以下、添付図面を参照して、温度調整装置の実施の形態について説明する。
最初に、「温度調整装置」の一例である温度調整装置1の構成について、添付図面を参照して説明する
図1に示す温度調整装置1は、「温度調整装置」の一例である循環式精密温度調整装置であって、「被供給液」の一例である純水Waの温度を調整して半導体製造装置や医療機器などの「供給対象」(図示せず)に対して供給し、「供給対象」から回収した純水Waを再び温度調整して「供給対象」に再送することができるように構成されている。具体的には、温度調整装置1は、冷凍サイクル2、貯水槽3、ポンプ4、熱交換器5,6、制御部7および温度センサ8が、図示しない筐体内に収容されて一体化されている。
冷凍サイクル2は、圧縮機11、凝縮器12a,12b、膨張弁13a,13b、蒸発器14a,14bおよび分流弁15a,15bを備え、後述するように、制御部7の制御に従い、ポンプ4によって熱交換器5内に圧送される純水Waの温度を調整する。
この場合、本例の温度調整装置1(冷凍サイクル2)では、圧縮機11から吐出された冷媒(一例として、R410A冷媒)が、「第1凝縮器」、「第1膨張弁」および「第1蒸発器」にそれぞれ相当する凝縮器12a、膨張弁13aおよび蒸発器14aをこの順で通過して圧縮機11に吸入される冷媒流路L1が「第1冷媒流路」に相当する。また、本例の温度調整装置1(冷凍サイクル2)では、圧縮機11から吐出された冷媒が、「第2凝縮器」、「第2膨張弁」および「第2蒸発器」にそれぞれ相当する凝縮器12b、膨張弁13bおよび蒸発器14bをこの順で通過して圧縮機11に吸入される冷媒流路L2が「第2冷媒流路」に相当する。
さらに、本例の温度調整装置1(冷凍サイクル2)では、分流弁15a,15bが「流入量調整部」に相当し、後述するように、制御部7の制御に従い、分流弁15aが、圧縮機11から吐出された冷媒の冷媒流路L1に対する流入量を調整し、分流弁15bが、圧縮機11から吐出された冷媒の冷媒流路L2に対する流入量を調整する。
貯水槽3は、「供給対象」に供給する純水Wa(「供給対象」から回収した純水Wa)を貯水可能に構成されている。この場合、本例の温度調整装置1では、一例として、冷凍サイクル2による温調前の純水Wa(配管Pa1を介して「供給対象」から回収した純水Wa)を貯水可能に貯水槽3が配設されている。このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、冷凍サイクル2による温調後の純水Waを貯水可能な「貯水槽」(図示せず)を熱交換器5と「供給対象」との間(配管Pa3)に配設することもできる。
ポンプ4は、貯水槽3内の純水Waを熱交換器5に圧送する。この場合、本例の温度調整装置1では、貯水槽3と熱交換器5とを相互に接続する配管Pa2、熱交換器5、および熱交換器5と「供給対象」とを相互に接続する配管Pa3によって貯水槽3から「供給対象」に至る密閉流路が構成されている。これにより、本例の温度調整装置1では、後述するように、ポンプ4が貯水槽3から熱交換器5に配管Pa2を介して純水Waを圧送する圧送力によって熱交換器5内の純水Waが配管Pa3を介して「供給対象」に圧送される。
熱交換器5は、「第1熱交換器」の一例であって、図2に示すように、蒸発器14aおよび凝縮器12bを収容可能に構成されると共に純水Waの流入が可能な流入口Ha1(「第1流入口」の一例)および純水Waの流出が可能な流出口Hb1「第1流出口」の一例)がそれぞれ設けられた圧力容器21(「第1圧力容器」の一例)を備えている。この熱交換器5は、蒸発器14a内の冷媒との熱交換によって圧力容器21内の純水Waを冷却したり、凝縮器12b内の冷媒との熱交換によって圧力容器21内の純水Waを加熱したりする(純水Waの温度を調整する)ことができるように構成されている。
