JP6447010B2 - 透明導電膜及びこの透明導電膜を有する透明導電体の製造方法 - Google Patents
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Description
次に本発明の第1の実施形態を図1(a)〜(g)に基づいて説明する。第1の実施形態では、後述する圧縮処理を行って圧縮層を形成するが、この圧縮層を加熱処理しないことに特徴がある。
図1(a)に示すように、転写用基材1の上面に透明導電性粒子と分散媒からなる透明導電膜形成用塗料である塗布液を塗布し乾燥して粒子層2を形成する。転写用基材1としては、後述する圧縮工程の圧縮力を大きくしても割れることがない可撓性樹脂フィルムが用いられる。本発明の透明導電体の製造工程中、粒子層を転写基材から別の支持用透明基材に転写するため、転写用基材に無色透明でない樹脂フィルムや金属箔を用いることができる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリイミド(PI)フィルム等が例示される。
圧縮処理としては、シートプレス処理、カレンダロールを用いたカレンダ処理が挙げられる。図1(b)では、カレンダ処理の例を示す。図1(b)に示すように、粒子層2を上面に形成した転写用基材1をカレンダ処理して粒子層2を圧縮層4にする。粒子層2を圧縮して圧縮層4にすると、透明導電性粒子相互間の接触点が増え接触面が増加し、電気抵抗値が低下し、導電性に優れる。また圧縮により、透明導電性粒子が高充填化され、光学特性が向上する。光学特性においては、特に粒子間空隙による散乱光が減少することにより、光散乱強度を表す値であるヘイズ値が著しく減少し、透明性が高くなる。
本発明の粒子表面へのゲルマニウム化合物の析出とは、ゲルマニウム化合物が膜状又は粉状で粒子表面の一部又は全部を被覆した状態をいう。ゲルマニウム化合物の析出量は、透明導電性粒子を構成する酸化物100質量%に対して1〜100重量%であることが好ましい。この析出量が1質量%未満では透明導電性粒子表面へのゲルマニウム化合物の析出が少なすぎて、その効果を発揮しない。また100質量%を越えると膜表面まで厚く被覆され、絶縁性となってしまう不具合を生じる。本発明に用いられるゲルマニウム化合物としては、溶媒に溶解可能な有機ゲルマニウム化合物、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム又はゲルマニウム錯体が好ましい。有機ゲルマニウム化合物としては、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、イソブチルゲルマン、三塩化アルキルゲルマニウム、三塩化ジメチルアミノゲルマニウム等が挙げられる。またゲルマニウム錯体としては、ニトロトリフェノール錯体(Ge2(ntp)2O)、カテコール錯体(Ge(cat)2)又はアミノピレン錯体(Ge2(ap)2Cl2)等が挙げられる。電子材料においては、ハロゲンが腐食性であることから電子部材を腐食しやすいため、ハロゲンを含まないゲルマニウム化合物が好ましい。
塗布法は、図1(c)に示すように、ゲルマニウム化合物を含有する溶液を転写用基材1上の圧縮層4上に塗布する方法である。この塗布用溶液は、上記ゲルマニウム化合物をアルコールやトルエン、テトラヒドロフラン等の溶媒に溶解して、必要により中和して調製される。例えば、テトラエトキシゲルマニウムはエタノール、ニトロトリフェノール錯体はトルエンに溶解することができる。酸化ゲルマニウムは水や極性を持つ有機溶媒にわずかに溶けることが知られている。この溶液も上述した理由でハロゲンを含まないものが好ましい。酸化ゲルマニウムの溶解量はわずかであるため、酸化ゲルマニウムの比表面積を大きくすることや熱や機械的な衝撃を与えることが有効である。例えば、酸化ゲルマニウムをエタノールに酸化ゲルマニウムが10質量%になるように添加し、ジルコニアビーズを用いてビーズミルを行うことで上記の溶液を作製することができ、この分散液を遠心分離して上澄みだけを用いてもよい。この溶液の塗布方法は、上述した透明導電性粒子と分散媒からなる塗布液の塗布方法と同じである。図1(c)では、ゲルマニウム化合物含有溶液をスピンコーター7で塗布している。塗布後の乾燥方法は、上述した透明導電性粒子と分散媒からなる塗布液の乾燥方法と同じである。この乾燥によりゲルマニウム化合物が透明導電性粒子表面に析出する。
