JP6445923B2 - イルベサルタン含有錠剤の調製方法 - Google Patents
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Description
このイルベサルタンにあっては、臨床的には、イルベサルタン単独含有錠剤、或いはトリクロルメチアジドなどの利尿剤、更には、アムロジピンベシル酸塩である持続性Ca拮抗薬との組み合わせた配合錠剤が提案されている。
そのために、打錠キネやウスの表面への付着性を抑制するために、二酸化ケイ素(無水ケイ酸)、三ケイ酸マグネシウム、タルクなどの抗付着剤を含有させたイルベサルタン含有医薬組成物の提案がなされている(特許文献1)。
かかる課題を解決するべく、本発明者らは鋭意検討した結果、先行技術で提案されている抗付着剤を含有することなく、特に、イルベサルタンを含有する打錠用の顆粒の造粒に際し、結合液として水/エタノール混液を使用することにより練合・造粒すれば、イルベサルタンの造粒機缶体への付着を抑制できること、更には錠剤の打錠に際しても、打錠キネやウスの表面への付着が防止できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
(1)錠剤の全重量を基準とし、48〜58重量%の有効成分であるイルベサルタン、2.5〜3.5重量%の結合剤としてのヒプロメロース、7〜9重量%の崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、及び希釈剤を含有してなり、抗付着剤を含有することのない混合物を、結合液として水/エタノール混液を使用することにより練合・造粒して、得られた造粒物に0.8〜1.2重量%の滑沢剤を添加して打錠することからなる、主薬のイルベサルタンの造粒機缶体への付着を抑制したことを特徴とするイルベサルタン含有錠剤の調製方法、
である。
(2)希釈剤が、乳糖、結晶セルロース、マンニトールから選択される一種またはそれ以上である上記(1)に記載のイルベサルタン含有錠剤の調製方法、
(3)滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、またはタルクから選択される一種またはそれ以上である上記(1)に記載のイルベサルタン含有錠剤の調製方法、
(4)さらに界面活性剤、及び/又は着色剤を含有する上記(1)に記載のイルベサルタン含有錠剤の調製方法、
(5)結合液としての水/エタノール混液が、25〜55%エタノール水溶液である上記(1)ないし(4)に記載のイルベサルタン含有錠剤の調製方法、
である。
(6)錠剤の全重量を基準とし、48〜58重量%の有効成分であるイルベサルタン、2.5〜3.5重量%の結合剤としてのヒプロメロース、7〜9重量%の崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、及び希釈剤としての乳糖及び結晶セルロースを含有してなり、抗付着剤を含有することのない混合物を、結合液として水/エタノール=25〜55/75〜45の水/エタノール混液を使用することにより練合・造粒して、得られた造粒物に0.8〜1.2重量%のステアリン酸マグネシウムを添加して打錠することからなる、主薬のイルベサルタンの造粒機缶体への付着を抑制したことを特徴とするイルベサルタン含有錠剤の調製方法、
である。
このイルベサルタン自体は、その製造方法を含め、例えば、特許第2868313号掲載公報(特許文献2)に記載されている。
なお、臨床的に使用されているイルベサルタン含有錠剤にあっては、その含有量として、50mg、100mg及び200mg含有錠剤であることから、本願発明が提供するイルベサルタン含有錠剤にあっても、イルベサルタンの含有量が50mg、100mg及び200mg含有錠であるのが好ましい。
したがって、本発明が提供するイルベサルタン含有錠剤の全重量は、イルベサルタンのそれぞれの有効含有量に対応して配合される他の結合剤、崩壊剤、希釈剤等を合わせ、当該イルベサルタンの配合量が、錠剤の全重量を基準として、48〜58重量%となるようにすればよい。
その配合量は錠剤の全重量を基準として、2.5〜3.5重量%である。2.5重量%未満であったり、3.5重量%を超えたりする場合には、他の崩壊剤、希釈剤等との配合量との関係で錠剤の所望の崩壊性が得られない場合がある。
製剤学的には崩壊剤として種々のものがあるが、本発明のイルベサルタン含有錠剤においては、結合剤として用いられるヒプロメロースとの組み合わせ対比において、崩壊剤としてこのクロスカルメロースナトリウムを用いる点に、また一つの特徴を有するものである。
当該崩壊剤の配合量は、錠剤の全重量を基準として、7〜9重量%の量が配合される。7重量%未満であったり、9重量%を超えたりする場合には、他の結合剤、希釈剤等との配合量の関係で錠剤の所望の崩壊性が得られず、好ましいものではない。
希釈剤としては、特に限定されるものではないが、本発明にあっては、希釈剤として、乳糖、結晶セルロース、マンニトールから選択される一種またはそれ以上を用いるのがよい。その中でも、特に乳糖及び結晶セルロースを組み合わせて用いるのが好ましい。
そのような界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、或いは、ポロクサマー類を挙げることができ、また、着色剤としては、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号などの食用色素、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、リボフラビン、抹茶末等を挙げることができ、なかでも酸化チタンを用いるのがよい。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、これらの抗付着剤を配合したとしても、錠剤に打錠する前に実施する打錠用顆粒の調製において、イルベサルタンの造粒機缶体への付着が大きく、造粒工程における作業性を著しく低下させているものであった。
