JP6446785B2 - アルミニウム合金鋳物及びその製造方法 - Google Patents
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まず、第1の形態に係るアルミニウム合金鋳物について詳細に説明する。本形態のアルミニウム合金鋳物は、質量比で、Siを6.00%以上7.50%以下、Mgを0.20%未満含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるものである。
Si(ケイ素)は、鋳造性の改善や伸びの改善に大きな効果がある元素である。Siの含有量が6.00%未満では、合金溶湯の湯流れ性が悪く、優れた鋳造性を有するものとならない。一方、Siの含有量が7.50%を超えると、アルミニウム合金鋳物の伸びが十分なものとならない。したがって、Siの含有量は6.00%以上7.50%以下であることを要する。
Mg(マグネシウム)は、アルミニウム合金の母相中に固溶すると共に、Siと化合してMg2Siを形成して強度を向上させる一方で、伸びの低下要因となる。特に、Mgの含有量が0.20%以上では、自然時効によって伸びが低下し、優れた高延性を確保できなくなる。したがって、Mgの含有量は0.20%未満であることを要する。
鋳造用合金インゴットには、リサイクルの関係でリターン材を混入させる場合が多いため、本形態のアルミニウム合金鋳物においては、アルミニウム及び合金元素(Si、Mg)の他に不可避不純物が含まれていてもよい。不可避不純物としては、例えば、Zr(ジルコニウム)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Sr(ストロンチウム)、Cu(銅)、P(リン)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、Pb(鉛)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、B(ホウ素)、Sb(アンチモン)、Ca(カルシウム)、Na(ナトリウム)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、本形態のアルミニウム合金鋳物においては、Zrは、Zrの含有量が0.05%未満であれば、不可避不純物とみなす。また、本形態のアルミニウム合金鋳物においては、Mnは、Mnの含有量が0.15%未満であれば、不可避不純物とみなす。
次に、第2の形態に係るアルミニウム合金鋳物について詳細に説明する。本形態のアルミニウム合金鋳物は、質量比で、Siを6.00%以上7.50%以下、Mgを0.20%未満、Zrを0.05%以上0.20%以下含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるものである。
Si(ケイ素)は、鋳造性の改善や伸びの改善に大きな効果がある元素である。Siの含有量が6.00%未満では、合金溶湯の湯流れ性が悪く、優れた鋳造性を有するものとならない。一方、Siの含有量が7.50%を超えると、アルミニウム合金鋳物の伸びが十分なものとならない。したがって、Siの含有量は6.00%以上7.50%以下であることを要する。
Mg(マグネシウム)は、アルミニウム合金の母相中に固溶すると共に、Siと化合してMg2Siを形成して強度を向上させる一方で、伸びの低下要因となる。特に、Mgの含有量が0.20%以上では、自然時効によって伸びが低下し、優れた高延性を確保できなくなる。したがって、Mgの含有量は0.20%未満であることを要する。
Zr(ジルコニウム)は、耐力の向上に大きな効果がある元素である。Zrの含有量が0.05%未満では、耐力の向上効果が小さく、より優れた耐力を有するものとならない。一方、Zrの含有量が0.20%を超えると、アルミニウム合金鋳物の伸びが低下して、十分なものとならない。したがって、Zrの含有量は0.05%以上0.20%以下であることを要する。
鋳造用合金インゴットには、リサイクルの関係でリターン材を混入させる場合が多いため、本形態のアルミニウム合金鋳物においては、アルミニウム及び合金元素(Si、Mg、Zr)の他に不可避不純物が含まれていてもよい。不可避不純物としては、例えば、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Sr(ストロンチウム)、Cu(銅)、P(リン)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、Pb(鉛)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、B(ホウ素)、Sb(アンチモン)、Ca(カルシウム)、Na(ナトリウム)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、本形態のアルミニウム合金鋳物においては、Mnは、Mnの含有量が0.15%未満であれば、不可避不純物とみなす。