浸漬法は、図示しないが、ゲルマニウム化合物を含有する溶液に転写用基材1上の圧縮層4を浸漬する方法である。この浸漬用溶液は、上述した塗布用溶液と同じ溶液を用いてもよいが、濃度を変えた溶液でもよい。例えば、室温の浸漬用溶液に転写用基材1上の圧縮層4を浸漬した後引上げ、乾燥させる。浸漬用溶液に浸漬する時間に制限はないが、上記溶液をITO粒子間隙により確実に浸透させるため、1分間以上浸漬することが好ましい。乾燥方法は、上述した透明導電性粒子と分散媒からなる塗布液の乾燥方法と同じである。この乾燥によりゲルマニウム化合物が透明導電性粒子表面に析出する。
暴露法は、図示しないが、ゲルマニウム化合物が気化する化合物、例えばテトラメチルゲルマン、テトラエチルゲルマン、テトライソブチルゲルマン等であれば、密閉可能な容器に例示したゲルマニウム化合物を入れて40℃で容器を加熱することにより、ゲルマニウム化合物を気化させ、その蒸気に転写用基材1上の圧縮層4を暴露する方法である。暴露は例えば20〜100℃の温度で5〜60分間行う。暴露後、圧縮層を乾燥する。この乾燥方法は、上述した透明導電性粒子と分散媒からなる塗布液の乾燥方法と同じである。この乾燥によりゲルマニウム化合物が透明導電性粒子表面に析出する。
次に、図1(d)に示すように、転写用基材1上の圧縮層4に樹脂液を塗布して樹脂液を圧縮層中の透明導電性粒子間の空隙に含浸する。この樹脂液を乾燥して圧縮層4上に樹脂層8を形成する。塗布方法としては、スプレーコーティング、ディスペンサコーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、スリットコーティング、インクジェットコーティング、スクリーン印刷、オフセット印刷、ダイコーティング等が例示される。図1(c)は、スプレーコーター9を用いた塗布法の例を示す。
次に、図1(e)に示すように、転写用基材1上の樹脂層8の上面に支持用透明基材11を貼り合わせる。支持用透明基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アクリル等の可撓性樹脂フィルムやガラスが用いられる。支持用透明基材11の貼り合わせは、支持用透明基材と樹脂層の間に気泡が入らないように行う。また支持用透明基材11の樹脂層8との接着面には接着を容易にするために、ウレタン樹脂等のプライマー層を設けたり、この接着面にコロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行ってもよい。
次に、図1(f)に示すように、転写用基材1上の樹脂層8に含まれる樹脂を硬化させて樹脂層8付きの圧縮層4を透明導電膜10にする。樹脂がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であれば、樹脂が硬化するまで加熱する。硬化条件は、支持用透明基材が熱的損傷を受けない範囲であり、樹脂が硬化すれば限定されないが、不活性雰囲気下で80〜120℃で1〜60分間が好ましい。樹脂が紫外線で硬化するアクリル樹脂やエポキシアクリレート樹脂等の紫外線硬化性樹脂であれば、支持用透明基材側から紫外線を照射する。樹脂が硬化する条件であれば、紫外線の強度や波長には限定はないが、強度は0.5〜10J/cm2の出力が好ましい。これにより圧縮層が樹脂により封止され、圧縮層中の粒子間に樹脂を含浸させることで、粒子とその周囲の屈折率の差を小さくすることができ、ヘイズを低減し、光の透過率を上げることができる。
次に本発明の第2の実施形態を図2(a)〜(g)に基づいて説明する。第2の実施形態では、前述した圧縮処理を行わず、即ち圧縮層を形成せずに、粒子層を加熱処理をすることに特徴がある。
図2(a)に示すように、第1の実施形態と同様にして、粒子層2を形成する。
