JP6587574B2 - 積層膜及び熱線反射材 - Google Patents

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Description

本発明は、積層膜に関し、より詳細には高い可視光透過率と、高い熱線反射率及び紫外線反射率を有する無機物からなる積層膜に関する。
建築物や車両の窓などには、省エネの観点から、可視光は透過させつつ、赤外光及び紫外光は遮断するという機能が求められる。具体的には、そのような機能を有するコーティングを窓に直接施したり、あるいは前記コーティングをフィルムに施し、そのフィルムを窓に貼る方法が採られている。
例えば、特許文献1には厚さが12〜20nmの銀層、この銀層より厚さが3nm以上薄い金属層、及び2層以上の透明酸化物層を含む多層膜が設けられた可視光透過熱線反射シートが開示されている。特許文献1では具体的に、前記銀層及び前記金属層として純Ag層が用いられている。また、特許文献2には、低放射率コーティングを備えた基材が開示され、前記低放射率コーティングは、基材上に直接形成された二酸化ケイ素を含む第1のフィルム層と、透明誘電物質を含む第2のフィルム層と、赤外反射物質を含む第3のフィルム層と、透明誘電物質を含む第4のフィルム層を含んでいる。特許文献2では具体的に、前記赤外反射物質として純Agが開示されている。特許文献3には、誘電材料の第一のコーティング(2)、赤外線の反射特性を有する、銀製の第一の機能性金属層(3)、誘電材料の第二のコーティング(5)、赤外線の反射特性を有する、銀製の第二の機能性金属層(6)、誘電材料の第三のコーティング(8)の連続したものから構成される薄い「A」層の積重体を備えた少なくとも一枚の透明基材(1)を含むグレージング集成体が開示されている。特許文献3では、銀製の第一の機能性金属層(3)及び銀製の第二の機能性金属層(6)として、いずれも純Agが開示されている。
WO2008/065962 特許第4031760号公報 特許第4739470号公報
特許文献1〜3のように、熱線反射シートを構成する積層膜中に純銀層を用いると、純銀層の上に酸化物層を成膜する際のプラズマや、酸素を含むイオン照射、あるいは基板温度の上昇によって純銀層に凝集が生じ、熱線反射フィルムの光学特性が劣化するという問題があった。
本発明は、銀が凝集することなく、良好な光学特性を発揮できる積層膜、及びこれを用いた熱線反射材を得ることを目的とする。
上記課題を達成した本発明は、
第1の金属酸化物層を介して第1の銀合金層と第2の銀合金層が積層される第1の積層体の両側に、第2の積層体をそれぞれ1以上有する積層膜であって、
前記第2の積層体では、第2の金属酸化物層と、第2の金属酸化物層よりも屈折率の大きな高屈折率層が積層され、
前記第1及び第2の銀合金層は、合金元素として(a)Cu及びPd、(b)Cu及びNd、(c)Bi及びZn、(d)Bi及びNd、(e)Biのいずれかを含む銀合金であり、
前記第1及び第2の金属酸化物層の波長200〜1000nmにおける平均屈折率は2.0未満であり、前記高屈折率層の波長200〜1000nmにおける平均屈折率は2.0以上であることを特徴とする積層膜である。
前記第1及び第2の銀合金層は、(i)Cu:0.1〜2.0原子%及びPd:0.1〜5.0原子%を含む銀合金であること、(ii)Cu:0.1〜2.0原子%及びNd:0.1〜2.0原子%を含む銀合金であること、(iii)Bi:0.05〜1.5原子%及
びZn:0.1〜2.0原子%を含む銀合金であること、(iv)Bi:0.05〜1.5原子%及びNd:0.1〜2.0原子%を含む銀合金であること、(v)Bi:0.05〜1.5原子%を含む銀合金であることなどが好ましい。
また、前記第1の金属酸化物層は酸化ケイ素であり、厚さが100〜200nmであること;前記高屈折率層は酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、又は窒化シリコンであり、厚さが10〜50nmであること;前記第1及び第2の銀合金層の厚さがいずれも5〜15nmであること;前記第2の積層体を、前記第1の積層体の両側にそれぞれ1以上3以下有すること;第1及び第2の銀合金層、第1及び第2の金属酸化物層及び高屈折率層の合計厚さが150〜500nmであること:本発明の積層膜がスパッタリング法によって形成されていることなどが好ましい。
