以下、本発明の液体吐出装置を高圧洗浄機に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る高圧洗浄機10は、洗浄機本体11と、洗浄機本体11に設けられたポンプ12と、ポンプ12に供給する洗浄液を貯留するタンク13と、ポンプ12を駆動するブラシレスモータ14と、ブラシレスモータ14を制御する制御部15と、ブラシレスモータ14に電力を供給する電池パック16と、を有する。また、ポンプ12から吐出された洗浄液を洗浄ガン17に供給するホース18が設けられている。
タンク13は、洗浄機本体11の上部に配置されており、タンク13は、洗浄機本体11に対して着脱可能である。タンク13に注入される洗浄液は、水、界面活性剤を含む水のいずれでもよい。ポンプ12は、ブラシレスモータ14の回転力で動作する動作部材と、タンク13に接続された吸入口12aと、流路12cに接続された吐出口12bと、を備えている。流路12cはホース18に接続される。ポンプ12は、例えばプランジャポンプを用いることが可能である。ポンプ12は、プランジャが往復動作して洗浄液の吸入及び吐出を行う。
洗浄ガン17は、ポンプ12から吐出された洗浄液を噴射する噴射装置である。洗浄ガン17は、ガン本体19と、ガン本体19に取り付けられたノズル20と、ガン本体19内に設けられ、かつ、ホース18とノズル20とを接続する流路21と、流路21に設けたバルブ22と、バルブ22を開閉するトリガ23と、を備えている。トリガ23は、作業者により操作される。トリガ23に操作力が加えられていない場合は、バルブ22は流路21を遮断し、洗浄液はノズル20から吐出されない。トリガ23に操作力が加えられるとバルブ22は流路21を開放し、洗浄液がノズル20から吐出される。トリガ23に操作力が加えられていない場合を、トリガ23のオフと呼ぶ。トリガ23に操作力が加えられている場合を、トリガ23のオンと呼ぶ。
電池パック16は、洗浄機本体11に対して着脱可能であり、電池パック16は、収容ケース内に電池セルを複数収容したものである。電池セルは、充電及び放電を繰り返し行える二次電池、例えば、リチウムイオン電池を含む。
ブラシレスモータ14は、直流モータの一種であり、ブラシレスモータ14は、ステータ14aとロータ14bとを備えている。ステータ14aは、U相,V相,W相に対応する3本のコイルU1,V1,W1を備えており、ステータ14aは回転しない。ステータ14aは環状に配置されており、ロータ14bは、ステータ14aの内側に回転可能に配置されている。ロータ14bの外周面に、円周方向に間隔をおいて、複数の永久磁石14cが取り付けられている。複数の永久磁石14cは、極性が異なる複数種類の永久磁石14cを含み、極性が異なる永久磁石14c同士が交互に配置されている。さらに、ロータ14bの回転力をプランジャに伝達する動力伝達機構が設けられている。
図2は、高圧洗浄機10の制御系統を示すブロック図である。洗浄機本体11に操作パネル24が設けられており、操作パネル24は、圧力設定ダイヤル25と残量表示部26と主電源スイッチ27とを備えている。作業者は、圧力設定ダイヤル25を操作し、洗浄液の吐出圧力を設定することができる。残量表示部26は、電池パック16の残量、つまり電圧を表示する。作業者は、主電源スイッチ27のオンとオフとを切り替え操作して、高圧洗浄機10の起動及び停止を選択する。主電源スイッチ27は、公知のタクタイルスイッチを用いることができる。
また、ブラシレスモータ14のロータ14bの回転位置を検出するホールIC28a〜28cが設けられている。ホールIC28a〜28cは、U相,V相,W相に対応させて、ロータ14bの回転方向で異なる位置に3個設けられている。ホールIC28a〜28cは、ロータ14bに接触しない非接触式のセンサであり、ホールIC28a〜28cは、ロータ14bに取り付けた永久磁石14cが形成する磁界を検出し、かつ、磁界の大きさに応じた信号を出力する磁気センサである。
制御部15は、ステータ14aを構成する3本のコイルU1,V1,W1に供給する駆動電流を制御するためのインバータ回路29を有する。インバータ回路29は、コイルU1,V1,W1に供給する駆動電流を制御する。インバータ回路51は、3相フルブリッジインバータ回路であり、直列に接続された2つのスイッチング素子29a,29bと、直列に接続された2つのスイッチング素子29c,29dと、直列に接続された2つのスイッチング素子29e,29fとを有する。3つのスイッチング素子29a,29c,29eは、電池パック16の正極16aに接続され、3つのスイッチング素子29b,29d,29fは、電池パック16の負極16bに接続される。電池パック16の正極16aに接続される3つのスイッチング素子29a,29c,29eは、ハイサイド側となっており、電池パック16の負極16bに接続される3つのスイッチング素子29b,29d,29fは、ロウサイド側となっている。