次に、第3の形態に係るアルミニウム合金鋳物について詳細に説明する。本形態のアルミニウム合金鋳物は、質量比で、Siを6.00%以上7.50%以下、Mgを0.20%未満、Zrを0.05%以上0.20%以下、Moを0.20%以下、Tiを0.20%以下及びSrを0.01%以下からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を合計で0.40%以下含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるものである。
Si(ケイ素)は、鋳造性の改善や伸びの改善に大きな効果がある元素である。Siの含有量が6.00%未満では、合金溶湯の湯流れ性が悪く、優れた鋳造性を有するものとならない。一方、Siの含有量が7.50%を超えると、アルミニウム合金鋳物の伸びが十分なものとならない。したがって、Siの含有量は6.00%以上7.50%以下であることを要する。
Mg(マグネシウム)は、アルミニウム合金の母相中に固溶すると共に、Siと化合してMg2Siを形成して強度を向上させる一方で、伸びの低下要因となる。特に、Mgの含有量が0.20%以上では、自然時効によって伸びが低下し、優れた高延性を確保できなくなる。したがって、Mgの含有量は0.20%未満であることを要する。
Zr(ジルコニウム)は、耐力の向上に大きな効果がある元素である。Zrの含有量が0.05%未満では、耐力の向上効果が小さく、より優れた耐力を有するものとならない。一方、Zrの含有量が0.20%を超えると、アルミニウム合金鋳物の伸びが低下して、十分なものとならない。したがって、Zrの含有量は0.05%以上0.20%以下であることを要する。
Mo(モリブデン)やTi(チタン)、Sr(ストロンチウム)は、機械的特性の改善に大きな効果がある元素である。一方で、多量に入れると粗大な金属間化合物を形成することがある。そこで、Moの作用については不明であるが、Tiは結晶粒径を小さくでき、伸びを改善することができる含有量として個別で0.20%以下、Srは共晶Siを小さくでき、伸びを改善することができる含有量として個別で0.01%以下とすることを要し、合計で0.40%以下であることを要する。
鋳造用合金インゴットには、リサイクルの関係でリターン材を混入させる場合が多いため、本形態のアルミニウム合金鋳物においては、アルミニウム及び合金元素(Si、Mg、Zr、Mo、Ti、Sr)の他に不可避不純物が含まれていてもよい。不可避不純物としては、例えば、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、P(リン)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、Pb(鉛)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、B(ホウ素)、Sb(アンチモン)、Ca(カルシウム)、Na(ナトリウム)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、本形態のアルミニウム合金鋳物においては、Mnは、Mnの含有量が0.15%未満であれば、不可避不純物とみなす。
次に、第4の実施形態に係るアルミニウム合金鋳物について詳細に説明する。本実施形態のアルミニウム合金鋳物は、質量比で、Siを6.00%以上7.50%以下、Mgを0.20%未満、Zrを0.05%以上0.20%以下、Feを0.20%以下、Mnを0.15%以上0.80%以下、Moを0.20%以下、Tiを0.20%以下及びSrを0.01%以下からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を個別で合計で0.40%以下含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるものである。
Si(ケイ素)は、鋳造性の改善や伸びの改善に大きな効果がある元素である。Siの含有量が6.00%未満では、合金溶湯の湯流れ性が悪く、優れた鋳造性を有するものとならない。一方、Siの含有量が7.50%を超えると、アルミニウム合金鋳物の伸びが十分なものとならない。したがって、Siの含有量は6.00%以上7.50%以下であることを要する。
Mg(マグネシウム)は、アルミニウム合金の母相中に固溶すると共に、Siと化合してMg2Siを形成して強度を向上させる一方で、伸びの低下要因となる。特に、Mgの含有量が0.20%以上では、自然時効によって伸びが低下し、優れた高延性を確保できなくなる。したがって、Mgの含有量は0.20%未満であることを要する。
Zr(ジルコニウム)は、耐力の向上に大きな効果がある元素である。Zrの含有量が0.05%未満では、耐力の向上効果が小さく、より優れた耐力を有するものとならない。一方、Zrの含有量が0.20%を超えると、アルミニウム合金鋳物の伸びが低下して、十分なものとならない。したがって、Zrの含有量は0.05%以上0.20%以下であることを要する。
Fe(鉄)は、ダイカスト時の金型への焼付きを防止するのに有効な元素である。一方で、伸びや耐力の低下要因となる。特に、Feの含有量が0.20%を超える場合には、粗大なAl−Fe−Mn系金属間化合物が形成され、機械的特性や伸びを低下させる。したがって、Feの含有量は0.20%以下であることを要する。
