以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(I)ボンド磁石成形体(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、ひずみ速度感受性指数(m値)が0.3以上で破断伸びが50%以上のZn合金をバインダとして含有し、SmとFeを含有する窒素化合物の磁石粒子が該バインダで固化されてなることを特徴とするボンド磁石成形体である。かかる構成を有することにより、上記した発明の効果を奏することができる。以下、本形態のボンド磁石成形体につき、構成要件ごとに詳しく説明する。
(1)Zn合金バインダ
本形態のボンド磁石成形体に含有されるバインダは、(成形温度以下で)ひずみ速度感受性指数(m値)が0.3以上で破断伸びが50%以上のZn合金を含有するものである。ここで、成形温度以下で、m値0.3以上、破断伸び50%以上としたのは、当該要件を満足するバインダを含有するボンド磁石成形体では、結晶粒が微細なものが得られる。結晶粒が微細であれば、超塑性特性に優れかつ電気比抵抗も大きい特性が得られる。特に、m値0.3以上、破断伸び50%以上の機械特性を有するZn合金であれば、超塑性特性が良好で電気比抵抗も大きく、磁場変動を受ける使用環境で用いられた場合であっても、誘起電流を低減するような大きな電気抵抗を得ることができる。これにより磁石成形体の発熱を抑制し、好適な特性(特に磁気特性)が得られるためである。さらに、上記要件を満足するZn合金のバインダを用いることにより、結晶粒が微細なものが得られるのは、製造過程で、上記磁石粒子間の空隙にZn合金(粒子)が伸展し、Zn合金が効果的に均一に分散できるためと考えられる。その結果、さらに適度な圧着効果が得られることにより、通常のプレスで成形可能な範囲が拡大するので、より磁石粒子の密度を高めた磁石成形体を得ることができる点でも優れている。なお、上記に規定するm値及び破断伸びの要件(超塑性特性を有効に発揮する)は、ボンド磁石成形体を成形固化する際の成形温度以下で、満足するものであればよい。好ましくは、常温(非加熱状態での温度;以下同様)〜500℃の範囲で、上記に規定するm値及び破断伸びの要件(超塑性特性を有効に発揮する要件)を満足するのが望ましい。
Zn合金のひずみ速度感受性指数(m値)は、成形温度以下で、0.3以上、好ましくは0.4以上である。Zn合金のm値が0.3未満の場合には、金属Znとの差異がなく、磁石粒子との電気抵抗差が小さく、成形後の固化成形体であるボンド磁石成形体の電気抵抗も十分に大きくできず、発熱量を十分に抑えられないなど好ましくない。なお、Zn合金のm値の上限は特に制限されない。
(m値の測定方法)
Zn合金のm値は、JIS H7501(2002年版)に規定の金属系超塑性材料の引張特性評価方法に則って試験を実施することにより、求めることができる。Zn合金のm値は、バルクの状態で測定することから、例えば、以下の破断伸びの測定方法と同様にして作製した板材または該板材を適当なサイズに打ち抜いた試験片等を用いて測定することができる。
Zn合金の破断伸びは、50%以上、好ましくは200%以上である。Zn合金の破断伸びが50%未満の場合には、金属Znとの差異がなく、磁石粒子との電気抵抗差が小さく、成形後の固化成形体であるボンド磁石成形体の電気抵抗も十分に大きくできず、発熱量を十分に抑えられないなど好ましくない。なお、Zn合金の破断伸びの上限は特に制限されない。
本形態のボンド磁石成形体に含有されるZn合金バインダは、(成形温度以下で)Znよりも2倍以上大きな破断伸びを示すZn合金を含有するのが好ましい。Znよりも2倍以上大きな破断伸びを示すものであれば、上記磁石粒子間の空隙にZn合金が伸展しやすく、密度の高い磁石成形体を得ることができる点で優れている。なお、上記に規定するZnよりも2倍以上大きな破断伸びの要件も、ボンド磁石成形体を成形固化する際の成形温度以下で、満足するものであればよい。好ましくは、常温〜500℃の範囲で、上記に規定するZnよりも2倍以上大きな破断伸びの要件を満足するのが望ましい。
(破断伸びの測定方法)
Zn合金の破断伸びは以下に示す方法により測定することができる。以下の方法では、Zn合金にZnAl合金(22.6mass%Al−77.4mass%Znの組成;不可避的な不純物は除いた組成;以下同様とする。)を用いた例を示すが、上記組成以外の合金やAl以外の金属を用いた合金の場合も、以下の方法に則して測定することができる。
まず、純Alインゴットと純Znインゴットを22.6mass%Al−77.4mass%Znの組成になるように秤量し、真空溶解炉にて3kgの合金インゴットを溶製する。インゴットを再溶解して、Heを用いたガスアトマイズ法で合金粉末に加工する。得られた粉末を篩にかけて50μm以上の粗粒を除去した後、450℃で、粉末押し出し加工(押出し比12.7)を行い、更に、スエージ加工にて、幅50mmで板厚5mmに加工する。
次に、電気炉で250℃に昇温して熱間圧延を行い、最終厚さを1.0mmとなるように調整する。鋼板から、JIS H7501に規定のS型試験片として、平行部幅5mm、平行部長さ25mm、全長59mmの試験片を放電加工により、圧延方向に平行に採取する。この後、得られた試験片を380℃の塩浴中(硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを1対1(モル比)に配合)に30分間保持して、氷水中に焼き入れをし、さらに室温に24時間放置して共析分解を行う。
得られた試験片は、JIS H7501(2002年版)の金属系超塑性材料の引張特性評価方法に則って試験を実施することにより、Zn合金の破断伸びを求めることができる。
なお、上記m値及び破断伸びにつき、室温以上の温度で計測する場合は、引張試験機の引っ掛け型治具を、試験片側に装着し、治具部もろとも試験片を10分以上、所定の温度のオイルバス中に保持し、設定温度に十分到達した後、試験を実施することで、任意の温度での評価が可能である。
Znについては、厚さ1.0mmの市販の純Zn板から同様の試験片を採取し、試験に供することにより、Znの破断伸びを求めることができる。
Zn合金バインダの含有量は、ボンド磁石成形体の全体積に対して1〜30体積%が好ましく、より好ましくは5〜20体積%、さらに好ましくは10〜20体積%である。Zn合金バインダの含有量が30体積%以下であれば、電気比抵抗も大きく、磁石成形体の発熱を抑制し、好適な特性(特に磁気特性)が得られ、磁石成形体の磁気特性を損なう恐れがない。またZn合金バインダの含有量が20体積%以下であれば、Zn合金粒子よりも上記磁石粒子の体積率を大幅に大きくすることができ、良好な磁力(特に残留磁束密度Br)を得ることができる。また、Zn合金バインダの含有量が1体積%以上であれば、Zn合金バインダとしての効果が十分に発揮され、超塑性特性が良好で電気比抵抗も大きく、磁石成形体の発熱を抑制し、好適な特性(特に磁気特性)が得られる。また、Zn合金バインダの含有量が5体積%以上であれば、磁石成形体の磁気特性を損なうことなく良好な磁力(特に残留磁束密度Br)を得ることができる。またZn合金粒子の配合量も十分に確保できるためZn合金粒子が伸展し効果的に均一に分散することで、バインダとして優れた効果を発揮できる。
本形態のボンド磁石成形体に含有されるZn合金バインダとしては、上記要件を有するものであればよく、Znと、Zn以外の金属としてAl、Mg、Cu等を含む合金が挙げられるが、好ましくは超塑性を発現する合金(超塑性合金)である。更にこれらの超塑性合金に混入する酸素(不可避的不純物)量を抑える観点から、C等を含む超塑性合金も利用可能である。Zn合金として好適な超塑性合金としては、ZnとAlを含むZnAl系合金が好ましい。かかるZnAl系合金組成は、製造が容易なように単純なZnとAlの共晶組成を用いてもよいが、過度に、磁石粒子と反応して磁気特性を損なわない元素であれば、目的に応じて調整が可能である。例えば、より変形能を向上させる目的でMgやCuを添加してもよいし、磁気特性の観点からZnリッチ組成に変更してもよいし、経済性の観点からAlリッチ組成に変更しても構わない。具体的には2元系のZnAl合金、更にMgを含む3元系のZnAlMg合金、Cuを含む3元系のZnAlCu合金、これら3元系合金に更にCを含むZnAlMgC合金、ZnAlCuC合金等が挙げられる。上記したZnAl系合金(上記2元系や3元系のAl含有Zn合金)は、超塑性挙動を発現するため、容易に密度を向上することができると同時に、ZnとAlが微細な結晶粒を有する複合組織を形成し、単相純金属よりも高い電気比抵抗を有する。そのため、磁石粒子の密度を大きくしつつ電気比抵抗の大きな磁石成形体を得ることができる。ただし、本実施形態では、これらに何ら制限されるものではない。なお、上記したZn合金には、不可避的な不純物が含まれ得る。
Zn合金バインダの合金組成は、上記に規定した(成形温度以下で)ひずみ速度感受性指数(m値)が0.3以上で破断伸びが50%以上の要件を満足するものであれば、何ら制限されるものではない。例えば、上記した超塑性を発現する合金(超塑性合金)として例示した2元系のZnAl合金を例に取り説明すれば、ZnAl合金組成は、超塑性を発現する組成であればよく、好ましくは18〜27mass%Al−82〜73mass%Znの組成(不可避的な不純物は除いた組成;以下同様とする。)、より好ましくは20〜25mass%Al−80〜75mass%Znの組成である。ここでは、2元系のZnAl合金を例に取り説明したが、上記2元系のZnAl合金組成のうち、(Zn又は)Alの一部(好ましくは0.01〜3mass%程度)を上記MgやCu、更にはC等に置き換えた3元系合金組成等を用いることができる。