スイッチング素子29aとスイッチング素子29bとの間には、コイルU1の一方の接続端子が接続される。スイッチング素子29cとスイッチング素子29dとの間には、コイルV1の一方の接続端子が接続される。スイッチング素子29eとスイッチング素子29fとの間には、コイルW1の一方の接続端子が接続される。それぞれのコイルU1,V1,W1の他方の接続端子は、相互に接続されており、各コイルU1,V1,W1はスター結線となっている。なお、コイルU1,V1,W1の結線方式は、デルタ結線でもよい。例えば、ハイサイド側のスイッチング素子29aと、ロウサイド側のスイッチング素子29dとにゲート信号がオンされると、コイルU1,V1に電流が供給される。それぞれのスイッチング素子29a〜29fに通電されるゲート信号のタイミングを調整することにより、各コイルU1,V1,W1に供給する電流値が制御される。
また、制御部15は、ドライバ回路30を有し、ドライバ回路30は、インバータ回路29のスイッチング素子29a〜29fをそれぞれオンオフするゲート信号を出力する。さらに、制御部15は、マイクロコンピュータ31を備えている。マイクロコンピュータ31は、入力ポート及び出力ポート、記憶部、演算部を備えており、圧力設定ダイヤル25から出力された信号、ホールIC28a,28b,28cから出力された信号が、マイクロコンピュータ31に入力される。
さらに、流路12cの圧力を検出する圧力検出スイッチ32が設けられている。流路21は、流路12cに接続されており、流路21の圧力は、流路12cの圧力と同じである。圧力検出スイッチ32は、洗浄機本体11に設けられている。圧力検出スイッチ32は、例えば、ダイヤフラムを備えたスイッチであり、圧力検出スイッチ32は、流路12cの圧力が第1の所定圧未満ではオンされ、流路12cの圧力が上昇して第1の所定圧以上になると、オンからオフに切り替わる。第1の所定圧は、圧力検出スイッチ32がオンからオフに切り替わる圧力範囲の上限値である。
これに対して、圧力検出スイッチ32は、流路12cの圧力が低下して第2の所定圧以下になると、オフからオンに切り替わる。第2の所定圧は、圧力検出スイッチ32がオフからオンに切り替わる圧力範囲の下限値である。第1の所定圧は第2の所定圧よりも高圧であり、例えば、第1の所定圧は5.0[MPa]であり、第2の所定圧は3.5[MPa]である。第1の所定圧と第2の所定圧との差は、ヒステリシスである。圧力検出スイッチ32は、オンとオフとが切り替わる特性にヒステリシスがある理由は、流路12cの圧力が微小量変動して、オンとオフとで頻繁に切り替わることを防止するためである。圧力検出スイッチ32はオンまたはオフに対応する検出信号を出力し、圧力検出スイッチ32から出力された信号は、マイクロコンピュータ31に入力される。
制御部15は、電池パック16からインバータ回路29に電力を供給する電気回路E1に設けた電流検出抵抗33を有する。制御部15は電流検出回路34を有し、電流検出回路34は、電流検出抵抗33の電圧降下から、ステータ14aのコイルU1,V1,W1に供給される電流値を検出し、検出結果に応じた信号をマイクロコンピュータ31へ出力する。さらに、制御部15は、電池パック16とインバータ回路29との間に接続した制御系電源回路35を備え、制御系電源回路35は、電池パック16の電圧をマイクロコンピュータ31の駆動電圧に変換して供給する。
さらに、制御部15は、主電源スイッチ27から出力された信号が入力される電源オンオフ回路36を備え、電源オンオフ回路36は、入力された信号に基づいて制御系電源回路35を制御する。また、マイクロコンピュータ31からは、電源オンオフ回路36から制御系電源回路35に入力される信号を維持する信号が入力される。マイクロコンピュータ31は、電池パック16の電圧を検出し、電池パック16の電圧を検出した結果を示す信号を残量表示部26に出力する。
さらに、制御部15は、電気回路E1において電池パック16からインバータ回路29に至る経路に設けたモータ動作停止回路37を備えている。モータ動作停止回路37は半導体スイッチを有し、モータ動作停止回路37は、制御系電源回路35から入力される信号により、電池パック16の電力をブラシレスモータ14に供給する電気回路E1をオンまたはオフする。モータ動作停止回路37は、制御系電源回路35から入力される信号の他、圧力検出スイッチ32からマイクロコンピュータ31を介さずに入力される信号により、オン及びオフが切り替えられる。モータ動作停止回路37は、圧力検出スイッチ32から入力されるオフ信号でオフされ、モータ動作停止回路37は、圧力検出スイッチ32から入力されるオン信号でオンされる。
