JP6444284B2 - 防曇フィルムの製造方法 - Google Patents

防曇フィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6444284B2
JP6444284B2 JP2015180719A JP2015180719A JP6444284B2 JP 6444284 B2 JP6444284 B2 JP 6444284B2 JP 2015180719 A JP2015180719 A JP 2015180719A JP 2015180719 A JP2015180719 A JP 2015180719A JP 6444284 B2 JP6444284 B2 JP 6444284B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
cellulose acylate
saponification
antifogging
acylate film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015180719A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017057242A (ja
Inventor
俊哉 三田
俊哉 三田
祐依 近江
祐依 近江
永周 孤島
永周 孤島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2015180719A priority Critical patent/JP6444284B2/ja
Priority to CN201680053175.6A priority patent/CN108026305B/zh
Priority to PCT/JP2016/075947 priority patent/WO2017047426A1/ja
Publication of JP2017057242A publication Critical patent/JP2017057242A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6444284B2 publication Critical patent/JP6444284B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J7/00Chemical treatment or coating of shaped articles made of macromolecular substances
    • C08J7/12Chemical modification

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、防曇フィルムの製造方法に関するものである。
浴室や洗面化粧台の鏡、冷凍ショーケースや眼鏡などは、結露により表面に水滴が付着して、視認性が低下してしまう。そこで、視認性の低下を抑制するために、防曇フィルムが使用されている。防曇フィルムとしては、少なくとも一方のフィルム面に親水化処理を施されたセルロースアシレートフィルムがある。親水化処理としては、活性線照射やプラズマ処理、アルカリによるけん化処理等がある。
例えば、特許文献1には、セルロースアシレートフィルムの親水化処理として活性線照射やプラズマ処理、コロナ放電処理、アルカリによるけん化処理などのいずれかの親水化処理を行い、これによって防曇フィルムを製造する方法が記載されている。この防曇フィルムは、メチレンクロライド可溶層とメチレンクロライド不溶層とを備える。メチレンクロライド不溶層が防曇層である。
特許文献2にも、親水化処理としてけん化処理を行い、防曇フィルムを製造する方法が記載されている。けん化処理としては、アルカリの水溶液にセルロースアシレートフィルムを浸漬する手法と、アルカリの水溶液をセルロースアシレートフィルムに塗布する手法とが記載されており、浸漬する手法の方が好ましいとされている。
また、特許文献3にも、けん化液にセルロースアシレートフィルムをけん化液に浸漬して防曇フィルムを製造する方法が記載されている。
特許文献4,5には、セルロースアシレートフィルムにけん化液を塗布してけん化し、けん化液としてアルコールなどの有機溶媒を含んだ混合液を用いることが記載されている。
特開2014−224213号公報 特開2013−99879号公報 特開2012−145632号公報 特開2009−74000号公報 特開2004−182858号公報
特許文献2,3に記載される方法によると、得られる防曇フィルムは、瞬間的な結露を防止する機能である初期防曇性には優れるが、長期防曇性、すなわち結露を長時間防止する機能はなく、用途が限られている。また、特許文献1に記載される方法で得られる防曇フィルムも同様に、長期防曇性がない。特許文献4,5に記載される方法では、防曇フィルムに長期防曇性が発現しないことがある。
そこで本発明は、初期防曇性と長期防曇性とをもつ防曇フィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の防曇フィルムの製造方法は、アルコール塗布工程と、けん化液塗布工程と、温度保持工程とを有し、セルロースアシレートフィルムをアルカリによりけん化して防曇フィルムを製造する。アルコール塗布工程は、セルロースアシレートフィルムの一方のフィルム面に、炭素数が2以上3以下のアルコールを、1m2当たり少なくとも17gの量で塗布する。けん化液塗布工程は、一方のフィルム面にアルカリと水とが含まれるけん化液を塗布する。温度保持工程は、けん化液が塗布されたセルロースアシレートフィルムを加熱することにより、フィルム面の温度を40℃以上80℃以下の範囲内に20秒以上120秒以内の時間保持する。
けん化液塗布工程は、アルコール塗布工程を含み、上記アルコールが含まれるけん化液を塗布することが好ましい。
一方のフィルム面におけるアルカリの塗布量は、1m2当たり少なくとも0.3gであることが好ましい。
温度保持工程の次工程として、セルロースアシレートフィルムを洗浄する洗浄工程と、酸によりセルロースアシレートフィルムに含まれるアルカリを中和する中和工程とのいずれか一方を有し、洗浄または中和によりけん化を停止させることが好ましい。