Mn(マンガン)は、ダイカスト時の金型への焼付きを防止するのに有効な元素である。Mnの含有量が0.15%未満では、金型への焼付き防止効果が小さい。一方、Mnの含有量が0.80%を超えると、粗大なAl−Mn系、Al−Fe−Mn系金属間化合物が形成され、耐力や伸びを低下させる。したがって、Mn含有量は0.15%以上0.80%以下であることを要する。
Mo(モリブデン)やTi(チタン)、Sr(ストロンチウム)は、機械的特性の改善に大きな効果がある元素である。一方で、多量に入れると粗大な金属間化合物を形成することがある。そこで、Moの作用については不明であるが、Tiは結晶粒径を小さくでき、伸びを改善することができる含有量として個別で0.20%以下、Srは共晶Siを小さくでき、伸びを改善することができる含有量として個別で0.01%以下とすることを要し、合計で0.40%以下であることを要する。
鋳造用合金インゴットには、リサイクルの関係でリターン材を混入させる場合が多いため、本実施形態のアルミニウム合金鋳物においては、アルミニウム及び合金元素(Si、Mg、Zr、Mo、Ti、Sr、Fe、Mn)の他に不可避不純物が含まれていてもよい。不可避不純物としては、例えば、Cu(銅)、P(リン)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、Pb(鉛)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、B(ホウ素)、Sb(アンチモン)、Ca(カルシウム)、Na(ナトリウム)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
表1に示す合金元素及びアルミニウムを含む原料を溶解して合金溶湯を得、350tの高真空ダイカスト装置を使用して、得られた合金溶湯を690〜750℃に温度調整し、鋳造圧力60MPa、射出速度1.6m/s、真空度50mbar以下の条件で金型に圧入し、冷却速度1℃/秒以上で冷却して、各例のアルミニウム合金鋳物(平板形状:150mm(縦)×170mm(横)×2.8mm(厚み))を得た。また、各例のアルミニウム合金鋳物の金属組織を顕微鏡で観察し、組織中のデンドライト二次アームスペーシング及び組織中の共晶Siの平均粒径を算出した。なお、共晶Siの観察は、アルミニウム合金鋳物の中央の肉厚中心部にて行った。また、表1中、デンドライト二次アームスペーシング(DAS2)の評価は、「○」であるものはDAS2が15μm以下であることを示し、「×」であるものはDAS2が15μm超であることを示す。更に、表1中、共晶Si平均粒径の評価は、「○」であるものは共晶Siの平均粒径が5μm以下であることを示し、「×」であるものは共晶Siの平均粒径が5μm超であることを示す。なお、各例のアルミニウム合金鋳物は、製造のままの状態であり、JIS H0001に規定される熱処理記号がFのものである。
また、各例のアルミニウム合金鋳物から機械加工によりJIS14号B引張試験片を作成し、引張強さ、0.2%耐力及び破断伸びを測定した。なお、引張試験片及び引張試験方法については、JIS−Z−2201及びZ−2241に準拠した。得られた結果を表2に示す。
Claims (7)
- 質量比で、Siを6.00%以上7.50%以下、Mgを0.02%以上0.20%未満、Zrを0.05%以上0.20%以下、Feを0.20%以下、Mnを0.15%以上0.80%以下含有し、Moを0.03%以上0.20%以下、Tiを0.20%以下含有し、残部がAl及び不可避不純物からなることを特徴とするアルミニウム合金鋳物。
- 質量比で、Mgを0.10%以上0.20%未満含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム合金鋳物。
- 組織中のデンドライト二次アームスペーシングが15μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のアルミニウム合金鋳物。
- 組織中の共晶Siの平均粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のアルミニウム合金鋳物。
- 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法であって、
質量比で、Siを6.00%以上7.50%以下、Mgを0.02%以上0.20%未満、Zrを0.05%以上0.20%以下、Feを0.20%以下、Mnを0.15%以上0.80%以下含有し、Moを0.03%以上0.20%以下、Tiを0.20%以下含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる合金溶湯を鋳型に注湯する注湯工程と、
上記注湯工程の後に実施される上記合金溶湯を冷却し、凝固させる凝固工程と、を含む
ことを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法。 - 上記凝固工程において、上記合金溶湯を冷却速度1℃/秒以上で冷却することを特徴とする請求項6に記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法。
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