本実施形態においては、高分子、特に有機高分子からなるバインダは含まないことが好ましい。有機高分子のバインダは、ボンド磁石成形体に占める割合が3割程度と大きいが、磁石としては機能しないため、磁石成形体の磁気特性は低下してしまうためである。本実施形態は、高分子のバインダを含まなくとも固化(成形)によって磁石成形体を得られるため、有機高分子バインダによる磁気特性の低下を防止できる点で優れている。また、融点の低い高分子バインダを使用しないことにより、より高温の環境においても使用可能な磁石を得ることができる。しかしながら、本実施形態には、高分子バインダを磁気特性の低下がない程度に微量に含む場合も包含される。
同様に、本実施形態においては、金属バインダ、特に成形性と磁気特性に優れる金属(Zn)バインダは含まないことが好ましい。金属バインダは、上記したように磁石粒子より電気抵抗が小さく、固化(成形)後の固化成形体であるボンド磁石成形体の電気抵抗が小さく、発熱量が増大する問題があるためである。本実施形態は、金属バインダを含まないことで、磁場変動を受ける使用環境で用いられた場合であっても、誘起電流を低減するような電気抵抗が大きい磁石成形体を得られる点で優れている。しかしながら、本実施形態には、金属バインダを磁場変動を受ける使用環境で用いられた場合であっても、発熱量が増大しない程度に微量に含む場合も包含される。
(2)Sm−Fe−N系磁石粒子
SmとFeを含有する窒素化合物の磁石粒子(Sm−Fe−N系磁石粒子)は、通常、Sm−Fe−Nを主成分とする磁石相を含有する。Sm−Fe−N系磁石粒子は、磁気特性に優れるため、永久磁石として有望である。
Sm−Fe−N系磁石粒子としては、より具体的には、以下のように例えば、Sm2Fe17Nx(ここで、xは、好ましくは1〜6、より好ましくは1.1〜5、更に好ましくは1.2〜3.8、より好ましくは1.7〜3.3、特に好ましくは2.0〜3.0)、Sm2Fe17N3、(Sm0.75Zr0.25)(Fe0.7Co0.3)Nx(ここで、xは、好ましくは1〜6である)、SmFe11TiNx(ここで、xは好ましくは1〜6である)、(Sm8Zr3Fe84)85N15、Sm7Fe93Nx(ここで、xは、好ましくは1〜20である)などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。より好ましくは、Sm2Fe17Nx(x=1.7〜3.3)、より好ましくはSm2Fe17Nx(x=3.0)の磁石粒子が望ましい。これは、異方性磁界と飽和磁化が大きく、磁気特性に優れるためである。これらSm−Fe−N系磁石粒子は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のSm−Fe−N系磁石粒子の主成分(Sm−Fe−N)の含有量としては、Sm−Fe−Nを主成分とするものであればよく、Sm−Fe−Nを磁石粒子全体に対して50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは90〜99質量%である。なお、さらに好ましくは範囲の上限値を99質量%とし、100質量%としていないのは、表面の酸化物や不可避的不純物が含まれている為である。すなわち、本実施形態では50質量%以上であればよく、100質量%のものを使用することも可能であるが、実際上、表面の酸化物や不可避的不純物を取り除くことは困難かつ複雑ないし高度な精製(精錬)技術を用いる必要があり、高価である。
さらに、Sm−Fe−N系磁石粒子の希土類磁石相には、主成分のSm−Fe−N以外に他の元素を含有したものも本実施形態の技術範囲に含まれるものである。含有してよい他の元素としては、例えば、Ga、Nd、Zr、Ti、Cr、Co、Zn、Mn、V、Mo、W、Si、Re、Cu、Al、Ca、B、Ni、C、La、Ce、Pr、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Th、MM、好ましくは、Feを置換するCo、Ni、Nを置換するB、Cなどが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。これらは1種単独又は2種以上を含有してもよい。これらの元素は主にSm−Fe−Nを主成分とする磁石相の相構造の一部と置換されるか、挿入されるなどして導入されるものである。
同様に、Sm−Fe−N系磁石粒子は、Sm−Fe−N以外の他の希土類磁石相を含んでいてもよい。こうした他の希土類磁石相としては、Sm−Fe−N以外の他の既存の希土類磁石相が挙げられる。かかる他の既存の希土類磁石相としては、例えば、Sm2Fe14B、Sm2Co14B、Sm2(Fe1−xCox)14B(ここで、xは好ましくは0≦x≦0.5である)、Sm15Fe77B5、Sm15Co77B5、Sm11.77Fe82.35B5.88、Sm11.77Co82.35B5.88、Sm1.1Fe4B4、Sm1.1Co4B4、Sm7Fe3B10、Sm7Co3B10、(Sm1−xDyx)15Fe77B8(ここで、xは、好ましくは0≦y≦0.4である)、(Sm1−xDyx)15Co77B8(ここで、xは、好ましくは0≦y≦0.4である)、Sm2Co17Nx(ここで、xは好ましくは1〜6である)、Sm15(Fe1−xCox)77B7Al1、Sm15(Fe0.80Co0.20)77−yB8Aly(ここで、yは、好ましくは0≦y≦5である)、(Sm0.95Dy0.05)15Fe77.5B7Al0.5、(Sm0.95Dy0.05)15(Fe0.95Co0.05)77.5B6.5Al0.5Cu0.2、Sm4Fe80B20、Sm4.5Fe73Co3GaB18.5、Sm5.5Fe66Cr5Co5B18.5、Sm10Fe74Co10SiB5、Sm3.5Fe78B18.5、Sm4Fe76.5B18.5、Sm4Fe77.5B18.5、Sm4.5Fe77B18.5、Sm3.5DyFe73Co3GaB18.5、Sm4.5Fe72Cr2Co3B18.5、Sm4.5Fe73V3SiB18.5、Sm4.5Fe71Cr3Co3B18.5、Sm5.5Fe66Cr5Co5B18.5、SmCo5、Sm2Co17、Sm3Co、Sm3Co9、SmCo2、SmCo3、Sm2Co7等のSm−Co合金系、Sm2Fe17、SmFe2、SmFe3等のSm−Fe合金系、CeCo5、Ce2Co17、Ce24Co11、CeCo2、CeCo3、Ce2Co7、Ce5Co19等のCe−Co合金系、Nd2Fe17等のNd−Fe合金系、CaCu5等のCa−Cu合金系、TbCu7等のTb−Cu合金系、SmFe11Ti等のSm−Fe−Ti合金系、ThMn12等のTh−Mn合金系、Th2Zn17等のTh−Zn合金系、Th2Ni17等のTh−Ni合金系、La2Fe14B、CeFe14B、Pr2Fe14B、Gd2Fe14B、Tb2Fe14B、Dy2Fe14B、Ho2Fe14B、Er2Fe14B、Tm2Fe14B、Yb2Fe14B、Y2Fe14B、Th2Fe14B、La2Co14B、CeCo14B、Pr2Co14B、Gd2Co14B、Tb2Co14B、Dy2Co14B、Ho2Co14B、Er2Co14B、Tm2Co14B、Yb2Co14B、Y2Co14B、Th2Co14B、YCo5、LaCo5、PrCo5、NdCo5、GdCo5、TbCo5、DyCo5、HoCo5、ErCo5、TmCo5、MMCo5、MM0.8Sm0.2Co5、Sm0.6Gd0.4Co5、YFe11Ti、NdFe11Ti、GdFe11Ti、TbFe11Ti、DyFe11Ti、HoFe11Ti、ErFe11Ti、TmFe11Ti、LuFe11Ti、Pr0.6Sm0.4Co、Sm0.6Gd0.4Co5、Ce(Co0.72Fe0.14Cu0.14)5.2、Ce(Co0.73Fe0.12Cu0.14Ti0.01)6.5、(Sm0.7Ce0.3)(Co0.72Fe0.16Cu0.12)7、Sm(Co0.69Fe0.20Cu0.10Zr0.01)7.4、Sm(Co0.65Fe0.21Cu0.05Zr0.02)7.67などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。これらは1種単独ででもよいし、2種以上を有していてもよい。その他、Sm−Fe−N系磁石粒子は、不可避的な成分として、希土類磁石相の境界部などに存在する希土類酸化物相(SmO2相)、Fe・希土類の不純物、Feリッチ相、Feプアー相や他の不可避的不純物等を含み得る。
本実施形態のSm−Fe−N系磁石粒子の形状としては、如何なる形状であってもよい。例えば、球形状、楕円形状(長軸方向に平行な中央部断面の縦横比(アスペクト比)が1.0を超えて10以下の範囲が望ましい)、円柱形状、多角柱(例えば、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、・・n角柱(ここで、nは7以上の整数である))形状、針状ないし棒状形状(長軸方向に平行な中央部断面の縦横比(アスペクト比)が1.0を超えて10以下の範囲が望ましい。)、板状形状、円板(円盤)形状、薄片形状、鱗片形状、不定形状などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。なお、Sm−Fe−Nの希土類磁石相は結晶構造を有しており、結晶成長により所定の結晶形状とすることもできる。
