JP6442328B2 - 透明導電性フィルムの製造方法および透明導電性フィルム - Google Patents

透明導電性フィルムの製造方法および透明導電性フィルム Download PDF

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Description

本発明は透明導電性フィルムの製造方法および透明導電性フィルムに関する。
従来から基材フィルムに透明導電層を形成した透明導電性フィルムの製造方法が知られている(例えば特許文献1:特許第4775728号)。特許文献1では、透明導電層を形成する前に、基材フィルムを加熱して含有ガスを放出させる脱ガス処理が行なわれる。含有ガスの放出が不十分な場合、透明導電層の結晶化が不十分となる(膜質が低下する)などの不具合が生じることがある。脱ガス処理に要する時間は、基材フィルムの含有ガスが多いほど長くなる。そのため脱ガス処理が生産性を低下させる要因となる。
特許第4775728号公報
本発明の目的は、透明導電層の膜質を維持しつつ、透明導電性フィルムの生産性を高くすることである。
本発明者らは上記課題を鋭意検討した結果、基材フィルムと透明導電層の間に金属酸化物層を形成することにより、基材フィルムの含有ガスが透明導電層に侵入するのを抑制することができ、更に透明導電層を形成する際に全ガス圧に対する水の分圧の比率を低くすることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
(1)本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、基材フィルムを準備する工程と、基材フィルムの少なくとも一面に少なくとも1層の金属酸化物層を形成する「金属酸化物層形成工程」と、金属酸化物層上に透明導電層を形成する「透明導電層形成工程」とを含む。金属酸化物層を含む基材フィルムの、40℃、相対湿度90%での透湿度は1.0g/m・day以下である。透明導電層形成工程にて透明導電層を形成する際の、全ガス圧に対する水の分圧の比率は0.25%以下である。
(2)本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、基材フィルムと金属酸化物層の間に、少なくとも1層の金属層を形成する「金属層形成工程」を含む。
(3)本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、透明導電層形成工程で形成された透明導電層が非晶質であり、透明導電層を加熱処理することにより非晶質から結晶質に転化させる「結晶化工程」を含む。
(4)本発明の透明導電性フィルムの製造方法において、少なくとも金属酸化物層形成工程と透明導電層形成工程はロール・トゥ・ロール方式にて実施される。
(5)本発明の透明導電性フィルムは上記の製造方法により製造されたことを特徴とする。
(6)本発明の透明導電性フィルムにおいて金属酸化物層の厚さは10nm以上、100nm以下である。
(7)本発明の透明導電性フィルムにおいて基材フィルムの厚さは40μm以上、300μm以下である。
(8)本発明の透明導電性フィルムにおいて結晶質に転化した透明導電層の表面抵抗値は40Ω/□(ohms per square)以上、190Ω/□以下である。
(9)本発明の透明導電性フィルムにおいて基材フィルムの材質は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂のいずれかあるいは2種以上である。
(10)本発明の透明導電性フィルムにおいて、基材フィルムは成膜下地フィルムと裏打ちフィルムが粘着剤層を介して積層された積層フィルムである。粘着剤層による成膜下地フィルムと裏打ちフィルムの間の密着力は、透明導電性フィルムの全ての層の間の密着力の中で最小である。
(11)本発明の透明導電性フィルムにおいて、成膜下地フィルムと粘着剤層の間の密着力は、粘着剤層と裏打ちフィルムの間の密着力より小さい。
本発明により、透明導電層の膜質を維持しつつ透明導電性フィルムの生産性を高くすることが実現された。
本発明の透明導電性フィルムの製造に用いられるスパッタリング装置の模式図 本発明の透明導電性フィルムの第1の実施形態の模式図 本発明の透明導電性フィルムの第2の実施形態の模式図 本発明の透明導電性フィルムの第3の実施形態の模式図
[スパッタリング装置]
図1に本発明の透明導電性フィルムの成膜装置の一例としてスパッタリング装置10を模式的に示す。基材フィルム12は供給ロール11にセットされたフィルムロールから一定速度で巻き出され、複数のガイドロール13に案内されながら、第1成膜ロール14、第2成膜ロール15を通り、透明導電性フィルム16となって収納ロール17に一定速度で巻き取られる。供給ロール11、基材フィルム12、複数のガイドロール13、第1成膜ロール14、第2成膜ロール15、透明導電性フィルム16、収納ロール17は全体として一つの真空槽18に収納されている。このような生産方式をロール・トゥ・ロール方式という。