温度保持工程は、赤外線を射出する赤外線ヒータによりセルロースアシレートフィルムを加熱することが好ましく、赤外線ヒータは、セルロースアシレートフィルムの他方のフィルム面に赤外線を照射することがより好ましい。
けん化液塗布工程に供されるセルロースアシレートフィルムは、分子量が500未満の可塑剤の質量がセルロースアシレートの質量に対して多くても4%であることが好ましい。
けん化液塗布工程に供されるセルロースアシレートフィルムは、ジカルボン酸とジオールとのエステル結合が含まれる繰り返し単位をもつ分子量が500以上10000以下のエステルオリゴマーを可塑剤として含むことが好ましい。ジカルボン酸は炭素数が2以上10以下の範囲内である脂肪族ジカルボン酸であり、ジオールは炭素数が2以上10以下の範囲内である脂肪族ジオールであることが好ましい。
本発明によると、初期防曇性と長期防曇性とに優れた防曇フィルムが得られる。
防曇フィルムの断面概略図である。 防曇フィルム製造設備の概略図である。 純水を滴下して15秒後の接触角と、温度保持工程で温度を保持する時間との関係を表すグラフである。
図1において防曇フィルム10は、フィルムベース11と、けん化層12とを備える。防曇フィルム10の厚みT10は、特に限定されず、例えば10μm以上200μm以下の範囲内とされる。なお、本実施形態では、厚みT10を例えば40μmとしてある。
フィルムベース11は防曇フィルム10のフィルム本体であり、けん化層12を支持する支持体としても機能する。フィルムベース11は、セルロースアシレートで形成されている。セルロースアシレートは、本実施形態ではセルローストリアセテート(以下TACと称する、TACはトリアセチルセルロースの略称である)であるが、TACに代えて、TACと異なる他のセルロースアシレートであってもよい。なお、フィルムベース11は、けん化されたセルロースアシレートを非含有としている。
フィルムベース11は、後述のようにセルロースアシレートフィルム37(図2参照)のけん化によってけん化されなかった残部であるので、セルロースアシレートフィルム37と同じ組成とされている。セルロースアシレートフィルム37に含まれる添加剤及びその量などについては後述する。
けん化層12は、初期防曇性と長期防曇性との機能を担うものである。けん化層12は、フィルムベース11の一方のベース面(以下、第1ベース面11a)に設けられており、防曇フィルム10の一方のフィルム面(以下、第1フィルム面と称する)10aをなす。けん化層12は、けん化されたセルロースアシレート、この例ではけん化されたTACを含む。
第1フィルム面10aのアシル基量をXとし、後述のセルロースアシレートフィルム37の一方のフィルム面(以下、第1フィルム面と称する)37a(図2参照)のアシル基量をYとするときに、X/Yで求めるアシル基割合は小さいことが好ましく、例えば0.7以下であることが好ましい。本実施形態では例えば0.30としている。アシル基割合が小さいほど、セルロースアシレートフィルム37に対して第1フィルム面10aはアシル基が少なく、セルロースアシレートフィルム37のけん化において、より多くのアシル基がけん化されてヒドロキシ基になったことを意味する。アシル基割合が小さいほど、初期防曇性が良い。アシル基割合は、0.01以上0.6以下の範囲内であることがより好ましい。なお、フィルムベース11の他方のベース面(以下、第2ベース面と称する)11bのアシル基量は、セルロースアシレートフィルム37の第1フィルム面37aのアシル基量Yに等しい。
アシル基量Xとアシル基量Yとは、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR,Fourier Transform Infrared Spectroscopy、以下FT−IRと称する)の全反射測定(ATR,Attenuated Total Reflection)法(以下、ATR法と称する)によって求められるアシル基のスペクトル強度として求める。具体的には、セルロースアシレートのアシル基のシグナルのスペクトル強度を、セルロース系ポリマーの共通シグナルのスペクトル強度で補正(規格化)する。本実施形態ではセルロースアシレートとしてTACを用いているのでアシル基はアセチル基であり、アセチル基のシグナルは1210cm-1である。セルロース系ポリマーの共通シグナルは1030cm-1とすることが好ましい。そして、補正して得られたセルロースアシレートのアシル基のシグナルのスペクトル強度を、アシル基量X、アシル基量Yとして求める。このように、アシル基量Xとアシル基量Yとは、アシル基の数に置き換えられる指標である。
FT−IRのATR法は、周知のように測定試料に対して光を侵入させてスペクトル強度を求める方法であり、得られるスペクトル強度は、測定試料の厳格な意味での表面のものではない。一般的なFT−IRのATR法での一手法である、ダイアモンドプリズムを用い、測定角度を45度にして実施した場合には、測定試料の表面からの光の侵入深さは約2〜3μmである。本実施形態のけん化層12は後述のように非常に薄いため、光の侵入深さが2μmよりも深くなるほど、けん化層12について求めるアシル基量としての信頼性が薄れる。そこで、第1フィルム面10aから深さ2μmの範囲のスペクトル強度を、アシル基量Xとして求めることが好ましく、本実施形態でも光の侵入深さを2μmに設定して、第1フィルム面10aから2μm以下の範囲のスペクトル強度をアシル基量Xとしている。
同様に、セルロースアシレートフィルム37の第1フィルム面37a(図2参照)から深さ2μmの範囲のスペクトル強度を、アシル基量Yとして求めることが好ましく、本実施形態でもそのようにしている。
第1フィルム面10aは、純水を滴下してから15秒後における接触角(以下、15秒後接触角と称する)が小さいことが好ましく、例えば20°以下であることが好ましい。本実施形態では例えば13°である。15秒後接触角は、長期防曇性と関係する。なお、純水を滴下してからの時間を考慮して接触角を求め、この時間が15秒後である15秒後接触角にすることで、長期防曇性の発現をより確実に評価することができる。15秒後接触角はフィルム面の水との親和性を示す特性である。水に対する接触角の測定においては、けん化層12の表面に極わずかな厚みで膜状に形成された親水性部分(以下、親水性膜と称する)の内部へ純水がしみこんだり、親水性膜内部からフィルム成分が出てくるなどの現象が純水の滴下後の時間経過とともに生じるが、測定を滴下後15秒にすることによりフィルム面の長期防曇性と対応する親水性を測定できることを見出した。