さらに、電池パック16とブラシレスモータ14とを接続する電気回路E1であって、モータ動作停止回路37と電池パック16との間にヒューズ38が設けられている。ヒューズ38は、定格以上の大電流から電気回路E1を保護する電子部品である。なお、マイクロコンピュータ31の記憶部には、各種のデータが記憶されている。記憶部に記憶されるデータは、圧力設定ダイヤル25の操作で設定される目標圧とブラシレスモータ14のロータ14bの回転数との関係を表すマップを含む。圧力設定ダイヤル25の操作で設定される目標圧は、第2の所定圧である3.5[MPa]よりも低く、目標圧は、例えば、0.5〜2.0[MPa]の範囲内に設定可能である。
また、記憶部に記憶されるデータは、ブラシレスモータ14のロータ14bの回転数と、スイッチング素子29a〜29fのオン割合であるデューティ比と、の関係を表すマップを含む。さらに、記憶部に記憶されるデータは、圧力設定ダイヤル25の操作で設定される目標圧と、ブラシレスモータ14に供給される電流値との関係を表すマップを含む。
なお、図1のように洗浄ガン17にトリガスイッチ39を設け、トリガスイッチ39の信号がマイクロコンピュータ31に入力されるように構成してもよい。この場合、トリガ23に操作力が加えられると、トリガスイッチ39はオンされ、トリガ23に操作力が加えられていなければトリガスイッチ39はオフされるようにする。この場合、トリガスイッチ39の信号は、無線によりマイクロコンピュータ31に送られる。また、トリガスイッチ39の信号を送るケーブルをホース18に設けてもよい。そして、ホース18を吐出口12bに接続すると、ケーブルがマイクロコンピュータ31に接続される。
(制御例1)
上記構成の高圧洗浄機10で実行される制御例1を、図3のフローチャートを参照して説明する。制御部15は、ステップS1で作業者が主電源スイッチ27がオンしたことを検出すると、電池パック16の電力が制御系電源回路35を経由してマイクロコンピュータ31に供給され、マイクロコンピュータ31が起動する。また、制御系電源回路35からモータ動作停止回路37に信号が入力され、モータ動作停止回路37が電気回路E1をオンする。
さらに、制御部15は、ステップS2において、圧力設定ダイヤル25の操作により設定された目標圧、あるいはモータ回転数を検出する。また、制御部15は、ステップS3において、圧力検出スイッチ32がオフされているか否かを判断する。制御部15は、ステップS3でNoと判断すると、ステップS4でブラシレスモータ14を駆動する制御を実行する。マイクロコンピュータ31からドライバ回路30に信号が入力され、ドライバ回路30から出力される信号により、インバータ回路29のスイッチング素子29a〜29fがそれぞれオンオフされ、電池パック16の電力がインバータ回路29を介してステータ14aのコイルU1,V1,W1に供給されて回転磁界が形成され、ロータ14bが回転する。このように、ブラシレスモータ14が駆動される。
その後、制御部15は、ステップS5でノズル20から洗浄液が吐出されているか否かを判断する。トリガ23を操作している場合、制御部15は、ステップS5でYesと判断し、ステップS10において、流路12cの圧力が目標の圧力を維持するように、ブラシレスモータ14を制御し、ステップS2に戻る。
制御部15は、流路12cの圧力を目標の圧力とするためにロータ14bの目標回転数を求め、ロータ14bの実回転数を目標回転数に近づけるように、ロータ14bの実回転数をフィードバック制御する。具体的には、インバータ回路29を構成する複数のスイッチング素子29a〜29fをオンする割合であるデューティ比を制御する。デューティ比を高めると、ロータ14bの実回転数が上昇する。デューティ比を低下させると、ロータ14bの実回転数が低下する。また、制御部15は、ロータ14bの回転位置に基づいて、スイッチング素子29a〜29fをオンするタイミングを決定する。このように、制御部15は、流路12cの圧力が、一旦5.0[MPa]となるように、ブラシレスモータ14に供給される電流値を制御する。
