詳細な説明
本発明は、分子アジュバントとして使用することにより、対象において抗原に対する免疫反応を増大させるために使用することができるワクチンに関する。分子アジュバントは、転写因子、同時刺激分子、ケモカイン、またはサイトカインであり得る。分子アジュバントは、Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL、STING、またはその組み合わせであり得る。
一部の場合には、Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL、またはSTINGは、抗原のみを含むワクチンと比較して、抗原の源または投与経路にかかわらず、より大きな免疫反応を対象において誘発するので、汎用アジュバントとして機能し得る。Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL、またはSTINGはさらに、ウイルス性抗原及び寄生虫抗原の両方、例えば、個々にはヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原、及び熱帯熱マラリア原虫抗原の免疫反応を増強し得る。一部の場合には、Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL、及びSTINGは、インターフェロン−γ(IFN−γ)産生の増大により実証されるとおり、筋肉及び皮膚組織の両方において免疫反応をさらに増強し得る。
また、本発明のワクチンは、予想外にも、抗原に対する免疫反応を増大させるように、エピトープの提示を変更または改変し得る。そのような変更は、Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL、及びSTINGに依存し得る。一部の例では、Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL、及びSTINGは、免疫系に、Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL、及びSTINGの不在下で免疫系により認識されるエピトープに加えて、抗原中の新たなエピトープを認識させ得る。他の場合には、Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL、及びSTINGは、免疫系によるエピトープ認識のランドスケープを再配置して、組織全体にわたって、また、抗原のアイデンティティまたは源を問わず、抗原に対する免疫反応を増大させ得る。
1.定義
特に定義していない限り、本明細書で使用する全ての技術的用語及び科学的用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書が優先となる。本発明の実施または試験において、本明細書中に記載されたものと同様または同等の方法及び材料を用いることはできるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献は、引用によりそれらの全体が組み入れられる。尚、本明細書で開示した材料、方法、及び実施例は単なる例示であり、限定することを意図していない。
本明細書で使用する「を含む(comprise(s))」、「を含む(include(s))」、「を有する(having)」、「を有する(has)」、「できる(can)」、「を含む(contain(s))」という用語、及びその変形は、付加的な行為あるいは構造の可能性を妨げない、制限しない移行句、用語、または単語であることを意図している。単数形である「a」、「an」、及び「the」は、文脈上例外が明記されていない限り、複数形の意味を持つこともある。本開示は、明示的に記載されているかどうかに関わらず、本明細書に示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「から実質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
本明細書で使用する、「アジュバント」は、抗原の免疫原性を高めるために本明細書に記載のワクチンに添加される任意の分子を意味し得る。
本明細書で使用する、「コード配列」または「コード化核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード配列は、核酸の投与先である個体または哺乳類の細胞中の発現を誘導できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントと機能的に連結した、開始及び終了シグナルをさらに含むことができる。
本明細書で使用する、「相補体」または「相補的」は、ヌクレオチド間または核酸分子のヌクレオチド類似体間のワトソン・クリック(例えば、A-T/U及びC-G)またはフーグスティーン塩基対を意味する。
本明細書で互換的に使用する、「電気穿孔」、「電気透過処理」、「界面動電増強」(「EP」)は、生体膜に微細経路(細孔)を生じさせるための膜貫通電場パルスの使用を意味する。こうした微細経路の存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬剤、イオン、及び水などの生体分子が、細胞膜の片側から他方の側に通過することが可能になる。
本明細書で使用する、「断片」または「免疫原性断片」は、哺乳類において免疫反応を誘発及び/または増大させることができるポリペプチドをコードする核酸配列またはその一部を意味する。断片は、以下に記載するタンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列の少なくとも1つから選択されるDNA断片であり得る。断片は、以下に記載する核酸配列の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、下記に記載する核酸配列の少なくとも1つの少なくとも20ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも30ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも40ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも50ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも60ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも70ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも80ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも90ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも100ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも150ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも200ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも250ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも300ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも350ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも400ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも450ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも500ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも550ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも600ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも650ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも700ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも750ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも800ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも850ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも900ヌクレオチドまたはそれ以上、少なくとも950ヌクレオチドまたはそれ以上、あるいは少なくとも1000ヌクレオチドまたはそれ以上を含み得る。
本明細書で使用する、断片または免疫原性断片はまた、哺乳類において免疫反応を誘発及び/または増大させることができるポリペプチド配列またはその一部を意味する。断片は、以下に記載する様々なアミノ酸配列の少なくとも1つから選択されるポリペプチド断片であり得る。断片は、以下に記載するタンパク質の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、以下に記載するタンパク質の少なくとも1つの少なくとも20アミノ酸またはそれ以上、少なくとも30アミノ酸またはそれ以上、少なくとも40アミノ酸またはそれ以上、少なくとも50アミノ酸またはそれ以上、少なくとも60アミノ酸またはそれ以上、少なくとも70アミノ酸またはそれ以上、少なくとも80アミノ酸またはそれ以上、少なくとも90アミノ酸またはそれ以上、少なくとも100アミノ酸またはそれ以上、少なくとも110アミノ酸またはそれ以上、少なくとも120アミノ酸またはそれ以上、少なくとも130アミノ酸またはそれ以上、少なくとも140アミノ酸またはそれ以上、少なくとも150アミノ酸またはそれ以上、少なくとも160アミノ酸またはそれ以上、少なくとも170アミノ酸またはそれ以上、少なくとも180アミノ酸またはそれ以上、少なくとも190アミノ酸またはそれ以上、少なくとも200アミノ酸またはそれ以上、少なくとも210アミノ酸またはそれ以上、少なくとも220アミノ酸またはそれ以上、少なくとも230アミノ酸またはそれ以上、あるいは少なくとも240アミノ酸またはそれ以上を含み得る。
本明細書で使用する、「遺伝子構築物」または「構築物」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA分子またはRNA分子を指す。コード配列は、核酸分子の投与先である個体の細胞中の発現を誘導できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントと機能的に連結した、開始及び終了シグナルを含む。本明細書で使用する「発現可能な形態」という用語は、個体の細胞中に存在しているときにコード配列が発現するように、タンパク質をコードするコード配列に機能的に連結している必要な調節要素を含んでいる遺伝子構築物または構築物を指す。
本明細書において2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈で使用する「同一」または「同一性」は、当該配列が指定領域に渡って指定の割合の同一残基を有することを意味する。この割合を計算するには、2つの配列を最適に整列させ、指定領域に渡って2つの配列を比較し、両配列の同一残基が発生する位置の数を確定して一致位置の数を得て、一致位置の数を指定領域の総位置数で割り、計算結果に100を掛けることにより、配列同一性のパーセント値が得られる。2つの配列の長さが異なるか、アライメントにより1つ以上の付着末端が生じ、指定の比較領域に単一配列のみが含まれる場合には、単一配列の残基を計算の分母に含めるが、分子には含めない。DNAとRNAを比較する場合には、チミン(T)とウラシル(U)を同等とみなすことができる。同一性の計算は、手動で行っても、BLAST、BLAST 2.0等のコンピューター配列アルゴリズムを使用して行ってもよい。
本明細書で使用する、「免疫反応」は、抗原の導入に応答して、宿主の免疫系、例えば哺乳類の免疫系が活性化することを意味し得る。この免疫反応は、細胞性もしくは体液性の形態、またはその両方であり得る。
本明細書で使用する、「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合している少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖を表現することにより、相補鎖の配列も定義される。したがって、核酸は、表現される一本鎖の相補鎖も包含する。ある核酸の多くの変異体を、所与の核酸として同一目的で使用できる。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸及びその相補体も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列とハイブリダイズできるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
核酸は、一本鎖または二本鎖であってもよく、二本鎖と一本鎖の両方の配列の一部分を含むこともできる。核酸は、DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、またはハイブリッドであってもよく、核酸はデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの組み合わせを含むことができ、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、及びイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含むことができる。核酸は、化学合成法または組み換え法により取得できる。
本明細書で使用する、「機能的に連結」は、遺伝子と空間的に接続しているプロモーターの制御下で遺伝子が発現することを意味する。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置できる。プロモーターと遺伝子の間の距離は、プロモーターの派生元遺伝子において当該プロモーターが制御する遺伝子とプロモーターの間の距離とほぼ同一であってもよい。当技術分野で知られているように、プロモーター機能を失うことなく、この距離の変化に適応することができる。
本明細書で使用する、「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の結合配列を意味することができ、天然、合成、または、天然及び合成の修飾あるいはその組み合わせであってもよい。
本明細書で使用する、「プロモーター」は、核酸の細胞中発現を授与、活性化、または増強することのできる合成分子または天然由来分子を意味する。プロモーターは、発現をさらに増強し、かつ/または空間的発現及び/またはその一時的発現を改変する目的で、1つ以上の特定の転写調節配列を含むことができる。プロモーターは遠位のエンハンサーエレメントまたは抑制エレメントを含むこともでき、このエンハンサーエレメントまたは抑制エレメントは、転写開始部位から数千塩基対も離れた場所に位置できる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、及び動物を含む源に由来してよい。プロモーターは、発現が発生する細胞、組織、もしくは臓器に関して、もしくは発現が生じる発生段階に関して、恒常的もしくは差次的に遺伝子成分の発現を調節でき、または、例えば生理的ストレス、病原体、金属イオン、誘発剤等の外部刺激に応答して遺伝子成分の発現を調節できる。プロモーターの代表例として、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレータープロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、及びCMV IEプロモーターが挙げられる。
「シグナルペプチド」及び「リーダー配列」は、本明細書で互換的に使用され、本明細書に記載のタンパク質のアミノ末端に結合することができるアミノ酸配列を指す。一般に、シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質の局在化を指示する。本明細書で使用するシグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質を産生する細胞からタンパク質を分泌し易くすることが好ましい。シグナルペプチド/リーダー配列は、細胞からの分泌時に、タンパク質(しばしば成熟タンパク質と呼ばれる)の残余から切断されることが多い。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端に結合する。
本明細書で用いられる「対象」は、本明細書に記載のワクチンで免疫を得ることを望むかまたは必要とする哺乳類を意味する。哺乳類は、ヒト、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、またはネズミであり得る。
本明細書で使用する、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、例えば核酸の複合混合物において、第1の核酸配列(例えばプローブ)が第2の核酸配列(例えば標的)とハイブリダイズする際の条件を意味し得る。ストリンジェントな条件は配列に依存するため、状況によって異なる。ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度pHにおける特定の配列に対する融点(Tm)より約5〜10℃低くなるように選択される。Tmは、(規定のイオン強度、pH、及び核酸濃度下で)標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である(標的配列は過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0〜8.3において約1.0M未満のナトリウムイオン、例えば約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)では最低約30℃、長いプローブ(例えば約50ヌクレオチド超)では最低約60℃であり得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミド等の不安定化剤の添加によって達成することもできる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションの場合、陽性シグナルはバックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2〜10倍であり得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件例には、以下の条件が含まれる:50%ホルムアミド、5倍SSC、及び1%SDS、42℃でのインキュベート。または、5倍SSC、1%SDS、65℃でのインキュベート、0.2倍SSC、0.1%SDS中65℃での洗浄。
本明細書で使用する、「実質的に相補的」は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個またはそれ以上のヌクレオチドの領域に渡って、第1の配列が第2の配列の相補体と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であること、あるいは、2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味し得る。
本明細書で使用する、「実質的に同一」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100個またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域に渡って、第1の配列と第2の配列が少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であることを意味し得る。「実質的に同一」はまた、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100個またはそれ以上のヌクレオチドの領域に渡って、第1の核酸配列と第2の核酸配列が少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であることを意味し得る。
本明細書で使用する、「治療」または「治療する」は、疾患を予防するか、抑制するか、抑圧するかまたは完全に除去することで動物を疾患から防御することを意味することができる。疾患を予防することは、その疾患の発症前に動物に本発明のワクチンを投与することを含む。疾患を抑制することは、その疾患の誘導後でその疾患の臨床的出現前に、動物に本発明のワクチンを投与することを含む。疾患を抑圧することは、その疾患の臨床的出現後に、動物に本発明のワクチンを投与することを含む。
核酸に関して本明細書で使用する、「変異体」は、(i)基準ヌクレオチド配列の一部分もしくは断片;(ii)基準ヌクレオチド配列もしくはその一部分の相補体;(iii)基準核酸もしくはその相補体と実質的に同一の核酸;または(iv)ストリンジェントな条件下で、基準核酸、その相補体、もしくはその実質的に同一の配列とハイブリダイズする核酸を意味する。
「変異体」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によりアミノ酸配列が異なっているが、少なくとも1つの生物活性を保持しているペプチドまたはポリペプチドと、さらに定義することができる。「生物活性」の代表的な例には、特異抗体に結合するか、または免疫反応を促進する能力が含まれる。また、変異体は、基準タンパク質と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、少なくとも1つの生物活性を保持するアミノ酸配列を有するタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、あるアミノ酸を類似特性(例えば、荷電領域の親水性、程度、及び分布)の別のアミノ酸に置換することは、当技術分野では、通常は軽微な変化を伴うものと認識されている。こうした軽微な変化は、当技術分野で理解されているように、アミノ酸の疎水性親水性指標(hydropathic index)を検討することにより部分的に特定できる。Kyteら,J.Mol.Biol.157:105−132(1982)。アミノ酸の疎水性親水性指標は、その疎水性と電荷の考察に基づく。類似の疎水性親水性指標を有するアミノ酸は置換可能であり、その後もタンパク質機能を維持することが当技術分野において公知である。一態様において、±2の疎水性親水性指標を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を用いて、生物機能を保持したタンパク質となる置換を明らかにすることもできる。ペプチドに関連してアミノ酸の親水性を検討することにより、そのペプチドの局所的な最大平均親水性を計算でき、抗原性及び免疫原性と良く相関すると報告されている有用な尺度となる。当技術分野で理解されているように、類似の親水性値を有するアミノ酸を置換すると、例えば免疫原性等の生物活性を保持したペプチドが得られる。親水性値が互いに±2以内のアミノ酸を用いて、置換を実施できる。アミノ酸の疎水性指標と親水性値の両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖の影響を受ける。こうした知見と一致して、生物機能に適合するアミノ酸置換とは、アミノ酸の相対的類似性、特に当該アミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存するものと理解されており、この相対的類似性は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、その他の特性により明らかになる。
変異体は、完全遺伝子配列またはその断片の全長にわたって実質的に同一な核酸配列であってもよい。核酸配列は、遺伝子配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。変異体は、アミノ酸配列またはその断片の全長にわたって実質的に同一なアミノ酸配列であってもよい。アミノ酸配列は、アミノ酸配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。