15秒後接触角は、調湿(湿度調整)した後の防曇フィルム10について測定することが好ましく、調湿の処理条件は、温度が23℃以上28℃以下の範囲内であり、相対湿度が55%以上65%以下の範囲内である雰囲気下とすることが好ましく、調湿の時間を1時間以上とすることがより好ましい。本実施形態では温度が25℃、相対湿度が60%の雰囲気下で1時間調湿している。この調湿処理は、防曇フィルム10全体を調湿してもよいが、少なくともけん化層12を調湿すれば足りる。
防曇フィルム10は、本実施形態では後述のように長尺に製造されており、第2ベース面11bに、例えば、粘着層が設けられ、所望の大きさのシート状にカットされて使用に供される。粘着層は、貼り付け対象物に防曇フィルム10を貼り付けるためのものである。なお、この例の防曇フィルム10は、けん化層12がフィルムベース11の第1ベース面11aにのみ設けられているが、これに限られない。すなわち、けん化層12は、第1ベース面11aに加えて、第2ベース面11bに設けられていてもよい。この場合には、粘着層は、第1ベース面11a上のけん化層12と、第2ベース面11b上のけん化層とのいずれか一方に重ねた態様に設けられる。
図2に示す防曇フィルム製造設備30は、防曇フィルム10を連続的に製造するための設備の一例である。防曇フィルム製造設備30は、送出機31と、けん化ユニット32と、乾燥装置33と、巻取機34とを、セルロースアシレートフィルム37の搬送方向において上流側から順に備える。セルロースアシレートフィルム37は、防曇フィルム10の材料であり、この例では、周知の溶液製膜方法による製膜装置(図示無し)でつくられたものである。セルロースアシレートフィルム37は、セルロースアシレートから形成されており、本実施形態では前述のTACとしている。
セルロースアシレートについて、詳細を以下に説明する。セルロースアシレートは、セルロースのヒドロキシ基をカルボン酸でエステル化している割合、つまりアシル基の置換度(以下、アシル基置換度と称する)が下記式(1)〜(3)の全ての条件を満足するものが特に好ましい。なお、(1)〜(3)において、A及びBはともにアシル基置換度であり、Aにおけるアシル基はアセチル基であり、Bにおけるアシル基は炭素原子数が3〜22のものである。
2.4≦A+B≦3.0・・・(1)
0≦A≦3.0・・・(2)
0≦B≦2.9・・・(3)
セルロースを構成し、β−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位にヒドロキシ基を有している。セルロースアシレートは、このようなセルロースのヒドロキシ基の一部または全部がエステル化されて、ヒドロキシ基の水素が炭素数2以上のアシル基に置換されたポリマーである。なお、グルコース単位中のひとつのヒドロキシ基のエステル化が100%されていると置換度は1であるので、セルロースアシレートの場合には、2位、3位及び6位のヒドロキシ基がそれぞれ100%エステル化されていると置換度は3となる。
ここで、グルコース単位で2位のアシル基置換度をDS2、3位のアシル基置換度をDS3、6位のアシル基置換度をDS6として「DS2+DS3+DS6」で求められる全アシル基置換度は2.00〜3.00であることが好ましく、本実施形態では2.86である。
アシル基は1種類だけでもよいし、2種類以上であってもよい。アシル基が2種類以上であるときには、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。2位、3位、及び6位のヒドロキシ基の水素のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位、及び6位におけるアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとするとき、「DSA+DSB」の値は、2.2〜2.86であることが好ましく、2.40〜2.80であることが特に好ましい。DSBは1.50以上であることが好ましく、1.7以上であることが特に好ましい。そして、DSBは、その28%以上が6位ヒドロキシ基の置換であることが好ましいが、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは31%以上、特に好ましくは32%以上が6位ヒドロキシ基の置換であることが好ましい。また、セルロースアシレートの6位の「DSA+DSB」の値が0.75以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、0.85以上であることが特に好ましい。
炭素数が2以上であるアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定されない。例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどがあり、これらは、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、プロピオニル基、ブタノイル基が特に好ましい。
セルロースアシレートフィルム37には、セルロースアシレートの他に、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤等の各種添加剤や、貼り付きを防止するための微粒子が含まれていてもよい。
