JP6443215B2 - 顔料用酸化チタン系複合粒子、及びそれを含有する組成物 - Google Patents

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Description

本願発明は、顔料用酸化チタン系複合粒子、及びその複合粒子を含有する組成物に関する。
グラビア印刷は、高品質の画像を比較的安価に大量に生産することができる印刷方式であり、包装材や出版物等に広く適用されている。グラビア印刷で使用される白色インキ組成物には、一般に、白色顔料として代表的な酸化チタンが配合されている。このような、酸化チタンが配合されたグラビア印刷用の白色インキ組成物には、光沢が高いこと、隠蔽性が高いことなどが求められている(例えば非特許文献1参照)。
従来、グラビアインキ用の酸化チタンは、光沢度の高いインキ組成物を得るために、酸化チタンの一次粒子径を小さくするなどの手法が採られてきた(例えば特許文献1参照)。しかしながら酸化チタンの一次粒子径を小さくした場合、インキの隠蔽性が低下するといった問題が生じうることが知られている。
特開平07−188580号公報
荒木正義編、「グラビア技術総覧」、株式会社加工技術研究会、1994年
本発明は、光沢と隠蔽性のバランスのとれたインキ組成物、およびそのインキ組成物に含まれる顔料に適した酸化チタン系複合粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、検討により、酸化チタンを含有する粒子の表面に、亜鉛化合物を含有する層と特定の無機化合物を含有する層を特定の順序で設けた複合粒子を開発した。この複合粒子を顔料としてインキ組成物に配合すると、光沢と隠蔽性のバランスのとれたインキ組成物が提供できることを見出した。
すなわち本発明の第1の態様は、酸化チタンを含有する基材粒子と、
該基材粒子の表面直上に設けられた被覆層Aと、
該被覆層Aよりも半径方向外側に設けられた、少なくとも1層の被覆層Bとを含む複合粒子であって、
上記被覆層Aは亜鉛化合物を含有し、
上記被覆層Bは、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、及びアンチモン化合物から選択される少なくとも1種の無機化合物成分を含有し、
上記亜鉛化合物の含有量は、上記基材粒子100質量部当たり、ZnO換算で0.1〜8.0質量部であり、
上記複合粒子の平均一次粒子径が0.1〜1.0μmである
複合粒子に関する。
上記被覆層Aは、さらに亜鉛化合物以外の他の無機化合物として周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1種の元素を含む無機化合物を含有することが好ましい。上記他の無機化合物はケイ素化合物であるのが更に好ましい。
上記被覆層Bは、アルミニウム化合物及び/またはケイ素化合物からなる層であることが好ましく、アルミニウム化合物からなる層であるのがさらに好ましい。
上記無機化合物成分は、酸化物、含水酸化物、及び水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
上記無機化合物成分の被覆量が、合計で、上記基材粒子100質量部当たり0.1〜20.0質量部であるのが好ましい。
上記複合粒子の最外層は上記被覆層Bのみからなるのが好ましい。
上記複合粒子は、さらに、上記被覆層Bよりも半径方向外側に被覆層Cを有するのが好ましい。この被覆層Cは、多価アルコール、アミン又はその誘導体、有機ケイ素化合物、及び脂肪酸又はその金属塩からなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物成分を含有するのが好ましい。
上記複合粒子は酸化チタンを含有する上記基材粒子と、該基材粒子の表面直上に設けられた上記被覆層Aと、被覆層Aよりも半径方向外側に設けられた少なくとも1層の上記被覆層Bのみからなるのが好ましい。
上記複合粒子は、グラビア印刷用インキ組成物の顔料用複合粒子であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、樹脂と、
上記樹脂100質量部当たり0.1〜1000.0質量部の上記複合粒子とを含有する組成物であって、塗料組成物、インキ組成物、熱可塑性樹脂組成物、及び熱硬化性樹脂組成物からなる群から選択される組成物に関する。
本発明の複合粒子を顔料としてインキ組成物に配合することにより、高い光沢度を有し、かつ隠蔽性にも優れたインキ組成物を提供することができる。
(複合粒子)
以下に本願発明を詳細に説明する。本願発明の第一の態様は、酸化チタン(TiO)を含有する基材粒子と、その基材粒子を覆う少なくとも2つの被覆層とを有する顔料用の複合粒子に関する。
基材粒子を構成する酸化チタンは、製法や粒子形状の面で特に限定されない。例えば塩素法によって製造されたものでもよく、硫酸法によって製造されたものであってもよい。また酸化チタン粒子の形状は、例えば球状、針状、層状等のいずれの形状であってもよい。
酸化チタンの結晶形としてはルチル型、アナタース(アナターゼ)型、ブルッカイト型の3種類が知られているが、工業的にはルチル型とアナタース型が用いられている。本発明においても、ルチル型とアナタース型のいずれの酸化チタンの粒子を基材粒子として用いてもよいが、酸化チタンを配合したインキ組成物の隠蔽力に優れることからルチル型の酸化チタンを用いるのが好ましい。