この場合、本例の温度調整装置1(熱交換器5)では、蒸発器14aが、冷媒の通過が可能な冷媒配管31a,31b(以下、区別しないときには「冷媒配管31」ともいう)を有する「チューブ式蒸発器(コイル式蒸発器)」で構成されている。また、本例の温度調整装置1(熱交換器5)では、凝縮器12bが、冷媒の通過が可能な冷媒配管41a,41b(以下、区別しないときには「冷媒配管41」ともいう)を有する「チューブ式凝縮器(コイル式凝縮器)」で構成されている。なお、本例の熱交換器5では、両冷媒配管31が「第1管状体」に相当し、かつ両冷媒配管41が「第2管状体」に相当する。
さらに、本例の温度調整装置1(熱交換器5)では、上記の圧力容器21が、筒状部21a、底板21bおよび天板21cと、仕切部22とを備えて構成されている。この場合、この熱交換器5では、一例として、筒状部21aが円筒状に形成されると共に、筒状部21aの下方開口部が底板21bによって閉塞され、かつ筒状部21aの上方開口部が天板21cによって閉塞されて、筒状部21a、底板21bおよび天板21cによって「外側筒部」が構成されている。また、この熱交換器5では、「内側筒部」に相当する仕切部22が筒状部21aよりも小径の円筒状に形成されると共に、一例として、その下端部が底板21bの内面に接するように筒状部21a内に配設されて、仕切部22の上端部と天板21cの内面との間に隙間S1が設けられている。
これにより、本例の熱交換器5では、筒状部21aおよび仕切部22の間に構成された被供給液流路La1(「第1液流路」の一例)と、仕切部22の内側に構成された被供給液流路Lb1(「第2液流路」の一例)とが圧力容器21における上端部側(前述した隙間S1の部位:「第1圧力容器における一端部側」の一例)で連通した状態となっている。
さらに、この熱交換器5では、一例として、筒状部21a(圧力容器21の周面)における下端部寄りの位置(「第1圧力容器における他端部側」の一例)に、被供給液流路La1に連通するようにして「第1流入口」に相当する流入口Ha1が開口されている(「第1流入口および第1流出口のいずれか一方」が「第1流入口」の構成の例)。また、この熱交換器5では、底板21bの中央部(「第1圧力容器における他端部側」の一例)に、被供給液流路Lb1に連通するようにして「第1流出口」に相当する流出口Hb1が開口されている(「第1流入口および第1流出口の他方」が「第1流出口」の構成の例)。この場合、この熱交換器5では、配管Pa2を接続するための配管接続部23aが流入口Ha1に配設され、かつ配管Pa3を接続するための配管接続部23bが流出口Hb1に配設されている。
また、この熱交換器5では、蒸発器14aを構成する冷媒配管31a,31b、および凝縮器12bを構成する冷媒配管41a,41bが、上記の被供給液流路La1および被供給液流路Lb1の双方に位置するように圧力容器21内に収容されている。なお、図2では、熱交換器5の構成についての理解を容易とするために、冷媒配管31によって構成された蒸発器14a(蒸発器を構成するコイル部)における高さ方向の中央部、および冷媒配管41によって構成された凝縮器12b(凝縮器を構成するコイル部)における高さ方向の中央部の図示を省略して破線で表している。
この場合、本例の熱交換器5では、一例として、流入口Ha1から圧力容器21内に導入された純水Waが、圧力容器21の下端部側部位から上端部側部位に向かって被供給液流路La1内を移動した後に、圧力容器21の上端部側部位から下端部側部位に向かって被供給液流路Lb1内を移動して流出口Hb1から圧力容器21の外部に流出させられるのに対し、冷凍サイクル2の冷媒が、圧力容器21の下端部側部位から上端部側部位に向かって被供給液流路Lb1内を移動した後に、圧力容器21の上端部側部位から下端部側部位に向かって被供給液流路La1内を移動して圧力容器21の外部に流出させられるように冷媒配管31,41が配置されている。