エタノールの比率が25%未満であると、造粒機缶体へのイルベサルタンの付着を防止することができず、また55%を超える場合には、エタノール含有量が多く、作業上好ましいものではない。
したがって、本願発明が提供するイルベサルタン含有錠剤の調製においては、錠剤を構成する成分の混合物を練合・造粒するに際して、これまで何ら検討されてこなかった、特定比率の水/エタノール混液を用いる点に一つの特徴を有するものである。
すなわち、錠剤を構成する配合成分を混合し、結合液を用いて練合・造粒して錠剤に打錠するための打錠用顆粒を調製する。
次いで、得られた造粒用顆粒を用い、滑沢剤を添加して打錠し、イルベサルタン含有錠剤を調製する。
用いる滑沢剤としては、製剤学上許容される種々の滑沢剤があるが、タルク、ステアリン酸マグネシウムが挙げられ、なかでもステアリン酸マグネシウムを用いるのがよい。その添加量は、目的とする本願発明のイルベサルタン含有錠剤の総重量を基準として、0.8〜1.2重量%用いるのがよい。
そのようなコーティング剤としては、製剤学的に許容される種々のコーティング剤を挙げることができ、例えば、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVAコポリマー、オパドライ、カルナバロウ等が挙げられる。
コーティング剤の含量は、製剤全量に対し、0.05〜10重量%、好ましくは0.075〜5重量%、より好ましくは0.1〜2.5重量%である。
具体的には、着色剤として、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号などの食用色素、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、リボフラビン、抹茶末等を挙げることができ、なかでも酸化チタンを用いるのがよい。
また、可塑剤としては、クエン酸トリエチルやポリエチレングリコール等を挙げることができ、特にクエン酸トリエチルを用いるのがよい。
着色剤並びに可塑剤の使用量は、用いるコーティング剤の使用量により一概に限定できないが、1.0〜3.0重量%程度である。
下記表1に示した配合処方により、イルベサルタン含有錠剤(実施例品)を調製した。
すなわち、表1に示した配合処方中滑沢剤を除いた混合物について、バーチカルグラニュレーターを用い、結合液としてエタノール濃度の異なる水・エタノール混液を用いて練合・造粒を行った。
その造粒時における造粒機缶体へのイルベサルタンの付着の有無を評価し、その結果を表中に示した。
上記で得られた造粒用顆粒に滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を加え、打錠圧4〜11kN/cm2で打錠し、イルベサルタン含有錠剤を得た。
その打錠時のイルベサルタンの打錠キネ及びウスの表面への付着の有無を評価し、その結果も併せて表中に示した。
*2:打錠時付着評価 +:認める −:軽度〜認めず
下記表2に示した配合処方により。実施例と同様にしてイルベサルタン含有錠剤(比較例品)を調製した。
その調製時における造粒機缶体へのイルベサルタンの付着の有無、及び造粒顆粒の打錠時のイルベサルタンの打錠キネ及びウスの表面への付着の有無についても同様評価し、その結果を合わせて表中に示した。
さらに、抗付着剤(軽質無水ケイ酸)を含有する場合には、錠剤調製時の打錠時にはイルベサルタンの打錠キネ及びウスの表面への付着は抑制されているものの、打錠用顆粒の調製における精製水を結合液とした練合・造粒時に造粒機缶体への付着が認められた(比較例2及び5)。
上記した実施例1〜6で得られた錠剤を用いて、フィルムコート錠を調製した。
すなわち、上記した実施例1〜6で得られた錠剤を用いて、着色剤として酸化チタン、可塑剤としてクエン酸トリエチルを用い、ヒプロメロースによりフィルムコート皮膜を施し、フィルムコート錠を得た。フィルムコート錠を調製した。
Claims (5)
- 錠剤の全重量を基準とし、48〜58重量%の有効成分であるイルベサルタン、2.5〜3.5重量%の結合剤としてのヒプロメロース、7〜9重量%の崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、及び希釈剤を含有してなり、抗付着剤を含有することのない混合物を、結合液として25〜55%のエタノール水溶液を使用することにより練合・造粒して、得られた造粒物に0.8〜1.2重量%の滑沢剤を添加して打錠することからなる、主薬のイルベサルタンの造粒機缶体への付着を抑制したことを特徴とするイルベサルタン含有錠剤の調製方法。
- 希釈剤が、乳糖、結晶セルロース、マンニトールから選択される一種またはそれ以上である請求項1に記載のイルベサルタン含有錠剤の調製方法。
- 滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、またはタルクから選択される一種またはそれ以上である請求項1に記載のイルベサルタン含有錠剤の調製方法。
- さらに界面活性剤、及び/又は着色剤を含有する請求項1に記載のイルベサルタン含有錠剤の調製方法。
- 錠剤の全重量を基準とし、48〜58重量%の有効成分であるイルベサルタン、2.5〜3.5重量%の結合剤としてのヒプロメロース、7〜9重量%の崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、及び希釈剤としての乳糖及び結晶セルロースを含有してなり、抗付着剤を含有することのない混合物を、結合液として水/エタノール=25〜55/75〜45の水/エタノール混液を使用することにより練合・造粒して、得られた造粒物に0.8〜1.2重量%のステアリン酸マグネシウムを添加して打錠することからなる、主薬のイルベサルタンの造粒機缶体への付着を抑制したことを特徴とするイルベサルタン含有錠剤の調製方法。
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