一方、ノズル20から洗浄液が吐出されていない場合、つまり、トリガ23を操作していない場合、制御部15は、ステップS5でNoと判断し、ステップS6の処理を実行し、ステップS2に戻る。ステップS6では、ブラシレスモータ14が駆動されており、流路12cの圧力が上昇する。そして、制御部15がブラシレスモータ14を駆動して流路12cの圧力が上昇すると、再度、ステップS2を経てステップS3に進み、圧力が第1の所定圧5.0[MPa]を超えるとステップS3でYesと判断する。
すると、ステップS7で圧力検出スイッチ32のオフ信号がモータ動作停止回路37に送られ、モータ動作停止回路37が電気回路E1をオフし、ブラシレスモータ14が停止する。ブラシレスモータ14が停止されると、ステップS8に進み、流路12cの圧力は5.0[MPa]以下に保持される。そして、制御部15は、ステップS9に進み、ステップS7でブラシレスモータ14が停止してから、所定時間、例えば、10分が経過したか否かを判断する。制御部15は、ステップS9でNoと判断すると、ステップS2を経てステップS3に進む。
ブラシレスモータ14の停止後、トリガ23がオフされていても、洗浄液が漏れて流路12cの圧力が第2の所定圧3.5[MPa]まで低下すると、第3回目のステップS3でNoと判断される。すると、再度、ステップS4を経由してステップS5に進む。ステップS5でトリガ23はオフであり洗浄液は吐出されていないためNoと判断されステップS6に進む。ステップS4でブラシレスモータ14が駆動されているためステップS6では圧力が上昇する。その後、再度、ステップS2を経由してステップS3に進む。ステップS6にて圧力が直ぐに第1の所定圧5.0[MPa]まで上昇するため、圧力検出スイッチ32はオンからオフに切り替わり、Yesと判断されてステップS7に進む。
さらに、制御部15は、ステップS9でYesと判断すると、ステップS11に進み、オートパワーオフ制御を実行する。オートパワーオフ制御は、制御系電源回路35を経由してマイクロコンピュータ31に供給される電流を遮断する制御である。なお、制御部15は、作業者が主電源スイッチ27をオフした場合も、制御系電源回路35がモータ動作停止回路37をオフし、かつ、マイクロコンピュータ31への供給電圧を遮断する。なお、トリガスイッチ39を設けた場合には、ステップS5においてノズル20から洗浄液が吐出されているか否かを制御部15がトリガスイッチ39の信号から間接的に判断するように構成してもよい。また、マイクロコンピュータ31への供給電圧を遮断しなくてもよく、この場合は、電池パック16の電池セルの残量、つまり、電圧を検出し、その電圧を残量表示部26で表示する。
図3のフローチャートに対応するタイムチャートの例を、図4を参照して説明する。
まず、時刻t1以前において、主電源スイッチ27はオフされ、ブラシレスモータ14に供給される電流値のデューティ比は0%であり、トリガ23はオフされ、流路12cの圧力は0[MPa]であり、圧力検出スイッチはオフされ、ノズル20から洗浄液は吐出されていない。
時刻t1において、主電源スイッチ27がオンされ、流路12cの圧力が変化して圧力検出スイッチ32がオフからオンに切り替わり、かつ、デューティ比が0%から上昇してブラシレスモータ14が回転を開始し、ポンプ12が駆動する。トリガ23はオフされているため、流路12cの圧力は、時刻t1以降に上昇する。時刻t2でデューティ比は100%になり、時刻t2以降、デューティ比は100%に維持される。
時刻t3で、流路12cの圧力が5.0[MPa]になると、圧力検出スイッチ32がオンからオフに切り替わり、モータ動作停止回路37がオフされて、デューティ比が0%となる。つまり、ブラシレスモータ14は停止する。
時刻t3以降、トリガ23はオフされているが、洗浄液が漏れて流路12cの圧力が低下している。時刻t4でトリガ23がオンされて洗浄液がノズル20から吐出されると、流路12cの圧力が急激に低下して3.5[MPa]以下になり、圧力検出スイッチ32がオフからオンに切り替わる。このため、時刻t4でモータ動作停止回路37がオンされ、かつ、時刻t4以降、デューティ比が上昇している。また、時刻t4以降、ノズル20から洗浄液が吐出されている間、ブラシレスモータ14に供給される電流値は一定に制御され、流路12cの圧力は目標圧、例えば2.0[MPa]に保持される。
時刻t5でトリガ23がオフされてノズル20から洗浄液が吐出されなくなると、流路12cの圧力は上昇する。流路12cの圧力が、時刻t6で5.0[MPa]まで上昇すると、圧力検出スイッチ32がオンからオフに切り替わり、モータ動作停止回路37がオフされて、デューティ比が100%から0%に切り替わる。