図1のスパッタリング装置10では、第1成膜ロール14の周囲に3個のターゲット19、23、第2成膜ロール15の周囲に3個のターゲット20が備えられている。各ターゲット19、20、23をスパッタリングする際のターゲット、スパッタリングガス、反応性ガスの種類が異なることがあるため、それぞれのターゲット19、20、23を囲むように真空槽18が分割されて、第1分割槽24、第2分割槽25、第3分割槽26、第4分割槽27、第5分割槽28、第6分割槽29が設けられている。
[金属酸化物層形成工程]
金属酸化物層形成工程では基材フィルム12の少なくとも一面に、少なくとも1層の金属酸化物層を形成する。第1成膜ロール14の周囲に例えばケイ素Siのターゲット23が設置されており、第1成膜ロール14に巻かれた基材フィルム12に、少なくとも1層の金属酸化物層、望ましくは金属層および金属酸化物層が成膜される。金属層(または金属酸化物層)を成膜する前に、基材フィルム12の表面を真空槽18内でプラズマ処理して、金属層(または金属酸化物層)と基材フィルム12の密着性を高くすることが好ましい。
絶縁性の金属酸化物(例えば酸化ケイ素SiO2)を成膜する際は、同種の金属ターゲット(ケイ素Si)を用い、反応性ガスとして酸素(O2)を導入しながらスパッタするのが好ましい。その理由は、絶縁性の金属酸化物をターゲットにして成膜する際は高周波(RF)電源が必要となる上、成膜レートが著しく低下するため、生産性が低下する恐れがあるためである。
[透明導電層形成工程]
透明導電層形成工程では金属酸化物層の上に透明導電層を形成する。第2成膜ロール15の周囲に透明導電体(例えばインジウムスズ酸化物ITO : Indium Tin Oxide)のターゲット20が配置されており、第2成膜ロール15に巻かれた基材フィルム12上の金属酸化物層の上に透明導電層が成膜される。
第1成膜ロール14および第2成膜ロール15は40℃以下に維持されている。基材フィルム12の第1成膜ロール14および第2成膜ロール15と接する面は第1成膜ロール14および第2成膜ロール15に近い温度となっている。第1成膜ロール14および第2成膜ロール15を40℃以下に維持する理由は、基材フィルム12の第1成膜ロール14および第2成膜ロール15と接する面から含有ガスが放出され、スパッタ膜中に不純物が導入されることを防ぐためである。
一方、基材フィルム12の成膜面は、スパッタ粒子が高エネルギーで衝突するため、第1成膜ロール14および第2成膜ロール15と接する面と比較すると高い温度になるおそれがある。そこで基材フィルム12の成膜面については後に記載する金属酸化物層によって含有ガス放出を防止するようにする。
スパッタ膜中に含有ガスに由来する不純物が侵入すると、スパッタ膜の密着性の低下や、耐擦傷性の低下、抵抗値の上昇や透明導電層の結晶化不良などの不具合を生ずる恐れがある。そのため上記の含有ガス対策を講じる。
[結晶化工程]
結晶化工程は図1に示されていないが、透明導電層の熱処理工程である。透明導電層は加熱処理することにより非晶質から結晶質に転化する。結晶化工程は透明導電層形成工程に引き続いてロール・トゥ・ロール方式にて実施してもよい。あるいは透明導電層形成工程の完了した透明導電性フィルムロールを真空槽18から取り出して熱処理炉(図示しない)で結晶化工程を実施してもよい。
図2に本発明の透明導電性フィルムの第1実施形態を模式的に示す。透明導電性フィルム16において、基材フィルム12の一面に金属酸化物層21が形成され、金属酸化物層21上に透明導電層22が形成されている。
図3に本発明の透明導電性フィルムの第2実施形態を模式的に示す。図2と共通する部材には同じ符号を付する。透明導電性フィルム31において、基材フィルム12の一面に金属層30が形成され、金属層30上に金属酸化物層21が形成され、金属酸化物層21上に透明導電層22が形成されている。金属層30を挟むことで、基材フィルム12と金属酸化物層21の密着性を高めることができる。
図示されていないが、基材フィルム12の、透明導電層22と反対側の面(図2、図3では下面)に、機能層が形成されていてもよい。機能層は、特に限定されないが、例えばアンチブロッキングハードコート層や光学調整層などである。アンチブロッキングハードコート層は、透明導電性フィルム16、31が巻回されたとき、隣り合う透明導電性フィルム16、31が固着(ブロッキング)することを防止するための層である。光学調整層は、透明導電性フィルム16、31の透過率向上をさせる、あるいは透明導電層22をパターニングした際にパターン部を視認しにくくする層である。
