ温度センサ7が取り付けられている。温度センサ7は、サーミスタ、サーモパイル、熱電対等の多種のものが使用可能であって、特定のものに限定されるべきものではない。それぞれの温度センサ7は、第1組電池2および第2組電池3の各々の温度を検出している。各々の温度センサ7は、電池制御ECU8に接続されている。
電池制御ECU8は、図示しない入出力装置、CPU、RAM等により形成された制御装置である。電池制御ECU8は、特性マップ記憶部81、通電検出部82および温調制御部83を有している。特性マップ記憶部81は特性記憶部に該当し、温調制御部83は温度制御部に該当する。
特性マップ記憶部81は、第1組電池2および第2組電池3についての温度抵抗特性マップを記憶している。図2に示された温度抵抗特性マップは、第1組電池2の温度Tb1に対する内部抵抗値Rb1(以下、抵抗値Rb1と言う)の特性および第2組電池3の温度Tb2に対する内部抵抗値Rb2(以下、抵抗値Rb2と言う)の特性である温度抵抗特性を含んでいる。抵抗値Rb1、Rb2は、この値が小さい場合に、第1組電池2および第2組電池3における充放電が容易となり、第1組電池2および第2組電池3のそれぞれの充電または放電の容易性を表す通電値に該当する。以下、温度Tb1および温度Tb2を包括して温度Tb1、Tb2と言い、抵抗値Rb1および抵抗値Rb2を包括して抵抗値Rb1、Rb2と言う。温度抵抗特性マップは、当業者において、実験的、経験的に形成することができる。また、温度抵抗特性マップは、電池制御ECU8における学習機能によって形成されるようにしてもよい。
前述したように第1組電池2は高温用組電池であって、正極活物質の成分として、Sn、Geのうちの少なくとも一つを含んでいる。そのため、図2に示したように、第1組電池2は第2組電池3に対して、温度Tb1の変化に対する抵抗値Rb1の変化が大きく、特に、低温時の抵抗値Rb1が高温時の抵抗値Rb1に対して著しく大きい。さらに、前述したように、第1組電池2が高温特性を確保するために電解液添加剤を多量に含む場合、低温時の抵抗値Rb1が高温時の抵抗値Rb1に対していっそう大きくなることが想定される。第1組電池2は、0〜60℃におけるいずれかの抵抗値Rb1が、0〜60℃における抵抗値Rb1の平均の2/3倍以下または3/2倍以上となる場合がある。
一方、第2組電池3については、温度Tb2の変化に対する抵抗値Rb2の変化が小さく、0〜60℃における抵抗値Rb2はすべて、0〜60℃における抵抗値Rb2の平均の2/3倍〜3/2倍以内におさまっている。上述した温度Tb1、Tb2の変化は温度変化に該当し、抵抗値Rbの変化は抵抗値変化に該当する。また、抵抗値Rb1、Rb2の平均は、抵抗平均値に該当する。
通電検出部82は、各々の温度センサ7と特性マップ記憶部81とに接続されており、第1組電池2および第2組電池3のそれぞれの抵抗値Rb1、Rb2を検出する。具体的には、通電検出部82は、温度センサ7によってそれぞれ検出された第1組電池2および第2組電池3の温度Tb1、Tb2と、特性マップ記憶部81に記憶されている温度抵抗特性マップとに基づき、第1組電池2および第2組電池3のそれぞれの抵抗値Rb1、Rb2を算出している。
温調制御部83は、通電検出部82、特性マップ記憶部81および後述する温調装置9に接続されている。温調制御部83は、通電検出部82によってそれぞれ検出された第1組電池2および第2組電池3のそれぞれの抵抗値Rb1、Rb2と、特性マップ記憶部81に記憶されている温度抵抗特性マップとに基づき、第1組電池2の目標温度Tbtを設定している。以下、目標温度Tbtの設定方法の一例について説明する。図2に示したように、第1組電池2および第2組電池3の温度Tb1、Tb2が検出されると、通電検出部82が、温度抵抗特性マップから、第1組電池2および第2組電池3のその時の抵抗値Rb1、Rb2を算出する。温調制御部83は、第1組電池2および第2組電池3の抵抗値Rb1、Rb2を互いに等しくするために、第1組電池2の目標温度Tbtを、第1組電池2の温度抵抗特性上において、抵抗値Rb2を発生させる温度に設定する。目標温度Tbtが設定されると、温調制御部83は、温調装置9の作動を制御して、第1組電池2の温度Tb1を、設定された目標温度Tbtに一致させる。図2に示した場合においては、第1組電池2の温度Tb1を目標温度Tbtに一致させるために、第1組電池2を冷却している。これに対し、第1組電池2の温度Tb1が目標温度Tbtよりも低い場合には、温調制御部83は温調装置9の作動を制御して、第1組電池2を加熱している。