時刻t6以降は、トリガ23がオフされているが、洗浄液が漏れて流路12cの圧力が低下している。時刻t7で流路12cの圧力が3.5[MPa]まで低下すると、圧力検出スイッチ32がオフからオンに切り替わる。このため、時刻t7でモータ動作停止回路37がオンされ、かつ、時刻t7以降、デューティ比が上昇している。また、時刻t7以降、トリガ23はオフされており、流路12cの圧力は上昇する。
さらに、流路12cの圧力が、時刻t8で5.0[MPa]まで上昇すると、圧力検出スイッチ32がオンからオフに切り替わり、モータ動作停止回路37がオフされて、デューティ比が100%から0%に切り替わる。時刻t8以降は、洗浄液が漏れて流路12cの圧力が低下している。そして、流路12cの圧力が3.5[MPa]を超えている時刻t9で主電源スイッチ27がオフされている。
上記のように、本実施形態の高圧洗浄機10は、圧力検出スイッチ32の信号を、マイクロコンピュータ31を迂回させてモータ動作停止回路37に入力し、モータ動作停止回路37のオンとオフとを切り替えることができる。したがって、制御部15は、ブラシレスモータ14のロータ14bが回転され、かつ、マイクロコンピュータ31によりロータ14bの回転数が制御されている場合に、モータ動作停止回路37をオフしてブラシレスモータ14のロータ14bを停止できる。
このため、高圧洗浄機10は、ブラシレスモータ14のロータ14bが回転している場合に、マイクロコンピュータ31がノイズ、熱暴走等で正常に動作しなくなると、モータ動作停止回路37をオフして、ロータ14bを停止できる。つまり、マイクロコンピュータ31またはインバータ回路29がフェールした場合に、ブラシレスモータ14を停止させるためのフェールセーフとして、モータ動作停止回路37を用いることができる。
さらに、高圧洗浄機10は、ブラシレスモータ14の回転数を制御することにより、ノズル20から吐出される洗浄液の吐出圧を制御できる。このため、流路12cの圧力を制御する圧力制御機構、例えば、リリーフバルブを設けずに済む。したがって、高圧洗浄機10の構造の簡易化、高圧洗浄機10の小型化を図ることができ、製造コストを低減できる。
(制御例2)
次に、高圧洗浄機10で実行可能な制御例2を、図5に基づいて説明する。図5のフローチャートは、圧力が第2の所定圧3.5[MPa]まで低下しブラシレスモータ14が起動する際に行われる制御例である。制御例2の趣旨は、停止しているブラシレスモータ14のロータ14bを回転するにあたり、ロータ14bの負荷に応じて、ブラシレスモータ14に供給する電流値を制御する。
まず、制御部15は、ステップS21において主電源スイッチ27がオンされていることを検出し、ステップS22において、「ウェイトフラグ=0」とする処理を実行する。ウェイトフラグは、ブラシレスモータ14の停止条件が成立しているか否か、すなわちブラシレスモータ14に電流を流してもよいか否かを判断する変数である。「ウェイトフラグ=0」は、ブラシレスモータ14の停止条件が不成立であることを意味する。これは、ブラシレスモータ14に電流を流してもよいことを意味する。
圧力検出スイッチ32がオフされ、かつ、トリガ23がオフされた状態で時間が経過すると、洗浄液の漏れにより、圧力検出スイッチ32で検出される圧力が低下する。制御部15は、ステップS22の処理に次ぐステップS23において、圧力検出スイッチ32がオンされているか否かを判断する。
制御部15は、ステップS23でNoと判断すると、ステップS24に進み、インバータ回路29のスイッチング素子29a〜29fを制御するゲート信号をオフする処理を実行し、ステップS23に戻る。このため、ブラシレスモータ14は停止した状態に維持される。
制御部15は、ステップS23でYesと判断すると、ステップS15において、「ウェイトフラグ=1」であるか否かを判断する。「ウェイトフラグ=1」は、ブラシレスモータ14の停止条件が成立していることを意味する。つまり、ブラシレスモータ14に電流が流れていないことを意味する。前記ステップS22で「ウェイトフラグ=0」とする処理が行われているため、制御部15はステップS25でNoと判断し、ステップS26に進み、ドライバ回路30から、インバータ回路29のスイッチング素子29a〜29fに入力されるゲート信号をオンする。
つまり、制御部15は、コイルU1,V1,W1に電圧を印加し、ブラシレスモータ14のロータ14bで回転力を発生させる。なお、ステップS26の制御により、ロータ14bで発生する回転力は、流路12cの圧力が2.0[MPa]を超えていると、ロータ14bが回転しない低い値である。