図4に本発明の透明導電性フィルムの第3実施形態を模式的に示す。図3と共通する部材には同じ符号を付する。透明導電性フィルム32において、基材フィルム12の一面に金属層30が形成され、金属層30上に金属酸化物層21が形成され、金属酸化物層21上に透明導電層22が形成されている。基材フィルム12は透明導電層22側から、成膜下地フィルム33、粘着剤層34、裏打ちフィルム35が積層された積層フィルムである。
[基材フィルム]
基材フィルム12の材質は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂のいずれかあるいは2種以上からなるが、材料がこれらに限定されることはない。
基材フィルム12は複数のフィルムが積層されてなる積層フィルム(例えば図4に示すような、透明導電層22などを成膜するための成膜下地フィルム33と剛性を高めるための裏打ちフィルム35を粘着剤層34を挟んで積層した積層フィルム)でも良い。積層フィルムの積層方法に制限はないが、例えば、複数のフィルムを粘着剤層を介して貼り合わせる積層方法が用いられる。
タッチパネルに使用される透明導電性フィルムは、透明導電層22を形成後、フォトリソグラフィなどによりパターニングを行う工程など様々な工程を経て、最終製品として完成される。ここで、基材フィルム12が薄い(例えば50μm程度の)成膜下地フィルム33だけの場合、基材フィルム12の剛性が十分でなく、前記の各種工程における取扱いの際、過度な応力が掛かり、透明導電層22にクラックが入ったり、キズによる配線断線不良が生じたりするおそれがある。
このような場合、基材フィルム12を例えば、成膜下地フィルム33と裏打ちフィルム35の積層体とし、基材フィルム12を十分な剛性を有する程度の厚さ(例えば100μm程度)とすることにより上記の問題を解消できる。
基材フィルム12を厚い積層フィルムとすると、基材フィルム12の含有ガス(例えば水分)が増加するため、そのガスが透明導電層22に侵入して、透明導電層22の膜質が悪化するおそれがある。しかし本発明では、基材フィルム12と透明導電層22との間にガスバリア性を有する金属酸化物層21を備えるため、透明導電層22が基材フィルム12の含有ガスの影響を受けにくい。そのため、基材フィルム12が厚い積層フィルムであっても透明導電層22の膜質が悪化するおそれが少ない。
基材フィルム12が積層フィルムの場合、例えば、透明導電性フィルム32をタッチパネルの部材に貼り合わせる際、裏打ちフィルム35を透明導電性フィルム32から剥離しても良い。しかしこのとき、金属酸化物層21が基材フィルム12から剥がれたり、透明導電層22が金属酸化物層21から剥がれたりすると、透明導電性フィルム32が破壊される。
そのような透明導電性フィルム32の破壊を防止するため、成膜下地フィルム33と裏打ちフィルム35の間の密着力は、透明導電性フィルム32の全ての層の間の密着力の中で最小であることが望ましい。そのような構成であれば裏打ちフィルム35を透明導電性フィルム32から剥離したとき、金属酸化物層21や透明導電層22が剥がれるおそれが無い。成膜下地フィルム33と裏打ちフィルム35が粘着剤層34を介して積層されているとき、粘着剤は前記のような層間密着力の得られるものであれば限定されることはないが、例えばアクリル系粘着剤が使用でき、特許第4151821号に記載されている粘着剤を好適に使用することができる。
更に成膜下地フィルム33と粘着剤層34の間の密着力が、粘着剤層34と裏打ちフィルム35の間の密着力より小さいことがより望ましい。このような構成であれば、裏打ちフィルム35を透明導電性フィルム32から剥離したとき、粘着剤層34が裏打ちフィルム35と共に剥離されるため、成膜下地フィルム33側に粘着剤層34が残らない。そのため、例えば、透明導電性フィルム32をタッチパネルの部材に貼り合わせる際、粘着剤層34が貼り合わせの障害となるおそれがない。
基材フィルム12の厚さは、例えば、40μm以上、300μm以下であるが、これに限定されることはない。基材フィルム12は表面に図示しない機能層、例えば易接着層、アンダーコート層、あるいはハードコート層を備えていてもよい。易接着層は基材フィルム12と、金属層30または金属酸化物層21の密着性を高める機能を有する。アンダーコート層は基材フィルム12の反射率を調整する機能を有する。ハードコート層は透明導電性フィルムの表面に傷がつくことを防ぐ機能を有する。