温調装置9は、第1組電池2の周辺温度を調整するものであり、車両VEの図示しないエアコンディショナ、ブロア、冷却液等が適用可能である。温調装置9は、第1組電池2および第2組電池3の双方の周辺温度を調整するものであってもよい。温調装置9は、温度調整部に該当する。
以下、図3に基づき、電池制御ECU8による第1組電池2および第2組電池3の制御方法について説明する。最初に、ステップS101において、温度センサ7によって、第1組電池2および第2組電池3のそれぞれの温度Tb1、Tb2を検出する。次に、ステップS102において、通電検出部82は、検出された温度Tb1、Tb2と、特性マップ記憶部81に記憶されている温度抵抗特性マップとに基づき、第1組電池2および第2組電池3のそれぞれの抵抗値Rb1、Rb2を算出する。
次に、ステップS103において、算出された第1組電池2の抵抗値Rb1と、第2組電池3のRb2との間の差が算出され、抵抗値Rb1と抵抗値Rb2との差が所定の抵抗差閾値δ(δ>0)以下である場合、ステップS101へと戻る。一方、ステップS103において、算出された第1組電池2の抵抗値Rb1と、第2組電池3のRb2との間の差がδより大きい場合、ステップS104において、温調制御部83が第1組電池2の目標温度Tbtを算出する。次に、ステップS105において、温調制御部83は、第1組電池2の温度Tb1を目標温度Tbtにするため、温調装置9を作動させる。
<実施形態1の作用効果>
本実施形態によれば、温調制御部83は、第1組電池2および第2組電池3のそれぞれの抵抗値Rb1、Rb2と、特性マップ記憶部81に記憶されている温度抵抗特性マップとに基づき、第1組電池2の目標温度Tbtを設定する。そして、温調装置9の作動を制御して、第1組電池2の温度Tb1を、設定された目標温度Tbtに一致させることにより、双方の抵抗値Rb1、Rb2を互いに等しくしている。これにより、温度環境が異なる部位に搭載された第1組電池2と第2組電池3に対して、各々の組電池間の充放電量を均一化し、SOCのばらつきを抑制して、並列接続された第1組電池2および第2組電池3全体において、使用可能な蓄電容量を増大させることができる。また、第1組電池2および第2組電池3を大型化する必要がないため、これらの車両VEへの搭載性を向上でき、特定の組電池のみが充放電することによる第1組電池2または第2組電池3の劣化を抑制することも可能になる。
また、第1組電池2および第2組電池3のうちの少なくともいずれかの温度Tb1、Tb2を調整して、それらの抵抗値Rb1、Rb2を均等化するため、第1組電池2および第2組電池3について、温度抵抗特性が互いに異なるもの同士を使用することが可能になる。このため、車両VE上の温度環境の異なる部位への組電池の分散配置を容易にし、組電池のタイプを選択する場合の自由度を増大させることができる。
また、第1組電池2は、温度抵抗特性における温度Tb1の変化に対する抵抗値Rb1の変化が第2組電池3よりも大きい高温用組電池である。これにより、高温用組電池である第1組電池2を車両VEの高温領域HTに配置し、一般的な組電池である第2組電池3を低温領域LTに配置することができる。したがって、車両VE上において、多様な温度環境への組電池の搭載を可能にすることができる。
また、通電検出部82は、温度センサ7によって検出された温度Tb1、Tb2と、特性マップ記憶部81に記憶されている温度抵抗特性マップとに基づき、第1組電池2および第2組電池3のそれぞれの抵抗値Rb1、Rb2を検出している。これにより、それぞれ第1組電池2および第2組電池3の温度Tb1、Tb2に基づいて、抵抗値Rb1、Rb2を正確に検出することができる。また、複雑な演算をすることなく、温度抵抗特性マップに基づいて、抵抗値Rb1、Rb2を検出することができるため、抵抗値Rb1、Rb2を検出するための演算速度を増大させることができるとともに、電池制御ECU8のメモリ数を低減することが可能になる。