制御部15は、ステップS26に次ぐステップS27において、ホールIC28a,28b,28cから出力される信号が、50[ms]以上の時間に亘り変化していないか否かを判断する。制御部15は、ステップS27でYesと判断すると、ステップS28に進み、コイルU1,V1,W1に供給される電流値が、所定値以上であるか否かを判断する。ステップS28で用いられる所定値は、例えば、ブラシレスモータ14の耐久性、耐熱性等の条件に基づき、実験、シミュレーションを行って求めた値である。具体的に説明すると、所定値は、流路12cが開かれている状態で、流路12cの実際の圧力を、圧力設定ダイヤル25の操作により設定される目標圧の最大値2.0[MPa]に維持するために、ブラシレスモータ14に供給される電流値以上の値である。
制御部15は、コイルU1,V1,W1に供給される電流値から、ブラシレスモータ14の負荷を判断する。ブラシレスモータ14の負荷は、ロータ14bの回転を妨げようとする抵抗であり、本実施形態では、流路12cの圧力を、ブラシレスモータ14の負荷として把握する。つまり、流路12cの圧力が高いほど、ブラシレスモータ14の負荷が大きいことになる。コイルU1,V1,W1に供給される電流値は、電流検出回路34で検出される。制御部15は、ステップS28の判断を行い、コイルU1,V1,W1に供給される電流値から、流路12cの圧力を間接的に検出できる。
制御部15は、ステップS28でYesと判断すると、ステップS29に進み、ブラシレスモータ14のロータ14bが回転していないと判断する。また、制御部15は、ステップS29に次ぐステップS30において、ドライバ回路30からスイッチング素子29a〜29fに入力されるゲート信号をオフする処理を実行する。制御部15は、ステップS30に次ぐステップS31において、「ウェイトフラグ=1」とする処理を実行する。
制御部15は、ステップS31に次ぐステップS32において、ゲート信号をオフしてから、連続で所定時間1[s]が経過したか否かを判断する。制御部15は、ステップS32でYesと判断すると、ステップS33に進み、「ウェイトフラグ=0」とする処理を実行し、ステップS23に戻る。
制御部15は、ステップS27またはステップS28またはステップS32でNoと判断した場合は、ステップS23に戻る。なお、制御部15は、ステップS32でNoと判断してから再度ステップS25に進み、そのステップS25でYesと判断すると、ステップS29に進む。
さらに、制御部15は、ステップS27でNoと判断し、かつ、トリガ23がオンされていると、ステップS23〜ステップS27を繰り返す処理を実行する。つまり、流路12cの圧力が目標圧となるように、ブラシレスモータ14に供給する電流値をフィードバック制御する。
制御例2に対応するタイムチャートを図6に基づいて説明する。図6に示すタイムチャートは、圧力検出スイッチがオンからオフに切り替わり、かつ、ブラシレスモータ14が停止された時点以降において、制御部15の制御に関連するパラメータの経時変化を示す。
時刻t11では、トリガ23はオフされており、流路12c内の圧力が5.0[MPa]であるため、圧力検出スイッチ32はオフされ、モータ動作停止回路37は電気回路E1をオフしている。このため、時刻t11では、ブラシレスモータ14に電流は供給されず、ブラシレスモータ14は停止している。
時刻t11以降、トリガ23はオフされているが、洗浄液が漏れて流路12c内の圧力は低下している。流路12c内の圧力が3.5[MPa]を超えている間は、圧力検出スイッチ32がオフされている。このため、モータ動作停止回路37はオフされており、ブラシレスモータ14に電流は供給されない。
その後、流路12c内の圧力が、時刻t12で3.5[MPa]以下になると、圧力検出スイッチ32がオンされ、かつ、モータ動作停止回路37がオンされる。また、時刻t12以降は、制御部15がゲート信号をオンし、ブラシレスモータ14のコイルU1,V1,W1に電流が供給される。つまり、ロータ14bに回転力が生じる。ロータ14bの負荷が大きいと、ブラシレスモータ14のコイルU1,V1,W1に供給される電流値は閾値以上となる。この閾値は、ステップS28の判断で用いる所定値に相当する。所定値に相当する電流値は、流路12cを目標圧とするためにブラシレスモータ14に供給する電流値以上である。
しかし、時刻t12から時間が50[ms]経過した時刻t13までの間、ホールIC28,28b,28cの信号は変化していない。つまり、ロータ14bで回転力は発生するが、その回転力は、流路12cの圧力が2.0[MPa]以上であるとロータ14bが回転できない値であるため、ロータ14bは回転しない。このため、時刻t13以降は、ゲート信号がオフされ、ブラシレスモータ14のコイルU1,V1,W1に電流が供給されなくなる。