上記基材粒子中の酸化チタン濃度は特に限定されないが、基材粒子100質量%中、酸化チタンを90質量%以上含有するのが好ましく、95質量%以上含有するのがより好ましく、98質量%以上含有するのが特に好ましい。言うまでもないが基材粒子中の酸化チタン量の上限は100質量%である。
上記少なくとも2つの被覆層は、その被覆層のうち、基材粒子表面直上、すなわち基材粒子を除く最も半径方向内側に設けられた被覆層Aと、該被覆層Aよりも半径方向外側に設けられた、少なくとも一層の被覆層Bを含む。
本願明細書において、「被覆」とは、基材粒子の表面の一部を被覆する場合と全部を被覆する場合の両方の形態を包含する。被覆層は基材粒子の表面全面を覆うように設けられているのが好ましい。
被覆層Aは、基材粒子表面直上に設けられた、基材粒子を被覆する層であって、亜鉛化合物を含有する。この被覆層Aを設けることにより、複合粒子を配合したインキ組成物の光沢が向上するという効果がある。
上記亜鉛化合物の例としては、特に限定されないが、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、リン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、及び炭酸亜鉛などが挙げられる。
上記亜鉛化合物の量は、上記基材粒子100質量部当たり、ZnO換算で0.1〜8.0質量部である。上記亜鉛化合物の量が、上記基材粒子100質量部当たりZnO換算で0.1質量部未満では表面を充分に被覆することが難しく、効果が得られにくい。逆に8.0質量部より多い場合は、吸油量が多くなり、分散性が低下する。上記亜鉛化合物の量は上記基材粒子100質量部当たり、より好ましくは0.1〜5.0質量部、さらに好ましくは0.1〜3.0質量部、特に好ましくは0.1〜2.0質量部である。
上記被覆層Aは、発明の効果を損なわない範囲でさらに亜鉛化合物以外の他の無機化合物として周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1種の元素を含む無機化合物を含んでいてもよい。上記他の無機化合物の例としては、ジルコニウム化合物、スズ化合物、アンチモン化合物の他、ケイ素化合物が挙げられる。上記他の無機化合物の量は、特に限定されないが、上記基材粒子100質量部当たり、酸化物換算で、好ましくは0.1〜8.0質量部である。
上記被覆層Bは、基材粒子を被覆する層であって、上記被覆層Aよりも半径方向外側に設けられている。この被覆層Bは、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、及びアンチモン化合物から選択される少なくとも1種の無機化合物成分を含有する被覆層である。
この被覆層Bを設けることにより、インキ化時にワニスとの濡れ性を得ることができる。濡れ性を得ることで、分散安定性などのインキ化に必要な特性を付与できるという効果がある。
上記無機化合物成分の被覆量は、合計で、上記基材粒子100質量部当たり0.1〜20.0質量部であるのが好ましい。好ましくは0.5〜15.0質量部、より好ましくは1.0〜10.0質量部である。上記基材粒子100質量部当り0.1質量部未満であると、表面を十分に被覆することが難しく、効果が得られにくい場合がある。逆に、20.0質量部より多い場合は、吸油量が多くなり、分散性が低下することに加え、複合粒子中の酸化チタン含有量が低下し、十分な屈折率が得られなくなり、隠蔽性が低下する場合がある。
なかでも被覆層Bは、アルミニウム化合物及び/またはケイ素化合物からなる層であるのが好ましく、アルミニウム化合物からなる層であるのがより好ましい。
なお、本願明細書において「からなる」という表現は、主成分のみを含む場合だけでなく、主成分以外に、操作上不可避的に含まれる不純物が含まれる場合をも包含するものとして使用する。すなわち、本発明の効果に影響を与えない範囲において微量の副生成物が含まれた場合であっても本発明の範囲に含まれることを意図している。
上記アルミニウム化合物の例としては、特に限定されないが、酸化アルミニウム(アルミナ)、アルミン酸塩、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウムなどが挙げられる。
上記ケイ素化合物の例としては、特に限定されないが、酸化ケイ素(シリカ、例えば乾式シリカ、湿式シリカ等)、ケイ酸(オルトケイ酸、メタケイ酸、メタ二ケイ酸等)、及びホウ酸ケイ素化合物などが挙げられる。
上記ジルコニウム化合物の例としては、特に限定されないが、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、及び水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
上記スズ化合物の例としては、特に限定されないが、酸化スズ(SnO又はSnO)、及び水酸化スズなどが挙げられる。
上記アンチモン化合物の例としては、特に限定されないが、三酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、及び水酸化アンチモンなどが挙げられる。
なかでも上記無機化合物は、酸化物、含水酸化物、及び水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。これらのうち、被覆層として適している点で水に対して不溶な化合物が好ましい。