続いて、第1の実施形態で行った圧縮処理(カレンダ処理)をせずに、図2(b)に示すように、粒子層を加熱処理する。具体的には、転写用基材1上の粒子層2を不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気下で200℃以上、基材が損傷しない温度以下で加熱処理する。粒子層を加熱処理することにより、粒子層中の粒子がネッキングする。加熱処理の方法としては、電気炉加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱、フラッシュランプアニール、レーザー焼成等が挙げられる。図2(b)は、転写用基材1の上面に形成された粒子層2の加熱方法として、フラッシュランプ6により加熱する例を示す。
次に、図2(c)に示すように、第1の実施形態の圧縮層の代わりに、転写用基材1上の粒子層2の透明導電性粒子表面にゲルマニウム化合物を析出させる。この析出方法は、第1の実施形態と同じである。
次に、図2(d)に示すように、転写用基材1上の粒子層2に樹脂液を塗布して樹脂液を粒子層中の透明導電性粒子間の空隙に含浸する。この樹脂液を乾燥して粒子層2上に樹脂層8を形成する。この樹脂液の塗布方法、樹脂液の乾燥方法及び樹脂層の形成方法は、第1の実施形態と同じである。
次に、図2(e)に示すように、転写用基材1上の樹脂層8の上面に支持用透明基材11を貼り合わせる。この支持用透明基材の貼り合わせ方法は、第1の実施形態と同じである。
次に、図2(f)に示すように、転写用基材1上の樹脂層8に含まれる樹脂を硬化させて樹脂層8付きの粒子層2を透明導電膜10にする。第1の実施形態の樹脂層付きの圧縮層の代わりに樹脂層付きの粒子層を透明導電膜とする以外は、第1の実施形態と同じである。続いて、図2(g)に示すように、第1の実施形態と同様にして、支持用透明基材11上に透明導電膜10を残存させた透明導電体11を得る。このようにして得られた透明導電膜はその体積抵抗率が5×10−2Ωcm以下の範囲にある。
次に本発明の第3の実施形態を図3(a)〜(h)に基づいて説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態の圧縮処理(カレンダ処理)を行うとともに、第2の実施形態の加熱処理を行うことに特徴がある。
図3(a)に示すように、第1の実施形態と同様に、粒子層2を形成する。
次いで、図3(b)に示すように、第1の実施形態と同様にして、粒子層2を上面に形成した転写用基材1を圧縮処理(カレンダ処理)して粒子層2を圧縮層4にする
続いて、図3(c)に示すように、第2の実施形態の粒子層の代わりに、圧縮層4を加熱処理する。この加熱処理方法は第2の実施形態と同じである。
次に、図3(d)に示すように、第2の実施形態の粒子層の代わりに、転写用基材1上の圧縮層4の透明導電性粒子表面にゲルマニウム化合物を析出させる。この析出方法は、第1の実施形態と同じである。
次に、図3(e)に示すように、第2の実施形態の粒子層の代わりに、転写用基材1上の圧縮層4に樹脂液を塗布して樹脂液を圧縮層中の透明導電性粒子間の空隙に含浸する。この樹脂液を乾燥して圧縮層4上に樹脂層8を形成する。この樹脂液の塗布方法、樹脂液の乾燥方法及び樹脂層の形成方法は、第1の実施形態と同じである。
次に、図3(f)に示すように、転写用基材1上の樹脂層8の上面に支持用透明基材11を貼り合わせる。この支持用透明基材の貼り合わせは、第1の実施形態と同じである。
次に、図3(g)に示すように、第1の実施形態と同様にして、転写用基材1上の樹脂層8に含まれる樹脂を硬化させて樹脂層8付きの圧縮層4を透明導電膜10にする。続いて、図3(h)に示すように、第1の実施形態と同様にして、支持用透明基材11上に透明導電膜10を残存させた透明導電体11を得る。このようにして得られた透明導電膜はその体積抵抗率が5×10−2Ωcm以下の範囲にある。
(a) 透明導電膜の表面抵抗率
透明導電膜の表面抵抗率を以下の手順にて測定した。試料となる透明導電体を50×50mm□にカットし、抵抗測定器(三菱油化(株)社製、製品名:Loresta AP MCP−T400)を使用し、透明導電膜の予め定められた測定点で測定し、その測定値を透明導電膜の表面抵抗率とした。転写用基材を剥離した直後の透明導電膜の表面抵抗率(初期抵抗率)とした。また85℃、相対湿度85%RHに制御された恒温恒湿槽内に透明導電体を500時間保管した後に、初期抵抗率の測定時に定めた測定点において再度表面抵抗率を測定し、その測定値を加湿後抵抗率とした。加湿後抵抗率を初期抵抗率で除することにより、表面抵抗率の変化率を求める。