また、時刻t13から時間が1[s]経過した時刻t14において、ゲート信号がオンされ、再度、ブラシレスモータ14のコイルU1,V1,W1に電流が供給される。コイルU1,V1,W1に供給される電流値は、所定値以上となる。しかし、時刻t14から時間が50[ms]経過した時刻t15までの間、ホールIC28,28b,28cの信号は変化していない。つまり、ロータ14bは回転していない。このため、時刻t15以降は、ゲート信号がオフされ、コイルU1,V1,W1に電流が供給されない。
さらに、時刻t15から時間が1[s]経過した時刻t16において、ゲート信号がオンされ、コイルU1,V1,W1に電流が供給される。コイルU1,V1,W1に供給される電流値は、所定値以上である。しかし、時刻t16から時間が50[ms]経過した時刻t17までの間、ホールIC28,28b,28cの信号は変化していない。つまり、ロータ14bは回転していない。このため、時刻t17以降は、ゲート信号がオフされ、コイルU1,V1,W1に電流が供給されない。
上記の時刻t12から時刻t17までの間、トリガ23はオフされているが、洗浄液が漏れて流路12cの圧力は低下している。そして、作業者が時刻t18でトリガ23がオンされている。図6のタイムチャートでは、時刻t12〜時刻t18の間、図5のステップS23〜ステップS33を繰り返していることになる。つまり、制御部15は、時刻t18以前のように、トリガ23が操作されていない場合において流路12cの圧力が2.0[MPa]以上であると、ブラシレスモータ14の回転を禁止する。すなわち、ブラシレスモータ14が回転できない程度の回転力を発生させる。
時刻t18でトリガ23がオンされると、洗浄液はノズル20から噴射され、流路12cの圧力が急激に低下する。このため、コイルU1,V1,W1に電流が供給されてブラシレスモータ14のロータ14bが回転し、流路12cの圧力が上昇する。流路12cの圧力は、圧力設定ダイヤル25で設定された目標圧、例えば、2.0[MPa]に制御される。また、時刻t18以降、流路12cの圧力は2.0[MPa]に制御されるため、ロータ14bの負荷は所定値未満である。つまり、ブラシレスモータ14のコイルU1,V1,W1に供給される電流値は閾値未満である。このように、制御部15は、流路12cの圧力が目標圧未満であると、ブラシレスモータ14の回転を許容する。
トリガ23が時刻t19でオフされ、バルブ22が閉じられてノズル20から洗浄液が噴射されなくなる。つまり、ブラシレスモータ14は回転を継続しているため、流路12cの圧力は、時刻t19以降上昇し、流路12cの圧力が時刻t20で5.0[MPa]に到達すると、圧力検出スイッチ32がオフされ、かつ、モータ動作停止回路37もオフされる。このため、時刻t20以降は、コイルU1,V2,W1に電流が供給されず、ブラシレスモータ14は停止する。したがって、ホールIC28a,28b,28cの信号は、時刻t20以降において変化しない。
以上のように、制御部15が制御例2を実行すると、圧力検出スイッチ32がオフされてブラシレスモータ14を停止した後、流路12cの圧力が3.5[MPa]以下になると、圧力検出スイッチ32がオンされ、かつ、インバータ回路29の制御により、一旦、ブラシレスモータ14のコイルU1,V1,W1に電流が供給される。
ブラシレスモータ14のコイルU1,V1,W1に電流が供給されてロータ14bに回転力が発生した状態で、ロータ14bの負荷が大きい場合、例えば、流路12cの圧力が目標圧以上、つまり、2.0[MPa]以上である場合は、コイルU1,V1,W1に電流を流すことを止める。つまり、ブラシレスモータ14のロータ14bの回転を禁止する。
これに対して、ブラシレスモータ14のコイルU1,V1,W1に電流が供給されてロータ14bに回転力が発生した状態で、流路12cの圧力が2.0[MPa]未満でありロータ14bの負荷が小さい場合は、ブラシレスモータ14のロータ14bの回転を許容する。つまり、コイルU1,V1,W1に電流を継続して供給し、ロータ14bを回転させる。このため、停止しているブラシレスモータ14を回転させる場合に、コイルU1,V1,W1に大電流が供給されることを防止できる。したがって、ブラシレスモータ14の耐久性、耐熱性が低下することを防止できる。さらに、制御部15は、コイルU1,V1,W1に供給される電流値に基づいて、ロータ14bの回転を許容するか停止させておくかを判断する。このため、圧力検出スイッチ32の信号の有無に関わらず、ブラシレスモータ14のロータ14bの回転数を制御できる。