被覆層Bは一層のみの単層でもよく、被覆層Bが複数の層で構成されていてもよい。本発明の複合粒子が被覆層Bを少なくとも一層含んでいれば本発明の目的を達成することができる。
上記複合粒子の平均一次粒子径は、0.1〜1.0μmであり、0.1〜0.5μmであることがより好ましく、0.2〜0.3μmであることがさらに好ましい。複合粒子の平均一次粒子径が0.1μm未満では、複合粒子を配合したインキ組成物の隠蔽性が低下し、また1.0μmより大きいと高光沢が得られない。
複合粒子の平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の2万倍の視野での一定方向径(粒子をはさむ一定方向の二本の平行線の間隔)で定義される粒子径(μm)であって、TEM写真内の重なっていない独立した粒子1000個の一定方向径を測定して平均値を求めたものである。
本発明の複合粒子は、さらに被覆層Bとは別に、被覆層Bと同様の成分を有する被覆層を有していてもよい。すなわち本発明の複合粒子は、さらに、被覆層Bよりも半径方向外側に、一層以上の被覆層(被覆層D、E、F・・・等)を有していてもよい。上記一層以上の被覆層は、それぞれ独立に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、及びアンチモン化合物から選択される少なくとも1種の無機化合物成分を含有していてもよい。これらの具体例としては上述のものが挙げられる。また上記一層以上の被覆層に含まれる無機化合物成分は、上記被覆層Bに含まれる成分と同一でもよく、異なっていてもよい。
上記複合粒子の最外層は上記被覆層Bのみからなるのが好ましい。複合粒子の最外層が上記被覆層Bのみからなる場合、インキ化時にワニスとの濡れ性が高く、また光沢と隠蔽力のバランスに優れた複合粒子を得ることができる。
また、本発明の複合粒子は、さらに、被覆層Cを有していてもよい。この被覆層Cは、多価アルコール、アミン又はその誘導体、有機ケイ素化合物、及び脂肪酸又はその金属塩からなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物成分を含有してもよい。被覆層Cを設ける位置は、上記被覆層Aよりも半径方向外側にある限り限定されないが、被覆層Bよりも半径方向外側にあるのが好ましい。
上記多価アルコールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、及びジトリメチロールプロパンなどが挙げられる。
上記アミン又はその誘導体としては、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びトリプロパノールアミンなどが挙げられる。
上記有機ケイ素化合物としては、シリコーン、シランカップリング剤、及びシリコーンオイルなどが挙げられる。その具体例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルなどのシリコーンオイル;メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどのシラン;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。
上記脂肪酸又はその金属塩としては、直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸、例えばペンタン酸、オクタン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、8,11−エイコサジエン酸、5,8,11−エイコサトリエン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などの脂肪酸、及びその金属塩が挙げられる。脂肪酸金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、チタン、ジルコニウムなどが挙げられる。
上記有機化合物成分の被覆量は、上記基材粒子の100質量部に対して0.1〜10.0質量部であるのが好ましい。被覆量が0.1質量部未満の場合、充分に分散性を得ることができず、隠蔽性の向上、凝集防止による易分散性の向上や分散安定性の向上に効果が得られない場合がある。逆に被覆量が10.0質量部を超えると凝集が起き、上記の効果が得られない場合がある。
本発明の複合粒子は、酸化チタンからなる上記基材粒子と、該基材粒子の表面直上に設けられた上記被覆層Aと、該被覆層Aよりも半径方向外側に設けられた、少なくとも1層の上記被覆層Bのみからなるのが好ましい。被覆層Aは、インキ組成物への光沢の付与に、被覆層Bは、インキ化時におけるワニスとの濡れ性向上に寄与する。被覆層として被覆層A及びBのみを含む場合、これらの効果が最も発揮される点で好ましい。さらに、この実施形態において、被覆層AをSiOとZnOで形成し、被覆層BをAlで形成するのが、この場合に最も効果的に、光沢向上を発現することから特に好ましい。
(複合粒子を製造する方法)
次に本発明の複合粒子を製造する方法について説明する。以下にその一例を挙げる。但し、製造方法は以下の方法に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で当業者が任意に選択することができる。