図示しないが機能層には金属酸化物微粒子が含有されていてもよい。機能層に金属酸化物微粒子を分散させることで、機能層の屈折率を調整することができ、透明導電性フィルム16,31,32の透過率の向上や反射色相をよりニュートラル(無彩色)にすることができる。金属酸化物微粒子の材料は、機能層の表面に凹凸を生じなければ特に限定されることはなく、例えば、酸化ジルコニウムZrO2、酸化ケイ素SiO2、酸化チタンTiO2、酸化スズSnO2、酸化アルミニウムAl2O3などの微粒子などが挙げられる。金属酸化物微粒子の粒子サイズは10nm〜80nmが好ましく、20nm〜40nmがより好ましい。
[金属層]
金属酸化物層21と基材フィルム12の間に、基材フィルム12との密着性を改善させるための金属層30が設けられていてもよい。金属層30を構成する元素は、金属酸化物層21と同種金属でも異種金属でもよいが、同種金属を選択することで金属層30と金属酸化物層21の間の密着性を高めることができるため、同種金属が望ましい。同種金属の例としては、金属層30がケイ素(Si)、金属酸化物層21が酸化ケイ素(SiO2)からなるものが挙げられる。金属層30の膜厚は、特に限定されないが、1nm〜10nmが好ましい。金属層30の膜厚が1nmを下回ると十分な密着性向上効果が得られないおそれがあり、10nmを上回ると透明導電性フィルム16,31,32の透過率が低下するおそれがある。
[金属酸化物層]
金属酸化物層21は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)などからなるが、これらに限定されることはない 。金属酸化物層21は優れたガスバリア性(特に水のバリア性)を有するため、基材フィルム12の含有ガス(特に水)が透明導電層22に侵入することを抑制することができる。金属酸化物層21の厚さは、10nm以上、100nm以下であることが好ましい。金属酸化物層21の厚さが10nm未満であると、基材フィルム12の含有ガスの透明導電層22への侵入を十分抑制できないことがある。金属酸化物層21の厚さが100nmを超えると、透明導電性フィルム16、31、32の透明度が低下することがある。
金属酸化物層21はドライプロセス、特にスパッタリング法で成膜されることが好ましいが、製法は限定されない。スパッタリング法で形成した金属酸化物層21は、ドライプロセスの中でも、特に緻密な金属酸化物層21を安定して得ることができる。スパッタリング法は、例えば真空蒸着法と比べて形成される膜の密度が高いため、金属酸化物層21のガスバリア性を優れたものとすることができる。
金属酸化物層21を成膜する際のスパッタリングガスの圧力は0.09Pa〜0.5Paが好ましく、0.09Pa〜0.3Paがより好ましい。スパッタリングガスを上記の圧力範囲とすることで、より緻密な金属酸化物層21を形成することが出来、良好なガスバリア性を得やすくなる。スパッタリングガスの圧力が0.5Paを超えると、緻密な金属酸化物層21が得られず、良好なガスバリア性が得られなくなるおそれがある。スパッタリングガスの圧力が0.09Paを下回ると放電が安定しなくなり、金属酸化物層21に空隙ができるおそれがある。
スパッタリング法で金属酸化物層21を成膜する場合、反応性スパッタリングを採用することにより、効率よく金属酸化物層21の成膜ができる。例えばスパッタリングターゲットにケイ素(Si)を用いる場合、スパッタリングガスとしてアルゴンを導入し、反応性ガスとして酸素をアルゴンに対して10%〜50%(圧力%)導入することで、ガスバリア性の高い酸化ケイ素(SiO2)膜が得られる。
金属酸化物層21をスパッタリング法で成膜する際は、ターゲット23に印加する電力の密度を1.0W/ m2〜6.0W/ m2とすることが好ましい。電力密度が6.0W/ m2を上回ると、金属酸化物層21の表面粗さ(例えば算術平均粗さRa)が大きくなり、透明導電層22の表面抵抗が上昇する恐れがある。電力密度が1.0W/ m2を下回ると、成膜レートが低下するため、生産性を確保することが難しくなる。
[透明導電層]
透明導電層22は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物を例示することができ、これら2種以上を複合して形成してもよい。中でも、インジウム錫酸化物(ITO)など、結晶化させて抵抗値を低減させるような系の場合、膜中に不純物が取り込まれることで結晶化速度が低減するため、特に本発明が有効となる。
透明導電層22にインジウムスズ酸化物を用いる場合、透明導電層22膜中の酸化スズ(SnO2)の量が、酸化スズ及び酸化インジウム(In2O3)の合計量に対して0.5重量%〜15重量%であることが好ましく、3重量%〜15重量%であることがより好ましく、5重量%〜12重量%であることがさらに好ましい。酸化スズの量が0.5重量%未満であると、表面抵抗値が高くなるおそれがあり、酸化スズの量が15重量%を超えると、面内の表面抵抗値の均一性が失われるおそれがある。なお、インジウムスズ酸化物中には酸化スズと酸化インジウム以外の成分、例えば亜鉛Zn、ガリウムGa、チタンTi、マグネシウムMg、アルミニウムAl、金Au、銀Ag、銅Cuなどが含まれていてもよい。