また、温調制御部83は、第1組電池2および第2組電池3のうち、高温用組電池である第1組電池2に対して目標温度Tbtを設定している。これにより、僅かな温度Tb1の変化によって、抵抗値Rb1を大きく変化させることができ、第1組電池2と第2組電池3との抵抗値Rb1、Rb2を、容易に均等化することができる。
また、高温用組電池である第1組電池2は、SOC100%および60℃の状態で30日間放置した場合に、容量劣化率が2%以下である。そして、第2組電池3は、SOC100%および60℃の状態で30日間放置した場合に、容量劣化率が2%以上である。さらに、第1組電池2と第2組電池3との間において、それぞれを、SOC100%および60℃の状態で30日間放置した場合に、容量劣化率が互いに5%以上異なっている。これにより、第1組電池2を車両VEにおいて、周辺温度が40℃以上となる高温領域HTに配置することができるとともに、第2組電池3を車両VEにおいて、周辺温度が40℃未満である低温領域LTに配置することができる。
また、第1組電池2は、0〜60℃における抵抗値Rb1が、0〜60℃における抵抗値Rb1の平均の2/3倍以下または3/2倍以上となる場合がある。また、第2組電池3は、0〜60℃における抵抗値Rb2はすべて、0〜60℃における抵抗値Rb2の平均の2/3倍〜3/2倍以内におさまるように形成されている。これにより、第1組電池2と第2組電池3とがそれぞれ配置される高温領域HTおよび低温領域LTを、ともに広範囲な温度環境下に置くことができ、車両VE上における第1組電池2および第2組電池3の搭載部位の自由度を増大させることができる。
また、第1組電池2は、その正極21の活物質の成分として、少なくとも、Sn、Geのうちの一つを含んでいる。これにより、第1組電池2の温度Tb1を目標温度Tbtに制御することとあわせて、第1組電池2と第2組電池3との間におけるSOCの均等化と、車両VE上における第1組電池2の耐高温化とを両立させることが可能になる。
<実施形態2の構成>
図4および図5に基づいて、実施形態2による車両用電池制御装置1Aについて説明する。尚、図4において、各構成を接続している細い実線は信号線を示し、太い実線は電力供給線を表している。本実施形態においても、実施形態1と同様に、第1組電池2は高温用組電池であり、高温領域HTに搭載されている。一方、第2組電池3は一般的な組電池であり、低温領域LTに搭載されている。本実施形態による第1組電池2および第2組電池3には、温度センサ7の代わりに、電流センサ10がそれぞれ取り付けられている。複数の電流センサ10は、第1組電池2の電流Ib1および第2組電池3の電流Ib2をそれぞれ検出している。以下、電流Ib1および電流Ib2を包括して電流Ib1、Ib2と言う。本実施形態において、電流Ib1、Ib2は、第1組電池2および第2組電池3のそれぞれの充電または放電の容易性を表す通電値に該当する。電流センサ10は、それぞれ電池制御ECU8Aに含まれた通電検出部82に接続されている。また、実施形態1による車両用電池制御装置1と異なり、電池制御ECU8Aは特性マップ記憶部81を備えていない。
通電検出部82は、第1組電池2に設けられた電流センサ10によって検出された電流Ib1と、第2組電池3に設けられた電流センサ10によって検出された電流Ib2とを比較している。温調制御部83は、第1組電池2の電流Ib1と第2組電池3の電流Ib2との比較結果に基づき、電流Ib1と電流Ib2とを互いに等しくするように、温調装置9の作動を制御して、第1組電池2の温度Tb1を調整している。具体的には、第1組電池2の電流Ib1が第2組電池3の電流Ib2よりも大きい場合には、第1組電池2の抵抗値Rb1が第2組電池3の抵抗値Rb2よりも小さいため、温調制御部83は温調装置9の作動を制御して、第1組電池2を冷却している。これに対し、第1組電池2の電流Ib1が第2組電池3の電流Ib2よりも小さい場合には、第1組電池2の抵抗値Rb1が第2組電池3の抵抗値Rb2よりも大きいため、温調制御部83は温調装置9の作動を制御して、第1組電池2を加熱している。本実施形態による車両用電池制御装置1Aのその他の構成は、実施形態1による車両用電池制御装置1と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