また、この熱交換器5では、被供給液流路La1内において冷媒配管31,41が筒状部21aの内周面(仕切部22の外周面)に沿って螺旋状に巻回されると共に、被供給液流路Lb1内において冷媒配管31,41が仕切部22の内周面に沿って螺旋状に巻回されている。これにより、本例の熱交換器5では、被供給液流路La1,Lb1を通過させられる純水Waと、冷媒配管31,41を通過させられる冷媒とが相互に熱交換させられる時間が充分に長くなっている。
熱交換器6は、「第2熱交換器」の一例であって、一例として、上記の熱交換器5と同様に構成されている。具体的には、図3に示すように、熱交換器6は、蒸発器14bおよび凝縮器12aを収容可能に構成されると共に水道水Wb(一例として、「熱媒液」の一例)の流入が可能な流入口Ha2(「第2流入口」の一例)および水道水Wbの流出が可能な流出口Hb2「第2流出口」の一例)がそれぞれ設けられた圧力容器51(「第2圧力容器」の一例)を備えている。この熱交換器6は、圧力容器51内の水道水Wbとの熱交換によって凝縮器12a内の冷媒を冷却してこれを凝縮させると共に、圧力容器51内の水道水Wbとの熱交換によって蒸発器14b内の冷媒を加熱してこれを蒸発させることができるように構成されている。
この場合、本例の温度調整装置1(熱交換器6)では、蒸発器14bが、冷媒の通過が可能な冷媒配管61a,61b(以下、区別しないときには「冷媒配管61」ともいう)を有する「チューブ式蒸発器(コイル式蒸発器)」で構成されている。また、本例の温度調整装置1(熱交換器6)では、凝縮器12aが、冷媒の通過が可能な冷媒配管71a,71b(以下、区別しないときには「冷媒配管71」ともいう)を有する「チューブ式凝縮器(コイル式凝縮器)」で構成されている。なお、本例の熱交換器6では、両冷媒配管61が「第3管状体」に相当し、かつ両冷媒配管71が「第4管状体」に相当する。
さらに、本例の温度調整装置1(熱交換器6)では、上記の圧力容器51が、筒状部51a、底板51bおよび天板51cと、仕切部52とを備えて構成されている。この場合、この熱交換器6では、一例として、円筒状に形成された筒状部51aにおける下方開口部が底板51bによって閉塞され、かつ筒状部51aの上方開口部が天板51cによって閉塞されている。また、この熱交換器6では、筒状部51aよりも小径の円筒状に形成された仕切部52の下端部が底板51bの内面に接するようにして筒状部51a内に仕切部52が配設されて、仕切部52の上端部と天板51cの内面との間に隙間S2が設けられている。これにより、本例の熱交換器6では、筒状部51aおよび仕切部52の間に構成された熱媒液流路La2と、仕切部52の内側に構成された熱媒液流路Lb2とが圧力容器51における上端部側(前述した隙間S2の部位)で連通した状態となっている。
さらに、この熱交換器6では、一例として、筒状部51a(圧力容器51の周面)における下端部寄りの位置に、熱媒液流路La2に連通するようにして「第2流入口」に相当する流入口Ha2が開口されている。また、この熱交換器6では、底板51bの中央部に、熱媒液流路Lb2に連通するようにして「第2流出口」に相当する流出口Hb2が開口されている。この場合、この熱交換器6では、配管Pb1(図1参照)を接続するための配管接続部53aが流入口Ha2に配設され、かつ配管Pb2(図1参照)を接続するための配管接続部53bが流出口Hb2に配設されている。
また、この熱交換器6では、蒸発器14bを構成する冷媒配管61a,61b、および凝縮器12aを構成する冷媒配管71a,71bが、上記の熱媒液流路La2および熱媒液流路Lb2の双方に位置するように圧力容器51内に収容されている。なお、図3では、熱交換器6の構成についての理解を容易とするために、冷媒配管61によって構成された蒸発器14b(蒸発器を構成するコイル部)における高さ方向の中央部、および冷媒配管71によって構成された凝縮器12a(凝縮器を構成するコイル部)における高さ方向の中央部の図示を省略して破線で表している。