本明細書で使用する、「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であってもよい。ベクターは、DNAベクターまたはRNAベクターであってもよい。ベクターは、自己複製過剰染色体ベクターであってもよく、好ましくは、DNAプラスミドである。ベクターは、1つ以上の異種の核酸配列を含有または包含してよい。
本明細書中の数値範囲の記述について、同程度の精度でその間に入る各数が明示的に企図される。例えば、6〜9という範囲の場合、6及び9に加えて7及び8という数が企図され、6.0〜7.0という範囲の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0という数が明示的に企図される。
2.ワクチン
抗原とアジュバントとを含むワクチンが本明細書において提供される。該ワクチンは、個体において抗原提示及び抗原に対する全免疫反応を増大させることができる。抗原とアジュバントとの組み合わせは、抗原のみを含むワクチンよりも効率的に免疫系を誘導する。該ワクチンはさらに、抗原内のエピトープ提示をさらに変更して、抗原のみを含むワクチンよりも、抗原に対して大きな免疫反応を誘導することができる。該ワクチンはさらに、筋肉及び皮膚などの異なる組織に投与した場合に、免疫反応を誘導することができる。
本ワクチンは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、及び少なくとも約10倍のIFN−γ産生を誘導することができる。
本ワクチンは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、対象において、抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を増大またはブーストし得る。該ワクチンは、抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を約75%〜約200%増大させ得る。あるいは、該ワクチンは、抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を増大させ得、これらは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、約90%〜約130%増大し得る。該ワクチンは、抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を増大させ得、これらは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、または200%増大し得る。
本発明のワクチンは、安全であることなど、有効なワクチンに必要な特徴を有し得るため、ワクチン自体は、病気または死を引き起こさず;ウイルスまたは細菌などの生病原体に対する暴露から生じる病気に対して防御し、細胞の感染を防止する中和抗体を誘導し;細胞内病原体に対して防御T細胞を誘導し、投与し易く、副作用もほとんどなく、生物学的安定性や投与量当たりの低コスト化をもたらすことができる。該ワクチンは、下記で検討するとおりのアジュバントと抗原を組み合わせることにより、これらの特徴の一部または全部を達成し得る。
a.アジュバント
ワクチンは、アジュバントを含み得る。分子アジュバントは、転写因子、同時刺激分子、ケモカイン、またはサイトカインであり得る。分子アジュバントは、Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL、STING、またはその組み合わせであり得る。
アジュバントは、核酸配列、アミノ酸配列、またはその組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、その変異体、その断片、またはその組み合わせであり得る。また、核酸配列は、リンカーをコードする付加配列、または、ペプチド結合によりアジュバントに連結しているタグ配列を含み得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、その変異体、その断片、またはその組み合わせであってよい。
(1)REL−A
アジュバントは、転写因子Rel−A(RelA)であり得る。Rel−A及びc−Relは、転写活性化能を持つ。特に、Rel−Aは、炎症及び細胞生存における重要な成分である。in vitro実験により、Rel−Aは、κB依存性転写を強力に活性化することが示されている。この重要な転写因子は、適応免疫の改善を組織化し得る複数の炎症因子及び生存因子の遺伝子発現を調節する。p65としても公知のRel−Aは、ヒトにおいてはRel−A遺伝子によりコードされる。
Rel−Aは、NF−κB複合体の一部である。NF−kB1(p50)またはNF−κB2(p52)は、c−Rel、Rel−A(p65としても公知)、またはRel−Bに結合して、NF−κB複合体を形成する。この二量体は、その阻害因子I−κBに結合して細胞質内に存在する。外部刺激が、阻害因子のリン酸化及び26Sプロテアソームによるそのユビキチン媒介分解を誘導する。次いで、放出されたNF−κBは、核に移動して、転写遺伝子活性化を誘導する。
NF−κBは、DNAの転写を制御する二量体転写因子である。NF−κBは、ほぼすべての動物細胞種において見出され、ストレス、サイトカイン、遊離のラジカル、紫外線照射、酸化LDL、及び細菌性またはウイルス性抗原などの刺激に対する細胞反応に関係している。NF−κBは、感染に対する免疫反応の調節において鍵となる役割を果たす(カッパ軽鎖は、免疫グロブリンの重要な構成要素である)。NF−κBの不適当な調節は、癌、炎症性及び自己免疫疾患、敗血症性ショック、ウイルス感染症、ならびに不適正な免疫発現に結びつけられている。NF−κBは、シナプス可塑性及びメモリのプロセスにも関係している。
Rel−Aは、別個のシグナル伝達経路により、I型IFN、IFN誘導性ケモカイン、及び腫瘍壊死因子−a(TNF−a)などの炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現の引き金を引き得る。ワクチンにRel−Aを含ませることにより、Rel−Aを含まないワクチンと比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、及び少なくとも約10倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにRel−Aを含ませることにより、Rel−Aを含まないワクチンと比較して、少なくとも約2倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにRel−Aを含ませることにより、Rel−Aを含まないワクチンと比較して、少なくとも約3倍のIFN−γ産生を誘導することができる。
Rel−Aは、IL−2のより多い産生により、T細胞反応経路を刺激し得る。Rel−Aは、「エフェクター」T細胞となるようにT細胞の成長、増殖、及び分化を刺激し、また、IL−2受容体IL−2Rの発現を刺激し得る。次いで、IL−2/IL−2R相互作用は、抗原特異的CD4+T細胞及びCD8+T細胞の成長、分化、及び生存を刺激する。IL−2は、自己と非自己とを区別するために必要とされるので、IL−2を刺激することにより、自己細胞と非自己細胞との間の免疫系の調節が実行される。
Rel−Aはさらに、IgGのB細胞産生を増大させることにより、適応免疫系を刺激し得る。
Rel−Aは、対象において抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を増大またはブーストし得る。抗原は、以下においてより詳細に検討する。いくつかの例では、Rel−Aは、抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を約75%〜約200%増大させることができる。あるいは、Rel−Aは、抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を増大させ得、これらは、約90%〜約130%増大し得る。さらに他の代替実施形態において、Rel−Aは、抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を増大させ得、これらは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、または200%増大し得る。
他の実施形態において、Rel−Aは、それを必要とする対象に投与されたワクチンからの特定の抗原に対する免疫反応を、少なくとも0.5倍、1.0倍、1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍に増大またはブーストし得る。
他の場合には、Rel−Aは、個体における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において、抗原における少なくとも1つのエピトープの免疫系認識を変更または改変し得る。抗原は、以下でより詳細に記載される。そのような少なくとも1つのエピトープの認識の改変は、抗原のみに対応する核酸を含むワクチンを投与された対象と比較して、本明細書に記載のワクチンを投与された対象においてより大きな免疫反応を誘導し得る。
また、Rel−Aは、例えば、以前には認識されなかったエピトープが、免疫系により認識されるようにし、それによって、抗原に対する対象の免疫反応を増大させることにより、抗原における1つ以上のエピトープの提示を変更または変化させ得る。提示の変更、したがって免疫反応の増大は、対象における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において起こり得る。
Rel−Aをコードする核酸は、任意の数の生体、例えば、マウス(Mus musculus)、マカク(Macacac mulatta)、及びヒト(Homo sapiens)からのものであり得る。Rel−Aをコードする核酸を、コドン利用及び対応するRNAトランスクリプトに関して最適化することができる。Rel−Aをコードする核酸は、発現に関して最適化されたコドン及びRNAであり得る。いくつかの実施形態において、Rel−Aをコードする核酸は、翻訳の効率を増大させるためのKozak配列(例えば、GCC ACC)を含むことができる。Rel−Aをコードする核酸は、翻訳終結の効率を上げるための複数の停止コドン(例えば、TGA TGA)を含むことができる。また、Rel−Aをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。IgEリーダー配列は、核酸中のRel−Aの5’側に位置し得る。いくつかの実施形態において、Rel−Aをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、または含有しない。
Rel−Aは、配列番号2をコードする最適化核酸配列の配列番号1であり得る。いくつかの実施形態において、Rel−Aは、配列番号1に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、Rel−Aは、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。Rel−Aは、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号1の断片に関する。断片は、配列番号1の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号1の断片に対して同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号1に対して95%またはそれ以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のRel−A核酸配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のRel−A核酸配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のRel−A核酸配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のRel−A核酸配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号2の断片を提供することができる。断片は、配列番号2の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
配列番号2の断片に対して同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号2に対して95%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のRel−Aタンパク質配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のRel−Aタンパク質配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のRel−Aタンパク質配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のRel−Aタンパク質配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
(2)T−bet
アジュバントは、転写因子T−betであり得る。T−bet、T−PET、TBET、及びTBLYMとしても公知のT−box転写因子TBX21は、ヒトにおいてはTBX21遺伝子によりコードされるタンパク質である。この遺伝子は、共通のDNA結合ドメイン、T−boxを共有する遺伝子の系統的保存ファミリーのメンバーである。T−box遺伝子は、発生過程の調節に関係する転写因子をコードする。T−betは、マウスTbx21/Tbet遺伝子のヒトオルソログである。マウスにおける研究により、Tbx21タンパク質は、ホールマークであるTh1サイトカイン、インターフェロン−ガンマ(IFN−γ)の発現を制御するTh1細胞特異的転写因子であることが示されている。また、ヒトオルソログの発現は、Th1及びナチュラルキラー細胞におけるIFN−γ発現と相関しており、これは、未感作Th前駆体細胞からのTh1系列の発生の開始におけるこの遺伝子の役割を示唆している。T−betの異所性発現は、IFN−γ遺伝子をトランス活性化すると共に、内因性IFN−γ産生を誘導する。T−betは、Th1遺伝プログラムの活性化と、対抗するTh2プログラムの抑制との両方により、未感作Thp細胞からのTh1系列の発生を開始する。
T−betは、別個のシグナル伝達経路により、I型IFN、IFN誘導性ケモカイン、及び腫瘍壊死因子−a(TNF−a)などの炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現の引き金を引き得る。ワクチンにT−betを含ませることにより、T−betを含まないワクチンと比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、及び少なくとも約10倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにT−betを含ませることにより、T−betを含まないワクチンと比較して、少なくとも約2倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにT−betを含ませることにより、T−betを含まないワクチンと比較して、少なくとも約3倍のIFN−γ産生を誘導することができる。
T−betは、IL−2のより多い産生により、T細胞反応経路を刺激し得る。T−betは、「エフェクター」T細胞となるようにT細胞の成長、増殖、及び分化を刺激し、また、IL−2受容体IL−2Rの発現を刺激し得る。次いで、IL−2/IL−2R相互作用は、抗原特異的CD4+T細胞及びCD8+T細胞の成長、分化、及び生存を刺激する。IL−2は、自己と非自己とを区別するために必要とされるので、IL−2を刺激することにより、自己細胞と非自己細胞との間の免疫系の調節が実行される。
T−betはさらに、IgGのB細胞産生を増大させることにより、適応免疫系を刺激し得る。
T−betは、対象において抗原に対する免疫反応を増大またはブーストし得る。抗原は、以下においてより詳細に検討する。いくつかの例では、T−betは、抗原に対する免疫反応を約75%〜約200%増大させることができる。あるいは、T−betは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、約90%〜約130%増大し得る。さらに他の代替実施形態において、T−betは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、または200%増大し得る。
他の実施形態において、T−betは、それを必要とする対象に投与されたワクチンからの特定の抗原に対する免疫反応を、0.5倍、1.0倍、1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍に増大またはブーストし得る。
他の場合には、T−betは、個体における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において、抗原における少なくとも1つのエピトープの免疫系認識を変更または改変し得る。抗原は、以下でより詳細に記載される。そのような少なくとも1つのエピトープの認識の改変は、抗原のみに対応する核酸を含むワクチンを投与された対象と比較して、本明細書に記載のワクチンを投与された対象においてより大きな免疫反応を誘導し得る。
また、T−betは、例えば、以前には認識されなかったエピトープが、免疫系により認識されるようにし、それによって、抗原に対する対象の免疫反応を増大させることにより、抗原における1つ以上のエピトープの提示を変更または変化させ得る。提示の変更、したがって免疫反応の増大は、対象における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において起こり得る。
T−betをコードする核酸は、任意の数の生体、例えば、マウス(Mus musculus)、マカク(Macacac mulatta)、及びヒト(Homo sapiens)からのものであり得る。T−betをコードする核酸を、コドン利用及び対応するRNAトランスクリプトに関して最適化することができる。T−betをコードする核酸は、発現に関して最適化されたコドンおよび及びRNAであり得る。いくつかの実施形態において、T−betをコードする核酸は、翻訳の効率を上げるためのKozak配列(例えば、GCC ACC)を含むことができる。T−betをコードする核酸は、翻訳終結の効率を上げるための複数の停止コドン(例えば、TGA TGA)を含むことができる。また、T−betをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。IgEリーダー配列は、核酸中のT−betの5’側に位置し得る。いくつかの実施形態において、T−betをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、または含有しない。
T−betは、配列番号4をコードする最適化核酸配列の配列番号3であり得る。いくつかの実施形態において、T−betは、配列番号3に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、T−betは、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。T−betは、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号3の断片に関する。断片は、配列番号3の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号3の断片に対して同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号3に対して95%またはそれ以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のT−bet核酸配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のT−bet核酸配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のT−bet核酸配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のT−bet核酸配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号4の断片を提供することができる。断片は、配列番号4の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
配列番号4の断片に対して同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号4に対して95%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のT−betタンパク質配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のT−betタンパク質配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のT−betタンパク質配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のT−betタンパク質配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
(3)エオメソデルミン(Eomesodermin;Eomes)
アジュバントは、転写因子Eomesであり得る。Eomesは、転写活性化因子能を持つ。特に、Eomesは、様々な種における発生の間に、中間始原細胞及びそれらの後代の増殖において鍵となる役割を果たす。
Eomesは、細胞性及び/または体液性免疫反応を誘導し得る。具体的には、in vivo実験により、Eomesは、抗ウイルス性反応の一部として活性化CD8+T細胞において発現され、引き続いて、成熟及びエフェクター機能を調節することが示されている。また、Eomesは、免疫反応の間に、CD8+T細胞の分化に関係しており、その際、Eomesは、溶解性エフェクター細胞の発現を調節している。特に、Eomesは、CD8+T細胞及びNK細胞におけるIFN−γ産生を増大させることができる。さらに、多数の研究により、IFN−γ調節に加えて、Eomesは、細胞溶解性エフェクター系列の特性を引き出すために重要であることが示唆されている。
Eomesは、別個のシグナル伝達経路により、I型IFN、IFN誘導性ケモカイン、及び腫瘍壊死因子−a(TNF−a)などの炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現の引き金を引き得る。ワクチンにEomesを含ませることにより、T−betを含まないワクチンと比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、及び少なくとも約10倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにEomesを含ませることにより、Eomesを含まないワクチンと比較して、少なくとも約2倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにEomesを含ませることにより、Eomesを含まないワクチンと比較して、少なくとも約3倍のIFN−γ産生を誘導することができる。
Eomesは、IL−2のより多い産生により、T細胞反応経路を刺激し得る。Eomesは、「エフェクター」T細胞となるようにT細胞の成長、増殖、及び分化を刺激し、また、IL−2受容体IL−2Rの発現を刺激し得る。次いで、IL−2/IL−2R相互作用は、抗原特異的CD4+T細胞及びCD8+T細胞の成長、分化、及び生存を刺激する。IL−2は、自己と非自己とを区別するために必要とされるので、IL−2を刺激することにより、自己細胞と非自己細胞との間の免疫系の調節が実行される。
Eomesはさらに、IgGのB細胞産生を増大させることにより、適応免疫系を刺激し得る。
Eomesは、対象において抗原に対する免疫反応を増大またはブーストし得る。抗原は、以下においてより詳細に検討する。いくつかの例では、Eomesは、抗原に対する免疫反応を約75%〜約200%増大させることができる。あるいは、Eomesは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、約90%〜約130%増大し得る。さらに他の代替実施形態において、Eomesは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、または200%増大し得る。