Sm−Fe−N系磁石粒子の大きさ(平均粒子径)は、本実施形態の作用効果を有効に発現し得る範囲内であればよいが、小さい程保磁力が高くなるため、0.1〜15μmが好ましい。より好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.1〜8μm、特に好ましくは0.5〜6μmの範囲である。上記磁石粉末の平均粒子径が0.1μm以上であれば、比較的、酸化の影響が小さく取り扱いが容易であるほか、高密度で磁石特性(残留磁束密度や保磁力)に優れた磁石成形体とすることができる。また、上記磁石粉末の平均粒子径が15μm以下であれば、粒子が単磁区粒子の特性を発現し、保磁力に優れた磁石成形体とすることができる。
ここで、磁石粒子の平均粒子径は、レーザ回折法により計測することができ、D50を指標とする。この他にも、SEM(走査型電子顕微鏡)観察、TEM(透過型電子顕微鏡)観察などにより粒度分析(測定)することができる。なお、磁石粒子またはその断面の中には、球状ないし円形状(断面形状)ではなく、縦横比(アスペクト比)が違う不定形状の粉末が含まれている場合もある。したがって、上記でいう平均粒子径は、磁石粒子の形状(ないしその断面形状)が一様でないことから、観察画像内の各磁石粒子の切断面形状の絶対最大長の平均値で表すものとする。絶対最大長とは、磁石粒子(ないしその断面形状)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の長さをいう。この他にも、例えば、X線回折における希土類磁石相の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径、または透過型電子顕微鏡像より得られる磁石粒子の粒子径の平均値を求めることにより得ることもできる。なお、他の平均粒子径の測定方法についても、同様にして求めることができる。
本実施形態のボンド磁石成形体は、上記Sm−Fe−N系磁石粒子を70〜97体積%含有するのが好ましい。より好ましくは80〜95体積%、さらに好ましくは80〜90体積%の範囲である。上記磁石粒子の含有量が70体積%以上であれば、電気比抵抗も大きく、磁石成形体の発熱を抑制し、好適な特性(特に磁気特性)が得られ、磁石成形体の磁気特性を損なう恐れがない。また上記磁石粒子の含有量が80体積%以上であれば、Zn合金粒子よりも上記磁石粒子の体積率を大幅に大きくすることができ、良好な磁力(特に残留磁束密度Br)を得ることができる。上記磁石粒子の含有量が97体積%以下であれば、超塑性特性が良好で電気比抵抗も大きく、磁石成形体の発熱を抑制し、好適な特性が得られる。また、上記磁石粒子の含有量が95体積%以下であれば、磁石成形体の磁気特性を損なうことなく良好な磁力(特に残留磁束密度Br)を得ることができる。またZn合金バインダの含有量も十分に確保できるためZn合金(粒子)が伸展し効果的に均一に分散することで、バインダとして優れた効果を発揮できる。
本実施形態のボンド磁石成形体は、磁石粒子が前記Zn合金バインダで固化(成形)されてなるものであればよい。好ましくは、固化(成形)されてなるボンド磁石成形体の相対密度が80%以上のものである。相対密度が80%以上であると、車載モータまたは車載センサ、アクチュエータ、電圧変換装置等の電磁機器の用途に十分な抗折強度の磁石成形体となるためである。相対密度は、磁石の組成と製造段階、特に成形時の圧力とに影響される。ボンド磁石成形体の相対密度は、より好ましくは80%以上96.0%未満、さらに好ましくは81〜95%、特に好ましくは82〜94.6%を有する。相対密度が96.0%以下であれば、磁気特性が十分に得られる。相対密度は、計算により求めた真密度と、磁石成形体の寸法および重量測定から求めた実測密度とを用いて求める。相対密度は真密度に対する実測密度の割合(%)であり、実測密度の値を理論密度の値で除し、100をかけて計算したものである。
本実施形態のボンド磁石成形体は、比抵抗は大きければ大きい方がよく、好ましくは1.4μΩm以上である。ボンド磁石成形体の比抵抗が1.4μΩm以上であれば、通常の希土類磁石材料、なかでも非特許文献1に記載の金属Znバインダを含む磁石成形体よりも大きな比抵抗であるため、使用環境中の磁場変動による発熱を低減することができる。かかる観点から、ボンド磁石成形体の比抵抗は、より好ましくは1.5μΩm以上、さらに好ましくは2.0μΩm以上、特に好ましくは2.3μΩm以上の範囲である。
(II)ボンド磁石成形体の製造方法(第2実施形態)
上記した第1実施形態のボンド磁石成形体を製造する方法につき説明する。
本発明の第2実施形態は、前記磁石粒子を、バインダ材料であるZn合金粒子を用いて固化(成形)するボンド磁石成形体の製造方法であって、500℃以下の温度の前記磁石粒子と前記Zn合金粒子の混合物を0.8GPa以上で加圧成形することを特徴とする。かかる構成を有することにより、上記した第1実施形態の効果を有する磁石成形体が得られる。更に磁石粒子間の空隙にZn合金が伸展し、Zn合金も効果的に均一に分散できるため、適度な圧着効果が得られる。これにより、通常のプレスで成形可能な範囲が拡大するので、より磁石粒子の密度を高めた磁石成形体を得ることができる。以下、本形態のボンド磁石成形体の製造方法につき説明する。
本形態のボンド磁石成形体の製造方法は、準備工程(S11)と、温間又は冷間圧密成形工程(S12)と、熱処理工程(S13)と、を有する。準備工程(S11)は、上記したSm−Fe−N系磁石粒子と、バインダ材料であるZn合金粒子との混合物を用意する工程であり、任意である。温間又は冷間圧密成形工程(S12)では、500℃以下の温度の前記磁石粒子と前記Zn合金粒子の混合物を、成形型中で、0.8GPa以上の成形面圧で加圧(圧密)成形し、第1実施形態のボンド磁石成形体を得る。熱処理工程(S13)では、温間又は冷間圧密成形工程(S12)で得られたボンド磁石成形体を、350〜500℃の温度で1〜120分加熱する。なお、準備工程(S11)および熱処理工程(S13)は任意の工程である。このようにして、製品であるボンド磁石成形体が得られる。
(1)準備工程(S11)
準備工程(S11)では、原料となるSm−Fe−N系磁石粒子とバインダ材料であるZn合金粒子をブレンドした混合物を用意し、次工程(S12)に供するものである。原料となるSm−Fe−N系磁石粒子及びバインダ材料であるZn合金粒子は、いずれも市販品(特注品を含む)を用いてもよく、調製してもよい。更に、原料となるSm−Fe−N系磁石粒子及びバインダ材料をブレンドした混合物の市販品(特注品を含む)を用いてもよい。かかる原料となるSm−Fe−N系磁石粒子及びバインダ材料をブレンドした混合物の市販品を使用する場合には、特に準備工程は必要ない。また、Sm−Fe−N系磁石粒子及びZn合金粒子に市販品を使用する場合、準備工程(S11)では、市販の(又は特注した)Sm−Fe−N系磁石粒子とZn合金粒子をブレンドした混合物を用意すればよい。また、原料となるSm−Fe−N系磁石粒子及び/又はZn合金粒子を調製する場合、準備工程(S11)では、これらの磁石粒子及び/又はZn合金粒子を調製し(磁石粒子調整工程及び/又はZn合金粒調整工程)、これらをブレンドした混合物を用意すればよい(混合工程)。このうち、磁石粒子またはZn合金粒子のいずれか一方を調製する場合、他方は市販品を用いればよい。以下では、準備工程(S11)として、上記磁石粒子及びZn合金粒子を調製し(磁石粒子調整工程及びZn合金粒調整工程)、これらをブレンドした混合物を用意する(混合工程)場合を例にとり説明する。
(1a)微粉砕によりSm−Fe−N系磁石粒子を調製する工程(磁石粒子調製工程(S11a))
本調製工程(S11a)でSm−Fe−N系磁石粒子を調製する場合には、Sm−Fe−N系磁石粗粉を微粉砕し、所望の大きさのSm−Fe−N系磁石粒子を得ることができる。Sm−Fe−N系磁石粒子の大きさ(平均粒子径)は、第1実施形態の磁石粒子の大きさ(平均粒子径)と同様である。
ここで、磁石粒子の平均粒子径の測定方法について、第1実施形態で説明した方法と同様にして求めることができるため、ここでの説明は省略する。
上記Sm−Fe−N系磁石粗粉は、市販品を用いてもよいし、自ら調製してもよい。Sm−Fe−N系磁石粗粉は、例えば、サマリウム酸化物、鉄粉から還元拡散法によりSmFe合金粉末を製造して、N2ガス、NH3ガス、N2とH2ガスの混合ガス等の雰囲気中で600℃以下の加熱処理を施すことでSmFeNとしたものを用いることができる。また、SmFe合金を、溶解法で製造し、粗粉砕して得られた粉末に窒化処理を施したものを用いてもよい。
Sm−Fe−N系磁石粗粉を所望の大きさになるまで微粉砕する方法としては、特に制限はなく、公知の粉砕機を使用することができる。好ましくは、乾式ジェットミル、または、湿式ビーズミル(湿式ボールミル)、を使用することができる。乾式ジェットミルは、平均粒子径が2μm以下になるまで細かく粉砕することは技術的に困難であるが、微粉砕した磁石粒子が不純物を含みにくいという点で、有利である。一方、湿式ビーズミルは、磁石粒子を平均粒子径2μm以下にまで微細に粉砕できるため、得られるボンド磁石成形体の保磁力が高くなり好ましい。さらに必要に応じて、微粉砕した磁石粒子を、メッシュ等で分級してもよい。分級した磁石粒子の粒子径はレーザ回折法により計測し、必要があれば更に分級を行えばよい。これらにより、所望の大きさ(平均粒子径)の磁石粒子を得ることができる。
Sm−Fe−N系磁石粗粉を微粉砕して磁石粒子を調製する場合には、準備工程以後の工程、すなわち、準備工程から温間又は冷間圧密成形工程(更に熱処理工程)までを不活性雰囲気下で実施することが好ましい。不活性雰囲気下とは、実質的に酸素を含まない雰囲気下を意味する。不活性雰囲気下であれば、磁石の性能は不純物量と関連があるため、酸素などの不純物量が多くなり磁気特性が低下することを防止できる。さらに、微粉砕したSm−Fe−N系磁石粒子を加熱する際、酸化により磁気特性が激しく劣化し、粒子が燃焼することを防止しうる。