分子量が500未満の可塑剤は、後述のけん化におけるアシル基の減少を妨げる、第1フィルム面10aにおける15秒後接触角が高くなる等の原因になる。そこで、セルロースアシレートフィルム37は、分子量が500未満の可塑剤の質量が、セルロースアシレートの質量に対して、多くても4%、すなわち4%以下に抑えられていることが好ましい。すなわち、セルロースアシレートの質量をMAとし、分子量が500未満の可塑剤の質量をMBとするときに、(MB/MA)×100で求める質量割合(単位;%)が4%以下であることが好ましい。この質量割合が4%以下であることにより、4%よりも大きい場合に比べて、けん化によりアシル基がより確実に減少する。また、この質量割合が4%以下であることにより、4%よりも大きい場合に比べて、分子量が500未満である可塑剤が第1フィルム面10a(図1参照)に析出することが抑えられ、15秒後接触角の低下がより確実になり、長期防曇性がより確実に発現する。上記質量割合は、0%以上3%以下の範囲内であることがより好ましく、0%以上2%以下の範囲内であることがさらに好ましく、小さいほどよい。なお、上記分子量は、元素分析、液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ、NMR(nuclear magnetic resonance、核磁気共鳴)、IR(Infrared Spectroscopy、赤外分光分析)などの一般的な化学物質の分子量決定手法にて決めることができる分子量であり、本実施形態では、ガスクロマトグラフィによる標準物質との比較で求めている。分子量が500未満の可塑剤としては、トリフェニルフォスフェート(TPP)や、ビフェニルジフェニルフォスフェート(BDP)などが挙げられる。
セルロースアシレートフィルム37は、可塑剤として、ジカルボン酸とジオールとのエステル結合が含まれる繰り返し単位をもち、分子量が500以上10000以下の範囲内であるエステルオリゴマーを含むことが好ましく、本実施形態のセルロースアシレートフィルム37もこれを含んでいる。この分子量は、エステルオリゴマーが前述の500未満の分子量の可塑剤と異なり分子量の分布をもつため、GPC(Gel Permeation Chromatography、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による重量平均分子量や数平均分子量、末端官能基量測定や浸透圧測定による数平均分子量測定法、粘度測定による粘度平均分子量などで求めることができる。本実施形態では、末端官能基測定による数平均分子量測定法により求めている。分子量が500以上10000以下の範囲内であるエステルオリゴマーを可塑剤として用いることにより、後述のけん化において、アシル基がより確実に減少する。また、可塑剤として上記のエステルオリゴマーを用いることにより、子量が500未満である一般的な可塑剤モノマーを用いた場合に比べて、第1フィルム面10a(図1参照)における析出がより確実に抑えられ、第1フィルム面10aにおける15秒後接触角が低下しやすくなり長期防曇性がより確実に発現する。また、分子量が500以上10000以下の範囲内であるエステルオリゴマーを可塑剤として用いることにより、防曇フィルム10は、貼り付け対象物に対する貼り付け、貼り直しといった取り扱い性が向上する。エスエルオリゴマーの分子量が大きいほど長期防曇性が良く分子量が小さいほどセルロースアシレートとの相溶性がよいため、エステルオリゴマーの分子量は、分子量700以上5000以下の範囲内がより好ましく、900以上3000以下の範囲内がさらに好ましい。
上記のジカルボン酸は、炭素数が2以上10以下の範囲内である脂肪族ジカルボン酸であることがより好ましい。上記のジオールは、炭素数が2以上10以下の範囲内である脂肪族ジオールであることがより好ましい。これは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとを用いることで、防曇フィルム10に柔軟性を付与することができ、後述の15秒後接触角の低減を阻害する分解物が生成しにくいからである。脂肪族カルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。本実施形態ではエステルとしてアジピン酸とエタンジオールによるエステルオリゴマー(末端水酸基定量法による数平均分子量が約1000である)を用いている。
送出機31は、長尺のセルロースアシレートフィルム37を連続的に送り出すものである。セルロースアシレートフィルム37は巻き芯38にロール状に巻かれた状態で送出機31にセットされ、巻き芯38を回転させることにより、セルロースアシレートフィルム37を連続的に送り出す。
けん化ユニット32は、セルロースアシレートフィルム37を連続的にけん化して防曇フィルム10にするためのものである。けん化ユニット32は、塗布装置41と、赤外線ヒータ42と、洗浄装置43と、ローラ44とを備える。ローラ44は、複数備えられているが、図2ではひとつのみを図示している。このローラ44は、周面でセルロースアシレートフィルム37を下方から支持し、回転軸を中心に回転することで、セルロースアシレートフィルム37を搬送する。
塗布装置41は、けん化液47をセルロースアシレートフィルム37の第1フィルム面37aに塗布するためのものである。塗布装置41は、供給されてくるけん化液47を、セルロースアシレートフィルム37の第1フィルム面37aに対向した流出口41aから連続的に流出する。搬送されているセルロースアシレートフィルム37に、塗布装置41がけん化液47を連続的に流出することにより、第1フィルム面37aにけん化液47が連続的に塗布される(けん化液塗布工程)。けん化液47を塗布により付与することで、浸漬により付与する手法に比べて、15秒後接触角を確実に低くすることができるため、長期防曇性の発現の確実性が増す。
けん化液47は、セルロースアシレートフィルム37の第1フィルム面37a側をけん化してけん化層12(図1参照)を形成するためのものであり、アルカリと水とが含まれる。アルカリは、本実施形態では水酸化カリウム(KOH)であるが、これに限られず、KOHに代えて水酸化ナトリウム(NaOH)でもよい。セルロースアシレートフィルム37の第1フィルム面37a側は、アルカリと塗布されることでけん化されて、セルロースアシレートのアシル基がヒドロキシ基になり、アシル基が減少する。この例では、けん化液47は、アルカリと水とに加え、炭素数が2以上3以下のアルコールを含んでおり、塗布装置41は、このけん化液47を塗布することにより、第1フィルム面37aにアルコールも塗布する(アルコール塗布工程)。アルコールは、セルロースアシレートフィルム37へのアルカリのしみこみを促進するためのものである。炭素数が2以上3以下のアルコールとしては、イソプロピルアルコールが特に好ましく、本実施形態でもイソプロピルアルコールとしている。