本発明は、透明基材の上に、上記いずれかの積層膜が形成された熱線反射材も包含する。
本発明の積層膜によれば、銀層として特定の合金元素を含む銀合金層を用いているため、銀の凝集が抑制されており、良好な光学特性、特に良好な熱線反射性を実現できる。
図1は、実施例1の積層膜の構造を示す模式図である。 図2は、実施例1の積層膜の透過スペクトルを示したグラフである。 図3は、比較例1の積層膜の透過スペクトルを示したグラフである。 図4は、実施例2で作製した膜の表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図5は、実施例3のシミュレーションに用いた積層膜の構造を示した模式図である。 図6は、実施例3のシミュレーションによって得られた透過スペクトルを示したグラフである。 図7は、実施例3のシミュレーションによって得られた透過スペクトルを示したグラフである。 図8は、実施例4の積層膜の構造を示す模式図である。 図9は、実施例4の積層膜の透過スペクトルを示したグラフである。
本発明の積層膜では、第1の銀合金層と第2の銀合金層が第1の金属酸化物層を介して積層される第1の積層体の両側に、第2の金属酸化物層と、第2の金属酸化物層よりも屈折率の大きな高屈折率層から構成される第2の積層体を、それぞれ1以上備えている。
本発明は、銀合金層として所定の元素を含む銀合金を用いている点に特徴を有している。従来の積層膜では、純銀の上に酸化物層が形成されており、酸化物層を形成する際のプラズマ、酸素を含むイオン照射、及び基板温度の上昇など(以下、「プラズマ等の影響」と呼ぶ)によって、銀が凝集していた。本発明者らは、凝集を抑制できる銀層について検討を重ねたところ、Pd、Nd、Cu、Zn、Biを合金元素とした銀合金は、プラズマ等の影響によっても凝集しないことを見出した。特に、CuはPd又はNdと共に用いることによって、高い凝集抑制効果を発揮できる。またBiは単独で用いても良いし、Nd又はZnと共に用いることによっても高い凝集抑制効果を発揮できる。すなわち、第1及び第2の銀合金層は、合金元素として(a)Cu及びPd、(b)Cu及びNd、(c)Bi及びZn、(d)Bi及びNd、(e)Biのいずれかの元素を含む銀合金である。このような本発明の銀合金層は、凝集が抑制されることによって、熱線反射特性を有効に発揮できる。
各合金元素について、好ましい含有量は以下の通りである。Cu、Nd及びZnは、いずれも0.1原子%以上が好ましい。このようにすることによって、銀の凝集抑制効果を有効に発揮できる。Cu、Nd及びZnはいずれも、0.2原子%以上がより好ましく、0.3原子%以上が更に好ましい。一方、Cu、Nd及びZnが過剰になると、銀合金層の上に酸化物層を成膜する際の酸素を含むイオンの照射により、これらの合金元素が酸化し、特に赤外線(本書では、熱線と同義で用いる)反射性などの光学特性を劣化させる。Cu、Nd及びZnはいずれも、2.0原子%以下が好ましく、より好ましくは1.5原子%以下であり、更に好ましくは1.0原子%以下である。
Pdは、0.1原子%以上が好ましい。このようにすることによって、銀の凝集抑制効果を有効に発揮できる。Pdは、0.2原子%以上がより好ましく、0.3原子%以上が更に好ましい。一方、Pdが過剰になると、銀合金層の光学定数が変化し、可視光の透過率が低下する。従って、Pdは5.0原子%以下が好ましく、より好ましくは4.0原子%以下であり、更に好ましくは2.0原子%以下である。
Biは、銀合金層中に分散するのではなく、銀合金層の表面に濃化し、濃化層が銀合金層を保護する役割を果たす。従って、Biは0.05原子%以上が好ましく、より好ましくは0.10原子%以上、更に好ましくは0.15原子%以上である。一方、Biが過剰になると銀合金層の上に酸化物層を成膜する際の酸素を含むイオンの照射により、Biが酸化し、特に赤外線反射性などの光学特性を劣化させる。Biは1.5原子%以下が好ましく、より好ましくは1.2原子%以下であり、更に好ましくは1.0原子%以下である。