透明導電層22は、酸化スズと酸化インジウムの比率が異なる層が複数積層された多層構造であってもよい。例えば、インジウムスズ酸化物層が2層あるいは3層でもよい。透明導電層22は、例えば、酸化スズ(SnO2)の量が、酸化スズ及び酸化インジウム(In2O3)の合計量に対して10重量%である第1透明導電層(図示しない)と、同様の重量比が3%である第2透明導電層(図示しない)の積層体であってもよい。
低温で形成された透明導電層22(例えば、インジウムスズ酸化物層)は非晶質であり、これを加熱処理することにより、透明導電層22が非晶質から結晶質に転化する。結晶質に転化することにより、透明導電層22の表面抵抗値が低くなる。透明導電層22を結晶質に転化させる際の条件は、生産性の観点から、温度140℃程度、時間60分以下程度が好ましい。
透明導電層22の算術表面粗さRaは0.1nm以上1.6nm以下であることが好ましい。透明導電層22の算術表面粗さRaが1.6nmを上回ると、透明導電層22の抵抗値が上昇するおそれがある。透明導電層22の算術表面粗さRaが0.1nmを下回ると、透明導電層22をフォトリソグラフィでパターニングする際、フォトレジストと透明導電層22の密着性が低下し、エッチング不良を起こすおそれがある。
透明導電層22の膜厚は15nm以上40nm以下であることが好ましく、15nm以上35nm以下であることがさらに好ましい。透明導電層22の膜厚が15nmを下回ると、表面抵抗値が上昇するおそれがある。透明導電層22の膜厚が40nmを上回ると、透明導電性フィルム16の光の透過率の低下や、内部応力の上昇による透明導電層22のクラック発生が懸念される。透明導電層22の膜厚を前記の範囲とすることで、透明導電性フィルム16、31、32をタッチパネルに好適に適用することができる。
[透湿度]
金属酸化物層21を含む基材フィルム12の、40℃、相対湿度90%での透湿度は、1.0g/m・day以下であることが好ましい。金属酸化物層21を含む基材フィルム12とは、図2の場合は金属酸化物層21が形成された基材フィルム12(金属酸化物層21と基材フィルム12の積層体)であり、図3、図4の場合は金属層30および金属酸化物層21が形成された基材フィルム12(金属酸化物層21と金属層30と基材フィルム12の積層体)である。図示しないが、金属酸化物21と基材フィルム12の間に金属層30に加えて他の層が形成されたときは、金属酸化物層21を含む基材フィルム12は、金属酸化物層21、金属層30および全ての他の層が形成された基材フィルム12(金属酸化物層21と金属層30と全ての他の層と基材フィルム12の積層体)である。金属酸化物層21を含む基材フィルム12の透湿度がこのように小さいのは、金属酸化物層21のガス(水分)バリア性による。
[成膜ロールの温度]
金属酸化物層形成工程および透明導電層形成工程において成膜ロール14,15を用いる場合、成膜ロール14,15の、基材フィルム12に接する面の温度は40℃以下に維持されることが好ましい。第1成膜ロール14および第2成膜ロール15の表面を40℃以下に維持する理由は、基材フィルム12の金属酸化物層21を形成しない側の面(第1成膜ロール14および第2成膜ロール15に接する面)からのガス放出を抑制するためである。
従来の製法のなかには、透明導電膜を成膜する前に、加熱したロールを通過させることで十分に脱ガスを行った後、透明導電膜を成膜するものもある。しかし特に厚さ100μm以上の基材フィルムなどは多量の含有ガスを含むため、基材フィルムの脱ガスが不十分となる場合がある。その点、本発明では、成膜面については金属酸化物層21により、成膜面とは反対面については冷却した第1成膜ロール14および第2成膜ロール15によりガスを基材フィルム12の内側に封じ込めるため、基材フィルム12が多量の含有ガスを含むときでも、透明導電層22を劣化させることなく成膜することができる。
[水の分圧]
透明導電層形成工程にて透明導電層22を形成する際の全ガス圧に対する水の分圧の比率は、0.25%以下であることが好ましい。スパッタリング装置10の場合、全ガス圧とは、スパッタリングガス(代表的にはアルゴンガス)と反応性ガス(代表的には酸素ガス)と水などの不純物ガスの圧力の合計である。大部分の水は基材フィルム12から放出されたものである。水の分圧の比率が0.25%を超えると、透明導電層22の結晶化(非晶質から結晶質に転化させること)に長時間かかることがある。透明導電層22がインジウムスズ酸化物からなるとき、透明導電層22の結晶化は、例えば、140℃、60分で行なわれる。しかし透明導電層形成工程にて水の分圧の比率が0.25%を超えると、この条件で透明導電層22の結晶化が完了しないことがある。