この例では、けん化液47にアルコールを含ませておくことにより、けん化液塗布工程がアルコール塗布工程を含むが、この態様に限定されない。例えば、アルコールとアルカリの水溶液とを逐次に塗布する手法、すなわちアルコール塗布工程とけん化液塗布工程とを独立してもよい。この場合には、アルコールの塗布の後にけん化液を塗布する方がより好ましい。
アルコールは、第1フィルム面37aに、第1フィルム面37aの面積1m2あたり少なくとも17gの量で、すなわち17g/m2以上の塗布量で、塗布する。アルコールの塗布量が多いほど、15秒後接触角が小さくなる。アルコールの塗布量は、17g/m2以上39.6g/m2以下の範囲内であることが好ましく、22g/m2以上39.6g/m2以下の範囲内であることがより好ましく、33.4g/m2以上39.6g/m2以下の範囲内であることがさらに好ましい。
アルカリは、第1フィルム面37aに、第1フィルム面37aの面積1m2あたり少なくとも0.3gの量で、すなわち0.3g/m2以上の塗布量で、塗布する。これにより、セルロースアシレートフィルム37へアルカリが確実に迅速にしみこむ。アルカリのアルコールの塗布量は、0.3g/m2以上1.3g/m2以下の範囲内であることが好ましく、0.6g/m2以上1.3g/m2以下の範囲内であることがより好ましく、0.7g/m2以上1.3g/m2以下の範囲内であることがさらに好ましい。
赤外線ヒータ42は、セルロースアシレートフィルム37を加熱して、後述の温度範囲内に後述の時間保持するためのものである。赤外線ヒータ42は、赤外線を射出する射出面が、搬送されるセルロースアシレートフィルム37に対向するように設けられている。赤外線ヒータ42は、けん化液47から形成された塗膜48が形成されている第1フィルム面37aに対向するように配されていてもよいが、図2に示す本実施形態のように、第1フィルム面37aとは反対側のフィルム面である第2フィルム面37aと対向するように配されることが好ましい。塗膜48に含まれるアルコールの蒸発を抑制しながらセルロースアシレートフィルム37を加熱することができるからである。アルコールの蒸発を抑制しつつセルロースアシレートフィルム37を加熱することで、アルカリが第1フィルム面37a側からより確実に、より効率的にしみこむ。
赤外線ヒータ42に代えて、または、加えて、セルロースアシレートフィルム37に加熱された気体を吹き付ける吹き付けタイプの送風装置や、セルロースアシレートフィルム37の搬送路をチャンバで囲んでこのチャンバに加熱された気体を供給するチャンバ式送風装置などを用いてもよい。吹き付けタイプの送風装置を用いる場合には、吹き付けは第2フィルム面37bに行う方が、塗膜48からのアルコールの蒸発をより抑制する観点で好ましい。塗膜48からのアルコールの蒸発をより確実に抑制する観点では、吹き付けタイプの送風装置よりもチャンバ式送風装置の方が好ましく、チャンバ式送風装置よりも赤外線ヒータ42の方が好ましい。
けん化層12の厚みT12(図1参照)は、小さすぎると初期防曇性が発現しにくく、大きすぎると長期防曇性が発現しにくい。そこで、初期防曇性と長期防曇性とを両立するために、赤外線ヒータ42での加熱により第1フィルム面37aを、40℃以上80℃以下の温度に、20秒以上120秒以内の時間、保持する(温度保持工程)。40℃以上に保持することにより、40℃未満である場合に比べて、けん化が迅速にすすみ、また、厚みT12がより大きいけん化層12が形成されるので、初期防曇性が確実に発現する。80℃以下に保持することにより、80℃より高い場合に比べて、アルコールの蒸発が確実に抑えられてけん化層12が確実に形成され、しかも、厚みT12が小さいけん化層12が形成されて長期防曇性が確実に発現する。保持する温度は、40℃以上70℃以下の範囲内であることがより好ましく、50℃以上70℃以下の範囲内であることがさらに好ましい。なお、上記温度範囲に保持するフィルム面は、第1フィルム面37aに代えて、あるいは加えて、第2フィルム面37bとしてもよい。
上記の温度範囲に保持する時間は、20秒以上120秒以内とする。20秒以上とすることにより、20秒未満である場合に比べて、けん化が迅速にすすみ、また、厚みT12(図1参照)がより大きいけん化層12が形成されるので、初期防曇性が確実に発現する。120秒以内にすることで、120秒より長い場合に比べて、けん化層12は厚みT12(図1参照)が薄く形成され、このため、長期防曇性が確実に発現する。また、上記の温度範囲に保持する時間は、図3に示すように、15秒後接触角にも関係しており、温度を保持する時間の経過に伴い、15秒後接触角は低減し、その後、増大し始める。上記の温度範囲に保持する時間を、20秒以上120秒以内とすることで、15秒後接触角が小さい第1フィルム面10aを形成することができ、この観点でも、長期防曇性が確実に発現する。上記の温度範囲に保持する時間は、30秒以上100秒以内であることがより好ましく、30秒以上50秒以内であることがさらに好ましい。
なお、けん化層12の厚みT12は、得られた防曇フィルム10から、本実施形態では以下の方法で求めている。防曇フィルム10からサンプリングした試料を、ジクロロメタンに24時間浸漬する。この浸漬で溶け残った試料を乾燥し、乾燥した試料の厚みを3回測定した。3つの測定値の平均を、厚みT12とする。
洗浄装置43は、セルロースアシレートフィルム37を洗浄することによりけん化を停止させるためのものである。洗浄装置43は、塗膜48が形成されている第1フィルム面37a側に水を吹きつけるスプレー式洗浄機を備える。水の吹き付けにより、アルカリは迅速にセルロースアシレートフィルム37から除去される。このアルカリの除去により、けん化が停止する。これにより、けん化層12の厚みT12が過度に大きくならず、長期防曇性がより確実に発現する。なお、スプレー式洗浄機に代えて、水を収容している容器にセルロースアシレートフィルム37を案内して水中に浸漬する浸漬式洗浄機を用いてもよいが、アルカリの除去の迅速さの観点から、スプレー式洗浄機の方が好ましく、吹き付ける水の流量及び流速は大きい方がより好ましい。
洗浄装置43に代えて、塗膜48に酸を供給する酸供給機を用いてもよい。酸供給機としては、例えば、酸の水溶液を塗膜48が形成されている第1フィルム面37a側に吹きつけるスプレー式供給機が挙げられる。酸は、アルカリを中和するためのものであり、例えば、塩酸、硫酸等が好ましい。中和によってけん化を停止させ、これにより、けん化層12の厚みT12が過度に大きくならず、長期防曇性がより確実に発現する。