すなわち、上記(a)の場合は、Cu:0.1〜2.0原子%及びPd:0.1〜5.0原子%を含む銀合金であること、上記(b)の場合は、Cu:0.1〜2.0原子%及びNd:0.1〜2.0原子%を含む銀合金であること、上記(c)の場合は、Bi:0.05〜1.5原子%及びZn:0.1〜2.0原子%を含む銀合金であること、上記(d)の場合は、Bi:0.05〜1.5原子%及びNd:0.1〜2.0原子%を含む銀合金であること、上記(e)の場合は、Bi:0.05〜1.5原子%を含む銀合金であること、が夫々好ましい。これらいずれの場合も、残部は実質的に銀である。但し、原材料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物が含まれることは当然に許容される。
第1及び第2の銀合金層の厚さはいずれも5〜15nmであることが好ましい。銀合金層が5nm以上であると、良好な赤外線反射性を実現でき、また銀の凝集抑制効果が十分に発揮される。銀合金層の厚さは7nm以上がより好ましく、更に好ましくは8nm以上である。一方、銀合金層の厚さが厚くなりすぎると、可視光透過率が低下する。従って、銀合金層の厚さは15nm以下が好ましく、より好ましくは13nm以下であり、更に好ましくは12nm以下である。
第1及び第2の銀合金層の組成及び厚さは、同一であっても異なっていても良く、同一であることが好ましい。
第1及び第2の銀合金層は、第1の金属酸化物層を介して積層されている。第1の金属酸化物層の波長200〜1000nmにおける平均屈折率(以下、単に「平均屈折率」と呼ぶ)は、2.0未満である。平均屈折率が2.0未満(以下、「低屈折率」と呼ぶ場合がある)の金属酸化物層は、積層膜の透過スペクトルにおいて、可視光を選択的に透過する性能を有する。第1の金属酸化物層の平均屈折率は、1.8以下が好ましく、より好ましくは1.6以下であり、1.52以下であることが特に好ましい。このような低屈折率の酸化物として、例えば一酸化ケイ素、二酸化ケイ素などの酸化ケイ素(SiOxと表す場合がある)、AlOxで表される酸化アルミニウム、AlOxyで表される酸窒化アルミニウム、MgOxで表される酸化マグネシウム、LaOxで表される酸化ランタン、YOxで表される酸化イットリウムなどが挙げられ、好ましくはSiOxである。
第1の金属酸化物層の厚さは、100〜200nmであることが好ましい。厚さが100nm以上であると、可視光を選択的に透過する性能が有効に発揮できる。厚さは110nm以上がより好ましく、更に好ましくは120nm以上である。一方、第1の金属酸化物層の厚さが厚くなりすぎると、可視光を選択的に透過する性能が劣化するとともに、成膜に要する時間が長くなり、積層膜の生産性を悪化させる。また、成膜所要時間が延びることにより、基材の温度が上昇し、膜及び基材に応力が生じてたわみが発生する。従って第1の金属酸化物層の厚さは、200nm以下が好ましく、より好ましくは190nm以下であり、さらに好ましくは180nm以下である。特に、第1の金属酸化物層が酸化ケイ素であって、厚さが100〜200nmであることが好ましい。
本発明は更に、第1の金属酸化物層を介して第1の銀合金層と第2の銀合金層が積層された第1の積層体の両側に、第2の金属酸化物層と、第2の金属酸化物層よりも屈折率の大きな高屈折率層(以下、単に「高屈折率層」と呼ぶ)が積層された第2の積層体を有している点にも特徴を有している。
第2の金属酸化物層の平均屈折率は2.0未満であり、第1の金属酸化物層と同様、積層膜において、可視光を選択的に透過する性能を有する。また、高屈折率層の平均屈折率は2.0以上であり、可視光を選択的に透過する性能の他、紫外線を吸収する効果も有している。第2の積層体では、低屈折率の金属酸化物層と高屈折率層を、交互に積層させており、屈折率の異なる2種の層を用いることによって、干渉の効果で長波長側および短波長側の光成分を反射させることができる。更に、低屈折率層と高屈折率層を1セットとしてこれを1以上積層させることで、透過スペクトルが改善、すなわち透過光の低透過率から高透過率への変化又は高透過率から低透過率への変化が急峻になる。