[表面抵抗値]
透明導電層22の結晶化後の表面抵抗値は、40Ω/□(ohms per square)以上、190Ω/□以下であることが好ましい。表面抵抗値を40Ω/□より小さくするためには、透明導電層22の膜厚を厚くする必要があり、その場合、透明導電性フィルム16、31、32の光の透過率が低下するおそれがある。表面抵抗値が190Ω/□を超えると、透明導電性フィルム16、31、32を例えばタッチパネルに用いたとき、タッチパネルの動作に不具合を生じることがある。
[連続工程]
金属酸化物層形成工程と透明導電層形成工程は、連続的に実施されることが好ましい。金属酸化物層形成工程と透明導電層形成工程を、例えば、一つの真空槽18内で連続的に実施することにより、金属酸化物層21と透明導電層22の間にゴミやコンタミネーションが入り込むことが防止できる。
[生産方式]
少なくとも金属酸化物層形成工程と透明導電層形成工程はロール・トゥ・ロール方式にて実施されることが好ましい。一つの真空槽内で金属酸化物層形成工程と透明導電層形成工程をロール・トゥ・ロール方式にて実施することにより、製造ラインのスペースを小さくし、透明導電性フィルム16、31、32の取り扱いを容易にし、更に金属酸化物層21と透明導電層22の間にゴミやコンタミネーションが入り込むことが防止できる。
[実施例及び比較例]
本発明を詳細に説明するために実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されることはない。
[実施例1]
[ハードコート層の形成]
アクリル樹脂と酸化ジルコニウム(ZnO2)粒子(平均粒径20nm)とが含まれている紫外線(UV)硬化型樹脂組成物を、固形分濃度が5重量%になるようにメチルイソブチルケトン(MIBK)で希釈した。得られた希釈組成物を、厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材フィルム(三菱樹脂製、商品名「ダイアホイル」)の一方の主面に塗布し、乾燥させた。次に希釈組成物に紫外線を照射して硬化させ、膜厚0.5μmのハードコート層を形成した。ハードコート層の形成されたポリエチレンテレフタレート基材フィルムを巻取り、ポリエチレンテレフタレート基材フィルムロールを作製した。
[金属層及び金属酸化物層の形成]
金属層30及び金属酸化物層21(及び後に記す透明導電層22)は、図1に示されるようなロール・トゥ・ロール型スパッタリング装置10を用いて形成した。ハードコート層を有するポリエチレンテレフタレート基材フィルム12のロールをスパッタリング装置10の供給ロール11に設置し,1×10−4Pa以下の真空状態で15時間保管した。その後、供給ロール11からポリエチレンテレフタレート基材フィルム12を繰出し、第1成膜ロール14及び第2成膜ロール15を通過させ、巻取り室にて収納ロール17に巻き取った。金属層30及び金属酸化物層21はポリエチレンテレフタレート基材フィルム12が第1成膜ロール14に接している間に、ターゲット19、23を用いて成膜した。この際、第1成膜ロール14の温度は0℃に維持した。
第1分割槽24を圧力0.3Paのアルゴン雰囲気とし、1.0W/m2の電力を投入してケイ素(Si)ターゲット(住友金属鉱山社製)をスパッタリングし、厚さ2nmの金属層30(ケイ素(Si)層)を得た。続いて、第2分割槽25、第3分割槽26を0.2Paのアルゴン雰囲気とし、インピーダンス制御によって酸素を導入しながら3.5W/m2の電力を投入して、ケイ素(Si)ターゲット(住友金属鉱山社製)をスパッタリングして、厚さ20nmの金属酸化物層21(酸化ケイ素(SiO2)層)を得た。
[透明導電層の形成]
金属酸化物層21に引き続き透明導電層22を成膜した。透明導電層22は、ポリエチレンテレフタレート基材フィルム12が第2成膜ロール15と接している間に、ターゲット20を用いて成膜した。この際、第2成膜ロール15の温度は0℃に維持した。透明導電層22を成膜する際は、アルゴンAr:酸素O2の圧力比が99:1で、全ガス圧が0.3Paのスパッタリング雰囲気とし、1.0W/m2の電力を投入して、10重量%の酸化スズと90重量%の酸化インジウムの焼結体から成るインジウムスズ酸化物ターゲットをスパッタリングして、厚さ23nmの第1透明導電層を形成した。