洗浄装置43を経たセルロースアシレートフィルム37には、けん化層12が形成されており、このセルロースアシレートフィルム37を乾燥装置33へ案内して、乾燥する。乾燥装置としては、本実施形態では、搬送路をチャンバで囲んでこのチャンバに加熱された気体を供給するチャンバ式乾燥装置を用いているが、特に限定されない。この乾燥により、含まれている水が蒸発し、防曇フィルム10が長尺に得られる。防曇フィルム10は、巻取機34に案内され、セットされている巻き芯49に、ロール状に巻かれる。
上記の例では、セルロースアシレートフィルム37の第1フィルム面37a側のみけん化しているが、第1フィルム面37a側に加えて、第2フィルム面37b側をけん化してもよい。この場合も、上記のアルコール塗布工程とけん化液塗布工程と温度保持工程とを行うことが好ましい。
[実施例1]〜[実施例11]
溶液製膜方法により、ドープからセルロースアシレートフィルム37をつくった。ドープは、下記の処方からなる組成物を密閉容器に投入し、常圧下で40℃に保温しながら攪拌することにより完全に溶解させることでつくった。TACの原料はリンターである。TACは、アシル基置換度が2.86、粘度平均重合度が320である。微粒子は、R972(日本アエロジル(株)製)である。この微粒子は、ジクロロメタンとメタノールとの混合物である溶剤にTACを溶解した溶液に、予め混合して分散した。そして、この分散液を、上記の密閉容器に投入して、下記処方の組成物とした。静置後、ろ紙(No.63、アドバンテック東洋(株)製)を使用してこの液を30℃に保持した状態で濾過し、脱泡操作を施した後、ドープを得た。
TAC 100質量部
ジクロロメタン 635質量部
メタノール 125質量部
可塑剤 15質量部
微粒子 1.3質量部
可塑剤としては、アジピン酸とエタンジオールによるエステルオリゴマー、または、トリフェニルフォスフェート(分子量は325)を用いた。エステルオリゴマーの分子量は末端水酸基定量法による数平均分子量で約1000であった。エステルオリゴマーを用いた場合には、表1の「可塑剤」の「種類」欄に、「A」と記載し、トリフェニルフォスフェートを用いた場合には「B」と記載する。セルロースアシレートの質量に対する可塑剤の質量は、表1の「可塑剤」の「質量割合」欄に示す。
30℃に温度調整されたドープを、支持体上に流延した。支持体は、ステンレス製の無端のベルトである。流延膜に対して、形成直後から100℃の温風をあてて乾燥し、形成してから120秒後に、150N/mの剥離張力で流延膜を支持体から剥離し、セルロースアシレートフィルム37を形成した。剥離位置における支持体の温度は10℃とした。剥離時おける流延膜の残留溶媒量は100質量%であった。
剥離したセルロースアシレートフィルム37を、搬送路に配した多数のロールにより長手方向における張力を100N/mにした状態で搬送しながら、乾燥した。乾燥は、80℃に設定された第1乾燥ゾーンを5分間搬送させた後、さらに120℃に設定された第2乾燥ゾーンで10分間搬送させることにより、行った。乾燥後、セルロースアシレートフィルム37をロール状に巻き取ることにより、フィルムロールを得た。セルロースアシレートフィルム37の幅は1.5m、フィルムロールにおける巻長は2000mであった。巻き取り時のセルロースアシレートフィルム37の残留溶媒量は0.3%であった。
得られたセルロースアシレートフィルム37から、防曇フィルム製造設備30により、11種の防曇フィルム10を製造し、実施例1〜11とした。各防曇フィルム10は、具体的には以下の方法で製造した。セルロースアシレートフィルム37を送出機31により送り出して搬送し、塗布装置41によりけん化液47をセルロースアシレートフィルム37の第1フィルム面37aに塗布した。このように、塗布によりけん化液47を付与した場合を、表1の「けん化」の「方式」欄には「塗布」と記載する。けん化液47にはイソプロピルアルコールを含ませた。表1の「けん化」の「塗布量」欄はけん化液47の塗布量である。
けん化液47としては、以下のタイプA、タイプB、タイプCの3種類をつくり、それぞれ、表1の「けん化液」欄には「A」、「B」、「C」と記載する。なお、下記の処方において、%は質量での百分率である。
<タイプAのけん化液>
水酸化カリウム(KOH) 3.3%
イソプロピルアルコール 88.0%
水 3.6%
プロピレングリコール 5.0%
界面活性剤 0.1%
<タイプBのけん化液>
水酸化カリウム(KOH) 9.7%
イソプロピルアルコール 60.0%
水 10.5%
プロピレングリコール 14.8%
界面活性剤 5.0%
<タイプCのけん化液>
水酸化カリウム(KOH) 1.9%
イソプロピルアルコール 92.5%
水 2.1%
プロピレングリコール 3.0%
界面活性剤 0.5%
けん化液47が塗布されたセルロースアシレートフィルム37を、赤外線ヒータ42により加熱し、第1フィルム面37aを、表1の「温度」欄に示す温度に、「温度保持時間」に示す時間、保持した。このようにして得られた長尺の各防曇フィルム10について、厚みT10と、15秒後接触角と、アシル基割合とを、それぞれ求めた。15秒後接触角と、アシル基割合との各求め方は前述の通りである。厚みT10は、接触式厚み計を用いて幅方向0.5mm間隔で測定した値の平均値である。これらの結果は表1に示す。なお、15秒後接触角は、表1の「接触角」欄に記載している。
得られた各防曇フィルム10につき、初期防曇性と長期防曇性とを、以下の方法及び基準で評価した。各評価結果については表1に示す。
(1)初期防曇性
10℃以上15℃以下の温度範囲に冷却したガラス板に防曇フィルム10を貼り付け、25℃、相対湿度60%の室内で、曇りを評価した。無色透明のシート型両面粘着テープを用いて防曇フィルム10全体をガラス板に貼り付けてから曇るまでの時間に基づいて、以下の基準で評価した。なお、両面粘着テープの使用に代えて、粘着剤をガラス板と防曇フィルム10とのいずれか一方に塗布する手法でガラス板に防曇フィルム10を貼り付けてもよい。ガラス板を介して物が見えなくなったことをもって、曇りとした。A,Bは合格レベル、C,Dは不合格レベルである。