第2の金属酸化物層の平均屈折率の好ましい範囲、及び好ましい材質は、第1の金属酸化物層と同様である。
高屈折率層の平均屈折率は、好ましくは2.2以上であり、より好ましくは2.4以上であり、2.48以上であることが特に好ましい。高屈折率層としては、一酸化チタンや二酸化チタンなどの酸化チタン(TiOxと表す場合がある)、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、窒化シリコンなどが挙げられ、好ましくは酸化チタンである。高屈折率層の厚さは、10nm〜50nmであることが好ましい。厚さを前記範囲とすることによって、可視光を選択的に透過する性能を有効に発揮できる。また厚さが50nmを超えると、成膜に要する時間が長くなり、積層膜の生産性を悪化させると共に、成膜の所要時間が延びることによって基材の温度が上昇し、膜及び基材に応力が生じてたわみが発生しやすくなる。高屈折率層の厚さは、11nm以上がより好ましく、12nm以上が更に好ましい。また厚さは、40nm以下がより好ましく、30nm以下であることが更に好ましい。特に、高屈折率層が酸化チタンであって、厚さが10〜50nmであることが好ましい。
本発明の積層膜には、第2の金属酸化物層が複数含まれるが、それらの組成及び膜厚は同一であっても良く、異なっていても良く、特に組成については同一であることが好ましい。高屈折率層についても、積層膜中の複数の高屈折率層で、その組成及び膜厚が同一であっても良く、異なっていても良く、特に組成については同一であることが好ましい。
第1の積層体の両側に形成される、第2の積層体がそれぞれ1以上ない場合には、可視光を選択的に透過する性能が劣化する。またこの積層構造が多く形成しても、生産コストが上昇する一方で、可視光を選択的に透過する性能は飽和する。従って、第2の積層体の数は、第1の積層体の両側にそれぞれ3以下であることが好ましい。第2の積層体において、第2の金属酸化物層と高屈折率の積層順序は特に限定されず、第1の積層体側から順に、第2の金属酸化物層、高屈折率層の順でも良いし、第1の積層体側から順に、高屈折率層、第2の金属酸化物層の順でも良い。第1の積層体の片側につき、第2の積層体を2以上有する場合には、第1の積層体側から、第2の金属酸化物層と高屈折率層が交互に積層される。第2の積層体の数、及び第2の積層体中の第2の金属酸化物層と高屈折率層の積層順序は、第1の積層体の両側で同一であっても良いし異なっていても良く、同一であることが好ましい。
第1及び第2の銀合金層、第1及び第2の金属酸化物層及び高屈折率層の合計厚さが150〜500nmであることが好ましい。合計厚さが150nmよりも薄いと、可視光を選択的に透過する性能が劣化しやすい。また合計厚さが500nmよりも厚すぎると、膜応力が増大するため、成膜時の膜割れや、基材からの剥離が生じやすくなる他、基材の上に積層膜が形成された熱線反射材の使用時の温度変化による膜割れや、基材からの剥離が生じやすくなる。よって、合計厚さは150nm以上が好ましく、より好ましくは160nm以上であり、更に好ましくは170nm以上である。また合計厚さは、500nm以下が好ましく、より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは300nm以下である。
本発明の積層膜は、第1及び第2の銀合金層、第1及び第2の金属酸化物層及び高屈折率層をスパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって成膜することによって形成でき、特にスパッタリング法が好ましい。各層の間、特に銀合金層上の第1の金属酸化物層側又は第2の金属酸化物層側には、銀合金層を保護する目的の層を形成させることもできる。また本発明の積層膜に、更に湿式コーティング法により保護層などの膜を形成させることもできる。