他の実施形態において、Eomesは、それを必要とする対象に投与されたワクチンからの特定の抗原に対する免疫反応を、0.5倍、1.0倍、1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍に増大またはブーストし得る。
他の場合には、Eomesは、個体における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において、抗原における少なくとも1つのエピトープの免疫系認識を変更または改変し得る。抗原は、以下でより詳細に記載される。そのような少なくとも1つのエピトープの認識の改変は、抗原のみに対応する核酸を含むワクチンを投与された対象と比較して、本明細書に記載のワクチンを投与された対象においてより大きな免疫反応を誘導し得る。
また、Eomesは、例えば、以前には認識されなかったエピトープが、免疫系により認識されるようにし、それによって、抗原に対する対象の免疫反応を増大させることにより、抗原における1つ以上のエピトープの提示を変更または変化させ得る。提示の変更、したがって免疫反応の増大は、対象における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において起こり得る。
Eomesをコードする核酸は、任意の数の生体、例えば、マウス(Mus musculus)、マカク(Macacac mulatta)、及びヒト(Homo sapiens)からのものであり得る。Eomesをコードする核酸を、コドン利用及び対応するRNAトランスクリプトに関して最適化することができる。Eomesをコードする核酸は、発現に関して最適化されたコドン及びRNAであり得る。いくつかの実施形態において、Eomesをコードする核酸は、翻訳の効率を上げるためのKozak配列(例えば、GCC ACC)を含むことができる。Eomesをコードする核酸は、翻訳終結の効率を上げるための複数の停止コドン(例えば、TGA TGA)を含むことができる。また、Eomesをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。IgEリーダー配列は、核酸中のEomesの5’側に位置し得る。いくつかの実施形態において、Eomesをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、または含有しない。
Eomesは、配列番号6をコードする最適化核酸配列の配列番号5であり得る。いくつかの実施形態において、Eomesは、配列番号5に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、Eomesは、配列番号6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。Eomesは、配列番号6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号5の断片に関する。断片は、配列番号5の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号5の断片に対して同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号5に対して95%またはそれ以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のEomes核酸配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のEomes核酸配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のEomes核酸配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のEomes核酸配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号6の断片を提供することができる。断片は、配列番号6の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
配列番号6の断片に対して同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号6に対して95%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のEomesタンパク質配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のEomesタンパク質配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のEomesタンパク質配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のEomesタンパク質配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
(4)FLT3L
アジュバントは、FLT3Lであり得る。FLT3Lは、造血性サイトカインである。FLT3Lは、クラスIII受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーである。FLT3Lは、骨髄ストローマ細胞及び骨髄系細胞において発現され、両方とも、B細胞及びT細胞由来である。
FLT3Lは、細胞性及び/または体液性免疫反応の調節において鍵となる役割を果たす。特に、FLT3Lは、樹状細胞の調節における役割と共に、先天免疫と適応免疫との連結における役割を実証している。特に、FLT3Lは、樹状細胞の発生を制御し、その際、FLT3Lは、形質細胞様樹状細胞及びCD8に重要である。さらに、FLT3Lは、マウス、さらにはヒトにおいて、骨髄系細胞及びリンパ樹状細胞の両方の大規模展開を誘導する。
樹状細胞は、IFN−γの強力な産生体である。したがって、FLT3Lは、最低でも、樹状細胞のその調節により、IFN−γの発現をアップレギュレーションし得る。
FLT3Lは、細胞性及び/または体液性免疫反応を誘導し得る。具体的には、in vivo実験により、FLT3Lは、抗ウイルス性反応の一部として活性化CD8+T細胞において発現され、引き続いて、成熟及びエフェクター機能を調節することが示されている。また、FLT3Lは、免疫反応の間に、CD8+T細胞の分化に関係しており、その際、FLT3Lは、溶解性エフェクター細胞の発現を調節している。特に、FLT3Lは、CD8+T細胞及びNK細胞におけるIFN−γ産生を増大させることができる。さらに、多数の研究により、IFN−γ調節に加えて、FLT3Lは、細胞溶解性エフェクター系列の特性を引き出すために重要であることが示唆されている。
FLT3Lは、別個のシグナル伝達経路により、I型IFN、IFN誘導性ケモカイン、及び腫瘍壊死因子−a(TNF−a)などの炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現の引き金を引き得る。ワクチンにFLT3Lを含ませることにより、T−betを含まないワクチンと比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、及び少なくとも約10倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにFLT3Lを含ませることにより、FLT3Lを含まないワクチンと比較して、少なくとも約2倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにFLT3Lを含ませることにより、FLT3Lを含まないワクチンと比較して、少なくとも約3倍のIFN−γ産生を誘導することができる。
FLT3Lは、IL−2のより多い産生により、T細胞反応経路を刺激し得る。FLT3Lは、「エフェクター」T細胞となるようにT細胞の成長、増殖、及び分化を刺激し、また、IL−2受容体IL−2Rの発現を刺激し得る。次いで、IL−2/IL−2R相互作用は、抗原特異的CD4+T細胞及びCD8+T細胞の成長、分化、及び生存を刺激する。IL−2は、自己と非自己とを区別するために必要とされるので、IL−2を刺激することにより、自己細胞と非自己細胞との間の免疫系の調節が実行される。
FLT3Lはさらに、IgGのB細胞産生を増大させることにより、適応免疫系を刺激し得る。
FLT3Lは、対象において抗原に対する免疫反応を増大またはブーストし得る。抗原は、以下においてより詳細に検討する。いくつかの例では、FLT3Lは、抗原に対する免疫反応を約75%〜約200%増大させることができる。あるいは、FLT3Lは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、約90%〜約130%増大し得る。さらに他の代替実施形態において、FLT3Lは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、または200%増大し得る。
他の実施形態において、FLT3Lは、それを必要とする対象に投与されたワクチンからの特定の抗原に対する免疫反応を、0.5倍、1.0倍、1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍に増大またはブーストし得る。
他の場合には、FLT3Lは、個体における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において、抗原における少なくとも1つのエピトープの免疫系認識を変更または改変し得る。抗原は、以下でより詳細に記載される。そのような少なくとも1つのエピトープの認識の改変は、抗原のみに対応する核酸を含むワクチンを投与された対象と比較して、本明細書に記載のワクチンを投与された対象においてより大きな免疫反応を誘導し得る。
また、FLT3Lは、例えば、以前には認識されなかったエピトープが、免疫系により認識されるようにし、それによって、抗原に対する対象の免疫反応を増大させることにより、抗原における1つ以上のエピトープの提示を変更または変化させ得る。提示の変更、したがって免疫反応の増大は、対象における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において起こり得る。
FLT3Lをコードする核酸は、任意の数の生体、例えば、マウス(Mus musculus)、マカク(Macacac mulatta)、及びヒト(Homo sapiens)からのものであり得る。FLT3Lをコードする核酸を、コドン利用及び対応するRNAトランスクリプトに関して最適化することができる。FLT3Lをコードする核酸は、発現に関して最適化されたコドン及びRNAであり得る。いくつかの実施形態において、FLT3Lをコードする核酸は、翻訳の効率を上げるためのKozak配列(例えば、GCC ACC)を含むことができる。FLT3Lをコードする核酸は、翻訳終結の効率を上げるための複数の停止コドン(例えば、TGA TGA)を含むことができる。また、FLT3Lをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。IgEリーダー配列は、核酸中のFLT3Lの5’側に位置し得る。いくつかの実施形態において、FLT3Lをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、または含有しない。
FLT3Lは、配列番号8をコードする最適化核酸配列の配列番号7であり得る。いくつかの実施形態において、FLT3Lは、配列番号7に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、FLT3Lは、配列番号8に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。FLT3Lは、配列番号8に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号7の断片に関する。断片は、配列番号7の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号7の断片に対して同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号7に対して95%またはそれ以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のFLT3L核酸配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のFLT3L核酸配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のFLT3L核酸配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のFLT3L核酸配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号8の断片を提供することができる。断片は、配列番号8の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
配列番号8の断片に対して同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号8に対して95%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のFLT3Lタンパク質配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のFLT3Lタンパク質配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のFLT3Lタンパク質配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のFLT3Lタンパク質配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
(5)TWEAK
アジュバントは、TWEAKであり得る。TWEAKは、腫瘍壊死ファミリーのメンバーである。TWEAKは、多機能性サイトカインであり、そのシグナル伝達は、受容体線維芽細胞成長因子誘導性14kDaタンパク質、Fn14/TWEAKRと結合するその高い親和性に関係する。具体的には、TWEAKは、これだけに限定されないが、細胞分化の阻害、細胞運動性(例えば、遊走、侵襲)、細胞萎縮、細胞増殖、細胞生存、及び炎症反応を含めた細胞機能に関係している。
TWEAKは、細胞性及び/または体液性免疫反応の調節において鍵となる役割を果たす。特に、先天免疫及び適応免疫反応の白血球がTWEAKを放出する。引き続いて、TWEAKは、負傷及び/または罹患組織においてアップレギュレーションされるFn14/TWEAKRに結合する。次いで、TWEAK及びFn14/TWEAKRの複合体は、上記で挙げたとおりの細胞反応を調節する。加えて、TWEAKは、樹状細胞の生存、さらには、樹状細胞及びT細胞の活性化に関係し得る。
TWEAKは、IFN−γによりモジュレートされ得る。研究により、IFN−γ刺激された単球は、TWEAK発現の顕著な増大をもたらすことが示されている。
TWEAKは、細胞性及び/または体液性免疫反応を誘導し得る。具体的には、in vivo実験により、TWEAKは、抗ウイルス性反応の一部として活性化CD8+T細胞において発現され、引き続いて、成熟及びエフェクター機能を調節することが示されている。また、TWEAKは、免疫反応の間に、CD8+T細胞の分化に関係しており、その際、TWEAKは、溶解性エフェクター細胞の発現を調節している。特に、TWEAKは、CD8+T細胞及びNK細胞におけるIFN−γ産生を増大させ得る。さらに、多数の研究により、IFN−γ調節に加えて、TWEAKは、細胞溶解性エフェクター系列の特性を引き出すために重要であることが示唆されている。
TWEAKは、別個のシグナル伝達経路により、I型IFN、IFN誘導性ケモカイン、及び腫瘍壊死因子−a(TNF−a)などの炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現の引き金を引き得る。ワクチンにTWEAKを含ませることにより、T−betを含まないワクチンと比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、及び少なくとも約10倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにTWEAKを含ませることにより、TWEAKを含まないワクチンと比較して、少なくとも約2倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにTWEAKを含ませることにより、TWEAKを含まないワクチンと比較して、少なくとも約3倍のIFN−γ産生を誘導することができる。
TWEAKは、IL−2のより多い産生により、T細胞反応経路を刺激し得る。TWEAKは、「エフェクター」T細胞となるようにT細胞の成長、増殖、及び分化を刺激し、また、IL−2受容体IL−2Rの発現を刺激し得る。次いで、IL−2/IL−2R相互作用は、抗原特異的CD4+T細胞及びCD8+T細胞の成長、分化、及び生存を刺激する。IL−2は、自己と非自己とを区別するために必要とされるので、IL−2を刺激することにより、自己細胞と非自己細胞との間の免疫系の調節が実行される。
TWEAKはさらに、IgGのB細胞産生を増大させることにより、適応免疫系を刺激し得る。
TWEAKは、対象において抗原に対する免疫反応を増大またはブーストし得る。抗原は、以下においてより詳細に検討する。いくつかの例では、TWEAKは、抗原に対する免疫反応を約75%〜約200%増大させることができる。あるいは、TWEAKは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、約90%〜約130%増大し得る。さらに他の代替実施形態において、TWEAKは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、または200%増大し得る。
他の実施形態において、TWEAKは、それを必要とする対象に投与されたワクチンからの特定の抗原に対する免疫反応を、少なくとも0.5倍、1.0倍、1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍に増大またはブーストし得る。
他の場合には、TWEAKは、個体における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において、抗原における少なくとも1つのエピトープの免疫系認識を変更または改変し得る。抗原は、以下でより詳細に記載される。そのような少なくとも1つのエピトープの認識の改変は、抗原のみに対応する核酸を含むワクチンを投与された対象と比較して、本明細書に記載のワクチンを投与された対象においてより大きな免疫反応を誘導し得る。
また、TWEAKは、例えば、以前には認識されなかったエピトープが、免疫系により認識されるようにし、それによって、抗原に対する対象の免疫反応を増大させることにより、抗原における1つ以上のエピトープの提示を変更または変化させ得る。提示の変更、したがって免疫反応の増大は、対象における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において起こり得る。
TWEAKをコードする核酸は、任意の数の生体、例えば、マウス(Mus musculus)、マカク(Macacac mulatta)、及びヒト(Homo sapiens)からのものであり得る。TWEAKをコードする核酸を、コドン利用および及び対応するRNAトランスクリプトに関して最適化することができる。TWEAKをコードする核酸は、発現に関して最適化されたコドン及びRNAであり得る。いくつかの実施形態において、TWEAKをコードする核酸は、翻訳の効率を上げるためのKozak配列(例えば、GCC ACC)を含むことができる。TWEAKをコードする核酸は、翻訳終結の効率を上げるための複数の停止コドン(例えば、TGA TGA)を含むことができる。また、TWEAKをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。IgEリーダー配列は、核酸中のTWEAKの5’側に位置し得る。いくつかの実施形態において、TWEAKをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、または含有しない。
TWEAKは、配列番号10をコードする最適化核酸配列の配列番号9であり得る。いくつかの実施形態において、TWEAKは、配列番号9に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、TWEAKは、配列番号10に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。TWEAKは、配列番号10に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号9の断片に関する。断片は、配列番号9の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号9の断片に対して同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号9に対して95%またはそれ以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のTWEAK核酸配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のTWEAK核酸配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のTWEAK核酸配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のTWEAK核酸配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号10の断片を提供することができる。断片は、配列番号10の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
配列番号10の断片に対して同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号10に対して95%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のTWEAKタンパク質配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のTWEAKタンパク質配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のTWEAKタンパク質配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のTWEAKタンパク質配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
(6)GITRL
アジュバントは、GITRLであり得る。GITRLは、自然及び後天性免疫反応をモジュレートする腫瘍壊死ファミリーのメンバーである。GITRLは、マクロファージ、樹状細胞、内皮細胞、及びB細胞の細胞表面上で発現される。GITRLは、その同源受容体GITRと反応する。
GITRLは、細胞性及び/または体液性免疫反応の調節において鍵となる役割を果たす。具体的には、GITRLは、T細胞及びNK細胞上で発現され、その際、これは、細胞活性化の後に、アップレギュレーションされる。GITRL誘導性シグナル伝達はERK1/2により媒介され、次いで、これは、転写因子NF−κBの活性化の引き金を引く。NF−κBは、ケモカイン、MMP、及びサイトカインを含めた複数の炎症誘発性メディエーターの発現を制御する。
GITRLは、IFN−γの発現をアップレギュレーションし得る。
GITRLは、細胞性及び/または体液性免疫反応を誘導し得る。具体的には、in vivo実験により、GITRLは、抗ウイルス性反応の一部として活性化CD8+T細胞において発現され、引き続いて、成熟及びエフェクター機能を調節することが示されている。また、GITRLは、免疫反応の間にCD8+T細胞の分化に関係しており、その際、GITRLは、溶解性エフェクター細胞の発現を調節している。特に、GITRLは、CD8+T細胞及びNK細胞におけるIFN−γ産生を増大させ得る。さらに、多数の研究により、IFN−γ調節に加えて、GITRLは、細胞溶解性エフェクター系列の特性を引き出すために重要であることが示唆されている。