この場合、本例の熱交換器6では、一例として、流入口Ha2から圧力容器51内に導入された水道水Wbが、圧力容器51の下端部側部位から上端部側部位に向かって熱媒液流路La2内を移動した後に、圧力容器51の上端部側部位から下端部側部位に向かって熱媒液流路Lb2内を移動して流出口Hb2から圧力容器51の外部に流出させられるのに対し、冷凍サイクル2の冷媒が、圧力容器51の下端部側部位から上端部側部位に向かって熱媒液流路Lb2内を移動した後に、圧力容器51の上端部側部位から下端部側部位に向かって熱媒液流路La2内を移動して圧力容器51の外部に流出させられるように冷媒配管61,71が配置されている。
また、この熱交換器6では、熱媒液流路La2内において冷媒配管61,71が筒状部51aの内周面(仕切部52の外周面)に沿って螺旋状に巻回されると共に、熱媒液流路Lb2内において冷媒配管61,71が仕切部52の内周面に沿って螺旋状に巻回されている。これにより、本例の熱交換器6では、熱媒液流路La2,Lb2を通過させられる水道水Wbと、冷媒配管61,71を通過させられる冷媒とが相互に熱交換させられる時間が充分に長くなっている。
制御部7は、温度調整装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部7は、ポンプ4を制御して貯水槽3から熱交換器5に配管Pa2を介して純水Waを圧送させることにより、熱交換器5を通過させた純水Waを熱交換器5から「供給対象」に配管Pa3を介して圧送させる(熱交換器5において温度調整した純水Waの「供給対象」への供給)。また、制御部7は、温度センサ8からのセンサ信号に基づいて純水Waの温度を特定し、特定した温度が、予め設定された温度範囲内の温度(「供給対象」に供給すべき純水Waの温度として設定された温度)となるように冷凍サイクル2を制御する。なお、冷凍サイクル2の制御による純水Waの温度調整については、後に詳細に説明する。温度センサ8は、一例として、配管Pa3に配設されており、熱交換器5から「供給対象」に供給される純水Waの温度を検出してセンサ信号を出力する。
次に、温度調整装置1による純水Waの供給処理について、添付図面を参照して説明する。
この温度調整装置1の使用に際しては、まず、純水Waを供給する「供給対象」の近傍に温度調整装置1を設置する。この際には、一例として、「供給対象」に接続された浄化装置(「供給対象」において使用された純水Waから不純物を除去する装置:図示せず)と温度調整装置1の貯水槽3とを配管Pa1によって相互に接続すると共に、「供給対象」と温度調整装置1の熱交換器5(配管接続部23b)とを配管Pa3によって相互に接続する。これにより、浄化装置から配管Pa1を介して回収される純水Waが貯水槽3内に貯水される状態となる。次いで、ポンプ4内、配管Pa2内、熱交換器5内および配管Pa3内に純水Waを供給して脱気する。
続いて、図示しない上水道源と温度調整装置1の熱交換器6(配管接続部53a)とを配管Pb1によって相互に接続すると共に、図示しない排水処理設備と熱交換器6(配管接続部53b)とを配管Pb2によって相互に接続する。次いで、上水道源から配管Pb1を介して水道水Wbを供給することにより、配管Pb1内、熱交換器6内および配管Pb2内を脱気する。以上により、温度調整装置1によって「供給対象」に純水Waを供給する準備が整う。
一方、図示しない操作部のスイッチ操作によって「供給対象」への純水Waの供給開始を指示されたときに、制御部7は、ポンプ4を制御して貯水槽3から熱交換器5に配管Pa2を介して純水Waを圧送させると共に、冷凍サイクル2における圧縮機11を制御して冷媒の圧縮を開始させる。また、制御部7は、温度センサ8からのセンサ信号に基づき、熱交換器5から配管Pa3を介して「供給対象」に供給される純水Waの温度を特定する。