まず所定量の酸化チタンからなる基材粒子を、水やアルコールなどの媒体中に懸濁させ、濃度を50〜500g/Lに調整した懸濁液(スラリー)を形成する。スラリー濃度は、好ましくは100〜500g/L、より好ましくは200〜500g/L、更に好ましくは300〜450g/Lである。スラリー濃度が50g/L未満では一般的に生産性が低く不経済であり、500g/Lを超える場合は、スラリー粘度が上がり均一な被覆層が形成できない場合がある。
次に基材粒子表面上に被覆層を形成する。被覆層の原料として添加し、析出した成分は、先に添加し、析出させた成分ほど、内側の被膜層として積層される。
上記被覆層Aに含まれる、亜鉛化合物の被覆層を形成するには、上記スラリーに、水溶性亜鉛化合物の溶液と、酸又はアルカリ化合物の溶液を30〜300分かけて添加し、水不溶性の亜鉛化合物を析出させる。添加の方法は、(1)水溶性亜鉛化合物の溶液を予め添加し、酸又はアルカリ化合物の溶液を添加する方法、(2)酸又はアルカリ化合物を予め添加し、水溶性亜鉛化合物の溶液を添加する方法、(3)水溶性亜鉛化合物の溶液と、酸又はアルカリ化合物の溶液を同時に添加する方法などがある。
上記被覆層Aは、亜鉛化合物以外の、周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1種の元素を含む無機化合物(例えばケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、及びアンチモン化合物から選択される少なくとも1種の無機化合物など)を含有していてもよい。その場合は、上記無機化合物の原料である水溶性無機化合物を、水溶性亜鉛化合物と同時に上記スラリーに添加してもよいし、予め上記スラリー、水溶性亜鉛化合物の溶液、酸又はアルカリ化合物の溶液、のいずれに加えてもよい。
必要であればスラリーのpHの調整を行ってもよいし、その後、熟成してもよい。
次に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、及びアンチモン化合物から選択される少なくとも1種の無機化合物を含有する被覆層Bを形成する場合には、当該無機化合物の原料である水溶性無機化合物の溶液と、酸又はアルカリ化合物の溶液を添加し、水不溶性の当該無機化合物を析出させる。添加の方法は、(1)当該水溶性無機化合物の溶液を予め添加し、酸又はアルカリ化合物の溶液を添加する方法、(2)酸又はアルカリ化合物を予め添加し、当該水溶性無機化合物の溶液を添加する方法、(3)当該水溶性無機化合物の溶液と、酸又はアルカリ化合物の溶液を同時に添加する方法などがある。
必要であれば被覆後にスラリーのpHの調整を行ってもよい。その後、一定温度に保ち攪拌することで熟成してもよい。その後、必要に応じて濾過、洗浄、乾燥、粉砕等の後工程を行なうことにより、所望の複合粒子を得ることができる。
上記被覆層C(多価アルコール、アミン又はその誘導体、有機ケイ素化合物、及び脂肪酸又はその金属塩からなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物成分を含有する被覆層)を有する複合粒子を形成する場合には上記複合粒子をスラリー化し、上記有機化合物成分を添加して、攪拌混合し、その後、乾燥し、乾燥後の固形分を粉砕する、あるいは、上述の複合粒子に対し、上記の有機化合物成分を添加し、攪拌混合し、気流粉砕機などで粉砕する、等の方法により、有機化合物成分を複合粒子の表面に被覆させることができる。
上記水溶性亜鉛化合物は特に限定されず、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩素酸亜鉛などの亜鉛塩、及びそれらの溶媒和物が挙げられる。
水溶性アルミニウム化合物は特に限定されず、アルミン酸ナトリウムやアルミン酸カリウムなどのアルミン酸塩、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等のアルミニウム塩、及びそれらの溶媒和物などが挙げられる。また、水不溶性のアルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシドなどのアルミニウムアルコキシドなどが使用できる。
水溶性ケイ素化合物は特に限定されず、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩、及びそれらの溶媒和物などが挙げられる。また、水不溶性のケイ素化合物としては、例えば、メチルシリケート、エチルシリケートなどのケイ素アルコキシドなどが使用できる。
上記ジルコニウム化合物の原料となるジルコニウム源は特に限定されず、例えば四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム等のハロゲン化ジルコニウムや、オキシ酢酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシヨウ化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム等のジルコニウム塩、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等のジルコニウムアルコキシド、及びそれらの溶媒和物などが挙げられる。