A:10分以上である。
B:5分以上10分未満である。
C:1分以上5分未満である。
D:1分未満である。
(2)長期防曇性
冷蔵庫に、ドアに代えてガラスを取り付け、このガラスの表面に防曇フィルム10を貼り付けた。冷蔵庫を置いてある室内は、25℃、相対湿度60%に保持した。貼り付けてから2時間後の防曇フィルムを目視で観察し、以下の基準で評価した。Aは合格レベル、B,Cは不合格レベルである。
A:防曇フィルムに水滴が確認されなかった。
B:冷蔵庫内は見えるものの、防曇フィルム10に水滴が確認された。
C:曇って冷蔵庫内が見えなかった。
Figure 0006444284
[比較例1]〜[比較例13]
けん化液47の付与方法や、けん化液47の種類などを表1に示す条件に代えて、13種類の防曇フィルムを製造し、比較例1〜13とした。けん化液47としては、下記のタイプDのけん化液47もつくり、これを用いた場合には、表1の「けん化液」欄に「D」と記載する。けん化液47にセルロースアシレートフィルム37を浸漬することにより、セルロースアシレートフィルム37にけん化液47を付与した場合には、表1の「けん化」の「方式」欄に「浸漬」と記載しており、この場合にはけん化液47の塗布量、アルカリの塗布量、アルコールの塗布量が検出できないことから「塗布量」欄、「アルカリの塗布量」欄、「アルコールの塗布量」欄には「−」と記載する。
<タイプDのけん化液>
水酸化カリウム(KOH) 20%
水 80%
得られた防曇フィルムにつき、厚みT10と、15秒後接触角と、アシル基割合とを、それぞれ求め、実施例と同じ方法及び基準で、初期防曇性と長期防曇性とを評価した。これらの結果は表1に示す。

10 防曇フィルム
12 けん化層
30 防曇フィルム製造設備
32 けん化ユニット
37 セルロースアシレートフィルム
41 塗布装置
42 赤外線ヒータ
43 洗浄装置

Claims (9)

  1. セルロースアシレートフィルムをアルカリによりけん化して防曇フィルムを製造する防曇フィルムの製造方法において、
    セルロースアシレートフィルムの一方のフィルム面に、炭素数が2以上3以下のアルコールを、1m2当たり少なくとも17gの量で塗布するアルコール塗布工程と、
    前記一方のフィルム面に前記アルカリと水とが含まれるけん化液を塗布するけん化液塗布工程と、
    前記けん化液が塗布された前記セルロースアシレートフィルムを加熱することにより、フィルム面の温度を40℃以上80℃以下の範囲内に20秒以上120秒以内の時間保持する温度保持工程と、
    を有する防曇フィルムの製造方法。
  2. 前記けん化液塗布工程は、前記アルコール塗布工程を含み、前記アルコールが含まれる前記けん化液を塗布する請求項1に記載の防曇フィルムの製造方法。
  3. 前記一方のフィルム面における前記アルカリの塗布量は、1m2当たり少なくとも0.3gである請求項1または2に記載の防曇フィルムの製造方法。
  4. 前記温度保持工程の次工程として、前記セルロースアシレートフィルムを洗浄する洗浄工程と、酸により前記セルロースアシレートフィルムに含まれる前記アルカリを中和する中和工程とのいずれか一方を有し、
    洗浄または中和によりけん化を停止させる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防曇フィルムの製造方法。
  5. 前記温度保持工程は、赤外線を射出する赤外線ヒータにより前記セルロースアシレートフィルムを加熱する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の防曇フィルムの製造方法。
  6. 前記赤外線ヒータは、前記セルロースアシレートフィルムの他方のフィルム面に前記赤外線を照射する請求項5に記載の防曇フィルムの製造方法。
  7. 前記けん化液塗布工程に供されるセルロースアシレートフィルムは、分子量が500未満の可塑剤の質量がセルロースアシレートの質量に対して多くても4%である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の防曇フィルムの製造方法。
  8. 前記けん化液塗布工程に供されるセルロースアシレートフィルムは、
    ジカルボン酸とジオールとのエステル結合が含まれる繰り返し単位をもつ分子量が500以上10000以下のエステルオリゴマーを、可塑剤として含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の防曇フィルムの製造方法。
  9. 前記ジカルボン酸は炭素数が2以上10以下の範囲内である脂肪族ジカルボン酸であり、前記ジオールは炭素数が2以上10以下の範囲内である脂肪族ジオールである請求項8に記載の防曇フィルムの製造方法。
JP2015180719A 2015-09-14 2015-09-14 防曇フィルムの製造方法 Active JP6444284B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015180719A JP6444284B2 (ja) 2015-09-14 2015-09-14 防曇フィルムの製造方法
CN201680053175.6A CN108026305B (zh) 2015-09-14 2016-09-05 防雾膜的制造方法
PCT/JP2016/075947 WO2017047426A1 (ja) 2015-09-14 2016-09-05 防曇フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015180719A JP6444284B2 (ja) 2015-09-14 2015-09-14 防曇フィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017057242A JP2017057242A (ja) 2017-03-23
JP6444284B2 true JP6444284B2 (ja) 2018-12-26

Family

ID=58289099