次に、3重量%の酸化スズと97重量%の酸化インジウムの焼結体から成るインジウムスズ酸化物ターゲットを、アルゴンAr:酸素O2の圧力比が99:1であって全ガス圧が0.3Paの雰囲気下でスパッタリングして、厚さ2nmの第2透明導電層を形成した。第1透明導電層、第2透明導電層を成膜する際の、全ガス圧に対する水の分圧は0.18%であった。その後、ポリエチレンテレフタレート基材フィルム12を収納ロール17に巻き取り、透明導電性フィルムロールを完成させた。
上記の透明導電性フィルム16において、金属酸化物層21を形成した後、透明導電層22を形成する前の状態で、40℃、相対湿度90%における透湿度を測定した。その結果、透湿度は0.1g/m・dayであった。
上記透明導電性フィルム16を、温度140℃で60分間加熱しインジウムスズ酸化物を結晶化させ、表面抵抗値を測定したところ、140Ω/□であった。インジウムスズ酸化物はほぼ完全に結晶化していた。
[比較例1]
金属層30及び金属酸化物層21を成膜しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で、透明導電性フィルムを作製した。なお、透明導電層を形成する際、全ガス圧に対する水の分圧は、0.30%であった。
透明導電層を形成する前の状態で、40℃、相対湿度90%における透湿度を測定評価した。その結果、透湿度は6.0g/m・dayであった。透湿度が非常に大きいのは、金属酸化物層21によるガスバリア効果が無いためである。
上記透明導電性フィルムを、温度140℃で60分間加熱しインジウムスズ酸化物を結晶化させ、表面抵抗値を測定したところ、200Ω/□であった。比較例1のインジウムスズ酸化物は結晶化が不十分であった。
[比較例2]
第1成膜ロール14および第2成膜ロール15の温度を100℃とする以外は実施例1と同様の方法で、透明導電性フィルムを作製した。なお、透明導電層を形成する際、全ガス圧に対する水の分圧は、0.32%であった。水の分圧が大きいのは、基材フィルムの、成膜ロールに接する面の温度が高いため、基材フィルムから水が多く放出されたためである。
透明導電層を形成する前の状態で、40℃、相対湿度90%における透湿度を測定した。その結果、透湿度は0.1g/m・dayであった。透湿度が非常に小さいのは、金属酸化物層のガスバリア効果による。
上記透明導電性フィルムを、温度140℃で60分間加熱しインジウムスズ酸化物を結晶化させ、表面抵抗値を測定したところ、220Ω/□であった。比較例2のインジウムスズ酸化物は結晶化が不十分であった。この原因は、基材フィルムから放出された水が、透明導電層に侵入したためである。
[比較例3]
図1のロール・トゥ・ロール型スパッタリング装置10の供給ロール11に、実施例1でハードコート層を形成したポリエチレンテレフタレート基材フィルムロールを設置した。続いて、供給ロール11からポリエチレンテレフタレート基材フィルム12を繰出し、温度を100℃に維持した第1成膜ロール14および第2成膜ロール15を通過させ、ポリエチレンテレフタレート基材フィルム12を収納ロール17に巻き取った。このとき金属層、金属酸化物層及び透明導電層は成膜しなかった。次に収納ロール17からポリエチレンテレフタレート基材フィルム12を逆走させて、第2成膜ロール15、第1成膜ロール14を順次通過させて、再度供給ロール11側にポリエチレンテレフタレート基材フィルム12を巻き取った。このときも金属層、金属酸化物層及び透明導電層は成膜しなかった。以上の作業はポリエチレンテレフタレート基材フィルム12に含まれる蒸発性の含有ガス(主として水)を、透明導電層等を成膜する前に放出させるために行なわれた。
上記の水分放出作業を実施したあと、比較例1と同様の方法で透明導電性フィルムを作製した。その際、透明導電層を形成する際の、全ガス圧に対する水の分圧は0.22%であった。水の分圧が低い理由は、水分放出作業でポリエチレンテレフタレート基材フィルム12の水の含有量が減少したためである。透明導電層を形成する前の状態で、40℃、相対湿度90%におけるポリエチレンテレフタレート基材フィルム12の透湿度を測定した。その結果、透湿度は6.0g/m・dayであった。透湿度が高い理由は、ガスバリア性のある金属酸化物層が無いためである。
上記透明導電性フィルムを、温度140℃で60分間加熱しインジウムスズ酸化物を結晶化させ、表面抵抗値を測定したところ、140Ω/□であった。比較例3のインジウムスズ酸化物は十分に結晶化していた。結晶化が十分進んだ理由は、インジウムスズ酸化物に侵入した水が少なかったためである。以上の結果を表1にまとめて記載する。
Figure 0006442328