不活性雰囲気としては、窒素、希ガスなどの不活性ガス雰囲気とすることができる。不活性雰囲気下では、酸素濃度が100ppm以下であることが好ましく、より好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。なお、Sm−Fe−N系磁石粒子として市販品を用いる場合には、磁石粒子が表面処理されているため、不活性雰囲気下で以後の工程を実施する必要はない。Sm−Fe−N系磁石粗粉を微粉砕してSm−Fe−N系磁石粒子を得る場合には、微粉砕して調製された磁石粒子が表面処理されていない分、不活性雰囲気下で実施することで磁気特性のよりよいボンド磁石成形体が得られる。
(Sm−Fe−N系磁石粒子)
本工程で調製された、原料となるSm−Fe−N系磁石粒子は、第1実施形態の「(2)Sm−Fe−N系磁石粒子」の項目で説明したものと同様のものを用いることができる。よって、ここでの説明は省略する。
(1b)バインダ材料であるZn合金粒子を調製する工程(Zn合金粒子調製工程(S11b))
本調製工程(S11b)でZn合金粒子を調製する方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の合金の製造方法および該合金を所望のサイズに調製する方法(粉砕、分級など)等を適宜組み合わせることができる。以下、1例としてZnAl合金粒子の製造例を挙げて説明するが、本調製工程(S11b)が、当該製造法に制限されるべきものではないことは上記のとおりである。
ZnAl合金粒子の製造法の1例を以下に示す。
(i)まず、純Alインゴットと純Znインゴットを所望の組成(例えば、22.6mass%Al−77.4mass%Znの組成)になるように秤量し、真空溶解炉にて所定量(例えば、3kg)の合金インゴットを溶製する。得られたインゴットを適当なサイズ(例えば、10×10×50mm)の短冊状の小片に切断する。
なお、本製造例でのZnAl合金組成には、製造が容易なように単純な共晶組成を用いたが、過度に、磁石粒子と反応して磁気特性を損なわない元素であれば、目的に応じて調整が可能である。例えば、より変形能を向上させる目的でMgやCuを添加してもよいし、磁気特性の観点からZnリッチ組成に変更してもよいし、経済性の観点からAlリッチ組成に変更しても構わない。更に酸化物の形成防止目的でCを添加してもよい。
(ii)次に得られたZnAl合金の小片の所定量(例えば、1.5kg分)を、ガスアトマイズにて粉末粒子(ZnAl合金粒子)に加工する。まず、溶解炉のチャンバ内を真空排気後、不活性ガス(例えば、Heガス)でチャンバ内を置換し、高周波誘導溶解により所定量(1.5kg分)のZnAl合金の小片を溶解する。アトマイズ装置には、溶解チャンバの下に噴霧チャンバを設けた構造で、溶解チャンバと噴霧チャンバに差圧を生じさせ、溶解炉の底部に設置されているストッパを開くことにより溶融金属合金が下方に流出する構造の装置を用いることができる。流出した溶融金属合金(ZnAl合金)にHeガス(不活性ガス)を噴きつけることで、粉末粒子(ZnAl合金粒子)に加工する。上記においてHeガス(不活性ガス)を用いることで、溶融金属合金粒子の急冷が可能であり、20μm以下の微細粒子を容易に得ることができる。
(iii)最後に、得られた20μm以下の粉末粒子は、所望のメッシュサイズを有するメッシュで分級し、分級した粉末粒子(ZnAl合金粒子)の粒子径はレーザ回折法により計測し、必要があれば更に分級を行えばよい。これらにより、所望の大きさ(平均粒子径)のZnAl合金粒子を調製することができる。
本調製工程(S11b)でZn合金粒子を調製する場合には、準備工程以後の工程、すなわち、準備工程から温間又は冷間圧密成形工程(更に熱処理工程)までを不活性雰囲気下で実施することが好ましい。不活性雰囲気下であれば、磁石や合金の性能は不純物量と関連があるため、酸素などの不純物量が多くなり磁気特性が低下することを防止できる。さらに、磁石粒子及びZn合粒子の混合物を加熱(加圧成形)する際、酸化により磁気特性が激しく劣化し、粒子が燃焼することを防止しうる。
不活性雰囲気としては、窒素、希ガスなどの不活性ガス雰囲気とすることができる。不活性雰囲気下では、酸素濃度が100ppm以下であることが好ましく、より好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。
(Zn合金粒子)
本形態で用いうるZn合金粒子については、上記した粒子形態であることを除いては、第1実施形態で説明したZn合金バインダと同様のもの(特にm値や破断伸び等)を用いることができるため、それらについては、ここでの説明は省略する。但し、粒子形態である点など、製造時の特徴部分について以下に説明する(一部、第1実施形態で説明した内容を含む場合もある)。
Zn合金粒子の形状としては、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば如何なる形状であってもよい。即ち、磁石粒子とZn合金粒子の混合物を温間又は冷間圧密成形工程で(加熱)加圧成形する際に、磁石粒子間の空隙にZn合金粒子が伸展しやすく、伸展したZn合金が効果的に均一に分散できる形状であればよい。これにより、適度な圧着効果が得られ、通常のプレスで成形可能な範囲を拡大することができ、密度の高い磁石成形体を得ることができる。このことから、Zn合金粒子の形状としては、例えば、球形状、楕円形状(長軸方向に平行な中央部断面の縦横比(アスペクト比)が1.0を超えて10以下の範囲が望ましい)、円柱形状、多角柱(例えば、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、・・N角柱(ここで、Nは7以上の整数である。))形状、針状ないし棒状形状(長軸方向に平行な中央部断面の縦横比が1.0を超えて10以下の範囲が望ましい。)、板状形状、円板(円盤)形状、薄片形状、鱗片形状、不定形状などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。
Zn合金粒子の大きさ(平均粒子径)としては、本実施形態の作用効果を有効に発現し得る範囲内であればよい。即ち、磁石粒子間の空隙にZn合金粒子が伸展し、伸展したZn合金が効果的に均一に分散できる大きさであればよい。これにより、適度な圧着効果が得られ、通常のプレスで成形可能な範囲を拡大することができ、密度の高い磁石成形体を得ることができる。このことから、Zn合金粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは1〜10μmの範囲である。Zn合金粒子の平均粒子径が0.5μm以上であれば、表面酸化の影響が比較的小さく、変形能に優れた特徴を有するほか、超塑性特性が良好で電気比抵抗も大きく、磁石成形体の発熱を抑制し、好適な特性(保磁力、残留磁束密度、密着性等の磁石特性や高密度特性等)に優れた所望の磁石成形体とすることができる。Zn合金粒子の平均粒子径が50μm以下であれば、磁石粉末と混合しやすく、凝集体を生成し難い特徴があるほか、超塑性特性が良好で電気比抵抗も大きく、磁石成形体の発熱を抑制し、好適な特性(保磁力、残留磁束密度、密着性等の磁石特性や高密度特性等)に優れた所望の磁石成形体とすることができる。なお、Zn合金粒子として市販品を用いる場合にも、Zn合金粒子の平均粒子径は上記に規定する範囲のものが好ましい。
ここで、Zn合金粒子の平均粒子径の測定方法について、第1実施形態で説明した磁石粒子の平均粒子径の測定方法と同様にして求めることができるため、ここでの説明は省略する。
磁石粒子の大きさ(平均粒子径)とZn合金粒子の大きさ(平均粒子径)とは密接に関連しており、以下の関係を満足するのが好ましい。すなわち、前記Zn合金粒子の平均粒子径Y(μm)が前記磁石粒子の平均粒子径M(μm)に対して、Y≦−5M+60の関係を満足するのが好ましく(図3の直線の傾き参照)、0.5≦Y≦−5M+60の関係を満足するのがより好ましい。当該関係を満足することにより、平均粒子径Mの磁石粒子間の空隙に上記平均粒子径YのZn合金粒子が、次工程の加圧成形により伸展し、Zn合金粒子が効果的に磁石粒子間の空隙に均一に分散できる。そのため、適度な圧着効果が得られることにより、通常のプレスで成形可能な範囲が拡大するので、より磁石粒子の密度を高めた磁石成形体を得ることができる。
(1c)上記磁石粒子及びZn合金粒子をブレンドした混合物を用意する工程(混合工程(S11c))
本混合工程(S11c)では、上記磁石粒子に、バインダ材料であるZn合金粒子をブレンドした混合物を用意する。上記磁石粒子に、Zn合金粒子をブレンドすることにより、次工程での温間又は冷間圧密成形の際に、上記磁石粒子間の空隙にZn合金粒子が伸展し、伸展したZn合金が効果的に均一に分散できる。そのため結晶粒が微細なものが得られる。結晶粒が微細であれば、超塑性特性に優れかつ電気比抵抗も大きい特性が得られる。特に、m値0.3以上、破断伸び50%以上の機械特性を有するZn合金粒子であれば、超塑性特性が良好で電気比抵抗も大きく、磁場変動を受ける使用環境で用いられた場合であっても、誘起電流を低減するような大きな電気抵抗を得ることができる。これにより磁石成形体の発熱を抑制し、好適な特性が得られる。さらに適度な圧着効果が得られることにより、通常のプレスで成形可能な範囲が拡大するので、より磁石粒子の密度を高めた磁石成形体を得ることができる点でも優れている。また、次工程での温間又は冷間圧密成形の際に、ある任意のZn合金粒子の近くに分布している他の複数のZn合金粒子とが伸展しつつ磁石粒子間の隙間を埋めるように結合する(接する)ことにより、適度な圧着効果が得られ、成形性が向上する。したがって、得られた磁石成形体は機械的強度に優れる。更に適度な圧着効果が得られることにより、通常のプレスで成形可能な範囲が拡大するので、より磁石粒子の密度を高めた磁石成形体を得ることができる。さらに、Zn合金(粒子)バインダが成形時に発生する内部応力を緩和することができるため、欠陥の少ない磁石成形体を得ることができる。さらに、Zn合金粒子をバインダ材料として使用することにより、高温の環境においても使用可能な磁石成形体を得ることができる。上記磁石粒子に、バインダ材料であるZn合金粒子をブレンドして混合物を調製(用意)する際には、磁石粒子とZn合金粒子とが、均一になるまで混合機等で混合すればよい。なお、Zn合金粒子(メタルボンド磁石のバインダ材料)は、樹脂製ボンド磁石における高分子バインダと比較して相当程度の少量を使用すればよいため、磁気特性に影響しその低下をもたらす恐れはない点でも優れている。