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015180719A Active JP6444284B2 (ja) 2015-09-14 2015-09-14 防曇フィルムの製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6444284B2 (ja)
CN (1) CN108026305B (ja)
WO (1) WO2017047426A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6961790B2 (ja) * 2018-02-20 2021-11-05 富士フイルム株式会社 防曇フィルム
CN114901466A (zh) 2019-12-27 2022-08-12 日本板硝子株式会社 透明叠层体
CN113942278B (zh) * 2021-11-25 2022-06-21 常德市铭源光学仪器有限公司 一种防雾玻璃及其制备方法和应用

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0728612B2 (ja) * 1992-01-16 1995-04-05 株式会社日本ポリテック 被覆材
JPH0762120A (ja) * 1993-08-27 1995-03-07 Daiichi Shoko Kk 透明プラスチック製品の表面処理法
TWI243264B (en) * 2000-12-04 2005-11-11 Fuji Photo Film Co Ltd Optical compensating sheet and process for producing it, polarizing plate and liquid crystal display device
JP4145132B2 (ja) * 2002-12-03 2008-09-03 富士フイルム株式会社 セルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化方法、表面鹸化セルロースアシレートフィルム、及びそれを用いた光学フイルム
JP4662809B2 (ja) * 2005-05-25 2011-03-30 富士フイルム株式会社 ポリマーフィルムのアルカリ鹸化方法、及び光学フィルムの製造方法
JP2008214544A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Fujifilm Corp ポリマーフィルムのアルカリ鹸化方法、表面鹸化セルロースエステルフィルム、及びそれを用いた光学フィルム
JP2013100401A (ja) * 2011-11-08 2013-05-23 Konica Minolta Advanced Layers Inc 薄膜防曇性フィルム
JP5834789B2 (ja) * 2011-11-08 2015-12-24 コニカミノルタ株式会社 薄膜防曇性フィルム
JP2013234273A (ja) * 2012-05-09 2013-11-21 Adeka Corp セルロース系樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017057242A (ja) 2017-03-23
WO2017047426A1 (ja) 2017-03-23
CN108026305A (zh) 2018-05-11
CN108026305B (zh) 2021-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6444284B2 (ja) 防曇フィルムの製造方法
JP4774004B2 (ja) ウエブ状被洗浄物の洗浄方法及び装置
JP6444333B2 (ja) 防曇フィルム
JP2006199029A (ja) セルロースアシレートフィルムの製造方法
JP2008254223A (ja) 光学フィルム、その製造方法、光学フィルムを用いた偏光板、及び表示装置
CN109789676B (zh) 成型体
JP4145132B2 (ja) セルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化方法、表面鹸化セルロースアシレートフィルム、及びそれを用いた光学フイルム
WO2017047425A1 (ja) 防曇フィルム
JP5828284B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
WO2013018341A1 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP5849679B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP6586072B2 (ja) フィルム積層体
JP6961790B2 (ja) 防曇フィルム
JP5083020B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP5133640B2 (ja) 鹸化セルロースエステルフィルムの製造方法
WO2017126299A1 (ja) フィルム積層体
JP5896560B2 (ja) ポリマーフィルムの鹸化方法及び複合機能フィルムの製造方法
JP2003103540A (ja) セルロースアシレートフイルムの製造方法
JP2013067074A (ja) 光学フィルムの製造方法
JP5682522B2 (ja) 液晶表示装置用光学フィルムの製造方法
JP5678813B2 (ja) 液晶表示装置用光学フィルムの製造方法
JP2006089645A (ja) セルロースアシレートフィルムの製造方法
KR20190049759A (ko) 성형체의 제조 방법
JP2013123868A (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2013136172A (ja) 光学フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170908

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6444284

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250