本発明の積層膜は、熱線反射性に優れており、熱線反射特性としては例えば波長780〜2500nmの平均反射率を75%以上とできる。また、可視光選択透過性及び紫外反射・吸収特性にも優れており、例えば380〜780nmの平均透過率を60%以上とでき、250〜380nmの平均反射率を50%以上、平均吸収率を40%以上とできる。従って、本発明の積層膜を、ガラスやプラスチック等の透明基材の上に形成して熱線反射材とすることもでき、このような熱線反射材も本発明に含まれる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
図1に示す通り、基材側から順に、TiOxを21nm、SiOxを11nm、Ag合金を10nm、SiOxを155nm、Ag合金を10nm、SiOxを5nm、TiOxを17nmとして、全7層を積層した。
基材は、コーニング製EAGLE XG(φ2″、約5cm)を用いた。銀合金層は、Ag−0.7原子%Pd−1.0原子%Cuのターゲット(φ2″)を用いて、Ar:7mTorr、DC放電、電力20Wの条件で成膜した。SiOx層は、SiO2ターゲット(φ2″)を用いて、Ar:7mTorr、RF放電、電力100Wの条件で成膜した。TiOx層は、TiO2ターゲット(φ2″)を用いて、Ar+20%O2:7mTorr、RF放電、電力200Wの条件で成膜した。積層膜の透過スペクトルを測定した結果を図2に示す。
図2によれば、本発明の積層膜は、可視光(およそ380〜780nmの波長)は透過しているが、赤外線(およそ780nm以上の波長)及び紫外線(およそ380nm以下の波長)は透過せず反射または吸収していることが分かる。
比較例1
銀合金層の代わりに、純銀を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層膜を形成した。積層膜の透過スペクトルを測定した結果を図3に示す。
図3によれば、純銀を用いた比較例1の積層膜では、可視光の透過率が悪く、また赤外線の反射率又は吸収率が実施例1に比べて劣っている。また、比較例1では、成膜中、純Ag層上にSiOx層を積層した時点で凝集が確認されていた。
実施例2
基材にはガラスを用い、基材側からTiOx、SiOx、Ag合金、SiOxを順に成膜した。
得られた膜の表面を、走査型電子顕微鏡にて観察した。観察結果を図4に示す。図4(a)〜(c)はそれぞれ、銀合金として(a)Ag−0.7原子%Pd−1.0原子%Cu、(b)Ag−0.25原子%Bi−0.18原子%Nd、(c)Ag−0.7原子%Nd−0.9原子%Cuを用いた例である。比較のため、銀合金の代わりに純銀を用いた例の結果を図4(d)に示す。
本発明で規定する銀合金を用いた例では、図4(a)〜(c)に示す通り、銀の凝集が確認されないのに対し、純銀を用いた例では図4(d)に示す通り、銀が凝集している。また、図示していないが、銀合金層としてAg−0.5原子%Biを用いた例でも、銀は凝集していなかったことを確認している。
実施例3
実施例1においては高屈折率層としてTiOxを用いたが、それ以外の高屈折率層に関しても検討を行うため光学シミュレーションによる確認を行った。具体的には、H.Angus Macleod.MACLEOD:光学薄膜原論、アドコム・メディア株式会社、2013、p.45に記載の特性マトリクス法のアルゴリズムを用い、実施例1の合計7層の内、TiOx層に代えて酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、窒化シリコンとし、図5に示した層構成と、膜厚(nm)とした場合について、積層構造の光学特性を求めた。図5の層構成は、すなわち、ガラス基板の上に、順に、高屈折率層、SiOx層、Ag合金層、SiOx層、Ag合金層、SiOx層、高屈折率層を積層したことを示している。Ag合金層は、実施例1と同じ銀合金層であるAg−0.7原子%Pd−1.0原子%Cuとした。各高屈折率層の光学定数には、J.A.Woollam社製の光学測定・解析プログラム「WVASE32」に内蔵されている文献値を用いた。シミュレーションにより得られた透過スペクトルを図6、図7に示す。