Sm−Fe−N系磁石粒子の配合量は、第1実施形態の磁石粒子の含有量と同様である。
Zn合金粒子の配合量は、第1実施形態のZn合金バインダの含有量と同様である。
(2)温間又は冷間圧密成形工程(S12)
本成形工程(S12)は、500℃以下の温度の前記磁石粒子と前記Zn合金粒子の混合物を、成形型中で、0.8GPa以上の成形面圧で加圧(圧密)成形し、第1実施形態のボンド磁石成形体を得る工程である。本実施形態では、Sm2Fe17N3合金を磁石粒子として用いた場合にも、磁石粒子の熱分解を抑制することができる利点がある。また、前記磁石粒子と前記Zn合金粒子の混合物を高面圧で加圧(圧密)成形することにより磁石成形体を製造するため、焼結する場合に生じていた磁気特性の劣化は生じない。したがって、Sm−Fe−N系磁石粒子の優れた磁気特性を維持したまま、上記した第1実施形態の効果を有する磁石成形体を得ることができる。すなわち、磁場変動を受ける使用環境で用いられた場合であっても、誘起電流を低減するような大きな電気抵抗を得ることができる。これにより磁石成形体の発熱を抑制し、磁気特性の向上した磁石成形体を得ることができる。
また、本成形工程(S12)では、前記磁石粒子と前記Zn合金粒子の混合物(以下、単に磁石粒子等混合物ともいう)は、500℃以下の磁気特性が大きく変化しない温度に加熱された状態または加熱しない状態で加圧(圧密)成形する。なお、高密度(例えば、相対密度80%以上)の磁石成形体を得る場合、常温(加熱しない状態)で加圧(圧密)成形する冷間圧密成形法でも十分に成形可能であるが、加熱された状態で加圧(圧密)成形する温間圧密成形法の方が、より低減された成形面圧で磁石成形体を得ることができる点で優れている。したがって、本成形工程では、上記温間圧密成形法を用いた方が、金型(成形型)の寿命を飛躍的に伸ばすことができ、より生産性が高く工業生産に適している点で優れている。さらに、本成形工程では、上記温間圧密成形法を用いた方が、冷間圧密成形法で(常温で)同じ成形面圧で圧密成形した場合に比較して、得られる磁石成形体の密度を向上させることができる。かかる観点から、本成形工程で上記温間圧密成形法を用いる場合、加圧(圧密)成形時の磁石粒子等混合物の温度は、金型寿命をより伸ばすことができ、かつ、分解による磁気特性の低下がより防止できるとの観点から、より好ましくは50〜500℃、さらに好ましくは100〜450℃の範囲である。特に好ましくは100〜250℃の範囲である。これは、バインダ材料としてZn合金(特に22mass%Al−Zn合金)粒子を用い、0.8GPa以上で加圧成形する際の磁石粒子等混合物の温度を100〜250℃の範囲とすることで、磁石成形体の密度が上がるため、優れた超塑性現象を発現することができる。これにより、容易に磁石粒子の体積率を向上できる利点がある。
本成形工程(S12)では、高密度(例えば、相対密度80%以上)の磁石成形体を得るのが好ましい。本成形工程で得られる磁石成形体の相対密度に関しては、第1実施形態で説明した磁石成形体の相対密度に関する事項(内容)と同様である。よって、ここでの説明は省略する。
また、本成形工程(S12)では、用途に適した成形型を選択することができる。そのため、成形型として所望の磁石成形体の形状のものを用いれば、ほぼそのまま製品または次工程に使用でき、加工しろの非常に少ない、いわゆるニアネットシェイプ成形が可能となる。したがって、加工歩留まりがよく、製造工程が簡便になり、本実施形態はこれらの点から量産に適している。さらに、本実施形態で得られるのは、加圧(圧密)成形のみで作製されたボンド磁石成形体であり、従来の製造方法よりも磁気特性のばらつきが少なく、したがって品質安定性に優れている。
本成形工程(S12)において、上記温間圧密成形法を用いる場合、磁石粒子等混合物を500℃以下に加熱するには、特に制限はない。成形型に投入する前に磁石粒子等混合物を加熱しておいてもよいし、磁石粒子等混合物を成形型に投入した後に成形型と共に加熱してもよい。本成形工程では、上記温間圧密成形法を用いる場合、磁石粒子等混合物が500℃以下に加熱された状態で、加圧(圧密)成形が実施されればよい。好ましくは、成形型にカートリッジヒータを差し込んで設置しておき、これにより、磁石粒子等混合物を成形型に投入した後、成形型ごと磁石粒子等混合物を加熱することができる。磁石粒子等混合物の温度の測定方法としては、成形型に温度センサを設置しておき、以下の方法を実施することができる。すなわち、成形型が所定の温度に達した後、磁石粒子等混合物全体が同じ温度に達するまで10分程度の時間、成形型温度を維持し、成形型の温度を磁石粒子等混合物の温度とみなす。その他、高周波等による加熱も可能である。成形型と共に磁石粒子等混合物を加熱する場合には、磁石粒子等混合物が冷却される恐れがなく、製造工程も簡便となるため好ましい。また、磁石粒子等混合物のみを予め加熱する場合には、磁石粒子等混合物をオーブン等で所定の温度に加熱し、成形型に投入する。この場合には、生産リードタイムが削減されるため好ましい。成形型に投入された状態で、磁石粒子等混合物が500℃以下の温度に加熱されていればよい。
なお、本成形工程(S12)において、上記冷間圧密成形法を用いる場合、磁石粒子等混合物を加熱することなく、磁石粒子等混合物を成形型に投入し、以下の加圧(圧密)成形を行えばよい。
加圧(圧密)成形は、磁石粒子等混合物を0.8GPa以上の圧力(成形面圧)で行う(固化成形する)ものである。加圧(圧密)成形時の圧力(成形面圧)が0.8GPa未満であれば、磁石成形体を形成することが困難になる。なお、加圧(圧密)成形時の圧力(成形面圧)の上限は特に制限されるものではないが、5GPa以下であれば、成形型の寿命を延ばせる(高寿命化が図れる)点で優れている。加圧(圧密)成形時の圧力(成形面圧)は、所望の磁気特性(更に高密度、例えば相対密度80%以上)の成形体を得つつも金型寿命をより延ばせるとの観点から、好ましくは0.8〜5GPa、より好ましくは1.5〜3.5GPaの範囲である。加圧(圧密)成形する方法としては特に制限はなく、所望の大きさの磁石形成体の金型を覆う広い面積に上記の高面圧をかけられる方法であればよい。好ましくは、鍛造に用いる高出力のプレス機を使用することができ、油圧プレス機、電動プレス機、インパクトプレス機等を使用することができる。
成形型は、500℃以下の温度および0.8GPa以上の高面圧に耐えうるものであれば、特に制限はなく、どのようなものも使用できる。図1(a)は、好ましい成形型の例を模式的に示した上面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A方向の断面図である。図1(a)に示すように、成形型10は、外形が円筒形(上面環形状)円形の内側金型11が高面圧に耐えうる超硬合金で形成され、円筒形の外側金型12がより柔らかい金属で形成されている。また、図1(b)に示すように、内側金型11の中央の空間には四角柱形状の下部金型15上に、磁石粒子等混合物14が投入され、その上部には、四角柱形状の上部金型16が挿入されている。上部金型16の上部は、金型11、12の上面から突出しており、成形型10を上部から油圧プレスで加圧(押圧)する際に、上部金型16の突出部が押圧され、その下部の磁石粒子等混合物を加圧(圧密)成形することにより、四角柱形状の磁石成形体を形成できるようになっている。すなわち内側金型11の空間形状を変えることで、円柱形状、多角柱形状等の磁石成形体を形成(固化成形)することができる。また、図1(a)(b)に示すように、成形型にはカートリッジヒータを通すための貫通孔13a、13bが設けられている。貫通孔13a、13b内のカートリッジヒータ(不図示)により、成形型全体が加熱され(または加熱することなく)、成形空間内の磁石粒子等混合物14が500℃以下に維持された状態で、上方から油圧プレス等で加圧する。また、図1(a)に示すように、温間圧密成形法を用いる場合に加熱温度をモニタできるように、外側金型12には温度センサ用孔17が設けられており、温度センサ用孔17内の温度センサ(不図示)によって、外側金型12の温度を計測する。図1(b)に示すように、温度センサ用孔17は、磁石粒子等混合物14の上面に近い高さに設けられている。したがって、加熱された外側金型12と、内側金型11、下部金型15、上部金型16および磁石粒子等混合物14とが熱的に平衡な状態になるまで所定の時間静置した後は、温度センサ用孔17内の温度センサの示す温度を、磁石粒子等混合物14の温度とみなすことができる。
(3)熱処理工程(S13)
本熱処理工程(S13)は、上記した温間又は冷間圧密成形工程(S12)の後、形成(固化成形)された磁石成形体を350〜500℃の温度で、1〜120分加熱する。熱処理工程は必須ではないが、最大に近い磁気特性を引き出すことができるため、実施することが好ましい。また、磁石成形体の磁石粒子間の隙間に伸展され、均一に分散されてなるZn合金バインダが熱処理によって圧着効果が高められ、磁石粒子表面の軟磁性層や欠陥などを低減するように作用するため、実施することが好ましい。これにより、ボンド磁石成形体の磁気特性のさらなる向上ができる。