上記スズ化合物の原料となるスズ源は特に限定されず、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、臭化スズ(II)、臭化スズ(IV)、ヨウ化スズ(II)、ヨウ化スズ(IV)等のハロゲン化スズや、二酢酸スズ、四酢酸スズ、硫酸スズ、硝酸スズなどのスズ塩、テトラ−n−ブトキシスズ(スズ−n−ブトキシド)、テトラ−tert−ブトキシスズ(スズ−tert−ブトキシド)等のスズアルコキシド等の溶媒和物などが挙げられる。
上記アンチモン化合物の原料となるアンチモン源は特に限定されず、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三臭化アンチモン、三ヨウ化アンチモンなどのハロゲン化アンチモンや、三酢酸アンチモン、硫酸アンチモンなどのアンチモン塩、アンチモントリメトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリ−n−プロポキシド、アンチモントリイソプロポキシド、アンチモントリn−ブトキシド、アンチモントリイソブトキシド、アンチモントリtert−ブトキシド、アンチモンペンタメトキシド、アンチモンペンタエトキシド、アンチモンペンタn−プロポキシド、アンチモンペンタイソプロポキシド、アンチモンペンタn−ブトキシド、アンチモンペンタイソブトキシド、アンチモンペンタtert−ブトキシド等のアンチモンアルコキシド等の溶媒和物などが挙げられる。
上記水溶性亜鉛化合物の添加量は特に限定されないが、酸化チタンを含有する基材粒子100質量部に対し、ZnO換算で0.1〜8.0質量部であるのが好ましい。
上記被覆層Bを形成するための、上記水溶性アルミニウム化合物の添加量は特に限定されないが、酸化チタンを含有する基材粒子100質量部当たり、酸化物換算で0.1〜8.0質量部であるのが好ましい。
上記被覆層Bを形成するための、上記水溶性ケイ素化合物の添加量は特に限定されないが、酸化チタンを含有する基材粒子100質量部当たり、酸化物換算で0.1〜8.0質量部であるのが好ましい。
上記被覆層Bを形成するための、上記ジルコニウム化合物、スズ化合物、及び/又はアンチモン化合物の添加量についても特に限定されないが、酸化チタンを含有する基材粒子100質量部当たり、酸化物換算で0.1〜8.0質量部であるのが好ましい。
(本願発明の複合粒子の用途)
本願発明の複合粒子は、従来の酸化チタン顔料や複合粒子が使用されてきた自動車や建築、建材物の上塗り塗料、プラスチックス、インキなどの各分野において好適に使用することができる。上記複合粒子を含む樹脂組成物、具体的には、上記複合粒子を、樹脂100質量部当たり複合粒子の配合量が0.1〜1000.0質量部となる量を含有する組成物であって、塗料組成物、インキ組成物、熱可塑性樹脂組成物、及び熱硬化性樹脂組成物からなる群から選択される組成物も本発明の一態様を構成する。
上記樹脂組成物を構成する樹脂としては、特に限定されないが、フッ素樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
塗料組成物やインキ組成物に含まれる溶剤は特に限定されないが、例えばトルエン、キシレン等の芳香族化合物、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、ソルベッソ(商品名)等の有機溶剤、水等が挙げられる。
上記樹脂組成物には、樹脂安定剤、可塑剤、硬化剤、分散剤、消泡剤、粘度調整剤、酸化防止剤、他の顔料としてカーボンブラック、酸化鉄、コバルト青、銅フタロシアニン、ペリレン、バナジン酸ビスマス等の有機顔料・無機顔料等の添加剤を含んでいてもよい。
なかでも本願発明の複合粒子は、その高い光沢を活かして、グラビア印刷用インキ組成物の顔料として用いるのが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「%」とは、特に断りのない限り質量%を意味する。
(実施例1)
平均一次粒子径0.26μmのルチル型酸化チタンを350g(TiO換算)/Lとなるように水中でリパルプし、湿式粉砕、分級した。このようにして調製したスラリーに、ルチル型酸化チタン粒子100質量部に対してSiO換算で5.0質量部となる量のケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。そのスラリーの温度を70℃に調整し、ルチル型酸化チタン粒子100質量部に対してZnO換算で1.0質量部になる量の硫酸亜鉛水溶液、及び希硫酸を、そのスラリーに120分間かけて、スラリーのpHが9.0になるように添加した。その後スラリーを70℃で60分間攪拌しケイ素化合物と亜鉛化合物を含む被覆層Aを形成した。引き続き得られたスラリーの温度を45℃に調整し、スラリーのpHを6.5±0.5に保ちながら、そのスラリーに、酸化チタン粒子100質量部に対してAl換算で3.0質量部となる量のアルミン酸ナトリウムと、希硫酸とを90分かけて同時に添加した。その後スラリーを45℃で30分間攪拌してアルミニウム化合物からなる被覆層Bを形成した。撹拌後のスラリーを濾過することにより固形分と液体分を分離した後、固形分(ケーキ)の洗浄を行った。そのケーキを120℃で12時間乾燥した。乾燥後の試料を気流粉砕機で粉砕することにより所望の複合粒子を得た。組成分析値、平均一次粒子径は、表1のとおりであった。