以下、図5に基づき、電池制御ECU8Aによる第1組電池2および第2組電池3の制御方法について説明する。最初に、ステップS201において、電流センサ10によって、第1組電池2および第2組電池3のそれぞれの電流Ib1、Ib2を検出する。次に、ステップS202において、通電検出部82は、検出された電流Ib1、Ib2に基づき、組電池電流差(Ib1−Ib2)および組電池電流差の絶対値(|Ib1−Ib2|)を算出する。算出された組電池電流差(Ib1−Ib2)および組電池電流差の絶対値(|Ib1−Ib2|)は、温調制御部83に送信される。次に、ステップS203において、温調制御部83によって、組電池電流差の絶対値(|Ib1−Ib2|)が所定の電流差閾値ε(ε>0)より大きいか否かが判定される。組電池電流差の絶対値(|Ib1−Ib2|)がε以下である場合、ステップS201へと戻る。一方、ステップS203において、組電池電流差の絶対値(|Ib1−Ib2|)がεより大きい場合、ステップS204において、温調制御部83によって、組電池電流差(Ib1−Ib2)が0より大きいか否かが判定される。組電池電流差(Ib1−Ib2)が0より大きい場合、ステップS205において、第1組電池2の冷却が実行される。これに対し、組電池電流差(Ib1−Ib2)が0より小さい場合、ステップS206において、第1組電池2の加熱が実行される。
<実施形態2の作用効果>
本実施形態によれば、温調制御部83は、電流センサ10によって検出された第1組電池2の電流Ib1と第2組電池3のIb2とを互いに等しくするために、温調装置9の作動を制御して、第1組電池2の温度Tb1を調整している。これにより、複雑な演算をすることなく、第1組電池2の温度Tb1を的確に調整することができるため、その演算速度を増大させることができるとともに、電池制御ECU8Aのメモリ数を低減することが可能になる。
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
第1組電池2および第2組電池3は、互いの温度抵抗特性が同一に形成されていてもよい。
また、実施形態1において、第1組電池2および第2組電池3の抵抗値Rb1、Rb2を等しくするために、第1組電池2の温度Tb1を調整する代わりに、第2組電池3の目標温度Tbtを設定し、第2組電池3の温度Tb2を調整するようにしてもよい。また、第1組電池2および第2組電池3の目標温度Tbtをそれぞれ設定し、双方の温度Tb1、Tb2を調整してもよい。
また、車両VEに搭載されている組電池は必ずしも2個のみではなく、3個以上搭載されていてもよい。この場合、2個または3個以上の組電池について、目標温度Tbtを設定して、その温度をそれぞれ調整してもよい。
また、車両VE上に、高温用組電池が複数個搭載されていてもよい。
また、第1組電池2において使用される電解質は、非水電解液に限定されるものではなく、いわゆる、ゲル状電解質を用いたリチウムイオン電池や、電解質が少なくとも一部に固体電解質を含んでいる固体電解質型リチウムイオン電池であってもよい。
また、第1組電池2および第2組電池3の抵抗値Rb1、Rb2または電流Ib1、Ib2を互いに等しくすることについて、抵抗値Rb1、Rb2または電流Ib1、Ib2同士を完全に等しくしなければならないわけではない。すなわち、第1組電池2と第2組電池3とのSOCを同程度にできるという効果を有する範囲内において、第1組電池2および第2組電池3の抵抗値Rb1、Rb2または電流Ib1、Ib2同士の間に、若干の差があってもよい。また、第1組電池2の温度Tb1を目標温度Tbtに一致させることについても、第1組電池2と第2組電池3とのSOCを同程度にできるという効果を有する範囲内において、第1組電池2の温度Tb1と目標温度Tbtとの間に若干の差があってもよい。