磁石成形体を熱処理するには、特に制限はなく、上記の温度で加熱できればどのような方法を用いてもよい。好ましくは、温間又は冷間圧密成形工程(S12)の温間圧密成形法と同様の方法で磁石成形体を加熱することができる。例えば、成形工程(S12)の温間圧密成形法において、成形型中に設置したヒータで成形型と磁石粒子等混合物とを共に加熱した場合には、加圧(圧密)成形の後に同じヒータで加熱することができる。また、成形工程(S12)で得られた磁石成形体を成形型から取り出して、別途オーブンに入れて、本工程(S13)の熱処理を施すこともできる。本熱処理工程では、磁石成形体を、より好ましくは380〜480℃で、10〜60分加熱することができる。なお、本熱処理工程の高い効果を得るためには、加圧(圧密)成形時の(加熱)温度よりも、本工程での熱処理温度を高くすることが好ましい。
本実施形態によれば、上記した製造方法(各工程の実施)により得られた、第1実施形態の要件を満足する磁石成形体は、残留磁束密度Brが0.75T以上、保磁力Hcが900kA/m以上であるものを得ることができる。より好ましくは、残留磁束密度が0.80T以上、保磁力が1100kA/m以上であるのが望ましい。残留磁束密度および保磁力の測定方法は実施例に記載の方法に従って測定したものである。
<第2実施形態の他の態様A>
第1実施形態のボンド磁石成形体の製造方法の第2実施形態の他の態様Aとしては、第2実施形態の温間又は冷間圧密成形工程(S12)の代わりに、磁場中での温間又は冷間圧密成形工程(S22)を有する。すなわち、準備工程(S21)、磁場中温間圧密成形工程(S22)、および熱処理工程(S23)により、製品であるボンド磁石成形体を得る。準備工程(S21)および熱処理工程(S23)は、それぞれ第2実施形態の準備工程(S11)および(S13)と同様であり、また、任意の工程である。よって、以下では、磁場中での温間又は冷間圧密成形工程(S22)につき説明する。
(2’)磁場中温間圧密成形工程(S22)
本成形工程(S22)は、6kOe以上の磁場中で、500℃以下の温度の磁石粒子等混合物を、成形型中で、0.2GPa以上の成形面圧で加圧(圧密)成形し、第1実施形態のボンド磁石成形体を得る工程である。本成形工程工程(S22)は、温間又は冷間圧密成形工程を磁場中で実施する以外は、第2実施形態の温間又は冷間圧密成形工程(S12)と同様である。
本態様Aにおいて、磁石粒子等混合物に用いるSm−Fe−N系磁石粒子は、異方性であることが好ましい。異方性のSm−Fe−N系磁石粒子を用いて磁場中で温間又は冷間圧密成形を行うことにより、磁石粒子の磁化容易軸が磁場方向に揃った状態で成形される。したがって、得られた磁石成形体は、さらに高い残留磁束密度を有する、異方性の磁石成形体となる。印加する磁場は、より好ましくは17kOe以上である。上限は特に制限はないが、磁化容易軸を揃えるという効果が飽和してしまうため、25kOe以下が好ましい。
磁場中で温間又は冷間圧密成形工程(S22)を実施するには、6kOe以上の磁場を設けることができれば、特に制限はない。例えば、成形型の周囲に公知の磁場配向装置を設置し、磁場を印加した状態で加圧(圧密)成形を行うことができる。磁場配向装置としては、所望の磁石成形体の形状、寸法などから、公知の磁場配向装置から適したものを選択することができる。磁場の印加方法としては、通常の磁場成形装置に配置されている電磁石のように静磁場を印加する方法や、交流を用いたパルス磁場を印加する方法のどちらを採用してもよい。
上記のようにして、所望のボンド磁石成形体を得る。または、さらに、必要に応じて熱処理工程(S23)を実施することにより、所望のボンド磁石成形体を得ることができる。
<第2実施形態のさらに他の態様B>
第1実施形態のボンド磁石成形体の製造方法の第2実施形態のさらに他の態様Bとしては、第2実施形態の温間又は冷間圧密成形工程(S12)の代わりに、磁場中での予備圧縮成形工程(S32)および温間又は冷間圧密成形工程(S33)を有する。準備工程(S31)および熱処理工程(S34)は、それぞれ第2実施形態の準備工程(S11)および(S13)と同様であり、また、任意の工程である。すなわち、準備工程(S31)、磁場中予備圧縮成形工程(S32)、温間圧密成形工程(S33)、および熱処理工程(S34)により、製品であるボンド磁石成形体を得る。よって、以下では、主に磁場中での予備圧縮成形工程(S32)につき説明する。
(2a”)磁場中予備圧縮成形工程(S32)
本態様Bでは、温間又は冷間圧密成形工程(S33)の前に、磁石粒子等混合物を6kOe以上の磁場中で圧縮成形し、相対密度30%以上の磁石成形体を得る予備圧縮成形工程(S32)をさらに有する。温間又は冷間圧密成形は、高面圧のプレス機を用いる。したがって、このような大型装置に磁場配向装置を取り付けるのは、広いスペースを必要とするため、実使用上は難しい場合がある。そこで、低面圧プレス機に磁場配向機を取り付け、相対密度30%程度の予備圧縮成形体を予め作製する。その後、その予備圧縮成形体を加熱し又は非加熱のままで、高面圧プレス機で温間又は冷間圧密成形する。工程数が増えるものの、量産を考慮すると、予備圧縮成形工程を設けることが好ましい場合があるためである。予備圧縮成形工程を実施することにより、予備圧縮成形体において、異方性を有するSm−Fe−N系磁石粒子は、磁化容易軸が揃った状態となる。そのため、その後の温間又は冷間圧密成形工程(S33)を経て得られる磁石成形体も、磁化容易軸が揃い、より高い残留磁束密度を有する磁石成形体となる。
本予備圧縮成形工程(S32)では、搬送、運搬中に成形体が破損しない程度の相対密度の成形体が得られればよいため、相対密度30%以上の予備圧縮成形体を形成する。相対密度30%以上の予備圧縮成形体であれば、磁場方向に磁化容易軸が揃ったSm−Fe−N系磁石粒子は、移動することがなく、磁化容易軸はそろった状態で維持される。磁石成形体の相対密度の上限値は、特に制限はないが、50%以下である。
磁場を印加するには特に制限はなく、磁場配向機中にプレス機を設置することができる。磁場配向機としては、上記した第2実施形態の他の態様Aと同様の磁場配向機を使用することができる。また、プレス機としても、特に制限はなく、相対密度30%以上の磁石粒子等混合物の予備圧縮成形体が得られるプレス機であれば、どのようなものも使用できる。例えば、油圧プレス機、電動プレス機を使用できるが、温間又は冷間圧密成形工程に用いるプレス機よりも、低面圧のプレス機を使用することができる。
得られた予備圧縮成形体は、次の温間又は冷間圧密成形工程(S33)において、第2実施形態の温間又は冷間圧密成形工程(S12)と同様にして、加圧(圧密)成形する。さらに、必要に応じて第2実施形態の熱処理工程(S13)と同様にして熱処理工程(S34)を実施することにより、ボンド磁石成形体を得ることができる。
(III)ボンド磁石成形体の用途(第3実施形態)
本形態のボンド磁石成形体の用途としては、当該磁石成形体を用いた電磁機器が挙げられる。本形態のボンド磁石成形体によれば、樹脂を含有しないため高温でも使用可能な磁石成形体であり、かつ、磁場変動を伴う使用環境においても発熱の小さい磁石成形体を得ることができ、電磁機器に用いた場合、安全で損失が小さい電磁機器が得られるためである。かかる観点から、本形態のボンド磁石成形体を用いた電磁機器としては、車載モータ、車載センサ、アクチュエータ、電圧変換装置などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。これら車載モータ等についても、磁場変動を伴う使用環境においても発熱の小さい磁石成形体を得ることができ、安全で損失が小さい車載モータ等が得られるためである。以下、本形態のボンド磁石成形体を用いた電磁機器として、磁石モータを例に挙げて説明する。
図2(a)は、表面磁石型同期モータ(SMPまたはSPMSM)のロータ構造を模式的に表す断面概略面である。図2(b)は、埋込磁石型同期モータ(IMPまたはIPMSM)のロータ構造を模式的に表す断面概略面である。図2(a)に示す表面磁石型同期モータ40aでは、本実施形態のボンド磁石成形体(単に磁石という)41を表面磁石型同期モータ用のロータ43に直接組み付けた(貼り付けた)ものである。表面磁石型同期モータ40aでは、所望のサイズに成形固化(更に必要に応じて切断)した磁石41を表面磁石型同期モータ40aに組み付ける(貼り付ける)。この磁石41を着磁することで面磁石型同期モータ40aを得ることができる。この点が埋込磁石型同期モータ40bに比して優れているともいえる。特に遠心力で高速回転させた場合でも、ロータ43から磁石41が剥離せずに使いやすくなる点で優れている。一方、図2(b)に示す埋込磁石型同期モータ40bでは、本実施形態のボンド磁石成形体(単に磁石という)45を埋込磁石型同期モータ用のロータ47に形成した埋込溝に圧入(挿入)して固定化したものである。埋込磁石型同期モータ40bでは、まず、埋込溝(図示図)と同じ形状、厚さに成形固化(更に必要に応じて切断)したものを用いる。この場合には、磁石45の形状が平板状であり、磁石45の成形固化ないし切断が、曲面上に磁石41製造時の成形体を成形する、或いは磁石41自体を切削加工する必要のある表面磁石型同期モータ40aに比して比較的容易である点で優れている。なお、本実施形態は、上記に説明した特定のモータだけに何ら制限されるものではなく、幅広い分野の電磁機器に適用することができるものである。