(b) 透明導電膜の膜厚
透明導電膜の膜厚を蛍光X線膜厚測定装置(セイコーインスツルメント(株)社製、製品名:SFT9400)を用い測定した。膜厚は膜厚既知の透明導電膜から検量線を作成し、試料の特性X線の検出強度から重量換算での膜厚を算出する。
(c) 体積抵抗率
上記(a)で求められた表面抵抗率(初期抵抗率)に上記(b)で算出された膜厚を乗算することにより、体積抵抗率を算出する。
分散媒のエタノール40.0gに平均粒径120nmのITO粒子10gを添加し、超音波ホモジェナイザーで30分間分散し、ITO導電膜形成用塗料である塗布液を調製した。この塗布液をスロットダイコーターを用いて、転写用基材である100mm×300mmの長方形のポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)社製、製品名:カプトン100H)の上に塗布した。塗布した塗布液を25℃の大気中で5分間乾燥を行って転写用基材上に粒子層を形成した。この粒子層を上面に形成した転写用基材をカレンダ処理した。具体的にはカレンダロール圧力1000kg/cm、送り出し速度1m/分で粒子層に圧力を上記転写用基材に加えることで、粒子層を圧縮層にした。得られた圧縮層の層厚を蛍光X線を用いて測定したところ、重量換算膜厚は0.4μmであった。このように作製した転写用基材を50×50mm□に切り出した。
ガラス容器に、実施例1と同様に作製した転写用基材上の圧縮層とテトラエトキシゲルマニウムを一緒に収容して密封し、ガラス容器内の雰囲気を窒素に置換した後に、ガラス容器を50℃の乾燥機に入れ、上記圧縮層を60分間テトラエトキシゲルマニウムの蒸気に曝した。ガラス容器から圧縮層を取り出し、20℃で10分乾燥した。熱硬化樹脂である2液型のエポキシ樹脂(三菱ガス化学製、製品名:マクシーブ)の主剤及び硬化剤をそれぞれ固形分が25質量%になるようにエタノールで希釈した。主剤の希釈液と硬化剤の希釈液を同量ずつ混合し、混合後60分以内に実施例1と同様に圧縮層上に塗布した。塗布後、予め表面にウレタン樹脂のプライマー層が設けられた支持用透明基材のPETフィルムを上記樹脂層に貼り合わせ、大気中120℃で10分加熱し、エポキシ樹脂を硬化させた。これにより樹脂層付きの圧縮層を透明導電膜にした。更に、この透明導電膜を構成する圧縮層からポリイミドフィルムの転写用基材を剥離してITO透明導電体を得た。この圧縮層の重量換算膜厚は0.4μmであった。この透明導電体の初期抵抗率は260Ω/□であり、加湿後抵抗率は494Ω/□であった。変化率は1.9であった。また、ITO透明導電体を実施例1と同様に薄片化し、STEM-EDSによる分析を行ったところ、ITO粒子表面の薄い層からGeとO、Cが検出された。Geを含む層の結晶構造や組成を特定することはできなかったが、Geを含む層は非晶質であった。
実施例1のゲルマニウム含有溶液を、ゲルマニウム錯体(Ge2(ntp)2O)0.01gを溶媒のトルエン0.99gに溶解させた溶液(ゲルマニウム化合物含有量:1質量%)とし、この溶液に実施例1と同様に作製した転写用基材上の圧縮層を1分間浸漬した。この転写用基材を上記溶液から引き上げた後、圧縮層を20℃で5分乾燥した。これ以外は、実施例1と同じ方法で、ITO透明導電体を得た。この圧縮層の重量換算膜厚は0.4μmであった。この透明導電体の初期抵抗率は288Ω/□であり、加湿後抵抗率は691Ω/□であった。変化率は2.4であった。また、ITO透明導電体をを実施例1と同様に薄片化し、STEM-EDSによる分析を行ったところ、ITO粒子表面の薄い層からGeとN、O、Cが検出された。Geを含む層の結晶構造や組成を特定することはできなかったが、Geを含む層は非晶質であった。
実施例1でポリイミドフィルム上に形成したITO粒子層にカレンダ処理を行わず、窒素中で500℃1時間の熱処理を行った以外、実施例1と同じ方法で、ITO透明導電体を得た。この粒子層の重量換算膜厚は0.4μmであった。この透明導電体の初期抵抗率は527Ω/□であり、加湿後抵抗率は1102Ω/□であった。変化率は2.1であった。