この際に、温度センサ8からのセンサ信号に基づいて特定した純水Waの温度が予め設定された温度範囲よりも高い温度のときに、制御部7は、冷凍サイクル2によって純水Waを冷却する「冷却処理」を実行する。具体的には、制御部7は、まず、分流弁15a,15bを制御することにより、圧縮機11から吐出された冷媒の冷媒流路L1に対する流入量を増加させ、かつ冷媒流路L2に対する冷媒の流入量を減少させる。
この際に、冷媒流路L1に流入した冷媒は、熱交換器6内の凝縮器12aにおいて水道水Wbとの熱交換によって冷却されることで凝縮させられ、膨張弁13aを通過して熱交換器5内の蒸発器14a内に吐出されることで純水Waとの熱交換によって蒸発した後に、圧縮機11に吸引される。また、冷媒流路L2に流入した冷媒は、熱交換器5内の凝縮器12bにおいて純水Waとの熱交換によって冷却されることで凝縮させられ、膨張弁13bを通過して熱交換器6内の蒸発器14b内に吐出されることで水道水Wbとの熱交換によって蒸発した後に、圧縮機11に吸引される。
これにより、冷媒流路L2に流入させられる冷媒の量よりも、冷媒流路L1に流入させられる冷媒の量の方が多くなっている本例では、熱交換器5内における蒸発器14a内の冷媒との熱交換によって熱交換器5内の純水Waが充分に冷却される結果、熱交換器5から配管Pa3に流出する純水Waの温度が設定温度範囲内の充分に低い温度となる。なお、本例とは相違するが、「被供給液」を高精度に温度調整する必要がないとき(目標温度範囲が広いとき)には、冷媒流路L2への冷媒の流入を停止させる制御を行うこともできる。
この場合、本例の温度調整装置1では、前述したように、熱交換器5内の被供給液流路La1,Lb1が圧力容器21の上方部位(隙間S1の部位)において連通させられて流入口Ha1から流出口Hb1までの充分に長い流路(圧力容器21の筒長方向の長さの約2倍の長さの流路)が熱交換器5内に形成されている。また、本例の温度調整装置1では、上記の被供給液流路La1,Lb1の双方に蒸発器14aを構成する冷媒配管31a,31bが配設されている。したがって、配管Pa2を介して熱交換器5に圧送された純水Waは、流入口Ha1から熱交換器5内に流入してから、被供給液流路La1,Lb1を通過して流出口Hb1から配管Pa3に流出するまで、充分に長い時間に亘って蒸発器14a内(冷媒配管31a,31b内)の冷媒と熱交換させられる結果、純水Waが確実に冷却される。
また、本例の温度調整装置1では、熱交換器6内における水道水Wbとの熱交換によって凝縮器12a内で充分な量の冷媒が凝縮させられるため、熱交換器5内において純水Waを冷却するのに必要となる充分な量の冷媒が膨張弁13aを通過して蒸発器14a内に供給される。これにより、貯水槽3内の純水Waの温度が非常に高い温度であったとしても、熱交換器5内においてこの純水Waを充分に冷却することが可能となっており、設定温度範囲内の温度に調整した純水Waを「供給対象」に対して継続的に供給することが可能となっている。
この場合、本例の温度調整装置1では、前述したように、熱交換器6内の熱媒液流路La2,Lb2が圧力容器51の上方部位(隙間S2の部位)において連通させられて流入口Ha2から流出口Hb2までの充分に長い流路(圧力容器51の筒長方向の長さの約2倍の長さの流路)が熱交換器6内に形成されている。また、本例の温度調整装置1では、上記の熱媒液流路La2,Lb2の双方に凝縮器12bを構成する冷媒配管71a,71bが配設されている。したがって、配管Pb1を介して熱交換器6に圧送された水道水Wbは、流入口Ha2から熱交換器6内に流入してから、熱媒液流路La2,Lb2を通過して流出口Hb2から配管Pb2に流出するまで、充分に長い時間に亘って凝縮器12a内(冷媒配管71a,71b内)の冷媒と熱交換させられる結果、凝縮器12a内の冷媒が確実に凝縮させられる。