即ち、Sm−Fe−N系のボンド磁石成形体が用いられる、オーディオ機器のキャプスタンモータ、スピーカ、ヘッドホン、CDのピックアップ、カメラの巻上げ用モータ、フォーカス用アクチュエータ、ビデオ機器等の回転ヘッド駆動モータ、ズーム用モータ、フォーカス用モータ、キャプスタンモータ、DVDやブルーレイの光ピックアップ、空調用コンプレッサ、室外機ファンモータ、電気かみそり用モータなどの民生用電子機器分野;ボイスコイルモータ、スピンドルモータ、CD−ROM、CD−Rの光ピックアップ、ステッピングモータ、プロッタ、プリンタ用アクチュエータ、ドットプリンタ用印字ヘッド、複写機用回転センサなどのコンピュータ周辺機器・OA機器;時計用ステッピングモータ、各種メータ、ペジャー、携帯電話用(携帯情報端末を含む)振動モータ、レコーダーペン駆動用モータ、加速器、放射光用アンジュレータ、偏光磁石、イオン源、半導体製造機器の各種プラズマ源、電子偏光用、磁気探傷バイアス用などの計測、通信、その他の精密機器分野;永久磁石型MRI、心電図計、脳波計、歯科用ドリルモータ、歯固定用マグネット、磁気ネックレスなどの医療用分野;ACサーボモータ、同期モータ、ブレーキ、クラッチ、トルクカップラ、搬送用リニアモータ、リードスイッチ等のFA分野;リターダ、イグニッションコイルトランス、ABSセンサ、回転、位置検出センサ、サスペンション制御用センサ、ドアロックアクチュエータ、ISCVアクチュエータ、電気自動車駆動用モータ、ハイブリッド自動車駆動用モータ、燃料電池自動車駆動用モータ、ブラシレスDCモータ、ACサーボモータ、ACインダクション(誘導)モータ、パワーステアリング、カーエアコン、カーナビゲーションの光ピックアップなど自動車電装分野など極めて幅広い分野の各種用途に応じた形状を持っていればよい。但し、本実施形態のボンド磁石成形体が用いられる用途は、上記したほんの一部の製品(部品)に何ら制限されるものではなく、現在Sm−Fe−N系のボンド磁石成形体が用いられる用途全般に適用し得るものである。
以下、本実施形態を実施例を通して具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例には限定されない。
(1)準備工程(S11)
(1a)磁石粒子調製工程(S11a)
原料となるSm−Fe−N系磁石粒子として、1つは市販のSm2F17N3合金の磁石粒子(日亜化学株式会社製)を用いた。平均粒子径は、レーザ回折法により計測した。D50を指標として2μmであった。これを磁石粒子(1)とする。
一方、異なる粒子径のSm−Fe−N系磁石粒子は、以下の方法で調製した。拡散還元法で作製された、おおよそ粒子径30μm程度の窒化処理後のSm−Fe合金の市販品(日亜化学株式会社製)を、湿式ボールミルにて粉砕して、異なる粒子径のSm2F17N3合金の磁石粒子に加工(調製)した。溶媒はIPA(イソプロピルアルコール)を用いた。一定時間粉砕後、SEM観察により粒子径を確認しつつ粉砕を継続し、最終的には、粉砕後の平均粒子径をレーザ回折法により計測し、D50が5μmとなるまで粉砕し、異なる粒子径の磁石粒子を得た。これを磁石粒子(2)とする。同様にして、粉砕後の平均粒子径をレーザ回折法により計測し、D50が10μmとなるまで粉砕し、磁石粒子を得た。これを磁石粒子(3)とする。
(1b)Zn合金粒子調製工程(S11b)
バインダ材料であるZnAl合金粒子を以下の方法で調製した。
まず、純Alインゴットと純Znインゴットを22.6mass%Al−77.4mass%Znの組成になるように秤量し、真空溶解炉にて3kgの合金インゴットを溶製した。得られたインゴットを10×10×50mmの短冊状の小片に切断した。上記ZnAl合金組成は、製造が容易なように単純な共晶組成を用いた。
得られた、ZnAl合金の小片1.5kg分を、ガスアトマイズにて粉末(ZnAl合金粒子)に加工した。詳しくは、溶解炉のチャンバ内を真空排気後、Heガスでチャンバ内を置換し、高周波誘導溶解によりZnAl合金の小片1.5kg分を溶解した。アトマイズ装置は、溶解チャンバの下に噴霧チャンバを設けた構造で、溶解チャンバと噴霧チャンバに差圧を生じさせ、溶解炉の底部に設置されているストッパを開くことにより溶融金属が下方に流出する構造の装置を用いた。流出した溶融金属にHeガスを噴きつけることで、粉末粒子(ZnAl合金粒子)に加工した。
ここで、Heガスを用いることで、溶融金属粒子の急冷が可能であり20μm以下の微細粒子を容易に得ることができた。得られた粉末(ZnAl合金粒子)は、メッシュで分級し、分級した粒子径はレーザ回折法により計測した。この分級、計測の操作により、平均粒子径D50が10、26、38、49、60μmとなるまでそれぞれ分級し、平均粒子径D50が異なる5種類のZnAl合金粒子を得た。平均粒子径D50が小さい順にZnAl合金粒子(1)〜(5)とする。
得られたZnAl合金粒子を用いて、上記に規定する方法で、成形温度以下(測定温度200℃)で、ひずみ速度感受性指数(m値)及び破断伸びを(バルクの状態で)測定した。その結果、ZnAl合金粒子のm値は、3.3であり、破断伸びは600%であった。なお、ZnAl合金(1)〜(5)は合金組成が同じであるため、ZnAl合金粒子(1)〜(5)のm値及び破断伸びは、いずれも同じ値であった。
(1b’)Zn粒子の準備
比較例に用いるために、バインダ材料である金属粒子には、市販のZn粒子(本荘ケミカル株式会社製)を用いた。このZn粒子の平均粒子径D50は3μmであった。
(1c)混合工程(S11c)
上記工程(S11a)で得られた磁石粒子と、上記工程(S11b)で得られたZnAl合金粒子(又はZn粒子)を下記表1に示す割合で混合し、磁石粒子とZn合金粒子(又はZn粒子)の混合物(磁石粒子等混合物)を調製した。
ここでは、磁石粒子等混合物の組成は、Zn合金の配合量(濃度)が、3.5、5、10、20、25体積%となるように混合した。同様に、Zn粒子の配合量(濃度)が、5、10、20体積%となるように混合した。
(2)温間又は冷間圧密成形工程(S12)
500℃以下の温度の上記磁石粒子等混合物を、温間プレス機にて、0.98GPa以上の圧力(成形面圧)で加圧成形(固化成形)し、ボンド磁石成形体を得た。
詳しくは、上記磁石粒子等混合物を2.6g秤量し、成形プレスの断面形状が7×7mmである超硬金型に充填し、実験例および比較例について、それぞれ、表1に示す所定の成形温度で10分間保持した。上記磁石粒子等混合物が十分に温間又は冷間成形温度に達した後、温間プレス機を用いて、それぞれ以下の実施例ないし比較例に示す成形圧力(成形面圧)を負荷し、30秒間保持して加圧(圧密)成形(固化成形)した。以上のような工程で実験例および比較例の磁石成形体を得た。なお、比較例1〜6は、成形不能であった。
ここで、成形圧力は、2.94GPaと0.98GPaとし、温間成形温度は、金型に電気抵抗によるシートタイプのヒータを巻きつけて加温して調節した。
(実験例1)
平均粒子径D50が2μmの磁石粒子(1)と、平均粒子径D50が10μmのZnAl粒子(1)を用いて、磁石粒子(1):ZnAl粒子(1)=95:5(体積%)の割合で混合し、磁石粒子等混合物を作製した。200℃の温度の磁石粒子等混合物を、温間プレス機にて、2.94GPaの圧力で加熱加圧成形し、ボンド磁石成形体を得た。本実験例1では、ZnAl合金粒子の平均粒子径Y(μm)が磁石粒子の平均粒子径M(μm)に対して、Y≦−5M+60の関係を満足する。
(実験例2)
ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が26μmのZnAl粒子(2)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。本実験例2でも実験例1と同様に、Y≦−5M+60の関係を満足する。
(実験例3)
ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が49μmのZnAl粒子(4)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。本実験例3でも実験例1と同様に、Y≦−5M+60の関係を満足する。
(実験例4)
磁石粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が5μmの磁石粒子(2)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。本実験例4でも実験例1と同様に、Y≦−5M+60の関係を満足する。
(実験例5)
磁石粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が5μmの磁石粒子(2)を用い、ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が26μmのZnAl粒子(2)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。本実験例5でも実験例1と同様に、Y≦−5M+60の関係を満足する。
(実験例6)
磁石粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が10μmの磁石粒子(3)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。本実験例6でも実験例1と同様に、Y≦−5M+60の関係を満足する。
(比較例1)
ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が60μmのZnAl粒子(5)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施したが、磁石成形体を形成できなかった。成形不能であった。本比較例1では、実験例1と異なり、Y≦−5M+60の関係を満足しない。