(実施例2)
平均一次粒子径0.26μmのルチル型酸化チタンを350g(TiO換算)/Lとなるように水中でリパルプし、湿式粉砕、分級した。このようにして調製したスラリーの温度を45℃に調整し、ZnSOの水溶液を、ルチル型酸化チタン100質量部に対してZnO換算で1.0質量部となるようにこのスラリーに添加し亜鉛化合物からなる被覆層Aを形成した。さらにNaOH水溶液を30分かけて添加してスラリーのpHを7.0とした。さらにそのスラリーに、ケイ酸ナトリウム水溶液を、ルチル型酸化チタン100質量部に対してSiO換算で5.0質量部となるように添加した。スラリーの温度を70℃に調整し、そのスラリーに、希硫酸を、スラリーのpHが9.0になるように120分間かけて添加した。その後スラリーを70℃で60分間攪拌した。その後スラリーの温度を45℃に調整しに、スラリーのpHを6.5±0.5に保ちながら、そのスラリーに、ルチル型酸化チタン100質量部に対してAl換算で3.0質量部となる量のアルミン酸ナトリウムと、希硫酸とを90分かけて同時に添加した。その後スラリーを45℃で30分間攪拌しアルミニウム化合物からなる被覆層Bを形成した。撹拌後のスラリーを濾過することにより固形分と液体分を分離した後、固形分(ケーキ)の洗浄を行った。そのケーキを120℃で12時間乾燥した。乾燥後の試料を気流粉砕機で粉砕することにより所望の複合粒子を得た。組成分析値、平均一次粒子径は、表1のとおりであった。
(比較例1)
平均一次粒子径0.26μmのルチル型酸化チタンを350g(TiO換算)/Lとなるように水中でリパルプし、湿式粉砕、分級した。このようにして調製したスラリーに、ルチル型酸化チタン100質量部に対してSiO換算で5.0質量部となる量のケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。得られたスラリーの温度を70℃に調整し、スラリーのpHが9.0になるように希硫酸を、120分間かけてそのスラリーに添加した。その後スラリーを70℃で60分間攪拌した。そのスラリーの温度を45℃に調整し、スラリーのpHを6.5±0.5に保ちながら、ルチル型酸化チタン100質量部に対してAl換算で3.0質量部となる量のアルミン酸ナトリウムと、希硫酸とを、90分かけてそのスラリーに同時に添加した。その後スラリーを45℃で30分間攪拌した。スラリーを濾過することにより固形分と液体分を分離した後、固形分(ケーキ)の洗浄を行った。得られたケーキを120℃で12時間乾燥した。乾燥後の試料を気流粉砕機で粉砕することにより比較用の複合粒子を得た。組成分析値、平均一次粒子径は、表1のとおりであった。
(比較例2)
平均一次粒子径0.20μmのルチル型酸化チタンを350g(TiO換算)/Lとなるように水中でリパルプし、湿式粉砕、分級した。このようにして調製したスラリーに、ルチル型酸化チタン粒子100質量部に対してSiO換算で4.0質量部となるようにケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。そのスラリーの温度を70℃に調整し、希硫酸を、120分間かけてスラリーのpHが4.0になるようそのスラリーに添加した。その後スラリーを70℃で60分間攪拌した。スラリーの温度を45℃に調整し、スラリーのpHを6.5±0.5に保ちながら、そのスラリーに、ルチル型酸化チタン100質量部に対してAl換算で2.0質量部となる量のアルミン酸ナトリウムと、希硫酸とを、90分かけて同時に添加した。その後スラリーを45℃で30分間攪拌した。撹拌後のスラリーを濾過することにより固形分と液体分を分離した後、固形分(ケーキ)の洗浄を行った。そのケーキを120℃で12時間乾燥した。乾燥後の試料を気流粉砕機で粉砕することにより所望の複合粒子を得た。組成分析値、平均一次粒子径は、表1のとおりであった。
(比較例3)
平均一次粒子径0.26μmのルチル型酸化チタンを350g(TiO換算)/Lとなるように水中でリパルプし、湿式粉砕、分級した。このようにして調製したスラリーに、ケイ酸ナトリウム水溶液を、ルチル型酸化チタン100質量部に対してSiO換算で5.0質量部となるように添加した。そのスラリーの温度を70℃に調整し、希硫酸を120分間かけてpH9.0になるようにそのスラリーに添加した。その後スラリーを70℃で60分間攪拌した。そのスラリーに希硫酸を添加し、スラリーのpHを3.0とした。次にそのスラリーに、ルチル型酸化チタン100質量部に対してZnO換算で1.0質量部となるようにZnSOの水溶液を添加した。得られたスラリーに、NaOH水溶液を30分かけて添加し、スラリーのpHを7.0とした。そのスラリーの温度を45℃に調整し、スラリーのpHを6.5±0.5に保ちながら、ルチル型酸化チタン100質量部に対してAl換算で3.0質量部となる量のアルミン酸ナトリウムを、希硫酸とを、90分かけてそのスラリーに同時に添加した。その後45℃で30分間攪拌した。そのスラリーを濾過することにより固形分と液体分を分離した後、固形分(ケーキ)の洗浄を行った。そのケーキを120℃で12時間乾燥した。乾燥後の試料を気流粉砕機で粉砕することにより所望の複合粒子を得た。組成分析値、平均一次粒子径は、表1のとおりであった。
(比較例4)