GITRLは、別個のシグナル伝達経路により、I型IFN、IFN誘導性ケモカイン、及び腫瘍壊死因子−a(TNF−a)などの炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現の引き金を引き得る。ワクチンにGITRLを含ませることにより、T−betを含まないワクチンと比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、及び少なくとも約10倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにGITRLを含ませることにより、GITRLを含まないワクチンと比較して、少なくとも約2倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにGITRLを含ませることにより、GITRLを含まないワクチンと比較して、少なくとも約3倍のIFN−γ産生を誘導することができる。
GITRLは、IL−2のより多い産生により、T細胞反応経路を刺激し得る。GITRLは、「エフェクター」T細胞となるようにT細胞の成長、増殖、及び分化を刺激し、また、IL−2受容体IL−2Rの発現を刺激し得る。次いで、IL−2/IL−2R相互作用は、抗原特異的CD4+T細胞及びCD8+T細胞の成長、分化、及び生存を刺激する。IL−2は、自己と非自己とを区別するために必要とされるので、IL−2を刺激することにより、自己細胞と非自己細胞との間の免疫系の調節が実行される。
GITRLはさらに、IgGのB細胞産生を増大させることにより、適応免疫系を刺激し得る。
GITRLは、対象において抗原に対する免疫反応を増大またはブーストし得る。抗原は、以下においてより詳細に検討する。いくつかの例では、GITRLは、抗原に対する免疫反応を約75%〜約200%増大させることができる。あるいは、GITRL Kは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、約90%〜約130%増大し得る。さらに他の代替実施形態において、GITRLは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、または200%増大し得る。
他の実施形態において、GITRLは、それを必要とする対象に投与されたワクチンからの特定の抗原に対する免疫反応を、0.5倍、1.0倍、1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍に増大またはブーストし得る。
他の場合には、GITRLは、個体における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において、抗原における少なくとも1つのエピトープの免疫系認識を変更または改変し得る。抗原は、以下でより詳細に記載される。そのような少なくとも1つのエピトープの認識の改変は、抗原のみに対応する核酸を含むワクチンを投与された対象と比較して、本明細書に記載のワクチンを投与された対象においてより大きな免疫反応を誘導し得る。
また、GITRLは、例えば、以前には認識されなかったエピトープが、免疫系により認識されるようにし、それによって、抗原に対する対象の免疫反応を増大させることにより、抗原における1つ以上のエピトープの提示を変更または変化させ得る。提示の変更、したがって免疫反応の増大は、対象における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において起こり得る。
GITRLをコードする核酸は、任意の数の生体、例えば、マウス(Mus musculus)、マカク(Macacac mulatta)、及びヒト(Homo sapiens)からのものであり得る。GITRLをコードする核酸を、コドン利用及び対応するRNAトランスクリプトに関して最適化することができる。GITRLをコードする核酸は、発現に関して最適化されたコドン及びRNAであり得る。いくつかの実施形態において、GITRLをコードする核酸は、翻訳の効率を上げるためのKozak配列(例えば、GCC ACC)を含むことができる。GITRLをコードする核酸は、翻訳終結の効率を上げるための複数の停止コドン(例えば、TGA TGA)を含むことができる。また、GITRLをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。IgEリーダー配列は、核酸中のGITRLの5’側に位置し得る。いくつかの実施形態において、GITRLをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、または含有しない。
GITRLは、配列番号12をコードする最適化核酸配列の配列番号11であってよい。いくつかの実施形態において、GITRLは、配列番号11に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、GITRLは、配列番号12に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。GITRLは、配列番号12に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号11の断片に関する。断片は、配列番号11の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号11の断片に対して同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号11に対して95%またはそれ以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のGITRL核酸配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のGITRL核酸配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のGITRL核酸配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のGITRL核酸配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号12の断片を提供することができる。断片は、配列番号12の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
配列番号12の断片に対して同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号12に対して95%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のGITRLタンパク質配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のGITRLタンパク質配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のGITRLタンパク質配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のGITRLタンパク質配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
(7)STING
アジュバントは、STINGであり得る。STINGは、細胞性及び/または体液性免疫反応において鍵となる役割を有する膜貫通タンパク質である。STINGは、細胞がdsDNAに直面したときに活性化されて、TLRの不在下で1型IFNのアップレギュレーションをもたらすDNAセンサーである。1型IFNは、抗原特異的B細胞ならびにCD4+及びCD8+T細胞を刺激するので、最適なDNAワクチン誘導性免疫に必須である。STINGは、1型IFNの有効な産生に必須であることが示されている。
STINGは、IFN−γの発現をアップレギュレーションし得る。
STINGは、細胞性及び/または体液性免疫反応を誘導し得る。具体的には、in vivo実験により、STINGは、抗ウイルス性反応の一部として活性化CD8+T細胞において発現され、引き続いて、成熟及びエフェクター機能を調節することが示されている。また、STINGは、免疫反応の間に、CD8+T細胞の分化に関係しており、その際、STINGは、溶解性エフェクター細胞の発現を調節している。特に、STINGは、CD8+T細胞及びNK細胞におけるIFN−γ産生を増大させ得る。さらに、多数の研究により、IFN−γ調節に加えて、STINGは、細胞溶解性エフェクター系列の特性を引き出すために重要であることが示唆されている。
STINGは、別個のシグナル伝達経路により、I型IFN、IFN誘導性ケモカイン、及び腫瘍壊死因子−a(TNF−a)などの炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現の引き金を引き得る。ワクチンにSTINGを含ませることにより、T−betを含まないワクチンと比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、及び少なくとも約10倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにSTINGを含ませることにより、STINGを含まないワクチンと比較して、少なくとも約2倍のIFN−γ産生を誘導することができる。ワクチンにSTINGを含ませることにより、STINGを含まないワクチンと比較して、少なくとも約3倍のIFN−γ産生を誘導することができる。
STINGは、IL−2のより多い産生により、T細胞反応経路を刺激し得る。STINGは、「エフェクター」T細胞となるようにT細胞の成長、増殖、及び分化を刺激し、また、IL−2受容体IL−2Rの発現を刺激し得る。次いで、IL−2/IL−2R相互作用は、抗原特異的CD4+T細胞及びCD8+T細胞の成長、分化、及び生存を刺激する。IL−2は、自己と非自己とを区別するために必要とされるので、IL−2を刺激することにより、自己細胞と非自己細胞との間の免疫系の調節が実行される。
STINGはさらに、IgGのB細胞産生を増大させることにより、適応免疫系を刺激し得る。
STINGは、対象において抗原に対する免疫反応を増大またはブーストし得る。抗原は、以下においてより詳細に検討する。いくつかの例では、STINGは、抗原に対する免疫反応を約75%〜約200%増大させることができる。あるいは、STINGは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、約90%〜約130%増大し得る。さらに他の代替実施形態において、STINGは、抗原に対する免疫反応を増大させ得、これらは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、または200%増大し得る。
他の実施形態において、STINGは、それを必要とする対象に投与されたワクチンからの特定の抗原に対する免疫反応を、少なくとも0.5倍、1.0倍、1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍に増大またはブーストし得る。
他の場合には、STINGは、個体における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において、抗原における少なくとも1つのエピトープの免疫系認識を変更または改変し得る。抗原は、以下でより詳細に記載される。そのような少なくとも1つのエピトープの認識の改変は、抗原のみに対応する核酸を含むワクチンを投与された対象と比較して、本明細書に記載のワクチンを投与された対象においてより大きな免疫反応を誘導し得る。
また、STINGは、例えば、以前には認識されなかったエピトープが、免疫系により認識されるようにし、それによって、抗原に対する対象の免疫反応を増大させることにより、抗原における1つ以上のエピトープの提示を変更または変化させ得る。提示の変更、したがって免疫反応の増大は、対象における任意の数の組織、例えば、皮膚組織及び筋肉組織において起こり得る。
STINGをコードする核酸は、任意の数の生体、例えば、マウス(Mus musculus)、マカク(Macacac mulatta)、及びヒト(Homo sapiens)からのものであり得る。STINGをコードする核酸を、コドン利用及び対応するRNAトランスクリプトに関して最適化することができる。STINGをコードする核酸は、発現に関して最適化されたコドン及びRNAであり得る。いくつかの実施形態において、STINGをコードする核酸は、翻訳の効率を上げるためのKozak配列(例えば、GCC ACC)を含むことができる。STINGをコードする核酸は、翻訳終結の効率を上げるための複数の停止コドン(例えば、TGA TGA)を含むことができる。また、STINGをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。IgEリーダー配列は、核酸中のSTINGの5’側に位置し得る。いくつかの実施形態において、STINGをコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、または含有しない。
STINGは、配列番号14をコードする最適化核酸配列の配列番号13であり得る。いくつかの実施形態において、STINGは、配列番号13に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、STINGは、配列番号14に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する核酸配列をコードする核酸配列であり得る。STINGは、配列番号14に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号13の断片に関する。断片は、配列番号13の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号13の断片に対して同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号13に対して95%またはそれ以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のSTING核酸配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のSTING核酸配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のSTING核酸配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のSTING核酸配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号14の断片を提供することができる。断片は、配列番号14の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
配列番号14の断片に対して同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質の断片を提供することができる。そのような断片は、配列番号14に対して95%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のSTINGタンパク質配列の断片に対して96%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のSTINGタンパク質配列の断片に対して97%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のSTINGタンパク質配列の断片に対して98%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のSTINGタンパク質配列の断片に対して99%またはそれ以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
b.抗原
ワクチンは、抗原またはその断片もしくは変異体を含み得る。抗原は、対象において免疫反応を誘導する任意のものであり得る。精製抗原は、通常、それ自体で強い免疫原性を有さず、したがって、上記のとおりのアジュバントと組み合わされる。抗原により誘導される免疫反応は、アジュバントと組み合わせた場合に、ブーストまたは増大され得る。そのような免疫反応は、体液性免疫反応及び/または細胞性免疫反応であり得る。いくつかの実施形態において、アジュバントと抗原との組み合わせは、対象における細胞性免疫反応をブーストまたは増大させ得る。
抗原は、核酸配列、アミノ酸配列、またはその組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、その変異体、その断片、またはその組み合わせであり得る。また、核酸配列は、ペプチド結合により抗原に連結しているリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列を含み得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、その変異体、その断片、またはその組み合わせであり得る。
抗原は、任意の数の生体、例えば、ウイルス、寄生虫、細菌、真菌、または哺乳類に由来するタンパク質、核酸、またはその断片、またはその変異体、またはその組み合わせに含まれ得る。抗原は、自己免疫疾患、アレルギー、または喘息に関連し得る。他の実施形態において、抗原は、癌、ヘルペス、インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関連し得る。好ましくは、抗原は、インフルエンザまたはHIVに関連し得る。
一部の抗原は、強い免疫反応を誘導し得る。他の抗原は、弱い免疫反応を誘導し得る。抗原は、上記のとおりのアジュバントと組み合わせた場合に、より強い免疫反応を誘発し得る。
(1)ウイルス性抗原
抗原は、ウイルス性抗原、またはその断片、またはその変異体であり得る。ウイルス性抗原は、次の科のいずれかからのウイルスに由来し得る:アデノウイルス科、アレナウイルス科、ブンヤウイルス科、カリチウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、オルソミクソウイルス科、パポバウイルス科、パラミクソウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科、またはトガウイルス科。ウイルス性抗原は、乳頭腫ウイルス、例えば、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ポリオウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、天然痘ウイルス(大痘瘡及び小痘瘡)、ワクシニアウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、デング熱ウイルス、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス、黄熱病ウイルス、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−I)、ヘアリーセル白血病ウイルス(HTLV−II)、カリフォルニア脳炎ウイルス、ハンタウイルス(出血性熱)、狂犬病ウイルス、エボラ熱ウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、呼吸系発疹ウイルス(RSV)、単純ヘルペス1型(口腔ヘルペス)、単純ヘルペス2型(陰部ヘルペス)、帯状ヘルペス(水痘−帯状疱疹、水痘としても知られている)、サイトメガロウイルス(CMV)、例えば、ヒトCMV、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、フラビウイルス、口蹄疫ウイルス、チクングニヤウイルス、ラッサウイルス、アレナウイルス、または発癌性ウイルスに由来し得る。
(a)肝炎抗原
アジュバントは、肝炎ウイルス性抗原(すなわち、肝炎抗原)、またはその断片、またはその変異体に随伴させるか、または組み合わせることができる。肝炎抗原は、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、及び/またはE型肝炎ウイルス(HEV)に由来する抗原または免疫原であり得る。いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HAV、HBV、HCV、HDV、及びHEVに由来する抗原の1つ以上をコードするプラスミド(複数可)などの異種の核酸分子(複数可)であり得る。肝炎抗原は、全長タンパク質または全長タンパク質の免疫原性断片であり得る。
肝炎抗原は、コンセンサス配列及び/または発現を改善するための1つ以上の修飾を含み得る。構築物の免疫原性を増大させるためのコドン最適化、RNA最適化、及び高度に効率的な免疫グロブリンリーダー配列の付加を含めた遺伝子修飾が、修飾されたコンセンサス配列に含まれ得る。コンセンサス肝炎抗原は、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含んでよく、また、いくつかの実施形態において、HAタグを含んでよい。対応するコドン最適化免疫原よりも強く広い細胞性免疫反応を誘発するように、免疫原を設計することができる。
肝炎抗原は、HAVに由来する抗原であり得る。肝炎抗原は、HAVカプシドタンパク質、HAV非構造タンパク質、その断片、その変異体、またはその組み合わせであり得る。
肝炎抗原は、HCVに由来する抗原であり得る。肝炎抗原は、HCVヌクレオカプシドタンパク質(すなわち、コアタンパク質)、HCVエンベロープタンパク質(例えば、E1及びE2)、HCV非構造タンパク質(例えば、NS1、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、及びNS5b)、その断片、その変異体、またはその組み合わせであり得る。
肝炎抗原は、HDVに由来する抗原であり得る。肝炎抗原は、デルタ型HDV抗原、その断片、またはその変異体であり得る。
肝炎抗原は、HEVに由来する抗原であり得る。肝炎抗原は、HEVカプシドタンパク質、その断片、またはその変異体であり得る。
肝炎抗原は、HBVに由来する抗原であり得る。肝炎抗原は、HBVコアタンパク質、HBV表面タンパク質、HBV DNAポリメラーゼ、X遺伝子によりコードされるHBVタンパク質、その断片、その変異体、またはその組み合わせであり得る。肝炎抗原は、HBV遺伝子型Aコアタンパク質、HBV遺伝子型Bコアタンパク質、HBV遺伝子型Cコアタンパク質、HBV遺伝子型Dコアタンパク質、HBV遺伝子型Eコアタンパク質、HBV遺伝子型Fコアタンパク質、HBV遺伝子型Gコアタンパク質、HBV遺伝子型Hコアタンパク質、HBV遺伝子型A表面タンパク質、HBV遺伝子型B表面タンパク質、HBV遺伝子型C表面タンパク質、HBV遺伝子型D表面タンパク質、HBV遺伝子型E表面タンパク質、HBV遺伝子型F表面タンパク質、HBV遺伝子型G表面タンパク質、HBV遺伝子型H表面タンパク質、その断片、その変異体、またはその組み合わせであってよい。肝炎抗原は、コンセンサスHBVコアタンパク質またはコンセンサスHBV表面タンパク質であり得る。
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Aコンセンサス核DNA配列構築物、HBV遺伝子型Aコアタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Aコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Bコンセンサス核DNA配列構築物、HBV遺伝子型Bコアタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Bコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
さらに他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Cコンセンサス核DNA配列構築物、HBV遺伝子型Cコアタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Cコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Dコンセンサス核DNA配列構築物、HBV遺伝子型Dコアタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Dコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Eコンセンサス核DNA配列構築物、HBV遺伝子型Eコアタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Eコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Fコンセンサス核DNA配列構築物、HBV遺伝子型Fコアタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Fコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Gコンセンサス核DNA配列構築物、HBV遺伝子型Gコアタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Gコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Hコンセンサス核DNA配列構築物、HBV遺伝子型Hコアタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Hコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