実施例1では金属層30(ケイ素Si)および金属酸化物層21(酸化ケイ素SiO2)を成膜しているのに対して、比較例1では金属層および金属酸化物層を形成していない。そのため、金属層30および金属酸化物層21のガスバリア効果を得られず、インジウムスズ酸化物成膜前の段階での40℃、相対湿度90%での透湿度が6.0g/m・dayと高い値になっており、更に、インジウムスズ酸化物を成膜する際の全ガス圧に対する水の分圧の比率が0.30%と高い値になっている。このため、水を中心とした不純物ガスがインジウムスズ酸化物膜中に侵入し、これが結晶化の阻害因子となり、温度140℃、60分で加熱した後も結晶化が不十分であり、表面抵抗値が高くなっている。
比較例2では第1成膜ロール14及び第2成膜ロール15の温度を100℃に維持し、実施例1よりも高い温度で成膜を実施している。この条件下では、酸化ケイ素(SiO2)膜により成膜面側のガス発生は抑制できているものの、反対面(成膜ロール14,15接触面)から水を中心とした不純物ガスが多量に発生している。この結果、全ガス圧に対する水の分圧が高くなっている。このため、インジウムスズ酸化物膜中に水を中心とした不純物ガスが侵入し、結晶化の阻害因子となり、140℃、60分で加熱した後も結晶化が不十分であり、表面抵抗値が高くなっている。
比較例3では、インジウムスズ酸化物の成膜前に、100℃に維持した第1成膜ロール14、第2成膜ロール15にポリエチレンテレフタレート基材フィルム12を1往復させる「脱ガス」工程を設けている。事前にポリエチレンテレフタレート基材フィルム12から不純物ガスを放出させているため、酸化ケイ素膜を形成しなくとも、インジウムスズ酸化物成膜時の全ガス圧に対する水の分圧が低くなっている。比較例3では、脱ガス工程を設けることで、酸化ケイ素膜を形成しなくとも、140℃、60分加熱による結晶化を経過した後の表面抵抗値を実施例1と同等の140Ω/□にすることができる。しかし比較例3を実施例1と比較すると、成膜工程に約3倍の時間を必要とし生産性が低い。
[測定方法]
[金属酸化物層の膜厚]
透過型電子顕微鏡(日立製作所製HF-2000)を用いて金属酸化物層の断面を観察し、金属酸化物層21の膜厚を測定した。
[基材フィルムの透湿度]
基材フィルム12の透湿度は、JIS K7129:2008に準じ、40℃、相対湿度90%の雰囲気下で、等圧法(通称モコン法)により測定した。
[水の分圧]
水の分圧はULVAC社製Qulee BGM-101を用いて測定した。
[表面抵抗値]
表面抵抗値はJIS K7194に準じて、4端子法を用いて測定した。
[結晶化]
透明導電層22の結晶化が完了しているかどうかは、透明導電層22を透過型電子顕微鏡(日立製作所製HF-2000)を用いて観察し、非晶質相の有無により判断した。また、結晶化が完了すれば、表面抵抗値の変化が飽和するため、表面抵抗値の変化によっても判断した。
本発明の透明導電性フィルムの用途に制限は無いが、タッチパネルに特に好適に用いられる。
10 スパッタリング装置
11 供給ロール
12 基材フィルム
13 ガイドロール
14 第1成膜ロール
15 第2成膜ロール
16 透明導電性フィルム
17 収納ロール
18 真空槽
19 ターゲット
20 ターゲット
21 金属酸化物層
22 透明導電層
23 ターゲット
24 第1分割槽
25 第2分割槽
26 第3分割槽
27 第4分割槽
28 第5分割槽
29 第6分割槽
30 金属層
31 透明導電性フィルム
32 透明導電性フィルム
33 成膜下地フィルム
34 粘着剤層
35 裏打ちフィルム

Claims (3)

  1. 基材フィルムを準備する工程と、
    前記基材フィルムの少なくとも一面に少なくとも1層の金属層を形成する金属層形成工程と、
    前記金属層上に少なくとも1層の金属酸化物層を形成する金属酸化物層形成工程と、
    前記金属酸化物層上に透明導電層を形成する透明導電層形成工程とを含み、
    前記金属酸化物層を含む前記基材フィルムの、40℃、相対湿度90%での透湿度が1.0g/m・day以下であり、
    前記透明導電層形成工程にて前記透明導電層を形成する際の、全ガス圧に対する水の分圧の比率が0.25%以下であることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
  2. 前記透明導電層形成工程で形成された前記透明導電層が非晶質であり、前記透明導電層を加熱処理することにより非晶質から結晶質に転化させる結晶化工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  3. 少なくとも前記金属酸化物層形成工程と前記透明導電層形成工程はロール・トゥ・ロール方式にて実施されることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
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