平均一次粒子径0.26μmのルチル型酸化チタンを350g(TiO換算)/Lとなるように水中でリパルプし、湿式粉砕、分級した。得られたスラリーに、ルチル型酸化チタン100質量部に対してSiO換算で5.0質量部となるようにケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。得られたスラリーの温度を70℃に調整し、希硫酸を120分間かけてpH9.0になるように添加した。その後スラリーを70℃で60分間攪拌した。得られたスラリーの温度を45℃に調整し、スラリーのpHを6.5±0.5に保ちながら、そのスラリーに、ルチル型酸化チタン100質量部に対してAl換算で3.0質量部となる量のアルミン酸ナトリウムと、希硫酸とを、90分かけて同時に添加した。その後スラリーを45℃で30分間攪拌した。そのスラリーの温度を45℃に調整し、スラリーのpHを6.5±0.5に保ちながら、ルチル型酸化チタン100質量部に対してZnO換算で1.0質量部となる量の硫酸亜鉛水溶液、及びNaOHを90分かけてそのスラリーに同時に添加した。その後スラリーを45℃で30分間攪拌した。撹拌後のスラリーを濾過することにより固形分と液体分を分離した後、固形分(ケーキ)の洗浄を行った。そのケーキを120℃で12時間乾燥した。乾燥後の試料を気流粉砕機で粉砕することにより所望の複合粒子を得た。組成分析値、平均一次粒子径は、表1のとおりであった。
(比較例5)
平均一次粒子径0.26μmのルチル型酸化チタンを350g(TiO換算)/Lとなるように水にリパルプし、湿式粉砕、分級した。このようにして調製したスラリーに、ルチル型酸化チタン100質量部に対してSiO換算で5.0質量部となる量のケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。得られたスラリーの温度を70℃に調整し、希硫酸を120分間かけてpH9.0になるように添加した。その後スラリーを70℃で60分間攪拌した。得られたスラリーに希硫酸を添加しスラリーのpHを4.0とした。得られたスラリーに、ルチル型酸化チタン100質量部に対してAl換算で3.0質量部となる量の硫酸アルミニウムの水溶液、及びルチル型酸化チタン100質量部に対しZnO換算で1.0質量部となる量のZnSOの水溶液を添加した。得られたスラリーの温度を45℃に調整し、そのスラリーに、NaOHを90分間かけて、スラリーのpHが7.5となるように添加した。その後スラリーを45℃で30分間攪拌した。撹拌後のスラリーを濾過することにより固形分と液体分を分離した後、固形分(ケーキ)の洗浄を行った。そのケーキを120℃で12時間乾燥した。乾燥後の試料を気流粉砕機で粉砕することにより所望の複合粒子を得た。組成分析値、平均一次粒子径は、表1のとおりであった。
(評価)
<印刷インキの作成方法>
350ml容のマヨネーズビンに酸化チタン79.5g、ウレタン樹脂(三洋化成社製IB−422)60.0g、メチルエチルケトン15.0g、及びイソプロピルアルコール15.0gを仕込み、これらを混合することによりスラリーを作成した。このスラリーと同体積となる1.5φガラスビーズをスラリー中に添加した。その後ペイントシェーカーを用いて2時間内容物を分散させた。得られたスラリーに、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールが1:1(質量比)の混合液を、ザーンカップ#3の底部オリフィスからスラリーが全て流出するまでの時間が15.0±0.5秒となるまでスラリーに添加し、印刷インキを得た。なお、使用したウレタン樹脂の不揮発分は30質量%であり、インキの顔料濃度(乾燥塗膜中の顔料重量/乾燥塗膜中の樹脂重量、P/Bともいう)は、P/B=4.4であった。
<光沢(60°光沢)の測定方法>
テスト印刷機Kプリンティングプルーファー(RK Print Coat Instruments社製)を用いて、上述の手順に従って得られた印刷インキをPETフィルムE5100(東洋紡株式会社製)上に印刷した(版深さ32μm)。作製した印刷物のサンプルの60°光沢を、光沢計(日本電色社製VG−7000)により測定した。
<隠蔽力の測定>
テスト印刷機Kプリンティングプルーファー(RK Print Coat Instruments社製)を用いて、上述の手順に従って得られた印刷インキをPETフィルムE5100(東洋紡株式会社製)上に印刷した(版深さ32μm)。比較例1の印刷物を標準印刷物とし、評価対象の印刷物比較した。評価対象の印刷物の印刷面に、黒色の下地を当ててPETフィルム側から、標準との隠蔽力(標準と同等、標準より高い又は低い)を目視で判定した。
<組成の測定方法>
得られた複合粒子を、蛍光X線分析装置(走査型蛍光X線分析装置 ZSX PrimusII)を用いて、シリカ化合物をSiO換算で、アルミニウム化合物をAl換算で、亜鉛化合物をZnO換算で計算し、複合粒子中の含有量を測定した。
Figure 0006443215
(評価結果)