さらに他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Aコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型A表面タンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgE配列、またはHBV遺伝子型Aコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Bコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型B表面タンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgE配列、またはHBV遺伝子型Bコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Cコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型C表面タンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgE配列、またはHBV遺伝子型Cコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
さらに他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Dコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型D表面タンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgE配列、またはHBV遺伝子型Dコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Eコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型E表面タンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgE配列、またはHBV遺伝子型Eコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Fコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型F表面タンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgE配列、またはHBV遺伝子型Fコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
さらに他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Gコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型G表面タンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgE配列、またはHBV遺伝子型Gコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Hコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型H表面タンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgE配列、またはHBV遺伝子型Hコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
(b)ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原
アジュバントは、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原、またはその断片、またはその変異体に随伴させるか、または組み合わせることができる。HPV抗原は、子宮頸癌、直腸癌、及び/または他の癌の原因となるHPV16、18、31、33、35、45、52、及び58型に由来し得る。HPV抗原は、陰部疣贅の原因となり、また、頭頸部癌の原因となることが知られているHPV6及び11型に由来し得る。
HPV抗原は、各HPV型からのHPV E6またはE7ドメインであり得る。例えば、HPV16型(HPV16)では、HPV16抗原には、HPV16 E6抗原、HPV16 E7抗原、その断片、変異体、または組み合わせが含まれ得る。同様に、HPV抗原は、HPV6 E6及び/もしくはE7、HPV11 E6及び/もしくはE7、HPV18 E6及び/もしくはE7、HPV31 E6及び/もしくはE7、HPV33 E6及び/もしくはE7、HPV52 E6及び/もしくはE7、またはHPV58 E6及び/もしくはE7、その断片、変異体、または組み合わせであり得る。
(c)RSV抗原
また、アジュバントは、RSV抗原、またはその断片、またはその変異体に随伴させるか、または組み合わせることができる。RSV抗原は、ヒトRSV融合タンパク質(本発明では「RSV F」、「RSV Fタンパク質」、及び「Fタンパク質」とも称される)、またはその断片もしくは変異体であり得る。ヒトRSV融合タンパク質は、RSVサブタイプA及びBとの間で保存され得る。RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23994.1)に由来するRSV Fタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原は、RSV A2株(GenBank AAB59858.1)に由来するRSV Fタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原は、RSV Fタンパク質の単量体、二量体、もしくは三量体、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原は、最適化されたアミノ酸RSV Fアミノ酸配列、またはその断片もしくは変異体であり得る。
RSV Fの後融合形態は、免疫化動物において抗体を中和する高い力価を誘発し、RSV攻撃から動物を保護する。本発明は、特許請求の範囲に記載のワクチンにおいてこの免疫反応を利用する。本発明によれば、RSV Fタンパク質は、前融合形態または後融合形態であってよい。
また、RSV抗原は、ヒトRSV付着糖タンパク質(本明細書では「RSV G」、「RSV Gタンパク質」、及び「Gタンパク質」とも称される)、またはその断片もしくは変異体であり得る。ヒトRSV Gタンパク質は、RSVサブタイプA及びBの間で異なる。抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23993)に由来するRSV Gタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原は、RSVサブタイプB分離株H5601、RSVサブタイプB分離株H1068、RSVサブタイプB分離株H5598、RSVサブタイプB分離株H1123、またはその断片もしくは変異体に由来するRSV G タンパク質であり得る。RSV抗原は、最適化されたアミノ酸RSV Gアミノ酸配列、またはその断片もしくは変異体であり得る。
他の実施形態において、RSV抗原は、ヒトRSV非構造タンパク質1(「NS1 タンパク質」)、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23987.1)に由来するRSV NS1 タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。また、RSV抗原ヒトは、RSV非構造タンパク質2(「NS2タンパク質」)、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23988.1)に由来するRSV NS2タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原はさらに、ヒトRSVヌクレオカプシド(「N」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23989.1)に由来するRSV N タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原は、ヒトRSVホスホタンパク質(「P」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23990.1)に由来するRSV Pタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。また、RSV抗原は、ヒトRSV Matrixタンパク質(「M」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23991.1)に由来するRSV Mタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。
さらに他の実施形態において、RSV抗原は、ヒトRSV小疎水性(「SH」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23992.1)に由来するRSV SHタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。また、RSV抗原は、ヒトRSV Matrixタンパク質2−1(「M2−1」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23995.1)に由来するRSV M2−1タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原はさらに、ヒトRSV Matrixタンパク質2−2(「M2−2」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23997.1)に由来するRSV M2−2タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原ヒトは、RSVポリメラーゼL(「L」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23996.1)に由来するRSV Lタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。
さらなる実施形態において、RSV抗原は、NS1、NS2、N、P、M、SH、M2−1、M2−2、またはLタンパク質の最適化されたアミノ酸配列であり得る。RSV抗原は、ヒトRSVゲノムによりコードされるタンパク質のいずれかなどのヒトRSVタンパク質または組換え抗原であり得る。
他の実施形態において、RSV抗原は、これだけに限定されないが、RSV Long株に由来するRSV Fタンパク質、RSV Long株に由来するRSV Gタンパク質、最適化アミノ酸RSV Gアミノ酸配列、RSV Long株のヒトRSVゲノム、最適化アミノ酸RSV Fアミノ酸配列、RSV Long株に由来するRSV NS1タンパク質、RSV Long株に由来するRSV NS2タンパク質、RSV Long株に由来するRSV Nタンパク質、RSV Long株に由来するRSV Pタンパク質、RSV Long株に由来するRSV Mタンパク質、RSV Long株に由来するRSV SHタンパク質、RSV Long株に由来するRSV M2−1タンパク質、RSV Long株に由来するRSV M2−2タンパク質、RSV Long株に由来するRSV Lタンパク質、RSVサブタイプB分離株H5601に由来するRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB分離株H1068に由来するRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB分離株H5598に由来するRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB分離株H1123に由来するRSV Gタンパク質、またはその断片、またはその変異体であり得る。
(d)インフルエンザ抗原
アジュバントは、インフルエンザ抗原、またはその断片、またはその変異体に随伴させるか、または組み合わせることができる。インフルエンザ抗原は、1つ以上のインフルエンザ血清型に対して、哺乳類において免疫反応を誘発し得るものである。抗原は、全長翻訳産物HA0、サブユニットHA1、サブユニットHA2、その変異体、その断片、またはその組み合わせを含み得る。インフルエンザ血球凝集素抗原は、インフルエンザA血清型H1の複数の株に由来するコンセンサス配列、インフルエンザA血清型H2の複数の株に由来するコンセンサス配列、インフルエンザA血清型H1の複数の株の異なるセットに由来する2種の異なるコンセンサス配列の一部を含むハイブリッド配列、またはインフルエンザBの複数の株に由来するコンセンサス配列であり得る。インフルエンザ血球凝集素抗原は、インフルエンザBに由来し得る。
また、インフルエンザ抗原は、免疫反応を誘導し得る特定のインフルエンザ免疫原に対して有効であり得る少なくとも1つの抗原エピトープを含み得る。抗原は、無傷のインフルエンザウイルスにおいて存在する免疫原性部位及びエピトープの全レパートリーを提示し得る。抗原は、血清型H1または血清型H2の複数のインフルエンザAウイルス株など、1つの血清型の複数のインフルエンザAウイルス株からの血球凝集素抗原配列に由来し得るコンセンサス血球凝集素抗原配列であってよい。抗原は、2種の異なるコンセンサス血球凝集素抗原配列またはその一部の組み合わせに由来し得るハイブリッドコンセンサス血球凝集素抗原配列であってよい。2種の異なるコンセンサス血球凝集素抗原配列のそれぞれは、血清型H1の複数のインフルエンザAウイルス株など、1つの血清型の複数のインフルエンザAウイルス株の異なるセットに由来してよい。抗原は、複数のインフルエンザBウイルス株からの血球凝集素抗原配列に由来し得るコンセンサス血球凝集素抗原配列であってよい。
いくつかの実施形態において、インフルエンザ抗原は、H1 HA、H2 HA、H3 HA、H5 HA、またはBHA抗原であり得る。あるいは、インフルエンザ抗原は、コンセンサス血球凝集素抗原、コンセンサスH1アミノ酸配列またはコンセンサスH2アミノ酸配列を含むタンパク質であり得る。コンセンサス血球凝集素抗原は、互いに異なるセットの配列にそれぞれ由来する2種の異なるコンセンサスH1配列の一部を含む合成ハイブリッドコンセンサスH1配列であってよい。合成ハイブリッドコンセンサスH1タンパク質であるコンセンサスHA抗原の例は、U2アミノ酸配列を含むタンパク質である。コンセンサス血球凝集素抗原は、コンセンサスBHAアミノ酸配列を含むタンパク質など、インフルエンザB株からの血球凝集素配列に由来するコンセンサス血球凝集素タンパク質であってよい。
コンセンサス血球凝集素抗原はさらに、1つ以上の追加のアミノ酸配列要素を含んでよい。コンセンサス血球凝集素抗原は、そのN末端に、IgEまたはIgGリーダーアミノ酸配列をさらに含んでよい。コンセンサス血球凝集素抗原はさらに、容易に利用可能な抗体により検出され得る独特の免疫原性エピトープである免疫原性タグを含んでよい。そのような免疫原性タグの例は、コンセンサス血球凝集素のC末端上で連結していてよい9アミノ酸インフルエンザHA Tagである。いくつかの実施形態において、コンセンサス血球凝集素抗原はさらに、そのN末端上に、IgEまたはIgGリーダーアミノ酸配列を、及びそのC末端上にHAタグを含んでよい。
コンセンサス血球凝集素抗原は、コンセンサスインフルエンザアミノ酸配列またはその断片及び変異体からなるコンセンサス血球凝集素タンパク質であってよい。コンセンサス血球凝集素抗原は、非インフルエンザタンパク質配列及びインフルエンザタンパク質配列またはその断片及び変異体を含むコンセンサス血球凝集素タンパク質であってよい。
コンセンサスH1タンパク質の例には、コンセンサスH1アミノ酸配列からなってよいもの、あるいはIgEリーダー配列もしくはHA Tag、またはIgEリーダー配列及びHA Tagの両方などの追加の要素をさらに含むものが含まれる。
コンセンサスH2タンパク質の例には、コンセンサスH2アミノ酸配列からなってよいもの、あるいはIgEリーダー配列もしくはHA Tag、またはIgEリーダー配列及びHA Tagの両方をさらに含むものが含まれる。
ハイブリッドコンセンサスH1タンパク質の例には、コンセンサスU2アミノ酸配列からなってよいもの、あるいはIgEリーダー配列もしくはHA Tag、またはIgEリーダー配列及びHA Tagの両方をさらに含むものが含まれる。
ハイブリッドコンセンサスインフルエンザB血球凝集素タンパク質の例には、コンセンサスBHAアミノ酸配列からなってよいものが含まれるか、あるいはこれは、IgEリーダー配列もしくはHA Tag、またはIgEリーダー配列及びHA Tagの両方をさらに含んでよい。
コンセンサス血球凝集素タンパク質は、コンセンサス血球凝集素核酸、その変異体、またはその断片によりコードされ得る。異なる株及び変異体からの複数の異なる血球凝集素配列に由来するコンセンサス配列であり得るコンセンサス血球凝集素タンパク質とは異なり、コンセンサス血球凝集素核酸は、コンセンサスタンパク質配列をコードする核酸配列を指し、使用されるコード配列は、コンセンサス血球凝集素タンパク質配列が由来する複数の異なる血球凝集素配列における特定のアミノ酸配列をコードするために使用されるものとは異なり得る。コンセンサス核酸配列は、コドン最適化及び/またはRNA最適化されていてよい。コンセンサス血球凝集素核酸配列は、5’非翻訳領域にKozak配列を含んでよい。コンセンサス血球凝集素核酸配列は、リーダー配列をコードする核酸配列を含んでよい。N末端リーダー配列のコード配列は、血球凝集素コード配列の5’である。N末端のリーダーは、分泌を促進し得る。N末端のリーダーは、IgEリーダーまたはIgGリーダーであり得る。コンセンサス血球凝集素核酸配列は、免疫原性タグをコードする核酸配列を含み得る。免疫原性タグは、タンパク質のC末端上にあり得、これをコードする配列は、HAコード配列の3’である。免疫原性タグは、独特のエピトープを提示し、容易に利用可能な抗体がそのために存在するので、そのような抗体を、タンパク質の発現を検出及び確認するためのアッセイにおいて使用することができる。免疫原性タグは、タンパク質のC末端にあるH Tagであり得る。
(e)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原
アジュバントは、HIV抗原またはその断片、またはその変異体に随伴させるか、または組み合わせることができる。HIV抗原は、免疫原のための修飾コンセンサス配列を含み得る。構築物の免疫原性を増大させるためのコドン最適化、RNA最適化、及び高度に効率的な免疫グロブリンリーダー配列の付加を含めた遺伝子修飾が、修飾されたコンセンサス配列に含まれ得る。対応するコドン最適化免疫原よりも強く広い細胞性免疫反応を誘発するように、新規の免疫原を設計することができる。
いくつかの実施形態において、HIV抗原は、サブタイプAコンセンサスエンベロープDNA配列構築物、サブタイプAエンベロープタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはサブタイプAコンセンサスエンベロープタンパク質配列であり得る。
他の実施形態において、HIV抗原は、サブタイプBコンセンサスエンベロープDNA配列構築物、サブタイプBエンベロープタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはサブタイプBコンセンサスエンベロープタンパク質配列であり得る。
さらに他の実施形態において、HIV抗原は、サブタイプCコンセンサスエンベロープDNA配列構築物、サブタイプCエンベロープタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはサブタイプCコンセンサスエンベロープタンパク質配列であり得る。
さらなる実施形態において、HIV抗原は、サブタイプDコンセンサスエンベロープDNA配列構築物、サブタイプDエンベロープタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはサブタイプDコンセンサスエンベロープタンパク質配列であり得る。
いくつかの実施形態において、HIV抗原は、サブタイプB Nef−RevコンセンサスエンベロープDNA配列構築物、サブタイプB Nef−Revタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはサブタイプB Nef−Revコンセンサスタンパク質配列であり得る。
他の実施形態において、HIV抗原は、サブタイプA、B、C、及びD DNA配列構築物のGagコンセンサスDNA配列、Gag コンセンサスサブタイプA、B、C、及びDタンパク質のためのコンセンサス配列に連結しているIgEリーダー配列、またはコンセンサスGagサブタイプA、B、C、及びDタンパク質配列であり得る。
さらに他の実施形態において、HIV抗原は、MPol DNA配列またはMPolタンパク質配列であり得る。HIV抗原は、Env A、Env B、Env C、Env D、B Nef−Rev、Gag、または任意のその組み合わせの核酸またはアミノ酸配列であり得る。
(2)寄生虫抗原
アジュバントは、寄生虫抗原またはその断片もしくは変異体に随伴させるか、または組み合わせることができる。寄生虫は、原生動物、蠕虫、または外部寄生虫であり得る。蠕虫(すなわち、ワーム)は、扁虫(例えば、吸虫及び条虫)、鉤頭虫、または回虫(例えば、蟯虫)であり得る。外部寄生虫は、シラミ、ノミ、マダニ、及びダニであり得る。
寄生虫は、次の疾患の原因となる任意の寄生虫であり得る:アカントアメーバ角膜炎、アメーバ症、回虫症、バベシア症、バランチジウム症、アライグマ回虫症、シャガス病、肝ジストマ症、コクリオミイヤ、クリプトスポリジウム症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、象皮病、蟯虫症、肝蛭症、肥大肝蛭病、糸状虫症、ジアルジア虫症、顎口虫症、膜様条虫疾患、イソスポラ症、片山熱、リーシュマニア症、ライム病、マラリア、横川吸虫症、ハエウジ病、オンコセルカ症、シラミ寄生症、疥癬、住血吸虫症、アフリカ睡眠症、糞線虫症、テニヤ条虫症、トキソカラ症、トキソプラスマ症、旋毛虫症、及び鞭虫症。
寄生虫は、アカントアメーバ、アニサキス、回虫、ウシバエ、大腸バランチジウム、南京虫、条虫類(条虫)、ツツガムシ、ラセンウジバエ、エントアメーバヒストリティカ、カンテツ、ランブル鞭毛虫、鉤虫、リーシュマニア、鼻腔舌虫、肝吸虫、ロア糸状虫、肺吸虫属、肺吸虫、蟯虫、熱帯熱マラリア原虫、住血吸虫、糞線虫、ダニ、条虫、トキソプラスマ原虫、トリパノソーマ、鞭虫、またはバンクロフト糸状虫であり得る。
(a)マラリア抗原
アジュバントは、マラリア抗原(すなわち、PF抗原またはPF免疫原)、またはその断片、またはその変異体に随伴させるか、または組み合わせることができる。抗原は、マラリアの原因となる寄生虫に由来し得る。マラリアの原因となる寄生虫は、熱帯熱マラリア原虫であり得る。熱帯熱マラリア原虫抗原には、スポロゾイト周囲(CS)抗原が含まれ得る。
いくつかの実施形態において、マラリア抗原は、熱帯熱マラリア原虫免疫原CS;LSA1;TRAP;CelTOS;及びAma1の1つ以上をコードするプラスミドなどの核酸分子であり得る。免疫原は、全長または全長タンパク質の免疫原性断片であり得る。免疫原は、コンセンサス配列及び/または発現を改善するための修飾を含む。
他の実施形態において、マラリア抗原は、GenBankデータベースにおけるすべての全長熱帯熱マラリア原虫TRAP/SSP2配列(全部で28配列)の編集から設計された、SSP2とも称されるTRAPのコンセンサス配列であり得る。コンセンサスTRAP免疫原(すなわち、ConTRAP免疫原)は、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含んでよく、また、いくつかの実施形態において、HA Tagを含んでよい。