一方、温度センサ8からのセンサ信号に基づいて特定した純水Waの温度が設定温度範囲よりも低い温度のときに、制御部7は、冷凍サイクル2によって純水Waを加熱する「加熱処理」を実行する。具体的には、制御部7は、まず、分流弁15a,15bを制御することにより、圧縮機11から吐出された冷媒の冷媒流路L2に対する流入量を増加させ、かつ冷媒流路L1に対する冷媒の流入量を減少させる。
この際に、冷媒流路L2に流入した冷媒は、熱交換器5内の凝縮器12bにおいて純水Waとの熱交換によって冷却されることで凝縮させられ、膨張弁13bを通過して熱交換器6内の蒸発器14b内に吐出されることで水道水Wbとの熱交換によって蒸発した後に、圧縮機11に吸引される。また、冷媒流路L1に流入した冷媒は、熱交換器6内の凝縮器12aにおいて水道水Wbとの熱交換によって冷却されることで凝縮させられ、膨張弁13aを通過して熱交換器5内の蒸発器14a内に吐出されることで純水Waとの熱交換によって蒸発した後に、圧縮機11に吸引される。
これにより、冷媒流路L1に流入させられる冷媒の量よりも、冷媒流路L2に流入させられる冷媒の量の方が多くなっている本例では、熱交換器5内における凝縮器12b内の冷媒との熱交換によって熱交換器5内の純水Waが充分に加熱される結果、熱交換器5から配管Pa3に流出する純水Waの温度が設定温度範囲内の充分に高い温度となる。なお、本例とは相違するが、「被供給液」を高精度に温度調整する必要がないとき(目標温度範囲が広いとき)には、冷媒流路L1への冷媒の流入を停止させる制御を行うこともできる。
この場合、本例の温度調整装置1では、前述したように、熱交換器5内に形成された充分に長い被供給液流路La1,Lb1の双方に凝縮器12bを構成する冷媒配管41a,41bが配設されている。したがって、配管Pa2を介して熱交換器5に圧送された純水Waは、流入口Ha1から熱交換器5内に流入してから、被供給液流路La1,Lb1を通過して流出口Hb1から配管Pa3に流出するまで、充分に長い時間に亘って凝縮器12b内(冷媒配管41a,41b内)の冷媒と熱交換させられる結果、純水Waが確実に加熱される。
また、本例の温度調整装置1では、熱交換器5内における純水Waとの熱交換によって凝縮させられた大量の冷媒が、膨張弁13bを通過して蒸発器14b内に供給されたときに、この冷媒が、熱交換器6内における水道水Wbとの熱交換によって確実に蒸発させられる。これにより、貯水槽3内の純水Waの温度が非常に低い温度であり、凝縮器12bに対して大量の冷媒を供給する必要があるときにも、液状の冷媒が圧縮機11に吸引されて圧縮機11が破損する事態を回避しつつ、設定温度範囲内の温度に調整した純水Waを「供給対象」に対して継続的に供給することが可能となっている。
この場合、本例の温度調整装置1では、前述したように、熱交換器6内に形成された充分に長い熱媒液流路La2,Lb2の双方に蒸発器14bを構成する冷媒配管61a,61bが配設されている。したがって、配管Pb1を介して熱交換器6に圧送された水道水Wbは、流入口Ha2から熱交換器6内に流入してから、熱媒液流路La2,Lb2を通過して流出口Hb2から配管Pb2に流出するまで、充分に長い時間に亘って蒸発器14b内(冷媒配管61a,61b内)の冷媒と熱交換させられる結果、蒸発器14b内の冷媒が確実に蒸発させられる。
さらに、この温度調整装置1では、前述したように、蒸発器14aを構成する冷媒配管31、および凝縮器12bを構成する冷媒配管41の双方が圧力容器21内に収容され、純水Waを冷却するための「熱交換器」と、純水Waを加熱するための「熱交換器」とが一体的に形成されている。したがって、この温度調整装置1では、出願人が開発した従来の温度調整装置1xとは異なり、冷却用の熱交換器5ax、および加熱用の熱交換器5bxを別個に用意することなく、1つの熱交換器5によって純水Waの温度を任意に調整することが可能となっている。