図6、7より、高屈折率層として、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、窒化シリコンのいずれを用いた場合であっても、酸化チタンの場合と同様の透過スペクトルを示す、すなわち良好な可視光透過性と赤外線反射性を実現できることが分かる。
実施例4
図8に示す通り、基材側から順に、TiOxを25nm、SiOxを5nm、Ag合金を10nm、SiOxを149nm、Ag合金を10nm、SiOxを6nm、TiOxを18nmとして、全7層を、神戸製鋼所製スパッタロールコータW35−550Sを用いて積層した。
基材は、東洋紡製ポリエステルのコスモシャインA4100(二軸延伸ポリエステルフィルム)を用い、銀合金層としては、フルヤ金属製Ag−Pd−CuターゲットAPC−TR(実施例4A)又はAg−1.0原子%Biのターゲット(実施例4B)を用い、SiOx層は、実施例4A及び4BのいずれについてもSiO2ターゲットを用い、TiOx層は、実施例4A及び4BのいずれについてもTiO2ターゲットを用いて、成膜した。積層膜の透過スペクトルを測定した結果を図9に示す。
図9によれば、実施例4A(図9(a))及び4B(図9(b))で得られた積層膜は、可視光(およそ380〜780nmの波長)は透過しているが、赤外線(およそ780nm以上の波長)及び紫外線(およそ380nm以下の波長)は透過せず反射または吸収していることが分かる。

Claims (13)

  1. 第1の金属酸化物層を介して第1の銀合金層と第2の銀合金層が積層される第1の積層体の両側に、第2の積層体をそれぞれ1以上有する積層膜であって、
    前記第2の積層体では、第2の金属酸化物層と、第2の金属酸化物層よりも屈折率の大きな高屈折率層が積層され、
    前記第1及び第2の銀合金層は、合金元素として(a)Cu及びPd、(b)Cu及びNd、(c)Bi及びZn、(d)Bi及びNd、(e)Biのいずれかを含む銀合金であり、
    前記第1及び第2の金属酸化物層の波長200〜1000nmにおける平均屈折率は2.0未満であり、前記高屈折率層の波長200〜1000nmにおける平均屈折率は2.0以上であることを特徴とする積層膜。
  2. 前記第1及び第2の銀合金層は、Cu:0.1〜2.0原子%及びPd:0.1〜5.0原子%を含む銀合金である請求項1に記載の積層膜。
  3. 前記第1及び第2の銀合金層は、Cu:0.1〜2.0原子%及びNd:0.1〜2.0原子%を含む銀合金である請求項1に記載の積層膜。
  4. 前記第1及び第2の銀合金層は、Bi:0.05〜1.5原子%及びZn:0.1〜2.0原子%を含む銀合金である請求項1に記載の積層膜。
  5. 前記第1及び第2の銀合金層は、Bi:0.05〜1.5原子%及びNd:0.1〜2.0原子%を含む銀合金である請求項1に記載の積層膜。
  6. 前記第1及び第2の銀合金層は、Bi:0.05〜1.5原子%を含む銀合金である請求項1に記載の積層膜。
  7. 前記第1の金属酸化物層は酸化ケイ素であり、厚さが100〜200nmである請求項1〜6のいずれかに記載の積層膜。
  8. 前記高屈折率層は酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、又は窒化シリコンであり、厚さが10〜50nmである請求項1〜7のいずれかに記載の積層膜。
  9. 前記第1及び第2の銀合金層の厚さがいずれも5〜15nmである請求項1〜8のいずれかに記載の積層膜。
  10. 前記第2の積層体を、前記第1の積層体の両側にそれぞれ1以上3以下有する請求項1〜9のいずれかに記載の積層膜。
  11. 前記第1及び第2の銀合金層、第1及び第2の金属酸化物層及び高屈折率層の合計厚さが150〜500nmである請求項1〜10のいずれかに記載の積層膜。
  12. スパッタリング法によって形成される請求項1〜11のいずれかに記載の積層膜。
  13. 透明基材の上に、請求項1〜12のいずれかに記載の積層膜が形成された熱線反射材。
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