さらに他の実施形態において、マラリア抗原は、Ag2とも称され、高度保存マラリア亜原虫抗原であるCelTOSであり得る。コンセンサスCelTOS抗原(すなわち、ConCelTOS免疫原)は、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含んでよく、また、いくつかの実施形態において、HA Tagを含んでよい。
さらなる実施形態において、マラリア抗原は、高度保存マラリア原虫抗原であるAma1であり得る。また、マラリア抗原は、いくつかの例では、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含むAma1(すなわち、ConAmaI免疫原)のコンセンサス配列であり得、また、いくつかの実施形態において、HA Tagを含んでよい。
いくつかの実施形態において、マラリア抗原は、いくつかの例では、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含むコンセンサスCS抗原(すなわち、コンセンサスCS 免疫原)であり得、また、いくつかの実施形態において、HA Tagを含んでよい。
他の実施形態において、マラリア抗原は、本明細書に記載の2つ以上のPFタンパク質の組み合わせを含む融合タンパク質であり得る。例えば、融合タンパク質は、相互に直接隣接して連結しているか、またはその間にスペーサーまたは1つ以上のアミノ酸を伴って連結しているコンセンサスCS免疫原、ConLSA1免疫原、ConTRAP免疫原、ConCelTOS免疫原、及びConAma1免疫原の2つ以上を含んでよい。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、2つのPF免疫原を含み;いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、3つのPF免疫原を含み、いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、4つのPF免疫原を含み、かついくつかの実施形態において、融合タンパク質は、5つのPF免疫原を含む。2つのコンセンサスPF免疫原を含む融合タンパク質は、CS及びLSA1;CS及びTRAP;CS及びCelTOS;CS及びAma1;LSA1及びTRAP;LSA1及びCelTOS;LSA1及びAma1;TRAP及びCelTOS;TRAP及びAma1;またはCelTOS及びAma1を含んでよい。3つのコンセンサスPF免疫原を含む融合タンパク質は、CS、LSA1、及びTRAP;CS、LSA1、及びCelTOS;CS、LSA1、及びAma1;LSA1、TRAP、及びCelTOS;LSA1、TRAP、及びAma1;またはTRAP、CelTOS、及びAma1を含んでよい。4つのコンセンサスPF免疫原を含む融合タンパク質は、CS、LSA1、TRAP、及びCelTOS;CS、LSA1、TRAP、及びAma1;CS、LSA1、CelTOS、及びAma1;CS、TRAP、CelTOS、及びAma1;またはLSA1、TRAP、CelTOS、及びAma1を含んでよい。5つのコンセンサスPF免疫原を含む融合タンパク質は、CSまたはCS−alt、LSA1、TRAP、CelTOS、及びAma1を含んでよい。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、N末端に連結しているシグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、各コンセンサスPF免疫原のN末端に連結している複数のシグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態において、スペーサーが、融合タンパク質のPF免疫原の間に含まれてよい。いくつかの実施形態において、融合タンパク質のPF免疫原の間のスペーサーは、タンパク質分解切断部位であってよい。いくつかの実施形態において、スペーサーは、ワクチンが投与され、かつ/または吸収されることが意図されている細胞中に存在するプロテアーゼにより認識されるタンパク質分解切断部位であってよい。いくつかの実施形態において、スペーサーは、融合タンパク質のPF免疫原の間に含まれてよい、その際、スペーサーは、ワクチンが投与され、かつ/または吸収されることが意図されている細胞中に存在するプロテアーゼにより認識されるタンパク質分解切断部位であり、また、切断されると、各コンセンサスPF免疫原のシグナルペプチドがコンセンサスPF免疫原を細胞の外側に移動させるように、融合タンパク質は、各コンセンサスPF免疫原のN末端に連結している複数のシグナルペプチドを含む。
(3)細菌性抗原
アジュバントは、細菌性抗原またはその断片もしくは変異体に随伴させるか、または組み合わせることができる。細菌は、次の門のいずれかからの細菌であり得る:アシドバクテリウム門、放線菌門、アクウィフェクス門、バクテロイデス門、カルディセリクム門、クラミジア門、緑色硫黄細菌門、緑色非硫黄細菌門、クリシオゲネス門(Chrysiogenetes)、藍細菌門、デフェリバクター門、デイノコックス−テルムス門、ディクチオグオロムス門、エルシミクロミウム門、フィブロバクター門、ファーミキューテス門、フソバクテリウム門、ゲンマティモナス門、レンティスファエラ門、ニトロスピラ門、プランクトミケス門、プロテオバクテリア門、スピロヘータ門、シネルギステス門、テネリクテス門、サーモデスルフォバクテリア門、テルモトガ門、及びベルコミクロビウム門。
細菌は、グラム陽性菌またはグラム陰性菌であり得る。細菌は、好気性菌または嫌気性菌であり得る。細菌は、無機栄養細菌または有機栄養細菌であり得る。細菌は、中温菌、好中菌(neutrophile)、好極限性細菌、好酸菌(acidophile)、好アルカリ菌、好熱菌、低温菌、好塩菌、または好濃菌であり得る。
細菌は、炭疽菌、抗生物質耐性菌、病原性細菌、食中毒菌、感染性細菌、サルモネラ菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、または破傷風菌であり得る。細菌は、ミコバクテリア、破傷風菌、ペスト菌、炭疽菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、またはクロストリジウム−ディフィシレであり得る。
(a)結核菌抗原
アジュバントは、結核菌抗原(すなわち、TB抗原またはTB免疫原)、またはその断片、またはその変異体に随伴させるか、または組み合わせることができる。TB抗原は、TB抗原のAg85ファミリー、例えば、Ag85A及びAg85Bからのものであり得る。TB抗原は、TB抗原のEsxファミリー、例えば、EsxA、EsxB、EsxC、EsxD、EsxE、EsxF、EsxH、EsxO、EsxQ、EsxR、EsxS、EsxT、EsxU、EsxV、及びEsxWからのものであり得る。いくつかの実施形態において、TB抗原は、Ag85ファミリー及びEsxファミリーからの結核菌免疫原の1つ以上をコードするプラスミドなどの異種核酸分子であり得る。免疫原は、全長または全長タンパク質の免疫原性断片であり得る。免疫原は、コンセンサス配列及び/または発現を改善するための修飾を含み得る。コンセンサス免疫原は、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含んでよく、また、いくつかの実施形態において、HAタグを含んでよい。
(4)真菌抗原
アジュバントは、真菌抗原またはその断片もしくは変異体に随伴させるか、または組み合わせることができる。真菌は、アスペルギルス種、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、カンジダ属酵母(例えば、カンジダアルビカンス)、コクシジオイデス、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クリプトコッカス・ガッティ(Cryptococcus gattii)、皮膚糸状菌、フザリウム種、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ケカビ亜門、ニューモシスチス・ジロベシ(Pneumocystis jirovecii)、スポロトリックス・シェンキィ(Sporothrix schenckii)、エキセロハイラム属(Exserohilum)、またはクラドスポリウムであり得る。
c.ベクター
ワクチンは、抗原及びアジュバントをコードする1つ以上の異種核酸を含む1つ以上のベクターを含み得る。1つ以上のベクターは、抗原及びアジュバントを発現することができる。1つ以上のベクターは、発現構築物であり得、これは、一般に、特定の遺伝子を標的細胞に導入するのに用いられるプラスミドである。発現ベクターが細胞の中に入ると、遺伝子によってコードされるタンパク質は、細胞性転写及び翻訳機構リボソーム複合体によって産生される。プラスミドは、エンハンサー及びプロモーター領域として作用する調節配列を含み、かつ、発現ベクター上に運搬された遺伝子の効率的な転写をもたらすように操作されることが多い。本発明のベクターは、多量の安定したメッセンジャーRNAを発現するため、多量の安定したタンパク質を発現する。
ベクターは、強力なプロモーター、強力な終止コドン、プロモーターとクローン化遺伝子の間の距離の調節、転写終結配列及びPTIS(ポータブルな翻訳開始配列)の挿入などの発現シグナルを有し得る。
(1)発現ベクター
ベクターは、環状プラスミドまたは線状核酸であり得る。環状プラスミド及び線状核酸は、適切な対象細胞内において特定の異種ヌクレオチド配列の発現をもたらすことができる。ベクターは、抗原コードヌクレオチド配列またはアジュバントコードヌクレオチド配列に機能的に連結しているプロモーターを有してもよく、これは、終止シグナルに機能的に連結し得る。ベクターは、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列も含み得る。対象のヌクレオチド配列を含むベクターは、キメラであってもよく、これは、その成分の少なくとも1つが、その他の成分の少なくとも1つに対して異種であることを意味する。発現カセットにおけるヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下であってもよく、宿主細胞がいくつかの特定の外部刺激に晒された場合にのみ転写を開始する。多細胞生物の場合、プロモーターは、特定の組織または臓器もしくは発生の段階に特異的であり得る。
(2)環状及び線状ベクター
ベクターは、環状プラスミドであってもよく、これは、標的細胞を統合によって細胞性ゲノムに形質転換してもよく、あるいは、染色体外に存在してもよい(例えば、複製起点をもつ自律複製プラスミド)。
ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、provax、または、抗原またはアジュバントをコードする異種DNAを発現することができ、かつ、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原またはアジュバントに翻訳できるようにすることが可能な発現可能な任意の他の発現ベクターであってもよい。
また、本明細書で提供されるのは、線状核酸ワクチンまたは線状発現カセット(「LEC」)であり、これは、電気穿孔を介して対象に効率よく送達され、かつ、1つ以上の所望の抗原または1つ以上の所望のアジュバント発現することができる。LECは、任意のリン酸バックボーンを欠いた任意の線状DNAであってもよい。DNAは、1つ以上の抗原または1つ以上のアジュバントをコードしてもよい。LECは、プロモーター、イントロン、終止コドン、及び/またはポリアデニル化シグナルを含んでいてもよい。抗原またはアジュバントの発現は、プロモーターにより制御されてもよい。LECは、任意の抗生物質抵抗性遺伝子及び/またはリン酸バックボーンを含んでいなくてもよい。LECは、所望の抗原遺伝子発現、または所望のアジュバンド発現に関連しない他の核酸配列を含んでいなくてもよい。
LECは、線状にすることが可能な任意のプラスミド由来であってもよい。プラスミドは、抗原またはアジュバント発現可能であってもよい。プラスミドは、アジュバントRel−A及び/またはT−bet発現可能であってもよい。プラスミドは、pNP(プエルトリコ/34)またはpM2(ニューカレドニア/99)であってもよい。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、provax、または、抗原をコードするか、またはアジュバントをコードするDNAを発現することができ、かつ、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原またはアジュバントに翻訳できるようにすることが可能な任意の他の発現ベクターであってもよい。
LECは、pcrM2であってもよい。LECは、pcrNPであってもよい。pcrNP及びpcrMRは、それぞれpNP(プエルトリコ/34)及びpM2(ニューカレドニア/99)由来であってもよい。
(3)プロモーター、イントロン、停止コドン、及びポリアデニル化シグナル
ベクターは、プロモーターを有し得る。プロモーターは、遺伝子発現を駆動し、単離核酸の発現を調節することができる任意のプロモーターであり得る。かかるプロモーターは、DNA依存RNAポリメラーゼ経由の転写に要するシス作用配列要素であり、本明細書に記載の抗原配列またはアジュバント配列を転写する。異種核酸の発現の指示に用いられるプロモーターは、特定の用途に依って選択される。プロモーターは、ベクターの転写開始部位から、これがその天然の設定における転写開始部位からの距離であるのとほぼ同じ距離に配置され得る。しかしながら、この距離の変動は、プロモーター機能の喪失を伴うことなく対応し得る。
プロモーターは、抗原をコードする核酸配列と、転写産物の効率的なポリアデニル化、リボソーム結合部位、及び翻訳終結に必要なシグナルとに機能的に連結し得る。プロモーターは、アジュバントをコードする核酸配列と、転写産物の効率的なポリアデニル化、リボソーム結合部位、及び翻訳終結に必要なシグナルとに機能的に連結し得る。
プロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞内で効率的な発現を示す他のプロモーターであってもよい。
ベクターは、機能的スプライスドナー部位及び機能的スプライスアクセプター部位を持つエンハンサー及びイントロンを含み得る。ベクターは、効率よい終結を提供するために、構造遺伝子の下流に転写終結領域を含み得る。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得てもよいし、あるいは、異なる遺伝子から得てもよい。
d.ワクチンの賦形剤及び他の成分
ワクチンは、薬学的に許容しうる賦形剤をさらに含んでいてもよい。薬学的に許容しうる賦形剤は、ビヒクル、Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL、及びSTING以外の担体、担体、または希釈剤としての機能的分子であり得る。薬学的に許容しうる賦形剤は、界面活性剤を含みうるトランスフェクション促進剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AをはじめとするLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレン及びスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知のトランスフェクション促進剤であり得る。
トランスフェクション促進剤は、ポリ−L−グルタマート(LGS)をはじめとするポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ−L−グルタマートであり、ポリ−L−グルタマートは、6mg/ml未満の濃度でワクチン中に存在してもよい。トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AをはじめとするLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレン及びスクアレンなどの小胞を含んでいてもよく、ヒアルロン酸を用いて、遺伝的構築物と一体化させて投与してもよい。DNAプラスミドワクチンは、トランスフェクション促進剤、例えば脂質、レシチンリポソームまたはDNAリポソーム混合物(例えば、WO9324640参照)などの当該技術分野で公知の他のリポソームをはじめとするリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知トランスフェクション促進剤を含んでいてもよい。トランスフェクション促進剤は、ポリ−L−グルタマート(LGS)をはじめとするポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。ワクチン中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
薬学的に許容可能な賦形剤は、Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL及びSTINGに加えて、アジュバントであり得る。追加のアジュバントは、別のプラスミドから発現される他の遺伝子であることが可能であり、または、ワクチン中に上記プラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される。アジュバントは、α−インターフェロン(IFN−α)、β−インターフェロン(IFN−β)、γ−インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘因性ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL−12、IL−15、MHC、CD80、欠失され、かつ、IgE由来のシグナルペプチドを任意に含むシグナル配列シグナル配列を有するIL−15を含むCD86からなる群から選択され得る。アジュバントは、IL−12、IL−15、IL−28、CTACK、TECK、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、またはそれらの組み合わせであり得る。
Rel−A、T−bet、Eomes、FLT3L、TWEAK、GITRL及びSTINGに加えて、アジュバントとして有用であり得る他の遺伝子としては、MCP−1、MIP−la、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、変異体型IL−18、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL−7、神経成長因子、血管内皮細胞増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、及びその機能的断片をコードするものが挙げられる。
ワクチンは、参照により完全に組み込まれる、1994年4月1日に提出された米国特許出願第021,579号に記載されるような遺伝的ワクチン促進剤をさらに含み得る。
ワクチンは、用いられる投与様式に従って配合してもよい。注射可能なワクチン医薬組成物は、滅菌されたパイロジェンフリー及び微粒子フリーであってもよい。等張性配合剤または溶液が用いられてもよい。等張性のための添加剤として、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースを挙げることができる。ワクチンは、血管収縮剤を含んでいてもよい。等張性溶液は、リン酸緩衝生理食塩水を含んでいてもよい。ワクチンは、ゼラチン及びアルブミンをはじめとする安定化剤をさらに含んでいてもよい。LGSまたはポリカチオンまたはポリアニオンなどの安定剤により、配合剤を室温または周囲温度で長時間安定にさせることができる。
3.ワクチン接種方法
また、本発明は、ワクチンにより、異なる投与経路により対象において免疫反応を増大させる方法に関する。免疫反応の増大を使用して、対象における疾患を治療及び/または予防することができる。
本方法は、対象に、本明細書に開示されているワクチンを投与することを含み得る。該ワクチンを投与された対象は、抗原のみを投与された対象と比較して、免疫反応の増大またはブーストを示し得る。いくつかの実施形態において、該ワクチンを投与された対象における免疫反応は、約18%〜約650%増大し得る。あるいは、該ワクチンを投与された対象における免疫反応は、約45%〜約260%増大し得る。さらに別の実施形態において、該ワクチンを投与された対象における免疫反応は、約93%〜約130%増大し得る。
他の実施形態において、投与ワクチンは、対象における免疫反応を少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍に増大またはブーストすることができる。
本ワクチンは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、及び少なくとも約10倍のIFN−γ産生を誘導し得る。
本ワクチンは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、対象における抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を増大またはブーストすることができる。該ワクチンは、抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を約75%〜約200%増大し得る。あるいは、該ワクチンは、抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を増大させ得、これは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、約90%〜約130%増大し得る。該ワクチンは、抗原に対する細胞性及び/または体液性免疫反応を増大させ得、これは、アジュバントを含まないワクチンと比較して、約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、または200%増大し得る。
ワクチンの用量は、1μg〜10mg有効成分/kg体重/時間であってもよく、20μg〜10mg有効成分/kg体重/時間であってもよい。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日おきに投与することができる。効果的な治療のためのワクチンの投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。
a.投与
ワクチンを、薬学技術分野の当業者に周知の標準的な技術に従って調製することができる。かかる組成物を、特定の対象の年齢、性別、体重、及び状態、ならびに投与経路などの要因を考慮して、医学分野の当業者に周知の用量及び技術によって投与することができる。対象は、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ネズミ、またはマウスなどの哺乳類であり得る。
ワクチンを、予防的または治療的に投与することができる。予防的投与において、ワクチンは、免疫反応を誘導するのに十分な量で投与される。治療的適用の場合、ワクチンは、治療的作用を誘発するのに十分な量で、それを必要とする対象に投与される。これを達成するために十分な量を、「治療的有効用量」として定義する。この用途のための有効量は、例えば、投与されるワクチン療法の特定の組成物、投与様式、疾患の段階及び重症度、患者の全身健康状態、及び処方する医師の判断に依存するであろう。
ワクチンは、ドネリー(Donnelly)ら(Ann.Rev.Immunol.15:617〜648(1997);フェルナー(Felgner)ら(1996年12月3日に公布された米国特許第5,580,859号);フェルナー(Felgner)ら(1997年12月30日に公布された米国特許第5,703,055号);及びカーソン(Carson)ら(1997年10月21日に公布された米国特許第5,679,647号)に記載されているように当該技術分野で周知の方法によって投与され、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ワクチンのDNAは、例えば、粒子またはビーズと複合体を形成して、これをワクチン銃を用いて個体に投与することができる。当業者は、生理学的に許容される化合物を含む薬学的に許容可能な担体の選択が、例えば、発現ベクターの投与経路に依存することを承知している。