つまり、制御部15が実行する制御例2は、流路12cの圧力が、圧力検出スイッチ32がオンされる圧力である3.5[MPa]以下であっても、コイルU1,V1,W1に電流を供給した場合にロータ14bの負荷が相対的に高いと、コイルU1,V1,W1に対する電流の供給を遮断する。これに対して、制御部15が実行する制御例2は、流路12cの圧力が、圧力検出スイッチ32がオンされる圧力である3.5[MPa]以下であり、かつ、コイルU1,V1,W1に電流を供給した場合のロータ14bの負荷が相対的に低いと、コイルU1,V1,W1に対する電流の供給を継続する。
また、制御部15が制御例2を実行する場合も、マイクロコンピュータ31の機能によらず、圧力検出スイッチ32のオフにより、モータ動作停止回路37をオフすることができる。なお、制御部15は、制御例1と制御例2とを、別々に実行してもよいし、制御例1と制御例2とを組み合わせて実行してもよい。制御部15は、制御例1と制御例2とを組み合わせて実行する場合、制御例1のステップS7でブラシレスモータ14が停止され、その後、ステップS3を経てステップS4に進む場合に、制御例2をサブルーチンとして実行することが可能である。また、制御部15は、ステップS28において、ブラシレスモータ14に流れる電流値ではなくブラシレスモータ14の回転数から負荷状態を判別するように構成することも可能である。
本実施形態で説明した構成と、本発明の構成との対応関係を説明する。5.0[MPa]が、本発明における第1の所定圧に相当し、3.5[MPa]が、第2の所定圧に相当し、2.0[MPa]が、本発明における第3の所定圧に相当する。制御部15が、図6のタイムチャートの時刻t12〜時刻t18の間において、ブラシレスモータ14の回転を禁止することが、本発明における第1処理に相当する。制御部15が、図6のタイムチャートの時刻18以降でブラシレスモータ14の回転を許容する処理が、本発明における第2処理に相当する。
制御部15が、本発明における制御部、電力供給部、負荷検出部に相当し、圧力検出スイッチ32が、本発明における圧力検出部に相当し、ホールIC28a〜28cが、本発明における回転位置検出部に相当し、電流検出回路34が、本発明における電流検出部に相当する。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明の液体吐出装置は、ポンプに吸入された液体を加圧して吐出する装置であり、本発明の液体吐出装置は、対象物の汚れを除去する高圧洗浄機の他、水を霧状にして畑に散布する噴霧装置、薬液を霧状にして、野菜または植木に散布して害虫を駆除する噴霧装置を含む。つまり、本発明において、ポンプから吐出される液体は、水、洗浄液、薬液を含む。
本発明において、電動モータに電流を供給する電源としての二次電池を備えている。すなわち、実施形態に係る洗浄機は携帯型である。二次電池は、リチウムイオン電池以外の電池、例えば、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池であってもよい。本発明の液体吐出装置は、二次電池および交流電源の双方から、電動モータに電流を供給可能な構造を含む。また、本発明の液体吐出装置は、交流電源のみから電動モータに電流を供給可能な構造を含む。
さらに、本発明の液体吐出装置は、タンク内の液体をポンプで吸入する構造の他、水道の蛇口から供給された水をポンプで吸い込む構造を含む。さらに、電動モータは、直流ブラシレスモータ、交流ブラシレスモータのいずれでもよい。電動モータに交流電源の電力を供給する電力供給機構を設けることも可能である。圧力検出スイッチは、洗浄ガンに設けられていてもよい。この場合、洗浄ガンに設けられた圧力検出スイッチと、洗浄機本体に設けた制御部との間で信号を行き来させる信号ケーブルが設けられる。信号ケーブルは、例えば、ホースと一緒に束ねてもよい。さらに、無線で信号を送る構成を採用してもよい。吐出圧設定部は、ダイヤル、タッチパネル、レバーを含む。圧力検出部は、ダイヤフラムを備えた圧力センサの他、ブルドン管を備えた圧力センサ、ベローズを備えた圧力センサを含む。また、圧力検出部は、洗浄液の圧力が第1の所定圧以上でオンされ、第2の所定圧以下でオフされる構成であってもよい。第1の所定圧は第2の所定圧よりも高い。つまり、圧力検出部は、洗浄液の圧力が第1の所定圧以上である場合と、第2の所定圧以下である場合とで、異なる信号を出力し、かつ、モータ動作停止回路をオンオフできればよい。