実施例1は、被覆層のうち1層目(被覆層のうち最も内側の層)がZnO以外にSiOを含む混層であり、2層目(上記1層目上の半径方向外側に設けられた層)がAlの層である複合粒子に関する。また実施例2は、被覆層のうち1層目がZnOの層、2層目がSiOの層、3層目(2層目よりも更に半径方向外側に設けられた層)がAlの層である複合粒子に関する。従来品である比較例1は、1層目(被覆層のうち最も内側の層)がSiOの層、2層目(上記1層目上の半径方向外側に設けられた層)がAlの複合粒子(標準)を配合したインキ組成物と、実施例1,2の複合粒子を配合したインキ組成物を比較すると、隠蔽力は維持しつつ、印刷物の光沢が著しく向上した(実施例1:標準粒子の光沢値の約3倍、実施例2:標準粒子の光沢値の2倍)。ZnOが最内層に含まれることにより印刷物の光沢の向上がみられる。またZnOとSiOを被覆成分とする場合、それぞれ別の層を形成するよりも、ZnOとSiOを両方含む単一層(混層)とする方が印刷物の60°光沢の値が高いことが実施例1と2の比較により判明した。
また実施例1と2の印刷物の60°光沢の値は、比較例1の粒子径をさらに小さくした比較例2の粒子を配合したインキ組成物を印刷して得られる印刷物の60°光沢の値を上回った。これまでの知見では、粒子径を小さくすることでインキの光沢を高めることができたものの、隠蔽力が低下することが問題であった。実施例1、2の粒子を配合したインキ組成物は、比較例2の粒子を配合したものよりも光沢、隠蔽力共に高く、これまでの課題を解決できる粒子であった。
さらに比較例3〜5と実施例1、2の結果を比較することにより、同一の成分を用いても、層の構成の違いによって光沢に大きな差が生じることが明らかとなった。すなわち、最内層がZnOを含んでいない場合には、ZnOを含んでいない比較例1(標準)と印刷物の60°光沢の値は同じであり、ZnOで被覆することによる光沢向上の効果が発揮できなかった。
このように、実施例、比較例の結果から、複合粒子の被覆層の成分の選択、及び被覆層の構成が、最終的な印刷物の光沢と隠蔽力に大きな影響を与えることが分かった。その結果、本発明の構成を有する複合粒子により、光沢と隠蔽力のバランスに優れた印刷物を提供できることが明らかとなった。

Claims (12)

  1. 酸化チタンを含有する基材粒子と、
    該基材粒子の表面直上に設けられた被覆層Aと、
    該被覆層Aよりも半径方向外側に設けられた、少なくとも1層の被覆層Bとを含む複合粒子であって、
    前記被覆層Aは亜鉛化合物を含有し、
    前記被覆層Bは、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、及びアンチモン化合物から選択される少なくとも1種の無機化合物成分を含有し、
    前記亜鉛化合物の含有量は、前記基材粒子100質量部当たり、ZnO換算で0.1〜2.0質量部であり、
    前記複合粒子の平均一次粒子径が0.1〜1.0μmである
    複合粒子。
  2. 前記被覆層Aが、さらに亜鉛化合物以外の他の無機化合物として周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1種の元素を含む無機化合物を含有する
    請求項1に記載の複合粒子。
  3. 前記他の無機化合物は、ケイ素化合物である
    請求項2に記載の複合粒子。
  4. 前記被覆層Bは、アルミニウム化合物及び/またはケイ素化合物からなる層である
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合粒子。
  5. 前記被覆層Bは、アルミニウム化合物からなる層である
    請求項4に記載の複合粒子。
  6. 前記無機化合物成分が、酸化物、含水酸化物、及び水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種である
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合粒子。
  7. 前記無機化合物成分の被覆量が、合計で、前記基材粒子100質量部当たり0.1〜20.0質量部である
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合粒子。
  8. 最外層が前記被覆層Bのみからなる請求項7に記載の複合粒子。
  9. 前記複合粒子は、さらに、前記被覆層Bよりも半径方向外側に被覆層Cを有し、
    前記被覆層Cは、多価アルコール、アミン又はその誘導体、有機ケイ素化合物、及び脂肪酸又はその金属塩からなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物成分を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合粒子。
  10. 酸化チタンを含有する前記基材粒子と、
    該基材粒子の表面直上に設けられた前記被覆層Aと、
    該被覆層Aよりも半径方向外側に設けられた、少なくとも1層の前記被覆層B
    のみからなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合粒子。
  11. 前記複合粒子は、グラビア印刷用インキ組成物の顔料用複合粒子である請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合粒子。
  12. 樹脂と、
    樹脂100質量部当たり0.1〜1000.0質量部の、請求項1〜10のいずれか1項に記載の前記複合粒子と、
    を含有する組成物であって、
    塗料組成物、インキ組成物、熱可塑性樹脂組成物、及び熱硬化性樹脂組成物からなる群から選択される組成物。
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