ワクチンを、多様な経路によって送達してもよい。典型的な送達経路には、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、または皮下送達が含まれる。他の経路には、経口投与、鼻腔内、及び膣内経路が含まれる。特にDNAワクチンに関して、ワクチンを、個体の組織の間質空間に送達することができる(Felgnerら、米国特許第5,580,859号及び第5,703,055号、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ワクチンは、筋肉に投与してもよいし、または、皮内または皮下注射を通して、あるいは、イオン導入法(iontophoresis)による経皮投与を通して投与してもよい。ワクチンの表皮投与も用いることができる。表皮投与は、刺激物質に対する免疫反応を刺激するために、表皮の最も外側の層を機械的または化学的に刺激することを含むことができる(Carsonら、米国特許第5,679,647号、この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
また、ワクチンを、鼻腔内経路を通して投与するために調製することができる。担体が固体であって鼻腔投与に適した製剤には、粒径、例えば約10ミクロン〜約500ミクロンの範囲の粒径を有する目の粗い粉末が含まれ、鼻から吸うように投与される、すなわち、鼻に近づけて保持した粉末容器から鼻腔を通して急速に吸入することによって投与される。製剤は、点鼻スプレー、点鼻薬、またはネブライザーによるエアロゾル投与であってもよい。製剤は、ワクチンの水溶液または油性溶液を含み得る。
ワクチンは、懸濁剤、シロップ、またはエリキシル剤などの液体調製物であり得る。また、ワクチンは、非経口、皮下、皮内、筋肉内または静脈内投与(例えば、注射投与)用の製剤、例えば、滅菌懸濁液またはエマルションであり得る。
ワクチンは、リポソーム、ミクロスフェア、または他のポリマーマトリクスに組み込むことができる(Felgnerら、米国特許第5,703,055号;Gregoriadis、Liposome Technology、I巻〜III巻(第2版、1993)、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。リポソームは、リン脂質または他の脂質からなり、作製及び投与が比較的単純な、非毒性の、生理学的に許容される、代謝可能な担体であり得る。
ワクチンは、米国特許第7,664,545号に記載の方法により電気穿孔法を介して投与することができる。その内容は参照により本明細書に組み込まれる。電気穿孔法は、米国特許第6,302,874;同第5,676,646号;同第6,241,701号;同第6,233,482号;同第6,216,034号;同第6,208,893号;同第6,192,270号;同第6,181,964号;同第6,150,148号;同第6,120,493号;同第6,096,020号;同第6,068,650号;及び同第5,702,359号に記載の方法及び/または装置によってであってもよく、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。電気穿孔法は、最小侵襲装置を介して行ってもよい。
最小侵襲性電気穿孔装置(「MID」)は、上述のワクチン及び関連流体を体組織に注入する装置であり得る。装置は、中空針、DNAカセット、及び流体送込み手段を含んでもよく、装置は、針の体組織への挿入中にDNAを体組織に同時に(例えば、自動的に)注入するように、使用時に流体送込み手段を作動するようになっている。これは、針が挿入されている間にDNA及び関連流体を徐々に注入する能力が体組織中の流体のより一様な分布をもたらすという利点を有する。また、注入されるDNAのより大きい面積に渡る分布により、注入中に体感される痛みが低減され得る。
MIDは、針を使用せずにワクチンを組織に注入することができる。MIDは、ワクチンが組織表面を貫通し、下層の組織及び/または筋肉に入るような力で、ワクチンを小さなストリームまたはジェットとして注入することができる。小さなストリームまたはジェットの背後にある力は、マイクロオリフィスを通じた二酸化炭素などの圧縮ガスを瞬時に膨張させることで提供することができる。最小侵襲性電気穿孔装置及びそれらの使用方法の例については、米国公開特許出願第20080234655号;米国特許第6,520,950号;米国特許第7,171,264号;米国特許第6,208,893号;米国特許第6,009,347号;米国特許第6,120,493号;米国特許第7,245,963号;米国特許第7,328,064号;及び米国特許第6,763,264号に記載されており、それぞれの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
MIDは、痛みを伴わずに組織を貫通する液体の高速ジェットを生成する注射器を含み得る。かかる針なし注射器は市販されている。本明細書で利用することができる針なし注射器の例としては、米国特許第3,805,783号;同第4,447,223号;同第5,505,697号;及び同第4,342,310号に記載のものが挙げられ、それぞれの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
直接的または間接的な電気輸送に適した形態の所望のワクチンを、針なし注射器を用いて、治療対象組織に導入する(例えば、注入する)ことができる。これは、通常、組織表面に注射器を接触させ、ワクチンを組織に貫通させるのに十分な力で薬剤をジェット送達させて行う。例えば、治療対象組織が粘膜、皮膚、または筋肉の場合、薬剤を角質層を通じて皮層へ、または下層組織及び筋肉それぞれへと貫通させるのに十分な力で、粘膜または皮膚表面に向けて薬剤を発射する。
針なし注射器は、全タイプの組織、特に、皮膚及び粘膜にワクチンを送達するのに適している。いくつかの実施形態において、針なし注射器は、ワクチンを含む液体を表面及び対象の皮膚または粘膜に進ませるのに用いることができる。本発明の方法を用いて治療することができる様々なタイプの組織の代表的な例としては、膵臓、喉頭、鼻咽頭、下咽頭、中咽頭、唇、喉、肺、心臓、腎臓、筋肉、乳房、結腸、前立腺、胸腺、睾丸、皮膚、粘膜組織、卵巣、血管、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
MIDは、組織を電気穿孔する針状電極を有し得る。例えば、長方形または正方形パターンにセットされた複数の電極アレイにおける複数対の電極間にパルスを発生させることで、一対の電極間にパルスを発生させるよりも優れた結果がもたらされる。「薬剤及び遺伝子の仲介送達用針電極(Needle Electrodes for Mediated Delivery of Drugs and Genes)」と題された米国特許第5,702,359号に開示されているものは、針アレイであり、治療的処置中に複数対の針にパルス発生させ得るものである。参照によりその内容全体が完全に本明細書に組み込まれる該出願において、針は、円形配列で設置されているが、対向する対の針状電極間にパルスを発生させることが可能な接続器及び切替装置を有する。一対の針状電極を用いて、組み換え発現ベクターを細胞に送達することができる。かかる装置及びシステムは、米国特許第6,763,264号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。あるいは、DNAの注入、及び、通常の注射針に似た単一針によるエレクトロポレーションが可能な単一針装置を用いて、現在使用されている装置によって送達する場合よりも低い電圧パルスを印加することで、患者が受ける電気が走ったような感覚を減らすことができる。
MIDは、1つ以上の電極アレイを含み得る。アレイは、同一直径または異なる直径の2つ以上の針を含み得る。針は等間隔または不等間隔に配置されていてもよい。針は、0.005インチ〜0.03インチ、0.01インチ〜0.025インチ;または0.015インチ〜0.020インチであり得る。針は、直径0.0175インチであり得る。針は、0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、またはそれ以上の間隔で配置されていてもよい。
MIDは、1つのパルス発生器と、ワクチンを送達し、シングルステップでエレクトロポレーションパルスを与える2つ以上の針ワクチン注射器とからなり得る。パルス発生器により、パーソナルコンピュータ操作によるフラッシュカード経由でパルスや注入パラメータをフレキシブルにプログラミングできるだけでなく、エレクトロポレーション及び患者データを包括的に記録・保存することができる。パルス発生器は、様々な電圧パルスを短時間で送達することができる。例えば、パルス発生器は、長さ100ミリ秒(ms)の15ボルトのパルスを3回送達することができる。かかるMIDの例としては、米国特許第7,328,064号に記載されているイノビオバイオメディカル社(Inovio Biomedical Corporation)製のElgen1000システムであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
MIDは、CELLECTRA(イノビオファーマシューティカルズ社製、ペンシルベニア州ブルーベル)装置及びシステムであってもよく、これは、生体または植物の選択された組織の細胞へDNAなどの高分子の導入を円滑にするためのモジュール式の電極システムである。モジュール式の電極システムは、複数の針状電極;皮下注射針;プログラム可能な定電流パルス制御器から複数の針状電極への導電性連結を提供する電気接続器;及び電源を含み得る。操作者は、支持構造に搭載される複数の針状電極を握り、生体または植物の選択された組織の中へそれをしっかりと挿入することができる。次いで皮下注射針を介して選択された組織の中に高分子を送達する。プログラム可能な定電流パルス制御器が活性化され、複数の針状電極に定電流の電気パルスが印加される。印加された定電流の電気パルスは複数の電極間で細胞への高分子の導入を促進する。細胞の過熱による細胞死は、定電流パルスにより組織内の電力消費を制限することで最小化される。Cellectra装置及びシステムは、米国特許第7,245,963号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
MIDは、Elgen1000システム(イノビオファーマシューティカルズ社製)であり得る。Elgen1000システムは、中空針と流体送込み手段とを備える装置を含んでもよく、該装置は、針の体組織への挿入中に本明細書に記載のワクチンである流体を体組織に同時に(例えば、自動的に)注入するように、使用時に流体送込み手段を作動するようになっている。これは、針が挿入されている間に流体を徐々に注入する能力が体組織中の流体のより一様な分布をもたらすという利点を有する。また、注入される流体量のより大きい面積に渡る分布により、注入中に体感される痛みが低減されると考えられる。
流体の自動注入は、注入される流体の実際の投与量の自動的な監視及び登録を容易にする。このデータは所望なら、証拠資料用に制御ユニットにより記憶できる。
注入速度は直線的であっても、非直線的であってもよく、注入は、針が治療対象の皮膚を通って挿入された後でかつそれらがさらに体組織に挿入される間に実行されることが理解されるであろう。
本発明の装置によって流体を注入するのに適した組織は、腫瘍組織、皮膚、または肝組織を含むが、筋肉組織であってもよい。
装置は、体組織への針の挿入をガイドする針挿入手段をさらに含む。流体の注入速度は、針の挿入速度により制御される。これは、注入速度に対し挿入速度を所望通りに整合できるように、針の挿入と流体の注入の両方を制御できるという利点を有する。それはまたユーザにとって装置をより操作しやすくする。所望なら、針を体組織に自動的に挿入する手段を設けることもできる。
ユーザは、流体の注入を開始すべき時点を選ぶことができる。しかしながら理想的には、注入は針の先端が筋肉組織に到達したときに開始され、装置は針が流体の注入が始まる十分な深さまで挿入された時点を感知する手段を含む。これは、針が所望の深さ(これは通常は筋肉組織が始まる深さであろう)に到達したときに流体の注入が自動的に始まるようにできることを意味する。筋肉組織が始まる深さは、例えば、4mm(この値は針が皮膚層を通り抜けるのに十分であると思われる)の値等の予め設定された針の挿入深さとなるように取ることもできる。
感知手段は、超音波プローブを含み得る。感知手段は、インピーダンスまたは抵抗の変化を感知する手段を含み得る。この場合、この手段はそれ自体、体組織内の針の深さを記録しなくてもよいが、むしろ針が種々のタイプの体組織から筋肉に移動しながらインピーダンスまたは抵抗の変化を感知するようになっている。これらの代案のいずれも、比較的正確で操作が簡単な注入開始感知手段を提供する。所望なら針の挿入深さがさらに記録でき、それは流体の注入を制御するために使用でき、それにより針の挿入深さが記録されながら注入すべき流体の量が決定される。
装置は、針を支持する基体と、中に基体を受容するハウジングとをさらに含み、基体がハウジングに対して第1の後方位置にあるときに針がハウジング内に引っ込められ、基体がハウジング内の第2の前方位置にあるときに針がハウジングか出ているように、基体はハウジングに対して移動可能である。これは、ハウジングが患者の皮膚の上に並べられ、そうして基体に対してハウジングを移動することにより針を患者の皮膚に挿入できるので、ユーザにとって好都合である。
上に述べたように、針が皮膚に挿入されながら、針の長さに渡り流体が一様に分布するように制御された流体注入速度を達成することが望ましい。流体送込み手段は、制御された速度で流体を注入するようになっているピストン駆動手段を含み得る。ピストン駆動手段は、例えば、サーボモータにより駆動することもできる。しかしながら、ピストン駆動手段は、基体がハウジングに対して軸方向に移動されることにより作動され得る。流体送達の代わりの手段を設けてもよいことが理解されるであろう。従って、例えば、制御された、あるいは制御されない速度で流体を送達するために搾り出しができる閉じられた容器を注射器及びピストンシステムの代わりに設けることもできる。
上記の装置は、どのようなタイプの注入にも使用できる。しかしながら、エレクトロポレーションの分野において特に有用であると考えられ、従って、それは、針に電圧を印加する手段をさらに含み得る。これは針が注入に使用されるだけでなく、エレクトロポレーション中の電極としても使用されることを可能にする。これは、電界が注入される流体と同じ領域に印加されることを意味するので特に好都合である。エレクトロポレーションには、前に注入された流体に電極を正確に合わせることが非常に難しいという問題が伝統的にあり、従って、注入された物質と電界の間の重なりを保証しようとして、ユーザは大きい領域に渡り必要以上に大量の流体を注入し、また大面積に渡り電界を印加する傾向にあった。本発明を使用すれば、電界と流体の良好な適合を達成しつつ、流体の注入量と電界の印加サイズの両方を減少できる。
本発明は、以下の非限定的な実施例によって示される多くの態様を有する。
4.実施例
実施例1
実施例2〜4のための材料及び方法
プラスミドワクチン構築物。pRelAプラスミドDNA構築物は、全長マウスNF−κBサブユニットp65/RelA(GenBank #TF65_マウス)及び1型トランス活性化因子T−bet(GenBank #TBX21_マウス)をそれぞれコードする。加えて、Ig重鎖イプシロン−1シグナルペプチド(GenBank#AAB59424)を、N末端のメチオニンに代えて各配列のN末端に融合させて、発現を促進する。タンパク質発現を増強するための他の特許権下の修飾の中で(ジェンスクリプト(GenScript)製、ニュージャージー州ピスカタウェイ)、各遺伝子を、マウスでの発現について、コドン最適化及びRNA最適化を含めて遺伝子的に最適化した。次いで、最適化遺伝子を、サイトメガロウイルス最初期(CMV)プロモーターの制御下で、修飾pVax1哺乳類発現ベクター(インビトロジェン(Invitrogen)製、カリフォルニア州カールスバッド)にサブクローニングした。次いで、これらの試薬を、この研究における分子アジュバントとして使用した。pGag及びpEnvプラスミドは、それぞれHIV−1タンパク質Gag及びEnvを発現する。
トランスフェクション及びウェスタンブロット分析。ヒト胎児由来腎臓(HEK)293T細胞を、10%熱不活化ウシ胎児血清(FCS)、1mLあたり100IUのペニシリン、1mLあたり100μgのストレプトマイシン、及び2mM L−グルタミンを補充されたダルベッコ変法イーグル培地(ライフテクノロジーズ(Life Technologies)製、ニューヨーク州グランドアイランド)中で維持した。簡単には、製造者のプロトコルに従ってTurboFection 8.0(オリジーン(OriGene)製、メリーランド州ロックビル)を使用して、細胞にトランスフェクトし、引き続いて、24〜48時間にわたってインキュベートした。細胞を、氷冷PBSで採取し、遠心分離処理し、洗浄し、次いで、ウェスタン免疫ブロット分析のためにペレット化した。核抽出物(107個の細胞)を作製した。次いで、トランスフェクトされた細胞からの核タンパク質を、0.4M NaCl、1mM EDTA、1mM EGTA、1mM DTT、1mM PMSF、及びプロテアーゼ阻害薬カクテル(プロメガ社(Promega Corp)製、ウィスコンシン州マジソン)を含有する20mM Hepes(pH7.9)に溶かした。各抽出物のタンパク質濃度を、Bio−Radタンパク質アッセイキット(バイオラッド(Bio−Rad)製、カリフォルニア州ハーキュリーズ)により測定し、抽出物を、使用するまで−70℃においてアリコットで貯蔵した。標準的なウェスタンブロット分析を行った。細胞を、プロテアーゼ阻害薬(プロテアーゼ阻害薬カクテル錠剤;ロシェ(Roche)製、インディアナ州インディアナポリス)を補充されたタンパク質溶解用緩衝液(0.01Mトリス−HCl緩衝液 pH7.4、1% Triton X−100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS含有)で処理した。次いで、溶解産物中のタンパク質を、12%SDS−PAGEを使用して分離した。RelA及びT−betのためのタンパク質特異的検出抗体(セルシグナリングテクノロジー(Cell Signaling Technology)、マサチューセッツ州ダンバース)を、ブロットと共にインキュベートし、発現を、強化化学発光(ECL)ウェスタンブロット検出システム(GEヘルスケア(GE Healthcare)製、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を使用して可視化した。
ルシフェラーゼレポーターアッセイ及びIFN−ガンマ産生によるRelA/p65及びT−betの転写活性の確認。ルシフェラーゼ(pNF−κB−Luc)を同時発現するRelA/p65発現ベクターを使用して、RelA/p65の機能性を確認したが、これは、「アジュバント」ワクチン研究において使用する前に必要である。ルシフェラーゼレポーターアッセイを行った。簡単には、293個のT細胞(105細胞/ウェル)を、24時間にわたって96ウェルプレートに播種した。次いで、細胞に、RelA/p65 Luc発現プラスミドをトランスフェクトし、続いて、6時間にわたってインキュベートした。インキュベーションの後に、細胞培養培地を除去し、新たな培地に代えた。トランスフェクションの2日後に、細胞を、6時間にわたって20ng/mLの組換えTNF−αで処理し、続いて、Microlumat+ルミノメーター(LUMAT LB9501、ベルトールドテクノロジーズ(Berthold Technologies)、テネシー州オークリッジ)を使用することにより、ルシフェラーゼ活性を測定した。pT−bet機能を確認するために、pT−betトランスフェクトされたCD4+T細胞からのIFN−γの産生を測定した。IFN−γを測定する契機は、T−betとIFN−γ産生との直接的な相関を実証した以前に公開された研究に基づく。簡単には、この分析において、Balb/Cマウスの脾臓から単離された未感作CD4+T細胞を、CD4+T細胞単離キット(ミルテニーバイオテク(Miltenyibiotec)製、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して精製した。これらの細胞を、10%FBS、100U/mLペニシリン、及び200μg/mLストレプトマイシンを補充されたRPMI培地中で維持し、引き続いて、pT−betまたは陰性対照としてのpVax1をトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に、細胞を一晩にわたって抗CD3+抗CD28Ab(1μg/mL)で刺激した。引き続き、培養CD4+T細胞から収集された上清中のIFN−γレベルを、標準的なELISAにより測定した。
分析及びワクチン接種計画。成体の雌のBALB/cJ(H−2d)マウスを、ザ・ジャクソンラボラトリー(The Jackson Laboratory)(メイン州バーハーバー)から購入した。マウスを、左大腿四頭筋への針注射により、PBS25μL中に再懸濁させたプラスミド25μgで筋肉内(i.m.)免疫した。ワクチン接種の直後に、同じ部位でEPを続け、2週間隔で繰り返した。EP間接送達のために、イノビオファーマシューティカルズ社(Inovio Pharmaceuticals,Inc.)(ペンシルバニア州ブルーベル)が供給する三つ又CellECTRA(登録商標)適合定電流MinimallyInvasive Device(MID)を使用した。具体的には、方形波パルスを、26ゲージ固体ステンレス鋼電極からなる三角3電極アレイ(皮内に2mm挿入)により送達し、0.1Ampの2つの定電流パルスを、1秒の遅延により離して52ミリ秒/パルスにわたって送達した。ワクチン接種/分子アジュバント投与計画の間に、また、研究の終了を通じて、すべてのマウスを、起こり得る有害作用の発生について3日毎にモニターした。
脾細胞、T細胞の単離、及びサイトカインの定量。脾臓を、3回目の免疫化の7〜8日後に採取した。簡単には、脾臓を、10%FBS、1倍抗生物質−抗カビ(ライフテクノロジー製、ニューヨーク州グランドアイランド)、及び1倍β−ME(ライフテクノロジー製、ニューヨーク州グランドアイランド)を補充されたRPMI1640培地(メディアテック(Mediatech)製、バージニア州マナサス)に入れた。Stomacher機械(セワードラボラトリーシステムズ(Seward Laboratory Systems)製、ニューヨーク州ボヘミア)を使用して脾臓を機械的に撹乱することにより、脾細胞を単離し、その結果生じた生成物を、40μm細胞ストレーナ(BDバイオサイエンス(BD Biosciences)製、カリフォルニア州サンホセ)を使用して濾過した。次いで、細胞を、5分間にわたって、RBCを溶解するためのACK溶解用緩衝液(ロンザ(Lonza)製、メリーランド州ウォーカーズビル)で処理し、PBS中で洗浄し、次いで、ELISPOTアッセイにおいて使用するためにRPMI培地中に再懸濁させた。CD4未感作T細胞を、未感作CD4+T細胞単離キット(ミルテニーバイオテク(Miltenyi Biotec)製、カリフォルニア州オーバーン)を使用して脾臓から精製した。これらの細胞を、10%FBS、100U/mLペニシリン、200μg/mLストレプトマイシンを補充されたRPMI培地中で維持し、抗CD3+抗CD28(それぞれ1μg/mL)で刺激した。抗CD3+抗CD28抗体で刺激したら、培養細胞の培養上清中のサイトカイン産生レベルを、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により調べた。
ELISPOT分析。標準的なIFN−γ ELISPOTアッセイをこの研究では使用した。簡単には、96ウェルプレート(ミリポア(Millipore)製、マサチューセッツ州ビレリカ)を抗マウスIFN−γ捕捉抗体(R&Dシステムズ(R&D Systems)製、ミネソタ州ミネアポリス)でコーティングし、24時間にわたって4℃においてインキュベートした。翌日、プレートをPBSで洗浄し、次いで、2時間にわたって、遮断緩衝液(PBS中1%BSA及び5%スクロース)と共にインキュベートした。CD4+またはCD8+T細胞(5×105細胞/ウェルを3連で平板培養)を脾細胞からMACS精製し(ミルテニーバイオテック製、カリフォルニア州オーバーン)、引き続いて、HIV−1 Gag(コンセンサスサブタイプB)またはEnv(サブタイプB(MN))ペプチド(それらの個々のタンパク質の長さ全体にわたって11アミノ酸重複の15マー(NIH AIDSリアジェントプログラム(NIH AIDS Reagent Program)製、メリーランド州ベセスダ)で刺激した。5%CO2中で37℃における一晩にわたる18〜24時間の刺激の後に、プレートをPBS中で洗浄し、引き続いて、R&Dシステムズ(ミネソタ州ミネアポリス)から購入したビオチン化抗マウスIFN−γモノクローナル抗体(mAb)と共に4℃においてさらに24時間にわたってインキュベートした。次いで、プレートを再びPBS中で洗浄し、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ(マブテック(MabTech)製、スウェーデン、ナッカストランド(Nacka Strand))を各ウェルに加え、2時間にわたって室温においてインキュベートした。最後に、プレートを再びPBS中で洗浄し、続いて、5〜30分間にわたってBCIP/NBT Plus基質(マブテック(MabTech)製、オハイオ州シンシナティ)と共にインキュベートした。外観検査に基づきスポット発生が完了したら、プレートを蒸留水ですすぎ、次いで、一晩にわたって室温において乾燥させた。スポットを、自動ELISPOTリーダー(セルラーテクノロジー(Cellular Technology)製、オハイオ州シェーカーハイツ)を使用してカウントした。