(比較例2)
磁石粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が5μmの磁石粒子(2)を用い、ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が49μmのZnAl粒子(4)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施したが、磁石成形体を形成できなかった。成形不能であった。本比較例2でも、実験例1と異なり、Y≦−5M+60の関係を満足しない。
(比較例3)
磁石粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が5μmの磁石粒子(2)を用い、ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が60μmのZnAl粒子(5)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施したが、磁石成形体を形成できなかった。成形不能であった。本比較例3でも、実験例1と異なり、Y≦−5M+60の関係を満足しない。
(比較例4)
磁石粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が10μmの磁石粒子(3)を用い、ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が26μmのZnAl粒子(2)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施したが、磁石成形体を形成できなかった。成形不能であった。本比較例4でも、実験例1と異なり、Y≦−5M+60の関係を満足しない。
(比較例5)
磁石粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が10μmの磁石粒子(3)を用い、ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が38μmのZnAl粒子(3)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施したが、磁石成形体を形成できなかった。成形不能であった。本比較例5でも、実験例1と異なり、Y≦−5M+60の関係を満足しない。
(実験例7)
磁石粒子(1)とZnAl粒子(1)の割合を、磁石粒子(1):ZnAl粒子(1)=90:10(体積%)の割合にした以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。
(実験例8)
磁石粒子(1)とZnAl粒子(1)の割合を、磁石粒子(1):ZnAl粒子(1)=80:20(体積%)の割合にした以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。
(実験例9)
磁石粒子(1)とZnAl粒子(1)の割合を、磁石粒子(1):ZnAl粒子(1)=90:10(体積%)の割合にし、成形圧力2.94GPaを0.98GPaとした以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。
(実験例10)
磁石粒子(1)とZnAl粒子(1)の割合を、磁石粒子(1):ZnAl粒子(1)=90:10(体積%)の割合にし、成形温度200℃を100℃とした以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。
(実験例11)
磁石粒子(1)とZnAl粒子(1)の割合を、磁石粒子(1):ZnAl粒子(1)=90:10(体積%)の割合にし、(温間)成形温度200℃を室温の24℃(冷間成形温度)とした以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。
(実験例12)
磁石粒子(1)とZnAl粒子(1)の割合を、磁石粒子(1):ZnAl粒子(1)=96.5:3.5(体積%)の割合にした以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。
(実験例13)
磁石粒子(1)とZnAl粒子(1)の割合を、磁石粒子(1):ZnAl粒子(1)=75:25(体積%)の割合にした以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。
(比較例6)
ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が3μmのZn粒子を用いた以外は、実験例1と同様の操作を実施したが、磁石成形体を形成できなかった。成形不能であった。
(比較例7)
ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が3μmのZn粒子を用い、磁石粒子(1)とZn粒子の割合を、磁石粒子(1):Zn粒子=90:10(体積%)の割合にした以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。
(比較例8)
ZnAl粒子(1)に代えて、平均粒子径D50が3μmのZn粒子を用い、磁石粒子(1)とZn粒子の割合を、磁石粒子(1):Zn粒子=80:20(体積%)の割合にした以外は、実験例1と同様の操作を実施し、ボンド磁石成形体を得た。
(評価)
得られたボンド磁石成形体については、4探針法にて電気比抵抗を計測し、BHトレーサにて残留磁束密度(Br)と保磁力(Hc)を計測した。磁気特性(Br、Hc)は、Zn粒子の割合を10体積%とした比較例7の計測値を100とし、該計測値との相対値を求めた。電気抵抗と磁気特性の結果をまとめて下記表1に示す。
表1の結果より、実施例1〜13は、金属Znバインダを用いた比較例7、8に比して、容易に比抵抗の大きな磁石成形体を得ることができる。比抵抗が2倍に大きくなると発熱量は1/4程度に低減することができ、発熱量の小さい磁石成形体とすることが可能になっていることが確認できた。すなわち、ZnAl合金では超塑性挙動を有効に発現するため、容易に密度を向上することができると同時に、ZnとAlが微細な結晶粒を有する複合組織を形成し、単相純金属(Znバインダ)よりも高い電気比抵抗を有する。そのため、磁石粒子の密度を大きくしつつ電気比抵抗の大きな磁石成形体を得られることが確認できた。また、磁気特性のうちBrについても実施例1〜13では、金属Znバインダを用いた比較例7、8とほぼ同等かそれ以上に保持できており、Hcに関してもほぼ同等か若干低い程度に保持できていることがわかった。
また、ZnAl合金粒子の割合が5体積%である、実験例1〜6及び比較例1〜5につき、磁石粒子とZnAl合金粒子の平均粒子径による成形可能範囲(成形可能又は成形不能)を図3に示す。図3に示すように、成形可能(○印)か、成形不能(型崩れを生じる;×印)かは、図中の直線の傾きから、Zn合金粒子の平均粒子径Y(μm)が磁石粒子の平均粒子径M(μm)に対して、Y≦−5M+60の関係が成立し得ることが確認できた。
図3に示すように、比較例1〜5は、ボンド磁石成形体の呈を成さない(型崩れし、成形不能である)ことから、成形性を有しない(固化成形できない)ため、本発明のボンド磁石成形体及びその製造方法の「固化成形されてなる」との要件を満足しないものである。よって、本発明のボンド磁石成形体及びその製造方法に該当しないことから、比較例1〜5としている。
ZnAl合金粒子の平均粒子径が10μm及びZn粒子の平均粒子径が3μmである、実験例1、7、8及び比較例6〜8につき、ZnAl合金と金属Znをバインダとしたときの成形性の違い(成形可能又は成形不能)を図4に示す。図4に示すように、成形可能(○印)か、成形不能(型崩れを生じる;×印)かは、ZnAl合金粒子の割合が5〜20体積%の範囲であれば、成形性を有することが確認できる。一方、Zn粒子の割合が少ない場合(5体積%)では、ボンド磁石成形体の呈を成さない(型崩れし、成形不能である)ことから、成形性を有しない(固化成形できない)ことが確認できた。即ち、ZnAl合金粒子では、磁石粒子間の空隙にZnAl合金が伸展し、ZnAl合金も効果的に均一に分散できるため、適度な圧着効果が得られることにより、適用可能なZnAl合金粒子の範囲も拡大する(通常のプレスで成形可能な範囲が拡大する)。その結果、磁石粒子の密度を大きくしつつ電気比抵抗の大きな磁石成形体を得られるものといえる。
ZnAl合金粒子の平均粒子径が10μm及びZn粒子の平均粒子径が3μmである、実験例1、7、8及び比較例7〜8につき、ZnAl合金バインダ又はZnバインダの割合(体積%)と、磁石成形体の(電気)比抵抗の関係を図5に示す。図5に示すように、ZnAl合金では超塑性挙動を発現するため、容易に密度を向上することができると同時に、ZnとAlが微細な結晶粒を有する複合組織を形成し、単相純金属(Znバインダ)よりも高い電気比抵抗を有するため、(磁石粒子の密度を大きくしつつ)電気比抵抗の大きな磁石成形体を得られることが確認できた。これにより、ZnAl合金バインダを用いた本実験例の磁石成形体では、既存の単相純金属(Znバインダ)を用いた比較例の磁石成形体よりも大きな比抵抗であるため、使用環境中の磁場変動による発熱を低減することができるものといえる。
10 成形型、
11 内側金型、
12 外側金型、
13a、13b 貫通孔、
14 磁石粒子等混合物、
15 下部金型、
16 上部金型、
17 温度センサ用孔。