図面中、1,1Aは車両用電池制御装置、2は第1組電池(複数の組電池、高温用組電池)、3は第2組電池(複数の組電池、他の組電池)、7は温度センサ、9は温調装置(温度調整部)、10は電流センサ、20,30は単電池、21,31は正極、81は特性マップ記憶部(特性記憶部)、82は通電検出部、83は温調制御部(温度制御部)、HTは高温領域、LTは低温領域、VEは車両を示している。

Claims (9)

  1. それぞれ複数の単電池(20、30)が直列接続されて形成されており、車両(VE)において、互いに温度環境が異なる複数の部位(HT、LT)にそれぞれ搭載されているとともに、互いに並列接続されている複数の組電池(2、3)と、
    前記複数の組電池のそれぞれの充電または放電の容易性を表す通電値(Rb1、Rb2、Ib1、Ib2)を検出する通電検出部(82)と、
    前記複数の組電池のうちの少なくとも一つの周辺温度を調整する温度調整部(9)と、
    前記通電検出部によって検出された前記複数の組電池の通電値が互いに等しくなるように、前記温度調整部の作動を制御して、前記複数の組電池のうちの少なくとも一つの温度(Tb1)を調整する温度制御部(83)と、
    を備え
    前記通電検出部は、
    前記通電値として、前記複数の組電池のそれぞれの抵抗値(Rb1、Rb2)を検出しており、
    前記複数の組電池のうちの少なくとも一つについて、温度(Tb1、Tb2)に対する抵抗値の特性である温度抵抗特性を記憶している特性記憶部(81)をさらに備え、
    前記温度制御部は、
    前記通電検出部によって検出された前記複数の組電池のそれぞれの抵抗値と、前記特性記憶部に記憶されている前記温度抵抗特性とに基づき、前記複数の組電池の抵抗値を互いに等しくするために、前記複数の組電池のうちの少なくとも一つについて目標温度(Tbt)を設定し、前記温度調整部の作動を制御して、前記複数の組電池のうちの少なくとも一つの温度を、設定された前記目標温度に一致させる車両用電池制御装置。
  2. 前記複数の組電池のうち少なくとも一つは、前記温度抵抗特性における温度変化に対する抵抗値の変化が他の前記組電池(3)よりも大きい高温用組電池(2)である請求項記載の車両用電池制御装置。
  3. 前記複数の組電池の各々の温度を検出する温度センサ(7)を、さらに備え、
    前記通電検出部は、
    前記温度センサによって検出された温度と、前記特性記憶部に記憶されている前記温度抵抗特性とに基づき、前記複数の組電池のそれぞれの抵抗値を検出する請求項記載の車両用電池制御装置。
  4. 前記温度制御部は、
    前記高温用組電池に対して前記目標温度を設定する請求項2または3に記載の車両用電池制御装置。
  5. 前記高温用組電池は、
    SOC100%および60℃の状態で30日間放置した場合に、容量劣化率が2%以下であり、
    他の前記組電池のうちの少なくとも一つは、SOC100%および60℃の状態で30日間放置した場合に、容量劣化率が2%以上である請求項2乃至4のうちのいずれか一項に記載の車両用電池制御装置。
  6. 前記高温用組電池と他の前記組電池との間において、
    それぞれを、SOC100%および60℃の状態で30日間放置した場合に、容量劣化率が互いに5%以上異なる請求項2乃至5のうちのいずれか一項に記載の車両用電池制御装置。
  7. 前記高温用組電池は、
    0〜60℃における抵抗値が、0〜60℃における抵抗平均値の2/3倍以下または3/2倍以上となる場合があり、
    他の前記組電池のうちの少なくとも一つは、0〜60℃における抵抗値はすべて、0〜60℃における抵抗平均値の2/3倍〜3/2倍以内におさまるように形成されている請求項2乃至6のうちのいずれか一項に記載の車両用電池制御装置。
  8. 前記高温用組電池において、
    正極(21)の活物質が、少なくとも、Sn、Geのうちの一つを含んでいる請求項2乃至7のうちのいずれか一項に記載の車両用電池制御装置。
  9. 前記高温用組電池において、
    電解質が、少なくとも一部に固体電解質を含んでいる請求項2乃至8のうちのいずれか一項に記載の車両用電池制御装置。
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