T細胞増殖アッセイ。96ウェルU底プレート内で、組換えHIV−1 IIIB pr55(Gag)(NIH AIDSレアジェントプログラム製、メリーランド州ベセスダ)またはHIV−1 MN IIIB gp160(Env)(プロテインサイエンス(Protein Sciences)製、コネチカット州メリデン)の系列希釈(5、1、及び0.1μg/mL)の存在下で、培養培地中で1ウェルあたり105個の脾細胞をインキュベートすることにより、増殖反応をin vitroで測定し、5%CO2と共に37℃においてインキュベートした。トリチウム標識(3H)チミジンの組み込みを、0〜24時間の期間にわたって1μCi/ウェルの(3H)チミジンでパルス処理することにより測定した。次いで、プレートを収集し、取り込まれた3Hチミジンを、Betaプレートリーダー(ワラック(Wallac)製、マサチューセッツ州ウォルサム)において測定した。増殖反応を、Ag刺激ウェルの平均cpm(カウント毎分)を非刺激ウェルの平均cpmで割ることにより算出される刺激指数(SI)として表す。
ELISA。3回目のワクチン接種の7日後に採取されたワクチン接種マウスからの血清を、ELISAにより、組換えHIV−1 Env(NIH AIDSレアジェントプログラム製)に対する抗体反応について試験した。簡単には、96ウェルELISAプレートを、組換えHIV−1 Envタンパク質(プロテインサイエンス製)でコーティングし、4℃においてインキュベートし、引き続いて、PBS及び0.1%Tween−20で洗浄した。次いで、プレートを、2時間にわたって、PBS及び0.2%Tween−20で遮断した。遮断溶液を除去した後に、予備希釈された(1:50、1:100、1:500、1:1000)マウス血清100μLを加え、1時間にわたってインキュベートした。次いで、プレートを4回洗浄し、ペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG mAb(シグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich)製、ミズーリ州セントルイス)と共にインキュベートした。最後に、プレートを再び洗浄し、続いて、1ウェルあたり基質溶液200μl(R&Dシステム製、ミネソタ州ミネアポリス)を加えた。引き続いて、15分のインキュベーションの後に、(OD405nm)における光学密度を測定した。すべてのアッセイを3連で行った。
フローサイトメトリー。筋肉組織(すなわち、注射/ワクチン接種の部位から)を無菌で取り除き、Hanks平衡塩溶液(ライフテクノロジー製、ニューヨーク州グランドアイランド)ですすぎ、約1×2mm平方に細かく刻み、たまに撹拌しながら、コラゲナーゼA20mL(1mg/mL、ライフテクノロジー製、ニューヨーク州グランドアイランド)中で、37℃において、45分間にわたって温浸した。細胞温浸物を滅菌31μmナイロンメッシュで濾過し、10分間にわたって400gにおいて遠心分離し、10%FCS−DMEM中で2回洗浄した。次いで、細胞ペレットを、10%FCS−DMEM4mL中に再懸濁させた。
フローサイトメトリー分析のために、免疫化マウス細胞からの106個の細胞を、氷冷緩衝液A(PBS/0.1%BSA/0.01%NaN3)を含む懸濁液中で洗浄し、20分間にわたって4℃において1:100希釈蛍光標識特異抗体50μLと共にインキュベートした。利用した蛍光コンジュゲートされたAbは、FITC−CD11c、PE−CD4、PE−Cy7−CD45R(B220)(イーバイオサイエンス(eBioscience)製、カリフォルニア州サンディエゴ)、Alexa Fluor−750−CD8α、及びPerCP−Cy5.5−CD11b(BDバイオサイエンス(BD Biosciences)製、カリフォルニア州サンホセ)であった。細胞を2回洗浄し、すぐに、フローサイトメーター(ベクトンディッキンソンFACS(Becton Dickinson FACS)製、カリフォルニア州サンホセ)で分析した。すべてのインキュベーション及び洗浄を、4℃において氷冷緩衝液Aを用いて行った。細胞を一重項物質及び生細胞でゲートした。フローサイトメトリーデータを、FlowJoソフトウェア(ツリースター(Tree Star)製、オレゴン州アッシュランド)を使用して分析した。
統計的解析。群の分析を、マッチド両側不対t検定により完了し、すべての値を平均±SEMとして表す。Mann−Whitney分析を使用して、統計的相違を決定した。すべてのデータを、Prismソフトウェア(GraphPad Prism5)(グラフパッドプリズム(GraphPad Prism)製、カリフォルニア州ラホーヤ)を使用して分析した。群の間での統計的に有意な相違を、* p<0.1、** p<0.01、*** p<0.001、及び**** p<0.0001と定義した。
実施例2
アジュバントの構築及び発現
pRelA及びpTbetプラスミドは、それぞれ、全長マウスNF−カッパBサブユニットp65/RelA及び1型トランス活性化因子T−betをコードし得る。それぞれを、遺伝子的に最適化し、合成し、かつ修飾pVax1哺乳類発現ベクター(図1A)にサブクローニングした。これらのプラスミドの発現を試験するために、HEK293T細胞に、それぞれをトランスフェクトし、タンパク質産生を、標準的なウェスタン免疫ブロット法により評価した。トランスフェクションの24時間後及び48時間後の両方で採取された細胞溶解産物において、特異的なAbを使用して、RelAに対応する約65kDaタンパク質を検出した(図1B)。同様に、抗T−bet Abを使用して、T−betを約56kDaタンパク質として検出した。いずれも、空のベクター対照であるプラスミドpVax1をトランスフェクトされた細胞からの溶解産物には結合しないので、結合は、それらの個々のタンパク質について特異的であった。これらのデータにより、分子アジュバントはそれぞれ、HEK293T細胞のインビトロトランスフェクションで、それらの個々にコードされたタンパク質を発現することが実証された。さらに、IκB依存性転写を、RelA(p65)の活性化を確認するために、HeLa細胞、ルシフェラーゼ発現細胞系(図1C)において評価した。相対的ルシフェラーゼ活性により測定されるとおりのRelA発現の増大が、用量依存的に観察された。すなわち、3μgから5μgまたは10μgへのプラスミドの増大は、約1.5または2.5倍の相対的ルシフェラーゼ活性の増大をもたらした。T−bet発現は、T細胞及びNK細胞におけるIFN−γ発現と相関し、したがって、このアッセイにおいて、IFN−γは、T−betの機能的発現についての代用物として役立った(図1D)。
加えて、pRelAプラスミドをHeLa細胞にトランスフェクションし、かつ抗NF−κB(p65)抗体で染色した後のRelAタンパク質発現の細胞内位置限定の免疫蛍光分析(IFA)を、図6に示す。このIFAによりさらに、pRelAプラスミドからのRelAの発現が確認された。
実施例3
細胞性免疫の増大
次いで、ワクチン誘導性免疫の増強についてのpRelA及びpTbetの寄与を評価した。Balb/Cマウス(n=4/群)に3回、pRelAもしくはpTbet25μgを伴うか、もしくは伴わないpEnvもしくはpGag25μg、pRelAもしくはpTbet25μgのみ、または対照プラスミド(pVax1)25μgをワクチン接種した(図2)。ワクチン及びアジュバントを、in vivoEPによりPBS25μL中で送達した。動物を35日目(すなわち、3回目のワクチン接種の7日後)に屠殺し、続いて、IFN−γ ELISpotによる免疫分析のために脾細胞を単離した。このアッセイでは、HIV−1 EnvまたはGagペプチドプールを、MACS精製CD4+またはCD8+T細胞の刺激のために使用し、IFN−γ ELISpot結果を図2に示す。pEnvのみと比較して、pEnvをワクチン接種され、かつpRelAを同時投与されたマウスにおいて、CD4+及びCD8+T細胞反応の両方が有意に増大したことが観察された。同様に、pEnvのみと比較して、pTbetの同時投与を伴うpEnvでの免疫化により、CD4+及びCD8+T細胞反応(図2B)の有意な増大が実証された。
異なるAgについてのT細胞IFN−γ産生に対するこれら2つのアジュバントの増強効果を確認するために、本発明者らはまた、上記で行ったのと同様に、動物に、pRelAまたはpTbetを伴うか、または伴わずにHIV−1Gagをワクチン接種した。pEnv群と類似して、CD4+T細胞反応は、pGagのみをワクチン接種されたマウスと比較すると、pGagで免疫化され、かつpRelAを同時投与されたマウスにおいて増大した(図2C)。pGagのみでの免疫化と比較して、pGagをワクチン接種され、かつpRelAを同時投与されたマウスにおいては、CD8+T細胞反応のさらに大きな増強が存在した(図2C)。さらに、pTbetの随伴投与を伴うHIV−1 Gagでの免疫化により、pGagのみでの免疫化に比較すると、CD8+T細胞反応の増大が実証された(図2C)。しかしながら、CD4+T細胞反応は、pRelAの同時送達で観察されたほどには有意に増大しなかった。また、pRelAまたはpTbetのいずれかのみの投与は、IFN−γ産生により測定されたとおり、GagまたはEnvに対してCD4+またはCD8+T細胞のいずれも顕著には活性化しなかった。したがって、これらのデータにより、転写因子アジュバントの同時投与は、2つの別々の抗原に対するT細胞反応の増強を促進したことが実証され、このデータは、免疫アジュバントの投与により、ワクチン誘発性細胞性免疫反応の幅の拡張が刺激されることを示唆している。
RelA分子アジュバントは、T細胞反応を特に高めると観察されたので、pRelAの存在下または不在下で免疫化された細胞の増殖可能性を評価した。ワクチン接種された動物からの脾細胞を、3回目の免疫化から7日目に採取し、次いで、それらの同源Ag、すなわち、HIV−1 EnvまたはGagで刺激した(図3)。pEnvワクチン接種マウスにおいて、アジュバントされていない動物と比較すると、pRelAアジュバントも投与されたマウスでは全てのAg用量において、増殖が増強する傾向が存在した(図3A)。この傾向は、pGagワクチン接種された動物においても観察され、その際、全刺激インデックスが、pRelAが同時送達された方が、より高かった(図3B)。さらに、図3A、Bの両方には、全刺激インデックスに加えて、倍数増加グラフが含まれ、その際、「倍数」値は、単独のpEnvまたはpGag群の刺激インデックスで割ったpEnv+pRelAまたはpGag+pRelA群の刺激インデックスの比である。このように、pEnv及びpGagワクチン接種動物における刺激インデックスは、試験されたすべてのワクチン用量において、pRelAアジュバントが含まれることにより増加した。これらの反応は、pRelAアジュバントのみを投与された動物からの脾細胞においては、軽微な増殖しか観察されなかったので、HIV Agに特異的であった。まとめると、これらの結果により、pRelA DNAアジュバントは、2つの個別の特異的抗原に対するAg特異的T細胞増殖反応を増強することが実証された。
加えて、図7は、アジュバントRelAを含むか、または含まないワクチンで免疫化されたマウスからのインターロイキン−2(IL−2)の濃度(pg/mL)を示している。これらのデータにより、ワクチンにRelAが含まれることで、IL−2産生が約3倍に有意に上昇することが実証された。
実施例4
アジュバントワクチン接種での抗体反応の増強
観察されたアジュバント媒介性のT細胞IFN−γ及び増殖反応の増大に基づき、B細胞誘導に対するこれらの分子アジュバントの効果を評価した。HIV−1 Env特異的IgGを、3回目のワクチン接種の7日後に、ワクチン接種された動物の血清において測定した。示されているとおり、マウスに、同時投与されるpRelAもしくはpTbetを伴うか、もしくは伴わないpEnvか、pRelAもしくはpTbetのみか、またはpVax1対照プラスミドを投与した(図4)。1:50〜1:500の範囲の希釈では、測定可能なIgG反応が、pEnvのみにより誘導されたが、1:1,000の希釈では、もはや測定不可能であった。これらの反応が、pRelAまたはpTbetアジュバントを含むことにより、pEnv群のみと比較すると、すべての希釈において増強された。具体的には、1:50血清希釈において、相違が観察され、その際、pRelA及びpTbetの投与は、HIV−1 Env特異的IgG反応の誘導を有意に増強した(それぞれp=0.0388及びp=0.0062)。pRelAまたはpTbetアジュバントのみを投与されたマウスからの血清においては、軽微な抗体反応しか観察されなかったので、IgG反応の増強は、Envに特異的であった。これらのデータにより、両方の転写因子アジュバントが体液性免疫反応の増強を誘発し、それは、pRelAまたはpTbetのワクチン接種後に観察されたIFN−γレベル及びT細胞増殖反応の上昇と類似及び一致することが示唆されている。
図8Aは、pRelAで同時免疫化されたBalb/Cマウスの体液性免疫反応の増大を示している。pVax1、pEnv、またはpEnv+pRelAをコードするプラスミドDNAで免疫化されたマウスからの血清のELISA分析。DNA接種マウスからの血清中におけるgp120に対するIgG抗体反応性をELISAにより測定した。マウスをいずれも、3回の免疫化で先に免疫化した。OD405は、405nmにおける光学密度である。図8Bは、IgGサブクラスにスイッチングするアイソタイプに対するRelAの示差効果を示している。脾臓Env及びEnv+RelA細胞が発現する合計IgG1及びIgG2を決定した。値は、5回の独立した実験の平均±SEMを表している。値は、3回の独立した実験の平均±SEMを表している。
図8Cは、pRelAで同時免疫化されたBalb/Cマウスの体液性免疫反応の増大を示している。pVax1、pEnv、またはpEnv+pT−betをコードするプラスミドDNAで免疫化されたマウスからの血清のELISA分析。DNA接種マウスからの血清におけるgp120に対するIgG抗体反応性をELISAにより測定した。マウスをいずれも、3回の免疫化で先に免疫化した。OD405は、405nmにおける光学密度である。図8Dは、IgGサブクラスにスイッチングするアイソタイプに対するT−betの示差効果を示している。脾臓Env及びEnv+T−bet細胞が発現する合計IgG1及びIgG2を決定した。値は、5回の独立した実験の平均±SEMを表している。値は、3回の独立した実験の平均±SEMを表している。
抗体反応を増強する転写因子の能力についての有望な機構の1つは、活性化B細胞の数の増大を介し得る。これが生じているかどうかを評価するために、ワクチン接種部位におけるpRelA投与された筋肉を、pRelAの同時投与を伴うpEnv免疫化の3日後に生検し、続いて、注射部位におけるB220+B細胞の数を定量化した。図9は、相対的発現(百分率)を示している。結果は、pRelA及びpEnvのみは、pVax1投与のみと比較して、注射の部位へのB細胞輸送をわずかしか上昇させないことを示した(図5)。これは、個別のFACSスキャンで示されたMFI(平均蛍光強度)値により示され、この値は、B220+B細胞のレベルと正比例する。しかしながら、pEnvワクチンと組み合わせてpRelAアジュバントを添加すると、注射部位でのB細胞の数がさらに増強された。
まとめると、実施例2〜4のデータにより、DNAワクチン誘導性免疫を増強するための分子アジュバントとしての細胞転写因子RelA及びT−betの使用が実証された。in vivo電気穿孔法(EP)によりプロトタイプのDNAワクチンと共に同時送達すると、これらのアジュバントのいずれも、T細胞数及びIFN−γ産生の増強により、さらには、抗体レベルの増大により示されるとおり、抗原特異的T及びB細胞反応の増強を刺激した。pEnvまたはpGagワクチンと併せてpRelAまたはpTbetのいずれかを同時投与すると、ELISpotによるINF−γ産生及び増殖により測定されるとおり、T細胞免疫が有意に増大した。さらに、B細胞数、さらには、抗原特異抗体力価の上昇により示されるとおり、B細胞/抗体レベルが増強された。これらの所見に一致して、転写因子を発現するプラスミドの同時投与の後に、血清中の抗原特異的IgGの全量が増大した。
実施例5
アジュバントとしてTWEAKまたはGITRLを用いての細胞反応
pTWEAKプラスミドを、全長TWEAKをコードするヌクレオチド配列のコドン利用を最適化することにより構築した。次いで、この最適化されたヌクレオチド配列を、BamHI及びEcoRI制限部位においてpVAX1発現ベクターにクローニングした。
pGITRLプラスミドを、全長GITRLをコードするヌクレオチド配列のコドン利用を最適化することにより構築した。次いで、この最適化されたヌクレオチド配列を、BamHI及びEcoRI制限部位においてpVAX1発現ベクターにクローニングした。
10群のマウスが、研究に含まれた。各群にはマウス4匹がおり、各群のマウスは、6〜8週齢の雌のBalb/cマウスであった。1つの群を抗原のみで免疫し(すなわち、HIV−1 EnvをコードするDNA15μg)、1つの群をHIV−1 EnvをコードするDNA15μg及びpTWEAK(「T」)7.5μgで免疫し、1つの群をHIV−1 EnvをコードするDNA15μg及びpTWEAK(「T」)10μgで免疫し、1つの群をHIV−1 EnvをコードするDNA15μg及びpGITRL(「G」)7.5μgで免疫し、かつ1つの群をHIV−1 EnvをコードするDNA15μg及びpGITRL(「G」)10μgで免疫した。
免疫化を、MID−EPシステムでの電気穿孔法に従って筋肉内(IM)で行った。具体的には、各免疫化について、DNA25μgを、29ゲージ針を備えたインスリン用シリンジを使用して注射した。各免疫化の1週間後に、マウスから、眼窩後出血により採血した。
免疫化計画を、図10に模式的に示す。マウスに、0日目に初回免疫し、次いで、14日目及び28日目に追加免疫した。35日目にマウスを屠殺して、ELISA分析のための最終出血及びELSspot分析のための脾細胞を採取した。
ELISspot分析の結果を、それぞれTWEAK及びGITRLについて図11及び12に示す。これらのデータにより、TWEAKは、TWEAKを含まないワクチンと比較して、抗原に対する細胞性免疫反応を増大させることが実証された(IFN−γレベルの増大により証明される)。また、これらのデータにより、GITRLは、GITRLを含まないワクチンと比較して、抗原に対する細胞性免疫反応を増大させることが実証された(IFN−γレベルの増大により証明される)。したがって、TWEAK及びGITRLは、アジュバントとしてTWEAKまたはGITRLを含まない同じワクチンと比較して、IFN−γレベル及び抗原に対する細胞性免疫反応を増大させるアジュバントとして役立った。
実施例6
アジュバントとしてTWEAKまたはGITRLを用いての体液性免疫反応
TWEAKまたはGITRLをワクチンにおいてアジュバントとして使用した場合の体液性免疫反応を、マウスにおいて調べた。この調査では、実施例5において上記し、図10において示されている免疫化スケジュールを使用した。体液性反応をELISAにより測定し、その際、光学密度はOD450において測定した。すべての実験群が、ナイーブに対して、約158までの逆数力価希釈において、光学密度の顕著な増大を示した。特に、10μg用量のGITRLは、50の逆数力価希釈における光学密度の3倍超の増大と共に、体液性反応の最も有意な増大を示した。希釈が5000を超えて増大したときに、対照を超える実験群の相違は緩和された。
実施例7
アジュバントとしてEOMESを用いての細胞反応
pEOMESプラスミドを、EOMESをコードするヌクレオチド配列のコドン利用を最適化することにより構築した。次いで、この最適化されたヌクレオチド配列を、BamHI及びEcoRI制限部位においてpVAX1発現ベクターにクローニングした。IgEリーダー配列及びKozak配列も、EOMESをコードするヌクレオチド配列の5’側に位置させた。構築物の図を図14Aに示す。
pEOMESプラスミドからのEOMESの発現を、pEOMESプラスミド及びpVAX1プラスミド(陰性対照)を細胞にトランスフェクトすることにより確認した。図14Bに示されているとおり、EOMESは、pEOMESをトランスフェクトされた細胞において発現されたが、pVAX1をトランスフェクトされた細胞では発現されなかった。発現を、細胞にDNA10μgをトランスフェクトしたトランスフェクションの2日後に、溶解産物のウェスタンブロットにより分析した。
マウス群が、研究に含まれた。各群にはマウス5匹がおり、各群のマウスは、6〜8週齢の雌のBalb/cマウスであった。1つのマウス群をpVAX1(陰性対照)で免疫し、1つの群を抗原のみで免疫し(すなわち、HIV EnvをコードするDNA、プラスミドはpHIV−Envと称される)、1つの群をpHIV−Env及びpEOMESで免疫した。
免疫化を、MID−EPシステムでの電気穿孔法に従って筋肉内(IM)で行った。具体的には、各免疫化について、DNA25μgを、29ゲージ針を備えたインスリン用シリンジを使用して注射した。各免疫化の1週間後に、マウスから、眼窩後出血により採血した。
免疫化計画を、図15に模式的に示す。マウスに、0週目に初回免疫し、次いで、2週目及び4週目に追加免疫した。5週目にマウスを屠殺して、ELSspot分析のための脾細胞を採取した。
ELISspot分析の結果を、図16に示す。これらのデータにより、EOMESは、EOMESを含まないワクチンと比較して、抗原に対する細胞性免疫反応を増大させることが実証された(IFN−γレベルの増大により証明される)。したがって、EOMESは、アジュバントとしてEOMESを含まない同じワクチンと比較して、IFN−γレベル及び抗原に対する細胞性免疫反応を増大させるアジュバントとして役立った。
実施例8
アジュバントとしてSTINGを用いての細胞反応
pSTINGプラスミドを、STINGをコードするヌクレオチド配列のコドン利用を最適化することにより構築した。次いで、この最適化されたヌクレオチド配列を、pVAX1発現ベクターにクローニングした。
pSTINGプラスミドからのSTINGの発現を、pSTINGプラスミド及びpVAX1プラスミド(陰性対照)を293T細胞にトランスフェクトすることにより確認した。図17に示されているとおり、STINGは、pSTINGをトランスフェクトされた細胞において発現されたが、pVAX1をトランスフェクトされた細胞では発現されなかった。発現を、細胞にDNA10μgをトランスフェクトしたトランスフェクションの2日後に、溶解産物のウェスタンブロットにより分析した。
マウス群が、研究に含まれた。各群にはマウス4匹がおり、各群のマウスは、6〜8週齢の雌のBalb/cマウスであった。1つのマウス群をpVAX1(陰性対照)で免疫し、1つの群を抗原のみで免疫し(すなわち、HIV EnvをコードするDNA、プラスミドはpHIV−Envと称される)、1つの群をpHIV−Env及びpSTING(20μg)で免疫し、かつ1つの群をpHIV−Env及びpSTING(50μg)で免疫した。
免疫化を、MID−EPシステムでの電気穿孔法に従って筋肉内(IM)で行った。具体的には、各免疫化について、DNAを、29ゲージ針を備えたインスリン用シリンジを使用して注射した。各免疫化の1週間後に、マウスから、眼窩後出血により採血した。
免疫化計画を、図18に模式的に示す。マウスに、0週目に初回免疫し、次いで、2週目及び4週目に追加免疫した。5週目にマウスを屠殺して、ELSspot分析のための脾細胞を採取した。
ELISspot分析の結果を、図19に示す。これらのデータにより、STINGは、STINGを含まないワクチンと比較して、抗原に対する細胞性免疫反応を増大させることが実証された(IFN−γレベルの増大により証明される)。したがって、STINGは、アジュバントとしてSTINGを含まない同じワクチンと比較して、IFN−γレベル及び抗原に対する細胞性免疫反応を増大させるアジュバントとして役立った。
前述の詳細な説明及び添付の実施例は単に例証であり、添付された特許請求の範囲及びそれらの等価物によってのみ定義される本発明の範囲の限定としてみなすべきではないことが理解される。
開示された実施形態に対する、様々な変更及び修正は当業者に明白であろう。そのような変更及び修正は、本発明の化学構造、代替物、派生物、中間体、合成物、製剤及び/または使用の方法に関するものを限定することなく含み、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。