この場合、「被供給液」として純水Waの温度を調整する「温度調整装置」では、純水Waに接触している部位の腐食を回避するために、「熱交換器」や「配管」などをステンレススチール等の高耐食性金属材料で形成する必要がある。したがって、出願人が開発した従来の温度調整装置1xのように2つの熱交換器5ax,5bxを別個に形成して配管Paxによって相互に接続した場合には、高価な高耐食性金属材料を大量に使用することから、製造コストの低減が困難となる。これに対して、本例の温度調整装置1では、1つの熱交換器5によって純水Waの加熱および冷却を行う構成を採用したことで、出願人が開発した従来の温度調整装置1xと比較して高耐食性金属材料の使用量が充分に少なくなっている。
また、図4に示すように、出願人が開発した従来の温度調整装置1xでは、熱交換器5axにおいて純水Waxを冷却するために蒸発器14axに供給すべき冷媒を、水道水Wbxとの熱交換によって凝縮させるための熱交換器6ax(凝縮器12axを収容した熱交換器)と、熱交換器5bxにおいて純水Waxを加熱するのに使用されて凝縮器12bxから吐出された冷媒を、水道水Wbxとの熱交換によって蒸発させるための熱交換器6bx(蒸発器14bxを収容した熱交換器)とを別個に用意し、両熱交換器6ax,6bxを配管Pbxによって相互に連結する構成が採用されている。
このため、従来の温度調整装置1xでは、2つの熱交換器6ax,6bxおよび配管Pbxによって占有されるスペースの分だけ、温度調整装置1xが大型化している現状がある。また、従来の温度調整装置1xでは、冷媒凝縮用の熱交換器6axおよび冷媒蒸発用の熱交換器6bxを別個に用意し、かつ配管Pbxによってこれらを相互に接続する構成を採用している分だけ、温度調整装置1xの製造コスト(材料コストおよび組立てコスト)の低減が困難となっているという現状もある。
これに対して、この温度調整装置1では、前述したように、蒸発器14bを構成する冷媒配管61、および凝縮器12aを構成する冷媒配管71の双方が圧力容器51内に収容され、冷媒蒸発用の「熱交換器」と、冷媒凝縮用の「熱交換器」とが一体的に形成されている。したがって、この温度調整装置1では、出願人が開発した従来の温度調整装置1xとは異なり、熱交換器6ax,6bxを別個に用意することなく、1つの熱交換器6によって冷凍サイクル2を正常に動作させることが可能となっている。
この場合、前述したように、出願人が開発した従来の温度調整装置1における熱交換器5ax,5bxや、熱交換器6ax,6bxのうちのいずれか、またはすべてを「プレート式熱交換器」で構成することにより、「被供給液」を冷却するための「熱交換器」(熱交換器5axに代わる熱交換器)、「被供給液」を加熱するための「熱交換器」(熱交換器5bxに代わる熱交換器)、冷媒凝縮用の「熱交換器」(熱交換器6axに代わる熱交換器)、および冷媒蒸発用の「熱交換器」(熱交換器6bxに代わる熱交換器)を別個に配設しても、これらによって占有されるスペースを省スペース化できる可能性がある。しかしながら、例えば本例の温度調整装置1のようにR410A冷媒を採用したときには、既存の一般的な冷媒を採用した冷凍回路よりも、冷媒流路L1x,L2x内の冷媒圧力が高くなる。このため、各プレート式熱交換器の耐圧性を確保する必要が生じることから、大幅なサイズダウンを望めないだけでなく、製造コストも高騰するおそれがある。
これに対して、圧力容器21内にチューブ式の蒸発器14a(冷媒配管31)や、チューブ式の凝縮器12b(冷媒配管41)を収容した熱交換器5、および圧力容器51内にチューブ式の蒸発器14b(冷媒配管61)や、チューブ式の凝縮器12a(冷媒配管71)を収容した熱交換器6では、大型化を招くことなく、充分に高い耐圧性を確保することが可能となっている。したがって、本例の温度調整装置1では、地球温暖化現象に対する影響が小さいR410A冷媒等の次世代冷媒を採用して、純水Waの温度を任意に調整することが可能となっている。