実施例1でポリイミドフィルム上に形成したITO粒子層にカレンダ処理を行った後に、赤外線加熱炉を用い窒素中で300℃1時間の熱処理を行った以外、実施例1と同じ方法で、ITO透明導電体を得た。この粒子層の重量換算膜厚は0.4μmであった。この透明導電体の初期抵抗率は95Ω/□であり、加湿後抵抗率は169Ω/□であった。変化率は1.8であった。
実施例1で透明導電性粒子をITOからATOに変更した以外、実施例5と同じ方法で、ITO透明導電体を得た。この圧縮層の重量換算膜厚は0.5μmであった。この透明導電体の初期抵抗率は925Ω/□であり、加湿後抵抗率は1577Ω/□であった。変化率は1.7であった。
実施例1で透明導電性粒子をITOからATOに変更した以外、実施例5と同じ方法で、ITO透明導電体を得た。この圧縮層の重量換算膜厚は0.5μmであった。この透明導電体の初期抵抗率は491Ω/□であり、加湿後抵抗率は1080Ω/□であった。変化率は2.2であった。
実施例1で透明導電性粒子をITOからATOに変更した以外、実施例5と同じ方法で、ITO透明導電体を得た。この圧縮層の重量換算膜厚は0.5μmであった。この透明導電体の初期抵抗率は501Ω/□であり、加湿後抵抗率は998Ω/□であった。変化率は2.0であった。
実施例1のゲルマニウム含有溶液(ゲルマニウム化合物含有量:10質量%)を圧縮層に塗布しない以外は、実施例1と同じ方法で、ITO透明導電体を得た。この圧縮層の重量換算膜厚は0.4μmであった。この透明導電体の初期抵抗率は247Ω/□であり、加湿後抵抗率は815Ω/□であった。変化率は3.3であった。
実施例1のゲルマニウム含有溶液(ゲルマニウム化合物含有量:10質量%)を粒子層に塗布しない以外は、実施例4と同じ方法で、ITO透明導電体を得た。この圧縮層の重量換算膜厚は0.4μmであった。この透明導電体の初期抵抗率は511Ω/□であり、加湿後抵抗率は2140Ω/□であった。変化率は4.2であった。
実施例1のゲルマニウム含有溶液(ゲルマニウム化合物含有量:10質量%)を圧縮層に塗布しない以外は、実施例5と同じ方法で、ITO透明導電体を得た。この圧縮層の重量換算膜厚は0.4μmであった。この透明導電体の初期抵抗率は97Ω/□であり、加湿後抵抗率は311Ω/□であった。変化率は3.2であった。
透明導電性粒子表面にゲルマニウム化合物が存在しない比較例1、2、3の透明導電膜では、体積抵抗率がそれぞれ1.0×10−2Ω・cm、2.0×10−2Ω・cm、0.4×10−2Ω・cmと低かったが、変化率が3.3、4.2、3.2倍と高かった。
これに対して、透明導電性粒子表面にゲルマニウム化合物を有する実施例1〜8の透明導電膜では、体積抵抗率が5.0×10−2Ω・cm以下と低いうえ、かつ変化率は1.7〜2.2倍と比較例の変化率より小さく、実施例1〜8の透明導電膜が高温高湿下で長時間保持したときの電気抵抗値の上昇を抑制することが分かった。
2 粒子層
3 スロットダイコーター
4 圧縮層
5 カレンダロール
6 フラッシュランプ
7 スピンコーター
8 樹脂層
9 スプレーコーター
10 透明導電膜
11 支持用透明基材
12 透明導電体
Claims (9)
- 透明導電性粒子によって形成された粒子層の前記粒子表面に、ゲルマニウム化合物が膜状又は粉状で前記粒子表面の一部又は全部を被覆した状態で、析出して存在し、体積抵抗率が5×10-2Ωcm以下である透明導電膜。
- 前記透明導電性粒子が錫ドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)又はガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)の金属酸化物粒子である請求項1記載の透明導電膜。
- 請求項1又は2記載の透明導電膜が支持用透明基材上に形成された透明導電体。
- 転写用基材の上面に透明導電性粒子と分散媒からなる塗布液を塗布し乾燥して粒子層を形成する工程と、
前記粒子層を上面に形成した前記転写用基材を圧縮処理して前記粒子層を圧縮層にする工程と、
前記転写用基材上の前記圧縮層中の前記透明導電性粒子表面にゲルマニウム化合物を析出させる工程と、