このように、この温度調整装置1によれば、冷媒配管31a,31bを有する「チューブ式蒸発器」で構成された蒸発器14a、および冷媒配管41a,41bを有する「チューブ式凝縮器」で構成された凝縮器12bを圧力容器21内に収容して構成した熱交換器5を備え、蒸発器14a内の冷媒との熱交換、および凝縮器12b内の冷媒との熱交換によって圧力容器21内の純水Waの温度を調整可能に構成したことにより、ヒータによって純水Waを加熱する構成と比較してランニングコストを充分に低減することができるだけでなく、冷凍サイクル2によって純水Waを冷却するための「熱交換器」、および純水Waを加熱するための「熱交換器」を別個に設けた構成の「温度調整装置」と比較して、両「熱交換器」を一体化している分だけ、部品点数が少なく、かつ組立て工数を少なくすることができるため、製造コストを充分に低減することができ、しかも、省スペース化を図ることができる。
また、この温度調整装置1によれば、筒状部21a、底板21b、天板21cおよび仕切部22を備えて圧力容器21を構成すると共に、筒状部21aおよび仕切部22の間の被供給液流路La1および仕切部22の内側の被供給液流路Lb1の双方に冷媒配管31a,31b,41a,41bをそれぞれ配設して熱交換器5を構成したことにより、熱交換器5内において充分に長い時間をかけて純水Waを冷却したり加熱したりすることができるため、温度調整前の純水Waの温度が非常に高い温度のとき、および温度調整前の純水Waの温度が非常に低い温度のときのいずれにおいても、純水Waの温度を目標とする温度まで確実に温度調整することができる。
さらに、この温度調整装置1によれば、冷媒配管61a,61bを有する「チューブ式凝縮器」で構成された凝縮器12a、および冷媒配管71a,71bを有する「チューブ式蒸発器」で構成された蒸発器14bを圧力容器51内に収容して構成した熱交換器6を備え、圧力容器51内の水道水Wbとの熱交換によって凝縮器12a内の冷媒を凝縮させ、かつ圧力容器51内の水道水Wbとの熱交換によって蒸発器14b内の冷媒を蒸発可能に構成したことにより、冷媒凝縮用の「熱交換器」、および冷媒蒸発用の「熱交換器」を別個に設けた構成の「温度調整装置」と比較して、両「熱交換器」を一体化している分だけ、部品点数が少なく、かつ組立て工数を少なくすることができるため、製造コストを一層低減することができ、かつ一層省スペース化を図ることができる。
また、この温度調整装置1によれば、「被供給液」としての純水を温度調整して「供給対象」に供給可能に構成したことにより、「供給対象」に対して、目標温度範囲内の温度に調整した純水Waを低コストで確実に供給することができる。また、純水Waによる腐食を回避するために高耐食性金属材料を用いて熱交換器5等を製作したとしても、部品点数が少ない分だけ、その製造コストの高騰を回避することができる。
なお、「温度調整装置」の構成は、上記の温度調整装置1の構成に限定されるものではない。例えば、上記の温度調整装置1における熱交換器6に代えて、出願人が開発した従来の温度調整装置1xにおける熱交換器6ax,6bxおよび配管Pbxを配管Pb1,Pb2の間に配設して「温度調整装置」を構成することもできる(「第2熱交換器」を備えていない構成の一例)。また、そのような構成の「温度調整装置」における熱交換器6ax,6bxのいずれか、または双方に代えて、周囲の空気と冷媒とを熱交換させる「熱交換器」を配設して「温度調整装置」を構成することもできる(「第2熱交換器」を備えていない構成の他の一例)。
また、「被供給液」としての純水Waを温度調整して「供給対象」に供給する例について説明したが、「水道水」、「不凍液」および「オイル」などの各種の液体を「被供給液」として温度調整して「供給対象」に供給する構成を採用することができる。さらに、「熱媒液」としての水道水Wbを「第2熱交換器」としての熱交換器6に供給する例について説明したが、「不凍液」や「オイル」などの各種の液体を「熱媒液」として「第2熱交換器」に供給する構成を採用することができる。