前記転写用基材上の前記圧縮層に樹脂液を塗布して前記樹脂液を前記圧縮層中の前記透明導電性粒子間の空隙に含浸する工程と、
前記樹脂液を乾燥して前記圧縮層上に樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の上面に支持用透明基材を貼り合わせる工程と、
前記樹脂層に含まれる前記樹脂を硬化させて前記樹脂層付きの圧縮層を透明導電膜にする工程と、
前記転写用基材を前記透明導電膜から剥離して前記支持用透明基材上に前記透明導電膜を残存させた透明導電体を得る工程と
を含む透明導電体の製造方法。 - 前記ゲルマニウム化合物を析出させる工程が、前記転写用基材上の前記圧縮層にゲルマニウム化合物を含有する溶液を塗布して乾燥する工程であるか、前記転写用基材上の前記圧縮層をゲルマニウム化合物を含有する溶液に浸漬して前記溶液を乾燥する工程であるか、或いは前記転写用基材上の前記圧縮層をゲルマニウム化合物蒸気に暴露して乾燥する工程である請求項4記載の透明導電体の製造方法。
- 転写用基材の上面に透明導電性粒子と分散媒からなる塗布液を塗布し乾燥して粒子層を形成する工程と、
前記粒子層を不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気下で200℃〜800℃の温度で加熱処理する工程と、
前記加熱処理した転写用基材上の前記粒子層中の前記透明導電性粒子表面にゲルマニウム化合物を析出させる工程と、
前記転写用基材上の前記粒子層に樹脂液を塗布して前記樹脂液を前記粒子層中の前記透明導電性粒子間の空隙に含浸する工程と、
前記樹脂液を乾燥して前記粒子層上に樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の上面に支持用透明基材を貼り合わせる工程と、
前記樹脂層に含まれる前記樹脂を硬化させて前記樹脂層付きの粒子層を透明導電膜にする工程と、
前記転写用基材を前記透明導電膜から剥離して前記支持用透明基材上に前記透明導電膜を残存させた透明導電体を得る工程と
を含む透明導電体の製造方法。 - 前記ゲルマニウム化合物を析出させる工程が、前記転写用基材上の前記粒子層にゲルマニウム化合物を含有する溶液を塗布して乾燥する工程であるか、前記転写用基材上の前記粒子層をゲルマニウム化合物を含有する溶液に浸漬して前記溶液を乾燥する工程であるか、或いは前記転写用基材上の前記粒子層をゲルマニウム化合物蒸気に暴露して乾燥する工程である請求項6記載の透明導電体の製造方法。
- 転写用基材の上面に透明導電性粒子と分散媒からなる塗布液を塗布し乾燥して粒子層を形成する工程と、
前記粒子層を上面に形成した前記転写用基材を圧縮処理して前記粒子層を圧縮層にする工程と、
前記転写用基材上の圧縮層を不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気下で200℃〜800℃の温度で加熱処理する工程と、
前記転写用基材上の前記圧縮層中の前記透明導電性粒子表面にゲルマニウム化合物を析出させる工程と、
前記転写用基材上の前記圧縮層に樹脂液を塗布して前記樹脂液を前記圧縮層中の前記透明導電性粒子間の空隙に含浸する工程と、
前記樹脂液を乾燥して前記圧縮層上に樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の上面に支持用透明基材を貼り合わせる工程と、
前記樹脂層に含まれる前記樹脂を硬化させて前記樹脂層付きの圧縮層を透明導電膜にする工程と、
前記転写用基材を前記透明導電膜から剥離して前記支持用透明基材上に前記透明導電膜を残存させた透明導電体を得る工程と
を含む透明導電体の製造方法。 - 前記ゲルマニウム化合物を析出させる工程が、前記転写用基材上の前記圧縮層にゲルマニウム化合物を含有する溶液を塗布して乾燥する工程であるか、前記転写用基材上の前記圧縮層をゲルマニウム化合物を含有する溶液に浸漬して前記溶液を乾燥する工程であるか、或いは前記転写用基材上の前記圧縮層をゲルマニウム化合物蒸気に暴露して乾燥する工程である請求項8記載の透明導電体の製造方法。
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